説明

資料作成支援システム

【課題】作業者の資料作成上の工夫を記録として保存し、次回の同種の資料作成に利用可能とすることにより、資料作成作業の効率化を達成できる資料作成支援システムを得る。
【解決手段】作業者の資料作成作業手順を記録する記録手段と、前記記録手段に記録された資料作成作業手順から特定の作業手順を検出する検出手段と、前記検出手段が特定の作業手順を検出したとき、前記作業者に入力要求の指示を出す入力指示手段と、前記入力指示手段から指示されて前記作業者が入力した内容を作成頁に関連付けて保存する保存手段と、を備えた資料作成支援システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、資料作成支援システム、特に、標準フォーマットを用いて資料を作成する際の資料作成支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、資料を作成する場合の作業効率を高めるため、標準フォーマットが用意されていることがある。また、他人が過去に作成した資料を参照することも多い。他人が作成した資料を参照する場合、出来上がった資料からでは、作成のために行われた作業者の工夫は現われてこない。例えば、標準フォーマットのある項目を変更したり追加した理由などは不明である。また、資料作成者がその工夫を意識していない場合もある。次回の資料作成に向けて作業者の工夫を残しておけば、自身があるいは他人が次回に同じ標準フォーマットを使用して資料を作成するときに効率よく作業ができる。
【0003】
特許文献1には、作業者が特定の作業を実行する場合、その起動時に、作業履歴を取る旨の指定を行うと、入力したコマンド及びその作業結果が履歴ファイルに書き出される作業再現方法が記載されている。また、この方法では、履歴ファイルに格納されているものと同一の作業を行う場合は、作業者がその作業を自動実行する旨の指定を行うと、履歴ファイルより対応するコマンドを読み出し、これに基づいて作業を再現する。この方法は、作業内容の記録と再生を行うものであるが、作業上の工夫を反映させることはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−301459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の目的は、作業者の資料作成上の工夫を記録として保存し、次回の同種の資料作成作業に利用可能とすることにより、資料作成作業の効率化を達成できる資料作成支援システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態である資料作成支援システムは、
作業者の資料作成作業手順を記録する記録手段と、
前記記録手段に記録された資料作成作業手順から特定の作業手順を検出する検出手段と、
前記検出手段が特定の作業手順を検出したとき、前記作業者に入力要求の指示を出す入力指示手段と、
前記入力指示手段から指示されて前記作業者が入力した内容を作成ページに関連付けて保存する保存手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0007】
前記検出手段が検出する特定の作業手順とは、例えば、標準フォーマットの文書から項目の変更又は追加であったり、チェックリストの実施を項目順に実施していないこと、あるいは、資料中に使用される図又は表の種類の変更である。また、前記入力指示手段が作業者に出す入力要求とは、前記検出手段が検出した特定の作業手順の内容を前記作業者に提示して変更又は追加した理由を入力させることや、前記検出手段が検出した特定の標準作業フローを前記作業者に提示して作業が効率化できる理由を入力させることである。
【0008】
前記資料作成支援システムにおいては、他の作業者が前記保存手段に保存されている作成ページを選択すると、該作成ページに関連して保存されている入力内容を他の作業者に対して表示させる表示指示手段をさらに備えていることが好ましい。
【0009】
前記資料作成支援システムにおいては、作業者が資料作成中に、検出手段が特定の作業手順を検出すると、入力指示手段が該作業者に入力要求の指示を出し、それに答えて作業者が内容を入力すると、その入力内容は作成ページに関連付けて保存される。つまり、作業者が特に意識していなくても通常の標準フォーマットとは異なった作業(工夫)を行った場合には、その旨が理由とともに保存される。次回に類似した資料を作成する作業者は保存されている前回作成者の工夫の跡を知ることができ、資料作成の作業効率が向上する。また、作業者は特定の作業中に入力を要求されるので、すぐに対応でき、大きな負担にはならない。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、作業者の資料作成上の工夫を記録として保存し、次回の同種の資料作成作業に利用可能とすることにより、資料作成作業が効率化する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】一実施例である資料作成支援システムが動作するネットワーク環境を示す説明図である。
【図2】作業者に工夫の記入を指示する画面を示す説明図である。
【図3】作業者の工夫の保存と表示を示す説明図である。
【図4】他の作業者が利用する場合を示す説明図である。
【図5】支援処理手順を示すフローチャート図である。
【図6】特定作業の検出手順を示すフローチャート図である。
【図7】工数から特定作業を検出する手順を示すフローチャート図である。
【図8】工夫を参照する手順を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る資料作成支援システムの実施例について、添付図面を参照して説明する。
