説明

超音波レベル計及び放射性廃棄物の固化処理装置

【課題】固形分を含む液体の注入時において容器内における液体の液面のレベルを精度良く計測することができる超音波レベル計を提供する。
【解決手段】超音波レベル計1は放射性廃棄物の固化処理装置10のモルタル注入装置12に設けられるフード13に設置される。超音波レベル計1は、圧電振動子2、及び内側に吸音部材5が装着された円筒状のコーン4をヘッド部3に取り付けている。吸音部材5は、親水性のある連続気泡性の吸音部材(例えば、スポンジ)である。モルタル19がモルタル注入管14から放射性固体廃棄物21が充填されたドラム缶20内に注入されるとき、超音波8が圧電振動子2からドラム缶20内の液面22に向かって発信される。モルタル注入時に飛散したモルタル19が吸音部材5の内面に付着した場合には、このモルタルに含まれる砂等の固形分及び水分は吸音部材5内に吸収される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波レベル計及び放射性廃棄物の固化処理装置に係り、特に、固形分を含む液体の液面を計測するのに好適な超音波レベル計、及びこの超音波レベル計を用いた放射性廃棄物の固化処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
非接触式の超音波レベル計は、ヘッド部に設置された圧電振動子(超音波振動子)から発信された超音波が測定対象物の液面で反射して圧電振動子に受信されるまでに要する時間を計測し、測定対象物の液面までの距離を算出する。このような超音波レベル計は、測定対象物に接触することなく液面までの距離を計測できる。このため、放射性物質を含む流体の液位を測定する際に放射性物質による汚染の度合いが小さいので、超音波レベル計は、原子力発電所等の放射線管理区域内の設備において広く使用されている。
【0003】
超音波レベル計から発信される超音波は、超音波レベル計に含まれる圧電振動子の大きさ及び形状に依存した所定の広がりを持って伝播する。このため、測定対象物の近辺に障害物が存在する場合には、障害物で反射した超音波が圧電振動子で受信され、超音波レベル計によって測定対象物までの距離を正確に測定できなくなる。
【0004】
この問題に対し、特開平10−206213号公報は、圧電振動子の前方に円筒状のコーン(導波管)を配置することを提案している。圧電振動子から測定対象物に対して斜めに発信された超音波は、コーンの内面で反射され、測定対象物に向って伝播する。この結果、発信された超音波の広がり角が制限されるので、測定対象物周辺に存在する障害物の干渉リスクを小さくすることができる。
【0005】
特開2005−127722号公報は、超音波レベル計のコーンの内面に吸音材を設けることを記載している。この吸音材は、圧電振動子から発信されて広がった超音波を吸収し、コーン内で超音波が乱反射することを防止している。
【0006】
測定対象物である液体または測定対象物に含まれている液体の液滴がコーン内面に付着した場合には、付着した液滴が突起物となって発信された超音波を圧電振動子の方向に反射する可能性がある。このとき、超音波レベル計は、あたかもコーン内の近距離に測定対象物があるかのように誤動作する。特開平10−206213号公報は、さらに、コーン内面に吸水性のある膜を設けることも提案している。この吸水性のある膜は、液滴が付着してもこの液滴を吸収し、その膜の表面で液滴が突起物の状態になるのを防止する。
【0007】
放射性廃棄物の固化処理装置の一例が、特開2000−75096号公報に記載されている。この固化処理装置は、セメント、砂及び水が供給されてモルタルを生成する混練機、混練機で生成されたモルタルを放射性固体廃棄物が充填されたドラム缶内に注入するモルタル充填装置を備えている。モルタル充填装置は、ドラム缶内に注入されたモルタルの液面を計測する液面計を備えている。ドラム缶内のモルタルの液面が所定レベルに達したとき、ドラム缶内へのモルタルの注入が停止される。
