説明

走行玩具システム及び走行玩具

【課題】比較的簡易に送信器側に向けてより真っ直ぐに走行することが可能な走行玩具システム及び走行玩具を提供する。
【解決手段】走行玩具システム1は、一定の信号を送信する送信器10と、送信器10からの一定の信号を受信して走行する走行玩具20からなる。また、走行玩具20は、送信器10からの一定の信号を受信する受信器21と、受信器21にて一定の信号が左側から受信された場合に左折動作を選択し、受信器21にて一定の信号が右側から受信された場合に右折動作を選択し、且つ、受信器21にて一定の信号が前方から受信された場合に直進動作を選択する選択部22aと、選択部22aにより選択された動作による走行を制御する走行制御部22bとを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行玩具システム及び走行玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、送信器から赤外線信号を受信して走行する走行玩具システムが知られている(特許文献1参照)。この走行玩具システムは、赤外線信号の非受信時に自転動作すると共に、赤外線信号の受信時には直進動作する構成となっている。これにより、走行玩具システムは徐々に送信器側に近づくように走行可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−79283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の走行玩具システムでは、赤外線信号の非受信時に自転する構成となっているため、ジグザグ等に進むこととなり、送信器側に向けてより真っ直ぐに走行させることができない。また、従来、ラジコンのようにユーザからの操作を電気信号に変換して走行玩具に送信し、走行玩具を自在に走行させるものがある。この場合、走行玩具システムは送信器側に向けてより真っ直ぐに走行することができるが、ユーザによる細かな操作が必要となり、簡易に送信器側に向けてより真っ直ぐに走行させることができない。
【0005】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、比較的簡易に送信器側に向けてより真っ直ぐに走行することが可能な走行玩具システム及び走行玩具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る走行玩具システムは、一定の信号を送信する送信器と、送信器からの一定の信号を受信して走行する走行玩具からなる走行玩具システムであって、走行玩具は、送信器からの一定の信号を受信する受信器と、受信器にて一定の信号が左側から受信された場合に左折動作を選択し、受信器にて一定の信号が右側から受信された場合に右折動作を選択し、且つ、受信器にて一定の信号が前方から受信された場合に直進動作を選択する選択手段と、選択手段により選択された動作による走行を制御する走行制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、受信器は、走行玩具本体の前方及び前側方から送信された一定の信号を受信すると共に走行玩具本体の前方左右にそれぞれ1つずつ設けられた2つの受信センサと、2つの受信センサを隔てる板部と、を有し、選択手段は、2つの受信センサのうち左側センサのみで一定の信号を受信した場合、左折動作を選択し、2つの受信センサのうち右側センサのみで一定の信号を受信した場合、右折動作を選択し、2つの受信センサの双方で一定の信号を受信した場合、直進動作を選択することが好ましい。
【0008】
また、送信器は、第1信号を送信する第1送信部と、第2信号を送信する第2送信部と、第1送信部と第2送信部とを隔てる板部とを有し、受信器は、走行玩具本体の前方及び前側方から送信された一定の信号を受信する受信センサを有し、選択手段は、第1送信部からの第1信号のみを受信した場合、左折動作を選択し、第2信部からの第2信号のみを受信した場合、右折動作を選択し、第1送信部からの第1信号及び第2信部とからの第2信号の双方を受信した場合、直進動作を選択することが好ましい。
【0009】
さらに、送信器は、一定の信号を送信するための操作を行う操作部を有し、操作部は単一のボタン又はスイッチにより構成されていることが好ましい。
【0010】
