説明

赤外線反射フィルム

【課題】室内から透光性部材を通って外に出射される遠赤外線を遮蔽することで、冬季や室内の温度が低下する夜間での断熱効果が期待できる赤外線反射フィルムを提供する。
【解決手段】基材1の一方の面に反射層2及び保護層3を順に積層し、他方の面に粘着層4を設けたあるいは設け得る赤外線反射フィルムであって、可視光線透過率を50%以上、保護層側表面の垂直放射率と0.25以下とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可視光領域において高い透過性を有し且つ赤外光領域において高い反射性を有する赤外線反射フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の赤外線反射フィルムは、主に、放射される太陽光の熱影響を抑制するために用いられる。例えば、建物や自動車等の窓ガラスに赤外線反射フィルムを貼ることで、窓ガラスを通って室内に入射される赤外線(特に近赤外線)を遮蔽し、室内の温度上昇を抑制し、これにより、冷房の消費電力を抑制して省エネルギー化を図ることができる。
【0003】
特許文献1に記載される赤外線反射フィルムは、ポリエステル系フィルムの一方の面に、可視光線透過率が15〜75%のアルミニウム蒸着層及び紫外線や電子線などで硬化する樹脂からなるハードコート層を順に積層し、他方の面に粘着剤層を設けた積層フィルムであり、窓ガラスに貼り、アルミニウム蒸着層によって太陽光に含まれる近赤外線を反射するようにしている。
【0004】
特許文献2に記載される赤外線反射フィルムは、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフイルムといった熱可塑性樹脂フィルムの一方の面に可視光線透過率が少なくとも70%の金属薄膜層及び熱や紫外線などで硬化する樹脂からなるハードコート層を順に積層し、他方の面にアクリル系粘着剤を設けた積層フィルムであり、窓ガラスに貼り、金属薄膜層によって太陽光に含まれる近赤外線を反射するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−343113号公報
【特許文献2】特開2001−179887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、「エネルギー・経済統計要覧」(財団法人省エネルギーセンター発行)によると、家庭用エネルギー消費量の内訳は、暖房が27.1%、給湯が27.8%、厨房が6.2%、動力・照明等が36.4%、冷房が2.4%となっており、冷房の消費電力が占める割合は案外と少ない。これに対し、暖房の消費電力は冷房の消費電力の約11倍である。従って、省エネルギー化をより積極的に進めるために、暖房の消費電力を抑制するための対策を検討することは極めて有意義である。
【0007】
通常、暖房により暖められた室内の熱は、窓ガラス、床、屋根、換気、壁を通って逃げていく。その中でも窓ガラスを通って外に逃げていく熱は、全体の約50%にも及ぶと言われ、主として、遠赤外線により伝わる熱(輻射熱)の形態(いわゆる熱放射)での熱損失となる。そのため、この熱放射を抑制する、即ち、室内から窓ガラスを通って外に出射される遠赤外線を遮蔽することが効果的である。
【0008】
上記特許文献に記載される赤外線反射フィルムは、ハードコート層が30μm(特許文献1)、10μm(特許文献2)といった単位の厚み、あるいは、硬化収縮率や熱湿収縮率が大きくなって、カールが発生しやすくなったり、クラックが発生することがある上、生産面でも不利となるといった観点(特許文献1)や、過剰特性でコストアップとなるといった観点(特許文献2)を除けば、それ以上の厚みを許容しているが、そのような厚みでは、遠赤外線が吸収されやすく、発熱して熱が熱伝導により外に逃げるため、熱放射を抑制する効果はないと言える。本願発明者の知る限りでは、透明性、耐擦傷性を有した赤外線反射フィルムは存在していない。
【0009】
そこで、本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、室内から透光性部材を通って外に出射される遠赤外線を遮蔽することで、冬季や室内の温度が低下する夜間での断熱効果が期待できる赤外線反射フィルムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る赤外線反射フィルムは、基材の一方の面に反射層及び保護層を順に積層し、他方の面に粘着層を設けたあるいは設け得る赤外線反射フィルムであって、可視光線透過率が50%以上、保護層側表面の垂直放射率が0.25以下であることを特徴とする。
【0011】
かかる構成によれば、保護層側表面の垂直放射率が0.25以下であるため、遠赤外線は、保護層に入射されても保護層に吸収されにくく、反射層に到達し、その結果、反射層で反射されやすくなる。従って、赤外線反射フィルムを窓ガラス等の透光性部材に室内側から貼っておくことで、室内から透光性部材を通って外に出射される遠赤外線を遮蔽することができる。
【0012】
尚、垂直放射率とは、JIS R3106で規定される通り、垂直放射率(εn)=1−分光反射率(ρn)で表わされる。分光反射率ρnは、常温の熱放射の波長域5〜50μmで測定される。5〜50μmの波長域は遠赤外線領域であり、遠赤外線の波長域の反射率が高くなるほど、垂直放射率は小さくなる。
