走行玩具
【課題】 従来の前輪が無くボールベアリングと走行路の磁石との吸引力のみで案内される走行玩具にあっては、走行速度が速い場合にはボールベアリングが磁石の磁力線外に出てしまってコースから外れる可能性があり、かつ、前輪が無いことから走行時の摩擦抵抗が大きく高速走行が行なえず、円滑な動きもできないことから走行時の見栄えも良くないといった問題がある。
【解決手段】 シャーシ1に対して左右方向に変移して前輪5の操舵を制御するタイロッド6と、走行路Bにおける少なくとも1つのコースに配線された磁性体からなる線路B3との吸引力によって変移して前記タイロッドを介して前記前輪を前記線路方向に変移させる磁石7と、後輪8を駆動させるモータ10と、該モータを駆動する電池とより構成した走行玩具である。
【解決手段】 シャーシ1に対して左右方向に変移して前輪5の操舵を制御するタイロッド6と、走行路Bにおける少なくとも1つのコースに配線された磁性体からなる線路B3との吸引力によって変移して前記タイロッドを介して前記前輪を前記線路方向に変移させる磁石7と、後輪8を駆動させるモータ10と、該モータを駆動する電池とより構成した走行玩具である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動輪が無線や赤外線による遠隔操作によって走行する、あるいは、エンドレス状の走行路をフリーに走行する走行玩具であって、走行玩具の前輪操舵部に取付けられた磁石が、走行路のコースに形成された磁性体の線路に沿って誘導され操舵されることで走行路のコースに沿って走行する走行玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のマグネットと磁性材との吸引力で走行する走行玩具としては、実開昭61−196795号公報に開示された考案がある。この走行玩具は、可撓性磁石がコースに沿って設けられた走行路と、該走行路の前記磁石に吸引されることで前記磁石に沿って案内される磁性材料製ボールベアリングと、モータやゼンマイ等で回転する駆動輪と、該駆動輪と前記ボールベアリングとの間におけるシャーシ裏面側に、前記走行路のコースの磁石とは極性が異なる極性が対向するように取付けられた磁石とより構成されている。
【0003】
そして、その動作は、駆動輪を駆動すると走行路の磁石と走行玩具のシャーシ裏面に取付けられた磁石との吸引力によって走行路のコースに従って走行すると共にボールベアリングと走行路の磁石との吸引力によって案内走行され、走行玩具は走行路の磁石に沿って規定のコースを走行するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭61−196795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記した先行技術文献に開示されている走行玩具にあっては、走行路の磁石と走行玩具のシャーシ裏面に取付けられた磁石との吸引力によって走行路のコースに従って走行する方式であるため、前記磁石どうしの吸引力が走行時の走行車両本体に常時直接作用しているため、高速走行が行えず、また、低速走行時には前記吸引力によって停止してしまう可能性もある。
【0006】
また、前輪が無くボールベアリングと走行路の磁石との吸引力のみで操舵するものであることから、走行速度が速い場合にはボールベアリングが磁石の磁力線外に出てしまってコースから外れる可能性があり、かつ、前輪が無いことから走行時の摩擦抵抗が大きく高速走行が行なえず、円滑な動きもできないことから走行時の見栄えも良くないといった問題がある。
【0007】
本発明は前記した問題点を解決せんとするもので、その目的とするところは、走行路に磁性体の線材をコースに沿って取付け、前輪の操舵部に磁石を取付け、該磁石と前記線材との吸引力によってタイロッドを左右方向に変移させることで前輪の操舵を行うようにしたので、前記線材に対する追従性が良好で半径が小さなカーブでも軌道から外れることがなく、従って、高速走行でも遊戯することができるものである。
【0008】
また、遠隔操作の場合には駆動力の制御を行うための1チャンネルの操縦機と受信機だけで操作できるのでコストの低減が図れ、かつ、従来の遠隔操作用の走行玩具に用いられていた操舵用サーボモータなどの制御用部品が不要となり、コンパクトに設計できるため走行玩具として実際に走行させる際のボディを選択するに当っても装飾用の非常に小さなダイキャストモデルカーにも応用することができるといった走行玩具を提供せんとするにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の走行玩具は前記した目的を達成せんとするもので、請求項1の手段は、シャーシに対して左右方向に変移して前輪の操舵を制御するタイロッドと、走行路における少なくとも1つのコースに配線された磁性体からなる線路との吸引力によって変移して前記タイロッドを介して前記前輪を前記線路方向に変移させる磁石と、後輪を駆動させるモータと、該モータを駆動する電池とより構成したことを特徴とする。
【0010】
請求項2の手段は、前記した請求項1において、前記磁石は、前記タイロッドに取付けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項3の手段は、前記した請求項1において、前記磁石は、シャーシに回動自在に軸支されたリンクの一端に取付けられ、該リンクの他端が前記タイロッドに軸支されていることを特徴とする。
【0012】
請求項4の手段は、前記した請求項2または3において、前記タイロッドまたは前記リンクに取付けられている磁石は、前記前輪の車軸近傍に位置するように取付けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項5の手段は、前記した請求項1において、前記タイロッドを左右方向に変移させる前記磁石と対向する位置の固定部に、前記磁石を左右方向から中心位置に戻すための磁性体を取付けたことを特徴とする。
【0014】
