説明

超音波センサ、超音波センサの異常診断方法および超音波センサの異常回復方法

【課題】超音波センサ自身に故障の原因があるか否かを容易に診断できる超音波センサ、超音波センサの異常診断方法および超音波センサの異常回復方法を提供する。
【解決手段】圧電素子2は、第1のリード22,第2のリード23および第3のリード24を備える。これにより、これらのリード間の電気的導通を確認することで超音波センサに生じた異常の原因を突き止めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電素子を備えた超音波センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、管路内を流れる流体に超音波を伝播させ、その伝播速度の変化に基づいて流体の流速や流量などを測定する超音波センサが知られている(例えば、特許文献1参照。)。この超音波センサは、図8に示すように、導電性を有する材料から構成されるケース100と、このケース100内に収容された円盤状の圧電素子200とを備えている。この圧電素子200は、上面および下面に形成された電極間に電圧が印加されることにより振動して超音波の発生源となるとともに、外部振動を受けることにより電極を介して電圧を取り出すことができる。このような圧電素子200は、エポキシ樹脂などからなる接着剤300によりケース100の底部の内壁面に固定される。これにより、圧電素子200の底面側の電極とケース100とが導通するので、圧電素子200の上面側の電極にリード線201を接続して、このリード線201とケース100との間に電圧を印加することにより、圧電素子200を振動させて、超音波を発生させることができる。また、伝播してきた超音波を圧電素子200で受け、圧電効果によって発生した電圧をリード線201とケース200とから取り出すことができる。
【0003】
このような超音波センサでは、正常に動作しない原因として、超音波センサ自身の故障や、超音波センサにより計測が行われる流路内の異常が挙げられる。超音波センサ自身の故障は、接着剤300が割れて圧電素子200がケース100から浮き上がることによりケース100と圧電素子200との導通が切れたり、圧電素子200の電極とリード線201との接続部が剥がれたり、リード線201が断線したり、圧電素子200が破損したりするなどの原因で発生する。これらの理由によって超音波センサ自身が故障すると、圧電素子200に電圧を印加しても振動せず、また、圧電素子200が超音波を受けて振動しても電圧を取り出すことができなくなる。一方、流路内の異常としては、流路内に気泡が大量に発生したり、流路内に異物が混入したりすることが挙げられる。このような異常が発生すると、超音波センサは、正常な値を出力しなくなる。
【0004】
超音波センサが正常に動作しないと、正確な計測を実現できないので、超音波センサが正常に動作するように対策を採る必要がある。このとき、超音波センサが正常に動作しなくなった原因を突き止めることは、適切な対策を採る上で重要である。そこで、超音波センサが正常に動作しなくなったときには、まず、超音波センサ自身が故障しているか否かを診断し、もし超音波センサ自身が故障していると判断される場合にはその故障の原因を突き止め、超音波センサ自身が故障していない場合には流路内の異常の原因を突き止めることが一般的に行われている。ここで、超音波センサ自身が故障しているか否かを診断するための方法として、従来では、オシロスコープを用いて1対の超音波センサ間での送受信波形を観測したり、インピーダンスアナライザを用いて超音波センサのインピーダンス特性を確認したりする方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4509458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の超音波センサの異常を診断する方法では、オシロスコープやインピーダンスアナライザなどの特殊な機器を用意しなければならない。ところが、超音波センサが配設されている現場にそのような機器を持ち込むことは困難であり、実際的でなかった。また、異常の原因が特定できたとしても、その原因が超音波センサ自身にある場合にはその交換等が必要になる。
【0007】
そこで、超音波センサ自身に故障の原因があるか否かを容易に診断できる超音波センサ、超音波センサの異常診断方法および超音波センサの異常回復方法を提供することを第1の目的とする。