【0013】
ここで、本発明に係る赤外線反射フィルムにおいては、保護層は、反射層に積層されるオレフィン系樹脂層と、該オレフィン系樹脂層に積層されて最外層となるハードコート層とで構成されるのが好ましい。かかる構成によれば、ハードコート層によって保護層に耐擦傷性が付与される。
【0014】
また、本発明に係る赤外線反射フィルムにおいては、ハードコート層の厚みは、オレフィン系樹脂層の厚みよりも少ないのが好ましい。ハードコート層は、上述のとおり、耐擦傷性があるが、オレフィン系樹脂よりも垂直放射率が高い。そこで、ハードコート層の厚みをオレフィン系樹脂層の厚みよりも少なくすることで、適切な遠赤外線反射率と耐擦傷性が得られる。
【0015】
例えば、本発明に係る赤外線反射フィルムにおいては、前記ハードコート層の厚みは、0.1〜1.5μmの範囲内である。ハードコート層の厚みが1.5μmを超えれば、垂直放射率が許容値を超え、遠赤外線反射率が悪くなる。一方、ハードコート層の厚みが0.1μmを下回れば、遠赤外線反射率は高くなるものの、耐擦傷性が損なわれる。そこで、ハードコート層の厚みを0.1〜1.5μmの範囲内とすることで、適切な遠赤外線反射率と耐擦傷性が得られる。
【0016】
また、例えば、本発明に係る赤外線反射フィルムにおいては、前記オレフィン系樹脂層の厚みは、5〜30μmの範囲内である。オレフィン系樹脂層の厚みが30μmを超えれば、垂直放射率が許容値を超え、遠赤外線反射率が悪くなる。一方、オレフィン系樹脂層の厚みが5μmを下回れば、遠赤外線反射率は高くなるものの、保護層及び反射層間の密着性が損なわれる。そこで、オレフィン系樹脂層の厚みを5〜30μmの範囲内とすることで、適切な遠赤外線反射率と適切な保護層及び反射層間の密着性が得られる。
【0017】
また、本発明に係る赤外線反射フィルムにおいては、前記保護層は、接着層を介して前記反射層に積層されるようにしてもよい。かかる構成によれば、保護層を反射層に簡単に積層することができ、製造プロセス上、有利である。
【0018】
例えば、本発明に係る赤外線反射フィルムにおいては、前記接着層の厚みは、0.1〜1.5μmの範囲内である。接着層の厚みが1.5μmを超えれば、垂直放射率が許容値を超え、遠赤外線反射率が悪くなる。一方、接着層の厚みが0.1μmを下回れば、遠赤外線反射率は高くなるものの、保護層及び反射層間の接着性(及び密着性)が損なわれる。そこで、接着層の厚みを0.1〜1.5μmの範囲内とすることで、適切な遠赤外線反射率と適切な保護層及び反射層間の接着性(及び密着性)が得られる。
【発明の効果】
【0019】
以上の如く、本発明に係る赤外線反射フィルムによれば、基材の一方の面に反射層及び保護層を順に積層し、他方の面に粘着層を設けた赤外線反射フィルムにおいて、保護層側表面の垂直放射率を0.25以下とすることで、室内から透光性部材を通って外に出射される遠赤外線を遮蔽することができ、これにより、冬季や室内の温度が低下する夜間での断熱効果が期待できる。また、赤外線反射フィルムの可視光線透過率を50%以上とすることで、透光性部材の透光性を阻害することはない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係る赤外線反射フィルムの積層構造を説明するための概要図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る赤外線反射フィルムの一実施形態について、図1を参酌しつつ説明する。本実施形態に係る赤外線反射フィルムは、基材1の一方の面1aに、反射層2及び保護層3をその順に積層し、他方の面1bに粘着層4を設けた層構造となっている。
【0022】
基材1は、ポリエステル系フィルムが用いられ、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンメチレンテレフタレート、あるいはこれらを2種以上組み合わせた混合樹脂からなるフィルムが用いられる。尚、これらの中で、性能面から、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが好ましく、特に2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが好適である。
【0023】
反射層2は、基材1の表面(一方の面)1aに蒸着により形成される蒸着層である。該蒸着層の形成方法としては、例えば、スパッタリング、真空蒸着、イオンプレーティング等の物理蒸着(PVD)がある。ここで、真空蒸着においては、真空中で抵抗加熱、電子ビーム加熱、レーザ光加熱、アーク放電等の方法で蒸着物質を加熱蒸発させることで、基材1上に反射層2が形成される。また、スパッタリングにおいては、アルゴンなどの不活性ガスが存在する真空中で、グロー放電などにより加速されたAr+などの陽イオンをターゲット(蒸着物質)に撃突させて蒸着物質をスパッタ蒸発させることで、基材1上に反射層2が形成される。イオンプレーティングは、真空蒸着とスパッタリングとを組み合わせた形態の蒸着法である。この方法では、真空中において、加熱により放出された蒸発原子を、電界中でイオン化と加速を行い、高エネルギー状態で基材1上に付着させることで、反射層2が形成される。
