貼付部材の貼付方法、および生産治具
【課題】薄く軟らかい貼り付け部材の被貼付部材への貼付方法の提供。
【解決手段】情報処理装置製造時に、被貼付部材100への接着面と、被貼付部材への貼付位置に基づく形状で成形された保持部材40と接着している接着面とを有する貼付部材10と、保持部材の載置位置を定める第1の位置決め手段と、被貼付部材の貼付部材に対する貼付位置までのガイドとなる第2の位置決め手段とを有する治具とを用いて、治具に、第1の位置決め手段を使用して、貼付部材ごと保持部材を載置し、治具に、第2の位置決め手段を使用して、被貼付部材を貼付完了位置まで押しつけ、治具から貼付部材ごと被貼付部材を外して保持部材を除去する。
【解決手段】情報処理装置製造時に、被貼付部材100への接着面と、被貼付部材への貼付位置に基づく形状で成形された保持部材40と接着している接着面とを有する貼付部材10と、保持部材の載置位置を定める第1の位置決め手段と、被貼付部材の貼付部材に対する貼付位置までのガイドとなる第2の位置決め手段とを有する治具とを用いて、治具に、第1の位置決め手段を使用して、貼付部材ごと保持部材を載置し、治具に、第2の位置決め手段を使用して、被貼付部材を貼付完了位置まで押しつけ、治具から貼付部材ごと被貼付部材を外して保持部材を除去する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被貼付部材に対する組み付け作業が困難な貼付部材の貼付方法に関し、詳しくは、生産治具に因る作業精度の向上と、安定した薄型貼付部材の組付工法の確立に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの情報処理装置において小型化および高機能化が進み、情報処理装置の多くの製造工程で複雑且つ精度を求められるようになっている。
また、情報処理装置の製造工程のなかで、筐体部品や構造部品などに対して、多くのシート状部材やテープ状部材が粘着材(接着剤)を用いて組み付けられている。
このようなシート状部材やテープ状部材は、厚さが薄くやわらかい素材で構成されたものが多く、加えて、昨今の情報処理装置の設計において、部材の更なる薄型化が進められている。
【0003】
情報処理装置の組み付け作業工程では、一般的に貼付部材の被貼付部材との接着面に、両面テープの貼付又は接着剤が塗布されて、その上に離着可能な保護シート(台紙)が貼り付けられており、その接着面の保護シートを組立作業で剥がして、被貼付部材に貼り付けられる。この時、上記シート状部材では、被貼付部材までのハンドリング時に薄すく軟らかい為、貼付部材が寄ったり弛んだりして、貼り付けたい規定の組立基準位置に合わす事が困難である。
【0004】
上記貼付部材には、例えば、テフロン(登録商標)テープ、PETテープ、絶縁テープ、銅テープ、導電シート、フェライトシートやガスケット、バスタレイド(登録商標)と呼ばれる電波吸収帯などが挙げられる。
上記テフロンテープやPETテープは、部品や電線の固定する場合や、絶縁シートとして使用する場合などがある。
また、絶縁シートや銅テープ、導電シートは、静電気対策に用いられ、また、電波吸収帯と合わせてEMI(Electro Magnetic Interference)対策に用いられる。
尚、静電気対策やEMI対策では、試作設計後に試験を行なうため、情報処理装置の初期設計に反映できずに、製造工程において付加的に上記部品を追加することもある。加えて、情報処理装置の後継機種開発などにおいて設計変更が加えられ、上記シート状部材の追加が求められることもある。これらのEMI対策や静電気対策においては、全数検査ができない為、組立精度のバラツキを生じさせるような複雑な箇所への対策部材の組み付けを避けて作業性の良い箇所のみで対策を行なっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
マニュファクチャアにおいて、貼付部材は、厚さが薄くやわらかい素材のもので構成されているため、筺体部品に代表される被貼付部材に対する位置決めが困難である。
このため、シート状部材に代表される薄型貼付部材の組み付けは、高い作業者スキルを必要とするため作業者ごとによる作業バラツキが大きく、安定した品質、貼付部材の組み付けに割当てる作業時間等の確定が困難であった。当該要因は、マニュファクチャアにおいて、組立精度のバラツキを生じさせ、且つ、時間に対する作業性を低下させ、延いては製品品質にも悪い影響を与える要因となりえる。
【0006】
また、情報処理装置のEMI対策及び静電気対策においては、作業性の良い箇所のみで対策を行なっている為、設計の自由度が低く、加えて、クリティカルな場所への対策が行なえ無い場合がある。
【0007】
また、昨今の情報処理装置の小型化によって、作業者の手(指)自体がとどかない位置にシート状部材を貼り付ける必要性が生じ始めた。
【0008】
加えて、厚さが薄く、人間では、被貼付部材への精度を維持した貼り付けが行なえない部材が開発されており、加えて、今後の厚さが極めて薄い薄型貼付部材への製造技術の開発を行なう必要がある。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みて成されたものであり、情報処理装置のマニュファクチュアリングによる製造時に、被貼付部材に貼付部材を精度よく安定的に短時間で貼り付けられる貼付方法の提供を目的とする。
また、本発明の別の目的は、EMI対策及び静電気対策の自由度を確保可能とする情報処理装置の製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の情報処理装置製造時における貼付部材の貼付方法は、被貼付部材への接着面と、前記被貼付部材への貼付位置に基づく形状で成形された保持部材と接着している接着面とを有する貼付部材と、前記保持部材の載置位置を定める第1の位置決め手段と、前記被貼付部材の前記貼付部材に対する貼付位置までのガイドとなる第2の位置決め手段とを有する治具とを用いて、前記治具に、前記第1の位置決め手段を使用して、前記貼付部材ごと前記保持部材を載置し、前記治具に、前記第2の位置決め手段を使用して、前記被貼付部材を貼付完了位置まで押しつけ、前記治具から前記貼付部材ごと前記被貼付部材を外して保持部材を除去することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、情報処理装置製造時に、被貼付部材に貼付部材を精度よく安定的に短時間で貼り付けられる貼付方法を提供できる。
また、本発明によれば、EMI対策及び静電気対策の自由度を確保可能とする情報処理装置の製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】一般的な薄型貼付部材の荷姿設計を説明する概略図である。
【図2】第1実施の形態における薄型貼付部材の荷姿設計を説明する概略図である。
【図3】生産治具の寸法設計を説明する概略図である。
【図4】生産治具を用いた貼付工程を示した作業フローを示す工程図である。
【図5】生産治具を用いた貼付工程を説明する図である。
【図6】第2の工程の途中の状態を示す説明図である。
【図7】第3の工程の途中の状態を示す説明図である。
【図8】保持部材と薄型貼付部材との接着面を例示する概略図である。
【図9】第2の実施の一形態を説明する概略図である。
【図10】第3の実施の一形態を説明する概略図である。
【図11】第4の実施の一形態を説明する概略図である。
【図12】第5の実施の一形態を説明する概略図である。
【図13】実施例における筐体部品への貼付部品の組込み設計を示す説明図である。
【図14】実施例における保持部材を示す説明図である。
【図15】実施例における生産治具を示す説明図である。
【図16】実施例におけるキャリアシートを示す説明図である。
【図17】本発明における筐体部品への複数の薄型貼付部品の貼り付けを例示する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の一形態を図1乃至図8に基づいて説明する。尚、図面は、図を明瞭とするため、細部を簡略化又は省略する。
【0014】
図1は、一般的な薄型貼付部材10の荷姿設計を説明する概略図である。
通常、薄型貼付部材10の荷姿は、図1(a)に示す様に、被貼付部材100への接着面となる薄型貼付部材10の片面に、両面テープを貼り付けるか又は接着剤を塗布する接着部20を設け、当該接着面を保護する台紙30を貼り付けられて構成されている。また、台紙30には、多くの薄型貼付部材10が貼り付けられ、作業時に必要なだけの薄型貼付部材10が剥がされて図1(b)に例示するように貼り付けられる。
【0015】
通常行なわれている被貼付部材100に薄型貼付部材10を貼り付ける手作業では、図1(b)に示す様に、薄型貼付部材10の端部を貼り付けないで気中に出したように貼り付けることや、極僅かの隙間を空けて貼り付けることは、相当の技能を有する作業者によらなければ、不可能である。また、相当の技能を有する作業者であっても、その貼り付け精度を、設計で求められる精度内に収めるのは至難の業であり、組付制度と作業時間が安定しない。
尚、被貼付部材100および薄型貼付部材10の寸法形状、貼り付け位置、貼り付け精度は任意の設計事項である。
【0016】
図2は、本実施の形態における薄型貼付部材10の荷姿設計を説明する概略図である。 他方、本実施の形態では、薄型貼付部材10の被貼付部材100への貼り付けにあたり、所望の厚さと硬さを持たせるための荷姿設計を行う。即ち、図2に示す様に、通常構成している3つの要素に加え、作業者の保持やハンドリングが可能なように、適度な硬度と厚さを有する保持部材40を薄型貼付部材10に付加して薄型貼付部材10の荷姿設計を行なう。
【0017】
保持部材40は、薄型貼付部材10の被貼付部材100への接着面の反対面に構成し、例えば、「保持部材−両面テープ(接着層)−薄型貼付部材−両面テープ(接着層)−台紙」の順序で構成する。
保持部材40は、被貼付部材100への薄型貼付部材10の貼付位置に基づく形状で成形され、作業者によって、被貼付部材100に薄型貼付部材10ごと貼り付けられ、その後、保持部材40のみが剥がされることで、被貼付部材100に薄型貼付部材10を組み込むときの位置決めにも使用される。
保持部材40と薄型貼付部材10との接着は、離隔容易な両面テープ又は接着材、微粘着シート等で、接着部50を構成して行なう。接着力(粘着力)は、薄型貼付部材10と被貼付部材100との接着力より弱い接着力とする。
接着部50の接着力の調整には、微粘着シート等の接着力を、薄型貼付部材10と被貼付部材100を貼り付ける両面テープなどよりも弱くすれば良い。また、それぞれの接着面の面積を考慮して、少ない接着面として接着力を弱くしても良い。
【0018】
また、保持部材40には、後述する生産治具60の形状に合わせ、生産治具に乗せ置く位置を一定に定められる形状を有する。
例えば、生産治具と保持部材との位置決めを、ピンなどの突起で行なう場合には、生産治具にピンを立て、保持部材にピンの径と同一の穴を開ける。また、生産治具と保持部材との嵌め合いで行なう場合には、保持部材の外形と生産治具の載置面の形状を合わせて、生産治具に対して保持部材が固定的に保持可能とすれば良い。
