説明

走行車両のトランスミッション

【課題】前輪と後輪とを略等しい速度で、又は前輪を後輪に比較して高速で駆動することができる前輪変速手段を簡単なクラッチ構造で構成することを課題としている。
【解決手段】前輪2及び後輪3を駆動するトランスミッションの前輪変速手段における標準駆動クラッチ36と高速駆動クラッチ38とを、各々が別のハウジングを持つ別体の多板式摩擦クラッチとして、標準駆動クラッチ36を、スプリング51によって駆動力の伝動状態が維持される構造とし、高速駆動クラッチ38を、駆動力の伝動状態への切り換えが、油圧又は機械的な操作によって行われる構造とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前輪変速手段を備えたトラクタ等の走行車両のトランスミッションに関する。
【背景技術】
【0002】
従来前輪及び後輪を駆動するトランスミッションに、前輪を後輪と略等しい速度で駆動する標準駆動クラッチと、前輪を後輪に比較して高速で駆動する高速駆動クラッチとを備えた前輪変速手段を設けた走行車両が公知となっている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−180174号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記トランスミッションにおける標準駆動クラッチと高速駆動クラッチは、標準駆動クラッチと高速駆動クラッチとが1つのハウジング内に構成されている2パック方式となっている。このため標準駆動クラッチ(第一油圧クラッチ)を入り状態とさせるスプリングの付勢力が、ハウジング内のスペースの関係で限定され、標準駆動クラッチを入り作動状態に維持するためにアシスト機構として油圧機構が構成されており、構成が複雑化するという欠点があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するための本発明の走行車両のトランスミッションは、前輪2及び後輪3を駆動するトランスミッションに、前輪2を後輪3と略等しい速度で駆動する標準駆動クラッチ36と、前輪2を後輪3に比較して高速で駆動する高速駆動クラッチ38とを備えた前輪変速手段を設けた走行車両のトランスミッションにおいて、標準駆動クラッチ36と高速駆動クラッチ38とを、各々が別のハウジングを持つ別体の多板式摩擦クラッチとし、標準駆動クラッチ36を、スプリング51によって駆動力の伝動状態が維持される構造のクラッチとし、高速駆動クラッチ38を、駆動力の伝動状態への切り換えが、油圧又は機械的な操作によって行われる構造のクラッチとしたことを第1の特徴としている。
【0005】
第2に標準駆動クラッチ36を、前輪2に対して駆動力を出力する前輪駆動軸41に外装されるスリーブ42の外周に一体的に構成したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
以上のように構成される本発明の構造によると、標準駆動クラッチと高速駆動クラッチとが1つのハウジング内に構成されている2パック方式とは異なるため、標準駆動クラッチを単独で取り扱うことができ、標準駆動クラッチを駆動力の伝動状態(入り状態)に維持するスプリングが強いタイプのものとすることができる。上記2パック方式の場合、スペースの関係でスプリングの付勢力が限定される場合がある。この場合は標準駆動クラッチを入り作動状態に維持するためにアシスト機構を設ける必要がある。
【0007】
これに対して標準駆動クラッチを入り状態に維持するスプリングが強いタイプのものを使用することによって、上記アシスト機構等が不要となり、標準駆動クラッチをスプリングのみによって入り状態に維持することができ、クラッチ周りの構造を簡単にすることができるという利点がある。
【0008】
一方標準駆動クラッチを、前輪に対して駆動力を出力する前輪駆動軸に外装されるスリーブの外周に一体的に構成することによって、前輪駆動軸をスリーブに装着することによって標準駆動クラッチの取り付けが完了し、標準駆動クラッチの組立てを簡単に行うことができる他、標準駆動クラッチ及び高速駆動クラッチ周りの構造が簡単となるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は本発明のトランスミッションを採用したトラクタの正面斜視図である。該トラクタの走行機体1は、従来同様左右の前後輪2,3を備えている。走行機体1のボンネット4内にはエンジンが設けられている。エンジンからの駆動力が、図2に示されるトランスミッションに入力される。
