説明

走査型プローブ顕微鏡用走査機構および走査型プローブ顕微鏡

【課題】高品質なAFM像を取得できる走査型プローブ顕微鏡用走査機構を提供する。
【解決手段】走査機構は、可動部124とXY弾性部材とZ弾性部材127Aと127Bと固定部125とからなるXYステージと、可動部124をX方向に移動させるXアクチュエーター122Aと、可動部124をY方向に移動させるYアクチュエーターと、Z方向に変位しうるZアクチュエーター123と、Zアクチュエーター123の中央部を保持している保持部材130と、Zアクチュエーター123の下側の自由端に固定された試料台131と、Zアクチュエーター123の上側の自由端に固定されたセンサーターゲット132と、センサーターゲット132の変位を検出する変位センサー114とを有している。保持部材130は可動部124に固定されている。センサーターゲット132は試料台131とほぼ同等の重さを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走査型プローブ顕微鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
走査型プローブ顕微鏡(SPM)は、機械的探針を機械的に走査して試料表面の情報を得る走査型顕微鏡であり、走査型トンネリング顕微鏡(STM)、原子間力顕微鏡(AFM)、走査型磁気力顕微鏡(MFM)、走査型電気容量顕微鏡(SCaM)、走査型近接場光顕微鏡(SNOM)、走査型熱顕微鏡(SThM)などを包含している。最近では、試料表面にダイヤモンド製の探針を押しつけて圧痕をつけ、その圧痕のつき具合を解析して試料の固さなどを調べるナノインデンテータなどもこのSPMの一つと位置づけられており、前述の各種の顕微鏡と共に広く普及している。
【0003】
最近では、例えば特開2001−330425号公報で提案されているような、液体中の生きた生物試料の動く様子を観察可能な生体動画観察用AFMが注目を集めている。この生体動画観察用AFMは、1枚の画像を取得するのに要する時間は遅くとも1秒以下であり、従来の生体用AFMが1枚の画像を取得するのに数分〜数十分要したことを考えると、比較にならないほど高速であることが分かる。
【0004】
一方で、走査機構に使用されるアクチュエーターは一般的に圧電体である。圧電体は高速で高分解能で高発生力という特徴をもつが、印加電圧と出力変位の関係が線形ではなく、ヒステリシスを持つという問題がある。この問題解決のために例えば特開平7−72928号公報が提案されている。
【特許文献1】特開2001−330425号公報
【特許文献2】特開平7−72928号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
高速に動作可能な走査機構を得るためにはアクチュエーターや構成部品の小型軽量化が必須である。小型で大きな変位を得れる積層型圧電素子をアクチュエーターとして用いる場合はヒステリシスが大きい傾向があることや、アクチュエーターが高速に動作するほどその慣性力は大きくなり、ベース部材に不要な振動を生じるなど、観察像を劣化させる問題がある。積層型圧電素子あるいは圧電素子の他にボイスコイル式アクチュエーターを用いることもできる。この場合、ボイスコイルが小型になるほど印加する駆動電流の位相に対して変位の位相遅れが大きく生じる傾向がある。結果、圧電素子を用いてヒステリシスが大きい場合と同様の問題を生じる。
【0006】
本発明の目的は、より正確で高品質なAFM像を取得できる走査型プローブ顕微鏡用走査機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の走査型プローブ顕微鏡用走査機構は、固定部と、可動部と、前記可動部が前記固定台に対してXY方向に移動しうるように前記可動部と前記固定台を連結している弾性部材と、前記可動部をX方向に移動させるXアクチュエーターと、前記可動部をY方向に移動させるYアクチュエーターと、Z方向に変位しうるZアクチュエーターと、前記Zアクチュエーターの中央部を保持している保持部材であり、前記可動部に固定された保持部材と、前記Zアクチュエーターの一方の自由端に固定された試料台と、前記Zアクチュエーターの他方の自由端に固定されたセンサーターゲットであり、前記試料台とほぼ同等の重さを有するセンサーターゲットと、前記センサーターゲットの変位を検出する変位センサーとを備えている。
【0008】
本発明の別の走査型プローブ顕微鏡用走査機構は、固定部と、可動部と、前記可動部が前記固定台に対してXY方向に移動しうるように前記可動部と前記固定台を連結している弾性部材と、前記可動部をX方向に移動させるXアクチュエーターと、前記可動部をY方向に移動させるYアクチュエーターと、Z方向に変位しうるZアクチュエーターと、前記Zアクチュエーターの中央部を保持している保持部材であり、前記可動部に固定された保持部材と、前記Zアクチュエーターの一方の自由端に固定されたカンチレバー取り付け部と、前記Zアクチュエーターの他方の自由端に固定されたセンサーターゲットであり、カンチレバー取り付け部およびこれに取り付けられたカンチレバーとほぼ同等の重さを有するセンサーターゲットと、前記センサーターゲットの変位を検出する変位センサーとを備えている。
【0009】
本発明のまた別の走査型プローブ顕微鏡用走査機構は、固定部と、可動部と、前記可動部が前記固定台に対してXY方向に移動しうるように前記可動部と前記固定台を連結している弾性部材と、前記可動部をX方向に移動させるXアクチュエーターと、前記可動部をY方向に移動させるYアクチュエーターと、Z方向に変位しうる二本のZアクチュエーターと、前記Zアクチュエーターのそれぞれの一端を保持している保持部材であり、前記可動部に固定された保持部材と、一方の前記Zアクチュエーターの自由端に固定された試料台と、他方の前記Zアクチュエーターの自由端に固定されたセンサーターゲットであり、前記試料台とほぼ同等の重さを有するセンサーターゲットと、前記センサーターゲットの変位を検出する変位センサーと、前記試料台と前記センサーターゲットとが互いに逆向きで同一変位量になるように前記Zアクチュエーターを駆動する駆動部とを備えている。
