説明

貯湯式給湯機

【課題】狭いスペースに設置可能なものを作製し易いと共に生産機種数を少なくしても種々の機能を有するものを作製し易い貯湯式給湯機を得ること。
【解決手段】貯湯タンク10に給水管路20から給水し、貯湯タンクから取水した水を熱源機1で湯に沸き上げて貯湯タンクに貯留し、貯湯タンクに貯留した湯を給湯管路50により所定の給湯先に供給する貯湯式給湯機120Aを構成するにあたり、貯湯タンクを第1ユニットケースUC1に収容すると共に該第1ユニットケースを支持脚L1,L2により設置面ISの上方に支持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱源機で沸上げた湯を貯湯タンクに貯留し、ここから所望の給湯先に供給する貯湯式給湯機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
設置時の作業性やメンテナンス時の作業性を向上させるためにユニット化された貯湯式給湯機が開発されており、このタイプの貯湯式給湯機では、該貯湯式給湯機の機能やサイズ等に応じて種々のユニットが開発されている。例えば特許文献1には、貯湯タンクユニットと、加熱手段と、配管ユニットを備え、配管ユニットには、貯湯タンクユニットと加熱手段とを結ぶ配管、給湯用の配管、機能部品、および給湯制御部を収容した貯湯式給湯機が記載されている。
【0003】
また、貯湯式給湯機に用途限定されたものではないが、特許文献2には、給水給湯源からの湯水を浴槽に供給すると共に浴槽内の湯水を循環させる循環配管、循環配管からの湯水を浴槽内に供給する浴槽アダプター、および循環配管内の湯水に加わる圧力を検出する圧力検出手段を備え、浴槽への湯張りを自動的に行う自動風呂装置が記載されている。
【0004】
同様に、貯湯式給湯機に用途限定されたものではないが、特許文献3には、浴槽への循環往き配管、浴槽からの循環戻り配管、浴槽湯を強制循環させる循環ポンプ、浴槽の水位を測定する水位センサ、および制御部を備え、浴槽への自動給湯を行う風呂給湯ユニットが記載されている。
【0005】
そして、特許文献4には、給湯回路を構成する複数の機能部品、例えば主電磁弁、縁切り弁、圧力逃し弁、減圧弁、混合弁を内蔵し、一方側の機能部品の送水端に他方側の機能部品の入水端がパイプレスの形態で連結されてユニットを形成した弁内蔵式給湯回路モジュールが記載されている。
【0006】
【特許文献1】特開2004−93041号公報
【特許文献2】特開2001−108295号公報
【特許文献3】特開平9−49659号公報
【特許文献4】特開2006−10259号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ユニット化された従来の貯湯式給湯機では、設置時やメンテナンス時の作業性が向上したものの設置面積が増加する傾向が見られ、設置スペースによる制約から設置できないこともある。勿論、当該貯湯式給湯機の生産機種数を増加させれば種々の広さの設置スペースに対応可能になるが、生産機種数の増加は生産効率の低下につながる。
【0008】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、狭いスペースに設置可能なものを作製し易いと共に生産機種数を少なくしても種々の機能を有するものを作製し易い貯湯式給湯機を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成する本発明の貯湯式給湯機は、貯湯タンクに給水管路から給水し、貯湯タンクから取水した水を熱源機で湯に沸き上げて貯湯タンクに貯留し、貯湯タンクに貯留した湯を給湯管路により所定の給湯先に供給する貯湯式給湯機であって、貯湯タンクを収容した第1ユニットケースと、第1ユニットケースを設置面の上方に支持する支持脚とを備えていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の貯湯式給湯機では、貯湯タンクを収容した第1ユニットケースを支持脚により設置面の上方に支持するので、第1ユニットケースに収容する部品点数を削減してその分を第1ユニットケースと設置面との間の空間に配置することができる。結果として、第1ユニットケースの小型化を図ることが容易である。また、第1ユニットケースに収容する機能部品の種類を固定しても、第1ユニットケースと設置面との間の空間に種々の機能部品を配置して、ユーザのニーズに応じた機能を有する貯湯式給湯機を作製することができる。したがって、本発明によれば、狭いスペースに設置可能なものを作製し易いと共に生産機種数を少なくしても種々の機能を有するものを作製し易い貯湯式給湯機を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の貯湯式給湯機の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は以下に説明する実施の形態に限定されるものではない。
【0012】
実施の形態1.
