説明

貼り合わせブロー成形体及びその製造方法

【課題】一方の壁から他方の壁に達する補強用リブが形成された2重壁ブロー成形体の前記一方の壁の表面に表皮シートを貼り合わせた貼り合わせブロー成形体において、表皮シートがブロー成形体の表面に均一に広がり、かつブロー成形体が表皮シートの間から露出しないようにして、外観性を改善する。
【解決手段】補強用リブが内側に溝を有する凹状リブ15であり、凹状リブ15は長さ方向に沿って交互に形成された第1リブ17と第2リブ18からなる。第1リブ17の先端は壁14の内側に溶着している。表皮シート12は、凹状リブ15の溝(第1リブ17の溝23,第2リブ18の溝27)内に入り込み、溝の両壁に貼り合わされている。表皮シート12は、第1リブ17の溝23の箇所では溝23の長さ方向に沿って切れ目32が形成されている。第2リブ18の溝27の箇所では表皮シート12に切れ目29がなくつながっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空2重壁構造を有し、ブロー成形時に2重壁の一方の壁から他方の壁に向けて突出するリブが形成され、かつ前記一方の壁に表皮シートが貼り合わされた貼り合わせブロー成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、上記技術分野の欄に記載した貼り合わせブロー成形体、及びその製造方法が記載されている。特許文献1の貼り合わせブロー成形体は、リブがいわゆる隠しリブ(表面からは存在が確認できないリブ)であり、表皮シートは前記リブが形成された位置にも貼り付けられている。この貼り合わせブロー成形体では、表皮シートに切れ目が入れられ、表皮シートをキャビティ面に配置する際に、前記切れ目をリブを形成するスライドコアに挿通する。スライドコアは一方の金型に進退可能に設置されている。
【0003】
貼り合わせブロー成形体の製造に際しては、前記の態様で表皮シートを一方の金型のキャビティ面に配置し、ブロー成形金型を閉じてパリソンを挟み、このときスライドコアの先端と他方の金型のキャビティ面との間で2重になったパリソンを挟んで溶着し、次いで該スライドコアを先端がキャビティ面に一致するまで後退させ、パリソン内に加圧気体を吹き込んでブロー成形体を成形し、同時に表皮シートをブロー成形体の表面に熱溶着する。
【0004】
特許文献1には、スライドコアを後退させ、表皮シートの切れ目からスライドコアが外れると、切れ目が閉じて、ブロー成形体の表面は表皮シートにより一面状に覆われると記載されている。
しかし、特許文献2には、特許文献1の技術では、スライドコアにより強制的に押し広げられた表皮シートの切れ目は、スライドコアが外れても完全に元の閉じた形状に戻ることはなく、表皮シートの切れ目が開いたままでブロー成形体に溶着されると記載されている。
【0005】
また、特許文献1の技術には次のような問題もある。
表皮シートは通常柔軟であり伸縮もするので、切れ目が常に正確に同じ位置に同じ長さで形成できるとは限らない。特に広い面積に多数の切れ目を形成する必要がある場合、位置ずれが生じやすい。表皮シートの広げ具合によっても、容易に表皮シートの各切れ目を各スライドコアに挿通する関係で、少しでも切れ目に位置ずれが生じていると、キャビティ面に配置した表皮シートに部分的に不均一な引張が加わりやすく、スライドコア近傍にしわができたり、スライドコアとの間に隙間などができやすい。図7はこれを示すもので、1は表皮シート、2はキャビティ面、3,4はスライドコア、5,6は表皮シート1に形成した切れ目である。スライドコア3の端面近傍の表皮シート1にしわ7ができたり、スライドコア4の端面との間の表皮シート1に隙間8ができたりし、またスライドコア4の側面との間に隙間9ができたりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−291207号公報
【特許文献2】特開2009−101567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
キャビティ面2に配置された表皮シート1が図7(b)に示すような状態で、貼り合わせブロー成形を行うと、成形後の貼り合わせブロー成形体の表皮シートにもたるみじわができ、また表皮シートの切れ目が開いたままブロー成形体に溶着される。
