超電導機器用容器および超電導機器
【課題】超電導コイルなどの超電導体を収納する超電導機器用容器の壁面と、当該超電導機器用容器の壁面を貫通するように固定される金属部材との固定部における剥離やクラックの発生を抑制することが可能な超電導機器用容器および超電導機器を提供する。
【解決手段】超電導機器用容器は、超電導体を含む部材としての超電導コイルを内部に保持する超電導機器用容器であって、開口部を有する樹脂製の筐体部材としての真空断熱容器20と、開口部を貫通するように配置された金属部材としてのリード電極50と、開口部を覆うとともに真空断熱容器20とリード電極50とを接続し、熱応力緩和部としての屈曲部を有する接続部材63、65とを備える。
【解決手段】超電導機器用容器は、超電導体を含む部材としての超電導コイルを内部に保持する超電導機器用容器であって、開口部を有する樹脂製の筐体部材としての真空断熱容器20と、開口部を貫通するように配置された金属部材としてのリード電極50と、開口部を覆うとともに真空断熱容器20とリード電極50とを接続し、熱応力緩和部としての屈曲部を有する接続部材63、65とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超電導機器用容器および超電導機器に関するものであり、より特定的には、超電導線材と外部とを接続する接続構造を含む超電導機器用容器および当該超電導機器用容器を用いた超電導機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
たとえばNb3Sn(ニオブスズ)などの金属超電導体材料よりも、Bi(ビスマス)系やY(イットリウム)系の酸化物超電導体材料を用いた方が、臨界温度が高い超電導線材を形成することができることがわかっている。このため近年は特に酸化物超電導体材料を用いた超電導線材が、電磁石用や、送電用の線材として応用されることが期待される。このように近年の超電導線材は、従来の超電導線材に比べてかなり高温下にて使用することができる。しかしそれでも、液体窒素などの極低温環境下に当該超電導線材からなる超電導コイルなどを載置した上で、当該超電導コイルを外部負荷と電気的に接続することが必要となる。このため超電導コイルを液体窒素槽内に載置し、金属部材(たとえばリード電極)を用いて当該超電導コイルと外部負荷とを電気的に接続する構造が用いられる。また、上記超電導コイルを内部に保持する液体窒素槽には、冷媒である液体窒素を当該液体窒素槽へ供給するための配管が接続される。
【0003】
液体窒素(および超電導コイル)を収納する液体窒素槽への熱侵入を抑制し、当該液体窒素槽の内部が超電導コイルを機能させるために十分な温度に冷却された状態を保つためには、当該液体窒素槽が真空断熱容器であることが好ましい。特に輻射熱抑止フィルムを備えた真空断熱容器は、外部からの熱侵入を高効率に抑制できる。超電導コイルを収納する液体窒素槽(真空断熱容器)としてはFRP(繊維強化プラスチック)からなる収納容器が従来から広く用いられている。FRPは、十分な強度を有しており、かつ低コストであるため、収納容器の材料として従来から広く用いられている。FRPからなる真空断熱容器(収納容器)の内部に輻射熱抑止フィルムを備えることにより、当該超電導コイルを収納する液体窒素槽の、外部からの断熱を確保することができる。
【0004】
このようなFRP製の収納容器は、その外部や内部の壁面をなすFRP製板材に開口部を設け、当該開口部を貫通しながら交差するようにリード電極や金属製の配管などの金属部材の長手方向が配置される。このため従来はFRP製の収納容器と、当該収納容器を貫通する金属部材とを強固に固定するために、FRP製の収納容器の壁面に設けられた開口部の内壁に雌ねじ部を設け、当該開口部を貫通するように配置される金属部材の外周部に雄ねじ部を設けて両者を螺合するように固定させている。両者の固着をより強固なものとするために、雌ねじ部と雄ねじ部との間に接着剤を挟む場合もある。
【0005】
ただし、上述したFRP製の収納容器と金属部材との固定方法においては、FRP製板材の開口部から見て外側から接着剤を塗布し、金属部材の雄ねじ部を取り付ける。このため接着剤により雌ねじ部と雄ねじ部とが接着される部分(接着部)に機械的な応力や熱応力が加われば、接着部が剥離したり、接着部からクラックが発生することがある。このような剥離やクラックが起こると、真空断熱容器の外部から内部に大気が流入(リーク)することがある。このようなリークが起これば、超電導コイルの機能が損なわれる可能性がある。
【0006】
そこでたとえば特開2008−218861号公報(特許文献1)において、雄ねじが施された部材(雄ねじ部材)と雌ねじが施された部材(雌ねじ部材)とに鍔部を設け、当該鍔部の表面がFRP製の収納容器の板材(壁面)と同一面上に配置される構造を有するFRP製クライオスタットの製造方法が開示されている。特許文献1のFRP製クライオスタットでは、FRP製の収納容器の板材(壁面)には凹部を設けており、当該凹部に鍔部が嵌合される構造となっている。このような構成とすることにより、凹部の底面と鍔部の内面とが嵌合されて接着する接着面の全体に接着剤が満遍なく行き渡る。したがって雄ねじ部材と雌ねじ部材との接着をより強固にすることができる。つまり雄ねじ部材と雌ねじ部材との接着部に機械的な応力や熱応力が加わっても、接着部から剥離やクラックが発生することを抑制することができる。したがって超電導コイルの機能を確保することが可能となる。
【0007】
また、特許文献1に開示されるFRP製クライオスタットは、鍔部が設けられた雄ねじ部材と、雄ねじ部材と接合されたリード電極などの金属部材とが異種材料により構成されていたとしても、これらが雄ねじ部材に形成された継手挿入孔の1箇所のみで固着されている。このため、雄ねじ部材と金属部材との熱膨張の差(低温収縮率の差)による固着部への熱応力の集中を緩和することができる構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−218861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に開示されるFRP製クライオスタットでは、金属部材が接合された雄ねじ部材と、FRP製の収納容器との間の接着部に、当該雄ねじ部材や金属部材とFRP製の収納容器との熱膨張の差に起因する熱応力が直接的に作用するため、当該接着部から剥離やクラックが発生する可能性を完全には排除することができないという問題がある。さらに、FRPと金属部材や雄ねじ部材を構成する材料との熱膨張係数の差が大きいという点からも、上記のような接着部の剥離やクラックの発生の可能性は高くなる。
【0010】
本発明は、以上の問題に鑑みなされたものである。その目的は、超電導コイルなどの超電導体を収納する超電導機器用容器の壁面と、当該超電導機器用容器の壁面を貫通するように固定される金属部材との固定部における剥離やクラックの発生を抑制することが可能な超電導機器用容器および当該超電導機器用容器を用いた超電導機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る超電導機器用容器は、超電導体を含む部材を内部に保持する超電導機器用容器であって、開口部を有する樹脂製の筐体部材と、開口部を貫通するように配置された金属部材と、開口部を覆うとともに筐体部材と金属部材とを接続し、湾曲部を有する接続部材とを備える。上記樹脂製の筐体部材は、たとえばFRPにより構成されていてもよい。
【0012】
ここで、樹脂製の筐体部材と、上記金属部材とが接続部材により固定されている超電導機器用容器において、たとえば超電導体を冷却するために筐体部材内部の温度が液体窒素温度にまで冷却された場合を考える。このとき、当該筐体部材と金属部材との構成材料の熱膨張係数の差により、温度変化に起因する変形量(熱収縮量)が筐体部材と金属部材とで異なる。この場合、単に筐体部材と金属部材とを接着剤などで接続固定していると、筐体部材と接着剤、あるいは接着剤と金属部材との接続部から剥離やクラックが発生する可能性がある。しかし、筐体部材と金属部材とを接続する接続部材が、筐体部材と金属部材との熱収縮量の差を吸収する構造である湾曲部を有していれば、たとえば超電導機器用容器の温度が上昇(あるいは温度が低下)して膨張(収縮)が起こったとしても、筐体部材と金属部材との熱膨張(熱収縮)量の差は、当該湾曲部が変形することで吸収される。このため、筐体部材と金属部材との接続部において熱応力に起因する剥離やクラックなどの不具合の発生を抑制し、筐体部材と金属部材とを確実に接続することができる。
【0013】
本発明に係る超電導機器用容器は、超電導体を含む部材を内部に保持する超電導機器用容器であって、開口部を有する樹脂製の筐体部材と、開口部を貫通するように配置された金属部材と、開口部を覆うとともに筐体部材と金属部材とを接続し、かつ、金属からなり弾性変形可能な部分を含む接続部材とを備える。
【0014】
ここで、上記超電導機器用容器において、たとえば超電導体を冷却するために筐体部材内部の温度が液体窒素温度にまで冷却された場合を考える。このとき、当該筐体部材と金属部材との構成材料の熱膨張係数の差により、温度変化に起因する変形量(熱収縮量)が筐体部材と金属部材とで異なる。この場合、単に筐体部材と金属部材とを接着剤などで接続固定していると、筐体部材と接着剤、あるいは接着剤と金属部材との接続部から剥離やクラックが発生する可能性がある。しかし、本発明による超電導機器用容器では、筐体部材と金属部材とを接続する接続部材が、また筐体部材と金属部材との熱収縮量の差を吸収する構造である金属製の弾性変形可能な部分を有している。このため、たとえば超電導機器用容器の温度が上昇(あるいは温度が低下)して膨張(収縮)が起こったとしても、筐体部材と金属部材との熱膨張(熱収縮)量の差は、当該部分が弾性変形することで吸収される。このため、筐体部材と金属部材との接続部において熱応力に起因する剥離やクラックなどの不具合の発生を抑制し、筐体部材と金属部材とを確実に接続することができる。
【0015】
本発明に係る超電導機器は、上記超電導機器用容器と、当該超電導機器用容器の内部に配置された、超電導体を含む部材とを備える。この場合、金属部材が貫通した筐体部材の部分(開口部)でのクラックなどの発生を抑制し、信頼性の高い超電導機器を実現できる。
【0016】
たとえば以上に述べた本発明の超電導機器用容器の一例として、樹脂の一例としてのFRPからなる、超電導コイルを収納する筐体部材と、上記超電導コイルを外部負荷と電気的に接続するための金属部材であるリード電極と、筐体部材とリード電極とを接続する接続部材とを備える超電導機器用容器が考えられる。このリード電極は、筐体部材の壁面を構成するFRP製板材に設けた開口部を貫通するよう配置されている。ここでの筐体部材とリード電極とは、湾曲部を有する接続部材により接続されている。このため、超電導コイルを収納する筐体部材とリード電極との接続部において剥離やクラックが発生することが抑制される。したがって、筐体部材とリード電極とは確実に接続されるため、たとえば上記筐体部材の内部に、外部から大気が流入して超電導コイルの電気的特性に影響を及ぼすなどの現象の発生を抑制することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、樹脂製の筐体部材と金属部材とを接続する接続部材が、筐体部材と金属部材との熱膨張の差を吸収できる。このため、当該接続部材が、筐体部材と金属部材との間隙を、信頼性高く確実に接続することができる。そのため上述した樹脂製の、超電導体を含む部材を収納する筐体部材と、当該超電導体を含む部材を外部負荷と電気的に接続するためのリード電極などの金属部材とを確実に接続することで、筐体部材の内部に保持される超電導体を含む部材(たとえば超電導コイル)の電気的特性の劣化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の各実施の形態に係る超電導機器の概略図である。
【図2】図1中に丸点線で囲んだ領域Aの拡大図である。
【図3】図2に示した領域の斜視模式図である。
【図4】図1中に丸点線で囲んだ領域Cの拡大図である。
【図5】本発明の実施の形態2における、図1中に丸点線で囲んだ領域Aの拡大図である。
【図6】本発明の実施の形態3における、図1中に丸点線で囲んだ領域Aの拡大図である。
【図7】本発明の実施の形態4における、図1中に丸点線で囲んだ領域Aの拡大図である。
【図8】本発明の実施の形態5における、図1中に丸点線で囲んだ領域Aの拡大図である。
【図9】本発明の実施の形態6における、図1中に丸点線で囲んだ領域Aの拡大図である。
【図10】本発明の実施の形態7における、図1中に丸点線で囲んだ領域Aの拡大図である。
【図11】図10に示した樹脂製フランジ部の表面を示す平面模式図である。
【図12】図10に示した金属製フランジ部の表面を示す平面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の各実施の形態について説明する。なお、各実施の形態において、同一の機能を果たす要素に異なる参照符号を付す場合においても、その説明は、特に必要がなければ繰り返さない。
【0020】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る超電導機器は、本発明に従った超電導機器用容器と、当該超電導機器用容器の内部に保持された超電導コイル60とを備える。超電導機器用容器は、超電導コイル60を収納するためのFRP製の筐体部材と、上記超電導コイルを外部負荷と電気的に接続するための金属部材であるリード電極50と、筐体部材の内部に冷媒としての液体窒素を供給するための金属製の配管70とを備えている。具体的には図1に示すように、FRP製の板材で構成される筐体部材としての真空断熱容器20の内部すなわち容器内部空間10に超電導コイル60が配置されている。真空断熱容器20の容器内部空間10は、たとえば液体窒素などの冷媒で充填されている。このことにより、超電導コイル60の電磁石としての機能を可能としている。そして真空断熱容器20の一の側面を構成する板材には、金属部材であるリード電極50を貫通させるための開口部が形成されている。つまり真空断熱容器20のうち、図1の下側の壁面(板材)に設けた開口部を貫通するようにリード電極50が配置(接続)されている。
【0021】
また、図1において真空断熱容器20の上側の壁面(板材)にも開口部が形成されている。当該開口部を貫通するように、配管70が配置されている。配管70は、図示しない冷媒供給部と接続されている。当該配管70を介して、容器内部空間10に冷媒としての液体窒素が供給される。
【0022】
真空断熱容器20の外側にはさらに、内部に真空断熱槽30を備える真空断熱容器40が配置されている。つまり超電導コイル60は、二重の真空断熱容器により外部から保護されている。真空断熱槽30には、たとえば輻射熱抑止フィルムが配置されている。これは、真空断熱容器20の容器内部空間10に熱が侵入することを抑制し、当該容器内部空間10を極低温の状態に保つためである。
【0023】
そして、図1に示すように、真空断熱容器40の一の側面(真空断熱容器20の一の側面と対向する側面)を構成する板材についても、真空断熱容器20の一の側面を構成する板材と同様に、リード電極50を貫通させるための開口部が形成されている。つまりリード電極50はその一方の端部が容器内部空間10の超電導コイル60に接続されており、真空断熱容器20、真空断熱槽30、真空断熱容器40を貫通した上で、他方の端部がたとえば真空断熱容器40の外部に配置された(図示しない)外部負荷と接続される。
【0024】
図1のように真空断熱容器20の容器内部空間10が外部から二重に断熱されていても、真空断熱容器20の容器内部空間10には外部から熱が侵入することがある。この外部から侵入する熱(熱侵入)には、真空断熱容器20の表面から容器内部空間10に侵入する熱QCと、超電導コイル60に接続されたリード電極50を通って外部から容器内部空間10に侵入する熱QLと、配管70を介して外部から容器内部空間10に進入する熱QNとの3種類が存在する。
【0025】
たとえば、真空断熱槽30の真空度をP、真空断熱槽30のギャップ(図1における真空断熱槽30の幅すなわち真空断熱容器20の外側の表面と真空断熱容器40の内側の表面との距離)をh、真空断熱容器40の外側の表面積をSとすれば、QCはP2×S/hに比例する。またQLは、リード電極50に接続された外部負荷から超電導コイル60に向けて、リード電極50上を流れる電流Iの大きさに比例する。
【0026】
このようなQCやQLなどの熱侵入により、たとえば図1の丸点線Aで囲まれた領域、つまり真空断熱容器20を構成する一の板材とリード電極50とには、熱の出入りに起因する熱膨張や熱収縮が発生する。このことにより、真空断熱容器20とリード電極50とを接続する部材において熱応力が発生し、当該接続する部材と真空断熱容器20との接続部、あるいは当該接続する部材とリード電極50との接続部において剥離やクラックが発生する可能性がある。
【0027】
そこで本実施の形態1においては、このような剥離やクラックの発生を抑制するために図1の領域Aの部分(真空断熱容器20とリード電極50とが接続された部分)は図2および図3に示す態様で接続されている。具体的には図2に示すように、接続部材は、真空断熱容器20の板材と接続されており、リード電極50の延在方向に沿って延在する第1の接続部材63と、湾曲部を有し、湾曲部先端64にて接合材66によりリード電極50と接続される第2の接続部材65とが接合された構成となっている。
【0028】