図1は、本発明の貯湯式給湯機の一例を概略的に示す外観図である。同図に示す貯湯式給湯機120Aは、市水等の低温水を熱源機で湯に沸き上げて所望箇所に給湯する機能と、浴槽150で用いられた浴水150aを追い焚きする機能とを有するものであり、ヒートポンプユニット1と、第1ユニットケースUC1に収容された貯湯タンク(図示せず)を有する給湯機本体80Aと、第2ユニットケースUC2に収容された負荷側熱交換器(図示せず)を有する機能ユニット110Aとを備えている。給湯機本体80Aは、第1ユニットケースUC1を設置面の上方に支持する3本の支持脚L1〜L3を有しており、機能ユニット110Aは、第1ユニットケースUC1と設置面との間の空間に配置されている。
【0013】
なお、図1には、貯湯タンクに市水等の低温水を供給する給水管路20、貯湯タンクの下部から取水した水を貯湯タンクの上部から該貯湯タンクに戻す沸上げ用循環管路30での往き管30aおよび戻り管30b、貯湯タンク内の湯水を排出する排水管40、ならびに貯湯タンク内の湯を所望の給湯先に供給する給湯管路50での第2給湯管部50bおよび第3給湯管部50cがそれぞれ部分的に現れている。
【0014】
また、貯湯タンクに生じた余剰水を外部に排出する余剰水排出管路60での二次側排水管部60b、貯湯タンクの上部から取水した湯を貯湯タンクの下部から該貯湯タンクに戻す熱源用循環管路70での往き管70aおよび戻り管70b、ならびに浴槽150から浴水150aを取水して浴槽150に戻す負荷側循環管路100での往き管100aおよび戻り管100bも、それぞれ図1に部分的に現れている。さらには、給湯機本体80A内に配置された第1制御装置(図示せず)の入力装置として機能するリモートコントローラ115も図1に示されている。
【0015】
図2は、図1に示した貯湯式給湯機の構成を示す概略図である。同図には、第1ユニットケースUC1および第2ユニットケースUC2それぞれでの内部構成が示されていると共に、浴槽150以外の給湯先の例としてシャワー160が示されている。
【0016】
この貯湯式給湯機120Aを構成するヒートポンプユニット1は、冷媒を圧縮する圧縮機と、沸上げ用熱交換器と、膨張弁と、蒸発器と、これらを環状に接続する循環配管とによって構成された冷凍サイクルシステム(図示せず)を有し、熱源機として機能する。ヒートポンプユニット1における冷凍サイクルシステムでは、例えば超臨界状態の二酸化炭素が冷媒として用いられ、該冷媒が圧縮機で圧縮されて高温、高圧となった後に沸上げ用熱交換器で放熱し、膨張弁で減圧され、蒸発器で吸熱してガス状態となって圧縮機に吸入される。
【0017】
給湯機本体80Aは、第1ユニットケースUC1と、第1ユニットケースUC1に収容された貯湯タンク10と、第1ユニットケースUC1を設置面ISの上方に支持する3本の支持脚L1〜L3(図2においては2本の支持脚L1,L2のみが現れている)と、貯湯式給湯機120Aでの沸上げ運転および給湯運転を制御する第1制御装置75とを有している。なお、図2においては、便宜上、第1ユニットケースUC1および支持脚L1,L2の各々を二点鎖線で描いている。
【0018】
上記貯湯タンク10の下部には給水管路20、沸上げ用循環管路30での往き管30a、および熱源用循環管路70での戻り管70bがそれぞれ接続されており、貯湯タンク10の上部には沸上げ用循環管路30での戻り管30b、給湯管路50、および熱源用循環管路70での往き管70aがそれぞれ接続されている。沸上げ用循環管路30での往き管30aの途中から排水管40が分岐しており、給湯管路50の途中から余剰水排出管路60が分岐している。
【0019】
上記の貯湯タンク10は、給水管路20から供給される水を貯留すると共にヒートポンプユニット1で沸き上げられた湯を貯留するものであり、常に満水状態に保たれる。貯湯式給湯機120Aの使用時には、貯湯タンク10内に温度成層が形成される。この貯湯タンク10の周囲には、該貯湯タンク10に貯留された湯の温度低下を抑えるために、断熱材(図示せず)が配置されている。
【0020】