【0019】
次に、生産治具60を説明する。生産治具60は、各々の部材の位置合わせと貼付を同時的に行い製造工程に使用する。
図3は、生産治具60の寸法設計を説明する概略図である。生産治具60には、保持部材40の載置位置を定めると共に、保持部材40の載置状態を固定的に保持可能とする位置決め部70を設ける。
また、生産治具60には、保持部材40を載置した場合に、設計された保持部材40と薄型貼付部材10との貼り付け位置関係から定まる生産治具60に対する薄型貼付部材10の位置に基づいて、被貼付部材100に対する薄型貼付部材10の貼り付け完了位置を想定した被貼付部材100の生産治具に対する貼付完了位置を求め、求めた位置まで、被貼付部材100をガイドする位置決め部80を設ける。
【0020】
ここでガイドとは、一般的な作業者を考慮して、組み立てる情報処理装置の組立精度(被貼付部材100に対する薄型貼付部材10の貼付精度)と貼付時間を満足できるように、面に当接させたて押し下げたり、所定の精度で開けられた穴や溝を用いて移動させたりすることを指す。
【0021】
位置決め部70間および位置決め部80間の寸法形状は、上述の通り、保持部材40および被貼付部材100の構造で定まる。換言すれば、被貼付部材100に対する薄型貼付部材10の貼り付け位置の寸法から定まる。
尚、図示した位置決め部70および位置決め部80の形状は、例示したものであり、被貼付部材100および薄型貼付部材10の寸法形状、貼り付け位置、貼り付け精度によって変化する。また、断面図を用いて平面的に説明しているが、被貼付部材100及び薄型貼付部材10の立体形状に基づいて、立体的に、生産治具60及び保持部材40の設計を行なう。
以上の手段により、本発明は、組付作業が困難な薄型貼付部材を被貼付部材に精度良く安定的に貼り付けられる作業工程を確立する。
【0022】
次に、上記生産治具60を用いて、被貼付部材100に荷姿設計された薄型貼付部材10を組み付ける作業工程を説明する。
図4は、生産治具60を用いた貼付工程を示した作業フローを示す工程図である。図5は、生産治具60を用いた貼付工程を説明する図である。図6は、第2の工程の途中の状態を示す説明図である。図7は、第3の工程の途中の状態を示す説明図である。
【0023】
作業工程は、生産治具60、被貼付部材100および薄型貼付部材10を準備して開始する。
まず、作業者によって、生産治具60に、台紙30が剥がされた薄型貼付部材10を、被貼付部材100との接着面を上に向けて、保持部材40に設けられている位置決め形状と位置決め部70を使用して乗せる(第1の工程)。
【0024】
次に、図6に示すように、生産治具60に、位置決め部80と被貼付部材100の内側面を使用して、被貼付部材100を上方から下方に下げて所定の貼付完了位置まで押し付ける(第2の工程)。
当該第2の工程によって、生産治具60および保持部材40によって支えられた薄型貼付部材10の上方の接着面(接着部20)が、被貼付部材100から押下され、生産治具60および保持部材40の寸法に基づいて、被貼付部材100に精度良く設計された位置に貼り付つく。
尚、位置決め部80は、生産治具60を被貼付部材100の形状に対応させて作成するにあたって、図示したように被貼付部材100の内側面を用いるようにしても良いし、被貼付部材100の外側面を用いるようにしても良い。また、被貼付部材100の外側面と内側面の組合せを用いても良い。
【0025】
次に、図7に示すように、生産治具60から、被貼付部材100及び薄型貼付部材10を外して 薄型貼付部材10の下方の接着面(接着部50)から保持部材40を取り除く(第3の工程)。
【0026】
尚、上記3工程は、1人の作業員で行なっても良いし、副数人の作業員にて行なっても良い。
【0027】
また、保持部材40の除去は、作業者によって被貼付部材100(薄型貼付部材10)から剥がせばよい。このとき、作業者によって保持部材40を剥がす方向を規定することが望ましい。
これは、保持部材40を剥がす方向によって、被貼付部材100に貼りついている薄型貼付部材10が剥がれやすかったり、貼りついている薄型貼付部材10の貼り付き状態(形状)を変えてしまうことがあるためである。
【0028】
また、薄型貼付部材10の保持部材40と接着している接着面に、薄型貼付部材10及び保持部材40の剥離開始位置となる端部(接着部50の端部)に、規定された保持部材40を剥がす方向から定まる接着面に塗布する微粘着材を塗布しない非接着部(非塗布部)を設けて、薄型貼付部材10の接着面から保持部材40を剥がしやすくしても良い。また、両面テープを用いる場合には、両面テープを成形して非接着部を設けても良い。また、非接着部は、図8に示すように、剥がれ易い形状に成形してしても良い。
【0029】
また、更に作業時間を短縮したい場合には、生産治具60から保持部材40を取り外す力を、薄型貼付部材10と保持部材40との接着力より強い力に、設定して、生産治具60から被貼付部材100を外すと同時的に保持部材40が剥がれて生産治具60に残るようにしても良い。
生産治具60から保持部材40を取り外す力の調節には、接触面に複数回離着可能な両面テープを配置しても良いし、吸盤を使用しても良いし、グリス等の粘着材を用いても良いし、突起に反しを設けても良い。
【0030】
以上の説明したように、本実施の形態によれば、組立困難な作業を容易化し、これにより組立品質の安定化、および組立作業時間の短縮可能となる。
【0031】
次に、複数の図を示し、他の実施の一形態を説明する。
図9は、第2の実施の一形態を説明する概略図である。第2の実施の一形態で用いられる生産治具60及び保持部材40は、被貼付部材110の形状及び薄型貼付部材10の貼り付け位置等の寸法に基づいた形状を成す。
【0032】
尚、第2の実施の一形態では、被貼付部材110に貼り付ける薄型貼付部材10の貼付位置が、開口部の内側にあり、通常の作業者では、貼付が困難な位置にある。
このような場合でも、生産治具60に、被貼付部材110の形状に合わせ、保持部材40の載置位置を固定的に定める第1の位置決め手段と、被貼付部材110の貼付部材10に対する貼付位置までのガイドとなる第2の位置決め手段とを設けることで、正確かつ安定的に、貼付部材10を被貼付部材110に貼り付けられる。
【0033】
本実施の一形態の第2の位置決め手段となる生産治具60の形状は、図示するように右側の被貼付部材110の外側面と当接する部分と、左側の被貼付部材110に内側面と当接する部分である。
このように第2の位置決め手段が形成されている場合の第2の工程は、作業者が、生産治具60に、第2の位置決め手段と被貼付部材110の内外側面を使用して、被貼付部材110を左側から第2の位置決め手段に当接させた後に下方の所定の貼付完了位置まで押し付ける。
【0034】
上記説明したように、被貼付部材110に貼り付ける薄型貼付部材10の貼付位置が貼付に困難な場所であっても、図示する生産治具60及び保持部材40を用いることで、被貼付部材110に精度良く設計された位置に薄型貼付部材10が貼り付つく。
また、生産治具60は、横に立てて使用しても良く、第2の実施の一形態の場合は、右側に90度回転させて使用することで、作業効率が上がる。
【0035】
図10は、第3の実施の一形態を説明する概略図である。第3の実施の一形態で用いられる生産治具60及び保持部材40は、被貼付部材120の形状及び薄型貼付部材11の貼り付け位置等の寸法に基づいた形状を成す。薄型貼付部材11は、ループ形状をしており、図の右側と左側の薄型貼付部材11は同一部品である。
【0036】
第3の実施の一形態では、被貼付部材120に貼り付ける薄型貼付部材11の貼付位置が、被貼付部材120の内側面からせり出した複数の受手121の内部であり、通常の作業者では、薄型貼付部材11を均一に貼り付けることは困難である。
このような場合でも、生産治具60に、被貼付部材120の形状に合わせ、保持部材40の載置位置を固定的に定める第1の位置決め手段と、被貼付部材120の貼付部材11に対する貼付位置までのガイドとなる第2の位置決め手段とを設けることで、正確に、貼付部材11を被貼付部材120に貼り付けられる。
【0037】
本実施の一形態の第1の位置決め手段となる生産治具60の形状は、図示するように、左右の受手121近傍に設けられたピンと略中央に設けられた保持部材40を嵌め合いによって固定する突部71である。また、第2の位置決め手段となる生産治具60の形状は、図示するように左右の被貼付部材120に外側面と内側面に当接するテーパ形状の部分である。
【0038】
このように第2の位置決め手段が形成されている場合の第2の工程は、作業者が、生産治具60に、第2の位置決め手段と被貼付部材120の内外側面を使用して、被貼付部材120を上側から第2の位置決め手段に当接させながら所定の貼付完了位置まで押し付ける。
上記説明したように、被貼付部材120に貼り付ける薄型貼付部材11の貼付位置が貼付に困難な場所であっても、図示する生産治具60及び保持部材40を用いることで、被貼付部材120に精度良く設計された位置に薄型貼付部材11が貼り付つく。
【0039】
図11は、第4の実施の一形態を説明する概略図である。第4の実施の一形態で用いられる生産治具60及び保持部材41は、被貼付部材130の形状及び薄型貼付部材10の貼り付け位置等の寸法に基づいた形状を成す。薄型貼付部材10は、被貼付部材130の内曲面の3箇所に貼り付けられる。
【0040】
第4の実施の一形態では、被貼付部材130に貼り付ける薄型貼付部材10の貼付位置が、被貼付部材130の曲面に合わせて何らマーキングの無い位置であり、また、通常の作業者では、薄型貼付部材10を均一に貼り付けることは困難である。
このような場合でも、生産治具60に、被貼付部材130の形状に合わせ、保持部材41の載置位置を固定的に定めるアーチ形状の第1の位置決め手段と、被貼付部材130の貼付部材11に対する貼付位置までのガイドとなる第2の位置決め手段とを設けることで、正確に、貼付部材11を被貼付部材120に貼り付けられる。
【0041】
本実施の一形態の第2の位置決め手段となる生産治具60の形状は、図示するように被貼付部材130に側面に左右で当接している部分である。
【0042】
このように第2の位置決め手段が形成されている場合の第2の工程は、作業者が、生産治具60に、第2の位置決め手段と被貼付部材130の側面を使用して、被貼付部材130を上側から第2の位置決め手段に当接させながら所定の貼付完了位置まで押し付ける。
【0043】
上記説明したように、被貼付部材130に貼り付ける薄型貼付部材10の貼付位置が位置決めマーキングの無い中心部分や曲面であって貼付に困難な場所であっても、図示する生産治具60及び保持部材41を用いることで、被貼付部材130に精度良く設計された位置に薄型貼付部材10が貼り付つく。
尚、保持部材41を、生産治具60載置面に置かれたときに、曲面上に設けられた第1の位置決め手段を用いて載置面に張り付く形状としても良い。
【0044】
図12は、第5の実施の一形態を説明する概略図である。
