説明

超音波センサ装置

【課題】意匠性の低下を防止できる超音波センサ装置を提供する。
【解決手段】胴体部21とフランジ部22とを備えたベゼル20と、ベゼル20に保持された超音波センサ10とを有する超音波センサ装置であって、フランジ部22は、超音波センサ10の振動面11を外部に露出させる開口部23を有し、バンパ100表面から外側に突出する先端面24と、先端面24に対して傾斜して形成され、貫通孔101の開口縁部に当接するフランジ面25と、先端面24の外周部とフランジ面25の外周部との間に形成された外周面26と、外周面26とフランジ面25とにより形成されるエッジ部28のうち、少なくとも外周面26とフランジ面25とのなす角度θ1の最も小さい部分が面取りされて形成された面取り面27と、先端面24、外周面26及び面取り面27の表面に塗料を用いて形成された塗膜22aとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のバンパに取り付けられる超音波センサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、水平方向を向いたバンパ表面に取り付けられる従来の超音波センサ装置が開示されている。この超音波センサ装置は、超音波の発信及び受信を行う超音波センサと、超音波センサを保持するベゼルとを有している。超音波センサ装置は、超音波センサの振動面が水平方向を向くように取り付けられる。
【特許文献1】特開2006−337028号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
図5は、水平方向よりも下方を向いたバンパ表面に取り付けられる超音波センサ装置200の構成を示している。図5(a)は超音波センサ装置200の正面図であり、図5(b)は超音波センサ装置200の側面図である。図5(a)、(b)に示すように、超音波センサ装置200は、超音波センサ210とベゼル220とを有している。ベゼル220は、超音波センサ210を保持し、バンパに形成された貫通孔に外側から挿入される胴体部221と、貫通孔よりも大径に形成されてバンパ表面から外側に突出するフランジ部222とを有している。フランジ部222は、超音波センサ210の振動面211を外部に露出させる開口部を有する先端面223と、貫通孔の開口縁部に当接するフランジ面224と、先端面223の外周部とフランジ面224の外周部との間に形成された外周面225とを備えている。フランジ面224は、水平方向よりも下方を向いたバンパ表面に取り付けられたときに振動面211が水平方向を向くように、先端面223に対して傾斜して形成されている。外周面225は、バンパ表面に対して連続的かつ滑らかに接続されるように、先端面223から離れるほど径が大きくなるように形成されている。フランジ部222のうちバンパ表面から露出する先端面223及び外周面225の表面には、バンパと同色の塗料により塗装された塗膜が形成されている。
【0004】
ところがこの構成では、外周面225とフランジ面224とにより形成されるエッジ部226の先端角度が鋭角となり、特に、図5(a)のX部及び図5(b)のY部において先端角度が小さく(鋭く)なる。先端角度が小さくなるとエッジ部226に反りが生じ易くなるため、外周面225には凹部が形成され易くなる。したがって、フランジ部222を塗装した際に、外周面225に塗料溜まりが生じ易くなる。また、先端角度が小さくなるとエッジ部226に欠けが生じ易くなるため、塗装後の外周面225には欠けを起点とした塗膜剥がれが生じ易くなる。超音波センサ装置200がバンパに取り付けられた状態では、外周面225は意匠面として外部に露出するため、塗料溜まりや塗膜剥がれが外周面225に生じると、超音波センサ装置200の意匠性が低下してしまうという問題が生じる。
【0005】
本発明の目的は、意匠性の低下を防止できる超音波センサ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記目的を達成するために、以下の技術的手段を採用する。
【0007】
