説明

質問出題装置、情報編集装置、質問出題プログラム及び情報編集プログラム

【課題】利用者の頭脳の働きをさらに活性化すること。
【解決手段】
生体情報採取部5が継続的に利用者の生体情報を採取するのと同期させて、カメラ2などが利用者のライフログを継続的に取得している。変曲点検出部33は、利用者の生体情報5aの時間的な変動に応じて生じる変曲点49を検出している。クイズ作成部31は、変曲点49における時刻に記録されたライフログデータの部分を素材として、利用者に対する質問を作成する。表示部99は、作成したクイズを利用者に対して提示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者に対して質問を出題する質問出題装置、情報編集装置、質問出題プログラム及び情報編集プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、社会が高齢化しつつあり、働く世代のみならず若年世代においても痴呆への関心が高まっている。このような状況を反映して、近年、頭脳の働き具合をゲーム感覚で自己確認できるゲーム装置(以下「ゲーム機」という)が様々開発されている。このようなゲーム機は、利用者が持ち運べる程度に小型化されており、この利用者の自宅のみならず外出先においても気軽に持ち出して遊び感覚で楽しむことができる。このため、近年、このようなゲーム機の利用者が急激に増加している。
【0003】
このゲーム機は、次々に出題される質問に利用者が答えることで、この利用者の頭脳が自己の年齢相応の働きをしているか否かを自ら確認することができるものである。さらにこのゲーム機は、その利用者の頭脳の働き具合をいわゆる「脳年齢」として利用者に提示し、この脳年齢に接した利用者に驚きや満足を与え、利用者が楽しみながら自らの頭脳の働きを自己確認をすることができるものである。
【0004】
このような利用者の頭脳の働きをチェックする装置としては、その他にも医療分野などにおいて様々な装置の開発がなされている。具体的な公知技術としては、例えば次のような回想データベースシステムが提案されている。この回想データベースでは、ユーザ(上記「利用者」に相当)の回想を促す質問文であって属性を有する可変部を含んだ質問文雛型を予め用意しておき、ユーザへの質問作成にあたり、質問文雛型の可変部と属性が一致する回答を用いてその可変部を変更することで、ユーザへの質問文を完成させるものである(特許文献1参照)。より具体的には、この回想データベースシステムでは、所定の場合に、ユーザに対する質問の素材となる質問文雛型の変化部に、例えばユーザの名前(あだ名など)を加入するように変更して、ユーザへの質問を作成している。
【0005】
【特許文献1】特開2002−7560号公報(段落番号0031〜0032、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記公知技術では、ユーザが誰であっても質問の素材となる質問文雛型が同一であるため、結局のところ、ユーザに対して生成される質問の内容に多様性がない。このため公知技術では、そのような質問内容を生成してユーザに出題したところで、ユーザによる回想にあたりその頭脳の活性化に効果的な寄与があるとは考えにくい。
【0007】
また、上記公知技術では、ユーザ自身が過去に経験した具体的なシチュエーションを盛り込んだ質問文により過去のシチュエーションを回想することが容易になるとすることにも触れられているが、次のような点において効果的ではない。すなわち、上記従来技術では、そのシチュエーションに接したユーザの感情変動が緩やかであると、ユーザがそのシチュエーションに強い印象を受けておらず、そのシチュエーション自体を十分に覚えていない場合が多い。従って、このようなシチュエーションを盛り込んだ質問文がユーザの回想に対して効果的な作用を生じるとは考えにくいという問題点があった。
【0008】
本発明が解決しようとする課題には、上記した問題が一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、利用者が感じ取りうる情報を情報データとして継続的に記録するとともに、前記情報データの記録時刻及び記録位置を記録する情報データ記録手段と、前記情報データの記録と同期させて前記利用者の生体に関する生体情報を継続的に採取する生体情報採取手段と、前記生体情報の時間的な変動に応じて生じる変曲点を検出する変曲点検出手段と、前記変曲点における時刻に記録された前記情報データの部分を素材として、前記利用者に対する質問を作成する質問作成手段と、作成した前記質問を前記利用者に対して提示する提示手段とを有する。
【0010】
上記課題を解決するため、請求項7記載の発明は、利用者が感じ取りうる情報が情報データとして記録時刻とともに継続的に記録されているとともに、前記情報データの記録と同期させて前記利用者の生体に関して継続的に生体情報が採取されている状態にて、前記生体情報が所定状態に変化した特定の時刻を検出する検出手段と、前記特定の時刻において記録された前記情報データの部分を素材として、前記情報データを編集する情報編集手段とを有する。
【0011】
上記課題を解決するため、請求項8記載の発明は、情報データ記録手段によって、利用者が感じ取りうる情報を情報データとして継続的に記録させるとともに、前記情報データの記録時刻及び記録位置を記録させる情報データ記録ステップと、生体情報採取手段によって、前記情報データの記録と同期させて前記利用者の生体に関する生体情報を継続的に採取させる生体情報採取ステップと、変曲点検出手段によって、前記生体情報の時間的な変動に応じて生じる変曲点を検出させる変曲点検出ステップと、質問作成手段によって、前記変曲点における時刻に記録された前記情報データの部分を素材として、前記利用者に対する質問を作成させる質問作成ステップと、提示手段によって、作成した前記質問を前記利用者に対して提示させる提示ステップとを質問出題装置に実行させる。
【0012】
上記課題を解決するため、請求項9記載の発明は、利用者が感じ取りうる情報が情報データとして記録時刻とともに継続的に記録されており、かつ、前記情報データの記録と同期させて前記利用者の生体に関して継続的に生体情報が採取されている状態にて、検出手段によって、前記生体情報が所定の状態に変化した特定の時刻を検出させる検出ステップと、情報編集手段によって、前記特定の時刻において記録された前記情報データの部分を素材として、前記情報データを編集させる情報編集ステップとを情報編集装置に実行させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の実施形態としてのクイズ出題装置100の構成例を示す正面図である。
