説明

貸出物管理装置

【課題】 貸出物の貸出/返却業務において、貸出物に設けられたRFタグに記憶されている識別情報の読み取りが成功したか否かを、係員に特段の負担をかけることなく行えるようにする。
【解決手段】 載置面上に載置された書籍等の貸出物が有するRFタグに対してRFタグリーダライタによって読み取り動作を実行し(ステップS3)、RFタグから正常に識別情報を読み取った貸出物の重量を各貸出物の重量を予め記憶している記憶部から読み出してそれらの合計を求め(ステップS4)、求めた貸出物の合計重量と秤装置が実際に測定した貸出物の合計重量とに基づいて、載置面上の貸出物に対する識別情報の読み取りの成否を判定し(ステップS5)、判定結果を報知する(ステップS7,S9)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、図書館等で使用される貸出物管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図書館やレンタルビデオ店等に対してRFID(Radio Frequency Identification)の技術を用いて書籍やビデオなどの貸出物の貸出/返却業務を行う技術が提案されている。即ち、貸出物を識別する識別情報が記憶されたRFタグを各貸出物に取り付け、貸出/返却カウンタにRFタグリーダライタ付きの貸出物管理装置を設置する。RFタグリーダライタのアンテナは、例えばカウンタ上に埋設されている。そして、貸出物の貸出/返却にあたって、アンテナの上に貸出物が載置されると、RFタグリーダライタによって貸出物に取り付けられた貸出物の識別情報が読み取られ、読み取られた識別情報に対応する貸出物の貸出処理や返却処理が貸出物管理装置によって実行される。
【0003】
このようにRFIDを使用することによって、RFタグリーダライタのアンテナ上に複数の貸出物を載置することにより識別情報の読み取りがまとめて行なわれるので、例えば各貸出物に対してスキャニング操作を行わなければならないバーコードシステムに比べて、操作者の手間が軽減される。
【0004】
【特許文献1】特開2003−216744公報
【特許文献2】特許第3193612号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数の貸出物を重ねてアンテナの上に載置した場合、幾つかの貸出物に設けられたRFタグに対するRFタグリーダライタによる読み取りが失敗することがある。また、RFタグが故障している場合には、RFタグリーダライタによる読み取りをするこができない。このようにRFタグに対する読み取りがなされなかった貸出物に対しては、このままでは、貸出処理や返却処理がなされないという問題がある。そこで、これを防止するために、読み取られたデータの個数と係員が数えた貸出/返却を行う貸出物の個数とを比較して、全ての貸出物のデータが読み取られたかを確認している。
【0006】
しかしながら、この場合には、係員が貸出/返却対象の貸出物の個数を数えて確認しなければならないので、係員の負担が大きいという問題がある。
【0007】
特許文献2に記載された自動物品貸出管理システムでは、自動で書籍の貸出を行う技術が開示されている。このシステムでは、書籍の貸出時において、顧客は物品貸出装置に書籍を1冊単位で投入する。これにより、自動貸出装置が書籍の重量又は高さを測定し、さらに、書籍の予め記憶された重量又は高さを書籍に付されたバーコードに基づいて検索し、測定した重量又は高さと比較し、書籍の厚さ又は高さが正常か否かを判断する。これにより、顧客が書籍を2冊以上重ねて投入するなどの不正行為を検出している。この特許文献2に記載のされた技術は、書籍の不正持ち出しの防止を課題としており、これまで述べた本発明が解決しようとする問題を解決するものではない。また、複数の書籍の貸出/返品処理を一括処理することができない。
【0008】
本発明の目的は、貸出物の貸出/返却業務において、貸出物に設けられたRFタグに記憶されている識別情報の読み取りが成功したか否かを、係員に特段の負担をかけることなく行えるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、載置面に載置された貸出物の重量を測定する秤装置と、前記載置面上の前記貸出物に設けられたRFタグに記憶された当該貸出物の識別情報を読み取る無線通信装置と、この無線通信装置によって前記識別情報が読み取られた前記貸出物の重量を各貸出物の重量を予め記憶している記憶部から読み出して、前記貸出物の合計重量を求める重量求め手段と、この重量求め手段が求めた前記貸出物の合計重量と前記秤装置が測定した前記貸出物の合計重量とに基づいて、前記載置面に載置されている前記貸出物に対する前記識別情報の読み取りの成否を判定する判定手段と、この判定手段の判定結果を報知する報知手段と、を備える。
