説明

走行玩具システム

【課題】同一走行路を走行する複数の走行玩具の走行速度が変化し、その変化と走行路の状態とであたかも遠隔操作しているような面白さを提供することができる、走行玩具システムを提供すること。
【解決手段】走行玩具1と、該走行玩具1を走行させる走行路2との組み合わせからなる、走行玩具システムにおいて、上記走行玩具1は駆動輪3を回転させるモータ6と、該モータ6の回転を制御する制御部11と、上記モータ6の動作パターンを記憶したメモリ15とを備え、上記制御部11は上記動作パターンに基づいて上記モータ6に印加する電圧を制御し、走行中に走行速度が多様に変化するように設定した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行玩具システム、詳しくは無端路の走行路と、この走行路を速度を変化させながら走行する走行玩具とからなる走行玩具システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、本物の自動車レースのように、一つの走行路に複数の走行玩具を走行させ、他の走行玩具と接触しながら競争させることができる走行玩具が提案されている(例えば、特許文献1)。この走行玩具は、本体の前部略中央部にガイド輪を回動自在に設け、本体の後部に他の走行玩具のガイド輪と接触する湾曲した後バンパーを設けたもので、同一走行路内を複数で走行させ、速い走行玩具が遅い走行玩具に追いついて追い抜くとき、速い走行玩具のガイド輪が遅い走行玩具の後バンパーに接触すると、後バンパーが湾曲しているので、速い走行玩具はこのガイド輪によって遅い走行玩具の側方に誘導され、側方から遅い走行玩具を追い抜くことができるようにし、一つの走行路内で他の走行玩具と接触しながら競争させることができるようにしたものである。
【特許文献1】特開2000−51538号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする問題点は、上述の走行玩具は、速度の速い車が速度の遅い車に追いつき、速い走行玩具のガイド輪が遅い走行玩具の後バンパーに接触すると、後バンパーが湾曲しているので、速い走行玩具はこのガイド輪によって遅い走行玩具の側方に誘導され、側方から遅い走行玩具を追い抜くことができるようにしたものであるが、走行する玩具の速度は予め決まっているもので、そこには抜きつ抜かれつという実際のカーレースのようなスリルを味わうことができなかった。
【0004】
本発明は、上記問題点を解決し、同一走行路を走行する複数の走行玩具の走行速度が変動し、その変動と走行路の状態とであたかも遠隔操作しているような面白さを味わうことができる、走行玩具システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために本発明に係る走行玩具システムは、走行玩具と、該走行玩具を走行させる走行路との組み合わせからなる、以下の要件を備えることを特徴とする。
(イ)上記走行玩具は予め走行速度が走行中に多様に変化するように設定されていること
(ロ)上記走行玩具は駆動輪を回転させるモータと、該モータの回転を制御する制御部と、上記モータの動作パターンを記憶したメモリとを備え、上記制御部は上記動作パターンに基づいて上記モータに印加する電圧を制御したこと
前記走行玩具システムは、以下の要件を備えることを特徴とする。
(イ)前記走行路は、無端路で前記走行玩具が少なくとも2台並走できる走路幅になっていること
(ロ)前記走行路は少なくともカーブでは外側の走行面が内側の走行面よりも高くなるバンク状に形成されていること
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、走行玩具を走らせて見るまではどのように速度を変化させて走行するのか判らないので、遠隔操作の走行玩具とは異なった走行を楽しむことができるとともに、モータを予め設定された動作パターンに基づいて回転制御するので、走行中の走行玩具の走行速度を絶えず変化させることができ、あたかも遠隔操作しているように見える走行玩具システムを提供することができる。
【0007】
請求項2の発明によれば、走行路のカーブ路は内周側に対し外周側が高くなっているので高速でカーブ路に進入した走行玩具は外周側を走行し、低速で進入した走行路は内周側を走行するので、走行玩具同士の抜きつ抜かれつがユーザーの意思の及ばないところで発生するとともに、何処で加速、減速をするかが判らず遠隔操作では予測できないドラマを楽しむことができる走行玩具システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は本発明に係る走行玩具システムの一例を示す斜視図で、この走行玩具システムは走行玩具1と、この走行玩具1を走行させる走行路2とから構成されているものである。
【0009】
上記走行玩具1は、図2に示すように、駆動輪3の車軸4に固定された歯車5に、モータ6の回転軸に固定されたピニオンギヤ7が噛み合い、回路基板10上の制御部11によりモータ6の回転速度を変化させれば、駆動輪3の回転速度も変化させることができ、走行玩具1の走行速度を変化させることができるようになっている。
【0010】
そして、上記モータ6をマイクロモータで構成し、電源としてボタン電池13を使用することにより走行玩具1全体の形状の小型化を図ることができる。
【0011】