請求項6の手段は、前記した請求項1において、前記タイロッドと対向する位置の固定部に、一端が固定され他端が前記タイロッドに係止される前記磁石を左右方向から中心位置に戻すための弾性線材を取付けたことを特徴とする。
【0015】
請求項7の手段は、前記した請求項1において、前記モータの回転速度を遠隔操作によって駆動させる受信機を取付けたことを特徴する。
【0016】
請求項8の手段は、前記した請求項1において、前記シャーシに対して前記タイロッドを有する前輪側または前記モータを有する後輪側の少なくとも何れか一方にサスペンションとして作用する弾性板の一方を取付け、該弾性板の他端に少なくとも前記前輪側または前記後輪側を取付けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明は前記したように、走行路におけるコースに配線された磁性体からなる線路と、該線路との吸引力によって左右方向に変移する磁石によってタイロッドを左右方向に変移させて前輪を操舵する構造としたので、駆動輪である後輪を駆動することで線路に沿って走行することとなり、従って、操舵が不要となり小さな子供であっても遊戯することができる。
【0018】
また、前記タイロッドまたは前記リンクに取付けられている磁石を、前記前輪の車軸近傍に位置するように取付けることで、線路と磁石との吸引力によって後輪側のシャーシが浮くのを防止できるので、高速走行であっても安定した走行が可能となる。
【0019】
さらに、タイロッドまたは前記リンクに取付けられた磁石と対向する位置の固定部に、磁石を左右方向から中心位置に戻すための前記磁石との吸引力を発生するための磁性体を取付け、あるいは、タイロッドに弾性線材を係合して磁石が中心位置に戻るように構成したことにより、直進走行時に前輪が左右方向に振れることがなく安定した直進走行が可能となる。
【0020】
また、前記モータの回転速度を遠隔操作によって駆動させる受信機を取付けることで、遠隔操作によって走行玩具を走行させても前輪の操舵が不要であることからスピードのコントロールのみで走行制御が行えるので、従来の遠隔操作と同様な遊戯を楽しむことができる。
【0021】
さらに、シャーシに対してタイロッドを有する前輪側またはモータを有する後輪側の少なくとも何れか一方にサスペンションとして作用する弾性板の一方を取付け、弾性板の他端に少なくとも前輪側または後輪側を取付け可能としたので、ダイキャスト製の置物モデルカーにおける底板を改良して本発明の走行玩具とすることができ、従って、市販されている人気のある置物ダイキャストモデルカーを実際に走行させることができる等の効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る一実施例における走行玩具のボディを取付けた状態の平面図である。
【図2】図1のボディを取り除き磁石をタイロッドの中央部分に取付けた状態を示し、(a)は前輪を操舵していない状態の平面図、(b)は前輪を操舵した状態の平面図である。
【図3】図2(a)の要部の拡大底面図、(b)はA−A線断面図である。
【図4】磁石を左右方向から中心位置に戻す手段を示し、(a)は磁性体との吸引力によって行う裏面図、(b)は弾性線材のバネ力によって行う裏面図である。
【図5】磁石を前輪の車軸近傍に延長した延長片に取付けた状態を示し、(a)は前輪を操舵していない状態の平面図、(b)前輪を操舵した状態の平面図である。
【図6】磁石をシャーシに軸支されたリンクに取付けた状態を示し、(a)は前輪を操舵していない状態の平面図、(b)は前輪を操舵した状態の平面図である。
【図7】シャーシの一部を改良して前輪側と後輪側とをネジ止めした裏面図である。
【図8】図7の側面図である。
【図9】本発明の走行玩具を走行させるための走行路の一部を示す平面図である。
【図10】図10の一部を示す背面図である。
【図11】走行玩具のコース変更を可能とした走行路の一部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明に係る走行玩具の実施例について説明する。
図1〜図3は第1の実施例を示し、Aはダイキャスト製のボディを取付けた自動車玩具である。一般的なダイキャスト製の自動車玩具は置き物として観賞用に製造されているので手で押すことで走行は可能であるが、自走する構造にはなっていない。
【0024】
そこで、本発明はこのようなダイキャスト製のボディを取付けた自動車玩具Aに、前輪を操舵するタイロッドに磁石を取付け、該磁石と図8〜図10に示す走行路Bに形成した磁性体の線路B3との吸引力によってタイロッドを左右方向に変移させることで操舵を行い、また、後輪にモータを取付け、かつ、受信機(図示せず)を搭載し遠隔操作でモータの駆動を制御することで走行路Bの線路B3に沿って走行可能なように改良したものである。
【0025】
以下にその構造の詳細を以下に説明する。
1は図1に示すダイキャスト製のボディを取付けた自動車玩具Aのボディ2がネジ止め等の手段によって取付けられるシャーシにして、前記自動車玩具Aのボディ2に元々装着されていたシャーシを模した底板を使用せずに新たに作成した場合の実施例である。
【0026】
前記シャーシ1の前方に左右方向に突出する支持部材3が形成され、この支持部材3には操舵部材4が回動自在に軸支され、また、該操舵部材4には前輪5が回転自在に軸支されている。さらに、操舵部材4にはタイロッド6が取付けられ、該タイロッド6の長手方向の中央位置には円筒状の嵌合孔6aが形成されている。そして、この嵌合孔6aには磁石7が嵌め込まれ接着剤等によって固定されている。
【0027】
従って、磁石7が左右方向に変移するとタイロッド6が左右方向に移動するので前輪5が操舵されることになる。なお、磁石7の下面はシャーシ1に開口された孔1dより、後述する走行路Bの路面と一定距離を保った状態となるように前記嵌合孔6a内に固定されている。
【0028】
一方、シャーシ1の後方には駆動輪である後輪8が回転軸(図示せず)によって軸支され、該回転軸は減速機9を介してモータ10に連結されている。そして、シャーシ1に取付けられている受信機(図示せず)によって前記モータ10は回転制御される。また、図示しない受信機およびモータ10の電源である電池がシャーシ1の中央部に収納されている。