クイズ出題装置100(質問出題装置)は、例えば利用者が持ち運べるいわゆる携帯型の電子機器であり、その利用者に対してクイズ(質問)を出題する機能を有する。クイズ出題装置100は、クイズ出題装置100は、例えば正面から見た場合に矩形の筐体98及びポインティングデバイス97を有する。この筐体98の正面には、例えばそのほぼ全面を覆うように表示部99が設けられている。
【0014】
この表示部99は、例えば液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro Luminescence)といった薄型の表示装置である。この表示部99の表面は、例えばタブレットのような入力部15によって覆われている。この表示部99は、例えばクイズメニューを表示したり、このクイズメニューにより選択された種類のクイズ(質問)を視覚的に表示する。表示部99の両側にはそれぞれ音出力部12が設けられている。この音出力部12は、表示部99の表示内容に応じて又は独立して音声、環境音などの音を出力する機能を有する。
【0015】
図2は、図1に示すクイズ出題装置100の電気的な構成例を示すブロックズである。
クイズ出題装置100は、カメラ2(情報データ記録手段)、マイクロフォン3(情報データ記録手段)、生体情報採取部5(生体情報取得手段)、加速度検出部9、入力部15(回答入力手段)、インターフェース部4、記憶部6(情報記憶装置)、通信部7、測位部8、計時部11、音出力部12(音出力手段)、表示部99(提示手段)、匂い発生部13、振動発生部14及び制御回路10(質問作成手段)を備えている。
【0016】
カメラ2及びマイクロフォン3は、例えば利用者が装着可能な眼鏡形状の部材に設けられている。カメラ2は、その眼鏡形状の部材における利用者の目の近傍に配置されており、利用者の視点からその周囲を継続的に撮影する機能を有する。このカメラ2が撮影した映像は、カメラ2から映像データ2aとして出力される。この映像は、例えば色、形、温度及び動き(速さ)のいずれか又はこれらいずれかの組み合わせを表すものである。
【0017】
マイクロフォン3は、その眼鏡形状の部材における例えば利用者の耳の近傍に配置され、利用者の周囲の音を継続的に採取する機能を有する。このマイクロフォン3が採取した音は、マイクロフォン3から音データ3a(例えば音声データ)として出力される。この音としては、例えば環境音、人の話し声及び自分の発言のいずれか又はこれらいずれかの組み合わせを挙げることができる。
【0018】
本実施形態では、これら映像データ2a及び音データ3aのように利用者の体験を表す情報を「ライフログ」と総称している。なおライフログとしては、映像データ2a及び音データ3aの両方のみならず、一方のみ或いはその他のデータ(例えば匂い、位置、味、温度、湿度、気圧のいずれか又はそれらいずれかの組み合わせに関するデータ)を採用してもよい。
【0019】
生体情報採取部5は、利用者がクイズ出題装置100を装着した際に、その利用者の生体情報を取得する機能を有する。ここで生体情報とは、利用者の生体に関する情報の総称であり、例えば心拍数(脈拍)、血圧、発汗量及び涙量の少なくとも1つ又はこれらの組み合わせに関する情報を含んでいる。この生体情報としては、その利用者に関するその他の情報(体温等)であってもよい。
【0020】
加速度検出部9は、例えば圧電素子を利用した加速度センサである。この加速度検出部9は、利用者が筐体98を保持して揺動させた場合に、その揺動状態を検出して加速度データ9aを出力する機能を有する。このような加速度データ9aを加速度検出部9によって採取しておくと、クイズ出題装置100とともに所定の加速度を受けた利用者の物理的或いは精神的なショックを、生体情報5aの一部として採取しておくことができる。
【0021】
入力部15は、上述したようにタブレットなどのような情報を入力可能な入力装置である。この入力部15は、上記クイズに対して利用者が所望の回答を入力する際に使用されるものである。利用者が入力した内容は入力部15によって入力データ15aとされ、この入力データ15aがインターフェース部4に出力される。
【0022】
インターフェース部4は、加速度検出部9、カメラ2、マイクロフォン3、生体情報採取部5及び入力部15が接続されているとともに、記憶部6が接続されている。このインターフェース部4は、加速度検出部9、カメラ2、マイクロフォン3、生体情報採取部5及び入力部15と、制御部10とのインターフェース機能を有する。
【0023】
記憶部6は、加速度データ9a、映像データ2a、音データ3a、生体情報5a及び入力データ15aを、各々記憶可能な情報記録媒体(情報記憶装置)である。この生体情報5aとしては、例えば心拍数、発汗量、握力、体温、瞬き、血圧、筋電図、匂い及び涙量のいずれか又はこれらいずれかの組み合わせを挙げることができる。測位部8は、例えばGPS(Global Positioning System)を用いて、クイズ出題装置100の現在地を測位して位置情報を取得する測位装置である。
【0024】
計時部11は、継続的に記録されている映像データ2a及び音データ3aの記録と同期して時刻を計測する計時機能を有している。この計時部11は、映像データ2a及び音データ3aを記録した時刻を計時して時刻情報を取得する機能を有する。
【0025】
制御回路10は、取得した時刻情報に同期させつつ、さらに、取得した位置情報に関連づけつつ、記憶部6への映像データ2a及び音データ3aの記録を制御している。この記憶部6には、利用者のライフログデータとして映像データ2a及び音データ3aが恒常的に記録されている(以下「ライフログ恒常記録機能」という)。
【0026】
制御回路10は、他人のライフログとして他人の映像データ2a及び音データ3aを、他人の利用するクイズ出題装置100から取得する機能を有していてもよい(他人ライフログ取得機能)。具体的には制御回路10は、生体情報5aに基づいて利用者の状態が上記規定の状態に移行したと判明した時に、他人ライフログ取得機能を作動させる。本実施形態では、上記規定の状態として、例えばクイズ出題装置100の利用者が「嬉しい」と感じている状態を挙げて説明するが、この規定の状態としては目的に応じて様々な感情の状態を採用してもよい。
【0027】
制御回路10は、通信部7を制御し、他人が利用するクイズ出題装置100に記録済みの他人の映像データ2a及び他人の音データ3aを取得する。通信部7は、制御回路10の制御によって、他人のクイズ出題装置100から他人の映像データ2a及び他人の音データ3aを無線或いは有線によってデータ通信を行う機能を有する。
【0028】
さらに制御部10は、表示部99に映像を表示させたり音出力部12に音を出力させる機能を有する。表示部99は、例えば液晶ディスプレイのような表示装置である。音出力部12は、例えばスピーカーのような音出力装置である。
【0029】
匂い発生部13は、制御部10の制御によって所望の匂いを発生する機能を有する。振動発生部14は、制御部10の制御によって、振動を発生する機能を有する。この振動発生部14は、例えば振動トランデューサを用いた振動発生手段を採用することができる。この振動トランデューサは、例えば圧電素子やストレインゲージを採用することができる。
