説明

超小型近接撮影装置用アダプター

【技術課題】
周面観察と垂直方向からの観察をアダプターに取り付けた反射ミラーの切り替えだけで可能にした超小型近接撮影装置用アダプターを提供する。
【解決手段】
超小型近接撮影装置用アダプターにおいて、CCDカメラのレンズ2と被観察物体b間において、前記被観察物体bの周囲を周回しながらその周面を観察して光軸方向へ光を反射する周面観察用反射ミラー7と、前記周面観察用反射ミラー7からの光を光軸上で受けてカメラ方向へ反射する光軸反射ミラー9とから成る周面観察手段と、被観察物体bを垂直方向から観察した光を周方向に反射する第1光軸反射ミラー15と、この光を垂直方向へ反射する第1周面反射ミラー13と、この光を光軸a方向へ反射する第2周面反射ミラー14と、この光をCCDカメラ方向へ反射する光軸反射ミラー9で垂直方向からの観察手段を構成し、この切り替えだけで被観察物体bを周面及び垂直方向の両面から観察可能に構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CCDカメラと称される超小型近接撮影装置に取り付けて用いられるアダプター関し、更に詳しくは、被観察物体を周面及び垂直方向から観察することができる超小型近接撮影装置用アダプターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の超小型近接撮影装置用アダプターにおいて、被観察物体を垂直面から観察する装置以外に、周面から立体的に観察する装置として、本出願人は特許第3884558号公報に開示された内容のものを提案している。
【0003】
しかし、同一の被観察物体を周面と垂直方向から観察したい場合、あるいは一つの被観察物体は周面方向から、別の物体は垂直方向から観察したい場合には、周面観察用アダプターと垂直方向からの観察用アダプターを用意しておき、これを観察のたびごとにカメラに付け換える必要があり、大変面倒であった。
【0004】
また、周面方向と垂直方向とでそれぞれピントを合わせるためには、アダプターを付け換えた後でレンズの位置(焦点)を調整しなければならず、面倒であると共に、観察倍率が高い場合には被観察物体を見失ってしまうという不具合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3884558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記した課題を解消するのが目的であって、具体的には、周囲及び垂直方向からの観察において、いちいちアダプターを交換したり、この交換した際にいちいちピント合わせを行う必要のない超小型近接撮影装置用アダプターを提供するのが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、超小型近接撮影装置用アダプターにおいて、CCDカメラと被観察物体間において、前記被観察物体の周囲を周回しながらその周面を観察して光軸方向へ光を反射する周面観察用反射ミラーと、前記周面観察用反射ミラーからの光を光軸上で受けて前記CCDカメラ方向へ反射する光軸反射ミラーとで構成された周面観察手段と、被観察物体を垂直方向から観察した光を周方向へ反射する第1光軸反射ミラーと、この周方向へ反射した光を受けて垂直方向へ反射する第1周回反射ミラーと、この垂直方向で受けた光を光軸方向へ反射する第2周回反射ミラーと、前記第2周回反射ミラーからの光を受けてCCDカメラ方向へ反射する第2光軸反射ミラーとで構成された垂直方向からの観察手段を設け、前記周面観察手段と垂直方向からの観察手段の切り換えにより被観察物体を周面及び垂直面の双方から観察可能に構成して成ることを特徴とするものである。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の超小型近接撮影装置用アダプターにおいて、CCDカメラの前方において、光軸を中心として回転するロータリーリングと、このロータリーリングに対して被観察物体を斜め方向から観察した光を光軸方向へ反射する周面観察用反射ミラーと、前記周面観察用反射ミラーで反射された光を光軸上で受けてCCDカメラ方向へ反射する光軸反射ミラーとで構成された周面観察手段を取り付けると共に、被観察物体を垂直方向から観察した光を周方向へ反射する第1光軸反射ミラーと、この第1光軸反射ミラーからの光を受けて垂直方向へ反射する第1周回反射ミラーと、この第1周回反射ミラーからの光を受けて光軸方向へ光を反射する第2周回反射ミラーと、この第2周回反射ミラーからの光を光軸上で受けてCCDカメラ方向へ反射する第2光軸反射ミラーから成る垂直方向からの観察手段を取り付け、被観察物体を周面観察する際は前記周面観察手段により、被観察物体を垂直方向から観察する際は、ロータリーリングに取り付けられたミラー取付枠を回転させて前記垂直方向からの観察手段に切り換えて観察を行うことができるように構成して成ることを特徴とするものである。
