超電導ケーブルの接続構造および超電導ケーブルの接続方法
【課題】短絡電流が流れても、過剰に電流が流れることを防止できる、超電導ケーブルの接続構造および超電導ケーブルの接続方法を提供する。
【解決手段】超電導ケーブルの接続構造は、第1の超電導ケーブル10と第2の超電導ケーブル20との接続構造である。第1の超電導ケーブル10におけるフォーマ101および第1の超電導層103と、第2の超電導ケーブル20におけるフォーマ201および第1の超電導層203とは、それぞれ互いに電気的に接続されている。第1の超電導ケーブル10における第1の超電導層103と、第2の超電導ケーブル20における第1の超電導層203とは、常伝導状態における抵抗が異なっている。第1および第2の超電導ケーブル10,20の第1の超電導層103,203のうちの少なくともいずれか一方は、第1および第2の超電導ケーブル10,20のフォーマ101,201のうち少なくともいずれか一方と電気的に接続されている。
【解決手段】超電導ケーブルの接続構造は、第1の超電導ケーブル10と第2の超電導ケーブル20との接続構造である。第1の超電導ケーブル10におけるフォーマ101および第1の超電導層103と、第2の超電導ケーブル20におけるフォーマ201および第1の超電導層203とは、それぞれ互いに電気的に接続されている。第1の超電導ケーブル10における第1の超電導層103と、第2の超電導ケーブル20における第1の超電導層203とは、常伝導状態における抵抗が異なっている。第1および第2の超電導ケーブル10,20の第1の超電導層103,203のうちの少なくともいずれか一方は、第1および第2の超電導ケーブル10,20のフォーマ101,201のうち少なくともいずれか一方と電気的に接続されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超電導ケーブルの接続構造および超電導ケーブルの接続方法に関し、たとえば常伝導状態における抵抗が異なる超電導層を備える超電導ケーブルの接続構造および超電導ケーブルの接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、都市部などにおいて電力消費量が増加する傾向にあり地中送電の大容量化が必要となることから、電流密度が従来のケーブルの約100倍と大きい超電導ケーブルの開発が進められている。上記超電導ケーブルは、たとえば特開2002−140943号公報(特許文献1)に開示されているように、内側から順にフォーマ、超電導導層、電気絶縁層、シールド超電導層、およびシールド導体層を備えるケーブルコアを外筒の内部空間に複数挿通しているとともに、該外筒の内部空間は液体窒素等を流通させた冷媒層とした構造となっている。
【0003】
上記超電導ケーブルを地中に布設する場合には、複数の超電導ケーブルを繋ぎ合わせて配索する必要が生じる。現状では、接続される超電導ケーブルのケーブルコアはそれぞれの層同士を同じ仕様とされ、それぞれの層を互いに接続することによって、超電導ケーブルを接続している。
【0004】
たとえばBSCCO線材からなる超電導層を備える超電導ケーブルとYBCO線材からなる超電導層を備える超電導ケーブルとを接続する場合において、短絡電流が流れると、YBCO線材からなる超電導層を備える超電導ケーブル側の抵抗が大きくなるので、BSCCO線材からなる超電導層を備える超電導ケーブル側に設計値以上の電流が流れてしまうという問題がある。設計値以上の電流が流れると、BSCCO線材を備える超電導ケーブルのフォーマの温度上昇が大きくなり、フォーマの外周の液体窒素含浸紙などの絶縁層において液体窒素が気化することによる絶縁破壊が生じてしまう場合がある。
【0005】
すなわち、常伝導状態において抵抗が異なる超電導層を備える超電導ケーブルを接続する場合において、短絡電流が流れると、常伝導状態において抵抗が相対的に小さい側の超電導ケーブルに設計値を超える電流が流れてしまうという問題がある。
【特許文献1】特開2002−140943号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、常伝導状態において抵抗が異なる超電導層を備える超電導ケーブルを接続する場合において、短絡電流が流れても、過剰に電流が流れることを防止できる、超電導ケーブルの接続構造および超電導ケーブルの接続方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の局面における超電導ケーブルの接続構造は、フォーマと、フォーマの外周側に配置される第1の絶縁層と、第1の絶縁層の外周側に配置される第1の超電導層と、第1の超電導層の外周側に配置される第2の絶縁層と、第2の絶縁層の外周側に配置される第2の超電導層と、第2の超電導層の外周側に配置される第3の絶縁層と、第3の絶縁層の外周側に配置されるシールド導体層とを備える、第1および第2の超電導ケーブルの接続構造である。第1の超電導ケーブルにおけるフォーマおよび第1の超電導層と、第2の超電導ケーブルにおけるフォーマおよび第1の超電導層とは、それぞれ互いに電気的に接続されている。第1の超電導ケーブルにおける第1の超電導層と、第2の超電導ケーブルにおける第1の超電導層とは、常伝導状態における抵抗が異なっている。第1および第2の超電導ケーブルの第1の超電導層のうちの少なくともいずれか一方は、第1および第2の超電導ケーブルのフォーマのうち少なくともいずれか一方と電気的に接続されている。
【0008】
本発明の一の局面における超電導ケーブルの接続方法は、準備工程と、第1接続工程と、第2接続工程と、第3接続工程とを備えている。準備工程は、フォーマと、フォーマの外周側に配置される第1の絶縁層と、第1の絶縁層の外周側に配置される第1の超電導層と、第1の超電導層の外周側に配置される第2の絶縁層と、第2の絶縁層の外周側に配置される第2の超電導層と、第2の超電導層の外周側に配置される第3の絶縁層と、第3の絶縁層の外周側に配置されるシールド導体層とを備える、第1および第2の超電導ケーブルを準備する。第1接続工程は、第1の超電導ケーブルにおけるフォーマと、第2の超電導ケーブルにおけるフォーマとを電気的に接続する。第2接続工程は、第1の超電導ケーブルにおける第1の超電導層と、第2の超電導ケーブルにおける第1の超電導層とを電気的に接続する。第3接続工程は、第1および第2の超電導ケーブルの第1の超電導層のうちの少なくともいずれか一方と、第1および第2の超電導ケーブルのフォーマのうち少なくともいずれか一方とを電気的に接続する。準備工程では、第1の超電導ケーブルにおける第1の超電導層の常伝導状態における抵抗と、第2の超電導ケーブルにおける第1の超電導層の常伝導状態における抵抗とが異なる、第1および第2の超電導ケーブルを準備する。
【0009】
本発明の一の局面における超電導ケーブルの接続構造および超電導ケーブルの接続方法によれば、第1の超電導層とフォーマとが電気的に接続されているので、短絡電流が流れると、常伝導状態における第1の超電導層とフォーマとのそれぞれの抵抗(Ω)に応じて電流が流れる。すなわち、第1の超電導層とフォーマとが電気的に接続されている部分において、電流を再配分できる。そのため、常伝導状態において抵抗が異なる第1の超電導層を備える超電導ケーブルを接続する場合において、短絡電流が流れても、過剰に電流が流れることを防止できる。
【0010】
上記一の局面における超電導ケーブルの接続構造において好ましくは、第1の超電導ケーブルにおける第1の超電導層の常伝導状態における抵抗は、第2の超電導ケーブルにおける第1の超電導層の常伝導状態における抵抗の5倍以上である。
【0011】
また、上記一の局面における超電導ケーブルの接続方法において好ましくは、準備工程では、第1の超電導ケーブルにおける第1の超電導層の常伝導状態における抵抗が、第2の超電導ケーブルにおける第1の超電導層の常伝導状態における抵抗の5倍以上である第1の超電導ケーブルを準備する。
【0012】
これにより、短絡電流が流れたときに、過剰な電流が流れやすい第2の超電導ケーブルに、設計値を大きく超える電流が流れることを防止できる。
【0013】
上記一の局面における超電導ケーブルの接続構造において好ましくは、第1の超電導ケーブルにおけるフォーマの端部と第2の超電導ケーブルにおけるフォーマの端部とを対向させた状態で被覆することにより、第1の超電導ケーブルにおけるフォーマと、第2の超電導ケーブルにおけるフォーマとを電気的に接続する導電性のスリーブと、第1の超電導ケーブルにおける第1の超電導層と、第2の超電導ケーブルにおける第1の超電導層とを電気的に接続する導電性の線材とを備え、スリーブと線材とは、電気的に接続されている。
【0014】
上記一の局面における超電導ケーブルの接続方法において好ましくは、第1接続工程では、第1の超電導ケーブルにおけるフォーマの端部と第2の超電導ケーブルにおけるフォーマの端部とを対向させた状態で被覆することにより、第1の超電導ケーブルにおけるフォーマと、第2の超電導ケーブルにおけるフォーマとを電気的に接続する導電性のスリーブを形成し、第2接続工程では、第1の超電導ケーブルにおける第1の超電導層と、第2の超電導ケーブルにおける第1の超電導層とを電気的に接続する導電性の線材を形成し、第3接続工程では、スリーブと、線材とを電気的に接続する。
【0015】
これにより、第1および第2の超電導ケーブルの第1の超電導層のうちの少なくともいずれか一方と、第1および第2の超電導ケーブルのフォーマのうち少なくとも一方とが電気的に接続されている構造が得られる。そのため、伝導状態において抵抗が異なる第1の超電導層を備える超電導ケーブルを接続する場合において、短絡電流が流れても、過剰に電流が流れることを防止できる。
【0016】
本発明の他の局面における超電導ケーブルの接続構造は、フォーマと、フォーマの外周側に配置される第1の絶縁層と、第1の絶縁層の外周側に配置される第1の超電導層と、第1の超電導層の外周側に配置される第2の絶縁層と、第2の絶縁層の外周側に配置される第2の超電導層と、第2の超電導層の外周側に配置される第3の絶縁層と、第3の絶縁層の外周側に配置されるシールド導体層とを備える、第1および第2の超電導ケーブルの接続構造である。第1の超電導ケーブルにおける第2の超電導層およびシールド導体層と、第2の超電導ケーブルにおける第2の超電導層およびシールド導体層とは、それぞれ互いに電気的に接続されている。第1の超電導ケーブルにおける第2の超電導層と、第2の超電導ケーブルにおける第2の超電導層とは、常伝導状態における抵抗が異なっている。第1および第2の超電導ケーブルの少なくともいずれか一方において、第2の超電導層とシールド導体層とが電気的に接続されている。
【0017】
本発明の他の局面における超電導ケーブルの接続方法は、準備工程と、シールド側第1接続工程と、シールド側第2接続工程と、シールド側第3接続工程とを備えている。準備工程は、フォーマと、フォーマの外周側に配置される第1の絶縁層と、第1の絶縁層の外周側に配置される第1の超電導層と、第1の超電導層の外周側に配置される第2の絶縁層と、第2の絶縁層の外周側に配置される第2の超電導層と、第2の超電導層の外周側に配置される第3の絶縁層と、第3の絶縁層の外周側に配置されるシールド導体層とを備える、第1および第2の超電導ケーブルを準備する。シールド側第1接続工程は、第1および第2の超電導ケーブルの少なくともいずれか一方において、第2の超電導層とシールド導体層とを電気的に接続する。シールド側第2接続工程は、第1の超電導ケーブルにおける第2の超電導層と、第2の超電導ケーブルにおける第2の超電導層とを電気的に接続する。シールド側第3接続工程は、第1の超電導ケーブルにおけるシールド導体層と、第2の超電導ケーブルにおけるシールド導体層とを電気的に接続する。準備工程では、第1の超電導ケーブルにおける第2の超電導層の常伝導状態における抵抗と、第2の超電導ケーブルにおける第2の超電導層の常伝導状態における抵抗とが異なる、第1および第2の超電導ケーブルを準備する。
【0018】
本発明の他の局面における超電導ケーブルの接続構造および超電導ケーブルの接続方法によれば、第2の超電導層とシールド導体層とが電気的に接続されているので、短絡電流が流れると、常伝導状態における第2の超電導層のそれぞれの抵抗(Ω)に応じて電流が流れる。すなわち、第2の超電導層とシールド導体層とが電気的に接続されている部分において、電流を再配分できる。そのため、常伝導状態において抵抗が異なる第2の超電導層を備える超電導ケーブルを接続する場合において、短絡電流が流れても、過剰に電流が流れることを防止できる。
【0019】
上記他の局面における超電導ケーブルの接続構造において好ましくは、第1の超電導ケーブルにおける第2の超電導層の常伝導状態における抵抗は、第2の超電導ケーブルにおける第2の超電導層の常伝導状態における抵抗の5倍以上である。
【0020】
上記他の局面における超電導ケーブルの接続方法において好ましくは、準備工程では、第1の超電導ケーブルにおける第2の超電導層の常伝導状態における抵抗が、第2の超電導ケーブルにおける第2の超電導層の常伝導状態における抵抗の5倍以上である第1の超電導ケーブルを準備する。
【0021】
これにより、短絡電流が流れたときに、過剰な電流が流れやすい第2の超電導ケーブルに、設計値を大きく超える電流が流れることを防止できる。
【0022】
上記他の局面における超電導ケーブルの接続構造において好ましくは、第1および第2の超電導ケーブルの少なくともいずれか一方において、第2の超電導層とシールド導体層とを電気的に接続する導電性の接続部材と、第1の超電導ケーブルにおける第2の超電導層と、第2の超電導ケーブルにおける第2の超電導層とを電気的に接続する導電性の第1の線材と、第1の超電導ケーブルにおけるシールド導体層と、第2の超電導ケーブルにおけるシールド導体層とを電気的に接続する導電性の第2の線材とを備えている。
【0023】
また、上記他の局面における超電導ケーブルの接続方法において好ましくは、シールド側第1接続工程では、第1および第2の超電導ケーブルの少なくとも一方において第2の超電導層と、シールド導体層とを電気的に接続する接続部材を形成し、シールド側第2接続工程では、第1の超電導ケーブルにおける第2の超電導層と、第2の超電導ケーブルにおける第2の超電導層とを電気的に接続する導電性の線材を形成し、シールド側第3接続工程では、第1の超電導ケーブルにおけるシールド導体層と、第2の超電導ケーブルにおけるシールド導体層とを電気的に接続する導電性の線材を形成する。
【0024】
これにより、第1および第2の超電導ケーブルの少なくともいずれか一方において、第2の超電導層と、シールド導体層とが電気的に接続されている構造が得られる。そのため、常伝導状態において抵抗が異なる第2の超電導層を備える超電導ケーブルを接続する場合において、短絡電流が流れても、過剰に電流が流れることを防止できる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の超電導ケーブルの接続構造および超電導ケーブルの接続方法によれば、常伝導状態において抵抗が異なる超電導層を備える超電導ケーブルを接続する場合において、短絡電流が流れても、過剰に電流が流れることを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には、同一の参照符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0027】
(実施の形態1)
図1(A)は、本発明の実施の形態1における第1の超電導ケーブルを示す断面図であり、(B)は、本発明の実施の形態1における第2の超電導ケーブルを示す断面図である。図2(A)は、本発明の実施の形態1における第1の超電導ケーブルのケーブルコアを示す断面図であり、(B)は、本発明の実施の形態1における第2の超電導ケーブルのケーブルコアを示す断面図である。図3は、本発明の実施の形態1における超電導ケーブルの接続構造を示す概略断面図である。図1〜図3を参照して、本発明の実施の形態1における超電導ケーブルの接続構造について説明する。
【0028】
図1〜図3に示すように、実施の形態1における超電導ケーブルの接続構造は、フォーマ101,201と、フォーマ101,201の外周側に配置される第1の絶縁層102,202と、第1の絶縁層102,202の外周側に配置される第1の超電導層103,203と、第1の超電導層103,203の外周側に配置される第2の絶縁層104,204と、第2の絶縁層104,204の外周側に配置される第2の超電導層105,205と、第2の超電導層105,205の外周側に配置される第3の絶縁層106,206と、第3の絶縁層106,206の外周側に配置されるシールド導体層107,207とを備える、第1および第2の超電導ケーブル10,20の接続構造である。第1の超電導ケーブル10におけるフォーマ101および第1の超電導層103と、第2の超電導ケーブル20におけるフォーマ201および第1の超電導層203とは、それぞれ互いに電気的に接続されている。第1の超電導ケーブル10における第1の超電導層103と、第2の超電導ケーブル20における第1の超電導層203とは、常伝導状態における抵抗(Ω)が異なっている。第1および第2の超電導ケーブル10,20の第1の超電導層103,203のうちの少なくともいずれか一方は、第1および第2の超電導ケーブル10,20のフォーマ101,201のうち少なくともいずれか一方と電気的に接続されている。
【0029】
具体的には、図1〜図3に示すように、超電導ケーブルの接続構造は、第1の超電導ケーブル10と、第2の超電導ケーブル20と、スリーブ310と、線材320と、半田330と、シールド側第1の線材350と、シールド側第2の線材360とを備えている。
【0030】
まず、図1および図2を参照して、超電導ケーブルの接続構造を構成する第1および第2の超電導ケーブル10,20を説明する。第1および第2の超電導ケーブル10,20は、基本的には同様の構造であるが、第1の超電導層103,203の材料が異なる。
【0031】
図1(A)および(B)に示すように、第1および第2の超電導ケーブル10,20は、ケーブルコア100,200と、断熱管11,21とをそれぞれ備えている。断熱管11,21の内側に形成された冷媒流通路16,26内に、たとえば3本のケーブルコア100,200を配置している。断熱管11,21は、たとえばコルゲート内管12,22と、コルゲート内管12,22の外周側に配置された断熱層13,23と、断熱層13,23の外周側に配置されたコルゲート外管14,24と、コルゲート外管14,24の外周側に配置された防食層15,25とをそれぞれ含んでいる。コルゲート内管12,22およびコルゲート外管14,24は、たとえばステンレス製のコルゲート筒形状である。防食層15,25は、たとえばポリ塩化ビニル(PVC)などよりなっている。冷媒流通路16,26内には、ケーブルコア100,200を冷却するための液体窒素や液体ヘリウムなどの冷媒が配置されている。なお、実施の形態1では、図1に示す3本のケーブルコア100,200を一括に収納した三心一括型としているが、特にこれに限定されず、たとえば断熱管11内に1本のケーブルコアを収納した単心ケーブルとしてもよい。
【0032】
図2(A)および(B)に示すように、第1および第2の超電導ケーブル10,20のケーブルコア100,200は、フォーマ101,201と、第1の絶縁層102,202と、第1の超電導層103,203と、第2の絶縁層104,204と、第2の超電導層105,205と、第3の絶縁層106,206と、シールド導体層107,207とをそれぞれ備えている。
【0033】
フォーマ101、201は、ケーブルコア100,200の剛性や曲げ特性などの機械的特性を維持するための、金属(たとえば銅やアルミニウム)の複数の撚り線である。第1および第2の超電導ケーブル10,20に過電流が流れて第1の超電導層103,203の臨界電流値Icを超えると、第1の超電導層103,203の抵抗は常伝導状態の抵抗となるので、フォーマ101,201に電流が流れる。そのため、フォーマ101,201は、第1の超電導層103,203に対する安全用バイパスの役割りを果たす。
【0034】
第1の絶縁層102,202は、内部の渦電流損失を低減するために、フォーマ101、201の外側を覆っており、たとえばポリプロピレンラミネート紙(PPLP(R))等の絶縁紙や、ポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルム等の合成紙などが用いられる。
【0035】
第1の超電導層103,203は、第1の絶縁層102,202の外周を覆っている。第1の超電導ケーブル10における第1の超電導層103は、第2の超電導ケーブル20における第1の超電導層203と、常伝導状態における抵抗が異なっており、第1の超電導ケーブル10における第1の超電導層103の常伝導状態における抵抗は、第2の超電導ケーブル20における第1の超電導層203の常伝導状態における抵抗の5倍以上であることが好ましい。
【0036】
第1の超電導層103は、たとえば基板と、基板上に形成された中間層と、中間層上に形成された超電導層とを含む超電導線材を用いることができる。第1の超電導層103は、たとえばRE−123系の超電導体であることが好ましく、YBCO(YBa2Cu3Oy)であることがより好ましい。なお、RE−123系の超電導体とは、REBa2Cu3Oy(yは6〜8、より好ましくはほぼ7、REとはイットリウム(Y)、Gd(ガドリニウム)、Sm(サマリウム)、およびHo(ホルミウム)などの希土類元素を意味する)として表される超電導体を意味する。