請求項1に記載の発明は、車両のバンパに形成された貫通孔にバンパ表面側から挿入される胴体部と、貫通孔よりも大径に形成され、バンパ表面から外側に突出するフランジ部とを備えたベゼルと、ベゼルに保持され、超音波の発信及び受信のうち少なくとも一方を行う超音波センサとを有する超音波センサ装置であって、フランジ部は、ベゼルの軸方向にほぼ垂直に形成され、超音波センサの振動面を外部に露出させる開口部を有し、バンパ表面から外側に突出する先端面と、先端面に対して傾斜して形成され、貫通孔の開口縁部に当接するフランジ面と、先端面の外周部とフランジ面の外周部との間に形成された外周面と、外周面とフランジ面とにより形成される環状のエッジ部のうち、少なくとも外周面とフランジ面とのなす角度の最も小さい部分が面取りされて形成された面取り面と、先端面、外周面及び面取り面の表面に塗料を用いて形成された塗膜とを備えていることを特徴とする超音波センサ装置である。
【0008】
これによると、エッジ部のうち少なくとも外周面とフランジ面とのなす角度の最も小さい部分に面取り面が形成される。このため、エッジ部のうち反りや欠けが最も生じ易い部分において反りや欠けを防止できるので、外周面での塗料溜まりや塗膜剥がれが生じ難くなる。したがって、超音波センサ装置の意匠性の低下を防止できる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、面取り面は、エッジ部の全周に形成されていることを特徴としている。これにより、エッジ部の全周において外周面での塗料溜まりや塗膜剥がれを防止できる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、外周面は、先端面から離れるほど径が大きくなるように形成されていることを特徴としている。このような構成では、エッジ部での外周面とフランジ面とのなす角度が小さくなるため、エッジ部での反りや欠けが特に生じ易くなるおそれがある。したがって、上記発明を適用することによってより高い効果が得られる。
【0011】
請求項4に記載の発明のように、貫通孔は、バンパ表面が水平方向よりも下方を向いた部分に形成され、ベゼルは、軸方向がほぼ水平になるように貫通孔に取り付けられ、エッジ部のうち角度の最も小さい部分は、フランジ部の下端部に形成されるようにしてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について図1乃至図4を用いて説明する。図1及び図2は、本実施形態における超音波センサ装置1を車両のバンパ100に取り付けた取付け状態を示している。図1は正面図であり、図2は側面図である。図3は、本実施形態における超音波センサ装置1のベゼル20の構成を示している。図3(a)は正面図であり、図3(b)は側面図である。
【0013】
図1乃至図3に示すように、超音波センサ装置1は、水平方向よりも下方を向いたバンパ100に取り付けられている。超音波センサ装置1は、超音波の発信及び受信(又はいずれか一方)を行う超音波センサ10と、超音波センサ10を保持する中空のベゼル20とを有している。
【0014】
超音波センサ10は、例えば樹脂製の筐体12を有している。筐体12は、略円筒状の円筒部14と、円筒部14の一端側に連結された略直方体状の箱状部13とを有している。円筒部14は、超音波センサ10の超音波振動子を保持しており、超音波振動子の振動面11を他端側の開口部から外部に露出させるようになっている。箱状部13内には、超音波振動子に駆動電圧を印加するとともに、超音波振動子での逆起電力により生じた電圧を処理する処理回路基板が格納されている。
【0015】
箱状部13の上部には、円筒部14の側面に沿うように延設された延長部15が設けられている。延長部15の先端部には、爪部16が形成されている。また、箱状部13の下部には、後述するベゼル20の爪部29により係止される被係止部17が形成されている。
【0016】
ベゼル20は例えば樹脂製であり、射出成形法を用いて形成されている。ベゼル20は、バンパ100に形成された貫通孔101にバンパ100表面側(外側)から挿入される略円筒状の胴体部21と、胴体部21と一体的に成形され、貫通孔101よりも大径に形成されてバンパ100表面から外側に突出するフランジ部22とを有している。胴体部21内には、超音波センサ10の円筒部14が挿入されるようになっている。胴体部21の上部には、超音波センサ10の爪部16により係止される凹部(図示せず)が形成されている。胴体部21の下部には、超音波センサ10の箱状部13の側面に沿うように延設された延長部30が設けられている。延長部30の先端部には、箱状部13に設けられた被係止部17に係止する爪部29が形成されている。
【0017】