第1の接続部材63において真空断熱容器20の開口部内部に挿入される部分には、ねじ山となる凹凸部34が形成されている。また、真空断熱容器20の開口部の側壁にも、上記凹凸部34に対応する(ねじ山となる)凹凸部が形成されている。第1の接続部材63は、上述した凹凸部34が形成された(開口部内部に挿入される)円筒部と、当該円筒部の端部に形成されたフランジ部とからなる。フランジ部は、円筒部の延在方向の中心軸から見て径方向の外周側へ広がるように形成されている。また、当該フランジ部の外周部では、上記第2の接続部材65と接続するための接合壁部が円周状に形成されている。
【0029】
また、第2の接続部材65は、図2および図3に示すように断面U字状の湾曲部が円環状につながった形状(ドーナツ状の形状)となっている。異なる観点から言えば、第2の接続部材65は、リード電極50の外周側面に内周部が接触する円環状と形状を有している。第2の接続部材65の外周部は、上記第1の接続部材63におけるフランジ部の外周に位置する接合壁部と接続されている。また、第2の接続部材65の内周部は、リード電極50の側壁と接合材66により接続されている。
【0030】
第1の接続部材63と真空断熱容器20とは、真空断熱容器20の開口部の内壁に形成された凹凸部に、第1の接続部材63の凹凸部34がねじ込まれることにより接続、固定されている。なお、図1の領域Bや、他のリード電極50と真空断熱容器20、40との接続部における接続構造は、上述した図2および図3に示した構造と同様である。
【0031】
第1の接続部材63と第2の接続部材65とは、たとえばFe−Ni合金からなることが好ましい。そして、第1の接続部材63と第2の接続部材65とを構成するFe−Ni合金の組成は同一であることが好ましい。このようにすれば、第1の接続部材63と第2の接続部材65との接合部における熱応力の発生を抑制することができる。また第1の接続部材63と第2の接続部材65とは、一般公知の接着剤やろう材など任意の方法を用いて接続されることが好ましい。
【0032】
図2および図3に示した超電導機器では、リード電極50と接続部材との間隙67のうち、特に第1の接続部材63とリード電極50との間隙(図7における左右方向の幅)を、第2の接続部材65の外周部とリード電極50との間隔よりも非常に狭くすることができる。このため、第2の接続部材65のサイズ(つまり湾曲部のサイズ)よりも第1の接続部材63の凹凸部34が形成された部分の幅を小さくできる。したがって、真空断熱容器20に形成される開口部の径を第2の接続部材65の幅より小さくできるので、リード電極50と真空断熱容器20との接続部分における密閉性をより高めることができる。この結果、より信頼性高くリード電極50と真空断熱容器20とを接続することができる。
【0033】
ここで、図2の左右方向における、真空断熱容器20とリード電極50との熱膨張の差の吸収は、第2の接続部材65により行なわれる。第2の接続部材65は、上述のように湾曲部を有し、リード電極50との間に間隙67を有する。リード電極50と第2の接続部材65との間の間隙67は、リード電極50と第1の接続部材63との間の間隙よりも広くなっている。つまり、第1の接続部材63を挿入固定する真空断熱容器20の開口部の径を小さくできる一方、第2の接続部材65に形成される湾曲部の曲率半径を大きくすることで、真空断熱容器20の板材とリード電極50との熱膨張の差を当該湾曲部の変形で十分吸収できる。
【0034】
このようにすれば、第1の接続部材63を挿入する開口部の径を小さくすることにより容器内部空間10の外部からの密閉性を高めるとともに、真空断熱容器20の板材とリード電極50との熱膨張の差を第2の接続部材65の湾曲部により吸収し、接続部分における剥離やクラックの発生をより確実に抑制することができる。したがって、超電導コイル60の機能をより確実に確保することができる。
【0035】
また図2の凹凸部34は、湾曲部と同様に弾性変形が可能である。つまり当該凹凸部34は伸縮により図2の上下方向に沿った当該凹凸部34の幅を自在に変化させることができる。このため接続部材は湾曲部により図2の左右方向に自由に変形可能であることに加え、凹凸部34により図2の上下方向にもある程度自由に変形可能となる。以上により凹凸部34は、リード電極50と真空断熱容器20との間の熱応力をさらに確実に吸収できる。
【0036】
またここで、リード電極50を構成する金属部材は、たとえば銅(Cu)であることが好ましい。リード電極50は電気信号を伝播する部材であるため、電気伝導性に優れ、かつ安価な材質として銅を採用することが好ましい。ただしリード電極50の材料としては、銅の代わりにたとえばアルミや銀を用いてもよい。
【0037】
ここで接続部材を構成する第1および第2の接続部材63、65を構成する材料の熱膨張係数は、真空断熱容器20を構成するFRPの熱膨張係数の2倍以下であることが好ましい。具体的には、接続部材を構成する材料はFe−Ni合金であることが好ましい。
【0038】
FRPの20℃における熱膨張係数(線膨張係数)は6×10−6(/℃)である。したがって接続部材の20℃における熱膨張係数は12×10−6(/℃)以下であることが好ましい。
【0039】
ここでFe−Ni合金の20℃における熱膨張係数(線膨張係数)は、鉄とニッケルとの組成(合金中に含有する割合)によって異なる。たとえば当該合金中のニッケルの含有率が約36質量%であり、鉄の含有率が約64質量%であるとき、当該合金の20℃における熱膨張係数は1×10−6(/℃)と最小になる。この場合よりもニッケルの含有率が増加した場合も減少した場合も、熱膨張係数は単調に増加する。具体的には当該合金中のニッケルの含有率がほぼ0質量%である場合、当該合金の20℃における熱膨張係数は10×10−6(/℃)である。また当該合金中のニッケルの含有率が70質量%であるとき、当該合金の20℃における熱膨張係数は12×10−6(/℃)である。このため、上述したように接続部材としてFe−Ni合金を用いる場合は、当該合金中のニッケルの含有率が70質量%以下であることが好ましい。なお、当該合金中のニッケルの含有率が約30質量%または約42質量%のとき、当該合金の20℃における熱膨張係数はFRPの20℃における熱膨張係数と同じ6×10−6(/℃)となる。したがって、接続部材の材料としてFe−Ni合金を用いる場合は、当該合金中のニッケルの含有率を約30質量%または約42質量%とすることが特に好ましい。つまり真空断熱容器20の20℃における熱膨張係数と接続部材の20℃における熱膨張係数との差が小さいほど、真空断熱容器20と接続部材12との熱膨張(熱収縮)の差が小さくなる。このため、真空断熱容器20とリード電極50とをより高品質に接続することができる。
【0040】
また、真空断熱容器40の内側の真空断熱槽30は、上述した真空断熱容器20(容器内部空間10)への熱侵入QCを抑制するために真空状態とした断熱槽である。したがって真空断熱槽30の内部についても、容器内部空間10と同様に、外部から大気などが流入しないことが好ましい。したがって真空断熱容器40とリード電極50とが接続される領域において図2や図3に示した接続部材により両者(真空断熱容器40とリード電極50)が信頼性高く接続されることが好ましい。したがって図1の丸点線Bで囲まれた領域は、図1の丸点線Aで囲まれた領域と同様の態様により、真空断熱容器40とリード電極50とが接続されることが好ましい。つまり図2に示す真空断熱容器20を真空断熱容器40に置き換えた態様にて接続されることが好ましい。
【0041】
次に、図4を参照して、図1の領域Cにおける配管70と真空断熱容器20との接続部の構造を説明する。図4を参照して、配管70と真空断熱容器20との接続部の構造は、基本的には図2および図3に示したリード電極50と真空断熱容器20との接続部の構造と同様である。すなわち、図4に示した接続部では、図2におけるリード電極50の代わりに冷媒を流通させるための配管70が開口部を貫通するとともに第2の接続部材65と接続されている。このような構成により、図2および図3に示した接続部と同様に、配管70と真空断熱容器20との接続部における剥離やクラックの発生を抑制することができる。また、図1の領域D、および図1における他の配管70と真空断熱容器20、40との接続部の構造は、基本的に図4に示した接続部の構造と同様である。
【0042】
(実施の形態2)
図5を参照して、本発明の実施の形態2に係る超電導機器を構成する超電導機器用容器のリード電極と真空断熱容器との接続部の構造を説明する。なお、図5は図2に対応する。
【0043】
本発明の実施の形態2に係る超電導機器は、基本的には図1〜図4に示した超電導機器と同様の構成を備えるが、リード電極50と真空断熱容器20、40との接続部の構造が図2および図3に示した構造とは異なっている。すなわち、図5に示すように、真空断熱容器20の板材とリード電極50とを接続する接続部材12は、FRP製の真空断熱容器20とリード電極50との熱膨張の差を吸収することができる弾性変形可能な構造(バネ状の形状)を有している。具体的には、接続部材12は、図2に示すように断面形状がJ字型の湾曲部が(リード電極50の外周側面を囲むように)円環状につながった形状を有している。そして当該湾曲部の先端にあたる湾曲部先端14は、リード電極50と接合材16にて接続されている。なお、リード電極50の延在方向側から見た接続部材12の形状は、リード電極50の外周側面に沿った円環状の形状を有している。
【0044】
このようにすれば、図1〜図4に示した超電導機器における第2の接続部材65(図2参照)と同様に、接続部材12の湾曲部が、真空断熱容器20(FRP)とリード電極50との熱膨張の差を吸収する。つまり、リード電極50と接続部材12との材質の違いによる熱膨張の差により、湾曲部先端14の接合材16に生じた熱応力は、接続部材12を伝って真空断熱容器20の方へ伝播しようとする。しかし、接続部材12の湾曲部が、熱応力の伝播を遮断する(つまりこの湾曲部が変形することで当該熱応力を吸収する)。このため、当該熱応力が真空断熱容器20に到達する割合は少なくなる。したがって、接続部材12が湾曲部を有することにより、真空断熱容器20と接続部材12、リード電極50との間の熱膨張の差が吸収される。このためリード電極50および真空断熱容器20と接続部材との接続部における剥離やクラックなどが起こる可能性を小さくすることができる。したがって、たとえば上記クラックなどを介して大気が容器内部空間10に流入し、超電導コイル60の電気的特性を劣化させる可能性を低下させることができる。
【0045】
また、図5に示すように、リード電極50と真空断熱容器20との間には、真空断熱容器20の開口部の幅をリード電極50の幅(リード電極50の延在方向に交差する断面の直径)よりも広く設けているために間隙17が存在する。当該間隙17は接続部材12の湾曲部が延在する領域として用いられる。このため、接続部材12の湾曲部は十分な曲率半径を有することになり、当該湾曲部が弾性変形することで真空断熱容器20とリード電極50との熱膨張の差を容易に吸収できる。
【0046】
ここで接合材16によるリード電極50と接続部材12との接続方法としては、一般公知の溶接法やろう付け(ろう材)を用いることが好ましい。また、図5において接続部材12と真空断熱容器20とが接続される部分は、一般公知の接着剤やろう材などを用いた任意の方法を用いて接続することができる。
【0047】
以上のように、湾曲部を有し、FRPとの熱膨張係数の差が小さい材質からなる接続部材12は、リード電極50と真空断熱容器20との熱膨張の差を吸収する。このため接続部材12は、図1〜図3に示した第1および第2の接続部材63、65と同様に、リード電極50と真空断熱容器20とを信頼性高く確実に接続することができる。つまり外部から容器内部空間10へのリークを抑制し、容器内部空間10の超電導コイル60の機能を高めることができる。
【0048】
容器内部空間10の超電導コイル60を高性能に機能させるため、上記接続部材12は、図1の真空断熱容器20とリード電極50との接続部分である領域Aに用いることが好ましい。しかしその外側の、真空断熱容器40とリード電極50との接続部分、つまり図1の丸点線で囲まれた領域Bについても、丸点線で囲まれた領域Aと同様に接続部材12を用いて接続してもよい。さらに、図1〜図4に示した超電導機器と同様に、図5に示した接続部材12を、図1の領域Cなど(つまり配管70と真空断熱容器20、40との接続部)に適用してもよい。
【0049】
本発明の実施の形態2は、以上に述べた各点についてのみ、本発明の実施の形態1と異なる。すなわち、本発明の実施の形態2について、上述しなかった構成や条件、手順や効果などは、全て本発明の実施の形態1に順ずる。
【0050】
(実施の形態3)
図6を参照して、本発明の実施の形態3に係る超電導機器を構成する超電導機器用容器のリード電極と真空断熱容器との接続部の構造を説明する。なお、図6は図2に対応する。
【0051】
本発明の実施の形態3に係る超電導機器は、基本的には図1〜図4に示した超電導機器と同様の構成を備えるが、リード電極50と真空断熱容器20、40との接続部の構造が図2および図3に示した構造とは異なっている。すなわち、図6に示すように、リード電極50と真空断熱容器20とを接続する接続部材22は、図5に示した接続部材12と同様に平面形状が円環状であり、断面形状がU字状である湾曲部を有しているが、当該湾曲部の外周端部から外側へ放射状に延びるフランジ部28をさらに有している。接続部材22は、板材の延在する方向(図6の左右方向)に延在する領域において固定用部材21により真空断熱容器20の板材と固定されている。たとえば固定用部材21を用いて、接続部材22の外周部に形成されたフランジ部28を、図6の下側から上側へ、真空断熱容器20の板材に向けて押さえ付けることにより、接続部材22のフランジ部28が真空断熱容器20へ固定される。固定用部材21の平面形状はたとえば円環状であってもよい。そして、固定用部材21は真空断熱容器20に対して従来周知の方法により固定することができる。たとえば、固定用部材21を真空断熱容器20に対してボルトや接着剤などの固着部材により固定してもよい。他方、接続部材22とリード電極50とは、実施の形態1(図2参照)と同様に湾曲部先端24にて、接合材26により接続されている。
【0052】
接続部材22が配置される領域では、リード電極50を貫通させるために真空断熱容器20の板材に開口部が設けられている。また当該開口部の幅(直径)はリード電極50の幅(直径)よりも大きいため、リード電極50と真空断熱容器20との間に間隙27が存在する。しかし図6に示すように、間隙27のうち特にリード電極50と真空断熱容器20とに挟まれた領域の幅(真空断熱容器20に形成された開口部の側壁とリード電極50の表面との間の距離)は、接続部材22の湾曲部の(図6における左右方向での)幅よりも狭い。具体的にはリード電極50と真空断熱容器20とに挟まれた間隙27の幅は、接続部材22の湾曲部の幅のおよそ半分となっている。
【0053】
つまり、図6に示した態様とすることにより、真空断熱容器20に形成される開口部の直径を、図5に示した当該開口部の直径より小さくすることができる。異なる観点から言えば、接続部材22の湾曲部の(図6の左右方向における)幅のおよそ半分(図6における外周側の半分)は、真空断熱容器20の開口部の周囲の領域と平面的に重なっている。このような接続態様を取ることにより、図6に示した構造では真空断熱容器20に形成する開口部(リード電極50が挿通する開口部)の幅(直径)を、接続部材22のサイズとは独立して小さく設定することができる。そして、このように買い凹部の幅を狭くすることにより、リード電極50と真空断熱容器20との接続部における密閉性をより高めることができる。また、図6に示した接続部材22は、図1の領域C、Dにおける配管70と真空断熱容器20、40との接続部に適用してもよい。
【0054】
本発明の実施の形態3は、以上に述べた各点についてのみ、本発明の実施の形態2と異なる。すなわち、本発明の実施の形態2について、上述しなかった構成や条件、手順や効果などは、全て本発明の実施の形態2に順ずる。
【0055】
(実施の形態4)
図7を参照して、本発明の実施の形態4に係る超電導機器を構成する超電導機器用容器のリード電極と真空断熱容器との接続部の構造を説明する。なお、図7は図2に対応する。
【0056】
本発明の実施の形態4に係る超電導機器は、基本的には図5に示した接続部材を含む超電導機器と同様の構成を備えるが、リード電極50と真空断熱容器20、40との接続部の構造が図5に示した構造とは異なっている。すなわち、図7に示すように、接続部材32と真空断熱容器20とが接続される部分において、接続部材32、真空断熱容器20の板材ともに凹凸部34が形成されている。
【0057】
たとえば図5においては接続部材12と真空断熱容器20とが接続される部分の断面形状は直線状となっている。一方、図7に示した接続部材は、当該接続される部分の断面形状が直線状ではなく凹凸部34を有する点においてのみ、図5に示した実施の形態2と異なる。つまり、接続部材32のねじ山である凹凸部34が、真空断熱容器20の開口部の内壁に形成された、上記凹凸部34に対応する凹凸部にねじ込まれることにより、接続部材32が真空断熱容器20に接続されている。そして、図7に示した接続部の構成は、開口部のその他においては上述した本発明の実施の形態2と同様であり、接続部材32の湾曲部は接合材36によりリード電極50と接続されている。接続部材32は真空断熱容器20の板材とリード電極50との間隙37を埋めるように配置されている。
【0058】