第5の実施の一形態で用いられる生産治具60は、被貼付部材140の形状及び薄型貼付部材10の貼り付け位置等の寸法に基づいて、保持部材40の載置面61を、被貼付部材140の内側に挿入可能な縮小形状(図12(a)参照)と、薄型貼付部材10を被貼付部材140に貼り付ける位置に配置する展開形状(図12(b)参照)とに可動可能に形成する。載置面61は、操作レバー(図示せず)の作業者の操作に連動して稼動する。また、保持部材40を載置位置に保持する第1の位置決め手段として、押さえバー62を有する。薄型貼付部材10は、被貼付部材140の内側に2箇所に貼り付けられる。
【0045】
第5の実施の一形態では、被貼付部材140に貼り付ける薄型貼付部材10の貼付位置が、被貼付部材140の内側であり、通常の作業者では、薄型貼付部材10を均一に貼り付けることは困難である。
このような場合でも、生産治具60に、被貼付部材140の形状に合わせ、保持部材40の載置位置を縮小形状と展開形状の何れでも固定的に定める第1の位置決め手段と、展開形状において被貼付部材140の貼付部材10に対する貼付位置までのガイドとなる第2の位置決め手段とを設けることで、正確に、貼付部材10を被貼付部材140に貼り付けられる。
【0046】
本実施の一形態の第2の位置決め手段となる生産治具60の形状は、図示するように被貼付部材140の外側面に当接する部分である。
保持部材40は、生産治具60載置面に置かれた後、縮小形状において折り曲げられるので、折曲がり易いように折り目や切り込みを入れておいても良い。
【0047】
このように生産治具60の保持部材40の載置面を可動可能に形成されている場合、第1の工程では、作業者が、生産治具60を展開形状の載置面61に保持部材40を載置して押さえバー62で保持部材40を押さえる。
第2の工程では、作業者が操作レバーを操作して、生産治具60を展開状態から縮小状態に載置面61を可動させ、その後、縮小形状からの状態で被貼付部材140を上側から下げて、載置面61を内側に挿入した状態で、縮小状態から展開状態に載置面61を可動させて、被貼付部材140を下側に第2の位置決め手段に当接させながら所定の貼付完了位置まで押し付ける。
【0048】
上記説明したように、被貼付部材140に貼り付ける薄型貼付部材10の貼付位置が筐体の内部などの貼付に困難な場所であっても、図示する生産治具60及び保持部材40を用いることで、被貼付部材140に精度良く設計された位置に薄型貼付部材10が貼り付けられる。
【0049】
次に、携帯電話装置の筺体部品(ハウジング)に薄型貼付部材である補強部品を貼り付ける実施例を示し、本発明を説明する。
【0050】
図13は、実施例における筐体部品への貼付部品の組込み設計を示す説明図である。携帯電話装置の設計において、前面筺体部品の強度の増加させる為に、厚さ50μmの補強部品を付加する設計を行いたいとする。このような薄型貼付部材を採用することで、プラスチックの筐体の剛性を保ちつつ全体として薄型化が可能となる。
【0051】
図13に示した設計では、貼付部材の片面に設けられている接着部(両面テープ)を用いて、筺体部品に薄型貼付部材を落とし込むことで、薄型貼付部材を組み込む構造となっている。また、薄型貼付部品と筺体部品との組み込み精度は±0.1mmが設計上に規定されたとする。当該組み込み精度を維持しつつ、短時間で筐体に薄型貼付部材を組み込むことは、一般的な作業者にとって至難である。
【0052】
そこで、当該実施例では、次に記載する保持部材と生産治具を設計して用いる。
図14は、実施例における保持部材を示す説明図である。まず、補強部品に図14に示すように保持部材としてのキャリアシートを予め接着する。キャリアシートの材質は、厚さ0.2mmのPET材を用いる。キャリアシートには、図に示すように、筺体部品と補強部品との貼り付け位置に基づいて、生産治具の位置決め手段に対応した、位置合わせ穴を設ける。
また、キャリアシートに微粘着材を塗布し、補強部品へ接着することでハンドリング可能に構成する。微粘着シートの粘着力は、補強部品と筺体部品を貼り付ける両面テープよりも弱いものとする。これにより、キャリアシートを容易に引き剥がすことが可能になり、補強部品を筺体部品に貼り付けた後、キャリアシートを剥がすことによって、補強部品と筺体部品との貼付が剥がれることを防止できる。
上記のように補強部品にキャリアシートを設けることによって、補強部品に厚さと硬さを持たせることが可能となり、作業者のハンドリングを容易化できる。
【0053】
次に、生産治具を作成する。この時、組み込み精度±0.1mmを確保した寸法関係に設計する。
図15は、実施例における生産治具を示す説明図である。図15は、生産治具に筐体部品、補強部品およびキャリアシートが裁置された状態を上方から示している。また、筐体部品に隠れて視認不可能な補強部品およびキャリアシートを、説明のために筐体部品を透過して示している。
【0054】
生産治具には、図15に示すように、筺体部品の形状と補強部品の組み込み位置に基づいて設計された台座(裁置面)が設けられ、当該台座にキャリアシートの位置決め穴を用いてキャリアシートを保持する突起が設けられている。また、筺体部品の形状を利用して、筺体部品を落とし込むガイドとなる筐体位置固定部が設けられている。尚、台座の形状を筐体位置固定部の一部としてもちいても良い。
【0055】
上記生産治具とキャリアシートを用いて、筐体部品に補強部品を貼り付ける作業工程は、以下となる。
補強部品(薄型貼付部材)を台紙から剥がして掴み(この時、キャリアシート−補強部品−両面テープの構成となる)、薄型貼付部材(キャリアシート)を位置決め穴に合わせ生産治具の台座上に置く(第1の工程)。
筺体部品を生産治具の筐体位置固定部をガイドとして落とし込むと同時的に、筺体部品を台座に押し付け、補強部品を筺体部品に貼り付ける(第2の工程)。
補強部品を貼った筺体部品を生産治具から取り外して、薄型貼付部材に構成されているキャリアシートを剥がす(第3の工程)。
【0056】
以上のように薄型貼付部材にハンドリングや生産治具での位置合わせを考慮した設計を加えることで、生産工程での困難な組立作業を実現して、設計の自由度を確保している。
【0057】
次に、薄型貼付部材を複数枚重ねる実施例を説明する。
携帯電話装置等の設計において、電波対策部品として薄型貼付部材であるバスタレイド(電波吸収帯)を、薄型貼付部材である補強部品と筐体部品との間に精度良く配置したいとする。このような、貼付部材上に貼付部材を貼り付ける工程は、高度な製造技術を必要として、一般的にこのような設計は採択されない。他方、設計としては、製造上の課題のためにクリティカルな場所への対策を行なえ無いこととなり、解決の為に、余計な部材や、設計の見直しを要求される。
そこで、本実施例では、筐体部品の強度の増加に加えて、EMI対策を行なうために、筐体部品に精度良くバスタレイドを貼り付け、加えて、バスタレイドに重ねて精度良く補強部品を貼り付ける作業工程を説明する。
【0058】
上記実施例と同様に、補強部品に保持部材としてのキャリアシートを予め接着する。キャリアシートには、筺体部品と補強部品との貼り付け位置に基づいた、生産治具の位置決め手段に対応した、位置合わせ穴を設ける。また、キャリアシートに微粘着材を塗布し、補強部品へ接着することでハンドリング可能に構成する。
【0059】
次に、バスタレイドに保持部材としてのキャリアシートを予め接着する。キャリアシートには、筺体部品とバスタレイドとの貼り付け位置に基づいた、生産治具の位置決め手段に対応した、位置合わせ穴を設ける。また、キャリアシートに微粘着材を塗布し、バスタレイドへ接着することでハンドリング可能に構成する。
【0060】
それぞれのキャリアシートには、図16(a)及び(b)に例示する様に、薄型貼付部材から剥がされる方向を、作業者に認知可能に記載又は成形することが望ましい。また、筐体部品を生産治具から外す方向を治具に成形しても良い。これは、製造工程における組立精度および作業時間の均一性を図るためである。
また、薄型貼付部材の接着面からキャリアシートを所定の方向に剥がすときの剥離開始位置となる端部に、接着面に塗布する微粘着材を塗布しない非接着部を設けた場合には、非接着部方向から作業者に剥がさせるために、示すことが可能となる。また、保持部材を剥がす方向を治具に示すようにしても良い。
【0061】
次に、生産治具を作成する。生産治具には、筺体部品の形状と、バスタレイド及び補強部品の組み込み位置に基づいて、台座(裁置面)を設計し、当該台座にキャリアシートの位置決め穴を用いてキャリアシートを保持する突起を設ける。また、生産治具に、筐体部品を貼り付け完了位置までのガイドを設ける。
尚、台座に設けるキャリアシートの位置決め手段は、それぞれのキャリアシートの毎に設けても良いし、共通に使用可能なように設けても良い。
【0062】
上記生産治具と複数のキャリアシートを用いて、筐体部品にバスタレイド及び補強部品を貼り付ける作業工程は、以下となる。
生産治具に、キャリアシートの位置決め手段を使用して、先に貼り付けるバスタレイドごとバスタレイド用のキャリアシートを載置し、筐体部品の位置決め手段を使用して、筐体部品を貼付完了位置まで治具に押し付け、生産治具から筐体部品を外して、バスタレイド用のキャリアシートを除去する。
次に、後から貼り付ける補強部品ごと補強部品用のキャリアシートを載置し、筐体部品の位置決め手段を使用して、筐体部品を貼付完了位置まで治具に押し付け、生産治具から筐体部品を外して、補強部品用のキャリアシートを除去する。
【0063】
このように、2度同様な作業工程を繰返すことによって、補強部品を、バスタレイドに重ねて筐体部品に組み込むことが可能となる。同様に3度繰返せば、3枚の薄型貼付部材を貼り付けることも可能となる。
また、図17に例示するように、複数の薄型貼付部品を重ね、且つ、一部をずらしてそれぞれ筐体部品に貼り付けることも可能となる。
また、静電気対策の場合もEMI対策と同様に、付加的に静電気対策部材を貼り付けることで可能となる。
【0064】
以上の説明したように、本発明によれば、組み付け困難な作業を容易化し、これにより組み込み品質及び組み込み時間の安定化、組立作業時間の短縮が可能となる。また、複数の薄型貼付部品を貼り付けたとしても、先に貼り付けた部材を変形させずに組み込める。 即ち、本発明によれば、情報処理装置のマニュファクチュアリングによる製造時に、被貼付部材に貼付部材を精度よく安定的に短時間で貼り付けられる貼付方法を提供できる。 また、本発明によれば、EMI対策及び静電気対策等の自由度を確保可能とする情報処理装置の製造方法を提供できる。
また、作業者毎および作業毎の貼付部材の組み込み時間のバラツキが少なくなる為、貼付部材の組み付け工程に割当てる作業割当時間の予測が可能となり、製造時の当該工程に対する作業時間を策定できる。
【0065】
尚、本発明の具体的な構成は前述の実施の形態及び実施例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の変更があってもこの発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明によれば、薄型貼付部材を使用する情報処理器機の製造や保守、修繕時に、作業時間の短縮、安定化が図れる。特に、小型の筐体部品内部へのテープ材等の貼付に、効果的である。
