説明

超電導線材の接続構造、超電導機器および超電導線材の接続方法

【課題】接続抵抗を低減できる超電導線材の接続構造、超電導機器および超電導線材の接続方法を提供する。
【解決手段】超電導線材の接続構造10は、酸化物超電導体とシース部とを含む第1の超電導線材20と、酸化物超電導体とシース部とを含む第2の超電導線材30と、第1の超電導線材20の酸化物超電導体と第2の超電導線材30の超電導体とを接続するMOD超電導層40とを備えている。酸化物超電導線材の接続方法は、第1の超電導線材20を準備する工程と、第2の超電導線材30を準備する工程と、第1の超電導線材20の酸化物超電導体と、第2の超電導線材30の超電導体とを無フッ素系MOD溶液を介して無フッ素系MOD溶液と接触するように配置する工程と、無フッ素系MOD溶液をMOD超電導層40にする工程とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超電導線材の接続構造、超電導機器および超電導線材の接続方法に関し、たとえば少なくとも一方の超電導線材がBi系超電導線材である超電導線材の接続構造、超電導機器および超電導線材の接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、MRI用マグネット、NMR用マグネット、およびシリコン引き上げ炉用マグネットなどの産業用マグネットを含む超電導機器には、複数の超電導線材を接続して長尺化された超電導線材が用いられている。このような超電導機器において、永久電流モード通電を行なう場合には、超電導線材の接続部の抵抗をゼロに近づける必要がある。
【0003】
超電導線材の接続方法として、たとえば特開2000−133067号公報(特許文献1)に、半田接続法として、酸化物超電導導体の接続構造および接続方法が開示されている。特許文献1には、基板と、基板上に形成された酸化物超電導層と、超電導層上に形成された安定化層とからなる複数の超電導線材の安定化層同士について半田を介して接続される接続構造および接続方法が開示されている。
【0004】
また、たとえば特開平7−192837号公報(特許文献2)に、拡散接合法として、酸化物超電導線材の接続方法が開示されている。特許文献2には、酸化物超電導線材の外周面を導電性金属層で被覆してなる超電導線材同士の一部を重ね合わせて、重ね合わせにより対接する部分の少なくともいずれか一方の導電性金属の厚さを最大95%除去し、除去した導電性金属層面にペースト層を被着形成し、熱処理を施して接続する方法が開示されている。
【0005】
また、たとえば特開2001−319750号公報(特許文献3)に、酸化物超電導導体の接続方法が開示されている。特許文献3には、基板と基板上に形成された超電導層とを備える2の超電導線材の端部で超電導層を除去して基板を露出させ、基板同士を接合して、露出部分に酸化物超電導層を形成する接続方法が開示されている。
【特許文献1】特開2000−133067号公報
【特許文献2】特開平7−192837号公報
【特許文献3】特開2001−319750号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に開示の酸化物超電導導体の接続方法は、半田を介して2つの超電導線材を接続させる半田接続法を採用しているが、半田を超電導層に直接接続させることは困難である。そのため、銀安定化層や銅安定化層などの安定化層を超電導層上に形成し、安定化層同士を半田を介して接続する。この場合には、安定化層と半田との間に電気抵抗が残存してしまうという問題がある。このように電気抵抗が残存すると、接続部が超電導状態を保つ永久電流ジョイントは困難である。
【0007】
また、上記特許文献2に開示の酸化物超電導線材の接続方法では、超電導層上に形成した安定化層同士を拡散接合させる拡散接合法を採用しているが、拡散接合法は、半田接合法に比べて接続抵抗値は低減されるものの、安定化層を介しての接続抵抗が低減できない。すなわち、導電性金属とペースト層との間に電気抵抗が残存してしまうという問題がある。そのため、永久電流ジョイントは困難である。
【0008】
さらに、上記特許文献3に開示の酸化物超電導導体の接続方法では、超電導層を除去しているので、あらたに超電導層を形成した部分と、端部以外の超電導層の部分との接続部分において、その結晶成長をそれぞれ別に基板上に行なっている。また、基板同士を加熱圧接により接続して、接続した基板端部の上に超電導層を形成している。そのため、基板の加熱圧接によって基板の結晶性が乱れてその上に成長させた超電導層は結晶性が低下し、さらには成長した結晶の組成の相違から接続抵抗がまだ残存してしまうという問題がある。
【0009】
それゆえ本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、接続抵抗を低減できる超電導線材の接続構造、超電導機器および超電導線材の接続方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一の局面における超電導線材の接続構造は、酸化物超電導体と酸化物超電導体を被覆するシース部とを含む第1の超電導線材と、超電導体を含む第2の超電導線材とを接続する構造である。第1の超電導線材の酸化物超電導体と、第2の超電導線材の超電導体とを接続するMOD超電導体を備えている。
【0011】
本発明の一の局面における超電導線材の接続構造によれば、第1の超電導線材の酸化物超電導体または第2の超電導線材の超電導体を起点として成長されてなる、若しくは、MOD超電導体は第1の超電導線材の酸化物超電導体および第2の超電導線材の超電導体の少なくとも一方を包含するように成長されてなるMOD超電導体により接続されている。そのため、第1の超電導線材の酸化物超電導体と第2の超電導線材の超電導体とをMOD超電導体を介して接続されている。よって、第1の超電導線材の酸化物超電導体および第2の超電導線材の超電導体は、MOD超電導体との間の接続抵抗を低減できる。
【0012】
なお、上記「MOD超電導体」とは、無フッ素系MOD溶液をMOD法(有機金属堆積法)によりエピタキシャル成長させてなる超電導体を意味する。MOD(有機金属堆積)溶液とは、形成されるMOD超電導体の原子を含む有機金属を有機溶媒に溶かした液体を意味する。
【0013】
上記超電導線材の接続構造において好ましくは、第2の超電導線材は、基板と、基板上に形成された中間層と、中間層上に形成された上記超電導体を構成する超電導層とを含んでいる。
【0014】
これにより、第2の超電導線材は磁場に強い特性を有しているため、磁場がかかる場合であっても、超電導線材の接続構造により、超電導特性の低下を防止できる。
【0015】
上記超電導線材の接続構造において好ましくは、第2の超電導線材は、上記超電導体を構成する酸化物超電導体と、酸化物超電導体を被覆するシース部とを含んでいる。
【0016】
これにより、第1および第2の超電導線材は安価であるため、コストの低減を図ることができる。
【0017】
上記超電導線材の接続構造において好ましくは、第1の超電導線材のMOD超電導体と接続される被接続部の表面粗さRaは50nm以下である。これにより、MOD超電導体の特性を向上することができる。
【0018】
なお、上記「表面粗さRa」とは、JIS B 0601に準拠して測定される値である。
【0019】
本発明の他の局面における超電導線材の接続構造は、酸化物超電導体とシース部とを含む、複数の超電導線材の接続構造である。複数の超電導線材の酸化物超電導体を接続する超電導体を備えている。
【0020】
本発明の他の局面における超電導線材の接続構造によれば、超電導線材の酸化物超電導体を起点として成長されてなる、もしくは、超電導線材の酸化物超電導体を包含するように成長されてなる超電導体により接続されている。そのため、超電導線材の酸化物超電導体は、超電導体との間の接続抵抗を低減できる。
【0021】
本発明の超電導機器は、上記超電導線材の接続構造を備えている。本発明の超電導機器によれば、接続抵抗が低減された長尺な所望の長さの超電導線材を備えることができる。そのため、高い超電導特性を維持した超電導機器となる。
【0022】
本発明の超電導線材の接続方法は、第1の超電導線材を準備する工程と、第2の超電導線材を準備する工程と、配置する工程と、MOD超電導体にする工程とを備えている。第1の超電導線材を準備する工程では、酸化物超電導体と酸化物超電導体を被覆するシース部とを含む第1の超電導線材を準備する。第2の超電導線材を準備する工程では、超電導体を含む第2の超電導線材を準備する。配置する工程では、第1の超電導線材の酸化物超電導体と、第2の超電導線材の超電導体とを無フッ素系MOD溶液を介して無フッ素系MOD溶液と接触するように配置する。MOD超電導体にする工程では、無フッ素系MOD溶液をMOD超電導体にする。
【0023】
特に上記特許文献3と異なり、本発明の超電導線材の接続方法では元々形成されている第1の超電導線材の酸化物超電導体および第2の超電導線材の超電導体を維持し、その上にMOD超電導体を成長させている。すなわち、本発明の超電導線材の接続方法によれば、第1の超電導線材の酸化物超電導体または第2の超電導線材の超電導体を起点として、若しくは、第1の超電導線材の酸化物超電導体および第2の超電導線材の超電導体の少なくとも一方を含むようにMOD超電導体を成長させている。これにより、第1の超電導線材の酸化物超電導体と第2の超電導線材の超電導体とをMOD超電導体を介して接続している。そのため、第1の超電導線材の酸化物超電導体および第2の超電導線材の超電導体は、MOD超電導体との間の接続抵抗を低減できる。
【0024】
上記超電導線材の接続方法において好ましくは、第2の超電導線材を準備する工程では、基板と、基板上に形成された中間層と、中間層上に形成された上記超電導体を構成する超電導層とを含む超電導線材を準備する。
【0025】