【0024】
反射層2は、半透明金属層2aを一対の透明層2b,2cで挟み込んだ複層構造となっており、上記蒸着層の形成方法を用い、まず、基材1の表面(一方の面)1aに透明層2bを蒸着し、次に、透明層2b上に半透明金属層2aを蒸着し、最後に、半透明金属層2a上に透明層2cを蒸着して形成される。半透明金属層2aは、例えば、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、銀合金(MgAg、APC(AgPdCu)、AgCu、AgAuCu等)、アルミニウム合金(AlLi、AlCa、AlMg等)、あるいはこれらを2種又は2層以上組み合わせた金属材料が用いられる。透明層2b,2cは、反射層2に透明性を付与し、半透明金属層2aの劣化を防止するためのものであり、例えば、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウムチタン(ITiO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化ガリウム亜鉛(GZO)、酸化アルミニウム亜鉛(AZO)、酸化ガリウムインジウム(IGO)等の酸化物が用いられる。
【0025】
保護層3は、樹脂層3aと、該樹脂層3a上に形成されるハードコート層3bとを備え、反射層2上に接着剤を用いて接着される。即ち、保護層3は、反射層2側から順に、接着層3c、樹脂層3a、ハードコート層3bの複層構造となっており、ハードコート層3bが本実施形態に係る赤外線反射フィルムの表面(最外層)となっている。
【0026】
樹脂層3aは、オレフィン系フィルムが用いられ、例えば、エチレンを単独又は共重合させた高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、プロピレンを単独又は共重合させたポリプロピレン、ポリメチルペンテン、あるいはこれらを2種以上組み合わせた混合樹脂からなるフィルムが用いられる。尚、これらの中で、性能面から、ポリプロピレン(PP)フィルムが好ましく、特に2軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムが好適である。
【0027】
ハードコート層3bは、基材1や樹脂層3aと同様、透明性を有し、また、清掃などの際に表面に擦傷キズが入って透明性が低下するのを防ぐために耐擦傷性を有する。ハードコート層3bは、電離放射線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等、十分な耐擦傷性(硬度)を発現するものなら特に限定はされない。尚、これらの中で、層形成が容易で鉛筆硬度を所望の値に容易に高めやすい紫外線硬化性樹脂等の電離放射線硬化性樹脂が好適である。例えば、紫外線硬化型のアクリル−ウレタン系ハードコートが用いられる。
【0028】
電離放射線硬化性樹脂を用いてハードコート層3bを形成する場合、電離放射線硬化性樹脂をそのまま又は有機溶剤で適当な濃度に希釈し、得られた溶液を塗布機(コーター)で樹脂層3a上に塗布し、必要により乾燥した後、電離放射線照射ランプにて電離放射線を数秒〜数分間照射することで、ハードコート層3bが形成される。熱硬化性樹脂を用いてハードコート層を形成する場合、熱硬化性樹脂の有機溶剤溶液を塗布機(コーター)で樹脂層3a上に塗布し、剥離シートを設け、ラミネータ等にて脱気後、熱硬化、熱圧着を行う。剥離シートを用いない場合は、加熱、圧着前に、乾燥工程を入れて溶剤を蒸発させて表面が粘着しない程度に乾燥させることで、ハードコート層3bが形成される。
【0029】
接着層3cは、ポリエステル系接着剤を用いて形成される。そして、樹脂層3aとなるオレフィン系フィルム上にハードコート層3bを形成した後、オレフィン系フィルムのハードコート層3bとは反対面にポリエステル系接着剤を塗布し、これを反射層2上に積層し、乾燥させることで、本実施形態に係る赤外線反射フィルムが完成する。
【0030】
ここで、本実施形態に係る赤外線反射フィルムは、反射層2上の層構造の厚み、即ち、保護層3(接着層3c、樹脂層3a、ハードコート層3b)の厚みを少なくすることで、(反射層2を基準として)保護層3側表面の垂直放射率が小さくなっている。これにより、遠赤外線は、保護層3に入射されても保護層3に吸収されにくく、反射層2に到達し、その結果、反射層2で反射されやすくなる。従って、本実施形態に係る赤外線反射フィルムは、窓ガラス等の透光性部材に室内側から貼っておくことで、室内から透光性部材を通って外に出射される遠赤外線を遮蔽することができ、これにより、冬季や室内の温度が低下する夜間での断熱効果が期待できる。また、そのために、本実施形態に係る赤外線反射フィルムは、後述する実験結果に基づき、(反射層2を基準として)保護層3側表面の垂直放射率を0.25以下に設定している。
【0031】
また、本実施形態に係る赤外線反射フィルムは、可視光線透過率(JIS A5759参照)を高くすることで、透光性部材の透光性を阻害することはない。そのために、本実施形態に係る赤外線反射フィルムは、後述する実験結果に基づき、可視光線透過率を50%以上に設定している。
【0032】