【0029】
次に、前記した構成の走行玩具を走行させるための走行路Bの構成を図9、図10と共に説明する。
走行路Bは合成樹脂の射出成形によって作成された直線状、S字状、U字状の多数のピースB1を、各ピースB1の両端に形成された連結部B2で連結して遊戯者の好みの走行コースを作成する構造となっている。
【0030】
そして、各ピースB1の裏面には図9に示すように磁性体の線路B3を嵌め込み固定するための突条部B4が形成されている。なお、前記線路B3を各ピースB1に取付ける手段としては、走行路Bを射出成形時にモールドしてもよく、また、各ピースの裏面側あるいは表面側に接着剤で固定するなど種々の取付け方法が考えられる。また、図示の各ピースB1には走行車線として2車線のものが示されているが、1車線でも2車線以上のものであってもよい。
【0031】
このような多数のピースB1を接続して好みのコースを構成した後、コースの1つに前記した自動車玩具を載置する。この時、線路B3と磁石7との吸引力が作用する位置に載置する。
【0032】
この状態において、送信機におけるモータ10を駆動するためのレバー等の操作摘みを操作すると、送信機よりのモータ駆動信号が送出されるので、該駆動信号を受信した受信機はモータ10に対して前進信号を出力しモータ10が回転を始める。
【0033】
自動車玩具が走行を開始すると磁石7は線路B3との吸引力によって、直進コースでは中央に位置した状態となっているので、タイロッド6は図2(a)に示す位置である前輪5を操舵しない状態となる。
【0034】
また、自動車玩具がU字状あるいはS字状のコースを走行すると、線路B3の吸引力によって磁石7は左あるいは右方向に変移するので、該磁石7が取付けられているタイロッド6も磁石7の変移によって左または右方向に変移する。このタイロッド6の変移により前輪5が操舵され、走行玩具はコースに沿って走行することになる。
【0035】
なお、前記した自動車玩具にあっては、受信機を搭載し遠隔操作によってモータ10の駆動を制御する場合について説明したが、本発明の走行玩具は必ずしも遠隔操作によって走行させるものではなく、自動車玩具に装備されているスイッチをオンしてモータを駆動することで、前記したと同様に磁石7と線路B3との吸引力で案内走行させることも可能である。
【0036】
前記した自動車玩具にあっては、タイロッド6は左右方向にフリーな状態となっているので、コースが直線の場合において磁石7と線路B3との吸引力によって磁石7が中央位置になるように制御されるが、高速走行時には前輪5が走行路Bとの摩擦によって左右方向に振れる可能性がある。
【0037】
そこで、図4(a)に示すように中央位置にある状態の磁石7と対向するシャーシ1側にブロック状の磁性体11を取付け、磁石7と磁性体11との吸引力によって磁石7が中央位置に戻るようにした。これにより、磁石7は常に中央位置を維持するようになるので、タイロッド6が前輪5を直進状態となるように制御することとなるので、直進走行時に前輪が左右方向に振れることなく安定した直進走行が行えるようにした。
【0038】
なお、磁石7と磁性体11との吸引力が強くなり過ぎると、タイロッド6が固定状態となってカーブを走行することができなくなる可能性がある。そこで、磁石7と磁性体11との間隔を調整して直進走行時には前輪が左右方向に振れることがなく、かつ、カーブ走行時には磁石が線路B3に追従できるような吸引力とすることが必要である。
【0039】
また、図4(b)においては、磁性体11に代えてタイロッド6と対向する固定部、すなわち、シャーシ1側に一対の弾性線材12の一端を固定し、該弾性部材12の他端をタイロッド6の端部に係止させ、これにより、前記磁石7と同様に弾性線材12がタイロッド6を直進状態となるように制御し、直進走行時に前輪が左右方向に振れることなく安定した直進走行が行える。
【0040】
前記弾性線材12のバネ力は前記した磁性体11の場合と同様に、直進走行時にはバネ力が作用して前輪が左右方向に振れることがなく、かつ、カーブ走行時には磁石が線路B3に追従できるようなバネ力とすることが必要である。
【0041】
前記した自動車玩具にあっては、タイロッド6に取付けられている磁石7が前輪5の車軸より前方の位置に取付けられているので、磁石7と線路B1との吸引力によって重心が前方になり、高速走行時に後輪8側が浮き、また、カーブの走行時に後輪8側が浮いて左右方向に振れる可能性がある。なお、その場合には、後輪側にウエイト錘などを配置して対処することが可能である。
【0042】
一方、図5(a)(b)に示すように、タイロッド6に形成した磁石7を取付けるための嵌合孔6aを延長部6bを介して少なくとも前輪の車軸より後方に延長して形成することで磁石の吸引中心点を前輪より後方に移動する。
【0043】
このように磁石の吸引中心点が前輪より後方に移動することで、磁石7と線路B1との吸引力が強くとも後輪8が浮くことがなく、従って、直進コースの高速走行時でも、カーブ走行時でも後輪8側が浮くことがなくなり、安定した走行が可能となる。
【0044】
前記した自動車玩具にあっては、磁石7をタイロッド6の長手方向の中心部分に取付け、あるいは、タイロッド6から延びた延長部6bに取付けた場合を示したが、図6に示すようにリンク11の中心部をシャーシ1に軸支し、該リンク11の一端に磁石7を嵌合固定する嵌合孔11aを形成し、他端11bをタイロッド6の長手方向の中心部に軸支したものであってもよい。
【0045】
このような構成とすることで、磁石7と線路B3との吸引力によって磁石7が吸引されるとリンク11が中心部を支点として回動されるので、該リンク11の他端11bに軸支されたタイロッド6が左右方向に変移する。従って、タイロッド6に取付けられている前輪5が操舵されて自動車玩具は旋回することとなり、自動車玩具は線路B3に誘導されてコースに沿って走行する。
【0046】
前記した自動車玩具にあっては、ダイキャスト製の置物モデルカーにおけるシャーシを模した底板を使用せずに新たにシャーシ1を作成した場合の実施例であるが、図7、図8に示す自動車玩具は上記ダイキャスト製の置物モデルカーの底板の一部を利用した場合の実施例である。
