説明

賞味期限日付表示の管理方法

【課題】 本発明は、単純な検査システムで賞味期限日付を容易に漏れなく表示ラベル等に印刷したことが確認できる賞味期限日付表示の管理方法を得る。
【解決手段】 商品情報を表示するバーコードの印刷と同時に賞味期限日付を前記バーコード領域の近傍に印刷した後、
印刷されたバーコード印字をチェックする際にバーコードスキャナーで読み取り可能であった場合に賞味期限日付の印刷も読み取り可能であるとみなすもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば表示ラベル等に商品を特定するバーコードを印刷する際に、賞味期限日付を同時に印刷することにより、バーコードスキャナーによってバーコード印字が確実に印刷されていることを確認することにより、同時に印刷された賞味期限日付の有無を管理する賞味期限日付表示の管理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食品に賞味期限日付を記載することは必須条件であり、記載漏れ、記載の不明確は回避しなければならない。従って、多量に生産される商品について商品毎に賞味期限日付が記載されているかを検査・確認する必要がある。従来の検査・確認方法は商品を一品毎個別に行なう目視方法によるものが一般であった。しかし、目視による短時間での大量商品の検査・確認は限界があった。
【0003】
また、カメラによる画像処理方法を採用することで最終商品の賞味期限日付を検査・確認する方法もあった。これはカメラにより画像処理を行なうことで賞味期限日付の記載漏れ、記載の不明確の検査行なうものである。即ち、表示ラベルに賞味期限日付を印刷後、当該表示ラベルを商品容器に張り付け、該商品容器がベルトコンベアで搬送される際、カメラ設置箇所を通過させ表示ラベルに記載された賞味期限日付を個別に撮影し検査処理するものである。
【0004】
しかしながら、この方法では誤作動が多く、その都度ラインを止め確認を強いられることから作業者への負担及び作業効率の低下による生産効率の低減が問題となっていた。
【0005】
この誤作動の原因としては、表示ラベルに記載される「賞味期限日付」の文字の構成が複雑であることや、食品搬送中にカメラで捕らえるため文宇構成の細部まで明確に確認できない場合がある。また、誤作動を減少させるために、カメラ等の感知システムの精度を高度にする改善策も考えられるが、非常に高価なものとなり採算が合わなくなる。
【0006】
そこで、商品のバーコードに製造日、賞味期限等の日付データを入れておき、この日付データをバーコードリーダで読み取って冷蔵庫内の食品の期限管理を行おうとする管理システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】特開2000−130916号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、本国のバーコードは、例えば、国コード、企業(メーカー)コード、商品アイテムコード、チェックデジットの13桁の数字からなるコードであり、(財)物流システムセンターが一元的に付番管理を行っている。このため、国内で使用できるバーコードであるJANコードを使用する時は同センターに登録申請し、個別の企業(メーカー)コードを取得する必要がある。
【0009】
このため、商品のバーコードに商品情報以外の製造日、賞味期限等の日付データを追加して入れるためには、従来からの商品のバーコードに付加させて独自の日付データをコードするバーコードを付加しなければならず、実現性が低く、また、実現したとしても別途の登録料金等が必要となるものである。
【0010】
更には、製造者のデータ管理としては有効活用できるとしても、一般消費者が賞味期限の日付を目視で確認できなければ要を得ないものである。このことから何れにしても商品には賞味期限日付を記載することが必要不可欠となっている。
【0011】
従って、本発明は、バーコードを管理する(財)物流システムセンターに改めて申請が必要なく、係る現状において単純な検査システムで賞味期限日付を容易に漏れなく表示ラベル等に印刷したことが確認できる賞味期限日付表示の管理方法を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載された発明に係る賞味期限日付表示の管理方法は、商品情報を表示するバーコードの印刷と同時に賞味期限日付を前記バーコード領域の近傍に印刷した後、
印刷されたバーコード印字をチェックする際にバーコードスキャナーで読み取り可能であった場合に賞味期限日付の印刷も読み取り可能であるとみなすことを特徴とするものである。
【0013】
請求項2に記載された発明に係る賞味期限日付表示の管理方法は、請求項1に記載のバーコードと賞味期限日付とが同一のプリンターで印刷されることを特徴とするものである。
【0014】
請求項3に記載された発明に係る賞味期限日付表示の管理方法は、請求項1又は2に記載の賞味期限日付の印刷がバーコードスキャナーで読み取るバーコード印刷領域の幅内に納められたことを特徴とするものである。
【0015】
請求項4に記載された発明に係る賞味期限日付表示の管理方法は、請求項2に記載のプリンターが、インクをテープに塗布したインクリボンを熱によって転写するサーマルプリンターであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、単純な検査システムで賞味期限日付を容易に漏れなく表示ラベル等に印刷したことを確認することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
