説明

質問装置、RFID質問器、RFID質問プログラム及びRFID質問方法

【課題】周波数利用効率を確保しながら、RFID質問器間の信号干渉及びRFID質問器から電子タグへの信号干渉を抑制することができる。
【解決手段】電子タグに対して送信信号を送信するデータ送信部21と、データ送信部21にて送信信号を送信後、所定期間内に送信信号に対する応答信号を電子タグから受信するデータ受信部22と、データ受信部22にて受信した電子タグからの応答信号に基づき、電子タグ側の受信に関わるSINR値をタグ受信SINR推定値として推定するタグ受信SINR推定部31と、タグ受信SINR推定部31にて推定したタグ受信SINR推定値が受信許容の所定SINR値になるように、送信信号の変調度を可変制御すべく、データ送信部21を制御する送信制御部32とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばパッシブRFID(Radio Frequency Identification)タグ等の電子タグに対して情報の読み書きを行うリーダ・ライタ装置等の質問装置、RFID質問器、RFID質問プログラム及びRFID質問方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、RFIDは、ユビキタス社会で注目されている技術の一つであり、このRFIDを応用したRFIDタグシステムでは、例えばリーダ・ライタ装置やリーダ装置等のRFID質問器と、例えば無線ICタグ、無線タグやRFIDタグ等の電子タグとを有し、商品等の対象物に貼付した電子タグ内の情報をRFID質問器で読み書きすることで、商品管理を実現するものである。
【0003】
図7は、一般的なRFIDタグシステム全体のシステム構成を示す説明図である。
【0004】
RFIDタグシステム100は、複数のRFID質問器101と、RFID質問器101毎に対応する複数の電子タグ102と、複数のRFID質問器101を集中管理する制御装置103とを有し、RFID質問器101は、通信対象として設定した電子タグ102と通信し、電子タグ102内の情報を読み書きするものである。
【0005】
図8は、一般的なRFIDタグシステム100のRFID質問器101間の信号干渉と、他のRFID質問器101から電子タグ102への信号干渉を端的に示す説明図である。
【0006】
図8に示すRFIDタグシステム100では、複数のRFID質問器101が密に配置されると、例えば他のRFID質問器101や他の電子タグ102に干渉を与える与干渉RFID質問器101Aと、与干渉RFID質問器101Aからの干渉を受ける被干渉RFID質問器101Bとを有し、与干渉RFID質問器101Aの通信エリアr1内に電子タグ102Aが、被干渉RFID質問器101Bの通信エリアr2内に電子タグ102Bが存在しているものとする。
【0007】
この際、RFID質問器101間の信号干渉と、他のRFID質問器101から電子タグ102への信号干渉とが発生する。
【0008】
RFID質問器101間の信号干渉では、例えば与干渉RFID質問器101Aと被干渉RFID質問器101Bとが同一周波数で電子タグ102と通信を行う場合に、通信信号の識別ができなくなるといった問題が生じる。
【0009】
また、RFID質問器101から電子タグ102への信号干渉では、例えば与干渉RFID質問器101Aからの送信信号が通信エリアr1外の通信エリアr2内に存在する電子タグ102Bへも届くことにより、この電子タグ102Bが本来通信を行う被干渉RFID質問器101Bからの送信信号に対しても応答ができなくなるといった問題が生じる。
【0010】
RFID質問器101間の信号干渉を回避する方法としては、各RFID質問器101が通信開始前にキャリアセンスを実行して空きチャネル(周波数)を探索し、空きチャネルを使用することでRFID質問器101間の信号干渉を回避することができる。
【0011】
また、キャリアセンスを実行するシステムでは、RFID質問器101が送信信号を連続して送信可能な最大連続送信時間と、この最大連続送信時間終了後に信号送信を停止する最小送信停止時間とを規定しておき、信号送信待ちのRFID質問器101が、信号送信中のRFID質問器101の最小送信停止時間中に通信チャネルを獲得する機会を得るため、RFID質問器101間で通信チャネルを公平に使用することができる。
【0012】
しかしながら、電子タグ102側では周波数選択機能を備えていないため、各RFID質問器101が異なる周波数の通信チャネルを使用して電子タグ102に送信信号を送信したとしても、前述した他のRFID質問器101から電子タグ102への信号干渉は発生する。
【0013】
また、図9は、一般的なRFIDタグシステム100のRFID質問器101の送信信号と電子タグ102の応答信号との周波数スペクトラムを端的に示す説明図である。
【0014】
RFID質問器101間の信号干渉を回避する方法としては、RFID質問器101からの送信信号に対して電子タグ102が応答信号を返信するに際し、図9に示すように、サブキャリア変調を使用してRFID質問器101からの送信信号スペクトラムから離れた周波数で応答信号(タグバックスキャッタ信号)を送信して、RFID質問器101からの送信信号と電子タグ102からの応答信号とのスペクトラムの重なりを小さくするようにすることで、RFID質問器101間の信号干渉を低減することができる。
【0015】
【非特許文献1】European Telecommunications Standards Institute,“Electromagnetic compatibility and Radio spectrum Matters(ERM);Radio Frequency Identification Equipment operating in the band 865 MHz to 868 MHz with power levels up to 2 W;Part1:Technical requirements and methods of measurement”,ETSI EN 302 208−1,V1.1.1,P.9,10,26
【非特許文献2】EPCglobal, EPC radio−frequency identify protocols class−1 generation−2 UHF RFID protocol, EPC global standard specification.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
まず、従来の技術では、電子タグ側における受信品質の推定を可能とする技術を開示していない。
【0017】
そこで、目的の1側面は、電子タグ側における受信品質の推定を可能とすることである。
【0018】
また、上記従来のRFID質問器101間の信号干渉を回避する方法としては、図10に示すように、例えば隣接する“#1”〜“#4”のRFID質問器101が互いに異なる時間スロットを使用して通信を実行すべく、RFID質問器101を集中管理する制御装置103が各RFID質問器101に対して時分割制御のスケジューリングを実行し、各RFID質問器101は、時間スロットに応じて自己が管理する電子タグ102に送信信号を送信し、この送信信号に対する応答信号を電子タグ102から受信する。
【0019】
しかしながら、時間スロットの割当を受けたRFID質問器101(“#1”のRFID質問器)が送信信号を送信中の場合、他のRFID質問器101(“#2”〜“#4”のRFID質問101)では、自己が管理する電子タグ102(“#2”〜“#4”の電子タグ102)へ送信信号を送信することができず、例えば電子タグ102が移動中の場合、データの読み落としが発生する場合がある。
【0020】
また、制御装置103では、事前に、RFID質問器101同士の互いの信号干渉の影響を把握した設定及び制御を実行する必要があるため、RFID質問器101の設置環境が変化する度に煩雑な設定を行う必要がある。
【0021】
また、サブキャリア変調で電子タグ102の応答信号をRFID質問器101の送信信号のスペクトラムから離れた周波数で送信する際、図11に示すように、隣接するRFID質問器101間で互いに周波数が約1MHz(例えば800kHz)程度離れた通信チャネルを使用して通信することで、サブキャリア変調で送信する電子タグ102の応答信号に対してRFID質問器101毎に割り当てた通信チャネルの送信信号の干渉の影響を低減するようにしたが、例えば多数のRFID質問器101が密に配置している場合では、多くの通信チャネルを確保する必要があるため、周波数利用効率が良くない。
【0022】