【0030】
図3は、記憶部6の記憶内容例及び制御部10の機能ブロックの一例を示すブロック図である。
記憶部6は、設問テーブル24、自己ライフログデータ28(自己の映像データ2a及び自己の音データ3aに相当)、他人ライフログデータ27(他人の映像データ2a及び他人の音データ3aに相当)、世の中記録データ26、ピックアップデータ25及び生体情報5aを有する。
【0031】
設問テーブル24は、制御部10がクイズを作成するにあたりそのクイズの文面に関するクイズ文面データを格納するテーブルである。この設問テーブル24に格納されているクイズ文面データに基づくクイズ文面としては、例えば「昨日の出来事はどれ?」、「この出来事はいつ?」、「目黒駅はどれ?」、「これはどこ?」、「1週間前の出来事はどれ?」、「1ヶ月前の出来事はどれ?」、「3ヶ月前の出来事はどれ?」、・・・、「10年前の出来事はどれ?」という文面を挙げることができる。
【0032】
これらのクイズ文面データには、例えばクイズ文面の内容を示す位置情報及び時刻情報の少なくとも一方が関連づけられている。つまり、ある時刻(例えば年月日を含む時間情報)などが指定されると、設問テーブル24は、この時刻などに関連するクイズ文面データを提供することができる。
【0033】
自己ライフログデータ28は、上述のように継続的に記録されている自己の映像データ2a及び自己の音データ3aを示している。以下の説明では、データの集合体をデータベースと表現する。この自己ライフログデータ28は、例えば音楽データベース、匂いデータベース、事件データベース、ターニングポイントデータベース、喧嘩データベース、毎日の食事データベース、人間関係データベース、旅データベース、趣味データベース及び家族データベースなどをのデータ群を含む総称である。
【0034】
音楽データベースは、所望の音楽を聴覚上認識させるべく出力するための音楽データの集合体である。匂いデータベースは、所望の匂いを嗅覚上認識させるべく出力するための匂いデータの集合体である。事件データベースは、所望の事件を視覚、聴覚によって表すための事件データの集合体である。ターニングポイントデータベースは、利用者の経験上、人生のターニングポイントとなりうる状況を示すターニングポイントデータの集合体である。
【0035】
喧嘩データベースは、利用者が過去に周囲で生じた喧嘩などのトラブルを表すトラブルデータの集合体である。毎日の食事データベースは、利用者が日常的に摂取している食事に関する食事データの集合体である。人間関係データベースは、利用者の周囲の人との人間関係を表す人間関係データである。旅データベースは、利用者がこれまでに行ったことのある旅先に関する旅データの集合体である。趣味データベースは、利用者の趣味に関する情報の集合体である。家族データベースは、利用者の家族に関する情報の集合体である。
【0036】
他人ライフログデータ27は、上述したように継続的に記録されている他人の映像データ2a及び他人の音データ3aを示している。この他人ライフログデータ27は、上記自己ライフログデータ28と同様に音楽データベースなどを含むデータ群の総称である。これら音楽データベースなどは、上記自己ライフログデータ28と同様に、各々音楽データなどの集合体である。
【0037】
世の中記録データ26は、世間に流布している情報を表す記録データの総称である。世の中記録データ26は、例えば芸能ニュースデータベース、歌のベストテンデータベース、オリンピックデータベース、事件データベース、事故データベース、政治データベース、経済データベース及びスポーツデータベースを含むデータ群の総称である。
【0038】
一方、制御部10は、情報データ記録制御部34(以下「ライフログ記録制御部」と変換すること)、生体情報採取制御部10、変曲点検出部33(変曲点検出手段)、判定部36(脳年齢算出手段)、クイズ作成部31及び提示制御部32を有する。
【0039】
ライフログ記録制御部34は、利用者が感じ取りうるライフログ(情報データ)を継続的に記録するとともに、このライフログの記録時刻及び記録位置を記録する機能を有する。このライフログ記録制御部34は、利用者自らのライフログとして記録時刻及び記録位置を記録した自己ライフログデータ28を記憶部6に記憶させる。
【0040】
生体情報採取制御部10は、自己ライフログデータ28(情報データ)の記録と同期させて利用者の生体に関する生体情報5aを継続的に採取する機能を有する。生体情報採取制御部10は、採取した生体情報5aを記憶部6に記憶させる。
【0041】
変曲点検出部33は、生体情報5aの時間的な変動に応じて生ずる変曲点を検出する機能を有する。このように変曲点検出部33が変曲点を検出すると、クイズ作成部31は、このような変曲点における時刻(以下「キー時刻」という)に記録された、自己ライフログデータ28などの一部を素材として、この利用者に関するクイズ(質問)を作成する機能を有する。
【0042】
具体的にはクイズ作成部31は、まず、この変曲点に対応する記録時刻における自己ライフログデータ28などの一部を素材として採用(ピックアップ)する。このような素材としては、自己ライフログデータ28のみならず、他人ライフログデータ27及び世の中記録データ26のいずれか又はこれらいずれかの組み合わせを用いてもよい。以下の説明では、このように自己ライフログデータ28などから素材とした部分を「素材部分」という。さらにクイズ作成部31は、ピックアップした素材部分をピックアップデータ25として記憶部6に記憶させる。
【0043】
またクイズ作成部31は、例えばキー時刻を検索キーとして設問テーブル24を検索し、この記録時刻近辺に関係する設問テーブル24のクイズ文面を取得する。さらにクイズ作成部31は、例えばクイズの素材として映像データ2aを例示すると、この記憶時刻に関して採用した素材部分(映像データ2aの一部であり、例えば図示のピックアップデータ25の1つに相当)を1つの正解肢と設定するとともに、例えば3つの不正解肢として、この記録時刻に関する3つの映像データ2aを選択する。そしてクイズ作成部31は、これら映像データ2aに基づく画面上における映像の配置を決定し、これら選択肢(選択肢提示手段)などを表示した態様のクイズに関するクイズデータを生成する。
【0044】
提示制御部32は、このように生成したクイズデータに基づくクイズを利用者に対して提示する制御を行う機能を有する。このクイズは、例えば映像及び音の少なくとも一方で構成されている。具体的には、提示制御部32は、作成したクイズに関する映像を表示すべく表示部99を制御する一方、必要に応じて、このクイズに関する音を出力すべく音出力部12を制御する。また提示制御部32は、クイズに対する正解肢を表示などする制御を行う。
【0045】