ここで、凹凸部34は、上述のように接続部材32を真空断熱容器20に接続固定するためのねじ部として作用する。また、凹凸部34は接続部材32の湾曲部と同様に、板材とリード電極50との熱膨張の差を吸収する弾性変形可能なバネ状の構造としても作用する。つまり、たとえばリード電極50と接続部材32との接合材36に生じた熱応力は接続部材32の湾曲部のみならず、凹凸部34によっても、真空断熱容器20の方へ伝播することを抑制される。したがって、接続部材32が湾曲部に加えて凹凸部34を有することにより、真空断熱容器20と接続部材32、リード電極50との間の熱膨張の差がさらに吸収される。このためリード電極50と真空断熱容器20との接続部における剥離やクラックなどが起こる可能性をさらに小さくすることができる。したがって、たとえば大気が容器内部空間10に流入し、超電導コイル60の電気的特性を劣化させる可能性をさらに低下させることができる。
【0059】
また図7の凹凸部34は、図2に示した凹凸部34と同様に、湾曲部と同様に弾性変形が可能である。つまり当該凹凸部34は伸縮により図7の上下方向に沿った当該凹凸部34の幅を自在に変化させることができる。このため接続部材32は湾曲部により図7の左右方向に自由に変形可能であることに加え、凹凸部34により図7の上下方向にもある程度自由に変形可能となる。以上により凹凸部34は、リード電極50と真空断熱容器20との間の熱応力をさらに確実に吸収できる。
【0060】
なお凹凸部34におけるリード電極50と真空断熱容器20との間は、実施の形態1の図2におけるリード電極50と真空断熱容器20との間と同様に、一般公知の接着剤やろう材など任意の方法を用いて接続することができる。さらに、図1〜図4に示した超電導機器と同様に、図7に示した接続部材32を、図1の領域Cなど(つまり配管70と真空断熱容器20、40との接続部)に適用してもよい。
【0061】
本発明の実施の形態4は、以上に述べた各点についてのみ、本発明の実施の形態2と異なる。すなわち、本発明の実施の形態4について、上述しなかった構成や条件、手順や効果などは、全て本発明の実施の形態2に順ずる。
【0062】
(実施の形態5)
図8を参照して、本発明の実施の形態5に係る超電導機器を構成する超電導機器用容器のリード電極50と真空断熱容器との接続部の構造を説明する。なお、図8は図2に対応する。
【0063】
本発明の実施の形態5に係る超電導機器は、基本的には図1〜図4に示した超電導機器と同様の構成を備えるが、リード電極50と真空断熱容器20、40との接続部の構造が図2および図3に示した構造とは異なっている。すなわち、図8に示すように、接続部材42には図8における上下側の計2箇所に湾曲部が存在する。このため接続部材42は間隙47を囲むリング状の断面形状となっている。なお、接続部材42の平面形状(リード電極50の延在方向側から見た形状)は、リード電極50の外周側面に沿った円環状である。
【0064】
たとえば図5に示す実施の形態2の接続部材12では、湾曲部は下側1箇所のみに存在する。接続部材12は当該湾曲部の先端部である湾曲部先端14において接合材16によりリード電極50と接続されている。これと同様に図8の接続部材42は、図5の湾曲部先端14に相当する領域である接続領域44において、接合材46によりリード電極50と接続されている。しかしたとえば上側の湾曲部の先端に当たる上側湾曲部接続領域48において接合材46によりリード電極50と接続部材42とを接続してもよい。あるいは上側と下側との両方において、接合材46によりリード電極50と接続部材42とを接続してもよい。
【0065】
接続部材42が湾曲部を図8の上下2箇所に有することにより、当該接続部材42によってリード電極50と真空断熱容器20との熱膨張係数の差に起因する熱応力をより確実に吸収することができる。
【0066】
なお、図8においても接続部材42と真空断熱容器20とが接続される部分については、一般公知の接着剤やろう材など任意の方法を用いて接続することができる。またたとえば図7の実施の形態4と同様に、図8においても接続部材42と真空断熱容器20とが接続される部分に凹凸部を設けてもよい。このようにすれば、上述したように当該凹凸部においてリード電極50と真空断熱容器20との熱膨張の差をより確実に吸収できる。さらに、図1〜図4に示した超電導機器と同様に、図8に示した接続部材42を、図1の領域Cなど(つまり配管70と真空断熱容器20、40との接続部)に適用してもよい。
【0067】
本発明の実施の形態5は、以上に述べた各点についてのみ、本発明の実施の形態1と異なる。すなわち、本発明の実施の形態5について、上述しなかった構成や条件、手順や効果などは、全て本発明の実施の形態1に順ずる。
【0068】
(実施の形態6)
図9を参照して、本発明の実施の形態6に係る超電導機器を構成する超電導機器用容器のリード電極50と真空断熱容器との接続部の構造を説明する。なお、図9は図2に対応する。
【0069】
本発明の実施の形態6に係る超電導機器は、基本的には図1〜図4に示した超電導機器と同様の構成を備えるが、リード電極50と真空断熱容器20、40との接続部の構造が図2および図3に示した構造とは異なっている。すなわち、図9に示すように、リード電極50と真空断熱容器20の板材とを接続する接続部材52が、図9の左右方向に延在し、図9の上下方向に凸または凹となった部分を含む凹凸形状部を有する。接続部材52の平面形状(リード電極50の延在方向側から見た形状)は、リード電極50の外周側面に沿った円環状の形状である。図9に示すように、接続部材52はバネ状の形状である凹凸形状部を含むため、図9の左右方向に幅を自在に変化(伸縮)させることができる。このように接続部材52がバネ状の形状を有することにより、上述した各実施の形態の接続部材と同様に、真空断熱容器20の板材とリード電極50との熱膨張の差を吸収することができる。
【0070】
なお、接続部材52とリード電極50とは、図9の下側において接合材56により接続されている。しかし図9の上側の上側接続領域58においてリード電極50と接続部材52とが接続されていてもよい。なお、リード電極50と真空断熱容器20の板材との間の間隙(接続部材52が配置される開口部の幅)を極力小さくする方が、リード電極50と真空断熱容器20の間におけるリークの発生を抑制する観点上、より好ましい。
【0071】
また図9においても接続部材52と真空断熱容器20とが接続される部分については、一般公知の接着剤やろう材など任意の方法を用いて接続することができる。さらに、図1〜図4に示した超電導機器と同様に、図9に示した接続部材52を、図1の領域Cなど(つまり配管70と真空断熱容器20、40との接続部)に適用してもよい。
【0072】
本発明の実施の形態6は、以上に述べた各点についてのみ、本発明の実施の形態1と異なる。すなわち、本発明の実施の形態6について、上述しなかった構成や条件、手順や効果などは、全て本発明の実施の形態1に順ずる。
【0073】
(実施の形態7)
図10〜図12を参照して、本発明の実施の形態6に係る超電導機器を構成する超電導機器用容器のリード電極50と真空断熱容器との接続部の構造を説明する。なお、図10は図2に対応する。
【0074】
本発明の実施の形態7に係る超電導機器は、基本的には図1〜図4に示した超電導機器と同様の構成を備えるが、リード電極50と真空断熱容器20、40との接続部の構造が図2および図3に示した構造とは異なっている。すなわち、図10に示すように、FRP製の真空断熱容器20を貫通するように開口部が形成されている。当該開口部は、真空断熱容器20の外周側に位置する相対的に幅の広い大径部と、真空断熱容器20の内周側に位置し当該大径部より幅の小さい小径部とからなる。小径部の幅(直径)はリード電極50の幅(直径)と実質的に同じである。また、大径部には、FRPからなる筐体側固定部73が挿入固定されている。筐体側固定部73と大径部内壁との接合方法は、接着剤などの任意の接着部材を用いることができる。
【0075】
筐体側固定部73は、開口部における大径部の内部から真空断熱容器20の外周面上にまで伸びるとともに、真空断熱容器20の外周面上において開口部から外側へ広がるような樹脂製フランジ部を含む。また、筐体側固定部73の中央部には貫通穴74が形成されている。貫通穴74は上記開口部の小径部と連なるように形成されている。筐体側固定部73における貫通穴74の内壁には、ネジ構造である凹凸部34が形成されている。また、リード電極50の側面には上記凹凸部34に対応するネジ構造部78が形成されている。リード電極50のネジ構造部78が筐体側固定部73の貫通穴74における凹凸部34にねじ込まれることにより、リード電極50と筐体側固定部73とは接続される。このようなネジ構造部78が形成されることで、リード電極50のトータルの体積が大きくなるので、リード電極50の全体としての熱容量を大きくできる。また、リード電極50と筐体側固定部73との接触面積を、当該ネジ構造部78および凹凸部34が形成されていない場合より大きくできるので、リード電極50と筐体側固定部73との間の熱伝導をよりスムーズに行なうことができる。
【0076】
また、リード電極50には、上記筐体側固定部73の樹脂製フランジ部と対向して配置される金属製フランジ部を含む金属部材側固定部75が固定されている。金属部材側固定部75は、その平面形状が円形状であって、中央部にリード電極50を挿入するための穴が形成されている。この穴にリード電極50を挿入した状態で、リード電極50の側面と金属部材側固定部75(より具体的には金属部材側固定部75における上記穴の内壁または当該穴に隣接する表面部分)とがろう材などの接合材66により気密に接続固定されている。なお、接合材66の材料としては、たとえば銀(Ag)、銅(Cu),亜鉛(Zn)などの元素を含む銀ロウなどを用いることができる。
【0077】
金属部材側固定部75において上記穴に隣接する領域は、図10に示すように断面が湾曲した湾曲部となっている。また、異なる観点から言えば、当該穴に隣接する領域は、弾性変形可能な部分となっている。このような湾曲部(あるいは弾性変形可能な部分)が形成されることで、真空断熱容器20とリード電極50との熱膨張(熱収縮)量の差を吸収することができる。また、当該湾曲部(弾性変形可能な部分)は、リード電極50の側面に対して傾斜した方向から接触するので、接合材66によるリード電極50と金属部材側固定部75との接続をより容易に行なうことができる。
【0078】
金属部材側固定部75が接続されたリード電極50を、真空断熱容器20に固定された筐体側固定部73の貫通穴74に挿入固定する。このとき、金属部材側固定部75の金属製フランジ部は筐体側固定部73の樹脂製フランジ部と対向して配置される。そして、金属製フランジ部と樹脂製フランジ部とは、接着部材76により接続固定される。なお、接着部材76としては、エポキシ系接着剤などを用いることができる。また、接着部材76を用いた金属製フランジ部と樹脂製フランジ部との接合方法としては、たとえば樹脂製フランジ部の表面72上に予め接着部材76を配置(たとえば塗布)し、その後当該接着部材76上に金属製フランジ部が重なるように、金属部材側固定部75が接続されたリード電極50を貫通穴74の内部に挿入する、といった方法を用いてもよい。あるいは、液状の接着部材76を保持した容器の内部において、接着部材76に金属製フランジ部と樹脂製フランジ部とを浸漬した状態で、当該金属製フランジ部と樹脂製フランジ部とを接着してもよい。
【0079】
図11に示すように、筐体側固定部73の樹脂製フランジ部における接着部材76と接合される表面72には、貫通穴74を中心とした円周状に(たとえば同心円状に)線状凹凸部79が形成されている。また、図12に示すように、金属部材側固定部75の金属製フランジ部における接着部材76と接合される表面82にも、リード電極50を中心とした円周状に(たとえば同心円状に)線状凹凸部79が形成されている。このような線状凹凸部79が形成されることで、上記表面72、82の表面積を大きくすることができる。このため、金属製フランジ部および樹脂製フランジ部と接着部材76との接合界面の面積を大きくできるので、当該接着部材76による金属性フランジ部と樹脂製フランジ部との接着強度を向上させることができる。特に、当該接着部材76が樹脂製の接着剤である場合には、金属製フランジ部と接着部材76との接着強度は、樹脂製フランジ部と接着部材76との接着強度より小さくなる可能性がある。そのため、少なくとも金属製フランジ部の表面82に上記線状凹凸部79を形成することが好ましい。また、このような線状凹凸部79は、貫通穴74またはリード電極50を中心として周方向に延びるように形成されることが好ましい。このようにすれば、貫通穴74またはリード電極50から、金属製フランジ部(または樹脂製フランジ部)の外周までのリークパスの長さ(樹脂製フランジ部または金属製フランジ部の表面72、82と接着部材76との接合界面の、径方向での沿面距離)を効果的に長くすることができる。また、線状凹凸部79は、完全な同心円状であってもよいが、図11や図12に示すように周方向において円周を分断した円弧状の平面形状であってもよい。なお、線状凹凸部79は、金属製フランジ部(または樹脂製フランジ部)の内周側から外周側まで(径方向に)延びるように形成されることは好ましくない。すなわち、線状凹凸部79は、貫通穴74またはリード電極50を中心として周方向のみに延びるように形成されることが好ましい。
【0080】
ここで、筐体側固定部73の材料としては、真空断熱容器20を構成する材料(たとえばFRP)と同じ材料を用いることが好ましい。また、金属部材側固定部75の材料は、上記筐体側固定部73を構成する材料と熱膨張係数が近い材料を用いることが好ましい。たとえば、金属部材側固定部75の材料の熱膨張係数と、筐体側固定部73を構成する材料の熱膨張係数との差の絶対値が、筐体側固定部73を構成する材料の熱膨張係数の±10%以内、より好ましくは±5%以内の範囲に入るように、金属部材側固定部75の材料を選択することが好ましい。具体的には、筐体側固定部73の材料としてFRPを用いる場合、金属部材側固定部75の材料としてコバールを用いることができる。このようにすれば、特にクラックなどの発生が懸念される金属製フランジ部と樹脂製フランジ部との接合界面(接着部材76による接合部)について、金属製フランジ部と樹脂製フランジ部との熱膨張係数の差を十分小さくできるので、当該接合界面でのクラックの発生確率を低減できる。
【0081】
金属製フランジ部の厚さは、0.01mm以上5mm以下、より好ましくは0.1mm以上1mm以下とすることができる。このような数値範囲としたのは、比較的容易に入手できる板材、フィルム材の厚さがこの程度であるためである。また、樹脂製フランジ部の厚さは、0.01mm以上5mm以下、より好ましくは0.2mm以上2mm以下とすることができる。このような数値範囲としたのは、比較的容易に入手できる板材、フィルム材の厚さがこの程度であるためである。
【0082】
また、金属部材側固定部75の金属製フランジ部の外径(あるいは筐体側固定部73の樹脂製フランジ部の外径)は、リード電極の外径、許容されるスペース、冷媒の温度等から、対向したフランジ接着部の熱応力が接着強度を超えないように、上記フランジ厚さと併せて設計することができる。
【0083】
そして、金属製フランジ部と樹脂製フランジ部とを、図10に示すように接着部材76により接合することで、当該接合面が真空断熱容器20の内部を真空断熱容器20の外部から隔離する封止部の一部となる。このような金属製フランジ部と樹脂製フランジ部とを接着部材76で接合した構成とすることで、真空断熱容器の内部と外気との温度差に起因する熱応力が金属製フランジ部と樹脂製フランジ部との接合部に発生した場合に、当該金属製フランジ部と樹脂製フランジ部とが(たとえばバイメタルのように)ある程度弾性変形することで、上記熱応力を吸収することができる。
【0084】
また、金属製フランジ部と樹脂製フランジ部との外周部については、図10に示すように端面をテーパ加工する(すなわち、金属製フランジ部および樹脂製フランジ部の端部について、その厚みが外周端に向かうにつれて薄くなるように、表面72、82に対して傾斜した端面を形成する)ことが好ましい。このようにすれば、上述した熱応力により当該端部が破損するといった問題の発生を抑制できる。
【0085】
また、図10〜図12に示した真空断熱容器20とリード電極50との接続部の構造では、真空封止の機能を担う封止部(金属製フランジ部と樹脂製フランジ部との接合部)と、リード電極50を真空断熱容器20へと機械的に支持する支持部(リード電極50のネジ構造部78と筐体側固定部73の貫通穴74内の凹凸部34とが噛み合って互いに固定されている部分)とが互いに独立している。このため、真空断熱容器20に対するリード電極50の相対的な位置が変動するような応力が上記支持部に加わった場合に、当該支持部に亀裂などが発生しても、封止部での機密性が維持されていれば真空封止を維持することができる。
【0086】
また、真空断熱容器20の外周面から樹脂製フランジ部までの距離T(図10参照)は、当該封止部が急激に冷却される様な場合にも直接接触しない程度の距離をあらかじめ設定することが望ましい。
【0087】
以下、上述した実施の形態と一部重複する部分もあるが、本発明の特徴的な構成を列挙する。
【0088】
本発明に係る超電導機器用容器は、超電導体を含む部材としての超電導コイル60を内部に保持する超電導機器用容器であって、開口部を有する樹脂製の筐体部材としての真空断熱容器20、40と、開口部を貫通するように配置された金属部材としてのリード電極50および配管70と、開口部を覆うとともに真空断熱容器20、40とリード電極50または配管70とを接続し、熱応力緩和部を有する接続部材(接続部材12、22、32、42、52、63、65および金属部材側固定部75と筐体側固定部73とからなる接続部材)とを備える。上記樹脂製の真空断熱容器20、40は、たとえばFRPにより構成されていてもよい。接続部材は、熱応力緩和部として湾曲部を有していてもよい。
【0089】