本発明は上記点に鑑みてなされたものであり、目的の他の側面では、通信品質を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の実施態様の1側面では、受信端における反射率を少なくとも第1の反射率及び該第1の反射率より反射率の高い第2の反射率に制御することで、応答信号を生成する電子タグに対して信号を送信する質問装置において、前記電子タグに対して送信信号を送信する送信部と、前記電子タグから該送信信号に対する応答信号を受信する受信部と、前記応答信号のうち、前記第2の反射率が適用された信号部分を受信信号の強度に応じて抽出する抽出部と、該抽出部で抽出した信号部分に基づいて、前記電子タグにおける受信品質を推定する推定部と、を備えたことを特徴とする質問装置を用いる。
【0024】
また、本発明の実施態様の1側面では、電子タグに対して送信信号を送信する送信部と、前記電子タグからの応答信号に基づいて測定した受信品質に基づいて、前記電子タグに送信する送信信号に適用する変調度を制御する送信制御部と、を備えたことを特徴とする質問装置を用いる。
【0025】
本発明の実施態様の1側面では、電子タグに対して送信信号を送信する送信部と、前記送信部にて前記送信信号を送信後、所定期間内に前記送信信号に対する応答信号を前記電子タグから受信する受信部と、前記受信部にて受信した前記電子タグからの前記応答信号に基づき、前記電子タグ側の受信に関わるSINR(Signal to Interference and Noise Ratio)値をタグ受信SINR推定値として推定するタグ受信SINR推定部と、前記タグ受信SINR推定部にて推定した前記タグ受信SINR推定値が受信許容の所定SINR値になるように、前記送信信号の変調度を可変制御すべく、前記送信部を制御する送信制御部とを有することを特徴とするRFID質問器を用いる。
【0026】
また、本発明の実施態様の1側面では、電子タグに対して送信信号を送信する送信手順と、前記送信手順にて前記送信信号を送信後、所定期間内に前記送信信号に対する応答信号を前記電子タグから受信する受信手順と、前記受信手順にて受信した前記電子タグからの前記応答信号に基づき、前記電子タグ側の受信に関わるSINR値をタグ受信SINR推定値として推定するタグ受信SINR推定手順と、前記タグ受信SINR推定手順にて推定した前記タグ受信SINR推定値が受信許容の所定SINR値になるように、前記送信信号の変調度を可変制御する送信制御手順とをコンピュータ装置に実行させることを特徴とするRFID質問プログラムを用いる。
【0027】
また、本発明の実施態様の1側面では、電子タグに対して送信信号を送信する送信ステップと、前記送信ステップにて前記送信信号を送信後、所定期間内に前記送信信号に対する応答信号を前記電子タグから受信する受信ステップと、前記受信ステップにて受信した前記電子タグからの前記応答信号に基づき、前記電子タグ側の受信に関わるSINR値をタグ受信SINR推定値として推定するタグ受信SINR推定ステップと、前記タグ受信SINR推定ステップにて推定した前記タグ受信SINR推定値が受信許容の所定SINR値になるように、前記送信信号の変調度を可変制御する送信制御ステップとを含むことを特徴とするRFID質問方法を用いる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、電子タグ側からの反射信号の利用により、電子タグ側における受信品質の推定が可能となる。
【0029】
また、本発明によれば、適応変調制御により受信品質が改善される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、図面に基づき本発明の質問装置、RFID質問器、RFID質問プログラム及びRFID質問方法に関わる実施例について詳細に説明する。
【0031】
この実施例では、電子タグは、受信端(例えばアンテナ)における反射率を少なくとも第1の反射率及び該第1の反射率より反射率の高い第2の反射率に制御する。そして、質問装置(電子タグとの間で信号をやりとりする装置)は、この電子タグに対して送信信号を送信部から送信する。
【0032】
電子タグは、質問装置からの信号を受信すると、受信端における反射率を制御して、応答信号を生成するので、質問装置は、異なる反射率に制御されることで強度の変化した信号を応答信号として受信する。そして、質問装置は、応答信号のうち、第2の反射率が適用された信号部分(第1の反射率より高い反射率が適用された信号部分)を受信信号の強度に応じて抽出部で、抽出する。
【0033】
そして、質問装置は、抽出部で抽出した信号部分に基づいて、推定部によって、電子タグにおける受信品質を推定する。即ち、反射率が高く設定されることで反射された信号部分を用いて電子タグにおける受信品質の推定を行う。
【0034】
好ましくは、上記方法によって推定された受信品質に基づいて、質問装置の送信部は、電子タグに送信する送信信号に適用する変調度を制御する。
【0035】
他には、応答信号の受信品質そのものを使って変調度を制御する場合もある。
【0036】
例えば、所定の受信品質基準を満たす範囲内で変調度を変更する。変調度の変更に際して、所定の受信品質基準を満たしつつ最も高速な伝送が可能な変調度に変更することもできる。電子タグからの応答信号を利用する場合は、その応答信号の受信後に、その電子タグに送信する送信信号について変調度の変更を行ってもよい。
【0037】
また、RFID質問器からの送信信号に対する電子タグからの応答信号に基づき、電子タグ側の受信に関わるSINR値をタグ受信SINR推定値としてRFID質問器側で推定し、この推定したタグ受信SINR推定値が受信許容の所定SINR値になるように、RFID質問器から電子タグに送信する送信信号の変調度を可変制御することで、例えばRFID質問器から電子タグに送信する送信信号の変調度を必要最小限に抑制するようにした。
【0038】
その結果、本実施例では、RFID質問器間の信号干渉を抑制し、さらにはRFID質問器間の離隔距離を狭くすることでRFID質問器の高密度配置を確保することができると共に、他のRFID質問器の通信エリア内にある電子タグへの信号干渉、すなわちRFID質問器から電子タグへの信号干渉を抑制し、確保する通信チャネルの数を減らして周波数利用効率の向上を図ることができるというものである。
【実施例1】
【0039】
図1は、実施例1のRFIDタグシステム全体のシステム構成を示す説明図である。
【0040】
図1に示すRFIDタグシステム1は、複数のRFID質問器2と、RFID質問器2毎に対応する複数の電子タグ3と、複数のRFID質問器2を集中管理する制御装置4とを有し、RFID質問器2は、通信対象として設定した電子タグ3と通信し、電子タグ3内の情報を読み書きするものである。
【0041】
図2は、実施例1のRFID質問器2内部の概略構成を示すブロック図である。
【0042】
図2に示すRFID質問器2は、電子タグ3とのRFID通信を司るRF部10と、電子タグ3へ送信する送信信号及び電子タグ3から受信した受信信号の解析を実行するMPU(Micro Processing Unit)20とを有している。
【0043】
RF部10は、MPU20からの送信信号をRFID通信で電子タグ3に送信する送信部11と、電子タグ3からの受信信号をRFID通信で受信する受信部12と、送信部11及び受信部12の周波数変換に使用する局部発振器13と、アンテナ14経由で電子タグ3との信号を送受信する共用器15とを有している。
【0044】
送信部11は、MPU20からの送信信号をマンチェスター符号で符号化する符号化部11Aと、符号化部11Aで符号化した送信信号をASK(Amplitude Shift Keying)変調するAM(Amplitude Modulation)変調部11Bとを有している。
【0045】
さらに、送信部11は、AM変調部11BにてASK変調した送信信号にフィルタ処理を施すLPF(Low Pass Filter)部11Cと、LPF部11Cでフィルタ処理を施した送信信号の通信チャネルを所望周波数の高周波に変換するアップコンバート部11Dと、アップコンバート部11Dで高周波に変換した搬送波の利得を増幅するアンプ部11Eとを有している。
【0046】
符号化部11Aは、例えば書き込みコマンドや読み出しコマンド等の送信信号をマンチェスター符号等で符号化するものである。
【0047】
AM変調部11Bは、符号化したビットデータをアナログ信号で送信するため、搬送波の振幅に強弱を付けて、この強弱の違いに夫々“0”又は“1”を割り当てることで、ビットデータを転送できるよう、符号化部11Aで符号化した送信信号のASK変調を行うものである。
【0048】
LPF部11Cは、AM変調部11BでASK変調した送信信号の高周波成分を除去するフィルタ処理を施すものである。
【0049】
アップコンバート部11Dは、LPF部11Cで高周波成分を除去した送信信号の通信チャネルを、局部発振器13からの局部発振周波数に基づき、所望周波数の高周波に変換するものである。