【0008】
また、超音波センサ自身に何らかの故障が発生した場合でも、そのセンサを交換せずに計測を可能とする超音波センサ、超音波センサの異常診断方法および超音波センサの異常回復方法を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述したような課題を解決するために、本発明に係る超音波センサは、導電性を有する材料から構成され、一端が開口する筒状の内部空間を有するケースと、このケースの内部空間内の底部に固定された圧電素子とを備えた超音波センサであって、圧電素子は、圧電材料板と、この圧電材料板の一方の面に形成された正極と、圧電材料板の他方の面に形成されてケースと電気的に接続される負極と、この負極と電気的に接続されて他方の面から一方の面まで延在し、かつ、正極と電気的に絶縁された折り返し電極と、一方の面の正極に接続された第1のリード、一方の面の正極に第1のリードが接続された箇所と異なる箇所で接続された第2のリード、および、一方の面の負極に接続された第3のリードとを備えることを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明に係る超音波センサの異常診断方法は、導電性を有する材料から構成され、一端が開口する筒状の内部空間を有するケースと、このケースの内部空間内の底部に固定された圧電素子とを備え、圧電素子は、圧電材料板と、この圧電材料板の一方の面に形成された正極と、圧電材料板の他方の面に形成されてケースと電気的に接続される負極と、この負極と電気的に接続されて他方の面から一方の面まで延在し、かつ、正極と電気的に絶縁された折り返し電極と、一方の面の正極に接続された第1のリード、一方の面の正極に第1のリードが接続された箇所と異なる箇所で接続された第2のリード、および、一方の面の負極に接続された第3のリードとを備えた超音波センサの異常診断方法であって、超音波センサに異常が発生しているか否かを検出する検出ステップと、この検出ステップにより超音波センサに異常が発生していることが検出されると、a)第3のリードとケースとの間の電気的導通を確認し、電気的導通がある場合には第3のリードとケースとの間に異常がないと診断する一方、電気的導通が無い場合には第3のリードとケースとの間に異常があると診断する第1の診断ステップ、および、b)第1のリードと第2のリードとの間の電気的導通を確認し、電気的導通がある場合には第1のリードと第2のリードとの間に異常がないと診断する一方、電気的導通が無い場合には第1のリードと第2のリードとの間に異常があると診断する第2の診断ステップのうち少なくとも一方を行うことを特徴とするものである。
【0011】
上記超音波センサの異常診断方法において、第2の診断ステップにより第1のリードと第2のリードとの間に異常があると診断されると、ケースと第2のリードとの間に電圧を印加し、圧電素子が動作するか否かを確認し、圧電素子が動作する場合には第1のリードと圧電素子との間に異常があると診断する一方、圧電素子が動作しない場合には第2のリードと圧電素子との間または圧電素子に異常があると診断する第3の診断ステップをさらに有するようにしてもよい。
【0012】
また、本発明に係る超音波センサの異常回復方法は、導電性を有する材料から構成され、一端が開口する筒状の内部空間を有するケースと、このケースの内部空間内の底部に固定された圧電素子とを備え、圧電素子は、圧電材料板と、この圧電材料板の一方の面に形成された正極と、圧電材料板の他方の面に形成されてケースと電気的に接続される負極と、この負極と電気的に接続されて他方の面から一方の面まで延在し、かつ、正極と電気的に絶縁された折り返し電極と、一方の面の正極に接続された第1のリード、一方の面の正極に第1のリードが接続された箇所と異なる箇所で接続された第2のリード、および、一方の面の負極に接続された第3のリードとを備えた超音波センサの異常回復方法であって、超音波センサに異常が発生しているか否かを検出する第1のステップと、この第1のステップにより超音波センサに異常が発生していることが検出されると、第3のリードとケースとの間の電気的導通を確認する第2のステップと、この第2のステップにより電気的導通があることが確認されると、第1のリードと第2のリードとの間の電気的導通を確認する第3のステップと、この第3のステップにより電気的導通が無いことが確認されると、ケースと第2のリードとの間に電圧を印加し、圧電素子が動作するか否かを確認する第4のステップと、この第4のステップにより、圧電素子が動作することが確認されると、第2のリードを正極、ケースを負極として電子回路に接続させる第5のステップとを有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、圧電素子が、第1のリード,第2のリードおよび第3のリードを備えることにより、これらのリード間の電気的導通を確認することにより、超音波センサ自身に故障の原因があるか否かを判断することができる。