説明

赤外線ガス分析計

【課題】光源部からの赤外光を導き、該導いた赤外光のうち測定成分以外のガス吸収量を検知するモニタガスセル検出部を備えたことにより、光源の劣化などにより発生する光源の光量ドリフトを定量的に把握し、測定成分の濃度信号ドリフトを補償し、高精度な計測を可能とした赤外線ガス分析計を提供する。
【解決手段】試料ガスが流通する測定セルを有し、この測定セルを通過した赤外光における強度の変化を利用して、試料ガス中の測定成分ガスの濃度を検出する赤外線ガス分析計において、赤外光を発生する光源と、前記測定セルを通過した赤外光の強度を検出する測定用ガスセル検出部と、前記光源からの赤外光が導かれ、この導かれた赤外光のうち前記測定成分ガス以外のガスによる赤外線吸収量を検出するモニタガスセル検出部と、を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被測定成分ガスの赤外線スペクトル吸収に伴うガス圧変動を利用して特定ガス種の濃度を計測する赤外線ガス分析計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術における赤外線ガス分析計は、測定対象ガスの赤外線吸収によって生じる基準セルと試料セルの赤外線の光量差を、ガスセル吸収方式の検出器(ガスセル検出器)の内部に発生する圧力差で発生する流量をフローセンサで検出して、測定対象ガスの濃度を測定するというものである。
【0003】
そのダブルビーム型の赤外線ガス分析計の構成は、図5に示すように、赤外線を出射させる赤外線光源11と、この赤外線光源11から発せられる赤外線光束を周期的に同時に、若しくは交互に断続させるモータ12で回転駆動される回転セクタ13と、回転セクタ13で断続されている赤外線光束を分配する分配セル14と、分配セル14の一方側に接続され測定光源として案内して測定光線路を形成する試料セル15と、分配セルの他方側に接続され比較光源として案内して比較光線路を形成する基準セル16と、試料セル15及び基準セル16の出力側に配置され、両者の光線を受け入れる基準側室18及び試料側室19を持つガスセル検出器17と、基準側室18及び試料側室19の連通した流通路23に備えたガスの流通を検出するガス検出手段を形成するサーマルフローセンサ21と、このサーマルフローセンサ21で検出した信号を増幅して濃度信号を生成する交流電圧増幅器22と、から大略構成されている。
【0004】
このように構成されているダブルビーム型の赤外線ガス分析計においては、先ず、赤外線光源から発せられた赤外光が分配セル14により2つに分割され、それぞれ基準セル16、試料セル15に入射する。基準セル16には不活性ガスなど測定対象成分を含まないガスが充填されている。
【0005】
また、試料セル15には測定試料ガスが流通する。分配セル14で2つに分けられた赤外光は試料セル15でのみ試料ガスの測定対象成分による吸収を受けガスセル検出器17に到達する。
【0006】
ガスセル検出器17は基準セル16からの光と試料セル15からの光を受ける2室(基準側室18、試料側室19)からなっており、その2室が流通路23でつながる構造をしており、その流通路23にガスの行き来を検出するためのサーマルフローセンサ21が取り付けられている。
【0007】
ガスセル検出器17内には測定対象と同じ成分を含むガスが充填されており、基準セル16、試料セル15からの赤外光が照射されると測定対象成分ガスが赤外光を吸収することで、その中でガスが熱膨張する。
【0008】
試料セル15内の測定試料に測定対象成分が多く含まれると、赤外光はそこで多くが吸収されるため、ガスセル検出器17では試料側室19に減少した赤外光が照射され、この光量に対応したガスの膨張が発生する。
【0009】
赤外光は回転セクタ13で遮断、照射を繰り返しており、遮断されたときは基準側室18、試料側室19とも赤外光が照射されないのでガスは膨張せず、赤外光が照射されるとガスセル検出器17の試料側室19には試料セル15内の測定対象成分濃度に応じた赤外光が、基準側室18には基準セル16を透過した赤外光が照射される。
【0010】
基準側室18はほぼ一定の赤外光が照射され、試料側室19には試料中の測定対象成分濃度に応じた赤外光が照射されるため、試料中の測定対象成分の濃度に応じて両室の間に差圧が生じ、両室間の間に設けられた流通路23をガスが行き来することとなる。そのガスの挙動をサーマルフローセンサ21で検出し、交流電圧増幅器22で増幅し、濃度信号として出力する。
【0011】
一方、熱線式フローセンサを搭載したシングルビーム式NDIRの構成は、図6に示すように、一般に、赤外光を発生するための光源部31、試料ガスが導入されるセル部32、セル部32を通過した赤外光の強度を計測することで最終的に試料濃度を計測するガスセル検出部33の3ユニットから構成されている。
【0012】
光源部31は赤外光の発生を担い、赤外光を断続してセル部32及び検出部33に入射させるためのチョッパー34とから構成されている。
【0013】