【0037】
第2の超電導層203は、たとえばBi−Pb−Sr−Ca−Cu−O系の組成の超電導体であるフィラメントと、それらを被覆する銀などからなるシース部とを備えるBi系(BSCCO)の超電導線材を用いることができる。第1の超電導層203は、Bi2223超電導体であることが好ましい。なお、Bi2223超電導体は、(ビスマスと鉛):ストロンチウム:カルシウム:銅の原子比がほぼ2:2:2:3の比率で近似して表わされるBi2223相を主相とし、残部がBi2212相および不可避的不純物からなる材質を意味する。
【0038】
なお、第1の超電導層103,203として、超電導線材をそれぞれ用いる場合、たとえば第1の絶縁層102,202の外周にそれぞれらせん状に巻きつける。また、それぞれの用いられる超電導線材は単数であっても複数であってもよく、複数の超電導線材が用いられる場合には、層間にクラフト紙などの絶縁層を形成してもよい。
【0039】
第2の絶縁層104,204は、第1の超電導層103,203の外側を覆っている。第2の絶縁層104,204は、たとえばポリプロピレンラミネート紙(PPLP(登録商標))等の絶縁紙や、ポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルム等の合成紙などが用いられる。
【0040】
第2の超電導層105,205は、第2の絶縁層104,204の外周側を覆っている。第2の超電導層105,205は、第1の超電導層103,203と反対方向の電流が流れ、磁場をキャンセルする役割りを果たす。
【0041】
実施の形態1では、第1および第2の超電導ケーブル10,20において短絡電流が流れたときに、シールド導体層107,207に過剰な電流が流れることを防止できる観点から、第1の超電導ケーブル10における第2の超電導層105と、第2の超電導ケーブル20における第2の超電導層205とは、常伝導状態における抵抗が同じであることが好ましい。すなわち、第1および第2の超電導ケーブル10,20における第2の超電導層105,205は、たとえば同じ長さおよび同じ断面積のBi系の超電導体やRE−123系の超電導体のいずれか一方である。
【0042】
第3の絶縁層106,206は、第2の超電導層105,205の外側を覆っている。第3の絶縁層106,206は、たとえばポリプロピレンラミネート紙(PPLP(R))等の絶縁紙や、ポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルム等の合成紙などが用いられる。
【0043】
シールド導体層107,207は、第3の絶縁層106,206の外側を覆っている。シールド導体層107,207は、第2の超電導層105,205に対する安全用バイパスの役割りを果たす。シールド導体層107,207は、たとえば銅やアルミニウムなどの金属からなる層である。
【0044】
なお、フォーマ101,201および第1の超電導層103,203は、第2の超電導層105,205およびシールド導体層107,207よりも相対的に電圧が高いことが好ましい。すなわち、フォーマ101,201は高電圧部であり、第2の超電導層105,205およびシールド導体層107,207は低電圧部であることが好ましい。この場合、第2の絶縁層104,204は、高電圧部と低電圧部とを絶縁している主絶縁部である。
【0045】
第1および第2の超電導ケーブル10,20は、一方端部において、フォーマ101,201、第1の絶縁層102,202、第1の超電導層103,203、第2の絶縁層104,204、第2の超電導層105,205、第3の絶縁層106,206、およびシールド導電層107,207の少なくとも1つが露出していてもよい。実施の形態1では、第1および第2の超電導ケーブル10,20は、一方端部において、フォーマ101,201、第1の超電導層103,203、第2の絶縁層104,204、第2の超電導層105,205、およびシールド導電層107,207が順に露出している。
【0046】
図3に示すように、第1の超電導ケーブル10と第2の超電導ケーブル20とが接続された超電導ケーブルの接続構造は、第1および第2の超電導ケーブル10,20の第1の超電導層103,203のうちの少なくともいずれか一方は、第1および第2の超電導ケーブル10,20のフォーマ101,201のうち少なくともいずれか一方と電気的に接続されている。実施の形態1では、第1および第2の超電導ケーブル10,20の第1の超電導層103,203と、第1および第2の超電導ケーブル10,20のフォーマ101,201とが電気的に接続されている。
【0047】
次に、第1および第2の超電導ケーブル10,20の第1の超電導層103,203のうちの少なくともいずれか一方と、第1および第2の超電導ケーブル10,20のフォーマ101,201のうち少なくとも一方とを電気的に接続している接続部300について説明する。接続部300は、スリーブ310と、線材320と、半田330とを含んでいる。
【0048】
スリーブ310は、第1の超電導ケーブル10におけるフォーマ101の端部と第2の超電導ケーブル20におけるフォーマ101の端部とを対向させた状態で被覆することにより、第1の超電導ケーブル10におけるフォーマ101と、第2の超電導ケーブル20におけるフォーマ201とを電気的に接続する導電性の部材である。スリーブ310は、たとえばフォーマ101,201と同じ材料であることが好ましく、たとえば銅やアルミニウムなどの金属を用いることができ、機械強度および通電特性が優れている観点から、銅であることがより好ましい。
【0049】
また、スリーブ310は、たとえばフォーマ101,201の端部を対向させた状態で内部に嵌めることができる形状としている。実施の形態1では、スリーブ310は、たとえば内部が中空の円筒状とし、両端部から、第1の超電導ケーブル10におけるフォーマ101の端部と第2の超電導ケーブル20におけるフォーマ201の端部とが突き合された部分と対向する位置(図3における接続部300の中央)に向けて幅が広がるような形状としている。なお、スリーブ310は、フォーマ101,201の外径とほぼ同じ幅の中空を有する筒状の形状であってもよい。
【0050】
また、スリーブ310は、図3に示すように、フォーマ101,201のみを被覆する形状であることが好ましいが、フォーマ101,201と第1の超電導層103,203とを被覆する形状であってもよい。
【0051】
また、スリーブ310とフォーマ101,201とは、直接接続されていることが好ましいが、半田などの導電性部材を介して接続されていてもよい。
【0052】
線材320は、第1の超電導ケーブル10における第1の超電導層103と、第2の超電導ケーブル20における第1の超電導層203とを電気的に接続する導電性の部材である。線材320は、超電導線材であることが好ましく、コスト低減の観点から、Bi系の超電導線材であることが好ましい。
【0053】
また、線材320は、第1および第2の超電導ケーブル10,20において第1の超電導層103,203に流れる電流を流すことができる程度の容量を有している。
【0054】
なお、線材320と第1および第2の超電導ケーブル10,20とは直接接続されていてもよいし、半田などの導電性部材を介して接続されていてもよい。
【0055】
半田330は、スリーブ310と、線材320とを電気的に接続するための部材である。半田330は、機械的強度および接続抵抗の観点から、Pb(鉛)、Sn(スズ)およびAg(銀)などの合金材料からなることが好ましい。このような半田330は、たとえばPbが36%、Snが62%、Agが2%の重量比の合金材料からなる。なお、スリーブ310と線材320とが、半田330を介さず直接電気的に接続される場合には、超電導ケーブルの接続構造は、半田330を含んでいなくてもよい。
【0056】
実施の形態1における超電導ケーブルの接続構造は、第1および第2の超電導ケーブル10,20における第2の超電導層105,205およびシールド導体層107,207をそれぞれ互いに接続するために、シールド側第1の線材350とシールド側第2の線材360とを備えている。
【0057】
シールド側第1の線材350は、第1の超電導ケーブル10における第2の超電導層105と、第2の超電導ケーブル20における第2の超電導層205とを電気的に接続する導電性の部材である。
【0058】
シールド側第1の線材350は、線材320と同様に、超電導線材であることが好ましく、コスト低減の観点から、Bi系の超電導線材であることが好ましい。また、シールド側第1の線材350、第1および第2の超電導ケーブル10,20において第2の超電導層105,205に流れる電流を流すことができる程度の容量を有している。
【0059】
シールド側第2の線材360は、第1の超電導ケーブル10におけるシールド導体層107と、第2の超電導ケーブル20におけるシールド導体層207とを電気的に接続する導電性の部材である。シールド側第2の線材360は、たとえば銅やアルミニウムなどの金属からなる。なお、シールド側第2の線材として、超電導線材を用いてもよい。
【0060】
また、シールド側第1および第2の線材350,360と第1および第2の超電導ケーブル10,20とはそれぞれ直接接続されていてもよいし、半田などの導電性部材を介して接続されていてもよい。
【0061】
次に、図4を参照して、実施の形態1における超電導ケーブルの接続方法について説明する。なお、図4は、本発明の実施の形態1における超電導ケーブルの接続方法を示すフローチャートである。
【0062】
図1〜図4に示すように、フォーマ101,201と、フォーマ101,201の外周側に配置される第1の絶縁層102,202と、第1の絶縁層102,202の外周側に配置される第1の超電導層103,203と、第1の超電導層103,203の外周側に配置される第2の絶縁層104,204と、第2の絶縁層104,204の外周側に配置される第2の超電導層105,205と、第2の超電導層105,205の外周側に配置される第3の絶縁層106,206と、第3の絶縁層106,206の外周側に配置されるシールド導体層107,207とを備える、第1および第2の超電導ケーブル10,20を準備する準備工程(S10)を実施する。準備工程(S10)では、上述した第1および第2の超電導ケーブル10,20を準備する。
【0063】
準備工程(S10)では、第1の超電導ケーブル10における第1の超電導層103の常伝導状態における抵抗と、第2の超電導ケーブル20における第1の超電導層203の常伝導状態における抵抗が異なる、第1および第2の超電導ケーブル10,20を準備する。第2の超電導ケーブル20における第1の超電導層203の常伝導状態における抵抗が、第2の超電導ケーブル20における第1の超電導層203の常伝導状態における抵抗の5倍以上である第1の超電導ケーブル10を準備することが好ましい。
【0064】
準備工程(S10)では、第1および第2の超電導ケーブル10,20の一方端部において、フォーマ101,201、第1の絶縁層102,202、第1の超電導層103,203、第2の絶縁層104,204、第2の超電導層105,205、第3の絶縁層106,206、およびシールド導電層107,207の内の少なくとも1つが順に露出している第1および第2の超電導ケーブル10,20を準備することが好ましい。実施の形態1では、第1および第2の超電導ケーブル10,20は、一方端部において、フォーマ101,201、第1の超電導層103,203、第2の絶縁層104,204、第2の超電導層105,205、およびシールド導電層107,207が順に露出していている第1および第2の超電導ケーブル10,20を準備している。
【0065】
上述したように、一方端部において、フォーマ101,201、第1の絶縁層102,202、第1の超電導層103,203、第2の絶縁層104,204、第2の超電導層105,205、第3の絶縁層106,206、およびシールド導電層107,207の少なくとも1つが露出している第1および第2の超電導ケーブル10,20を準備する場合には、それぞれの一方端部において、それぞれの層を剥ぐ工程を実施してもよい。この場合には、一方端部において、シールド導体層107,207、第3の絶縁層106,206、第2の超電導層105,205、第2の絶縁層104,204、第1の超電導層103,203、および第1の絶縁層102,202の順にたとえばNCカッター等を用いて剥ぐことができる。実施の形態1では、第1および第2の超電導ケーブル10,20の一方端部において、第1の絶縁層102,202および第3の絶縁層106,206は、露出させていない。
【0066】
次に、図1〜図4に示すように、第1の超電導ケーブル10におけるフォーマ101と、第2の超電導ケーブル20におけるフォーマ201とを電気的に接続する第1接続工程(S20)を実施する。これにより、第1の超電導ケーブル10のフォーマ101と、第2の超電導ケーブル20におけるフォーマ201とを電気的に接続できるので、第1の超電導ケーブル10と第2の超電導ケーブル20とを電気的に接続できる。
【0067】
第1接続工程(S20)では、第1の超電導ケーブル10におけるフォーマ101の端部と第2の超電導ケーブル20におけるフォーマ201の端部とを対向させた状態で被覆することにより、第1の超電導ケーブル10におけるフォーマ101と、第2の超電導ケーブル20におけるフォーマ201とを電気的に接続する導電性のスリーブ310を形成することが好ましい。この場合、たとえば以下のようにしてフォーマ101,201を電気的に接続する。
【0068】
具体的には、たとえば、まず上述したスリーブ310を準備する。そして、第1の超電導ケーブル10におけるフォーマ101の端部と、第2の超電導ケーブル20におけるフォーマ201の端部とを対向させる。そして、それぞれのフォーマ101,201をスリーブ310の内部に配置して嵌合させる。そして、スリーブ310とフォーマ101,201を、たとえば圧縮接合することにより、スリーブ310とフォーマ101,201とを確実に電気的に接続する。
【0069】
なお、スリーブ310は、フォーマ101,201のみを被覆することが好ましいが、フォーマ101,201と第1の超電導層103,203とを被覆してもよい。
【0070】
次に、図1〜図4に示すように、第1の超電導ケーブル10における第1の超電導層103と、第2の超電導ケーブル20における第1の超電導層203とを電気的に接続する第2接続工程(S30)を実施する。これにより、第1および第2の超電導ケーブル10,20における第1の超電導層103,203を電気的に接続できる。
【0071】
第2接続工程(S30)では、第1の超電導ケーブル10における第1の超電導層103と、第2の超電導ケーブル20における第1の超電導層203とを電気的に接続する導電性の線材を形成することが好ましい。この場合、たとえば以下のようにして第1の超電導層103,203を電気的に接続する。
【0072】
具体的には、導電性の線材320を準備する。準備する線材320は、超電導線材が好ましく、Bi系の超電導線材を準備することがより好ましい。そして、準備した線材320を第1および第2の超電導ケーブル10,20における第1の超電導層103,203と電気的に接続する。このとき、半田などを介して接続してもよい。
【0073】
次に、第1および第2の超電導ケーブル10,20の第1の超電導層103,203のうちの少なくともいずれか一方と、第1および第2の超電導ケーブル10,20のフォーマ101,201のうち少なくともいずれか一方とを電気的に接続する第3接続工程(S40)を実施する。これにより、第1および第2の超電導ケーブル10,20の第1の超電導層103,203のうちの少なくともいずれか一方は、第1および第2の超電導ケーブル10,20のフォーマ101,201のうち少なくとも一方と電気的に接続される。
【0074】
第3接続工程(S40)では、スリーブ310と、線材320とを電気的に接続することが好ましい。この場合、たとえばスリーブ310と線材320との間に半田330を配置し、モールドを実施してスリーブ310と線材320とを半田330を介して電気的に接続する。なお、スリーブ310と線材320とを直接接続してもよく、この場合には半田330を配置する工程を省略できる。
【0075】
以上の工程(S10〜S40)を実施することによって、第1および第2の超電導ケーブル10,20の第1の超電導層103,203のうちの少なくともいずれか一方は、第1および第2の超電導ケーブル10,20のフォーマ101,201のうち少なくとも一方と電気的に接続されている構造が得られる。実施の形態1では、さらに、第1および第2の超電導ケーブル10,20における第2の超電導層105,205およびシールド導体層107,207をそれぞれ互いに接続する工程を実施する。
【0076】
図3および図4に示すように、次に、第1の超電導ケーブル10における第2の超電導層105,205と、第2の超電導ケーブル20における第2の超電導層205とを電気的に接続するシールド側第2接続工程(S60)を実施する。これにより、第1の超電導ケーブル10における第2の超電導層105と、第2の超電導ケーブル20における第2の超電導層205とを電気的に接続できる。なお、シールド側第2接続工程(S60)は省略されてもよい。
【0077】
シールド側第2接続工程(S60)では、たとえば第1の超電導ケーブル10における第2の超電導層105と、第2の超電導ケーブル20における第2の超電導層205とを電気的に接続する導電性のシールド側第1の線材350を形成する。この場合、たとえば以下のようにして、第2の超電導層105,205を接続する。
【0078】
具体的には、導電性のシールド側第1の線材350を準備する。準備するシールド側第1の線材350は、超電導線材が好ましく、Bi系の超電導線材を準備することがより好ましい。そして、第2の超電導層105,205上に半田などを配置する。そして、準備した第1の線材350を半田と接続する。これにより、第1の超電導ケーブル10における第2の超電導層105と、第2の超電導ケーブル20における第2の超電導層205とを、半田を介して電気的に接続できる。なお、半田を用いずに、第1の超電導ケーブル10における第1の超電導層105と、第2の超電導ケーブル20における第1の超電導層205とを、シールド側第1の線材350により電気的に接続してもよい。
【0079】
次に、第1の超電導ケーブル10におけるシールド導体層107と、第2の超電導ケーブル20におけるシールド導体層207とを電気的に接続するシールド側第3接続工程(S70)を実施する。これにより、第1の超電導ケーブル10におけるシールド導体層107と、第2の超電導ケーブル20におけるシールド導体層207とを電気的に接続できる。
【0080】
シールド側第3接続工程(S70)では、たとえば第1の超電導ケーブル10におけるシールド導体層107と、第2の超電導ケーブル20におけるシールド導体層207とを電気的に接続する導電性のシールド側第2の線材360を形成する。この場合、たとえば以下のようにして、第1の超電導ケーブル10におけるシールド導体層107と、第2の超電導ケーブル20におけるシールド導体層207とを接続する。
【0081】
具体的には、導電性のシールド側第2の線材360を準備する。準備するシールド側第2の線材360は、金属材料からなる線材であることが好ましい。そして、準備したシールド側第2の線材360を第1および第2の超電導ケーブル10,20における第1の超電導層105,205と電気的に接続する。このとき、半田などを介して接続してもよい。
【0082】
以上の工程(S10〜S40,S60,S70)を実施することにより、図3に示す実施の形態1における超電導ケーブルの接続構造が得られる。なお、各工程を実施する順序は特に限定されない。
【0083】
次に、図3および図5を参照して、実施の形態1における超電導ケーブルの接続構造の動作について説明する。なお、図5(A)は、本発明の実施の形態1における超電導ケーブルの接続構造の接続部における抵抗を説明するための図であり、(B)は、別の接続部における抵抗を説明するための図である。
【0084】
図3に示す超電導ケーブルの接続構造は、第1および第2の超電導ケーブル10,20の第1の超電導層103,203は、第1および第2の超電導ケーブル10,20のフォーマ101,201と電気的に接続されているので、第1および第2の超電導ケーブル10,20が接続されている接続部300において、図5(A)に示すように、第1の超電導層103,203の抵抗R103,R203と、フォーマ101,201の抵抗R101,R201とに応じた電流が再配分される。なお、第1および第2の超電導ケーブル10,20の第1の超電導層103,203のうちのいずれか一方が、第1および第2の超電導ケーブル10,20のフォーマのうちのいずれか一方と電気的に接続されている場合においても、第1および第2の超電導ケーブル10,20が接続されている接続部300において、図5(B)に示すように、第1の超電導層103,203の抵抗R103,R203と、フォーマ101,201の抵抗R101,R201とに応じた電流を再配分できる。
【0085】