【0047】
この実施例にあっては、ダイキャスト製の置物モデルカーにおけるシャーシを模した底板の中央部分の底板をシャーシ1aに利用し、該シャーシ1aの前方に、磁石7を有するタイロッド6および該タイロッド6によって操舵される前輪5を取付けた前側シャーシ1bをネジ止めし、また、前記シャーシ1aの後方に、後輪8、減速機9およびモータ10を取付けた後側シャーシ1cを弾性板1fを介してネジ止めしたものである。
【0048】
このように構成した自動車玩具にあっては、ダイキャスト製の置物モデルカーの底板の一部を利用して前側シャーシ1bと後側シャーシ1cを取付けることで、前側シャーシ1bと後側シャーシ1cを他の近似寸法のダイキャスト製の自動車玩具に応用でき、従って、コストの低減を図ることができる。
【0049】
また、後側シャーシ1cとシャーシ1aとの接続を弾性板1fを介して取付けることで、サスペンションとしての役目を与えることができるので、走行の安定性が得られる。なお、前側シャーシ1bを弾性板を介してシャーシ1aに取付けることで同様な安定性が得られる。
【0050】
なお、図7、図8には図4に示した磁性体11や弾性線材12および図5に示した磁石7を延長部6bを介して後方に配置して磁石の吸引中心点を前輪より後方に移動する構成は開示されていないが、この実施例においても同様な構成とすることが望ましい。
【0051】
また、前記した全ての実施例では、ダイキャスト製の置物モデルカーを改良したものについて説明したが、ダイキャスト製の自動車玩具に応用するものに限定されるものではない。
【0052】
前記した走行路Bは1つのコースに設けられた線路B1に沿ってのみ走行するものであるが、図11の走行路Bは1つのコースから他のコースに移動して走行が行えるような走行路の一例を示したものである。
【0053】
図11の走行路Bは3つの基本コースが設けられており、各コースには線路B3が配置されている。そして、図11において、分岐部の線路B3aは外側のコースから内側のコースに誘導するための線路であり、また、分岐部の線路B3bは内側のコースから外側のコースに誘導するための線路である。
【0054】
次に、コース変更を行う場合の動作について説明するに、図11における逆U字状の左側における外側コースの線路B3に沿って走行している自動車玩具の速度が遅い場合には、分岐部の線路B3aに沿ってガイドされるため中央のコースにおける線路に移行されて走行することになりコース変更が行われる。また、速度が速い場合には、自動車玩具の磁石7は線路B3aにガイドされることなく惰性によって現在走行している走行コースの延長線上の線路にガイドされ直進することになる。
【0055】
また、中央のコースで走行している自動車玩具は最初の分岐部の線路B3a,B3bは走行方向の手前側から合流する分岐部であるので直進する。そして、次の分岐部において速度が遅い場合には、分岐部の路線B3aに磁石7が追従して内側のコースに移行する。
【0056】
また、速度が速い場合には、分岐部の路線B3aに磁石7は追従することなく惰性によって現在走行している中央のコースの路線に磁石7は追従する。一方、この中央のコースの路線に磁石7がガイドされた状態において速度を遅くすると、中央のコースを走行することになるが、中央のコースの路線に磁石7がガイドされた状態において速度が速いままであると、惰性によって分岐部の路線B3aから路線B3bに磁石7はガイドされ外側のコースに沿って磁石7は追従することとなり、その結果、中央のコースから外側のコースへとコース変更が行われる。
【0057】
さらに、内側のコースで走行している自動車玩具の速度を弱めると最初の分岐部の線路B3bに沿って磁石7がガイドされるため、中央のコースに変更され、その後は前記した中央のコースを走行している自動車玩具と同じ動作を行うものである。そして、最初の分岐部において速度が速い場合には、路線B3bに磁石7がガイドされることなく、内側のコースをそのまま直進することとなる。
【0058】
以上、説明したように、分岐部において自動車玩具の速度が遅い場合には、走行している路線と連続状態のコースの路線に磁石7が追従して走行することになり、自動車玩具の速度が速い場合には、走行している路線と離れている路線に磁石7が追従して走行することになる。
【符号の説明】
【0059】
1 シャーシ
5 前輪
6 タイロッド
7 磁石
8 後輪
9 減速機
10 モータ
B 走行路
B3 線路
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動輪が無線や赤外線による遠隔操作によって走行する、あるいは、エンドレス状の走行路をフリーに走行する走行玩具であって、走行玩具の前輪操舵部に取付けられた磁石が、走行路のコースに形成された磁性体の線路に沿って誘導され操舵されることで走行路のコースに沿って走行する走行玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のマグネットと磁性材との吸引力で走行する走行玩具としては、実開昭61−196795号公報に開示された考案がある。この走行玩具は、可撓性磁石がコースに沿って設けられた走行路と、該走行路の前記磁石に吸引されることで前記磁石に沿って案内される磁性材料製ボールベアリングと、モータやゼンマイ等で回転する駆動輪と、該駆動輪と前記ボールベアリングとの間におけるシャーシ裏面側に、前記走行路のコースの磁石とは極性が異なる極性が対向するように取付けられた磁石とより構成されている。
【0003】
そして、その動作は、駆動輪を駆動すると走行路の磁石と走行玩具のシャーシ裏面に取付けられた磁石との吸引力によって走行路のコースに従って走行すると共にボールベアリングと走行路の磁石との吸引力によって案内走行され、走行玩具は走行路の磁石に沿って規定のコースを走行するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭61−196795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記した先行技術文献に開示されている走行玩具にあっては、走行路の磁石と走行玩具のシャーシ裏面に取付けられた磁石との吸引力によって走行路のコースに従って走行する方式であるため、前記磁石どうしの吸引力が走行時の走行車両本体に常時直接作用しているため、高速走行が行えず、また、低速走行時には前記吸引力によって停止してしまう可能性もある。