【0010】
本発明のさらに別の走査型プローブ顕微鏡用走査機構は、固定部と、可動部と、前記可動部が前記固定台に対してXY方向に移動しうるように前記可動部と前記固定台を連結している弾性部材と、前記可動部をX方向に移動させるXアクチュエーターと、前記可動部をY方向に移動させるYアクチュエーターと、Z方向に変位しうる二本のZアクチュエーターと、前記Zアクチュエーターのそれぞれの一端を保持している保持部材であり、前記可動部に固定された保持部材と、一方の前記Zアクチュエーターの自由端に固定されたカンチレバー取り付け部と、他方の前記Zアクチュエーターの自由端に固定されたセンサーターゲットであり、カンチレバー取り付け部およびこれに取り付けられたカンチレバーとほぼ同等の重さを有するセンサーターゲットと、前記センサーターゲットの変位を検出する変位センサーと、前記カンチレバー取り付け部と前記センサーターゲットとが互いに逆向きで同一変位量になるように前記Zアクチュエーターを駆動する駆動部とを備えている。
【0011】
本発明の走査型プローブ顕微鏡は、上記のいずれかの走査型プローブ顕微鏡用走査機構を備えている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、より正確で高品質なAFM像を取得できる走査型プローブ顕微鏡用走査機構が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0014】
<第一実施形態>
本実施形態は試料走査型の走査型プローブ顕微鏡である。図1は、本発明の第一実施形態の走査型プローブ顕微鏡を示している。図2は、図1に示されたステージを下方から見た平面図である。図3は、図2に示されたステージのIII−III線に沿った断面を示している。
【0015】
本実施形態の走査型プローブ顕微鏡100は、図1に示されるように、自由端に探針を持つカンチレバー101と、カンチレバー101を励振する振動子102と、対物レンズ103を通してカンチレバー101の変位を光学的に検出するカンチレバー変位センサー104と、観察試料を保持する試料台131を互いに直交するX軸とY軸とZ軸に沿って移動しうる走査機構110と、観察試料の画像を生成する画像生成用コントローラ140と、生成された画像を表示する表示装置150とを有している。
【0016】
走査機構110は、観察試料を移動可能に保持するステージ120を含んでいる。図2と図3に示されるように、ステージ120は、可動部124とXY弾性部材126Aと126Bと126Cと126DとZ弾性部材127Aと127Bと127Cと127Dと固定部125とからなるXYステージと、XYステージが固定される固定台121と、可動部124をX方向に移動させるXアクチュエーター122Aと、可動部124をY方向に移動させるYアクチュエーター122Bとを有している。
【0017】
XYステージの固定部125が固定台121の中に接着またはねじ締結によって固定されている。可動部124は、Z弾性部材127A〜127Dにより固定部125と接続されている。Z弾性部材127A〜127Dの配置位置は可動部124の中心からほぼ等距離であり、可動部124の重心は可動部124のほぼ中心に位置している。可動部124は、XY弾性部材126A〜126Dにより固定部125と接続されている。XY弾性部材126A〜126DはXY各駆動軸に対して対称に配置されている。XY弾性部材126Aと126CはX軸上に配置され、XY弾性部材126Bと126DはY軸上に配置されている。また、XY弾性部材126AにはX方向駆動用のXアクチュエーター122Aを当接させる押圧部128Aが設けられており、XY弾性部材126BにはY方向駆動用のYアクチュエーター122Bを当接させる押圧部128Bが設けられている。
【0018】
XY弾性部材126A〜126DはX方向とY方向に変形しやすい。Z弾性部材127A〜127DはX方向とY方向には変形しやすいがZ方向には変形しにくい。従って、XY弾性部材126A〜126DとZ弾性部材127A〜127Dは、可動部124が固定部125に対してX方向とY方向に移動しうるように、可動部124と固定部125を連結している。
【0019】
可動部124とXY弾性部材126A〜126DとZ弾性部材127A〜127Dと固定部125とからなるXYステージは一体の部品から切り出されたものであり、例えばアルミニウムなどの材料でできている。XYステージを固定している固定台121はXYステージと同じ質材であってもよいが、好ましくは、ステンレス鋼などのようにアルミニウムよりもヤング率の高い材料で作られているとよい。
【0020】
X方向駆動用のXアクチュエーター122Aの一端は押圧部128Aに当接しており、他端は固定台121に固定されている。Xアクチュエーター122AはX軸に沿って所定の予圧がかかるように配置されており、Xアクチュエーター122Aの中心線は可動部124のほぼ重心を通っている。Xアクチュエーター122Aは例えば積層型圧電体であってよい。また、Y方向駆動用のYアクチュエーター122Bの一端は押圧部128Bに当接しており、他端は固定台121に固定されている。Yアクチュエーター122BはY軸に沿って所定の予圧がかかるように配置されており、Yアクチュエーター122Bの中心線は可動部124のほぼ重心を通っている。Yアクチュエーター122Bは例えば積層型圧電体であってよい。
【0021】