【0050】
アンプ部11Eは、アップコンバート部11Dで周波数変換した搬送波の利得を増幅し、増幅した送信信号を、アンテナ14経由で電子タグ3にRFID通信で送信すべく、共用器15に供給するものである。
【0051】
また、受信部12は、アンテナ14及び共用器15経由で電子タグ3から受信した受信信号に対してフィルタ処理を施す第1LPF部12Aと、第1LPF部12Aでフィルタ処理を施した受信信号の高周波の搬送波を元の周波数に周波数変換するダウンコンバート部12Bと、ダウンコンバート部12Bで周波数変換した受信信号をベースバンドでフィルタ処理を施す第2LPF部12Cと、第2LPF部12Cでフィルタ処理を施した受信信号にサブキャリア復調処理を実行するサブキャリア復調部12Dとを有している。
【0052】
第1LPF部12Aは、アンテナ14及び共用器15経由で受信した受信信号の高周波成分を除去するものである。
【0053】
ダウンコンバート部12Bは、第1LPF部12Aでフィルタ処理を施した受信信号の高周波の通信チャネルを、局部発振器13からの発振周波数に基づき、元の周波数に周波数変換するものである。
【0054】
第2LPF部12Cは、周波数変換した元の周波数の受信信号にベースバンドでフィルタ処理を施すものである。
【0055】
尚、受信信号には、図9に示すように、RFID質問器2からの送信信号の反射信号にサブキャリア変調方式で応答信号が含まれているため、サブキャリア復調部12Dでは、第2LPF部12Cでフィルタ処理を施した受信信号にサブキャリア復調処理を実行するものである。
【0056】
また、受信部12は、サブキャリア復調部12Dで復調した受信信号をASK復調するAM復調部12Eと、AM復調部12EにてASK復調した受信信号を復号化する復号化部12Fとを有している。
【0057】
AM復調部12Eは、サブキャリア復調部12Dで復調した受信信号をASK復調することで受信信号をビットデータに変換するものである。
【0058】
復号化部12Fは、AM復調部12EにてASK復調した受信信号を復号化し、復号化した受信信号をMPU20に伝送するものである。
【0059】
図3は、RFID質問器2のMPU20内部の概略構成を示すブロック図である。
【0060】
図3に示すMPU20は、例えば書き込みコマンドや読み出しコマンド等の送信データを送信信号としてRF部10に送信するデータ送信部21と、RF部10で受信した受信信号から受信データを受信するデータ受信部22と、主制御部23とを有している。
【0061】
データ送信部21は、RF部10の送信部11、共用器15及びアンテナ14経由で、電子タグ3に対して送信信号を送信するものである。
【0062】
データ受信部22は、データ送信部21にて送信信号を送信後、所定期間内に送信信号に対する受信信号を、アンテナ14、共用器15及びRF部10の受信部12経由で電子タグ3から受信するものである。
【0063】
主制御部23は、RF部10内の受信部12にて受信した電子タグ3からの受信信号に含まれる応答信号に基づき、電子タグ3側の受信に関わるSINR値をタグ受信SINR推定値として推定するタグ受信SINR推定部31と、タグ受信SINR推定部31にて推定したタグ受信SINR推定値が受信許容の所定SINR値になるように、通信対象の電子タグ3に送信する送信信号の変調度を可変制御すべく、データ送信部21を制御する送信制御部32とを有している。尚、タグ受信SINR推定値は、電子タグ3の受信品質を推定した推定値に相当するものである。
【0064】
また、電子タグ3は、RFID質問器2からの送信信号を受信すると、受信端における反射率を少なくとも第1の反射率及び該第1の反射率より反射率の高い第2の反射率に制御して、応答信号を生成するものである。その結果、RFID質問器2では、異なる反射率に制御されることで強度の変化したサブキャリアの応答信号として受信することになる。
【0065】
また、主制御部23は、所定期間内に送信信号に対する応答信号を電子タグ3から受信できたか否かを判定する応答信号受信判定部33と、送信信号の搬送周波数のチャネルを設定変更するチャネル設定制御部34と、電子タグ3を貼付した商品が送信信号の通信エリア内にあるか否かを判定する商品有無判定部35とを有している。
【0066】
図4は、タグ受信SINR推定部31内部の概略構成を示すブロック図である。
【0067】
図4に示すタグ受信SINR推定部31は、RF部10内の受信部12を通じて電子タグ3からの受信信号を受信すると、受信信号にメインキャリア(送信信号)の中心周波数fcを乗算することで受信信号を復調する第1復調部41と、第1復調部41にて復調した受信信号の高周波成分を除去するフィルタ処理を施す第3LPF部42とを有している。
【0068】
さらに、タグ受信SINR推定部31は、第3LPF部42でフィルタ処理を施した受信信号に対してサブキャリア(応答信号)の中心周波数fscを乗算することで受信信号に含まれる応答信号を復調する第2復調部43と、第2復調部43にて復調した応答信号の高周波成分を除去するフィルタ処理を施す第4LPF部44とを有している。
【0069】
さらに、タグ受信SINR推定部31は、第4LPF部44でフィルタ処理を施した応答信号の波形x(t)から所定閾値x0を超えた波形部分y(t)をサンプリング抽出するサンプリング抽出部45と、サンプリング抽出部45にて抽出した波形部分y(t)に基づき、(波形部分y(t)の分散)/(波形部分y(t)の平均値の2乗)の計算処理を実行する計算部46と、この計算部46の計算結果で得た時間平均値を応答信号のタグ受信SINR推定値とする時間平均部47とを有している。尚、所定閾値x0は、例えば応答信号の最大値の約0.8倍の値に設定するものとする。
【0070】
第2復調部43、第4LPF部44及びサンプリング抽出部45は、応答信号のうち、第2の反射率が適用された信号部分(第1の反射率より高い反射率が適用された信号部分)を受信信号の強度に応じて抽出するものである。
【0071】
送信制御部32は、タグ受信SINR推定部31にて推定した電子タグ3側のタグ受信SINR推定値が受信許容の所定SINR値になるように、電子タグ3に送信する送信信号の変調度を可変制御するものである。
【0072】
尚、所定SINR値は、電子タグ3側で送信信号を最小限に受信できる受信許容のSINR値に相当するものである。また、送信制御部32の変調度mの設定範囲は、0<m≦1の範囲内に相当するものである。
【0073】
送信制御部32は、タグ受信SINR推定部31にて推定したタグ受信SINR推定値γと所定SINR値γ0とに基づき、例えば更新時刻に対応する一定の時間間隔毎に、送信信号の変調度の逐次更新処理を実行するものである。尚、変調度は、ASK変調信号のスペクトラムのサイドローブ電力と依存関係にある。送信制御部32では、サイドローブ電力毎に、変調度を管理するテーブルを備えているものとする。
【0074】
そこで、送信制御部32は、タグ受信SINR推定値γ、所定SINR値γ0及び、現在の送信信号のサイドローブ電力P(t)に基づき、P(t)*(γ0/γ)の数式で、RFID質問器2から電子タグ3に対して情報の読み書きが可能な最小限の送信変調度を取得すべく、所望のサイドローブ電力P(t+1)を算出更新するものである。
【0075】
送信制御部32は、所望のサイドローブ電力P(t+1)毎に予め算出した変調度m(t+1)を管理するテーブルを備え、所望のサイドローブ電力P(t+1)を算出すると、このサイドローブ電力P(t+1)に対応した変調度m(t+1)をテーブルから読み出すものである。
【0076】
そして、送信制御部32は、読み出した変調度m(t+1)、すなわちRFID質問器2から電子タグ3に対して情報の読み書きが可能な最小限の変調度として更新設定するものである。
【0077】
また、応答信号受信判定部33は、送信信号の送信後、送信信号に対する応答信号を受信するまでの所定期間内に、タグ受信SINR推定部31にて推定したタグ受信SINR推定値に基づき、送信信号に対する応答信号を受信したか否かを判定するものであって、例えばタグ受信SINR推定値が所定SINR値未満の場合、送信信号に対する応答信号が受信できなかったものと判断するものである。
【0078】
商品有無判定部35は、通信対象の電子タグ3を貼付した商品がRFID質問器2の通信エリア内にあることを検知する、図示せぬセンサのセンサ情報に基づき、通信対象の電子タグ3を貼付した商品が通信エリア内にあるか否かを判定するものである。
【0079】
また、送信制御部32は、応答信号受信判定部33にて所定期間内に応答信号を受信できなかった場合、かつ、商品有無判定部35にて商品が通信エリア内にある場合、この商品に貼付した電子タグ3に対する送信信号の変調度を暫時増加するように可変制御するものである。
【0080】
