説明

超音波プローブ充電装置、超音波診断システム、及び、超音波診断装置

【課題】使用可能な充電状態にある超音波プローブを速やかに取得することのできる超音波プローブ充電装置、超音波診断システム、及び、超音波診断装置を提供する。
【解決手段】二次電池を含む超音波プローブに接続し超音波プローブに充電可能な超音波プローブ充電装置であって、接続した超音波プローブの充電状態を検出する充電状態検出部と、超音波プローブ充電装置の位置情報を格納する位置情報格納部と、充電状態及び位置情報を外部に送信する送信部と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波プローブを充電するための充電装置、並びに、そのような充電装置を備えた超音波診断システム及び超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療分野においては、被検体の内部を観察して診断を行うために、様々な撮像技術が開発されている。特に、超音波を送受信することによって被検体の内部情報を取得する超音波撮像は、リアルタイムで画像観察を行うことができる上に、X線写真やRI(radio isotope)シンチレーションカメラ等の他の医用画像技術と異なり、放射線による被曝がない。そのため、超音波撮像は、安全性の高い撮像技術として、産科領域における胎児診断の他、婦人科系、循環器系、消化器系等を含む幅広い領域において利用されている。
【0003】
超音波撮像の原理は、次のようなものである。超音波は、被検体内における構造物の境界のように、音響インピーダンスが異なる領域の境界において反射される。そこで、超音波ビームを人体等の被検体内に送信し、被検体内において生じた超音波エコーを受信して、超音波エコーが生じた反射位置や反射強度を求めることにより、被検体内に存在する構造物(例えば、内臓や病変組織等)の輪郭を抽出することができる。
【0004】
一般に、超音波診断装置においては、超音波の送受信機能を有する複数の超音波トランスデューサ(振動子)を含む超音波プローブが用いられる。超音波プローブと超音波診断装置本体とは、ケーブルを介して接続されることが多いが、ケーブルを用いることによる煩わしさを解消するために、超音波プローブと超音波診断装置本体との間の情報通信を無線により行う無線通信式の超音波診断装置が開発されている。そのような無線通信式の超音波診断装置においては、超音波プローブに二次電池を内蔵して適宜充電して使用するものがある。
【0005】
関連する技術として、特許文献1には、無線通信式の超音波プローブを、充電専用の充電器によって充電するものが開示されている。
【0006】
ところで、超音波プローブを使用可能な状態にまで充電するには、ある程度の時間を必要とする。従って、診断作業を効率的に遂行するためには、複数台の充電器を設置し、予め複数台の超音波プローブを充電しておくことが望ましい。
【0007】
しかしながら、超音波プローブの充電状態は、二次電池の残量や充電開始後の経過時間によって異なっており、充電器に接続されている超音波プローブを確認して初めて、その超音波プローブが撮像に使用可能であるか否かを知ることができる。従って、例えば充電器が施設内の離れた場所に分散して設置されているような場合には、所望の充電状態にある超音波プローブを見出して取得するまでに長時間を要してしまう恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−43186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、上記の点に鑑み、本発明は、使用可能な充電状態にある超音波プローブを速やかに取得することのできる超音波プローブ充電装置、超音波診断システム、及び、超音波診断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の1つの観点に係る超音波プローブ充電装置は、二次電池を含む超音波プローブに接続し超音波プローブに充電可能な超音波プローブ充電装置であって、接続した超音波プローブの充電状態を検出する充電状態検出部と、超音波プローブ充電装置の位置情報を格納する位置情報格納部と、充電状態及び位置情報を外部に送信する送信部と、を具備する。
【0011】