【0010】
本発明は、載置面に載置された貸出物の重量を測定する秤装置と、前記載置面上の前記貸出物に設けられたRFタグに記憶された当該貸出物の識別情報と当該貸出物の重量とを読み取る無線通信装置と、この無線通信装置によって読み取られた重量の合計を求める重量求め手段と、この重量求め手段が求めた前記貸出物の合計重量と前記秤装置が測定した前記貸出物の合計重量とに基づいて、前記載置面に載置されている前記貸出物に対する前記識別情報の読み取りの成否を判定する判定手段と、この判定手段の判定結果を報知する報知手段と、を備える。
【0011】
本発明は、載置面に載置された貸出物の重量を測定する秤装置と、前記載置面上の前記貸出物に設けられたRFタグに記憶された当該貸出物の識別情報を読み取る無線通信装置と、この無線通信装置によって前記識別情報が読み取られた前記貸出物の厚さを各貸出物の厚さを予め記憶している記憶部から読み出して、前記貸出物の合計厚さを求める厚さ求め手段と、この厚さ求め手段が求めた前記貸出物の合計厚さと前記厚さ測定装置が測定した前記貸出物の合計厚さとに基づいて、前記載置面に載置されている前記貸出物に対する前記識別情報の読み取りの成否を判定する判定手段と、この判定手段の判定結果を報知する報知手段と、を備える。
【0012】
本発明は、載置面に載置された貸出物の厚さを測定する厚さ測定装置と、前記載置面上の前記貸出物に設けられたRFタグに記憶された当該貸出物の識別情報と当該貸出物の厚さとを読み取る無線通信装置と、この無線通信装置によって読み取られた厚さの合計を求める厚さ求め手段と、この厚さ求め手段が求めた前記貸出物の合計厚さと前記厚さ測定装置が測定した前記貸出物の合計厚さとに基づいて、前記載置面に載置されている前記貸出物に対する前記識別情報の読み取りの成否を判定する判定手段と、この判定手段の判定結果を報知する報知手段と、を備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、貸出物の貸出/返却業務において、貸出物に設けられたRFタグに記憶されている識別情報の読み取りが成功したか否かを、係員に特段の負担をかけることなく行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の第1の実施の形態を図1ないし図7に基づいて説明する。本実施の形態は、図書館で使用される貸出物管理装置への適用例を示す。
【0015】
図1は本実施の形態の貸出物管理装置1を概略的に示す正面図である。貸出物管理装置1は、図書館内の貸出/返却カウンタ2に設置され、貸出物である書籍100に設けられたRFタグ101(図2参照)との間でデータ通信を行って書籍100の貸出/返却処理を行うものである。このような貸出物管理装置1は、タッチパネル3が表面に設けられた表示器4、秤装置5、RFタグリーダライタ6等から構成されている。
【0016】
表示器4及びタッチパネル3は、表示器4に表示されるキーイメージ等とタッチパネル3の座標との位置関係の同期をとることによって、キーボードと同様の入力装置としての機能を奏して、操作者の操作を受け付ける。
【0017】
秤装置5は、載置台7、この載置台7に連結された図示しないロードセルユニットなどから構成されている。載置台7の上面には、貸出物である書籍100が載置される載置面7aが形成されている。秤装置5は、載置面7aに載置された書籍100の重量をロードセルユニットを用いて計量して出力する。
【0018】
RFタグリーダライタ6は、載置面7aに載置された書籍100に向けてアンテナ8から電磁波を放射して書籍100に設けられたRFタグ101に対して情報の読み書き動作を実行する。アンテナ8は、3つ設けられており、1つは載置台7に内蔵され一体化された平置き型アンテナ8a、他の2つは秤装置5の両側に設置された縦置き型アンテナ8bである。なお、アンテナ8は、3つ全てを設けなくてもよく、RFタグ101の種類や書籍100への取り付け場所によって、適当な位置にアンテナ8を設けてよい。RFタグリーダライタ6のRFタグ101に対する読み書き方式としては、電磁結合方式、電磁誘導方式、マイクロ波方式等の各種方式を採用可能である。
