説明

赤外線検出素子及び電子機器

【課題】接着剤を用いて基板に接着されても中空構造の空間に接着膜が形成され難い構造の赤外線検出素子を提供する。
【解決手段】第1表面2aと第1表面2aの反対側の第1裏面2bとを有し、第1裏面2bに第1凹部4を有し第1表面2aの第1凹部4と対向する場所に赤外線を検出する赤外線検出部3を有する第1基板2と、第2表面8aと第2表面8aの反対側の第2裏面8bとを有し、第1凹部4と向かい合う場所の第2裏面8bに第2凹部9を有する第2基板8と、第1裏面2bと第2裏面8bとを接着する接着膜7と、を有し、第2表面8aに接着剤を付着させて用いられ、第2凹部9が第2裏面8bと交差する第2外周部9bは第1凹部4が第1裏面2bと交差する第1外周部4bを囲んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤外線検出素子にかかわり、特に、赤外線の照射量を検出する素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
検出部を支持基板上に作成し支持基板を中空構造とするボロメーター型赤外線検出素子が特許文献1に開示されている。それによると、検出部に当たるボロメーターの上に吸収部を設けている。吸収部で赤外線を熱に変換し、この熱によって検出部を暖める。そして、検出部の抵抗温度変化を読み出すことで、赤外線検出素子として機能している。
【0003】
中空構造を有するセンサーチップを基板にダイボンディングにて実装する方法が特許文献2に開示されている。それによると、センサーチップを接着する基台に通気手段が設けられている。そして、中空構造の空間と外気とが通気手段により連通している。これにより、加熱時と冷却時に気圧の変化が小さくなるようにしている。
【0004】
中空構造を有する熱電対のセンサーチップの感度を向上させる方法が特許文献3に開示されている。それによると、センサーチップを搭載する基部ヘッダーに中空構造の空間を広くするための空洞を設けている。これにより、センサーチップからの放熱を抑制している。以下、センサーチップを赤外線検出素子と称す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−226890号公報
【特許文献2】特開平6−77504号公報
【特許文献3】特開2004−361386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
中空構造を有する赤外線検出素子を基板に固定するとき、接着剤を赤外線検出素子または基板に塗布して接着する。このとき、接着剤が固化した接着膜が中空構造の空間に位置するとき、空間が狭くなるためセンサーが断熱されなくなる。そこで、接着剤を用いて基板に接着されても中空構造の空間に接着膜が形成され難い構造の赤外線検出素子が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]
本適用例にかかる赤外線検出素子であって、第1面及び前記第1面の反対側の第2面を有し、前記第2面に第1凹部を有し前記第1凹部と対向する場所の前記第1面に赤外線を検出する赤外線検出部を有する第1基板と、第3面及び前記第3面の反対側の第4面を有し、前記第1凹部と向かい合う場所の前記第4面に第2凹部を有する第2基板と、前記第2面と前記第4面とを接着する接着膜と、を有し、前記第2凹部が前記第4面と交差する第2外周部は前記第1凹部が前記第2面と交差する第1外周部を囲むことを特徴とする。
【0009】
本適用例によれば、赤外線検出素子は第1基板と第2基板とが接着膜によって接着されている。そして、第1基板は第2面に第1凹部を有している。そして、第2基板は第1凹部と向かい合う場所に第2凹部を有している。従って、第1凹部と第2凹部とにより挟まれた場所は空洞となっている。そして、赤外線検出素子は第1凹部と対向する場所の第1面に赤外線検出部を有している。
【0010】
赤外線検出部は照射される赤外線によって加熱されて上昇する温度を検出することにより赤外線の照射量を検出する。従って、赤外線検出部から熱が放出される早さを所定の早さにする必要がある。第1基板において赤外線検出部と対向する場所は空洞となっている。空洞では第1基板より熱の伝導が遅いため、赤外線検出部から熱が放出される早さを遅くすることができる。
【0011】
接着膜は液状の接着剤が固化した膜である。接着剤が固化する過程において接着剤が第1凹部に流入するときには、第1凹部内に接着膜が位置する。このとき、空洞が小さくなるので赤外線によって加熱された赤外線検出部から熱が流出しやすくなる。そして、赤外線検出部の感度が低下する。本実施形態では、第1凹部と向かい合う場所に第2凹部が配置されている。従って、接着剤が第1凹部に向かって進行するときには、第2凹部にも進行する。そして、第2凹部の外周である第2外周部は第1凹部の外周である第1外周部を囲んでいることから、第1凹部に接着剤が流入する前に第2凹部に接着剤が流入する。従って、第1凹部に接着膜が形成され難くすることができる。さらに、第3面に接着剤が付着するとき、第1凹部と第3面との間には第2基板が配置されている。従って、第2基板を用いずに第1基板に直接接着剤が付着されるときに比べて、赤外線検出素子に付着される接着剤が第1凹部に流入し難くすることができる。
【0012】
[適用例2]
上記適用例にかかる赤外線検出素子において、前記第2凹部の側壁は前記第4面に対して斜面となっていることを特徴とする。
【0013】
本適用例によれば、第2凹部の側壁は第4面に対して斜面となっている。接着膜を形成する接着剤は第4面に沿って流動する。そして、側壁は第4面に対して斜面となっている為、接着剤が流動するとき第4面から側壁に沿って流動し易くなっている。従って、第2凹部に接着剤が流動し易くなっているので、第1凹部に接着膜が形成され難くすることができる。
【0014】
[適用例3]
上記適用例にかかる赤外線検出素子において、前記第1基板には複数の前記第1凹部及び前記赤外線検出部が設置され、1つの前記第2凹部と向かい合う場所に複数の前記第1凹部が位置することを特徴とする。
【0015】
本適用例によれば、1つの第2凹部と向かい合う場所に複数の第1凹部が位置している。従って、第2凹部の広さは第1凹部より広くすることができる。従って、第2凹部に接着剤が流入可能な量を多くすることができる為、第2凹部から接着剤が溢れて第1凹部に入ることを抑制できる。その結果、第1凹部に接着膜が形成され難くすることができる。