【0013】
一実施例である資料作成支援システムが動作するネットワーク環境は、図1に示すように、ネットワーク10上に多数の作業者用コンピュータ21、支援システムサーバ22、メールサーバ23、工数サーバ24が接続されている。なお、これらのサーバ22,23,24は一つに合体されていてもよく(例えば、サーバ23,24は支援システムサーバ22にまとめられていてもよい)、あるいは、特定のコンピュータ21に内蔵されていてもよい。
【0014】
メールサーバ23はシステムサーバ22からの指示により、各コンピュータ21間の電子メールの送受信を行うことができる。工数サーバ23は、作業者がそれぞれのコンピュータ21を用いて資料作成作業を行う際の作業工数を記録するもので、作業者が作業項目ごとに費やした工数(時間)を格納しておくデータベースである。そして、工数サーバ24は、ネットワーク10を介して行われる工数の問い合わせに対して工数データを返信する。
【0015】
この支援システムでは、まず、作業者が文書作成用の標準フォーマットを用いてコンピュータ21で作成した資料の変更内容の履歴をそのコンピュータ21が記憶する。コンピュータ21は作業者が資料を保存するごとに、前の保存内容と比較することでその間の作業記録を行う。また、コンピュータ21は定期的に工数サーバ24に作業者の作業工数を問い合わせることで作業工数(文書の項目ごとに要した時間)を記録する。そして、作成途中の資料と保存されている前の資料との差分を抽出する。1回目に行われる差分抽出の元資料は標準フォーマットである。差分(特定の作業手順)とは、標準フォーマットの文書から変更された項目や追加された項目、削除された項目などであり、標準フォーマットにあるチェックリストの実施を項目順に実施していないことも含まれる。さらに、資料中に使用される図又は表の種類の変更(例えば、棒グラフを折線グラフに変更したこと、表に項目を追加、変更、削除したことなど)も含まれる。
【0016】
ここで、検出されるべき特定作業と作業者に該特定作業を行った理由などを記入させる指示の例を説明する。
【0017】
(1)仕様書やデザインレビュー資料などの標準フォーマットを使用して作業している場合、作成している資料には標準フォーマットにはない項目が必要なことがある。そのような項目を追加した場合、コンピュータ21は特定作業として検出する。検出した場合、新項目の追加理由を作業者に対して問い合わせ、理由を入力(記入)するように指示する。追加理由とは、例えば、「**項目はフォーマットにはないが、会議参加者から質問が出ると想定されるので追加した。」などである。
【0018】
(2)チェックリスト(評価項目)の評価順を飛び飛びで実施している場合、コンピュータ21は項目順に実施していないことを特定作業として検出する。その理由を作業者に対して問い合わせ、理由を入力(記入)するように指示する。その理由は、例えば、「この実験では、C項から進めた方が実験環境を効率よく使用できる。」である。
【0019】
(3)設計図のなかにはシステム構成図、シーケンス図、クラス図、データフロー図、状態遷移図など、様々な図が利用可能であり、このような図が使用されると、コンピュータ21は特定作業として検出する。このような図を使用したり、変更した理由を作業者に対して問い合わせ、理由を入力(記入)するように指示する。その理由は、例えば、「通常は折線グラフを使用するが、このデータは認識しづらいので棒グラフにした。」などである。
【0020】
(4)作業工数(時間)が標準よりも短い場合も特定作業として検出する。コンピュータは工数表から資料作成にかかる標準作業時間を抽出し、実際の作業時間が標準作業時間よりも大幅に短い場合を特定作業として検出する。そして、作業時間が短くなった理由を作業者に問い合わせ、理由を入力(記入)するように指示する。理由は、例えば、「標準フローにはないが、ルールAとBを組み合わせて使用することで時間短縮できる。」などである。
【0021】
以上のような「問合せ」と入力された「理由」は、図2に示すように作業者のコンピュータ21の画面に表示される。図2(A)は問合せの画面である。また、この種の問合せと理由の回答はメールサーバ23を利用して行ってもよく、図2(B)に作業者宛てに電子メールを用いた問合せの例を示す。この電子メールに対して、作業者は該当箇所にチェックをいれ、コメントを記入してメールサーバ23に返信する。
【0022】
以上の問合せと回答内容は、資料の作成ページに関連付けて例えばシステムサーバ22に保存される。保存例としては、図3に示すように、ページ1に関しては「項目追加あり」と保存され、他の作業者がページ1を選択すると、当該作業者のコンピュータ上にその回答内容が表示される。具体的には、図4(A)に示すように、ページ1を選択すると、項目A〜Eが表示され、例えば、項目Eを選択すると、項目Eを追加した作業者Aによる入力内容(追加理由)が表示される。
【0023】
また、ページ2に関しては、「図の埋め込みあり」と保存され(図3参照)、他の作業者がページ2を選択すると、当該作業者のコンピュータ上にその回答内容が表示される。具体的には、図4(B)に示すように、ページ2を選択すると、項目Aの内容と図が表示され、図を選択すると、この図(グラフ)を選択した作業者Aの入力内容(選択理由)が表示される。
【0024】
また、ページ3に関しては、工夫があることを資料を見ただけでわかるようにするため、項目名やグラフに関連付けを示す太字又は下線を追加したり、専用のアイコンを追加して回答内容として保存する(図3参照)。他の作業者がページ3を選択すると、当該作業者のコンピュータ上には太字又は下線が表示されたり、アイコンが表示され、該アイコンを選択することにより回答内容が表示される。具体的には、図4(C)に示すように、ページ3を選択すると、項目Bの内容とアイコンが表示され、アイコンを選択すると、作業者Aの入力内容(標準フローとの差異)が表示される。
