超電導応用限流装置、超電導応用限流方法、プログラムおよび記録媒体
【課題】事故発生直後の事故電流を抑制し、事故除去後の系統側の高速再閉路失敗時にも事故電流を抑制でき、さらに、その事故除去後に通常の運用状態に復帰して系統連系を継続する。
【解決手段】電力系統Aの第2送電線15a2での事故が発生した場合で、一方の第1超電導限流器8aがクエンチして抵抗を発生した場合、この抵抗により過大な事故電流を抑制する。事故送電線の遮断器4a3,4a4が開放されることにより事故が除去されると、他方の第2超電導限流器8bが並列に投入された後、第1超電導限流器8aが開放される。この開放とともに、第1超電導限流器8aは補助冷却装置9により高速に冷却され、超電導状態に復帰する。事故送電線の遮断器4a3,4a4が再閉路され、事故が継続していても第2超電導限流器8bがクエンチして抵抗を発生して、事故電流を抑制する。
【解決手段】電力系統Aの第2送電線15a2での事故が発生した場合で、一方の第1超電導限流器8aがクエンチして抵抗を発生した場合、この抵抗により過大な事故電流を抑制する。事故送電線の遮断器4a3,4a4が開放されることにより事故が除去されると、他方の第2超電導限流器8bが並列に投入された後、第1超電導限流器8aが開放される。この開放とともに、第1超電導限流器8aは補助冷却装置9により高速に冷却され、超電導状態に復帰する。事故送電線の遮断器4a3,4a4が再閉路され、事故が継続していても第2超電導限流器8bがクエンチして抵抗を発生して、事故電流を抑制する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、短絡電流などの過大な電流を瞬時に抑制する超電導応用限流装置、超電導応用限流方法、プログラムおよび記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電力系統における供給信頼度を向上させるためには、電力系統を放射状からル−プ状、さらにはメッシュ状構成とする方法が知られている。一方で、この方法では短絡容量が増大するため、一旦、落雷等により三相短絡事故等が発生すると、既存の遮断器では遮断できない事故電流が流れ、事故点を系統から除去できずに事故の影響が波及して大停電に至る恐れがある。
【0003】
従って、現状の電力系統は、短絡事故が発生しても遮断できるような系統構成で運用しているが、電源と需要地域の偏在化、および電化による需要増加等から、需給状態によっては供給信頼度が低下することが懸念される。
【0004】
系統信頼度の向上を目的として、系統を連系する部分に適用して過大な事故電流を抑える手段の一つとしては超電導限流器が挙げられる。この超電導限流器は、超電導状態で電気抵抗が零となり、臨界電流以上の電流が流れると常電導常態に遷移(クエンチ)して抵抗を発生するという超電導コイルの性質を利用した装置である。
【0005】
しかし、超電導限流器は、1度クエンチして抵抗を発生すると、その抵抗と通過電流によりジュ−ル熱が発生して超電導線の温度が上昇してしまうので、もとの超電導状態に戻すためには、系統から切り離して冷却する必要がある。
【0006】
そのため、2つの電力系統間を連系し、事故発生後も連系を維持し続けることは、超電導限流器1台のみの構成では実現が困難であり、超電導限流器を2台並列にしたシステム構成が多種提案されている。2台並列構成の超電導限流器としては、送電線の高速再閉路に対応可能とするために、送電線に直列に接続する第1の超電導限流器に対して、高速再閉路時に閉路されるスイッチを介して第2の超電導限流器が並列に接続したものがある(例えば特許文献1参照)。
【0007】
また、遮断器の数を減らしてコスト低減を図るため、第1の超電導限流器に第1の開閉器を直列に接続して、第2の超電導限流器に第2の開閉器を直列に接続し、両者を並列に接続して、1つの遮断器で系統と連系する構成としたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
また、遮断器開放後、所定時間内に再閉路が要求される環境で使用可能にするために、第1の超電導限流器に第1の補助スイッチを直列に接続して、第2の超電導限流器に第2の補助スイッチを直列に接続し、両者を並列に接続して、1つの遮断器で系統と連系する構成としたものがある(例えば特許文献3参照)。
【0009】
また、限流動作時においても系統連系を遮断することがないように、第1の超電導限流器に第1のスイッチを直列に接続して、第2の超電導限流器に第2のスイッチを直列に接続し、両者を並列に接続して、さらに並列に外部抵抗を接続した主回路を構成し、形状記憶合金から成るバネを利用して可動導体を駆動することにより、第1および第2のスイッチを交互に開閉するものがある(例えば特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平5−236646号公報
【特許文献2】特開2000−294068号公報
【特許文献3】特開2007−157700号公報
【特許文献4】特許第4153920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述した2台並列構成の超電導限流器システムにおいては、第1の超電導限流器がクエンチして抵抗を発生して、事故電流を抑制した後、すぐに第2の超電導限流器に直列接続されたスイッチを閉じる方法が採られているが、事故が継続している場合には、第2の超電導限流器も常電導状態に転移してしまい、事故除去後の系統連系において抵抗が発生したままになるので過大な電力損失が生じ、また、供給信頼度も低下する可能性がある。
【0012】
また、前述したスイッチを事故除去直後に閉じる方法であっても、このスイッチを閉じるタイミングにより発生する過渡的な電流により、三相分のうちの一相分がクエンチして不平衡状態となり、健全な電力供給が行えなくなる場合がある。
【0013】
さらに、送電線の高速再閉路時に事故が継続している状態においては、第2の超電導限流器がクエンチして再度事故電流を抑制することができるが、その後、通常の運用状態に復帰するための手段は明確には示されておらず、超電導コイルが冷却されて超電導状態に復帰するまで、抵抗あるいはリアクトルによるバイパスを行うことにしても、その期間の電力損失、供給信頼度の低下が生ずることになる。
【0014】
そこで、本発明の目的は、事故発生直後の事故電流を抑制し、事故除去後の系統側の高速再閉路失敗時にも事故電流を抑制でき、さらに、その事故除去後に通常の運用状態に復帰して系統連系を継続することが可能になる超電導応用限流装置、超電導応用限流方法、プログラムおよび記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
すなわち、本発明に係わる超電導応用限流装置は、二つの電力系統を連系するための第1の超電導限流器と、前記1の超電導限流器に並列接続されて前記二つの電力系統を連系するための第2の超電導限流器と、前記第1の超電導限流器における前記電力系統の一方の側および他方の側にそれぞれ直列接続されるスイッチと、前記第2の超電導限流器における前記電力系統の一方の側および他方の側にそれぞれ直列接続されるスイッチと、一定時間以上の間隔で発生する系統事故のそれぞれに対して、前記第1の超電導限流器あるいは第2の超電導限流器のうち一方の超電導限流器が超電導状態で前記電力系統に接続されて、当該事故の除去後に前記第1の超電導限流器あるいは第2の超電導限流器のうち他方の超電導限流器が超電導状態で前記電力系統に接続されて前記接続された一方の超電導限流器が前記電力系統から解列されるように、それぞれの前記超電導限流器に関わる前記スイッチを開閉する開閉制御手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、事故発生直後の事故電流を抑制し、事故除去後の系統側の高速再閉路失敗時にも事故電流を抑制でき、さらに、その事故除去後に通常の運用状態に復帰して系統連系を継続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態における超電導応用限流装置の構成例を示す図。
【図2】本発明の実施形態における超電導応用限流装置の制御指令演算/出力部の構成例を示すブロック図。
【図3】本発明の実施形態における超電導応用限流装置に関わる電力系統の事故発生から事故除去までの電圧および電流の実効値波形を示す図。
【図4】本発明の実施形態における超電導応用限流装置の制御指令演算/出力部による各種信号の出力にかかる条件を表形式で示す図。
【図5】本発明の実施形態における超電導応用限流装置の制御指令演算/出力部による冷却補助のための信号の出力にかかる条件を表形式で示す図。
【図6】本発明の実施形態における超電導応用限流装置の制御指令演算/出力部による超電導限流器の開閉信号の出力にかかる第1の条件を表形式で示す図。
【図7】本発明の実施形態における超電導応用限流装置の制御指令演算/出力部による超電導限流器の開閉信号の出力にかかる第2の条件を表形式で示す図。
【図8】本発明の実施形態における超電導応用限流装置の処理動作の一例を示すタイミングチャート。
【図9】本発明の実施形態における超電導応用限流装置の処理動作の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下図面により本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態における超電導応用限流装置の構成例を示す図である。
図1に示すように、本発明の実施形態における超電導応用源流装置は、上位系統から下位系統へ送電するための2つの送電系統である電力系統Aと電力系統Bにおいて、電力系統A側の上位母線3aと電力系統B側の上位母線3bとの間に超電導応用限流装置14を設けた形態である。
【0019】
電力系統Aは、上位系統1aと、上位母線3aと、これらを接続するバックインピ−ダンス2aと、第1送電線15a1と、第2送電線15a2と、下位母線16aと、この下位母線16aに連なる下位系統17aとを有する。図1に示した構成部分のうち「a」を含む符号が付される構成部分は電力系統A側の構成部分を意味する。
【0020】
第1送電線15a1は、上位母線3aと下位母線16aとを上位母線3a側の遮断器4a1と下位母線16a側の遮断器4a2とを介して接続する。第2送電線15a2は、上位母線3aと下位母線16aとを上位母線3a側の遮断器4a3と下位母線16a遮断器4a4とを介して接続する。
【0021】
また、電力系統Bは、上位系統1bと、上位母線3bと、これらを接続するバックインピ−ダンス2bと、第1送電線15b1と、第2送電線15b2と、下位母線16bと、この下位母線16bに連なる下位系統17bとを有する。図1に示した構成部分のうち「b」を含む符号が付される構成部分は電力系統B側の構成部分を意味する。
【0022】