【0016】
[適用例4]
上記適用例にかかる赤外線検出素子において、前記第2基板は側面を有し前記第2凹部と前記側面との間に溝部を有することを特徴とする。
【0017】
本適用例によれば、赤外線検出素子は第2凹部と第2基板の側面との間に溝部を有している。従って、第2凹部に流入する接着剤が溝部を通って第2基板の側面に流動することができる。その結果、第2凹部が接着剤で満たされ難くなるので、第1凹部に接着膜が形成され難くすることができる。
【0018】
[適用例5]
上記適用例にかかる赤外線検出素子において、前記第2基板は複数の前記第2凹部を有し、複数の前記第2凹部の間に溝部を有することを特徴とする。
【0019】
本適用例によれば、赤外線検出素子は複数の第2凹部の間に溝部を有している。これにより、第2凹部に流入する接着剤が溝部を通って別の第2凹部に流動することができる。従って、1つの第2凹部に多量の接着剤が流入するときにも別の第2凹部に流入する接着剤の量が少ないときには、接着剤の量が少ない第2凹部に溝部を通って接着剤が流動する。その結果、第2凹部が接着剤で満たされ難くなるので、第1凹部に接着膜が形成され難くすることができる。
【0020】
[適用例6]
上記適用例にかかる赤外線検出素子において、前記第2凹部の底部は前記第1凹部と前記第2凹部とに囲まれた空洞部を前記第3面から遮蔽することを特徴とする。
【0021】
本適用例によれば、第1凹部と第2凹部とに囲まれた空洞部を底部が第3面から遮蔽している。従って、第3面に接着剤が付着されるときにも、第3面から第1凹部に接着剤が流入しない。その結果、第1凹部に接着膜が形成され難くすることができる。
【0022】
[適用例7]
本適用例にかかる電子機器であって、赤外線を検出する光検出部を備え、前記光検出部に上記適用例に記載の赤外線検出素子を備えることを特徴とする。
【0023】
本適用例によれば、電子機器は赤外線を検出する光検出部を備えている。そして、光検出部は上記適用例に記載の赤外線検出素子を備えている。上記適用例に記載の赤外線検出素子は接着膜が第1凹部に形成され難く感度の良い素子である。従って、本適用例の電子機器は光検出部に感度の良い赤外線検出素子を備えた電子機器とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1の実施形態にかかり、(a)は、赤外線検出素子の構成を示す概略分解斜視図、(b)及び(c)は、赤外線検出素子の構成を示す模式断面図。
【図2】(a)は、赤外線検出部の構成を示す要部模式側断面図、(b)は、電極及び配線の構成を示す要部模式側断面図。
【図3】赤外線検出素子の組立方法を説明するための模式図。
【図4】赤外線検出素子の組立方法を説明するための模式図。
【図5】第2の実施形態にかかわる赤外線検出素子の構成を示す要部模式側断面図。
【図6】第3の実施形態にかかわる赤外線カメラの構成を示すブロック図。
【図7】第4の実施形態にかかわる運転支援装置の構成を示すブロック図。
【図8】運転支援装置を搭載した自動車を示す概略斜視図。
【図9】第5の実施形態にかかわるセキュリティー機器の構成を示すブロック図。
【図10】セキュリティー機器が設置された家を示す模式図。
【図11】第6の実施形態にかかわるゲーム機器のコントローラーの構成を示すブロック図。
【図12】コントローラーの使用方法を説明するための模式図。
【図13】第7の実施形態にかかわる体温測定装置の構成を示すブロック図。
【図14】第8の実施形態にかかわる特定物質探知装置の構成を示すブロック図。
【図15】変形例にかかわる赤外線検出素子の構成を示す要部模式側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、構造に特徴のある赤外線検出素子の実施形態について図面に従って説明する。尚、各図面における各部材は、各図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材毎に縮尺を異ならせて図示している。
(第1の実施形態)
本実施形態では、赤外線検出素子と赤外線検出素子の組立方法の特徴的な例について図1〜図4に従って説明する。
【0026】
(赤外線検出素子)
図1(a)は、赤外線検出素子の構成を示す概略分解斜視図であり、図1(b)及び図1(c)は、赤外線検出素子の構成を示す模式断面図である。図1(b)は図1(a)のA−A’線に沿った断面図であり、図1(c)は図1(a)のB−B’線に沿った断面図である。図1に示すように、赤外線検出素子1は平面視が矩形の第1基板2を備えている。第1基板2の矩形のうち直交する2辺の方向をX方向及びY方向とする。そして、鉛直方向を−Z方向とする。第1基板2のZ方向の面を第1面としての第1表面2aとし、第1基板2の−Z方向の面を第2面としての第1裏面2bとする。つまり、第1表面2aと第1裏面2bとは互いに反対側を向く面となっている。
【0027】
第1基板2の材料は剛性があって絶縁性のある材料であれば良く、シリコン、ガラス、セラミック、強化プラスチック等を用いることができる。第1基板2に半導体の回路を形成するときにはシリコン等からなる半導体基板を用いる。本実施形態では例えば第1基板2に半導体基板を用いている。
【0028】
第1基板2の第1表面2aには16個の赤外線検出部3が縦横各4列のマトリックス状に配置されている。赤外線検出部3は赤外線を受光して受光量に応じた電気信号を出力する素子である。第1裏面2bには各赤外線検出部3と対向する場所に第1凹部4が形成されている。1つの赤外線検出部3に対して1つの第1凹部4が形成されている。これにより、赤外線検出部3が設置された場所では第1基板2の厚みが薄くなっている。
【0029】
赤外線が照射されたときに赤外線検出部3は温度の上昇量を検出する。従って、赤外線検出部3から熱伝導し難い方が感度良く赤外線の照射量を検出することができる。赤外線検出部3が位置する場所では第1基板2が薄くなっているため、赤外線検出部3から第1基板2に熱が伝導し難くなっている。また、第1凹部4により囲まれた空間を第1空洞部5とする。第1空洞部5には空気が充填されている。そして、第1空洞部5の空気は流動し難くなっているので、赤外線検出素子1は赤外線検出部3の熱を第1空洞部5に放熱し難くなっている。