一方、特許文献2には、切れ目の端部に前記切れ目とT字状又は十字状に交叉する第2の切れ目を入れることで、表皮シートの切れ目が開いたままでブロー成形体に溶着するのを防止する技術が記載されている。しかし、この場合でも、切れ目に位置ずれが生じていると、図7を参照して説明したと同様の問題が生じ得る。
このように、従来の技術では、ブロー成形体の表面で表皮シートが均一に広がり、かつ中のブロー成形体が見えない外観の優れた貼り合わせブロー成形体を安定して得ることが困難であった。
【0008】
本発明は、2重壁の一方の壁から他方の壁に向けて突出する補強用リブが形成された貼り合わせブロー成形体に関する上記問題点に鑑みてなされたもので、ブロー成形体の表面で表皮シートが均一に広がり、かつ中のブロー成形体が見えない外観の優れた貼り合わせブロー成形体を安定して得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に掛かる貼り合わせブロー成形体は、中空2重壁構造を有し、ブロー成形時に2重壁の一方の壁から他方の壁に向けて突出するリブが形成され、かつ前記一方の壁に表皮シートが貼り合わされた貼り合わせブロー成形体を改良したもので、前記リブが内側に溝を有する凹状リブであり、前記溝の長さ方向に沿って深い溝と浅い溝が交互に形成され、前記表皮シートは、前記溝内に入り込み前記溝の両壁に貼り合わされ、前記深い溝の箇所では前記溝の深さが前記表皮シートの入り込み深さより深く、かつ前記表皮シートは前記溝の長さ方向に沿って切れ目が形成され、前記浅い溝の箇所では前記表皮シートは切れ目がなくつながっていることを特徴とする。
【0010】
上記貼り合わせブロー成形体は、次のような実施の形態をとることができる。
前記一方の壁の表面における前記溝の幅が前記表皮シートの厚みの2倍以下である。
前記凹状リブは、前記深い溝の箇所で先端が前記他方の壁の内面に溶着している。
複数の凹状リブが長さ方向の端部で接続し、その接続箇所及びその近傍に前記浅い溝が形成されている。
【0011】
本発明に係る貼り合わせブロー成形体の製造方法は、キャビティ面にキャビティ内に突出する板状の突起を有する一方のブロー成形金型の前記キャビティ面に沿って表皮シートを配置し、前記一方のブロー成形金型と他方のブロー成形金型を閉じてパリソンを挟み、ブロー成形を行って一方の壁から他方の壁に向けて突出するリブを有する2重壁構造のブロー成形体を形成し、同時にブロー成形体の2重壁の前記一方の壁に表皮シートを一体的に貼り合わせる貼り合わせブロー成形体の製造方法を改良したもので、前記リブは内側に溝を有する凹状リブであり、前記板状の突起は頂部の長手方向に沿って高い頂部と低い頂部が交互に形成され、前記表皮シートには切れ目が形成され、前記表皮シートを前記一方のブロー成形金型のキャビティ内面に沿って配置したとき、前記板状の突起が前記高い頂部の箇所で前記表皮シートの切れ目を挿通してキャビティ内に突出し、前記低い頂部の箇所で前記表皮シートにより覆われるようにすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明掛かる貼り合わせブロー成形体では、表皮シートに形成する切れ目及びその近傍の材料が凹状リブの内側の深い溝の中に入って、溝の両壁に貼り合わされ、さらに表皮シートの切れ目に続く箇所の材料が折り込まれ凹状リブの内側の浅い溝の中に入って、溝の両壁に貼り合わされる。これらの部分は、貼り合わせブロー成形体の表面において開いたり、たるみじわが生じたりしやすい部分であるが、これらの部分を前記溝の中に収容してしまうことで、外観上、表皮シートが均一に広がり(たるみじわが生じていない)、かつ切れ目が開いていない表皮シートを有する貼り合わせブロー成形体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る貼り合わせブロー成形体の一部切り欠き斜視図である。
【図2】本発明に係る貼り合わせブロー成形体の製造に用いるブロー成形金型のキャビティ面の一部斜視図(a)、及び表皮シートを配置した前記キャビティ面の斜視図(b)である。
【図3】図2のA−A断面における貼り合わせブロー成形体の成形の様子を経時的に示す図である。