【0008】
【特許文献1】特開平10−206213号公報
【特許文献2】特開2005−127722号公報
【特許文献3】特開2000−75096号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
放射性廃棄物の固化処理装置は、モルタルを生成し、放射性固体廃棄物が充填されたドラム缶内にそのモルタルを充填する装置である。ドラム缶内に充填されたモルタルの液面を超音波レベル計で計測し、その液面が所定のレベルまで上昇したかを監視している。モルタルは水分及び固形分を含んでいる。
【0010】
特開平10−206213号公報に記載された超音波レベル計を放射性廃棄物の固化処理装置に適用した場合、以下の問題が生じることを発明者らが新たに見出した。ドラム缶内にモルタルを注入しているとき、ドラム缶内から跳ねたモルタルが、ドラム缶の上方に配置された超音波レベル計のコーン内に達し、コーンの内側に設けられた吸水性のある膜に付着する。付着したモルタルに含まれた水分はその膜に吸収される。しかしながら、その付着したモルタルに含まれるセメント及び砂の固形分は、その膜に吸収されず、その膜の表面に残留する。超音波レベル計の圧電振動子から発信された超音波が、ドラム缶内のモルタルの液面より上方に存在する、上記の膜に付着した固形分(砂またはセメント)で反射され、圧電振動子に受信される。このとき、超音波レベル計は、モルタルの液面がドラム缶内にあるにもかかわらず、上記の固形分からの反射波に基づいてモルタルの液面が固形分が付着した位置であるかのような液面レベルの計測信号(誤信号)を出力する。
【0011】
特開2005−127722号公報に記載された超音波レベル計を放射性廃棄物の固化処理装置に適用した場合においても、以下の問題が生じることを発明者らが新たに見出した。ドラム缶内へのモルタルの注入時に、ドラム缶内から跳ねたモルタルが、ドラム缶の上方に位置する、特開2005−127722号公報記載の超音波レベル計のコーンに設けられた吸音材の表面に付着する。この吸音材は吸水性も有していないので、モルタルに含まれた水分、砂及びセメントが吸音材の表面に付着したまま存在する。超音波レベル計の圧電振動子から発信された超音波が、吸音材の表面に付着した水分、砂及びセメントによって反射され、特開平10−206213号公報と同様な誤信号が超音波レベル計から出力される。
【0012】
本発明の目的は、固形分を含む液体の注入時において容器内における液体の液面のレベルを精度良く計測することができる超音波レベル計及び放射性廃棄物の固化処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記した目的を達成する本発明の特徴は、ヘッド部に取り付けられた筒状体と、筒状体の内側に着脱可能に装着された、親水性であって連続気泡性の吸音部材と、筒状体で囲まれた空間内に面してヘッドに設けられた、超音波の送受信を行う振動子とを備えたことにある。
【0014】
超音波の送受信を行う振動子の前方に位置する筒状体内に、親水性であって連続気泡性の吸音部材を装着しているので、固形分を含む液体の液面から飛散した固形分を含む液滴がその吸音部材に付着した場合には、付着した液滴に含まれる液体が吸音部材に吸収される。また、付着した液滴に含まれる固形分は、その液体が吸音部材に吸収される液体に随伴して吸音部材内の連続気泡内に格納される。飛散した液滴が吸音部材に付着してもその液滴に含まれる液体及び固形分が吸音部材の表面に残留しないので、固形分を含む液体の注入時において容器内における液体の液面のレベルを精度良く計測することができる。
【0015】
上記の目的は、モルタルを混練する混練装置と、放射性廃棄物が充填された廃棄物収納容器の上方を覆うカバー部材、及びカバー部材に取り付けられ、混練装置で得られた固化材を廃棄物収納容器内に注入するモルタル注入管を有するモルタル注入装置と、前記カバー部材に取り付けられた超音波レベル計とを備え、