【0009】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の超小型近接撮影装置用アダプターにおいて、前記第1及び第2光軸反射ミラーは、ロータリーリングに対して共通のマウントにより取り付けられていることを特徴とするものである。
【0010】
また、請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の超小型近接撮影装置用アダプターにおいて、前記第1及び第2周回反射ミラーは、ロータリーリングに対して共通のマウントにより取り付けられていることを特徴とするものである。
【0011】
また、請求項5に記載の発明は、請求項3又は4のいずれか1項に記載の超小型近接撮
影装置用アダプターにおいて、前記第1、第2光軸反射ミラー及び第1、第2周回反射ミラーを取り付けたマウントは、ロータリーリングに対して光軸方向へ向けて微調整自在に取り付けられていることを特徴とするものである。
【0012】
また、請求項6に記載の発明は、請求項2に記載の超小型近接撮影装置用アダプターにおいて、前記第1及び第2光軸反射ミラーをプリズムで構成して成ることを特徴とするものである。
【0013】
また、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の超小型近接撮影装置用アダプターにおいて、前記第1及び第2周回反射ミラーをプリズムで構成して成ることを特徴とするものである。
【0014】
また、請求項8に記載の発明は、超小型近接撮影装置用アダプターにおいて、前記プリズムは、ロータリーリングに対して光軸方向へ向けて微調整自在に取り付けられていることを特徴とすることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明は以上のとおり、一つのアダプターを用いて周面観察と垂直方向からの観察を行うことができるため、従来のようにいちいちカメラの前面に周面と垂直方向用アダプターを付け換えて観察を行う必要がなく、便利である。
【0016】
また、従来のようにアダプターを交換した際に、ピント調整をいちいち行ったり、高倍率観察の際に被写体を見失わず(X軸、Y軸)、ピントの調整(Z軸)が不必要となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】CCDカメラの前方に本発明に係るアダプターを取り付けた状態を光軸方向 から見た正面図である。
【図2】A−A´線断面図である。
【図3】垂直方向からの観察に切り替えた状態を光軸方向から見た正面図である。
【図4】B−B´線断面図である。
【図5】反射ミラーをプリズム化した状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、CCDカメラを用いて行う超小型近接撮影装置に取り付けられて用いられるアダプターであって、被観察物体(以下「被写体」という。)を周面と垂直方向の双方から観察することができる点に特徴がある。
【実施例1】
【0019】
図1乃至図4に基づいて本発明の実施例1を詳細に説明する。図1は光軸a方向(被写体方向)から装置を見た正面図、図2はA−A´線断面図であって、1はCCDカメラの前方であって、レンズ2側に取付リング3により取り付けられた取付枠であって、この取付枠1には、ベアリング4を介して光軸aを中心として回転する反射ミラー取付用ロータリーリング5が組み付けられている。
【0020】
6は前記ロータリーリング5に対して回転調整自在に取り付けられた周回観察手段における反射ミラー取付枠であって、この取付枠6には光軸a方向に向けて調整ねじ8により微調整可能に被写体b(焦点)に向け、かつ光軸a方向へ水平に光を反射する周面反射ミラー7が取り付けられている。
【0021】
9は光軸aの位置において、前記周面反射ミラー7からの光を受けて光軸a方向(CCDカメラのレンズ2方向)へ光を反射する周面観察手段としての光軸反射ミラーであって、この光軸反射ミラー9は、前記周面反射ミラー7と同様に取付枠5に対してミラーマウント10を介して取り付けられている。
【0022】
11はロータリーリング5に対して回転自在に取り付けられたミラー取付枠6を回転させることにより、周面と垂直方向からの観察にミラー群を切り替えるときに用いる切り替え手段である。
【0023】
符号の12は前記反射ミラー取付枠6に対して前記周面観察手段としての周面反射ミラー7から90°回転した位置に取り付けられた垂直方向からの観察手段としての第1、第2周回反射ミラーマウントであって、このマウント12には、図4に示すように、第1光軸反射ミラー15から来た光を垂直方向に反射する第1周面反射ミラー13と、この第1周面反射ミラー13で反射された光を受けて光軸a方向へ反射する第2周面反射ミラー14が取り付けられている。
【0024】
次に、上記した本発明について、被写体bの周面観察と垂直方向からの観察を説明する。
【0025】