商品にバーコードを添付することは流通業界の商品管理上必要不可欠なものとなっており、商品ごとにその商品のデータを割り振ったバーコードを登録して使用している。これにより、商品等に添付されたバーコードに情報をインプットしておき、商品のバーコードをバーコードスキャナーで読み取り、POSシステム等に利用するものである。
【0018】
また、バーコードスキャナーは汎用品であり商品を取扱う業界ではあらゆる部門で採用され商品管理に使用されている。従って、バーコード自体単純で読取り容易な形態であり、尚且つ、バーコードスキャナーも容易に入手できる安価なものである。この観点から、バーコード管理システムを利用して必要情報を管理する可能性について着目して本発明を成すに至った。
【0019】
即ち、本発明の賞味期限日付表示の管理方法は、商品情報を表示するバーコードの印刷と同時に賞味期限日付を前記バーコード領域の近傍に印刷した後、印刷されたバーコード印字をチェックする際にバーコードスキャナーで読み取り可能であった場合に賞味期限日付の印刷も読み取り可能であるとみなすものであり、これにより、印刷後にバーコードスキャナーによってバーコードが確実に印刷されていることを確認することにより、同時に印刷された賞味期限日付の有無を管理する賞味期限日付表示の管理方法である。
【0020】
より具体的には、目的とする必要情報はバーコードにインプットせずにバーコードと共にラベル内の所定のスペースに必要情報を印刷し、感知器がバーコードを認識したことで必要情報も間違いなく印刷されているとみなして必要情報を管理するものである。
【0021】
商品情報を表示するバーコードの印刷と同時に賞味期限日付を前記バーコード領域の近傍に印刷した後、印刷されたバーコード印字をチェックする際にバーコードスキャナーで読み取り可能であった場合に賞味期限日付の印刷も読み取り可能であるとみなす。これにより、単純な検査システムで賞味期限日付を容易に漏れなく表示ラベル等に印刷したことを確認することができる。
【0022】
本発明のバーコードとしては、幅が変化する平行かつ長方形の複数個のバーと複数個のスペースとの配列によってコード化された情報を印刷するものであれば良い。印刷される場所は商品の表面に直接印刷しても、商品に貼付されるラベルに印刷してもよいが、ラベルに印刷した後にラベルを商品に貼付する方が、簡便であり、汎用性があるため、より好ましい。
【0023】
本発明のバーコードと同時に印刷される賞味期限日付の印刷領域は、バーコード領域の近傍であればよい。プリンターの印字ヘッドの一部に問題があった場合にはバーコード領域が近ければバーコードをチェックした際にエラーとして引っ掛かりやすくなるためである。従って、好ましくは賞味期限日付の印刷がバーコードスキャナーで読み取るバーコード印刷領域の幅内に納められたものである。
【0024】
また、好ましくは、本発明のバーコードと賞味期限日付とが同一のプリンターで印刷されることにより、バーコードと賞味期限日付との印刷が行われたことが確実に支持され、賞味期限日付の付け忘れが大幅に改善される。
【0025】
また、本発明のバーコードのチェックは、バーコードスキャナーを用いる。バーコードと賞味期限日付との印刷が行われたことが確実に支持され、バーコードスキャナーで読み取り可能であった場合に、賞味期限日付の印刷も読み取り可能であるとみなすことにより、賞味期限日付の記載漏れ、記載の不明確さを回避することが可能となり、誤作動による作業者への負担及び作業効率の低下による生産効率の低減が解消される。
【0026】
更に、本発明のプリンターとしては、インクをテープに塗布したインクリボンを熱によって転写するサーマルプリンターであることが好ましい。転写後のインクリボンに印刷された内容が残るため、印刷後に賞味期限日付の記載漏れや記載の不明確さを検証することが可能となる。
【実施例】
【0027】
図1は本発明の賞味期限日付表示の管理方法に用いるバーコード表ラベルが貼付された商品の上面図である。図2は図1の商品の梱包・ラッピング工程後のラベル貼着工程及び検査工程を示す説明図である。図3は図1のバーコード表ラベルを印刷した後のカーボンテープの状態を示す説明図である。
【0028】
図1に示す通り、商品11の上面に貼着されるラベル12には、商品名、冷蔵条件、レンジ加熱条件を表示した領域の他に、バーコード表示領域13と、その領域に隣接した上段に賞味期限表示領域14とが設けられている。
【0029】
これらバーコード表示領域13と賞味期限表示領域14とは、商品の製造とほぼ同時に印刷され、商品の梱包・ラッピング工程後にラベル12を商品の上面に貼着される。尚、本実施例の商品では商品の下面側にもバーコードのみを印刷したラベル(図示せず)を貼着して、上面のラベルと共にPOSシステム(販売時点情報管理システム)の集計等に利用される。
【0030】
具体的には、図2に示す通り、梱包・ラッピング工程を経た商品11が第1のベルトコンベア21を流れる間にラベル貼付装置22で商品11の上面にバーコードと賞味期限表示とを印刷したラベル12を貼着する。尚、商品11の下面にもバーコードのみを印刷したラベルが貼付される。
【0031】