ステージ120は、Z方向に変位しうるZアクチュエーター123と、Zアクチュエーター123の中央部を保持している保持部材130と、Zアクチュエーター123の一方の自由端に固定された試料台131と、Zアクチュエーター123の他方の自由端に固定されたセンサーターゲット132とをさらに有している。Zアクチュエーター123は例えば積層型圧電体やボイスコイル式アクチュエーターであってよい。保持部材130は可動部124に固定されている。可動部124は中央に開口が設けられており、Zアクチュエーター123は可動部124の開口を通って延びている。保持部材130は、Zアクチュエーター123の中心線が可動部124のほぼ重心を通るように位置決めされている。試料台131はZアクチュエーター123の下側の自由端に固定され、センサーターゲット132はZアクチュエーター123の上側の自由端に固定されている。センサーターゲット132は試料台131とほぼ同等の重さを有している。
【0022】
走査機構110は、センサーターゲット132の変位を検出する変位センサー114を有している。変位センサー114は、可動部124の開口を通してセンサーターゲット132に向き合うように固定部125に固定されている。変位センサー114は、例えば静電容量センサーであってよいが、これに何ら限定されるものではない。変位センサー114は、例えば、より高速な変位検出手段である光学式変位センサーであっても、またZアクチュエーター123にはり付けられたより小型な変位検出手段であるひずみゲージであってもよい。すなわち、変位センサー114は、センサーターゲット132の変位すなわちZアクチュエーター123の上側の自由端の変位を検出できさえすれば、どのような変位検出手段であってもよい。
【0023】
走査機構110はまた、図1に示されるように、Xアクチュエーター122Aを駆動するX走査駆動部111と、Yアクチュエーター122Bを駆動するY走査駆動部112と、Zアクチュエーター123を駆動するZ走査駆動部113と、変位センサー114の出力を増幅するセンサーアンプ115とを有している。
【0024】
画像生成用コントローラ140は、X走査信号とY走査信号を生成する波形発生器141と、カンチレバー101を励振するための励振信号を生成する励振回路142と、カンチレバー101の振動振幅を検出する振幅検出回路143と、Zアクチュエーター123を伸縮させるための制御信号を生成するZ制御回路144と、観察試料のX位置情報とY位置情報と高さ情報を取得する画像情報取得回路145と、観察試料の高さ情報の取得タイミングを決める取り込み指令発生器146とを含んでいる。
【0025】
カンチレバー101はステージ120の試料台131に対向して配置されている。カンチレバー101の基端部には振動子102が設けられている。振動子102は励振回路142と接続されている。ステージ120はX走査駆動部111とY走査駆動部112とZ走査駆動部113に接続されている。X走査駆動部111とY走査駆動部112は波形発生器141に接続されている。カンチレバー変位センサー104は振幅検出回路143に接続され、振幅検出回路143はZ制御回路144に接続されている。Z制御回路144はZ走査駆動部113と接続されている。画像情報取得回路145は取り込み指令発生器146と波形発生器141とセンサーアンプ115と接続されている。
【0026】
次に、走査型プローブ顕微鏡の動作について説明する。
【0027】
波形発生器141はX走査信号とY走査信号を生成する。これらの走査信号はX走査駆動部111とY走査駆動部112を通してステージ120に与えられる。これにより、試料台131がカンチレバー101に対してXY走査される。走査信号は画像情報取得回路145にも送られ、画像情報取得回路145はXY座標情報を得る。実際の変位は、波形発生器141の走査信号の入力に対して遅れがあるため、画像情報取得回路145は実際の遅れ時間だけ補正した信号をXY座標情報として取得する。
【0028】
励振回路142は、カンチレバー101の共振周波数近傍の周波数の励振信号を振動子102に出力する。振動子102は励振信号を機械的振動に変換する。この振動によりカンチレバー101はたわみ振動を起こす。カンチレバー変位センサー104はカンチレバー101のたわみを光学的に検出し、振幅検出回路143はカンチレバー変位センサー104で検出されるたわみ情報を振幅情報に変換する。
【0029】
カンチレバー101のたわみは、試料台131に保持された観察試料とカンチレバー101の探針との間の距離により変化する。例えば、試料台131がカンチレバー101に近づくとカンチレバー101の振幅は小さくなり、反対に遠ざかるとカンチレバー101の振幅は大きくなる。XY走査中、カンチレバー101の探針と観察試料の表面との距離は観察試料の表面の起伏に応じて変化する。このためカンチレバー101の振幅も変化する。
【0030】
観察試料の表面とカンチレバー101の探針との間の距離はZアクチュエーター123を伸縮させることによって調整し得る。Z制御回路144は、振幅検出回路143で検出される振幅を一定に維持するようにZアクチュエーター123を伸縮させるZ走査信号を生成する。Z走査信号はZ走査駆動部113を通してZアクチュエーター123に与えられる。その結果、Zアクチュエーター123は観察試料の表面の起伏に追従して伸縮し、試料台131がカンチレバー101に対してZ走査される。
【0031】
通常、Zアクチュエーター123に印加した電圧を観察試料の高さ情報として用いることが多い。しかし、圧電体は図4に示すようなヒステリシスを有するため、印加電圧を観察試料の高さ情報とすると、実際の変位との間に誤差が生じてしまう。
【0032】
本実施形態では、画像情報取得回路145が、変位センサー114で検出されるセンサーターゲット132の変位を観察試料の高さ情報として取り込む。Zアクチュエーター123はその中央部が保持部材130によって保持されているため、試料台131の変位とセンサーターゲット132の変位は同一である。このため、観察試料の高さ情報が正確に取得される。
【0033】