【図4】図2のB−B断面における貼り合わせブロー成形体の成形の様子を経時的に示す図である。
【図5】本発明に係る別の貼り合わせブロー成形体(表皮シートを除く)の一部切り欠き斜視図である。
【図6】同じ貼り合わせブロー成形体(表皮シートあり)の一部切り欠き斜視図である。
【図7】貼り合わせブロー成形体の製造に用いる従来のブロー成形金型のキャビティ面の一部斜視図(a)、及び表皮シートを配置した前記キャビティ面の斜視図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1〜図6を参照して、本発明に係る貼り合わせブロー成形体とその製造方法について説明する。
図1に示す貼り合わせブロー成形体は、ボード状の2重壁ブロー成形体11と、その片側の表面に貼り合わされた表皮シート12からなる。
2重壁ブロー成形体11は、略平面状の一方の壁13と他方の壁14、及び前記壁13,14の四方を囲む側壁からなり、補強のため壁13から壁14に向けて突出する凹状リブ15と、壁14から壁13に向けて突出する凹状リブ16を有する。
【0015】
凹状リブ15は、長さ方向に交互に配置されかつ長さ方向に連続した複数個の第1リブ17と第2リブ18からなる。第1リブ17(図3(d)を参照)は、両側壁19,21と頂部22で構成され、頂部22が壁14の内側に溶着している。両側壁19,21と頂部22の間の空間が、凹状リブ15の長さ方向に沿った溝23となっている。第2リブ18(図4(d)を参照)は、両側壁24,25と頂部26で構成され、頂部26は両側壁24,25のパリソンがブロー成形時に互いに溶着して板状をなす部分である。両側壁24,25と頂部26の間の空間が、凹状リブ15の長さ方向に沿った溝27となっている。第1リブ17の溝23は深く、第2リブ18の溝27は浅く、両溝23,27は凹状リブ15の長さ方向に沿って連続している。板状の頂部26は表面からは存在が確認できない隠しリブである。
【0016】
凹状リブ16は、凹状リブ15とは逆向きで、かつ長さ方向に半ピッチずれているが、凹状リブ15と基本的にほぼ同様の構造を有する。すなわち、凹状リブ16も、長さ方向に交互に配置されかつ長さ方向に連続した複数個の第1リブ28と第2リブ29からなる。第1リブ28は凹状リブ15の第1リブ17とほぼ同様の構造を有し、第2リブ29は凹状リブ15の第2リブ18とほぼ同様の構造を有する。凹状リブ15の第1リブ17と凹状リブ16の第1リブ28、及び凹状リブ15の第2リブ18と凹状リブ16の第2リブ29の構造の違いは、表皮シート13の貼り合わせの有無のみに基づくもので、大きい違いではない。なお、凹状リブ16の構造は、特開2003−165152号公報の図1〜3に記載された補強用リブの構造と、基本的に同一である。
【0017】
表皮シート12は、ブロー成形体11のパーティングライン31の上方部分において、壁13及び四方を囲む側壁の表面に貼り合わされている。また、表皮シート12は壁13において凹状リブ15の溝23,27内に入り込み、ブロー成形時に溝23の両壁(側壁19,21の内面)及び溝27の両壁(側壁24,25の内面)に溶着して貼り合わされる。表皮シート12が溝23,27内に入り込んだ箇所には、そのことを示すライン32が見える。
【0018】
次に図2〜4を参照して、図1に示す貼り合わせブロー成形体の製造方法について説明する。
この貼り合わせブロー成形体を成形する一対のブロー成形金型のうち一方の金型33(図3(a)参照)は、図2(a)に示すように、キャビティ面34にキャビティ内に突出する薄い板状の突起35が設置されている。突起35には、長さ方向に沿って高い頂部と低い頂部が交互に配置されている。言い換えれば、突起35は、交互に配置された高い頂部を有する突起36と低い頂部を有する突起37からなる。なお、図2では、突起35は高さ方向に同じ板厚に描かれているが、実際には抜き勾配が付与されている(図1では凹状リブ15,16の断面形状がその抜き勾配を考慮した形状に描かれている)。突起35の板厚は、キャビティ面34付近において、表皮シート12の厚み(無負荷時)の2倍以下に設定される。
【0019】
一対のブロー成形金型のうち他方の金型38(図3(c)参照)も、キャビティ面にキャビティ内に突出する薄い板状の突起(図示せず)を有する。その突起は、一方の金型33に設置された突起35と同様に、交互に配置された高い頂部を有する突起と低い頂部を有する突起からなる。