具体的には、第1および第2の超電導ケーブル10,20に設計値以内の電流が流れると、超電導状態においては、第1の超電導層103,203の抵抗R103,R203がフォーマ101,201の抵抗R101,R203よりも小さいため、フォーマ101,201よりも第1の超電導層103,203に優先して電流が流れる。一方、第1および第2の超電導ケーブル10,20に設計値を超えるような短絡電流が流れると、常伝導状態では、フォーマ101,201の抵抗R101,R201は、第1の超電導層103,203の抵抗R103,R203よりも小さいため、第1の超電導層103,203よりもフォーマ101,201に優先して電流が流れる。しかし、第1の超電導ケーブル10における第1の超電導層103の抵抗R103が第2の超電導ケーブル20における第1の超電導層203の抵抗R203よりも大きい場合であっても、接続部300において第1の超電導ケーブル10または第2の超電導ケーブル20からの電流が、第2または第1の超電導ケーブル20,10におけるフォーマ201,101と第1の超電導層203,103との抵抗R201,R102に応じて、フォーマ201,101および第1の超電導層203,103に流れる。そのため、常伝導状態において抵抗が異なる第1の超電導層103,203を備える超電導ケーブル10,20を接続する場合において、短絡電流が流れた場合に、第1の超電導層103,203と、フォーマ101,201とに設計通りの電流を分配することができる。
【0086】
以上説明したように、本発明の実施の形態1における超電導ケーブルの接続構造によれば、第1の超電導ケーブル10における第1の超電導層103と、第2の超電導ケーブル20における第1の超電導層203とは、常伝導状態における抵抗が異なっており、第1および第2の超電導ケーブル10,20の第1の超電導層103,203のうちの少なくともいずれか一方は、第1および第2の超電導ケーブル10,20のフォーマ101,201のうち少なくともいずれか一方と電気的に接続されている。これにより、短絡電流が流れると、常伝導状態における第1の超電導層103,203とフォーマ101,201とのそれぞれの抵抗に応じて電流が流れる。すなわち、第1の超電導層103,203とフォーマ101,201とが電気的に接続されている接続部300において、電流を再配分できる。そのため、常伝導状態において抵抗が異なる第1の超電導層103,203を備える超電導ケーブル10,20を接続する場合において、短絡電流が流れても、常伝導状態において抵抗が相対的に小さい側の超電導ケーブルに設計値以上の電流が流れてしまうことを防止できる。
【0087】
(実施の形態2)
図6は、本発明の実施の形態2における超電導ケーブルの接続構造を示す断面図である。図6を参照して、本発明の実施の形態2における超電導ケーブルの接続構造について説明する。
【0088】
図6に示すように、実施の形態2における超電導ケーブルの接続構造は、フォーマ101,201と、フォーマ101,201の外周側に配置される第1の絶縁層102,202と、第1の絶縁層102,202の外周側に配置される第1の超電導層103,203と、第1の超電導層103,203の外周側に配置される第2の絶縁層104,204と、第2の絶縁層104,204の外周側に配置される第2の超電導層105,205と、第2の超電導層105,205の外周側に配置される第3の絶縁層106,206と、第3の絶縁層106,206の外周側に配置されるシールド導体層107,207とを備える、第1および第2の超電導ケーブル10,20の接続構造である。第1の超電導ケーブル10における第2の超電導層105およびシールド導体層107と、第2の超電導ケーブル20における第2の超電導層105およびシールド導体層107とは、それぞれ互いに電気的に接続されている。第1の超電導ケーブル10における第2の超電導層105と、第2の超電導ケーブル20における第2の超電導層205とは、常伝導状態における抵抗(Ω)が異なっている。第1および第2の超電導ケーブル10,20の少なくとも一方において、第2の超電導層105,205とシールド導体層107,207とが電気的に接続されている。
【0089】
具体的には、図6に示すように、実施の形態2における超電導ケーブルの接続構造は、第1の超電導ケーブル10と、第2の超電導ケーブル20と、スリーブ310と、線材320と、接続部材340と、第1の線材350と、第2の線材360とを備えている。
【0090】
実施の形態2における第1の超電導ケーブル10,20は、基本的には実施の形態1における第1の超電導ケーブル10,20と同様の構成を備えているが、第1の超電導層103,203および第2の超電導層105,205においてのみ異なる。
【0091】
具体的には、第1の超電導層103,203は、第1および第2の超電導ケーブル10,20において短絡電流が流れたときに、フォーマ101,201に過剰な電流が流れることを防止できる観点から、第1の超電導ケーブル10における第1の超電導層103と、第2の超電導ケーブル20における第2の超電導層203とは、常伝導状態における抵抗が同じであることが好ましい。すなわち、第1および第2の超電導ケーブル10,20における第1の超電導層103,203は、たとえば同じ長さおよび同じ断面積のBi系の超電導体やRE−123系の超電導体のいずれか一方である。
【0092】
第1の超電導ケーブル10における第2の超電導層105は、第2の超電導ケーブル20における第2の超電導層205と、常伝導状態における抵抗が異なっており、第1の超電導ケーブル10における第2の超電導層105の常伝導状態における抵抗は、第2の超電導ケーブル20における第2の超電導層205の常伝導状態における抵抗の5倍以上であることがより好ましい。
【0093】
第1の超電導ケーブル10における第2の超電導層105は、たとえばRE−123系の超電導体であることが好ましく、YBCOであることがより好ましい。第2の超電導ケーブル20における第2の超電導層205は、Bi系超電導体であることが好ましく、Bi2223超電導体であることがより好ましい。
【0094】
接続部300は、第1および第2の超電導ケーブル10,20少なくともいずれか一方において、第2の超電導層105,205とシールド導体層107,207とを電気的に接続している。接続部300は、接続部材340と、シールド側第1の線材350と、シールド側第2の線材360とを含んでいる。
【0095】
接続部材340は、第1および第2の超電導ケーブル10,20の少なくともいずれか一方において、第2の超電導層105,205とシールド導体層107,207とを電気的に接続する導電性の部材である。図6に示すように、接続部材340は、第1および第2の超電導ケーブル10,20の第2の超電導層105,205と、第1および第2の超電導ケーブル10,20のシールド導体層107,207とをそれぞれ電気的に接続することが好ましい。接続部材340は、たとえば半田を用いることができ、第2の超電導体105,205およびシールド導体層107,207を半田を用いてモールドする時に第3の絶縁層106,206への熱影響を小さくすることができる観点から、Bi、Sn、およびInなどの合金材料からなる半田を用いることが好ましい。このような半田は、たとえばBiが57%、Snが17%、Inが26%の重量比の合金材料である。接続部材340は、たとえば金属管や金属膜などの形状であってもよく、第2の超電導層105,205の外周側に形成される。
【0096】
シールド側第1および第2の線材350,360は、実施の形態1におけるシールド側第1および第2の線材350,360と同様であるので、その説明は繰り返さない。
【0097】
また、実施の形態2における超電導ケーブルの接続構造は、第1および第2の超電導ケーブル10,20のフォーマ101,201を電気的に接続するスリーブ310と、第1および第2の超電導ケーブル10,20の第1の超電導層103,203を電気的に接続する線材320とをさらに備えている。スリーブ310および線材320は、実施の形態1と同様であるので、その説明は繰り返さない。
【0098】
次に、図6および図7を参照して、実施の形態2における超電導ケーブルの接続方法について説明する。なお、図7は、本発明の実施の形態2における超電導ケーブルの接続方法を示すフローチャートである。
【0099】
図6および図7に示すように、フォーマ101,201と、フォーマ101,201の外周側に配置される第1の絶縁層102,202と、第1の絶縁層102,202の外周側に配置される第1の超電導層103,203と、第1の超電導層103,203の外周側に配置される第2の絶縁層104,204と、第2の絶縁層104,204の外周側に配置される第2の超電導層105,205と、第2の超電導層105,205の外周側に配置される第3の絶縁層106,206と、第3の絶縁層106,206の外周側に配置されるシールド導体層107,207とを備える、第1および第2の超電導ケーブル10,20を準備する準備工程(S10)を実施する。実施の形態2における準備工程(S10)では、第1の超電導ケーブル10における第2の超電導層105の常伝導状態における抵抗と、第2の超電導ケーブル20における第2の超電導層205の常伝導状態における抵抗とが異なる、第1および第2の超電導ケーブル10,20を準備する。準備工程(S10)では、上述した第1および第2の超電導ケーブル10,20を準備する。
【0100】
なお、実施の形態2における準備工程(S10)は、基本的には実施の形態1における準備工程(S10)と同様であるが、実施の形態2における準備工程(S10)では、実施の形態1と異なる第1の超電導層103,203および第2の超電導層105,205を備える第1および第2の超電導ケーブル10,20を準備する点においてのみ異なる。
【0101】
次に、図6および図7に示すように、第1の超電導ケーブル10におけるフォーマ101と、第2の超電導ケーブル20におけるフォーマ201とを電気的に接続する第1接続工程(S20)を実施する。第1接続工程(S20)は実施の形態1と同様であるので、その説明は繰り返さない。
【0102】
次に、図6および図7に示すように、第1の超電導ケーブル10における第1の超電導層103と、第2の超電導ケーブル20における第1の超電導層203とを電気的に接続する第2接続工程(S30)を実施する。第2接続工程(S30)は、実施の形態1と同様であるので、その説明は繰り返さない。
【0103】
次に、第1および第2の超電導ケーブル10,20の少なくともいずれか一方において、第2の超電導層105,205とシールド導体層107,207とを電気的に接続するシールド側第1接続工程(S50)を実施する。これにより、第1および第2の超電導ケーブル10,20の少なくともいずれか一方において、第2の超電導層105,205とシールド導体層107,207とを電気的に接続できる。
【0104】
シールド側第1接続工程(S50)では、第1および第2の超電導ケーブル10,20の少なくとも一方において第2の超電導層105,205と、シールド導体層107,207とを電気的に接続する接続部材340を形成することが好ましい。この場合、たとえば以下のようにして、第2の超電導層105,205とシールド導体層107,207とを電気的に接続する。具体的には、まず、半田などの接続部材340を準備して、接続部材340を溶接するなどによって、第2の超電導層105,205の外周側に形成する。
【0105】
次に、第1の超電導ケーブル10における第2の超電導層105と、第2の超電導ケーブル20における第2の超電導層205とを電気的に接続するシールド側第2接続工程(S60)を実施する。これにより、第1の超電導ケーブル10における第2の超電導層105と、第2の超電導ケーブル20における第2の超電導層205とを電気的に接続できる。
【0106】
実施の形態2におけるシールド側第2接続工程(S60)では、第1の超電導ケーブル10における第2の超電導層105と、第2の超電導ケーブル20における第2の超電導層205とを電気的に接続する導電性のシールド側第1の線材350を形成することが好ましい。この場合、たとえば以下のようにして、第2の超電導層105,205を接続する。
【0107】
具体的には、導電性のシールド側第1の線材350を準備する。準備するシールド側第1の線材350は、超電導線材が好ましく、Bi系の超電導線材を準備することがより好ましい。そして、シールド側第2接続肯定(S60)で第2の超電導層105,205の外周側に形成された接続部材340上に半田などを配置する。そして、準備したシールド側第1の線材350を半田と接続する。これにより、第1の超電導ケーブル10における第2の超電導層105と、第2の超電導ケーブル20における第2の超電導層205とを、接続部材340、シールド側第1の線材350、および半田を介して電気的に接続できる。なお、半田を用いずに、第1の超電導ケーブル10における第1の超電導層105と、第2の超電導ケーブル20における第1の超電導層205とを接続してもよい。
【0108】
次に、第1の超電導ケーブル10におけるシールド導体層107と、第2の超電導ケーブル20におけるシールド導体層207とを電気的に接続するシールド側第3接続工程(S70)を実施する。これにより、第1の超電導ケーブル10における第2の超電導層105およびシールド導体層107と、第2の超電導ケーブル20における第2の超電導層205およびシールド導体層207とは、それぞれ互いに電気的に接続される。
【0109】
シールド側第3接続工程(S70)では、第1の超電導ケーブル10におけるシールド導体層107と、第2の超電導ケーブル20におけるシールド導体層207とを電気的に接続する導電性のシールド側第2の線材360を形成することが好ましい。この場合、たとえば以下のようにして、第1および第2の超電導ケーブル10,20におけるシールド導体層107,207を接続する。
【0110】
具体的には、導電性のシールド側第2の線材360を準備する。準備するシールド側第2の線材360は、金属材料の線材を準備することがより好ましい。そして、準備したシールド側第2の線材360を第1および第2の超電導ケーブル10,20における第1の超電導層105,205と電気的に接続する。このとき、半田などを介して接続してもよい。
【0111】
以上の工程(S10,S20,S50〜S70)を実施することによって、図6に示す超電導ケーブルの接続構造が得られる。なお、各工程を実施する順序は特に限定されない。
【0112】
次に、図6および図8を参照して、実施の形態2における超電導ケーブルの接続構造の動作について説明する。なお、図8は、本発明の実施の形態2における超電導ケーブルの接続構造の接続部における抵抗を説明するための図である。
【0113】
図6に示す超電導ケーブルの接続構造は、第1および第2の超電導ケーブル10,20の第2の超電導層105,205は、第1および第2の超電導ケーブル10,20のシールド導体層107,207と電気的に接続されているので、接続部300において、図8に示すように、第2の超電導層103,203の抵抗R105,R205とシールド導体層107,207の抵抗R107,R207に合わせた電流が再配分される。なお、第1および第2の超電導ケーブル10,20の第2の超電導層105,205のうちのいずれか一方が、第1および第2の超電導ケーブル10,20のフォーマのうちのいずれか一方と電気的に接続されている場合においても、接続部300において、同様に電流を再配分できる。
【0114】
具体的には、超電導ケーブル10,20に設計値以内の電流が流れると、超電導状態においては、第2の超電導層105,205の抵抗R105,R205がシールド導体層107,207の抵抗R107,R207よりも小さいため、シールド導体層107,207よりも第2の超電導層105,205に優先して電流が流れる。一方、超電導ケーブル10,20に設計値を超えるような短絡電流が流れると、常伝導状態では、シールド導体層107,207の抵抗R107,R207が、第2の超電導層105,205の抵抗R105,R205よりも小さいため、第2の超電導層105,205よりもシールド導体層107,207に優先して電流が流れる。しかし、第1の超電導ケーブル10における第2の超電導層105抵抗R105が第2の超電導ケーブル20における第1の超電導層205の抵抗R205よりも大きい場合であっても、接続部300において第1の超電導ケーブル10または第2の超電導ケーブル20に流れる電流が、第1または第2の超電導ケーブル20,10におけるシールド導体層207,107と第2の超電導層205,105との抵抗R205,R105に応じて、シールド導体層207,107および第2の超電導層205,105に流れる。そのため、常伝導状態において抵抗が異なる第2の超電導層105,205を備える超電導ケーブル10,20を接続する場合において、短絡電流が流れた場合に、第2の超電導層105,205と、シールド導体層107,207とに設計通りの電流を分配することができる。
【0115】
以上説明したように、本発明の実施の形態2における超電導ケーブルの接続構造によれば、第1の超電導ケーブル10における第2の超電導層105と、第2の超電導ケーブル20における第2の超電導層205とは、常伝導状態における抵抗が異なっており、第1および第2の超電導ケーブル10,20の少なくともいずれか一方において、第2の超電導層105,205とシールド導体層107,207とが電気的に接続されている。これにより、短絡電流が流れると、常伝導状態における第2の超電導層105,205のそれぞれの抵抗R105,R205に応じて電流が流れる。すなわち、第2の超電導層105,205とシールド導体層107,207とが電気的に接続されている部分(接続部300)において、電流を再配分できる。そのため、常伝導状態において抵抗が異なる第2の超電導層105,205を備える超電導ケーブルを接続する場合において、短絡電流が流れても、過剰に電流が流れることを防止できる。
【0116】
(実施の形態3)
図9は、本発明の実施の形態3における超電導ケーブルの接続構造を示す概略断面図である。図9を参照して、本発明の実施の形態3における超電導ケーブルの接続構造を説明する。
【0117】
図9に示すように、実施の形態3における超電導ケーブルの接続構造は、第1の超電導ケーブル10と、第2の超電導ケーブル20と、スリーブ310と、線材320と、半田330と、接続部材340と、シールド側第1の線材350と、シールド側第2の線材360とを備えている。
【0118】
第1および第2の超電導ケーブル10,20は、基本的には、実施の形態1の超電導ケーブル10,20と同様であるが、第2の超電導層105,205は実施の形態2の第1および第2の超電導ケーブル10,20と同様である。すなわち、第1の超電導ケーブル10における第1の超電導層103と、第2の超電導ケーブル20における第1の超電導層203とは、常伝導状態における抵抗(Ω)が異なっている。また、第1の超電導ケーブル10における第2の超電導層105と、第2の超電導ケーブル20における第1の超電導層205とは、常伝導状態における抵抗が異なっている。
【0119】
実施の形態3では、第1の超電導ケーブル10,20における第1および第2の超電導層103,105はRE−123系の超電導体など常伝導状態での抵抗率が相対的に高い材料を用い、第2の超電導ケーブルにおける第1および第2の超電導層203,205はBi系の超電導体など常伝導状態での抵抗率が相対的に低い材料を、同じ長さおよび同じ断面積の条件で用いている。
【0120】
なお、第1の超電導ケーブル10における第1および第2の超電導層103,105は、それぞれ常伝導状態で同じ抵抗であってもよく、異なる抵抗であってもよい。同様に、第2の超電導ケーブル20における第1および第2の超電導層203,205は、それぞれ常伝導状態で同じ抵抗であってもよく、異なる抵抗であってもよい。
【0121】
また、スリーブ310、線材320、半田330、接続部材340、シールド側第1の線材350、およびシールド側第2の線材360は、実施の形態1および実施の形態2と同様であるので、その説明は繰り返さない。
【0122】
実施の形態3における超電導ケーブルの接続構造は、第1および第2の超電導ケーブル10,20の第1の超電導層103,203のうちの少なくともいずれか一方は、第1および第2の超電導ケーブル10,20のフォーマ101,201のうち少なくともいずれか一方と電気的に接続されているとともに、第1および第2の超電導ケーブル10,20の少なくともいずれか一方において、第2の超電導層105,205とシールド導体層107,207とが電気的に接続されている。
【0123】
次に、図9および図10を参照して、本発明の実施の形態3における超電導ケーブルの接続方法について説明する。なお、図10は、本発明の実施の形態3における超電導ケーブルの接続方法を示すフローチャートである。
【0124】
図9および図10に示すように、フォーマ101,201と、フォーマ101,201の外周側に配置される第1の絶縁層102,202と、第1の絶縁層102,202の外周側に配置される第1の超電導層103,203と、第1の超電導層103,203の外周側に配置される第2の絶縁層104,204と、第2の絶縁層104,204の外周側に配置される第2の超電導層105,205と、第2の超電導層105,205の外周側に配置される第3の絶縁層106,206と、第3の絶縁層106,206の外周側に配置されるシールド導体層107,207とを備える、第1および第2の超電導ケーブル10,20を準備する準備工程(S10)を実施する。準備工程(S10)は、実施の形態1と同様であるので、その説明は繰り返さない。