【0030】
第1表面2aには電極6が1列に配置されている。電極6は赤外線検出部3が検出する赤外線の照射量に応じた電気信号を出力するための端子である。
【0031】
第1基板2の−Z方向には接着膜7と第2基板8とが重ねて配置されている。第2基板8のZ方向の面を第4面としての第2裏面8bとし、第2基板8の−Z方向の面を第3面としての第2表面8aとする。つまり、第2表面8aと第2裏面8bとは互いに反対側を向く面となっている。そして、接着膜7は第1裏面2bと第2裏面8bとの間に配置され、第1裏面2bと第2裏面8bとを接着する膜となっている。
【0032】
接着膜7は接着剤を固化して形成される膜である。本実施形態に用いられる接着剤としてはエポキシ系、ウレタン系、アクリル系、シリコーン系、ポリエステル系、イミド系、ポリアミドイミド系等を用いることができる。さらに、熱硬化開始剤等の添加剤を加えても良い。
【0033】
第2基板8は第1凹部4と対向する場所の第2裏面8bに第2凹部9が形成されている。また、第2凹部9により囲まれた空間を第2空洞部10とするとき、第2空洞部10には空気が充填されている。そして、第2空洞部10の空気は流動し難くなっているので、赤外線検出素子1は赤外線検出部3の熱を第2基板8に放熱することを抑制することができる。
【0034】
第2空洞部10と第1空洞部5とは1つの空洞部11を形成している。そして、第2空洞部10の体積が第1空洞部5の体積より大きくなるように第2空洞部10が形成されている。第1凹部4の側壁4aは第1裏面2bに対して斜面となっており、第2凹部9の側壁9aは第2裏面8bに対して斜面となっている。そして、第1凹部4の側壁4aが第1裏面2bと交差する場所を第1外周部4bとし、第2凹部9の側壁9aが第2裏面8bと交差する場所を第2外周部9bとする。このとき、第1外周部4bは第2外周部9bの内側に位置し、第1外周部4bは第2外周部9bに囲まれるように配置されている。
【0035】
接着膜7が固化する前は接着膜7は粘性のある液状の接着剤であり、接着剤に圧力が加わるとき接着剤は空洞部11に流動する。このとき、接着剤は第1外周部4bに接触する前に第2外周部9bに接触する。そして、側壁9aに沿って第2凹部9に流動する。従って、接着剤が第2凹部9に流動することにより、接着膜7を第1凹部4に形成し難くすることができる。
【0036】
側壁9aは第2裏面8bに対して斜面になっている。従って、空洞部11に流動する接着膜7は側壁9aに沿って流動し易くなっている。その結果、接着膜7は第2凹部9に流動し、第1凹部4に付着し難くすることができる。また、第2空洞部10の体積は第1空洞部5の体積より大きな体積であることから、接着剤は第2凹部9を満たし難くなっている。従って、接着膜7を第1凹部4に形成し難くすることができる。
【0037】
第2基板8において隣り合う第2凹部9の間には溝部としての凹部間溝部12が形成されている。凹部間溝部12は各第2凹部9における第2空洞部10を連通させている。そして、1つの第2空洞部10に接着膜7の材料である接着剤が溜まるとき、接着剤は凹部間溝部12を流動することにより隣の第2空洞部10に移動することができる。従って、接着剤は第2空洞部10を満たし難くなる為、接着膜7を第1凹部4に形成し難くすることができる。
【0038】
第2基板8の側面8cに近い場所の第2凹部9では第2凹部9と側面8cとの間に溝部としての外部連通溝部13が形成されている。外部連通溝部13は第2凹部9における第2空洞部10と側面8cと接する外気とを連通させている。そして、第2空洞部10に接着膜7の材料である接着剤が溜まるとき、接着剤は外部連通溝部13を流動して側面8cから赤外線検出素子1の外に移動することができる。従って、接着剤は第2空洞部10を満たし難くなる為、接着膜7を第1凹部4に形成し難くすることができる。
【0039】
第2基板8の第2表面8aには接着膜14を介して実装基板15が設置されている。そして、実装基板15には各種の回路が形成されており、実装基板15の回路と電極6とは電気的に接続されている。これにより、赤外線検出部3が検出する赤外線の照射量の信号を出力することが可能になっている。
【0040】
図2(a)は、赤外線検出部の構成を示す要部模式側断面図であり、図2(b)は、電極及び配線の構成を示す要部模式側断面図である。図2(a)に示すように、第1基板2の第1表面2aには第1絶縁膜18が形成されている。第1絶縁膜18はシリコンからなる第1基板2を酸化させた酸化膜であり電気絶縁性の特性を有している。
【0041】
第1凹部4と対向する場所の第1絶縁膜18上には下部電極19が設置され、下部電極19に重ねて焦電体20が設置されている。さらに、焦電体20上には上部電極21が設置されている。下部電極19、焦電体20、上部電極21等によりキャパシター22が構成され、キャパシター22は温度に基づいて分極量が変化する。
【0042】
キャパシター22を覆って第2絶縁膜23が設置されている。第2絶縁膜23には下部電極19に通ずる第1コンタクトホール23aと、上部電極21に通ずる第2コンタクトホール23bとが形成されている。第1絶縁膜18及び第2絶縁膜23上には第1配線24及び第2配線25が設置されている。第1配線24は第1コンタクトホール23aを通じて下部電極19に接続されている。同様に、第2配線25は第2コンタクトホール23bを通じて上部電極21に接続されている。そして、赤外線検出部3は第1絶縁膜18、キャパシター22、第2絶縁膜23、第1配線24及び第2配線25等から構成されている。尚、キャパシター22と重ねて赤外線吸収材を設置しても良い。これにより、赤外線検出素子1の感度をさらに良くすることができる。
【0043】
第1基板2にはビアホール2cが形成されており、ビアホール2c内の側壁には第3絶縁膜26が形成されている。第1裏面2b及び第1凹部4にも第4絶縁膜27が形成されている。第3絶縁膜26及び第4絶縁膜27は加熱して酸化することにより形成されている。ビアホール2c内には導電体28が設置され、ビアホール2c及び導電体28により貫通電極が構成されている。1つの赤外線検出部3には2つの貫通電極が設置されている。貫通電極の1つは第1配線24と接続する第1貫通電極29であり、貫通電極の1つは第2配線25と接続する第2貫通電極30である。