また、本発明の他の1つの観点に係る超音波診断システムは、被写体からの超音波を受信した複数の超音波トランスデューサから出力される複数の受信信号に対して信号処理を施すことにより伝送信号を生成する信号処理部と、信号処理部に電力を供給する二次電池とを含む超音波プローブと、超音波プローブに接続し超音波プローブに充電可能な超音波プローブ充電装置であって、接続した超音波プローブの充電状態を検出する充電状態検出部と、超音波プローブ充電装置の位置情報を格納する位置情報格納部と、充電状態及び位置情報を外部に送信する送信部とを含む超音波プローブ充電装置と、超音波プローブ充電装置から充電状態及び位置情報を受信する受信部と、充電状態及び位置情報を表示する表示部とを含む表示装置と、を具備する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、超音波プローブ充電装置が超音波プローブの充電状態及び位置情報を送信する構成を備えたので、ユーザは、使用可能な充電状態にある超音波プローブを速やかに取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係る超音波診断装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示す超音波プローブの構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示す充電装置の構成を示すブロック図である。
【図4】図1に示す超音波診断装置本体の構成を示すブロック図である。
【図5】図2に示す受信信号処理部の構成例を示す図である。
【図6】充電状態、充電装置の位置情報、及び、超音波プローブの種類情報を格納したデータテーブルの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。なお、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、説明を省略する。
図1は、本発明の一実施形態に係る超音波診断装置の概略構成を示す斜視図である。本発明の一実施形態に係る超音波診断システム及び装置は、超音波プローブ1と、超音波診断装置本体2と、充電装置3とによって構成される。充電装置3は、超音波プローブ1を収容することにより超音波プローブ1に接続され、超音波プローブ1を充電可能となっている。
【0015】
図2は、図1に示す超音波プローブの構成を示すブロック図である。図3は、図1に示す充電装置の構成を示すブロック図である。図4は、図1に示す超音波診断装置本体の構成を示すブロック図である。超音波プローブ1は、リニアスキャン方式、コンベックススキャン方式、セクタスキャン方式等の体外式プローブでも良いし、ラジアルスキャン方式等の超音波内視鏡用プローブでも良い。
【0016】
図2に示すように、超音波プローブ1は、1次元又は2次元のトランスデューサアレイを構成する複数の超音波トランスデューサ10と、送信遅延パターン記憶部11と、送信制御部12と、駆動信号発生部13と、受信制御部14と、複数チャンネルの受信信号処理部15と、パラレル/シリアル変換部16と、無線通信部17と、通信制御部18と、操作スイッチ21と、制御部22と、格納部23と、バッテリ制御部24と、電源スイッチ25と、バッテリ26と、受電部27とを有している。ここで、受信信号処理部15及びパラレル/シリアル変換部16は、被写体からの超音波を受信した複数の超音波トランスデューサ10から出力される複数の受信信号に対して信号処理を施すことにより伝送信号を生成する信号処理部を構成している。
【0017】
複数の超音波トランスデューサ10は、印加される複数の駆動信号に従って超音波を送信すると共に、伝搬する超音波エコーを受信して複数の受信信号を出力する。各超音波トランスデューサ10は、例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛:Pb(lead) zirconate titanate)に代表される圧電セラミックや、PVDF(ポリフッ化ビニリデン:polyvinylidene difluoride)に代表される高分子圧電素子等の圧電性を有する材料(圧電体)の両端に電極を形成した振動子によって構成される。
【0018】
そのような振動子の電極に、パルス状又は連続波の電圧を印加すると、圧電体が伸縮する。この伸縮により、それぞれの振動子からパルス状又は連続波の超音波が発生し、それらの超音波の合成によって超音波ビームが形成される。また、それぞれの振動子は、伝搬する超音波を受信することによって伸縮し、電気信号を発生する。それらの電気信号は、超音波の受信信号として出力される。
【0019】