チョッパー34は、例えば、光源からの光の通過を許容するように、一部を切り欠いた切り欠き部が形成された2枚羽根の回転円板35とこの回転円板35を回転駆動するモータ36とで構成されており、回転円板35をモータ36で回転させることで、回転円板35の未切り欠き部(遮光部)が光源の前に位置している際には光源からの赤外光を遮光し、切り欠き部が光源の前に位置している際には光源からの赤外光が通過し、セル部32に照射される。
【0014】
セル部32は、試料ガスが導入される部位であって、測定セル37の前後を赤外線が広いスペクトル域で透過可能な赤外線透過性ガラスで形成された窓板38で封止し、試料セル側面などに一端からもう一端へガスが流せるよう試料ガスの試料ガス入口41、試料ガス出口42を備え、また、その内面は赤外光を効率よく反射するために、鏡面仕上げや金などのコーティングが施されている。
【0015】
ガスセル検出部33は、前室43、後室44の2室に分割され、少なくとも前室43の正面並びに前室43と後室44との間の隔壁が赤外光を透過する窓板45で仕切られ、それら2室はガス移動が可能なキャピラリーやトンネル等の連通路46で接続された構造となっている。
連通路46には、前後室43、44の圧力差で生じる両室に充填された充填ガスの流れを抵抗変化として計測するための熱線抵抗素子を備えた薄膜型熱線式フローセンサ(サーマルフローセンサ)47が配置されている。
更に、これら2室には、NDIRの被測定対象となる、例えば、CO2等の化学種のみ、或いは、この化学種をAr、He、N2等の不活性ガスで希釈されたガスが充填されている。
【0016】
このような構成からなるシングルビーム式NDIRにおいては、先ず、光源部31から発した赤外光は、測定セル37を通過してガスセル検出部33に入射する。この時、測定セル37内に被測定成分が存在すると、測定セル37内のガス濃度に応じて、入射した赤外光の一部が測定セル37内のガスに吸収され、残りの赤外光はガスセル検出部33に入射する。
ガスセル検出部33の前室43の正面から入射した赤外光は、前室43及び後室44で吸収されるが、その多くは前室43で吸収される。吸収された光エネルギーは分子の並進運動に変換され、膨張することにより、前後室43、44間に圧力差が発生し、これによって両室を連通する連通路46内に充填(封入)ガスの流れが生じる。このガス流の流速は、ガスセル検出部33への入射光強度に依存するので、前後室43、44の連通路46内に配置された薄膜型熱線フローセンサ47の熱線抵抗素子の抵抗変化として計測することで、ガスセル検出部33への入射前後の赤外強度、即ち、測定セル37中の被測定成分ガス濃度を計測することができるのである。
【特許文献1】特開2001―255269号公報(第3頁乃至4頁 第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、従来技術で説明した図5に示したダブルビーム型或いは図6に示したシングルビーム型の赤外線分析計における測定原理は赤外光源から出射される赤外光線の光量を基準にしている。
即ち、赤外線分析計の測定原理は、試料ガス中の測定成分の濃度と、赤外吸収量が関連を持つことに基づく。具体的には、赤外吸収量をランバートベールの法則に従い、入射光の強さを基準にしたとき、そのうちで吸収された光量の割合が、試料ガス中の測定対象成分濃度に関連付けられている。
【0018】
l(λ)=l(λ)×e−α(λ)・L・C・・・・・(1)
ここで、
l(λ):試料ガスを透過後の赤外線強度。波長λの関数。
(λ):試料ガスに入射する赤外線強度。波長λの関数。
α(λ):測定成分の吸収係数。波長λの関数。
L:試料ガスの吸収長さ
C:測定成分の濃度
【0019】
測定する光学系の形態は異なるものの図5及び図6のいずれも、光源から発せられた放射光量lを基準にし、この赤外光量が、試料ガスに吸収された後の赤外強度lを計測するように構成されている。
従って、光源から発せられる基準光量lが、光源の寿命やその他の要因により変動したとき、測定している成分濃度の信号も、(1)式からわかるように変動量に比例して変動してしまう。
又、チョッパーなしで赤外光量が変調可能な半導体材料による赤外光源は、動作温度を上げると不安定要因が顕著となり、動作温度の制約があることが知られている。
このような新しいタイプの光源では安定化技術が課題であり、使用に際しては変動現象への対策が必須である。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記課題を解決するために、本願発明の赤外線ガス分析計は、次に示す構成にしたことである。
【0021】
(1)試料ガスが流通する測定セルを有し、この測定セルを通過した赤外光における強度の変化を利用して、試料ガス中の測定成分ガスの濃度を検出する赤外線ガス分析計において、
赤外光を発生する光源と、
前記測定セルを通過した赤外光の強度を検出する測定用ガスセル検出部と、
前記光源からの赤外光が導かれ、この導かれた赤外光のうち前記測定成分ガス以外のガスによる赤外線吸収量を検出するモニタガスセル検出部と、
を備えたことを特徴とする赤外線ガス分析計。
【0022】
(2)前記モニタガスセル検出部は、前記測定成分ガス以外のガスが封入された前後2室で形成され、そのうち少なくとも1室が前記測定セルへ赤外光を導入する光軸上の位置に配置されたことを特徴とする(1)に記載の赤外線ガス分析計。