尚、(反射層2を基準として)基材1側表面の垂直放射率が小さければ、近赤外線は、(粘着層4及び)基材1に入射されても(粘着層4及び)基材1に吸収されにくく、反射層2に到達し、その結果、反射層2で反射されやすくなる。従って、本実施形態に係る赤外線反射フィルムは、窓ガラス等の透光性部材に室内側から貼っておくことで、窓ガラス等の透光性部材を通って室内に入射される近赤外線を遮蔽することができ、これにより、上記特許文献1,2に記載される赤外線反射フィルムと同様、夏季での遮熱効果が期待できる。また、そのために、本実施形態に係る赤外線反射フィルムは、(反射層2を基準として)基材1側表面から光を入射させたときの日射透過率(JIS A5759参照)を60%以下に設定するのが好ましい。
【0033】
また、本実施形態に係る赤外線反射フィルムは、保護層3として、樹脂層3aとハードコート層3bの2層構造を採用している。ハードコート層3bは、反射層2との密着性が樹脂層3a(正確には、接着層3c)よりも良くない。従って、樹脂層3aを無くしてハードコート層3bを反射層2上に直接積層すると、反射層2及びハードコート層3bの界面から水などが侵入して、反射層2が劣化したり、また、耐擦傷性が損なわれるといったことが想定されるが、本実施形態に係る赤外線反射フィルムは、樹脂層3aを介してハードコート層3bが形成されるため、かかる懸念はない。
【実施例】
【0034】
ここで、本発明者らは、上記実施形態に係る赤外線反射フィルムを作製し(実施例)、併せて、比較用の赤外線反射フィルムを作製し(比較例)、それぞれの垂直放射率を測定した。また、本発明者らは、それらの耐擦傷性の評価試験を行った。実施例、比較例ともに作製方法は次のとおりである。まず、基材1の一方の面1aにDCマグネトロンスパッタ法により反射層2を積層する。詳しくは、最初に、基材1の一方の面1aにDCマグネトロンスパッタ法により透明層2bを積層し、次に、DCマグネトロンスパッタ法により半透明金属層2aを積層し、次に、DCマグネトロンスパッタ法により透明層2cを積層する。また、樹脂層3aの表面にハードコート剤を塗布し(DIC社製「アクリル−ウレタン系ハードコート PC1097」)、紫外線を照射して硬化させてハードコート層3bを形成する。そして、樹脂層3aの反対側の表面にポリエステル系接着剤を塗布し、反射層2の表面に接着層3cを介して樹脂層3a・ハードコート層3b積層体を貼り合わせる。各層の組成・成分、厚み等の条件は下記の表に記載する。
【0035】
また、耐擦傷性試験は、第一の試験と第二の試験とを行った。第一の試験では、10連式ペン試験機を用い、擦動手段として、スチールウール(ボンスター♯0000番)を用い、試験体(実施例や比較例)に擦動手段を当接させ、250gの荷重を掛けつつ10回往復運動させる試験を行う。第二の試験では、学振摩耗試験機を用い、擦動手段として、布(かなきん3号)を用い、試験体(実施例や比較例)に擦動手段を当接させ、500gの荷重を掛けつつ1000回往復運動させる試験を行う。
【0036】
<実施例1>
厚みが50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを基材1として用いた。また、基材1の上に酸化インジウム亜鉛(IZO)からなる透明層2bを35nmの厚みで形成し、その上にAPC(AgPdCu)からなる半透明金属層2aを18nmの厚みで形成し、その上に酸化インジウム亜鉛(IZO)からなる透明層2cを35nmの厚みで形成し、これを反射層2とした。また、厚みが23μmのオレフィン系樹脂フィルム(日本ゼオン社製のzeonor(登録商標))からなる樹脂層3aの上にハードコート層3bを0.9μmの厚みで形成し、これを厚みが0.8μmの接着層3cを介して反射層2の上に積層し、保護層3を形成した。
【0037】
<比較例1>
厚みが50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを基材1として用いた。また、基材1の上に酸化インジウムチタン(ITiO)からなる透明層2bを31nmの厚みで形成し、その上にAPC(AgPdCu)からなる半透明金属層2aを14nmの厚みで形成し、その上に酸化インジウムチタン(ITiO)からなる透明層2cを31nmの厚みで形成し、これを反射層2とした。また、厚みが23μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを厚みが0.8μmの接着層3cを介して反射層2の上に積層し、保護層3を形成した。ハードコート層3bは形成していない。
【0038】
そして、それぞれの垂直放射率を測定し、また、それらの耐擦傷性の評価試験を行った。これを表1に示す。
【表1】

実施例1は、垂直放射率が0.20であり、遠赤外線の反射特性が優れていることがわかる。一方、比較例1は、垂直放射率が0.57であり、遠赤外線の反射特性が非常に悪い。従って、樹脂層3aとしては、ポリエステル系樹脂は好ましくなく、オレフィン系樹脂が好ましいことがわかる。
また、実施例1は、耐擦傷性が良好である。一方、比較例1は、耐擦傷性が認められない。これにより、耐擦傷性を得るためには、ハードコート層3bを設けることが好ましいことがわかる。
【0039】
<実施例2>