また、情報処理装置の設計時に、薄型貼付部材の設計標準化及びこれに適合した治具設計基準の制定に用いれる。
【符号の説明】
【0067】
10 薄型貼付部材
20 接着部
30 台紙
40 保持部材
50 接着部
60 生産治具(台座)
70 位置決め部(第1の位置決め手段)
80 位置決め部(第2の位置決め手段)
100 被貼付部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、被貼付部材に対する組み付け作業が困難な貼付部材の貼付方法に関し、詳しくは、生産治具に因る作業精度の向上と、安定した薄型貼付部材の組付工法の確立に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの情報処理装置において小型化および高機能化が進み、情報処理装置の多くの製造工程で複雑且つ精度を求められるようになっている。
また、情報処理装置の製造工程のなかで、筐体部品や構造部品などに対して、多くのシート状部材やテープ状部材が粘着材(接着剤)を用いて組み付けられている。
このようなシート状部材やテープ状部材は、厚さが薄くやわらかい素材で構成されたものが多く、加えて、昨今の情報処理装置の設計において、部材の更なる薄型化が進められている。
【0003】
情報処理装置の組み付け作業工程では、一般的に貼付部材の被貼付部材との接着面に、両面テープの貼付又は接着剤が塗布されて、その上に離着可能な保護シート(台紙)が貼り付けられており、その接着面の保護シートを組立作業で剥がして、被貼付部材に貼り付けられる。この時、上記シート状部材では、被貼付部材までのハンドリング時に薄すく軟らかい為、貼付部材が寄ったり弛んだりして、貼り付けたい規定の組立基準位置に合わす事が困難である。
【0004】
上記貼付部材には、例えば、テフロン(登録商標)テープ、PETテープ、絶縁テープ、銅テープ、導電シート、フェライトシートやガスケット、バスタレイド(登録商標)と呼ばれる電波吸収帯などが挙げられる。
上記テフロンテープやPETテープは、部品や電線の固定する場合や、絶縁シートとして使用する場合などがある。
また、絶縁シートや銅テープ、導電シートは、静電気対策に用いられ、また、電波吸収帯と合わせてEMI(Electro Magnetic Interference)対策に用いられる。
尚、静電気対策やEMI対策では、試作設計後に試験を行なうため、情報処理装置の初期設計に反映できずに、製造工程において付加的に上記部品を追加することもある。加えて、情報処理装置の後継機種開発などにおいて設計変更が加えられ、上記シート状部材の追加が求められることもある。これらのEMI対策や静電気対策においては、全数検査ができない為、組立精度のバラツキを生じさせるような複雑な箇所への対策部材の組み付けを避けて作業性の良い箇所のみで対策を行なっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
マニュファクチャアにおいて、貼付部材は、厚さが薄くやわらかい素材のもので構成されているため、筺体部品に代表される被貼付部材に対する位置決めが困難である。
このため、シート状部材に代表される薄型貼付部材の組み付けは、高い作業者スキルを必要とするため作業者ごとによる作業バラツキが大きく、安定した品質、貼付部材の組み付けに割当てる作業時間等の確定が困難であった。当該要因は、マニュファクチャアにおいて、組立精度のバラツキを生じさせ、且つ、時間に対する作業性を低下させ、延いては製品品質にも悪い影響を与える要因となりえる。
【0006】
また、情報処理装置のEMI対策及び静電気対策においては、作業性の良い箇所のみで対策を行なっている為、設計の自由度が低く、加えて、クリティカルな場所への対策が行なえ無い場合がある。
【0007】
また、昨今の情報処理装置の小型化によって、作業者の手(指)自体がとどかない位置にシート状部材を貼り付ける必要性が生じ始めた。
【0008】
加えて、厚さが薄く、人間では、被貼付部材への精度を維持した貼り付けが行なえない部材が開発されており、加えて、今後の厚さが極めて薄い薄型貼付部材への製造技術の開発を行なう必要がある。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みて成されたものであり、情報処理装置のマニュファクチュアリングによる製造時に、被貼付部材に貼付部材を精度よく安定的に短時間で貼り付けられる貼付方法の提供を目的とする。
また、本発明の別の目的は、EMI対策及び静電気対策の自由度を確保可能とする情報処理装置の製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の情報処理装置製造時における貼付部材の貼付方法は、被貼付部材への接着面と、前記被貼付部材への貼付位置に基づく形状で成形された保持部材と接着している接着面とを有する貼付部材と、前記保持部材の載置位置を定める第1の位置決め手段と、前記被貼付部材の前記貼付部材に対する貼付位置までのガイドとなる第2の位置決め手段とを有する治具とを用いて、前記治具に、前記第1の位置決め手段を使用して、前記貼付部材ごと前記保持部材を載置し、前記治具に、前記第2の位置決め手段を使用して、前記被貼付部材を貼付完了位置まで押しつけ、前記治具から前記貼付部材ごと前記被貼付部材を外して保持部材を除去することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、情報処理装置製造時に、被貼付部材に貼付部材を精度よく安定的に短時間で貼り付けられる貼付方法を提供できる。
また、本発明によれば、EMI対策及び静電気対策の自由度を確保可能とする情報処理装置の製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】一般的な薄型貼付部材の荷姿設計を説明する概略図である。
【図2】第1実施の形態における薄型貼付部材の荷姿設計を説明する概略図である。
【図3】生産治具の寸法設計を説明する概略図である。
【図4】生産治具を用いた貼付工程を示した作業フローを示す工程図である。
【図5】生産治具を用いた貼付工程を説明する図である。
【図6】第2の工程の途中の状態を示す説明図である。
【図7】第3の工程の途中の状態を示す説明図である。
【図8】保持部材と薄型貼付部材との接着面を例示する概略図である。
【図9】第2の実施の一形態を説明する概略図である。
【図10】第3の実施の一形態を説明する概略図である。
【図11】第4の実施の一形態を説明する概略図である。
【図12】第5の実施の一形態を説明する概略図である。
【図13】実施例における筐体部品への貼付部品の組込み設計を示す説明図である。
【図14】実施例における保持部材を示す説明図である。
【図15】実施例における生産治具を示す説明図である。
【図16】実施例におけるキャリアシートを示す説明図である。
【図17】本発明における筐体部品への複数の薄型貼付部品の貼り付けを例示する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の一形態を図1乃至図8に基づいて説明する。尚、図面は、図を明瞭とするため、細部を簡略化又は省略する。
【0014】
図1は、一般的な薄型貼付部材10の荷姿設計を説明する概略図である。
通常、薄型貼付部材10の荷姿は、図1(a)に示す様に、被貼付部材100への接着面となる薄型貼付部材10の片面に、両面テープを貼り付けるか又は接着剤を塗布する接着部20を設け、当該接着面を保護する台紙30を貼り付けられて構成されている。また、台紙30には、多くの薄型貼付部材10が貼り付けられ、作業時に必要なだけの薄型貼付部材10が剥がされて図1(b)に例示するように貼り付けられる。
【0015】
通常行なわれている被貼付部材100に薄型貼付部材10を貼り付ける手作業では、図1(b)に示す様に、薄型貼付部材10の端部を貼り付けないで気中に出したように貼り付けることや、極僅かの隙間を空けて貼り付けることは、相当の技能を有する作業者によらなければ、不可能である。また、相当の技能を有する作業者であっても、その貼り付け精度を、設計で求められる精度内に収めるのは至難の業であり、組付制度と作業時間が安定しない。
尚、被貼付部材100および薄型貼付部材10の寸法形状、貼り付け位置、貼り付け精度は任意の設計事項である。
【0016】
図2は、本実施の形態における薄型貼付部材10の荷姿設計を説明する概略図である。 他方、本実施の形態では、薄型貼付部材10の被貼付部材100への貼り付けにあたり、所望の厚さと硬さを持たせるための荷姿設計を行う。即ち、図2に示す様に、通常構成している3つの要素に加え、作業者の保持やハンドリングが可能なように、適度な硬度と厚さを有する保持部材40を薄型貼付部材10に付加して薄型貼付部材10の荷姿設計を行なう。
【0017】
保持部材40は、薄型貼付部材10の被貼付部材100への接着面の反対面に構成し、例えば、「保持部材−両面テープ(接着層)−薄型貼付部材−両面テープ(接着層)−台紙」の順序で構成する。
保持部材40は、被貼付部材100への薄型貼付部材10の貼付位置に基づく形状で成形され、作業者によって、被貼付部材100に薄型貼付部材10ごと貼り付けられ、その後、保持部材40のみが剥がされることで、被貼付部材100に薄型貼付部材10を組み込むときの位置決めにも使用される。
保持部材40と薄型貼付部材10との接着は、離隔容易な両面テープ又は接着材、微粘着シート等で、接着部50を構成して行なう。接着力(粘着力)は、薄型貼付部材10と被貼付部材100との接着力より弱い接着力とする。
接着部50の接着力の調整には、微粘着シート等の接着力を、薄型貼付部材10と被貼付部材100を貼り付ける両面テープなどよりも弱くすれば良い。また、それぞれの接着面の面積を考慮して、少ない接着面として接着力を弱くしても良い。
【0018】
また、保持部材40には、後述する生産治具60の形状に合わせ、生産治具に乗せ置く位置を一定に定められる形状を有する。
例えば、生産治具と保持部材との位置決めを、ピンなどの突起で行なう場合には、生産治具にピンを立て、保持部材にピンの径と同一の穴を開ける。また、生産治具と保持部材との嵌め合いで行なう場合には、保持部材の外形と生産治具の載置面の形状を合わせて、生産治具に対して保持部材が固定的に保持可能とすれば良い。
【0019】
次に、生産治具60を説明する。生産治具60は、各々の部材の位置合わせと貼付を同時的に行い製造工程に使用する。
図3は、生産治具60の寸法設計を説明する概略図である。生産治具60には、保持部材40の載置位置を定めると共に、保持部材40の載置状態を固定的に保持可能とする位置決め部70を設ける。
また、生産治具60には、保持部材40を載置した場合に、設計された保持部材40と薄型貼付部材10との貼り付け位置関係から定まる生産治具60に対する薄型貼付部材10の位置に基づいて、被貼付部材100に対する薄型貼付部材10の貼り付け完了位置を想定した被貼付部材100の生産治具に対する貼付完了位置を求め、求めた位置まで、被貼付部材100をガイドする位置決め部80を設ける。