また、本発明に係る走行玩具は、信器からの一定の信号を受信する受信器と、受信器にて一定の信号が左側から受信された場合に左折動作を選択し、受信器にて一定の信号が右側から受信された場合に右折動作を選択し、且つ、受信器にて一定の信号が前方から受信された場合に直進動作を選択する選択手段と、選択手段により選択された動作にて走行する走行手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る走行玩具システム及び走行玩具によれば、比較的簡易に送信器側に向けてより真っ直ぐに走行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態に係る走行玩具システムの構成図である。
【図2】図1に示した走行玩具を示す上面図である。
【図3】図1に示した走行玩具の内部構成を示す構成図である。
【図4】第1実施形態に係る走行玩具システムによる走行玩具の走行の様子を示す図である。
【図5】第2実施形態に係る走行玩具システムの走行玩具を示す上面図である。
【図6】第2実施形態に係る走行玩具システムを示す図である。
【図7】第2実施形態に係る送信信号を示す図であり、(a)は第1信号を示し、(b)は第2信号を示し、(c)は第1信号と第2信号との重畳信号を示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る走行玩具システムの構成図である。図1に示す走行玩具システム1は、送信器10と、走行玩具20とからなっている。送信器10は、一定の信号を送信するものである。走行玩具20は送信器10からの一定の信号を受信して走行する玩具である。ここで、一定の信号とは、同じ信号を示している。すなわち、ラジコンであれば、送信器に対して速度、右左折等の操作がされると、操作内容を反映した信号が出力されるが、一定の信号とはこれとは異なる信号であり、送信器10から常に同じ信号が送信されるという意味である。
【0014】
送信器10は、操作部11と、信号発生部12と、信号送信部13とから構成されている。操作部11は、上記した一定の信号を送信するための操作を行うものであり、単一のボタンにより構成されている。このため、ユーザは単一のボタンを押下するだけで一定の信号を送信させ、走行玩具20を走行させることができる。なお、操作部11はボタンに限らずワンタッチ操作が可能であればスイッチなどであってもよい。
【0015】
信号発生部12は、走行玩具20に送信する信号を生成するものである。信号送信部13は、一定の信号を送信するものであり、例えば赤外線発光ダイオードにより構成されている。信号送信部13から発せられる一定の信号(すなわち赤外線信号)は、比較的高い指向性を有しており、信号送信部13の前方に向けて所定範囲内のみに送信されることとなる。
【0016】
走行玩具20は、送信器10からの信号を受けて走行するものであり、概略的に受信器21と、制御部22と、車輪30とを有している。受信器21は、送信器10からの信号を受信するものであり、受信センサ21aと、板部21bとによって構成されている。
【0017】
受信センサ21aは、信号送信部13から発せられる一定の信号(すなわち赤外線信号)を受信する赤外線センサによって構成されている。この赤外線センサは受信可能範囲が限られており、前方及び前側方から赤外線信号を受信可能に設けられている。図2は、図1に示した走行玩具20を示す上面図である。図2に示すように、走行玩具20は、2つの赤外線センサ(受信センサ)21a1,21a2を有している。この2つの赤外線センサ21a1,21a2は、本体前方の左右に1つずつ設けられている。
【0018】
また、板部21bは、左右の赤外線センサ21a1,21a2を隔てるように、両者間に立って設けられている。この板部21bにより、送信器10からの赤外線信号は、送信器10が左側に存在する場合に左側赤外線センサ(左側センサ)21a1のみによって受信され、送信器10が右側に存在する場合に右側赤外線センサ(右側センサ)21a2のみによって受信されることとなる。そして、赤外線信号は、送信器10が前方に存在する場合に、左側赤外線センサ21a1及び右側赤外線センサ21a2の双方に受信されることとなる。
【0019】