第1送電線15b1は、上位母線3bと下位母線16bとを上位母線3b側の遮断器4b1と下位母線16b側の遮断器4b2を介して接続する。第2送電線15b2は、上位母線3b側の上位母線3bと下位母線16bとを上位母線3b側の遮断器4b3と下位母線16b側の遮断器4b4とを介して接続する。
超電導応用限流装置14は、上位母線3aと上位母線3bとを連系する装置である。この超電導応用限流装置14は、第1超電導限流器8aと第2超電導限流器8bとを有し、これらの並列回路が電力系統A側と電力系統B側とに接続されて主回路を構成する。
【0023】
さらに、超電導応用限流装置14は、図1に示すように、上位母線3aに接続される電流検出器5a、電圧検出器6a、上位母線3bに接続される電流検出器5b、電圧検出器6b、補助冷却装置9、および制御装置10を有する。
【0024】
第1超電導限流器8aの一端には第1超電導限流器用スイッチ7a1が直列に接続され、他端には第1超電導限流器用スイッチ7b1が直列に接続される。
第2超電導限流器8bの一端には第2超電導限流器用スイッチ7a2が直列に接続され、他端には第2超電導限流器用スイッチ7b2が直列に接続される。
【0025】
第1超電導限流器用スイッチ7a1および第2超電導限流器用スイッチ7a2は、電流検出器5aを介して電力系統A側の上位母線3aに接続される。第2超電導限流器用スイッチ7b1および第2超電導限流器用スイッチ7b2は、電流検出器5bを介して電力系統B側の上位母線3bに接続される。
【0026】
また、補助冷却装置9は、第1超電導限流器8aおよび第2超電導限流器8bの冷却を補助する。
また、制御装置10は、電流検出器5a,5bや電圧検出器6a,6bからの計測デ−タと遮断器4a1,4a3,4b1,4b3の開閉状態信号とを入力し、第1超電導限流器用スイッチ7a1,7b1と第2超電導限流器用スイッチ7a2,7b2への開閉信号と、補助冷却装置9への制御信号をそれぞれ出力する。
【0027】
図1に示すように、制御装置10は、電流/電圧取込部11a,11b、送電線遮断器状態受信部13a,13b、制御指令演算/出力部12を有する。
電流/電圧取込部11a,11bは、電流検出器5a,5bや電圧検出器6a,6bから入力された計測デ−タから電流実効値や電圧実効値を演算する。
送電線遮断器状態受信部13aは、電力系統A側の遮断器4a1,4a3の開閉状態信号を受信して開閉状態を確認し、この結果を制御指令演算/出力部12へ送る。送電線遮断器状態受信部13bは、電力系統B側の遮断器4b1,4b3の開閉状態信号を受信して開閉状態を確認し、この結果を制御指令演算/出力部12へ送る。
【0028】
制御指令演算/出力部12は、第1超電導限流器用スイッチ7a1,7b1と第2超電導限流器用スイッチ7a2,7b2の開閉状態を決定し、また、補助冷却装置9の出力指令を示す制御信号を出力する。
【0029】
図2は、本発明の実施形態における超電導応用限流装置の制御指令演算/出力部の構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、制御指令演算/出力部12は、電流値変換部12a1,12a2、電圧値変換部12b1,12b2、信号変換部12c1,12c2,12d1,12d2、電流値加工演算部12e、電圧値加工演算部12f、事故発生状態判別部12g,12h、補助冷却制御演算部12i、スイッチ開閉演算部12j、補助冷却装置制御信号送信部12k、スイッチ開閉情報受信部12L1,12L2,12L3,12L4、およびスイッチ開閉信号送信部12m1,12m2,12m3,12m4を有する。
【0030】
電流値変換部12a1は、電流/電圧取込部11aからの、電流検出器5aにより検出した電流値を入力する。電流値変換部12a2は、電流/電圧取込部11bからの、電流検出器5bにより検出した電流値を入力する。
また、電圧値変換部12b1は、電流/電圧取込部11aからの、電圧検出器6aにより検出した電圧値を入力する。電圧値変換部12b2は、電流/電圧取込部11bからの、電圧検出器6bにより検出した電圧値を入力する。
【0031】
電流値加工演算部12eは、電流値変換部12a1,12a2からの入力信号をもとに補助冷却制御演算部12iへの信号を出力する。電圧値加工演算部12fは、電圧値変換部12b1,12b2からの入力信号をもとに補助冷却制御演算部12iやスイッチ開閉演算部12jへの信号を出力する。
【0032】
信号変換部12c1は、送電線遮断器状態受信部13aからの、電力系統A側の遮断器4a1の開閉情報を入力する。信号変換部12c2は、送電線遮断器状態受信部13aからの、電力系統A側の遮断器4a3の開閉情報を入力する。
また、信号変換部12d1は、送電線遮断器状態受信部13bからの、電力系統B側の遮断器4b1の開閉情報を入力する。信号変換部12d2は、送電線遮断器状態受信部13bからの、電力系統B側の遮断器4b3の開閉情報を入力する。
【0033】
事故発生状態判別部12gは、信号変換部12c1,12c2や電圧値変換部12b1からの入力信号をもとにスイッチ開閉演算部12jへの信号を出力する。事故発生状態判別部12hは、信号変換部12d1,12d2や電圧値変換部12b2からの入力信号をもとにスイッチ開閉演算部12jへの信号を出力する。
【0034】
補助冷却装置制御信号送信部12kは、電流値加工演算部12eからの入力信号をもとに補助冷却装置9への制御信号を出力する。
スイッチ開閉情報受信部12L1は、第1超電導限流器用スイッチ7a1の開閉情報を入力して補助冷却装置制御信号送信部12kやスイッチ開閉演算部12jに出力する。スイッチ開閉情報受信部12L2は、第1超電導限流器用スイッチ7b1の開閉情報を入力して補助冷却装置制御信号送信部12kやスイッチ開閉演算部12jに出力する。
スイッチ開閉情報受信部12L3は、第2超電導限流器用スイッチ7a2の開閉情報を入力して補助冷却装置制御信号送信部12kやスイッチ開閉演算部12jに出力する。スイッチ開閉情報受信部12L4は、第2超電導限流器用スイッチ7b2の開閉情報を入力して補助冷却装置制御信号送信部12kやスイッチ開閉演算部12jに出力する。
【0035】
スイッチ開閉演算部12jは、スイッチ開閉情報受信部12L1,12L2,12L3,12L4、電圧値加工演算部12f、事故発生状態判別部12g,12hからの入力信号をもとにスイッチ開閉信号送信部12m1,12m2,12m3,12m4への制御信号を出力することで、超電導限流器のスイッチの開閉を制御する。
【0036】
また、スイッチ開閉信号送信部12m1は、第1超電導限流器用スイッチ7a1の開閉信号を送信する。スイッチ開閉信号送信部12m2は、第1超電導限流器用スイッチ7b1の開閉信号を送信する。
スイッチ開閉信号送信部12m3は、第2超電導限流器用スイッチ7a2の開閉信号を送信する。スイッチ開閉信号送信部12m4は、第2超電導限流器用スイッチ7b2の開閉信号を送信する。
【0037】
このように構成された超電導応用限流装置14の作用を以下に説明する。
定常時の超電導応用限流装置14の運用では、電力系統Aの上位母線3aと電力系統Bの上位母線3bとを連系するために、超電導状態にある第1超電導限流器8aあるいは第2超電導限流器8bのどちらか一方が使用されている。
例えば、第1超電導限流器8aが使用されている場合は、第1超電導限流器用スイッチ7a1と第1超電導限流器用スイッチ7b1がともに閉状態であり、第2超電導限流器用スイッチ7a2と第2超電導限流器用スイッチ7b2とのどちらか一方が閉状態となって他方が開状態となっている。
【0038】
この状態では、第1超電導限流器8aは超電導状態であるので抵抗が発生しておらず、下位系統17aと下位系統17bの需要状況に応じて、殆ど電力損失無しで上位母線3aと上位母線3bとの間で電力融通が行える。
【0039】
この状態において、制御装置10の電流/電圧取込部11aは、電流検出器5aで検出した電流である上位母線3aに接続する線の電流と、電圧検出器6aで検出した電圧である上位母線3aの電圧とを取り込む。電流/電圧取込部11aは、これら取り込んだ電流と電圧の実効値を算出して、これら算出した値を制御指令演算/出力部12内の電流値変換部12a1および電圧値変換部12b1にそれぞれ送る。
【0040】
同様に、制御装置10内の電流/電圧取込部11bは、電流検出器5bで検出した電流である上位母線3bに接続する線の電流と、電圧検出器6bで検出した電圧である上位母線3bの電圧とを取り込む。電流/電圧取込部11bは、これら取り込んだ電流と電圧の実効値を算出し、これら算出した値を制御指令演算/出力部12内の電流値変換部12a2および電圧値変換部12b2にそれぞれに送る。
【0041】
また、制御装置10内の送電線遮断器状態受信部13aは、電力系統A側の第1送電線15a1の遮断器4a1と第2送電線15a2の遮断器4a3の開閉情報を受信し、この受信した信号から開閉状態の判別および確認を行ない、この結果を制御指令演算/出力部12内の信号変換部12c1,12c2にそれぞれ送る。
【0042】
同様に、送電線遮断器状態受信部13bは、電力系統B側の第1送電線15b1の遮断器4b1と第2送電線15b2の遮断器4b3の開閉情報を受信し、この受信した信号から開閉状態の判別および確認を行ない、この結果を制御指令演算/出力部12内の信号変換部12d1,12d2にそれぞれに送る。
【0043】
制御指令演算/出力部12は、送られてきた電圧実効値、電流実効値および送電線の遮断器の開閉情報から、送電線の遮断器の開閉状態が定常時の運用状態と同じであり、かつ、電圧実効値と電流実効値が予め設定された範囲に入っていれば、待機状態となる。
【0044】
この場合、制御指令演算/出力部12は、第1超電導限流器用スイッチ7a1,7b1、第2超電導限流器用スイッチ7a2,7b2の開閉状態を現状維持とし、補助冷却装置9への制御信号は送らない。
【0045】
この状態において、例えば、電力系統A側の第2送電線15a2の上位母線3aの至近端Fで三相短絡事故が発生した場合には事故電流が流れ、上位母線3aの電圧が、ほぼ零の状態にまで低下する(ステップA1)。
【0046】
この事故電流は、電力系統Aと電力系統Bがそれぞれ、バックインピ−ダンス2a,2bの大きさによって分担する形となるが、バックインピ−ダンス2a,2bがともに小さい値であると事故電流は過大な値となり、第1超電導限流器8aの臨界電流を超えるため(ステップA2)、第1超電導限流器8aは超電導状態から常電導状態に転移して抵抗が発生する(ステップA3)。
【0047】
第1超電導限流器8aでの抵抗が発生すると、事故点である至近端Fから電力系統Bの上位系統1bまでの回路インピ−ダンスが増加することになり、事故電流が小さく抑えられる。
【0048】
このとき、第1超電導限流器8aは、常電導状態への転移に伴って発生した抵抗と流れる電流とによりジュ−ル熱が発生して温度が上昇する。
また、この発生した抵抗では電力損失が発生しており、この電力損失は電力系統Aあるいは電力系統Bが一時的に負担することになる。
【0049】