ブロー成形時、一方の金型33に設置された突起35により凹状リブ15が形成され、他方の金型38に設置された突起により凹状リブ16が形成される。
【0020】
図2(b)は、一方の金型33のキャビティ面34に沿って表皮シート12を配置した状態を示す。表皮シート12は、一方の金型33の高い頂部を有する突起36に対応する全ての箇所に切れ目41が形成されている。図3(a),4(a)に示すように、突起36の箇所では、突起36が表皮シート12の切れ目41を挿通して突出した状態となり、表皮シート37はキャビティ面33に沿って配置され、突起37の箇所では、表皮シート37は突起37の上を覆った状態でキャビティ面33に沿って配置される。
突起37の箇所で表皮シート37が突起36の上を覆うため、その箇所では図4(a)に示すように、突起37の長さ方向に沿って、突起37の高さに対応する折れじわ42が形成されている。一方、突起37の箇所で折れじわ42が形成されるため、突起37の延長線上(突起36の箇所)でも、折れじわ42の高さに相当する分だけ表皮シート12の材料に緩みができ、その緩みの分(余剰分)が突起36に沿って突起36の高さ方向にひだ状(ひだ43)に延び、表皮シート12の切れ目41は、突起37を覆う表皮シート12(折れじわ42)の頂部と同程度の高さに位置している。
【0021】
図3(b),4(b)は、一方の金型33と他方の金型38の型締め途中の状態を示す。突起36の頂部が、パリソン44を他方の金型38に向けて押し込んでいる。突起37の頂部は低く、パリソン44に当接していないが、突起37は突起36の延長線上にあるため、突起37の前方のパリソン44は引きずられて、他方の金型38に向けて押し込まれた状態となっている。
【0022】
図3(c),4(c)は、一方の金型33と他方の金型38が閉じてパリソン44を挟み、パリソン44の内部に加圧エアを吹き込んだときの状態を示す。
図3(c)では、パリソン44が突起36により押し込まれ、その頂部が対向するパリソン44に溶着し、かつ加圧エアの圧力でパリソン44が膨張して、金型33,38の表面(キャビティ面34,45)に当接し、かつ突起36の両側面に(突起36の底部付近では表皮シート12越しに)当接している。表皮シート12は加圧エアの圧力で金型33のキャビティ面34とパリソン44の間、及び突起36とパリソン44の間で圧縮され、同時にパリソン44に溶着してその表面に貼り合わされる。
【0023】
図4(c)では、加圧エアの圧力でパリソン44が膨張して、金型33,38の表面(キャビティ面34,45)に当接し、かつ表皮シート12越しに突起37の両側面に当接している。また、この例では、表皮シート12の余剰分が突起37の先で折れ重なり(折れ重なり42a)、その両側面にパリソン44が当接している。表皮シート12は加圧エアの圧力で金型33のキャビティ面34とパリソン44の間、突起37とパリソン44の間、及びパリソン44同士の間(折れ重なり42aの部分)で圧縮され、同時にパリソン44に溶着して貼り合わされる。
【0024】
図3(d),4(d)は、パリソン44が固化してブロー成形体11となり、一方の金型33と他方の金型38が型開きしたときの状態を示す。表皮シート12が加圧エアの圧力から解放されて元の厚みに回復している。
図3(d)では、ブロー成形体11の2重壁(壁13,14)と突起17、及び表皮シート12が示されている。表皮シート12は壁13の表面に貼り付き、かつ切れ目44を先にして第1リブ17の溝23内に入り込み、溝23の両壁(両側壁19,21の内面)に貼り付いている。
【0025】
図4(d)では、ブロー成形体11の2重壁(壁13,14)と突起18、及び表皮シート12が示されている。表皮シート12は壁13の表面に貼り付き、かつ第2リブ18の溝27内に入り込み、該溝27内に充満するとともに溝27の両壁(両側壁24,25の内面)に貼り付いている。また、溝27内に入った表皮シート12は、溝27内を埋め尽くしている。
なお、第2リブ18の板状の頂部26は両側壁24,25を構成するパリソンがブロー成形時に互いに溶着して板状をなす部分であり、突起37の前方のパリソンが両側の高い突起36に引っ張られることにより自然に形成される(特開2003−165152号公報参照)