その超音波レベル計が、カバー部材に取り付けられるヘッド部と、ヘッド部に取り付けられた筒状体と、筒状体の内側に着脱可能に装着された、親水性であって連続気泡性の吸音部材と、筒状体で囲まれた空間内に面してヘッドに設けられた、超音波の送受信を行う振動子とを有する放射性廃棄物の固化処理装置によっても達成することができる。
【0016】
さらに、この放射性廃棄物の固化処理装置は、吸音部材の交換頻度が少ないので、稼働率が向上する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、固形分を含む液体を容器内に注入するときにおいて、容器内における液体の液面のレベルを精度良く計測することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の実施例を以下に説明する。
【実施例1】
【0019】
本発明の好適な一実施例である実施例1の超音波レベル計を、図1〜図3を用いて説明する。本実施例の超音波レベル計1を備えた放射性廃棄物の固化処理装置を、図2を基に説明する。放射性廃棄物の固化処理装置10は、混練機11、ポンプ17、モルタル注入装置12及び制御装置18を備えている。
【0020】
モルタル注入装置12は、超音波レベル計1、ドラム缶(廃棄物収納容器)20の上方を覆うフード(カバー部材)13、モルタル注入管14及びバイブレータ15を有する。フード13は、円筒部13A、円筒部13Aの上端に設けられる平板部13B及び平板部13Bに取り付けられた支持部材13Cを含んでいる。支持部材13Cは平板部13Bより上方に突出し、支持部材13C内に平板部13Bより下方の空間と連通する空間23が形成される。超音波レベル計1は支持部材13Cに取り付けられる。
【0021】
モルタル注入管14は、フード13の平板部13Bを貫通して上下方向に伸びている。バイブレータ15が、フード13より上方でモルタル注入管14に取り付けられる。モルタル注入管14は配管16により混練機11及びポンプ17に接続される。モルタル注入管14、及びフード13を上下動させる昇降機(図示せず)は、床に据付けたれた架台に設置されている。モルタル注入管14とフード13は結合されていなく、フード13は昇降機によりモルタル注入管14に沿って上下動ができるようになっている。
【0022】
超音波レベル計1の詳細構造を、図1を用いて説明する。超音波レベル計1は、圧電振動子2、ヘッド部3、コーン(筒状体)4及び吸音部材5を有する。吸音部材5は、親水性のある連続気泡性の吸音部材(例えば、スポンジ)である。円筒部材であるコーン4は、ヘッド部3の下方に向かって伸びており、ヘッド部3の下端部に取り付けられている。すなわち、コーン4の上端部は、ヘッド部3の外面に形成されたネジと噛み合っており、ナット7の締め付けにより固定されている。コーン4の先端は開放端になっており、コーン4の中心軸に向って突出する突起部6がコーン4の先端部に設けられている。開放部24が突起部6の内側に形成される。円筒状の吸音部材5が、コーン4の内側に配置され、コーン4の内面に接触している。しかし、吸音部材5はコーン4に接着されていない。吸音部材5の下端は突起部6によって支えられている。吸音部材5の内側に形成される内部空間8は、開放部24を介して、コーン4より下方の、フード13内の空間と連通している。圧電振動子2は、ヘッド部3の下端部に設けられ、内部空間8に面している。圧電振動子2は、ケーブル9により制御装置18に接続される。
【0023】
吸音部材の一種であるスポンジは、表面及び内部に多数の気泡を有する多孔性材のうち内部に形成される多数の気泡がつながり、表面の近くの気泡が外部に開口している、親水性である連続気泡性の材料(例えば、ポリウレタン、ポリオレフィン、発泡シリコン及び発泡ゴム等)によって構成される。本実施例で用いられる吸音部材5であるスポンジは、親水性を有し弾力性が高い軟質ポリウレタン製である。
【0024】