【0125】
次に、第1の超電導ケーブル10におけるフォーマ101と、第2の超電導ケーブル20におけるフォーマ201とを電気的に接続する第1接続工程(S20)を実施する。第1接続工程(S20)は、実施の形態1と同様であるので、その説明は繰り返さない。
【0126】
次に、第1の超電導ケーブル10における第1の超電導層103と、第2の超電導ケーブル20における第1の超電導層203とを電気的に接続する第2接続工程(S30)を実施する。第2接続工程(S30)は、実施の形態1と同様であるので、その説明は繰り返さない。
【0127】
次に、第1および第2の超電導ケーブル10,20の第1の超電導層103,203のうちの少なくともいずれか一方と、第1および第2の超電導ケーブル10,20のフォーマ101,201のうちの少なくともいずれか一方とを電気的に接続する第3接続工程(S40)を実施する。第3接続工程(S40)は、実施の形態1と同様であるので、その説明は繰り返さない。
【0128】
次に、第1および第2の超電導ケーブル10,20の少なくともいずれか一方において、第2の超電導層105,205とシールド導体層107,207とを電気的に接続するシールド側第1接続工程(S50)を実施する。シールド側第1接続工程(S50)は、実施の形態2と同様であるので、その説明は繰り返さない。
【0129】
次に、第1の超電導ケーブル10における第2の超電導層105と、第2の超電導ケーブル20における第2の超電導層205とを電気的に接続するシールド側第2接続工程(S60)を実施する。シールド側第2接続工程(S60)は、実施の形態2と同様であるので、その説明は繰り返さない。
【0130】
次に、第1の超電導ケーブル10におけるシールド導体層107と、第2の超電導ケーブル20におけるシールド導体層207とを電気的に接続するシールド側第3接続工程(S70)を実施する。シールド側第3接続工程(S70)は、実施の形態2と同様であるので、その説明は繰り返さない。
【0131】
以上の工程(S10〜S70)を実施することによって、図9に示す実施の形態3における超電導ケーブルの接続構造が得られる。なお、各工程を実施する順序は特に限定されない。
【0132】
実施の形態3における超電導ケーブルの接続構造の動作は、第1および第2の超電導ケーブル10,20の第1の超電導層103,203のうちの少なくともいずれか一方は、第1および第2の超電導ケーブル10,20のフォーマ101,201のうち少なくともいずれか一方と電気的に接続されている接続部300においては、図5(A)および(B)に示す実施の形態1における超電導ケーブルの接続構造の動作と同様であるので、その説明は繰り返さない。また、第1および第2の超電導ケーブル10,20の少なくともいずれか一方において、第2の超電導層105,205とシールド導体層107,207とが電気的に接続されている接続部300においては、図8に示す実施の形態2における超電導ケーブルの接続構造の動作と同様であるので、その説明は繰り返さない。
【0133】
以上説明したように、本発明の実施の形態3における超電導ケーブルの接続構造によれば、第1および第2の超電導ケーブル10,20における第1の超電導層103,203、および第2の超電導層105,205は、それぞれ互いに常伝導状態において抵抗が異なっており、第1および第2の超電導ケーブル10,20の第1の超電導層103,203のうちの少なくともいずれか一方は、第1および第2の超電導ケーブル10,20のフォーマ101,201のうち少なくともいずれか一方と電気的に接続されているとともに、第1および第2の超電導ケーブル10,20の少なくともいずれか一方において、第2の超電導層105,205とシールド導体層107,207とが電気的に接続されている。これにより、第1の超電導層103,203とフォーマ101,201とが電気的に接続されている部分、および第2の超電導層105,205とシールド導体層107,207とが電気的に接続されている部分(接続部300)において、電流を再配分できる。そのため、常伝導状態において抵抗が異なる第1の超電導層103,203および第2の超電導層105,205を備える超電導ケーブルを接続する場合において、短絡電流が流れても、過剰に電流が流れることを防止できる。
【実施例】
【0134】
本実施例では、常伝導状態において抵抗が異なる超電導層を備える超電導ケーブルを接続する場合において、短絡電流が流れても、過剰に電流が流れることを防止できることの効果について確認した。
【0135】
(本発明例1)
本発明例1における超電導ケーブルの接続構造は、図3に示す実施の形態1における超電導ケーブルの接続方法にしたがった。具体的には、まず、準備工程(S10)では、図1および図2に示す第1および第2の超電導ケーブル10,20を準備した。第1および第2の超電導ケーブル10,20におけるフォーマ101,201は、銅製で、銅の抵抗率が1.69μΩ・cmで、断面積が1.4cm2のもの、すなわち、単位長さ当たり1.2μΩ/cmの抵抗を持つ銅を用いた。また、第1の超電導ケーブル10における第1の超電導層103は、長さが3mで超電導層がYBCOの超電導線材を、第2の超電導ケーブル20における第1の超電導層203は、長さが3mのBi2223超電導線材を用いた。なお、YBCOの常伝導状態における単位長さ当たりの抵抗(57.0μΩ/cm)は、Bi2223の常伝導状態における単位長さ当たりの抵抗(8.1μΩ/cm)の約7倍である。
【0136】
次に、第1接続工程(S20)では、銅からなるスリーブ310を用いて、第1の超電導ケーブル10におけるフォーマ101と、第2の超電導ケーブル20におけるフォーマ201とを電気的に接続した。
【0137】
次に、第2接続工程(S30)では、線材320としてBi2223超電導線材を用いて、第1の超電導ケーブル10における第1の超電導層103と、第2の超電導ケーブル20における第1の超電導層203とを電気的に接続した。
【0138】
次に、第3接続工程(S30)では、Pbが36%、Snが62%、Agが2%の重量比の合金材料からなる半田330を用いて、第1および第2の超電導ケーブル10,20の第1の超電導層103,203と、第1および第2の超電導ケーブル10,20のフォーマ101,201とを電気的に接続した。
【0139】
次に、シールド側第2接続工程(S50)では、シールド側第1の線材350としてBi2223超電導線材を用いて、第1の超電導ケーブル10における第2の超電導層105と、第2の超電導ケーブル20における第2の超電導層205とを電気的に接続した。
【0140】
次に、シールド側第3接続工程(S60)では、シールド側第2の線材360として銅からなる線材を用いて、第1の超電導ケーブル10におけるシールド導体層107と、第2の超電導ケーブル20におけるシールド導体層207とを電気的に接続した。
【0141】
以上の工程(S10〜S40,S60,S70)を実施することによって、本発明例1における超伝導ケーブルの接続構造を得た。
【0142】
(比較例1)
比較例1における超電導ケーブルの接続構造は、基本的には本発明例1における超電導ケーブルの接続構造と同様の構成を備えているが、第3接続工程(S30)を備えていない点においてのみ異なる。すなわち、比較例1における超電導ケーブルの接続構造は、図11に示すように、半田330を備えておらず、第1および第2の超電導ケーブル10,20の第1の超電導層103,203と、第1および第2の超電導ケーブル10,20のフォーマ101,201とを電気的に接続しなかった。なお、図11は、比較例1における超電導ケーブルの接続構造を示す断面図である。
【0143】
(測定方法)
本発明例1および比較例1における超電導線材の接続構造において、第2の超電導ケーブル20における第1の超電導層203から第1の超電導ケーブル10における第1の超電導層103に短絡電流を流したときに、第1および第2の超電導ケーブル10,20に流れるフォーマ101,201、第1の超電導層103,203に流れるそれぞれの電流を、電流計を用いて測定した。
【0144】
なお、上述したことを言い換えると、本発明例1および比較例1における超電導線材の接続構造の接続部300における抵抗は、それぞれ図5(A)および図12に示すような状態であり、図5(A)および図12において、抵抗R101,R201は0.36Ω、抵抗R103は17.1Ω、抵抗R203は2.43μΩであった。なお、図12は、比較例1における超電導ケーブルの接続構造の接続部における抵抗を説明するための図である。
【0145】
また、第1の超電導ケーブル10のフォーマ101に流れる電流の設計値は22.53kAであり、第1の超電導ケーブル10の第1の超電導層103に流れる電流の設計値は0.47kAであった。また、第2の超電導ケーブル20のフォーマ201に流れる電流の設計値は20.03kAであり、第2の超電導ケーブル20の第1の超電導層203に流れる電流の設計値は2.97kAであった。
【0146】
(測定結果)
本発明例1における超電導ケーブルの接続構造に流れた電流は、第2の超電導ケーブル20におけるフォーマ201には20.0kA、第2の超電導ケーブル20における第1の超電導層203には3.0kA、第1の超電導ケーブル10におけるフォーマ101には22.5kA、第1の超電導ケーブル10における第1の超電導層103には0.5kAであった。この結果から、本発明例1における超電導ケーブルの接続構造では、第1および第2の超電導ケーブル10,20の第1の超電導層103,203のうちの少なくともいずれか一方は、第1および第2の超電導ケーブル10,20のフォーマ101,201のうち少なくともいずれか一方と電気的に接続されているので、それぞれの抵抗に応じた電流を再配分できた。
【0147】
一方、比較例1における超電導ケーブルの接続構造に流れた電流は、第2の超電導ケーブル20におけるフォーマ201には22.2kA、第2の超電導ケーブル20における第1の超電導層203には0.8kA、第1の超電導ケーブル10におけるフォーマ101には22.2kA、第1の超電導ケーブル20における第1の超電導層103には0.47kAが流れた。この結果から、比較例1における超電導ケーブルの接続構造では、常伝導状態で抵抗が相対的に低い側の第2の超電導ケーブル20のフォーマ201において設計値を大きく上回る電流が流れた。
【0148】
以上の結果より、実施例によれば、常伝導状態において抵抗が異なる超電導層を備える超電導ケーブルを接続する場合において、短絡電流が流れても、過剰に電流が流れることを防止できることが確認できた。
【0149】
以上に開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態および実施例ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正や変形を含むものと意図される。
【産業上の利用可能性】
【0150】
本発明の超電導ケーブルの接続構造および接続方法は、短絡電流が流れても、過剰に電流が流れることを防止できるので、常伝導状態において抵抗が異なる超電導層を備える超電導ケーブルを接続する場合に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0151】
【図1】(A)は、本発明の実施の形態1における第1の超電導ケーブルを示す断面図であり、(B)は、本発明の実施の形態1における第2の超電導ケーブルを示す断面図である。
【図2】(A)は、本発明の実施の形態1における第1の超電導ケーブルのケーブルコアを示す断面図であり、(B)は、本発明の実施の形態1における第2の超電導ケーブルのケーブルコアを示す断面図である。
【図3】本発明の実施の形態1における超電導ケーブルの接続構造を示す概略断面図である
【図4】本発明の実施の形態1における超電導ケーブルの接続方法を示すフローチャートである。
【図5】(A)は、本発明の実施の形態1における超電導ケーブルの接続構造の接続部における抵抗を説明するための図であり、(B)は、別の接続部における抵抗を説明するための図である。
【図6】本発明の実施の形態2における超電導ケーブルの接続構造を示す断面図である。
【図7】本発明の実施の形態2における超電導ケーブルの接続方法を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態2における超電導ケーブルの接続構造の接続部における抵抗を説明するための図である。
【図9】本発明の実施の形態3における超電導ケーブルの接続構造を示す概略断面図である。
【図10】本発明の実施の形態3における超電導ケーブルの接続方法を示すフローチャートである。
【図11】比較例1における超電導ケーブルの接続構造を示す断面図である。
【図12】比較例1における超電導ケーブルの接続構造の接続部における抵抗を説明するための図である。
【符号の説明】
【0152】
10 第1の超電導ケーブル、11,21 断熱管、12,22 コルゲート内管、13,23 断熱層、14,24 コルゲート外管、15,25 防食層、16,26 冷媒流通路、20 第2の超電導ケーブル、100,200 ケーブルコア、101,201 フォーマ、102,202 第1の絶縁層、103,203 第1の超電導層、104,204 第2の絶縁層、105,205 第2の超電導層、106,206 第3の絶縁層、107,207 シールド導体層、300 接続部、310 スリーブ、320 線材、330 半田、340 接続部材、350 シールド側第1の線材、360 シールド側第2の線材、R101,R103、R105,R107,R201,R203,R205,R207 抵抗。
【技術分野】
【0001】
本発明は、超電導ケーブルの接続構造および超電導ケーブルの接続方法に関し、たとえば常伝導状態における抵抗が異なる超電導層を備える超電導ケーブルの接続構造および超電導ケーブルの接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、都市部などにおいて電力消費量が増加する傾向にあり地中送電の大容量化が必要となることから、電流密度が従来のケーブルの約100倍と大きい超電導ケーブルの開発が進められている。上記超電導ケーブルは、たとえば特開2002−140943号公報(特許文献1)に開示されているように、内側から順にフォーマ、超電導導層、電気絶縁層、シールド超電導層、およびシールド導体層を備えるケーブルコアを外筒の内部空間に複数挿通しているとともに、該外筒の内部空間は液体窒素等を流通させた冷媒層とした構造となっている。
【0003】
上記超電導ケーブルを地中に布設する場合には、複数の超電導ケーブルを繋ぎ合わせて配索する必要が生じる。現状では、接続される超電導ケーブルのケーブルコアはそれぞれの層同士を同じ仕様とされ、それぞれの層を互いに接続することによって、超電導ケーブルを接続している。
【0004】
たとえばBSCCO線材からなる超電導層を備える超電導ケーブルとYBCO線材からなる超電導層を備える超電導ケーブルとを接続する場合において、短絡電流が流れると、YBCO線材からなる超電導層を備える超電導ケーブル側の抵抗が大きくなるので、BSCCO線材からなる超電導層を備える超電導ケーブル側に設計値以上の電流が流れてしまうという問題がある。設計値以上の電流が流れると、BSCCO線材を備える超電導ケーブルのフォーマの温度上昇が大きくなり、フォーマの外周の液体窒素含浸紙などの絶縁層において液体窒素が気化することによる絶縁破壊が生じてしまう場合がある。
【0005】
すなわち、常伝導状態において抵抗が異なる超電導層を備える超電導ケーブルを接続する場合において、短絡電流が流れると、常伝導状態において抵抗が相対的に小さい側の超電導ケーブルに設計値を超える電流が流れてしまうという問題がある。
【特許文献1】特開2002−140943号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、常伝導状態において抵抗が異なる超電導層を備える超電導ケーブルを接続する場合において、短絡電流が流れても、過剰に電流が流れることを防止できる、超電導ケーブルの接続構造および超電導ケーブルの接続方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の局面における超電導ケーブルの接続構造は、フォーマと、フォーマの外周側に配置される第1の絶縁層と、第1の絶縁層の外周側に配置される第1の超電導層と、第1の超電導層の外周側に配置される第2の絶縁層と、第2の絶縁層の外周側に配置される第2の超電導層と、第2の超電導層の外周側に配置される第3の絶縁層と、第3の絶縁層の外周側に配置されるシールド導体層とを備える、第1および第2の超電導ケーブルの接続構造である。第1の超電導ケーブルにおけるフォーマおよび第1の超電導層と、第2の超電導ケーブルにおけるフォーマおよび第1の超電導層とは、それぞれ互いに電気的に接続されている。第1の超電導ケーブルにおける第1の超電導層と、第2の超電導ケーブルにおける第1の超電導層とは、常伝導状態における抵抗が異なっている。第1および第2の超電導ケーブルの第1の超電導層のうちの少なくともいずれか一方は、第1および第2の超電導ケーブルのフォーマのうち少なくともいずれか一方と電気的に接続されている。
【0008】
本発明の一の局面における超電導ケーブルの接続方法は、準備工程と、第1接続工程と、第2接続工程と、第3接続工程とを備えている。準備工程は、フォーマと、フォーマの外周側に配置される第1の絶縁層と、第1の絶縁層の外周側に配置される第1の超電導層と、第1の超電導層の外周側に配置される第2の絶縁層と、第2の絶縁層の外周側に配置される第2の超電導層と、第2の超電導層の外周側に配置される第3の絶縁層と、第3の絶縁層の外周側に配置されるシールド導体層とを備える、第1および第2の超電導ケーブルを準備する。第1接続工程は、第1の超電導ケーブルにおけるフォーマと、第2の超電導ケーブルにおけるフォーマとを電気的に接続する。第2接続工程は、第1の超電導ケーブルにおける第1の超電導層と、第2の超電導ケーブルにおける第1の超電導層とを電気的に接続する。第3接続工程は、第1および第2の超電導ケーブルの第1の超電導層のうちの少なくともいずれか一方と、第1および第2の超電導ケーブルのフォーマのうち少なくともいずれか一方とを電気的に接続する。準備工程では、第1の超電導ケーブルにおける第1の超電導層の常伝導状態における抵抗と、第2の超電導ケーブルにおける第1の超電導層の常伝導状態における抵抗とが異なる、第1および第2の超電導ケーブルを準備する。
【0009】
本発明の一の局面における超電導ケーブルの接続構造および超電導ケーブルの接続方法によれば、第1の超電導層とフォーマとが電気的に接続されているので、短絡電流が流れると、常伝導状態における第1の超電導層とフォーマとのそれぞれの抵抗(Ω)に応じて電流が流れる。すなわち、第1の超電導層とフォーマとが電気的に接続されている部分において、電流を再配分できる。そのため、常伝導状態において抵抗が異なる第1の超電導層を備える超電導ケーブルを接続する場合において、短絡電流が流れても、過剰に電流が流れることを防止できる。
【0010】
上記一の局面における超電導ケーブルの接続構造において好ましくは、第1の超電導ケーブルにおける第1の超電導層の常伝導状態における抵抗は、第2の超電導ケーブルにおける第1の超電導層の常伝導状態における抵抗の5倍以上である。
【0011】
また、上記一の局面における超電導ケーブルの接続方法において好ましくは、準備工程では、第1の超電導ケーブルにおける第1の超電導層の常伝導状態における抵抗が、第2の超電導ケーブルにおける第1の超電導層の常伝導状態における抵抗の5倍以上である第1の超電導ケーブルを準備する。
【0012】
これにより、短絡電流が流れたときに、過剰な電流が流れやすい第2の超電導ケーブルに、設計値を大きく超える電流が流れることを防止できる。
【0013】
上記一の局面における超電導ケーブルの接続構造において好ましくは、第1の超電導ケーブルにおけるフォーマの端部と第2の超電導ケーブルにおけるフォーマの端部とを対向させた状態で被覆することにより、第1の超電導ケーブルにおけるフォーマと、第2の超電導ケーブルにおけるフォーマとを電気的に接続する導電性のスリーブと、第1の超電導ケーブルにおける第1の超電導層と、第2の超電導ケーブルにおける第1の超電導層とを電気的に接続する導電性の線材とを備え、スリーブと線材とは、電気的に接続されている。
【0014】
上記一の局面における超電導ケーブルの接続方法において好ましくは、第1接続工程では、第1の超電導ケーブルにおけるフォーマの端部と第2の超電導ケーブルにおけるフォーマの端部とを対向させた状態で被覆することにより、第1の超電導ケーブルにおけるフォーマと、第2の超電導ケーブルにおけるフォーマとを電気的に接続する導電性のスリーブを形成し、第2接続工程では、第1の超電導ケーブルにおける第1の超電導層と、第2の超電導ケーブルにおける第1の超電導層とを電気的に接続する導電性の線材を形成し、第3接続工程では、スリーブと、線材とを電気的に接続する。
【0015】
これにより、第1および第2の超電導ケーブルの第1の超電導層のうちの少なくともいずれか一方と、第1および第2の超電導ケーブルのフォーマのうち少なくとも一方とが電気的に接続されている構造が得られる。そのため、伝導状態において抵抗が異なる第1の超電導層を備える超電導ケーブルを接続する場合において、短絡電流が流れても、過剰に電流が流れることを防止できる。
