説明

貯留物掻き均し装置

【課題】貯留槽への貯留効率の向上を図って、車両への積み込み効率を高める。
【解決手段】貯留槽3の上部を往復動されてその貯留槽3内に堆積された貯留物2を均す均し板本体16bと、この均し板本体16bを往復駆動する電動機とを備える。また、均し板本体16bをテーパ状の断面形状に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯留槽内に山状に堆積された貯留物を掻き均す貯留物掻き均し装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、一般廃棄物の中で不燃ごみとして収集されたごみは、所定の大きさに破砕され、磁力選別により鉄類が回収された後、篩い分けによって粒径の細かいものは不燃物として埋立処理され、粒径の大きいものは、非鉄金属選別機によってアルミ等の非鉄金属類が回収された後、その残渣が可燃物として回収されて焼却処理される。
【0003】
ここで、鉄類および非鉄金属類の回収並びに不燃物の処理を行う際、被処理物はそれぞれホッパ(貯留槽)内に一旦貯留された後、このホッパ下部からトラック等の搬出車両上に排出・積載されて所要箇所に運搬される。
【0004】
ところで、この種の被処理物(以下、「貯留物」という。)をトラックにて搬出する場合、作業効率および運搬効率向上のために、大型トラック(例えば10トン車)が用いられるとともに、この大型トラックの荷台に合わせた大きさの貯留槽が用いられる。
【0005】
図4(a)には、従来装置における貯留物の貯留槽への貯留状態を示す断面図が示されている。この従来装置では、トラック50の荷台51の大きさに応じた長さと幅とを有する貯留槽52が設けられるとともに、この貯留槽52の中央部上方に貯留物53を投入するためのシュート54が配され、このシュート54から貯留槽52内に所要量の貯留物53を投入した後、貯留槽52の下部のゲートを開いてその貯留槽52内の貯留物53を荷台51上に積み込むようにされている。
【0006】
一方、貯留槽52内の貯留効率を高めるために、図4(b)に示されるように、貯留物53を投入するためのシュートを、トラック50の前後方向に第1シュート54Aおよび第2シュート54Bに分岐させ、これら2つのシュート54A,54Bから同時に貯留槽52内に貯留物53を投入することも行われている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図4(a)に示される装置においては、貯留物53が固形物である関係上、この貯留物53が貯留槽52内に落下投入された際に、平坦状とはならずに、中央部の投入箇所を中心に山形になって堆積し易く、貯留槽52内に無駄なスペースが生じ、貯留効率の低下およびトラック50への積み込み効率の低下を招くという問題点がある。
【0008】
また、図4(b)に示される装置では、図4(a)に示されるものに比べて、トラック50の荷台51の前後方向に貯留物53が分散されるものの、やはり投入箇所を中心に山形になるのを避けることができない。また、このようにシュートを2つに分岐させるようにした場合には、排出装置側の構造が複雑化、大型化してしまうという問題点もある。
【0009】
本発明は、このような問題点を解消するためになされたもので、貯留槽への貯留効率の向上を図って、車両への積み込み効率を高めることのできる貯留物掻き均し装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本発明による貯留物掻き均し装置は、
貯留槽内に山状に堆積された貯留物を掻き均す掻き均し装置において、
前記貯留槽の上部を往復動されてその貯留槽内に堆積された貯留物を均す均し板と、この均し板を往復駆動する駆動手段とを備え、前記均し板が、テーパ状の断面形状に形成されていることを特徴とするものである(第1発明)。
【0011】
本発明において、前記駆動手段は、電動機と、この電動機によって駆動される左右一対のエンドレスチェーンとを備え、前記均し板は、左右のエンドレスチェーンの駆動方向に略直交する向きに配されるのが好ましい(第2発明)。
【0012】
ここで、前記貯留槽内の山状の貯留物の頂部を検出する第1レベルセンサと、この第1レベルセンサの検出信号により前記電動機の駆動および停止を制御する制御手段とが設けられるのが好ましい(第3発明)。