吸音部材5(例えば、軟質ポリウレタンフォーム)は、弾性体であるため、外部から圧力が加えられたとき、圧縮されて変形する。吸音部材5は、圧縮された状態で、開放部24からコーン4の内部空間8内で突起部6より上方まで挿入される。この後、外力を排除することにより、吸音部材5は、元の状態に復元され、外面がコーン4の内面に接触して下端が突起部6により保持される。このようにして、吸音部材5はコーン4内に設置される。突起部6の内径は吸音部材5の外径よりも小さくなっている。
【0025】
固化処理装置10を用いた放射性固体廃棄物の固化処理方法を説明する。フード13が、前述の昇降機によって下降されて、放射性固体廃棄物21が所定量充填されたドラム缶20の上方を覆う。これは、ドラム缶20内に注入されるモルタル19が、ドラム缶20の周囲に飛散することを防止するためである。図2では放射性固体廃棄物21を一部しか記載していないが、所定量の放射性固体廃棄物21がドラム缶20の底部から積み重ねられている。モルタル19の原料である砂、セメント及び水が混練機11内に供給される。これらの原料が混練機11によって混練され、モルタル19が生成される。混練機11で生成されたモルタル19は、ポンプ17により配管16を通ってモルタル注入管14に供給され、フード13で覆われたドラム缶20内に注入される。このモルタル19は、ドラム缶20内において、放射性固体廃棄物21相互間に存在する隙間に入り込み、設定レベルまで充填される。モルタル注入管14によるドラム缶20内へのモルタル19の注入終了前後に、バイブレータ15による振動をモルタル注入管15に加えて、モルタル注入管15内に残存しているモルタルを落下により排出する。られる。バイブレータ15を用いることによって、モルタル注入管15内を水洗しないで残存するモルタルを排出することができる。このため、放射性管理区域内で発生する放射性廃水の発生量を抑制することができる。モルタル19の注入が完了した後、バイブレータ15は停止される。
【0026】
ドラム缶20内でのモルタル19の液面22は、フード13に取り付けられた超音波レベル計1で計測される。超音波8は圧電振動子2から液面22に向かって発信される。この超音波8は、コーン4の開放部24を通って液面22に到達し、液面22で反射される。反射した超音波8は圧電振動子2で受信され、この受信信号はケーブル9を介して制御装置18に伝送される。制御装置18は、入力した受信信号に基づいて圧電振動子2から液面までの距離を算出する。算出された距離が設定距離になったとき、すなわち、液面22が設定レベルになったとき、制御装置18は混練機11及びポンプ17を停止し、ドラム缶20内へのモルタル19の注入が停止される。
【0027】
以上により、ドラム缶20内へのモルタル19の注入作業が終了する。モルタル19が充填されたドラム缶20からフード13が取り除かれ、モルタル19を注入する新たなドラム缶20がフード13で覆われる。このドラム缶20に上記したようなモルタル注入作業が行われる。モルタル19を充填されたドラム缶20は、別の場所まで移動されて養生される。モルタル19は、ドラム缶20内で硬化し、放射性固体廃棄物を固定する。放射性固体廃棄物21を内蔵して密封されたドラム缶20は、貯蔵室内に貯蔵される。
【0028】
モルタル19をドラム缶20内に注入しているとき、モルタル19が、飛散して内部空間8内に達し、吸音部材5の内面に付着した場合を想定する。吸音部材5は、親水性であり表面に開口し互いに連通した多くの連続性気泡を内部に有しているので、付着したモルタル19に含まれた水分を吸収する。さらに、付着したモルタル19に含まれたセメント及び砂の固形分25(図1参照)も、水分が吸収されるのに伴い、吸音部材5の内部の孔(連続性気泡)内に浸入しその孔内に収納される。本実施例は、吸音部材5の内面に飛散したモルタル19が付着しても、モルタル19に含まれた水分及び固形分25が吸音部材5内の連続性気泡内に収納されるので、吸音部材5の内面に水分及び固形分25が多量に残留することは無く、その内面上に固形分25による大きな突起部の形成が抑えられる。
【0029】