厚みが50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを基材1として用いた。また、基材1の上に酸化インジウムチタン(ITiO)からなる透明層2bを31nmの厚みで形成し、その上にAPC(AgPdCu)からなる半透明金属層2aを14nmの厚みで形成し、その上に酸化インジウムチタン(ITiO)からなる透明層2cを31nmの厚みで形成し、これを反射層2とした。また、厚みが15μmの2軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムからなる樹脂層3aを厚みが0.8μmの接着層3cを介して反射層2の上に積層し、保護層3を形成した。ハードコート層3bは形成していない。
【0040】
<実施例3>
厚みが50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを基材1として用いた。また、基材1の上に酸化インジウム亜鉛(IZO)からなる透明層2bを35nmの厚みで形成し、その上にAPC(AgPdCu)からなる半透明金属層2aを18nmの厚みで形成し、その上に酸化インジウム亜鉛(IZO)からなる透明層2cを35nmの厚みで形成し、これを反射層2とした。また、厚みが15μmの2軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムからなる樹脂層3aの上にハードコート層3bを0.3μmの厚みで形成し、これを厚みが0.8μmの接着層3cを介して反射層2の上に積層し、保護層3を形成した。
【0041】
<実施例4>
厚みが50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを基材1として用いた。また、基材1の上に酸化インジウム亜鉛(IZO)からなる透明層2bを35nmの厚みで形成し、その上にAPC(AgPdCu)からなる半透明金属層2aを18nmの厚みで形成し、その上に酸化インジウム亜鉛(IZO)からなる透明層2cを35nmの厚みで形成し、これを反射層2とした。また、厚みが15μmの2軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムからなる樹脂層3aの上にハードコート層3bを0.6μmの厚みで形成し、これを厚みが0.8μmの接着層3cを介して反射層2の上に積層し、保護層3を形成した。
【0042】
<実施例5>
厚みが50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを基材1として用いた。また、基材1の上に酸化インジウム亜鉛(IZO)からなる透明層2bを35nmの厚みで形成し、その上にAPC(AgPdCu)からなる半透明金属層2aを18nmの厚みで形成し、その上に酸化インジウム亜鉛(IZO)からなる透明層2cを35nmの厚みで形成し、これを反射層2とした。また、厚みが15μmの2軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムからなる樹脂層3aの上にハードコート層3bを0.8μmの厚みで形成し、これを厚みが0.8μmの接着層3cを介して反射層2の上に積層し、保護層3を形成した。
【0043】
<実施例6>
厚みが50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを基材1として用いた。また、基材1の上に酸化インジウム亜鉛(IZO)からなる透明層2bを35nmの厚みで形成し、その上にAPC(AgPdCu)からなる半透明金属層2aを18nmの厚みで形成し、その上に酸化インジウム亜鉛(IZO)からなる透明層2cを35nmの厚みで形成し、これを反射層2とした。また、厚みが15μmの2軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムからなる樹脂層3aの上にハードコート層3bを1.1μmの厚みで形成し、これを厚みが0.8μmの接着層3cを介して反射層2の上に積層し、保護層3を形成した。
【0044】
<実施例7>
厚みが50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを基材1として用いた。また、基材1の上に酸化インジウム亜鉛(IZO)からなる透明層2bを35nmの厚みで形成し、その上にAPC(AgPdCu)からなる半透明金属層2aを18nmの厚みで形成し、その上に酸化インジウム亜鉛(IZO)からなる透明層2cを35nmの厚みで形成し、これを反射層2とした。また、厚みが15μmの2軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムからなる樹脂層3aの上にハードコート層3bを1.5μmの厚みで形成し、これを厚みが0.8μmの接着層3cを介して反射層2の上に積層し、保護層3を形成した。
【0045】
<比較例2>