【0006】
また、前輪が無くボールベアリングと走行路の磁石との吸引力のみで操舵するものであることから、走行速度が速い場合にはボールベアリングが磁石の磁力線外に出てしまってコースから外れる可能性があり、かつ、前輪が無いことから走行時の摩擦抵抗が大きく高速走行が行なえず、円滑な動きもできないことから走行時の見栄えも良くないといった問題がある。
【0007】
本発明は前記した問題点を解決せんとするもので、その目的とするところは、走行路に磁性体の線材をコースに沿って取付け、前輪の操舵部に磁石を取付け、該磁石と前記線材との吸引力によってタイロッドを左右方向に変移させることで前輪の操舵を行うようにしたので、前記線材に対する追従性が良好で半径が小さなカーブでも軌道から外れることがなく、従って、高速走行でも遊戯することができるものである。
【0008】
また、遠隔操作の場合には駆動力の制御を行うための1チャンネルの操縦機と受信機だけで操作できるのでコストの低減が図れ、かつ、従来の遠隔操作用の走行玩具に用いられていた操舵用サーボモータなどの制御用部品が不要となり、コンパクトに設計できるため走行玩具として実際に走行させる際のボディを選択するに当っても装飾用の非常に小さなダイキャストモデルカーにも応用することができるといった走行玩具を提供せんとするにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の走行玩具は前記した目的を達成せんとするもので、請求項1の手段は、シャーシに対して左右方向に変移して前輪の操舵を制御するタイロッドと、走行路における少なくとも1つのコースに配線された磁性体からなる線路との吸引力によって変移して前記タイロッドを介して前記前輪を前記線路方向に変移させる磁石と、後輪を駆動させるモータと、該モータを駆動する電池とより構成したことを特徴とする。
【0010】
請求項2の手段は、前記した請求項1において、前記磁石は、前記タイロッドに取付けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項3の手段は、前記した請求項1において、前記磁石は、シャーシに回動自在に軸支されたリンクの一端に取付けられ、該リンクの他端が前記タイロッドに軸支されていることを特徴とする。
【0012】
請求項4の手段は、前記した請求項2または3において、前記タイロッドまたは前記リンクに取付けられている磁石は、前記前輪の車軸近傍に位置するように取付けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項5の手段は、前記した請求項1において、前記タイロッドを左右方向に変移させる前記磁石と対向する位置の固定部に、前記磁石を左右方向から中心位置に戻すための磁性体を取付けたことを特徴とする。
【0014】
請求項6の手段は、前記した請求項1において、前記タイロッドと対向する位置の固定部に、一端が固定され他端が前記タイロッドに係止される前記磁石を左右方向から中心位置に戻すための弾性線材を取付けたことを特徴とする。
【0015】
請求項7の手段は、前記した請求項1において、前記モータの回転速度を遠隔操作によって駆動させる受信機を取付けたことを特徴する。
【0016】
請求項8の手段は、前記した請求項1において、前記シャーシに対して前記タイロッドを有する前輪側または前記モータを有する後輪側の少なくとも何れか一方にサスペンションとして作用する弾性板の一方を取付け、該弾性板の他端に少なくとも前記前輪側または前記後輪側を取付けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明は前記したように、走行路におけるコースに配線された磁性体からなる線路と、該線路との吸引力によって左右方向に変移する磁石によってタイロッドを左右方向に変移させて前輪を操舵する構造としたので、駆動輪である後輪を駆動することで線路に沿って走行することとなり、従って、操舵が不要となり小さな子供であっても遊戯することができる。
【0018】
また、前記タイロッドまたは前記リンクに取付けられている磁石を、前記前輪の車軸近傍に位置するように取付けることで、線路と磁石との吸引力によって後輪側のシャーシが浮くのを防止できるので、高速走行であっても安定した走行が可能となる。
【0019】
さらに、タイロッドまたは前記リンクに取付けられた磁石と対向する位置の固定部に、磁石を左右方向から中心位置に戻すための前記磁石との吸引力を発生するための磁性体を取付け、あるいは、タイロッドに弾性線材を係合して磁石が中心位置に戻るように構成したことにより、直進走行時に前輪が左右方向に振れることがなく安定した直進走行が可能となる。
【0020】
また、前記モータの回転速度を遠隔操作によって駆動させる受信機を取付けることで、遠隔操作によって走行玩具を走行させても前輪の操舵が不要であることからスピードのコントロールのみで走行制御が行えるので、従来の遠隔操作と同様な遊戯を楽しむことができる。
【0021】
さらに、シャーシに対してタイロッドを有する前輪側またはモータを有する後輪側の少なくとも何れか一方にサスペンションとして作用する弾性板の一方を取付け、弾性板の他端に少なくとも前輪側または後輪側を取付け可能としたので、ダイキャスト製の置物モデルカーにおける底板を改良して本発明の走行玩具とすることができ、従って、市販されている人気のある置物ダイキャストモデルカーを実際に走行させることができる等の効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る一実施例における走行玩具のボディを取付けた状態の平面図である。
【図2】図1のボディを取り除き磁石をタイロッドの中央部分に取付けた状態を示し、(a)は前輪を操舵していない状態の平面図、(b)は前輪を操舵した状態の平面図である。