【0026】
この貼り合わせブロー成形体では、表皮シート12を金型33のキャビティ面34に配置したとき、突起37により折れじわ42が形成され、その並び(延長線上)で切れ目41に挿通する突起36の箇所にも、折れじわ42と同等の余剰分に相当する高さのひだ43ができ、このため、もともと突起36の近傍の表皮シート12に不規則なしわ(図7のしわ7参照)や隙間(図7の隙間8,9参照)が形成されにくい。仮に切れ目41と突起36の位置ずれに起因して、このような不規則なしわや隙間ができても、切れ目41及びその近傍の表皮シート12(ひだ43の部分)は第1リブ17の溝23内に収容され、かつ溝23の開口部は加圧エアの圧力から解放された表皮シート12が埋めているので、外観上の欠陥にならない。
【0027】
表皮シート12を金型33のキャビティ面34に配置したときに形成される折れじわ42についても、第2リブ18の溝27内に収容され、かつ溝27の開口部は加圧エアの圧力から解放された表皮シート12が埋めているので、外観上の欠陥にならない。
なお、凹状リブ15の長さ方向の端部は、表皮シート12に切れ目41が形成されない第2リブ18で終わることが望ましい。
【0028】
図5,6を参照して、本発明に係る別の貼り合わせブロー成形体について説明する。
この貼り合わせブロー成形体は、ボード状の2重壁ブロー成形体51と、その片側の表面に貼り合わせた表皮シート52からなる。
2重壁ブロー成形体51は、略平面状の一方の壁53と他方の壁54、及び前記壁53,54の四方を囲む側壁からなり、補強のため壁53から壁54に向けて突出する多数の凹状リブ55を有する。各凹状リブ55はハニカム構造の各辺を構成し、それぞれ中央部の第1リブ56と両端の第2リブ57からなる。各凹状リブ55は前記ハニカム構造の交差箇所(3重点)で端部同士が接続し、該接続箇所及びその近傍には各凹状リブ55とも第2リブ57が配置されている。
【0029】
第1リブ56は、前述の第1リブ17とほぼ同様の断面構造を有し、頂部が壁54の内側に溶着し、内部に深い溝58を有する。第2リブ57は、前述の第2リブ18とほぼ同様の断面構造を有し(ただし、この例では板状の頂部、すなわち隠しリブが発達していない)、内部に相対的に浅い溝59を有する。
表皮シート52は、ブロー成形体51のパーティングライン61の上方部分において、壁13及び四方を囲む側壁の表面に貼り合わされている。また、表皮シート61は壁53において凹状リブ55の溝58,59内に入り込み、ブロー成形時に溝58の両壁及び溝59の両壁に溶着して貼り合わされる。表皮シートのこの貼り合わせ構造も前述の表皮シート12と同様である。表皮シート12が溝58,59内に入り込んだ箇所には、そのことを示すライン62がハニカム構造を有している。
【0030】
この貼り合わせブロー成形体の製造方法は、図1に示す貼り合わせブロー成形体の製造方法とほぼ同様と考えてよい。凹状リブ55は、一方の金型のキャビティ面にハニカム状に設置された薄い板状の突起により、ブロー成形時に形成される。前記突起は高い頂部を有する突起と低い頂部を有する突起からなり、凹状リブ55を構成する第1リブ56は前記高い頂部を有する突起により成形され、第2リブ57は前記低い頂部を有する突起により形成される。ハニカム状に設置された前記突起同士が接続する箇所(3重点)には、前記低い頂部を有する突起が配置される。表皮シート52は、前記高い突起の配置に対応して切れ目を入れられている。前記一方の金型のキャビティ面に配置するとき、前記高い突起を前記切れ目に挿通する。表皮シート52の前記低い突起の箇所には折れじわ(図3(a)の折れじわ42参照)が形成され、表皮シート52の前記高い突起の箇所にはひだ(図4(a)のひだ43参照)が形成される。
【0031】
表皮シート52を前記一方の金型のキャビティ面に配置した後、金型の型締めを行ってパリソンを挟み、パリソンの内部に加圧エアを吹き込み、前記貼り合わせブロー成形体を製造することができる。