また、超音波センサ自身に故障の原因がある場合には、その原因を突き止めることができる。さらに、その原因に応じて電子回路に接続するリードを変更するだけで超音波センサを正常に動作させることが可能となるので、超音波センサに異常が発生しても超音波センサを交換せずにその異常を解決することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る超音波センサの構成を模式的に示す断面図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態に係る超音波センサにおける圧電素子の構成を模式的に示す斜視図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態に係る超音波センサの動作を説明するための図である。
【図4】図4は、本発明の実施の形態に係る超音波センサにおける故障の診断方法を説明するためのフローチャートである。
【図5】図5は、本発明の実施の形態に係る超音波センサにおける故障の診断方法を説明するための図である。
【図6】図6は、本発明の実施の形態に係る超音波センサにおける故障の診断方法を説明するための図である。
【図7】図7は、本発明の実施の形態に係る超音波センサにおける故障の診断方法を説明するための図である。
【図8】図8は、従来の超音波センサの構成例を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0016】
<超音波センサの構成>
図1に示すように、本実施の形態に係る超音波センサは、ケース1と、円盤状の圧電素子2とを備え、この圧電素子2はケース1の内部に接着剤3により固定されている。
【0017】
ケース1は、ステンレス等の導電性を有する材料から構成され、一端が開口する円筒状の内部空間を有している。このようなケース1の開口部1aに対向する底部1bの内壁面には、圧電素子2が接着剤3によって固定される。
【0018】
圧電素子2は、2枚の電極21a,21bで挟まれた円盤状の圧電体板21を備えている。この圧電体板21のケース1の底部と対向する下面には、ほぼ全面に亘って負極21bが形成されている。一方、圧電体板21の上面には、図2に示すように、一部を除いた部分に正極21aが形成され、その一部には、下面の負極21bと電気的に接続された折り返し電極21b’が形成されている。すなわち、下面のほぼ全面に亘って形成された負極21bは、圧電素子2の側面を経てその上面まで延在して形成されている。この上面において、折り返し電極21b’は、正極21aと所定間隔離間しており、正極21aとは絶縁されている。上面の正極21aには、第1のリード22および第2のリード23が互いに離間した位置に接続されている。一方、上面の負極21bには、第3のリード24が接続されている。本実施の形態においては、折り返し電極21b’を備えることにより、このような折り返し電極の構成を有することにより、圧電素子2の上面のみから正極21aおよび負極21bにリード線を接続することが可能となる。なお、図1等においては、説明のために正極21a,負極21bおよび折り返し電極21b’の厚みを大きく記載しているが、実際それらの厚さはごく小さなものとなっている。
【0019】
接着剤3は、エポキシ樹脂など、導電性を有する公知の接着剤から構成され、ケース1と圧電素子2の負極21bとを電気的に接続する。
【0020】
<超音波センサの動作>
次に、本実施の形態に係る超音波センサの動作について説明する。
【0021】
まず、超音波センサにより超音波を発信させる場合、図3に示すように、圧電素子2の正極21aに接続された第1のリード22または第2のリード23の何れか1つ(以下、簡単のため、第1のリード22を例に説明する。)を正極、ケース1を負極として電源回路に接続して電圧を印加する。ケース1は導電性を有する材料から構成されており、ケース1の底部の内壁面と圧電素子2の下面、すなわち負極21bとを接着する接着剤3も、導電性を有する材料から構成されているので、圧電体板21の正極21aと負極21bとの間に電圧が印加されると、圧電体板21が振動し、ケース1の底部から超音波が発信される。