ラベル12を貼着された商品11はベルトコンベア21の下流端に設けられたローラコンベア23に受け渡される。ローラコンベア23の上方には商品11の上面に貼着されたラベル上のバーコードを読み取るバーコードスキャナーと、ローラコンベア23の下方にはローラコンベア23のローラ同士の間から商品11の下面に貼着されたラベル上のバーコードを読み取るバーコードスキャナーとの2つのバーコードスキャナー(共に図示せず)が設置されている。
【0032】
これら2つのバーコードスキャナーによって各々のラベル上のバーコードが読み取られる。もし、何れかのバーコードが読み取れなかった場合には、警報と共にラインから排除される。更に、2つのバーコードが各々読み取れた場合には、読み取った2つのバーコードの照合が行われる。もし、2つのバーコードが同一のものでなかった場合には、読み取れなかった商品を記憶しておき、該当する商品がコンベア上を流れてきた場合に、該当する商品をラインから排除する操作を行う。また、警報と共にライン自体が停止するように設定しても良い。
【0033】
更に、2つのバーコードが同一のものであった場合には、ローラコンベア23の側方に配されたプッシャー24によって、商品11が押し出され、第1のベルトコンベア21の下流側に並設された第2のベルトコンベア25へ傾斜されたローラコンベア26を介して搬送され、必要な数をまとめて段ボール等に梱包され、出荷される。尚、ラインからのエラー商品の排除は第2のベルトコンベア25に搬送するローラコンベア26や第2のベルトコンベア25上にライン外へ誘導する誘導装置を設ければよい。
【0034】
尚、バーコードスキャナーの読み取り情報はコンピューターに全て記録するように設定が可能である。従って、過去のバーコードスキャナーの読み取り情報を保存しておけば、何らかの不都合が生じた場合に、該当する商品の情報をトレースすれば何時、どの商品にバーコードの不具合が発生したかが判る。
【0035】
また、バーコード表示領域13と賞味期限表示領域14とのラベル印刷はインクをテープに塗布したインクリボンを熱によって転写するサーマルプリンタで行なわれ、インクリボンとしてのカーボンテープにバーコードと賞味期限日付の印刷履歴が残る。図3に示す通り、サーマルプリンタのカーボンテープ30には印刷された内容が打ち抜かれた状態で保存される。
【0036】
従って、過去の記録データの中から複数の一定期間をランダムに特定し、コンピューターに記録されたバーコードの記録と該当する期間のカーボンテープの印刷履歴を照合したところ、バーコードスキャナーの記録と対応するカーボンテープ箇所の賞味期限日付の印刷履歴は全て正常に残っており、一致する。このことから正常に読取れるバーコードが印刷されていれば賞味期限日付も正常に印刷されているものと判断した。
【0037】
バーコードと同時に印刷される賞味期限日付表示は、バーコードが印刷されていることが賞味期限日付も印刷されているとみなすことを確実とするために、本実施例では、商品ラベルの同一スペース内にバーコードと賞味期限日付を上下に隣接して印刷した。尚、バーコードのサイズ(横長さ)に収めて賞味期限日付を印刷してもよい。
【0038】
上下にラベル貼付装置が設置された箇所を食品容器が通過すると、ほぼ同時に予めバーコード等が印刷されたラベルと添付直前にバーコード等が印刷されたシールが当該容器の裏面及び表面に添付される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の賞味期限日付表示の管理方法に用いるバーコード表ラベルが貼付された商品の上面図である。
【図2】図1の商品の梱包・ラッピング工程後のラベル貼着工程及び検査工程を示す説明図である。
【図3】図1のバーコード表ラベルを印刷した後のカーボンテープの状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0040】
11…商品、
12…ラベル、
13…バーコード表示領域、
14…賞味期限表示領域、
21…第1のベルトコンベア、
22…ラベル貼付装置、
23…ローラコンベア、
24…プッシャー、
25…第2のベルトコンベア、
26…ローラコンベア、
30…カーボンテープ(インクリボン)、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品情報を表示するバーコードの印刷と同時に賞味期限日付を前記バーコード領域の近傍に印刷した後、
印刷されたバーコード印字をチェックする際にバーコードスキャナーで読み取り可能であった場合に賞味期限日付の印刷も読み取り可能であるとみなすことを特徴とする賞味期限日付表示の管理方法。
【請求項2】
前記バーコードと賞味期限日付とが同一のプリンターで印刷されることを特徴とする請求項1に記載の賞味期限日付表示の管理方法。
【請求項3】
前記賞味期限日付の印刷がバーコードスキャナーで読み取るバーコード印刷領域の幅内に納められたことを特徴とする請求項1又は2に記載の賞味期限日付表示の管理方法。
【請求項4】
前記プリンターが、インクをテープに塗布したインクリボンを熱によって転写するサーマルプリンターであることを特徴とする請求項2又は3に記載の賞味期限日付表示の管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−39349(P2010−39349A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−204148(P2008−204148)
【出願日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(000141509)株式会社紀文食品 (39)
【Fターム(参考)】