ここで、樹脂製の真空断熱容器20、40と、上記リード電極50または配管70とが接続部材により固定されている超電導機器用容器において、たとえば超電導コイル60を冷却するために真空断熱容器20内部の温度が液体窒素温度にまで冷却された場合を考える。このとき、当該真空断熱容器20とリード電極50または配管70との構成材料の熱膨張係数の差により、温度変化に起因する変形量(熱収縮量)が真空断熱容器20とリード電極50または配管70とで異なる。この場合、単に真空断熱容器20とリード電極50または配管70とを接着剤などで接続固定していると、真空断熱容器20と接着剤、あるいは接着剤とリード電極50または配管70との接続部から剥離やクラックが発生する可能性がある。しかし、真空断熱容器20とリード電極50または配管70とを接続する接続部材(接続部材12、22、32、42、52、63、65および金属部材側固定部75と筐体側固定部73とからなる接続部材)が、真空断熱容器20とリード電極50または配管70との熱収縮量の差を吸収する構造である熱応力緩和部(たとえば湾曲部)を有していれば、たとえば超電導機器用容器の温度が上昇(あるいは温度が低下)して膨張(収縮)が起こったとしても、真空断熱容器20とリード電極50または配管70との熱膨張(熱収縮)量の差は、当該熱応力緩和部が変形することで吸収される。このため、真空断熱容器20とリード電極50または配管70との接続部において熱応力に起因する剥離やクラックなどの不具合の発生を抑制し、真空断熱容器20とリード電極50または配管70とを確実に接続することができる。
【0090】
上記超電導機器用容器において、図2および図3に示した第1および第2の接続部材63、65からなる接続部材は、開口部の内壁に接触する筐体側固定部としての第1の接続部材63と、開口部の幅より広い幅を有し、湾曲部を有する金属部材側固定部としての第2の接続部材65とを含んでいてもよい。第2の接続部材65においては、第2の接続部材65の一方端(外周側の端部)が第1の接続部材63と接続され、当該一方端と湾曲部を介して反対側に位置する他方端(内周側の端部)がリード電極50または配管70と接続されていてもよい。
【0091】
この場合、第2の接続部材65より第1の接続部材63の幅(すなわち開口部の幅)を小さくできる。つまり、真空断熱容器20、40に形成する開口部の幅(径)を、湾曲部の構成(第2の接続部材65の構成)とは独立して小さく設定できるので、開口部の径が大きい場合よりも、当該開口部からの熱の出入りを抑制することができる。
【0092】
上記超電導機器用容器において、接続部材12、22、32、42、52、63、65および図10に示した金属部材側固定部75の熱膨張係数は、真空断熱容器20、40を構成する樹脂の熱膨張係数の2倍以下であることが好ましい。つまり、接続部材12、22、32、42、52、63、65および図10に示した金属部材側固定部75の熱膨張係数と、真空断熱容器20、40を構成する樹脂の熱膨張係数との差が小さければ、熱膨張係数の差に起因して接続部材12、22、32、42、52、63、65および金属部材側固定部75と筐体側固定部73とからなる接続部材と真空断熱容器20、40との接続部に熱応力が集中することを抑制でき、結果的に当該接続部が熱応力により破損する可能性を低減できる。したがって、真空断熱容器20、40とリード電極50または配管70とをより確実に接続することができる。
【0093】
上記超電導機器用容器において、接続部材12、22、32、42、52、63、65および図10に示した金属部材側固定部75を構成する材料はFe−Ni合金であることが好ましい。また、上記真空断熱容器20、40を構成する樹脂はFRPであることが好ましい。ここで、鉄(Fe)とニッケル(Ni)との合金であるFe−Ni合金は、樹脂(特にFRP)との熱膨張係数の差が小さい。このため当該Fe−Ni合金を、接続部材12、22、32、42、52、63、65および図10に示した金属部材側固定部75を構成する材料として用いることが好ましい。
【0094】
上記超電導機器用容器において、図10に示すように、接続部材は、開口部の内壁に接触する樹脂製の筐体側固定部73と、金属部材としてのリード電極50または配管70と接続された金属製の金属部材側固定部75とを含んでいてもよい。筐体側固定部73は、筐体部材としての真空断熱容器20、40の外周面上において開口部から外側に延びる樹脂製フランジ部を有していてもよい。金属部材側固定部75は、樹脂製フランジ部と対向配置される金属製フランジ部を有していてもよい。金属製フランジ部と樹脂製フランジ部とは接着部材76により接合されていてもよい。応力緩和部は金属製フランジ部と樹脂製フランジ部との接合部を含んでいてもよい。また、湾曲部は、金属部材側固定部75においてリード電極50または配管70と接続された接続部(図10においてリード電極50と接続された内周側の端部)と金属製フランジ部との間に配置されていてもよい。
【0095】
この場合、金属製フランジ部と樹脂製フランジ部とが接着部材76により接続固定された部分が真空封止部となるので、当該フランジ部同士が対向する広い面積の真空封止部を形成できる。さらに、金属製フランジ部および樹脂製フランジ部は熱応力を緩和するように弾性変形可能な厚さとすることができるので、当該フランジ部の弾性変形によって熱応力を緩和することもできる。
【0096】
本発明に係る超電導機器用容器は、超電導体を含む部材である超電導コイル60を内部に保持する超電導機器用容器であって、開口部を有する樹脂製の筐体部材としての真空断熱容器20、40と、開口部を貫通するように配置された金属部材としてのリード電極50または配管70と、開口部を覆うとともに真空断熱容器20、40とリード電極50または配管70とを接続し、かつ、金属からなり弾性変形可能な部分(湾曲部)を含む接続部材(接続部材12、22、32、42、52、63、65および金属部材側固定部75と筐体側固定部73とからなる接続部材)とを備える。
【0097】
ここで、上記超電導機器用容器において、たとえば超電導体を冷却するために真空断熱容器20、40内部の温度が液体窒素温度にまで冷却された場合を考える。このとき、当該真空断熱容器20、40とリード電極50または配管70との構成材料の熱膨張係数の差により、温度変化に起因する変形量(熱収縮量)が真空断熱容器20、40とリード電極50または配管70とで異なる。この場合、単に真空断熱容器20、40とリード電極50または配管70とを接着剤などで接続固定していると、真空断熱容器20、40と接着剤、あるいは接着剤とリード電極50または配管70との接続部から剥離やクラックが発生する可能性がある。しかし、本発明による超電導機器用容器では、真空断熱容器20、40とリード電極50または配管70とを接続する接続部材が、真空断熱容器20、40とリード電極50または配管70との熱収縮量の差を吸収する構造である金属製の弾性変形可能な部分を有している。このため、たとえば超電導機器用容器の温度が上昇(あるいは温度が低下)して膨張(収縮)が起こったとしても、真空断熱容器20、40とリード電極50または配管70との熱膨張(熱収縮)量の差は、当該部分が弾性変形することで吸収される。このため、真空断熱容器20、40とリード電極50または配管70との接続部において熱応力に起因する剥離やクラックなどの不具合の発生を抑制し、真空断熱容器20、40とリード電極50または配管70とを確実に接続することができる。
【0098】
上記超電導機器用容器において、接続部材63、65は、開口部の内壁に接触する筐体側固定部としての第1の接続部材63と、開口部の幅より広い幅を有し、弾性変形可能な部分を有する金属部材側固定部としての第2の接続部材65とを含んでいてもよい。第2の接続部材65においては、第2の接続部材65の一方端が第1の接続部材63と接続され、一方端と弾性変形可能な部分(湾曲部)を介して反対側に位置する他方端がリード電極50または配管70と接続されていてもよい。
【0099】
この場合、第2の接続部材65より第1の接続部材63の幅(すなわち開口部の幅)を小さくできる。つまり、真空断熱容器20、40に形成する開口部の幅(径)を、第2の接続部材65の構成とは独立して小さく設定できるので、開口部の径が大きい場合よりも、当該開口部からの熱の出入りを抑制することができる。
【0100】
上記超電導機器用容器において、図10に示すように、接続部材は、開口部の内壁に接触する樹脂製の筐体側固定部73と、弾性変形可能な部分を有し、金属部材としてのリード電極50または配管70と接続された金属製の金属部材側固定部75とを含んでいてもよい。筐体側固定部73は、筐体部材としての真空断熱容器20、40の外周面上において開口部から外側に延びる樹脂製フランジ部を有していてもよい。金属部材側固定部75は、樹脂製フランジ部と対向配置される金属製フランジ部を有していてもよい。金属製フランジ部と樹脂製フランジ部とは接着部材76により接合されていてもよい。弾性変形可能な部分は、金属製フランジ部と樹脂製フランジ部との接合部を含んでいてもよい。また、弾性変形可能な部分は、金属部材側固定部75においてリード電極50または配管70と接続された接続部(図10においてリード電極50と接続された内周側の端部)と金属製フランジ部との間に配置されていてもよい。また、金属製フランジ部の厚みを十分薄くすることにより、金属製フランジ部自体を弾性変形可能な部分としてもよい。
【0101】
この場合、金属製フランジ部と樹脂製フランジ部とが接着部材76により接続固定された部分が真空封止部となるので、当該フランジ部同士が対向する広い面積の真空封止部を形成できる。さらに、金属製フランジ部および樹脂製フランジ部は熱応力を緩和するように弾性変形可能な厚さとすることができるので、当該フランジ部の弾性変形によって熱応力を緩和することもできる。
【0102】
また、本発明に係る超電導機器用容器は、超電導体を含む部材である超電導コイル60を内部に保持する超電導機器用容器であって、開口部を有する樹脂製の筐体部材としての真空断熱容器20、40と、開口部を貫通するように配置された金属部材としてのリード電極50または配管70と、開口部を覆うとともに真空断熱容器20、40とリード電極50または配管70とを接続する接続部材(金属部材側固定部75と筐体側固定部73とからなる接続部材)とを備える。接続部材は、開口部の内壁に接触する樹脂製の筐体側固定部73と、金属部材としてのリード電極50または配管70と接続された金属製の金属部材側固定部75とを含んでいてもよい。筐体側固定部73は、筐体部材としての真空断熱容器20、40の外周面上において開口部から外側に延びる樹脂製フランジ部を有していてもよい。金属部材側固定部75は、樹脂製フランジ部と対向配置される金属製フランジ部を有していてもよい。金属製フランジ部と樹脂製フランジ部とは接着部材76により接合されていてもよい。金属部材側固定部75においてリード電極50または配管70と接続された接続部(図10においてリード電極50と接続された内周側の端部)と金属製フランジ部との間に弾性変形可能な部分(たとえば断面形状が湾曲した湾曲部)が配置されていてもよい。また、金属製フランジ部の厚みを十分薄くすることにより、金属製フランジ部自体を弾性変形可能な部分としてもよい。また、樹脂製フランジ部は真空断熱容器20、40の外周表面から所定の距離T(図10参照)だけ離れて配置されていてもよい。また異なる観点から言えば、樹脂製フランジ部と真空断熱容器20、40の外周表面との間には間隙が形成されていてもよい。
【0103】
また、上記超電導機器用容器では、図12に示すように、金属製フランジ部において接着部材76(図10参照)と接触する表面82には、金属部材としてのリード電極50(または配管70)と接続された接続部を中心として円周方向に延びる線状の凹凸部79が形成されていてもよい。このような凹凸部79を形成することで、金属製フランジ部と接着部材76との接合界面の面積を大きくできる。
【0104】
また、上記超電導機器用容器では、図10に示すように、筐体側固定部73には、筐体部材としての真空断熱容器20、40の開口部の内部に位置する貫通穴74が形成されていてもよい。金属部材としてのリード電極50または配管70は貫通穴74に挿入されていてもよい。貫通穴74の内周面には凹凸部34が形成されていてもよい。リード電極50または配管70の外周面にはネジ構造部78が形成されていてもよい。ネジ構造部78が凹凸部34と噛み合うことにより、リード電極50または配管70は筐体側固定部73に固定されていてもよい。この場合、リード電極50または配管70と接続部材(筐体側固定部73)との固定をネジ構造により容易に行なうことができる。また、筐体側固定部73とリード電極50または配管70との接触面積を、当該凹凸部34やネジ構造部78が形成されていない場合より大きくできるので、筐体側固定部73とリード電極50または配管70との間の熱伝導をスムーズに行なうことができる。
【0105】
本発明に係る超電導機器は、上記超電導機器用容器と、当該超電導機器用容器の内部に配置された、超電導体を含む部材としての超電導コイル60とを備える。この場合、リード電極50または配管70が貫通した真空断熱容器20、40の部分(開口部)でのクラックなどの発生を抑制し、信頼性の高い超電導機器を実現できる。
【0106】
以上のように本発明の実施の形態について説明を行なったが、今回開示した実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明は、超電導機器の外部に対する密閉性を高める技術として、特に優れている。
【符号の説明】
【0108】
10 容器内部空間、12,22,32,42,52 接続部材、14,24,64 湾曲部先端、16,26,36,46,56,66 接合材、17,27,37,47,67 間隙、20,40 真空断熱容器、21 固定用部材、28 フランジ部、30 真空断熱槽、34 凹凸部、44 接続領域、48 上側湾曲部接続領域、50 リード電極、58 上側接続領域、60 超電導コイル、63 第1の接続部材、65 第2の接続部材、70 配管、72,82 表面、73 筐体側固定部、74 貫通穴、75 金属部材側固定部、76 接着部材、78 ネジ構造部、79 凹凸部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、超電導機器用容器および超電導機器に関するものであり、より特定的には、超電導線材と外部とを接続する接続構造を含む超電導機器用容器および当該超電導機器用容器を用いた超電導機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
たとえばNb3Sn(ニオブスズ)などの金属超電導体材料よりも、Bi(ビスマス)系やY(イットリウム)系の酸化物超電導体材料を用いた方が、臨界温度が高い超電導線材を形成することができることがわかっている。このため近年は特に酸化物超電導体材料を用いた超電導線材が、電磁石用や、送電用の線材として応用されることが期待される。このように近年の超電導線材は、従来の超電導線材に比べてかなり高温下にて使用することができる。しかしそれでも、液体窒素などの極低温環境下に当該超電導線材からなる超電導コイルなどを載置した上で、当該超電導コイルを外部負荷と電気的に接続することが必要となる。このため超電導コイルを液体窒素槽内に載置し、金属部材(たとえばリード電極)を用いて当該超電導コイルと外部負荷とを電気的に接続する構造が用いられる。また、上記超電導コイルを内部に保持する液体窒素槽には、冷媒である液体窒素を当該液体窒素槽へ供給するための配管が接続される。
【0003】
液体窒素(および超電導コイル)を収納する液体窒素槽への熱侵入を抑制し、当該液体窒素槽の内部が超電導コイルを機能させるために十分な温度に冷却された状態を保つためには、当該液体窒素槽が真空断熱容器であることが好ましい。特に輻射熱抑止フィルムを備えた真空断熱容器は、外部からの熱侵入を高効率に抑制できる。超電導コイルを収納する液体窒素槽(真空断熱容器)としてはFRP(繊維強化プラスチック)からなる収納容器が従来から広く用いられている。FRPは、十分な強度を有しており、かつ低コストであるため、収納容器の材料として従来から広く用いられている。FRPからなる真空断熱容器(収納容器)の内部に輻射熱抑止フィルムを備えることにより、当該超電導コイルを収納する液体窒素槽の、外部からの断熱を確保することができる。
【0004】
このようなFRP製の収納容器は、その外部や内部の壁面をなすFRP製板材に開口部を設け、当該開口部を貫通しながら交差するようにリード電極や金属製の配管などの金属部材の長手方向が配置される。このため従来はFRP製の収納容器と、当該収納容器を貫通する金属部材とを強固に固定するために、FRP製の収納容器の壁面に設けられた開口部の内壁に雌ねじ部を設け、当該開口部を貫通するように配置される金属部材の外周部に雄ねじ部を設けて両者を螺合するように固定させている。両者の固着をより強固なものとするために、雌ねじ部と雄ねじ部との間に接着剤を挟む場合もある。
【0005】
ただし、上述したFRP製の収納容器と金属部材との固定方法においては、FRP製板材の開口部から見て外側から接着剤を塗布し、金属部材の雄ねじ部を取り付ける。このため接着剤により雌ねじ部と雄ねじ部とが接着される部分(接着部)に機械的な応力や熱応力が加われば、接着部が剥離したり、接着部からクラックが発生することがある。このような剥離やクラックが起こると、真空断熱容器の外部から内部に大気が流入(リーク)することがある。このようなリークが起これば、超電導コイルの機能が損なわれる可能性がある。
【0006】
そこでたとえば特開2008−218861号公報(特許文献1)において、雄ねじが施された部材(雄ねじ部材)と雌ねじが施された部材(雌ねじ部材)とに鍔部を設け、当該鍔部の表面がFRP製の収納容器の板材(壁面)と同一面上に配置される構造を有するFRP製クライオスタットの製造方法が開示されている。特許文献1のFRP製クライオスタットでは、FRP製の収納容器の板材(壁面)には凹部を設けており、当該凹部に鍔部が嵌合される構造となっている。このような構成とすることにより、凹部の底面と鍔部の内面とが嵌合されて接着する接着面の全体に接着剤が満遍なく行き渡る。したがって雄ねじ部材と雌ねじ部材との接着をより強固にすることができる。つまり雄ねじ部材と雌ねじ部材との接着部に機械的な応力や熱応力が加わっても、接着部から剥離やクラックが発生することを抑制することができる。したがって超電導コイルの機能を確保することが可能となる。