送信遅延パターン記憶部11は、複数の超音波トランスデューサ10から送信される超音波によって超音波ビームを形成する際に用いられる複数の送信遅延パターンを記憶している。送信制御部12は、制御部22によって設定された送信方向に応じて、送信遅延パターン記憶部11に記憶されている複数の送信遅延パターンの中から1つの送信遅延パターンを選択し、その送信遅延パターンに基づいて、複数の超音波トランスデューサ10の駆動信号にそれぞれ与えられる遅延時間を設定する。あるいは、送信制御部12は、複数の超音波トランスデューサ10から一度に送信される超音波が被検体の撮像領域全体に届くように遅延時間を設定しても良い。
【0020】
駆動信号発生部13は、例えば、複数のパルサを含んでおり、送信制御部12によって選択された送信遅延パターンに基づいて、複数の超音波トランスデューサ10から送信される超音波が超音波ビームを形成するように複数の駆動信号の遅延量を調節して複数の超音波トランスデューサ10に供給し、あるいは、複数の超音波トランスデューサ10から一度に送信される超音波が被検体の撮像領域全体に届くように複数の駆動信号を複数の超音波トランスデューサ10に供給する。
【0021】
受信制御部14は、複数チャンネルの受信信号処理部15の動作を制御する。各チャンネルの受信信号処理部15は、対応する超音波トランスデューサ10から出力される受信信号に対して直交検波処理又は直交サンプリング処理を施すことにより複素ベースバンド信号を生成し、複素ベースバンド信号をサンプリングすることによりサンプルデータを生成して、サンプルデータをパラレル/シリアル変換部16に供給する。
【0022】
図5は、図2に示す受信信号処理部の構成例を示す図である。図5に示すように、各チャンネルの受信信号処理部15は、プリアンプ151と、ローパスフィルタ(LPF)152と、アナログ/ディジタル変換器(ADC)153と、直交検波処理部154と、サンプリング部155a及び155bと、メモリ156a及び156bとを含んでいる。
【0023】
プリアンプ151は、超音波トランスデューサ10から出力される受信信号(RF信号)を増幅し、LPF152は、プリアンプ151から出力される受信信号の帯域を制限することにより、A/D変換におけるエリアジングを防止する。ADC153は、LPF152から出力されるアナログの受信信号をディジタルの受信信号に変換する。
【0024】
RF信号のままでデータの直列化を行うと、伝送ビットレートが極めて高くなり、通信速度やメモリの動作速度がそれに追いつかない。一方、受信フォーカス処理の後でデータの直列化を行うと、伝送ビットレートを低減することができるが、受信フォーカス処理のための回路は規模が大きく、超音波プローブの中に組み込むことは困難である。そこで、本実施形態においては、受信信号に対して直交検波処理等を施して受信信号の周波数帯域をベースバンド周波数帯域に落としてからデータの直列化を行うことにより、伝送ビットレートを低減させている。
【0025】
直交検波処理部154は、受信信号に対して直交検波処理を施し、複素ベースバンド信号(I信号及びQ信号)を生成する。図5に示すように、直交検波処理部154は、ミキサ(掛算回路)154a及び154bと、ローパスフィルタ(LPF)154c及び154dとを含んでいる。ミキサ154aが、局部発振信号cosωtを受信信号に掛け合わせて、LPF154cが、ミキサ154aから出力される信号にローパスフィルタ処理を施すことにより、実数成分を表すI信号が生成される。一方、ミキサ154bが、位相をπ/2だけ回転させた局部発振信号sinωtを受信信号に掛け合わせて、LPF154dが、ミキサ154bから出力される信号にローパスフィルタ処理を施すことにより、虚数成分を表すQ信号が生成される。
【0026】
サンプリング部155a及び155bは、直交検波処理部154によって生成された複素ベースバンド信号(I信号及びQ信号)をサンプリング(再サンプリング)することにより、2チャンネルのサンプルデータをそれぞれ生成する。生成された2チャンネルのサンプルデータは、メモリ156a及び156bにそれぞれ格納される。
【0027】
再び図2を参照すると、パラレル/シリアル変換部16は、複数チャンネルの受信信号処理部15によって生成されたパラレルのサンプルデータを、シリアルのサンプルデータ(伝送信号)に変換する。例えば、パラレル/シリアル変換部16は、128チャンネルのパラレルのサンプルデータを、1〜4チャンネルのシリアルのサンプルデータに変換する。これにより、超音波トランスデューサ10の数と比較して、伝送チャンネルの数が大幅に低減される。
【0028】