【0019】
図2は貸出物管理装置1が備える各部の電気的な接続を示すブロック図である。貸出物管理装置1は、マイクロコンピュータ(以下、マイコンという)10を備えている。このマイコン10は、各部の駆動制御や各種演算を行なうCPU(Central Processing Unit)11に、バスライン12を介して、起動プログラム等の固定的データを予め記憶するROM(Read Only Memory)13、各種データを書き換え自在に記憶するワークエリア等として機能するRAM(Random Access Memory)14とが接続されて構成されている。マイコン10には、バスライン12及びI/O機器制御部15を介して、前述したタッチパネル3、表示器4、秤装置5、RFタグリーダライタ6とともに、ブザー16が接続されている。さらに、マイコン10には、バスライン12を介してHDD(Hard Disk Drive)17が接続されている。HDD17には、マイコン10を動作させるコンピュータプログラムの他、貸出物管理ファイルF1が記憶されている。
【0020】
図3は貸出物管理ファイルF1のファイル構造を模式的に示す説明図である。貸出物管理ファイルF1には、書籍100毎に、書籍100に関する情報が記憶されている。具体的には、書籍100を識別する識別情報である書籍番号、書籍名、重量、貸出状態などが記憶されている。
【0021】
HDD17に記憶されたコンピュータプログラム等は、貸出物管理装置1の起動時にRAM14にコピーされ、これによってマイコン10による各部の駆動制御及び各種演算が可能な状態となる。貸出物管理装置1では、起動されると、マイコン10が表示器4に図4に示すような業務選択画面G1を表示させる。業務選択画面G1には、貸出キー18や返却キー19などが表示される。
【0022】
図5は書籍100に取り付けられているRFタグ101を概略的に示すブロック図である。RFタグ101は、CPU102やメモリ部103から構成されるICチップ104とアンテナ105とを備え、RFタグリーダライタ6に対して無線でデータ通信可能に構成されている。メモリ部103は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)などの不揮発性メモリなどから構成され、RFタグ101が設けられた書籍100の書籍番号が記憶されている。なお、書籍番号は、RFタグ101に割り当てられたRFタグ101のID番号をそのまま用いても良い。RFタグ101は、RFタグリーダライタ6から電磁波によって供給される電力によって駆動する無電源型である。
【0023】
図6は貸出物管理装置1のマイコン10がコンピュータプログラムに従って実行する貸出物管理処理を示すフローチャートである。貸出管理処理を係員が行う操作とともに説明する。
【0024】
貸出物管理処理における書籍100の貸出処理や返却処理を実行させるには、まず、係員は、利用者から貸出や返却対象の書籍100を受け取り、載置面7aの上に積み重ねて置く。書籍100が複数冊の場合には、載置面7aの上に積み重ねて置く。なお、載置面7aへの書籍100の載置は、利用者が行っても良い。そして、貸出の場合には、業務選択画面G1に表示されている貸出キー18をタッチする。返却の場合には、返却キー19をタッチする。
【0025】
マイコン10は、貸出キー18や返却キー19がタッチされたことをタッチパネル3からの信号入力によって検出した場合には(ステップS1のY)、タッチされたキーをRAM14に記憶させるとともに、秤装置5を駆動して載置面7a上に載置された書籍100の合計重量(以後、実合計重量とも言う)を測定する(ステップS2)。測定した実合計重量は、RAM14に記憶させる。
【0026】
次に、RFタグリーダライタ6を駆動して各書籍100に設けられているRFタグ101に対して情報の読み取り動作を実行する(ステップS3)。この読み取り動作は、規定時間だけ行われる。そして、RFタグリーダライタ6が読み取った各RFタグ101の情報に含まれる書籍100の書籍番号をRAM14に記憶する。
【0027】