判定部36は、提示したクイズに基づく利用者の回答が正解肢に照らし合わせて正しいか否かを判断する。この判定部36は、利用者の正解率や回答までの時間に応じて、例えば利用者のいわゆる脳年齢を判定する機能を有する。この判定部36についての詳細は後述する。
【0046】
図4は、生体情報5aが変動して変曲点49が生じている様子の一例を示す図である。なお図示の縦軸は、生体情報5aに基づく感情のレベルKであり、横軸は、時間の経過を示す時刻t[sec]を示している。
図示の例では、生体情報採取制御部10によって採取された生体情報5aが恒常的に上下に変動している。このような生体情報5aの変動に伴って、生体情報5aの特性には多数の変曲点49が存在している。この変曲点49は、生体情報5aが増加傾向から下降傾向に変化する又は下降傾向から上昇傾向に変化するポイントである。
【0047】
従って、これらの変曲点49においては、利用者の感情状態に何らかの変化が生じており、利用者が周囲の状況を注意深く関心を持っていると考えられる。このため利用者の頭脳には、この状況における周囲の映像や音に関する記憶が明瞭に残存していると考えられる。
【0048】
ここで感情のレベルL(感情レベル)の具体例としては、次のような式によって表される。
感情のレベルL=A(心拍数−心拍数の平均値)+B(発汗量−発汗量の平均値)
なお、変数A及び変数Bは正規化係数であり、絶対値の平均値を表している。
変数A=|心拍数−心拍数の平均値|の平均値
変数B=|発汗量−発汗量の平均値|の平均値
また本実施形態における変曲点は、微分値が0になるところ。すなわち本実施形態では、d(感情レベル)/dt=0となる時間tが変曲点とされる。
【0049】
図5は、図3に示すピックアップデータ25のデータ構成例を示す図である。
本実施形態では、ピックアップデータ25としてピックアップデータA(データA)〜ピックアップデータ25N(データN)が例示されている。各ピックアップデータAなどは、各々時刻(記録時刻)、場所、映像、音、匂い及び感情レベルを列情報(カラム情報)として含む、レコード情報の集合体である。
【0050】
これら各ピックアップデータAなどは、変曲点検出部33によって生体情報5aの変曲点において自己ライフログデータ28などから素材として抽出された素材部分を表している。これらピックアップデータAなどは、互いにそれらの記録時刻などによって識別しうるデータである。
【0051】
クイズ作成装置100の構成例は以上のようであり、次に図1〜図5を参照しつつクイズ作成装置100の動作例を説明する。
図6は、クイズ作成装置100が実行するクイズ出題処理の一例を示すフローチャートであり、図7は、図6に示すクイズ作成処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0052】
図6に示すステップS1では、クイズを利用者に提示するにあたり、まず制御部10が表示部99に予め定められたクイズメニューを表示させる。このクイズメニューは、利用者が図1に示すポインティングデバイス97を操作してクイズの種類を選択するためのものである。
【0053】
利用者がポインティングデバイス97を操作してあるクイズの種類を選択すると、制御部10が、その操作内容が入力部7によってインターフェース部4を経由して選択信号として受け取る。制御部10は、この選択信号に基づいてクイズの種類を設定する。
【0054】
次に図6に示すステップS2では、制御部10が、利用者に提示すべきクイズを作成する。具体的には、図7に示すステップS21では、変曲点検出部33が、上述のように選択されたクイズの種類に応じた特定の生体情報5aの変動を追跡し、変曲点49を見つけようと試みる。ここで特定の生体情報5aは、クイズの種類に応じて感情を特定するための要素として用いられる情報である。
【0055】
ステップS22では、変曲点検出部33が、図4に示すように変動する生体情報5aの変曲点49の検出を試みる。変曲点検出部33は、変曲点49を検出できない場合にはステップS21に戻り、次の変曲点49を検出すべく追跡する。一方、変曲点検出部33が変曲点49を検出できた場合には、ステップS23が実行される。
【0056】
このステップS23では、変曲点検出部33がこの変曲点49に対応する時刻(自己ライフログデータ28の記録時刻)を取得する。次にステップS24では、変曲点検出部33がこの変曲点49の時刻(上記記録時刻)に自己ライフログデータ28を記録した位置(記録位置)を取得する。次にステップS25では、図3に示す変曲点検出部33が、変曲点49の時刻(記録時刻)に該当する時間帯の自己ライフログデータ28などを素材として取得し、この素材部分をピックアップデータ25として記憶部6に記憶させる。
【0057】
次に図7のステップS26では、最初にまず、クイズ作成部31が作成すべきクイズに対する正解を表す正解肢を決定する。このような正解としては、この記録時刻(お酔い記録位置の少なくとも一方)に基づいて決定することを採用し、この記録時刻自体(例えば特定の映像を表す時期)又は、この記録時刻に基づいて定まる時刻に関する特定の映像(例えば昨日の出来事)を例示することができる。また、このような正解としては、この記録位置自体(例えば映像を表す場所)又は、この記録位置に基づいて定まる特定の地名(例えば駅名称)を例示することができる。
【0058】
次に図7のステップS27では、クイズ作成部31が、例えば1つ決めた正解肢に対して3つの不正解肢を決定する。具体的には、このクイズ作成部31は、正解肢として、例えば特定の映像を表す時期を定めた場合、それ以外の時期を表す3つの映像を不正解肢として決定する。またこのクイズ作成部31は、正解肢として、例えば昨日の出来事を定めた場合、その日以外の3つの出来事を不正解肢として決定するようにする。またクイズ作成部31は、正解肢として、例えば映像を表す場所を定めた場合、その映像の場所以外の3つの場所を不正解肢として決定するようにする。またクイズ作成部31は、正解肢として、例えば駅名称を定めた場合、その駅名称以外の3つの他の駅名称を不正解肢と決定するようにする。
【0059】
次に図7のステップS28では、図3のクイズ作成部31が、記録時刻及び記録位置の少なくとも一方に基づいて設問テーブル24からクイズの文面を表すクイズ文面データを取得する。次に図7のステップS29では、クイズ作成部31が、これら1つの正解肢、3つの不正解肢及びクイズ文面の表示位置を決定する。このようにしてクイズ作成部31は、利用者に提示すべきクイズ内容及びクイズの出題態様(クイズデータ)の作成を完了する。
【0060】
次に図6のステップS3では、図3に示す提示制御部32が、クイズデータに基づくクイズを、例えば図8(A)に示す表示態様で出題する。この表示態様では、クイズ文面として「昨日の出来事はどれ?」と表示されており、1つ正解肢及び3つの不正解肢が表面上利用者に判別不可能に表示されている。これら1つの正解肢及び3つの不正解肢は、利用者がいずれかを選択可能となっている。