【0020】
ここでガイドとは、一般的な作業者を考慮して、組み立てる情報処理装置の組立精度(被貼付部材100に対する薄型貼付部材10の貼付精度)と貼付時間を満足できるように、面に当接させたて押し下げたり、所定の精度で開けられた穴や溝を用いて移動させたりすることを指す。
【0021】
位置決め部70間および位置決め部80間の寸法形状は、上述の通り、保持部材40および被貼付部材100の構造で定まる。換言すれば、被貼付部材100に対する薄型貼付部材10の貼り付け位置の寸法から定まる。
尚、図示した位置決め部70および位置決め部80の形状は、例示したものであり、被貼付部材100および薄型貼付部材10の寸法形状、貼り付け位置、貼り付け精度によって変化する。また、断面図を用いて平面的に説明しているが、被貼付部材100及び薄型貼付部材10の立体形状に基づいて、立体的に、生産治具60及び保持部材40の設計を行なう。
以上の手段により、本発明は、組付作業が困難な薄型貼付部材を被貼付部材に精度良く安定的に貼り付けられる作業工程を確立する。
【0022】
次に、上記生産治具60を用いて、被貼付部材100に荷姿設計された薄型貼付部材10を組み付ける作業工程を説明する。
図4は、生産治具60を用いた貼付工程を示した作業フローを示す工程図である。図5は、生産治具60を用いた貼付工程を説明する図である。図6は、第2の工程の途中の状態を示す説明図である。図7は、第3の工程の途中の状態を示す説明図である。
【0023】
作業工程は、生産治具60、被貼付部材100および薄型貼付部材10を準備して開始する。
まず、作業者によって、生産治具60に、台紙30が剥がされた薄型貼付部材10を、被貼付部材100との接着面を上に向けて、保持部材40に設けられている位置決め形状と位置決め部70を使用して乗せる(第1の工程)。
【0024】
次に、図6に示すように、生産治具60に、位置決め部80と被貼付部材100の内側面を使用して、被貼付部材100を上方から下方に下げて所定の貼付完了位置まで押し付ける(第2の工程)。
当該第2の工程によって、生産治具60および保持部材40によって支えられた薄型貼付部材10の上方の接着面(接着部20)が、被貼付部材100から押下され、生産治具60および保持部材40の寸法に基づいて、被貼付部材100に精度良く設計された位置に貼り付つく。
尚、位置決め部80は、生産治具60を被貼付部材100の形状に対応させて作成するにあたって、図示したように被貼付部材100の内側面を用いるようにしても良いし、被貼付部材100の外側面を用いるようにしても良い。また、被貼付部材100の外側面と内側面の組合せを用いても良い。
【0025】
次に、図7に示すように、生産治具60から、被貼付部材100及び薄型貼付部材10を外して 薄型貼付部材10の下方の接着面(接着部50)から保持部材40を取り除く(第3の工程)。
【0026】
尚、上記3工程は、1人の作業員で行なっても良いし、副数人の作業員にて行なっても良い。
【0027】
また、保持部材40の除去は、作業者によって被貼付部材100(薄型貼付部材10)から剥がせばよい。このとき、作業者によって保持部材40を剥がす方向を規定することが望ましい。
これは、保持部材40を剥がす方向によって、被貼付部材100に貼りついている薄型貼付部材10が剥がれやすかったり、貼りついている薄型貼付部材10の貼り付き状態(形状)を変えてしまうことがあるためである。
【0028】
また、薄型貼付部材10の保持部材40と接着している接着面に、薄型貼付部材10及び保持部材40の剥離開始位置となる端部(接着部50の端部)に、規定された保持部材40を剥がす方向から定まる接着面に塗布する微粘着材を塗布しない非接着部(非塗布部)を設けて、薄型貼付部材10の接着面から保持部材40を剥がしやすくしても良い。また、両面テープを用いる場合には、両面テープを成形して非接着部を設けても良い。また、非接着部は、図8に示すように、剥がれ易い形状に成形してしても良い。
【0029】
また、更に作業時間を短縮したい場合には、生産治具60から保持部材40を取り外す力を、薄型貼付部材10と保持部材40との接着力より強い力に、設定して、生産治具60から被貼付部材100を外すと同時的に保持部材40が剥がれて生産治具60に残るようにしても良い。
生産治具60から保持部材40を取り外す力の調節には、接触面に複数回離着可能な両面テープを配置しても良いし、吸盤を使用しても良いし、グリス等の粘着材を用いても良いし、突起に反しを設けても良い。
【0030】
以上の説明したように、本実施の形態によれば、組立困難な作業を容易化し、これにより組立品質の安定化、および組立作業時間の短縮可能となる。
【0031】
次に、複数の図を示し、他の実施の一形態を説明する。
図9は、第2の実施の一形態を説明する概略図である。第2の実施の一形態で用いられる生産治具60及び保持部材40は、被貼付部材110の形状及び薄型貼付部材10の貼り付け位置等の寸法に基づいた形状を成す。
【0032】
尚、第2の実施の一形態では、被貼付部材110に貼り付ける薄型貼付部材10の貼付位置が、開口部の内側にあり、通常の作業者では、貼付が困難な位置にある。
このような場合でも、生産治具60に、被貼付部材110の形状に合わせ、保持部材40の載置位置を固定的に定める第1の位置決め手段と、被貼付部材110の貼付部材10に対する貼付位置までのガイドとなる第2の位置決め手段とを設けることで、正確かつ安定的に、貼付部材10を被貼付部材110に貼り付けられる。
【0033】
本実施の一形態の第2の位置決め手段となる生産治具60の形状は、図示するように右側の被貼付部材110の外側面と当接する部分と、左側の被貼付部材110に内側面と当接する部分である。
このように第2の位置決め手段が形成されている場合の第2の工程は、作業者が、生産治具60に、第2の位置決め手段と被貼付部材110の内外側面を使用して、被貼付部材110を左側から第2の位置決め手段に当接させた後に下方の所定の貼付完了位置まで押し付ける。
【0034】
上記説明したように、被貼付部材110に貼り付ける薄型貼付部材10の貼付位置が貼付に困難な場所であっても、図示する生産治具60及び保持部材40を用いることで、被貼付部材110に精度良く設計された位置に薄型貼付部材10が貼り付つく。
また、生産治具60は、横に立てて使用しても良く、第2の実施の一形態の場合は、右側に90度回転させて使用することで、作業効率が上がる。
【0035】
図10は、第3の実施の一形態を説明する概略図である。第3の実施の一形態で用いられる生産治具60及び保持部材40は、被貼付部材120の形状及び薄型貼付部材11の貼り付け位置等の寸法に基づいた形状を成す。薄型貼付部材11は、ループ形状をしており、図の右側と左側の薄型貼付部材11は同一部品である。
【0036】
第3の実施の一形態では、被貼付部材120に貼り付ける薄型貼付部材11の貼付位置が、被貼付部材120の内側面からせり出した複数の受手121の内部であり、通常の作業者では、薄型貼付部材11を均一に貼り付けることは困難である。
このような場合でも、生産治具60に、被貼付部材120の形状に合わせ、保持部材40の載置位置を固定的に定める第1の位置決め手段と、被貼付部材120の貼付部材11に対する貼付位置までのガイドとなる第2の位置決め手段とを設けることで、正確に、貼付部材11を被貼付部材120に貼り付けられる。
【0037】
本実施の一形態の第1の位置決め手段となる生産治具60の形状は、図示するように、左右の受手121近傍に設けられたピンと略中央に設けられた保持部材40を嵌め合いによって固定する突部71である。また、第2の位置決め手段となる生産治具60の形状は、図示するように左右の被貼付部材120に外側面と内側面に当接するテーパ形状の部分である。
【0038】
このように第2の位置決め手段が形成されている場合の第2の工程は、作業者が、生産治具60に、第2の位置決め手段と被貼付部材120の内外側面を使用して、被貼付部材120を上側から第2の位置決め手段に当接させながら所定の貼付完了位置まで押し付ける。
上記説明したように、被貼付部材120に貼り付ける薄型貼付部材11の貼付位置が貼付に困難な場所であっても、図示する生産治具60及び保持部材40を用いることで、被貼付部材120に精度良く設計された位置に薄型貼付部材11が貼り付つく。
【0039】
図11は、第4の実施の一形態を説明する概略図である。第4の実施の一形態で用いられる生産治具60及び保持部材41は、被貼付部材130の形状及び薄型貼付部材10の貼り付け位置等の寸法に基づいた形状を成す。薄型貼付部材10は、被貼付部材130の内曲面の3箇所に貼り付けられる。
【0040】
第4の実施の一形態では、被貼付部材130に貼り付ける薄型貼付部材10の貼付位置が、被貼付部材130の曲面に合わせて何らマーキングの無い位置であり、また、通常の作業者では、薄型貼付部材10を均一に貼り付けることは困難である。
このような場合でも、生産治具60に、被貼付部材130の形状に合わせ、保持部材41の載置位置を固定的に定めるアーチ形状の第1の位置決め手段と、被貼付部材130の貼付部材11に対する貼付位置までのガイドとなる第2の位置決め手段とを設けることで、正確に、貼付部材11を被貼付部材120に貼り付けられる。
【0041】
本実施の一形態の第2の位置決め手段となる生産治具60の形状は、図示するように被貼付部材130に側面に左右で当接している部分である。
【0042】
このように第2の位置決め手段が形成されている場合の第2の工程は、作業者が、生産治具60に、第2の位置決め手段と被貼付部材130の側面を使用して、被貼付部材130を上側から第2の位置決め手段に当接させながら所定の貼付完了位置まで押し付ける。
【0043】
上記説明したように、被貼付部材130に貼り付ける薄型貼付部材10の貼付位置が位置決めマーキングの無い中心部分や曲面であって貼付に困難な場所であっても、図示する生産治具60及び保持部材41を用いることで、被貼付部材130に精度良く設計された位置に薄型貼付部材10が貼り付つく。
尚、保持部材41を、生産治具60載置面に置かれたときに、曲面上に設けられた第1の位置決め手段を用いて載置面に張り付く形状としても良い。
【0044】
図12は、第5の実施の一形態を説明する概略図である。
第5の実施の一形態で用いられる生産治具60は、被貼付部材140の形状及び薄型貼付部材10の貼り付け位置等の寸法に基づいて、保持部材40の載置面61を、被貼付部材140の内側に挿入可能な縮小形状(図12(a)参照)と、薄型貼付部材10を被貼付部材140に貼り付ける位置に配置する展開形状(図12(b)参照)とに可動可能に形成する。載置面61は、操作レバー(図示せず)の作業者の操作に連動して稼動する。また、保持部材40を載置位置に保持する第1の位置決め手段として、押さえバー62を有する。薄型貼付部材10は、被貼付部材140の内側に2箇所に貼り付けられる。
【0045】
第5の実施の一形態では、被貼付部材140に貼り付ける薄型貼付部材10の貼付位置が、被貼付部材140の内側であり、通常の作業者では、薄型貼付部材10を均一に貼り付けることは困難である。