【0044】
第1裏面2bには第1貫通電極29と接続して裏面第1配線33が設置され、第2貫通電極30と接続して裏面第2配線34が設置されている。裏面第1配線33は第1貫通電極29、第1配線24を介して下部電極19と接続されている。そして、裏面第2配線34は第2貫通電極30、第2配線25を経て上部電極21と接続されている。従って、裏面第1配線33及び裏面第2配線34を通じてキャパシター22の分極量を検出することが可能になっている。
【0045】
図2(b)に示すように、第1基板2の第1裏面2bには集積回路35が形成されている。集積回路35には赤外線検出部3を駆動する駆動回路、複数の赤外線検出部3の出力を切り替える制御回路等が含まれている。集積回路35は複数の入力端子35a及び出力端子35bを備えている。入力端子35aには裏面第1配線33及び裏面第2配線34が接続されている。そして、出力端子35bに接続して裏面第3配線36が設置されている。
【0046】
さらに、裏面第3配線36と接続して第1基板2を貫通する第3貫通電極37が形成されている。第3貫通電極37は第1貫通電極29と同様の構造になっている。第1表面2aには第3貫通電極37と接続して電極6が設置されている。
【0047】
実装基板15において赤外線検出素子1が設置された面には配線39が設置され、電極6と配線39とがボンディングワイヤー40にて接続されている。これにより、集積回路35が出力端子35bに出力する電気信号は裏面第3配線36、第3貫通電極37、電極6、ボンディングワイヤー40を介して配線39に出力される。
【0048】
(赤外線検出素子の組立方法)
次に、図3及び図4を用いて赤外線検出素子の組立方法を説明する。図3及び図4は赤外線検出素子の組立方法を説明するための模式図である。図3(a)に示すように、第2基板8を用意する。第2基板8には第2凹部9が形成されている。第2凹部9はフォトリソグラフィー法及びエッチング法を用いて形成することができる。その形成方法は公知であり説明を省略する。
【0049】
次に、第2裏面8bに接着剤41を塗布する。接着剤41は固化したとき接着膜7となる材料である。接着剤41は塗れ性が良く低粘度な材料が好ましい。接着剤41が広がることにより接着したい場所総てに接着膜7を形成することができる。接着剤41の塗布方法は、スクリーン印刷、凸版印刷、オフセット印刷、インクジェット法等の印刷方法やシリンジを用いて塗布する方法等を用いることができる。本実施形態では例えばインクジェト法を用いて接着剤41を塗布した。
【0050】
次に、図3(b)に示すように、第1基板2を用意する。第1基板2には第1空洞部5、第1貫通電極29、第2貫通電極30、赤外線検出部3や各種配線が形成されている。他にも図示しない場所の第1基板2には第3貫通電極37が形成されている。これらの構成要素はスパッタ法や蒸着法等の膜付け法、フォトリソグラフィー法及びエッチング法を用いて形成することができる。その形成方法は公知であり説明を省略する。
【0051】
続いて、接着剤41が塗布された第2裏面8bと第1裏面2bとを合わせるようにして第2基板8の上に第1基板2を重ねて設置する。このとき、接着剤41は第2基板8と第1基板2とに挟まれて加圧される。そして、接着剤41は空洞部11に流動する。このとき、第2外周部9bが第1外周部4bを囲む場所に位置しているため、接着剤41は第1外周部4bより先に第2外周部9bに到達する。第2外周部9bには側壁9aが接続し、側壁9aは第2裏面8bに対して斜面になっている。そして、接着剤41に重力と表面張力が作用することにより、接着剤41は側壁9aに沿って第2凹部9に向かって流動する。その結果、接着剤41は第1凹部4に付着し難くなっている。
【0052】
次に、第2基板8及び第1基板2を加熱乾燥して接着剤41を固化する。これにより、接着剤41は接着膜7になり、第2基板8と第1基板2とが接着される。これにより、赤外線検出素子1が完成する。
【0053】
続いて、図3(c)に示すように、実装基板15を用意し実装基板15の赤外線検出素子1を設置する予定の場所に接着剤42を塗布する。接着剤42は固化したとき接着膜14になる材料である。接着剤42を塗布する方法は特に限定されず、接着剤41を塗布する方法と同様の方法を用いることができる。
【0054】
次に、図4(a)に示すように、接着剤42に重ねて赤外線検出素子1を設置する。そして、赤外線検出素子1が設置された実装基板15を加熱乾燥して接着剤42を固化する。これにより、接着剤42は接着膜14になり、赤外線検出素子1は実装基板15に固着される。
【0055】
第2基板8において第2凹部9の底である底部9cは空洞部11を遮蔽している。従って、第2表面8aに接着剤42が塗布されるときにも、第2表面8aから第1凹部4に接着剤42が流入しない。その結果、第1凹部4に接着膜14が形成され難くすることができる。
【0056】
続いて、図4(b)に示すように、赤外線検出素子1上の電極6と実装基板15上の配線39との間をボンディングワイヤー40にて接続する。ボンディングワイヤー40を用いたボンディング方法は公知であり詳細な説明を省略する。以上の工程により、赤外線検出素子1が組み立てられ、実装基板15に実装される。
【0057】
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、第2外周部9bは第1外周部4bを囲んでいる。これにより、第1凹部4に接着剤41が流入する前に第2凹部9に接着剤41が流入する。従って、第1凹部4に接着膜7が形成され難くすることができる。
【0058】
(2)本実施形態によれば、第1凹部4と第2表面8aとの間には第2基板8が位置している。そして、底部9cが空洞部11を遮蔽している。従って、赤外線検出素子1を実装するために第2表面8aに接着剤42が付着するときにも、第2表面8aから空洞部11に接着剤42が流入しない。その結果、第1凹部4に接着剤42が付着することを防止することができる。
【0059】
(3)本実施形態によれば、第2凹部9の側壁9aは第2裏面8bに対して斜面となっている。接着剤41が流動するとき斜面に沿うことにより流動し易くなる。従って、第1凹部4より第2凹部9に接着剤41が流動するので、第1凹部4に接着膜が形成され難くすることができる。
【0060】