無線通信部17は、伝送信号に基づいてキャリアを変調して送信信号を生成し、送信信号をアンテナに供給してアンテナから電波を送信することにより、伝送信号を送信する。変調方式としては、例えば、ASK(Amplitude Shift Keying)、PSK(Phase Shift Keying)、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)、16QAM(16 Quadrature Amplitude Modulation)等が用いられる。ASK又はPSKを用いる場合には、1系統で1チャンネルのシリアルデータを伝送することが可能であり、QPSKを用いる場合には、1系統で2チャンネルのシリアルデータを伝送することが可能であり、16QAMを用いる場合には、1系統で4チャンネルのシリアルデータを伝送することが可能である。
【0029】
このようにして、無線通信部17は、超音波診断装置本体2との間で無線通信を行うことにより、伝送信号を超音波診断装置本体2に送信すると共に、超音波診断装置本体2から各種の制御信号を受信して、受信された信号を通信制御部18に出力する。通信制御部18は、制御部22によって設定された送信電波強度で伝送信号の送信が行われるように無線通信部17を制御すると共に、無線通信部17が受信した各種の制御信号を制御部22に出力する。制御部22は、超音波診断装置本体2から送信される各種の制御信号に基づいて、超音波プローブ1の各部を制御する。
【0030】
操作スイッチ21は、超音波診断装置をライブモードやフリーズモードに設定するためのスイッチを含んでいる。ここで、ライブモードとは、超音波の送受信を行うことによって順次得られる受信信号に基づいて動画像を表示するモードのことであり、フリーズモードとは、メモリ等に格納されている受信信号又は音線信号に基づいて静止画像を表示するモードのことである。ライブモード又はフリーズモードの設定信号は、伝送信号と共に送信信号に含まれて、超音波診断装置本体2に送信される。なお、ライブモードとフリーズモードとの切換は、超音波診断装置本体2において行われるようにしても良い。
【0031】
バッテリ26は、受信信号処理部15、電力を必要とするパラレル/シリアル変換部16、無線通信部17、制御部22等の各部に電力を供給する二次電池である。超音波プローブ1には電源スイッチ25が設けられており、バッテリ制御部24は、電源スイッチ25の状態に基づいて、バッテリ26から各部に電力を供給するか否かを制御する。また、バッテリ制御部24は、受電部27において得られた電流の整流やバッテリ26に対する充電電圧の調整等を行う充電回路を備えている。この充電回路がバッテリ26に直流電流を供給することにより、バッテリ26への充電が可能となっている。
【0032】
受電部27は、一端がバッテリ制御部24の充電回路に接続され、他端が超音波プローブ1の筐体外部に露出した端子により構成される。受電部27と給電部47(後述)の端子同士が接触している場合に、バッテリ制御部24を介してバッテリ26への充電が行われる。あるいは、受電部27は、給電部47から無線により供給される供給エネルギーを電気エネルギーに変換することにより、無線による送電を受電する電気回路としても良い。無線による送電は、給電部47との間でLC共振回路を構成し、給電部47が発生する磁場から受電部27が誘導起電力を発生させることにより実現される。
【0033】
以上において、送信制御部12、受信制御部14、直交検波処理部154(図5)、サンプリング部155a及び155b(図5)、パラレル/シリアル変換部16、通信制御部18、制御部22、及び、バッテリ制御部24は、ディジタル回路によって構成しても良いし、中央演算装置(CPU)と、CPUに各種の処理を行わせるためのソフトウェア(プログラム)とによって構成しても良い。上記のソフトウェア(プログラム)は、格納部23に格納される。あるいは、直交検波処理部154をアナログ回路によって構成しても良い。その場合には、ADC153が省略され、サンプリング部155a及び155bによって複素ベースバンド信号のA/D変換が行われる。また、格納部23には、当該超音波プローブ1の種類を識別する種類情報が格納されていても良い。この情報は、充電装置3からの要求に応じて、無線通信部17を介して外部に送信することができる。
【0034】
一方、図3を参照すると、充電装置3は、電源制御部44と、電源スイッチ45と、電源部46と、給電部47と、プローブホルダ48と、制御部52と、表示部56と、無線通信部57と、通信制御部58と、充電状態検出部61と、充電状態格納部62と、位置情報検出部63と、位置情報格納部64と、種類情報検出部65と、種類情報格納部66とを有している。
【0035】
電源制御部44は、電源スイッチ45の状態に基づいて、電源部46のオン/オフを制御する。電源部46は、給電部47など充電装置3の各部に電力を供給する。