これにより、第2の超電導線材は磁場に強い特性を有しているため、磁場がかかる場合であっても、超電導特性の低下を防止して超電導線材を接続できる。
【0026】
上記超電導線材の接続方法において好ましくは、第2の超電導線材を準備する工程では、上記超電導体を構成する酸化物超電導体と、酸化物超電導体を被覆するシース部とを含む超電導線材を準備する。
【0027】
これにより、第1および第2の超電導線材は安価であるため、コストの低減を図ることができる。
【0028】
上記超電導線材の接続方法において好ましくは、第1の超電導線材の無フッ素系MOD溶液を配置する被接続部の表面粗さRaを50nm以下に平坦化する工程をさらに備えている。
【0029】
これにより、第1の超電導線材の被接続部上にMOD超電導体の結晶が均一に成長する。そのため、MOD超電導体の特性を向上できる。
【発明の効果】
【0030】
本発明の超電導線材の接続構造、超電導機器および超電導線材の接続方法によれば、接続抵抗を低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には、同一の参照符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0032】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における超電導線材の接続構造を示す概略側面図である。図1を参照して、本発明の実施の形態1における超電導線材の接続構造を説明する。実施の形態1における超電導線材の接続構造は、2本のBi系超電導線材の接続構造としている。
【0033】
具体的には、図1に示すように、超電導線材の接続構造10は、第1の超電導線材20と、第2の超電導線材30と、MOD超電導層40とを備えている。第1の超電導線材20は、酸化物超電導体と、酸化物超電導体を被覆するシース部とを含んでいる。第2の超電導線材30は、超電導体である酸化物超電導体と、酸化物超電導体を被覆するシース部とを含んでいる。MOD超電導層40は、第1の超電導線材20の酸化物超電導体と第2の超電導線材30の超電導体とを接続している。
【0034】
また、第1および第2の超電導線材20,30は一方の端部において表面の一部が除去されており、第1および第2の超電導線材20,30の一方の端部において端に向けて階段状に1段後退する形状(端面に酸化物超電導体が現れるような形状)を有している。第1および第2の超電導線材20,30の一方の端部には、酸化物超電導体を含む第1および第2の被接続部23,33が露出している。MOD超電導体40は、第1および第2の被接続部23,33上に、第1および第2の超電導線材20,30が重なるように形成されている。すなわち、第1および第2の超電導線材20,30は、MOD超電導体40を中心として対向させて配置されている。
【0035】
実施の形態1では、超電導線材の接続構造10の長尺化を図るために、第1および第2の超電導線材20,30の一方端部にMOD超電導体40を形成しているが、特にこの構成に限定されない。第1および第2の超電導線材20,30において、所望の箇所で表面の一部を除去して酸化物超電導体含む第1および第2の被接続部23,33を形成してもよい。
【0036】
なお、3本以上の超電導線材の接続構造であれば、超電導線材の接続構造の長尺化を図るために、MOD超電導体40は、3本以上の超電導線材の一方または両方の端部の被接続部上に形成されていることが好ましい。
【0037】
第1の超電導線材20は、図2(A)に示すように、長手方向に延びる複数本の酸化物超電導体21(フィラメント)と、それらを被覆するシース部22とを含んでいる。なお、図2(A)は、第1の超電導線材20を準備する工程を示す概略斜視図である。同様に、第2の超電導線材30は、酸化物超電導体とシース部とを含んでいる。
【0038】
図1に示すように、第1の超電導線材20の表面の一部が除去されて酸化物超電導体を含む断面(第1の超電導線材20においてMOD超電導体40と接続される被接続部23)が露出している場合には、被接続部23の表面粗さRaは50nm以下であることが好ましく、20nm以下であることがより好ましい。表面粗さRaを50nm以下とすることによって、MOD超電導体40の結晶配向性が良好となるため、MOD超電導体40の超電導特性を向上できる。表面粗さRaを20nm以下とすることによって、MOD超電導体40の超電導特性をより向上できる。
【0039】
また、第2の超電導線材30についても同様に、MOD超電導体40と接続される被接続部33の表面粗さRaは50nm以下であることが好ましく、20nm以下であることがより好ましい。
【0040】
第1および第2の超電導線材20,30を構成する酸化物超電導体の材質は、たとえばBi−Pb−Sr−Ca−Cu−O系の組成が好ましく、(BiとPb):Sr:Ca:Cuの原子比がほぼ2:2:2:3の比率で近似して表わされるBi2223層を含む材質であることがより好ましい。シース部の材質は、たとえば銀や銀合金などの金属よりなる。
【0041】
なお、第1および第2の超電導線材20,30は、図2(A)に示す複数の酸化物超電導体21を含む多芯線に限定されず、1本の酸化物超電導体がシース部により被覆される単芯線構造であってもよい。
【0042】
MOD超電導体40は、フッ素を含まない有機金属堆積法(無フッ素系MOD法)により形成されている。実施の形態1では、MOD超電導体40は、第1および第2の超電導線材20,30の超電導体を起点として成長されてなるので、第1および第2の超電導線材20,30との接続抵抗を低減できる。
【0043】
たとえば、無フッ素系MOD溶液として、RE(REとはイットリウム(Y)、ガドリニウム(Gd)、サマリウム(Sm)およびホルミウム(Ho)などの希土類元素を意味する)とBaとCuとが約1:2:3の割合で含まれているアセチルアセトナート系MOD溶液を用いる場合には、MOD超電導体40は、REBa2Cu36(REBCO)からなる。
【0044】
第1および第2の超電導線材20,30の延びる方向(長さ方向)であるMOD超電導体40の長さLは10mm〜100mmとすることが好ましい。超電導線材20,30の幅方向であるMOD超電導体40の幅Wは、3mm〜50mmとすることが好ましい。MOD超電導体40の厚さDは、0.2μm〜10μmとすることが好ましい。
【0045】
次に、図2(A)〜(D)および図3を参照して、実施の形態1における超電導線材20,30の接続方法を説明する。なお、図2は、本発明の実施の形態1における超電導線材20,30の接続方法を説明するための図であり、(A)は第1の超電導線材を準備する工程を示す概略斜視図であり、(B)は、第1の被接続部を形成する工程を示す概略斜視図であり、(C)は、無フッ素系MOD溶液を塗布する工程を示す概略斜視図であり、(D)は、配置する工程を示す概略斜視図である。図3は、本発明の実施の形態1における超電導線材の接続方法を示すフローチャートである。
【0046】
図2(A)および図3に示すように、まず、酸化物超電導体21と酸化物超電導体21を被覆するシース部22とを含む第1の超電導線材20を準備する工程(S10)を実施する。
【0047】
次に、超電導体を含む第2の超電導線材30を準備する工程(S20)を実施する。実施の形態1では、酸化物超電導体と、シース部とを含む超電導線材を準備する。工程(S10,S20)では、たとえばBi2223層を含む超電導線材を準備する。
【0048】
次に、図2(B)および図3に示すように、第1の超電導線材20のシース部22を除去することにより、酸化物超電導体21を露出させて第1の被接続部23を形成する工程(S30)を実施する。実施の形態1では、第1の超電導線材20の表面の一部を除去して第1の被接続部23を形成している。なお、第1の超電導線材20の表面の一部を除去する際に、シース部22とともに酸化物超電導体21の一部を除去してもよい。この露出した部分を第1の被接続部23としている。
【0049】
この工程(S30)では、被接続部は、超電導線材20の端部に形成されることが好ましい。実施の形態1では、超電導線材20の一方の端部において、超電導線材20のシース部22を含む表面の一部を、段差ができるように除去する。
【0050】
第1の被接続部23を形成する方法は、任意の方法を用いることができ、たとえば機械的研磨、化学的研磨、ウエットエッチング、またはこれらの組み合わせなどにより行なうことができる。特に、超電導線材20の超電導特性を維持する観点から、機械的研磨と化学的研磨との組み合わせ、またはメカノケミカル研磨により行なうことが好ましい。
【0051】
また、第1の被接続部23の表面粗さRaを50nm以下に平坦化する工程(S40)を実施することが好ましい。平坦化する方法は、任意の方法を用いることができるが、たとえばメカノケミカル、機械的研磨、化学的研磨、ウエットエッチング、またはこれらの組み合わせなどにより行なうことができる。特に、第1の被接続部23を中心とした領域に限定して平滑化する観点から、メカノケミカル研磨により行なうことが好ましい。
【0052】
平坦化する工程(S40)において、第1の被接続部23の表面粗さRaは、50nm以下とすることが好ましく、20nm以下とすることがより好ましい。Raを50nm以下とすることによって、第1の被接続部23上に、MOD超電導体40の結晶が均一に成長しやすくなるので、MOD超電導体40の超電導特性を向上できる。Raを20nm以下とすることによって、MOD超電導体40の超電導特性をより向上できる。なお、第1の被接続部23の表面粗さRaは、MOD超電導体40が形成される側の面の表面粗さRaを意味する。
【0053】
次に、第2の超電導線材30の超電導体を露出させて第2の被接続部33を形成する工程(S50)を実施する。実施の形態1では、第2の超電導線材30は、第1の超電導線材20と同様のBi系超電導線材であるので、工程(S50)は第1の被接続部23を形成する工程(S30)と同様である。
【0054】