【図3】図2(a)の要部の拡大底面図、(b)はA−A線断面図である。
【図4】磁石を左右方向から中心位置に戻す手段を示し、(a)は磁性体との吸引力によって行う裏面図、(b)は弾性線材のバネ力によって行う裏面図である。
【図5】磁石を前輪の車軸近傍に延長した延長片に取付けた状態を示し、(a)は前輪を操舵していない状態の平面図、(b)前輪を操舵した状態の平面図である。
【図6】磁石をシャーシに軸支されたリンクに取付けた状態を示し、(a)は前輪を操舵していない状態の平面図、(b)は前輪を操舵した状態の平面図である。
【図7】シャーシの一部を改良して前輪側と後輪側とをネジ止めした裏面図である。
【図8】図7の側面図である。
【図9】本発明の走行玩具を走行させるための走行路の一部を示す平面図である。
【図10】図10の一部を示す背面図である。
【図11】走行玩具のコース変更を可能とした走行路の一部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明に係る走行玩具の実施例について説明する。
図1〜図3は第1の実施例を示し、Aはダイキャスト製のボディを取付けた自動車玩具である。一般的なダイキャスト製の自動車玩具は置き物として観賞用に製造されているので手で押すことで走行は可能であるが、自走する構造にはなっていない。
【0024】
そこで、本発明はこのようなダイキャスト製のボディを取付けた自動車玩具Aに、前輪を操舵するタイロッドに磁石を取付け、該磁石と図8〜図10に示す走行路Bに形成した磁性体の線路B3との吸引力によってタイロッドを左右方向に変移させることで操舵を行い、また、後輪にモータを取付け、かつ、受信機(図示せず)を搭載し遠隔操作でモータの駆動を制御することで走行路Bの線路B3に沿って走行可能なように改良したものである。
【0025】
以下にその構造の詳細を以下に説明する。
1は図1に示すダイキャスト製のボディを取付けた自動車玩具Aのボディ2がネジ止め等の手段によって取付けられるシャーシにして、前記自動車玩具Aのボディ2に元々装着されていたシャーシを模した底板を使用せずに新たに作成した場合の実施例である。
【0026】
前記シャーシ1の前方に左右方向に突出する支持部材3が形成され、この支持部材3には操舵部材4が回動自在に軸支され、また、該操舵部材4には前輪5が回転自在に軸支されている。さらに、操舵部材4にはタイロッド6が取付けられ、該タイロッド6の長手方向の中央位置には円筒状の嵌合孔6aが形成されている。そして、この嵌合孔6aには磁石7が嵌め込まれ接着剤等によって固定されている。
【0027】
従って、磁石7が左右方向に変移するとタイロッド6が左右方向に移動するので前輪5が操舵されることになる。なお、磁石7の下面はシャーシ1に開口された孔1dより、後述する走行路Bの路面と一定距離を保った状態となるように前記嵌合孔6a内に固定されている。
【0028】
一方、シャーシ1の後方には駆動輪である後輪8が回転軸(図示せず)によって軸支され、該回転軸は減速機9を介してモータ10に連結されている。そして、シャーシ1に取付けられている受信機(図示せず)によって前記モータ10は回転制御される。また、図示しない受信機およびモータ10の電源である電池がシャーシ1の中央部に収納されている。
【0029】
次に、前記した構成の走行玩具を走行させるための走行路Bの構成を図9、図10と共に説明する。
走行路Bは合成樹脂の射出成形によって作成された直線状、S字状、U字状の多数のピースB1を、各ピースB1の両端に形成された連結部B2で連結して遊戯者の好みの走行コースを作成する構造となっている。
【0030】
そして、各ピースB1の裏面には図9に示すように磁性体の線路B3を嵌め込み固定するための突条部B4が形成されている。なお、前記線路B3を各ピースB1に取付ける手段としては、走行路Bを射出成形時にモールドしてもよく、また、各ピースの裏面側あるいは表面側に接着剤で固定するなど種々の取付け方法が考えられる。また、図示の各ピースB1には走行車線として2車線のものが示されているが、1車線でも2車線以上のものであってもよい。
【0031】
このような多数のピースB1を接続して好みのコースを構成した後、コースの1つに前記した自動車玩具を載置する。この時、線路B3と磁石7との吸引力が作用する位置に載置する。
【0032】
この状態において、送信機におけるモータ10を駆動するためのレバー等の操作摘みを操作すると、送信機よりのモータ駆動信号が送出されるので、該駆動信号を受信した受信機はモータ10に対して前進信号を出力しモータ10が回転を始める。
【0033】
自動車玩具が走行を開始すると磁石7は線路B3との吸引力によって、直進コースでは中央に位置した状態となっているので、タイロッド6は図2(a)に示す位置である前輪5を操舵しない状態となる。
【0034】
また、自動車玩具がU字状あるいはS字状のコースを走行すると、線路B3の吸引力によって磁石7は左あるいは右方向に変移するので、該磁石7が取付けられているタイロッド6も磁石7の変移によって左または右方向に変移する。このタイロッド6の変移により前輪5が操舵され、走行玩具はコースに沿って走行することになる。
【0035】
なお、前記した自動車玩具にあっては、受信機を搭載し遠隔操作によってモータ10の駆動を制御する場合について説明したが、本発明の走行玩具は必ずしも遠隔操作によって走行させるものではなく、自動車玩具に装備されているスイッチをオンしてモータを駆動することで、前記したと同様に磁石7と線路B3との吸引力で案内走行させることも可能である。
【0036】
前記した自動車玩具にあっては、タイロッド6は左右方向にフリーな状態となっているので、コースが直線の場合において磁石7と線路B3との吸引力によって磁石7が中央位置になるように制御されるが、高速走行時には前輪5が走行路Bとの摩擦によって左右方向に振れる可能性がある。
【0037】