フランジ部22は、超音波センサ10の振動面11を外部に露出させる開口部23を有する円環状の先端面24と、先端面24に対向して設けられ、バンパ100表面において貫通孔101の開口縁部に当接するフランジ面25とを備えている。先端面24は、ベゼル20の軸方向(図中左右方向)にほぼ垂直に形成されており、例えば振動面11と同一平面内に配置されている。フランジ面25は、先端面24に対して所定の傾斜角度で傾斜して形成されている。フランジ面25の先端面24に対する傾斜角度は、超音波センサ装置1が取り付けられるバンパ100表面の鉛直方向に対する傾斜角度にほぼ等しくなっている。これにより、超音波センサ装置1は、水平方向よりも下方を向いたバンパ100表面に、振動面11及び先端面24が水平方向を向くように取り付けられるようになっている。フランジ面25が先端面24に対して傾斜していることにより、ベゼル20のフランジ部22は、下端部に位置する図3(a)のA部及び図3(b)のB部近傍で最も厚肉になっている。
【0018】
またフランジ部22は、先端面24の外周部とフランジ面25の外周部との間に形成された外周面26を備えている。外周面26は、先端面24から離れるほどフランジ部22の径が大きくなるように形成されており、例えば外周側に凸となるように湾曲している。
【0019】
図4は、図3(b)のB部を拡大して示す図である。図4に示すように、外周面26とフランジ面25とにより形成されるエッジ部28近傍には、当該エッジ部28での先端角度を大きくするために断面直線状に面取りされた面取り面27が形成されている。面取り面27は、エッジ部28において外周面26とフランジ面25とのなす角度θ1が最も小さくなる図3(b)のB部(図3(a)のA部)には少なくとも形成されており、本例ではフランジ部22のエッジ部28全周に形成されている。面取り面27が形成されていることによって、エッジ部28での先端角度は、面取り面27とフランジ面25とのなす角度θ2となり、外周面26とフランジ面25とのなす角度θ1よりも大きくなる。面取り面27は、例えば角度θ2が90°に近づくように形成される。
【0020】
フランジ部22のうちバンパ100表面から外側に露出する先端面24、外周面26及び面取り面27は、例えばバンパ100と同色の塗料を用いて塗装されている。これにより、先端面24、外周面26及び面取り面27の表面には塗膜22aが形成されている。
【0021】
ベゼル20の胴体部21の外周には、複数の金属製のばね部材40が装着されている。ばね部材40は略への字状の断面形状を有しており、胴体部21の外表面から外周側に突出する頂上部を備えている。ばね部材40は、ベゼル20をバンパ100に取り付けた際に、バンパ100の貫通孔101の内側開口縁部に当接してベゼル20を固定するようになっている。
【0022】
バンパ100に超音波センサ装置1を搭載するときには、まず、ばね部材40が装着されたベゼル20の胴体部21をバンパ100の外側から貫通孔101内に挿入する。このときベゼル20は、フランジ部22が下端部側ほど厚肉になるように挿入される。フランジ部22を外側から押圧して胴体部21を貫通孔101内に進入させると、ばね部材40は貫通孔101の内周端に押されて径内方向に変形し、貫通孔101を通過すると弾性力で径外方向に復元する。これにより、ベゼル20はバンパ100の貫通孔101に対して固定される。
【0023】
次に、バンパ100の内側から、超音波センサ10の円筒部14をベゼル20の胴体部21内に押し込んで挿設する。これにより、超音波センサ10の爪部16が胴体部21に形成された凹部に係止されるとともに、胴体部21の爪部29が超音波センサ10の被係止部17に係止されて、超音波センサ10がベゼル20に対して固定される。すなわち超音波センサ10は、ベゼル20を介してバンパ100の貫通孔101に対して固定される。
【0024】
本実施形態では、エッジ部28のうち少なくとも外周面26とフランジ面25とのなす角度の最も小さい下端部に面取り面27が形成されている。これにより、フランジ部22下端部近傍でのエッジ部28の尖りが緩和されるため、エッジ部28での反りが生じ難くなる。このため、外周面26に凹部が形成され難くなるので、フランジ部22を塗装した際の塗料溜まりが生じ難くなる。
【0025】
また、フランジ部22下端部近傍でのエッジ部28の尖りが緩和されることにより、エッジ部28での欠けが生じ難くなる。このため、外周面26には欠けを起点とした塗膜剥がれが生じ難くなる。
【0026】
このように本実施形態によれば、フランジ部22下端部近傍において外周面26での塗料溜まりや塗膜剥がれの発生を防止できるため、超音波センサ装置1の意匠性の低下を防止できる。