【0061】
次に図6のステップS4では、図3に示す判定部36が、入力部7を経由して利用者による回答が入力されたか否かを判断する。判定部36は、利用者による回答の入力がない場合には待ち処理を行う一方、利用者による回答の入力があった場合にはステップS5を実行する。
【0062】
このステップS5では、判定部36が利用者による回答について正誤判定を行う。次にステップS6では、提示制御部32が正解肢を表示部99に表示して、この正解肢を利用者に知らしめる。この判定部36(結果出力手段99)は、利用者の回答が質問に対する正解であるか否かを判断しており、正解である場合には正解である旨を出力し、不正解である場合には不正解である旨を出力させている。この正解肢に接した利用者は、正解していれば自己の頭脳に満足感を感じ、不正解である場合には自己の頭脳をより刺激して活性化すべきとの認識を得ることができる。
【0063】
このとき利用者が正解肢を選択していた場合、クイズ出題装置100は、例えば音出力部12から音楽又は声を出力したり、例えば表示部99に所定の映像を表示したり、例えば匂い発生部13によって所定の匂いを発生させるようにしてもよい。
【0064】
次にステップS7では、判定部36が、このクイズが最後であるか否かを判断する。最後のクイズではないと判定した場合にはステップS23に戻る。このように戻ると、クイズ作成部31が、次の変曲点49に基づくピックアップデータ25に従って、ほぼ同様に次のクイズを作成する。そして提示制御部32は、図8(B)に示すような表示態様のクイズを表示させ、利用者に回答を求める。この表示態様では、例えば「この出来事はいつ?」というクイズ文面が採用されており、1つの映像が表示されている。またこの表示態様では、1つの正解肢及び3つの不正解肢を含む4つの選択肢が表示されている。
【0065】
また同様に、最後のクイズでない場合、クイズ作成部31が、ある変曲点49に基づくピックアップデータ25に従って、図9(A)に示すような表示態様のクイズを表示させ、利用者に回答を求める。この表示態様では、例えば目黒駅はどれ?」とのクイズ文面が採用されており、4つの映像で構成される4つの選択肢が表示されている。これら4つの映像は、例えば1つの正解肢及び3つの不正解肢を含んでいる。
【0066】
またさらに同様に、最後のクイズでない場合、クイズ作成部31が、その次の変曲点49に基づくピックアップデータ25に従って、図9(B)に示すような表示態様のクイズを表示させ、利用者に回答を求める。この表示態様では、例えば「これはどこ?」とのクイズ文面が採用されており、1つの映像及び4つの選択肢が表示されている。
【0067】
ここでクイズ作成部31は、複数のクイズを作成する場合、新しいライフログを素材とする新しい質問と、昔のライフログを素材とする昔の質問とを交互に作成して出題する形態を採用することができる。このようにすると、人間は新しい記憶内容と昔の記憶内容の格納場所が異なるため、利用者は、新しい質問と昔の質問とを交互に回答することにより、自らの頭脳において異なる記憶領域を交互に使用し、頭脳を活性化することができる。
【0068】
一方、判定部36が、最後のクイズであると判定した場合にはステップS8が実行される。このステップS8では、判定部36が、例えば全てのクイズに対する利用者の正解率や回答までの時間を算出し、例えば予め用意している各年齢ごとの平均値と比較することで、利用者の頭脳が何歳程度の年齢の人相応で働いているかに関していわゆる「脳年齢」を計算する。そしてステップS9では、判定部36が表示部99にこの脳年齢を表示させる。ここで「脳年齢」の算出に当たっては、第1に「昔の記憶ほど忘れる」、第2に「感情のレベルKが大きいほど覚えている」、第3に「しっかりと覚えているほど脳年齢が若い」という特性を考慮するものとする。
【0069】
「脳年齢」の具体的な計算例としては、例えば次の計算式(1)を用いて表すことができる。
脳年齢=(ΣK(正解値×(感情の振幅)/(時間)))/出題数・・・(1)
なお、正解値とは、正解である場合に「0」とし、不正解である場合に「1」とする。感情の振幅とは、上記図4に示した感情のレベルKの絶対値を表している。また、時間(秒)は、現在時刻(回答があった時刻)から問題時刻(問題を出題した時刻)を引いた値を示している。「K」は、例えば8640000を表す係数である。
【0070】
以上説明したように、上記実施形態におけるクイズ出題装置100は、利用者が感じ取りうる情報を情報データとして継続的に記録するとともに、この情報データ28など(自己ライフログデータなど)の記録時刻及び記録位置を記録する情報データ記録手段2,3(カメラ・マイクロフォン)と、この情報データ28の記録と同期させて利用者の生体に関する生体情報5aを継続的に採取する生体情報採取手段5(生体情報採取部)と、この生体情報5aの時間的な変動に応じて生じる変曲点49を検出する変曲点検出手段33(変曲点検出部)と、この変曲点49における時刻に記録された情報データ28などの部分を素材として、利用者に対する質問(クイズ)を作成する質問作成手段31(クイズ作成部)と、作成した質問を利用者に対して提示する提示手段99(表示部)とを有することを特徴とする。
【0071】
まず生体情報5aは利用者の心理を反映するものであり、利用者は、時間の経過に応じて感情状態が変動する。この感情状態は、利用者の生体情報5aを採取して解析することで把握することができる。ここで、利用者の感情状態は時間の経過とともに変動するものであり、利用者の生体情報5aはある時刻において変曲点を生ずることとなる。このような生体情報5aの変曲点においては、利用者は自らの頭脳において何らかの変化が生じており、何か印象的なことがあると考えられる。
【0072】
質問作成手段31(クイズ作成部)が作成した質問(クイズ)は、変曲点検出手段33(変曲点検出部)によって検出された変曲点49における時刻に記録されていた情報データ28などを素材としたものである。よって作成された質問は、利用者にとって感情的に何らかの変化があったときの情報データ28などを利用したものとなり、利用者の頭脳の記憶に深く残っていると思われる。
【0073】
このため、このような質問に接した利用者とっては、この質問は単なる記憶の呼び起こすだけの単純作業とはならず、自らの記憶の奥深くに内在する潜在的な記憶を蘇らせる再現作業に似たものとなり、利用者個人の記憶に直接的に訴えかけられることとなる。このため利用者は、このような質問に接して自らの記憶を呼び起こすことで自らの頭脳を十分に働かせるとともに、自らの頭脳における思考能力を活性化させることができる。
【0074】
本実施形態におけるクイズ出題装置100は、上記構成に加えてさらに、質問作成手段31(クイズ作成部)は、この情報データ28などの記録位置に関する情報データ28などの部分を素材として、前記利用者に対する質問を作成することを特徴とする