(4)本実施形態によれば、第2凹部9と第2基板8の側面8cとの間に外部連通溝部13を有している。従って、第2凹部9に流入する接着剤41が外部連通溝部13を通って第2基板8の側面8cに流動することができる。その結果、第2凹部9が接着剤41で満たされ難くなるので、第1凹部4に接着膜が形成され難くすることができる。
【0061】
(5)本実施形態によれば、複数の第2凹部9の間を繋ぐように凹部間溝部12が設置されている。従って、第2凹部9に流入する接着剤41が溝部を通って別の第2凹部9に流動することができる。その結果、第2凹部9が接着剤41で満たされ難くなるので、第1凹部4に接着膜が形成され難くすることができる。
【0062】
(6)本実施形態によれば、凹部間溝部12及び外部連通溝部13が各空洞部11と外気とを連通させている。これにより、接着剤41が固化して接着膜7となる過程にてガスが発生するときにも、空洞部11の圧力が上昇することを防止することができる。これにより、接着膜7の厚みを均一にすることができる。接着膜7の厚みを均一にすることにより、第1基板2から第2基板8に熱が伝導する速度を同じにすることができる。その結果、赤外線検出部3が赤外線を検出する感度の分散を小さくすることができる。
【0063】
(第2の実施形態)
次に、赤外線検出素子の一実施形態について図5の赤外線検出素子の構成を示す要部模式側断面図を用いて説明する。
本実施形態が第1の実施形態と異なるところは、図1(b)に示した第2凹部9の形状が異なる点にある。尚、第1の実施形態と同じ点については説明を省略する。
【0064】
すなわち、本実施形態では、図5に示したように赤外線検出素子45は第1基板2を備え、第1基板2には複数の赤外線検出部3が設置されている。そして、第1基板2と第2基板8とが接着膜7により接着されている。1つの赤外線検出部3に対応して1つの第1凹部4が第1基板2に形成されている。第2基板8には2つの第1凹部4に対して1つの第2凹部46が形成されている。そして、第1凹部4に囲まれた第1空洞部5と第2凹部46に囲まれた第2空洞部47とで1つの空洞部48が形成されている。従って、赤外線検出部3と第1凹部4とは同じ個数であり、第2凹部46は赤外線検出部3より少ない個数となっている。尚、第2基板8には3つ以上の第1凹部4に対して1つの第2凹部46が形成されていても良い。第2基板8のパターンを単純にできるので、第2基板8の形状を検査し易くすることができる。
【0065】
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、1つの第2凹部46と対向する場所に複数の第1凹部4が位置している。従って、第2凹部46の広さは第1凹部4より広くすることができる。従って、第2凹部46に接着剤41が流入しても第2凹部46が接着剤41で満たされ難くなる為、第1凹部4に接着剤41が付着し難くすることができる。
【0066】
(2)本実施形態によれば、第2凹部46の個数は第1の実施形態における第2凹部9の個数より少ない個数となっている。従って、第2基板8をエッチングするパターンの形状を単純にすることができる為、第2基板8の歩留まりを向上させることができる。その結果、生産性良く第2基板8を製造することができる。
【0067】
(第3の実施形態)
次に、赤外線検出部に赤外線検出素子を備える電子機器の1つである赤外線カメラの一実施形態について図6の赤外線カメラの構成を示すブロック図を用いて説明する。図6に示すように、電子機器としての赤外線カメラ55は、光学系56、光検出部57、画像処理部58、処理部59、記憶部60、操作部61、表示部62を含む。
【0068】
光学系56は、例えば1枚または複数枚のレンズや、レンズを駆動する駆動部などを含む。そして光検出部57への物体像の結像を行う。また必要であればフォーカス調整なども行う。
【0069】
光検出部57には、上記実施形態の赤外線検出素子1または赤外線検出素子45が用いられている。光検出部57は、二次元配列された検出器に加えて行選択回路(行ドライバー)、列線を介して検出器からのデータを読み出す読み出し回路及びA/D変換部等を含むことができる。二次元配列された各検出器からのデータを順次読み出すことで、被写体の画像データを形成することができる。
【0070】
画像処理部58は、光検出部57からのデジタルの画像データ(画素データ)に基づいて、画像補正処理などの各種の画像処理を行う。
【0071】
処理部59は、赤外線カメラ55の全体の制御を行い、赤外線カメラ55内の各ブロックの制御を行う。この処理部59は、例えばCPU等により実現される。記憶部60は、各種の情報を記憶するものであり、例えば処理部59や画像処理部58のワーク領域として機能する。操作部61は、ユーザーが赤外線カメラ55を操作するためのインターフェイスとなるものであり、例えば各種ボタンやGUI(Graphical User Interface)画面などにより実現される。表示部62は、例えば光検出部57により取得された画像やGUI画面などを表示するものであり、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどの各種のディスプレイにより実現される。
【0072】
このように、直交二軸方向に赤外線検出部3を二次元配置された光検出部57を用いて熱(光)分布画像を提供することができる。この光検出部57を用いて、サーモグラフィー、車載用ナイトビジョンあるいは監視カメラなどの電子機器を構成することができる。
【0073】
もちろん、1セル分または複数セルの赤外線検出部3をセンサーとして用いることで物体の物理情報の解析(測定)を行う解析機器(測定機器)、火や発熱を検知するセキュリティー機器、工場などに設けられるFA(Factory Automation)機器などの各種の電子機器を構成することもできる。
【0074】
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、赤外線カメラ55は光検出部57を備え、光検出部57には赤外線検出素子1または赤外線検出素子45が用いられている。光検出部57の赤外線検出素子1または赤外線検出素子45は感度良く赤外線を検出するので、赤外線カメラ55は感度良く赤外線を検出する赤外線検出素子を備えた電子機器とすることができる。
【0075】
(第4の実施形態)