【0022】
一方、超音波センサにより超音波を受信する場合、まず、第1のリード22を正極、ケース1を負極として電圧検出回路に接続しておく。このような状態において、ケース1の底部に超音波が到達すると、この超音波により圧力を受ける圧電体板21により超音波の振動が電圧の変化に変換される。この電圧は、正極21aに接続された第1のリード22、および、負極21bに接着剤3を介して接続されたケース1を介して、電圧検出回路により検出されることとなる。
【0023】
<超音波センサの故障診断方法>
次に、本実施の形態に係る超音波センサの故障診断方法について図4を参照して説明する。
【0024】
通常は、上述したように、第1のリード22を正極、ケース1を負極として、これらの間に電圧を印加したり、それらの間の電圧を検出しており、超音波センサに異常が発生しているか否かを確認している(ステップS1)。このような場合において、圧電素子2から超音波が出力されなかったり、異常な電圧値を検出したりするなど、超音波センサに異常が発生したことが検出されると(ステップS1:YES)、図5に示すように、テスタなどにより、ケース1と第3のリード24との間の電気的導通を確認する(ステップS2)。上述したように、ケース1は、接着剤3を介して圧電体板21の下面に形成された負極21bに接続されている。また、第3のリード24は、折り返し電極の構造により、圧電体板21の上面に形成された折り返し電極21b’に接続されている。したがって、ケース1と第3のリード24との間の電気的導通を確認することにより、それらの間、すなわち、ケース1、接着剤3、負極21bおよび第3のリード24の間に異常が発生したか否かを確認することができる。
【0025】
ケース1と第3のリード24との間の電気的導通が確認できなかった場合には(ステップS2:NO)、それらの間に異常が発生していると判断する(ステップS3)。この場合の異常としては、ケース1と圧電体板21との接着不良、第3のリード24と負極21bとの接続不良、第3のリード24の断線などが挙げられる。この場合は、超音波センサ自体の交換を検討することとなる。
【0026】
一方、ケース1と第3のリード24との間の電気的導通が確認できた場合には(ステップS2:YES)、それらの間には異常が無いと判断する(ステップS4)。次いで、図6に示すように、テスタなどにより、第1のリード22と第2のリード23との間の電気的導通を確認する(ステップS5)。上述したように、第1のリード22および第2のリード23は、圧電体板21上面の正極21aに接続されている。したがって、第1のリード22と第2のリード23との間の電気的導通を確認することにより、それらの間、すなわち、第1のリード22、正極21a、第2のリード23の間に異常が発生したか否かを確認することができる。
【0027】
第1のリード22と第2のリード23との間の電気的導通が確認できた場合には(ステップS5:YES)、それらの間には異常が無いと判断する(ステップS6)。これにより、ケース1と第3のリード24との間、および、第1のリード22と第2のリード23との間に異常が無いことが確認されたので、超音波センサではなく流路に異常が発生したと考えることができる。
【0028】
一方、第1のリード22と第2のリード23との間の電気的導通が確認できなかった場合(ステップS5:NO)、それらの間に異常が発生していると判断することができる。そこで、第1のリード22と第2のリード23の何れに異常が発生しているかを判断するために、図7に示すように、第2のリード23を正極、ケース1を負極として、これらの間に電源回路に接続して電圧を印加し、超音波センサが正常に動作するか否かを確認する(ステップS7)。上述したように、ケース1は、導電性の接着剤3を介して圧電体板21の下面に形成された負極21bに接続されている。また、第2のリード23は、圧電体板21の上面に形成された正極21aに接続されている。したがって、第2のリード23やその接点に異常が無い場合には、ケース1と第2のリード23との間に電圧を印加すると、圧電体板21の正極21aと負極21bとの間に電圧が印加されるので、圧電体板21が振動してケース1の底部から超音波が発信されることとなる。よって、正極として第1のリード22と第2のリード23とをそれぞれ選択した場合に超音波センサから超音波が出力されるか否かにより、第1のリード22と第2のリード23の何れに異常が発生しているかを判断することができる。ここで、超音波センサから超音波が出力されたか否かは、例えば、流量等の計測するために既に対向配置された同等の超音波センサにより容易に検出することができる。