【0025】
以下に、前記支援システムにおける処理手順を図5〜図8のフローチャートを参照して説明する。図5はメインルーチンを示し、それぞれのコンピュータで資料編集が開始されると(ステップS1)、まず、その資料が一時的に保存される(ステップS2)。そして、現在の資料を一時ファイルとして作成し(ステップS3)、特定作業を検出する(ステップS4)。特定作業を検出すると、作業者に入力要求を指示し(ステップS5)、作業者の入力内容を作成ページに関連付けて保存する(ステップS6)。資料編集中は以上の処理を繰り返し、資料編集が終了すると(ステップS7でYES)、ここでの処理を終了する。
【0026】
図6は前記ステップS4で実行される特定作業を検出するサブルーチンを示す。まず、現在の一時ファイルと前回作成された一時ファイルとの差分を抽出する(ステップS11)。標準フォーマットに変更があったり(ステップS12でYES)、図が変更・追加されたり(ステップS13でYES)、チェックリストが順番どおり実施されていなければ(ステップS14でYES、ステップS15でNO)、作業者に対してその理由を入力させるための指示を要求する(ステップS16)。
【0027】
図7は作業工数から特定作業を検出するサブルーチンを示す。ここでの処理はステップS4で平行して実行される。コンピュータは定期的に工数サーバに関連工数を問い合わせ(ステップS21)、標準工数と比較して作業工数が少ない項目を検出すると(ステップS22でYES)、作業者にその理由を入力する指示を出し(ステップS23)、入力内容を作成ページに関連付けて保存する(ステップS24)。
【0028】
図8は他の作業者が工夫を参照するサブルーチンを示す。まず、作成済み資料のリンク又はアイコンを選択すると(ステップS31)、コンピュータは選択されたリンク情報から関連付けされた入力内容を保存先から読み込み(ステップS32)、入力内容を画面に表示する(ステップS33)。
【0029】
以上説明した支援システムによると、作業者が特に意識していなくても通常の標準フォーマットとは異なった作業(工夫)を行った場合には、その旨が理由とともに保存される。次回に類似した資料を作成する作業者は保存されている前回作成者の工夫の跡を知ることができ、資料作成の作業効率が向上する。また、作業者は特定の作業中に入力を要求されるので、すぐに対応でき、大きな負担にはならない。
【0030】
なお、本発明に係る資料作成支援システムは前記実施例に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更できる。
【0031】
図1に示した支援システムのネットワーク環境の構成は任意であり、システムの実行プログラムやデータをどの機器に格納するかも任意である。
【産業上の利用可能性】
【0032】
以上のように、本発明は、資料作成支援システムに有用であり、特に、資料作成作業が効率化する点で優れている。
【符号の説明】
【0033】
10…ネットワーク
21…コンピュータ
22…支援システムサーバ
23…メールサーバ
24…工数サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者の資料作成作業手順を記録する記録手段と、
前記記録手段に記録された資料作成作業手順から特定の作業手順を検出する検出手段と、
前記検出手段が特定の作業手順を検出したとき、前記作業者に入力要求の指示を出す入力指示手段と、
前記入力指示手段から指示されて前記作業者が入力した内容を作成ページに関連付けて保存する保存手段と、
を備えたことを特徴とする資料作成支援システム。
【請求項2】
前記検出手段が検出する特定の作業手順とは、標準フォーマットの文書から項目の変更又は追加であること、を特徴とする請求項1に記載の資料作成支援システム。
【請求項3】
前記検出手段が検出する特定の作業手順とは、チェックリストの実施を項目順に実施していないことであること、を特徴とする請求項1に記載の資料作成支援システム。
【請求項4】
前記検出手段が検出する特定の作業手順とは、資料中に使用される図又は表の種類の変更であること、を特徴とする請求項1に記載の資料作成支援システム。
【請求項5】
前記入力指示手段が作業者に出す入力要求とは、前記検出手段が検出した特定の作業手順の内容を前記作業者に提示して変更又は追加した理由を入力させること、を特徴とする請求項1に記載の資料作成支援システム。
【請求項6】
前記入力指示手段が作業者に出す入力要求とは、前記検出手段が検出した特定の標準作業フローを前記作業者に提示して作業が効率化できる理由を入力させること、を特徴とする請求項1に記載の資料作成支援システム。
【請求項7】
他の作業者が前記保存手段に保存されている作成ページを選択すると、該作成ページに関連して保存されている入力内容を他の作業者に対して表示させる表示指示手段をさらに備えていること、を特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の資料作成支援システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−108814(P2012−108814A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−258417(P2010−258417)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】