次に、RFタグリーダライタ6によるRFタグ101に対する読み取りが成功した書籍100の合計重量(以後、成功合計重量とも言う)を求める(ステップS4)。成功合計重量は、各RFタグ101から読み取った情報に含まれる書籍番号に対応する書籍100の重量を貸出物管理ファイルF1を検索して取得し、取得した各重量を合計することにより求められる。そして、この成功合計重量をRAM14に記憶させる。ここに、ステップS4によって、無線通信装置によって識別情報が読み取られた貸出物の重量を各貸出物の重量を予め記憶している記憶部から読み出して、貸出物の合計重量を求める重量求め手段の機能が実行される。
【0028】
次に、全ての書籍100のRFタグ101に対する書籍番号の読み取りが成功したか否かを判定する(ステップS5)。具体的には、まず、ステップS2で測定しRAM14に記憶させた書籍100の実合計重量と、ステップS4で求めRAM14に記憶させた書籍100の成功合計重量とが一致しているか否かを比較する。このとき、実合計重量と成功合計重量との差が予め設定された規定値以内であれば、実合計重量と成功合計重量とは一致しているとみなし、規定値を超えている場合には不一致とみなす。この規定値は、書籍100の経時変化による書籍100の重量変化を考慮した値であり、例えば重さや割合(例えば記憶した重量の5%)などで設定できる。そして、全ての書籍100のRFタグ101に対するよる読み取りが成功しているならば実合計重量と成功合計重量とが一致する。よって、実合計重量と成功合計重量とが一致した場合には、全ての書籍100のRFタグ101に対して読み取りが成功したと判定する。一方、読み取りに失敗したRFタグ101があるならば実合計重量のほうが成功合計重量よりも重くなり、実合計重量と成功合計重量とが一致しない。よって、実合計重量と成功合計重量とが不一致の場合には、読み取りに失敗したRFタグ101があると判定する。このとき、実合計重量と成功合計重量との差をRAM14に記憶させる。ここに、ステップS5によって、重量求め手段が求めた貸出物の合計重量と秤装置5が測定した貸出物の合計重量とに基づいて、載置面7aに載置されている貸出物に対する識別情報の読み取りの成否を判定する判定手段の機能が実行される。
【0029】
そして、実合計重量と成功合計重量とが一致し、全ての書籍100のRFタグ101に記憶されている書籍番号の読み取りが成功したと判定した場合には(ステップS6のY)、ブザー16により成功音を出力して成功を報知し(ステップS7)、報知貸出/返却処理を実行する(ステップS8)。ステップS1において貸出キー18がタッチされていた場合には、貸出処理を実行し、返却キー19がタッチされていた場合には、返却処理を実行する。これらの判断は、前述したようにタッチされたキーがRAM14に記憶されているので、RAM14を参照することにより可能である。
【0030】
貸出処理及び返却処理を簡単に説明する。まず、係員は、利用者に利用者カード(図示せず)の提示を求める。利用者カードは、利用者を識別するための利用者番号が記憶されているRFタグが設けられたカードであり、図書館が利用者に発行している。係員は、利用者カードをRFタグリーダライタ6のアンテナ8に近づける。これによりRFタグリーダライタ6によって利用者カードのRFタグに記憶されている利用者番号が読み取られる。そして、ステップS3で書籍番号を読み取った書籍100に対して、貸出物管理ファイルF1の貸出状態を貸出中にする。これは、貸出物管理ファイルF1の貸出状態を記憶するエリアに、利用者番号を記憶させることにより実現される。
【0031】
返却処理では、ステップS3で書籍番号を読み取った書籍100に対して、貸出物管理ファイルF1の貸出状態を返却済み、即ち、貸出可能とする。これは、貸出物管理ファイルF1の貸出状態を記憶するエリアに記憶されている利用者番号を消去することにより実現される。
【0032】
次に、ステップS5の判定において、実合計重量と成功合計重量とが不一致であり、書籍番号の読み取りに失敗したRFタグ101があると判定した場合には(ステップS6のN)、図7に示すような読取失敗報知画面G2を表示器4に表示させるとともに、ブザー16から警告音を出力する(ステップS9)。読取失敗報知画面G2は、RFタグ101に記憶された書籍番号の読み取りに失敗した書籍100が存在する旨を報知する画面であり、書籍番号の読み取りに成功した書籍100の書籍番号と書籍名が表示されるとともに、実合計重量と成功合計重量との重量差が不一致量として表示される。ここに、ステップS7及びS9により、判定手段の判定結果を報知する報知手段の機能が実行される。