【0075】
このような構成によれば、利用者は単に質問に対して考えるだけでなく、この質問に対する自らの思考結果に基づいて正解肢を選択する。すると、利用者は、単に質問内容について思考錯誤する場合に比べて、実際に選択肢を選択するという行動を起こすことになり、より自らの頭脳を使用することになる。よって、このような構成によれば、利用者はさらに頭脳を活性化させることができる。
【0076】
本実施形態におけるクイズ出題装置100は、上記構成に加えてさらに、この質問に対する正解肢及び不正解肢を提示する選択肢提示手段99(表示部の画面表示)と、この利用者が質問に対する所望の回答を入力するための回答入力手段7(入力部・ポインティングデバイス)とを有することを特徴とする。
【0077】
このような構成によれば、質問作成手段31(クイズ作成部)が作成した質問は、ある記録時刻に基づいて情報データ28などの一部を素材としているばかりでなく、ある記録位置に基づいて情報データ28などの一部を素材としたものとなる。従ってこの質問は、ある特定の時刻(記録時刻)において利用者が感じ取っているばかりでなく、ある特定の位置(記録位置)において利用者が感じ取っている情報データ28などを素材として作成されたものとなる。よってこの質問は、利用者の頭脳を効果的に刺激する内容となり、これに接した利用者の頭脳をより活性化することができる。
【0078】
本実施形態におけるクイズ出題装置100は、上記構成に加えてさらに、利用者の回答が質問に対する正解であるか否かを判断し、正解である場合には正解である旨を出力し、不正解である場合には不正解である旨を出力させる結果出力手段36(判断部)を有することを特徴とする。
【0079】
このような構成によれば、利用者は、提示された質問に対して単に考えるだけでなく、自ら回答しようと体の一部を動かすことにより、単に頭脳で考えている場合に比べて自らの頭脳をより活発に働かせることができる。
【0080】
本実施形態におけるクイズ出題装置100は、上記構成に加えてさらに、質問作成手段31(クイズ作成部)は、情報データ28などのうち予め定められた時期よりも後に記録された第1の部分を素材として質問を作成する第1質問作成手段31(クイズ作成部)と、この情報データ28などのうち予め定められた時期よりも前に記録された第2の部分を素材として質問を作成する第2質問作成手段31(クイズ作成部)と、この第1質問作成手段とこの第2質問作成手段とを交互に作動させる作動制御手段31(クイズ作成部)とを備えることを特徴とする。
【0081】
このような構成によれば、質問作成手段31は、利用者に対して、利用者の新しい記憶に基づく質問と、その利用者の古い記憶に基づく質問とを交互に作成し、これらの質問群が表示手段99(表示部)に表示されることでこれら質問群が利用者に出題される。一般的に利用者などの人間は、新しい記憶と古い記憶とを交互に思い出そうとすると、これらの記憶が互いに異なる記憶領域に記憶されていることから、利用者が頭脳内の異なる記憶領域を切り替えて働かせようとし、頭脳の働きが活性化されることが知られている。このため利用者が、これら質問群を次々に回答すると、利用者の頭脳はさらに効果的に活性化されるようになる。
【0082】
本実施形態におけるクイズ出題装置100は、上記構成に加えてさらに、提示手段99(表示部)によって提示された質問に対する正解率及び、その質問に回答するのに必要な記憶内容の古さに応じて、に応じて利用者の頭脳の働きに応じた脳年齢を算出する脳年齢算出手段36(判定部)を有することを特徴とする。
【0083】
このような構成によれば、利用者は、例えば正解率が高い場合には自らの脳年齢が若く頭脳が働きやすいことに満足し、利用者は前向きな発想をするようになり、さらに自らの頭脳の働きを向上させることができる。一方、利用者は、例えば正解率が低く場合には自らの脳年齢が思っていたほど若くなく頭脳の働きが悪ことに気づき、これを今後なんとか改善しようと頭脳を働かせようとするため、これまでよりも頭脳の働きを活性化することができる。
【0084】
上記実施形態における情報編集装置100(クイズ出題装置)は、利用者が感じ取りうる情報が情報データ28として記録時刻とともに継続的に記録されており、かつ、上記情報データの記録と同期させて上記利用者の生体に関して継続的に生体情報5aが採取されている状態にて、上記生体情報5aが所定の状態に変化した特定の時刻を検出する検出手段31,11,10(変曲点検出部、計時部、制御部)と、上記特定の時刻において記録された上記情報データ28の部分を素材として、上記情報データ28を編集する情報編集手段31(クイズ作成部)とを有する。
【0085】
このようにすると、編集した情報データ28(自己のライフログデータ)に基づくクイズは、利用者が、その周囲の状況の変化に応じて特定の状態に変化したした際に記録された情報データ28の部分を素材として作成されたものとなる。このため、このような部分の情報データ28を素材としたクイズは、上記生体情報5aを用いており、利用者が心理的に何らかの影響があった状況に関連しているため、利用者の思考能力に対して効果的な作用を与えることができる。
【0086】
なお、本実施形態は、上記に限られず、種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順を追って説明する。
上記実施形態では、クイズ出題装置100が携帯型の端末装置であると例示しているがこれに限られず、このクイズ出題装置100は、携帯型のゲーム機、パーソナルコンピュータ(ノートブック型コンピュータ、デスクトップ型コンピュータ)、携帯型電話装置、計時装置(据え置き型の時計、腕時計)であってもよい。
【0087】
また上記実施形態では、クイズに接した利用者の回答方法としてポインティングデバイス97により回答を入力する形態を採用しているが、これに限られず、そのような形態の代わりに或いは併せて音声入力により回答する形態であってもよい。
【0088】
上記実施形態では、クイズ作成部31が、主として自己ライフログデータ28単体に基づいてクイズを作成する形態を採用しているが、これに限られない。すなわち上記実施形態では、クイズ作成部31が、複数のライフログ(例えば自己ライフログデータ28、他人のライフログデータ27及び世の中記録データ26のいずれかの組み合わせ)のうちのいずれかの組み合わせに基づいて、次のようなクイズを作成する形態を採用してもよい。
【0089】
<単体のライフログの組み合わせに基づくクイズ例>
上記実施形態では、単体のライフログ(例えば1種類のライフログデータ)の組み合わせに基づいて、次のようなクイズを生成するようにしてもよい。なおここでいう1種類とは、自己ライフログデータ28、他人ライフログデータ27及び世の中記録データ26のいずれか1つを意味している。
【0090】
・匂いと音楽から思い出すターニングポイントは?