図3は、図1に示した走行玩具20の内部構成を示す構成図である。図3に示す制御部22は、走行玩具20を走行動作させるものであり、選択部(選択手段)22aと、走行制御部(走行制御手段)22bとを備えている。選択部22aは、左折動作、右折動作、及び直進動作のいずれか1つを選択するものである。具体的に選択部22aは、受信器21にて左側から赤外線信号が受信された場合に左折動作を選択し、右側から赤外線信号が受信された場合に右折動作を選択し、前方から赤外線信号が受信された場合に直進動作を選択する。なお、左折動作とは、角度に拘わらず走行玩具20の前後方向に伸びる直線に対して左方向に走行する動作である。従って、走行玩具20が左前方に走行する場合や、左側にほぼ直角に曲がって走行する場合のいずれについても左折動作の概念に含まれる。右折動作についても左折動作と同様に角度に拘わらず走行玩具20の前後方向に伸びる直線に対して右方向に走行する動作である。
【0020】
ここで、左側から赤外線信号が送信されると左側赤外線センサ21a1のみによって赤外線信号が受信される。すなわち、選択部22aは、左側赤外線センサ21a1のみによって赤外線信号が受信された場合に左折動作を選択することとなる。同様に、右側から赤外線信号が送信されると右側赤外線センサ21a2のみによって赤外線信号が受信され、選択部22aは、右折動作を選択することとなる。また、前方から赤外線信号が送信されると2つの赤外線センサ21a1,21a2によって赤外線信号が受信され、選択部22aは、直進動作を選択することとなる。
【0021】
走行制御部22bは、選択部22aによって選択された動作を実行するものであって、舵取制御部22b1と、駆動制御部22b2とを備えている。舵取制御部22b1は、選択部22aによって選択された動作に従って前輪31の舵取りを行うものである。よって、舵取制御部22b1は、選択部22aによって左折動作が選択された場合に前輪31を左折側に傾け、選択部22aによって右折動作が選択された場合に前輪31を右折側に傾けることとなる。また、舵取制御部22b1は、選択部22aによって直進動作が選択された場合に前輪31を真っ直ぐにして走行玩具20が直進するように舵を取ることとなる。
【0022】
駆動制御部22b2は、走行玩具20を駆動させるものである。この駆動制御部22b2は、選択部22aによって左折、右折又は直進動作が選択されて、その旨の信号が走行制御部22bに入力されると、後輪32を駆動させて走行玩具20を走行させる。なお、駆動制御部22b2は、選択部22aからの信号の入力を契機として後輪32を駆動させる場合に限らず、走行玩具20に電源スイッチがあり、電源スイッチがオンされたときに後輪32を駆動させるようにしてもよい。また、図3において舵取制御部22b1及び駆動制御部22b2からの信号は直接車輪30に入力されているが、実際には図示しないモータ等によって舵取り及び駆動が行われることとなる。
【0023】
次に、第1実施形態に係る走行玩具システム1による走行玩具20の走行の様子を説明する。図4は、第1実施形態に係る走行玩具システム1による走行玩具20の走行の様子を示す図である。
【0024】
まず、走行玩具20が図4に示す位置aに停止しているとする。すなわち、送信器10の左側に位置しているとする。この状態においてユーザが操作部11を操作すると、信号送信部13から赤外線信号が送信される。この場合、走行玩具20は左側赤外線センサ21a1によって赤外線信号を受信するが、右側赤外線センサ21a2については板部21bによって赤外線信号が遮られて受信できないこととなる。これにより、選択部22aは左折動作を選択する。そして、舵取制御部22b1は前輪31を左折側に傾け、駆動制御部22b2は、後輪32を転動駆動させる。以上により、走行玩具20は左折動作を実行することとなる。
【0025】
また、走行玩具20が図4に示す位置bに停止しているとする。すなわち、送信器10の右側に位置しているとする。この状態においてユーザが操作部11を操作すると、信号送信部13から赤外線信号が送信される。この場合、走行玩具20は右側赤外線センサ21a2によって赤外線信号を受信するが、左側赤外線センサ21a1については板部21bによって赤外線信号が遮られて受信できないこととなる。これにより、選択部22aは右折動作を選択する。そして、舵取制御部22b1は前輪31を右折側に傾け、駆動制御部22b2は、後輪32を転動駆動させる。以上により、走行玩具20は右折動作を実行することとなる。
【0026】
さらに、走行玩具20が図4に示す位置cに停止しているとする。すなわち、送信器10の正面に位置しているとする。この状態においてユーザが操作部11を操作すると、信号送信部13から赤外線信号が送信される。この場合、走行玩具20は板部21bによって赤外線信号が遮られることなく、2つの赤外線センサ21a1,21bによって赤外線信号を受信する。これにより、選択部22aは直進動作を選択する。そして、舵取制御部22b1は前輪31を真っ直ぐにし、駆動制御部22b2は、後輪32を転動駆動させる。以上により、走行玩具20は直進動作を実行することとなる。