【0010】
エンジンからの駆動力は、トランスミッションにおいて変速され、リヤアクスル,フロントアクスル,作業機駆動軸(PTO軸)7に対して出力される。走行機体1は後輪3のみの2輪駆動又は前後輪2,3の4輪駆動によって走行する。
【0011】
オペレータはキャビン6内に構成される運転席のステアリングハンドルを操作によって前輪2を操作し、走行機体1の操向を行うことができる。走行機体1の後方に連結される作業機(図示しない)は、PTO軸7からの駆動力によって駆動される。
【0012】
図2はトランスミッションの構成図である。エンジンからの駆動力は、インプットシャフト12に入力される。トランスミッションに入力された駆動力は、インプットシャフト12から、ギヤ13を介して、シャフト14に自由回転自在に軸支されたギヤ16に伝動される。
【0013】
ギヤ16に伝動された駆動力は、ギヤ16から主変速部17のギヤ18,ギヤ19を介して主変速されてシャフト21に伝動される。シャフト21に伝動された駆動力は、シャフト21から副変速部22のギヤ23,ギヤ24を介して副変速されてシャフト14に伝動される。
【0014】
シャフト14に伝動された駆動力はピニオンギヤ27を介してリヤのディファレンシャルギヤ28側に伝動され、リヤアクスルが駆動され、後輪3が駆動される。ギヤ16に伝動された駆動力は、主変速部17のギヤ18からPTO変速部29のギヤ31を介してPTO変速され、シャフト32に伝動される。シャフト32からPTO軸7に駆動力が伝動される。
【0015】
シャフト14に伝動された駆動力は、ギヤ33を介してシャフト32に自由回転自在に軸支されたギヤ34に伝動される。ギヤ34は、前輪標準駆動用の駆動力を出力する標準ギヤ部34Aと、前輪高速駆動用の駆動力を出力する高速ギヤ部34Bとを備える。
【0016】
標準ギヤ部34Aから、前輪駆動軸41に前輪標準駆動用の駆動力を伝動する標準駆動クラッチ36に駆動力が伝動される。高速ギヤ部34Bから、前輪駆動軸41に前輪高速駆動用の駆動力を伝動する高速駆動クラッチ38に駆動力が伝動される。前輪駆動軸41からフロントアクスル側に駆動力が伝動され、前輪2が駆動される。
【0017】
両クラッチ36,38は、連結軸39によって連動するように連結されている。連結軸39を介して標準駆動クラッチ36と高速駆動クラッチ38とを択一的に入り状態とすることによって、いずれか一方のクラッチ36又は38を介して、前輪駆動軸41を異なる回転数で駆動することができる。
【0018】
標準駆動クラッチ36を入り状態として前輪駆動軸41に駆動力を伝動する場合より、高速駆動クラッチ36を入り状態として前輪駆動軸41に駆動力を伝動する場合の方が前輪駆動軸41は高速で駆動される。標準駆動クラッチ36及び高速駆動クラッチ38を共に切り状態とすることにより、前輪駆動軸41への駆動力の伝動を断つこともできる。
【0019】
トランスミッションは以上のように構成されており、本トラクタは、両クラッチ36,38を切り状態とすることにより、後輪3のみの2輪駆動走行を行うことができる。標準駆動クラッチ36を入り状態とすることにより、前輪2を標準状態で駆動し、通常の4輪駆動走行を行うことができる。高速駆動クラッチ38を入り状態(標準駆動クラッチ36は切り状態)とすることにより、通常の4輪駆動走行時より高速に前輪2を駆動した4輪駆動走行を行うことができる。
【0020】
前輪2は上記標準状態では、後輪3と略同じ速度で駆動され、上記高速駆動状態では。後輪3の略2倍の速度で駆動される。両クラッチ36,38は、ステアリングハンドルの切れ角が所定角度より大きくなると、標準駆動クラッチ36が切り状態となり、且つ高速駆動クラッチ38が入り状態となる。これにより旋回時に、前輪2を後輪3に比較して約2倍の速度に高速駆動し、本トラクタを、極小さな旋回半径で旋回(スピンターン)させることができる。
【0021】