【0016】
本発明の他の局面における超電導ケーブルの接続構造は、フォーマと、フォーマの外周側に配置される第1の絶縁層と、第1の絶縁層の外周側に配置される第1の超電導層と、第1の超電導層の外周側に配置される第2の絶縁層と、第2の絶縁層の外周側に配置される第2の超電導層と、第2の超電導層の外周側に配置される第3の絶縁層と、第3の絶縁層の外周側に配置されるシールド導体層とを備える、第1および第2の超電導ケーブルの接続構造である。第1の超電導ケーブルにおける第2の超電導層およびシールド導体層と、第2の超電導ケーブルにおける第2の超電導層およびシールド導体層とは、それぞれ互いに電気的に接続されている。第1の超電導ケーブルにおける第2の超電導層と、第2の超電導ケーブルにおける第2の超電導層とは、常伝導状態における抵抗が異なっている。第1および第2の超電導ケーブルの少なくともいずれか一方において、第2の超電導層とシールド導体層とが電気的に接続されている。
【0017】
本発明の他の局面における超電導ケーブルの接続方法は、準備工程と、シールド側第1接続工程と、シールド側第2接続工程と、シールド側第3接続工程とを備えている。準備工程は、フォーマと、フォーマの外周側に配置される第1の絶縁層と、第1の絶縁層の外周側に配置される第1の超電導層と、第1の超電導層の外周側に配置される第2の絶縁層と、第2の絶縁層の外周側に配置される第2の超電導層と、第2の超電導層の外周側に配置される第3の絶縁層と、第3の絶縁層の外周側に配置されるシールド導体層とを備える、第1および第2の超電導ケーブルを準備する。シールド側第1接続工程は、第1および第2の超電導ケーブルの少なくともいずれか一方において、第2の超電導層とシールド導体層とを電気的に接続する。シールド側第2接続工程は、第1の超電導ケーブルにおける第2の超電導層と、第2の超電導ケーブルにおける第2の超電導層とを電気的に接続する。シールド側第3接続工程は、第1の超電導ケーブルにおけるシールド導体層と、第2の超電導ケーブルにおけるシールド導体層とを電気的に接続する。準備工程では、第1の超電導ケーブルにおける第2の超電導層の常伝導状態における抵抗と、第2の超電導ケーブルにおける第2の超電導層の常伝導状態における抵抗とが異なる、第1および第2の超電導ケーブルを準備する。
【0018】
本発明の他の局面における超電導ケーブルの接続構造および超電導ケーブルの接続方法によれば、第2の超電導層とシールド導体層とが電気的に接続されているので、短絡電流が流れると、常伝導状態における第2の超電導層のそれぞれの抵抗(Ω)に応じて電流が流れる。すなわち、第2の超電導層とシールド導体層とが電気的に接続されている部分において、電流を再配分できる。そのため、常伝導状態において抵抗が異なる第2の超電導層を備える超電導ケーブルを接続する場合において、短絡電流が流れても、過剰に電流が流れることを防止できる。
【0019】
上記他の局面における超電導ケーブルの接続構造において好ましくは、第1の超電導ケーブルにおける第2の超電導層の常伝導状態における抵抗は、第2の超電導ケーブルにおける第2の超電導層の常伝導状態における抵抗の5倍以上である。
【0020】
上記他の局面における超電導ケーブルの接続方法において好ましくは、準備工程では、第1の超電導ケーブルにおける第2の超電導層の常伝導状態における抵抗が、第2の超電導ケーブルにおける第2の超電導層の常伝導状態における抵抗の5倍以上である第1の超電導ケーブルを準備する。
【0021】
これにより、短絡電流が流れたときに、過剰な電流が流れやすい第2の超電導ケーブルに、設計値を大きく超える電流が流れることを防止できる。
【0022】
上記他の局面における超電導ケーブルの接続構造において好ましくは、第1および第2の超電導ケーブルの少なくともいずれか一方において、第2の超電導層とシールド導体層とを電気的に接続する導電性の接続部材と、第1の超電導ケーブルにおける第2の超電導層と、第2の超電導ケーブルにおける第2の超電導層とを電気的に接続する導電性の第1の線材と、第1の超電導ケーブルにおけるシールド導体層と、第2の超電導ケーブルにおけるシールド導体層とを電気的に接続する導電性の第2の線材とを備えている。
【0023】
また、上記他の局面における超電導ケーブルの接続方法において好ましくは、シールド側第1接続工程では、第1および第2の超電導ケーブルの少なくとも一方において第2の超電導層と、シールド導体層とを電気的に接続する接続部材を形成し、シールド側第2接続工程では、第1の超電導ケーブルにおける第2の超電導層と、第2の超電導ケーブルにおける第2の超電導層とを電気的に接続する導電性の線材を形成し、シールド側第3接続工程では、第1の超電導ケーブルにおけるシールド導体層と、第2の超電導ケーブルにおけるシールド導体層とを電気的に接続する導電性の線材を形成する。
【0024】
これにより、第1および第2の超電導ケーブルの少なくともいずれか一方において、第2の超電導層と、シールド導体層とが電気的に接続されている構造が得られる。そのため、常伝導状態において抵抗が異なる第2の超電導層を備える超電導ケーブルを接続する場合において、短絡電流が流れても、過剰に電流が流れることを防止できる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の超電導ケーブルの接続構造および超電導ケーブルの接続方法によれば、常伝導状態において抵抗が異なる超電導層を備える超電導ケーブルを接続する場合において、短絡電流が流れても、過剰に電流が流れることを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には、同一の参照符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0027】
(実施の形態1)
図1(A)は、本発明の実施の形態1における第1の超電導ケーブルを示す断面図であり、(B)は、本発明の実施の形態1における第2の超電導ケーブルを示す断面図である。図2(A)は、本発明の実施の形態1における第1の超電導ケーブルのケーブルコアを示す断面図であり、(B)は、本発明の実施の形態1における第2の超電導ケーブルのケーブルコアを示す断面図である。図3は、本発明の実施の形態1における超電導ケーブルの接続構造を示す概略断面図である。図1〜図3を参照して、本発明の実施の形態1における超電導ケーブルの接続構造について説明する。
【0028】
図1〜図3に示すように、実施の形態1における超電導ケーブルの接続構造は、フォーマ101,201と、フォーマ101,201の外周側に配置される第1の絶縁層102,202と、第1の絶縁層102,202の外周側に配置される第1の超電導層103,203と、第1の超電導層103,203の外周側に配置される第2の絶縁層104,204と、第2の絶縁層104,204の外周側に配置される第2の超電導層105,205と、第2の超電導層105,205の外周側に配置される第3の絶縁層106,206と、第3の絶縁層106,206の外周側に配置されるシールド導体層107,207とを備える、第1および第2の超電導ケーブル10,20の接続構造である。第1の超電導ケーブル10におけるフォーマ101および第1の超電導層103と、第2の超電導ケーブル20におけるフォーマ201および第1の超電導層203とは、それぞれ互いに電気的に接続されている。第1の超電導ケーブル10における第1の超電導層103と、第2の超電導ケーブル20における第1の超電導層203とは、常伝導状態における抵抗(Ω)が異なっている。第1および第2の超電導ケーブル10,20の第1の超電導層103,203のうちの少なくともいずれか一方は、第1および第2の超電導ケーブル10,20のフォーマ101,201のうち少なくともいずれか一方と電気的に接続されている。
【0029】
具体的には、図1〜図3に示すように、超電導ケーブルの接続構造は、第1の超電導ケーブル10と、第2の超電導ケーブル20と、スリーブ310と、線材320と、半田330と、シールド側第1の線材350と、シールド側第2の線材360とを備えている。
【0030】
まず、図1および図2を参照して、超電導ケーブルの接続構造を構成する第1および第2の超電導ケーブル10,20を説明する。第1および第2の超電導ケーブル10,20は、基本的には同様の構造であるが、第1の超電導層103,203の材料が異なる。
【0031】
図1(A)および(B)に示すように、第1および第2の超電導ケーブル10,20は、ケーブルコア100,200と、断熱管11,21とをそれぞれ備えている。断熱管11,21の内側に形成された冷媒流通路16,26内に、たとえば3本のケーブルコア100,200を配置している。断熱管11,21は、たとえばコルゲート内管12,22と、コルゲート内管12,22の外周側に配置された断熱層13,23と、断熱層13,23の外周側に配置されたコルゲート外管14,24と、コルゲート外管14,24の外周側に配置された防食層15,25とをそれぞれ含んでいる。コルゲート内管12,22およびコルゲート外管14,24は、たとえばステンレス製のコルゲート筒形状である。防食層15,25は、たとえばポリ塩化ビニル(PVC)などよりなっている。冷媒流通路16,26内には、ケーブルコア100,200を冷却するための液体窒素や液体ヘリウムなどの冷媒が配置されている。なお、実施の形態1では、図1に示す3本のケーブルコア100,200を一括に収納した三心一括型としているが、特にこれに限定されず、たとえば断熱管11内に1本のケーブルコアを収納した単心ケーブルとしてもよい。
【0032】
図2(A)および(B)に示すように、第1および第2の超電導ケーブル10,20のケーブルコア100,200は、フォーマ101,201と、第1の絶縁層102,202と、第1の超電導層103,203と、第2の絶縁層104,204と、第2の超電導層105,205と、第3の絶縁層106,206と、シールド導体層107,207とをそれぞれ備えている。
【0033】
フォーマ101、201は、ケーブルコア100,200の剛性や曲げ特性などの機械的特性を維持するための、金属(たとえば銅やアルミニウム)の複数の撚り線である。第1および第2の超電導ケーブル10,20に過電流が流れて第1の超電導層103,203の臨界電流値Icを超えると、第1の超電導層103,203の抵抗は常伝導状態の抵抗となるので、フォーマ101,201に電流が流れる。そのため、フォーマ101,201は、第1の超電導層103,203に対する安全用バイパスの役割りを果たす。
【0034】
第1の絶縁層102,202は、内部の渦電流損失を低減するために、フォーマ101、201の外側を覆っており、たとえばポリプロピレンラミネート紙(PPLP(R))等の絶縁紙や、ポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルム等の合成紙などが用いられる。
【0035】
第1の超電導層103,203は、第1の絶縁層102,202の外周を覆っている。第1の超電導ケーブル10における第1の超電導層103は、第2の超電導ケーブル20における第1の超電導層203と、常伝導状態における抵抗が異なっており、第1の超電導ケーブル10における第1の超電導層103の常伝導状態における抵抗は、第2の超電導ケーブル20における第1の超電導層203の常伝導状態における抵抗の5倍以上であることが好ましい。
【0036】
第1の超電導層103は、たとえば基板と、基板上に形成された中間層と、中間層上に形成された超電導層とを含む超電導線材を用いることができる。第1の超電導層103は、たとえばRE−123系の超電導体であることが好ましく、YBCO(YBa2Cu3Oy)であることがより好ましい。なお、RE−123系の超電導体とは、REBa2Cu3Oy(yは6〜8、より好ましくはほぼ7、REとはイットリウム(Y)、Gd(ガドリニウム)、Sm(サマリウム)、およびHo(ホルミウム)などの希土類元素を意味する)として表される超電導体を意味する。
【0037】
第2の超電導層203は、たとえばBi−Pb−Sr−Ca−Cu−O系の組成の超電導体であるフィラメントと、それらを被覆する銀などからなるシース部とを備えるBi系(BSCCO)の超電導線材を用いることができる。第1の超電導層203は、Bi2223超電導体であることが好ましい。なお、Bi2223超電導体は、(ビスマスと鉛):ストロンチウム:カルシウム:銅の原子比がほぼ2:2:2:3の比率で近似して表わされるBi2223相を主相とし、残部がBi2212相および不可避的不純物からなる材質を意味する。
【0038】
なお、第1の超電導層103,203として、超電導線材をそれぞれ用いる場合、たとえば第1の絶縁層102,202の外周にそれぞれらせん状に巻きつける。また、それぞれの用いられる超電導線材は単数であっても複数であってもよく、複数の超電導線材が用いられる場合には、層間にクラフト紙などの絶縁層を形成してもよい。
【0039】
第2の絶縁層104,204は、第1の超電導層103,203の外側を覆っている。第2の絶縁層104,204は、たとえばポリプロピレンラミネート紙(PPLP(登録商標))等の絶縁紙や、ポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルム等の合成紙などが用いられる。
【0040】
第2の超電導層105,205は、第2の絶縁層104,204の外周側を覆っている。第2の超電導層105,205は、第1の超電導層103,203と反対方向の電流が流れ、磁場をキャンセルする役割りを果たす。
【0041】
実施の形態1では、第1および第2の超電導ケーブル10,20において短絡電流が流れたときに、シールド導体層107,207に過剰な電流が流れることを防止できる観点から、第1の超電導ケーブル10における第2の超電導層105と、第2の超電導ケーブル20における第2の超電導層205とは、常伝導状態における抵抗が同じであることが好ましい。すなわち、第1および第2の超電導ケーブル10,20における第2の超電導層105,205は、たとえば同じ長さおよび同じ断面積のBi系の超電導体やRE−123系の超電導体のいずれか一方である。
【0042】
第3の絶縁層106,206は、第2の超電導層105,205の外側を覆っている。第3の絶縁層106,206は、たとえばポリプロピレンラミネート紙(PPLP(R))等の絶縁紙や、ポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルム等の合成紙などが用いられる。
【0043】
シールド導体層107,207は、第3の絶縁層106,206の外側を覆っている。シールド導体層107,207は、第2の超電導層105,205に対する安全用バイパスの役割りを果たす。シールド導体層107,207は、たとえば銅やアルミニウムなどの金属からなる層である。
【0044】
なお、フォーマ101,201および第1の超電導層103,203は、第2の超電導層105,205およびシールド導体層107,207よりも相対的に電圧が高いことが好ましい。すなわち、フォーマ101,201は高電圧部であり、第2の超電導層105,205およびシールド導体層107,207は低電圧部であることが好ましい。この場合、第2の絶縁層104,204は、高電圧部と低電圧部とを絶縁している主絶縁部である。
【0045】
第1および第2の超電導ケーブル10,20は、一方端部において、フォーマ101,201、第1の絶縁層102,202、第1の超電導層103,203、第2の絶縁層104,204、第2の超電導層105,205、第3の絶縁層106,206、およびシールド導電層107,207の少なくとも1つが露出していてもよい。実施の形態1では、第1および第2の超電導ケーブル10,20は、一方端部において、フォーマ101,201、第1の超電導層103,203、第2の絶縁層104,204、第2の超電導層105,205、およびシールド導電層107,207が順に露出している。
【0046】
図3に示すように、第1の超電導ケーブル10と第2の超電導ケーブル20とが接続された超電導ケーブルの接続構造は、第1および第2の超電導ケーブル10,20の第1の超電導層103,203のうちの少なくともいずれか一方は、第1および第2の超電導ケーブル10,20のフォーマ101,201のうち少なくともいずれか一方と電気的に接続されている。実施の形態1では、第1および第2の超電導ケーブル10,20の第1の超電導層103,203と、第1および第2の超電導ケーブル10,20のフォーマ101,201とが電気的に接続されている。
【0047】
次に、第1および第2の超電導ケーブル10,20の第1の超電導層103,203のうちの少なくともいずれか一方と、第1および第2の超電導ケーブル10,20のフォーマ101,201のうち少なくとも一方とを電気的に接続している接続部300について説明する。接続部300は、スリーブ310と、線材320と、半田330とを含んでいる。
【0048】
スリーブ310は、第1の超電導ケーブル10におけるフォーマ101の端部と第2の超電導ケーブル20におけるフォーマ101の端部とを対向させた状態で被覆することにより、第1の超電導ケーブル10におけるフォーマ101と、第2の超電導ケーブル20におけるフォーマ201とを電気的に接続する導電性の部材である。スリーブ310は、たとえばフォーマ101,201と同じ材料であることが好ましく、たとえば銅やアルミニウムなどの金属を用いることができ、機械強度および通電特性が優れている観点から、銅であることがより好ましい。
【0049】
また、スリーブ310は、たとえばフォーマ101,201の端部を対向させた状態で内部に嵌めることができる形状としている。実施の形態1では、スリーブ310は、たとえば内部が中空の円筒状とし、両端部から、第1の超電導ケーブル10におけるフォーマ101の端部と第2の超電導ケーブル20におけるフォーマ201の端部とが突き合された部分と対向する位置(図3における接続部300の中央)に向けて幅が広がるような形状としている。なお、スリーブ310は、フォーマ101,201の外径とほぼ同じ幅の中空を有する筒状の形状であってもよい。
【0050】
また、スリーブ310は、図3に示すように、フォーマ101,201のみを被覆する形状であることが好ましいが、フォーマ101,201と第1の超電導層103,203とを被覆する形状であってもよい。
【0051】
また、スリーブ310とフォーマ101,201とは、直接接続されていることが好ましいが、半田などの導電性部材を介して接続されていてもよい。
【0052】
線材320は、第1の超電導ケーブル10における第1の超電導層103と、第2の超電導ケーブル20における第1の超電導層203とを電気的に接続する導電性の部材である。線材320は、超電導線材であることが好ましく、コスト低減の観点から、Bi系の超電導線材であることが好ましい。
【0053】
また、線材320は、第1および第2の超電導ケーブル10,20において第1の超電導層103,203に流れる電流を流すことができる程度の容量を有している。
【0054】
なお、線材320と第1および第2の超電導ケーブル10,20とは直接接続されていてもよいし、半田などの導電性部材を介して接続されていてもよい。
【0055】
半田330は、スリーブ310と、線材320とを電気的に接続するための部材である。半田330は、機械的強度および接続抵抗の観点から、Pb(鉛)、Sn(スズ)およびAg(銀)などの合金材料からなることが好ましい。このような半田330は、たとえばPbが36%、Snが62%、Agが2%の重量比の合金材料からなる。なお、スリーブ310と線材320とが、半田330を介さず直接電気的に接続される場合には、超電導ケーブルの接続構造は、半田330を含んでいなくてもよい。
【0056】
実施の形態1における超電導ケーブルの接続構造は、第1および第2の超電導ケーブル10,20における第2の超電導層105,205およびシールド導体層107,207をそれぞれ互いに接続するために、シールド側第1の線材350とシールド側第2の線材360とを備えている。
【0057】
シールド側第1の線材350は、第1の超電導ケーブル10における第2の超電導層105と、第2の超電導ケーブル20における第2の超電導層205とを電気的に接続する導電性の部材である。
【0058】
シールド側第1の線材350は、線材320と同様に、超電導線材であることが好ましく、コスト低減の観点から、Bi系の超電導線材であることが好ましい。また、シールド側第1の線材350、第1および第2の超電導ケーブル10,20において第2の超電導層105,205に流れる電流を流すことができる程度の容量を有している。
【0059】
シールド側第2の線材360は、第1の超電導ケーブル10におけるシールド導体層107と、第2の超電導ケーブル20におけるシールド導体層207とを電気的に接続する導電性の部材である。シールド側第2の線材360は、たとえば銅やアルミニウムなどの金属からなる。なお、シールド側第2の線材として、超電導線材を用いてもよい。
【0060】
また、シールド側第1および第2の線材350,360と第1および第2の超電導ケーブル10,20とはそれぞれ直接接続されていてもよいし、半田などの導電性部材を介して接続されていてもよい。
【0061】
次に、図4を参照して、実施の形態1における超電導ケーブルの接続方法について説明する。なお、図4は、本発明の実施の形態1における超電導ケーブルの接続方法を示すフローチャートである。
【0062】