次に第2送電線15a2の主保護リレ−が動作し(ステップA4)、第2送電線15a2の遮断器4a3と第2送電線15a2の遮断器4a4とが開放され、事故が電力系統から除去される。
【0050】
事故が除去されると上位母線3aの電圧が元の状態に復帰して、下位系統17aに電力が送られるようになる(ステップA5)。
【0051】
図3は、本発明の実施形態における超電導応用限流装置に関わる電力系統の事故発生から事故除去までの電圧および電流の実効値波形を示す図である。
一方、事故発生から、第1超電導限流器8aがクエンチして、事故が除去されるまでの母線電圧Vaは、実効値で示すと図3に示したように零に近くなる。また、事故が除去されるまでの母線電圧Vbは、実効値で示すと図3に示したように一時的に低下した後、事故発生前の値まで回復する。また、超電導応用限流装置14を通過する電流の状態は、実効値で示すと図3に示したように、瞬間的に大幅に上昇した後、徐々に低下する。
【0052】
制御指令演算/出力部12は、これらの変化を捉えて制御演算を行い、超電導限流器用スイッチの開閉信号や補助冷却装置9への制御信号を出力する。その作用を、図2を用いて説明する。
【0053】
電圧/電流取込部11aからの入力信号(電流値)は、電流値変換部12a1でデ−タチェックの後に単位法による数値Iaに変換される。また、電圧/電流取込部11bからの入力信号(電流値)は、電流値変換部12a2でデ−タチェックの後に単位法による数値Ibに変換される。電流値変換部12a1,12a2での変換結果の信号は電流値加工演算部12eに送られる。
【0054】
また、電圧/電流取込部11aからの入力信号(電圧値)は、電圧値変換部12b1でデ−タチェックの後に単位法による数値Vaに変換される。また、電圧/電流取込部11bからの入力信号(電圧値)は、それぞれ電圧値変換部12b2でデ−タチェックの後に単位法による数値Vbに変換される。
電圧値変換部12b1での変換結果の信号は、電圧値加工演算部12fと事故発生状態判別部12gに送られる。また、電圧値変換部12b2での変換結果の信号は、電圧値加工演算部12fと事故発生状態判別部12hに送られる。
【0055】
送電線遮断器状態受信部13aからの遮断器4a1の開閉情報は信号変換部12c1で開状態を示す「0」または閉状態を示す「1」の信号に変換され、送電線遮断器状態受信部13aからの遮断器4a3の開閉情報は、信号変換部12c2で開状態を示す「0」または閉状態を示す「1」の信号に変換される。
【0056】
同様に、送電線遮断器状態受信部13bからの遮断器4b1の開閉情報は、信号変換部12d1で開状態を示す「0」または閉状態を示す「1」の信号に変換され、送電線遮断器状態受信部13bからの遮断器4b3の開閉情報は、信号変換部12d2で開状態を示す「0」または閉状態を示す「1」の信号に変換される。
【0057】
超電導限流器用スイッチ7a1,7b1,7a2,7b2の開閉情報は、スイッチ開閉情報受信部12L1,12L2,12L3,12L4で開状態を示す「0」または閉状態を示す「1」の信号に変換される。
【0058】
図4は、本発明の実施形態における超電導応用限流装置の制御指令演算/出力部による各種信号の出力にかかる条件を表形式で示す図である。
電流値変換部12a1の出力は、単位法で変換された電流実効値Iaであり、電流値変換部12a2の出力は、単位法で変換された電流実効値Ibである。これらの出力は電流値加工演算部12eに送られ、電流値加工演算部12eは、電流実効値IaとIbの差の絶対値ΔIを計算し、このΔIが予め設定された値ΔIsよりも小さい値であれば信号S1=0を出力し、ΔIがΔIs以上であれば信号S1=1を出力する。
【0059】
また、電流値加工演算部12eは、電流実効値IaとIbの両方が、予め設定した臨界電流値Ic未満であれば信号S2=0を出力し、IaとIbのどちらか一方がIc以上であれば信号S2=1を出力する。
【0060】
電圧値変換部12b1の出力は、単位法で変換された電圧実効値Vaであり、電圧値変換部12b2の出力は、単位法で変換された電圧実効値Vbである。電圧値加工演算部12fは、電圧実効値VaとVbの差の絶対値ΔVを計算し、このΔVが予め設定した値ΔVs未満であれば、信号S3=0を出力し、ΔVがΔVs以上であれば信号S3=1を出力する。
【0061】
事故発生状態判別部12gは、電圧値変換部12b1の出力である電圧実効値Vaが予め設定された値Vfよりも一旦小さくなり、信号変換部12c1,12c2どちらか一方からの出力信号が1から0へ変化したと同時に電圧実効値Vaの値がVfよりも大きくなる場合に信号S4=1を、それ以外のときは信号S4=0を出力する。
【0062】
同様に、事故発生状態判別部12hは、電圧値変換部12b2の出力である電圧実効値Vbが前述のように予め設定された値Vfよりも一旦小さくなり、信号変換部12dからの出力信号のどちらか一方が「1」から「0」へ変化したと同時にVbの値がVfよりも大きくなる場合は信号S5=1を、それ以外の場合は信号S5=0を出力する。
また、信号S1,S2,S3,S4,S5は一旦「1」となった場合は、この状態が後述するリセット信号の入力まで維持される。
【0063】
図5は、本発明の実施形態における超電導応用限流装置の制御指令演算/出力部による冷却補助のための信号の出力にかかる条件を表形式で示す図である。
図6は、本発明の実施形態における超電導応用限流装置の制御指令演算/出力部による超電導限流器の開閉信号の出力にかかる第1の条件を表形式で示す図である。
図7は、本発明の実施形態における超電導応用限流装置の制御指令演算/出力部による超電導限流器の開閉信号の出力にかかる第2の条件を表形式で示す図である。
図8は、本発明の実施形態における超電導応用限流装置の処理動作の一例を示すタイミングチャートである。
図9は、本発明の実施形態における超電導応用限流装置の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【0064】
次に、超電導応用限流装置14のスイッチ開閉演算部12jの処理について説明する。
スイッチ開閉演算部12jは、スイッチ開閉情報受信部12L1,12L2,12L3,12L4から第1超電導限流器用スイッチ7a1,7b1の開閉信号および第2超電導限流器用スイッチ7b1,7b2の開閉信号を受け取り、電圧値加工演算部12fから信号S3を受け取り、事故発生状態判別部12gから信号S4を受け取り、事故発生状態判別部12hから信号S5を受け取る。
この状態で、スイッチ開閉演算部12jは、信号S3=1かつ信号S4=1の場合は、電力系統Aの事故除去と判断する(ステップA6→A7)。
また、スイッチ開閉演算部12jは、信号S3=1かつ信号S5=1の場合は(ステップA6→A8)、電力系統Bの事故除去と判断する(ステップA9)。
【0065】
ステップA7もしくはA9による判断後、スイッチ開閉演算部12jは、第2超電導限流器用スイッチ7a2,7b2のどちらか一方が開状態である事を確認した場合には(ステップA10)、事故除去直後から、電力系統の上位母線3aの電圧および電流が過渡状態でなくなるまでの予め設定された時間Tdを経過した後に、第2超電導限流器用スイッチ7a2,7b2のうち開状態にあるスイッチへの閉信号をスイッチ開閉信号送信部12m1,12m2,12m3,12m4のうち該当のスイッチに対応する送信部へ送る(ステップA11)。このように事故除去直後からスイッチへの閉信号を送るまでの所定の時間を設けるのは、事故除去による電流や電圧の過渡状態におけるスイッチ閉路に伴う再度のクエンチを防止するためである。
【0066】
具体的には、スイッチ開閉演算部12jは、第2超電導限流器用スイッチ7a2が開状態にある場合は、このスイッチへの閉信号S7a2をスイッチ開閉信号送信部12m3へ送り、第2超電導限流器用スイッチ7b2が開状態にある場合は、このスイッチへの閉信号S7b2をスイッチ開閉信号送信部12m4へ送る。これにより、第2超電導限流器8bが投入される(ステップA12)。
【0067】
スイッチ開閉演算部12jは、予め設定された時間の経過後、第2超電導限流器用スイッチ7a2と7b2の両方が閉状態となったことを確認し、第1超電導限流器用スイッチ7a1,7b1が両方ともに閉状態であることを確認した場合に(ステップA13)、これらのスイッチ7a1と7b1の開閉回数をチェックし、開閉回数の少ない方を選択して(ステップA14)、この選択したスイッチへの開信号をスイッチ開閉信号送信部12m1,12m2,12m3,12m4のうち該当のスイッチに対応する送信部へ送る。
【0068】
具体的には、スイッチ開閉演算部12jは、第1超電導限流器用スイッチ7a1が開状態にある場合は、このスイッチへの閉信号S7a1をスイッチ開閉信号送信部12m1へ送り、第1超電導限流器用スイッチ7b1が開状態にある場合は、このスイッチへの閉信号S7b1をスイッチ開閉信号送信部12m2へ送る。これにより、前述のように選択したスイッチが開状態となり(ステップA15)、第1超電導限流器8aが解列される(ステップA16)。このように一方の超電導限流器の投入から他方の超電導限流器の解列までの所定の時間を設けるのは、2つの超電導限流器のうち一方が系統に接続される状態を常に保つためである。
【0069】
この解列と同時に、スイッチ開閉演算部12jは、リセット信号R3を電圧値加工演算部12fへ送り、リセット信号R4を事故発生状態判別部12gへ送り、リセット信号R5を事故発生状態判別部12hへ送る。
電圧値加工演算部12fは、リセット信号R3を入力すると、信号S3の状態が「1」である場合は「0」に戻す。事故発生状態判別部12gは、リセット信号R4を入力すると、信号S4の状態が「1」である場合は「0」に戻す。事故発生状態判別部12hは、リセット信号R5を入力すると、信号S5の状態が「1」である場合は「0」に戻す。
【0070】
一方、スイッチ開閉演算部12jは、信号S3=1かつ信号S4=1、あるいは信号S3=1かつ信号S5=1の場合で、第1超電導限流器用スイッチ7a1,7b1のどちらか一方が開状態である場合には、事故除去直後から事故除去直後から、電力系統の上位母線3aの電圧および電流が過渡状態でなくなるまでの予め設定された時間Tdを経過した後に、第1超電導限流器用スイッチへの閉信号をスイッチ開閉信号送信部12mへ送る。これにより、第1超電導限流器8aが投入される。
【0071】
スイッチ開閉演算部12jは、予め設定された時間の経過後、第1超電導限流器用スイッチ7a1と7b1の両方が閉状態となったことを確認し、第2超電導限流器用スイッチ7a2,7b2が両方ともに閉状態である場合に、スイッチ7a2と7b2の開閉回数をチェックし、開閉回数の少ない方を選択して、第2超電導限流器用スイッチへの開信号をスイッチ開閉信号送信部12mへ送る。これにより、前述のように選択したスイッチが開状態となり、第2超電導限流器8bが解列される。
【0072】