【0033】
このように本実施の形態では、書籍100に設けられたRFタグ101に記憶されている識別情報の読み取りが成功したか否かが自動的判定され、その判定結果が報知されるので、書籍100の貸出/返却業務において、書籍100に設けられたRFタグ101に記憶されている書籍番号の読み取りが成功したか否かの判定のために、従来のように係員が書籍100の冊数を数えてその冊数を入力する必要が無いので、係員に特段の負担をかけることがない。
【0034】
また、本実施の形態では、書籍100の書籍番号の読み取りチェックをするために書籍100の重量が用いられていることにより、載置面7a上での書籍100の置き方が測定のために特に限定されることがない。
【0035】
また、本実施の形態では、書籍100の重量がHDD17にデータベース化されて記憶されているので、書籍100の重量データの管理が容易である。
【0036】
また、本実施の形態においては、判定手段は、重量求め手段が求めた貸出物である書籍100の合計重量と秤装置5が測定した書籍100の合計重量との差が規定値を超えた場合、識別情報である書籍番号の読み取りに失敗した書籍100があると判定することにより、経時変化による書籍100の重量変動を考慮することができる。
【0037】
なお、本実施の形態においては、記憶部として貸出物管理装置1が備えるHDD17を例に説明したが、これに限るものではない。例えば、記憶部は、貸出物管理装置1の外部に設けられたサーバが備える記憶装置などであってもよい。この場合には、貸出物管理装置1にサーバとのデータ通信を可能とする通信装置を設ければよい。
【0038】
また、本実施の形態においては、貸出物管理処理のステップS9における読み取り失敗報知として、表示器4での読取失敗報知画面G2の表示と、ブザー16からの警告音の出力との両方を行う例を説明したが、これに限るものではなく、どちらか一方のみであってもよい。
【0039】
また、本実施の形態においては、無線通信装置としてRFタグリーダライタ6の例を説明したが、これに限定されるものではない。無線通信装置としては、RFタグライタであってもよい。
【0040】
また、本実施の形態においては、図書館で使用される貸出物管理装置1を例に説明したが、これに限るものではない。例えば、貸出物管理装置1としては、貸出物としてCD、DVD、ビデオテープなどを扱うレンタル店で使用される貸出物管理装置であってもよい。
【0041】
次に、本発明の第2の実施の形態を図6に基づいて説明する。なお、前述した実施の形態と同じ部分は同一符号で示し説明も省略する(以降の実施の形態も同様)。
【0042】
本実施の形態では、第1の実施の形態に対して、書籍100に設けられたRFタグ101のメモリ部103に書籍100の重量が記憶されている点と、貸出物管理処理の一部とが異なる。
【0043】
本実施の形態の貸出物管理処理では、ステップS3において、各書籍100に設けられているRFタグ101に対するRFタグリーダライタ6による情報の読み取り動作によって、書籍100の書籍番号とともに重量が読み取られ、RAM14に記憶される。そして、ステップS4では、ステップS3で読み取った重量を合計することによって、RFタグリーダライタ6によるRFタグ101に対する読み取りが成功した書籍100の合計重量(成功合計重量)を求める。ここに、ステップS4において、無無線通信装置によって読み取られた重量の合計を求める重量求め手段の機能が実行される。これら以外の処理は、第1の実施の形態と同じである。
【0044】
このような貸出物管理処理によって、本実施の形態においても第1の実施の形態と同様に、書籍100に設けられたRFタグ101に記憶されている書籍番号の読み取りが成功したか否かが自動的判定され、その判定結果が報知されるので、書籍の貸出/返却業務において、書籍に設けられたRFタグ101に記憶されている書籍情報の読み取りが成功したか否かの判定のために、係員に特段の負担をかけることがない。
【0045】
また、本実施の形態では、書籍の重量が各書籍に設けられたRFタグ101に記憶されているので、例えば、第1の実施の形態のように貸出物管理装置1のHDD17や図示しないサーバに書籍100の重量をデータベース化する必要が無いので、貸出物管理装置1やサーバの負担が軽減される。