給水管路20は、市水等の低温水を貯湯タンク10、給湯管路50中の第1湯水混合弁43aおよび第2湯水混合弁43b、ならびにシャワー160に供給する管路であり、第1〜3給水管部20a〜20cと減圧弁15とを有している。第1給水管部20aは水道等の水源(図示せず)と貯湯タンク10とを繋ぎ、該第1給水管部20aの途中に減圧弁15が設けられている。第2給水管部20bは減圧弁15の下流側で第1給水管部20aから分岐して、該第1給水管部20aと第1湯水混合弁43aおよび第2湯水混合弁43bの各々とを繋ぐ。また、第3給水管部20cは減圧弁15の上流側で第1給水管部20aから分岐して、該第1給水管部20aとシャワー160とを繋ぐ。なお、第3給水管部20cについては、シャワー160側の端部のみを図2に描いてある。
【0021】
沸上げ用循環管路30は、貯湯タンク10の下部から水を取水してヒートポンプユニット1経由で貯湯タンク10の上部から該貯湯タンク10に戻す管路であり、往き管30a、戻り管30b、沸上げ用循環ポンプ23、および電動式の三方弁25を有している。往き管30aは貯湯タンク10の下部とヒートポンプユニット1中の沸上げ用熱交換器(図示せず)とを繋ぎ、戻り管30bは上記の沸上げ用熱交換器と貯湯タンク10の上部とを繋ぐ。
【0022】
上記の往き管30aは第1ユニットケースUC1の底から該第1ユニットケースUC1の下方に引き出されており、上記の戻り管30bは第1ユニットケースUC1の底から該第1ユニットケースUC1内に引き込まれている。往き管30aの途中に沸上げ用循環ポンプ23が設けられ、該沸上げ用循環ポンプ23の上流側に三方弁25が設けられている。貯湯タンク10内の湯水を排出する排水管40は、三方弁25に接続されている。
【0023】
給湯管路50は、貯湯タンク10に貯留された湯を浴槽150またはシャワー160に供給する管路であり、第1〜3給湯管部50a〜50c、第1湯水混合弁43a、第2湯水混合弁43b、および電動式の電磁弁45を有している。
【0024】
第1給湯管部50aの一端は貯湯タンク10の上部に接続されており、当該第1給湯管部50aでの下流側端部は2つの流路に分岐して一方が第1湯水混合弁43aに、他方が第2湯水混合弁43bにそれぞれ接続されている。第1湯水混合弁43aおよび第2湯水混合弁43bの各々は給湯管路50に給水管路20(第2給水管部20b)を合流させる電動式の混合弁であり、これらは第1ユニットケースUC1内に配置されている。
【0025】
また、第2給湯管部50bは第1湯水混合弁43aと機能ユニット110A中の負荷側熱交換器90とを繋ぎ、第3給湯管部50cは第2湯水混合弁43bとシャワー160とを繋ぐ。上記の第2給湯管部50bおよび第3給湯管部50cの各々は、第1ユニットケースUC1の底から該第1ユニットケースUC1の下方に引き出されている。第2給湯管部50bでの第1湯水混合弁43a側端部に電磁弁45が設けられている。
【0026】
余剰水排出管路60は、第1給湯管部50aでの下流側端部から分岐して、湯の沸上げに伴って貯湯タンク10内に生じる余剰水、すなわち湯の沸上げに伴って貯湯タンク10内の湯水が昇温し、体積膨張することにより生じる湯を貯湯タンク10の外部に逃がし、貯湯タンク10の内圧過上昇を防ぐ。この余剰水排出管路60は、圧力逃し弁55、該圧力逃し弁55と貯湯タンク10とを繋ぐ一次側排水管部60a、および圧力逃し弁55に一端が接続され他端が外部に開放された二次側排水管部60bを有している。
【0027】
熱源用循環管路70は、貯湯タンク10の上部から湯を取水して貯湯タンク10の下部から該貯湯タンク10に戻す管路であり、往き管70a、戻り管70b、および熱源用循環ポンプ65を有している。往き管70aは貯湯タンク10の上部と機能ユニット110A中の負荷側熱交換器90の上部とを繋ぎ、戻り管70bは負荷側熱交換器90の下部と貯湯タンク10の下部とを繋ぐ。往き管70aは第1ユニットケースUC1の底から該第1ユニットケースUC1の下方に引き出されており、戻り管70bは第1ユニットケースUC1の底から該第1ユニットケースUC1内に引き込まれている。戻り管70bの途中に、熱源用循環ポンプ65が設けられている。
【0028】
第1制御装置75は、リモートコントローラ115からユーザにより入力された情報や指令、ならびに貯湯タンク10、沸上げ用循環管路30、または給湯管路50に設けられた温度センサや流量センサ等のセンサ(いずれも図示せず)の検知結果に基づいて、ヒートポンプユニット1、沸上げ用循環ポンプ23、三方弁25、第1湯水混合弁43a、第2湯水混合弁43b、電磁弁45、および機能ユニット110A中の第2制御装置105の動作を制御する。