この解列と同時に、スイッチ開閉演算部12jは、リセット信号R3を電圧値加工演算部12fへ送り、リセット信号R4を事故発生状態判別部12gへ送り、リセット信号R5を事故発生状態判別部12hへ送る。
【0073】
次に、超電導応用限流装置14の補助冷却制御演算部12iの処理について説明する。
補助冷却制御演算部12iは、スイッチ開閉情報受信部12L1,12L2,12L3,12L4から第1超電導限流器用スイッチ7a1,7b1の開閉信号および第2超電導限流器用スイッチ7b1,7b2の開閉信号を受け取り、電流値加工演算部12eから信号S1,S2を受け取り、電圧値加工演算部12fから信号S3を受け取る。
【0074】
補助冷却制御演算部12iは、これらの信号を受け取った状態で、信号S1=0,信号S2=1,信号S3=1が成立し(ステップA17)、かつ第1超電導限流器用スイッチ7a1あるいは7b1が開状態の場合(ステップA18)、第1超電導限流器8aの冷却を補助するために、補助冷却装置9への制御信号C9を補助冷却装置制御信号送信部12kへ送り、同時にリセット信号R1を電流値加工演算部12eへ送る。電流値加工演算部12eは、リセット信号R1を入力すると、信号S1,S2の状態が「1」である場合は「0」に戻す。
【0075】
補助冷却装置制御信号送信部12kは、補助冷却制御演算部12iから受信した補助冷却装置9への制御信号C9を、補助冷却装置9に対応した動作/停止信号および制御信号に変換して、補助冷却装置9へ送信する。
これにより、補助冷却装置9が動作して(ステップA19)、第1超電導限流器8aが超電導状態に復帰することになる(ステップA20)。
【0076】
一方、補助冷却制御演算部12iは、前述のように信号S1=0,信号S2=1,信号S3=1が成立した状態で、第2超電導限流器用スイッチ7a2あるいは7b2が開状態の場合は、第2超電導限流器8bの冷却を補助するように、補助冷却装置9への制御信号C9を補助冷却装置制御信号送信部12kへ送り、同時にリセット信号R1を電流値加工演算部12eへ送る。これにより、補助冷却装置9が動作して、第2超電導限流器8bが超電導状態に復帰することになる。
【0077】
以上のように、本発明の実施形態における超電導応用限流装置では、何れかの電力系統の送電線、例えば電力系統Aの第2送電線15a2での事故が発生した場合で、一方の第1超電導限流器8aがクエンチして抵抗を発生した場合、この抵抗により過大な事故電流を抑制する。
【0078】
そして、事故送電線の遮断器4a3,4a4が開放されることにより事故が除去されると、他方の第2超電導限流器8bが並列に投入された後、第1超電導限流器8aが開放される。この開放とともに、第1超電導限流器8aは補助冷却装置9により高速に冷却され、超電導状態に復帰する。
【0079】
また、事故送電線の遮断器4a3,4a4が再閉路され、事故が継続していても、前述のように投入された第2超電導限流器8bがクエンチして抵抗を発生して、事故電流を抑制することができる。
【0080】
再度事故が発生した第2送電線15a2の遮断器4a3,4a4が開放されることにより事故が除去されると、前述のように開放していた第1超電導限流器8aが並列に投入されて第2超電導限流器8bが開放される。この開放とともに第2超電導限流器8bは補助冷却装置9により高速に冷却され、超電導状態に復帰する。
【0081】
つまり、事故が除去されて定常の運用状態に復帰した場合でも、超電導限流器の超電導状態が維持されているので、事故前の状態で運用が可能となる。また、一方の待機状態にある超電導限流器が超電導状態にあるので、次に発生する事故への対応も可能となる。
よって、事故発生直後の事故電流を抑制し、事故除去後の系統側の高速再閉路失敗時にも事故電流を抑制できる。さらに、その事故除去後に通常の運用状態に復帰して系統連系を継続できる超電導応用限流装置を提供することができる。
【0082】
また、事故除去直後から一定時間経過後に第2超電導限流器8bを投入することで、事故除去直後の過渡的な電流変化により、投入した第2超電導限流器8bの任意の相がクエンチする。これにより三相不平衡状態になることを防止することができ、また、次の事故に備えて第2超電導限流器8bの超電導状態に維持できる。
【0083】
なお、本実施形態において、第1超電導限流器8aと第2超電導限流器8bの超電導線の材料組成や長さを調整し、高速再閉路までの時間内で、常電導から超電導状態へ復帰させる巻線構造を得ることで、補助冷却装置9を省略した構成であっても、上述した効果を得ることが可能である。また、母線に接続される送電線の数が増えた場合でも、増えた分の遮断器の開閉情報を入力信号として取り込むことで対応可能である。
【0084】
なお、この発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を省略してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0085】
1a,1b…上位系統、2a,2b…バックインピ−ダンス、3a,3b…上位母線、4a1,4a2,4a3,4a4…電力系統A側の遮断器、4b1,4b2,4b3,4b4…電力系統B側の遮断器、5a,5b…電流検出器、6a,6b…電圧検出器、7a1,7b1…第1超電導限流器用スイッチ、7a2,7b2…第2超電導限流器用スイッチ、8a…第1超電導限流器、8b…第2超電導限流器、9…補助冷却装置、10…制御装置、11a,11b…電流/電圧取込部、12…制御指令演算/出力部、12a1,12a2…電流値変換部、12b1,12b2…電圧値変換部、12c1,12c2,12d1,12d2…信号変換部、12e…電流値加工演算部、12f…電圧値加工演算部、12g,12h…事故発生状態判別部、12i…補助冷却制御演算部、12j…スイッチ開閉演算部、12k…補助冷却装置制御信号送信部、12L1,12L2,12L3,12L4…スイッチ開閉情報受信部、12m1,12m2,12m3,12m4…スイッチ開閉信号送信部、13a,13b…送電線遮断器状態受信部、14…超電導応用限流装置、15a1,15a2,15b1,15b2…送電線、16a,16b…下位母線、17a,17b…下位系統。
【技術分野】
【0001】
本発明は、短絡電流などの過大な電流を瞬時に抑制する超電導応用限流装置、超電導応用限流方法、プログラムおよび記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電力系統における供給信頼度を向上させるためには、電力系統を放射状からル−プ状、さらにはメッシュ状構成とする方法が知られている。一方で、この方法では短絡容量が増大するため、一旦、落雷等により三相短絡事故等が発生すると、既存の遮断器では遮断できない事故電流が流れ、事故点を系統から除去できずに事故の影響が波及して大停電に至る恐れがある。
【0003】
従って、現状の電力系統は、短絡事故が発生しても遮断できるような系統構成で運用しているが、電源と需要地域の偏在化、および電化による需要増加等から、需給状態によっては供給信頼度が低下することが懸念される。
【0004】
系統信頼度の向上を目的として、系統を連系する部分に適用して過大な事故電流を抑える手段の一つとしては超電導限流器が挙げられる。この超電導限流器は、超電導状態で電気抵抗が零となり、臨界電流以上の電流が流れると常電導常態に遷移(クエンチ)して抵抗を発生するという超電導コイルの性質を利用した装置である。
【0005】
しかし、超電導限流器は、1度クエンチして抵抗を発生すると、その抵抗と通過電流によりジュ−ル熱が発生して超電導線の温度が上昇してしまうので、もとの超電導状態に戻すためには、系統から切り離して冷却する必要がある。
【0006】
そのため、2つの電力系統間を連系し、事故発生後も連系を維持し続けることは、超電導限流器1台のみの構成では実現が困難であり、超電導限流器を2台並列にしたシステム構成が多種提案されている。2台並列構成の超電導限流器としては、送電線の高速再閉路に対応可能とするために、送電線に直列に接続する第1の超電導限流器に対して、高速再閉路時に閉路されるスイッチを介して第2の超電導限流器が並列に接続したものがある(例えば特許文献1参照)。
【0007】
また、遮断器の数を減らしてコスト低減を図るため、第1の超電導限流器に第1の開閉器を直列に接続して、第2の超電導限流器に第2の開閉器を直列に接続し、両者を並列に接続して、1つの遮断器で系統と連系する構成としたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
また、遮断器開放後、所定時間内に再閉路が要求される環境で使用可能にするために、第1の超電導限流器に第1の補助スイッチを直列に接続して、第2の超電導限流器に第2の補助スイッチを直列に接続し、両者を並列に接続して、1つの遮断器で系統と連系する構成としたものがある(例えば特許文献3参照)。
【0009】
また、限流動作時においても系統連系を遮断することがないように、第1の超電導限流器に第1のスイッチを直列に接続して、第2の超電導限流器に第2のスイッチを直列に接続し、両者を並列に接続して、さらに並列に外部抵抗を接続した主回路を構成し、形状記憶合金から成るバネを利用して可動導体を駆動することにより、第1および第2のスイッチを交互に開閉するものがある(例えば特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平5−236646号公報
【特許文献2】特開2000−294068号公報
【特許文献3】特開2007−157700号公報
【特許文献4】特許第4153920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述した2台並列構成の超電導限流器システムにおいては、第1の超電導限流器がクエンチして抵抗を発生して、事故電流を抑制した後、すぐに第2の超電導限流器に直列接続されたスイッチを閉じる方法が採られているが、事故が継続している場合には、第2の超電導限流器も常電導状態に転移してしまい、事故除去後の系統連系において抵抗が発生したままになるので過大な電力損失が生じ、また、供給信頼度も低下する可能性がある。
【0012】
また、前述したスイッチを事故除去直後に閉じる方法であっても、このスイッチを閉じるタイミングにより発生する過渡的な電流により、三相分のうちの一相分がクエンチして不平衡状態となり、健全な電力供給が行えなくなる場合がある。
【0013】
さらに、送電線の高速再閉路時に事故が継続している状態においては、第2の超電導限流器がクエンチして再度事故電流を抑制することができるが、その後、通常の運用状態に復帰するための手段は明確には示されておらず、超電導コイルが冷却されて超電導状態に復帰するまで、抵抗あるいはリアクトルによるバイパスを行うことにしても、その期間の電力損失、供給信頼度の低下が生ずることになる。
【0014】