上記のように本トランスミッションには、独立した標準駆動クラッチ36と高速駆動クラッチ38とを、連結軸39で連係動作させることによって、前輪2の駆動速度を標準と高速の2段階に変速することができ、且つニュートラルを備えた前輪変速手段が構成され、設けられている。上記前輪変速手段は、ステアリングハンドルと連繋されており、ステアリングハンドルの切れ角に応じて前輪2を高速駆動して走行機体1をスピンターンさせることができる。
【0022】
標準駆動クラッチ36は、多板式摩擦クラッチからなる。前輪駆動軸41が挿入されるスリーブ42に、標準駆動クラッチ36のクラッチハウジング43が自由回転自在に装着されている。クラッチハウジング43の外周に、標準ギヤ部34Aと噛合する標準入力ギヤ44が設けられている。
【0023】
図2,図3に示されるように、クラッチハウジング43内にディスクプレート46が一体的に設けられている。クラッチハウジング43内に位置するボス47が、スリーブ42に一体回転するように挿嵌されている。ボス47には、ディスクプレート46を挟むようにセパレータプレート48が設けられている。
【0024】
ディスクプレート46とセパレータプレート48との押接を操作するシフト部材49がスリーブ42にスライド可能に外嵌されている。シフト部材49とスリーブ42との間には、ディスクプレート46とセパレータプレート48とを押接させるように、シフト部材49をディスクプレート46側を押圧する皿バネ51が設けられている。皿バネ51はスリーブ42に外嵌されている。
【0025】
標準駆動クラッチ36は、皿バネ51によって初期状態が入り状態(駆動力の伝動状態)となっている。皿バネ51の付勢力に抗してシフト部材49のディスクプレート46側への押圧を解除し、ディスクプレート46とセパレータプレート48との押接状態を解除することによって、標準駆動クラッチ36が切り状態(駆動力の非伝動状態)となる。
【0026】
図2に示されるように、高速駆動クラッチ38は、多板式摩擦クラッチからなる。前輪駆動軸41のスリーブ42より突出した部分に、高速駆動クラッチ38のクラッチハウジング52が自由回転自在に装着されている。クラッチハウジング52の外周に、高速ギヤ部34Bと噛合する高速入力ギヤ53が設けられている。
【0027】
クラッチハウジング52内にディスクプレート54が一体的に設けられている。クラッチハウジング52内に位置するボス56が、前輪駆動軸41に一体回転するように挿嵌されている。ボス56にディスクプレート54を挟むようにセパレータプレート57が設けられている。
【0028】
ディスクプレート54とセパレータプレート57との押接を操作するシフト部材58が前輪駆動軸41にスライド可能に外嵌されている。ディスクプレート54とセパレータプレート57とを押接させるように、シフト部材58をディスクプレート54側を押圧することによって、高速駆動クラッチ38が入り状態(駆動力の伝動状態)となる。シフト部材58のディスクプレート54側への押圧を解除し、ディスクプレート54とセパレータプレート57との押接状態を解除することによって、高速駆動クラッチ38が切り状態(駆動力の非伝動状態)となる。
【0029】
標準駆動クラッチ36のシフト部材49と高速駆動クラッチ38のシフト部材58には、それぞれにシフトアーム59,61が装着されている。両シフトアーム59,61が前述の連結軸39によって連結されている。高速駆動クラッチ38のシフト部材58は、シフトアーム59,61と連結軸39を介した皿バネ51の付勢力によって、ディスクプレート54側への押圧が解除されるように付勢されている。高速駆動クラッチ38は、初期状態が切り状態となっている。
【0030】
連結軸39には、オイルの流通用の油路63が穿設されている。該油路63によって、標準駆動クラッチ36側にオイルを供給することができる。該油路63を介して標準駆動クラッチ36側にオイルを供給することによって、シフト部材49が、皿バネ51の付勢力に抗して皿バネ51を縮めるようにスライド移動する。
【0031】
これによりディスクプレート46とセパレータプレート47との押接が解除され、標準駆動クラッチ36が切り状態となる。この際標準駆動クラッチ36のシフト部材49とシフトアーム59と連結軸39とシフトアーム61を介して高速駆動クラッチ38のシフト部材58がスライド駆動され、高速駆動クラッチ38が入り状態に切り換えられる。標準駆動クラッチ36と高速駆動クラッチ38は以上のように選択的にいずれか一方が入り状態となる。あるいは両クラッチ36,38が共に切り状態となる。