次に、赤外線検出部に赤外線検出素子を備えた赤外線カメラを用いた電子機器の1つである運転支援装置の一実施形態について図7及び図8を用いて説明する。図7は、運転支援装置の構成を示すブロック図であり、図8は、運転支援装置を搭載した自動車を示す概略斜視図である。
【0076】
図7に示すように、電子機器としての運転支援装置65は、運転支援装置65を制御するCPUを備えた処理ユニット66と、車両外部の所定撮像領域に対して赤外線を検出可能な赤外線カメラ55と、車両のヨーレートを検出するヨーレートセンサー68と、車両の走行速度を検出する車速センサー69と、運転者のブレーキ操作の有無を検出するブレーキセンサー70と、スピーカー71と、表示装置72とを備えて構成されている。そして、本実施形態の赤外線カメラ55は上記実施形態における赤外線カメラ55と同じカメラが用いられている。
【0077】
この運転支援装置65の処理ユニット66は、例えば赤外線カメラ55の撮像により得られる自車両周辺の赤外線画像と、各センサー68〜70により検出される自車両の走行状態に係る検出信号とから、自車両の進行方向前方に存在する物体及び歩行者などの対象物を検出し、検出した対象物と自車両との接触が発生する可能性があると判断したときに、スピーカー71または表示装置72により警報を出力する。
【0078】
図8に示すように、赤外線カメラ55は、自動車の前部において車幅方向の中心付近に配置されている。表示装置72は、フロントウィンドーにおいて運転者の前方視界を妨げない位置に各種情報を表示するHUD(Head Up Display)73などを備えて構成されている。
【0079】
(1)本実施形態によれば、運転支援装置65は赤外線カメラ55を備えている。赤外線カメラ55は光検出部57を備え、光検出部57には赤外線検出素子1または赤外線検出素子45が用いられている。従って、運転支援装置65は感度良く赤外線を検出する赤外線検出素子を備えた赤外線カメラ55を備えた電子機器とすることができる。
【0080】
(第5の実施形態)
次に、赤外線検出部に赤外線検出素子を備えた赤外線カメラを用いた電子機器の1つであるセキュリティー機器の一実施形態について図9及び図10を用いて説明する。図9は、セキュリティー機器の構成を示すブロック図であり、図10はセキュリティー機器が設置された家を示す模式図である。
【0081】
図9に示すように、電子機器としてのセキュリティー機器76は、少なくとも監視エリアを撮影する赤外線カメラ55と、監視エリアへの侵入者を検知する人感センサー77を備える。さらに、セキュリティー機器76は、赤外線カメラ55から出力された画像データを処理して監視エリアに侵入した移動体を検知する動き検知処理部78と、人感センサー77の検知処理を行う人感センサー検知処理部79を備える。さらに、セキュリティー機器76は、赤外線カメラ55から出力された画像データを所定の方式で圧縮する画像圧縮部80と、圧縮された画像データや侵入者検知情報の送信や外部装置からセキュリティー機器76への各種設定情報などを受信する通信処理部81を備える。さらに、セキュリティー機器76は、セキュリティー機器76の各処理部に対して条件設定、処理コマンド送信、レスポンス処理をCPUで行う制御部82とを備えて構成されている。そして、本実施形態の赤外線カメラ55は上記実施形態における赤外線カメラ55と同じカメラが用いられている。
【0082】
動き検知処理部78は、図示しないバッファメモリーと、バッファメモリーの出力が入力されるブロックデータ平滑部と、ブロックデータ平滑部の出力が入力される状態変化検出部とを備える。そして、動き検知処理部78の状態変化検出部は、監視エリアが静止状態であれば動画で撮影した異なるフレームでも同一画像データとなるが、状態変化(移動体の侵入)があるとフレーム間の画像データで差が生じることを利用して状態変化を検知している。
【0083】
図10に示すように、セキュリティー機器76は軒下に赤外線カメラ55及び人感センサー77が設置されている。そして、赤外線カメラ55は撮像エリア83を検出し、人感センサー77は検知エリア84を検出する。
【0084】
(1)本実施形態によれば、セキュリティー機器76は赤外線カメラ55を備えている。赤外線カメラ55は光検出部57を備え、光検出部57には赤外線検出素子1または赤外線検出素子45が用いられている。従って、セキュリティー機器76は感度良く赤外線を検出する赤外線検出素子を備えた赤外線カメラ55を備えた電子機器とすることができる。
【0085】
(第6の実施形態)
次に、赤外線検出部に赤外線検出素子を備えた赤外線カメラを用いた電子機器の1つであるゲーム機器の一実施形態について図11及び図12を用いて説明する。図11は、ゲーム機器のコントローラーの構成を示すブロック図であり、図12はコントローラーの使用方法を説明するための模式図である。
【0086】
図11に示すように、ゲーム機器に用いられる電子機器としてのコントローラー87は、撮像情報演算ユニット88と、操作スイッチ89と、加速度センサー90と、コネクター91と、プロセッサー92と、無線モジュール93と、を備えて構成される。
【0087】
撮像情報演算ユニット88は、撮像ユニット94と、この撮像ユニット94で撮像した画像データを処理するための画像処理回路95を有する。撮像ユニット94は、光検出部96を含み、その前方には、赤外線だけを通すフィルターである赤外線フィルター97及びレンズ等の光学系98を配置している。そして、画像処理回路95は、撮像ユニット94から得られた赤外線画像データを処理して、高輝度部分を検知し、それの重心位置や面積を検出してこれらのデータを出力する。本実施形態の光検出部96には赤外線検出素子1または赤外線検出素子45が用いられている。
【0088】
プロセッサー92は、操作スイッチ89からの操作データと、加速度センサー90からの加速度データ及び高輝度部分データを一連のコントロールデータとして出力する。無線モジュール93は所定周波数の搬送波をこのコントロールデータで変調し、アンテナ890から電波信号として出力する。
【0089】
尚、コントローラー87に設けられているコネクター91を通して入力されたデータもプロセッサー92によって上述のデータと同様に処理されてコントロールデータとして無線モジュール93とアンテナ890を介して出力される。
【0090】