【0023】
(3)前記モニタガスセル検出部は、前記測定成分ガス以外のガスが封入された前後2室で形成され、その前後2室が、前記測定セルへ赤外光を導入する光軸から外れた位置であって、前記赤外光の余剰光が連通する位置に配置されたことを特徴とする(1)に記載の赤外線ガス分析計。
【0024】
(4)前記ガスセル検出器から得られる第1の信号と、前記モニタガスセル検出器から得られる第2の信号とに基づいて、前記光源の光量ドリフト量を算出する手段を備えたことを特徴とする(1)乃至(3)のいずれかに記載の赤外線ガス分析計。
【0025】
(5)前記光量ドリフト量を算出する手段の出力に基づいて、前記測定成分ガス濃度の検出結果を補償することを特徴とする(4)に記載の赤外線ガス分析計。
【0026】
(6)前記モニタガスセル検出部に封入されている前記測定成分ガス以外のガスは、前記測定成分ガスの吸収スペクトルと近接、または重なる吸収スペクトルを有するガスであることを特徴とする(1)乃至(5)のいずれかに記載の赤外線ガス分析計。
【発明の効果】
【0027】
本発明においては、光源から発せられる赤外光量の変動を予め検出しうる装置をつけることで、光源の劣化などにより発生する光源の光量ドリフトを定量的に把握し、測定成分の濃度信号ドリフトを補償し、高精度な計測が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
次に、本願発明に係る赤外線ガス分析計の実施例について図面を参照して説明する。尚、従来技術で説明したものと同じものには同一符号を付与して説明する。
【0029】
本願発明の測定原理は、光源から出射した赤外光の光路上に、モニタガスセル検出部を配置する。このモニタガスセル検出部の構造は基本的には通常使用されるガスセル検出部と同じであるが、ガスセル内には予め、測定成分とは異なる吸収波長(波長λm)をもつ封入ガスを入れておく。このモニタガスセル検出部からの信号を用いて、本来の測定成分ガスセル検出部の信号を補償する。
図2に示すように、モニタガスセル(モニタガスセル検出部)に封入されているガスの吸収波長λmに対して、測定ガスセルの吸収波長λsとは異なるガスである。
【実施例1】
【0030】
本願発明の第1実施例の赤外線ガス分析計は、熱線式フローセンサを搭載したシングルビーム式NDIRであり、その構成は、図1に示すように、赤外光を発生するための光源部31、光源部31に直近した位置で赤外線の光路上に赤外光の強度を計測するモニタガスセル検出部51、試料ガスが導入される測定セル37を備えたセル部32、測定セル37を通過した赤外光の強度を計測することで最終的に試料濃度を計測するガスセル検出部33の4ユニットから構成されている。
そして、ガスセル検出部33で検知された赤外線吸収量から得られた第1の信号と、モニタガスセル検出器51で検知された赤外線吸収量から得られた第2の信号と、を組み合わせて比較演算部52で演算して、光源の光量ドリフト量を定量的に把握する手段を備え、第2の信号から光源光量のドリフトを検出する光源光量ドリフト部53を備えた構成になっている。
【0031】
光源部31は赤外光の発生を担う赤外線光源30、赤外光を所定周期で断続してモニタガスセル検出部51、測定セル37及びガスセル検出部33に入射させるためのチョッパー34とから構成されている。
【0032】
チョッパー34は、例えば、赤外線光源30からの赤外光の通過を許容するように、一部を切り欠いた切り欠き部が形成された2枚羽根の回転円板35と、この回転円板35を回転駆動するモータ36とで構成されており、回転円板35をモータ36で回転させることで、回転円板35の未切り欠き部(遮光部)が光源の前に位置している際には光源からの赤外光を遮光(チョッピング)し、切り欠き部が光源の前に位置している際には赤外線光源30からの赤外光が通過し、セル部32に照射される。
【0033】
モニタガスセル検出部51は、ガスセル検出部33と同等の構成をしており、2つの前室54及び後室55に分割され一方の前室54が赤外線光源30からの赤外光を透過させるように配置され、この前室54には赤外光源側に赤外窓48aを、他方側に同じ赤外窓48bを形成している。そして、これら2つの前室54及び後室55はガス移動が可能なキャピラリーやトンネル等の連通路56で接続された構造となっている。
連通路56には、2つの前室54及び後室55の圧力差で生じる室に充填された充填ガスの流れを抵抗変化として計測するための熱線抵抗素子を備えた薄膜型熱線式フローセンサ(サーマルフローセンサ)57が配置されている。
この2つの前室54及び後室55には測定成分以外のガスが封入されており実施例においては吸収波長(λm)のガス(図2参照)が充填されている。
このモニタガスセル検出部51に封入されている測定成分以外のガスは、測定成分ガスの吸収スペクトルと近接、又は重なる吸収スペクトルを有するガスである。このようなガスを用いることにより、光源の発する赤外光のうち測定成分ガスの吸収する波長域の光量に影響を与えることなく計測することが可能となる。
【0034】