・ある人物と旅をした時に食べた物は?
・ターニングポイントの時に聞いた家族の言葉は?
・他人のライフログ(他人ライフログデータ27)を用いて「あの時あの場所で違う人物の生き方をしていたらどうなっていたか?」
・あの時会った人物は今どうなっているか?
・匂いから蘇る恋の相手は?
【0091】
<複数のライフログの組み合わせに基づくクイズ例>
上記実施形態では、複数のライフログ(例えば複数種類のライフログデータ)の組み合わせに基づいて、次のようなクイズを生成するようにしてもよい。なおここでいう複数種類のライフログデータとは、自己ライフログデータ28及び他人ライフログデータ27の組み合わせを意味している。
【0092】
・自分と他人のライフログを比べてどちらが自分のカテゴリか?
・あの時に一緒に食事した相手の現在の職業は?
・あの時一緒に旅行をした人物の家族構成は?趣味は?好きな音楽は?
・自分と他人の家族構成、人生が変わっていたら現在の自分はどれにあてはまるか?
【0093】
<単数又は複数のライフログと世の中記録データとの組み合わせに基づくクイズ例>
上記実施形態では、単体又は複数のライフログと世の中記録データとの組み合わせに基づいて、次のようなクイズを生成するようにしてもよい。なおここでいう複数種類のライフログデータとは、自己ライフログデータ28又は他人ライフログデータ27と世の中記録データ26との組み合わせを意味している。
・ある時のある音楽から関連する世の中の出来事は?
・ある時のある音楽、匂い、事件、ターニングポイントなどを一番多く経験した相手と一番多く聞いた曲はどれ?
・自分のライフログと世の中の記録を年代順に正確に並べよ。
【0094】
上記実施形態では、クイズ出題装置100によってライフログデータ28などから作成したクイズに利用者が回答することで、利用者は、その記憶に浸る感性や情緒を磨くことができる。また利用者は、このようなクイズに解答しようと自己の記憶をたどることで、記憶を思い出すことを楽しみつつ、その利用者の痴呆の進行を防止することができる。
【0095】
上記実施形態では、自己ライフログデータ28や他人のライフログデータ28のような各個人のデータベース、世の中記録データ26を含むデータベースを駆使したクイズを作成しているが、このようにすると、人生の記録を整理することにも寄与する。
【0096】
また上記実施形態では、クイズ出題装置100を用いればいつでもどのような情報を素材としてもクイズを作成して解答することができるため、常に利用者の頭脳に刺激を与えることができる。
【0097】
上記実施形態におけるクイズ出題装置100は、ゲーム用途のみならず、その他の用途として、医療機器用及び宴会盛り上げ用にも利用することができる。このクイズ出題装置100を医療機器と併用した場合には、例えば医療現場において大画面に上記クイズと脳の反応具合を同時に映し出すと、脳の反応具合をチェックすることができる。また、このクイズ出題装置100を宴会用途などに用いた場合には、同窓会の時など利用者の昔の記憶を正確に蘇らせることができるため、その同窓会を大変盛り上げつつその利用者の頭脳を活性化させることができる。
【0098】
上記実施形態では、単体のライフログの内容として、例えばGPS(Global Positioning System)を用いて利用者の行き先を追跡したものや、バイオメディカルセンサが利用者の健康状態を監視したもの、或いは、送信した電子メールやよんだ書籍の種類、例えばクレジットカードによって支払った支払い履歴を、自己ライフログデータ28として取り扱うようにしてもよい。
【0099】
上記各実施形態においては、上記情報データとして、例えば映像、音声、気温、気圧など、被験者が五感のうち少なくとも1つの感覚で感じ取ることができる情報(特定情報)を取り扱っている。しかも、上記各実施形態においては、上記生体情報として、例えば心拍数、血圧、発汗量など、被験者の状態を表す生体情報(例えば生体情報データ)を取り扱っている。
【0100】
また、上記各実施形態においては、上記ライフログとして、例えばこれら特定情報、生体情報、時刻データ(素材時刻情報など)、場所データ(位置情報)のいずれか又はこれらいずれかの組み合わせを含んでいる。上記各実施形態では、上記特定情報のみならず、このライフログが記録対象とされたり編集対象とされるようにすることができる。このライフログに関しては、上記特定情報のみならず、上記生体情報も記録対象としたり編集対象としている。上記実施形態では、このような記録対象及び編集対象の少なくとも一方として上記生体情報が含まれるようにしてもよい。
【0101】
上記実施形態における情報編集装置100(クイズ出題装置)の各機能(例えば図3に示す各機能)は、ハードウェアによって構成されている形態のみならず、次に示すような情報編集プログラムなどのソフトウェアによって構成されていても良い。
【0102】
すなわち、上記実施形態における情報編集プログラムは、情報データ記録手段によって、利用者が感じ取りうる情報を情報データとして継続的に記録させるとともに、前記情報データの記録時刻及び記録位置を記録させる情報データ記録ステップと、生体情報採取手段によって、前記情報データの記録と同期させて前記利用者の生体に関する生体情報を継続的に採取させる生体情報採取ステップと、変曲点検出手段によって、前記生体情報の時間的な変動に応じて生じる変曲点を検出させる変曲点検出ステップと、質問作成手段によって、前記変曲点における時刻に記録された前記情報データの部分を素材として、前記利用者に対する質問を作成させる質問作成ステップと、提示手段によって、作成した前記質問を前記利用者に対して提示させる提示ステップとを情報編集装置100(クイズ出題装置)に実行させる。
【0103】
質問作成手段31(クイズ作成部)が作成した質問(クイズ)は、変曲点検出手段33(変曲点検出部)によって検出された変曲点49における時刻に記録されていた情報データ28などを素材としたものである。よって作成された質問は、利用者にとって感情的に何らかの変化があったときの情報データ28などを利用したものとなり、利用者の頭脳の記憶に深く残っている情報に関連している。
【0104】
このため、このような質問に接した利用者とっては、この質問は単なる記憶の呼び起こすだけの単純作業とはならず、自らの記憶の奥深くに内在する潜在的な記憶を蘇らせる再現作業に似たものとなり、利用者個人の記憶に直接的に訴えかけられることとなる。このため利用者は、このような質問に接して自らの記憶を呼び起こすことで自らの頭脳を十分に働かせるとともに、自らの頭脳における思考能力を活性化させることができる。
【0105】
また、上記実施形態における情報編集プログラムは、利用者が感じ取りうる情報が情報データ28として記録時刻とともに継続的に記録されており、かつ、上記情報データ28の記録と同期させて上記利用者の生体に関して継続的に生体情報5aが採取されている状態にて、検出手段33,11,10(変曲点検出部、計時部、制御部)によって、上記生体情報5aが所定の状態に変化した特定の時刻を検出させる検出ステップと、情報編集手段(クイズ作成部)によって、上位特定の時刻において記録された上記情報データ28の部分を素材として、上記情報データ28を編集させる情報編集ステップとを情報編集装置100(クイズ出題装置)に実行させる。