図1〜図4に示すように、フォーマ101,201と、フォーマ101,201の外周側に配置される第1の絶縁層102,202と、第1の絶縁層102,202の外周側に配置される第1の超電導層103,203と、第1の超電導層103,203の外周側に配置される第2の絶縁層104,204と、第2の絶縁層104,204の外周側に配置される第2の超電導層105,205と、第2の超電導層105,205の外周側に配置される第3の絶縁層106,206と、第3の絶縁層106,206の外周側に配置されるシールド導体層107,207とを備える、第1および第2の超電導ケーブル10,20を準備する準備工程(S10)を実施する。準備工程(S10)では、上述した第1および第2の超電導ケーブル10,20を準備する。
【0063】
準備工程(S10)では、第1の超電導ケーブル10における第1の超電導層103の常伝導状態における抵抗と、第2の超電導ケーブル20における第1の超電導層203の常伝導状態における抵抗が異なる、第1および第2の超電導ケーブル10,20を準備する。第2の超電導ケーブル20における第1の超電導層203の常伝導状態における抵抗が、第2の超電導ケーブル20における第1の超電導層203の常伝導状態における抵抗の5倍以上である第1の超電導ケーブル10を準備することが好ましい。
【0064】
準備工程(S10)では、第1および第2の超電導ケーブル10,20の一方端部において、フォーマ101,201、第1の絶縁層102,202、第1の超電導層103,203、第2の絶縁層104,204、第2の超電導層105,205、第3の絶縁層106,206、およびシールド導電層107,207の内の少なくとも1つが順に露出している第1および第2の超電導ケーブル10,20を準備することが好ましい。実施の形態1では、第1および第2の超電導ケーブル10,20は、一方端部において、フォーマ101,201、第1の超電導層103,203、第2の絶縁層104,204、第2の超電導層105,205、およびシールド導電層107,207が順に露出していている第1および第2の超電導ケーブル10,20を準備している。
【0065】
上述したように、一方端部において、フォーマ101,201、第1の絶縁層102,202、第1の超電導層103,203、第2の絶縁層104,204、第2の超電導層105,205、第3の絶縁層106,206、およびシールド導電層107,207の少なくとも1つが露出している第1および第2の超電導ケーブル10,20を準備する場合には、それぞれの一方端部において、それぞれの層を剥ぐ工程を実施してもよい。この場合には、一方端部において、シールド導体層107,207、第3の絶縁層106,206、第2の超電導層105,205、第2の絶縁層104,204、第1の超電導層103,203、および第1の絶縁層102,202の順にたとえばNCカッター等を用いて剥ぐことができる。実施の形態1では、第1および第2の超電導ケーブル10,20の一方端部において、第1の絶縁層102,202および第3の絶縁層106,206は、露出させていない。
【0066】
次に、図1〜図4に示すように、第1の超電導ケーブル10におけるフォーマ101と、第2の超電導ケーブル20におけるフォーマ201とを電気的に接続する第1接続工程(S20)を実施する。これにより、第1の超電導ケーブル10のフォーマ101と、第2の超電導ケーブル20におけるフォーマ201とを電気的に接続できるので、第1の超電導ケーブル10と第2の超電導ケーブル20とを電気的に接続できる。
【0067】
第1接続工程(S20)では、第1の超電導ケーブル10におけるフォーマ101の端部と第2の超電導ケーブル20におけるフォーマ201の端部とを対向させた状態で被覆することにより、第1の超電導ケーブル10におけるフォーマ101と、第2の超電導ケーブル20におけるフォーマ201とを電気的に接続する導電性のスリーブ310を形成することが好ましい。この場合、たとえば以下のようにしてフォーマ101,201を電気的に接続する。
【0068】
具体的には、たとえば、まず上述したスリーブ310を準備する。そして、第1の超電導ケーブル10におけるフォーマ101の端部と、第2の超電導ケーブル20におけるフォーマ201の端部とを対向させる。そして、それぞれのフォーマ101,201をスリーブ310の内部に配置して嵌合させる。そして、スリーブ310とフォーマ101,201を、たとえば圧縮接合することにより、スリーブ310とフォーマ101,201とを確実に電気的に接続する。
【0069】
なお、スリーブ310は、フォーマ101,201のみを被覆することが好ましいが、フォーマ101,201と第1の超電導層103,203とを被覆してもよい。
【0070】
次に、図1〜図4に示すように、第1の超電導ケーブル10における第1の超電導層103と、第2の超電導ケーブル20における第1の超電導層203とを電気的に接続する第2接続工程(S30)を実施する。これにより、第1および第2の超電導ケーブル10,20における第1の超電導層103,203を電気的に接続できる。
【0071】
第2接続工程(S30)では、第1の超電導ケーブル10における第1の超電導層103と、第2の超電導ケーブル20における第1の超電導層203とを電気的に接続する導電性の線材を形成することが好ましい。この場合、たとえば以下のようにして第1の超電導層103,203を電気的に接続する。
【0072】
具体的には、導電性の線材320を準備する。準備する線材320は、超電導線材が好ましく、Bi系の超電導線材を準備することがより好ましい。そして、準備した線材320を第1および第2の超電導ケーブル10,20における第1の超電導層103,203と電気的に接続する。このとき、半田などを介して接続してもよい。
【0073】
次に、第1および第2の超電導ケーブル10,20の第1の超電導層103,203のうちの少なくともいずれか一方と、第1および第2の超電導ケーブル10,20のフォーマ101,201のうち少なくともいずれか一方とを電気的に接続する第3接続工程(S40)を実施する。これにより、第1および第2の超電導ケーブル10,20の第1の超電導層103,203のうちの少なくともいずれか一方は、第1および第2の超電導ケーブル10,20のフォーマ101,201のうち少なくとも一方と電気的に接続される。
【0074】
第3接続工程(S40)では、スリーブ310と、線材320とを電気的に接続することが好ましい。この場合、たとえばスリーブ310と線材320との間に半田330を配置し、モールドを実施してスリーブ310と線材320とを半田330を介して電気的に接続する。なお、スリーブ310と線材320とを直接接続してもよく、この場合には半田330を配置する工程を省略できる。
【0075】
以上の工程(S10〜S40)を実施することによって、第1および第2の超電導ケーブル10,20の第1の超電導層103,203のうちの少なくともいずれか一方は、第1および第2の超電導ケーブル10,20のフォーマ101,201のうち少なくとも一方と電気的に接続されている構造が得られる。実施の形態1では、さらに、第1および第2の超電導ケーブル10,20における第2の超電導層105,205およびシールド導体層107,207をそれぞれ互いに接続する工程を実施する。
【0076】
図3および図4に示すように、次に、第1の超電導ケーブル10における第2の超電導層105,205と、第2の超電導ケーブル20における第2の超電導層205とを電気的に接続するシールド側第2接続工程(S60)を実施する。これにより、第1の超電導ケーブル10における第2の超電導層105と、第2の超電導ケーブル20における第2の超電導層205とを電気的に接続できる。なお、シールド側第2接続工程(S60)は省略されてもよい。
【0077】
シールド側第2接続工程(S60)では、たとえば第1の超電導ケーブル10における第2の超電導層105と、第2の超電導ケーブル20における第2の超電導層205とを電気的に接続する導電性のシールド側第1の線材350を形成する。この場合、たとえば以下のようにして、第2の超電導層105,205を接続する。
【0078】
具体的には、導電性のシールド側第1の線材350を準備する。準備するシールド側第1の線材350は、超電導線材が好ましく、Bi系の超電導線材を準備することがより好ましい。そして、第2の超電導層105,205上に半田などを配置する。そして、準備した第1の線材350を半田と接続する。これにより、第1の超電導ケーブル10における第2の超電導層105と、第2の超電導ケーブル20における第2の超電導層205とを、半田を介して電気的に接続できる。なお、半田を用いずに、第1の超電導ケーブル10における第1の超電導層105と、第2の超電導ケーブル20における第1の超電導層205とを、シールド側第1の線材350により電気的に接続してもよい。
【0079】
次に、第1の超電導ケーブル10におけるシールド導体層107と、第2の超電導ケーブル20におけるシールド導体層207とを電気的に接続するシールド側第3接続工程(S70)を実施する。これにより、第1の超電導ケーブル10におけるシールド導体層107と、第2の超電導ケーブル20におけるシールド導体層207とを電気的に接続できる。
【0080】
シールド側第3接続工程(S70)では、たとえば第1の超電導ケーブル10におけるシールド導体層107と、第2の超電導ケーブル20におけるシールド導体層207とを電気的に接続する導電性のシールド側第2の線材360を形成する。この場合、たとえば以下のようにして、第1の超電導ケーブル10におけるシールド導体層107と、第2の超電導ケーブル20におけるシールド導体層207とを接続する。
【0081】
具体的には、導電性のシールド側第2の線材360を準備する。準備するシールド側第2の線材360は、金属材料からなる線材であることが好ましい。そして、準備したシールド側第2の線材360を第1および第2の超電導ケーブル10,20における第1の超電導層105,205と電気的に接続する。このとき、半田などを介して接続してもよい。
【0082】
以上の工程(S10〜S40,S60,S70)を実施することにより、図3に示す実施の形態1における超電導ケーブルの接続構造が得られる。なお、各工程を実施する順序は特に限定されない。
【0083】
次に、図3および図5を参照して、実施の形態1における超電導ケーブルの接続構造の動作について説明する。なお、図5(A)は、本発明の実施の形態1における超電導ケーブルの接続構造の接続部における抵抗を説明するための図であり、(B)は、別の接続部における抵抗を説明するための図である。
【0084】
図3に示す超電導ケーブルの接続構造は、第1および第2の超電導ケーブル10,20の第1の超電導層103,203は、第1および第2の超電導ケーブル10,20のフォーマ101,201と電気的に接続されているので、第1および第2の超電導ケーブル10,20が接続されている接続部300において、図5(A)に示すように、第1の超電導層103,203の抵抗R103,R203と、フォーマ101,201の抵抗R101,R201とに応じた電流が再配分される。なお、第1および第2の超電導ケーブル10,20の第1の超電導層103,203のうちのいずれか一方が、第1および第2の超電導ケーブル10,20のフォーマのうちのいずれか一方と電気的に接続されている場合においても、第1および第2の超電導ケーブル10,20が接続されている接続部300において、図5(B)に示すように、第1の超電導層103,203の抵抗R103,R203と、フォーマ101,201の抵抗R101,R201とに応じた電流を再配分できる。
【0085】
具体的には、第1および第2の超電導ケーブル10,20に設計値以内の電流が流れると、超電導状態においては、第1の超電導層103,203の抵抗R103,R203がフォーマ101,201の抵抗R101,R203よりも小さいため、フォーマ101,201よりも第1の超電導層103,203に優先して電流が流れる。一方、第1および第2の超電導ケーブル10,20に設計値を超えるような短絡電流が流れると、常伝導状態では、フォーマ101,201の抵抗R101,R201は、第1の超電導層103,203の抵抗R103,R203よりも小さいため、第1の超電導層103,203よりもフォーマ101,201に優先して電流が流れる。しかし、第1の超電導ケーブル10における第1の超電導層103の抵抗R103が第2の超電導ケーブル20における第1の超電導層203の抵抗R203よりも大きい場合であっても、接続部300において第1の超電導ケーブル10または第2の超電導ケーブル20からの電流が、第2または第1の超電導ケーブル20,10におけるフォーマ201,101と第1の超電導層203,103との抵抗R201,R102に応じて、フォーマ201,101および第1の超電導層203,103に流れる。そのため、常伝導状態において抵抗が異なる第1の超電導層103,203を備える超電導ケーブル10,20を接続する場合において、短絡電流が流れた場合に、第1の超電導層103,203と、フォーマ101,201とに設計通りの電流を分配することができる。
【0086】
以上説明したように、本発明の実施の形態1における超電導ケーブルの接続構造によれば、第1の超電導ケーブル10における第1の超電導層103と、第2の超電導ケーブル20における第1の超電導層203とは、常伝導状態における抵抗が異なっており、第1および第2の超電導ケーブル10,20の第1の超電導層103,203のうちの少なくともいずれか一方は、第1および第2の超電導ケーブル10,20のフォーマ101,201のうち少なくともいずれか一方と電気的に接続されている。これにより、短絡電流が流れると、常伝導状態における第1の超電導層103,203とフォーマ101,201とのそれぞれの抵抗に応じて電流が流れる。すなわち、第1の超電導層103,203とフォーマ101,201とが電気的に接続されている接続部300において、電流を再配分できる。そのため、常伝導状態において抵抗が異なる第1の超電導層103,203を備える超電導ケーブル10,20を接続する場合において、短絡電流が流れても、常伝導状態において抵抗が相対的に小さい側の超電導ケーブルに設計値以上の電流が流れてしまうことを防止できる。
【0087】
(実施の形態2)
図6は、本発明の実施の形態2における超電導ケーブルの接続構造を示す断面図である。図6を参照して、本発明の実施の形態2における超電導ケーブルの接続構造について説明する。
【0088】
図6に示すように、実施の形態2における超電導ケーブルの接続構造は、フォーマ101,201と、フォーマ101,201の外周側に配置される第1の絶縁層102,202と、第1の絶縁層102,202の外周側に配置される第1の超電導層103,203と、第1の超電導層103,203の外周側に配置される第2の絶縁層104,204と、第2の絶縁層104,204の外周側に配置される第2の超電導層105,205と、第2の超電導層105,205の外周側に配置される第3の絶縁層106,206と、第3の絶縁層106,206の外周側に配置されるシールド導体層107,207とを備える、第1および第2の超電導ケーブル10,20の接続構造である。第1の超電導ケーブル10における第2の超電導層105およびシールド導体層107と、第2の超電導ケーブル20における第2の超電導層105およびシールド導体層107とは、それぞれ互いに電気的に接続されている。第1の超電導ケーブル10における第2の超電導層105と、第2の超電導ケーブル20における第2の超電導層205とは、常伝導状態における抵抗(Ω)が異なっている。第1および第2の超電導ケーブル10,20の少なくとも一方において、第2の超電導層105,205とシールド導体層107,207とが電気的に接続されている。
【0089】
具体的には、図6に示すように、実施の形態2における超電導ケーブルの接続構造は、第1の超電導ケーブル10と、第2の超電導ケーブル20と、スリーブ310と、線材320と、接続部材340と、第1の線材350と、第2の線材360とを備えている。
【0090】
実施の形態2における第1の超電導ケーブル10,20は、基本的には実施の形態1における第1の超電導ケーブル10,20と同様の構成を備えているが、第1の超電導層103,203および第2の超電導層105,205においてのみ異なる。
【0091】
具体的には、第1の超電導層103,203は、第1および第2の超電導ケーブル10,20において短絡電流が流れたときに、フォーマ101,201に過剰な電流が流れることを防止できる観点から、第1の超電導ケーブル10における第1の超電導層103と、第2の超電導ケーブル20における第2の超電導層203とは、常伝導状態における抵抗が同じであることが好ましい。すなわち、第1および第2の超電導ケーブル10,20における第1の超電導層103,203は、たとえば同じ長さおよび同じ断面積のBi系の超電導体やRE−123系の超電導体のいずれか一方である。
【0092】
第1の超電導ケーブル10における第2の超電導層105は、第2の超電導ケーブル20における第2の超電導層205と、常伝導状態における抵抗が異なっており、第1の超電導ケーブル10における第2の超電導層105の常伝導状態における抵抗は、第2の超電導ケーブル20における第2の超電導層205の常伝導状態における抵抗の5倍以上であることがより好ましい。
【0093】
第1の超電導ケーブル10における第2の超電導層105は、たとえばRE−123系の超電導体であることが好ましく、YBCOであることがより好ましい。第2の超電導ケーブル20における第2の超電導層205は、Bi系超電導体であることが好ましく、Bi2223超電導体であることがより好ましい。
【0094】
接続部300は、第1および第2の超電導ケーブル10,20少なくともいずれか一方において、第2の超電導層105,205とシールド導体層107,207とを電気的に接続している。接続部300は、接続部材340と、シールド側第1の線材350と、シールド側第2の線材360とを含んでいる。
【0095】
接続部材340は、第1および第2の超電導ケーブル10,20の少なくともいずれか一方において、第2の超電導層105,205とシールド導体層107,207とを電気的に接続する導電性の部材である。図6に示すように、接続部材340は、第1および第2の超電導ケーブル10,20の第2の超電導層105,205と、第1および第2の超電導ケーブル10,20のシールド導体層107,207とをそれぞれ電気的に接続することが好ましい。接続部材340は、たとえば半田を用いることができ、第2の超電導体105,205およびシールド導体層107,207を半田を用いてモールドする時に第3の絶縁層106,206への熱影響を小さくすることができる観点から、Bi、Sn、およびInなどの合金材料からなる半田を用いることが好ましい。このような半田は、たとえばBiが57%、Snが17%、Inが26%の重量比の合金材料である。接続部材340は、たとえば金属管や金属膜などの形状であってもよく、第2の超電導層105,205の外周側に形成される。
【0096】
シールド側第1および第2の線材350,360は、実施の形態1におけるシールド側第1および第2の線材350,360と同様であるので、その説明は繰り返さない。
【0097】
また、実施の形態2における超電導ケーブルの接続構造は、第1および第2の超電導ケーブル10,20のフォーマ101,201を電気的に接続するスリーブ310と、第1および第2の超電導ケーブル10,20の第1の超電導層103,203を電気的に接続する線材320とをさらに備えている。スリーブ310および線材320は、実施の形態1と同様であるので、その説明は繰り返さない。
【0098】
次に、図6および図7を参照して、実施の形態2における超電導ケーブルの接続方法について説明する。なお、図7は、本発明の実施の形態2における超電導ケーブルの接続方法を示すフローチャートである。
【0099】
図6および図7に示すように、フォーマ101,201と、フォーマ101,201の外周側に配置される第1の絶縁層102,202と、第1の絶縁層102,202の外周側に配置される第1の超電導層103,203と、第1の超電導層103,203の外周側に配置される第2の絶縁層104,204と、第2の絶縁層104,204の外周側に配置される第2の超電導層105,205と、第2の超電導層105,205の外周側に配置される第3の絶縁層106,206と、第3の絶縁層106,206の外周側に配置されるシールド導体層107,207とを備える、第1および第2の超電導ケーブル10,20を準備する準備工程(S10)を実施する。実施の形態2における準備工程(S10)では、第1の超電導ケーブル10における第2の超電導層105の常伝導状態における抵抗と、第2の超電導ケーブル20における第2の超電導層205の常伝導状態における抵抗とが異なる、第1および第2の超電導ケーブル10,20を準備する。準備工程(S10)では、上述した第1および第2の超電導ケーブル10,20を準備する。
【0100】
なお、実施の形態2における準備工程(S10)は、基本的には実施の形態1における準備工程(S10)と同様であるが、実施の形態2における準備工程(S10)では、実施の形態1と異なる第1の超電導層103,203および第2の超電導層105,205を備える第1および第2の超電導ケーブル10,20を準備する点においてのみ異なる。
【0101】