そこで、本発明の目的は、事故発生直後の事故電流を抑制し、事故除去後の系統側の高速再閉路失敗時にも事故電流を抑制でき、さらに、その事故除去後に通常の運用状態に復帰して系統連系を継続することが可能になる超電導応用限流装置、超電導応用限流方法、プログラムおよび記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
すなわち、本発明に係わる超電導応用限流装置は、二つの電力系統を連系するための第1の超電導限流器と、前記1の超電導限流器に並列接続されて前記二つの電力系統を連系するための第2の超電導限流器と、前記第1の超電導限流器における前記電力系統の一方の側および他方の側にそれぞれ直列接続されるスイッチと、前記第2の超電導限流器における前記電力系統の一方の側および他方の側にそれぞれ直列接続されるスイッチと、一定時間以上の間隔で発生する系統事故のそれぞれに対して、前記第1の超電導限流器あるいは第2の超電導限流器のうち一方の超電導限流器が超電導状態で前記電力系統に接続されて、当該事故の除去後に前記第1の超電導限流器あるいは第2の超電導限流器のうち他方の超電導限流器が超電導状態で前記電力系統に接続されて前記接続された一方の超電導限流器が前記電力系統から解列されるように、それぞれの前記超電導限流器に関わる前記スイッチを開閉する開閉制御手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、事故発生直後の事故電流を抑制し、事故除去後の系統側の高速再閉路失敗時にも事故電流を抑制でき、さらに、その事故除去後に通常の運用状態に復帰して系統連系を継続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態における超電導応用限流装置の構成例を示す図。
【図2】本発明の実施形態における超電導応用限流装置の制御指令演算/出力部の構成例を示すブロック図。
【図3】本発明の実施形態における超電導応用限流装置に関わる電力系統の事故発生から事故除去までの電圧および電流の実効値波形を示す図。
【図4】本発明の実施形態における超電導応用限流装置の制御指令演算/出力部による各種信号の出力にかかる条件を表形式で示す図。
【図5】本発明の実施形態における超電導応用限流装置の制御指令演算/出力部による冷却補助のための信号の出力にかかる条件を表形式で示す図。
【図6】本発明の実施形態における超電導応用限流装置の制御指令演算/出力部による超電導限流器の開閉信号の出力にかかる第1の条件を表形式で示す図。
【図7】本発明の実施形態における超電導応用限流装置の制御指令演算/出力部による超電導限流器の開閉信号の出力にかかる第2の条件を表形式で示す図。
【図8】本発明の実施形態における超電導応用限流装置の処理動作の一例を示すタイミングチャート。
【図9】本発明の実施形態における超電導応用限流装置の処理動作の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下図面により本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態における超電導応用限流装置の構成例を示す図である。
図1に示すように、本発明の実施形態における超電導応用源流装置は、上位系統から下位系統へ送電するための2つの送電系統である電力系統Aと電力系統Bにおいて、電力系統A側の上位母線3aと電力系統B側の上位母線3bとの間に超電導応用限流装置14を設けた形態である。
【0019】
電力系統Aは、上位系統1aと、上位母線3aと、これらを接続するバックインピ−ダンス2aと、第1送電線15a1と、第2送電線15a2と、下位母線16aと、この下位母線16aに連なる下位系統17aとを有する。図1に示した構成部分のうち「a」を含む符号が付される構成部分は電力系統A側の構成部分を意味する。
【0020】
第1送電線15a1は、上位母線3aと下位母線16aとを上位母線3a側の遮断器4a1と下位母線16a側の遮断器4a2とを介して接続する。第2送電線15a2は、上位母線3aと下位母線16aとを上位母線3a側の遮断器4a3と下位母線16a遮断器4a4とを介して接続する。
【0021】
また、電力系統Bは、上位系統1bと、上位母線3bと、これらを接続するバックインピ−ダンス2bと、第1送電線15b1と、第2送電線15b2と、下位母線16bと、この下位母線16bに連なる下位系統17bとを有する。図1に示した構成部分のうち「b」を含む符号が付される構成部分は電力系統B側の構成部分を意味する。
【0022】
第1送電線15b1は、上位母線3bと下位母線16bとを上位母線3b側の遮断器4b1と下位母線16b側の遮断器4b2を介して接続する。第2送電線15b2は、上位母線3b側の上位母線3bと下位母線16bとを上位母線3b側の遮断器4b3と下位母線16b側の遮断器4b4とを介して接続する。
超電導応用限流装置14は、上位母線3aと上位母線3bとを連系する装置である。この超電導応用限流装置14は、第1超電導限流器8aと第2超電導限流器8bとを有し、これらの並列回路が電力系統A側と電力系統B側とに接続されて主回路を構成する。
【0023】
さらに、超電導応用限流装置14は、図1に示すように、上位母線3aに接続される電流検出器5a、電圧検出器6a、上位母線3bに接続される電流検出器5b、電圧検出器6b、補助冷却装置9、および制御装置10を有する。
【0024】
第1超電導限流器8aの一端には第1超電導限流器用スイッチ7a1が直列に接続され、他端には第1超電導限流器用スイッチ7b1が直列に接続される。
第2超電導限流器8bの一端には第2超電導限流器用スイッチ7a2が直列に接続され、他端には第2超電導限流器用スイッチ7b2が直列に接続される。
【0025】
第1超電導限流器用スイッチ7a1および第2超電導限流器用スイッチ7a2は、電流検出器5aを介して電力系統A側の上位母線3aに接続される。第2超電導限流器用スイッチ7b1および第2超電導限流器用スイッチ7b2は、電流検出器5bを介して電力系統B側の上位母線3bに接続される。
【0026】
また、補助冷却装置9は、第1超電導限流器8aおよび第2超電導限流器8bの冷却を補助する。
また、制御装置10は、電流検出器5a,5bや電圧検出器6a,6bからの計測デ−タと遮断器4a1,4a3,4b1,4b3の開閉状態信号とを入力し、第1超電導限流器用スイッチ7a1,7b1と第2超電導限流器用スイッチ7a2,7b2への開閉信号と、補助冷却装置9への制御信号をそれぞれ出力する。
【0027】
図1に示すように、制御装置10は、電流/電圧取込部11a,11b、送電線遮断器状態受信部13a,13b、制御指令演算/出力部12を有する。
電流/電圧取込部11a,11bは、電流検出器5a,5bや電圧検出器6a,6bから入力された計測デ−タから電流実効値や電圧実効値を演算する。
送電線遮断器状態受信部13aは、電力系統A側の遮断器4a1,4a3の開閉状態信号を受信して開閉状態を確認し、この結果を制御指令演算/出力部12へ送る。送電線遮断器状態受信部13bは、電力系統B側の遮断器4b1,4b3の開閉状態信号を受信して開閉状態を確認し、この結果を制御指令演算/出力部12へ送る。
【0028】
制御指令演算/出力部12は、第1超電導限流器用スイッチ7a1,7b1と第2超電導限流器用スイッチ7a2,7b2の開閉状態を決定し、また、補助冷却装置9の出力指令を示す制御信号を出力する。
【0029】
図2は、本発明の実施形態における超電導応用限流装置の制御指令演算/出力部の構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、制御指令演算/出力部12は、電流値変換部12a1,12a2、電圧値変換部12b1,12b2、信号変換部12c1,12c2,12d1,12d2、電流値加工演算部12e、電圧値加工演算部12f、事故発生状態判別部12g,12h、補助冷却制御演算部12i、スイッチ開閉演算部12j、補助冷却装置制御信号送信部12k、スイッチ開閉情報受信部12L1,12L2,12L3,12L4、およびスイッチ開閉信号送信部12m1,12m2,12m3,12m4を有する。
【0030】
電流値変換部12a1は、電流/電圧取込部11aからの、電流検出器5aにより検出した電流値を入力する。電流値変換部12a2は、電流/電圧取込部11bからの、電流検出器5bにより検出した電流値を入力する。
また、電圧値変換部12b1は、電流/電圧取込部11aからの、電圧検出器6aにより検出した電圧値を入力する。電圧値変換部12b2は、電流/電圧取込部11bからの、電圧検出器6bにより検出した電圧値を入力する。
【0031】
電流値加工演算部12eは、電流値変換部12a1,12a2からの入力信号をもとに補助冷却制御演算部12iへの信号を出力する。電圧値加工演算部12fは、電圧値変換部12b1,12b2からの入力信号をもとに補助冷却制御演算部12iやスイッチ開閉演算部12jへの信号を出力する。
【0032】
信号変換部12c1は、送電線遮断器状態受信部13aからの、電力系統A側の遮断器4a1の開閉情報を入力する。信号変換部12c2は、送電線遮断器状態受信部13aからの、電力系統A側の遮断器4a3の開閉情報を入力する。
また、信号変換部12d1は、送電線遮断器状態受信部13bからの、電力系統B側の遮断器4b1の開閉情報を入力する。信号変換部12d2は、送電線遮断器状態受信部13bからの、電力系統B側の遮断器4b3の開閉情報を入力する。
【0033】
事故発生状態判別部12gは、信号変換部12c1,12c2や電圧値変換部12b1からの入力信号をもとにスイッチ開閉演算部12jへの信号を出力する。事故発生状態判別部12hは、信号変換部12d1,12d2や電圧値変換部12b2からの入力信号をもとにスイッチ開閉演算部12jへの信号を出力する。
【0034】
補助冷却装置制御信号送信部12kは、電流値加工演算部12eからの入力信号をもとに補助冷却装置9への制御信号を出力する。
スイッチ開閉情報受信部12L1は、第1超電導限流器用スイッチ7a1の開閉情報を入力して補助冷却装置制御信号送信部12kやスイッチ開閉演算部12jに出力する。スイッチ開閉情報受信部12L2は、第1超電導限流器用スイッチ7b1の開閉情報を入力して補助冷却装置制御信号送信部12kやスイッチ開閉演算部12jに出力する。
スイッチ開閉情報受信部12L3は、第2超電導限流器用スイッチ7a2の開閉情報を入力して補助冷却装置制御信号送信部12kやスイッチ開閉演算部12jに出力する。スイッチ開閉情報受信部12L4は、第2超電導限流器用スイッチ7b2の開閉情報を入力して補助冷却装置制御信号送信部12kやスイッチ開閉演算部12jに出力する。
【0035】
スイッチ開閉演算部12jは、スイッチ開閉情報受信部12L1,12L2,12L3,12L4、電圧値加工演算部12f、事故発生状態判別部12g,12hからの入力信号をもとにスイッチ開閉信号送信部12m1,12m2,12m3,12m4への制御信号を出力することで、超電導限流器のスイッチの開閉を制御する。
【0036】