セル部32は、試料ガスが導入される部位であって、測定セル37の前後を赤外線が広いスペクトル域で透過可能な赤外線透過性ガラスで形成された窓板45で封止し、測定セル37側面に一端からもう一端へガスが流せるよう試料ガス入口41、試料ガス出口42を備え、また、その内面は赤外光を効率よく反射するために、鏡面仕上げや金などのコーティングが施されている。
【0035】
ガスセル検出部33は、前室43、後室44の2室に分割され、少なくとも前室43の正面並びに前室43と後室44との間の隔壁が赤外光を透過する窓板38で仕切られ、それら2室はガス移動が可能なキャピラリーやトンネル等の連通路46で接続された構造となっている。
連通路46には、前後室43、44の圧力差で生じる両室に充填された充填ガスの流れを抵抗変化として計測するための熱線抵抗素子を備えた薄膜型熱線式フローセンサ47が配置されている。
更に、これら2室には、NDIRの被測定対象となる、例えば、CO2等の化学種のみ、或いは、この化学種をAr、He、N2等の不活性ガスで希釈された吸収波長(λs)のガスが充填されている。
【0036】
このような構成からなるシングルビーム式NDIRにおいては、先ず、光源部31から発した赤外光は、先ずモニタガスセル検出部51の赤外窓48aを通じて、中に封じ込まれた測定成分以外の吸収波長(λm)の封入ガスによる吸収を受ける。
【0037】
モニタガスセル検出部51の前室54の正面から入射して吸収された赤外光は、吸収された光エネルギーの分子の並進運動に変換されることにより膨張し、両者の前室54及び後室55間に圧力差が発生し、これによって両室を連通する連通路56内に充填(封入)ガスの流れが生じる。このガス流の流速は、モニタガスセル検出部51への入射光強度に依存するので、両室54、55の連通路56内に配置された薄膜型熱線フローセンサ57の熱線抵抗素子の抵抗変化として計測することで、光源部31から出射される光強度自体を計測することができる。
【0038】
そして、モニタガスセル検出部51を透過した赤外光は測定セル37に入る。この時、測定セル37内に被測定成分(吸収波長(λs)のガス)が存在すると、測定セル37内のガス濃度に応じて、入射した赤外光の一部が測定セル37内のガスに吸収され、残りの赤外光はガスセル検出部33に入射する。
【0039】
ガスセル検出部33の前室43の正面から入射した赤外光は、前室43及び後室44で吸収されるが、その多くは前室43で吸収される。吸収された光エネルギーは分子の並進運動に変換されることにより、前後室43、44間に圧力差が発生し、これによって両室43、44を連通する連通路46内に充填(封入)ガスの流れが生じる。
【0040】
このガス流の流速は、ガスセル検出部33への入射光強度に依存するので、前後室43、44の連通路46内に配置された薄膜型熱線フローセンサ47の熱線抵抗素子の抵抗変化として計測することで、ガスセル検出部33への入射前後の赤外強度、即ち、測定セル37中の被測定成分ガス濃度を計測することができるのである。
【0041】
さて、このようにして、図に示すようなスペクトルを持つ赤外光は、先ず、モニタガスセル検出部51の赤外窓48aを通じて、中に封じ込まれた封入ガスによる吸収を受け(波長λm)、反対側の赤外窓48bを通じて透過し、測定セル37に入る。
測定セル37内に測定成分ガスが含まれている場合、ここで測定成分の赤外吸収が起きる(波長λs)。これらを透過した後の赤外光が、ガスセル検出部33に入射する。ガスセル検出部33には、測定成分と同じガスが封入されており、測定セル37中に測定成分が存在しているとき、波長λsを中心とする赤外光量が減少する。この変化をガスセル検出部33で検出し、測定成分の濃度信号として出力する。具体的には、セクタにより断続されるタイミングに対応し発生する交流波形の振幅が変化することとなる。このようなプロセスを経て、モニタガスセル検出部51のサーマルフローセンサ信号(第2の信号)と、ガスセル検出部33のフローセンサの信号(第1の信号)が得られる。
【0042】
これらの2つの信号は何れも、赤外光源の発光量Ioを基準としているため、赤外光源の劣化などのドリフトにより赤外光量の減少が発生すると、ガスセル検出部33が検出する成分濃度信号(第1の信号)が減少する。同時に、モニタガスセル検出部51が検出する第2の信号の振幅も減少する。
【0043】
この振幅変化は、赤外光源の光量変動を反映するので、この振幅を光源光量ドリフト部53でモニタすることで赤外光源のドリフトの様子を定量的に把握することができる。又、光量ドリフトが把握できていれば、比較演算部52で濃度信号(第1の信号、第2の信号)を補正し、光源に由来する変動の影響を除去することが可能となる。
但し、光源の光量ドリフトが、モニタガスセル検出部51の吸収波長λmと、測定セル37内での試料ガスの吸収波長λsで、同じ比率で発生するという仮定が必要である。しかし、光源の発光温度が大幅に変化しない限り、黒体輻射の発光スペクトルの形状は大きく変化しないので、この仮定は成り立つと考えられる。
【0044】
尚、測定成分の吸収波長λsと、モニタガスセル検出部51の封入ガスの吸収波長λmは、異なる波長帯にある。このため、モニタガスセル検出部51を装着することで窓材の透過率や表面反射の影響以外には、測定成分の計測に影響を与えることはない。
【実施例2】
【0045】