【0036】
プローブホルダ48は、超音波プローブ1を保持するよう充電装置3に複数設けられている(図1参照)。各プローブホルダ48には、超音波プローブ1への充電を行う給電部47が設けられている。
【0037】
給電部47は、一端が電源部46に接続され、他端が充電装置3の筐体外部に露出した端子である。給電部47は、プローブホルダ48により保持された超音波プローブ1の受電部27(図2)と対峙する位置に配置されており、超音波プローブ1の受電部27と接触している場合に、受電部27に電力を供給する。あるいは、給電部47は、電磁誘導作用によって超音波プローブ1の受電部27に電力を供給するLC回路により構成されていても良い。
【0038】
充電状態検出部61は、各プローブホルダ48に保持された超音波プローブ1のバッテリ26の充電状態を検出する。バッテリ26の充電状態は、受電部27の端子間の電圧や、給電部47から供給される充電電流を検出することによって検出される。あるいは、超音波プローブ1のバッテリ制御部24においてバッテリ26の充電状態を検出し、無線通信部17及び無線通信部57を介して検出信号を受信することにより、又は、受電部27の制御信号線を介して有線で受信することにより、バッテリ26の充電状態を検出しても良い。
充電状態格納部62は、充電状態検出部61において検出された充電状態を格納する記憶装置である。
【0039】
位置情報検出部63は、当該充電装置3の位置情報を検出する。当該充電装置3の位置情報は、例えば図示しない磁気センサを充電装置3に設け、各診察室の扉に設けた図示しない磁場発生装置による磁場を検出することにより、充電装置3がその扉を通って当該診察室に持ち込まれたことを検出することができる。
位置情報格納部64は、当該充電装置3の位置情報を格納する記憶装置である。位置情報格納部64に記憶する位置情報は、位置情報検出部63により検出された位置情報に限らず、図示しない入力手段によりユーザが入力した位置情報であっても良い。
【0040】
種類情報検出部65は、各プローブホルダ48に保持された超音波プローブ1の種類を検出する。超音波プローブ1の種類は、各プローブホルダ48に設けた図示しないメカセンサ又はフォトセンサによって超音波プローブの種類に応じた形状を識別することによって検出される。あるいは、各超音波プローブ1にバーコードを付しておき、このバーコードを充電装置3に接続された図示しないバーコードリーダに読み取らせることにより、超音波プローブ1の種類を識別しても良い。このように電気的な格納手段を使わずに検出すれば、超音波プローブ1のバッテリ26が完全に放電している状態でも超音波プローブ1の認識ができる。また、超音波プローブ1の格納部23に格納されている種類情報を、無線通信部17及び無線通信部57を介して受信することにより、又は、受電部27の制御信号線を介して有線で受信することにより、超音波プローブ1の種類を検出しても良い。この場合、超音波プローブ1の格納部23、無線通信部17、受電部27に対しては、バッテリ26を介さず直接受電部27から電力を供給する事が、バッテリが放電されている場合に電力供給を可能とする点、又、充電中に電力を供給する事によるバッテリの消耗を防ぐ点からも望ましい。
種類情報格納部66は、種類情報検出部65において検出された超音波プローブ1の種類情報を格納する記憶装置である。種類情報格納部66に記憶する種類情報は、種類情報検出部65により検出された種類情報に限らず、図示しない入力手段によりユーザが入力した種類情報であっても良い。
【0041】
図6は、充電状態、充電装置の位置情報、及び、超音波プローブの種類情報を格納したデータテーブルの構成例を示す図である。このデータテーブルは、各超音波プローブ1に対応するレコードを複数有するものであり、各レコードは、各超音波プローブ1について、充電状態を格納したフィールド621と、充電装置の位置情報を格納したフィールド641と、超音波プローブの種類情報を格納したフィールド661とを有している。ここで、充電状態を格納したフィールド621は充電状態格納部を構成し、充電装置の位置情報を格納したフィールド641は位置情報格納部を構成し、超音波プローブの種類情報を格納したフィールド661は種類情報格納部を構成する。
【0042】
図6に示すように、データテーブルには、充電状態を示す情報として例えば当該超音波プローブ1が「充電中」であるか「充電完了」であるかを示す情報、あるいは「使用不可」であるか「使用可」であるかを示す情報が格納される。位置情報を示す情報としては例えば当該充電装置3がどの診察室にあるかを示す情報が格納される。超音波プローブ1の種類情報としては例えばリニアスキャン方式のプローブであるか、コンベックススキャン方式のプローブであるかを示す情報が格納される。