また、スイッチ開閉信号送信部12m1は、第1超電導限流器用スイッチ7a1の開閉信号を送信する。スイッチ開閉信号送信部12m2は、第1超電導限流器用スイッチ7b1の開閉信号を送信する。
スイッチ開閉信号送信部12m3は、第2超電導限流器用スイッチ7a2の開閉信号を送信する。スイッチ開閉信号送信部12m4は、第2超電導限流器用スイッチ7b2の開閉信号を送信する。
【0037】
このように構成された超電導応用限流装置14の作用を以下に説明する。
定常時の超電導応用限流装置14の運用では、電力系統Aの上位母線3aと電力系統Bの上位母線3bとを連系するために、超電導状態にある第1超電導限流器8aあるいは第2超電導限流器8bのどちらか一方が使用されている。
例えば、第1超電導限流器8aが使用されている場合は、第1超電導限流器用スイッチ7a1と第1超電導限流器用スイッチ7b1がともに閉状態であり、第2超電導限流器用スイッチ7a2と第2超電導限流器用スイッチ7b2とのどちらか一方が閉状態となって他方が開状態となっている。
【0038】
この状態では、第1超電導限流器8aは超電導状態であるので抵抗が発生しておらず、下位系統17aと下位系統17bの需要状況に応じて、殆ど電力損失無しで上位母線3aと上位母線3bとの間で電力融通が行える。
【0039】
この状態において、制御装置10の電流/電圧取込部11aは、電流検出器5aで検出した電流である上位母線3aに接続する線の電流と、電圧検出器6aで検出した電圧である上位母線3aの電圧とを取り込む。電流/電圧取込部11aは、これら取り込んだ電流と電圧の実効値を算出して、これら算出した値を制御指令演算/出力部12内の電流値変換部12a1および電圧値変換部12b1にそれぞれ送る。
【0040】
同様に、制御装置10内の電流/電圧取込部11bは、電流検出器5bで検出した電流である上位母線3bに接続する線の電流と、電圧検出器6bで検出した電圧である上位母線3bの電圧とを取り込む。電流/電圧取込部11bは、これら取り込んだ電流と電圧の実効値を算出し、これら算出した値を制御指令演算/出力部12内の電流値変換部12a2および電圧値変換部12b2にそれぞれに送る。
【0041】
また、制御装置10内の送電線遮断器状態受信部13aは、電力系統A側の第1送電線15a1の遮断器4a1と第2送電線15a2の遮断器4a3の開閉情報を受信し、この受信した信号から開閉状態の判別および確認を行ない、この結果を制御指令演算/出力部12内の信号変換部12c1,12c2にそれぞれ送る。
【0042】
同様に、送電線遮断器状態受信部13bは、電力系統B側の第1送電線15b1の遮断器4b1と第2送電線15b2の遮断器4b3の開閉情報を受信し、この受信した信号から開閉状態の判別および確認を行ない、この結果を制御指令演算/出力部12内の信号変換部12d1,12d2にそれぞれに送る。
【0043】
制御指令演算/出力部12は、送られてきた電圧実効値、電流実効値および送電線の遮断器の開閉情報から、送電線の遮断器の開閉状態が定常時の運用状態と同じであり、かつ、電圧実効値と電流実効値が予め設定された範囲に入っていれば、待機状態となる。
【0044】
この場合、制御指令演算/出力部12は、第1超電導限流器用スイッチ7a1,7b1、第2超電導限流器用スイッチ7a2,7b2の開閉状態を現状維持とし、補助冷却装置9への制御信号は送らない。
【0045】
この状態において、例えば、電力系統A側の第2送電線15a2の上位母線3aの至近端Fで三相短絡事故が発生した場合には事故電流が流れ、上位母線3aの電圧が、ほぼ零の状態にまで低下する(ステップA1)。
【0046】
この事故電流は、電力系統Aと電力系統Bがそれぞれ、バックインピ−ダンス2a,2bの大きさによって分担する形となるが、バックインピ−ダンス2a,2bがともに小さい値であると事故電流は過大な値となり、第1超電導限流器8aの臨界電流を超えるため(ステップA2)、第1超電導限流器8aは超電導状態から常電導状態に転移して抵抗が発生する(ステップA3)。
【0047】
第1超電導限流器8aでの抵抗が発生すると、事故点である至近端Fから電力系統Bの上位系統1bまでの回路インピ−ダンスが増加することになり、事故電流が小さく抑えられる。
【0048】
このとき、第1超電導限流器8aは、常電導状態への転移に伴って発生した抵抗と流れる電流とによりジュ−ル熱が発生して温度が上昇する。
また、この発生した抵抗では電力損失が発生しており、この電力損失は電力系統Aあるいは電力系統Bが一時的に負担することになる。
【0049】
次に第2送電線15a2の主保護リレ−が動作し(ステップA4)、第2送電線15a2の遮断器4a3と第2送電線15a2の遮断器4a4とが開放され、事故が電力系統から除去される。
【0050】
事故が除去されると上位母線3aの電圧が元の状態に復帰して、下位系統17aに電力が送られるようになる(ステップA5)。
【0051】
図3は、本発明の実施形態における超電導応用限流装置に関わる電力系統の事故発生から事故除去までの電圧および電流の実効値波形を示す図である。
一方、事故発生から、第1超電導限流器8aがクエンチして、事故が除去されるまでの母線電圧Vaは、実効値で示すと図3に示したように零に近くなる。また、事故が除去されるまでの母線電圧Vbは、実効値で示すと図3に示したように一時的に低下した後、事故発生前の値まで回復する。また、超電導応用限流装置14を通過する電流の状態は、実効値で示すと図3に示したように、瞬間的に大幅に上昇した後、徐々に低下する。
【0052】
制御指令演算/出力部12は、これらの変化を捉えて制御演算を行い、超電導限流器用スイッチの開閉信号や補助冷却装置9への制御信号を出力する。その作用を、図2を用いて説明する。
【0053】
電圧/電流取込部11aからの入力信号(電流値)は、電流値変換部12a1でデ−タチェックの後に単位法による数値Iaに変換される。また、電圧/電流取込部11bからの入力信号(電流値)は、電流値変換部12a2でデ−タチェックの後に単位法による数値Ibに変換される。電流値変換部12a1,12a2での変換結果の信号は電流値加工演算部12eに送られる。
【0054】
また、電圧/電流取込部11aからの入力信号(電圧値)は、電圧値変換部12b1でデ−タチェックの後に単位法による数値Vaに変換される。また、電圧/電流取込部11bからの入力信号(電圧値)は、それぞれ電圧値変換部12b2でデ−タチェックの後に単位法による数値Vbに変換される。
電圧値変換部12b1での変換結果の信号は、電圧値加工演算部12fと事故発生状態判別部12gに送られる。また、電圧値変換部12b2での変換結果の信号は、電圧値加工演算部12fと事故発生状態判別部12hに送られる。
【0055】
送電線遮断器状態受信部13aからの遮断器4a1の開閉情報は信号変換部12c1で開状態を示す「0」または閉状態を示す「1」の信号に変換され、送電線遮断器状態受信部13aからの遮断器4a3の開閉情報は、信号変換部12c2で開状態を示す「0」または閉状態を示す「1」の信号に変換される。
【0056】
同様に、送電線遮断器状態受信部13bからの遮断器4b1の開閉情報は、信号変換部12d1で開状態を示す「0」または閉状態を示す「1」の信号に変換され、送電線遮断器状態受信部13bからの遮断器4b3の開閉情報は、信号変換部12d2で開状態を示す「0」または閉状態を示す「1」の信号に変換される。
【0057】
超電導限流器用スイッチ7a1,7b1,7a2,7b2の開閉情報は、スイッチ開閉情報受信部12L1,12L2,12L3,12L4で開状態を示す「0」または閉状態を示す「1」の信号に変換される。
【0058】
図4は、本発明の実施形態における超電導応用限流装置の制御指令演算/出力部による各種信号の出力にかかる条件を表形式で示す図である。
電流値変換部12a1の出力は、単位法で変換された電流実効値Iaであり、電流値変換部12a2の出力は、単位法で変換された電流実効値Ibである。これらの出力は電流値加工演算部12eに送られ、電流値加工演算部12eは、電流実効値IaとIbの差の絶対値ΔIを計算し、このΔIが予め設定された値ΔIsよりも小さい値であれば信号S1=0を出力し、ΔIがΔIs以上であれば信号S1=1を出力する。
【0059】
また、電流値加工演算部12eは、電流実効値IaとIbの両方が、予め設定した臨界電流値Ic未満であれば信号S2=0を出力し、IaとIbのどちらか一方がIc以上であれば信号S2=1を出力する。
【0060】
電圧値変換部12b1の出力は、単位法で変換された電圧実効値Vaであり、電圧値変換部12b2の出力は、単位法で変換された電圧実効値Vbである。電圧値加工演算部12fは、電圧実効値VaとVbの差の絶対値ΔVを計算し、このΔVが予め設定した値ΔVs未満であれば、信号S3=0を出力し、ΔVがΔVs以上であれば信号S3=1を出力する。
【0061】
事故発生状態判別部12gは、電圧値変換部12b1の出力である電圧実効値Vaが予め設定された値Vfよりも一旦小さくなり、信号変換部12c1,12c2どちらか一方からの出力信号が1から0へ変化したと同時に電圧実効値Vaの値がVfよりも大きくなる場合に信号S4=1を、それ以外のときは信号S4=0を出力する。
【0062】
同様に、事故発生状態判別部12hは、電圧値変換部12b2の出力である電圧実効値Vbが前述のように予め設定された値Vfよりも一旦小さくなり、信号変換部12dからの出力信号のどちらか一方が「1」から「0」へ変化したと同時にVbの値がVfよりも大きくなる場合は信号S5=1を、それ以外の場合は信号S5=0を出力する。
また、信号S1,S2,S3,S4,S5は一旦「1」となった場合は、この状態が後述するリセット信号の入力まで維持される。
【0063】
図5は、本発明の実施形態における超電導応用限流装置の制御指令演算/出力部による冷却補助のための信号の出力にかかる条件を表形式で示す図である。
図6は、本発明の実施形態における超電導応用限流装置の制御指令演算/出力部による超電導限流器の開閉信号の出力にかかる第1の条件を表形式で示す図である。
図7は、本発明の実施形態における超電導応用限流装置の制御指令演算/出力部による超電導限流器の開閉信号の出力にかかる第2の条件を表形式で示す図である。
図8は、本発明の実施形態における超電導応用限流装置の処理動作の一例を示すタイミングチャートである。
図9は、本発明の実施形態における超電導応用限流装置の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【0064】
次に、超電導応用限流装置14のスイッチ開閉演算部12jの処理について説明する。
スイッチ開閉演算部12jは、スイッチ開閉情報受信部12L1,12L2,12L3,12L4から第1超電導限流器用スイッチ7a1,7b1の開閉信号および第2超電導限流器用スイッチ7b1,7b2の開閉信号を受け取り、電圧値加工演算部12fから信号S3を受け取り、事故発生状態判別部12gから信号S4を受け取り、事故発生状態判別部12hから信号S5を受け取る。