次に、図2(C)および(D)に示すように、第1の超電導線材20の酸化物超電導体21と、第2の超電導線材30の超電導体である酸化物超電導体とを無フッ素系MOD溶液41を介して無フッ素系MOD溶液41と接触するように配置する工程(S60)を実施する。
【0055】
工程(S60)は、具体的には、第1の被接続部23に無フッ素系MOD溶液41を塗布する工程(S61)を実施する。この工程(S61)では、少なくとも第1の被接続部23に無フッ素系MOD溶液41を塗布すればよく、第1および第2の被接続部23,33の両方に塗布してもよい。
【0056】
ここで、無フッ素系MOD溶液は、作製したいMOD超電導体40の原子を含む有機金属を有機溶媒に溶かした液体である。たとえばHoBCOからなるMOD超電導体40を形成する場合には、無フッ素系MOD溶液は、HoとBaとCuとが約1:2:3の割合で含まれているアセチルアセトナート系MOD溶液を用いる。無フッ素系MOD法を用いることにより、無フッ素系MOD溶液は中性溶液であるため、第1および第2の超電導線材を構成する超電導体にダメージを与えないとともに、フッ素を含んでいないので人体や環境への負荷が非常に軽減される。
【0057】
次に、第1の被接続部23と第2の被接続部33とを無フッ素系MOD溶液41を介して対向する位置に配置する工程(S62)を実施する。この工程(S62)では、たとえば第1の被接続部23の上に配置される無フッ素系MOD溶液41上に第2の被接続部33を配置する。
【0058】
なお、実施の形態1の配置する工程(S60)では、塗布する工程(S61)の実施後に、配置する工程(S62)を実施しているが、特にこれに限定されない。たとえば、第1の被接続部23と第2の被接続部33とを対向する位置に配置する工程(S62)を実施した後に、第1および第2の被接続部23,33に無フッ素系MOD溶液41を塗布する工程(S61)を実施してもよい。この場合の塗布する工程(S61)は、たとえば、対向させた第1および第2の被接続部23,33の接触界面に無フッ素系MOD溶液を浸漬させる。浸漬させる方法は特に限定されないが、たとえば対向させた状態の第1および第2の被接続部23,33を無フッ素系MOD溶液に浸漬させる。無フッ素系MOD溶液を浸漬させることにより、第1および第2の被接続部23,33の表面(表面が凹凸状態であれば凹凸の隙間も含む)に無フッ素系MOD溶液を付着させることができる。浸漬させる際、第1および第2の被接続部23,33は接触していることが好ましく、第1および第2の被接続部23,33を密着させておくことがより好ましい。
【0059】
次に、無フッ素系MOD溶液41をMOD超電導体40にする工程(S70)を実施する。工程(S70)では、無フッ素系MOD法(フッ素を含まない有機金属堆積法)により行なう。無フッ素系MOD法は、無フッ素系MOD溶液から結晶成長を出発させて、局所的に非常に速く、結晶性に優れたMOD超電導体40を形成できる。
【0060】
具体的には、まず、400℃以上600℃以下の温度範囲で熱処理を行なう仮焼成工程を実施する。仮焼成工程により、有機成分を除去できる。そして、700℃以上900℃以下の温度範囲で熱処理を行なう本焼成工程を実施する。本焼成工程により、第1の超電導線材20の酸化物超電導体21と第2の超電導線材30の酸化物超電導体との界面にエピタキシャル成長させてMOD超電導体40を形成できる。そして、350℃〜550℃の雰囲気において、第1の超電導線材20の酸化物超電導体21、第2の超電導線材30の超電導体、およびMOD超電導体40に酸素をドープする酸素アニール工程を実施する。酸素アニール工程により、77Kでのより高い臨界電流値Icを得ることができる。
【0061】
仮焼成工程および本焼成工程では、第1および第2の超電導線材20,30に0.5kgf〜10kgfの圧力を印加して行なうことが好ましい。0.5kgf以上の圧力を印加することによって、MOD超電導体40の焼成時の大きな体積変化を吸収でき、接続される第1の超電導線材20の酸化物超電導体21と第2の超電導線材30の酸化物超電導体との間に良好にエピタキシャル成長してなるMOD超電導体40を得ることができる。なお、MOD超電導体40を焼成して結晶成長する際には、一般的にその体積は約10%程度収縮する。10kgf以下の圧力を印加することによって、第1の超電導線材20の酸化物超電導体21、第2の超電導線材30の超電導体、およびMOD超電導体40の超電導特性の低下を防止できる。
【0062】
なお、第1の被接続部23に無フッ素系MOD溶液41を塗布する工程(S61)後に仮焼成工程を実施し、その後に第1の被接続部23と第2の被接続部33とを無フッ素系MOD溶液41を介して配置する工程(S62)を実施することもできる。
【0063】
以上の工程(S10〜S70)を実施することにより、図1に示す実施の形態1における超電導線材の接続構造10が得られる。
【0064】
なお、実施の形態1では、第1および第2の超電導線材20,30を準備する工程(S10,20)で2本の超電導線材を準備しているが、3本以上(たとえばn本)の超電導線材を準備する場合には、(n−2)本の超電導線材については、その両端部について被接続部を形成し、残りの2本の超電導線材については一方の端部に被接続部を形成することが好ましい。この場合には、n本の超電導線材のうち、2の被接続部ごとに対向させて、2の被接続部ごとにMOD超電導体40を形成することが好ましい。そして、被接続部を一方の端部にのみ形成した2本の超電導線材が、超電導線材の接続構造の両端に配置されるように、MOD超電導体40を形成することが好ましい。これにより、(n−1)のMOD超電導体40により接続されたn本の超電導線材の接続構造が得られる。
【0065】
以上説明したように、本発明の実施の形態1における超電導線材の接続構造10によれば、酸化物超電導体21と酸化物超電導体21を被覆するシース部22とを含む第1の超電導線材20と、超電導体を含む第2の超電導線材30とを接続する構造であって、第1の超電導線材20の酸化物超電導体21と、第2の超電導線材30の超電導体とを接続するMOD超電導体40を備えている。MOD超電導体40は、第1の超電導線材20の酸化物超電導体21、または第2の超電導線材30の酸化物超電導体を起点として成長している。そして、第1および第2の超電導線材20,30は、MOD超電導体40を介して超電導接続されている。よって、第1の超電導線材20の酸化物超電導体21および第2の超電導線材30の超電導体は、MOD超電導体40との間の接続抵抗を低減できる。なお、MOD超電導体40が接続している第1および第2の超電導線材20,30の酸化物超電導体は、シース部から露出している酸化物超電導体を意味する。
【0066】
上記超電導線材の接続構造10において好ましくは、第2の超電導線材30は、上記超電導体を構成する酸化物超電導体と、酸化物超電導体を被覆するシース部とを含んでいる。第1および第2の超電導線材20,30は安価なBi系の超電導線材であるため、コストの低減を図ることができる。
【0067】
上記超電導線材の接続構造10において好ましくは、第1の超電導線材20のMOD超電導体40と接続される被接続部23の表面粗さRaは50nm以下である。これにより、MOD超電導体40は、平坦な表面から成長されてなるので、結晶配向性に優れている。よって、MOD超電導体40の超電導特性を向上することができる。
【0068】
また、本発明の実施の形態1における超電導線材の接続構造10によれば、酸化物超電導体と酸化物超電導体を被覆するシース部とを含む、複数の超電導線材(第1および第2の超電導線材20,30など)の接続構造であって、複数の超電導線材の酸化物超電導体を接続する超電導体(MOD超電導体40など)を備えている。酸化物超電導体同士が超電導層を介して超電導接続されるため、複数の超電導線材はMOD超電導体40との間の接続抵抗を低減できる。なお、従来、Bi系超電導線材同士の接続構造は、Bi系超電導線材を構成する酸化物超電導体同士を介在物無しに接続していたので、接続抵抗に問題があった。本発明の超電導線材の接続構造10によれば、MOD超電導体40などの超電導体により接続しているので、Bi系酸化物超電導体の隙間を超電導体が埋めることができるため、接続抵抗を低減できる。
【0069】
本発明の実施の形態1における超電導線材の接続方法によれば、酸化物超電導体21と酸化物超電導体21を被覆するシース部22とを含む第1の超電導線材20を準備する工程(S10)と、超電導体を含む第2の超電導線材30を準備する工程(S20)と、第1の超電導線材20の酸化物超電導体21と、第2の超電導線材30の超電導体とを無フッ素系MOD溶液41を介して無フッ素系MOD溶液41と接触するように配置する工程(S60)と、無フッ素系MOD溶液41をMOD超電導体40にする工程(S70)とを備えている。第1の超電導線材20の酸化物超電導体21、または第2の超電導線材30の超電導体である酸化物超電導体を起点としてMOD超電導体40を成長させている。そして、第1の超電導線材20と第2の超電導線材30とをMOD超電導体40を介して超電導接続している。よって、第1の超電導線材20の酸化物超電導体21および第2の超電導線材30の超電導体は、MOD超電導体40との間の接続抵抗を低減できる。
【0070】
また、無フッ素MOD法では反応性に富むフッ素を含む溶液を用いていないので、MOD超電導層40を形成する際に、第1および第2の超電導線材20,30を構成する超電導体に影響を及ぼさない。
【0071】
さらに、無フッ素系MOD法によりMOD超電導体40を形成するので、非真空系の雰囲気で第1および第2の超電導線材20,30を接続できる。そのため、大型の超電導機器への適用が可能となり、接続方法の自由度が大きい点で有利である。
【0072】
上記超電導線材の接続方法において好ましくは、第2の超電導線材30を準備する工程(S20)では、上記超電導体を構成する酸化物超電導体と、酸化物超電導体を被覆するシース部とを含む超電導線材を準備する。第1および第2の超電導線材20,30は安価であるため、コストの低減を図ることができる。