【0043】
再び図3を参照すると、表示部56は、例えば、LCD等のディスプレイ装置を含んでおり、制御部52の制御の下で、超音波プローブ1の充電状態、充電装置3の位置、超音波プローブ1の種類等を表示する。表示の態様は例えば図6に示すような一覧表としても良く、他の態様でもよい。
【0044】
無線通信部57は、充電状態格納部62、位置情報格納部64、及び、種類情報格納部66に格納されている各種情報に基づいてキャリアを変調して送信信号を生成し、送信信号をアンテナに供給してアンテナから電波を送信することにより、検出信号を送信する。ここで、無線通信部57及び通信制御部58は、充電状態及び位置情報を外部に送信する送信部を構成している。また、無線通信部57及び通信制御部58は、他の超音波プローブ充電装置から充電状態及び位置情報を受信する受信部を構成している。
【0045】
そして、無線通信部57は、他の充電装置3aとの間で無線通信を行うことにより、検出信号を他の充電装置3aに送信すると共に、他の充電装置3aから検出信号を受信して、受信された信号を通信制御部58に出力する。通信制御部58は、制御部52によって設定された送信電波強度で検出信号の送信が行われるように無線通信部57を制御すると共に、無線通信部57が受信した検出信号を制御部52に出力する。制御部52は、他の充電装置3aから送信される検出信号に基づいて、他の充電装置3aに接続された超音波プローブ1に関する充電状態、充電装置の位置、超音波プローブの種類の各情報を、充電状態格納部62、位置情報格納部64、及び、種類情報格納部66に格納し、表示部56に表示させる。
【0046】
本実施形態によれば、充電装置3が超音波プローブの充電状態や当該充電装置の位置等を他の充電装置3aに送信すると共に、他の充電装置3aから受信した超音波プローブの充電状態や充電装置の位置等を表示部に表示することとしたので、ユーザは使用可能な充電状態にある超音波プローブがどこにあるかを容易に知ることができる。
【0047】
一方、図4を参照すると、超音波診断装置本体2は、無線通信部31と、通信制御部32と、シリアル/パラレル変換部33と、画像形成部34と、表示制御部35と、表示部36と、操作部41と、制御部42と、格納部43とを有している。ここで、超音波診断装置本体2は、受信部と表示部とを含む表示装置を構成する。
【0048】
無線通信部31は、超音波プローブ1との間で無線通信を行うことにより、伝送信号を超音波プローブ1から受信すると共に、各種の制御信号を超音波プローブ1に送信する。無線通信部31は、アンテナによって受信された信号を復調することにより、複数の超音波トランスデューサから出力される受信信号から得られる複素ベースバンド信号を表すシリアルのサンプルデータ(伝送信号)を出力する。
また、無線通信部31は、充電装置3との間で無線通信を行うことにより、検出信号を充電装置3から受信し、アンテナによって受信された信号を復調することにより、検出信号を出力する。ここで、無線通信部31及び通信制御部32は、他の超音波プローブ充電装置から充電状態及び位置情報を受信する受信部を構成している。
【0049】
通信制御部32は、無線通信部31から出力される検出信号を検出して制御部42に出力するように無線通信部31を制御する。また、通信制御部32は、各種の制御信号を超音波プローブ1に対して送信するように無線通信部31を制御する。シリアル/パラレル変換部33は、無線通信部31から出力されるシリアルのサンプルデータを、複数の超音波トランスデューサに対応するパラレルのサンプルデータに変換する。
【0050】
画像形成部34は、シリアル/パラレル変換部33から出力されるパラレルのサンプルデータに基づいて、被検体内の組織に関する断層画像情報であるBモード画像信号を生成する。画像形成部34は、受信遅延パターン記憶部341と、整相加算部342と、メモリ343と、画像処理部344とを含んでいる。
【0051】
受信遅延パターン記憶部341は、複数の超音波トランスデューサから出力される受信信号から得られる複素ベースバンド信号に対して受信フォーカス処理を行う際に用いられる複数の受信遅延パターンを記憶している。整相加算部342は、制御部42において設定された受信方向に基づいて、受信遅延パターン記憶部341に記憶されている複数の受信遅延パターンの中から1つの受信遅延パターンを選択し、その受信遅延パターンに基づいて、複数の複素ベースバンド信号にそれぞれの遅延を与えて加算することにより、受信フォーカス処理を行う。この受信フォーカス処理により、超音波エコーの焦点が絞り込まれたベースバンド信号(音線信号)が生成される。