【0046】
次に、本発明の第3の実施の形態を図8ないし図11に基づいて説明する。
【0047】
図8は本実施の形態の貸出物管理装置51を概略的に示す正面図、図9は貸出物管理装置51が備える各部の電気的な接続を示すブロック図である。
【0048】
本実施の形態は、書籍100に対する識別情報の読み取りの成否の判定に用いる要素として書籍100の重量に代えて書籍100の厚さを用いる。このため、本実施の形態の貸出物管理装置51には、図8及び図9に示すように、秤装置5に代えて、厚さ測定装置55が設けられている。これに伴い、RFタグリーダライタ6の平置き型アンテナ8aは、貸出/返却カウンタ2の上に直接配置されている。本実施の形態では、この平置き型アンテナ8aの上面が載置面8cとなる。
【0049】
厚さ測定装置55は、発光素子ユニット56と受光素子ユニット57とが平置き型アンテナ8aを間にして貸出/返却カウンタ2の上に対向配置されている。発光素子ユニット56は、複数の発光素子(図示せず)が縦方向に直線状に並べられて構成されている。発光素子としては、例えば発光ダイオードが用いられる。受光素子ユニット57は、複数の受光素子(図示せず)が縦方向に直線状に並べて構成されている。受光素子としては、例えば受光トランジスタや受光素子が用いられる。この厚さ測定装置55では、受光素子ユニット57の発光素子から受光素子ユニット57の受光素子に向けて光が出射され、載置面8c上に載置された書籍100によって光が遮られ光を受光しない受光素子に基づいて書籍100の厚さが測定される。
【0050】
図10は貸出物管理ファイルF51のファイル構造を模式的に示す説明図である。貸出物管理ファイルF51には、貸出物管理ファイルF1の書籍100の重量に代えて書籍100の厚さが記憶されている。
【0051】
図11は貸出物管理処理を示すフローチャートである。貸出物管理処理の基本的な流れは、第1の実施の形態と同様であるが、書籍100の書籍番号の読み取りチェックをするために書籍100の重さの代わりに厚さを用いた点が第1の実施の形態に対して異なる。ここで、本実施の形態では、書籍100の厚さ方向を上下方向にして書籍100を載置面8c上に積み重ねる。
【0052】
本実施の形態の貸出物管理処理では、ステップS1に続くステップS2に代えてステップS22を実行する。ステップ22では、厚さ測定装置55を駆動して載置面8c上に載置された書籍100の合計厚さ(以後、実合計厚さとも言う)を測定する。測定した実合計厚さは、RAM14に記憶させる。
【0053】
そして、ステップS3に続くステップS4に代えてステップS24を実行する。ステップS24では、RFタグリーダライタ6によるRFタグ101に対する読み取りが成功した書籍100の合計厚さ(以後、成功合計厚さとも言う)を求める。成功合計厚さは、ステップS3でRFタグリーダライタ6が各RFタグ101から読み取った情報に含まれる書籍番号に対応する書籍100の厚さを貸出物管理ファイルF51を検索して取得し、取得した各厚さを合計することにより求められる。求めた成功合計厚さは、RAM14に記憶させる。ここに、ステップS24によって、無線通信装置によって識別情報が読み取られた貸出物の厚さを各貸出物の厚さを予め記憶している記憶部から読み出して、貸出物の合計厚さを求める厚さ求め手段の機能が実行される。
【0054】
そして、全ての書籍100のRFタグ101に対する書籍番号の読み取りが成功したか否かを判定する(ステップS25)。判定方法は、基本的にはステップS5で説明した重さの場合と同様であり、まず、ステップS22で測定した書籍100の実合計厚さと、ステップS24で求めた書籍100の成功合計厚さとが一致しているか否か比較する。このとき、実合計厚さと成功合計厚さとの差が予め設定された規定値以内であれば、実合計厚さと成功合計厚さとは一致しているとみなし、規定値を超えている場合には不一致とみなす。この規定値は、書籍100の経時変化による書籍100の厚さ変化を考慮した値であり、例えば厚さや割合(例えば記憶した厚さの5%)などで設定できる。そして、全ての書籍100のRFタグ101に対するよる読み取りが成功しているならば実合計厚さと成功合計厚さとが一致する。よって、実合計厚さと成功合計厚さとが一致した場合には、全ての書籍100のRFタグ101に対して読み取りが成功したと判定する。一方、読み取りに失敗したRFタグ101があるならば実合計厚さのほうが成功合計厚さよりも厚くなり、実合計厚さと成功合計厚さとが一致しない。よって、実合計厚さと成功合計厚さとが不一致の場合には、読み取りに失敗したRFタグ101があると判定する。このとき、実合計厚さと成功合計厚さとの差をRAM14に記憶させる。ここに、ステップS25によって、厚さ求め手段が求めた貸出物の合計厚さと厚さ測定装置55が測定した貸出物の合計厚さとに基づいて、載置面8cに載置されている貸出物に対する識別情報の読み取りの成否を判定する判定手段の機能が実行される。