【0032】
上記油路63へのオイルの供給は、ステアリングハンドル側及び運転席に設けられた2駆と4駆の切換スイッチに連係されている。該切換スイッチを2駆側に操作することによって、両クラッチ36,38が共に切り状態となる程度に、上記油路63にオイルが供給され、後輪3のみの2輪駆動走行が行われる。
【0033】
上記切換スイッチを4駆側に操作すると、油路63にオイルが供給されることはなく、標準駆動クラッチ36が入り状態、且つ高速駆動クラッチ38が切り状態となる初期状態で前輪2及び後輪3による4輪駆動走行が行われる。
【0034】
またステアリングハンドルの切れ角が所定角度より大きくなると、上記油路63にオイルが供給され、前述のように標準駆動クラッチ36が切り状態、且つ高速駆動クラッチ38が入り状態となり、前輪2が後輪3に比較して略約2倍の速度で高速駆動された状態で旋回し、スピンターンが行われる。
【0035】
上記のように標準駆動クラッチ36と高速駆動クラッチ38を各々単独で取り扱うことができ、標準駆動クラッチ36を初期状態で入り状態に維持する皿バネ51(スプリング)が強いタイプのものを使用することができる。本実施形態においても標準駆動クラッチ36に、入り状態を維持する皿バネ51が強いタイプのものが使用されている。
【0036】
これによって標準駆動クラッチ36を入り作動状態に維持するための油圧等のアシスト機構が不要となり、標準駆動クラッチ36を皿バネ51のみによって入り状態に維持することができ、クラッチ周りの構造を簡単にすることができる。
【0037】
また標準駆動クラッチ36が、前輪駆動軸41のスリーブ42の外周に一体的に構成されているため、前輪駆動軸41をスリーブ42に装着することによって標準駆動クラッチ36の取り付けが完了する。これにより標準駆動クラッチ36の組立てを簡単に行うことができる。またクラッチ36,38の周りの構造が簡単となる。
【0038】
両クラッチ36,38のシフト部材49,58の操作機構を図4に示されるように構成することもできる。図4に示されるように、標準駆動クラッチ36のシフト部材49のシフタアーム59と、高速駆動クラッチ38のシフト部材58のシフトアーム61とに、各々別々のシフト軸66,67を連結して設ける。
【0039】
図5に示されるように、両シフト軸66,67は平行に並べて配置される。両シフト軸66,67の端部には、両シフト軸66,67各々に対応するカム69,71が1つの支軸68に取り付けられて配されている。上記支軸68を回転させることによってシフト軸66,67の端面と当接するカム69,71のカム面の位置が切り換る。これにより各カム69,71が各々対応するシフト軸66,67を操作し、標準駆動クラッチ36と高速駆動クラッチ38の入り状態と切り状態を切り換える。
【0040】
なお高速駆動クラッチ38のシフト部材58は、高速駆動クラッチ38を切り状態とするように、スプリング72によって付勢されている。スプリング72によってシフト軸66がカム69のカム面に押接されている。シフト軸67は、皿バネ51によってカム71のカム面に押接されている。
【0041】
図6に示されるように、支軸68は、両カム69,71によって、標準駆動クラッチ36のみを入り状態とする標準駆動ポジションA、両クラッチ36,38をともに切り状態とする2駆ポジションB、高速駆動クラッチ38のみを入り状態とする高速駆動ポジションCの3つのポジションを持つ。
【0042】
各ポジションは支軸68の回転によって切り換えられる。図5に示されるように、支軸68はトランスミッションのミッションケース側に回動自在に支持されている。支軸68は、油圧シリンダ73のピストンロッド74とアーム76を介して連結されている。支軸68は、油圧シリンダ73の駆動によるピストンロッド74の伸縮によってアーム76を介して回動駆動される。
【0043】
油圧シリンダ73は、図7に示されるように、3つのポートを備えた3位置切り換えタイプとなっている。図7(a)に示されるように、第1ポートP1をドレインし、第3ポートP3にオイルを供給することによってピストンロッド74が最縮状態となる。