【0007】
また、特許文献1に開示されるFRP製クライオスタットは、鍔部が設けられた雄ねじ部材と、雄ねじ部材と接合されたリード電極などの金属部材とが異種材料により構成されていたとしても、これらが雄ねじ部材に形成された継手挿入孔の1箇所のみで固着されている。このため、雄ねじ部材と金属部材との熱膨張の差(低温収縮率の差)による固着部への熱応力の集中を緩和することができる構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−218861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に開示されるFRP製クライオスタットでは、金属部材が接合された雄ねじ部材と、FRP製の収納容器との間の接着部に、当該雄ねじ部材や金属部材とFRP製の収納容器との熱膨張の差に起因する熱応力が直接的に作用するため、当該接着部から剥離やクラックが発生する可能性を完全には排除することができないという問題がある。さらに、FRPと金属部材や雄ねじ部材を構成する材料との熱膨張係数の差が大きいという点からも、上記のような接着部の剥離やクラックの発生の可能性は高くなる。
【0010】
本発明は、以上の問題に鑑みなされたものである。その目的は、超電導コイルなどの超電導体を収納する超電導機器用容器の壁面と、当該超電導機器用容器の壁面を貫通するように固定される金属部材との固定部における剥離やクラックの発生を抑制することが可能な超電導機器用容器および当該超電導機器用容器を用いた超電導機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る超電導機器用容器は、超電導体を含む部材を内部に保持する超電導機器用容器であって、開口部を有する樹脂製の筐体部材と、開口部を貫通するように配置された金属部材と、開口部を覆うとともに筐体部材と金属部材とを接続し、湾曲部を有する接続部材とを備える。上記樹脂製の筐体部材は、たとえばFRPにより構成されていてもよい。
【0012】
ここで、樹脂製の筐体部材と、上記金属部材とが接続部材により固定されている超電導機器用容器において、たとえば超電導体を冷却するために筐体部材内部の温度が液体窒素温度にまで冷却された場合を考える。このとき、当該筐体部材と金属部材との構成材料の熱膨張係数の差により、温度変化に起因する変形量(熱収縮量)が筐体部材と金属部材とで異なる。この場合、単に筐体部材と金属部材とを接着剤などで接続固定していると、筐体部材と接着剤、あるいは接着剤と金属部材との接続部から剥離やクラックが発生する可能性がある。しかし、筐体部材と金属部材とを接続する接続部材が、筐体部材と金属部材との熱収縮量の差を吸収する構造である湾曲部を有していれば、たとえば超電導機器用容器の温度が上昇(あるいは温度が低下)して膨張(収縮)が起こったとしても、筐体部材と金属部材との熱膨張(熱収縮)量の差は、当該湾曲部が変形することで吸収される。このため、筐体部材と金属部材との接続部において熱応力に起因する剥離やクラックなどの不具合の発生を抑制し、筐体部材と金属部材とを確実に接続することができる。
【0013】
本発明に係る超電導機器用容器は、超電導体を含む部材を内部に保持する超電導機器用容器であって、開口部を有する樹脂製の筐体部材と、開口部を貫通するように配置された金属部材と、開口部を覆うとともに筐体部材と金属部材とを接続し、かつ、金属からなり弾性変形可能な部分を含む接続部材とを備える。
【0014】
ここで、上記超電導機器用容器において、たとえば超電導体を冷却するために筐体部材内部の温度が液体窒素温度にまで冷却された場合を考える。このとき、当該筐体部材と金属部材との構成材料の熱膨張係数の差により、温度変化に起因する変形量(熱収縮量)が筐体部材と金属部材とで異なる。この場合、単に筐体部材と金属部材とを接着剤などで接続固定していると、筐体部材と接着剤、あるいは接着剤と金属部材との接続部から剥離やクラックが発生する可能性がある。しかし、本発明による超電導機器用容器では、筐体部材と金属部材とを接続する接続部材が、また筐体部材と金属部材との熱収縮量の差を吸収する構造である金属製の弾性変形可能な部分を有している。このため、たとえば超電導機器用容器の温度が上昇(あるいは温度が低下)して膨張(収縮)が起こったとしても、筐体部材と金属部材との熱膨張(熱収縮)量の差は、当該部分が弾性変形することで吸収される。このため、筐体部材と金属部材との接続部において熱応力に起因する剥離やクラックなどの不具合の発生を抑制し、筐体部材と金属部材とを確実に接続することができる。
【0015】
本発明に係る超電導機器は、上記超電導機器用容器と、当該超電導機器用容器の内部に配置された、超電導体を含む部材とを備える。この場合、金属部材が貫通した筐体部材の部分(開口部)でのクラックなどの発生を抑制し、信頼性の高い超電導機器を実現できる。
【0016】
たとえば以上に述べた本発明の超電導機器用容器の一例として、樹脂の一例としてのFRPからなる、超電導コイルを収納する筐体部材と、上記超電導コイルを外部負荷と電気的に接続するための金属部材であるリード電極と、筐体部材とリード電極とを接続する接続部材とを備える超電導機器用容器が考えられる。このリード電極は、筐体部材の壁面を構成するFRP製板材に設けた開口部を貫通するよう配置されている。ここでの筐体部材とリード電極とは、湾曲部を有する接続部材により接続されている。このため、超電導コイルを収納する筐体部材とリード電極との接続部において剥離やクラックが発生することが抑制される。したがって、筐体部材とリード電極とは確実に接続されるため、たとえば上記筐体部材の内部に、外部から大気が流入して超電導コイルの電気的特性に影響を及ぼすなどの現象の発生を抑制することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、樹脂製の筐体部材と金属部材とを接続する接続部材が、筐体部材と金属部材との熱膨張の差を吸収できる。このため、当該接続部材が、筐体部材と金属部材との間隙を、信頼性高く確実に接続することができる。そのため上述した樹脂製の、超電導体を含む部材を収納する筐体部材と、当該超電導体を含む部材を外部負荷と電気的に接続するためのリード電極などの金属部材とを確実に接続することで、筐体部材の内部に保持される超電導体を含む部材(たとえば超電導コイル)の電気的特性の劣化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の各実施の形態に係る超電導機器の概略図である。
【図2】図1中に丸点線で囲んだ領域Aの拡大図である。
【図3】図2に示した領域の斜視模式図である。
【図4】図1中に丸点線で囲んだ領域Cの拡大図である。
【図5】本発明の実施の形態2における、図1中に丸点線で囲んだ領域Aの拡大図である。
【図6】本発明の実施の形態3における、図1中に丸点線で囲んだ領域Aの拡大図である。
【図7】本発明の実施の形態4における、図1中に丸点線で囲んだ領域Aの拡大図である。
【図8】本発明の実施の形態5における、図1中に丸点線で囲んだ領域Aの拡大図である。
【図9】本発明の実施の形態6における、図1中に丸点線で囲んだ領域Aの拡大図である。
【図10】本発明の実施の形態7における、図1中に丸点線で囲んだ領域Aの拡大図である。
【図11】図10に示した樹脂製フランジ部の表面を示す平面模式図である。
【図12】図10に示した金属製フランジ部の表面を示す平面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の各実施の形態について説明する。なお、各実施の形態において、同一の機能を果たす要素に異なる参照符号を付す場合においても、その説明は、特に必要がなければ繰り返さない。
【0020】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る超電導機器は、本発明に従った超電導機器用容器と、当該超電導機器用容器の内部に保持された超電導コイル60とを備える。超電導機器用容器は、超電導コイル60を収納するためのFRP製の筐体部材と、上記超電導コイルを外部負荷と電気的に接続するための金属部材であるリード電極50と、筐体部材の内部に冷媒としての液体窒素を供給するための金属製の配管70とを備えている。具体的には図1に示すように、FRP製の板材で構成される筐体部材としての真空断熱容器20の内部すなわち容器内部空間10に超電導コイル60が配置されている。真空断熱容器20の容器内部空間10は、たとえば液体窒素などの冷媒で充填されている。このことにより、超電導コイル60の電磁石としての機能を可能としている。そして真空断熱容器20の一の側面を構成する板材には、金属部材であるリード電極50を貫通させるための開口部が形成されている。つまり真空断熱容器20のうち、図1の下側の壁面(板材)に設けた開口部を貫通するようにリード電極50が配置(接続)されている。
【0021】
また、図1において真空断熱容器20の上側の壁面(板材)にも開口部が形成されている。当該開口部を貫通するように、配管70が配置されている。配管70は、図示しない冷媒供給部と接続されている。当該配管70を介して、容器内部空間10に冷媒としての液体窒素が供給される。
【0022】
真空断熱容器20の外側にはさらに、内部に真空断熱槽30を備える真空断熱容器40が配置されている。つまり超電導コイル60は、二重の真空断熱容器により外部から保護されている。真空断熱槽30には、たとえば輻射熱抑止フィルムが配置されている。これは、真空断熱容器20の容器内部空間10に熱が侵入することを抑制し、当該容器内部空間10を極低温の状態に保つためである。
【0023】
そして、図1に示すように、真空断熱容器40の一の側面(真空断熱容器20の一の側面と対向する側面)を構成する板材についても、真空断熱容器20の一の側面を構成する板材と同様に、リード電極50を貫通させるための開口部が形成されている。つまりリード電極50はその一方の端部が容器内部空間10の超電導コイル60に接続されており、真空断熱容器20、真空断熱槽30、真空断熱容器40を貫通した上で、他方の端部がたとえば真空断熱容器40の外部に配置された(図示しない)外部負荷と接続される。
【0024】
図1のように真空断熱容器20の容器内部空間10が外部から二重に断熱されていても、真空断熱容器20の容器内部空間10には外部から熱が侵入することがある。この外部から侵入する熱(熱侵入)には、真空断熱容器20の表面から容器内部空間10に侵入する熱QCと、超電導コイル60に接続されたリード電極50を通って外部から容器内部空間10に侵入する熱QLと、配管70を介して外部から容器内部空間10に進入する熱QNとの3種類が存在する。
【0025】
たとえば、真空断熱槽30の真空度をP、真空断熱槽30のギャップ(図1における真空断熱槽30の幅すなわち真空断熱容器20の外側の表面と真空断熱容器40の内側の表面との距離)をh、真空断熱容器40の外側の表面積をSとすれば、QCはP2×S/hに比例する。またQLは、リード電極50に接続された外部負荷から超電導コイル60に向けて、リード電極50上を流れる電流Iの大きさに比例する。
【0026】
このようなQCやQLなどの熱侵入により、たとえば図1の丸点線Aで囲まれた領域、つまり真空断熱容器20を構成する一の板材とリード電極50とには、熱の出入りに起因する熱膨張や熱収縮が発生する。このことにより、真空断熱容器20とリード電極50とを接続する部材において熱応力が発生し、当該接続する部材と真空断熱容器20との接続部、あるいは当該接続する部材とリード電極50との接続部において剥離やクラックが発生する可能性がある。
【0027】
そこで本実施の形態1においては、このような剥離やクラックの発生を抑制するために図1の領域Aの部分(真空断熱容器20とリード電極50とが接続された部分)は図2および図3に示す態様で接続されている。具体的には図2に示すように、接続部材は、真空断熱容器20の板材と接続されており、リード電極50の延在方向に沿って延在する第1の接続部材63と、湾曲部を有し、湾曲部先端64にて接合材66によりリード電極50と接続される第2の接続部材65とが接合された構成となっている。
【0028】
第1の接続部材63において真空断熱容器20の開口部内部に挿入される部分には、ねじ山となる凹凸部34が形成されている。また、真空断熱容器20の開口部の側壁にも、上記凹凸部34に対応する(ねじ山となる)凹凸部が形成されている。第1の接続部材63は、上述した凹凸部34が形成された(開口部内部に挿入される)円筒部と、当該円筒部の端部に形成されたフランジ部とからなる。フランジ部は、円筒部の延在方向の中心軸から見て径方向の外周側へ広がるように形成されている。また、当該フランジ部の外周部では、上記第2の接続部材65と接続するための接合壁部が円周状に形成されている。
【0029】
また、第2の接続部材65は、図2および図3に示すように断面U字状の湾曲部が円環状につながった形状(ドーナツ状の形状)となっている。異なる観点から言えば、第2の接続部材65は、リード電極50の外周側面に内周部が接触する円環状と形状を有している。第2の接続部材65の外周部は、上記第1の接続部材63におけるフランジ部の外周に位置する接合壁部と接続されている。また、第2の接続部材65の内周部は、リード電極50の側壁と接合材66により接続されている。
【0030】
第1の接続部材63と真空断熱容器20とは、真空断熱容器20の開口部の内壁に形成された凹凸部に、第1の接続部材63の凹凸部34がねじ込まれることにより接続、固定されている。なお、図1の領域Bや、他のリード電極50と真空断熱容器20、40との接続部における接続構造は、上述した図2および図3に示した構造と同様である。
【0031】
第1の接続部材63と第2の接続部材65とは、たとえばFe−Ni合金からなることが好ましい。そして、第1の接続部材63と第2の接続部材65とを構成するFe−Ni合金の組成は同一であることが好ましい。このようにすれば、第1の接続部材63と第2の接続部材65との接合部における熱応力の発生を抑制することができる。また第1の接続部材63と第2の接続部材65とは、一般公知の接着剤やろう材など任意の方法を用いて接続されることが好ましい。
【0032】
図2および図3に示した超電導機器では、リード電極50と接続部材との間隙67のうち、特に第1の接続部材63とリード電極50との間隙(図7における左右方向の幅)を、第2の接続部材65の外周部とリード電極50との間隔よりも非常に狭くすることができる。このため、第2の接続部材65のサイズ(つまり湾曲部のサイズ)よりも第1の接続部材63の凹凸部34が形成された部分の幅を小さくできる。したがって、真空断熱容器20に形成される開口部の径を第2の接続部材65の幅より小さくできるので、リード電極50と真空断熱容器20との接続部分における密閉性をより高めることができる。この結果、より信頼性高くリード電極50と真空断熱容器20とを接続することができる。
【0033】
ここで、図2の左右方向における、真空断熱容器20とリード電極50との熱膨張の差の吸収は、第2の接続部材65により行なわれる。第2の接続部材65は、上述のように湾曲部を有し、リード電極50との間に間隙67を有する。リード電極50と第2の接続部材65との間の間隙67は、リード電極50と第1の接続部材63との間の間隙よりも広くなっている。つまり、第1の接続部材63を挿入固定する真空断熱容器20の開口部の径を小さくできる一方、第2の接続部材65に形成される湾曲部の曲率半径を大きくすることで、真空断熱容器20の板材とリード電極50との熱膨張の差を当該湾曲部の変形で十分吸収できる。
【0034】
このようにすれば、第1の接続部材63を挿入する開口部の径を小さくすることにより容器内部空間10の外部からの密閉性を高めるとともに、真空断熱容器20の板材とリード電極50との熱膨張の差を第2の接続部材65の湾曲部により吸収し、接続部分における剥離やクラックの発生をより確実に抑制することができる。したがって、超電導コイル60の機能をより確実に確保することができる。
【0035】
また図2の凹凸部34は、湾曲部と同様に弾性変形が可能である。つまり当該凹凸部34は伸縮により図2の上下方向に沿った当該凹凸部34の幅を自在に変化させることができる。このため接続部材は湾曲部により図2の左右方向に自由に変形可能であることに加え、凹凸部34により図2の上下方向にもある程度自由に変形可能となる。以上により凹凸部34は、リード電極50と真空断熱容器20との間の熱応力をさらに確実に吸収できる。
【0036】
またここで、リード電極50を構成する金属部材は、たとえば銅(Cu)であることが好ましい。リード電極50は電気信号を伝播する部材であるため、電気伝導性に優れ、かつ安価な材質として銅を採用することが好ましい。ただしリード電極50の材料としては、銅の代わりにたとえばアルミや銀を用いてもよい。
【0037】
ここで接続部材を構成する第1および第2の接続部材63、65を構成する材料の熱膨張係数は、真空断熱容器20を構成するFRPの熱膨張係数の2倍以下であることが好ましい。具体的には、接続部材を構成する材料はFe−Ni合金であることが好ましい。
【0038】
FRPの20℃における熱膨張係数(線膨張係数)は6×10−6(/℃)である。したがって接続部材の20℃における熱膨張係数は12×10−6(/℃)以下であることが好ましい。
【0039】