【0055】
そして、ステップS6以降の処理を実行する。なお、読み取りに失敗したRFタグ101があると判定した場合(ステップS6のN)に、ステップS9で表示器4に表示させる読取失敗報知画面G2に表示される不一致量は、実合計厚さと成功合計厚さとの差が表示される。
【0056】
このような構成によって、本実施の形態においても第1の実施の形態と同様に、書籍100に設けられたRFタグ101に記憶されている書籍番号の読み取りが成功したか否かが自動的判定され、その判定結果が報知されるので、書籍100の貸出/返却業務において、書籍に設けられたRFタグ101に記憶されている書籍番号の読み取りが成功したか否かの判定のために、係員に特段の負担をかけることがない。
【0057】
また、本実施の形態では、書籍100の書籍番号の読み取りチェックをするために書籍100の厚さが用いられていることにより、湿度による変化が重量に比べて少ない。
【0058】
また、本実施の形態においては、判定手段は、厚さ求め手段が求めた貸出物である書籍100の合計厚さと厚さ測定装置55が測定した書籍100の合計厚さとの差が規定値を超えた場合、識別情報である書籍番号の読み取りに失敗した書籍100があると判定することにより、経時変化による書籍100の厚さ変動を考慮することができる。
【0059】
次に、本発明の第4の実施の形態を図11に基づいて説明する。
【0060】
本実施の形態では、第3の実施の形態に対して、書籍100に設けられたRFタグ101のメモリ部103に書籍100の厚さが記憶されている点と、貸出物管理処理の一部とが異なる。
【0061】
本実施の形態の貸出物管理処理では、ステップS3において、RFタグリーダライタ6による各書籍100に設けられているRFタグ101に対する読み取り動作によって、書籍100の書籍番号とともに重量が読み取られ、RAM14に記憶される。そして、ステップS24では、ステップS3で読み取った厚さを合計することにより、RFタグリーダライタ6によるRFタグ101に対する読み取りが成功した書籍100の合計厚さ(成功合計厚さ)を求める。ここに、ステップS24によって、無線通信装置によって読み取られた厚さの合計を求める厚さ求め手段の機能が実行される。これら以外の処理は、第3の実施の形態と同じである。
【0062】
このような貸出物管理処理によって、本実施の形態においても第3の実施の形態と同様に、書籍100に設けられたRFタグ101に記憶されている書籍番号の読み取りが成功したか否かが自動的判定され、その判定結果が報知されるので、書籍100の貸出/返却業務において、書籍100に設けられたRFタグ101に記憶されている書籍番号の読み取りが成功したか否かの判定のために、係員に特段の負担をかけることがない。
【0063】
また、本実施の形態では、第2の実施の形態と同様に書籍100の重量が各書籍に設けられたRFタグ101に記憶されているので、例えば、貸出物管理装置51のHDD17や図示しないサーバに貸出物の重量をデータベース化する必要が無いので、貸出物管理装置51やサーバの負担が軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の第1の実施の形態の貸出物管理装置を概略的に示す正面図である。
【図2】貸出物管理装置が備える各部の電気的な接続を示すブロック図である。
【図3】貸出物管理ファイルのファイル構造を模式的に示す説明図である。
【図4】業務選択画面を示す正面図である。
【図5】RFタグを概略的に示すブロック図である。
【図6】貸出物管理処理を示すフローチャートである。
【図7】読取失敗報知画面を示す正面図である。
【図8】本発明の第4の実施の形態の貸出物管理装置を概略的に示す正面図である。
【図9】貸出物管理装置が備える各部の電気的な接続を示すブロック図である。