次に、図6および図7に示すように、第1の超電導ケーブル10におけるフォーマ101と、第2の超電導ケーブル20におけるフォーマ201とを電気的に接続する第1接続工程(S20)を実施する。第1接続工程(S20)は実施の形態1と同様であるので、その説明は繰り返さない。
【0102】
次に、図6および図7に示すように、第1の超電導ケーブル10における第1の超電導層103と、第2の超電導ケーブル20における第1の超電導層203とを電気的に接続する第2接続工程(S30)を実施する。第2接続工程(S30)は、実施の形態1と同様であるので、その説明は繰り返さない。
【0103】
次に、第1および第2の超電導ケーブル10,20の少なくともいずれか一方において、第2の超電導層105,205とシールド導体層107,207とを電気的に接続するシールド側第1接続工程(S50)を実施する。これにより、第1および第2の超電導ケーブル10,20の少なくともいずれか一方において、第2の超電導層105,205とシールド導体層107,207とを電気的に接続できる。
【0104】
シールド側第1接続工程(S50)では、第1および第2の超電導ケーブル10,20の少なくとも一方において第2の超電導層105,205と、シールド導体層107,207とを電気的に接続する接続部材340を形成することが好ましい。この場合、たとえば以下のようにして、第2の超電導層105,205とシールド導体層107,207とを電気的に接続する。具体的には、まず、半田などの接続部材340を準備して、接続部材340を溶接するなどによって、第2の超電導層105,205の外周側に形成する。
【0105】
次に、第1の超電導ケーブル10における第2の超電導層105と、第2の超電導ケーブル20における第2の超電導層205とを電気的に接続するシールド側第2接続工程(S60)を実施する。これにより、第1の超電導ケーブル10における第2の超電導層105と、第2の超電導ケーブル20における第2の超電導層205とを電気的に接続できる。
【0106】
実施の形態2におけるシールド側第2接続工程(S60)では、第1の超電導ケーブル10における第2の超電導層105と、第2の超電導ケーブル20における第2の超電導層205とを電気的に接続する導電性のシールド側第1の線材350を形成することが好ましい。この場合、たとえば以下のようにして、第2の超電導層105,205を接続する。
【0107】
具体的には、導電性のシールド側第1の線材350を準備する。準備するシールド側第1の線材350は、超電導線材が好ましく、Bi系の超電導線材を準備することがより好ましい。そして、シールド側第2接続肯定(S60)で第2の超電導層105,205の外周側に形成された接続部材340上に半田などを配置する。そして、準備したシールド側第1の線材350を半田と接続する。これにより、第1の超電導ケーブル10における第2の超電導層105と、第2の超電導ケーブル20における第2の超電導層205とを、接続部材340、シールド側第1の線材350、および半田を介して電気的に接続できる。なお、半田を用いずに、第1の超電導ケーブル10における第1の超電導層105と、第2の超電導ケーブル20における第1の超電導層205とを接続してもよい。
【0108】
次に、第1の超電導ケーブル10におけるシールド導体層107と、第2の超電導ケーブル20におけるシールド導体層207とを電気的に接続するシールド側第3接続工程(S70)を実施する。これにより、第1の超電導ケーブル10における第2の超電導層105およびシールド導体層107と、第2の超電導ケーブル20における第2の超電導層205およびシールド導体層207とは、それぞれ互いに電気的に接続される。
【0109】
シールド側第3接続工程(S70)では、第1の超電導ケーブル10におけるシールド導体層107と、第2の超電導ケーブル20におけるシールド導体層207とを電気的に接続する導電性のシールド側第2の線材360を形成することが好ましい。この場合、たとえば以下のようにして、第1および第2の超電導ケーブル10,20におけるシールド導体層107,207を接続する。
【0110】
具体的には、導電性のシールド側第2の線材360を準備する。準備するシールド側第2の線材360は、金属材料の線材を準備することがより好ましい。そして、準備したシールド側第2の線材360を第1および第2の超電導ケーブル10,20における第1の超電導層105,205と電気的に接続する。このとき、半田などを介して接続してもよい。
【0111】
以上の工程(S10,S20,S50〜S70)を実施することによって、図6に示す超電導ケーブルの接続構造が得られる。なお、各工程を実施する順序は特に限定されない。
【0112】
次に、図6および図8を参照して、実施の形態2における超電導ケーブルの接続構造の動作について説明する。なお、図8は、本発明の実施の形態2における超電導ケーブルの接続構造の接続部における抵抗を説明するための図である。
【0113】
図6に示す超電導ケーブルの接続構造は、第1および第2の超電導ケーブル10,20の第2の超電導層105,205は、第1および第2の超電導ケーブル10,20のシールド導体層107,207と電気的に接続されているので、接続部300において、図8に示すように、第2の超電導層103,203の抵抗R105,R205とシールド導体層107,207の抵抗R107,R207に合わせた電流が再配分される。なお、第1および第2の超電導ケーブル10,20の第2の超電導層105,205のうちのいずれか一方が、第1および第2の超電導ケーブル10,20のフォーマのうちのいずれか一方と電気的に接続されている場合においても、接続部300において、同様に電流を再配分できる。
【0114】
具体的には、超電導ケーブル10,20に設計値以内の電流が流れると、超電導状態においては、第2の超電導層105,205の抵抗R105,R205がシールド導体層107,207の抵抗R107,R207よりも小さいため、シールド導体層107,207よりも第2の超電導層105,205に優先して電流が流れる。一方、超電導ケーブル10,20に設計値を超えるような短絡電流が流れると、常伝導状態では、シールド導体層107,207の抵抗R107,R207が、第2の超電導層105,205の抵抗R105,R205よりも小さいため、第2の超電導層105,205よりもシールド導体層107,207に優先して電流が流れる。しかし、第1の超電導ケーブル10における第2の超電導層105抵抗R105が第2の超電導ケーブル20における第1の超電導層205の抵抗R205よりも大きい場合であっても、接続部300において第1の超電導ケーブル10または第2の超電導ケーブル20に流れる電流が、第1または第2の超電導ケーブル20,10におけるシールド導体層207,107と第2の超電導層205,105との抵抗R205,R105に応じて、シールド導体層207,107および第2の超電導層205,105に流れる。そのため、常伝導状態において抵抗が異なる第2の超電導層105,205を備える超電導ケーブル10,20を接続する場合において、短絡電流が流れた場合に、第2の超電導層105,205と、シールド導体層107,207とに設計通りの電流を分配することができる。
【0115】
以上説明したように、本発明の実施の形態2における超電導ケーブルの接続構造によれば、第1の超電導ケーブル10における第2の超電導層105と、第2の超電導ケーブル20における第2の超電導層205とは、常伝導状態における抵抗が異なっており、第1および第2の超電導ケーブル10,20の少なくともいずれか一方において、第2の超電導層105,205とシールド導体層107,207とが電気的に接続されている。これにより、短絡電流が流れると、常伝導状態における第2の超電導層105,205のそれぞれの抵抗R105,R205に応じて電流が流れる。すなわち、第2の超電導層105,205とシールド導体層107,207とが電気的に接続されている部分(接続部300)において、電流を再配分できる。そのため、常伝導状態において抵抗が異なる第2の超電導層105,205を備える超電導ケーブルを接続する場合において、短絡電流が流れても、過剰に電流が流れることを防止できる。
【0116】
(実施の形態3)
図9は、本発明の実施の形態3における超電導ケーブルの接続構造を示す概略断面図である。図9を参照して、本発明の実施の形態3における超電導ケーブルの接続構造を説明する。
【0117】
図9に示すように、実施の形態3における超電導ケーブルの接続構造は、第1の超電導ケーブル10と、第2の超電導ケーブル20と、スリーブ310と、線材320と、半田330と、接続部材340と、シールド側第1の線材350と、シールド側第2の線材360とを備えている。
【0118】
第1および第2の超電導ケーブル10,20は、基本的には、実施の形態1の超電導ケーブル10,20と同様であるが、第2の超電導層105,205は実施の形態2の第1および第2の超電導ケーブル10,20と同様である。すなわち、第1の超電導ケーブル10における第1の超電導層103と、第2の超電導ケーブル20における第1の超電導層203とは、常伝導状態における抵抗(Ω)が異なっている。また、第1の超電導ケーブル10における第2の超電導層105と、第2の超電導ケーブル20における第1の超電導層205とは、常伝導状態における抵抗が異なっている。
【0119】
実施の形態3では、第1の超電導ケーブル10,20における第1および第2の超電導層103,105はRE−123系の超電導体など常伝導状態での抵抗率が相対的に高い材料を用い、第2の超電導ケーブルにおける第1および第2の超電導層203,205はBi系の超電導体など常伝導状態での抵抗率が相対的に低い材料を、同じ長さおよび同じ断面積の条件で用いている。
【0120】
なお、第1の超電導ケーブル10における第1および第2の超電導層103,105は、それぞれ常伝導状態で同じ抵抗であってもよく、異なる抵抗であってもよい。同様に、第2の超電導ケーブル20における第1および第2の超電導層203,205は、それぞれ常伝導状態で同じ抵抗であってもよく、異なる抵抗であってもよい。
【0121】
また、スリーブ310、線材320、半田330、接続部材340、シールド側第1の線材350、およびシールド側第2の線材360は、実施の形態1および実施の形態2と同様であるので、その説明は繰り返さない。
【0122】
実施の形態3における超電導ケーブルの接続構造は、第1および第2の超電導ケーブル10,20の第1の超電導層103,203のうちの少なくともいずれか一方は、第1および第2の超電導ケーブル10,20のフォーマ101,201のうち少なくともいずれか一方と電気的に接続されているとともに、第1および第2の超電導ケーブル10,20の少なくともいずれか一方において、第2の超電導層105,205とシールド導体層107,207とが電気的に接続されている。
【0123】
次に、図9および図10を参照して、本発明の実施の形態3における超電導ケーブルの接続方法について説明する。なお、図10は、本発明の実施の形態3における超電導ケーブルの接続方法を示すフローチャートである。
【0124】
図9および図10に示すように、フォーマ101,201と、フォーマ101,201の外周側に配置される第1の絶縁層102,202と、第1の絶縁層102,202の外周側に配置される第1の超電導層103,203と、第1の超電導層103,203の外周側に配置される第2の絶縁層104,204と、第2の絶縁層104,204の外周側に配置される第2の超電導層105,205と、第2の超電導層105,205の外周側に配置される第3の絶縁層106,206と、第3の絶縁層106,206の外周側に配置されるシールド導体層107,207とを備える、第1および第2の超電導ケーブル10,20を準備する準備工程(S10)を実施する。準備工程(S10)は、実施の形態1と同様であるので、その説明は繰り返さない。
【0125】
次に、第1の超電導ケーブル10におけるフォーマ101と、第2の超電導ケーブル20におけるフォーマ201とを電気的に接続する第1接続工程(S20)を実施する。第1接続工程(S20)は、実施の形態1と同様であるので、その説明は繰り返さない。
【0126】
次に、第1の超電導ケーブル10における第1の超電導層103と、第2の超電導ケーブル20における第1の超電導層203とを電気的に接続する第2接続工程(S30)を実施する。第2接続工程(S30)は、実施の形態1と同様であるので、その説明は繰り返さない。
【0127】
次に、第1および第2の超電導ケーブル10,20の第1の超電導層103,203のうちの少なくともいずれか一方と、第1および第2の超電導ケーブル10,20のフォーマ101,201のうちの少なくともいずれか一方とを電気的に接続する第3接続工程(S40)を実施する。第3接続工程(S40)は、実施の形態1と同様であるので、その説明は繰り返さない。
【0128】
次に、第1および第2の超電導ケーブル10,20の少なくともいずれか一方において、第2の超電導層105,205とシールド導体層107,207とを電気的に接続するシールド側第1接続工程(S50)を実施する。シールド側第1接続工程(S50)は、実施の形態2と同様であるので、その説明は繰り返さない。
【0129】
次に、第1の超電導ケーブル10における第2の超電導層105と、第2の超電導ケーブル20における第2の超電導層205とを電気的に接続するシールド側第2接続工程(S60)を実施する。シールド側第2接続工程(S60)は、実施の形態2と同様であるので、その説明は繰り返さない。
【0130】
次に、第1の超電導ケーブル10におけるシールド導体層107と、第2の超電導ケーブル20におけるシールド導体層207とを電気的に接続するシールド側第3接続工程(S70)を実施する。シールド側第3接続工程(S70)は、実施の形態2と同様であるので、その説明は繰り返さない。
【0131】
以上の工程(S10〜S70)を実施することによって、図9に示す実施の形態3における超電導ケーブルの接続構造が得られる。なお、各工程を実施する順序は特に限定されない。
【0132】
実施の形態3における超電導ケーブルの接続構造の動作は、第1および第2の超電導ケーブル10,20の第1の超電導層103,203のうちの少なくともいずれか一方は、第1および第2の超電導ケーブル10,20のフォーマ101,201のうち少なくともいずれか一方と電気的に接続されている接続部300においては、図5(A)および(B)に示す実施の形態1における超電導ケーブルの接続構造の動作と同様であるので、その説明は繰り返さない。また、第1および第2の超電導ケーブル10,20の少なくともいずれか一方において、第2の超電導層105,205とシールド導体層107,207とが電気的に接続されている接続部300においては、図8に示す実施の形態2における超電導ケーブルの接続構造の動作と同様であるので、その説明は繰り返さない。
【0133】
以上説明したように、本発明の実施の形態3における超電導ケーブルの接続構造によれば、第1および第2の超電導ケーブル10,20における第1の超電導層103,203、および第2の超電導層105,205は、それぞれ互いに常伝導状態において抵抗が異なっており、第1および第2の超電導ケーブル10,20の第1の超電導層103,203のうちの少なくともいずれか一方は、第1および第2の超電導ケーブル10,20のフォーマ101,201のうち少なくともいずれか一方と電気的に接続されているとともに、第1および第2の超電導ケーブル10,20の少なくともいずれか一方において、第2の超電導層105,205とシールド導体層107,207とが電気的に接続されている。これにより、第1の超電導層103,203とフォーマ101,201とが電気的に接続されている部分、および第2の超電導層105,205とシールド導体層107,207とが電気的に接続されている部分(接続部300)において、電流を再配分できる。そのため、常伝導状態において抵抗が異なる第1の超電導層103,203および第2の超電導層105,205を備える超電導ケーブルを接続する場合において、短絡電流が流れても、過剰に電流が流れることを防止できる。
【実施例】
【0134】
本実施例では、常伝導状態において抵抗が異なる超電導層を備える超電導ケーブルを接続する場合において、短絡電流が流れても、過剰に電流が流れることを防止できることの効果について確認した。
【0135】
(本発明例1)
本発明例1における超電導ケーブルの接続構造は、図3に示す実施の形態1における超電導ケーブルの接続方法にしたがった。具体的には、まず、準備工程(S10)では、図1および図2に示す第1および第2の超電導ケーブル10,20を準備した。第1および第2の超電導ケーブル10,20におけるフォーマ101,201は、銅製で、銅の抵抗率が1.69μΩ・cmで、断面積が1.4cm2のもの、すなわち、単位長さ当たり1.2μΩ/cmの抵抗を持つ銅を用いた。また、第1の超電導ケーブル10における第1の超電導層103は、長さが3mで超電導層がYBCOの超電導線材を、第2の超電導ケーブル20における第1の超電導層203は、長さが3mのBi2223超電導線材を用いた。なお、YBCOの常伝導状態における単位長さ当たりの抵抗(57.0μΩ/cm)は、Bi2223の常伝導状態における単位長さ当たりの抵抗(8.1μΩ/cm)の約7倍である。
【0136】
次に、第1接続工程(S20)では、銅からなるスリーブ310を用いて、第1の超電導ケーブル10におけるフォーマ101と、第2の超電導ケーブル20におけるフォーマ201とを電気的に接続した。
【0137】
次に、第2接続工程(S30)では、線材320としてBi2223超電導線材を用いて、第1の超電導ケーブル10における第1の超電導層103と、第2の超電導ケーブル20における第1の超電導層203とを電気的に接続した。
【0138】
次に、第3接続工程(S30)では、Pbが36%、Snが62%、Agが2%の重量比の合金材料からなる半田330を用いて、第1および第2の超電導ケーブル10,20の第1の超電導層103,203と、第1および第2の超電導ケーブル10,20のフォーマ101,201とを電気的に接続した。
【0139】
次に、シールド側第2接続工程(S50)では、シールド側第1の線材350としてBi2223超電導線材を用いて、第1の超電導ケーブル10における第2の超電導層105と、第2の超電導ケーブル20における第2の超電導層205とを電気的に接続した。
【0140】
次に、シールド側第3接続工程(S60)では、シールド側第2の線材360として銅からなる線材を用いて、第1の超電導ケーブル10におけるシールド導体層107と、第2の超電導ケーブル20におけるシールド導体層207とを電気的に接続した。
【0141】
以上の工程(S10〜S40,S60,S70)を実施することによって、本発明例1における超伝導ケーブルの接続構造を得た。
【0142】
(比較例1)
比較例1における超電導ケーブルの接続構造は、基本的には本発明例1における超電導ケーブルの接続構造と同様の構成を備えているが、第3接続工程(S30)を備えていない点においてのみ異なる。すなわち、比較例1における超電導ケーブルの接続構造は、図11に示すように、半田330を備えておらず、第1および第2の超電導ケーブル10,20の第1の超電導層103,203と、第1および第2の超電導ケーブル10,20のフォーマ101,201とを電気的に接続しなかった。なお、図11は、比較例1における超電導ケーブルの接続構造を示す断面図である。
【0143】
(測定方法)
本発明例1および比較例1における超電導線材の接続構造において、第2の超電導ケーブル20における第1の超電導層203から第1の超電導ケーブル10における第1の超電導層103に短絡電流を流したときに、第1および第2の超電導ケーブル10,20に流れるフォーマ101,201、第1の超電導層103,203に流れるそれぞれの電流を、電流計を用いて測定した。
【0144】
なお、上述したことを言い換えると、本発明例1および比較例1における超電導線材の接続構造の接続部300における抵抗は、それぞれ図5(A)および図12に示すような状態であり、図5(A)および図12において、抵抗R101,R201は0.36Ω、抵抗R103は17.1Ω、抵抗R203は2.43μΩであった。なお、図12は、比較例1における超電導ケーブルの接続構造の接続部における抵抗を説明するための図である。
【0145】
また、第1の超電導ケーブル10のフォーマ101に流れる電流の設計値は22.53kAであり、第1の超電導ケーブル10の第1の超電導層103に流れる電流の設計値は0.47kAであった。また、第2の超電導ケーブル20のフォーマ201に流れる電流の設計値は20.03kAであり、第2の超電導ケーブル20の第1の超電導層203に流れる電流の設計値は2.97kAであった。
【0146】
(測定結果)
本発明例1における超電導ケーブルの接続構造に流れた電流は、第2の超電導ケーブル20におけるフォーマ201には20.0kA、第2の超電導ケーブル20における第1の超電導層203には3.0kA、第1の超電導ケーブル10におけるフォーマ101には22.5kA、第1の超電導ケーブル10における第1の超電導層103には0.5kAであった。この結果から、本発明例1における超電導ケーブルの接続構造では、第1および第2の超電導ケーブル10,20の第1の超電導層103,203のうちの少なくともいずれか一方は、第1および第2の超電導ケーブル10,20のフォーマ101,201のうち少なくともいずれか一方と電気的に接続されているので、それぞれの抵抗に応じた電流を再配分できた。