【0027】
なお、左折及び右折動作が実行されることにより、走行玩具20の前方に送信器10が位置することとなる。この場合、走行玩具20は直進動作を実行することとなる。すなわち、走行玩具20は、左折及び右折動作を経て直進動作に移行することとなる。より詳細に説明すると、走行玩具20は、常に左右の赤外線センサ21a1,21bが送信器10からの赤外線信号を受信するように走行することとなり、左側赤外線センサ21a1のみ、又は右側赤外線センサ21a2のみが赤外線信号を受信する領域に位置する場合、双方の赤外線センサ21aが赤外線信号を受信するように車体の方向を変えることとなる。これにより、送信器10に向かってより真っ直ぐに走行することができる。なお、走行玩具20が左折する際の左折角度や右折する際の右折角度は、双方の赤外線センサ21aと板部21bとの取付状態により調整可能である。例えば、板部21bを走行玩具20の前方に向けて長くした場合には右左折の角度は大きくなり、短くした場合には右左折の角度は小さくなる。同様に赤外線センサ21aを走行玩具20の後方側に設置した場合には右左折の角度は大きくなり、前方側に設置した場合には右左折の角度は小さくなる。
【0028】
このようにして、第1実施形態に係る走行玩具システム1及び走行玩具20によれば、受信器21にて一定の信号が左側から受信された場合に左折動作が選択され、受信器21にて一定の信号が右側から受信された場合に右折動作が選択され、且つ、受信器21にて一定の信号が前方から受信された場合に直進動作を選択され、選択された動作にて走行を制御する。この結果、右左折の動作が選択された場合、走行玩具20は右左折の走行によって走行玩具20の正面側に送信器10が位置するように向きを変更することとなり、変更後には直進動作が選択されて直進走行を行うこととなる。このため、送信器10に向かってより真っ直ぐに走行することとなる。また、送信器10からは一定の信号が送信されるため、ユーザは細かな操作を必要としない。従って、比較的簡易に送信器10側に向けてより真っ直ぐに走行することができる。
【0029】
また、受信器21は、走行玩具20本体の前方及び前側方から送信された一定の信号を受信する。このため、送信器10からの信号は、後方などから受信されないこととなる。さらに、受信器21は、走行玩具20本体の前方左右にそれぞれ1つずつ設けられた2つの赤外線センサ21a1,21a2と、2つの赤外線センサ21a1,21a2とを隔てる板部21bとを有している。このため、送信器10が前方にある場合には、2つの赤外線センサ21a1,21a2にて送信器10からの一定の信号を受信できるが、送信器10が左前方又は右前方にある場合には、板部21bによって2つの赤外線センサ21a1,21a2のうち一方でしか受信できないこととなる。ゆえに、走行玩具20は送信器10が左前方又は右前方にある場合に右左折走行を行うこととなり、右左折走行によって2つの赤外線センサ21a1,21a2で一定の信号を受信するように向きを変更することとなる。また、変更後には2つの赤外線センサ21a1,21a2で一定の信号を受信することから、走行玩具20は直進動作を選択して直進走行を行うこととなる。従って、送信器10側に向けて適切に走行することができる。
【0030】
また、送信器10は、一定の信号を送信するための操作を行う操作部11を有し、操作部11は単一のボタン又はスイッチにより構成されている。このため、ユーザは、単一のボタン又はスイッチを操作するだけでよく、簡単な操作によって、走行玩具20をより真っ直ぐに走行させることができる。
【0031】
また、図1〜図4に示すように、板部21bは走行玩具20の本体の前後方向に伸びるように設置されているため、板部21bが左右方向に伸びている場合と比較して板部21bが走行時における抵抗となり難くなっている。これにより、走行玩具20を駆動するモータ等の負荷低減につなげることができる。
【0032】
次に、本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態に係る走行玩具システム2は、第1実施形態のものと同様であるが、送信器10及び走行玩具20の構成が一部異なっている。
【0033】