【0029】
超音波センサから超音波が出力された場合には(ステップS7:YES)、第2のリード23やその接点には異常が発生していない、すなわち、第1のリードやその接点に異常が発生していると判断する(ステップS8)。この異常としては、第1のリード22の断線、第1のリード22と正極21aの接続不良などが挙げられる。このような場合、第1のリード22の替わりに、第2のリード23を正極として用いるようにすることにより、超音波センサを正常に動作させることができる。このように、本実施の形態に係る超音波センサは、冗長性を有するものと言うことができる。
【0030】
超音波センサから超音波が出力されない場合には(ステップS7:NO)、第2のリード23やその接点または圧電体板21に異常が発生している、すなわち、第1のリードやその接点に異常が発生していないと判断する(ステップS9)。この異常としては、第2のリード23と正極21aの接続不良、第2のリード23の断線などが挙げられる。
【0031】
以上説明したように、本実施の形態によれば、圧電素子2が、第1のリード22,第2のリード23および第3のリード24を備えることにより、これらのリード間の電気的導通を確認することで超音波センサに生じた異常の原因を突き止めることができる。また、その原因に応じて、電子回路に接続するリードを変更するだけで、超音波センサを正常に動作させることが可能となるので、超音波センサに異常が発生しても超音波センサを交換せずにその異常を解決することが可能となる。
【0032】
なお、本実施の形態では、ケース1と第3のリード24との電気的導通を確認し、第1のリード22と第2のリード23との電気的導通を確認し、ケースと第2のリード23との間に電圧を印加するという順番で超音波センサの異常の原因を突き止める場合を例に説明したが、その順番はこれに限定されず、適宜自由に設定できることは言うまでも無い。また、その順番で行うのみならず、何れかの手順で少なくとも1つの原因が突き止められた場合であっても、全ての手順を行うようにしてもよい。全ての原因を突き止めることが可能となる。
【0033】
また、本実施の形態では、圧電体板21が円盤状の形状を有する場合を例に説明したが、その形状は円盤状に限定されず、適宜自由に設定することができる。
【0034】
さらに、本実施の形態では、圧電素子2が導電性を有する接着剤3によりケース1に固定される場合を例に説明したが、圧電素子2をケース1に固定する方法はこれに限定されず、各種方法を用いることができる。例えば、導電性を有さない接着剤により圧電素子2をケース1に固定するようにしてもよい。この場合には、圧電素子2の負極21bとケース1の底部1bとが点接触する程度に接着剤の層を薄くすればよい。また、ロウ材により圧電素子2をケース1に固定するようにしてもよい。これらの方法を採用することによっても、圧電素子2とケース1との間の導通を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、超音波センサなど圧電素子を有する装置であるならば各種装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0036】
1…ケース、1a…開口、1b…底部、2…圧電素子、3…接着剤、21…圧電体板、21a…正極、21b…負極、21b’…折り返し電極、22…第1のリード、23…第2のリード、24…第3のリード。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性を有する材料から構成され、一端が開口する筒状の内部空間を有するケースと、このケースの内部空間内の底部に固定された圧電素子とを備えた超音波センサであって、
前記圧電素子は、
圧電材料板と、
この圧電材料板の一方の面に形成された正極と、
前記圧電材料板の他方の面に形成されて前記ケースと電気的に接続される負極と、
この負極と電気的に接続されて前記他方の面から前記一方の面まで延在し、かつ、前記正極と電気的に絶縁された折り返し電極と、