このような場合でも、生産治具60に、被貼付部材140の形状に合わせ、保持部材40の載置位置を縮小形状と展開形状の何れでも固定的に定める第1の位置決め手段と、展開形状において被貼付部材140の貼付部材10に対する貼付位置までのガイドとなる第2の位置決め手段とを設けることで、正確に、貼付部材10を被貼付部材140に貼り付けられる。
【0046】
本実施の一形態の第2の位置決め手段となる生産治具60の形状は、図示するように被貼付部材140の外側面に当接する部分である。
保持部材40は、生産治具60載置面に置かれた後、縮小形状において折り曲げられるので、折曲がり易いように折り目や切り込みを入れておいても良い。
【0047】
このように生産治具60の保持部材40の載置面を可動可能に形成されている場合、第1の工程では、作業者が、生産治具60を展開形状の載置面61に保持部材40を載置して押さえバー62で保持部材40を押さえる。
第2の工程では、作業者が操作レバーを操作して、生産治具60を展開状態から縮小状態に載置面61を可動させ、その後、縮小形状からの状態で被貼付部材140を上側から下げて、載置面61を内側に挿入した状態で、縮小状態から展開状態に載置面61を可動させて、被貼付部材140を下側に第2の位置決め手段に当接させながら所定の貼付完了位置まで押し付ける。
【0048】
上記説明したように、被貼付部材140に貼り付ける薄型貼付部材10の貼付位置が筐体の内部などの貼付に困難な場所であっても、図示する生産治具60及び保持部材40を用いることで、被貼付部材140に精度良く設計された位置に薄型貼付部材10が貼り付けられる。
【0049】
次に、携帯電話装置の筺体部品(ハウジング)に薄型貼付部材である補強部品を貼り付ける実施例を示し、本発明を説明する。
【0050】
図13は、実施例における筐体部品への貼付部品の組込み設計を示す説明図である。携帯電話装置の設計において、前面筺体部品の強度の増加させる為に、厚さ50μmの補強部品を付加する設計を行いたいとする。このような薄型貼付部材を採用することで、プラスチックの筐体の剛性を保ちつつ全体として薄型化が可能となる。
【0051】
図13に示した設計では、貼付部材の片面に設けられている接着部(両面テープ)を用いて、筺体部品に薄型貼付部材を落とし込むことで、薄型貼付部材を組み込む構造となっている。また、薄型貼付部品と筺体部品との組み込み精度は±0.1mmが設計上に規定されたとする。当該組み込み精度を維持しつつ、短時間で筐体に薄型貼付部材を組み込むことは、一般的な作業者にとって至難である。
【0052】
そこで、当該実施例では、次に記載する保持部材と生産治具を設計して用いる。
図14は、実施例における保持部材を示す説明図である。まず、補強部品に図14に示すように保持部材としてのキャリアシートを予め接着する。キャリアシートの材質は、厚さ0.2mmのPET材を用いる。キャリアシートには、図に示すように、筺体部品と補強部品との貼り付け位置に基づいて、生産治具の位置決め手段に対応した、位置合わせ穴を設ける。
また、キャリアシートに微粘着材を塗布し、補強部品へ接着することでハンドリング可能に構成する。微粘着シートの粘着力は、補強部品と筺体部品を貼り付ける両面テープよりも弱いものとする。これにより、キャリアシートを容易に引き剥がすことが可能になり、補強部品を筺体部品に貼り付けた後、キャリアシートを剥がすことによって、補強部品と筺体部品との貼付が剥がれることを防止できる。
上記のように補強部品にキャリアシートを設けることによって、補強部品に厚さと硬さを持たせることが可能となり、作業者のハンドリングを容易化できる。
【0053】
次に、生産治具を作成する。この時、組み込み精度±0.1mmを確保した寸法関係に設計する。
図15は、実施例における生産治具を示す説明図である。図15は、生産治具に筐体部品、補強部品およびキャリアシートが裁置された状態を上方から示している。また、筐体部品に隠れて視認不可能な補強部品およびキャリアシートを、説明のために筐体部品を透過して示している。
【0054】
生産治具には、図15に示すように、筺体部品の形状と補強部品の組み込み位置に基づいて設計された台座(裁置面)が設けられ、当該台座にキャリアシートの位置決め穴を用いてキャリアシートを保持する突起が設けられている。また、筺体部品の形状を利用して、筺体部品を落とし込むガイドとなる筐体位置固定部が設けられている。尚、台座の形状を筐体位置固定部の一部としてもちいても良い。
【0055】
上記生産治具とキャリアシートを用いて、筐体部品に補強部品を貼り付ける作業工程は、以下となる。
補強部品(薄型貼付部材)を台紙から剥がして掴み(この時、キャリアシート−補強部品−両面テープの構成となる)、薄型貼付部材(キャリアシート)を位置決め穴に合わせ生産治具の台座上に置く(第1の工程)。
筺体部品を生産治具の筐体位置固定部をガイドとして落とし込むと同時的に、筺体部品を台座に押し付け、補強部品を筺体部品に貼り付ける(第2の工程)。
補強部品を貼った筺体部品を生産治具から取り外して、薄型貼付部材に構成されているキャリアシートを剥がす(第3の工程)。
【0056】
以上のように薄型貼付部材にハンドリングや生産治具での位置合わせを考慮した設計を加えることで、生産工程での困難な組立作業を実現して、設計の自由度を確保している。
【0057】
次に、薄型貼付部材を複数枚重ねる実施例を説明する。
携帯電話装置等の設計において、電波対策部品として薄型貼付部材であるバスタレイド(電波吸収帯)を、薄型貼付部材である補強部品と筐体部品との間に精度良く配置したいとする。このような、貼付部材上に貼付部材を貼り付ける工程は、高度な製造技術を必要として、一般的にこのような設計は採択されない。他方、設計としては、製造上の課題のためにクリティカルな場所への対策を行なえ無いこととなり、解決の為に、余計な部材や、設計の見直しを要求される。
そこで、本実施例では、筐体部品の強度の増加に加えて、EMI対策を行なうために、筐体部品に精度良くバスタレイドを貼り付け、加えて、バスタレイドに重ねて精度良く補強部品を貼り付ける作業工程を説明する。
【0058】
上記実施例と同様に、補強部品に保持部材としてのキャリアシートを予め接着する。キャリアシートには、筺体部品と補強部品との貼り付け位置に基づいた、生産治具の位置決め手段に対応した、位置合わせ穴を設ける。また、キャリアシートに微粘着材を塗布し、補強部品へ接着することでハンドリング可能に構成する。
【0059】
次に、バスタレイドに保持部材としてのキャリアシートを予め接着する。キャリアシートには、筺体部品とバスタレイドとの貼り付け位置に基づいた、生産治具の位置決め手段に対応した、位置合わせ穴を設ける。また、キャリアシートに微粘着材を塗布し、バスタレイドへ接着することでハンドリング可能に構成する。
【0060】
それぞれのキャリアシートには、図16(a)及び(b)に例示する様に、薄型貼付部材から剥がされる方向を、作業者に認知可能に記載又は成形することが望ましい。また、筐体部品を生産治具から外す方向を治具に成形しても良い。これは、製造工程における組立精度および作業時間の均一性を図るためである。
また、薄型貼付部材の接着面からキャリアシートを所定の方向に剥がすときの剥離開始位置となる端部に、接着面に塗布する微粘着材を塗布しない非接着部を設けた場合には、非接着部方向から作業者に剥がさせるために、示すことが可能となる。また、保持部材を剥がす方向を治具に示すようにしても良い。
【0061】
次に、生産治具を作成する。生産治具には、筺体部品の形状と、バスタレイド及び補強部品の組み込み位置に基づいて、台座(裁置面)を設計し、当該台座にキャリアシートの位置決め穴を用いてキャリアシートを保持する突起を設ける。また、生産治具に、筐体部品を貼り付け完了位置までのガイドを設ける。
尚、台座に設けるキャリアシートの位置決め手段は、それぞれのキャリアシートの毎に設けても良いし、共通に使用可能なように設けても良い。
【0062】
上記生産治具と複数のキャリアシートを用いて、筐体部品にバスタレイド及び補強部品を貼り付ける作業工程は、以下となる。
生産治具に、キャリアシートの位置決め手段を使用して、先に貼り付けるバスタレイドごとバスタレイド用のキャリアシートを載置し、筐体部品の位置決め手段を使用して、筐体部品を貼付完了位置まで治具に押し付け、生産治具から筐体部品を外して、バスタレイド用のキャリアシートを除去する。
次に、後から貼り付ける補強部品ごと補強部品用のキャリアシートを載置し、筐体部品の位置決め手段を使用して、筐体部品を貼付完了位置まで治具に押し付け、生産治具から筐体部品を外して、補強部品用のキャリアシートを除去する。
【0063】
このように、2度同様な作業工程を繰返すことによって、補強部品を、バスタレイドに重ねて筐体部品に組み込むことが可能となる。同様に3度繰返せば、3枚の薄型貼付部材を貼り付けることも可能となる。
また、図17に例示するように、複数の薄型貼付部品を重ね、且つ、一部をずらしてそれぞれ筐体部品に貼り付けることも可能となる。
また、静電気対策の場合もEMI対策と同様に、付加的に静電気対策部材を貼り付けることで可能となる。
【0064】
以上の説明したように、本発明によれば、組み付け困難な作業を容易化し、これにより組み込み品質及び組み込み時間の安定化、組立作業時間の短縮が可能となる。また、複数の薄型貼付部品を貼り付けたとしても、先に貼り付けた部材を変形させずに組み込める。 即ち、本発明によれば、情報処理装置のマニュファクチュアリングによる製造時に、被貼付部材に貼付部材を精度よく安定的に短時間で貼り付けられる貼付方法を提供できる。 また、本発明によれば、EMI対策及び静電気対策等の自由度を確保可能とする情報処理装置の製造方法を提供できる。
また、作業者毎および作業毎の貼付部材の組み込み時間のバラツキが少なくなる為、貼付部材の組み付け工程に割当てる作業割当時間の予測が可能となり、製造時の当該工程に対する作業時間を策定できる。
【0065】
尚、本発明の具体的な構成は前述の実施の形態及び実施例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の変更があってもこの発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明によれば、薄型貼付部材を使用する情報処理器機の製造や保守、修繕時に、作業時間の短縮、安定化が図れる。特に、小型の筐体部品内部へのテープ材等の貼付に、効果的である。
また、情報処理装置の設計時に、薄型貼付部材の設計標準化及びこれに適合した治具設計基準の制定に用いれる。
【符号の説明】
【0067】
10 薄型貼付部材
20 接着部
30 台紙
40 保持部材
50 接着部
60 生産治具(台座)
70 位置決め部(第1の位置決め手段)
80 位置決め部(第2の位置決め手段)
100 被貼付部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被貼付部材への接着面と、前記被貼付部材への貼付位置に基づく形状で成形された保持部材と接着している接着面とを有する貼付部材と、