次に、第2実施例の赤外線ガス分析計について、図面を参照して説明する。
【0046】
本願発明の第2実施例の赤外線ガス分析計は、熱線式フローセンサを搭載したシングルビーム式NDIRであり、モニタガスセル検出部を構成するガスセルの各室が直列に光軸上に並んだ構造のガスセルを用いたものである。
その構成は、図3に示すように、赤外光を発生するための光源部31、光源部31に直近した位置で赤外線の光路上に赤外光の強度を計測するモニタガスセル検出部61、試料ガスが導入される測定セル37を備えたセル部32、測定セル37を通過した赤外光の強度を計測することで最終的に試料濃度を計測するガスセル検出部33の4ユニットから構成されている。
【0047】
光源部31は赤外光の発生を担う赤外線光源30、赤外光を断続してモニタガスセル検出部61、測定セル37及びガスセル検出部33に入射させるためのチョッパー34とから構成されている。
【0048】
チョッパー34は、例えば、光源からの光の通過を許容するように、一部を切り欠いた切り欠き部が形成された2枚羽根の回転円板35とこの回転円板35を回転駆動するモータ36とで構成されており、回転円板35をモータ36で回転させることで、回転円板35の未切り欠き部(遮光部)が光源の前に位置している際には光源からの赤外光を遮光し、切り欠き部が光源の前に位置している際には光源からの赤外光が通過し、セル部32に照射される。
【0049】
モニタガスセル検出部61は、ガスセル検出部33と同等の構成をしており、2つの前室64及び後室65に分割され、前室64に赤外線光源30からの赤外光を透過させ、その赤外光を後室65に通過させるように配置され、この前室64には赤外線光源30側に赤外窓58aを、他方側に同じ赤外窓58bを、同じく前室と後室との間は赤外窓58cが形成されている。そして、これら2つの前室64及び後室65はガス移動が可能なキャピラリーやトンネル等の連通路66で接続された構造となっている。
連通路66には、2つの前室64及び後室65の圧力差で生じる室に充填された充填ガスの流れを抵抗変化として計測するための熱線抵抗素子を備えた薄膜型熱線式フローセンサ(サーマルフローセンサ)67が配置されている。
この2つの前室64及び後室65には測定成分とは異なるガスが封入されており実施例においては吸収波長(λm)のガスが充填されている。
このモニタガスセル検出部61に封入されている測定成分以外のガスは、測定成分ガスの吸収スペクトルと近接、又は重なる吸収スペクトルを有するガスである。このようなガスを用いることにより、光源の発する赤外光のうち測定成分ガスの吸収する波長域の光量に影響を与えることなく計測することが可能となる。
【0050】
セル部32は、試料ガスが導入される部位であって、測定セル37の前後を赤外線が広いスペクトル域で透過可能な赤外線透過性ガラスで形成された窓板45で封止し、測定セル37側面に一端からもう一端へガスが流せるよう試料ガス入口41、試料ガス出口42を備え、また、その内面は赤外光を効率よく反射するために、鏡面仕上げや金などのコーティングが施されている。
【0051】
ガスセル検出部33は、前室43、後室44の2室に分割され、少なくとも前室43の正面並びに前室43と後室44との間の隔壁が赤外光を透過する窓板38で仕切られ、それら2室43、44はガス移動が可能なキャピラリーやトンネル等の連通路46で接続された構造となっている。
連通路46には、前室43及び後室44の圧力差で生じる両室に充填された充填ガスの流れを抵抗変化として計測するための熱線抵抗素子を備えた薄膜型熱線式フローセンサ47が配置されている。
更に、これら2室43、44には、NDIRの被測定対象となる、例えば、CO2等の化学種のみ、或いは、この化学種をAr、He、N2等の不活性ガスで希釈された吸収波長(λs)のガスが充填されている。
【0052】
このような構成からなるシングルビーム式NDIRにおいては、先ず、光源部31から発した赤外光は、先ずモニタガスセル検出部61の赤外窓58aを通じて、中に封じ込まれた測定成分以外の吸収波長(λm)の封入ガスによる吸収を受ける。
【0053】
モニタガスセル検出部61の前室64の正面から入射して吸収された赤外光は、吸収された光エネルギーは分子の並進運動に変換されることにより膨張し、両者の前室64及び後室65間に圧力差が発生し、これによって両室64、65を連通する連通路66内に充填(封入)ガスの流れが生じる。このガス流の流速は、モニタガスセル検出部61への入射光強度に依存するので、両室64、65の連通路66内に配置された薄膜型熱線フローセンサ67の熱線抵抗素子の抵抗変化として計測することで、測定成分以外の吸収波長(λm)のガス濃度を計測することができる。
【0054】
そして、モニタガスセル検出部61を透過した赤外光は測定セル37に入る。この時、測定セル37内に被測定成分(吸収波長(λs)のガス)が存在すると、測定セル37内のガス濃度に応じて、入射した赤外光の一部が測定セル37内のガスに吸収され、残りの赤外光はガスセル検出部33に入射する。
【0055】
ガスセル検出部33の前室43の正面から入射した赤外光は、前室43及び後室44で吸収されるが、その多くは前室43で吸収される。吸収された光エネルギーは分子の並進運動に変換されることにより、前後室43、44間に圧力差が発生し、これによって両室43、44を連通する連通路46内に充填(封入)ガスの流れが生じる。