前記一方の面の前記正極に接続された第1のリード、前記一方の面の前記正極に前記第1のリードが接続された箇所と異なる箇所で接続された第2のリード、および、前記一方の面の前記負極に接続された第3のリードと
を備えることを特徴とする超音波センサ。
【請求項2】
導電性を有する材料から構成され、一端が開口する筒状の内部空間を有するケースと、このケースの内部空間内の底部に固定された圧電素子とを備え、前記圧電素子は、圧電材料板と、この圧電材料板の一方の面に形成された正極と、前記圧電材料板の他方の面に形成されて前記ケースと電気的に接続される負極と、この負極と電気的に接続されて前記他方の面から前記一方の面まで延在し、かつ、前記正極と電気的に絶縁された折り返し電極と、前記一方の面の前記正極に接続された第1のリード、前記一方の面の前記正極に前記第1のリードが接続された箇所と異なる箇所で接続された第2のリード、および、前記一方の面の前記負極に接続された第3のリードとを備えた超音波センサの異常診断方法であって、
前記超音波センサに異常が発生しているか否かを検出する検出ステップと、
この検出ステップにより前記超音波センサに異常が発生していることが検出されると、
a)前記第3のリードと前記ケースとの間の電気的導通を確認し、電気的導通がある場合には前記第3のリードと前記ケースとの間に異常がないと診断する一方、電気的導通が無い場合には前記第3のリードと前記ケースとの間に異常があると診断する第1の診断ステップ、および、
b)前記第1のリードと前記第2のリードとの間の電気的導通を確認し、電気的導通がある場合には前記第1のリードと前記第2のリードとの間に異常がないと診断する一方、電気的導通が無い場合には前記第1のリードと前記第2のリードとの間に異常があると診断する第2の診断ステップ
のうち少なくとも一方を行うことを特徴とする超音波センサの異常診断方法。
【請求項3】
前記第2の診断ステップにより前記第1のリードと前記第2のリードとの間に異常があると診断されると、前記ケースと前記第2のリードとの間に電圧を印加し、前記圧電素子が動作するか否かを確認し、前記圧電素子が動作する場合には前記第1のリードと前記圧電素子との間に異常があると診断する一方、前記圧電素子が動作しない場合には前記第2のリードと前記圧電素子との間または前記圧電素子に異常があると診断する第3の診断ステップ
をさらに有することを特徴とする請求項2記載の超音波センサの異常診断方法。
【請求項4】
導電性を有する材料から構成され、一端が開口する筒状の内部空間を有するケースと、このケースの内部空間内の底部に固定された圧電素子とを備え、前記圧電素子は、圧電材料板と、この圧電材料板の一方の面に形成された正極と、前記圧電材料板の他方の面に形成されて前記ケースと電気的に接続される負極と、この負極と電気的に接続されて前記他方の面から前記一方の面まで延在し、かつ、前記正極と電気的に絶縁された折り返し電極と、前記一方の面の前記正極に接続された第1のリード、前記一方の面の前記正極に前記第1のリードが接続された箇所と異なる箇所で接続された第2のリード、および、前記一方の面の前記負極に接続された第3のリードとを備えた超音波センサの異常回復方法であって、
前記超音波センサに異常が発生しているか否かを検出する第1のステップと、
この第1のステップにより前記超音波センサに異常が発生していることが検出されると、前記第3のリードと前記ケースとの間の電気的導通を確認する第2のステップと、
この第2のステップにより電気的導通があることが確認されると、前記第1のリードと前記第2のリードとの間の電気的導通を確認する第3のステップと、
この第3のステップにより電気的導通が無いことが確認されると、前記ケースと前記第2のリードとの間に電圧を印加し、前記圧電素子が動作するか否かを確認する第4のステップと、
この第4のステップにより、前記圧電素子が動作することが確認されると、前記第2のリードを正極、前記ケースを負極として前記電子回路に接続させる第5のステップと
を有することを特徴とする超音波センサの異常回復方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−205184(P2012−205184A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69476(P2011−69476)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000006666)アズビル株式会社 (1,808)
【Fターム(参考)】