【0073】
上記超電導線材の接続方法において好ましくは、第1の超電導線材20の無フッ素系MOD溶液41を配置する被接続部23の表面粗さRaを50nm以下に平坦化する工程(S70)をさらに備えている。これにより、第1の超電導線材20の被接続部23上にMOD超電導体40の結晶が均一に成長する。そのため、MOD超電導体40の特性を向上できる。
【0074】
(実施の形態2)
図4を参照して、本発明の実施の形態2における超電導線材の接続構造について説明する。実施の形態2における超電導線材の接続構造は、2本のBi系超電導線材の接続構造としている。なお、図4は、本発明の実施の形態2における超電導線材の接続構造を示す側面図である。
【0075】
図4に示すように、実施の形態2における超電導線材の接続構造11は、第1の超電導線材20と、第2の超電導線材30と、MOD超電導体40と、下地50とを備えている。第1および第2の超電導線材20,30は、酸化物超電導体と、酸化物超電導体を被覆するシース部とを含んでいる。MOD超電導体40は、第1の超電導線材20の酸化物超電導体と第2の超電導線材30の酸化物超電導体とを接続している。下地50は、基板51と、基板51上に形成された中間層52とを含む下地50とを備えている。
【0076】
第1および第2の超電導線材20,30は、一方の端部においてシース部が除去されて露出されたそれぞれの酸化物超電導体である第1および第2の被接続部を有している。そして、第1および第2の被接続部を集合体31としている。集合体31において、それぞれの露出された酸化物超電導体が密着していることが好ましい。MOD超電導体40は、下地50の基板51と反対の表面(図4では中間層52の表面)から、露出されたそれぞれの酸化物超電導体の集合体31をすべて包含する位置まで覆うように形成されている。
【0077】
なお、集合体31は、第1および第2の超電導線材20,30の酸化物超電導体のみからなることが好ましいが、シース部を一部含んでいてもよい。
【0078】
下地50は、基板51と、中間層52とを備えていれば特に限定されず、中間層52上に超電導層をさらに備えていてもよい。下地50を構成する基板51の材料は金属であることが好ましい。基板51は、配向金属基板を用いることがより好ましい。なお、配向金属基板とは、基板表面の面内の2軸方向に関して、結晶方位が揃っている基板を意味する。配向金属基板としては、たとえばNi(ニッケル)、Cu(銅)、Cr(クロム)、Mn(マンガン)、Co(コバルト)、Fe(鉄)、Pd(パラジウム)、Cu(銅)、Ag(銀)、およびAu(金)のうち2以上の金属からなる合金が好適に用いられる。これらの金属を他の金属または合金と積層することもでき、たとえば高強度材料であるSUSなどの合金を用いることもできる。基板51の材料は特にこれに限定されず、たとえば金属以外の材料を用いてもよい。
【0079】
下地50を構成する中間層52を構成する材料は、岩塩型、蛍石型、ペロブスカイト型、およびパイロクロア型の少なくともいずれか1つの結晶構造を有する酸化物であることが好ましい。このような結晶構造を有する酸化物として、酸化セリウム(CeO2)、酸化ホルミニウム(Ho23)、酸化イットリウム(Y23)、および酸化イッテルビウム(Yb23)などの希土類元素酸化物、酸化マグネシウム(MgO)、酸化アルミニウム(Al23)、およびイットリア安定化ジルコニア(YSZ)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、BZO(BaZrO3)などのLn−M−O化合物(Lnは1種以上のランタノイド元素、MはSr、Zr、およびGaの中から選ばれる1種以上の元素、Oは酸素)が挙げられる。特に、中間層52を構成する材料が、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)、酸化セリウム(CeO2)、酸化マグネシウム(MgO)、およびチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)などが結晶定数および結晶配向性の観点から好適に用いられる。これらの材料は、超電導体との反応性が極めて低く、MOD超電導体40または下地を構成する超電導層と接触している境界面においても超電導特性を低下させない。特に、基板51を構成する材料として金属を用いる場合には、表面に結晶配向性を有する基板51と中間層52上に形成される超電導層との差を緩和して、中間層52上に形成される超電導層を高温で形成する際に、表面に結晶配向性を有する配向金属からなる基板51から超電導層への金属原子の流出を防止する役割を果たすことができる。なお、中間層52を構成する材料は特にこれに限定されない。
【0080】
また、中間層52は、良好な結晶配向性を有していることが好ましい。良好な結晶配向性を有する材料としては、上記材料が挙げられる。
【0081】
また、中間層52は、複数の層により構成されていてもよい。中間層52が複数の層により構成される場合、中間層52を構成するそれぞれの層は互いに異なる材質または一部が同じ材質により構成されていてもよい。
【0082】
中間層52の超電導層が形成される側の表面は平坦であることが好ましい。たとえば、中間層52の当該表面の表面粗さRaは50nm以下とすることが好ましく、20nm以下とすることがより好ましい。表面粗さRaを50nm以下とすることによって、その表面上に優れたMOD超電導体40または下地50を形成する超電導層を形成できる。Raを20nm以下とすることによって、より優れたMOD超電導体40または下地を構成する超電導層を形成できる。
【0083】
下地50が超電導層を備えている場合には、当該超電導層の材料は特に限定されないが、たとえばRE−123系の超電導体とすることが好ましい。なお、RE−123系の超電導体とは、REBa2Cu3y(yは6〜8、より好ましくはほぼ7、REとはイットリウム、またはGd、Sm、Hoなどの希土類元素を意味する)として表される超電導体を意味する。このような材料とすることによって、その上に形成されるMOD超電導体40の超電導特性を向上できる。
【0084】
また、下地50を構成する超電導層のMOD超電導体40と対向する表面は、平坦であることが好ましい。当該表面の表面粗さは50nm以下とすることが好ましく、20nm以下とすることがより好ましい。表面粗さRaを50nm以下とすることによって、その表面上に優れたMOD超電導体40を形成できる。Raを20nm以下とすることによって、より優れたMOD超電導体40を形成できる。
【0085】
なお、下地50は、基板51と中間層52とを備えていれば特に限定されないが、中間層52上に超電導層をさらに備えていることが好ましい。下地50が超電導層を備えることによって、超電導線材の接続構造11の接続部分において、第1の被接続部と第2の被接続部である酸化物超電導体、およびMOD超電導体40のみならず、下地50の超電導層も超電導体の役割を果たす。そのため、超電導線材の接続構造11の接続部分において、超電導接続の信頼性を向上できる。また、下地50は補助材の役割も果たすことができる。
【0086】
次に、図2(A)、図3、図5(A)〜(C)を参照して、実施の形態2における超電導線材の接続方法について説明する。なお、図5は、本発明の実施の形態2における超電導線材20,30の接続方法を説明するための図であり、(A)は第1の超電導線材を準備する工程を示す概略斜視図であり、(B)は、第1の被接続部を形成する工程を示す概略斜視図であり、(C)は、配置する工程を示す概略斜視図である。
【0087】
まず、図2(A)および図3に示すように、酸化物超電導体21とシース部22とを含む第1の超電導線材20を準備する工程(S10)を実施する。次に、超電導体である酸化物超電導体とシース部とを含む第2の超電導線材30を準備する工程(S20)を実施する。工程(S10,S20)は、実施の形態1と同様であるので、その説明は繰り返さない。
【0088】
次に、図5(A)に示すように、第1の超電導線材20のシース部22を除去することにより、酸化物超電導体21を露出させて第1の被接続部を形成する工程(S30)を実施する。実施の形態2では、第1の超電導線材20の端部において、シース部22を除去して酸化物超電導体21を露出させている。露出された酸化物超電導体21が、第1の被接続部となる。
【0089】
シース部22を除去する方法は、任意の方法を採用できるが、シース部22のみを除去する観点から、シース部22のみを選択的に溶解できるウエットエッチング法により行なうことが好ましい。ウエットエッチング法としては、たとえばフッ素を含む溶液などでシース部22の一部を溶解した後に、酸性溶液に複数回浸漬する。
【0090】
次に、第2の超電導線材30についても同様に、シース部を除去して、酸化物超電導体を露出させる。露出された酸化物超電導体が、第2の被接続部となる(S50)。
【0091】
そして、第1および第2の被接続部をあわせて集合体31とする。この際に、第1および第2の被接続部を絡ませて集合体31にすることが好ましい。
【0092】
次に、集合体31の表面を平滑化する工程(S40)を実施することが好ましい。この工程(S40)は、実施の形態1と同様であるので、その説明は繰り返さない。
【0093】
次に、下地50を準備する工程を実施する。まず、たとえばNi合金やCu合金などの配向金属からなる基板51を準備する。そして、基板51の表面上に中間層52を形成する。中間層52としては、たとえばYSZやCeO2などからなる層を形成する。また、成膜方法としては、任意の成膜方法を用いることができるが、たとえばパルスレーザ蒸着法(Pulsed Laser Deposition:PLD法)などの物理蒸着法を用いることができる。
【0094】