【0029】
負荷側循環管路100は、湯を用いる外部負荷設備の1つである浴槽150の側部から浴水150aを取水して浴槽150の側部から該浴槽150に戻す管路であり、往き管100a、戻り管100b、負荷側循環ポンプ93、および水位センサ95を有している。往き管100aは浴槽150の側部と機能ユニット110A中の負荷側熱交換器90の下部とを繋ぎ、戻り管100bは第2給湯管部50bの下流側端部と浴槽150とを繋ぐ。したがって、第2給湯管部50bの下流側端部は負荷側循環管路100の一部を構成する。また、第2給湯管部50bと負荷側循環管路100とは、浴槽150に湯を供給する管路を構成する。
【0030】
往き管100aの途中に負荷側循環ポンプ93が設けられており、該負荷側循環ポンプ93の上流側に水位センサ95が設けられている。水位センサ95は、往き管100aでの水圧から浴槽150での浴水150aの水位を検知する。なお、負荷側熱交換器90としては例えばプレート式熱交換器が用いられ、該負荷側熱交換器90は、熱源用循環管路70を流れる湯と負荷側循環管路100を流れる湯水(浴水150a)との間で熱交換を行って浴水150aを加温する。
【0031】
上述した熱源用循環ポンプ65、負荷側熱交換器90、負荷側循環ポンプ93、および水位センサ95の各々は第1ユニットケースUC1の下方で第2ユニットケースUC2に収容されて、該第2ユニットケースUC2と共に機能ユニット110Aを構成している。また、貯湯式給湯機120Aによる浴水150aの追焚き運転時に第1制御装置75の制御の下に熱源用循環ポンプ65および負荷側循環ポンプ93の動作を制御する第2制御装置105も第2ユニットケースUC2に収容されて、機能ユニット110Aを構成している。機能ユニット110Aは、前述のように、第1ユニットケースUC1と設置面ISとの間の空間に配置されている。
【0032】
リモートコントローラ115は、情報や指令の入力に用いられる操作部と、入力された情報や指令の内容を表示する表示部と、入力された情報や指令を第1制御装置75に送信する送信部(いずれも図示せず)とを有しており、第1制御装置75に有線接続または無線接続されて該第1制御装置75の入力装置として機能する。
【0033】
上述の構成を有する貯湯式給湯機120Aでは、ユーザが設定した沸上げ開始時刻になると第1制御装置75による制御の下にヒートポンプユニット1および沸上げ用循環ポンプ23が動作して、沸上げ運転が行われる。このとき、貯湯タンク10の下部から取水された水が沸上げ用循環管路30を流れ、ヒートポンプユニット1中の沸上げ用熱交換器(図示せず)を通過する過程で湯に沸き上げられて貯湯タンク10の上部から貯湯タンク10に戻される。貯湯タンク10には図示を省略した温度センサが設けられており、第1制御装置75は当該温度センサの検知温度を監視して該検知温度が所定温度になると沸上げ運転を終了させる。
【0034】
ユーザがリモートコントローラ115から湯張りを指示すると、第1制御装置75により第1湯水混合弁43aの弁開度が調節されると共に電磁弁45が開にされ、貯湯タンク10内の湯が所定の湯温に調整されて浴槽150に給湯される。また、ユーザがリモートコントローラ115から浴水150aの追焚きを指示すると、第1制御装置75の制御の下に第2制御装置105が熱源用循環ポンプ65および負荷側循環ポンプ93を起動させると共に電磁弁45を閉にして、浴水150aの追焚き運転が行われる。負荷側循環管路100での戻り管100bには図示を省略した温度センサが設けられており、第2制御装置105は当該温度センサの検知温度を監視して該検知温度が所定温度になると追焚き運転を終了させる。
【0035】
ユーザがシャワー160の給湯栓(図示せず)を開にすると、第1制御装置75により第2湯水混合弁43bの弁開度が調節され、貯湯タンク10内の湯が所定の湯温に調整されて当該シャワー160から出湯する。
【0036】
このように動作する貯湯式給湯機120Aでは、第1ユニットケースUC1と設置面ISとの間の空間に機能ユニット110Aが配置されるので、例えば貯湯タンク10の周囲に配置された断熱材に外接する四角形の大きさ程度にまで第1ユニットケースUC1の平面視上の大きさを比較的容易に小さくすることができる。