【0052】
メモリ343は、整相加算部342によって生成された音線信号を順次格納する。画像処理部344は、ライブモードにおいては整相加算部342によって生成される音線信号に基づいて、フリーズモードにおいてはメモリ343に格納されている音線信号に基づいて、被検体内の組織に関する断層画像情報であるBモード画像信号を生成する。
【0053】
画像処理部344は、STC(sensitivity time control)部と、DSC(digital scan converter:ディジタル・スキャン・コンバータ)とを含んでいる。STC部は、音線信号に対して、超音波の反射位置の深度に応じて、距離による減衰の補正を施す。DSCは、STC部によって補正された音線信号を通常のテレビジョン信号の走査方式に従う画像信号に変換(ラスター変換)し、階調処理等の必要な画像処理を施すことにより、Bモード画像信号を生成する。
【0054】
表示制御部35は、画像形成部34によって生成されるBモード画像信号に基づいて、表示部36に超音波診断画像を表示させる。表示部36は、例えば、LCD等のディスプレイ装置を含んでおり、表示制御部35の制御の下で、超音波診断画像を表示する。
【0055】
制御部42は、操作部41を用いたユーザの操作に従って、超音波診断装置の各部を制御する。また、制御部42は、充電装置3から受信した検出信号に基づいて、各超音波プローブ1の充電状態、充電装置の位置情報、及び、超音波プローブの種類情報を表示部36に表示させるよう表示制御部35を制御する。表示部36は、充電装置3から受信した各超音波プローブ1の充電状態、充電装置の位置情報、及び、超音波プローブの種類情報を表示する。
【0056】
以上において、通信制御部32、シリアル/パラレル変換部33、整相加算部342、画像処理部344、表示制御部35、及び、制御部42は、中央演算装置(CPU)と、CPUに各種の処理を行わせるためのソフトウェア(プログラム)とによって構成されるが、それらをディジタル回路によって構成しても良い。上記のソフトウェア(プログラム)は、格納部43に格納される。格納部43における記録媒体としては、内蔵のハードディスクの他に、フレキシブルディスク、MO、MT、RAM、CD−ROM、又は、DVD−ROM等を用いることができる。
【0057】
本実施形態によれば、充電装置3が超音波プローブの充電状態や当該充電装置の位置等を超音波診断装置本体2に送信することとし、超音波診断装置本体2は充電装置3から受信した超音波プローブの充電状態や充電装置の位置等を表示部に表示することとしたので、ユーザは使用可能な充電状態にある超音波プローブがどこにあるかを容易に知ることができる。
【0058】
以上においては、超音波診断装置本体2と充電装置3とを別々に設ける場合について説明したが、超音波診断装置本体2が充電装置3を具備するように構成しても良い。そして、各超音波プローブ1の充電状態、充電装置の位置情報、及び、超音波プローブの種類情報を、他の充電装置3aや、充電装置を備えた他の超音波診断装置本体に送信することとしても良い。
【0059】
また、以上においては、超音波診断システムの表示装置として、超音波プローブからの伝送信号に基づいて画像信号を生成する超音波診断装置本体2(図1参照)を用いる場合について説明したが、超音波プローブからの伝送信号に基づく画像信号の生成機能を有しない携帯情報端末を用いても良い。また、表示装置を超音波プローブと同一筐体に設けてもよい。この場合、手に持った超音波プローブの充電残りが少ない時、直に替りの充電が十分にされた同じ種類の超音波プローブを捜すことができる。
【0060】
また、以上においては、超音波プローブ1をワイヤレスとし、超音波診断装置本体2とのあらゆる信号の伝達を完全に無線により行う場合について説明したが、一部の信号の伝送を有線により行うこととしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、超音波を送受信することにより生体内の臓器等の撮像を行って、診断のために用いられる超音波診断画像を生成する超音波診断装置において利用することが可能である。
【符号の説明】
【0062】
1 超音波プローブ
2 超音波診断装置本体
3 充電装置
10 超音波トランスデューサ
11 送信遅延パターン記憶部
12 送信制御部
13 駆動信号発生部
14 受信制御部
15 受信信号処理部
16 パラレル/シリアル変換部