図12に示すように、ゲーム機器99は、コントローラー87と、ゲーム機本体100と、ディスプレイ101と、LEDモジュール102及びLEDモジュール103とを備え、プレイヤー104が一方の手でコントローラー87を把持してゲームをプレイすることができる。そして、コントローラー87の撮像ユニット94をディスプレイ101の画面105を向くようにすると、ディスプレイ101の近傍に設置された二つのLEDモジュール102及びLEDモジュール103から出力される赤外線を撮像ユニット94が検知して、コントローラー87は、二つのLEDモジュール102,103の位置や面積情報を高輝度点の情報として取得する。輝点の位置や大きさのデータがコントローラー87から無線でゲーム機本体100に送信され、ゲーム機本体100で受信される。プレイヤー104がコントローラー87を動かすと、輝点の位置や大きさのデータが変化するため、それを利用して、ゲーム機本体100はコントローラー87の動きに対応した操作信号を取得できるので、それにしたがってゲームを進行させることができる。
【0091】
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、ゲーム機器99のコントローラー87は光検出部96を備え、光検出部96には赤外線検出素子1または赤外線検出素子45が用いられている。光検出部96の赤外線検出素子1または赤外線検出素子45は感度良く赤外線を検出するので、ゲーム機器99は感度良く赤外線を検出する赤外線検出素子を備えたコントローラー87を有する電子機器とすることができる。
【0092】
(第7の実施形態)
次に、赤外線検出部に赤外線検出素子を備えた赤外線カメラを用いた電子機器の1つである体温測定装置の一実施形態について図13を用いて説明する。図13は、体温測定装置の構成を示すブロック図である。
【0093】
図13に示すように、電子機器としての体温測定装置108は、赤外線カメラ55と、体温分析装置109と、情報通信装置110と、ケーブル111とを備えて構成されている。本実施形態の赤外線カメラ55は第3の実施形態の赤外線カメラ55と同じカメラが用いられている。
【0094】
赤外線カメラ55は所定の対象領域を撮影し、撮影された対象者112の画像情報を、ケーブル111を経由して体温分析装置109に送信する。体温分析装置109は、赤外線カメラ55からの熱分布画像を読み取る画像読取処理ユニットと、画像読取処理ユニットからのデータと画像分析設定テーブルに基づいて体温分析テーブルを作成する体温分析処理ユニットとを含み、体温分析テーブルに基づいて体温情報送信用データを情報通信装置110へ送信する。この体温情報送信用データは体温異常であることに対応する所定のデータを含んでもよい。また、撮影領域内に複数の対象者112を含んでいると判断した場合には、対象者112の人数と体温異常者の人数の情報を体温情報送信用データに含んでもよい。
【0095】
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、体温測定装置108は赤外線カメラ55を備えている。赤外線カメラ55は光検出部57を備え、光検出部57には赤外線検出素子1または赤外線検出素子45が用いられている。従って、体温測定装置108は感度良く赤外線を検出する赤外線検出素子を備えた赤外線カメラ55を備えた電子機器とすることができる。
【0096】
(第8の実施形態)
次に、光検出部に赤外線検出素子を備える電子機器の1つである特定物質探知装置の一実施形態について図14の特定物質探知装置の構成を示すブロック図を用いて説明する。
【0097】
図14に示すように電子機器としての特定物質探知装置115は、制御ユニット116と、照射光ユニット117と、光学フィルター118と、撮像ユニット119と、表示部120とを備えて構成されている。撮像ユニット119は、図示しないレンズなどの光学系と光検出部を備え、当該光検出部は第1の実施形態の赤外線検出素子1の赤外線検出部3が備える光吸収材の吸収波長をテラヘルツ域とした赤外線検出素子1を含んで構成されている。または、当該光検出部は第2の実施形態の赤外線検出素子45の赤外線検出部3が備える光吸収材の吸収波長をテラヘルツ域とした赤外線検出素子45を含んで構成されている。
【0098】
制御ユニット116は、本装置全体を制御するシステムコントローラーを含み、該システムコントローラーは制御ユニットに含まれる光源駆動部及び画像処理ユニットを制御する。照射光ユニット117は、波長が100μm〜1000μmの範囲にある電磁波であるテラヘルツ光を出射するレーザー装置と光学系を含み、テラヘルツ光を検査対象の人物121に照射する。人物121からの反射テラヘルツ光は、探知対象である特定物質122の分光スペクトルのみを通過させる光学フィルター118を介して撮像ユニット119に受光される。撮像ユニット119で生成された画像信号は、制御ユニット116の画像処理ユニットで所定の画像処理が施され、その画像信号が表示部120へ出力される。そして人物121の衣服内等に特定物質122が存在するか否かにより受光信号の強度が異なるので特定物質122の存在が判別できる。
【0099】
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、特定物質探知装置115は撮像ユニット119に光検出部を備え、光検出部には赤外線検出素子1または赤外線検出素子45が用いられている。光検出部57の赤外線検出素子1または赤外線検出素子45は感度良く赤外線を検出するので、特定物質探知装置115は撮像ユニット119に感度良く赤外線を検出する赤外線検出素子を備えた電子機器とすることができる。
【0100】
以上、いくつかの実施形態について説明したが、本発明の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるものである。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書または図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書または図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。
【0101】