厚みが50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを基材1として用いた。また、基材1の上に酸化インジウム亜鉛(IZO)からなる透明層2bを35nmの厚みで形成し、その上にAPC(AgPdCu)からなる半透明金属層2aを18nmの厚みで形成し、その上に酸化インジウム亜鉛(IZO)からなる透明層2cを35nmの厚みで形成し、これを反射層2とした。また、厚みが15μmの2軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムからなる樹脂層3aの上にハードコート層3bを2.0μmの厚みで形成し、これを厚みが0.8μmの接着層3cを介して反射層2の上に積層し、保護層3を形成した。
【0046】
即ち、実施例2〜7、比較例2は、その順にハードコート層3bの厚みが増えていく例である。そして、それぞれの垂直放射率を測定し、また、それらの耐擦傷性の評価試験を行った。これを表2に示す。
【表2】

実施例2は、垂直放射率が0.19であり、実施例3は、垂直放射率が0.16であり、実施例4は、垂直放射率が0.18であり、実施例5は、垂直放射率が0.18であり、実施例6は、垂直放射率が0.20であり、実施例7は、垂直放射率が0.23であり、いずれも遠赤外線の反射特性が優れていることがわかる。しかしながら、ハードコート層3bの厚みが大きくなった比較例2は、垂直放射率が0.28であり、遠赤外線の反射特性が良くない。従って、遠赤外線の優れた反射特性(垂直放射率が0.25以下)を得るために、ハードコート層3bの厚みは、1.5μm以下にするのが好ましい。
【0047】
<実施例8>
厚みが50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを基材1として用いた。また、基材1の上に酸化インジウム亜鉛(IZO)からなる透明層2bを35nmの厚みで形成し、その上にAPC(AgPdCu)からなる半透明金属層2aを18nmの厚みで形成し、その上に酸化インジウム亜鉛(IZO)からなる透明層2cを35nmの厚みで形成し、これを反射層2とした。また、厚みが30μmの2軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムからなる樹脂層3aの上にハードコート層3bを0.8μmの厚みで形成し、これを厚みが0.8μmの接着層3cを介して反射層2の上に積層し、保護層3を形成した。
【0048】
<比較例3>
厚みが50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを基材1として用いた。また、基材1の上に酸化インジウム亜鉛(IZO)からなる透明層2bを35nmの厚みで形成し、その上にAPC(AgPdCu)からなる半透明金属層2aを18nmの厚みで形成し、その上に酸化インジウム亜鉛(IZO)からなる透明層2cを35nmの厚みで形成し、これを反射層2とした。また、厚みが40μmの2軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムからなる樹脂層3aの上にハードコート層3bを0.8μmの厚みで形成し、これを厚みが0.8μmの接着層3cを介して反射層2の上に積層し、保護層3を形成した。
【0049】
即ち、実施例8、比較例3は、その順に樹脂層3aの厚みが増える例である。そして、それぞれの垂直放射率を測定し、また、それらの耐擦傷性の評価試験を行った。これを表3に示す。
【表3】

実施例8は、垂直放射率が0.25であり、遠赤外線の反射特性が優れていることがわかる。しかしながら、樹脂層3aの厚みが大きくなった比較例3は、垂直放射率が0.29であり、遠赤外線の反射特性が良くない。従って、遠赤外線の優れた反射特性(垂直放射率が0.25以下)を得るために、樹脂層3aの厚みは、30μm以下にするのが好ましい。
【0050】
<実施例9>
厚みが50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを基材1として用いた。また、基材1の上に酸化インジウム亜鉛(IZO)からなる透明層2bを35nmの厚みで形成し、その上にAPC(AgPdCu)からなる半透明金属層2aを18nmの厚みで形成し、その上に酸化インジウム亜鉛(IZO)からなる透明層2cを35nmの厚みで形成し、これを反射層2とした。また、厚みが15μmの2軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムからなる樹脂層3aの上にハードコート層3bを1.5μmの厚みで形成し、これを厚みが0.4μmの接着層3cを介して反射層2の上に積層し、保護層3を形成した。
【0051】
<実施例10>
厚みが50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを基材1として用いた。また、基材1の上に酸化インジウム亜鉛(IZO)からなる透明層2bを35nmの厚みで形成し、その上にAPC(AgPdCu)からなる半透明金属層2aを18nmの厚みで形成し、その上に酸化インジウム亜鉛(IZO)からなる透明層2cを35nmの厚みで形成し、これを反射層2とした。また、厚みが15μmの2軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムからなる樹脂層3aの上にハードコート層3bを1.5μmの厚みで形成し、これを厚みが0.8μmの接着層3cを介して反射層2の上に積層し、保護層3を形成した。
【0052】
<実施例11>