この状態で、スイッチ開閉演算部12jは、信号S3=1かつ信号S4=1の場合は、電力系統Aの事故除去と判断する(ステップA6→A7)。
また、スイッチ開閉演算部12jは、信号S3=1かつ信号S5=1の場合は(ステップA6→A8)、電力系統Bの事故除去と判断する(ステップA9)。
【0065】
ステップA7もしくはA9による判断後、スイッチ開閉演算部12jは、第2超電導限流器用スイッチ7a2,7b2のどちらか一方が開状態である事を確認した場合には(ステップA10)、事故除去直後から、電力系統の上位母線3aの電圧および電流が過渡状態でなくなるまでの予め設定された時間Tdを経過した後に、第2超電導限流器用スイッチ7a2,7b2のうち開状態にあるスイッチへの閉信号をスイッチ開閉信号送信部12m1,12m2,12m3,12m4のうち該当のスイッチに対応する送信部へ送る(ステップA11)。このように事故除去直後からスイッチへの閉信号を送るまでの所定の時間を設けるのは、事故除去による電流や電圧の過渡状態におけるスイッチ閉路に伴う再度のクエンチを防止するためである。
【0066】
具体的には、スイッチ開閉演算部12jは、第2超電導限流器用スイッチ7a2が開状態にある場合は、このスイッチへの閉信号S7a2をスイッチ開閉信号送信部12m3へ送り、第2超電導限流器用スイッチ7b2が開状態にある場合は、このスイッチへの閉信号S7b2をスイッチ開閉信号送信部12m4へ送る。これにより、第2超電導限流器8bが投入される(ステップA12)。
【0067】
スイッチ開閉演算部12jは、予め設定された時間の経過後、第2超電導限流器用スイッチ7a2と7b2の両方が閉状態となったことを確認し、第1超電導限流器用スイッチ7a1,7b1が両方ともに閉状態であることを確認した場合に(ステップA13)、これらのスイッチ7a1と7b1の開閉回数をチェックし、開閉回数の少ない方を選択して(ステップA14)、この選択したスイッチへの開信号をスイッチ開閉信号送信部12m1,12m2,12m3,12m4のうち該当のスイッチに対応する送信部へ送る。
【0068】
具体的には、スイッチ開閉演算部12jは、第1超電導限流器用スイッチ7a1が開状態にある場合は、このスイッチへの閉信号S7a1をスイッチ開閉信号送信部12m1へ送り、第1超電導限流器用スイッチ7b1が開状態にある場合は、このスイッチへの閉信号S7b1をスイッチ開閉信号送信部12m2へ送る。これにより、前述のように選択したスイッチが開状態となり(ステップA15)、第1超電導限流器8aが解列される(ステップA16)。このように一方の超電導限流器の投入から他方の超電導限流器の解列までの所定の時間を設けるのは、2つの超電導限流器のうち一方が系統に接続される状態を常に保つためである。
【0069】
この解列と同時に、スイッチ開閉演算部12jは、リセット信号R3を電圧値加工演算部12fへ送り、リセット信号R4を事故発生状態判別部12gへ送り、リセット信号R5を事故発生状態判別部12hへ送る。
電圧値加工演算部12fは、リセット信号R3を入力すると、信号S3の状態が「1」である場合は「0」に戻す。事故発生状態判別部12gは、リセット信号R4を入力すると、信号S4の状態が「1」である場合は「0」に戻す。事故発生状態判別部12hは、リセット信号R5を入力すると、信号S5の状態が「1」である場合は「0」に戻す。
【0070】
一方、スイッチ開閉演算部12jは、信号S3=1かつ信号S4=1、あるいは信号S3=1かつ信号S5=1の場合で、第1超電導限流器用スイッチ7a1,7b1のどちらか一方が開状態である場合には、事故除去直後から事故除去直後から、電力系統の上位母線3aの電圧および電流が過渡状態でなくなるまでの予め設定された時間Tdを経過した後に、第1超電導限流器用スイッチへの閉信号をスイッチ開閉信号送信部12mへ送る。これにより、第1超電導限流器8aが投入される。
【0071】
スイッチ開閉演算部12jは、予め設定された時間の経過後、第1超電導限流器用スイッチ7a1と7b1の両方が閉状態となったことを確認し、第2超電導限流器用スイッチ7a2,7b2が両方ともに閉状態である場合に、スイッチ7a2と7b2の開閉回数をチェックし、開閉回数の少ない方を選択して、第2超電導限流器用スイッチへの開信号をスイッチ開閉信号送信部12mへ送る。これにより、前述のように選択したスイッチが開状態となり、第2超電導限流器8bが解列される。
【0072】
この解列と同時に、スイッチ開閉演算部12jは、リセット信号R3を電圧値加工演算部12fへ送り、リセット信号R4を事故発生状態判別部12gへ送り、リセット信号R5を事故発生状態判別部12hへ送る。
【0073】
次に、超電導応用限流装置14の補助冷却制御演算部12iの処理について説明する。
補助冷却制御演算部12iは、スイッチ開閉情報受信部12L1,12L2,12L3,12L4から第1超電導限流器用スイッチ7a1,7b1の開閉信号および第2超電導限流器用スイッチ7b1,7b2の開閉信号を受け取り、電流値加工演算部12eから信号S1,S2を受け取り、電圧値加工演算部12fから信号S3を受け取る。
【0074】
補助冷却制御演算部12iは、これらの信号を受け取った状態で、信号S1=0,信号S2=1,信号S3=1が成立し(ステップA17)、かつ第1超電導限流器用スイッチ7a1あるいは7b1が開状態の場合(ステップA18)、第1超電導限流器8aの冷却を補助するために、補助冷却装置9への制御信号C9を補助冷却装置制御信号送信部12kへ送り、同時にリセット信号R1を電流値加工演算部12eへ送る。電流値加工演算部12eは、リセット信号R1を入力すると、信号S1,S2の状態が「1」である場合は「0」に戻す。
【0075】
補助冷却装置制御信号送信部12kは、補助冷却制御演算部12iから受信した補助冷却装置9への制御信号C9を、補助冷却装置9に対応した動作/停止信号および制御信号に変換して、補助冷却装置9へ送信する。
これにより、補助冷却装置9が動作して(ステップA19)、第1超電導限流器8aが超電導状態に復帰することになる(ステップA20)。
【0076】
一方、補助冷却制御演算部12iは、前述のように信号S1=0,信号S2=1,信号S3=1が成立した状態で、第2超電導限流器用スイッチ7a2あるいは7b2が開状態の場合は、第2超電導限流器8bの冷却を補助するように、補助冷却装置9への制御信号C9を補助冷却装置制御信号送信部12kへ送り、同時にリセット信号R1を電流値加工演算部12eへ送る。これにより、補助冷却装置9が動作して、第2超電導限流器8bが超電導状態に復帰することになる。
【0077】
以上のように、本発明の実施形態における超電導応用限流装置では、何れかの電力系統の送電線、例えば電力系統Aの第2送電線15a2での事故が発生した場合で、一方の第1超電導限流器8aがクエンチして抵抗を発生した場合、この抵抗により過大な事故電流を抑制する。
【0078】
そして、事故送電線の遮断器4a3,4a4が開放されることにより事故が除去されると、他方の第2超電導限流器8bが並列に投入された後、第1超電導限流器8aが開放される。この開放とともに、第1超電導限流器8aは補助冷却装置9により高速に冷却され、超電導状態に復帰する。
【0079】
また、事故送電線の遮断器4a3,4a4が再閉路され、事故が継続していても、前述のように投入された第2超電導限流器8bがクエンチして抵抗を発生して、事故電流を抑制することができる。
【0080】
再度事故が発生した第2送電線15a2の遮断器4a3,4a4が開放されることにより事故が除去されると、前述のように開放していた第1超電導限流器8aが並列に投入されて第2超電導限流器8bが開放される。この開放とともに第2超電導限流器8bは補助冷却装置9により高速に冷却され、超電導状態に復帰する。
【0081】
つまり、事故が除去されて定常の運用状態に復帰した場合でも、超電導限流器の超電導状態が維持されているので、事故前の状態で運用が可能となる。また、一方の待機状態にある超電導限流器が超電導状態にあるので、次に発生する事故への対応も可能となる。
よって、事故発生直後の事故電流を抑制し、事故除去後の系統側の高速再閉路失敗時にも事故電流を抑制できる。さらに、その事故除去後に通常の運用状態に復帰して系統連系を継続できる超電導応用限流装置を提供することができる。
【0082】
また、事故除去直後から一定時間経過後に第2超電導限流器8bを投入することで、事故除去直後の過渡的な電流変化により、投入した第2超電導限流器8bの任意の相がクエンチする。これにより三相不平衡状態になることを防止することができ、また、次の事故に備えて第2超電導限流器8bの超電導状態に維持できる。
【0083】
なお、本実施形態において、第1超電導限流器8aと第2超電導限流器8bの超電導線の材料組成や長さを調整し、高速再閉路までの時間内で、常電導から超電導状態へ復帰させる巻線構造を得ることで、補助冷却装置9を省略した構成であっても、上述した効果を得ることが可能である。また、母線に接続される送電線の数が増えた場合でも、増えた分の遮断器の開閉情報を入力信号として取り込むことで対応可能である。
【0084】
なお、この発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を省略してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0085】
1a,1b…上位系統、2a,2b…バックインピ−ダンス、3a,3b…上位母線、4a1,4a2,4a3,4a4…電力系統A側の遮断器、4b1,4b2,4b3,4b4…電力系統B側の遮断器、5a,5b…電流検出器、6a,6b…電圧検出器、7a1,7b1…第1超電導限流器用スイッチ、7a2,7b2…第2超電導限流器用スイッチ、8a…第1超電導限流器、8b…第2超電導限流器、9…補助冷却装置、10…制御装置、11a,11b…電流/電圧取込部、12…制御指令演算/出力部、12a1,12a2…電流値変換部、12b1,12b2…電圧値変換部、12c1,12c2,12d1,12d2…信号変換部、12e…電流値加工演算部、12f…電圧値加工演算部、12g,12h…事故発生状態判別部、12i…補助冷却制御演算部、12j…スイッチ開閉演算部、12k…補助冷却装置制御信号送信部、12L1,12L2,12L3,12L4…スイッチ開閉情報受信部、12m1,12m2,12m3,12m4…スイッチ開閉信号送信部、13a,13b…送電線遮断器状態受信部、14…超電導応用限流装置、15a1,15a2,15b1,15b2…送電線、16a,16b…下位母線、17a,17b…下位系統。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二つの電力系統を連系するための第1の超電導限流器と、
前記1の超電導限流器に並列接続されて前記二つの電力系統を連系するための第2の超電導限流器と、
前記第1の超電導限流器における前記電力系統の一方の側および他方の側にそれぞれ直列接続されるスイッチと、