観察試料の高さ情報の取得タイミングは取り込み指令発生器146により制御される。取り込み指令発生器146の指令に従って、画像情報取得回路145は、観察試料の高さ情報をセンサーアンプ115から取得するとともに波形発生器141から出力されたX走査信号とY走査信号とに基づいてXY座標を取得する。画像情報取得回路145は、取得したXY座標と高さ情報とから観察試料の画像を構築し、表示装置150は、構築した画像を表示する。
【0034】
以上に説明した手法に従って観察試料の画像を構築することにより、高さ情報にひずみのない良好な観察像が得られる。
【0035】
また、Z走査が高速になると、その慣性力が保持部材130やステージ120を共振させ、不要な振動が生じやすくなるが、試料台131とセンサーターゲット132はほぼ同一の重さで、それらの変位は振幅が同じで向きが反対であるため、慣性力が打ち消しあい、不要な振動が生じない。このため、不要な振動による高さ情報の劣化はなく、良好な観察像が得られる。
【0036】
さらに、変位センサー114は固定部125に固定されているため、XY走査時にX方向やY方向に移動することはない。このため、可動部負荷にならず、不要な振動も生じない。
【0037】
<第二実施形態>
本実施形態はカンチレバー走査型の走査型プローブ顕微鏡である。本実施形態の走査型プローブ顕微鏡は、カンチレバーがステージに保持される点において、第一実施形態の走査型プローブ顕微鏡と相違している。
【0038】
図5は、本発明の第二実施形態の走査型プローブ顕微鏡を示している。図5において、図1中の部材と同じ参照符号を付した部材は同様の部材であり、その詳しい説明は省略する。図6は、図5に示されたステージの断面を示している。図6の断面は図3に相当する断面である。図6において、図3中の部材と同じ参照符号を付した部材は同様の部材であり、その詳しい説明は省略する。
【0039】
本実施形態の走査型プローブ顕微鏡200は、図5に示されるように、自由端に探針を持つカンチレバー201と、カンチレバー201の変位を光学的に検出する光ファイバーセンサーなどのカンチレバー変位センサー203と、試料を載せる試料台205と、カンチレバー201を互いに直交するX軸とY軸とZ軸に沿って移動しうる走査機構210と、観察試料の画像を生成する画像生成用コントローラ140と、生成された画像を表示する表示装置150とを有している。表示装置150の構成は第一実施形態と同様である。
【0040】
走査機構210は、カンチレバー201を移動可能に保持するステージ220を含んでいる。ステージ220は、Z方向に変位しうるZアクチュエーター123と、Zアクチュエーター123の中央部を保持している保持部材130と、Zアクチュエーター123の一方の自由端に固定されたカンチレバー取り付け部231と、Zアクチュエーター123の他方の自由端に固定されたセンサーターゲット232を有している。カンチレバー取り付け部231はZアクチュエーター123の下側の自由端に固定され、センサーターゲット232はZアクチュエーター123の上側の自由端に固定されている。カンチレバー201はカンチレバー取り付け部231に取り付けられ、試料台205に対向して配置されている。センサーターゲット232はカンチレバー取り付け部231およびカンチレバー201とほぼ同等の重さを有している。ステージ220のそのほかの構成は、第一実施形態で説明したステージ120と同様である。
【0041】
走査機構210の変位センサー114は、センサーターゲット232に向き合っており、センサーターゲット232の変位を検出する。走査機構210のそのほかの構成は、第一実施形態で説明した走査機構110と同様である。
【0042】
画像生成用コントローラ140は、励振回路142から出力される励振信号がZアクチュエーター123に印加されるように構成されている。
【0043】
次に、走査型プローブ顕微鏡の動作について説明する。
【0044】
波形発生器141はX走査信号とY走査信号を生成する。これらの走査信号はX走査駆動部111とY走査駆動部112を通してステージ220に与えられる。これにより、カンチレバー201が試料台205に対してXY走査される。
【0045】
励振回路142は、カンチレバー201の共振周波数近傍の周波数の励振信号を出力する。励振信号はZアクチュエーター123に印加される。これにより、カンチレバー201はたわみ振動を起こす。カンチレバー変位センサー203はカンチレバー201のたわみを光学的に検出し、振幅検出回路143はカンチレバー変位センサー203で検出されるたわみ情報を振幅情報に変換する。
【0046】
カンチレバー変位センサー203は保持部材130に固定されておりXY走査時にカンチレバー201と一緒に移動するため、カンチレバー変位センサー203が変位を検出するカンチレバー上の位置はXY走査によって変化しない。
【0047】
カンチレバー201のたわみは、試料台205に載置された観察試料とカンチレバー201の探針との間の距離により変化する。XY走査中、カンチレバー201の探針と観察試料の表面との距離は観察試料の表面の起伏に応じて変化する。このためカンチレバー201の振幅も変化する。
【0048】
Z制御回路144は、振幅検出回路143で検出される振幅を一定に維持するようにZアクチュエーター123を伸縮させるZ走査信号を生成する。Z走査信号はZ走査駆動部113を通してZアクチュエーター123に与えられる。その結果、Zアクチュエーター123は観察試料の表面の起伏に追従して伸縮し、カンチレバー201が試料台205に対してZ走査される。
【0049】
Z走査によるZアクチュエーター123の変位はカンチレバー201の振動に重畳する。カンチレバー201の励振信号による振動は、Z走査周波数よりも数倍から10倍以上高い。例えば、Z走査周波数が100kHz以下のとき、励振による振動は500〜1500hHzである。このように周波数に差があるので、Z制御回路114はローパスフィルターによりZ走査周波数の振幅信号を抽出できる。また、変位センサー114とセンサーアンプ115を合わせてローパスフィルター機能を持つことによりZ走査周波数の振幅信号を抽出できる。あるいは、センサーアンプ115と画像情報取得回路145を合わせてフーリエ変換を利用してZ走査周波数の振幅信号を抽出できる。これにより、変位センサー114は、励振信号の影響を受けることなく、カンチレバー201のZ走査の変位を検出することができる。