そして、下地50が超電導層を含んでいる場合には、中間層52の表面上に、たとえば気相法、液相法、またはそれらの組み合わせにより超電導層を形成する。超電導層としては、たとえばHoBCOなどからなる層を形成する。気相法としては、たとえばレーザ蒸着法、スパッタリング法、および電子ビーム蒸着法などが挙げられる。液相法としては、たとえば有機金属堆積法などが挙げられる。レーザ蒸着法、スパッタリング法、電子ビーム法、および有機金属堆積法の少なくとも1つの方法により行なわれると、結晶配向性および表面平滑性に優れた表面を有する超電導層を形成することができる。
【0095】
次に、第1の超電導線材20の酸化物超電導体21と、第2の超電導線材30の酸化物超電導体とを無フッ素系MOD溶液41を介して無フッ素系MOD溶液41と接触するように配置する工程(S60)を実施する。配置する工程(S60)では、図5(B)および(C)に示すように、たとえば下地50の両端部上に第1および第2の超電導線材20,30をそれぞれ接続し、下地50の上方に集合体31を配置する(S62)。
【0096】
そして、第1および第2の超電導線材の酸化物超電導体の集合体31、および下地50の表面(超電導層を備えている場合には超電導層の表面、超電導層を備えていない場合には中間層52の表面)に無フッ素系MOD溶液41を塗布する(S61)。無フッ素系MOD溶液41を塗布する方法は、任意の方法を採用でき、たとえば集合体31および下地50の表面に無フッ素系MOD溶液を直接塗布してもよいし、無フッ素系MOD溶液に浸漬することにより塗布してもよい。
【0097】
次に、無フッ素系MOD溶液41をMOD超電導体40にする工程(S70)を実施する。この工程(S70)は、実施の形態1と同様であるので、その説明は繰り返さない。
【0098】
以上の工程(S10〜S70)を実施することにより、図4に示す実施の形態2における超電導線材の接続構造11が得られる。
【0099】
以上説明したように、本発明の実施の形態2における超電導線材の接続構造11によれば、酸化物超伝導体とシース部とを含む第1および第2の超電導線材20,30と、第1の超電導線材20の酸化物超電導体21と第2の超電導線材30の酸化物超電導体とを接続するMOD超電導体40と、MOD超電導体40を形成するための下地50とを備えている。下地50上から、第1および第2の超電導線材20,30の酸化物超電導体である集合体31を包含するように、MOD超電導体40を形成している。そのため、第1および第2の超電導線材20,30をMOD超電導体40を介して超電導接続することができる。よって、接続抵抗を低減することができる。
【0100】
また、実施の形態2における超電導線材の接続方法によれば、第1および第2の超電導線材を準備する工程(S10,S20)と、第1および第2の被接続部(集合体31)を形成する工程(S30,S50)と、下地50を準備する工程と、集合体31および下地50の表面に無フッ素系MOD溶液41を塗布して、第1の超電導線材20の酸化物超電導体21と、第2の超電導線材30の超電導体とを無フッ素系MOD溶液41を介して無フッ素系MOD溶液41と接触するように配置する工程(S60)と、無フッ素系MOD溶液41をMOD超電導体40にする工程(S70)とを備えている。これにより、シース部を除去して酸化物超電導体のみからなる第1および第2の被接続部である集合体31を包含するように、下地50からMOD超電導体40を成長させている。そのため、第1および第2の超電導線材20,30を、MOD超電導体40を介して超電導接続している。よって、結晶配向性の良いMOD超電導体40により、接続抵抗を低減することができる。
【0101】
(実施の形態3)
図6を参照して実施の形態3における超電導線材の接続構造を説明する。実施の形態3における超電導線材の接続構造は、2本のBi系超電導線材の接続構造としている。なお、図6は、実施の形態3における超電導線材の接続構造を示す概略側面図である。
【0102】
図6に示すように、実施の形態3における第1の超電導線材20は、実施の形態2における第1および第2の超電導線材20,30と同様である。すなわち、実施の形態3における第1の超電導線材20は、一方の端部において表面のシース部が除去されて酸化物超電導体が露出された酸化物超電導体21を第1の被接続部23としている。
【0103】
実施の形態3における第2の超電導線材30は、実施の形態1における第1および第2の超電導線材20,30と同様である。すなわち実施の形態3における第2の超電導線材30は、一方の端部において表面の一部が除去されて酸化物超電導体が露出して、1段の段差を有している形状である。当該段差の断面を第2の被接続部33としている。
【0104】
MOD超電導体40は、第2の被接続部33上に配置された第1の被接続部23を包含して、第2の被接続部33上に形成されている。
【0105】
次に、図5(A)および図6を参照して、本発明の実施の形態3における超電導線材の接続方法を説明する。
【0106】
まず、酸化物超電導体と酸化物超電導体を被覆するシース部とを含む第1および第2の超電導線材20,30を準備する工程(S10,S20)を実施する。工程(S10,S20)は、実施の形態1と同様であるので、その説明は繰り返さない。
【0107】
次に、図5(A)に示すように、第1の超電導線材20のシース部22を除去することにより、酸化物超電導体21を露出させて第1の被接続部23を形成する工程(S30)を実施する。この工程(S30)は、実施の形態2と同様であるので、その説明は繰り返さない。
【0108】
次に、第2の超電導線材30のシース部を除去することにより、酸化物超電導体を露出させて第2の被接続部33を形成する工程(S50)を実施する。この工程(S50)は、実施の形態3と同様であるので、その説明は繰り返さない。
【0109】
次に、第1の被接続部23の表面および第2の被接続部33の表面粗さRaを50nm以下に平坦化する工程(S40)を実施することが好ましい。この工程(S40)は実施の形態1と同様であるので、その説明は繰り返さない。
【0110】
次に、第1の超電導線材20の酸化物超電導体21と、第2の超電導線材30の酸化物超電導体とを無フッ素系MOD溶液41を介して無フッ素系MOD溶液41と接触するように配置する工程(S60)を実施する。この工程(S60)では、第2の被接続部33上に第1の被接続部23を配置して、無フッ素系MOD溶液に浸漬する。または、第2の被接続部33上に無フッ素系MOD溶液41を塗布して、第1の被接続部23を第2の被接続部33上に配置する。
【0111】
次に、無フッ素系MOD溶液41をMOD超電導体40にする工程(S70)を実施する。この工程(S70)は、実施の形態1と同様であるので、その説明は繰り返さない。
【0112】
以上説明したように、本発明の実施の形態3における超電導線材の接続構造12は、第2の超電導線材30の第2の被接続部33上に、第1の超電導線材20の酸化物超電導体を露出した第1の被接続部23を配置して、MOD超電導体40を成長させて接続している。MOD超電導体40は、第1の被接続部23である酸化物超電導体21を包含して第2の超電導線材30の第2の被接続部33上にエピタキシャル成長してなる。そのため、第1および第2の超電導線材20,30の酸化物超電導体をMOD超電導体40により超電導接続している。よって、第1および第2の超電導線材20,30の酸化物超電導体と、MOD超電導体40との間の接続抵抗を低減できる。
【0113】
(実施の形態4)
図7を参照して、本発明の実施の形態4における超電導線材の接続構造を説明する。実施の形態4における超電導線材の接続構造13は、Bi系超電導線材と薄膜超電導線材との接続構造としている。なお、図7は、実施の形態4における超電導線材の接続構造を示す概略側面図である。
【0114】
図7に示すように、実施の形態4における超電導線材の接続構造13は、第1の超電導線材20と、第2の超電導線材60と、MOD超電導体40とを備えている。第1の超電導線材20は、酸化物超電導体とシース部とを含んでいる。第2の超電導線材60は、基板61と、基板61上に形成された中間層62と、中間層62上に形成された超電導層63とを含んでいる。MOD超電導体40は、第1の超電導線材20の酸化物超電導体と、第2の超電導線材60の超電導体である超電導層63とを接続している。
【0115】
第1の超電導線材20は、実施の形態1における第1の超電導線材20と同様であるので、その説明は繰り返さない。
【0116】
第2の超電導線材60は、実施の形態4では、基板61と、中間層62と、超電導層63と、安定化層64とを備えている。第2の超電導線材60の端部では安定化層64が除去されて超電導層63が表面に現れており、当該超電導層63の表面を第2の被接続部65としている。
【0117】
基板61、中間層62、および超電導層63は、実施の形態2における下地50の基板51、中間層52、および超電導層と同様であるので、その説明は繰り返さない。なお、基板61、中間層62、超電導層63、および安定化層64は、下地50と異なり、たとえば長尺な帯状の形状を有している。
【0118】
安定化層64は、第2の超電導線材60において、MOD超電導体40が形成されている端部を除いた超電導層63上に形成されている。安定化層64は、超電導層63の表面保護のために、超電導層63上にAg(銀)安定化層やCu(銅)安定化層などの表面保護層や安定化層として設けられている。
【0119】
MOD超電導体40は、第1の被接続部23と、第2の被接続部65とが重なるように形成されている。MOD超電導体40は、実施の形態1と同様であるので、その説明は繰り返さない。
【0120】
次に、図7、図8(A)および(B)を参照して、本発明の実施の形態4における超電導線材の接続方法について説明する。なお、図8は、本発明の実施の形態4における超電導線材の接続構造を説明するための図であり、(A)は、第2の超電導線材を準備する工程を示す概略斜視図であり、(B)は、配置する工程を示す概略側面図である。