そこで、図4(a)に示すように中央位置にある状態の磁石7と対向するシャーシ1側にブロック状の磁性体11を取付け、磁石7と磁性体11との吸引力によって磁石7が中央位置に戻るようにした。これにより、磁石7は常に中央位置を維持するようになるので、タイロッド6が前輪5を直進状態となるように制御することとなるので、直進走行時に前輪が左右方向に振れることなく安定した直進走行が行えるようにした。
【0038】
なお、磁石7と磁性体11との吸引力が強くなり過ぎると、タイロッド6が固定状態となってカーブを走行することができなくなる可能性がある。そこで、磁石7と磁性体11との間隔を調整して直進走行時には前輪が左右方向に振れることがなく、かつ、カーブ走行時には磁石が線路B3に追従できるような吸引力とすることが必要である。
【0039】
また、図4(b)においては、磁性体11に代えてタイロッド6と対向する固定部、すなわち、シャーシ1側に一対の弾性線材12の一端を固定し、該弾性部材12の他端をタイロッド6の端部に係止させ、これにより、前記磁石7と同様に弾性線材12がタイロッド6を直進状態となるように制御し、直進走行時に前輪が左右方向に振れることなく安定した直進走行が行える。
【0040】
前記弾性線材12のバネ力は前記した磁性体11の場合と同様に、直進走行時にはバネ力が作用して前輪が左右方向に振れることがなく、かつ、カーブ走行時には磁石が線路B3に追従できるようなバネ力とすることが必要である。
【0041】
前記した自動車玩具にあっては、タイロッド6に取付けられている磁石7が前輪5の車軸より前方の位置に取付けられているので、磁石7と線路B1との吸引力によって重心が前方になり、高速走行時に後輪8側が浮き、また、カーブの走行時に後輪8側が浮いて左右方向に振れる可能性がある。なお、その場合には、後輪側にウエイト錘などを配置して対処することが可能である。
【0042】
一方、図5(a)(b)に示すように、タイロッド6に形成した磁石7を取付けるための嵌合孔6aを延長部6bを介して少なくとも前輪の車軸より後方に延長して形成することで磁石の吸引中心点を前輪より後方に移動する。
【0043】
このように磁石の吸引中心点が前輪より後方に移動することで、磁石7と線路B1との吸引力が強くとも後輪8が浮くことがなく、従って、直進コースの高速走行時でも、カーブ走行時でも後輪8側が浮くことがなくなり、安定した走行が可能となる。
【0044】
前記した自動車玩具にあっては、磁石7をタイロッド6の長手方向の中心部分に取付け、あるいは、タイロッド6から延びた延長部6bに取付けた場合を示したが、図6に示すようにリンク11の中心部をシャーシ1に軸支し、該リンク11の一端に磁石7を嵌合固定する嵌合孔11aを形成し、他端11bをタイロッド6の長手方向の中心部に軸支したものであってもよい。
【0045】
このような構成とすることで、磁石7と線路B3との吸引力によって磁石7が吸引されるとリンク11が中心部を支点として回動されるので、該リンク11の他端11bに軸支されたタイロッド6が左右方向に変移する。従って、タイロッド6に取付けられている前輪5が操舵されて自動車玩具は旋回することとなり、自動車玩具は線路B3に誘導されてコースに沿って走行する。
【0046】
前記した自動車玩具にあっては、ダイキャスト製の置物モデルカーにおけるシャーシを模した底板を使用せずに新たにシャーシ1を作成した場合の実施例であるが、図7、図8に示す自動車玩具は上記ダイキャスト製の置物モデルカーの底板の一部を利用した場合の実施例である。
【0047】
この実施例にあっては、ダイキャスト製の置物モデルカーにおけるシャーシを模した底板の中央部分の底板をシャーシ1aに利用し、該シャーシ1aの前方に、磁石7を有するタイロッド6および該タイロッド6によって操舵される前輪5を取付けた前側シャーシ1bをネジ止めし、また、前記シャーシ1aの後方に、後輪8、減速機9およびモータ10を取付けた後側シャーシ1cを弾性板1fを介してネジ止めしたものである。
【0048】
このように構成した自動車玩具にあっては、ダイキャスト製の置物モデルカーの底板の一部を利用して前側シャーシ1bと後側シャーシ1cを取付けることで、前側シャーシ1bと後側シャーシ1cを他の近似寸法のダイキャスト製の自動車玩具に応用でき、従って、コストの低減を図ることができる。
【0049】
また、後側シャーシ1cとシャーシ1aとの接続を弾性板1fを介して取付けることで、サスペンションとしての役目を与えることができるので、走行の安定性が得られる。なお、前側シャーシ1bを弾性板を介してシャーシ1aに取付けることで同様な安定性が得られる。
【0050】
なお、図7、図8には図4に示した磁性体11や弾性線材12および図5に示した磁石7を延長部6bを介して後方に配置して磁石の吸引中心点を前輪より後方に移動する構成は開示されていないが、この実施例においても同様な構成とすることが望ましい。
【0051】
また、前記した全ての実施例では、ダイキャスト製の置物モデルカーを改良したものについて説明したが、ダイキャスト製の自動車玩具に応用するものに限定されるものではない。
【0052】
前記した走行路Bは1つのコースに設けられた線路B1に沿ってのみ走行するものであるが、図11の走行路Bは1つのコースから他のコースに移動して走行が行えるような走行路の一例を示したものである。
【0053】
図11の走行路Bは3つの基本コースが設けられており、各コースには線路B3が配置されている。そして、図11において、分岐部の線路B3aは外側のコースから内側のコースに誘導するための線路であり、また、分岐部の線路B3bは内側のコースから外側のコースに誘導するための線路である。
【0054】
次に、コース変更を行う場合の動作について説明するに、図11における逆U字状の左側における外側コースの線路B3に沿って走行している自動車玩具の速度が遅い場合には、分岐部の線路B3aに沿ってガイドされるため中央のコースにおける線路に移行されて走行することになりコース変更が行われる。また、速度が速い場合には、自動車玩具の磁石7は線路B3aにガイドされることなく惰性によって現在走行している走行コースの延長線上の線路にガイドされ直進することになる。
【0055】