【0013】
また、前記貯留槽内の貯留物が満杯状態にあることを検出する第2レベルセンサと、この第2レベルセンサの検出信号により貯留物の満杯状態を表示する表示手段とが設けられるのが好ましい(第4発明)。
【0014】
本発明においてはまた、前記均し板の可動範囲を検出する位置センサと、この位置センサの検出信号により前記電動機の駆動を制御する制御手段とが設けられるのが良い(第5発明)。
【0015】
さらに、前記均し板の可動範囲を設定するタイマーと、このタイマーからの指令信号により前記電動機の駆動を制御する制御手段とが設けられるのが良い(第6発明)。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、貯留物が貯留槽内に山状に堆積されても、貯留槽の上部を往復動される均し板によって貯留物の山状部が押圧され、これによって貯留物が均一に掻き均される。また、その均し板による貯留物の押圧時に、この均し板がテーパ状の断面形状に形成されているので、この均し板の移動時に貯留物との接触による負荷を軽減することができて掻き均し作業をスムーズに行うことができる。この結果、貯留槽への貯留物の貯留効率の向上を図ることができ、車両への積み込み効率を高めることができる。
【0017】
また、第2発明の構成を採用することにより、構造の簡素化を図ることができる。さらに、第3発明のような第1レベルセンサを設けることで、この第1レベルセンサによって均し板の起動および停止動作を自動化することができ、安定した掻き均し作業を確実に行うことができる。また、第4発明のような第2レベルセンサを設けることで、貯留物が満杯状態になったことが検出でき、貯留物の供給停止もしくは他の貯留槽への切り換え操作等を確実に行うことができる。
【0018】
また、第5発明もしくは第6発明によれば、均し板の往復動作を自動化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に、本発明による貯留物掻き均し装置の具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0020】
図1には、本発明の一実施形態に係る貯留物掻き均し装置の断面図(a)、(a)のA−A断面図(b)および(b)のB部拡大図(c)が示されている。また、図2には、本実施形態の貯留物掻き均し装置の部分斜視図が示されている。本実施形態は、不燃ごみとして収集されたごみから選別・回収された鉄類および非鉄金属類等の被処理物をトラック上に積載して所要箇所に運搬するシステムに適用された例を示すものである。
【0021】
本実施形態の貯留物掻き均し装置1は、図1に示されるように、被処理物(以下、「貯留物」という。)2を貯留する貯留槽3の上部に配されている。この貯留槽3の中央部上方にはシュート4が配され、このシュート4を介して貯留物2が貯留槽3内に投入されるようになっている。ここで、貯留槽3は、その長さおよび幅が大型(10トン)トラック5の荷台5aに対してやや短めに形成されるとともに、貯留容積がその荷台5aの積載可能容積と略同等か、やや小さめになるようにその大きさが設定されている。
【0022】
前記貯留槽3は、上部が開放されるとともに、下部に油圧シリンダにて操作される観音開き式の可動ゲート6,7を有しており、この貯留槽3内に満杯状態に貯留された貯留物2は、可動ゲート6,7が開作動されることで一度にトラック5の荷台5aに積載されるようになっている。
【0023】
図2に示されるように、前記貯留物掻き均し装置1は、互いに平行に配される一対のエンドレスチェーン8,9と、これらエンドレスチェーン8,9を同期駆動させるように、それぞれの駆動スプロケット10,11に固着される駆動軸12と、従動スプロケット13,14(図2には図示せず)に固着される従動軸と、前記駆動軸12を駆動する電動機(モータ)15と、左右のエンドレスチェーン8,9の下面にそれらエンドレスチェーン8,9の駆動方向と略直交する向きに取り付けられる均し板16とを備えている。この均し板16は、エンドレスチェーン8,9の下面に固着される取付板16aと、この取付板16aの下面中央部に固着される三角筒形状(テーパ状の断面形状)の均し板本体16bとにより構成されている。このように均し板本体16bがテーパ状の断面形状に形成されていることにより、平板形状のものに比べて、均し板16が移動する際に貯留物2との接触抵抗を軽減することができ、掻き均し作業をスムーズに行うことが可能となる。