なお、上記の例では、凹状リブがハニカム構造を有し、その交差箇所(接続箇所)は3重点であったが、2つの凹状リブの端部同士が接続し、接続箇所が2重点である場合、4つの凹状リブが端部で接続し、接続箇所が4重点である場合等でも、同様の方法で貼り合わせブロー成形体を成形することができる。いずれにしても、前記接続箇所及びその近傍には前記低い頂部を有する突起を配置し、表皮シートの切れ目を前記接続箇所及びその近傍に配置しないことが望ましい。
【符号の説明】
【0032】
11 ブロー成形体
12 表皮シート
13,14 2重壁の壁
15 凹状リブ
17 第1リブ
18 第2リブ
23,27 溝
33,38 金型
36,37 突起
41 切れ目
42 表皮シートの折れじわ
43 表皮シートのひだ
44 パリソン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空2重壁構造を有し、ブロー成形時に2重壁の一方の壁から他方の壁に向けて突出するリブが形成され、かつ前記一方の壁に表皮シートが貼り合わされた貼り合わせブロー成形体において、前記リブが内側に溝を有する凹状リブであり、前記溝の長さ方向に沿って深い溝と浅い溝が交互に形成され、前記表皮シートは、前記溝内に入り込み前記溝の両壁に貼り合わされ、前記深い溝の箇所では前記溝の深さが前記表皮シートの入り込み深さより深く、かつ前記表皮シートは前記溝の長さ方向に沿って切れ目が形成され、前記浅い溝の箇所では前記表皮シートは切れ目がなくつながっていることを特徴とする貼り合わせブロー成形体。
【請求項2】
前記一方の壁の表面における前記溝の幅が前記表皮シートの厚みの2倍以下であることを特徴とする請求項1に記載された貼り合わせブロー成形体。
【請求項3】
前記凹状リブは、前記深い溝の箇所で先端が前記他方の壁の内面に溶着していることを特徴とする請求項1又は2に記載された貼り合わせブロー成形体。
【請求項4】
複数の凹状リブが長さ方向の端部で接続し、その接続箇所及びその近傍に前記浅い溝が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載された貼り合わせブロー成形体。
【請求項5】
キャビティ面にキャビティ内に突出する板状の突起を有する一方のブロー成形金型の前記キャビティ面に沿って表皮シートを配置し、前記一方のブロー成形金型と他方のブロー成形金型を閉じてパリソンを挟み、ブロー成形を行って一方の壁から他方の壁に向けて突出するリブを有する2重壁構造のブロー成形体を形成し、同時にブロー成形体の2重壁の前記一方の壁に表皮シートを一体的に貼り合わせる貼り合わせブロー成形体の製造方法において、前記リブが内側に溝を有する凹状リブであり、前記板状の突起は頂部の長手方向に沿って高い頂部と低い頂部が交互に形成され、前記表皮シートには切れ目が形成され、前記表皮シートを前記一方のブロー成形金型のキャビティ面に沿って配置したとき、前記板状の突起が前記高い頂部の箇所で前記表皮シートの切れ目を挿通してキャビティ内に突出し、前記低い頂部の箇所で前記表皮シートにより覆われるようにすることを特徴とする貼り合わせブロー成形体の製造方法。
【請求項6】
前期板状の突起の厚みがキャビティ面において前記表皮シートの厚みの2倍以下であることを特徴とする請求項5に記載された貼り合わせブロー成形体の製造方法。
【請求項7】
前記板状の突起は、前記一方のブロー成形金型と他方のブロー成形金型を閉じたとき、前記高い頂部が前記他方のブロー成形金型のキャビティ面近傍に達し、前記他方のブロー成形金型との間で2重になった前記パリソンを挟み溶着することを特徴とする請求項5又は6に記載された貼り合わせブロー成形体の製造方法。
【請求項8】
複数個の板状の突起が長さ方向の端部で接続し、その接続箇所及びその近傍では前記低い頂部が形成されていることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載された貼り合わせブロー成形体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−67136(P2013−67136A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−208866(P2011−208866)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(390040958)みのる化成株式会社 (36)
【Fターム(参考)】