【0037】
図3−1は、図1および図2に示した貯湯式給湯機での給湯機本体と機能ユニットそれぞれの平面配の一例を概略的に示す平面図である。同図に示す例では、貯湯タンク10の周囲に配置されている断熱材5に外接する四角形の大きさ程度にまで第1ユニットケースUC1の平面視上の大きさが小さくなっており、第1ユニットケースUC1内に配置すべき各種の配管および弁(いずれも図示せず)は、第1ユニットケースUC1内の隅部に形成されるスペースS1,S2に配置されている。機能ユニット110Aを構成する第2ユニットケースUC2は、平面視上、第1ユニットケースUC1により覆い隠されている。図3−1中の参照符号L1,L2,L3は、それぞれ、第1ユニットケースUC1を設置面の上方に支持する支持脚を示している。
【0038】
図3−2は、図1および図2に示した貯湯式給湯機での第1ユニットケースの下方に空間がないとしたときに必要となる設置スペースの増加分の一例を示す概念図である。同図に示すように、第1ユニットケースUC1の下方に空間がないときには、機能ユニット110A(図2参照)の構成要素を配置するためのスペースS3を第1ユニットケースUC1内に確保することが必要となり、第1ユニットケースUC1が大型化する。なお、図3−2においては、図3−1に示した要素と共通する要素に図3−1で用いた参照符号と同じ参照符号を付してある。スペースS3には、便宜上、ハッチングを付してある。
【0039】
図3−1と図3−2とから明らかなように、貯湯式給湯機120Aでは、第1ユニットケースUC1の平面視上の大きさを比較的容易に小さくすることができる。そして、給湯機本体80Aの設置スペースがあれば、当該設置スペースに給湯機本体80Aと機能ユニット110Aを設置することができる。このため、貯湯式給湯機120Aでは狭いスペースに設置可能なものを作製し易い。これに伴って、当該貯湯式給湯機120Aを設置するにあたって各部品を現地まで輸送する際の包装の減量化を図ることも容易になる。
【0040】
また、第1ユニットケースUC1の下方に機能ユニット110Aが配置されているので、第1ユニットケースUC1の側方に機能ユニット110Aを配置する場合に比べて、第1ユニットケースUC1を小型化しても給湯管路50、熱源用循環管路70、および負荷側循環管路100それぞれの管路構成を単純化することができる。すなわち、これらの管路50,70,100での屈曲部の数を容易に低減させることができる。その結果として、各管路50,70,100の材料の加工が容易になり、生産性の向上や生産コストの低減といったVA(value analysis)効果も得られる。
【0041】
さらには、第1ユニットケースUC1に収納すべき部品点数の低減に伴って各支持脚L1〜L3を除いた給湯機本体80Aの重量が低減されるので、給湯機本体80Aの組み立ておよび設置が容易になる。また、第1ユニットケースUC1に収容する弁やセンサ等の機能部品の種類を固定しても、機能ユニット110Aに収容する機能部品の種類を適宜選定することができるので、ユーザのニーズに応じた機能を有するものを容易に作製することができる。このため、例えば図4または図5に示すように、生産機種数を少なくしても機能が異なる種々のタイプの貯湯式給湯機を容易に作製することができる。
【0042】
図4は、図2に示した貯湯式給湯機を機能変更することで得られる貯湯式給湯機の一例を示す概略図であり、図5は、図2に示した貯湯式給湯機を機能変更することで得られる貯湯式給湯機の他の例を示す概略図である。図4または図5に示す貯湯式給湯機120B,120Cでは、ヒートポンプユニット1および給湯機本体80Aそれぞれの構成は図2に示した貯湯式給湯機120Aにおけるのと同じであるものの、機能ユニット110A(図2参照)および該機能ユニット110Aに付随する所定の配管が省略されている。
【0043】