図5は、第2実施形態に係る走行玩具システム2の走行玩具20を示す上面図である。図5に示すように、第2実施形態に係る走行玩具20は、受信センサ21aとして1つの赤外線センサを有している。なお、この赤外線センサは受信範囲が限られており、前方及び前側方からしか赤外線信号を受信できない。また、図5に示すように、第2実施形態に係る走行玩具20は、第1実施形態で説明した板部21bを有しておらず、美観的に第1実施形態のものよりも優れている。
【0034】
図6は、第2実施形態に係る走行玩具システム2を示す図である。第2実施形態において送信器10は、第1実施形態に示した操作部11及び信号発生部12に加えて、第1赤外線発光ダイオード(第1送信部)13aと、第2赤外線発光ダイオード(第2送信部)13bと、両者の発光ダイオード13a,13bを隔てる平板状の板部13cとを有している。
【0035】
第1赤外線発光ダイオード13a及び第2赤外線発光ダイオード13bは、第1実施形態に示したものと同様である。すなわち、第1赤外線発光ダイオード13a及び第2赤外線発光ダイオード13bは、比較的高い指向性の赤外線信号を送信する構成となっており、前方に向けて所定範囲内のみに赤外線信号を送信可能となっている。
【0036】
図7は、第2実施形態に係る送信信号を示す図である。第2実施形態において第1赤外線発光ダイオード13aは第1信号を送信し、第2赤外線発光ダイオード13bは第2信号を送信する構成となっている。ここで、図7(a)に第1信号のパルス波形を示す。第1信号において、送信器10の操作部11が操作されると、まず第1赤外線発光ダイオード13aはスタートパルスP1を出力する。そして、スタートパルスP1が立ち下がってから第1時間t1経過後に、第1指示パルスP2を出力する。また、図7(b)に第2信号のパルス波形を示す。第2信号において、第2赤外線発光ダイオード13bはスタートパルスP1を出力し、スタートパルスP1が立ち下がってから第2時間t2経過後に、第2指示パルスP3を出力する。
【0037】
このように、第1赤外線発光ダイオード13aと第2赤外線発光ダイオード13bとは、それぞれ送信する信号が異なっている。なお、送信器10全体としてみれば、送信器10からは第1信号と第2信号という常に同じ信号が送信されており、一定の信号が送信されていると言える。
【0038】
また、板部13cは、両者の赤外線発光ダイオード13a,13bとの間に位置している。このため、第1信号と第2信号との信号送信範囲を限定することとなる。具体的には、図6に示すように、両者間に板部13cが存在することによって、赤外線発光ダイオード13a,13bは、内側についての信号送信範囲がより限定されることとなる。
【0039】
次に、図6を参照して、第2実施形態に係る走行玩具システム1による走行玩具20の走行の様子を説明する。まず、ユーザが操作部11を操作すると、第1赤外線発光ダイオード13aと第2赤外線発光ダイオード13bから第1信号及び第2信号がそれぞれ送信される。なお、ユーザは、平板形状の板部13cの平面が走行玩具20の本体の上下方向に平行となるようにして操作部11を操作する。板部13cを上記のようにしないと、第1信号と第2信号との送信範囲が図6に示すようにならず回転してしまうからである。
【0040】
ここで、走行玩具20が図6に示す位置aに停止しているとする。すなわち、送信器10の左側に位置しているとする。この場合、第2信号は板部13cによって遮られ、受信センサ21aは第1信号のみを受信することとなる。これにより、選択部22aは左折動作を選択する。この際、選択部22aは、図7(a)に示したように、スタートパルスP1が立ち下がってから第1時間t1経過後に第1指示パルスP2を受信した場合に、第1信号のみを受信したと判断して左折動作を選択する。そして、舵取制御部22b1は前輪31を左折側に傾け、駆動制御部22b2は、後輪32を転動駆動させる。以上により、走行玩具20は左折動作を実行することとなる。
【0041】
また、走行玩具20が図6に示す位置bに停止しているとする。すなわち、送信器10の右側に位置しているとする。この場合、第1信号は板部13cによって遮られ、受信センサ21aは第2信号のみを受信することとなる。これにより、選択部22aは右折動作を選択する。この際、選択部22aは、図7(b)に示したように、スタートパルスP1が立ち下がってから第2時間t2経過後に第2指示パルスP3を受信した場合に、第2信号のみを受信したと判断して右折動作を選択する。そして、舵取制御部22b1は前輪31を右折側に傾け、駆動制御部22b2は、後輪32を転動駆動させる。以上により、走行玩具20は右折動作を実行することとなる。
【0042】