【0147】
一方、比較例1における超電導ケーブルの接続構造に流れた電流は、第2の超電導ケーブル20におけるフォーマ201には22.2kA、第2の超電導ケーブル20における第1の超電導層203には0.8kA、第1の超電導ケーブル10におけるフォーマ101には22.2kA、第1の超電導ケーブル20における第1の超電導層103には0.47kAが流れた。この結果から、比較例1における超電導ケーブルの接続構造では、常伝導状態で抵抗が相対的に低い側の第2の超電導ケーブル20のフォーマ201において設計値を大きく上回る電流が流れた。
【0148】
以上の結果より、実施例によれば、常伝導状態において抵抗が異なる超電導層を備える超電導ケーブルを接続する場合において、短絡電流が流れても、過剰に電流が流れることを防止できることが確認できた。
【0149】
以上に開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態および実施例ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正や変形を含むものと意図される。
【産業上の利用可能性】
【0150】
本発明の超電導ケーブルの接続構造および接続方法は、短絡電流が流れても、過剰に電流が流れることを防止できるので、常伝導状態において抵抗が異なる超電導層を備える超電導ケーブルを接続する場合に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0151】
【図1】(A)は、本発明の実施の形態1における第1の超電導ケーブルを示す断面図であり、(B)は、本発明の実施の形態1における第2の超電導ケーブルを示す断面図である。
【図2】(A)は、本発明の実施の形態1における第1の超電導ケーブルのケーブルコアを示す断面図であり、(B)は、本発明の実施の形態1における第2の超電導ケーブルのケーブルコアを示す断面図である。
【図3】本発明の実施の形態1における超電導ケーブルの接続構造を示す概略断面図である
【図4】本発明の実施の形態1における超電導ケーブルの接続方法を示すフローチャートである。
【図5】(A)は、本発明の実施の形態1における超電導ケーブルの接続構造の接続部における抵抗を説明するための図であり、(B)は、別の接続部における抵抗を説明するための図である。
【図6】本発明の実施の形態2における超電導ケーブルの接続構造を示す断面図である。
【図7】本発明の実施の形態2における超電導ケーブルの接続方法を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態2における超電導ケーブルの接続構造の接続部における抵抗を説明するための図である。
【図9】本発明の実施の形態3における超電導ケーブルの接続構造を示す概略断面図である。
【図10】本発明の実施の形態3における超電導ケーブルの接続方法を示すフローチャートである。
【図11】比較例1における超電導ケーブルの接続構造を示す断面図である。
【図12】比較例1における超電導ケーブルの接続構造の接続部における抵抗を説明するための図である。
【符号の説明】
【0152】
10 第1の超電導ケーブル、11,21 断熱管、12,22 コルゲート内管、13,23 断熱層、14,24 コルゲート外管、15,25 防食層、16,26 冷媒流通路、20 第2の超電導ケーブル、100,200 ケーブルコア、101,201 フォーマ、102,202 第1の絶縁層、103,203 第1の超電導層、104,204 第2の絶縁層、105,205 第2の超電導層、106,206 第3の絶縁層、107,207 シールド導体層、300 接続部、310 スリーブ、320 線材、330 半田、340 接続部材、350 シールド側第1の線材、360 シールド側第2の線材、R101,R103、R105,R107,R201,R203,R205,R207 抵抗。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォーマと、前記フォーマの外周側に配置される第1の絶縁層と、前記第1の絶縁層の外周側に配置される第1の超電導層と、前記第1の超電導層の外周側に配置される第2の絶縁層と、前記第2の絶縁層の外周側に配置される第2の超電導層と、前記第2の超電導層の外周側に配置される第3の絶縁層と、前記第3の絶縁層の外周側に配置されるシールド導体層とを備える、第1および第2の超電導ケーブルの接続構造であって、
前記第1の超電導ケーブルにおける前記フォーマおよび前記第1の超電導層と、前記第2の超電導ケーブルにおける前記フォーマおよび前記第1の超電導層とは、それぞれ互いに電気的に接続され、
前記第1の超電導ケーブルにおける前記第1の超電導層と、前記第2の超電導ケーブルにおける前記第1の超電導層とは、常伝導状態における抵抗が異なっており、
前記第1および第2の超電導ケーブルの前記第1の超電導層のうちの少なくともいずれか一方は、前記第1および第2の超電導ケーブルの前記フォーマのうち少なくともいずれか一方と電気的に接続されている、超電導ケーブルの接続構造。
【請求項2】
前記第1の超電導ケーブルにおける前記第1の超電導層の常伝導状態における抵抗は、前記第2の超電導ケーブルにおける前記第1の超電導層の常伝導状態における抵抗の5倍以上である、請求項1に記載の超電導ケーブルの接続構造。
【請求項3】
前記第1の超電導ケーブルにおける前記フォーマの端部と前記第2の超電導ケーブルにおける前記フォーマの端部とを対向させた状態で被覆することにより、前記第1の超電導ケーブルにおける前記フォーマと、前記第2の超電導ケーブルにおける前記フォーマとを電気的に接続する導電性のスリーブと、
前記第1の超電導ケーブルにおける前記第1の超電導層と、前記第2の超電導ケーブルにおける前記第1の超電導層とを電気的に接続する導電性の線材とを備え、
前記スリーブと前記線材とは、電気的に接続されている、請求項1または2に記載の超電導ケーブルの接続構造。
【請求項4】
フォーマと、前記フォーマの外周側に配置される第1の絶縁層と、前記第1の絶縁層の外周側に配置される第1の超電導層と、前記第1の超電導層の外周側に配置される第2の絶縁層と、前記第2の絶縁層の外周側に配置される第2の超電導層と、前記第2の超電導層の外周側に配置される第3の絶縁層と、前記第3の絶縁層の外周側に配置されるシールド導体層とを備える、第1および第2の超電導ケーブルを準備する準備工程と、
前記第1の超電導ケーブルにおける前記フォーマと、前記第2の超電導ケーブルにおける前記フォーマとを電気的に接続する第1接続工程と、
前記第1の超電導ケーブルにおける前記第1の超電導層と、前記第2の超電導ケーブルにおける前記第1の超電導層とを電気的に接続する第2接続工程と、
前記第1および第2の超電導ケーブルの前記第1の超電導層のうちの少なくともいずれか一方と、前記第1および第2の超電導ケーブルの前記フォーマのうち少なくともいずれか一方とを電気的に接続する第3接続工程とを備え、
前記準備工程では、前記第1の超電導ケーブルにおける前記第1の超電導層の常伝導状態における抵抗と、前記第2の超電導ケーブルにおける前記第1の超電導層の常伝導状態における抵抗とが異なる、前記第1および第2の超電導ケーブルを準備する、超電導ケーブルの接続方法。
【請求項5】
前記準備工程では、前記第1の超電導ケーブルにおける前記第1の超電導層の常伝導状態における抵抗が、前記第2の超電導ケーブルにおける前記第1の超電導層の常伝導状態における抵抗の5倍以上である前記第1の超電導ケーブルを準備する、請求項4に記載の超電導ケーブルの接続方法。
【請求項6】
前記第1接続工程では、前記第1の超電導ケーブルにおける前記フォーマの端部と前記第2の超電導ケーブルにおける前記フォーマの端部とを対向させた状態で被覆することにより、前記第1の超電導ケーブルにおける前記フォーマと、前記第2の超電導ケーブルにおける前記フォーマとを電気的に接続する導電性のスリーブを形成し、
前記第2接続工程では、前記第1の超電導ケーブルにおける前記第1の超電導層と、前記第2の超電導ケーブルにおける前記第1の超電導層とを電気的に接続する導電性の線材を形成し、
前記第3接続工程では、前記スリーブと、前記線材とを電気的に接続する、請求項4または5に記載の超電導ケーブルの接続方法。
【請求項7】
フォーマと、前記フォーマの外周側に配置される第1の絶縁層と、前記第1の絶縁層の外周側に配置される第1の超電導層と、前記第1の超電導層の外周側に配置される第2の絶縁層と、前記第2の絶縁層の外周側に配置される第2の超電導層と、前記第2の超電導層の外周側に配置される第3の絶縁層と、前記第3の絶縁層の外周側に配置されるシールド導体層とを備える、第1および第2の超電導ケーブルの接続構造であって、
前記第1の超電導ケーブルにおける前記第2の超電導層および前記シールド導体層と、前記第2の超電導ケーブルにおける前記第2の超電導層および前記シールド導体層とは、それぞれ互いに電気的に接続され、
前記第1の超電導ケーブルにおける前記第2の超電導層と、前記第2の超電導ケーブルにおける前記第2の超電導層とは、常伝導状態における抵抗が異なっており、
前記第1および第2の超電導ケーブルの少なくともいずれか一方において、前記第2の超電導層と前記シールド導体層とが電気的に接続されている、超電導ケーブルの接続構造。
【請求項8】
前記第1の超電導ケーブルにおける第2の超電導層の常伝導状態における抵抗は、前記第2の超電導ケーブルにおける前記第2の超電導層の常伝導状態における抵抗の5倍以上である、請求項7に記載の超電導ケーブルの接続構造。
【請求項9】
前記第1および第2の超電導ケーブルの少なくともいずれか一方において、前記第2の超電導層と前記シールド導体層とを電気的に接続する導電性の接続部材と、
前記第1の超電導ケーブルにおける前記第2の超電導層と、前記第2の超電導ケーブルにおける前記第2の超電導層とを電気的に接続する導電性の第1の線材と、
前記第1の超電導ケーブルにおける前記シールド導体層と、前記第2の超電導ケーブルにおける前記シールド導体層とを電気的に接続する導電性の第2の線材とを備える、請求項7または8に記載の超電導ケーブルの接続構造。
【請求項10】
フォーマと、前記フォーマの外周側に配置される第1の絶縁層と、前記第1の絶縁層の外周側に配置される第1の超電導層と、前記第1の超電導層の外周側に配置される第2の絶縁層と、前記第2の絶縁層の外周側に配置される第2の超電導層と、前記第2の超電導層の外周側に配置される第3の絶縁層と、前記第3の絶縁層の外周側に配置されるシールド導体層とを備える、第1および第2の超電導ケーブルを準備する準備工程と、
前記第1および第2の超電導ケーブルの少なくともいずれか一方において、前記第2の超電導層と前記シールド導体層とを電気的に接続するシールド側第1接続工程と、
前記第1の超電導ケーブルにおける前記第2の超電導層と、前記第2の超電導ケーブルにおける前記第2の超電導層とを電気的に接続するシールド側第2接続工程と、
前記第1の超電導ケーブルにおける前記シールド導体層と、前記第2の超電導ケーブルにおける前記シールド導体層とを電気的に接続するシールド側第3接続工程とを備え、
前記準備工程では、前記第1の超電導ケーブルにおける前記第2の超電導層の常伝導状態における抵抗と、前記第2の超電導ケーブルにおける前記第2の超電導層の常伝導状態における抵抗とが異なる、前記第1および第2の超電導ケーブルを準備する、超電導ケーブルの接続方法。
【請求項11】
前記準備工程では、前記第2の超電導ケーブルにおける前記第2の超電導層の常伝導状態における抵抗が、前記第2の超電導ケーブルにおける前記第2の超電導層の常伝導状態における抵抗の5倍以上である前記第1の超電導ケーブルを準備する、請求項10に記載の超電導ケーブルの接続方法。
【請求項12】
前記シールド側第1接続工程では、前記第1および第2の超電導ケーブルの少なくとも一方において前記第2の超電導層と、前記シールド導体層とを電気的に接続する接続部材を形成し、
前記シールド側第2接続工程では、前記第1の超電導ケーブルにおける前記第2の超電導層と、前記第2の超電導ケーブルにおける前記第2の超電導層とを電気的に接続する導電性の第1の線材を形成し、
前記シールド側第3接続工程では、前記第1の超電導ケーブルにおける前記シールド導体層と、前記第2の超電導ケーブルにおける前記シールド導体層とを電気的に接続する導電性の第2の線材を形成する、請求項10または11に記載の超電導ケーブルの接続方法。
【請求項1】
フォーマと、前記フォーマの外周側に配置される第1の絶縁層と、前記第1の絶縁層の外周側に配置される第1の超電導層と、前記第1の超電導層の外周側に配置される第2の絶縁層と、前記第2の絶縁層の外周側に配置される第2の超電導層と、前記第2の超電導層の外周側に配置される第3の絶縁層と、前記第3の絶縁層の外周側に配置されるシールド導体層とを備える、第1および第2の超電導ケーブルの接続構造であって、
前記第1の超電導ケーブルにおける前記フォーマおよび前記第1の超電導層と、前記第2の超電導ケーブルにおける前記フォーマおよび前記第1の超電導層とは、それぞれ互いに電気的に接続され、
前記第1の超電導ケーブルにおける前記第1の超電導層と、前記第2の超電導ケーブルにおける前記第1の超電導層とは、常伝導状態における抵抗が異なっており、
前記第1および第2の超電導ケーブルの前記第1の超電導層のうちの少なくともいずれか一方は、前記第1および第2の超電導ケーブルの前記フォーマのうち少なくともいずれか一方と電気的に接続されている、超電導ケーブルの接続構造。
【請求項2】
前記第1の超電導ケーブルにおける前記第1の超電導層の常伝導状態における抵抗は、前記第2の超電導ケーブルにおける前記第1の超電導層の常伝導状態における抵抗の5倍以上である、請求項1に記載の超電導ケーブルの接続構造。
【請求項3】
前記第1の超電導ケーブルにおける前記フォーマの端部と前記第2の超電導ケーブルにおける前記フォーマの端部とを対向させた状態で被覆することにより、前記第1の超電導ケーブルにおける前記フォーマと、前記第2の超電導ケーブルにおける前記フォーマとを電気的に接続する導電性のスリーブと、
前記第1の超電導ケーブルにおける前記第1の超電導層と、前記第2の超電導ケーブルにおける前記第1の超電導層とを電気的に接続する導電性の線材とを備え、
前記スリーブと前記線材とは、電気的に接続されている、請求項1または2に記載の超電導ケーブルの接続構造。
【請求項4】
フォーマと、前記フォーマの外周側に配置される第1の絶縁層と、前記第1の絶縁層の外周側に配置される第1の超電導層と、前記第1の超電導層の外周側に配置される第2の絶縁層と、前記第2の絶縁層の外周側に配置される第2の超電導層と、前記第2の超電導層の外周側に配置される第3の絶縁層と、前記第3の絶縁層の外周側に配置されるシールド導体層とを備える、第1および第2の超電導ケーブルを準備する準備工程と、
前記第1の超電導ケーブルにおける前記フォーマと、前記第2の超電導ケーブルにおける前記フォーマとを電気的に接続する第1接続工程と、
前記第1の超電導ケーブルにおける前記第1の超電導層と、前記第2の超電導ケーブルにおける前記第1の超電導層とを電気的に接続する第2接続工程と、
前記第1および第2の超電導ケーブルの前記第1の超電導層のうちの少なくともいずれか一方と、前記第1および第2の超電導ケーブルの前記フォーマのうち少なくともいずれか一方とを電気的に接続する第3接続工程とを備え、
前記準備工程では、前記第1の超電導ケーブルにおける前記第1の超電導層の常伝導状態における抵抗と、前記第2の超電導ケーブルにおける前記第1の超電導層の常伝導状態における抵抗とが異なる、前記第1および第2の超電導ケーブルを準備する、超電導ケーブルの接続方法。
【請求項5】
前記準備工程では、前記第1の超電導ケーブルにおける前記第1の超電導層の常伝導状態における抵抗が、前記第2の超電導ケーブルにおける前記第1の超電導層の常伝導状態における抵抗の5倍以上である前記第1の超電導ケーブルを準備する、請求項4に記載の超電導ケーブルの接続方法。
【請求項6】
前記第1接続工程では、前記第1の超電導ケーブルにおける前記フォーマの端部と前記第2の超電導ケーブルにおける前記フォーマの端部とを対向させた状態で被覆することにより、前記第1の超電導ケーブルにおける前記フォーマと、前記第2の超電導ケーブルにおける前記フォーマとを電気的に接続する導電性のスリーブを形成し、
前記第2接続工程では、前記第1の超電導ケーブルにおける前記第1の超電導層と、前記第2の超電導ケーブルにおける前記第1の超電導層とを電気的に接続する導電性の線材を形成し、
前記第3接続工程では、前記スリーブと、前記線材とを電気的に接続する、請求項4または5に記載の超電導ケーブルの接続方法。
【請求項7】
フォーマと、前記フォーマの外周側に配置される第1の絶縁層と、前記第1の絶縁層の外周側に配置される第1の超電導層と、前記第1の超電導層の外周側に配置される第2の絶縁層と、前記第2の絶縁層の外周側に配置される第2の超電導層と、前記第2の超電導層の外周側に配置される第3の絶縁層と、前記第3の絶縁層の外周側に配置されるシールド導体層とを備える、第1および第2の超電導ケーブルの接続構造であって、
前記第1の超電導ケーブルにおける前記第2の超電導層および前記シールド導体層と、前記第2の超電導ケーブルにおける前記第2の超電導層および前記シールド導体層とは、それぞれ互いに電気的に接続され、
前記第1の超電導ケーブルにおける前記第2の超電導層と、前記第2の超電導ケーブルにおける前記第2の超電導層とは、常伝導状態における抵抗が異なっており、
前記第1および第2の超電導ケーブルの少なくともいずれか一方において、前記第2の超電導層と前記シールド導体層とが電気的に接続されている、超電導ケーブルの接続構造。
【請求項8】
前記第1の超電導ケーブルにおける第2の超電導層の常伝導状態における抵抗は、前記第2の超電導ケーブルにおける前記第2の超電導層の常伝導状態における抵抗の5倍以上である、請求項7に記載の超電導ケーブルの接続構造。
【請求項9】
前記第1および第2の超電導ケーブルの少なくともいずれか一方において、前記第2の超電導層と前記シールド導体層とを電気的に接続する導電性の接続部材と、
前記第1の超電導ケーブルにおける前記第2の超電導層と、前記第2の超電導ケーブルにおける前記第2の超電導層とを電気的に接続する導電性の第1の線材と、
前記第1の超電導ケーブルにおける前記シールド導体層と、前記第2の超電導ケーブルにおける前記シールド導体層とを電気的に接続する導電性の第2の線材とを備える、請求項7または8に記載の超電導ケーブルの接続構造。
【請求項10】
フォーマと、前記フォーマの外周側に配置される第1の絶縁層と、前記第1の絶縁層の外周側に配置される第1の超電導層と、前記第1の超電導層の外周側に配置される第2の絶縁層と、前記第2の絶縁層の外周側に配置される第2の超電導層と、前記第2の超電導層の外周側に配置される第3の絶縁層と、前記第3の絶縁層の外周側に配置されるシールド導体層とを備える、第1および第2の超電導ケーブルを準備する準備工程と、
前記第1および第2の超電導ケーブルの少なくともいずれか一方において、前記第2の超電導層と前記シールド導体層とを電気的に接続するシールド側第1接続工程と、
前記第1の超電導ケーブルにおける前記第2の超電導層と、前記第2の超電導ケーブルにおける前記第2の超電導層とを電気的に接続するシールド側第2接続工程と、
前記第1の超電導ケーブルにおける前記シールド導体層と、前記第2の超電導ケーブルにおける前記シールド導体層とを電気的に接続するシールド側第3接続工程とを備え、
前記準備工程では、前記第1の超電導ケーブルにおける前記第2の超電導層の常伝導状態における抵抗と、前記第2の超電導ケーブルにおける前記第2の超電導層の常伝導状態における抵抗とが異なる、前記第1および第2の超電導ケーブルを準備する、超電導ケーブルの接続方法。
【請求項11】
前記準備工程では、前記第2の超電導ケーブルにおける前記第2の超電導層の常伝導状態における抵抗が、前記第2の超電導ケーブルにおける前記第2の超電導層の常伝導状態における抵抗の5倍以上である前記第1の超電導ケーブルを準備する、請求項10に記載の超電導ケーブルの接続方法。
【請求項12】
前記シールド側第1接続工程では、前記第1および第2の超電導ケーブルの少なくとも一方において前記第2の超電導層と、前記シールド導体層とを電気的に接続する接続部材を形成し、
前記シールド側第2接続工程では、前記第1の超電導ケーブルにおける前記第2の超電導層と、前記第2の超電導ケーブルにおける前記第2の超電導層とを電気的に接続する導電性の第1の線材を形成し、
前記シールド側第3接続工程では、前記第1の超電導ケーブルにおける前記シールド導体層と、前記第2の超電導ケーブルにおける前記シールド導体層とを電気的に接続する導電性の第2の線材を形成する、請求項10または11に記載の超電導ケーブルの接続方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−243699(P2008−243699A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−85028(P2007−85028)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
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