【0024】
このような構成の貯留物掻き均し装置1は、各エンドレスチェーン8,9が貯留槽3の上部側方に配されるように、かつ駆動スプロケット10,11および従動スプロケット13,14が貯留槽3の端壁の外側に位置するようにその貯留槽3に対して設置される。ここで、貯留槽3の両側壁には、均し板16の可動範囲に亘ってスリット17,18が設けられており、これらスリット17,18に前記均し板16の取付板16aが挿通されて移動できるようにされている。
【0025】
前記貯留物掻き均し装置1には、貯留槽3内の貯留物2の貯留状態を検出するために、マイクロ波センサで構成される2種類のレベルセンサ19,20が付設されている。
【0026】
その一つは、シュート4の直下位置であって、前記均し板本体16bの通過位置と略同じ高さ位置に配される第1レベルセンサ19である。この第1レベルセンサ19は、互いに対向位置にある送信部と受信部とにより構成される一対のセンサであって、図1(c)に示されるように、貯留槽3の両側壁の一部に部分的に配されるマイクロ波透過部(ポリフッ化エチレンで形成されるのが好ましい。)21の外側に設けられて、貯留槽3の中央部に山状に形成された貯留物2の頂部を検出するように構成されている。この第1レベルセンサ19からの検出信号は図示されないコントローラ(制御手段)に入力される。コントローラでは、この入力信号に基づいて駆動軸12を駆動する電動機15に指令信号が出力され、これによって電動機15の駆動および停止が制御される。
【0027】
他の一つのレベルセンサは、貯留槽3の一端部近傍であって、前記均し板本体16bの通過位置のやや下方位置に配される第2レベルセンサ20である。この第2レベルセンサ20は、第1レベルセンサ19と同様、互いに対向位置にある送信部と受信部とにより構成される一対のセンサであって、やはり貯留槽3のマイクロ波透過部の外側に設けられて、貯留槽3の端部における貯留物2の頂部を検出するように構成されている。この第2レベルセンサ20からの検出信号はコントローラに入力され、コントローラでは、この入力信号に基づいて図示されない警報ランプ等の表示部(表示手段)に指令信号が出力される。こうして、第2レベルセンサ20によって貯留槽3の満杯状態が検出され、その検出信号がオペレータに報知される。
【0028】
また、前記電動機15には、駆動軸12の回転数(回転角度)を検出するエンコーダ(位置センサ)が付設され、この検出信号もコントローラに入力される。コントローラでは、この入力信号に基づいて均し板16が貯留槽3の端部位置に来たことを判断し、電動機15に指令信号を送って電動機15を逆回転方向に駆動する。なお、均し板16の可動範囲を制限する位置センサとしては、上記エンコーダ以外にも、均し板16の位置を直接検知するセンサや、エンドレスチェーン8,9の位置を検知するセンサ等を用いることができる。
【0029】
本実施形態の貯留物掻き均し装置1においては、可動ゲート6,7が閉じた状態で、前工程から送られてくる貯留物2がシュート4を介して貯留槽3内に投入され、堆積・貯留される。この貯留物2が山状に堆積され、その山状の頂部が第1レベルセンサ19により検出されると、電動機15が起動され、エンドレスチェーン8,9が一方向に駆動される。これにより、エンドレスチェーン8,9に固着された均し板16の均し板本体16bによって貯留物2の頂部が押圧され、これによって貯留物2の掻き均し作業が行われる。この掻き均し作業は、前記エンコーダによって均し板16が可動範囲内で往復動されることにより繰り返し行われる。なお、第1レベルセンサ19により貯留物2が検出されなくなると、電動機15は所定位置で停止される。
【0030】
このような貯留物2のシュート4からの投入動作と、均し板16による貯留槽3内の貯留物2の掻き均し動作とが連続して行われた結果、第2レベルセンサ20によって貯留物2の頂部が検出されると、図3に示されるように、貯留槽3内の貯留物2が満杯状態になったと判定され、警報ランプによってオペレータに報知される。これにより、オペレータはシュート4を隣接する他の貯留槽の側に切り換えるか、あるいは貯留槽3への投入動作を停止させる等の手段を講じる。