前記保持部材の載置位置を定める第1の位置決め手段と、前記被貼付部材の前記貼付部材に対する貼付位置までのガイドとなる第2の位置決め手段とを有する治具と
を用いて、
前記治具に、前記第1の位置決め手段を使用して、前記貼付部材ごと前記保持部材を載置し、
前記治具に、前記第2の位置決め手段を使用して、前記被貼付部材を貼付完了位置まで押し付け、
前記治具から前記貼付部材ごと前記被貼付部材を外して保持部材を除去する
ことを特徴とする情報処理装置製造時の貼付部材の貼付方法。
【請求項2】
前記被貼付部材及び/又は前記貼付部材への接着面と、前記被貼付部材及び/又は前記貼付部材への貼付位置に基づく形状で成形された第2の保持部材と接着している接着面とを有する前記貼付部材に重ねて貼り付けられる第2の貼付部材と、
前記治具に、前記第2の保持部材の載置位置を定める第3の位置決め手段を設け、
前記第2の位置決め手段は、前記被貼付部材及び/又は前記貼付部材の前記第2の貼付部材に対する貼付位置までのガイドとなり、
前記被貼付部材に前記貼付部材を貼付後、前記治具に、前記第3の位置決め手段を使用して、前記第2の貼付部材ごと前記第2の保持部材を載置し、
前記治具に、前記第2の位置決め手段を使用して、前記貼付部材が貼り付けられた被貼付部材を貼付完了位置まで押し付け、
前記治具から前記第2の貼付部材ごと前記被貼付部材を外して保持部材を除去する
ことを特徴とする請求項1記載の貼付部材の貼付方法。
【請求項3】
被貼付部材への接着面となる第1の接着面と、前記第1の接着面による前記貼付部材との接着力より弱い接着力で、前記被貼付部材への貼付位置に基づく形状で成形された保持部材と接着している第2の接着面とを有する薄型貼付部材と、
前記保持部材の載置位置を定める第1の位置決め手段と、前記第1の位置決め手段で定まる前記保持部材の載置位置から定まる前記薄型貼付部材の位置に基づき、前記被貼付部材の前記薄型貼付部材に対する貼付完了位置までのガイドとなる第2の位置決め手段とを有する治具と、
を用いて、
前記治具に、前記第1の位置決め手段を使用して、前記保持部材が貼り付けられた前記薄型貼付部材を載置し、
前記治具に、前記第2の位置決め手段を使用して、前記被貼付部材を貼付完了位置まで押し付けることにより、前記被貼付部材に、前記薄型貼付部材の第1の接着面を貼り付け、
前記治具から前記被貼付部材及び前記保持部材が貼り付けられた前記薄型貼付部材を外し、
前記薄型貼付部材の第2の接着面から前記保持部材を剥がす
ことを特徴とする情報処理装置製造時の薄型貼付部材の貼付方法。
【請求項4】
前記治具の前記第1の位置決め手段は、前記保持部材に設ける位置決め穴に対応させた前記治具の前記保持部材が載置される面上に設けられた突起を用いることを特徴とする請求項3記載の薄型貼付部材の貼付方法。
【請求項5】
前記治具の前記第2の位置決め手段は、前記治具の形状を、前記被貼付部材の側面をガイドする形状に形成して用いることを特徴とする請求項3又は4に記載の薄型貼付部材の貼付方法。
【請求項6】
前記治具の前記第2の位置決め手段は、前記治具の形状を、前記被貼付部材の内側面又は外側面をガイドする形状に形成して用いることを特徴とする請求項3又は4に記載の薄型貼付部材の貼付方法。
【請求項7】
前記治具の前記第2の位置決め手段は、前記治具の形状を、前記被貼付部材の外側面と内側面の組合せをガイドする形状に形成して用いることを特徴とする請求項3又は4に記載の薄型貼付部材の貼付方法。
【請求項8】
前記治具の前記保持部材の載置面をアーチ形状に形成して用いることを特徴とする請求項3ないし7の何れか一記載の薄型貼付部材の貼付方法。
【請求項9】
前記治具の前記保持部材の載置面を、前記被貼付部材の内側に挿入可能な縮小形状と、前記薄型貼付部材を前記被貼付部材に貼り付ける位置に配置する展開形状とに可動可能に形成し、
前記保持部材が貼り付けられた前記薄型貼付部材を載置後、前記治具を縮小形状の状態で前記被貼付部材の内側に挿入し、
挿入後に前記治具を展開形状の状態として、前記第2の位置決め手段を使用して、前記治具に前記被貼付部材を貼付完了位置まで押し付ける
ことを特徴とする請求項3ないし8の何れか一記載の薄型貼付部材の貼付方法。
【請求項10】
前記被貼付部材及び/又は前記薄型貼付部材への第1の接着面と、前記被貼付部材及び/又は前記薄型貼付部材への貼付位置に基づく形状で成形された第2の保持部材と接着している第2の接着面とを有する前記薄型貼付部材に重ねて貼り付けられる第2の薄型貼付部材と、
前記治具に、前記第2の保持部材の載置位置を定める第3の位置決め手段を設け、
前記第2の位置決め手段は、前記被貼付部材及び/又は前記薄型貼付部材の前記第2の薄型貼付部材に対する貼付位置までのガイドとなり、
前記被貼付部材に前記薄型貼付部材を貼付後、前記治具に、前記第3の位置決め手段を使用して、前記第2の保持部材が貼り付けられた前記第2の薄型貼付部材を載置し、
前記治具に、前記第2の位置決め手段を使用して、前記薄型貼付部材が貼り付けられた被貼付部材を第2の貼付完了位置まで押し付けることにより、前記被貼付部材に、前記第2の薄型貼付部材の第1の接着面を貼り付け、
前記治具から前記被貼付部材及び前記第2の保持部材が貼り付けられた前記第2の薄型貼付部材を外し、
前記第2の薄型貼付部材の第2の接着面から前記第2の保持部材を剥がす
ことを特徴とする請求項3ないし9の何れか一記載の薄型貼付部材の貼付方法。
【請求項11】
前記薄型貼付部材及び/又は第2の薄型貼付部材がそれぞれの保持部材と接着している第2の接着面の接着力の調整に、前記薄型貼付部材及び/又は第2の薄型貼付部材とそれぞれの保持部材との剥離開始位置となる端部に、接着面に塗布する微粘着材を塗布しない非塗布部を設けて、
所定の方向から、前記薄型貼付部材の第2の接着面及び/又は第2の薄型貼付部材の第2の接着面からそれぞれの保持部材を剥がしやすくする
ことを特徴とする請求項3ないし10の何れか一記載の薄型貼付部材の貼付方法。
【請求項12】
被貼付部材への接着面と、前記被貼付部材への貼付位置に基づく形状で成形された保持部材と接着している接着面とを有する貼付部材を、前記保持部材ごと載置可能とすると共に、前記被貼付部材が貼付完了位置まで押し付けられて、前記貼付部材が前記被貼付部材に貼り付くときの台座となる載置面と、
前記保持部材を前記載置面での所定の位置に固定的に保持する第1の位置決め手段と、
前記被貼付部材の前記貼付部材に対する貼付位置までのガイドとなる第2の位置決め手段と
を有することを特徴とする情報処理装置の生産治具。
【請求項13】
前記載置面は、前記被貼付部材に対する貼付部材の貼付位置に基づく形状を成す複数種類の保持部材に対応する形状を成し、
前記第1の位置決め手段は、前記複数種類の保持部材を、固定的に保持可能とする
ことを特徴とする請求項12記載の生産治具。
【請求項14】
被貼付部材への接着面となる第1の接着面と、前記第1の接着面による前記貼付部材との接着力より弱い接着力で、前記被貼付部材への貼付位置に基づく形状で成形された保持部材と接着している第2の接着面とを有する薄型貼付部材を、前記保持部材を用いて載置可能とすると共に、前記被貼付部材が貼付完了位置まで押し付けられて、前記薄型貼付部材の第1の接着面が前記被貼付部材に貼り付くときの台座となる載置面と、
前記保持部材を保持することによって、前記第2の接着面を介して張付いている前記薄型貼付部材を、前記被貼付部材の貼付完了位置における貼り付け位置に保持する第1の位置決め手段と、
前記第1の位置決め手段で定まる前記保持部材の載置位置から定まる前記薄型貼付部材の位置に基づき、前記被貼付部材の前記薄型貼付部材に対する貼付完了位置までのガイドとなる第2の位置決め手段と
を有することを特徴とする情報処理装置の生産治具。
【請求項15】
前記第1の位置決め手段は、前記保持部材に設けられた位置決め穴に対応した前記載置面上に設けられた突起を用いる
ことを特徴とする請求項14記載の生産治具。
【請求項16】
前記第2の位置決め手段は、前記被貼付部材の形状に対応させて、前記被貼付部材を接触させながら前記貼付完了位置までスライド可能な形状である
ことを特徴とする請求項14又は15に記載の生産治具。
【請求項17】
前記載置面を、前記被貼付部材に対する曲面への薄型貼付部材の貼り付け位置に対応させて、アーチ形状に形成する
ことを特徴とする請求項14ないし16の何れか一記載の生産治具。
【請求項18】
前記載置面に、空気抜き手段を設ける
ことを特徴とする請求項14ないし17の何れか一記載の生産治具。
【請求項19】
前記載置面を、前記被貼付部材の内側に挿入可能な縮小形状と、前記薄型貼付部材を前記被貼付部材に貼り付ける位置に配置する展開形状とに可動可能に形成し、
前記保持部材が貼り付けられた前記薄型貼付部材を載置後、前記治具を縮小形状の状態で前記被貼付部材の内側に挿入して、挿入後に前記治具を展開形状の状態として、前記第2の位置決め手段を使用して、前記治具に前記被貼付部材を貼付完了位置まで押し付けることを可能とする
ことを特徴とする請求項14ないし18の何れか一記載の生産治具。
【請求項20】
前記載置面は、前記被貼付部材に対する第1の貼付部材の貼付位置に基づく形状を成す第1の保持部材に対応する形状を成すと共に、
前記被貼付部材に対して前記第1の貼付部材の後に、前記第1の貼付部材に重ねられて貼り付ける第2の貼付部材の貼付位置に基づく形状を成す第2の保持部材に対応する形状を成し、
前記第1の位置決め手段は、前記第1及び第2の保持部材を、固定的に保持可能とする
ことを特徴とする請求項14ないし19の何れか一記載の生産治具。
【請求項21】
前記第1及び/又は第2の薄型貼付部材の第2の接着面から、前記第1及び/又は第2の保持部材を所定の方向に剥がすときの剥離開始位置となる接着面の端部に、非接着部を設けると共に、前記保持部材を剥がす方向を示す
ことを特徴とする請求項14ないし20の何れか一記載の生産治具。
【請求項22】
請求項21に記載の前記第1及び/又は第2の保持部材であって、
前記第1及び/又は第2の薄型貼付部材から剥がされる方向を、作業者に認知可能に記載又は成形される
ことを特徴とする情報処理装置に用いられる薄型貼付部材の保持部材。
【請求項23】
請求項1ないし11に記載された貼付方法を用いて、静電気対策部材又はEMI対策部材である貼付部材を貼り付けて製造された情報処理装置。
【請求項24】
マニュファクチュアリングによる製造の一工程である貼付部材の組み付け工程に割当てる作業割当時間を、請求項1ないし11に記載された貼付方法を用いることによって、規定可能とする作業時間策定方法。
【請求項1】
被貼付部材への接着面と、前記被貼付部材への貼付位置に基づく形状で成形された保持部材と接着している接着面とを有する貼付部材と、
前記保持部材の載置位置を定める第1の位置決め手段と、前記被貼付部材の前記貼付部材に対する貼付位置までのガイドとなる第2の位置決め手段とを有する治具と
を用いて、
前記治具に、前記第1の位置決め手段を使用して、前記貼付部材ごと前記保持部材を載置し、
前記治具に、前記第2の位置決め手段を使用して、前記被貼付部材を貼付完了位置まで押し付け、
前記治具から前記貼付部材ごと前記被貼付部材を外して保持部材を除去する