【0056】
このガス流の流速は、ガスセル検出部33への入射光強度に依存するので、前後室43、44の連通路46内に配置された薄膜型熱線フローセンサ47の熱線抵抗素子の抵抗変化として計測することで、ガスセル検出部33への入射前後の赤外強度、即ち、測定セル37中の被測定成分ガス濃度を計測することができるのである。
【0057】
このように構成された第2実施例の赤外線分析計においても第1実施例で説明した赤外線分析計と同様に、図2に示すようなスペクトルを持つ赤外光は、先ず、モニタガスセル検出部61の赤外窓58aを通じて、中に封じ込まれた封入ガスによる吸収を受け(波長λm)、反対側の赤外窓58bを通じて透過し、測定セル37に入る。
測定セル37内に測定成分ガスが含まれている場合、ここで測定成分の赤外吸収が起きる(波長λs)。これらを透過した後の赤外光が、ガスセル検出器33に入射する。ガスセル検出部33には、測定成分と同じガスが封入されており、測定セル37中に測定成分が存在しているとき、波長λsを中心とする赤外光量が減少する。この変化をガスセル検出部33で検出し、測定成分の濃度信号として出力する。具体的には、チョッパー34により断続されるタイミングに対応し発生する交流波形の振幅が変化することとなる。このようなプロセスを経て、モニタガスセル検出部61のサーマルフローセンサ信号(第2の信号)と、ガスセル検出部33のフローセンサの信号(第1の信号)が得られる。
【0058】
これらの2つの信号は何れも、赤外光源の発光量Ioを基準としているため、赤外光源の劣化などのドリフトにより赤外光量の減少が発生すると、ガスセル検出部33が検出する成分濃度信号(第1の信号)が減少する。同時に、モニタガスセル検出部61が検出する第2の信号の振幅も減少する。
【0059】
この振幅変化は、赤外光源の光量変動を反映するので、この振幅を光源光量ドリフト部53でモニタすることで赤外光源のドリフトの様子が定量的に把握することができる。又、光量ドリフトが把握できていれば、比較演算部52で濃度信号(第1の信号、第2の信号)を補正し、光源に由来する変動の影響を除去することが可能となる。
但し、光源の光量ドリフトが、モニタガスセル検出部61の吸収波長λmと、測定セル37内での試料ガスの吸収波長λsで、同じ比率で発生するという仮定が必要である。しかし、光源の発光温度が大幅に変化しない限り、黒体輻射の発光スペクトルの形状は大きく変化しないので、この仮定は成り立つと考えられる。
【0060】
尚、測定成分の吸収波長λsと、モニタガスセル検出部61の封入ガスの吸収波長λmは、異なる波長帯にある。このため、モニタガスセル検出部61を装着することで窓材の透過率や表面反射の影響以外には、測定成分の計測に影響を与えることはない。
【実施例3】
【0061】
次に、第3実施例の赤外線ガス分析計について、図面を参照して説明する。
【0062】
本願発明の第3実施例の赤外線ガス分析計は、熱線式フローセンサを搭載したシングルビーム式NDIRであり、モニタガスセル検出部は測定成分以外のガスが封入された前後2室で形成され、その前後2室が赤外光が連通する光軸から外れた位置であって、赤外光の余剰光が照射する位置に配置されている。
【0063】
その構成は、図4に示すように、赤外光を発生するための光源部31、光源部31に直近した位置で赤外光の余剰光が照射する位置に配置されているモニタガスセル検出部71、試料ガスが導入される測定セル37を備えたセル部32、測定セル37を通過した赤外光の強度を計測することで最終的に試料濃度を計測するガスセル検出部33の4ユニットから構成されている。
【0064】
光源部31は赤外光の発生を担う赤外線光源30、赤外光を断続して測定セル37及びガスセル検出部33に入射させるためのチョッパー34とから構成されている。
【0065】
チョッパー34は、例えば、光源からの光の通過を許容するように、一部を切り欠いた切り欠き部が形成された2枚羽根の回転円板35と、この回転円板35を回転駆動するモータ36とで構成されており、回転円板35をモータ36で回転させることで、回転円板35の未切り欠き部(遮光部)が光源の前に位置している際には光源からの赤外光を遮光(チョッピング)し、切り欠き部が光源の前に位置している際には光源からの赤外光が通過し、セル部32に照射される。
【0066】
モニタガスセル検出部71は、ガスセル検出部33と同等の構成をしており、2つの前室74及び後室75に分割され一方の前室74が赤外光源からの余剰光の赤外光を透過させるように配置され、この前室74には赤外光源側に赤外窓78を形成している。そして、これら2つの前室74及び後室75はガス移動が可能なキャピラリーやトンネル等の連通路76で接続された構造となっている。
連通路76には、2つの前室74及び後室75の圧力差で生じる室に充填された充填ガスの流れを抵抗変化として計測するための熱線抵抗素子を備えた薄膜型熱線式フローセンサ77が配置されている。
この2つの前室74及び後室75には測定成分以外のガスが封入されており実施例においては吸収波長(λm)のガスが充填されている。