【0044】
図7(b)に示されるように、第1ポートP1と第3ポートP3の両方にオイルを供給することによってピストンロッド74が最縮状態と最伸状態との中間に位置に伸びる中伸状態となる。図7(c)に示されるように、第1ポートPにオイルを供給し、第3ポートP3をドレインすることによってピストンロッドが最伸状態となる。
【0045】
ピストンロッド74の突出長さによって支軸68の回動角度が決定されるため、ピストンロッド74の図7(a)に示される最縮状態で、支軸68が標準駆動ポジションAとなる。
【0046】
図7(b)に示されるピストンロッド74の中伸状態で、支軸68が2駆ポジションBとなり、図7(c)に示されるピストンロッドの最伸状態で、支軸68が高速駆動ポジションCとなるようにセッティングされている。
【0047】
油圧シリンダ73のピストンロッド74の状態を切り換えるバルブ77,78を、ステアリングハンドルの切れ角や、前述の2駆と4駆の切換スイッチの入り切りに基づき作動させ、ピストンロッド74を伸縮させるように構成することによって、前述のようにカム69,71によって標準駆動クラッチ36と高速駆動クラッチ38の入り切りを操作して、2駆走行や4駆走行、スピンターンを行わせることができる。
【0048】
上記のように各クラッチ36,38を各々各別のカム69,71によって操作するように構成することによって、前輪駆動軸41に油路63を穿設する必要がなく、また標準駆動クラッチ36の油圧回路も不要となる。これにより標準駆動クラッチ36の構造を更に簡単にすることができる。
【0049】
また両クラッチ36,38をシフト軸62によって連動させる必要がないため、特に両クラッチ36,38を共に切り状態とすることが容易となり、両クラッチ36,38のコントロールが簡単となる。
【0050】
なお図4において、図2と同一符号は同一部品を示し、同一機能については説明を割愛する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本トランスミッションを採用したトラクタの正面斜視図である。
【図2】トランスミッションの構成図である。
【図3】標準駆動クラッチの部分図である。
【図4】他の実施形態のトランスミッションの構成図である。
【図5】カム部分の正面図である。
【図6】カム部分の側面図である。
【図7】油圧シリンダの概要図であり、(a)はピストンロッドの最縮状態、(b)はピストンロッドの中伸状態、(c)はピストンロッドの最伸状態を示す。
【符号の説明】
【0052】
2 前輪
3 後輪
36 標準駆動クラッチ
38 高速駆動クラッチ
41 前輪駆動軸
42 スリーブ
51 皿バネ(スプリング)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前輪(2)及び後輪(3)を駆動するトランスミッションに、前輪(2)を後輪(3)と略等しい速度で駆動する標準駆動クラッチ(36)と、前輪(2)を後輪(3)に比較して高速で駆動する高速駆動クラッチ(38)とを備えた前輪変速手段を設けた走行車両のトランスミッションにおいて、標準駆動クラッチ(36)と高速駆動クラッチ(38)とを、各々が別のハウジングを持つ別体の多板式摩擦クラッチとし、標準駆動クラッチ(36)を、スプリング(51)によって駆動力の伝動状態が維持される構造のクラッチとし、高速駆動クラッチ(38)を、駆動力の伝動状態への切り換えが、油圧又は機械的な操作によって行われる構造のクラッチとした走行車両のトランスミッション。
【請求項2】
標準駆動クラッチ(36)を、前輪(2)に対して駆動力を出力する前輪駆動軸(41)に外装されるスリーブ(42)の外周に一体的に構成した請求項1の走行車両のトランスミッション。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−161197(P2007−161197A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−363457(P2005−363457)
【出願日】平成17年12月16日(2005.12.16)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】