さらに、走行玩具20が図6に示す位置cに停止しているとする。すなわち、送信器10の正面に位置しているとする。この場合、第1信号及び第2信号は板部13cによって遮られることなく、受信センサ21aによって受信される。これにより、選択部22aは直進動作を選択する。この際、選択部22aは、図7(c)に示すように、スタートパルスP1が立ち下がってから第1時間t1経過後に第1指示パルスP2を受信し、且つ、スタートパルスP1が立ち下がってから第2時間t2経過後に第2指示パルスP3を受信した場合に、第1信号及び第2信号を受信したと判断して直進動作を選択する。そして、舵取制御部22b1は前輪31を真っ直ぐにし、駆動制御部22b2は、後輪32を転動駆動させる。以上により、走行玩具20は直進動作を実行することとなる。
【0043】
なお、第1実施形態と同様に、左折及び右折動作が実行されることにより、走行玩具20の前方に送信器10が位置することとなる。この場合、走行玩具20は直進動作を実行することとなる。すなわち、走行玩具20は、左折及び右折動作を経て直進動作に移行することとなる。より詳細に説明すると、走行玩具20は、常に送信器10からの第1信号と第2信号とが重ねあわされた信号(図7(b))を受信するように走行することとなり、第1信号、又は第2信号のみを受信する領域に位置する場合、双方の信号を受信する領域に走行するように車体の方向を変えることとなる。これにより、送信器10に向かってより真っ直ぐに走行することができる。なお、走行玩具20が左折する際の左折角度や右折する際の右折角度は、赤外線発光ダイオード13a,13bと板部13cとの取付状態により調整可能である。例えば、板部13bを送信器10の前方に向けて長くした場合には右左折の角度は大きくなり、短くした場合には右左折の角度は小さくなる。同様に赤外線発光ダイオード13a,13bの間の距離を短くした場合には右左折の角度は大きくなり、長くした場合には右左折の角度は小さくなる。
【0044】
このようにして、第2実施形態に係る走行玩具システム2及び走行玩具20によれば、第1実施形態と同様に、比較的簡易に送信器側に向けてより真っ直ぐに走行することができる。
【0045】
すなわち、受信器21は、走行玩具20本体の前方及び前側方から送信された一定の信号を受信する。このため、送信器10からの信号は後方などから受信されないこととなる。さらに、送信器10は、第1信号を送信する第1赤外線発光ダイオード13aと、第2赤外線発光ダイオード13bと、第1赤外線発光ダイオード13aと第2赤外線発光ダイオード13bとを隔てる板部13cとを有している。このため、第1信号と第2信号との送信可能範囲が異なることとなり、送信器10が前方にある場合には、受信器21にて第1及び第2信号を受信できるが、送信器10が左側(前左方)又は右側(前右方)にある場合には、受信できる信号が制限されることとなる。ゆえに、走行玩具20は送信器10が左前方又は右前方にある場合に右左折走行を行うこととなり、右左折走行によって第1信号及び第2信号の双方を受信するように向きを変更することとなる。また、変更後には第1信号及び第2信号の双方を受信することから、走行玩具20は直進動作を選択して直進走行を行うこととなる。従って、送信器10側に向けて適切に走行することができる。また、受信器21を有する走行玩具側に板部13cを有しないため、美観向上に寄与することができる。さらに、走行玩具側に受信センサ21aが複数必要ないため、コスト減に寄与することができる。
【0046】
なお、第2実施形態では、第1指示パルスP2が立ち下がってから第2指示パルスP3が出力されるまでの第3時間t3は、第1時間t1と異なっていることが望ましい。走行玩具20側が何らかの障害物によりスタートパルスP1を受信できず、第1指示パルスP2及び第2指示パルスP3のみを受信した場合、第1信号のみを受信したと誤認してしまうことを防止できるためである。すなわち、第3時間t3が第1時間t1と異なっていれば、たとえスタートパルスP1を受信できなくとも、選択部22aは第3時間t3に基づいて直進動作を選択できるからである。
【0047】
以上、本発明に係る走行玩具システム及び走行玩具を実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよい。
【0048】
例えば、上記実施形態において板部13c,22bは、黒色部材や低反射部材など、反射率が通常の黒色でない樹脂部材よりも反射率が低減された部材であることが望ましい。これにより、板部13c,21bによって赤外線信号が反射して、室内等のガラスや鏡などの反射を経て、予期せぬ赤外線信号の受信が発生してしまう事態を軽減できるからである。