尚、変調度mの暫時増加量は、一定量に相当し、現在のサイドローブ電力P(t)及び一定量cに基づき、P(t+1)=c*P(t)の数式で所望サイドローブ電力P(t+1)を算出し、算出したし所望サイドローブ電力P(t+1)に対応する変調度をテーブルから読出出力するものである。尚、定数cは、c≦1.0である。
【0081】
また、送信制御部32は、応答信号受信判定部33にて所定期間内に応答信号を受信できなかった場合、かつ、商品有無判定部35にて商品が通信エリア内にない場合、この商品に貼付した電子タグ3に対する送信信号の変調度の可変制御設定を禁止するものである。
【0082】
また、送信制御部32は、電子タグ3に対する送信信号の変調度が最大変調度、かつ、応答信号受信判定部33にて送信信号に対する応答信号が受信できない状態が所定時間継続した場合、一様乱数の確率結果に基づき、送信信号を送信するデータ送信部21の送信動作を停止するものである。
【0083】
尚、送信制御部32は、0から1までの範囲で一様乱数pを発生し、一様乱数pが所定閾値p0未満でないとの確率結果を得た場合、送信信号を送信するデータ送信部21の送信動作を停止するものである。また、送信制御部32は、一様乱数pが所定閾値p0未満との確率結果を得た場合、送信信号を送信するデータ送信部21の送信動作を継続するものである。
【0084】
また、送信制御部32は、データ送信部21の送信動作を停止する場合、データ送信部21及びAM変調部11Bに送信停止信号を送信し、データ送信部21及びAM変調部11Bは、送信停止信号に応じて送信信号の送信動作を停止するものである。
【0085】
チャネル設定制御部34は、送信信号の通信チャネルを設定変更し、設定変更した通信チャネルを局部発振器13に設定し、局部発振器13は、設定変更した通信チャネルに基づき発振周波数を設定変更するものである。
【0086】
次に、実施例1のRFIDタグシステム1の動作について説明する。図5は、実施例1の第1送信変調度更新処理に関わるMPU20内部の主制御部23の処理動作を示すフローチャートである。
【0087】
図5に示す第1送信変調度更新処理は、送信信号に対する電子タグ3からの応答信号を受信すると、電子タグ3側の受信タグSINR推定値γを推定し、この受信タグSINR推定値γ及び所定SINR値γ0に基づき、電子タグ3に対する送信信号の変調度を可変制御する処理である。
【0088】
図5においてRFID質問器2のMPU20内部の主制御部23は、データ送信部21を通じて単一チャネルで電子タグ3の情報の読み書きする送信信号の送信動作を開始すると、現在時刻が更新時刻に到達したか否かを判定する(ステップS11)。
【0089】
主制御部23の応答信号受信判定部33は、現在時刻が更新時刻に到達した場合(ステップS11肯定)、送信信号に対する受信信号内の応答信号を所定期間内に電子タグ3から受信したか否かを判定する(ステップS12)。
【0090】
主制御部23のタグ受信SINR推定部31は、所定期間内に応答信号を受信した場合(ステップS12肯定)、応答信号に基づき、電子タグ3側のタグ受信SINR推定値γを推定する(ステップS13)。
【0091】
送信制御部32は、タグ受信SINR推定部31にて推定したタグ受信SINR推定値γ、所定SINR値γ0及び送信信号のサイドローブ電力P(t)に基づき、P(t)*(γ0/γ)の数式で、RFID質問器2から電子タグ3に対して情報の読み書きが可能な送信信号の最小限の変調度を取得すべく、所望サイドローブ電力P(t+1)を算出する。
【0092】
さらに、送信制御部32は、所望サイドローブ電力P(t+1)を算出すると、所望サイドローブ電力P(t+1)に対応した変調度(m+1)をテーブルから読み出し、読み出した変調度(m+1)をデータ送信部21の送信信号の変調度として設定更新する(ステップS14)。尚、送信制御部32は、送信信号の変調度を、RFID質問器2から電子タグ3に対して情報の読み書きが可能な最小限の変調度に設定更新することで、他のRFID質問器2が管理する電子タグ3への信号干渉及びRFID質問器2間の信号干渉を抑制することができるものである。
【0093】
送信制御部32は、現在設定中の変調度が最大変調度であるか否かを判定する(ステップS15)。尚、変調度mの設定範囲は、0<m≦1の範囲で設定するものである。
【0094】
送信制御部32は、現在設定中の変調度が最大変調度でない場合(ステップS15否定)、更新時刻に到達したか否かを判定すべく、ステップS11に移行する。
【0095】
また、主制御部23の商品有無判定部35は、応答信号受信判定部33にて所定期間内に電子タグ3に対する応答信号を受信しなかった場合(ステップS12否定)、この電子タグ3を貼付した商品がRFID質問器2の通信エリア内にあるか否かを判定する(ステップS16)。
【0096】
送信制御部32は、この電子タグ3を貼付した商品がRFID質問器2の通信エリア内にある場合(ステップS16肯定)、現在の送信信号のサイドローブ電力P(t)及び定数cに基づき、P(t)*cの数式で、変調度を一定量上げるべく、所望サイドローブ電力P(t+1)を算出する。尚、定数cは、c≧1.0である。
【0097】
さらに、送信制御部32は、所望サイドローブ電力P(t+1)を算出すると、算出した所望サイドローブ電力P(t+1)に対応した変調度(m+1)をテーブルから読み出し、読み出した変調度(m+1)をデータ送信部21の変調度として設定更新し(ステップS17)、現在の変調度mが最大変調度であるか否かを判定すべく、ステップS15に移行する。尚、変調度を一定量大きくすることで、電子タグ3に対する応答信号を受信できる機会の向上を図ることができるものである。
【0098】
応答信号受信判定部33は、現在の変調度mが最大変調度の場合(ステップS15肯定)、送信信号に対する応答信号を電子タグ3から受信したか否かを判定する(ステップS18)。
【0099】
送信制御部32は、応答信号を受信しなかった場合(ステップS18否定)、すなわち、送信変調度が最大変調度、送信信号に対する応答信号を受信できなかった状態が所定時間継続したものと判断し、一様乱数pが所定閾値p0未満であるか否かを判定する(ステップS19)。
【0100】
送信制御部32は、一様乱数pが所定閾値p0未満の場合(ステップS19肯定)、送信信号の送信動作を停止すべく、データ送信部21及びAM変調部11Bの動作を停止し(ステップS20)、図5に示す処理動作を終了する。尚、送信制御部32は、送信変調度が最大変調度、送信信号に対する応答信号を受信できなかった状態が所定時間継続した場合、かつ、一様乱数pが所定閾値p0未満の場合、第1送信変調度更新処理を継続したとしても電子タグ3から応答信号が受信できない通信環境下であると判断し、送信動作を停止するものである。
【0101】
また、送信制御部32は、ステップS11にて更新時刻に到達しなかった場合(ステップS11否定)、更新時刻に到達したか否かを監視すべく、ステップS11に移行する。
【0102】
また、送信制御部32は、ステップS18にて応答信号を受信した場合(ステップS18肯定)、更新時刻を到達したか否かを監視すべく、ステップS11に移行する。
【0103】
また、送信制御部32は、ステップS19にて一様乱数pが所定閾値p0未満でない場合(ステップS19否定)、更新時刻を到達したか否かを監視すべく、ステップS11に移行する。尚、送信制御部32は、送信変調度が最大変調度、送信信号に対する応答信号を受信できなかった状態が所定時間継続した場合でも、一様乱数pが所定閾値p0未満でない場合、すなわち一定の確率で送信動作を継続するようにした。その結果、例えば、それぞれの通信エリア内にある電子タグ3が相互に信号干渉を受け合っている複数のRFID質問器2同士が同時に送信動作を停止してしまうような機会を減らすことで、不必要に送信動作を停止してしまうRFID質問器2の数を減らすことができる。
【0104】
また、商品有無判定部35は、ステップS16にて電子タグ3を貼付した商品が通信エリア内にない場合(ステップS16否定)、電子タグ3が通信エリア内にないものと判断し、不必要な変調度mの増加を回避し、更新時刻を到達したか否かを監視すべく、ステップS11に移行する。
【0105】
図5に示す第1送信変調度更新処理によれば、電子タグ3の応答信号で推定した電子タグ3側のタグ受信SINR推定値γに基づき、送信信号の変調度を、RFID質問器2から電子タグ3に対して情報の読み書きが可能な最小限の変調度に設定更新することで、他のRFID質問器2が管理する電子タグ3への信号干渉及びRFID質問器2間の信号干渉を抑制することができる。
【0106】
また、第1送信変調度更新処理によれば、所定期間内に電子タグ3に対する応答信号を受信しなかった場合、かつ、この電子タグ3を貼付した商品がRFID質問器2の通信エリア内にある場合は、送信信号の変調度を一定量大きくすることで、電子タグ3に対する応答信号を受信できる機会の向上を図ることができる。