周面観察状態は、図1及び図2に示されていて、周面反射ミラー7と光軸反射ミラー9を対向させると被写体bからの光は周面反射ミラー7へ入り、ここで光軸反射ミラー9側へ反射し、光軸反射ミラー9からCCDカメラのレンズ2へ入光される。この結果、ロータリーリング5を周回させることにより、被写体bの周囲をCCDカメラで観察することができる。
【0026】
次に垂直方向からの観察を行う場合には、図3に示すように取付枠6を図1の状態から左方向に90°回転させて前記第1光軸反射ミラー15及び光軸反射ミラー9に第1、第2周面反射ミラー13、14を対向させる。このように反射ミラーを切り替えることにより、被写体bからの光は、第1光軸反射ミラー15で第1周面反射ミラー13側へ反射し、この第1周面反射ミラー13で反射された光は垂直方向へ反射して第2周面反射ミラー14で光軸a方向へ反射して光軸反射ミラー9で光軸a方向へ反射してCCDカメラへ入力される。この結果、周面観察から垂直方向からの観察に際し、観察位置及びピントを動かさずに観察を行うことができる。
【実施例2】
【0027】
本実施例2は、実施例1の第1光軸反射ミラー15及び光軸反射ミラー9をプリズム20で一体化し、第1周面反射ミラー13と第2周面反射ミラー14をプリズム21で一体化したもので、光の反射作用は上記実施例1と同一である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
CCDカメラと被観察物体間において、前記被観察物体の周囲を周回しながらその周面を観察して光軸方向へ光を反射する周面観察用反射ミラーと、前記周面観察用反射ミラーからの光を光軸上で受けて前記CCDカメラ方向へ反射する光軸反射ミラーとで構成された周面観察手段と、被観察物体を垂直方向から観察した光を周方向へ反射する第1光軸反射ミラーと、この周方向へ反射した光を受けて垂直方向へ反射する第1周回反射ミラーと、この垂直方向で受けた光を光軸方向へ反射する第2周回反射ミラーと、前記第2周回反射ミラーからの光を受けてCCDカメラ方向へ反射する第2光軸反射ミラーとで構成された垂直方向からの観察手段を設け、前記周面観察手段と垂直方向からの観察手段の切り換えにより被観察物体を周面及び垂直方向の双方から観察可能に構成して成る超小型近接撮影装置用アダプター。
【請求項2】
CCDカメラの前方において、光軸を中心として回転するロータリーリングと、このロータリーリングに対して被観察物体を斜め方向から観察した光を光軸方向へ反射する周面観察用反射ミラーと、前記周面観察用反射ミラーで反射された光を光軸上で受けてCCDカメラ方向へ反射する光軸反射ミラーとで構成された周面観察手段を取り付けると共に、被観察物体を垂直方向から観察した光を周方向へ反射する第1光軸反射ミラーと、この第1光軸反射ミラーからの光を受けて垂直方向へ反射する第1周回反射ミラーと、この第1周回反射ミラーからの光を受けて光軸方向へ光を反射する第2周回反射ミラーと、この第2周回反射ミラーからの光を光軸上で受けてCCDカメラ方向へ反射する第2光軸反射ミラーから成る垂直方向からの観察手段を取り付け、被観察物体を周面観察する際は前記周面観察手段により、被観察物体を垂直方向から観察する際は、ロータリーリングに回転自在に取り付けられたミラー取付枠を回転させて前記垂直方向からの観察手段に切り換えて観察を行うことができるように構成して成る超小型近接撮影装置用アダプター。
【請求項3】
前記第1及び第2光軸反射ミラーは、ロータリーリングに対して共通のマウントにより取り付けられていることを特徴とする請求項2に記載の超小型近接撮影装置用アダプター。
【請求項4】
前記第1及び第2周回反射ミラーは、ロータリーリングに対して共通のマウントにより取り付けられていることを特徴とする請求項2に記載の超小型近接撮影装置用アダプター。
【請求項5】
前記第1、第2光軸反射ミラー及び第1、第2周回反射ミラーを取り付けたマウントは、ロータリーリングに対して光軸方向へ向けて微調整自在に取り付けられていることを特徴とする請求項3又は4のいずれか1項に記載の超小型近接撮影装置用アダプター。
【請求項6】
前記第1及び第2光軸反射ミラーをプリズムで構成して成る請求項2に記載の超小型近接撮影装置用アダプター。
【請求項7】
前記第1及び第2周回反射ミラーをプリズムで構成して成る請求項2に記載の超小型近接撮影装置用アダプター。
【請求項8】
前記プリズムは、ロータリーリングに対して光軸方向へ向けて微調整自在に取り付けられていることを特徴とする請求項6又は7のいずれか1項に記載の超小型近接撮影装置用アダプター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−17977(P2011−17977A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−163737(P2009−163737)
【出願日】平成21年7月10日(2009.7.10)
【出願人】(591226346)株式会社ハイロックス (7)
【Fターム(参考)】