すなわち、図4に示す貯湯式給湯機120Bでは、図2に示した機能ユニット110Aと負荷側循環管路100の往き管100a、戻り管100bとが省略されている。その結果として、貯湯式給湯機120Bは、浴槽150およびシャワー160への給湯機能は有しているものの、浴水150aの追焚き機能は有していない。給湯管路50を構成する第2給湯管部50bは浴槽150に直接接続されて、第1給湯管部50aと共に浴槽用給湯管部を構成している。熱源用循環管路70の往き管70aは、第1ユニットケースUC1の下方で栓67aにより止水されており、熱源用循環管路70における戻り管70bは、第1ユニットケースUC1の下方で栓67bにより止水されている。図4に示す構成部材のうちで図2に示した構成部材と共通するものについては、図2で用いた参照符号と同じ参照符号を付してその説明を省略する。
【0044】
また、図5に示す貯湯式給湯機120Cでは、図2に示した機能ユニット110Aと負荷側循環管路100の往き管100a、戻り管100bとが省略されていると共に、第2給湯管部50bも途中から省略されている。結果として、貯湯式給湯機120Cは、シャワー160への給湯機能は有しているものの浴槽150への給湯機能および浴水150a(図2参照)の追焚き機能は有していない。第2給湯管部50bは、第1ユニットケースUC1の下方で栓47により止水されている。図5に示す構成部材のうちで図4に示した構成部材と共通するものについては、図4で用いた参照符号と同じ参照符号を付してその説明を省略する。
【0045】
図4または図5に示した貯湯式給湯機120B,120Cのように、図2に示した貯湯式給湯機120Aでは、ヒートポンプユニット1および給湯機本体80Aそれぞれの構成を変更することなくユーザのニーズに応じて機能変更することが容易である。
【0046】
実施の形態2.
本発明の貯湯式給湯機においては、給湯管路に配置される弁やセンサ等の機能部品についても機能ユニットに収容させて、給湯機本体の構成を更に単純化することもできる。
【0047】
図6は、給湯管路に配置される機能部品を機能ユニットに収容させた貯湯式給湯機の一構成例を示す概略図である。同図に示す貯湯式給湯機130Aは、給湯管路50における第1湯水混合弁43a、第2湯水混合弁43b、および電磁弁45の各々が第1ユニットケースUC1にではなく第2ユニットケースUC2に収容されているという点を除き、図2に示した貯湯式給湯機120Aと同様の構成を有している。
【0048】
当該貯湯式給湯機130Aでの給湯機本体80Bは、第1湯水混合弁43a、第2湯水混合弁43b、および電磁弁45の各々を有していないという点を除き、図2に示した貯湯式給湯機120Aでの給湯機本体80Aと同様の構成を有する。また、機能ユニット110Bは、第2ユニットケースUC2に第1湯水混合弁43a、第2湯水混合弁43b、および電磁弁45の各々が収容されているという点を除き、図2に示した貯湯式給湯機120Aでの機能ユニット110Aと同様の構成を有している。
【0049】
第1湯水混合弁43aおよび第2湯水混合弁43bが第2ユニットケースUC2に収容されていることから、給湯管路50での第1給湯管部50aは、第1ユニットケースUC1の底から該第1ユニットケースUC1の下方に引き出された後に第2ユニットケースUC2内に引き込まれて、第1湯水混合弁43aおよび第2湯水混合弁43bの各々に接続されている。第1湯水混合弁43a、第2湯水混合弁43b、および電磁弁45それぞれの動作制御は、第1制御装置75により行うこともできるし、第1制御装置75による制御の下に第2制御装置105により行うこともできる。
【0050】
このように構成された貯湯式給湯機130Aは、実施の形態1で説明した貯湯式給湯機120A(図2参照)と同様の技術的効果を奏する。第1湯水混合弁43aおよび第2湯水混合弁43bの各々が第1ユニットケースUC1に収容されてないことから、実施の形態1で説明した貯湯式給湯機120Aでの給湯機本体80Aに比べても、給湯機本体80Bの小型化を図り易い。また、機能変更したときに給湯機本体80B内に不要部品が残ってしまうのを防止し易く、結果として給湯機本体80Bの生産性の向上および製造コストの削減を図り易い。
【0051】
ユーザのニーズに応じた機能変更は、ヒートポンプユニット1および給湯機本体80Bそれぞれの構成を変更せずに、例えば機能ユニット110Bの構成を変更するか、機能ユニット110Bを省略することにより行うことができる。
【0052】