【0107】
また、第1送信変調度更新処理によれば、所定期間内に電子タグ3に対する応答信号を受信しなかった場合、かつ、この電子タグ3を貼付した商品がRFID質問器2の通信エリア内にない場合は、送信信号の変調度mの不要な増加を回避することができる。
【0108】
また、第1送信変調度更新処理によれば、送信変調度が最大変調度、送信信号に対する応答信号を受信できなかった状態が所定時間継続した場合、かつ、一様乱数pが所定閾値p0未満の場合、電子タグ3から応答信号が受信できない通信環境下であると判断し、送信動作を停止するようにしたので、第1送信変調度更新処理の不要な継続を回避することができる。
【0109】
また、第1送信変調度更新処理によれば、送信変調度が最大変調度、送信信号に対する応答信号を受信できなかった状態が所定時間継続した場合でも、一様乱数pが所定閾値p0未満でない場合、すなわち一定の確率で送信動作を継続するようにしたので、例えば、それぞれの通信エリア内にある電子タグ3が相互に信号干渉を受け合っている複数のRFID質問器2同士が同時に送信動作を停止するような機会を減らすことで、不必要に送信動作を停止してしまうようなRFID質問器2の数を減らすことができる。
【0110】
実施例1によれば、電子タグ3からの応答信号に基づき、電子タグ3側の受信に関わるSINR値をタグ受信SINR推定値γとして推定し、このタグ受信SINR推定値γが受信許容の所定SINR値γ0になるように、RFID質問器2から電子タグ3に送信する送信信号の変調度を可変制御することで、例えばRFID質問器2から電子タグ3に送信する送信信号の変調度を必要最小限に抑制するようにした。その結果、実施例1では、RFID質問器2間の信号干渉を抑制し、さらにはRFID質問器2間の離隔距離を狭くすることでRFID質問器2の高密度配置を確保することができると共に、他のRFID質問器2の通信エリア内にある電子タグ3への信号干渉、すなわちRFID質問器2から
電子タグ3への信号干渉を抑制し、確保する通信チャネルの数を減らして周波数利用効率の向上を図ることができる。
【0111】
また、実施例1によれば、電子タグ3の応答信号で推定した電子タグ3側のタグ受信SINR推定値γに基づき、送信信号の変調度を、RFID質問器2から電子タグ3に対して情報の読み書きが可能な最小限の変調度に設定更新することで、他のRFID質問器2が管理する電子タグ3への信号干渉及びRFID質問器2間の信号干渉を抑制することができる。
【0112】
また、実施例1によれば、所定期間内に電子タグ3に対する応答信号を受信しなかった場合、かつ、この電子タグ3を貼付した商品がRFID質問器2の通信エリア内にある場合は、送信信号の変調度を一定量大きくすることで、電子タグ3に対する応答信号を受信できる機会の向上を図ることができる。
【0113】
また、実施例1によれば、所定期間内に電子タグ3に対する応答信号を受信しなかった場合、かつ、この電子タグ3を貼付した商品がRFID質問器2の通信エリア内にない場合は、送信信号の変調度mの不要な増加を回避することができる。
【0114】
また、実施例1によれば、送信変調度が最大変調度、送信信号に対する応答信号を受信できなかった状態が所定時間継続した場合、かつ、一様乱数pが所定閾値p0未満の場合、電子タグ3から応答信号が受信できない通信環境下であると判断し、送信動作を停止するようにしたので、第1送信変調度更新処理の不要な継続を回避することができる。
【0115】
また、実施例1によれば、送信変調度が最大変調度、送信信号に対する応答信号を受信できなかった状態が所定時間継続した場合でも、一様乱数pが所定閾値p0未満でない場合、すなわち一定の確率で送信動作を継続するようにしたので、例えば、それぞれの通信エリア内にある電子タグが相互に信号干渉を受け合っている複数のRFID質問器2同士が同時に送信動作を停止するような機会を減らすことで、不必要に送信動作を停止してしまうようなRFID質問器2の数を減らすことができる。
【実施例2】
【0116】
上記実施例1においては、通信対象の電子タグ3に対して単一チャネルで送信信号を送信するRFID質問器2を採用したRFIDタグシステム1を例に挙げて説明したが、複数の通信チャネルの内、任意の通信チャネルを選択して通信対象の電子タグ3に対して送信信号を送信するRFID質問器2を採用したRFIDタグシステムについても同様の効果が得られるため、その技術内容につき、実施例2として説明する。
【0117】
尚、上記実施例1のRFIDタグシステム1と同一の構成については同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。
【0118】
実施例1のRFIDタグシステム1と実施例2のRFIDタグシステム1Aとが異なるところは、図5に示す現在の変調度が最大変調度(ステップS15肯定)、かつ送信信号に対する応答信号を受信できず(ステップS16否定)、一様乱数pが所定閾値p0未満の場合(ステップS17肯定)、送信信号の送信動作を停止するのではなく、現在使用中の通信チャネルを他の通信チャネルを使用して送信信号を送信する点にある。
【0119】
次に、実施例2のRFIDタグシステム1Aの動作について説明する。図6は、実施例2の第2送信変調度更新処理に関わるMPU20の主制御部23の処理動作を示すフローチャートである。
【0120】
図6に示す主制御部23内のチャネル設定制御部34は、通信対象の電子タグ3に対する送信信号を送信する際の通信チャネルを初期チャネルとして設定し(ステップS11A)、設定チャネルで電子タグ3の情報の読み書きする送信信号の送信動作を開始すると、現在時刻が更新時刻に到達したか否かを判定すべく、ステップS11に移行する。
【0121】
その後、主制御部23は、ステップS11乃至ステップS19の処理動作を実行することになる。
【0122】
そして、チャネル設定制御部34は、現在の変調度が最大変調度(ステップS15肯定)、かつ送信信号に対する応答信号を受信できず(ステップS16否定)、すなわち、送信変調度が最大変調度、送信信号に対する応答信号を受信できなかった状態が所定時間継続したものと判断し、一様乱数pが所定閾値p0未満の場合(ステップS17肯定)、現在設定中の通信チャネルを変更して他の空きチャネルに設定変更し(ステップS21)、現在時刻が更新時刻に到達したか否かを判定すべく、ステップS11に移行する。
【0123】
尚、チャネル設定制御部34は、設定変更した通信チャネルを局部発振器13に通知し、局部発振器13は、設定変更した通信チャネルに基づき発振周波数を生成し、生成した発振周波数に基づき、異なる通信チャネルで通信対象の電子タグ3に送信信号を送信するものである。
【0124】
図6に示す第2送信変調度更新処理によれば、電子タグ3の応答信号で推定した電子タグ3側のタグ受信SINR推定値γに基づき、送信信号の変調度を、RFID質問器2から電子タグ3に対して情報の読み書きが可能な最小限の変調度に設定更新することで、他のRFID質問器2が管理する電子タグ3への信号干渉及びRFID質問器2間の信号干渉を抑制することができる。
【0125】
また、第2送信変調度更新処理によれば、所定期間内に電子タグ3に対する応答信号を受信しなかった場合、かつ、この電子タグ3を貼付した商品がRFID質問器2の通信エリア内にある場合は、送信信号の変調度を一定量大きくすることで、電子タグ3に対する応答信号を受信できる機会の向上を図ることができる。
【0126】
また、第2送信変調度更新処理によれば、所定期間内に電子タグ3に対する応答信号を受信しなかった場合、かつ、この電子タグ3を貼付した商品がRFID質問器2の通信エリア内にない場合は、送信信号の変調度mの不要な増加を回避することができる。
【0127】
また、第2送信変調度更新処理によれば、送信変調度が最大変調度、送信信号に対する応答信号を受信できなかった状態が所定時間継続した場合、かつ、一様乱数pが所定閾値p0未満の場合、電子タグ3から応答信号が受信できない通信環境下であると判断し、異なる通信チャネルを設定変更して送信動作を継続するようにしたので、通信対象の電子タグ3に対して異なる通信チャネルで送信信号を送信することはできる。
【0128】
また、第2送信変調度更新処理によれば、送信変調度が最大変調度、送信信号に対する応答信号を受信できなかった状態が所定時間継続した場合でも、一様乱数pが所定閾値p0未満でない場合、すなわち一定の確率で送信動作を継続するようにしたので、例えばそれぞれの通信エリア内にある電子タグ3が相互に信号干渉を受け合っている複数のRFID質問器2同士が同時に通信チャネルを変更してしまうような機会を減らすことで、不必要に通信チャネルを変更してしまうようなRFID質問器2の数を減らすことができる。
【0129】