【0050】
画像情報取得回路145は、変位センサー114で検出されるセンサーターゲット232の変位を観察試料の高さ情報として取り込む。Zアクチュエーター123はその中央部が保持部材130によって保持されているため、カンチレバー201の変位とセンサーターゲット232の変位は同一である。このため、観察試料の高さ情報が正確に取得される。
【0051】
画像情報取得回路145は、所定のタイミングで、観察試料の高さ情報をセンサーアンプ115から取得するとともに波形発生器141から出力されたX走査信号とY走査信号とに基づいてXY座標を取得する。画像情報取得回路145は、取得したXY座標と高さ情報とから観察試料の画像を構築し、表示装置150は、構築した画像を表示する。
【0052】
以上に説明した手法に従って観察試料の画像を構築することにより、高さ情報にひずみのない良好な観察像が得られる。
【0053】
また、Z走査が高速になると、その慣性力が保持部材130やステージ220を共振させ、不要な振動が生じやすくなる。カンチレバー取り付け部231とカンチレバー201の合計の重さはセンサーターゲット232の重さとほぼ同一である。またカンチレバー取り付け部231とセンサーターゲット232の変位は振幅が同じで向きが反対である。このため、慣性力が打ち消しあい、不要な振動が生じない。このため、不要な振動による高さ情報の劣化はなく、良好な観察像が得られる。
【0054】
本実施形態では、励振信号をZアクチュエーター123に印加してカンチレバー201を励振しているが、カンチレバー近傍から励振周波数の超音波やレーザー光をカンチレバー201に照射してカンチレバー201を励振することも可能である。また、カンチレバー変位センサー203に代えて、たわみ検出用のピエゾ抵抗体やひずみゲージをカンチレバー201に設けてもよい。そのようなセンサーは、XYZ走査時にカンチレバー201と一緒に移動するため、XYZ走査の影響を受けずにカンチレバー201の振幅を検出できる。
【0055】
<第三実施形態>
本実施形態は試料走査型の走査型プローブ顕微鏡である。図7は、本発明の第三実施形態の走査型プローブ顕微鏡を示している。図7において、図1中の部材と同じ参照符号を付した部材は同様の部材であり、その詳しい説明は省略する。図8は、図7に示されたステージの断面を示している。図8の断面は図3に相当する断面である。図8において、図3中の部材と同じ参照符号を付した部材は同様の部材であり、その詳しい説明は省略する。
【0056】
本実施形態の走査型プローブ顕微鏡300は、図7に示されるように、自由端に探針を持つカンチレバー101と、対物レンズ103を通してカンチレバー101の変位を光学的に検出するカンチレバー変位センサー104と、試料台331を互いに直交するX軸とY軸とZ軸に沿って移動しうる走査機構310と、観察試料の画像を生成する画像生成用コントローラ140と、生成された画像を表示する表示装置150とを有している。画像生成用コントローラ140と表示装置150の構成は第一実施形態と同様である。
【0057】
走査機構310は、試料台331を移動可能に保持するステージ320を含んでいる。ステージ320は、Z方向に変位しうる二つのZアクチュエーター323Aと323Bと、Zアクチュエーター323Aと323Bを保持している保持部材330と、Zアクチュエーター323Aの自由端に固定された試料台331と、Zアクチュエーター323Bの自由端に固定されたセンサーターゲット332を有している。Zアクチュエーター323Aと323Bはほぼ同一の性能を有し、例えば積層型圧電体であってよい。Zアクチュエーター323Aは保持部材330の下面に固定され、Zアクチュエーター323Bは保持部材330の上面に固定されている。Zアクチュエーター323Aと323Bは一直線上に配置されている。保持部材330は可動部124に固定され、Zアクチュエーター323Bは可動部124の開口を通って延びている。センサーターゲット332は試料台331とほぼ同等の重さを有している。ステージ320のそのほかの構成は、第一実施形態で説明したステージ120と同様である。
【0058】
走査機構310の変位センサー114は、センサーターゲット332に向き合っており、センサーターゲット332の変位を検出する。また走査機構310は、第一実施形態のZ走査駆動部113に代えて、Zアクチュエーター323Aと323Bを駆動するZ走査駆動部313を有している。走査機構310のそのほかの構成は、第一実施形態で説明した走査機構110と同様である。
【0059】
次に、走査型プローブ顕微鏡の動作について説明する。
【0060】
波形発生器141はX走査信号とY走査信号を生成する。これらの走査信号はX走査駆動部111とY走査駆動部112を通してステージ320に与えられる。これにより、試料台331がカンチレバー101に対してXY走査される。
【0061】
励振回路142は、カンチレバー101の共振周波数近傍の周波数の励振信号を出力する。励振信号は振動子102に印加される。これにより、カンチレバー101はたわみ振動を起こす。カンチレバー変位センサー104はカンチレバー101のたわみを光学的に検出し、振幅検出回路143はカンチレバー変位センサー104で検出されるたわみ情報を振幅情報に変換する。
【0062】
カンチレバー101のたわみは、試料台331に保持された観察試料とカンチレバー101の探針との間の距離により変化する。XY走査中、カンチレバー101の探針と観察試料の表面との距離は観察試料の表面の起伏に応じて変化する。このためカンチレバー101の振幅も変化する。
【0063】