17 無線通信部
18 通信制御部
21 操作スイッチ
22 制御部
23 格納部
24 バッテリ制御部
25 電源スイッチ
26 バッテリ
27 受電部
31 無線通信部
32 通信制御部
33 シリアル/パラレル変換部
34 画像形成部
35 表示制御部
36 表示部
41 操作部
42 制御部
43 格納部
44 電源制御部
45 電源スイッチ
46 電源部
47 給電部
48 プローブホルダ
52 制御部
56 表示部
57 無線通信部
58 通信制御部
61 充電状態検出部
62 充電状態格納部
63 位置情報検出部
64 位置情報格納部
65 種類情報検出部
66 種類情報格納部
151 プリアンプ
152 ローパスフィルタ(LPF)
153 アナログ/ディジタル変換器(ADC)
154 直交検波処理部
154a、154b ミキサ(掛算回路)
154c、154d ローパスフィルタ(LPF)
155a、155b サンプリング部
156a、156b メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池を含む超音波プローブに接続し前記超音波プローブに充電可能な超音波プローブ充電装置であって、
接続した前記超音波プローブの充電状態を検出する充電状態検出部と、
前記超音波プローブ充電装置の位置情報を格納する位置情報格納部と、
前記充電状態及び前記位置情報を外部に送信する送信部と、
を具備する超音波プローブ充電装置。
【請求項2】
前記超音波プローブの種類情報を格納する種類情報格納部をさらに具備し、
前記送信部は、さらに前記種類情報を外部に送信する、請求項1記載の超音波プローブ充電装置。
【請求項3】
前記充電状態及び位置情報を表示する表示部をさらに具備する、請求項1又は2記載の超音波プローブ充電装置。
【請求項4】
他の超音波プローブ充電装置から前記充電状態及び前記位置情報を受信する受信部をさらに具備する、請求項1乃至3の何れか一項記載の超音波プローブ充電装置。
【請求項5】
被写体からの超音波を受信した複数の超音波トランスデューサから出力される複数の受信信号に対して信号処理を施すことにより伝送信号を生成する信号処理部と、前記信号処理部に電力を供給する二次電池とを含む超音波プローブと、
前記超音波プローブに接続し前記超音波プローブに充電可能な超音波プローブ充電装置であって、接続した前記超音波プローブの充電状態を検出する充電状態検出部と、前記超音波プローブ充電装置の位置情報を格納する位置情報格納部と、前記充電状態及び前記位置情報を外部に送信する送信部とを含む超音波プローブ充電装置と、
前記超音波プローブ充電装置から前記充電状態及び前記位置情報を受信する受信部と、前記充電状態及び前記位置情報を表示する表示部とを含む表示装置と、
を具備する超音波診断システム。
【請求項6】
前記超音波プローブ充電装置は、前記超音波プローブの種類情報を格納する種類情報格納部をさらに含み、前記送信部により前記種類情報を外部に送信し、
前記表示装置は、前記受信部により前記種類情報を受信し、前記表示部により前記種類情報を表示する、請求項5記載の超音波診断システム。
【請求項7】
前記表示装置は、前記伝送信号に基づく画像をさらに表示する、請求項5又は6記載の超音波診断システム。
【請求項8】
前記表示装置は携帯情報端末である、請求項5又は6記載の超音波診断システム。
【請求項9】
前記表示装置は前記超音波プローブと同一筐体に設けられた、請求項5又は6記載の超音波診断システム。
【請求項10】
被写体からの超音波を受信した複数の超音波トランスデューサから出力される複数の受信信号に対して信号処理を施すことにより伝送信号を生成する信号処理部と、前記信号処理部に電力を供給する二次電池とを含む超音波プローブと、
前記超音波プローブに接続し前記超音波プローブに充電可能な超音波プローブ充電装置であって、接続した前記超音波プローブの充電状態を検出する充電状態検出部と、前記超音波プローブ充電装置の位置情報を格納する位置情報格納部と、前記充電状態及び前記位置情報を外部に送信する送信部とを含む超音波プローブ充電装置と、
前記超音波プローブ充電装置から前記充電状態及び前記位置情報を受信する受信部と、前記伝送信号に基づいて画像信号を生成する画像信号生成部と、前記充電状態、前記位置情報、及び、前記画像信号に基づく画像を表示する表示部とを含む超音波診断装置本体と、
を具備する超音波診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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