厚みが50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを基材1として用いた。また、基材1の上に酸化インジウム亜鉛(IZO)からなる透明層2bを35nmの厚みで形成し、その上にAPC(AgPdCu)からなる半透明金属層2aを18nmの厚みで形成し、その上に酸化インジウム亜鉛(IZO)からなる透明層2cを35nmの厚みで形成し、これを反射層2とした。また、厚みが15μmの2軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムからなる樹脂層3aの上にハードコート層3bを1.5μmの厚みで形成し、これを厚みが1.5μmの接着層3cを介して反射層2の上に積層し、保護層3を形成した。
【0053】
<比較例4>
厚みが50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを基材1として用いた。また、基材1の上に酸化インジウム亜鉛(IZO)からなる透明層2bを35nmの厚みで形成し、その上にAPC(AgPdCu)からなる半透明金属層2aを18nmの厚みで形成し、その上に酸化インジウム亜鉛(IZO)からなる透明層2cを35nmの厚みで形成し、これを反射層2とした。また、厚みが30μmの2軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムからなる樹脂層3aの上にハードコート層3bを1.5μmの厚みで形成し、これを厚みが1.5μmの接着層3cを介して反射層2の上に積層し、保護層3を形成した。
【0054】
<比較例5>
厚みが50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを基材1として用いた。また、基材1の上に酸化インジウム亜鉛(IZO)からなる透明層2bを35nmの厚みで形成し、その上にAPC(AgPdCu)からなる半透明金属層2aを18nmの厚みで形成し、その上に酸化インジウム亜鉛(IZO)からなる透明層2cを35nmの厚みで形成し、これを反射層2とした。また、厚みが15μmの2軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムからなる樹脂層3aの上にハードコート層3bを1.5μmの厚みで形成し、これを厚みが2.0μmの接着層3cを介して反射層2の上に積層し、保護層3を形成した。
【0055】
即ち、実施例9〜11、比較例4,5は、その順に接着層3cの厚みが増える例である。そして、それぞれの垂直放射率を測定し、また、それらの耐擦傷性の評価試験を行った。これを表4に示す。
【表4】

実施例9は、垂直放射率が0.19であり、実施例10は、垂直放射率が0.23であり、実施例11は、垂直放射率が0.25であり、遠赤外線の反射特性が優れていることがわかる。しかしながら、接着層3cの厚みが大きくなった比較例5は、垂直放射率が0.28であり、遠赤外線の反射特性が良くない。従って、遠赤外線の優れた反射特性(垂直放射率が0.25以下)を得るために、接着層3cの厚みは、1.5μm以下にするのが好ましい。
【0056】
尚、比較例4は、ハードコート層3bの上記した良好な厚みの上限値(1.5μm)、樹脂層3aの上記した良好な厚みの上限値(30μm)、接着層3cの上記した良好な厚みの上限値(1.5μm)を採用したものである。三つの層をそれぞれ良好な厚みの範囲内に設定しても、合計的に見れば、垂直放射率が大きくなってしまう。従って、ハードコート層3bの厚みが1.5μm以下、樹脂層3aの厚みが30μm以下、接着層3cの厚みが1.5μm以下であり、且つ、垂直放射率が0.25以下となる範囲で、ハードコート層3bの厚み、樹脂層3aの厚み、接着層3cの厚みを設定する必要がある。
【0057】
<実施例12〜17>
厚みが50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを基材1として用いた。また、基材1の上に酸化インジウム亜鉛(IZO)からなる透明層2bを35nmの厚みで形成し、その上にAPC(AgPdCu)からなる半透明金属層2aを18nmの厚みで形成し、その上に酸化インジウム亜鉛(IZO)からなる透明層2cを35nmの厚みで形成し、これを反射層2とした。また、厚みが15μmの2軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムからなる樹脂層3aの上にハードコート層3bを0.7μmの厚みで形成し、これを厚みが0.8μmの接着層3cを介して反射層2の上に積層し、保護層3を形成した。
【0058】
実施例12〜17の違いは、ハードコート層3bに含有させるレベリング剤の重量比率である。実施例12は、0.5重量%であり、実施例13は、2重量%であり、実施例14は、5重量%であり、実施例15は、10重量%であり、実施例16は、20重量%であり、実施例17は、30重量%である。そして、それぞれの垂直放射率を測定し、また、それらの耐擦傷性の評価試験を行った。これを表5に示す。
【表5】