【0049】
また、第2実施形態において第1信号及び第2信号はパルス信号であるが、これに限らず、例えば周波数を異ならせた信号など、他の信号によって構成されていてもよい。また、走行玩具20は、前輪31が従動輪であり後輪32が駆動輪であるが、後輪32が従動輪であり前輪31が駆動輪であってもよい。さらには、前輪31及び後輪32の双方が従動輪及び駆動輪の機能を備えていてもよい。
【0050】
さらに、上記実施形態において送信器10から送信される信号は赤外線信号であるが、赤外線に限らず、他の種類の信号であってもよい。
【符号の説明】
【0051】
1,2 走行玩具システム
10 送信器
11 操作部
12 信号発生部
13 信号送信部
13a 第1赤外線発光ダイオード(第1送信部)
13b 第2赤外線発光ダイオード(第2送信部)
13c 板部
20 走行玩具
21 受信器
21a 受信センサ
21a1 左側赤外線センサ(左側センサ)
21a2 右側赤外線センサ(右側センサ)
21b 板部
22 制御部
22a 選択部(選択手段)
22b 走行制御部(走行制御手段)
22b1 舵取制御部
22b2 駆動制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定の信号を送信する送信器と、前記送信器からの一定の信号を受信して走行する走行玩具からなる走行玩具システムであって、
前記走行玩具は、前記送信器からの一定の信号を受信する受信器と、前記受信器にて一定の信号が左側から受信された場合に左折動作を選択し、前記受信器にて一定の信号が右側から受信された場合に右折動作を選択し、且つ、受信器にて一定の信号が前方から受信された場合に直進動作を選択する選択手段と、前記選択手段により選択された動作による走行を制御する走行制御手段と、
を備えることを特徴とする走行玩具システム。
【請求項2】
前記受信器は、走行玩具本体の前方及び前側方から送信された一定の信号を受信すると共に走行玩具本体の前方左右にそれぞれ1つずつ設けられた2つの受信センサと、前記2つの受信センサを隔てる板部と、を有し、
前記選択手段は、前記2つの受信センサのうち左側センサのみで前記一定の信号を受信した場合、左折動作を選択し、前記2つの受信センサのうち右側センサのみで前記一定の信号を受信した場合、右折動作を選択し、前記2つの受信センサの双方で前記一定の信号を受信した場合、直進動作を選択する
ことを特徴とする請求項1に記載の走行玩具システム。
【請求項3】
前記送信器は、第1信号を送信する第1送信部と、第2信号を送信する第2送信部と、前記第1送信部と前記第2送信部とを隔てる板部とを有し、
前記受信器は、走行玩具本体の前方及び前側方から送信された一定の信号を受信する受信センサを有し、
前記選択手段は、前記第1送信部からの第1信号のみを受信した場合、左折動作を選択し、前記第2信部からの第2信号のみを受信した場合、右折動作を選択し、前記第1送信部からの第1信号及び前記第2信部とからの第2信号の双方を受信した場合、直進動作を選択する
ことを特徴とする請求項1に記載の走行玩具システム。
【請求項4】
前記送信器は、前記一定の信号を送信するための操作を行う操作部を有し、前記操作部は単一のボタン又はスイッチにより構成されている
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の走行玩具システム。
【請求項5】
送信器からの一定の信号を受信する受信器と、
前記受信器にて一定の信号が左側から受信された場合に左折動作を選択し、前記受信器にて一定の信号が右側から受信された場合に右折動作を選択し、且つ、受信器にて一定の信号が前方から受信された場合に直進動作を選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された動作にて走行する走行手段と、
を備えることを特徴とする走行玩具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−194077(P2010−194077A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−41935(P2009−41935)
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【出願人】(000135748)株式会社バンダイ (246)
【Fターム(参考)】