【0031】
この後、貯留槽3の可動ゲート6,7を開操作することにより、この貯留槽3内に貯留された貯留物2を一度にトラック5の荷台5aに排出し、その荷台5a上にトラック1台分の荷を積み込む。なお、荷を積んだトラック5は所要箇所までその荷を搬送する。また、貯留槽2内は空になっているので、再度可動ゲート6,7を閉じて次の貯留に備えるとともに、新たな空荷のトラックを貯留槽3の下方の所定位置に待機させる。
【0032】
本実施形態では、第2レベルセンサ20によって貯留槽3の満杯状態が検出されたとき、警報ランプによってオペレータに報知するように構成したが、この報知とともに、シュート4の切り換え操作、もしくは貯留槽3への投入動作の停止操作を自動的に行わせるようにすることもできる。
【0033】
また、本実施形態では、均し板16の可動範囲を位置センサを用いて制限するようにしたが、タイマーにより設定された時間間隔で均し板16を往復動させるようにしても良い。
【0034】
本実施形態においては、均し板本体16bを三角筒形状に形成したものを説明したが、この均し板本体の形状としては、先端部がテーパ状に尖った形状であれば、例えば五角筒形状等であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施形態に係る貯留物掻き均し装置の断面図(a)、(a)のA−A断面図(b)および(b)のB部拡大図(c)
【図2】本実施形態の貯留物掻き均し装置の部分斜視図
【図3】貯留槽が満杯状態にあることを示す断面図(a)および(a)のA−A断面図(b)
【図4】従来装置における貯留物の貯留槽への貯留状態を示す断面図
【符号の説明】
【0036】
1 貯留物掻き均し装置
2 貯留物
3 貯留槽
4 シュート
5 トラック
6,7 可動ゲート
8,9 エンドレスチェーン
15 電動機
16 均し板
17,18 スリット
19 第1レベルセンサ
20 第2レベルセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯留槽内に山状に堆積された貯留物を掻き均す掻き均し装置において、
前記貯留槽の上部を往復動されてその貯留槽内に堆積された貯留物を均す均し板と、この均し板を往復駆動する駆動手段とを備え、前記均し板が、テーパ状の断面形状に形成されていることを特徴とする貯留物掻き均し装置。
【請求項2】
前記駆動手段は、電動機と、この電動機によって駆動される左右一対のエンドレスチェーンとを備え、前記均し板は、左右のエンドレスチェーンの駆動方向に略直交する向きに配される請求項1に記載の貯留物掻き均し装置。
【請求項3】
前記貯留槽内の山状の貯留物の頂部を検出する第1レベルセンサと、この第1レベルセンサの検出信号により前記電動機の駆動および停止を制御する制御手段とが設けられる請求項2に記載の貯留物掻き均し装置。
【請求項4】
前記貯留槽内の貯留物が満杯状態にあることを検出する第2レベルセンサと、この第2レベルセンサの検出信号により貯留物の満杯状態を表示する表示手段とが設けられる請求項1または2に記載の貯留物掻き均し装置。
【請求項5】
前記均し板の可動範囲を検出する位置センサと、この位置センサの検出信号により前記電動機の駆動を制御する制御手段とが設けられる請求項1または2に記載の貯留物掻き均し装置。
【請求項6】
前記均し板の可動範囲を設定するタイマーと、このタイマーからの指令信号により前記電動機の駆動を制御する制御手段とが設けられる請求項1または2に記載の貯留物掻き均し装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−273536(P2006−273536A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−97387(P2005−97387)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(000133032)株式会社タクマ (308)
【Fターム(参考)】