実施例12,13,16,17は、耐擦傷性試験の第二の試験(ハードコート層3bの表面を布で擦る試験)に対しては、耐擦傷性を有することが確認できたが、第一の試験(ハードコート層3bの表面をスチールウールで擦る試験)においては、傷が確認された。実施例14,15は、第一の試験、第二の試験ともに、耐擦傷性を有することが確認できた。レベリング剤は、シリコン系材料からなり、ハードコート層3bのすべり性を調製する。従って、レベリング剤の含有量が多くなるほど、ハードコート層3bのすべり性が良くなり、そのため、耐擦傷性が良好となる。しかしながら、レベリング剤が多くなると、ハードコート層3bの硬度が低下するため、ハードコート層3bは傷付きやすくなる。実施例12〜17によれば、ハードコート層3bのより良好な耐擦傷性を得るために、ハードコート層3bに含有させるレベリング剤の重量比率は、5〜10重量%の範囲内にするのが好ましい。
【0059】
<実施例18>
自動車のヒーター使用時における電力消費量は大きい。特に、電気自動車(EV)は、エンジンの排熱が利用できないため、ガソリン車よりもヒーター使用時における電力消費量が大きくなる。開口部からの熱流出が大きいため、この部分を断熱化することが課題となっている。そこで、厚みが12μmのアクリル系粘着剤を剥離ライナー上に塗布し、これを実施例5の基材1の他方の面1bに貼り合わせ、粘着剤層付き赤外線反射フィルムを作製し、これを剥離ライナーを剥がして小型電気自動車の車内側から全ての窓に貼った。
【0060】
小型電気自動車は、恒温室(幅4.3m、高さ2.1m、奥行5.1m)の中に入れ、室内を−20℃に設定した。実測は−17℃であった。そして、車内温度をHIOKI製温度ロガーで記録した。まず、充電をフル充電したのち、エアコン設定は一定のまま、充電が切れるまでの時間を測定した。エアコンスタートからエアコンの吹出口温度が低下し始めるまでの時間を電池持続時間とする。エアコン設定条件は、吹出:上半身及び足元、内気循環、風量AUTO、A/C OFF、ヒーター強度(所定強度)である。その結果を表6に示す。
【表6】

電気自動車の窓に内側から赤外線反射フィルムを貼り付けることで、ヒーター強度が同じ場合フィルムなしと比較すると、車内温度は1.5〜4℃上昇させることができる。また、車内温度を一定にするには、ヒーター強度を1段階弱くすることができる。さらに、車内温度を一定にしたときに、電池持続時間を比較すると、フィルム無の場合よりも、約10%時間を延ばすことができた。つまり、ヒーターによる電力消費を10%低減させることができた。
【0061】
尚、本発明に係る赤外線反射フィルムは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0062】
例えば、上記実施形態においては、樹脂層3aにハードコート層3bを積層したものを保護層3としたが、保護層は、樹脂層、より詳しくは、オレフィン系樹脂層だけであってもよく、また、ハードコート層だけであってもよい。
【0063】
また、上記実施形態においては、反射層2を蒸着により形成したが、反射性フィルムを用いる等、反射層を基材とは別に用意し、反射層を基材に貼着する等して形成するようにしてもよい。
【0064】
また、上記実施形態においては、樹脂層3aを反射層2の表面に接着剤3cを用いて接着したが、これに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0065】
1…基材、1a…一方の面、1b…他方の面、2…反射層、2a…半透明金属層、2b,2c…透明層、3…保護層、3a…樹脂層、3b…ハードコート層、3c…接着層、4…粘着層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の一方の面に反射層及び保護層を順に積層し、他方の面に粘着層を設けたあるいは設け得る赤外線反射フィルムであって、可視光線透過率が50%以上、保護層側表面の垂直放射率が0.25以下であることを特徴とする赤外線反射フィルム。
【請求項2】
前記保護層は、前記反射層に積層されるオレフィン系樹脂層と、該オレフィン系樹脂層に積層されて最外層となるハードコート層とで構成される請求項1に記載の赤外線反射フィルム。
【請求項3】
前記ハードコート層の厚みは、前記オレフィン系樹脂層の厚みよりも少ない請求項2に記載の赤外線反射フィルム。
【請求項4】
前記ハードコート層の厚みは、0.1〜1.5μmの範囲内である請求項2又は請求項3に記載の赤外線反射フィルム。
【請求項5】
前記オレフィン系樹脂層の厚みは、5〜30μmの範囲内である請求項2乃至請求項4の何れか1項に記載の赤外線反射フィルム。
【請求項6】
前記保護層は、接着層を介して前記反射層に積層される請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の赤外線反射フィルム。
【請求項7】
前記接着層の厚みは、0.1〜1.5μmの範囲内である請求項6に記載の赤外線反射フィルム。

【図1】
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【公開番号】特開2013−10341(P2013−10341A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240375(P2011−240375)
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】