【0106】
このようにすると、編集した情報データ28(自己のライフログデータ)に基づくクイズは、利用者が、その周囲の状況の変化に応じて特定の状態に変化したした際に記録された情報データ28の部分を素材として作成されたものとなる。このため、このような部分の情報データ28を素材としたクイズは、上記生体情報5aを用いており、利用者が心理的に何らかの影響があった状況に関連しているため、利用者の思考能力に対して効果的な作用を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明の実施形態としてのクイズ出題装置の構成例を示す正面図である。
【図2】図1に示すクイズ出題装置の電気的な構成例を示すブロックズである。
【図3】記憶部の記憶内容例及び制御部の機能ブロックの一例を示すブロック図である。
【図4】生体情報が変動して変曲点が生じている様子の一例を示す図である。
【図5】図3に示すピックアップデータのデータ構成例を示す図である。
【図6】クイズ作成装置が実行するクイズ出題処理の一例を示すフローチャートである。
【図7】図6に示すクイズ作成処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【図8】クイズの出題態様の一例を示す画面例である。
【図9】クイズの出題態様の一例を示す画面例である。
【符号の説明】
【0108】
2 カメラ(情報データ記録手段)
2a 映像データ(情報データ)
3 マイクロフォン(情報データ記録手段)
3a 音データ(情報データ)
5 生体情報採取部(生体情報採取手段)
15 入力部(回答入力手段)
27 他人ライフログデータ(情報データ)
28 自分ライフログデータ(情報データ)
31 クイズ作成部(質問作成手段、第1質問作成手段、第2質問作成手段、作動制御手段)
33 変曲点検出部(変曲点検出手段)
36 判定部(脳年齢算出手段)
49 変曲点
97 ポインティングデバイス(回答入力手段)
99 表示部(提示手段、選択肢提示手段、結果出力手段)
100 クイズ出題装置(質問出題装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が感じ取りうる情報を情報データとして継続的に記録するとともに、前記情報データの記録時刻及び記録位置を記録する情報データ記録手段と、
前記情報データの記録と同期させて前記利用者の生体に関する生体情報を継続的に採取する生体情報採取手段と、
前記生体情報の時間的な変動に応じて生じる変曲点を検出する変曲点検出手段と、
前記変曲点における時刻に記録された前記情報データの部分を素材として、前記利用者に対する質問を作成する質問作成手段と、
作成した前記質問を前記利用者に対して提示する提示手段と
を有することを特徴とする質問出題装置。
【請求項2】
請求項1記載の質問出題装置において、
前記質問作成手段は、前記情報データの記録位置に関する前記情報データの部分を素材として、前記利用者に対する質問を作成することを特徴とする質問出題装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の質問出題装置において、
前記質問に対する正解肢及び不正解肢を提示する選択肢提示手段と、
前記利用者が前記質問に対する所望の回答を入力するための回答入力手段と
を有することを特徴とする質問出題装置。
【請求項4】
請求項3記載の質問出題装置において、
前記利用者の回答が前記質問に対する正解であるか否かを判断し、正解である場合には正解である旨を出力し、不正解である場合には不正解である旨を出力する結果出力手段
を有することを特徴とする質問出題装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか記載の質問出題装置において、
前記質問作成手段は、
前記情報データのうち予め定められた時期よりも後に記録された第1の部分を素材として前記質問を作成する第1質問作成手段と、
前記情報データのうち前記予め定められた時期よりも前に記録された第2の部分を素材として他の質問を作成する第2質問作成手段と、
前記第1質問作成手段と前記第2質問作成手段とを交互に作動させる作動制御手段と
を備えることを特徴とする質問出題装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか記載の質問出題装置において、
前記提示手段によって提示された前記質問に対する正解率及び、前記質問に回答するのに必要な記憶内容の古さに応じて、前記利用者の頭脳の働きに応じた脳年齢を算出する脳年齢算出手段を有することを特徴とする質問出題装置。
【請求項7】
利用者が感じ取りうる情報が情報データとして記録時刻とともに継続的に記録されており、かつ、前記情報データの記録と同期させて前記利用者の生体に関して継続的に生体情報が採取されている状態にて、前記生体情報が所定の状態に変化した特定の時刻を検出する検出手段と、
前記特定の時刻において記録された前記情報データの部分を素材として、前記情報データを編集する情報編集手段と
を有することを特徴とする情報編集装置。
【請求項8】
情報データ記録手段によって、利用者が感じ取りうる情報を情報データとして継続的に記録させるとともに、前記情報データの記録時刻及び記録位置を記録させる情報データ記録ステップと、
生体情報採取手段によって、前記情報データの記録と同期させて前記利用者の生体に関する生体情報を継続的に採取させる生体情報採取ステップと、
変曲点検出手段によって、前記生体情報の時間的な変動に応じて生じる変曲点を検出させる変曲点検出ステップと、
質問作成手段によって、前記変曲点における時刻に記録された前記情報データの部分を素材として、前記利用者に対する質問を作成させる質問作成ステップと、
提示手段によって、作成した前記質問を前記利用者に対して提示させる提示ステップと
を質問出題装置に実行させることを特徴とする質問出題プログラム。
【請求項9】
利用者が感じ取りうる情報が情報データとして記録時刻とともに継続的に記録されており、かつ、前記情報データの記録と同期させて前記利用者の生体に関して継続的に生体情報が採取されている状態にて、検出手段によって、前記生体情報が所定の状態に変化した特定の時刻を検出させる検出ステップと、
情報編集手段によって、前記特定の時刻において記録された前記情報データの部分を素材として、前記情報データを編集させる情報編集ステップと
を情報編集装置に実行させることを特徴とする情報編集プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−249878(P2008−249878A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−89337(P2007−89337)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】