実施例2によれば、電子タグ3からの応答信号に基づき、電子タグ3側の受信に関わるSINR値をタグ受信SINR推定値γとして推定し、このタグ受信SINR推定値γが受信許容の所定SINR値γ0になるように、RFID質問器2から電子タグ3に送信する送信信号の変調度を可変制御することで、例えばRFID質問器2から電子タグ3に送信する送信信号の変調度を必要最小限に抑制するようにした。その結果、実施例2では、RFID質問器2間の信号干渉を抑制し、さらにはRFID質問器2間の離隔距離を狭くすることでRFID質問器2の高密度配置を確保することができると共に、他のRFID質問器2の通信エリア内にある電子タグ3への信号干渉、すなわちRFID質問器2から電子タグ3への信号干渉を抑制し、確保する通信チャネルの数を減らして周波数利用効率の向上を図ることができる。
【0130】
また、実施例2によれば、電子タグ3の応答信号で推定した電子タグ3側のタグ受信SINR推定値γに基づき、送信信号の変調度を、RFID質問器2から電子タグ3に対して情報の読み書きが可能な最小限の変調度に設定更新することで、他のRFID質問器2が管理する電子タグ3への信号干渉及びRFID質問器2間の信号干渉を抑制することができる。
【0131】
また、実施例2によれば、所定期間内に電子タグ3に対する応答信号を受信しなかった場合、かつ、この電子タグ3を貼付した商品がRFID質問器2の通信エリア内にある場合は、送信信号の変調度を一定量大きくすることで、電子タグ3に対する応答信号を受信できる機会の向上を図ることができる。
【0132】
また、実施例2によれば、所定期間内に電子タグ3に対する応答信号を受信しなかった場合、かつ、この電子タグ3を貼付した商品がRFID質問器2の通信エリア内にない場合は、送信信号の変調度mの不要な増加を回避することができる。
【0133】
また、実施例2によれば、送信変調度が最大変調度、送信信号に対する応答信号を受信できなかった状態が所定時間継続した場合、かつ、一様乱数pが所定閾値p0未満の場合、電子タグ3から応答信号が受信できない通信環境下であると判断し、異なる通信チャネルを設定変更して送信動作を継続するようにしたので、通信対象の電子タグ3に対して異なる通信チャネルで送信信号を送信することはできる。
【0134】
また、実施例2によれば、送信変調度が最大変調度、送信信号に対する応答信号を受信できなかった状態が所定時間継続した場合でも、一様乱数pが所定閾値p0未満でない場合、すなわち一定の確率で送信動作を継続するようにしたので、例えばそれぞれの通信エリア内にある電子タグ3が相互に信号干渉を受け合っている複数のRFID質問器2同士が同時に通信チャネルを変更してしまうような機会を減らすことで、不必要に通信チャネルを変更してしまうようなRFID質問器2の数を減らすことができる。
【0135】
尚、上記実施例1及び2においては、現在の変調度が最大変調度、かつ、送信信号に対する応答信号を受信できなかった状態が所定時間継続した場合、一様乱数に基づき一定の確率で送信信号の送信動作の停止又は送信信号の通信チャネルを変更するようにしたが、一様乱数に基づく一定の確率を経ることなく、送信動作の停止又は送信信号の通信チャネルを変更するようにしても、同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0136】
また、上記実施例1及び2においては、電子タグ3からの応答信号に基づき、電子タグ3側の受信に関わるSINR値をタグ受信SINR推定値として推定するようにしたが、電子タグ3の受信品質を推定することができればよく、SINR値に限定されるものでないことは言うまでもない。
【0137】
以上、本発明の実施例について説明したが、本実施例によって本発明の技術的思想の範囲が限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲を逸脱しない限り、各種様々な実施例が実施可能であることは言うまでもない。また、本実施例に記載した効果は、これに限定されるものではない。
【0138】
また、本実施例で説明した各種処理の内、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動で行うことも可能であることは勿論のこと、その逆に、手動で行われるものとして説明した処理の全部又は一部を自動で行うことも可能であることは言うまでもない。また、本実施例で説明した処理手順、制御手順、具体的名称、各種データやパラメータを含む情報についても、特記した場合を除き、適宜変更可能であることは言うまでもない。
【0139】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的に記載したものであって、必ずしも物理的に図示のように構成されるものではなく、その各装置の具体的な態様は図示のものに限縮されるものでは到底ないことは言うまでもない。
【0140】
さらに、各装置で行われる各種処理機能は、CPU(Central Processing Unit)(又はMPU(Micro Processing Unit)、MCU(Micro Controller Unit)等のマイクロ・コンピュータ)上、又は同CPU(又はMPU、MCU等のマイクロ・コンピュータ)で解析実行するプログラム上、又はワイヤードロジックによるハードウェア上で、その全部又は任意の一部を実行するようにしても良いことは言うまでもない。
【0141】
以上、本実施例を含む実施の形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0142】
(付記1)受信端における反射率を少なくとも第1の反射率及び該第1の反射率より反射率の高い第2の反射率に制御することで、応答信号を生成する電子タグに対して信号を送信する質問装置において、
前記電子タグに対して送信信号を送信する送信部と、
前記電子タグから該送信信号に対する応答信号を受信する受信部と、
前記応答信号のうち、前記第2の反射率が適用された信号部分を受信信号の強度に応じて抽出する抽出部と、
該抽出部で抽出した信号部分に基づいて、前記電子タグにおける受信品質を推定する推定部と、
を備えたことを特徴とする質問装置。
【0143】
(付記2)電子タグに対して送信信号を送信する送信部と、
前記電子タグからの応答信号に基づいて測定した受信品質に基づいて、前記電子タグに送信する送信信号に適用する変調度を制御する送信制御部と、
を備えたことを特徴とする質問装置。
【0144】
(付記3)電子タグに対して送信信号を送信する送信部と、
前記送信部にて前記送信信号を送信後、所定期間内に前記送信信号に対する応答信号を前記電子タグから受信する受信部と、
前記受信部にて受信した前記電子タグからの前記応答信号に基づき、前記電子タグ側の受信に関わるSINR値をタグ受信SINR推定値として推定するタグ受信SINR推定部と、
前記タグ受信SINR推定部にて推定した前記タグ受信SINR推定値が受信許容の所定SINR値になるように、前記送信信号の変調度を可変制御すべく、前記送信部を制御する送信制御部と
を有することを特徴とするRFID質問器。
【0145】
(付記4)前記所定期間内に前記送信信号に対する応答信号を前記電子タグから受信できたか否かを判定する応答信号受信判定部を有し、
前記送信制御部は、
前記応答信号受信判定部にて前記所定期間内に前記応答信号を受信できなかった場合、前記送信信号の変調度を暫時増加するように可変制御すべく、前記送信部を制御することを特徴とする付記3記載のRFID質問器。
【0146】
(付記5)前記電子タグを貼付した対象物が前記送信信号の通信エリア内にあるか否かを判定する対象物有無判定部を有し、
前記送信制御部は、
前記応答信号受信判定部にて前記所定期間内に前記応答信号を受信できなかった場合でも、前記対象物有無判定部にて前記対象物が前記通信エリア内にない場合、前記対象物に貼付した前記電子タグに対する前記送信信号の変調度の可変制御を禁止することを特徴とする付記4記載のRFID質問器。
【0147】
(付記6)前記所定SINR値は、
前記電子タグ側で前記送信信号を最小限に受信できる受信許容のSINR値に相当することを特徴とする付記3,4又は5の何れか一に記載のRFID質問器。
【0148】
(付記7)前記送信制御部は、
前記送信信号の変調度を可変制御する最大変調度及び最小変調度の可変範囲を設定し、この可変範囲内で前記送信信号の変調度を可変制御すべく、前記送信部を制御することを特徴とする付記3,4,5又は6の何れか一に記載のRFID質問器。
【0149】
(付記8)前記送信制御部は、
前記電子タグに対する前記送信信号の変調度が最大変調度、かつ前記送信信号に対する前記応答信号に基づき推定したタグ受信SINR推定値が前記所定SINR値未満となる状態が所定時間継続した場合、前記送信信号を送信する前記送信部の送信動作を停止することを特徴とする付記3,4,5,6又は7の何れか一に記載のRFID質問器。