【0121】
まず、酸化物超電導体21とシース部22とを含む第1の超電導線材20を準備する工程(S10)を実施する。この工程(S10)は、実施の形態1と同様であるので、その説明は繰り返さない。
【0122】
次に、図8(A)に示すように、基板61と、基板61上に形成された中間層62と、中間層62上に形成された超電導層63とを含む第2の超電導線材60を準備する工程(S20)を実施する。
【0123】
工程(S20)において、基板61、中間層62、および超電導層63を形成する工程は、実施の形態2における下地50の基板51、中間層52、および超電導層を形成する工程と同様であるので、その説明は繰り返さない。なお、基板61は、下地50の基板51と異なり、たとえば長尺な帯状の形状の基板を準備する。そして、基板61上に、中間層62および超電導層63を順に形成する。
【0124】
そして、超電導層63の表面上に、安定化層64をたとえば物理蒸着法や電気めっき法などにより形成する。安定化層64は、たとえばAgまたはCuなどからなる層を形成する。
【0125】
第2の超電導線材60を準備する工程(S20)では、基板61、中間層62、および超電導層63の表面を平坦化することが好ましい。平坦化する方法は、任意の平坦化方法を用いることができ、たとえばメカノケミカル法、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法、ウエットエッチング法、または機械研磨法などを用いることができる。具体的には、基板61、中間層62、または超電導層63の表面粗さRaを50nm以下にすることが好ましい。基板61および中間層62の表面粗さRaを50nm以下とすることによって、超電導層63の超電導特性を向上できる。超電導層63の表面粗さRaを50nm以下とすることによって、MOD超電導体40の超電導特性を向上できる。
【0126】
次に、第1の超電導線材20においてシース部を除去することにより、酸化物超電導体を露出させて第1の被接続部23を形成する工程(S30)を実施する。次に、第1の超電導線材20の無フッ素系MOD溶液41を配置する第1の被接続部23の表面粗さRaを50nm以下に平坦化する工程(S40)を実施する。この工程(S30,S40)は、実施の形態1と同様であるので、その説明は繰り返さない。
【0127】
次に、第2の超電導線材60において安定化層64を除去することにより、第2の被接続部65を形成する工程(S50)を実施する。工程(S50)で、安定化層64を除去すると、除去された安定化層64下の超電導層63が露出する。この露出した部分を第2の被接続部65としている。工程(S50)では、第2の被接続部65の表面粗さRaを50nm以下にすることが好ましい。
【0128】
工程(S50)では、第2の被接続部65は、第2の超電導線材60の端部に形成されることが好ましい。具体的には、第2の超電導線材60の一方の端部において、安定化層64を除去する。安定化層64の除去方法は、任意の方法を用いることができるが、たとえば機械的研磨、化学的研磨、ウエットエッチング、またはこれらの組み合わせなどにより行なうことができる。特に、超電導層の膜厚と超電導特性を維持し、かつ安定化層64のみを除去する観点から、安定化層64のみを選択的に溶解できるウエットエッチング法により行なうことが好ましい。
【0129】
次に、図8(B)に示すように、第1の超電導線材20の酸化物超電導体と、第2の超電導線材60の超電導層63とを無フッ素系MOD溶液41を介して無フッ素系MOD溶液41と接触するように配置する工程(S60)を実施する。この工程(S60)では、第1の超電導線材20の第1の被接続部23に無フッ素系MOD溶液41を塗布する。そして、第2の超電導線材60の第2の被接続部65を無フッ素系MOD溶液41上に配置する。なお、無フッ素系MOD溶液41を塗布した後に、仮焼成工程を実施し、その後に第2の被接続部65を無フッ素系MOD溶液上に配置してもよい。
【0130】
次に、無フッ素系MOD溶液41をMOD超電導体40にする工程(S70)を実施する。この工程(S70)は、実施の形態1と同様であるので、その説明は繰り返さない。
【0131】
以上説明したように、実施の形態4における超電導線材の接続構造13によれば、第2の超電導線材60は、基板61と、基板61上に形成された中間層62と、中間層62上に形成された超電導体を構成する超電導層63とを含んでいる。MOD超電導体40は、第1の超電導線材20の酸化物超電導体または第2の超電導線材60の超電導層63を起点として成長してなる。そのため、第1の超電導線材20の酸化物超電導体および第2の超電導線材60の超電導層63と、MOD超電導体40との接続抵抗を低減することができる。
【0132】
また、実施の形態4における超電導線材の接続方法によれば、第2の超電導線材60を準備する工程(S20)では、基板61と、基板61上に形成された中間層62と、中間層62上に形成された超電導体を構成する超電導層63とを含む超電導線材を準備している。薄膜超電導線材である第2の超電導線材60は磁場に強い特性を有しているため、磁場がかかる場合であっても、超電導特性の低下を防止して超電導線材を接続できる。
【0133】
なお、本発明の実施の形態4における超電導線材の接続方法では、第1の超電導線材20において元々形成されている酸化物超電導体21および第2の超電導線材6において元々形成されている超電導層63を維持するとともに、第1の超電導線材20の酸化物超電導体21および第2超電導線材60の超電導層63上にエピタキシャル成長させてなるMOD超電導体40を形成する点において、上記特許文献3に記載の酸化物超電導導体の接続方法と大きく相違している。
【0134】
(実施の形態5)
図9を参照して、本発明の実施の形態5における超電導線材の接続構造を説明する。実施の形態5における超電導線材の接続構造14は、Bi系超電導線材と薄膜超電導線材との接続構造としている。なお、図9は、本発明の実施の形態5における超電導線材の接続構造を示す概略側面図である。
【0135】
図9に示すように、実施の形態5における超電導線材の接続構造14は、第1の超電導線材20と、第2の超電導線材60と、MOD超電導体40とを備えている。第1の超電導線材20は、実施の形態2の第1および第2の超電導線材20,30と同様であり、酸化物超電導体21と、シース部22とを含んでいる。第2の超電導線材60は、実施の形態4と同様であり、基板61と、基板61上に形成された中間層62と、中間層62上に形成された超電導層63と、超電導層63上に形成された安定化層64とを含んでいる。
【0136】
MOD超電導体40は、第1の超電導線材20の酸化物超電導体21である第1の被接続部23と、第2の超電導線材60の超電導層63とを接続している。MOD超電導体40は、実施の形態1と同様であるので、その説明は繰り返さない。
【0137】
次に、図2(A)、図3、図5(A)、図8(A)、図9、および図10を参照して、本発明の実施の形態5における超電導線材の接続方法について説明する。なお、図10は、本発明の実施の形態5における超電導線材の接続方法を説明するための図であり、配置する工程の概略側面図である。
【0138】
まず、図2(A)および図3に示すように、酸化物超電導体21とシース部とを含む第1の超電導線材20を準備する工程(S10)を実施する。この工程(S10)は、実施の形態1と同様であるので、その説明は繰り返さない。
【0139】
次に、図8(A)に示すように、基板61と、基板61上に形成された中間層62と、中間層62上に形成された超電導層63とを含む第2の超電導線材60を準備する工程(S20)を実施する。この工程(S20)は、実施の形態4と同様であるので、その説明は繰り返さない。
【0140】
次に、図5(A)に示すように、第1の超電導線材20においてシース部22を除去することにより、酸化物超電導体を露出させて第1の被接続部23を形成する工程(S30)を実施する。次に、図10に示すように、第1の超電導線材20の無フッ素系MOD溶液41を配置する第1の被接続部23の表面粗さRaを50nm以下に平坦化する工程(S40)を実施する。この工程(S30,S40)は、実施の形態2と同様であるので、その説明は繰り返さない。
【0141】
次に、第2の超電導線材60において安定化層64を除去することにより、第2の被接続部65を形成する工程(S50)を実施する。次に、第1の超電導線材20の酸化物超電導体と、第2の超電導線材60の超電導層63とを無フッ素系MOD溶液41を介して無フッ素系MOD溶液41と接触するように配置する工程(S60)を実施する。この工程(S50,S60)は、実施の形態4と同様であるので、その説明は繰り返さない。
【0142】
次に、無フッ素系MOD溶液41をMOD超電導体40にする工程(S70)を実施する。この工程(S70)は、実施の形態1と同様であるので、その説明は繰り返さない。
【0143】
以上説明したように、実施の形態5における超電導線材の接続構造14によれば、第1の超電導線材20の酸化物超電導体の第1の被接続部23を包含して、第2の超電導線材60の超電導層63を起点として成長させてなるMOD超電導体40により接続されている。そのため、第1の超電導線材20の酸化物超電導体および第2の超電導線材60の超電導層63は、MOD超電導体40を介して超電導接続される。よって、第1の超電導線材20の酸化物超電導体、第2の超電導線材60の超電導層63、およびMOD超電導体40との間の接続抵抗を低減することができる。
【0144】
(実施の形態6)
図11を参照して、本発明の実施の形態6における超電導コイルについて説明する。実施の形態6における超電導コイルは、実施の形態4における超電導線材の接続構造13を備えている。なお、図11は、本発明の実施の形態6における超電導コイルを示す概略斜視図である。
【0145】