Z制御回路144は、振幅検出回路143で検出される振幅を一定に維持するようにZアクチュエーター323Aを伸縮させるZ走査信号を生成してZ走査駆動部313に出力する。Z走査駆動部313はZ走査信号をZアクチュエーター323Aと323Bに与える。その結果、Zアクチュエーター323Aは観察試料の表面の起伏に追従して伸縮し、試料台331がカンチレバー101に対してZ走査される。またZアクチュエーター323Bは、Zアクチュエーター323Aの伸縮に同期して伸縮する。つまり、Z走査駆動部313は、試料台331とセンサーターゲット332とが互いに逆向きで同一変位量になるようにZアクチュエーター323Aと323Bを駆動する。
【0064】
Zアクチュエーター323Aと323Bに個体差があり変位がわずかに異なる場合には、それぞれの変位差に応じた補正係数を乗じた信号をZアクチュエーター323Aと323Bのどちらかに印加することで正確な変位情報を得ることができる。
【0065】
画像情報取得回路145は、変位センサー114で検出されるセンサーターゲット332の変位を観察試料の高さ情報として取り込む。Zアクチュエーター323Aと323Bは試料台331とセンサーターゲット332とが互いに逆向きで同一変位量になるように駆動されるため、試料台331の変位とセンサーターゲット332の変位は同一である。このため、観察試料の高さ情報が正確に取得される。
【0066】
画像情報取得回路145は、所定のタイミングで、観察試料の高さ情報をセンサーアンプ115から取得するとともに波形発生器141から出力されたX走査信号とY走査信号とに基づいてXY座標を取得する。画像情報取得回路145は、取得したXY座標と高さ情報とから観察試料の画像を構築し、表示装置150は、構築した画像を表示する。
【0067】
以上に説明した手法に従って観察試料の画像を構築することにより、高さ情報にひずみのない良好な観察像が得られる。
【0068】
また、Z走査が高速になると、その慣性力が保持部材330やステージ320を共振させ、不要な振動が生じやすくなる。試料台331とセンサーターゲット332は重さがほぼ同一であり、また試料台331とセンサーターゲット332の変位は振幅が同じで向きが反対である。このため、慣性力が打ち消しあい、不要な振動が生じない。このため、不要な振動による高さ情報の劣化はなく、良好な観察像が得られる。
【0069】
<第四実施形態>
本実施形態はカンチレバー走査型の走査型プローブ顕微鏡である。本実施形態の走査型プローブ顕微鏡は、カンチレバーがステージに保持される点において、第三実施形態の走査型プローブ顕微鏡と相違している。
【0070】
図9は、本発明の第四実施形態の走査型プローブ顕微鏡を示している。図9において、図1と図5と図7中の部材と同じ参照符号を付した部材は同様の部材であり、その詳しい説明は省略する。図10は、図9に示されたステージの断面を示している。図10の断面は図3に相当する断面である。図10において、図3中の部材と同じ参照符号を付した部材は同様の部材であり、その詳しい説明は省略する。
【0071】
本実施形態の走査型プローブ顕微鏡400は、図9に示されるように、自由端に探針を持つカンチレバー201と、カンチレバー201の変位を光学的に検出する光ファイバーセンサーなどのカンチレバー変位センサー203と、試料を載せる試料台205と、カンチレバー201を互いに直交するX軸とY軸とZ軸に沿って移動しうる走査機構410と、観察試料の画像を生成する画像生成用コントローラ140と、生成された画像を表示する表示装置150とを有している。表示装置150の構成は第一実施形態と同様である。
【0072】
走査機構410は、カンチレバー201を移動可能に保持するステージ420を含んでいる。ステージ420は、Z方向に変位しうる二つのZアクチュエーター323Aと323Bと、Zアクチュエーター323Aと323Bを保持している保持部材330と、Zアクチュエーター323Aの自由端に固定されたカンチレバー取り付け部431と、Zアクチュエーター323Bの自由端に固定されたセンサーターゲット432を有している。カンチレバー201はカンチレバー取り付け部431に取り付けられ、試料台205に対向して配置されている。センサーターゲット432はカンチレバー取り付け部431およびカンチレバー201とほぼ同等の重さを有している。ステージ420のそのほかの構成は、第三実施形態で説明したステージ320と同様である。
【0073】
走査機構410の変位センサー114は、センサーターゲット432に向き合っており、センサーターゲット432の変位を検出する。走査機構410のそのほかの構成は、第三実施形態で説明した走査機構310と同様である。
【0074】
画像生成用コントローラ140は、励振回路142から出力される励振信号がZアクチュエーター323Aと323Bに印加されるように構成されている。あるいは、励振回路142から出力される、Zアクチュエーター323Aの高次の共振周波数の励振信号が印加されるように構成してもよい。
【0075】
次に、走査型プローブ顕微鏡の動作について説明する。
【0076】
波形発生器141はX走査信号とY走査信号を生成する。これらの走査信号はX走査駆動部111とY走査駆動部112を通してステージ420に与えられる。これにより、カンチレバー201が試料台205に対してXY走査される。
【0077】
励振回路142は、カンチレバー201の共振周波数近傍の周波数の励振信号を出力する。励振信号はZアクチュエーター323Aと323Bに印加される。これにより、カンチレバー201はたわみ振動を起こす。カンチレバー変位センサー203はカンチレバー201のたわみを光学的に検出し、振幅検出回路143はカンチレバー変位センサー203で検出されるたわみ情報を振幅情報に変換する。
【0078】
カンチレバー201のたわみは、試料台205に載置された観察試料とカンチレバー201の探針との間の距離により変化する。XY走査中、カンチレバー201の探針と観察試料の表面との距離は観察試料の表面の起伏に応じて変化する。このためカンチレバー201の振幅も変化する。