【0150】
(付記9)前記送信制御部は、
前記電子タグに対する前記送信信号の変調度が最大変調度、かつ前記送信信号に対する前記応答信号に基づき推定したタグ受信SINR推定値が前記所定SINR値未満となる状態が所定時間継続した場合、所定乱数の一定確率に基づき、前記送信信号を送信する前記送信部の送信動作を停止することを特徴とする付記3,4,5,6又は7の何れか一に記載のRFID質問器。
【0151】
(付記10)複数の通信チャネルの内、前記送信信号に使用する通信チャネルを選択するチャネル選択部を有し、
前記送信制御部は、
前記電子タグに対する前記送信信号の変調度が最大変調度、かつ前記送信信号に対する前記応答信号に基づき推定したタグ受信SINR推定値が前記所定SINR値未満となる状態が所定時間継続した場合、前記送信信号に使用する通信チャネルを他の通信チャネルに変更すべく、前記チャネル選択部を制御することを特徴とする付記3,4,5,6又は7の何れか一に記載のRFID質問器。
【0152】
(付記11)複数の通信チャネルの内、前記送信信号に使用する通信チャネルを選択するチャネル選択部を有し、
前記送信制御部は、
前記電子タグに対する前記送信信号の変調度が最大変調度、かつ前記送信信号に対する前記応答信号に基づき推定したタグ受信SINR推定値が前記所定SINR値未満となる状態が所定時間継続した場合、所定乱数の一定確率に基づき、前記送信信号に使用する通信チャネルを他の通信チャネルに変更すべく、前記チャネル選択部を制御することを特徴とする付記3,4,5,6又は7の何れか一に記載のRFID質問器。
【0153】
(付記12)前記電子タグの応答信号にサブキャリア変調を使用することを特徴とする付記3,4,5,6,7,8,9,10又は11の何れか一に記載のRFID質問器。
【0154】
(付記13)電子タグに対して送信信号を送信する送信手順と、
前記送信手順にて前記送信信号を送信後、所定期間内に前記送信信号に対する応答信号を前記電子タグから受信する受信手順と、
前記受信手順にて受信した前記電子タグからの前記応答信号に基づき、前記電子タグ側の受信に関わるSINR値をタグ受信SINR推定値として推定するタグ受信SINR推定手順と、
前記タグ受信SINR推定手順にて推定した前記タグ受信SINR推定値が受信許容の所定SINR値になるように、前記送信信号の変調度を可変制御する送信制御手順と
をコンピュータ装置に実行させることを特徴とするRFID質問プログラム。
【0155】
(付記14)前記所定期間内に前記送信信号に対する応答信号を前記電子タグから受信できたか否かを判定する応答信号受信判定手順を前記コンピュータ装置に実行させ、
前記送信制御手順は、
前記応答信号受信判定手順にて前記所定期間内に前記応答信号を受信できなかった場合、前記送信信号の変調度を暫時増加するように可変制御することを特徴とする付記13記載のRFID質問プログラム。
【0156】
(付記15)前記電子タグを貼付した対象物が前記送信信号の通信エリア内にあるか否かを判定する対象物有無判定手順を前記コンピュータ装置に実行させ、
前記送信制御手順は、
前記応答信号受信判定手順にて前記所定期間内に前記応答信号を受信できなかった場合でも、前記対象物有無判定手順にて前記対象物が前記通信エリア内にない場合、前記対象物に貼付した前記電子タグに対する前記送信信号の変調度の可変制御を禁止することを特徴とする付記14記載のRFID質問プログラム。
【0157】
(付記16)前記所定SINR値は、
前記電子タグ側で前記送信信号を最小限に受信できる受信許容のSINR値に相当することを特徴とする付記13,14又は15の何れか一に記載のRFID質問プログラム。
【0158】
(付記17)前記送信制御手順は、
前記送信信号の変調度を可変制御する最大変調度及び最小変調度の可変範囲を設定し、この可変範囲内で前記送信信号の変調度を可変制御することを特徴とする付記13,14,15又は16の何れか一に記載のRFID質問プログラム。
【0159】
(付記18)前記送信制御手順は、
前記電子タグに対する前記送信信号の変調度が最大変調度、かつ前記送信信号に対する前記応答信号に基づき推定したタグ受信SINR推定値が前記所定SINR値未満となる状態が所定時間継続した場合、前記送信信号を送信する送信動作を停止することを特徴とする付記13,14,15,16又は17の何れか一に記載のRFID質問プログラム。
【0160】
(付記19)前記送信制御手順は、
前記電子タグに対する前記送信信号の変調度が最大変調度、かつ前記送信信号に対する前記応答信号に基づき推定したタグ受信SINR推定値が前記所定SINR値未満となる状態が所定時間継続した場合、所定乱数の一定確率に基づき、前記送信信号を送信する送信動作を停止することを特徴とする付記13,14,15,16又は17の何れか一に記載のRFID質問プログラム。
【0161】
(付記20)複数の通信チャネルの内、前記送信信号に使用する通信チャネルを選択するチャネル選択手順を前記コンピュータ装置に実行させ、
前記送信制御手順は、
前記電子タグに対する前記送信信号の変調度が最大変調度、かつ前記送信信号に対する前記応答信号に基づき推定したタグ受信SINR推定値が前記所定SINR値未満となる状態が所定時間継続した場合、前記送信信号に使用する通信チャネルを他の通信チャネルに変更させることを特徴とする付記13,14,15,16又は17の何れか一に記載のRFID質問プログラム。
【0162】
(付記21)複数の通信チャネルの内、前記送信信号に使用する通信チャネルを選択するチャネル選択手順を前記コンピュータ装置に実行させ、
前記送信制御手順は、
前記電子タグに対する前記送信信号の変調度が最大変調度、かつ前記送信信号に対する前記応答信号に基づき推定したタグ受信SINR推定値が前記所定SINR値未満となる状態が所定時間継続した場合、所定乱数の一定確率に基づき、前記送信信号に使用する通信チャネルを他の通信チャネルに変更させることを特徴とする付記13,14,15,16又は17の何れか一に記載のRFID質問プログラム。
【0163】
(付記22)前記電子タグの応答信号にサブキャリア変調を使用することを特徴とする付記13,14,15,16,17,18,19,20又は21の何れか一に記載のRFID質問プログラム。
【0164】
(付記23)電子タグに対して送信信号を送信する送信ステップと、
前記送信ステップにて前記送信信号を送信後、所定期間内に前記送信信号に対する応答信号を前記電子タグから受信する受信ステップと、
前記受信ステップにて受信した前記電子タグからの前記応答信号に基づき、前記電子タグ側の受信に関わるSINR値をタグ受信SINR推定値として推定するタグ受信SINR推定ステップと、
前記タグ受信SINR推定ステップにて推定した前記タグ受信SINR推定値が受信許容の所定SINR値になるように、前記送信信号の変調度を可変制御する送信制御ステップと
を含むことを特徴とするRFID質問方法。
【0165】
(付記24)前記所定期間内に前記送信信号に対する応答信号を前記電子タグから受信できたか否かを判定する応答信号受信判定ステップを含み、
前記送信制御ステップは、
前記応答信号受信判定ステップにて前記所定期間内に前記応答信号を受信できなかった場合、前記送信信号の変調度を暫時増加するように可変制御することを特徴とする付記23記載のRFID質問方法。
【0166】
(付記25)前記電子タグを貼付した対象物が前記送信信号の通信エリア内にあるか否かを判定する対象物有無判定ステップを含み、
前記送信制御ステップは、
前記応答信号受信判定ステップにて前記所定期間内に前記応答信号を受信できなかった場合でも、前記対象物有無判定ステップにて前記対象物が前記通信エリア内にない場合、前記対象物に貼付した前記電子タグに対する前記送信信号の変調度の可変制御を禁止することを特徴とする付記24記載のRFID質問方法。
【0167】
(付記26)前記所定SINR値は、
前記電子タグ側で前記送信信号を最小限に受信できる受信許容のSINR値に相当することを特徴とする付記23,24又は25の何れか一に記載のRFID質問方法。
【0168】
(付記27)前記送信制御ステップは、
前記送信信号の変調度を可変制御する最大変調度及び最小変調度の可変範囲を設定し、この可変範囲内で前記送信信号の変調度を可変制御することを特徴とする付記23,24,25又は26の何れか一に記載のRFID質問方法。
【0169】
(付記28)前記送信制御ステップは、
前記電子タグに対する前記送信信号の変調度が最大変調度、かつ前記送信信号に対する前記応答信号に基づき推定したタグ受信SINR推定値が前記所定SINR値未満となる状態が所定時間継続した場合、前記送信信号を送信する送信動作を停止することを特徴とする付記23,24,25,26又は27の何れか一に記載のRFID質問方法。
【0170】
(付記29)前記送信制御ステップは、