具体的には、図11に示すように、超電導コイル100は、ダブルパンケーキ型コイルとしている。超電導コイル100は、長さ方向において2分割に切断された第1の超電導線材20および第2の超電導線材60を、円筒状の巻枠101a,101bに巻装され、巻線である超電導線材20,60の最外周において、MOD超電導体40により接続されている。MOD超電導体40は、実施の形態4におけるMOD超電導体40と同様である。
【0146】
MOD超電導体40と第1の超電導線材20の酸化物超電導体と第2の超電導線材60の超電導層との接続抵抗が低減されて、永久電流ジョイントとすることができる。そのため、超電導コイル100は、永久電流モード通電を行なうことができる。
【0147】
実施の形態6では、第1の超電導線材20はBi系超電導線材を用い、第2の超電導線材60は薄膜超電導線材を用いている実施の形態4における超電導線材の接続構造13を備えているが、実施の形態1〜5の超電導線材の接続構造10〜14を備えていてもよい。超電導コイルが複数本の超電導線材を接続してなる場合には、磁場の影響を受けやすい部分に配置される超電導線材として薄膜超電導線材を用い、磁場の影響を受けにくい部分に配置される超電導線材としてBi系超電導線材を用いることが好ましい。薄膜超電導線材は、磁場に強いという高い磁場特性を有しているので、磁場がかかっても超電導特性が低下しにくいという特性を有している。そのため、磁場の影響を受けやすい超電導コイルの端部に配置されることが好ましい。一方、Bi系超電導線材は、薄膜超電導線材に比べると磁場特性が低下するが、価格が安いという利点を有している。そのため、磁場の影響を受けにくい内部にBi系超電導線材を配置することによって、超電導コイルのコストを低減することができる。
【0148】
また、実施の形態6では、ダブルパンケーキ型コイルとしているが、特にこれに限定されない。たとえば複数の超電導線材がらせん状に巻かれてなる超電導コイルを形成することもできる。また、複数の超電導線材を用いて、実施の形態1〜5における超電導線材の接続構造を備えている場合には、所望の長さの超電導線材を備える超電導コイル100となる。
【0149】
次に、実施の形態6における超電導コイル100の製造方法について説明する。まず、第1および第2の超電導線材20,60を巻枠101a,101bに巻装する。
【0150】
次に、接続する超電導線材の端末部を引き出す工程を実施する。実施の形態6では、巻線である第1および第2の超電導線材20,60における最外周の端部をそれぞれ引き出す。
【0151】
次に、第1の超電導線材20の端部においてシース部を除去して酸化物超電導体を含む第1の被接続部を形成する工程を実施する。次に、第2の超電導線材60の端部において安定化層を除去して第2の被接続部を形成する工程を実施する。次に、第1の超電導線材20の酸化物超電導体と、第2の超電導線材60の超電導層とを無フッ素系MOD溶液を介して無フッ素系MOD溶液と接触するように配置する工程を実施する。次に、無フッ素系MOD溶液をMOD超電導体40にする工程を実施する。これらの工程は、実施の形態5と同様であるので、その説明は繰り返さない。
【0152】
以上の工程を実施することにより、図11に示す実施の形態6における超電導コイル100を製造できる。なお、超電導コイルは、図11に示すような密に巻く超電導コイル100に限定されず、たとえば第1および第2の超電導線材20,60を隙間を設けて接続された超電導コイルとしてもよい。この場合には、意図的に磁場を変化させることができる。
【0153】
以上説明したように、本発明の実施の形態6における超電導機器の一例である超電導コイル100によれば、実施の形態1〜5における超電導線材の接続構造を備えている。従来の超電導コイルの製造方法において、たとえば物理蒸着法を用いて超電導線材を接続する場合には、超電導コイルをすべて真空チャンバに配置しなければ、永久電流ジョイントは得られなかったが、超電導コイルを真空チャンバ内に配置することは、物理的に不可能であった。しかし、実施の形態6における超電導コイル100によれば、複数の超電導線材の端末部のみを引き出して、永久電流ジョイントを実現できるMOD超電導体40を形成することにより、永久電流通電モードが実現できる超電導コイル100を得ることができる。また、フッ素を含まないMOD法を適用することによって、非真空雰囲気下で大型マグネットの端末を低抵抗で接続することが可能となる。
【0154】
また、超電導コイル100は、実施の形態1〜5における超電導線材の接続方法により接続されているので、長尺な超電導線材20,60を用いて接続しても接続抵抗を低減して、超電導状態を維持できる。また、超電導線材を複数接続することにより必要な所望の長さにして、超電導コイル100を得ることもできる。
【0155】
なお、上記実施の形態6は、超電導機器として、超電導コイルを例に挙げて説明したが、特に超電導コイルに限定されない。超電導機器として、たとえば、超電導ケーブル、または電力貯蔵装置とすることもできる。
【0156】
[実施例]
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0157】
(実施例1)
実施例1では、実施の形態1における超電導線材の接続方法にしたがって図1に示す超電導線材の接続構造を得た。
【0158】
具体的には、第1および第2の超電導線材を準備する工程(S10,S20)では、幅4.2mm、厚さ0.24mmであり、酸化物超電導体としてBi2223、シース部として銀のBi系銀被覆超電導線材を準備した。
【0159】
次に、第1および第2の被接続部を形成する工程(S30,S50)を実施した。この工程(S30,S50)では、メカノケミカル研磨法によりシース部を除去した。第1および第2の被接続部は、それぞれ厚さを0.18mm、長さを5cm、幅を2cmとした。また、第1および第2の被接続部の表面粗さRaは20nmに平坦化する工程(S40など)を実施した。
【0160】
次に、第1および第2の超電導線材の酸化物超電導体を無フッ素系MOD溶液を介して無フッ素系MOD溶液と接触するように配置する工程(S60)を実施した。無フッ素系MOD溶液としては、HoとBaとCuとが1:2:3の割合で含まれているアセチルアセトナート系MOD溶液を用いた。
【0161】
次に、無フッ素系MOD溶液をMOD超電導体にする工程(S70)を実施した。詳細には、460℃で空気中で熱処理を行なう仮焼成工程を実施した。そして、780℃で酸素分圧が100ppmのアルゴンと酸素とを含む雰囲気で熱処理を行なう本焼成工程を実施した。本焼成工程では、0.5kgfの圧力を印加して行なった。そして、550℃、酸素分圧1気圧の雰囲気において、第1の超電導線材20の酸化物超電導体21、第2の超電導線材30の超電導体、およびMOD超電導体40について酸素アニール工程を実施した。これにより、実施例1における超電導線材の接続構造を得た。
【0162】
(実施例2)
実施例2では、実施の形態2における超電導線材の接続方法にしたがって図4における超電導線材の接続構造を得た。
【0163】
具体的には、第1および第2の超電導線材を準備する工程(S10,S20)を実施例1と同様に行なった。次に、第1および第2の被接続部を形成する工程(S30、S50)を実施した。この工程では、ウエットエッチング法によりシース部を除去した。その後、酸化物超電導体を絡ませて集合体とした。
【0164】
次に、下地を準備する工程を実施した。詳細には、下地は、Ni合金からなり、厚さ0.15mm、幅4.2mm、長さ5cmとした。そして、基板上に酸化セリウムからなる中間層を電子ビーム蒸着法により形成した。そして、中間層上に、PLD法により、酸素分圧200mTorrの雰囲気で820℃の基板温度で、1μmの厚さのHoBCOからなる超電導層を形成した。また、下地の無フッ素系MOD溶液を塗布する超電導層の表面粗さRaを20nmとした。
【0165】
次に、第1の超電導線材の酸化物超電導体と、第2の超電導線材の超電導層とを無フッ素系MOD溶液を介して無フッ素系MOD溶液と接触するように配置する工程(S60)を実施した。無フッ素系MOD溶液は、実施例1と同様とした。
【0166】
次に、第1および第2の超電導線材の酸化物超電導体を無フッ素系MOD溶液を介して無フッ素系MOD溶液と接触するように配置する工程(S60)を実施例1と同様に実施した。次に、無フッ素系MOD溶液をMOD超電導体にする工程(S70)を実施例1と同様に実施した。これにより、実施例2における超電導線材の接続構造を得た。
【0167】
(実施例3)
実施例3では、実施の形態4における超電導線材の接続方法にしたがって図7における超電導線材の接続構造を得た。
【0168】
具体的には、第1の超電導線材を準備する工程(S10)を実施例1と同様に行なった。
【0169】
次に、第2の超電導線材を準備する工程(S20)を実施した。具体的には、基板として、Ni合金からなり、厚さ0.15mm、幅4.2mm、長さ10cmとした。そして、基板上に酸化セリウムからなる中間層を電子ビーム蒸着法により形成した。そして、中間層上に、PLD法により、酸素分圧200mTorrの雰囲気で820℃の基板温度で、1.5μmの厚さのHoBCOからなる超電導層を形成した。そして、超電導層上に、真空蒸着法により、10μmの厚さのAgからなる安定化層を形成した。そして、酸素100%の雰囲気で、500℃で1時間の熱処理を実施した。これにより、第2の超電導線材を得た。
【0170】
次に、第1の超電導線材に第1の被接続部を形成する工程(S30)を実施例1と同様に実施した。
【0171】
次に、第2の超電導線材に第2の被接続部を形成する工程(S50)を実施した。詳細には、第2の超電導線材の一方端から超電導線材の長さ方向において5cmまでの領域について安定化層を化学エッチングにより除去することにより、第2の被接続部を形成した。
【0172】
次に、第1および第2の超電導線材の被接続部の表面粗さRaを20nmに平坦化する工程(S40)を実施例1と同様に実施した。