【0079】
Z制御回路144は、振幅検出回路143で検出される振幅を一定に維持するようにZアクチュエーター323Aを伸縮させるZ走査信号を生成してZ走査駆動部313に出力する。Z走査駆動部313はZ走査信号をZアクチュエーター323Aと323Bに与える。その結果、Zアクチュエーター323Aは観察試料の表面の起伏に追従して伸縮し、カンチレバー201が試料台205に対してZ走査される。またZアクチュエーター323Bは、Zアクチュエーター323Aの伸縮に同期して伸縮する。
【0080】
Z走査によるZアクチュエーター323Aの変位はカンチレバー201の振動に重畳する。カンチレバー201の励振信号による振動は、Z走査周波数よりも数倍から10倍以上高い。例えば、Z走査周波数が100kHz以下のとき、励振による振動は500〜1500hHzである。このように周波数に差があるので、Z制御回路114はローパスフィルターによりZ走査周波数の振幅信号を抽出できる。また、変位センサー114とセンサーアンプ115を合わせてローパスフィルター機能を持つことによりZ走査周波数の振幅信号を抽出できる。あるいは、センサーアンプ115と画像情報取得回路145を合わせてフーリエ変換を利用してZ走査周波数の振幅信号を抽出できる。これにより、変位センサー114は、励振信号の影響を受けることなく、カンチレバー201のZ走査の変位を検出することができる。
【0081】
画像情報取得回路145は、変位センサー114で検出されるセンサーターゲット432の変位を観察試料の高さ情報として取り込む。Zアクチュエーター323Aと323Bはカンチレバー取り付け部431とセンサーターゲット432とが互いに逆向きで同一変位量になるように駆動されるため、カンチレバー201の変位とセンサーターゲット432の変位は同一である。このため、観察試料の高さ情報が正確に取得される。
【0082】
画像情報取得回路145は、所定のタイミングで、観察試料の高さ情報をセンサーアンプ115から取得するとともに波形発生器141から出力されたX走査信号とY走査信号とに基づいてXY座標を取得する。画像情報取得回路145は、取得したXY座標と高さ情報とから観察試料の画像を構築し、表示装置150は、構築した画像を表示する。
【0083】
以上に説明した手法に従って観察試料の画像を構築することにより、高さ情報にひずみのない良好な観察像が得られる。
【0084】
また、Z走査が高速になると、その慣性力が保持部材130やステージ420を共振させ、不要な振動が生じやすくなる。カンチレバー取り付け部431とカンチレバー201の合計の重さはセンサーターゲット432の重さとほぼ同一である。またカンチレバー取り付け部431とセンサーターゲット432の変位は振幅が同じで向きが反対である。このため、慣性力が打ち消しあい、不要な振動が生じない。このため、不要な振動による高さ情報の劣化はなく、良好な観察像が得られる。
【0085】
本実施形態では、励振信号をZアクチュエーター323Aに印加してカンチレバー201を励振しているが、カンチレバー近傍から励振周波数の超音波やレーザー光をカンチレバー201に照射してカンチレバー201を励振することも可能である。また、カンチレバー変位センサー203に代えて、たわみ検出用のピエゾ抵抗体やひずみゲージをカンチレバー201に設けてもよい。そのようなセンサーは、XYZ走査時にカンチレバー201と一緒に移動するため、XYZ走査の影響を受けずにカンチレバー201の振幅を検出できる。
【0086】
これまで、図面を参照しながら本発明の実施形態を述べたが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において様々な変形や変更が施されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の第一実施形態の走査型プローブ顕微鏡を示している。
【図2】図1に示されたステージを下方から見た平面図である。
【図3】図2に示されたステージのIII−III線に沿った断面を示している。
【図4】圧電体のヒステリシスを示している。
【図5】本発明の第二実施形態の走査型プローブ顕微鏡を示している。
【図6】図5に示されたステージの断面を示している。
【図7】本発明の第三実施形態の走査型プローブ顕微鏡を示している。
【図8】図7に示されたステージの断面を示している。
【図9】本発明の第四実施形態の走査型プローブ顕微鏡を示している。
【図10】図9に示されたステージの断面を示している。
【符号の説明】
【0088】
100…走査型プローブ顕微鏡、101…カンチレバー、102…振動子、103…対物レンズ、104…カンチレバー変位センサー、110…走査機構、111…X走査駆動部、112…Y走査駆動部、113…Z走査駆動部、114…変位センサー、115…センサーアンプ、120…ステージ、121…固定台、122A…Xアクチュエーター、122B…Yアクチュエーター、123…Zアクチュエーター、124…可動部、125…固定部、126A…XY弾性部材、126B…XY弾性部材、126C…XY弾性部材、126D…XY弾性部材、127A…Z弾性部材、127B…Z弾性部材、127C…Z弾性部材、127D…Z弾性部材、128A…押圧部、128B…押圧部、130…保持部材、131…試料台、132…センサーターゲット、140…画像生成用コントローラ、141…波形発生器、142…励振回路、143…振幅検出回路、144…Z制御回路、145…画像情報取得回路、146…取り込み指令発生器、150…表示装置、200…走査型プローブ顕微鏡、201…カンチレバー、203…カンチレバー変位センサー、205…試料台、210…走査機構、220…ステージ、231…カンチレバー取り付け部、232…センサーターゲット、300…走査型プローブ顕微鏡、310…走査機構、313…Z走査駆動部、320…ステージ、323A…Zアクチュエーター、323B…Zアクチュエーター、330…保持部材、331…試料台、332…センサーターゲット、400…走査型プローブ顕微鏡、410…走査機構、420…ステージ、431…カンチレバー取り付け部、432…センサーターゲット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動対象物を互いに直交するX軸とY軸とZ軸に沿って移動しうる走査型プローブ顕微鏡用走査機構において、