ここでFe−Ni合金の20℃における熱膨張係数(線膨張係数)は、鉄とニッケルとの組成(合金中に含有する割合)によって異なる。たとえば当該合金中のニッケルの含有率が約36質量%であり、鉄の含有率が約64質量%であるとき、当該合金の20℃における熱膨張係数は1×10−6(/℃)と最小になる。この場合よりもニッケルの含有率が増加した場合も減少した場合も、熱膨張係数は単調に増加する。具体的には当該合金中のニッケルの含有率がほぼ0質量%である場合、当該合金の20℃における熱膨張係数は10×10−6(/℃)である。また当該合金中のニッケルの含有率が70質量%であるとき、当該合金の20℃における熱膨張係数は12×10−6(/℃)である。このため、上述したように接続部材としてFe−Ni合金を用いる場合は、当該合金中のニッケルの含有率が70質量%以下であることが好ましい。なお、当該合金中のニッケルの含有率が約30質量%または約42質量%のとき、当該合金の20℃における熱膨張係数はFRPの20℃における熱膨張係数と同じ6×10−6(/℃)となる。したがって、接続部材の材料としてFe−Ni合金を用いる場合は、当該合金中のニッケルの含有率を約30質量%または約42質量%とすることが特に好ましい。つまり真空断熱容器20の20℃における熱膨張係数と接続部材の20℃における熱膨張係数との差が小さいほど、真空断熱容器20と接続部材12との熱膨張(熱収縮)の差が小さくなる。このため、真空断熱容器20とリード電極50とをより高品質に接続することができる。
【0040】
また、真空断熱容器40の内側の真空断熱槽30は、上述した真空断熱容器20(容器内部空間10)への熱侵入QCを抑制するために真空状態とした断熱槽である。したがって真空断熱槽30の内部についても、容器内部空間10と同様に、外部から大気などが流入しないことが好ましい。したがって真空断熱容器40とリード電極50とが接続される領域において図2や図3に示した接続部材により両者(真空断熱容器40とリード電極50)が信頼性高く接続されることが好ましい。したがって図1の丸点線Bで囲まれた領域は、図1の丸点線Aで囲まれた領域と同様の態様により、真空断熱容器40とリード電極50とが接続されることが好ましい。つまり図2に示す真空断熱容器20を真空断熱容器40に置き換えた態様にて接続されることが好ましい。
【0041】
次に、図4を参照して、図1の領域Cにおける配管70と真空断熱容器20との接続部の構造を説明する。図4を参照して、配管70と真空断熱容器20との接続部の構造は、基本的には図2および図3に示したリード電極50と真空断熱容器20との接続部の構造と同様である。すなわち、図4に示した接続部では、図2におけるリード電極50の代わりに冷媒を流通させるための配管70が開口部を貫通するとともに第2の接続部材65と接続されている。このような構成により、図2および図3に示した接続部と同様に、配管70と真空断熱容器20との接続部における剥離やクラックの発生を抑制することができる。また、図1の領域D、および図1における他の配管70と真空断熱容器20、40との接続部の構造は、基本的に図4に示した接続部の構造と同様である。
【0042】
(実施の形態2)
図5を参照して、本発明の実施の形態2に係る超電導機器を構成する超電導機器用容器のリード電極と真空断熱容器との接続部の構造を説明する。なお、図5は図2に対応する。
【0043】
本発明の実施の形態2に係る超電導機器は、基本的には図1〜図4に示した超電導機器と同様の構成を備えるが、リード電極50と真空断熱容器20、40との接続部の構造が図2および図3に示した構造とは異なっている。すなわち、図5に示すように、真空断熱容器20の板材とリード電極50とを接続する接続部材12は、FRP製の真空断熱容器20とリード電極50との熱膨張の差を吸収することができる弾性変形可能な構造(バネ状の形状)を有している。具体的には、接続部材12は、図2に示すように断面形状がJ字型の湾曲部が(リード電極50の外周側面を囲むように)円環状につながった形状を有している。そして当該湾曲部の先端にあたる湾曲部先端14は、リード電極50と接合材16にて接続されている。なお、リード電極50の延在方向側から見た接続部材12の形状は、リード電極50の外周側面に沿った円環状の形状を有している。
【0044】
このようにすれば、図1〜図4に示した超電導機器における第2の接続部材65(図2参照)と同様に、接続部材12の湾曲部が、真空断熱容器20(FRP)とリード電極50との熱膨張の差を吸収する。つまり、リード電極50と接続部材12との材質の違いによる熱膨張の差により、湾曲部先端14の接合材16に生じた熱応力は、接続部材12を伝って真空断熱容器20の方へ伝播しようとする。しかし、接続部材12の湾曲部が、熱応力の伝播を遮断する(つまりこの湾曲部が変形することで当該熱応力を吸収する)。このため、当該熱応力が真空断熱容器20に到達する割合は少なくなる。したがって、接続部材12が湾曲部を有することにより、真空断熱容器20と接続部材12、リード電極50との間の熱膨張の差が吸収される。このためリード電極50および真空断熱容器20と接続部材との接続部における剥離やクラックなどが起こる可能性を小さくすることができる。したがって、たとえば上記クラックなどを介して大気が容器内部空間10に流入し、超電導コイル60の電気的特性を劣化させる可能性を低下させることができる。
【0045】
また、図5に示すように、リード電極50と真空断熱容器20との間には、真空断熱容器20の開口部の幅をリード電極50の幅(リード電極50の延在方向に交差する断面の直径)よりも広く設けているために間隙17が存在する。当該間隙17は接続部材12の湾曲部が延在する領域として用いられる。このため、接続部材12の湾曲部は十分な曲率半径を有することになり、当該湾曲部が弾性変形することで真空断熱容器20とリード電極50との熱膨張の差を容易に吸収できる。
【0046】
ここで接合材16によるリード電極50と接続部材12との接続方法としては、一般公知の溶接法やろう付け(ろう材)を用いることが好ましい。また、図5において接続部材12と真空断熱容器20とが接続される部分は、一般公知の接着剤やろう材などを用いた任意の方法を用いて接続することができる。
【0047】
以上のように、湾曲部を有し、FRPとの熱膨張係数の差が小さい材質からなる接続部材12は、リード電極50と真空断熱容器20との熱膨張の差を吸収する。このため接続部材12は、図1〜図3に示した第1および第2の接続部材63、65と同様に、リード電極50と真空断熱容器20とを信頼性高く確実に接続することができる。つまり外部から容器内部空間10へのリークを抑制し、容器内部空間10の超電導コイル60の機能を高めることができる。
【0048】
容器内部空間10の超電導コイル60を高性能に機能させるため、上記接続部材12は、図1の真空断熱容器20とリード電極50との接続部分である領域Aに用いることが好ましい。しかしその外側の、真空断熱容器40とリード電極50との接続部分、つまり図1の丸点線で囲まれた領域Bについても、丸点線で囲まれた領域Aと同様に接続部材12を用いて接続してもよい。さらに、図1〜図4に示した超電導機器と同様に、図5に示した接続部材12を、図1の領域Cなど(つまり配管70と真空断熱容器20、40との接続部)に適用してもよい。
【0049】
本発明の実施の形態2は、以上に述べた各点についてのみ、本発明の実施の形態1と異なる。すなわち、本発明の実施の形態2について、上述しなかった構成や条件、手順や効果などは、全て本発明の実施の形態1に順ずる。
【0050】
(実施の形態3)
図6を参照して、本発明の実施の形態3に係る超電導機器を構成する超電導機器用容器のリード電極と真空断熱容器との接続部の構造を説明する。なお、図6は図2に対応する。
【0051】
本発明の実施の形態3に係る超電導機器は、基本的には図1〜図4に示した超電導機器と同様の構成を備えるが、リード電極50と真空断熱容器20、40との接続部の構造が図2および図3に示した構造とは異なっている。すなわち、図6に示すように、リード電極50と真空断熱容器20とを接続する接続部材22は、図5に示した接続部材12と同様に平面形状が円環状であり、断面形状がU字状である湾曲部を有しているが、当該湾曲部の外周端部から外側へ放射状に延びるフランジ部28をさらに有している。接続部材22は、板材の延在する方向(図6の左右方向)に延在する領域において固定用部材21により真空断熱容器20の板材と固定されている。たとえば固定用部材21を用いて、接続部材22の外周部に形成されたフランジ部28を、図6の下側から上側へ、真空断熱容器20の板材に向けて押さえ付けることにより、接続部材22のフランジ部28が真空断熱容器20へ固定される。固定用部材21の平面形状はたとえば円環状であってもよい。そして、固定用部材21は真空断熱容器20に対して従来周知の方法により固定することができる。たとえば、固定用部材21を真空断熱容器20に対してボルトや接着剤などの固着部材により固定してもよい。他方、接続部材22とリード電極50とは、実施の形態1(図2参照)と同様に湾曲部先端24にて、接合材26により接続されている。
【0052】
接続部材22が配置される領域では、リード電極50を貫通させるために真空断熱容器20の板材に開口部が設けられている。また当該開口部の幅(直径)はリード電極50の幅(直径)よりも大きいため、リード電極50と真空断熱容器20との間に間隙27が存在する。しかし図6に示すように、間隙27のうち特にリード電極50と真空断熱容器20とに挟まれた領域の幅(真空断熱容器20に形成された開口部の側壁とリード電極50の表面との間の距離)は、接続部材22の湾曲部の(図6における左右方向での)幅よりも狭い。具体的にはリード電極50と真空断熱容器20とに挟まれた間隙27の幅は、接続部材22の湾曲部の幅のおよそ半分となっている。
【0053】
つまり、図6に示した態様とすることにより、真空断熱容器20に形成される開口部の直径を、図5に示した当該開口部の直径より小さくすることができる。異なる観点から言えば、接続部材22の湾曲部の(図6の左右方向における)幅のおよそ半分(図6における外周側の半分)は、真空断熱容器20の開口部の周囲の領域と平面的に重なっている。このような接続態様を取ることにより、図6に示した構造では真空断熱容器20に形成する開口部(リード電極50が挿通する開口部)の幅(直径)を、接続部材22のサイズとは独立して小さく設定することができる。そして、このように買い凹部の幅を狭くすることにより、リード電極50と真空断熱容器20との接続部における密閉性をより高めることができる。また、図6に示した接続部材22は、図1の領域C、Dにおける配管70と真空断熱容器20、40との接続部に適用してもよい。
【0054】
本発明の実施の形態3は、以上に述べた各点についてのみ、本発明の実施の形態2と異なる。すなわち、本発明の実施の形態2について、上述しなかった構成や条件、手順や効果などは、全て本発明の実施の形態2に順ずる。
【0055】
(実施の形態4)
図7を参照して、本発明の実施の形態4に係る超電導機器を構成する超電導機器用容器のリード電極と真空断熱容器との接続部の構造を説明する。なお、図7は図2に対応する。
【0056】
本発明の実施の形態4に係る超電導機器は、基本的には図5に示した接続部材を含む超電導機器と同様の構成を備えるが、リード電極50と真空断熱容器20、40との接続部の構造が図5に示した構造とは異なっている。すなわち、図7に示すように、接続部材32と真空断熱容器20とが接続される部分において、接続部材32、真空断熱容器20の板材ともに凹凸部34が形成されている。
【0057】
たとえば図5においては接続部材12と真空断熱容器20とが接続される部分の断面形状は直線状となっている。一方、図7に示した接続部材は、当該接続される部分の断面形状が直線状ではなく凹凸部34を有する点においてのみ、図5に示した実施の形態2と異なる。つまり、接続部材32のねじ山である凹凸部34が、真空断熱容器20の開口部の内壁に形成された、上記凹凸部34に対応する凹凸部にねじ込まれることにより、接続部材32が真空断熱容器20に接続されている。そして、図7に示した接続部の構成は、開口部のその他においては上述した本発明の実施の形態2と同様であり、接続部材32の湾曲部は接合材36によりリード電極50と接続されている。接続部材32は真空断熱容器20の板材とリード電極50との間隙37を埋めるように配置されている。
【0058】
ここで、凹凸部34は、上述のように接続部材32を真空断熱容器20に接続固定するためのねじ部として作用する。また、凹凸部34は接続部材32の湾曲部と同様に、板材とリード電極50との熱膨張の差を吸収する弾性変形可能なバネ状の構造としても作用する。つまり、たとえばリード電極50と接続部材32との接合材36に生じた熱応力は接続部材32の湾曲部のみならず、凹凸部34によっても、真空断熱容器20の方へ伝播することを抑制される。したがって、接続部材32が湾曲部に加えて凹凸部34を有することにより、真空断熱容器20と接続部材32、リード電極50との間の熱膨張の差がさらに吸収される。このためリード電極50と真空断熱容器20との接続部における剥離やクラックなどが起こる可能性をさらに小さくすることができる。したがって、たとえば大気が容器内部空間10に流入し、超電導コイル60の電気的特性を劣化させる可能性をさらに低下させることができる。
【0059】
また図7の凹凸部34は、図2に示した凹凸部34と同様に、湾曲部と同様に弾性変形が可能である。つまり当該凹凸部34は伸縮により図7の上下方向に沿った当該凹凸部34の幅を自在に変化させることができる。このため接続部材32は湾曲部により図7の左右方向に自由に変形可能であることに加え、凹凸部34により図7の上下方向にもある程度自由に変形可能となる。以上により凹凸部34は、リード電極50と真空断熱容器20との間の熱応力をさらに確実に吸収できる。
【0060】
なお凹凸部34におけるリード電極50と真空断熱容器20との間は、実施の形態1の図2におけるリード電極50と真空断熱容器20との間と同様に、一般公知の接着剤やろう材など任意の方法を用いて接続することができる。さらに、図1〜図4に示した超電導機器と同様に、図7に示した接続部材32を、図1の領域Cなど(つまり配管70と真空断熱容器20、40との接続部)に適用してもよい。
【0061】
本発明の実施の形態4は、以上に述べた各点についてのみ、本発明の実施の形態2と異なる。すなわち、本発明の実施の形態4について、上述しなかった構成や条件、手順や効果などは、全て本発明の実施の形態2に順ずる。
【0062】
(実施の形態5)
図8を参照して、本発明の実施の形態5に係る超電導機器を構成する超電導機器用容器のリード電極50と真空断熱容器との接続部の構造を説明する。なお、図8は図2に対応する。
【0063】
本発明の実施の形態5に係る超電導機器は、基本的には図1〜図4に示した超電導機器と同様の構成を備えるが、リード電極50と真空断熱容器20、40との接続部の構造が図2および図3に示した構造とは異なっている。すなわち、図8に示すように、接続部材42には図8における上下側の計2箇所に湾曲部が存在する。このため接続部材42は間隙47を囲むリング状の断面形状となっている。なお、接続部材42の平面形状(リード電極50の延在方向側から見た形状)は、リード電極50の外周側面に沿った円環状である。
【0064】
たとえば図5に示す実施の形態2の接続部材12では、湾曲部は下側1箇所のみに存在する。接続部材12は当該湾曲部の先端部である湾曲部先端14において接合材16によりリード電極50と接続されている。これと同様に図8の接続部材42は、図5の湾曲部先端14に相当する領域である接続領域44において、接合材46によりリード電極50と接続されている。しかしたとえば上側の湾曲部の先端に当たる上側湾曲部接続領域48において接合材46によりリード電極50と接続部材42とを接続してもよい。あるいは上側と下側との両方において、接合材46によりリード電極50と接続部材42とを接続してもよい。
【0065】
接続部材42が湾曲部を図8の上下2箇所に有することにより、当該接続部材42によってリード電極50と真空断熱容器20との熱膨張係数の差に起因する熱応力をより確実に吸収することができる。
【0066】
なお、図8においても接続部材42と真空断熱容器20とが接続される部分については、一般公知の接着剤やろう材など任意の方法を用いて接続することができる。またたとえば図7の実施の形態4と同様に、図8においても接続部材42と真空断熱容器20とが接続される部分に凹凸部を設けてもよい。このようにすれば、上述したように当該凹凸部においてリード電極50と真空断熱容器20との熱膨張の差をより確実に吸収できる。さらに、図1〜図4に示した超電導機器と同様に、図8に示した接続部材42を、図1の領域Cなど(つまり配管70と真空断熱容器20、40との接続部)に適用してもよい。
【0067】
本発明の実施の形態5は、以上に述べた各点についてのみ、本発明の実施の形態1と異なる。すなわち、本発明の実施の形態5について、上述しなかった構成や条件、手順や効果などは、全て本発明の実施の形態1に順ずる。
【0068】
(実施の形態6)
図9を参照して、本発明の実施の形態6に係る超電導機器を構成する超電導機器用容器のリード電極50と真空断熱容器との接続部の構造を説明する。なお、図9は図2に対応する。
【0069】
本発明の実施の形態6に係る超電導機器は、基本的には図1〜図4に示した超電導機器と同様の構成を備えるが、リード電極50と真空断熱容器20、40との接続部の構造が図2および図3に示した構造とは異なっている。すなわち、図9に示すように、リード電極50と真空断熱容器20の板材とを接続する接続部材52が、図9の左右方向に延在し、図9の上下方向に凸または凹となった部分を含む凹凸形状部を有する。接続部材52の平面形状(リード電極50の延在方向側から見た形状)は、リード電極50の外周側面に沿った円環状の形状である。図9に示すように、接続部材52はバネ状の形状である凹凸形状部を含むため、図9の左右方向に幅を自在に変化(伸縮)させることができる。このように接続部材52がバネ状の形状を有することにより、上述した各実施の形態の接続部材と同様に、真空断熱容器20の板材とリード電極50との熱膨張の差を吸収することができる。