【0173】
次に、第1の超電導線材の酸化物超電導体と、第2の超電導線材の超電導層とを無フッ素系MOD溶液を介して無フッ素系MOD溶液と接触するように配置する工程を実施した。詳細には、第2の超電導線材の被接続部上に無フッ素系MOD溶液を塗布し、その上に第1の被接続部を配置した。
【0174】
次に、無フッ素系MOD溶液をMOD超電導体にする工程(S70)を実施例1と同様に実施した。これにより、実施例3における超電導線材の接続構造を得た。
【0175】
(実施例4)
実施例4では、実施の形態5における超電導線材の接続方法にしたがって、超電導線材の接続構造を得た。
【0176】
具体的には、まず、第1の超電導線材を準備する工程(S10)を実施例1と同様に行なった。次に、第2の超電導線材を準備する工程(S20)を実施例3と同様に行なった。次に、第1の超電導線材に第1の被接続部を形成する工程(S30)を実施例2と同様に実施した。次に、第2の超電導線材に第2の被接続部を形成する工程(S50)を実施例3と同様に実施した。次に、第1の超電導線材の酸化物超電導体と、第2の超電導線材の超電導層とを無フッ素系MOD溶液を介して無フッ素系MOD溶液と接触するように配置する工程を実施例3と同様に実施した。次に、無フッ素系MOD溶液をMOD超電導体にする工程(S70)を実施例1と同様に実施した。これにより、実施例4における超電導線材の接続構造を得た。
【0177】
(比較例1)
比較例1における超電導線材の接続構造は、基本的には実施例1と同様であるが、配置する工程(S60)で、Pb−Snからなる半田により第1の超電導線材の酸化物超電導体と第2の超電導線材の酸化物超電導体とを接続した点およびMOD超電導体にする工程(S70)を実施しなかった点においてのみ異なる。
【0178】
(比較例2)
比較例2における超電導線材の接続構造は、基本的には実施例3と同様であるが、配置する工程(S0)で、Pb−Sn−Biからなる半田により第1の超電導線材の酸化物超電導体と第2の超電導線材の酸化物超電導体とを接続した点およびMOD超電導体にする工程(S70)を実施しなかった点においてのみ異なる。
【0179】
(評価方法)
第1および第2の超電導線材を準備する工程(S10,20)で準備した第1および第2の超電導線材、実施例1〜4、および比較例1,2における超電導線材の接続構造について、臨界電流値Icを測定した。臨界電流値は、77Kの条件で測定した。なお、測定値は、1cm長当たり1μVの電圧を印加したときの発生した電流値とした。なお、実施例1〜4における超電導線材の接続構造では、それぞれの超電導線材の接続されていない(MOD超電導体が形成されていない)側の端部に電流リードを取り付けて、さらにMOD超電導体を含むように電圧タップを取り付けて、電流−電圧特性を測定した。その結果を表1に示す。
【0180】
【表1】

【0181】
(測定結果)
第1および第2の超電導線材の臨界電流値Icは、それぞれ150A,125Aであった。表1に示すように、実施例1〜4における超電導線材の接続構造では、接続前の臨界電流値Icとほぼ同様の特性を示すことが確認できた。特に、第1および第2の被接続部が面形状である実施例1については、臨界電流値Icの低下が極めて低く、非常に良好であった。さらに、第1および第2の被接続部が面形状であり、第2の超電導線材として薄膜超電導線材を用いている実施例3については、無フッ素系MOD法により超電導体が増加したため、MOD超電導体では、臨界電流値Icが向上し、非常に良い結果が得られた。
【0182】
一方、半田で接続している比較例1,2の超電導線材の接続構造によれば、接続前の臨界電流値Icから大きく低下していることが確認できた。
【0183】
なお、実施の形態3の超電導線材の接続方法により得られる超電導線材の接続構造については具体例を例示しないが、実施例1〜4と同様にして得られる実施の形態3の超電導線材の接続構造は、実施例1〜4の結果からその臨界電流値が100〜140Aと推定され、臨界電流値Icの低下が小さいことが推定される。
【0184】
以上の結果から、酸化物超電導体を含む第1の超電導線材と、超電導体を含む超電導線材とをMOD超電導体により接続することによって、接続抵抗を低減できることが確認できた。
【0185】
また、酸化物超電導体を含む第1および第2の超電導線材は、超電導体により接続することによって、接続抵抗を低減できることが確認できた。
【0186】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0187】
【図1】本発明の実施の形態1における超電導線材の接続構造を示す概略側面図である。
【図2】本発明の実施の形態1における超電導線材の接続方法を説明するための図であり、(A)は第1の超電導線材を準備する工程を示す概略斜視図であり、(B)は、第1の被接続部を形成する工程を示す概略斜視図であり、(C)は、無フッ素系MOD溶液を塗布する工程を示す概略斜視図であり、(D)は、配置する工程を示す概略斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態1における超電導線材の接続方法を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態2における超電導線材の接続構造を示す側面図である。
【図5】本発明の実施の形態2における超電導線材の接続方法を説明するための図であり、(A)は第1の超電導線材を準備する工程を示す概略斜視図であり、(B)は、第1の被接続部を形成する工程を示す概略斜視図であり、(C)は、配置する工程を示す概略斜視図である。
【図6】実施の形態3における超電導線材の接続構造を示す概略側面図である。
【図7】実施の形態4における超電導線材の接続構造を示す概略側面図である。
【図8】本発明の実施の形態4における超電導線材の接続構造を説明するための図であり、(A)は、第2の超電導線材を準備する工程を示す概略斜視図であり、(B)は、配置する工程を示す概略側面図である。
【図9】本発明の実施の形態5における超電導線材の接続構造を示す概略側面図である。
【図10】本発明の実施の形態5における超電導線材の接続方法を説明するための図であり、配置する工程の概略側面図である。
【図11】本発明の実施の形態6における超電導コイルを示す概略斜視図である。
【符号の説明】
【0188】
10〜14 超電導線材の接続構造、20,30,60 超電導線材、21 酸化物超電体、22 シース部、23 第1の被接続部、31 集合体、33,65 第2の被接続部、40 MOD超電導体、41 無フッ素系MOD溶液、50 下地、51,61 基板、52,62 中間層、63 超電導層、64 安定化層、100 超電導コイル、101a,101b 巻枠。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化物超電導体と前記酸化物超電導体を被覆するシース部とを含む第1の超電導線材と、超電導体を含む第2の超電導線材とを接続する構造であって、
前記第1の超電導線材の前記酸化物超電導体と、前記第2の超電導線材の前記超電導体とを接続するMOD超電導体を備えた、超電導線材の接続構造。
【請求項2】
前記第2の超電導線材は、基板と、前記基板上に形成された中間層と、前記中間層上に形成された前記超電導体を構成する超電導層とを含む、請求項1に記載の超電導線材の接続構造。
【請求項3】
前記第2の超電導線材は、前記超電導体を構成する酸化物超電導体と、前記酸化物超電導体を被覆するシース部とを含む、請求項1に記載の超電導線材の接続構造。
【請求項4】
前記第1の超電導線材の前記MOD超電導体と接続される被接続部の表面粗さRaは50nm以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の超電導線材の接続構造。
【請求項5】
酸化物超電導体と前記酸化物超電導体を被覆するシース部とを含む、複数の超電導線材の接続構造であって、
前記複数の超電導線材の前記酸化物超電導体を接続する超電導体を備えた、超電導線材の接続構造。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の超電導線材の接続構造を備えた、超電導機器。
【請求項7】
酸化物超電導体と前記酸化物超電導体を被覆するシース部とを含む第1の超電導線材を準備する工程と、
超電導体を含む第2の超電導線材を準備する工程と、
前記第1の超電導線材の前記酸化物超電導体と、前記第2の超電導線材の前記超電導体とを無フッ素系MOD溶液を介して前記無フッ素系MOD溶液と接触するように配置する工程と、
前記無フッ素系MOD溶液をMOD超電導体にする工程とを備えた、超電導線材の接続方法。
【請求項8】
前記第2の超電導線材を準備する工程では、基板と、前記基板上に形成された中間層と、前記中間層上に形成された前記超電導体を構成する超電導層とを含む超電導線材を準備する、請求項7に記載の超電導線材の接続方法。
【請求項9】
前記第2の超電導線材を準備する工程では、前記超電導体を構成する酸化物超電導体と、前記酸化物超電導体を被覆するシース部とを含む超電導線材を準備する、請求項7に記載の超電導線材の接続方法。
【請求項10】
前記第1の超電導線材の前記無フッ素系MOD溶液を配置する被接続部の表面粗さRaを50nm以下に平坦化する工程をさらに備えた、請求項7〜9のいずれか1項に記載の超電導線材の接続方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−16253(P2009−16253A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−178522(P2007−178522)
【出願日】平成19年7月6日(2007.7.6)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】