固定部と、
可動部と、
前記可動部が前記固定台に対してXY方向に移動しうるように前記可動部と前記固定台を連結している弾性部材と、
前記可動部をX方向に移動させるXアクチュエーターと、
前記可動部をY方向に移動させるYアクチュエーターと、
Z方向に変位しうるZアクチュエーターと、
前記Zアクチュエーターの中央部を保持している保持部材であり、前記可動部に固定された保持部材と、
前記Zアクチュエーターの一方の自由端に固定された試料台と、
前記Zアクチュエーターの他方の自由端に固定されたセンサーターゲットであり、前記試料台とほぼ同等の重さを有するセンサーターゲットと、
前記センサーターゲットの変位を検出する変位センサーとを備えていることを特徴とする走査型プローブ顕微鏡用走査機構。
【請求項2】
観察像構築に必要な観察試料高さ情報は前記変位センサーの信号に基づくことを特徴とする請求項1に記載の走査型プローブ顕微鏡用走査機構。
【請求項3】
移動対象物を互いに直交するX軸とY軸とZ軸に沿って移動しうる走査型プローブ顕微鏡用走査機構において、
固定部と、
可動部と、
前記可動部が前記固定台に対してXY方向に移動しうるように前記可動部と前記固定台を連結している弾性部材と、
前記可動部をX方向に移動させるXアクチュエーターと、
前記可動部をY方向に移動させるYアクチュエーターと、
Z方向に変位しうるZアクチュエーターと、
前記Zアクチュエーターの中央部を保持している保持部材であり、前記可動部に固定された保持部材と、
前記Zアクチュエーターの一方の自由端に固定されたカンチレバー取り付け部と、
前記Zアクチュエーターの他方の自由端に固定されたセンサーターゲットであり、カンチレバー取り付け部およびこれに取り付けられたカンチレバーとほぼ同等の重さを有するセンサーターゲットと、
前記センサーターゲットの変位を検出する変位センサーとを備えていることを特徴とする走査型プローブ顕微鏡用走査機構。
【請求項4】
観察像構築に必要な観察試料高さ情報は前記変位センサーの信号に基づくことを特徴とする請求項3に記載の走査型プローブ顕微鏡用走査機構。
【請求項5】
移動対象物を互いに直交するX軸とY軸とZ軸に沿って移動しうる走査型プローブ顕微鏡用走査機構において、
固定部と、
可動部と、
前記可動部が前記固定台に対してXY方向に移動しうるように前記可動部と前記固定台を連結している弾性部材と、
前記可動部をX方向に移動させるXアクチュエーターと、
前記可動部をY方向に移動させるYアクチュエーターと、
Z方向に変位しうる二本のZアクチュエーターと、
前記Zアクチュエーターのそれぞれの一端を保持している保持部材であり、前記可動部に固定された保持部材と、
一方の前記Zアクチュエーターの自由端に固定された試料台と、
他方の前記Zアクチュエーターの自由端に固定されたセンサーターゲットであり、前記試料台とほぼ同等の重さを有するセンサーターゲットと、
前記センサーターゲットの変位を検出する変位センサーと、
前記試料台と前記センサーターゲットとが互いに逆向きで同一変位量になるように前記Zアクチュエーターを駆動する駆動部とを備えていることを特徴とする走査型プローブ顕微鏡用走査機構。
【請求項6】
観察像構築に必要な観察試料高さ情報は前記変位センサーの信号に基づくことを特徴とする請求項5に記載の走査型プローブ顕微鏡用走査機構。
【請求項7】
前記Zアクチュエーターはほぼ同一の性能を有し、前記可動部の重心付近を通るZ軸と平行な軸上に位置していることを特徴とする請求項5に記載の走査型プローブ顕微鏡用走査機構。
【請求項8】
移動対象物を互いに直交するX軸とY軸とZ軸に沿って移動しうる走査型プローブ顕微鏡用走査機構において、
固定部と、
可動部と、
前記可動部が前記固定台に対してXY方向に移動しうるように前記可動部と前記固定台を連結している弾性部材と、
前記可動部をX方向に移動させるXアクチュエーターと、
前記可動部をY方向に移動させるYアクチュエーターと、
Z方向に変位しうる二本のZアクチュエーターと、
前記Zアクチュエーターのそれぞれの一端を保持している保持部材であり、前記可動部に固定された保持部材と、
一方の前記Zアクチュエーターの自由端に固定されたカンチレバー取り付け部と、
他方の前記Zアクチュエーターの自由端に固定されたセンサーターゲットであり、カンチレバー取り付け部およびこれに取り付けられたカンチレバーとほぼ同等の重さを有するセンサーターゲットと、
前記センサーターゲットの変位を検出する変位センサーと、
前記カンチレバー取り付け部と前記センサーターゲットとが互いに逆向きで同一変位量になるように前記Zアクチュエーターを駆動する駆動部とを備えていることを特徴とする走査型プローブ顕微鏡用走査機構。
【請求項9】
観察像構築に必要な観察試料高さ情報は前記変位センサーの信号に基づくことを特徴とする請求項8に記載の走査型プローブ顕微鏡用走査機構。
【請求項10】
前記Zアクチュエーターはほぼ同一の性能を有し、前記可動部の重心付近を通るZ軸と平行な軸上に位置していることを特徴とする請求項8に記載の走査型プローブ顕微鏡用走査機構。
【請求項11】
請求項1〜請求項10のいずれか一つに記載の走査型プローブ顕微鏡用走査機構を備えている走査型プローブ顕微鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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