本発明は、種々の焦電型検出器に広く適用することができる。検出する光の波長は問わない。また、焦電型検出器または焦電型検出装置、あるいはそれらを有する電子機器は、例えば、供給する熱量と流体が奪う熱量とが均衡する条件下にて流体の流量を検出するフローセンサーなどにも適用できる。このフローセンサーに設けられる熱電対などに代えて本発明の焦電型検出器または焦電型検出装置を設けることができ、光以外を検出対象とすることができる。
【0102】
尚、本実施形態は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変更や改良を加えることも可能である。変形例を以下に述べる。
(変形例1)
前記第1の実施形態では、第2基板8に形成された第2凹部9の深さは第2基板8の厚みより浅く形成されていた。図15は赤外線検出素子の構成を示す要部模式側断面図である。図15の赤外線検出素子49に示すように第2基板8の第1凹部4と向かい合う場所に形成する第2凹部50は第2基板8を貫通しても良い。そして、接着剤41及び接着剤42が第2凹部50に流入する体積より第2凹部50に囲まれた第2空洞部51の体積を大きな体積としても良い。この場合にも第1空洞部5に接着剤41及び接着剤42が流入しないので、第1凹部4に接着剤41及び接着剤42が付着し難くすることができる。
【0103】
(変形例2)
前記第1の実施形態では、第1凹部4は第1基板2を貫通していなかったが、第1凹部4は第1基板2を貫通してもよい。そして、赤外線検出部3を梁にて支持してもよい。このとき、赤外線検出部3から第1基板2に伝動して放熱し難くなるので、赤外線検出部3の感度を上げることができる。
【0104】
(変形例3)
前記第1の実施形態では、側壁9aは第2裏面8bに対して斜面となっていた。側壁9aが接着剤41に対して表面張力が高いときには側壁9aは第2裏面8bに対して直交しても良い。接着剤41に重力を作用させて底部9cに移動しやすくすることができる。
【0105】
(変形例4)
前記第1の実施形態では、赤外線検出素子1は縦横各4個の赤外線検出部3が配置された。赤外線検出部3の個数は特に限定されず1〜15個でも良く、17個以上でも良い。この場合でも第2凹部9が形成された第2基板8を設置することにより第1凹部4に接着剤41が付着することを防止することができる。
【0106】
(変形例5)
前記第1の実施形態では、隣り合う総ての第2凹部9の間に凹部間溝部12が設置された。凹部間溝部12は隣り合う総ての第2凹部9の間に設置されなくとも良い。1つの第2凹部9から凹部間溝部12または外部連通溝部13が1つ設置されても良い。第2基板8をエッチングする量を減らすことができるので、生産性良く第2基板8を製造することができる。
【0107】
(変形例6)
前記第1の実施形態では、赤外線検出素子1は集積回路35を備えていた。赤外線検出部3の個数が少ないときには、集積回路35を備えなくとも良い。赤外線検出部3に接続する第1配線24及び第2配線25から直接実装基板15の配線39にボンディングワイヤー40にて接続させても良い。集積回路35が無いので、生産性良く赤外線検出素子を製造することができる。
【符号の説明】
【0108】
1…赤外線検出素子、2…第1基板、2a…第1面としての第1表面、2b…第2面としての第1裏面、3…赤外線検出部、4…第1凹部、4b…第1外周部、7…接着膜、8…第2基板、8a…第3面としての第2表面、8b…第4面としての第2裏面、8c…側面、9,46,50…第2凹部、9a…側壁、9b…第2外周部、9c…底部、11,48…空洞部、12…溝部としての凹部間溝部、13…溝部としての外部連通溝部、42…接着剤、55…電子機器としての赤外線カメラ、57,96…光検出部、65…電子機器としての運転支援装置、76…電子機器としてのセキュリティー機器、87…電子機器としてのコントローラー、108…電子機器としての体温測定装置、115…電子機器としての特定物質探知装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面及び前記第1面の反対側の第2面を有し、前記第2面に第1凹部を有し前記第1凹部と対向する場所の前記第1面に赤外線を検出する赤外線検出部を有する第1基板と、
第3面及び前記第3面の反対側の第4面を有し、前記第1凹部と向かい合う場所の前記第4面に第2凹部を有する第2基板と、
前記第2面と前記第4面とを接着する接着膜と、を有し、
前記第2凹部が前記第4面と交差する第2外周部は前記第1凹部が前記第2面と交差する第1外周部を囲むことを特徴とする赤外線検出素子。
【請求項2】
請求項1に記載の赤外線検出素子であって、
前記第2凹部の側壁は前記第4面に対して斜面となっていることを特徴とする赤外線検出素子。
【請求項3】
請求項1または2に記載の赤外線検出素子であって、
前記第1基板には複数の前記第1凹部及び前記赤外線検出部が設置され、
1つの前記第2凹部と向かい合う場所に複数の前記第1凹部が位置することを特徴とする赤外線検出素子。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の赤外線検出素子であって、
前記第2基板は側面を有し前記第2凹部と前記側面との間に溝部を有することを特徴とする赤外線検出素子。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の赤外線検出素子であって、
前記第2基板は複数の前記第2凹部を有し、複数の前記第2凹部の間に溝部を有することを特徴とする赤外線検出素子。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の赤外線検出素子であって、
前記第2凹部の底部は前記第1凹部と前記第2凹部とに囲まれた空洞部を前記第3面から遮蔽することを特徴とする赤外線検出素子。
【請求項7】
赤外線を検出する光検出部を備える電子機器であって、
前記光検出部に請求項1〜6のいずれか一項に記載の赤外線検出素子を備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−36766(P2013−36766A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−170778(P2011−170778)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】