【0027】
さらに本実施形態では、面取り面27がエッジ部28の全周に形成されているため、エッジ部28の全周において外周面26での塗料溜まりや塗膜剥がれの発生を防止できる。
【0028】
また、超音波センサ装置1は一般に人の目の位置よりも下方に取り付けられるため、フランジ部22下端部近傍の面取り面27は人の視界に対して死角に位置する。したがって、仮にフランジ部22下端部近傍の面取り面27において塗料溜まりや塗膜剥がれが生じたとしても、超音波センサ装置1の意匠性の低下を抑制できる。
【0029】
さらに本実施形態では、外周面26が、先端面24から離れるほどフランジ部22の径が大きくなるように形成されている。このような構成では、エッジ部28での外周面26とフランジ面25とのなす角度θ1が小さくなるため、エッジ部28での反りや欠けが特に生じ易くなってしまうおそれがある。したがって、本実施形態のようにエッジ部28に面取り面27を形成して塗料溜まりや塗膜剥がれを防止することによって、超音波センサ装置1の意匠性低下を防止する効果がより大きくなる。
【0030】
(その他の実施形態)
上記実施形態では、面取り面27がエッジ部28の全周に形成されているが、フランジ部22の下端部近傍のみに面取り面27を形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】第1実施形態における超音波センサ装置を車両のバンパに取り付けた取付け状態を示す正面図である。
【図2】第1実施形態における超音波センサ装置を車両のバンパに取り付けた取付け状態を示す側面図である。
【図3】第1実施形態における超音波センサ装置のベゼルの構成を示す図である。
【図4】図3(b)のB部を拡大して示す図である。
【図5】水平方向よりも下方を向いたバンパ表面に取り付けられる超音波センサ装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0032】
1 超音波センサ装置
10 超音波センサ
11 振動面
20 ベゼル
21 胴体部
22 フランジ部
22a 塗膜
23 開口部
24 先端面
25 フランジ面
26 外周面
27 面取り面
28 エッジ部
100 バンパ
101 貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のバンパに形成された貫通孔に前記バンパ表面側から挿入される胴体部と、前記貫通孔よりも大径に形成され、前記バンパ表面から外側に突出するフランジ部とを備えたベゼルと、前記ベゼルに保持され、超音波の発信及び受信のうち少なくとも一方を行う超音波センサとを有する超音波センサ装置であって、
前記フランジ部は、
前記ベゼルの軸方向にほぼ垂直に形成され、前記超音波センサの振動面を外部に露出させる開口部を有し、前記バンパ表面から外側に突出する先端面と、
前記先端面に対して傾斜して形成され、前記貫通孔の開口縁部に当接するフランジ面と、
前記先端面の外周部と前記フランジ面の外周部との間に形成された外周面と、
前記外周面と前記フランジ面とにより形成される環状のエッジ部のうち、少なくとも前記外周面と前記フランジ面とのなす角度の最も小さい部分が面取りされて形成された面取り面と、
前記先端面、前記外周面及び前記面取り面の表面に形成された塗膜とを備えていることを特徴とする超音波センサ装置。
【請求項2】
前記面取り面は、前記エッジ部の全周に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の超音波センサ装置。
【請求項3】
前記外周面は、前記先端面から離れるほど径が大きくなるように形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の超音波センサ装置。
【請求項4】
前記貫通孔は、前記バンパ表面が水平方向よりも下方を向いた部分に形成され、
前記ベゼルは、軸方向がほぼ水平になるように前記貫通孔に取り付けられ、
前記エッジ部のうち前記角度の最も小さい部分は、前記フランジ部の下端部に形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の超音波センサ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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