図7は、図6に示した貯湯式給湯機を機能変更することで得られる貯湯式給湯機の一例を示す概略図であり、図8は、図6に示した貯湯式給湯機を機能変更することで得られる貯湯式給湯機の他の例を示す概略図である。図7または図8に示す貯湯式給湯機130B,130Cでは、ヒートポンプユニット1および給湯機本体80Bそれぞれの構成は図6に示した貯湯式給湯機130Aにおけるのと同じであるものの、機能ユニット110B(図6参照)および該機能ユニット110Bに付随する所定の配管が省略されている。
【0053】
すなわち、図7に示す貯湯式給湯機130Bでは、図6に示した機能ユニット110Bと負荷側循環管路100の往き管100a、戻り管100bとが省略されている。その結果として、貯湯式給湯機130Bは、浴槽150およびシャワー160への給湯機能は有しているものの、浴水150aの追焚き機能は有していない。給湯管路50を構成する第2給湯管部50bの下流端は、浴槽150に直接接続されている。熱源用循環管路70の往き管70aは、第1ユニットケースUC1の下方で栓67aにより止水されており、熱源用循環管路70における戻り管70bは、第1ユニットケースUC1の下方で栓67bにより止水されている。図7に示す構成部材のうちで図6に示した構成部材と共通するものについては、図6で用いた参照符号と同じ参照符号を付してその説明を省略する。
【0054】
また、図8に示す貯湯式給湯機130Cでは、図6に示した機能ユニット110Bと負荷側循環管路100の往き管100a、戻り管100bとが省略されていると共に、第2給湯管部50bも省略されている。結果として、貯湯式給湯機130Cは、シャワー160への給湯機能は有しているものの浴槽150への給湯機能および浴水150a(図6参照)の追焚き機能は有していない。図8に示す構成部材のうちで図7に示した構成部材と共通するものについては、図7で用いた参照符号と同じ参照符号を付してその説明を省略する。
【0055】
図7または図8に示した貯湯式給湯機130B,130Cのように、図6に示した貯湯式給湯機130Aでは、実施の形態1で説明した貯湯式給湯機120A(図2参照)におけるのと同様に、ヒートポンプユニット1および給湯機本体80Bそれぞれの構成を変更することなくユーザのニーズに応じて機能変更することが容易である。
【0056】
以上、本発明の貯湯式給湯機について実施の形態を挙げて説明したが、前述のように、本発明は上述の形態に限定されるものではない。本発明の貯湯式給湯機は、貯湯タンクを第1ユニットケースに収容すると共に該第1ユニットケースを支持脚により設置面の上方に支持し、第1ユニットケースと設置面との間の空間に所望の機能部品または配管を配置した構成を有するものであれば基本的によく、当該構成を除いた残りの構成は適宜選定可能である。例えば、本発明の貯湯式給湯機を構成する熱源機としては、ヒートポンプユニットの他に、ガス燃焼装置や貯湯タンク内に配置されるヒータ等を用いることも可能である。勿論、第1ユニットケースにどのような機能部品および配管を収納するかについては適宜選定可能であり、第1ユニットケースと設置面との間の空間にどのような機能部品や配管を配置するかについても適宜選定可能である。
【0057】
また、本発明の貯湯式給湯機による給湯先を何処にするかについても、適宜選定可能である。例えば、シャワーの他に台所や洗面所の給湯栓を給湯先とすることもできる。また、本発明の貯湯式給湯機に負荷側熱交換器を設ける場合、該負荷側熱交換器は、浴槽以外の外部負荷設備、例えば温水暖房設備で用いられて温度低下した湯を加温するのに用いることもできる。給湯先の給湯栓や外部負荷設備は、本発明における必須の構成要素ではなく、任意の構成要素とすることができる。本発明の貯湯式給湯機については、上述した以外にも種々の変形、修飾、組み合わせ等が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、家庭用または業務用の貯湯式給湯機に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の貯湯式給湯機の一例を概略的に示す外観図である。
【図2】図1に示した貯湯式給湯機の構成を示す概略図である。
【図3−1】図1および図2に示した貯湯式給湯機での給湯機本体と機能ユニットそれぞれの平面配の一例を概略的に示す平面図である。