このモニタガスセル検出部71に封入されている測定成分以外のガスは、測定成分ガスの吸収スペクトルと近接、又は重なる吸収スペクトルを有するガスである。このようなガスを用いることにより、光源の発する赤外光のうち測定成分ガスの吸収する波長域の光量に影響を与えることなく計測することが可能となる。
【0067】
なお、モニタガスセル検出部71と赤外線光源30の間には、チョッパー34と同様のチョッパー35´が設けられ、モニタガスセル検出部71に対する赤外光の通過と遮断を行う。
【0068】
セル部32は、試料ガスが導入される部位であって、測定セル37の前後を赤外線が広いスペクトル域で透過可能な赤外線透過性ガラスで形成された窓板45で封止し、測定セル37側面に一端からもう一端へガスが流せるよう試料ガス入口41、試料ガス出口42を備え、また、その内面は赤外光を効率よく反射するために、鏡面仕上げや金などのコーティングが施されている。
【0069】
ガスセル検出部33は、前室43、後室44の2室に分割され、少なくとも前室43の正面並びに前室と後室との間の隔壁が赤外光を透過する窓板38で仕切られ、それら2室43、44はガス移動が可能なキャピラリーやトンネル等の連通路46で接続された構造となっている。
連通路46には、前後室43、44の圧力差で生じる両室に充填された充填ガスの流れを抵抗変化として計測するための熱線抵抗素子を備えた薄膜型熱線式フローセンサ47が配置されている。
更に、これら2室43、44には、NDIRの被測定対象となる、例えば、CO2等の化学種のみ、或いは、この化学種をAr、He、N2等の不活性ガスで希釈された吸収波長(λs)のガスが充填されている。
【0070】
このような構成からなるシングルビーム式NDIRにおいては、先ず、光源部31から発した余剰光の赤外光は、先ずモニタガスセル検出部71の赤外窓78を通じて、中に封じ込まれた測定成分以外の吸収波長(λm)の封入ガスによる吸収を受ける。
【0071】
モニタガスセル検出部71の前室74の正面から入射して吸収された赤外光は、吸収された光エネルギーの分子の並進運動に変換されることにより膨張し、両者の前室74及び後室75間に圧力差が発生し、これによって両室74、75を連通する連通路76内に充填(封入)ガスの流れが生じる。このガス流の流速は、モニタガスセル検出部71への入射光強度に依存するので、両室74、75の連通路76内に配置された薄膜型熱線フローセンサ77の熱線抵抗素子の抵抗変化として計測することで、測定成分以外の吸収波長(λm)のガス濃度を計測することができる。
【0072】
同時に、光源部31からの赤外光は測定セル37に入る。この時、測定セル37内に被測定成分(吸収波長(λs)のガス)が存在すると、測定セル37内のガス濃度に応じて、入射した赤外光の一部が測定セル37内のガスに吸収され、残りの赤外光はガスセル検出部33に入射する。
【0073】
ガスセル検出部33の前室43の正面から入射した赤外光は、前室43及び後室44で吸収されるが、その多くは前室43で吸収される。吸収された光エネルギーは分子の並進運動に変換されることにより、前後室43、44間に圧力差が発生し、これによって両室43、44を連通する連通路46内に充填(封入)ガスの流れが生じる。
【0074】
このガス流の流速は、ガスセル検出部33への入射光強度に依存するので、前後室43、44の連通路46内に配置された薄膜型熱線フローセンサ47の熱線抵抗素子の抵抗変化として計測することで、ガスセル検出部33への入射前後の赤外強度、即ち、測定セル33中の被測定成分ガス濃度を計測することができるのである。
【0075】
さて、このようにして、図に示すようなスペクトルを持つ余剰光の赤外光は、モニタガスセル検出部71の赤外窓78を通じて、中に封じ込まれた封入ガス(波長λm)による吸収を受ける。
同時に光源部31からの赤外光が測定セル37に入射され、測定セル37内に測定成分ガスが含まれている場合、ここで測定成分の赤外吸収が起きる(波長λs)。これらを透過した後の赤外光が、ガスセル検出器33に入射する。ガスセル検出部33には、測定成分と同じガスが封入されており、測定セル37中に測定成分が存在しているとき、波長λsを中心とする赤外光量が減少する。この変化をガスセル検出部33で検出し、測定成分の濃度信号として出力する。具体的には、チョッパー34により断続されるタイミングに対応し発生する交流波形の振幅が変化することとなる。このようなプロセスを経て、モニタガスセル検出部71のサーマルフローセンサ信号(第2の信号)と、ガスセル検出部33のフローセンサの信号(第1の信号)が得られる。
【0076】
これらの2つの信号は何れも、赤外光源の発光量Ioを基準としているため、赤外光源の劣化などのドリフトにより赤外光量の減少が発生すると、ガスセル検出部が検出する成分濃度信号が減少する。同時に、モニタガスセル検出部71が検出する第2の信号の振幅も減少する。
【0077】
この振幅変化は、赤外光源の光量変動を反映するので、この振幅を光源光量ドリフト部53でモニタすることで赤外光源のドリフトの様子が定量的に把握することができる。又、光量ドリフトが把握できていれば、比較演算部52で濃度信号(第1の信号、第2の信号)を補正し、光源に由来する変動の影響を除去することが可能となる。