図3は、上記走行玩具1の電気的構成を説明するブロック図を示し、マイコンで構成された制御部11は予めメモリ15に記憶させているモータ6の動作パターンを読み出し、そのパターンを駆動信号に変換し、ドライブ回路16に出力すると、モータ6は駆動信号に対応してその回転数が変化し、走行玩具1の走行速度が変化するようになっているものである。上記メモリ15に記憶された動作パターンは複数設定され、走行玩具1の製造段階でメモリ15を回路基板10に組み込めばよい。上記モータ6の回転速度は、制御部11に予め回転速度のパターンがメモリ15に設定され、このパターンを時系列で制御部11が読み出し、このパターンに基づいてドライブ回路16がモータ6を回転させるようになっている。このパターンは、例えば、図4(a)に示すように、モータ6に電圧を印加する時間を一定の周期T(例えば、100m/s)の繰り返しで構成し、この周期Tがモータ6のONタイムT1とOFFタイムT2とで構成され、図4(b)に示すように、モータ6のONタイムT1が長ければモータ6が回転する時間が長くなってモータ6の回転速度が高くなり、図4(c)に示すように、OFFタイムT2が長ければモータ6の回転する時間が短くなってモータ6の回転速度が低くなり、ONタイムT1とOFFタイムT2との関係を様々に設定することにより走行中に走行速度を多様に変化させることができるようになっている。
【0012】
また、スタートボタン17を押してタクトスイッチ18をONさせると、このスイッチ18のONをトリガとして制御部11はメモリ15からパターンの読み出しを開始し、このパターンに従って制御部11はモータ6の動作を開始するようにしておけば、複数の走行玩具1を走行路2に並べて置いて、スタートボタン17を同時に押せば、走行玩具1をほぼ同時にスタートさせることができる。
【0013】
なお、上記制御部11はモータ6に印加する電圧の時間を制御したが、図示しない電圧制御回路を使用して印加する電圧の高低を制御し、高い電圧で高回転させ、低い電圧で低回転させるようにしてもよい。
【0014】
走行路2は無端路で走行玩具1が周回できるようになっているもので、例えば図1に示すように直線路2aを連結して並行に配置し、この直線路2aの両端にそれぞれ円弧状に湾曲したカーブ路2bを連結して無端の周回路を組み立てればよい。上記走行路2の走路幅は2台以上の走行玩具1が並走できるようにその幅が設定され、高速でカーブ路に進入してきた走行玩具1は遠心力が大きく働くので外周方向に近づき、低速でカーブ路に進入してきた走行玩具1は遠心力が小さいので内周方向を走行するように、カーブ路は内周より外周に向かって上方にスロープ状、若しくはアーチ状に傾斜してバンク状に形成されている。
【0015】
なお、走行路2は無端路であればカーブ路がS字状に形成されていてもよいし、カーブの径が異なるように形成されていてもよいし、上述の走行路2の形状に限定されるものではない。
【0016】
次に、上記構成の走行玩具システムの使用態様について説明する。
【0017】
直線路2aとカーブ路2bとをつないで無端の走行路2を組み立て、そのスタートラインに走行玩具1を載せ、スタートボタン17を同時に押せばよい。スタートボタン17が押された走行玩具1は制御部11がモータ6を駆動する駆動信号を出力するので、モータ6の回転開始とともに走行玩具1は走行を開始する。
【0018】
各走行玩具1はその走行パターンはメモリ15に記憶されているパターンに合わせて走行し、直線路2aで速度が異なれば、図5(a)に示すように、速度の速い走行玩具1が速度の遅い走行玩具1を追い抜き、カーブ路では、外周部が内周部よりも高くなっているので高速走行に入った走行玩具1は遠心力が強く働くので外周方向に移動して外周側を走行し、速度が遅い車は遠心力が小さいので外周方向に移動することなく内周側を走行し、図5(b)に示すように、実際のレーシングカーのように外側から追い越しを掛けるような状態が発生し、遠隔操作の走行玩具1と異なり、何時何処で減速するのか、加速するのかが判らず、スリルに富んだレースを楽しむことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る走行玩具システムの構成を説明する斜視図
【図2】走行玩具の内部構成の説明図
【図3】上記走行玩具の電気的構成を説明するブロック図
【図4】(a)〜(c)はモータを駆動する駆動信号を説明するタイムチャート図
【図5】(a)(b)は走行玩具の走行状態の説明図
【符号の説明】
【0020】
1 走行玩具
2 走行路
2a 直線路
2b カーブ路
3 駆動輪
6 モータ
11 制御部
15 メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行玩具と、該走行玩具を走行させる走行路との組み合わせからなる、以下の要件を備えることを特徴とする走行玩具システム。
(イ)上記走行玩具は予め走行速度が走行中に多様に変化するように設定されていること
(ロ)上記走行玩具は駆動輪を回転させるモータと、該モータの回転を制御する制御部と、上記モータの動作パターンを記憶したメモリとを備え、上記制御部は上記動作パターンに基づいて上記モータに印加する電圧を制御したこと
【請求項2】
以下の要件を備えることを特徴とする、請求項1記載の走行玩具システム。
(イ)前記走行路は、無端路で前記走行玩具が少なくとも2台並走できる走路幅になっていること
(ロ)前記走行路は少なくともカーブでは外側の走行面が内側の走行面よりも高くなるバンク状に形成されていること

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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