【0070】
なお、接続部材52とリード電極50とは、図9の下側において接合材56により接続されている。しかし図9の上側の上側接続領域58においてリード電極50と接続部材52とが接続されていてもよい。なお、リード電極50と真空断熱容器20の板材との間の間隙(接続部材52が配置される開口部の幅)を極力小さくする方が、リード電極50と真空断熱容器20の間におけるリークの発生を抑制する観点上、より好ましい。
【0071】
また図9においても接続部材52と真空断熱容器20とが接続される部分については、一般公知の接着剤やろう材など任意の方法を用いて接続することができる。さらに、図1〜図4に示した超電導機器と同様に、図9に示した接続部材52を、図1の領域Cなど(つまり配管70と真空断熱容器20、40との接続部)に適用してもよい。
【0072】
本発明の実施の形態6は、以上に述べた各点についてのみ、本発明の実施の形態1と異なる。すなわち、本発明の実施の形態6について、上述しなかった構成や条件、手順や効果などは、全て本発明の実施の形態1に順ずる。
【0073】
(実施の形態7)
図10〜図12を参照して、本発明の実施の形態6に係る超電導機器を構成する超電導機器用容器のリード電極50と真空断熱容器との接続部の構造を説明する。なお、図10は図2に対応する。
【0074】
本発明の実施の形態7に係る超電導機器は、基本的には図1〜図4に示した超電導機器と同様の構成を備えるが、リード電極50と真空断熱容器20、40との接続部の構造が図2および図3に示した構造とは異なっている。すなわち、図10に示すように、FRP製の真空断熱容器20を貫通するように開口部が形成されている。当該開口部は、真空断熱容器20の外周側に位置する相対的に幅の広い大径部と、真空断熱容器20の内周側に位置し当該大径部より幅の小さい小径部とからなる。小径部の幅(直径)はリード電極50の幅(直径)と実質的に同じである。また、大径部には、FRPからなる筐体側固定部73が挿入固定されている。筐体側固定部73と大径部内壁との接合方法は、接着剤などの任意の接着部材を用いることができる。
【0075】
筐体側固定部73は、開口部における大径部の内部から真空断熱容器20の外周面上にまで伸びるとともに、真空断熱容器20の外周面上において開口部から外側へ広がるような樹脂製フランジ部を含む。また、筐体側固定部73の中央部には貫通穴74が形成されている。貫通穴74は上記開口部の小径部と連なるように形成されている。筐体側固定部73における貫通穴74の内壁には、ネジ構造である凹凸部34が形成されている。また、リード電極50の側面には上記凹凸部34に対応するネジ構造部78が形成されている。リード電極50のネジ構造部78が筐体側固定部73の貫通穴74における凹凸部34にねじ込まれることにより、リード電極50と筐体側固定部73とは接続される。このようなネジ構造部78が形成されることで、リード電極50のトータルの体積が大きくなるので、リード電極50の全体としての熱容量を大きくできる。また、リード電極50と筐体側固定部73との接触面積を、当該ネジ構造部78および凹凸部34が形成されていない場合より大きくできるので、リード電極50と筐体側固定部73との間の熱伝導をよりスムーズに行なうことができる。
【0076】
また、リード電極50には、上記筐体側固定部73の樹脂製フランジ部と対向して配置される金属製フランジ部を含む金属部材側固定部75が固定されている。金属部材側固定部75は、その平面形状が円形状であって、中央部にリード電極50を挿入するための穴が形成されている。この穴にリード電極50を挿入した状態で、リード電極50の側面と金属部材側固定部75(より具体的には金属部材側固定部75における上記穴の内壁または当該穴に隣接する表面部分)とがろう材などの接合材66により気密に接続固定されている。なお、接合材66の材料としては、たとえば銀(Ag)、銅(Cu),亜鉛(Zn)などの元素を含む銀ロウなどを用いることができる。
【0077】
金属部材側固定部75において上記穴に隣接する領域は、図10に示すように断面が湾曲した湾曲部となっている。また、異なる観点から言えば、当該穴に隣接する領域は、弾性変形可能な部分となっている。このような湾曲部(あるいは弾性変形可能な部分)が形成されることで、真空断熱容器20とリード電極50との熱膨張(熱収縮)量の差を吸収することができる。また、当該湾曲部(弾性変形可能な部分)は、リード電極50の側面に対して傾斜した方向から接触するので、接合材66によるリード電極50と金属部材側固定部75との接続をより容易に行なうことができる。
【0078】
金属部材側固定部75が接続されたリード電極50を、真空断熱容器20に固定された筐体側固定部73の貫通穴74に挿入固定する。このとき、金属部材側固定部75の金属製フランジ部は筐体側固定部73の樹脂製フランジ部と対向して配置される。そして、金属製フランジ部と樹脂製フランジ部とは、接着部材76により接続固定される。なお、接着部材76としては、エポキシ系接着剤などを用いることができる。また、接着部材76を用いた金属製フランジ部と樹脂製フランジ部との接合方法としては、たとえば樹脂製フランジ部の表面72上に予め接着部材76を配置(たとえば塗布)し、その後当該接着部材76上に金属製フランジ部が重なるように、金属部材側固定部75が接続されたリード電極50を貫通穴74の内部に挿入する、といった方法を用いてもよい。あるいは、液状の接着部材76を保持した容器の内部において、接着部材76に金属製フランジ部と樹脂製フランジ部とを浸漬した状態で、当該金属製フランジ部と樹脂製フランジ部とを接着してもよい。
【0079】
図11に示すように、筐体側固定部73の樹脂製フランジ部における接着部材76と接合される表面72には、貫通穴74を中心とした円周状に(たとえば同心円状に)線状凹凸部79が形成されている。また、図12に示すように、金属部材側固定部75の金属製フランジ部における接着部材76と接合される表面82にも、リード電極50を中心とした円周状に(たとえば同心円状に)線状凹凸部79が形成されている。このような線状凹凸部79が形成されることで、上記表面72、82の表面積を大きくすることができる。このため、金属製フランジ部および樹脂製フランジ部と接着部材76との接合界面の面積を大きくできるので、当該接着部材76による金属性フランジ部と樹脂製フランジ部との接着強度を向上させることができる。特に、当該接着部材76が樹脂製の接着剤である場合には、金属製フランジ部と接着部材76との接着強度は、樹脂製フランジ部と接着部材76との接着強度より小さくなる可能性がある。そのため、少なくとも金属製フランジ部の表面82に上記線状凹凸部79を形成することが好ましい。また、このような線状凹凸部79は、貫通穴74またはリード電極50を中心として周方向に延びるように形成されることが好ましい。このようにすれば、貫通穴74またはリード電極50から、金属製フランジ部(または樹脂製フランジ部)の外周までのリークパスの長さ(樹脂製フランジ部または金属製フランジ部の表面72、82と接着部材76との接合界面の、径方向での沿面距離)を効果的に長くすることができる。また、線状凹凸部79は、完全な同心円状であってもよいが、図11や図12に示すように周方向において円周を分断した円弧状の平面形状であってもよい。なお、線状凹凸部79は、金属製フランジ部(または樹脂製フランジ部)の内周側から外周側まで(径方向に)延びるように形成されることは好ましくない。すなわち、線状凹凸部79は、貫通穴74またはリード電極50を中心として周方向のみに延びるように形成されることが好ましい。
【0080】
ここで、筐体側固定部73の材料としては、真空断熱容器20を構成する材料(たとえばFRP)と同じ材料を用いることが好ましい。また、金属部材側固定部75の材料は、上記筐体側固定部73を構成する材料と熱膨張係数が近い材料を用いることが好ましい。たとえば、金属部材側固定部75の材料の熱膨張係数と、筐体側固定部73を構成する材料の熱膨張係数との差の絶対値が、筐体側固定部73を構成する材料の熱膨張係数の±10%以内、より好ましくは±5%以内の範囲に入るように、金属部材側固定部75の材料を選択することが好ましい。具体的には、筐体側固定部73の材料としてFRPを用いる場合、金属部材側固定部75の材料としてコバールを用いることができる。このようにすれば、特にクラックなどの発生が懸念される金属製フランジ部と樹脂製フランジ部との接合界面(接着部材76による接合部)について、金属製フランジ部と樹脂製フランジ部との熱膨張係数の差を十分小さくできるので、当該接合界面でのクラックの発生確率を低減できる。
【0081】
金属製フランジ部の厚さは、0.01mm以上5mm以下、より好ましくは0.1mm以上1mm以下とすることができる。このような数値範囲としたのは、比較的容易に入手できる板材、フィルム材の厚さがこの程度であるためである。また、樹脂製フランジ部の厚さは、0.01mm以上5mm以下、より好ましくは0.2mm以上2mm以下とすることができる。このような数値範囲としたのは、比較的容易に入手できる板材、フィルム材の厚さがこの程度であるためである。
【0082】
また、金属部材側固定部75の金属製フランジ部の外径(あるいは筐体側固定部73の樹脂製フランジ部の外径)は、リード電極の外径、許容されるスペース、冷媒の温度等から、対向したフランジ接着部の熱応力が接着強度を超えないように、上記フランジ厚さと併せて設計することができる。
【0083】
そして、金属製フランジ部と樹脂製フランジ部とを、図10に示すように接着部材76により接合することで、当該接合面が真空断熱容器20の内部を真空断熱容器20の外部から隔離する封止部の一部となる。このような金属製フランジ部と樹脂製フランジ部とを接着部材76で接合した構成とすることで、真空断熱容器の内部と外気との温度差に起因する熱応力が金属製フランジ部と樹脂製フランジ部との接合部に発生した場合に、当該金属製フランジ部と樹脂製フランジ部とが(たとえばバイメタルのように)ある程度弾性変形することで、上記熱応力を吸収することができる。
【0084】
また、金属製フランジ部と樹脂製フランジ部との外周部については、図10に示すように端面をテーパ加工する(すなわち、金属製フランジ部および樹脂製フランジ部の端部について、その厚みが外周端に向かうにつれて薄くなるように、表面72、82に対して傾斜した端面を形成する)ことが好ましい。このようにすれば、上述した熱応力により当該端部が破損するといった問題の発生を抑制できる。
【0085】
また、図10〜図12に示した真空断熱容器20とリード電極50との接続部の構造では、真空封止の機能を担う封止部(金属製フランジ部と樹脂製フランジ部との接合部)と、リード電極50を真空断熱容器20へと機械的に支持する支持部(リード電極50のネジ構造部78と筐体側固定部73の貫通穴74内の凹凸部34とが噛み合って互いに固定されている部分)とが互いに独立している。このため、真空断熱容器20に対するリード電極50の相対的な位置が変動するような応力が上記支持部に加わった場合に、当該支持部に亀裂などが発生しても、封止部での機密性が維持されていれば真空封止を維持することができる。
【0086】
また、真空断熱容器20の外周面から樹脂製フランジ部までの距離T(図10参照)は、当該封止部が急激に冷却される様な場合にも直接接触しない程度の距離をあらかじめ設定することが望ましい。
【0087】
以下、上述した実施の形態と一部重複する部分もあるが、本発明の特徴的な構成を列挙する。
【0088】
本発明に係る超電導機器用容器は、超電導体を含む部材としての超電導コイル60を内部に保持する超電導機器用容器であって、開口部を有する樹脂製の筐体部材としての真空断熱容器20、40と、開口部を貫通するように配置された金属部材としてのリード電極50および配管70と、開口部を覆うとともに真空断熱容器20、40とリード電極50または配管70とを接続し、熱応力緩和部を有する接続部材(接続部材12、22、32、42、52、63、65および金属部材側固定部75と筐体側固定部73とからなる接続部材)とを備える。上記樹脂製の真空断熱容器20、40は、たとえばFRPにより構成されていてもよい。接続部材は、熱応力緩和部として湾曲部を有していてもよい。
【0089】
ここで、樹脂製の真空断熱容器20、40と、上記リード電極50または配管70とが接続部材により固定されている超電導機器用容器において、たとえば超電導コイル60を冷却するために真空断熱容器20内部の温度が液体窒素温度にまで冷却された場合を考える。このとき、当該真空断熱容器20とリード電極50または配管70との構成材料の熱膨張係数の差により、温度変化に起因する変形量(熱収縮量)が真空断熱容器20とリード電極50または配管70とで異なる。この場合、単に真空断熱容器20とリード電極50または配管70とを接着剤などで接続固定していると、真空断熱容器20と接着剤、あるいは接着剤とリード電極50または配管70との接続部から剥離やクラックが発生する可能性がある。しかし、真空断熱容器20とリード電極50または配管70とを接続する接続部材(接続部材12、22、32、42、52、63、65および金属部材側固定部75と筐体側固定部73とからなる接続部材)が、真空断熱容器20とリード電極50または配管70との熱収縮量の差を吸収する構造である熱応力緩和部(たとえば湾曲部)を有していれば、たとえば超電導機器用容器の温度が上昇(あるいは温度が低下)して膨張(収縮)が起こったとしても、真空断熱容器20とリード電極50または配管70との熱膨張(熱収縮)量の差は、当該熱応力緩和部が変形することで吸収される。このため、真空断熱容器20とリード電極50または配管70との接続部において熱応力に起因する剥離やクラックなどの不具合の発生を抑制し、真空断熱容器20とリード電極50または配管70とを確実に接続することができる。
【0090】
上記超電導機器用容器において、図2および図3に示した第1および第2の接続部材63、65からなる接続部材は、開口部の内壁に接触する筐体側固定部としての第1の接続部材63と、開口部の幅より広い幅を有し、湾曲部を有する金属部材側固定部としての第2の接続部材65とを含んでいてもよい。第2の接続部材65においては、第2の接続部材65の一方端(外周側の端部)が第1の接続部材63と接続され、当該一方端と湾曲部を介して反対側に位置する他方端(内周側の端部)がリード電極50または配管70と接続されていてもよい。
【0091】
この場合、第2の接続部材65より第1の接続部材63の幅(すなわち開口部の幅)を小さくできる。つまり、真空断熱容器20、40に形成する開口部の幅(径)を、湾曲部の構成(第2の接続部材65の構成)とは独立して小さく設定できるので、開口部の径が大きい場合よりも、当該開口部からの熱の出入りを抑制することができる。
【0092】
上記超電導機器用容器において、接続部材12、22、32、42、52、63、65および図10に示した金属部材側固定部75の熱膨張係数は、真空断熱容器20、40を構成する樹脂の熱膨張係数の2倍以下であることが好ましい。つまり、接続部材12、22、32、42、52、63、65および図10に示した金属部材側固定部75の熱膨張係数と、真空断熱容器20、40を構成する樹脂の熱膨張係数との差が小さければ、熱膨張係数の差に起因して接続部材12、22、32、42、52、63、65および金属部材側固定部75と筐体側固定部73とからなる接続部材と真空断熱容器20、40との接続部に熱応力が集中することを抑制でき、結果的に当該接続部が熱応力により破損する可能性を低減できる。したがって、真空断熱容器20、40とリード電極50または配管70とをより確実に接続することができる。
【0093】
上記超電導機器用容器において、接続部材12、22、32、42、52、63、65および図10に示した金属部材側固定部75を構成する材料はFe−Ni合金であることが好ましい。また、上記真空断熱容器20、40を構成する樹脂はFRPであることが好ましい。ここで、鉄(Fe)とニッケル(Ni)との合金であるFe−Ni合金は、樹脂(特にFRP)との熱膨張係数の差が小さい。このため当該Fe−Ni合金を、接続部材12、22、32、42、52、63、65および図10に示した金属部材側固定部75を構成する材料として用いることが好ましい。
【0094】
上記超電導機器用容器において、図10に示すように、接続部材は、開口部の内壁に接触する樹脂製の筐体側固定部73と、金属部材としてのリード電極50または配管70と接続された金属製の金属部材側固定部75とを含んでいてもよい。筐体側固定部73は、筐体部材としての真空断熱容器20、40の外周面上において開口部から外側に延びる樹脂製フランジ部を有していてもよい。金属部材側固定部75は、樹脂製フランジ部と対向配置される金属製フランジ部を有していてもよい。金属製フランジ部と樹脂製フランジ部とは接着部材76により接合されていてもよい。応力緩和部は金属製フランジ部と樹脂製フランジ部との接合部を含んでいてもよい。また、湾曲部は、金属部材側固定部75においてリード電極50または配管70と接続された接続部(図10においてリード電極50と接続された内周側の端部)と金属製フランジ部との間に配置されていてもよい。
【0095】
この場合、金属製フランジ部と樹脂製フランジ部とが接着部材76により接続固定された部分が真空封止部となるので、当該フランジ部同士が対向する広い面積の真空封止部を形成できる。さらに、金属製フランジ部および樹脂製フランジ部は熱応力を緩和するように弾性変形可能な厚さとすることができるので、当該フランジ部の弾性変形によって熱応力を緩和することもできる。