【図3−2】図1および図2に示した貯湯式給湯機での第1ユニットケースの下方に空間がないとしたときに必要となる設置スペースの増加分の一例を示す概念図である。
【図4】図2に示した貯湯式給湯機を機能変更することで得られる貯湯式給湯機の一例を示す概略図である。
【図5】図2に示した貯湯式給湯機を機能変更することで得られる貯湯式給湯機の他の例を示す概略図である。
【図6】本発明の貯湯式給湯機のうちで給湯管路に配置される機能部品を機能ユニットに収容させたもの一構成例を示す概略図である。
【図7】図6に示した貯湯式給湯機を機能変更することで得られる貯湯式給湯機の一例を示す概略図である。
【図8】図6に示した貯湯式給湯機を機能変更することで得られる貯湯式給湯機の他の例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0060】
1 ヒートポンプユニット(熱源機)
10 貯湯タンク
20 給水管路
30 沸上げ用循環管路
43a 第1湯水混合弁
43b 第2湯水混合弁
50 給湯管路
50a 第1給湯管部
50b 第2給湯管部
50c 第3給湯管部
65 熱源用循環ポンプ
70 熱源用循環管路
80A,80B 給湯機本体
90 負荷側熱交換器
93 負荷側循環ポンプ
100 負荷側循環管路
110A,110B 機能ユニット
120A,120B,120C,130A,130B,130C 貯湯式給湯機
150 浴槽
150a 浴水
160 シャワー
UC1 第1ユニットケース
UC2 第2ユニットケース
1〜L3 支持脚
IS 設置面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯湯タンクに給水管路から給水し、前記貯湯タンクから取水した水を熱源機で湯に沸き上げて前記貯湯タンクに貯留し、該貯湯タンクに貯留した湯を給湯管路により所定の給湯先に供給する貯湯式給湯機であって、
前記貯湯タンクを収容した第1ユニットケースと、
該第1ユニットケースを設置面の上方に支持する支持脚と、
を備えていることを特徴とする貯湯式給湯機。
【請求項2】
前記第1ユニットケースの下方に配置された負荷側熱交換器と、
前記貯湯タンクの上部から前記第1ユニットケースの底を通って前記負荷側熱交換器に達した後に、該負荷側熱交換器から前記第1ユニットケースの底を通って前記貯湯タンクの下部に戻る熱源用循環管路と、
湯を用いる外部負荷設備から前記負荷側熱交換器を経由して前記外部負荷設備に戻る負荷側循環管路と、
を更に備え、
前記熱源用循環管路は熱源用循環ポンプを含み、
前記負荷側循環管路は負荷側循環ポンプを含み、
前記負荷側熱交換器、前記熱源用循環ポンプ、および前記負荷側循環ポンプは、前記第1ユニットケースの下方に配置された第2ユニットケースに収容されて機能ユニットを構成している、
ことを特徴とする請求項1に記載の貯湯式給湯機。
【請求項3】
前記給湯管路の途中に設けられて該給湯管路に前記給水管路を合流させる湯水混合弁を更に備え、
該湯水混合弁は、前記第2ユニットケースに収容されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の貯湯式給湯機。
【請求項4】
前記給湯管路は、前記第1ユニットケースの底から該第1ユニットケースの下方に引き出されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の貯湯式給湯機。
【請求項5】
前記給湯管路は、前記貯湯タンクに貯留した湯を浴槽に供給する浴槽用給湯管部を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の貯湯式給湯機。

【図1】
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【図2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−287892(P2009−287892A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−143364(P2008−143364)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】