【図10】貸出物管理ファイルのファイル構造を模式的に示す説明図である。
【図11】貸出物管理処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0065】
1…貸出物管理装置、5…秤装置、6…RFタグリーダライタ(無線通信装置)、7a…載置面、8c…載置面、51…貸出物管理装置、55…厚さ測定装置、100…書籍(貸出物)、101…RFタグ、ステップS4…重量求め手段、ステップS5…判定手段、ステップS7,S9…報知手段、ステップS24…厚さ求め手段、ステップS25…判定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置面に載置された貸出物の重量を測定する秤装置と、
前記載置面上の前記貸出物に設けられたRFタグに記憶された当該貸出物の識別情報を読み取る無線通信装置と、
この無線通信装置によって前記識別情報が読み取られた前記貸出物の重量を各貸出物の重量を予め記憶している記憶部から読み出して、前記貸出物の合計重量を求める重量求め手段と、
この重量求め手段が求めた前記貸出物の合計重量と前記秤装置が測定した前記貸出物の合計重量とに基づいて、前記載置面に載置されている前記貸出物に対する前記識別情報の読み取りの成否を判定する判定手段と、
この判定手段の判定結果を報知する報知手段と、
を備える貸出物管理装置。
【請求項2】
載置面に載置された貸出物の重量を測定する秤装置と、
前記載置面上の前記貸出物に設けられたRFタグに記憶された当該貸出物の識別情報と当該貸出物の重量とを読み取る無線通信装置と、
この無線通信装置によって読み取られた重量の合計を求める重量求め手段と、
この重量求め手段が求めた前記貸出物の合計重量と前記秤装置が測定した前記貸出物の合計重量とに基づいて、前記載置面に載置されている前記貸出物に対する前記識別情報の読み取りの成否を判定する判定手段と、
この判定手段の判定結果を報知する報知手段と、
を備える貸出物管理装置。
【請求項3】
前記判定手段は、前記重量求め手段が求めた前記貸出物の合計重量と前記秤装置が測定した前記貸出物の合計重量との差が規定値を超えた場合、前記識別情報の読み取りに失敗した前記貸出物があると判定する、請求項1又は2記載の貸出物管理装置。
【請求項4】
載置面に載置された貸出物の重量を測定する秤装置と、
前記載置面上の前記貸出物に設けられたRFタグに記憶された当該貸出物の識別情報を読み取る無線通信装置と、
この無線通信装置によって前記識別情報が読み取られた前記貸出物の厚さを各貸出物の厚さを予め記憶している記憶部から読み出して、前記貸出物の合計厚さを求める厚さ求め手段と、
この厚さ求め手段が求めた前記貸出物の合計厚さと前記厚さ測定装置が測定した前記貸出物の合計厚さとに基づいて、前記載置面に載置されている前記貸出物に対する前記識別情報の読み取りの成否を判定する判定手段と、
この判定手段の判定結果を報知する報知手段と、
を備える貸出物管理装置。
【請求項5】
載置面に載置された貸出物の厚さを測定する厚さ測定装置と、
前記載置面上の前記貸出物に設けられたRFタグに記憶された当該貸出物の識別情報と当該貸出物の厚さとを読み取る無線通信装置と、
この無線通信装置によって読み取られた厚さの合計を求める厚さ求め手段と、
この厚さ求め手段が求めた前記貸出物の合計厚さと前記厚さ測定装置が測定した前記貸出物の合計厚さとに基づいて、前記載置面に載置されている前記貸出物に対する前記識別情報の読み取りの成否を判定する判定手段と、
この判定手段の判定結果を報知する報知手段と、
を備える貸出物管理装置。
【請求項6】
前記判定手段は、前記厚さ求め手段が求めた前記貸出物の合計厚さと前記厚さ測定装置が測定した前記貸出物の合計厚さとの差が規定値を超えた場合、前記識別情報の読み取りに失敗した前記貸出物があると判定する、請求項4又は5記載の貸出物管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−27748(P2006−27748A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−204490(P2004−204490)
【出願日】平成16年7月12日(2004.7.12)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】