但し、光源の光量ドリフトが、モニタガスセル検出部33の吸収波長λmと、測定セル37内での試料ガスの吸収波長λsで、同じ比率で発生するという仮定が必要である。しかし、光源の発光温度が大幅に変化しない限り、黒体輻射の発光スペクトルの形状は大きく変化しないので、この仮定は成り立つ。
【0078】
尚、測定成分の吸収波長λsと、モニタガスセル検出部71の封入ガスの吸収波長λmは、異なる波長帯にある。このため、モニタガスセル検出部71を装着することで窓材の透過率や表面反射の影響以外には、測定成分の計測に影響を与えることはない。
【産業上の利用可能性】
【0079】
光源部からの赤外光を導き、該導いた赤外光のうち測定成分以外のガス吸収量を検知するモニタガスセル検出部を備えたことにより、光源の劣化などにより発生する光源の光量ドリフトを定量的に把握し、測定成分の濃度信号ドリフトを補償し、高精度な計測を可能とした赤外線ガス分析計を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本願発明の第1実施例の赤外線ガス分析計の概念を示す説明図である。
【図2】同、赤外光源の発光スペクトルの吸収ピークを示した説明図である。
【図3】同、本願発明の第2実施例の赤外線ガス分析計の概念を示した説明図である。
【図4】同、本願発明の第3実施例の赤外線ガス分析計の概念を示した説明図である。
【図5】従来技術におけるダブルビーム型の赤外線ガス分析計の概念を示した説明図である。
【図6】従来技術におけるシングルビーム型の赤外線ガス分析計の概念を示した説明図である。
【符号の説明】
【0081】
11 赤外線光源
12 モータ
13 回転セクタ
14 分配セル
15 試料セル
16 基準セル
17 ガスセル検出器
18 基準側室
19 試料側室
21 サーマルフローセンサ
22 交流電圧増幅器
23 流通路
30 赤外線光源
31 光源部
32 セル部
33 ガスセル検出部
34 チョッパー
35 回転円板
36 モータ
37 測定セル
38 窓板
41 試料ガス入口
42 試料ガス出口
43 前室
44 後室
45 窓板
46 連通路
47 サーマルフローセンサ
48a 赤外窓
48b 赤外窓
51 モニタガスセル検出部
52 比較演算部
53 光源光量ドリフト部
54 前室
55 後室
56 連通路
57 サーマルフローセンサ
58a 赤外窓
58b 赤外窓
61 モニタガスセル検出部
64 前室
65 後室
66 連通路
67 サーマルフローセンサ
71 モニタガスセル検出部
74 前室
75 後室
76 連通路
77 フローセンサ
78 赤外窓

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料ガスが流通する測定セルを有し、この測定セルを通過した赤外光における強度の変化を利用して、試料ガス中の測定成分ガスの濃度を検出する赤外線ガス分析計において、
赤外光を発生する光源と、
前記測定セルを通過した赤外光の強度を検出する測定用ガスセル検出部と、
前記光源からの赤外光が導かれ、この導かれた赤外光のうち前記測定成分ガス以外のガスによる赤外線吸収量を検出するモニタガスセル検出部と、
を備えたことを特徴とする赤外線ガス分析計。
【請求項2】
前記モニタガスセル検出部は、前記測定成分ガス以外のガスが封入された前後2室で形成され、そのうち少なくとも1室が前記測定セルへ赤外光を導入する光軸上の位置に配置されたことを特徴とする請求項1に記載の赤外線ガス分析計。
【請求項3】
前記モニタガスセル検出部は、前記測定成分ガス以外のガスが封入された前後2室で形成され、その前後2室が、前記測定セルへ赤外光を導入する光軸から外れた位置であって、前記赤外光の余剰光が連通する位置に配置されたことを特徴とする請求項1に記載の赤外線ガス分析計。
【請求項4】
前記ガスセル検出器から得られる第1の信号と、前記モニタガスセル検出器から得られる第2の信号とに基づいて、前記光源の光量ドリフト量を算出する手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の赤外線ガス分析計。
【請求項5】
前記光量ドリフト量を算出する手段の出力に基づいて、前記測定成分ガス濃度の検出結果を補償することを特徴とする請求項4に記載の赤外線ガス分析計。
【請求項6】
前記モニタガスセル検出部に封入されている前記測定成分ガス以外のガスは、前記測定成分ガスの吸収スペクトルと近接、または重なる吸収スペクトルを有するガスであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の赤外線ガス分析計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−298451(P2008−298451A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−141761(P2007−141761)
【出願日】平成19年5月29日(2007.5.29)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】