【0096】
本発明に係る超電導機器用容器は、超電導体を含む部材である超電導コイル60を内部に保持する超電導機器用容器であって、開口部を有する樹脂製の筐体部材としての真空断熱容器20、40と、開口部を貫通するように配置された金属部材としてのリード電極50または配管70と、開口部を覆うとともに真空断熱容器20、40とリード電極50または配管70とを接続し、かつ、金属からなり弾性変形可能な部分(湾曲部)を含む接続部材(接続部材12、22、32、42、52、63、65および金属部材側固定部75と筐体側固定部73とからなる接続部材)とを備える。
【0097】
ここで、上記超電導機器用容器において、たとえば超電導体を冷却するために真空断熱容器20、40内部の温度が液体窒素温度にまで冷却された場合を考える。このとき、当該真空断熱容器20、40とリード電極50または配管70との構成材料の熱膨張係数の差により、温度変化に起因する変形量(熱収縮量)が真空断熱容器20、40とリード電極50または配管70とで異なる。この場合、単に真空断熱容器20、40とリード電極50または配管70とを接着剤などで接続固定していると、真空断熱容器20、40と接着剤、あるいは接着剤とリード電極50または配管70との接続部から剥離やクラックが発生する可能性がある。しかし、本発明による超電導機器用容器では、真空断熱容器20、40とリード電極50または配管70とを接続する接続部材が、真空断熱容器20、40とリード電極50または配管70との熱収縮量の差を吸収する構造である金属製の弾性変形可能な部分を有している。このため、たとえば超電導機器用容器の温度が上昇(あるいは温度が低下)して膨張(収縮)が起こったとしても、真空断熱容器20、40とリード電極50または配管70との熱膨張(熱収縮)量の差は、当該部分が弾性変形することで吸収される。このため、真空断熱容器20、40とリード電極50または配管70との接続部において熱応力に起因する剥離やクラックなどの不具合の発生を抑制し、真空断熱容器20、40とリード電極50または配管70とを確実に接続することができる。
【0098】
上記超電導機器用容器において、接続部材63、65は、開口部の内壁に接触する筐体側固定部としての第1の接続部材63と、開口部の幅より広い幅を有し、弾性変形可能な部分を有する金属部材側固定部としての第2の接続部材65とを含んでいてもよい。第2の接続部材65においては、第2の接続部材65の一方端が第1の接続部材63と接続され、一方端と弾性変形可能な部分(湾曲部)を介して反対側に位置する他方端がリード電極50または配管70と接続されていてもよい。
【0099】
この場合、第2の接続部材65より第1の接続部材63の幅(すなわち開口部の幅)を小さくできる。つまり、真空断熱容器20、40に形成する開口部の幅(径)を、第2の接続部材65の構成とは独立して小さく設定できるので、開口部の径が大きい場合よりも、当該開口部からの熱の出入りを抑制することができる。
【0100】
上記超電導機器用容器において、図10に示すように、接続部材は、開口部の内壁に接触する樹脂製の筐体側固定部73と、弾性変形可能な部分を有し、金属部材としてのリード電極50または配管70と接続された金属製の金属部材側固定部75とを含んでいてもよい。筐体側固定部73は、筐体部材としての真空断熱容器20、40の外周面上において開口部から外側に延びる樹脂製フランジ部を有していてもよい。金属部材側固定部75は、樹脂製フランジ部と対向配置される金属製フランジ部を有していてもよい。金属製フランジ部と樹脂製フランジ部とは接着部材76により接合されていてもよい。弾性変形可能な部分は、金属製フランジ部と樹脂製フランジ部との接合部を含んでいてもよい。また、弾性変形可能な部分は、金属部材側固定部75においてリード電極50または配管70と接続された接続部(図10においてリード電極50と接続された内周側の端部)と金属製フランジ部との間に配置されていてもよい。また、金属製フランジ部の厚みを十分薄くすることにより、金属製フランジ部自体を弾性変形可能な部分としてもよい。
【0101】
この場合、金属製フランジ部と樹脂製フランジ部とが接着部材76により接続固定された部分が真空封止部となるので、当該フランジ部同士が対向する広い面積の真空封止部を形成できる。さらに、金属製フランジ部および樹脂製フランジ部は熱応力を緩和するように弾性変形可能な厚さとすることができるので、当該フランジ部の弾性変形によって熱応力を緩和することもできる。
【0102】
また、本発明に係る超電導機器用容器は、超電導体を含む部材である超電導コイル60を内部に保持する超電導機器用容器であって、開口部を有する樹脂製の筐体部材としての真空断熱容器20、40と、開口部を貫通するように配置された金属部材としてのリード電極50または配管70と、開口部を覆うとともに真空断熱容器20、40とリード電極50または配管70とを接続する接続部材(金属部材側固定部75と筐体側固定部73とからなる接続部材)とを備える。接続部材は、開口部の内壁に接触する樹脂製の筐体側固定部73と、金属部材としてのリード電極50または配管70と接続された金属製の金属部材側固定部75とを含んでいてもよい。筐体側固定部73は、筐体部材としての真空断熱容器20、40の外周面上において開口部から外側に延びる樹脂製フランジ部を有していてもよい。金属部材側固定部75は、樹脂製フランジ部と対向配置される金属製フランジ部を有していてもよい。金属製フランジ部と樹脂製フランジ部とは接着部材76により接合されていてもよい。金属部材側固定部75においてリード電極50または配管70と接続された接続部(図10においてリード電極50と接続された内周側の端部)と金属製フランジ部との間に弾性変形可能な部分(たとえば断面形状が湾曲した湾曲部)が配置されていてもよい。また、金属製フランジ部の厚みを十分薄くすることにより、金属製フランジ部自体を弾性変形可能な部分としてもよい。また、樹脂製フランジ部は真空断熱容器20、40の外周表面から所定の距離T(図10参照)だけ離れて配置されていてもよい。また異なる観点から言えば、樹脂製フランジ部と真空断熱容器20、40の外周表面との間には間隙が形成されていてもよい。
【0103】
また、上記超電導機器用容器では、図12に示すように、金属製フランジ部において接着部材76(図10参照)と接触する表面82には、金属部材としてのリード電極50(または配管70)と接続された接続部を中心として円周方向に延びる線状の凹凸部79が形成されていてもよい。このような凹凸部79を形成することで、金属製フランジ部と接着部材76との接合界面の面積を大きくできる。
【0104】
また、上記超電導機器用容器では、図10に示すように、筐体側固定部73には、筐体部材としての真空断熱容器20、40の開口部の内部に位置する貫通穴74が形成されていてもよい。金属部材としてのリード電極50または配管70は貫通穴74に挿入されていてもよい。貫通穴74の内周面には凹凸部34が形成されていてもよい。リード電極50または配管70の外周面にはネジ構造部78が形成されていてもよい。ネジ構造部78が凹凸部34と噛み合うことにより、リード電極50または配管70は筐体側固定部73に固定されていてもよい。この場合、リード電極50または配管70と接続部材(筐体側固定部73)との固定をネジ構造により容易に行なうことができる。また、筐体側固定部73とリード電極50または配管70との接触面積を、当該凹凸部34やネジ構造部78が形成されていない場合より大きくできるので、筐体側固定部73とリード電極50または配管70との間の熱伝導をスムーズに行なうことができる。
【0105】
本発明に係る超電導機器は、上記超電導機器用容器と、当該超電導機器用容器の内部に配置された、超電導体を含む部材としての超電導コイル60とを備える。この場合、リード電極50または配管70が貫通した真空断熱容器20、40の部分(開口部)でのクラックなどの発生を抑制し、信頼性の高い超電導機器を実現できる。
【0106】
以上のように本発明の実施の形態について説明を行なったが、今回開示した実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明は、超電導機器の外部に対する密閉性を高める技術として、特に優れている。
【符号の説明】
【0108】
10 容器内部空間、12,22,32,42,52 接続部材、14,24,64 湾曲部先端、16,26,36,46,56,66 接合材、17,27,37,47,67 間隙、20,40 真空断熱容器、21 固定用部材、28 フランジ部、30 真空断熱槽、34 凹凸部、44 接続領域、48 上側湾曲部接続領域、50 リード電極、58 上側接続領域、60 超電導コイル、63 第1の接続部材、65 第2の接続部材、70 配管、72,82 表面、73 筐体側固定部、74 貫通穴、75 金属部材側固定部、76 接着部材、78 ネジ構造部、79 凹凸部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超電導体を含む部材を内部に保持する超電導機器用容器であって、
開口部を有する樹脂製の筐体部材と、
前記開口部を貫通するように配置された金属部材と、
前記開口部を覆うとともに前記筐体部材と前記金属部材とを接続し、熱応力緩和部を有する接続部材とを備える、超電導機器用容器。
【請求項2】
前記接続部材は、前記熱応力緩和部として湾曲部を有する、請求項1に記載の超電導機器用容器。
【請求項3】
前記接続部材は、前記開口部の内壁に接触する筐体側固定部と、
前記開口部の幅より広い幅を有し、前記湾曲部を有する金属部材側固定部とを含み、
前記金属部材側固定部においては、前記金属部材側固定部の一方端が前記筐体側固定部と接続され、前記一方端と前記湾曲部を介して反対側に位置する他方端が前記金属部材と接続されている、請求項2に記載の超電導機器用容器。
【請求項4】
前記接続部材を構成する材料はFe−Ni合金である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の超電導機器用容器。
【請求項5】
前記接続部材は、前記開口部の内壁に接触する樹脂製の筐体側固定部と、
前記金属部材と接続された金属製の金属部材側固定部とを含み、
前記筐体側固定部は、前記筐体部材の外周面上において前記開口部から外側に延びる樹脂製フランジ部を有し、
前記金属部材側固定部は、前記樹脂製フランジ部と対向配置される金属製フランジ部を有し、
前記金属製フランジ部と前記樹脂製フランジ部とは接着部材により接合され、
前記応力緩和部は前記金属製フランジ部と前記樹脂製フランジ部との接合部を含む、請求項1に記載の超電導機器用容器。
【請求項6】
超電導体を含む部材を内部に保持する超電導機器用容器であって、
開口部を有する樹脂製の筐体部材と、
前記開口部を貫通するように配置された金属部材と、
前記開口部を覆うとともに前記筐体部材と前記金属部材とを接続し、かつ、金属からなり弾性変形可能な部分を含む接続部材とを備える、超電導機器用容器。
【請求項7】
前記接続部材は、前記開口部の内壁に接触する筐体側固定部と、
前記開口部の幅より広い幅を有し、前記弾性変形可能な部分を有する金属部材側固定部とを含み、
前記金属部材側固定部においては、前記金属部材側固定部の一方端が前記筐体側固定部と接続され、前記一方端と前記弾性変形可能な部分を介して反対側に位置する他方端が前記金属部材と接続されている、請求項6に記載の超電導機器用容器。
【請求項8】
前記接続部材は、前記開口部の内壁に接触する樹脂製の筐体側固定部と、
前記弾性変形可能な部分を有し、前記金属部材と接続された金属製の金属部材側固定部とを含み、
前記筐体側固定部は、前記筐体部材の外周面上において前記開口部から外側に延びる樹脂製フランジ部を有し、
前記金属部材側固定部は、前記樹脂製フランジ部と対向配置される金属製フランジ部を有し、
前記金属製フランジ部と前記樹脂製フランジ部とは接着部材により接合され、
前記弾性変形可能な部分は、前記金属製フランジ部と前記樹脂製フランジ部との接合部を含む、請求項6に記載の超電導機器用容器。
【請求項9】
前記金属製フランジ部において前記接着部材と接触する表面には、前記金属部材と接続された前記接続部を中心として円周方向に延びる凹凸部が形成されている、請求項5または8に記載の超電導機器用容器。
【請求項10】
前記筐体側固定部には、前記筐体部材の前記開口部の内部に位置する貫通穴が形成され、
前記金属部材は前記貫通穴に挿入され、
前記貫通穴の内周面にはメネジ部が形成され、
前記金属部材の外周面にはオネジ部が形成され、
前記オネジ部が前記メネジ部と噛み合うことにより、前記金属部材は前記筐体側固定部に固定されている、請求項5、8または9のいずれか1項に記載の超電導機器用容器。
【請求項11】
請求項1または請求項6に記載の超電導機器用容器と、
前記超電導機器用容器の内部に配置された、超電導体を含む部材とを備える、超電導機器。
【請求項1】
超電導体を含む部材を内部に保持する超電導機器用容器であって、
開口部を有する樹脂製の筐体部材と、
前記開口部を貫通するように配置された金属部材と、
前記開口部を覆うとともに前記筐体部材と前記金属部材とを接続し、熱応力緩和部を有する接続部材とを備える、超電導機器用容器。
【請求項2】
前記接続部材は、前記熱応力緩和部として湾曲部を有する、請求項1に記載の超電導機器用容器。
【請求項3】
前記接続部材は、前記開口部の内壁に接触する筐体側固定部と、
前記開口部の幅より広い幅を有し、前記湾曲部を有する金属部材側固定部とを含み、
前記金属部材側固定部においては、前記金属部材側固定部の一方端が前記筐体側固定部と接続され、前記一方端と前記湾曲部を介して反対側に位置する他方端が前記金属部材と接続されている、請求項2に記載の超電導機器用容器。
【請求項4】
前記接続部材を構成する材料はFe−Ni合金である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の超電導機器用容器。
【請求項5】
前記接続部材は、前記開口部の内壁に接触する樹脂製の筐体側固定部と、
前記金属部材と接続された金属製の金属部材側固定部とを含み、
前記筐体側固定部は、前記筐体部材の外周面上において前記開口部から外側に延びる樹脂製フランジ部を有し、
前記金属部材側固定部は、前記樹脂製フランジ部と対向配置される金属製フランジ部を有し、
前記金属製フランジ部と前記樹脂製フランジ部とは接着部材により接合され、
前記応力緩和部は前記金属製フランジ部と前記樹脂製フランジ部との接合部を含む、請求項1に記載の超電導機器用容器。
【請求項6】
超電導体を含む部材を内部に保持する超電導機器用容器であって、
開口部を有する樹脂製の筐体部材と、
前記開口部を貫通するように配置された金属部材と、
前記開口部を覆うとともに前記筐体部材と前記金属部材とを接続し、かつ、金属からなり弾性変形可能な部分を含む接続部材とを備える、超電導機器用容器。
【請求項7】
前記接続部材は、前記開口部の内壁に接触する筐体側固定部と、
前記開口部の幅より広い幅を有し、前記弾性変形可能な部分を有する金属部材側固定部とを含み、
前記金属部材側固定部においては、前記金属部材側固定部の一方端が前記筐体側固定部と接続され、前記一方端と前記弾性変形可能な部分を介して反対側に位置する他方端が前記金属部材と接続されている、請求項6に記載の超電導機器用容器。
【請求項8】
前記接続部材は、前記開口部の内壁に接触する樹脂製の筐体側固定部と、
前記弾性変形可能な部分を有し、前記金属部材と接続された金属製の金属部材側固定部とを含み、
前記筐体側固定部は、前記筐体部材の外周面上において前記開口部から外側に延びる樹脂製フランジ部を有し、
前記金属部材側固定部は、前記樹脂製フランジ部と対向配置される金属製フランジ部を有し、
前記金属製フランジ部と前記樹脂製フランジ部とは接着部材により接合され、
前記弾性変形可能な部分は、前記金属製フランジ部と前記樹脂製フランジ部との接合部を含む、請求項6に記載の超電導機器用容器。
【請求項9】
前記金属製フランジ部において前記接着部材と接触する表面には、前記金属部材と接続された前記接続部を中心として円周方向に延びる凹凸部が形成されている、請求項5または8に記載の超電導機器用容器。
【請求項10】
前記筐体側固定部には、前記筐体部材の前記開口部の内部に位置する貫通穴が形成され、
前記金属部材は前記貫通穴に挿入され、
前記貫通穴の内周面にはメネジ部が形成され、
前記金属部材の外周面にはオネジ部が形成され、
前記オネジ部が前記メネジ部と噛み合うことにより、前記金属部材は前記筐体側固定部に固定されている、請求項5、8または9のいずれか1項に記載の超電導機器用容器。
【請求項11】
請求項1または請求項6に記載の超電導機器用容器と、
前記超電導機器用容器の内部に配置された、超電導体を含む部材とを備える、超電導機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−33990(P2013−33990A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−223144(P2012−223144)
【出願日】平成24年10月5日(2012.10.5)
【分割の表示】特願2010−192004(P2010−192004)の分割
【原出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年10月5日(2012.10.5)
【分割の表示】特願2010−192004(P2010−192004)の分割
【原出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
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