前記電子タグに対する前記送信信号の変調度が最大変調度、かつ前記送信信号に対する前記応答信号に基づき推定したタグ受信SINR推定値が前記所定SINR値未満となる状態が所定時間継続した場合、所定乱数の一定確率に基づき、前記送信信号を送信する送信動作を停止することを特徴とする付記23,24,25,26又は27の何れか一に記載のRFID質問方法。
【0171】
(付記30)複数の通信チャネルの内、前記送信信号に使用する通信チャネルを選択するチャネル選択ステップを含み、
前記送信制御ステップは、
前記電子タグに対する前記送信信号の変調度が最大変調度、かつ前記送信信号に対する前記応答信号に基づき推定したタグ受信SINR推定値が前記所定SINR値未満となる状態が所定時間継続した場合、前記送信信号に使用する通信チャネルを他の通信チャネルに変更させることを特徴とする付記23,24,25,26又は27の何れか一に記載のRFID質問方法。
【0172】
(付記31)複数の通信チャネルの内、前記送信信号に使用する通信チャネルを選択するチャネル選択ステップを含み、
前記送信制御ステップは、
前記電子タグに対する前記送信信号の変調度が最大変調度、かつ前記送信信号に対する前記応答信号に基づき推定したタグ受信SINR推定値が前記所定SINR値未満となる状態が所定時間継続した場合、所定乱数の一定確率に基づき、前記送信信号に使用する通信チャネルを他の通信チャネルに変更させることを特徴とする付記23,24,25,26又は27の何れか一に記載のRFID質問方法。
【0173】
(付記32)前記電子タグの応答信号にサブキャリア変調を使用することを特徴とする付記23,24,25,26,27,28,29,30又は31の何れか一に記載のRFID質問方法。
【図面の簡単な説明】
【0174】
【図1】実施例1のRFIDタグシステム全体のシステム構成を示す説明図である。
【図2】実施例1のRFID質問器内部の概略構成示すブロック図である。
【図3】RFID質問器のMPU内部の概略構成を示すブロック図である。
【図4】MPUのタグ受信SINR推定部内部の概略構成を示すブロック図である。
【図5】実施例1の第1送信変調度更新処理に関わるMPU内部の主制御部の処理動作を示すフローチャートである。
【図6】実施例2の第2送信変調度更新処理に関わるMPU内部の主制御部の処理動作を示すフローチャートである。
【図7】一般的なRFIDタグシステム全体のシステム構成を示す説明図である。
【図8】一般的なRFIDタグシステムのRFID質問器間の信号干渉と他のRFID質問器から電子タグへの信号干渉を端的に示す説明図である。
【図9】一般的なRFIDタグシステムのRFID質問器の送信信号と電子タグの応答信号との周波数スペクトラムを端的に示す説明図である。
【図10】一般的なRFIDタグシステムのRFID質問器の送信信号及び電子タグの応答信号を時分割処理で実現した場合を端的に示す説明図である。
【図11】一般的なRFIDタグシステムのRFID質問器の送信信号と電子タグの応答信号との関係を端的に示す説明図である。
【符号の説明】
【0175】
1 RFIDタグシステム
1A RFIDタグシステム
2 RFID質問器
3 電子タグ
20 MPU
21 データ送信部
22 データ受信部
23 主制御部
31 タグ受信SINR推定部
32 送信制御部
33 応答信号受信判定部
34 チャネル設定制御部
35 商品有無判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信端における反射率を少なくとも第1の反射率及び該第1の反射率より反射率の高い第2の反射率に制御することで、応答信号を生成する電子タグに対して信号を送信する質問装置において、
前記電子タグに対して送信信号を送信する送信部と、
前記電子タグから該送信信号に対する応答信号を受信する受信部と、
前記応答信号のうち、前記第2の反射率が適用された信号部分を受信信号の強度に応じて抽出する抽出部と、
該抽出部で抽出した信号部分に基づいて、前記電子タグにおける受信品質を推定する推定部と、
を備えたことを特徴とする質問装置。
【請求項2】
電子タグに対して送信信号を送信する送信部と、
前記電子タグからの応答信号に基づいて測定した受信品質に基づいて、前記電子タグに送信する送信信号に適用する変調度を制御する送信制御部と、
を備えたことを特徴とする質問装置。
【請求項3】
電子タグに対して送信信号を送信する送信部と、
前記送信部にて前記送信信号を送信後、所定期間内に前記送信信号に対する応答信号を前記電子タグから受信する受信部と、
前記受信部にて受信した前記電子タグからの前記応答信号に基づき、前記電子タグ側の受信に関わるSINR値をタグ受信SINR推定値として推定するタグ受信SINR推定部と、
前記タグ受信SINR推定部にて推定した前記タグ受信SINR推定値が受信許容の所定SINR値になるように、前記送信信号の変調度を可変制御すべく、前記送信部を制御する送信制御部と
を有することを特徴とするRFID質問器。
【請求項4】
前記所定期間内に前記送信信号に対する応答信号を前記電子タグから受信できたか否かを判定する応答信号受信判定部を有し、
前記送信制御部は、
前記応答信号受信判定部にて前記所定期間内に前記応答信号を受信できなかった場合、前記送信信号の変調度を暫時増加するように可変制御すべく、前記送信部を制御することを特徴とする請求項3記載のRFID質問器。
【請求項5】
前記電子タグを貼付した対象物が前記送信信号の通信エリア内にあるか否かを判定する対象物有無判定部を有し、
前記送信制御部は、
前記応答信号受信判定部にて前記所定期間内に前記応答信号を受信できなかった場合でも、前記対象物有無判定部にて前記対象物が前記通信エリア内にない場合、前記対象物に貼付した前記電子タグに対する前記送信信号の変調度の可変制御を禁止することを特徴とする請求項4記載のRFID質問器。
【請求項6】
前記所定SINR値は、
前記電子タグ側で前記送信信号を最小限に受信できる受信許容のSINR値に相当することを特徴とする請求項3,4又は5の何れか一に記載のRFID質問器。
【請求項7】
前記送信制御部は、
前記電子タグに対する前記送信信号の変調度が最大変調度、かつ前記送信信号に対する前記応答信号に基づき推定したタグ受信SINR推定値が前記所定SINR値未満となる状態が所定時間継続した場合、前記送信信号を送信する前記送信部の送信動作を停止することを特徴とする請求項3,4,5又は6の何れか一に記載のRFID質問器。
【請求項8】
複数の通信チャネルの内、前記送信信号に使用する通信チャネルを選択するチャネル選択部を有し、
前記送信制御部は、
前記電子タグに対する前記送信信号の変調度が最大変調度、かつ前記送信信号に対する前記応答信号に基づき推定したタグ受信SINR推定値が前記所定SINR値未満となる状態が所定時間継続した場合、前記送信信号に使用する通信チャネルを他の通信チャネルに変更すべく、前記チャネル選択部を制御することを特徴とする請求項3,4,5又は6の何れか一に記載のRFID質問器。
【請求項9】
電子タグに対して送信信号を送信する送信手順と、
前記送信手順にて前記送信信号を送信後、所定期間内に前記送信信号に対する応答信号を前記電子タグから受信する受信手順と、
前記受信手順にて受信した前記電子タグからの前記応答信号に基づき、前記電子タグ側の受信に関わるSINR値をタグ受信SINR推定値として推定するタグ受信SINR推定手順と、
前記タグ受信SINR推定手順にて推定した前記タグ受信SINR推定値が受信許容の所定SINR値になるように、前記送信信号の変調度を可変制御する送信制御手順と
をコンピュータ装置に実行させることを特徴とするRFID質問プログラム。
【請求項10】
電子タグに対して送信信号を送信する送信ステップと、
前記送信ステップにて前記送信信号を送信後、所定期間内に前記送信信号に対する応答信号を前記電子タグから受信する受信ステップと、
前記受信ステップにて受信した前記電子タグからの前記応答信号に基づき、前記電子タグ側の受信に関わるSINR値をタグ受信SINR推定値として推定するタグ受信SINR推定ステップと、
前記タグ受信SINR推定ステップにて推定した前記タグ受信SINR推定値が受信許容の所定SINR値になるように、前記送信信号の変調度を可変制御する送信制御ステップと
を含むことを特徴とするRFID質問方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−282642(P2009−282642A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−132480(P2008−132480)
【出願日】平成20年5月20日(2008.5.20)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】