前記第2の超電導限流器における前記電力系統の一方の側および他方の側にそれぞれ直列接続されるスイッチと、
一定時間以上の間隔で発生する系統事故のそれぞれに対して、前記第1の超電導限流器あるいは第2の超電導限流器のうち一方の超電導限流器が超電導状態で前記電力系統に接続されて、当該事故の除去後に前記第1の超電導限流器あるいは第2の超電導限流器のうち他方の超電導限流器が超電導状態で前記電力系統に接続されて前記接続された一方の超電導限流器が前記電力系統から解列されるように、それぞれの前記超電導限流器に関わる前記スイッチを開閉する開閉制御手段とを備えたことを特徴とする超電導応用限流装置。
【請求項2】
前記開閉制御手段は、
前記第1の超電導限流器あるいは第2の超電導限流器のうち、前記系統事故の除去後、当該事故の発生により超電導状態から常電導状態に転移した超電導限流器のスイッチを開放することで当該超電導限流器を前記電力系統から解列し、
前記解列した超電導限流器を常電導状態から超電導状態に戻るまでの冷却を補助する冷却補助手段をさらに備えた
ことを特徴とする請求項1に記載の超電導応用限流装置。
【請求項3】
前記開閉制御手段は、
前記第1の超電導限流器あるいは第2の超電導限流器のうち一方が超電導状態で前記電力系統に接続される状態で系統事故が発生した場合に、当該事故の除去後の所定の時間が経過した後に、前記第1の超電導限流器あるいは第2の超電導限流器のうち他方が超電導状態で前記電力系統に接続されるように当該超電導限流器に関わる前記スイッチを閉じる
ことを特徴とする請求項1に記載の超電導応用限流装置。
【請求項4】
前記開閉制御手段は、
前記第1の超電導限流器あるいは第2の超電導限流器のうち一方が超電導状態で前記電力系統に接続される状態で系統事故が発生した場合に、当該事故の除去後の所定の時間が経過した後に、前記第1の超電導限流器あるいは第2の超電導限流器のうち他方が超電導状態で前記電力系統に接続されるように当該超電導限流器に関わる前記スイッチを閉じ、
さらに、前記閉じた後の所定時間経過後に前記一方の超電導限流器のスイッチを開放することで当該超電導限流器を前記電力系統から解列し、
前記系統事故が再度発生した場合に、前記一方の超電導限流器のスイッチを閉じることで当該超電導限流器を超電導状態で前記電力系統に再度接続し、
さらに、所定時間経過後に前記他方の超電導限流器のスイッチを開放することで当該超電導限流器を前記電力系統から再度解列する
ことを特徴とする請求項1に記載の超電導応用限流装置。
【請求項5】
二つの電力系統を連系するための第1の超電導限流器と、
前記1の超電導限流器に並列接続されて二つの電力系統を連系するための第2の超電導限流器と、
前記第1の超電導限流器における前記電力系統の一方の側および他方の側にそれぞれ直列接続されるスイッチと、
前記第2の超電導限流器における前記電力系統の一方の側および他方の側にそれぞれ直列接続されるスイッチとを備えた超電導応用限流装置に用いられる超電導応用限流方法であって、
前記超電導応用限流装置は、
一定時間以上の間隔で発生する系統事故のそれぞれに対して、前記第1の超電導限流器あるいは第2の超電導限流器のうち一方の超電導限流器が超電導状態で前記電力系統に接続されて、当該事故の除去後に前記第1の超電導限流器あるいは第2の超電導限流器のうち他方の超電導限流器が超電導状態で前記電力系統に接続されて前記接続された一方の超電導限流器が前記電力系統から解列されるように、前記第1の超電導限流器あるいは第2の超電導限流器のうち一方が超電導状態で前記電力系統に接続される状態で系統事故が発生した場合に、当該事故の除去後の所定の時間が経過した後に、前記第1の超電導限流器あるいは第2の超電導限流器のうち他方が超電導状態で前記電力系統に接続されるように当該超電導限流器に関わる前記スイッチを閉じる
ことを特徴とする超電導応用限流方法。
【請求項6】
前記超電導応用限流装置は、
前記第1の超電導限流器あるいは第2の超電導限流器のうち一方が超電導状態で前記電力系統に接続される状態で系統事故が発生した場合に、当該事故の除去後の所定の時間が経過した後に、前記第1の超電導限流器あるいは第2の超電導限流器のうち他方が超電導状態で前記電力系統に接続されるように当該超電導限流器に関わる前記スイッチを閉じ、
さらに、前記閉じた後の所定時間経過後に前記一方の超電導限流器のスイッチを開放することで当該超電導限流器を前記電力系統から解列し、
前記系統事故が再度発生した場合に、前記一方の超電導限流器のスイッチを閉じることで当該超電導限流器を超電導状態で前記電力系統に再度接続し、
さらに、所定時間経過後に前記他方の超電導限流器のスイッチを開放することで当該超電導限流器を前記電力系統から再度解列する
ことを特徴とする請求項5に記載の超電導応用限流方法。
【請求項7】
請求項5乃至請求項6の何れかに記載の超電導応用限流方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のプログラムを記録した、コンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項1】
二つの電力系統を連系するための第1の超電導限流器と、
前記1の超電導限流器に並列接続されて前記二つの電力系統を連系するための第2の超電導限流器と、
前記第1の超電導限流器における前記電力系統の一方の側および他方の側にそれぞれ直列接続されるスイッチと、
前記第2の超電導限流器における前記電力系統の一方の側および他方の側にそれぞれ直列接続されるスイッチと、
一定時間以上の間隔で発生する系統事故のそれぞれに対して、前記第1の超電導限流器あるいは第2の超電導限流器のうち一方の超電導限流器が超電導状態で前記電力系統に接続されて、当該事故の除去後に前記第1の超電導限流器あるいは第2の超電導限流器のうち他方の超電導限流器が超電導状態で前記電力系統に接続されて前記接続された一方の超電導限流器が前記電力系統から解列されるように、それぞれの前記超電導限流器に関わる前記スイッチを開閉する開閉制御手段とを備えたことを特徴とする超電導応用限流装置。
【請求項2】
前記開閉制御手段は、
前記第1の超電導限流器あるいは第2の超電導限流器のうち、前記系統事故の除去後、当該事故の発生により超電導状態から常電導状態に転移した超電導限流器のスイッチを開放することで当該超電導限流器を前記電力系統から解列し、
前記解列した超電導限流器を常電導状態から超電導状態に戻るまでの冷却を補助する冷却補助手段をさらに備えた
ことを特徴とする請求項1に記載の超電導応用限流装置。
【請求項3】
前記開閉制御手段は、
前記第1の超電導限流器あるいは第2の超電導限流器のうち一方が超電導状態で前記電力系統に接続される状態で系統事故が発生した場合に、当該事故の除去後の所定の時間が経過した後に、前記第1の超電導限流器あるいは第2の超電導限流器のうち他方が超電導状態で前記電力系統に接続されるように当該超電導限流器に関わる前記スイッチを閉じる
ことを特徴とする請求項1に記載の超電導応用限流装置。
【請求項4】
前記開閉制御手段は、
前記第1の超電導限流器あるいは第2の超電導限流器のうち一方が超電導状態で前記電力系統に接続される状態で系統事故が発生した場合に、当該事故の除去後の所定の時間が経過した後に、前記第1の超電導限流器あるいは第2の超電導限流器のうち他方が超電導状態で前記電力系統に接続されるように当該超電導限流器に関わる前記スイッチを閉じ、
さらに、前記閉じた後の所定時間経過後に前記一方の超電導限流器のスイッチを開放することで当該超電導限流器を前記電力系統から解列し、
前記系統事故が再度発生した場合に、前記一方の超電導限流器のスイッチを閉じることで当該超電導限流器を超電導状態で前記電力系統に再度接続し、
さらに、所定時間経過後に前記他方の超電導限流器のスイッチを開放することで当該超電導限流器を前記電力系統から再度解列する
ことを特徴とする請求項1に記載の超電導応用限流装置。
【請求項5】
二つの電力系統を連系するための第1の超電導限流器と、
前記1の超電導限流器に並列接続されて二つの電力系統を連系するための第2の超電導限流器と、
前記第1の超電導限流器における前記電力系統の一方の側および他方の側にそれぞれ直列接続されるスイッチと、
前記第2の超電導限流器における前記電力系統の一方の側および他方の側にそれぞれ直列接続されるスイッチとを備えた超電導応用限流装置に用いられる超電導応用限流方法であって、
前記超電導応用限流装置は、
一定時間以上の間隔で発生する系統事故のそれぞれに対して、前記第1の超電導限流器あるいは第2の超電導限流器のうち一方の超電導限流器が超電導状態で前記電力系統に接続されて、当該事故の除去後に前記第1の超電導限流器あるいは第2の超電導限流器のうち他方の超電導限流器が超電導状態で前記電力系統に接続されて前記接続された一方の超電導限流器が前記電力系統から解列されるように、前記第1の超電導限流器あるいは第2の超電導限流器のうち一方が超電導状態で前記電力系統に接続される状態で系統事故が発生した場合に、当該事故の除去後の所定の時間が経過した後に、前記第1の超電導限流器あるいは第2の超電導限流器のうち他方が超電導状態で前記電力系統に接続されるように当該超電導限流器に関わる前記スイッチを閉じる
ことを特徴とする超電導応用限流方法。
【請求項6】
前記超電導応用限流装置は、
前記第1の超電導限流器あるいは第2の超電導限流器のうち一方が超電導状態で前記電力系統に接続される状態で系統事故が発生した場合に、当該事故の除去後の所定の時間が経過した後に、前記第1の超電導限流器あるいは第2の超電導限流器のうち他方が超電導状態で前記電力系統に接続されるように当該超電導限流器に関わる前記スイッチを閉じ、
さらに、前記閉じた後の所定時間経過後に前記一方の超電導限流器のスイッチを開放することで当該超電導限流器を前記電力系統から解列し、
前記系統事故が再度発生した場合に、前記一方の超電導限流器のスイッチを閉じることで当該超電導限流器を超電導状態で前記電力系統に再度接続し、
さらに、所定時間経過後に前記他方の超電導限流器のスイッチを開放することで当該超電導限流器を前記電力系統から再度解列する
ことを特徴とする請求項5に記載の超電導応用限流方法。
【請求項7】
請求項5乃至請求項6の何れかに記載の超電導応用限流方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のプログラムを記録した、コンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2011−24338(P2011−24338A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−166858(P2009−166858)
【出願日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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