ことを特徴とする情報処理装置製造時の貼付部材の貼付方法。
【請求項2】
前記被貼付部材及び/又は前記貼付部材への接着面と、前記被貼付部材及び/又は前記貼付部材への貼付位置に基づく形状で成形された第2の保持部材と接着している接着面とを有する前記貼付部材に重ねて貼り付けられる第2の貼付部材と、
前記治具に、前記第2の保持部材の載置位置を定める第3の位置決め手段を設け、
前記第2の位置決め手段は、前記被貼付部材及び/又は前記貼付部材の前記第2の貼付部材に対する貼付位置までのガイドとなり、
前記被貼付部材に前記貼付部材を貼付後、前記治具に、前記第3の位置決め手段を使用して、前記第2の貼付部材ごと前記第2の保持部材を載置し、
前記治具に、前記第2の位置決め手段を使用して、前記貼付部材が貼り付けられた被貼付部材を貼付完了位置まで押し付け、
前記治具から前記第2の貼付部材ごと前記被貼付部材を外して保持部材を除去する
ことを特徴とする請求項1記載の貼付部材の貼付方法。
【請求項3】
被貼付部材への接着面となる第1の接着面と、前記第1の接着面による前記貼付部材との接着力より弱い接着力で、前記被貼付部材への貼付位置に基づく形状で成形された保持部材と接着している第2の接着面とを有する薄型貼付部材と、
前記保持部材の載置位置を定める第1の位置決め手段と、前記第1の位置決め手段で定まる前記保持部材の載置位置から定まる前記薄型貼付部材の位置に基づき、前記被貼付部材の前記薄型貼付部材に対する貼付完了位置までのガイドとなる第2の位置決め手段とを有する治具と、
を用いて、
前記治具に、前記第1の位置決め手段を使用して、前記保持部材が貼り付けられた前記薄型貼付部材を載置し、
前記治具に、前記第2の位置決め手段を使用して、前記被貼付部材を貼付完了位置まで押し付けることにより、前記被貼付部材に、前記薄型貼付部材の第1の接着面を貼り付け、
前記治具から前記被貼付部材及び前記保持部材が貼り付けられた前記薄型貼付部材を外し、
前記薄型貼付部材の第2の接着面から前記保持部材を剥がす
ことを特徴とする情報処理装置製造時の薄型貼付部材の貼付方法。
【請求項4】
前記治具の前記第1の位置決め手段は、前記保持部材に設ける位置決め穴に対応させた前記治具の前記保持部材が載置される面上に設けられた突起を用いることを特徴とする請求項3記載の薄型貼付部材の貼付方法。
【請求項5】
前記治具の前記第2の位置決め手段は、前記治具の形状を、前記被貼付部材の側面をガイドする形状に形成して用いることを特徴とする請求項3又は4に記載の薄型貼付部材の貼付方法。
【請求項6】
前記治具の前記第2の位置決め手段は、前記治具の形状を、前記被貼付部材の内側面又は外側面をガイドする形状に形成して用いることを特徴とする請求項3又は4に記載の薄型貼付部材の貼付方法。
【請求項7】
前記治具の前記第2の位置決め手段は、前記治具の形状を、前記被貼付部材の外側面と内側面の組合せをガイドする形状に形成して用いることを特徴とする請求項3又は4に記載の薄型貼付部材の貼付方法。
【請求項8】
前記治具の前記保持部材の載置面をアーチ形状に形成して用いることを特徴とする請求項3ないし7の何れか一記載の薄型貼付部材の貼付方法。
【請求項9】
前記治具の前記保持部材の載置面を、前記被貼付部材の内側に挿入可能な縮小形状と、前記薄型貼付部材を前記被貼付部材に貼り付ける位置に配置する展開形状とに可動可能に形成し、
前記保持部材が貼り付けられた前記薄型貼付部材を載置後、前記治具を縮小形状の状態で前記被貼付部材の内側に挿入し、
挿入後に前記治具を展開形状の状態として、前記第2の位置決め手段を使用して、前記治具に前記被貼付部材を貼付完了位置まで押し付ける
ことを特徴とする請求項3ないし8の何れか一記載の薄型貼付部材の貼付方法。
【請求項10】
前記被貼付部材及び/又は前記薄型貼付部材への第1の接着面と、前記被貼付部材及び/又は前記薄型貼付部材への貼付位置に基づく形状で成形された第2の保持部材と接着している第2の接着面とを有する前記薄型貼付部材に重ねて貼り付けられる第2の薄型貼付部材と、
前記治具に、前記第2の保持部材の載置位置を定める第3の位置決め手段を設け、
前記第2の位置決め手段は、前記被貼付部材及び/又は前記薄型貼付部材の前記第2の薄型貼付部材に対する貼付位置までのガイドとなり、
前記被貼付部材に前記薄型貼付部材を貼付後、前記治具に、前記第3の位置決め手段を使用して、前記第2の保持部材が貼り付けられた前記第2の薄型貼付部材を載置し、
前記治具に、前記第2の位置決め手段を使用して、前記薄型貼付部材が貼り付けられた被貼付部材を第2の貼付完了位置まで押し付けることにより、前記被貼付部材に、前記第2の薄型貼付部材の第1の接着面を貼り付け、
前記治具から前記被貼付部材及び前記第2の保持部材が貼り付けられた前記第2の薄型貼付部材を外し、
前記第2の薄型貼付部材の第2の接着面から前記第2の保持部材を剥がす
ことを特徴とする請求項3ないし9の何れか一記載の薄型貼付部材の貼付方法。
【請求項11】
前記薄型貼付部材及び/又は第2の薄型貼付部材がそれぞれの保持部材と接着している第2の接着面の接着力の調整に、前記薄型貼付部材及び/又は第2の薄型貼付部材とそれぞれの保持部材との剥離開始位置となる端部に、接着面に塗布する微粘着材を塗布しない非塗布部を設けて、
所定の方向から、前記薄型貼付部材の第2の接着面及び/又は第2の薄型貼付部材の第2の接着面からそれぞれの保持部材を剥がしやすくする
ことを特徴とする請求項3ないし10の何れか一記載の薄型貼付部材の貼付方法。
【請求項12】
被貼付部材への接着面と、前記被貼付部材への貼付位置に基づく形状で成形された保持部材と接着している接着面とを有する貼付部材を、前記保持部材ごと載置可能とすると共に、前記被貼付部材が貼付完了位置まで押し付けられて、前記貼付部材が前記被貼付部材に貼り付くときの台座となる載置面と、
前記保持部材を前記載置面での所定の位置に固定的に保持する第1の位置決め手段と、
前記被貼付部材の前記貼付部材に対する貼付位置までのガイドとなる第2の位置決め手段と
を有することを特徴とする情報処理装置の生産治具。
【請求項13】
前記載置面は、前記被貼付部材に対する貼付部材の貼付位置に基づく形状を成す複数種類の保持部材に対応する形状を成し、
前記第1の位置決め手段は、前記複数種類の保持部材を、固定的に保持可能とする
ことを特徴とする請求項12記載の生産治具。
【請求項14】
被貼付部材への接着面となる第1の接着面と、前記第1の接着面による前記貼付部材との接着力より弱い接着力で、前記被貼付部材への貼付位置に基づく形状で成形された保持部材と接着している第2の接着面とを有する薄型貼付部材を、前記保持部材を用いて載置可能とすると共に、前記被貼付部材が貼付完了位置まで押し付けられて、前記薄型貼付部材の第1の接着面が前記被貼付部材に貼り付くときの台座となる載置面と、
前記保持部材を保持することによって、前記第2の接着面を介して張付いている前記薄型貼付部材を、前記被貼付部材の貼付完了位置における貼り付け位置に保持する第1の位置決め手段と、
前記第1の位置決め手段で定まる前記保持部材の載置位置から定まる前記薄型貼付部材の位置に基づき、前記被貼付部材の前記薄型貼付部材に対する貼付完了位置までのガイドとなる第2の位置決め手段と
を有することを特徴とする情報処理装置の生産治具。
【請求項15】
前記第1の位置決め手段は、前記保持部材に設けられた位置決め穴に対応した前記載置面上に設けられた突起を用いる
ことを特徴とする請求項14記載の生産治具。
【請求項16】
前記第2の位置決め手段は、前記被貼付部材の形状に対応させて、前記被貼付部材を接触させながら前記貼付完了位置までスライド可能な形状である
ことを特徴とする請求項14又は15に記載の生産治具。
【請求項17】
前記載置面を、前記被貼付部材に対する曲面への薄型貼付部材の貼り付け位置に対応させて、アーチ形状に形成する
ことを特徴とする請求項14ないし16の何れか一記載の生産治具。
【請求項18】
前記載置面に、空気抜き手段を設ける
ことを特徴とする請求項14ないし17の何れか一記載の生産治具。
【請求項19】
前記載置面を、前記被貼付部材の内側に挿入可能な縮小形状と、前記薄型貼付部材を前記被貼付部材に貼り付ける位置に配置する展開形状とに可動可能に形成し、
前記保持部材が貼り付けられた前記薄型貼付部材を載置後、前記治具を縮小形状の状態で前記被貼付部材の内側に挿入して、挿入後に前記治具を展開形状の状態として、前記第2の位置決め手段を使用して、前記治具に前記被貼付部材を貼付完了位置まで押し付けることを可能とする
ことを特徴とする請求項14ないし18の何れか一記載の生産治具。
【請求項20】
前記載置面は、前記被貼付部材に対する第1の貼付部材の貼付位置に基づく形状を成す第1の保持部材に対応する形状を成すと共に、
前記被貼付部材に対して前記第1の貼付部材の後に、前記第1の貼付部材に重ねられて貼り付ける第2の貼付部材の貼付位置に基づく形状を成す第2の保持部材に対応する形状を成し、
前記第1の位置決め手段は、前記第1及び第2の保持部材を、固定的に保持可能とする
ことを特徴とする請求項14ないし19の何れか一記載の生産治具。
【請求項21】
前記第1及び/又は第2の薄型貼付部材の第2の接着面から、前記第1及び/又は第2の保持部材を所定の方向に剥がすときの剥離開始位置となる接着面の端部に、非接着部を設けると共に、前記保持部材を剥がす方向を示す
ことを特徴とする請求項14ないし20の何れか一記載の生産治具。
【請求項22】
請求項21に記載の前記第1及び/又は第2の保持部材であって、
前記第1及び/又は第2の薄型貼付部材から剥がされる方向を、作業者に認知可能に記載又は成形される
ことを特徴とする情報処理装置に用いられる薄型貼付部材の保持部材。
【請求項23】
請求項1ないし11に記載された貼付方法を用いて、静電気対策部材又はEMI対策部材である貼付部材を貼り付けて製造された情報処理装置。
【請求項24】
マニュファクチュアリングによる製造の一工程である貼付部材の組み付け工程に割当てる作業割当時間を、請求項1ないし11に記載された貼付方法を用いることによって、規定可能とする作業時間策定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
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【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2010−241865(P2010−241865A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−89206(P2009−89206)
【出願日】平成21年4月1日(2009.4.1)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月1日(2009.4.1)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】
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