また、中央のコースで走行している自動車玩具は最初の分岐部の線路B3a,B3bは走行方向の手前側から合流する分岐部であるので直進する。そして、次の分岐部において速度が遅い場合には、分岐部の路線B3aに磁石7が追従して内側のコースに移行する。
【0056】
また、速度が速い場合には、分岐部の路線B3aに磁石7は追従することなく惰性によって現在走行している中央のコースの路線に磁石7は追従する。一方、この中央のコースの路線に磁石7がガイドされた状態において速度を遅くすると、中央のコースを走行することになるが、中央のコースの路線に磁石7がガイドされた状態において速度が速いままであると、惰性によって分岐部の路線B3aから路線B3bに磁石7はガイドされ外側のコースに沿って磁石7は追従することとなり、その結果、中央のコースから外側のコースへとコース変更が行われる。
【0057】
さらに、内側のコースで走行している自動車玩具の速度を弱めると最初の分岐部の線路B3bに沿って磁石7がガイドされるため、中央のコースに変更され、その後は前記した中央のコースを走行している自動車玩具と同じ動作を行うものである。そして、最初の分岐部において速度が速い場合には、路線B3bに磁石7がガイドされることなく、内側のコースをそのまま直進することとなる。
【0058】
以上、説明したように、分岐部において自動車玩具の速度が遅い場合には、走行している路線と連続状態のコースの路線に磁石7が追従して走行することになり、自動車玩具の速度が速い場合には、走行している路線と離れている路線に磁石7が追従して走行することになる。
【符号の説明】
【0059】
1 シャーシ
5 前輪
6 タイロッド
7 磁石
8 後輪
9 減速機
10 モータ
B 走行路
B3 線路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャーシに対して左右方向に変移して前輪の操舵を制御するタイロッドと、走行路における少なくとも1つのコースに配線された磁性体からなる線路との吸引力によって変移して前記タイロッドを介して前記前輪を前記線路方向に変移させる磁石と、後輪を駆動させるモータと、該モータを駆動する電池とより構成したことを特徴とする走行玩具。
【請求項2】
前記磁石は、前記タイロッドに取付けられていることを特徴とする請求項1記載の走行玩具。
【請求項3】
前記磁石は、シャーシに回動自在に軸支されたリンクの一端に取付けられ、該リンクの他端が前記タイロッドに軸支されていることを特徴とする請求項1記載の走行玩具。
【請求項4】
前記タイロッドまたは前記リンクに取付けられている磁石は、前記前輪の車軸近傍に位置するように取付けられていることを特徴とする請求項2または3記載の走行玩具。
【請求項5】
前記タイロッドを左右方向に変移させる前記磁石と対向する位置の固定部に、前記磁石を左右方向から中心位置に戻すための磁性体を取付けたことを特徴とする請求項1記載の走行玩具。
【請求項6】
前記タイロッドと対向する位置の固定部に、一端が固定され他端が前記タイロッドに係止される前記磁石を左右方向から中心位置に戻すための弾性線材を取付けたことを特徴とする請求項1記載の走行玩具。
【請求項7】
前記モータの回転速度を遠隔操作によって駆動させる受信機を取付けたことを特徴する請求項1記載の走行玩具。
【請求項8】
前記シャーシに対して前記タイロッドを有する前輪側または前記モータを有する後輪側の少なくとも何れか一方にサスペンションとして作用する弾性板の一方を取付け、該弾性板の他端に少なくとも前記前輪側または前記後輪側を取付けたことを特徴とする請求項1記載の走行玩具。
【請求項1】
シャーシに対して左右方向に変移して前輪の操舵を制御するタイロッドと、走行路における少なくとも1つのコースに配線された磁性体からなる線路との吸引力によって変移して前記タイロッドを介して前記前輪を前記線路方向に変移させる磁石と、後輪を駆動させるモータと、該モータを駆動する電池とより構成したことを特徴とする走行玩具。
【請求項2】
前記磁石は、前記タイロッドに取付けられていることを特徴とする請求項1記載の走行玩具。
【請求項3】
前記磁石は、シャーシに回動自在に軸支されたリンクの一端に取付けられ、該リンクの他端が前記タイロッドに軸支されていることを特徴とする請求項1記載の走行玩具。
【請求項4】
前記タイロッドまたは前記リンクに取付けられている磁石は、前記前輪の車軸近傍に位置するように取付けられていることを特徴とする請求項2または3記載の走行玩具。
【請求項5】
前記タイロッドを左右方向に変移させる前記磁石と対向する位置の固定部に、前記磁石を左右方向から中心位置に戻すための磁性体を取付けたことを特徴とする請求項1記載の走行玩具。
【請求項6】
前記タイロッドと対向する位置の固定部に、一端が固定され他端が前記タイロッドに係止される前記磁石を左右方向から中心位置に戻すための弾性線材を取付けたことを特徴とする請求項1記載の走行玩具。
【請求項7】
前記モータの回転速度を遠隔操作によって駆動させる受信機を取付けたことを特徴する請求項1記載の走行玩具。
【請求項8】
前記シャーシに対して前記タイロッドを有する前輪側または前記モータを有する後輪側の少なくとも何れか一方にサスペンションとして作用する弾性板の一方を取付け、該弾性板の他端に少なくとも前記前輪側または前記後輪側を取付けたことを特徴とする請求項1記載の走行玩具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−240280(P2010−240280A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−94587(P2009−94587)
【出願日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(390024822)京商株式会社 (15)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(390024822)京商株式会社 (15)
【Fターム(参考)】
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