長期間の使用により吸音部材5が固形分25を内部に吸収できなくなって寿命に達したとき、その吸音部材5は新しい吸音部材5と取り替えられる。この取り替え時において、寿命に達した吸音部材5は、作業員がペンチ等の工具を用いて開放部24からコーン4の外部に取り出す。その後、新しい吸音部材5が、前述のようにしてコーン4内に設置される。吸音部材5の交換は、以上のように行われる。
【0030】
本実施例は、超音波レベル計1のコーン4の内側に、親水性である、連続気泡性の吸音部材5を配置しているので、その吸音部材5の表面に飛散したモルタル19が付着しても、このモルタル19に含まれている水分及び固形分25を前述したように吸音部材5の内部に吸収することができる。このため、超音波レベル計1は、付着したモルタル19が吸音部材5の表面に残留しないので、水分はもとより、特開平10−206213号公報における課題であった吸水性の膜に付着した固形分による超音波の反射信号の発生が抑制される。超音波レベル計1は、その反射信号による誤信号の出力を著しく抑制することができ、モルタル19のドラム缶20への注入時において、ドラム缶20内でのモルタル19の液面22のレベルを精度良く計測することができる。
【0031】
特開平10−206213号公報及び特開2005−127722号公報にそれぞれ記載された超音波レベル計を、例えば、特開2000−75096号公報に記載された放射性廃棄物の固化処理装置においてレベル計35の替りに用いた場合には、以下の問題が生じる。すなわち、コーン内面に設けられた吸水性の膜及び吸音部材の内面に付着したモルタルの固形分により突起部が形成され、超音波レベル計からの誤信号の出力を抑制するため、付着した固形分を除去するコーン内の洗浄を頻繁に行う必要がある。この洗浄は、ドラム缶内へのモルタルの注入を停止して行われるが、このとき埋設処分のできない不良固化体が発生する。また、放射性廃棄物の固化処理装置が置かれた高放射線量の放射線管理区域内での作業となる為、被ばく線量の増大など、作業員の負担が大きくなる。
【0032】
これに対し、本実施例の超音波レベル計1は、モルタル19に含まれている水分はもとより固形分25も吸音部材5内の連続した多数の気泡内に収納され、誤信号の発生確率が著しく低減されるので、特開平10−206213号公報及び特開2005−127722号公報にそれぞれ記載された超音波レベル計を放射性廃棄物の固化処理装置に適用した場合に生じるコーン内面に付着した固形分の洗浄回数も著しく減少する。また、本実施例は、吸音部材5を長期間に亘って使用することができるので、固形分25の吸収性能が低下して寿命に達した吸音部材5の交換頻度も少なくて済む。以上より、放射線管理区域内でのコーン内の洗浄回数の低減により、作業員の被ばく線量を低減することができる。吸音部材5の交換頻度の低減は、放射性固体廃棄物となる吸音部材5の量が低減する。
【0033】
本実施例では、吸音部材5がコーン5に接着されていないので、寿命に達した吸音部材5を前述したように工具を用いてコーン5内から簡単にかつ短時間に取り出すことができる。また、新しい吸音部材5のコーン4内へ取り付けも、前述したように、簡単にかつ短時間に行うことができる。このような吸音部材5の交換に要する時間が短いので、作業員の被ばく線量をさらに低減することができる。
【0034】
バイブレータ15によってモルタル注入管14に加えられる振動は、前述の架台及びフード13を介して超音波レベル計1にも伝達される。超音波レベル計1は、ネジではなくコーン4から内側に突出したコーン4の一部である突起部6によりで吸音部材5を支持しているので、ネジのようにバイブレータの振動により外れることが無く、吸音部材5を確実に保持することができる。
【実施例2】
【0035】
本発明の他の実施例である実施例2の超音波レベル計を、図4を用いて説明する。本実施例の超音波レベル計1Aは、超音波レベル計1において突起部6の替りに支持キャップ26をコーン4の下端部に取り付けた構成を有している。支持キャップ26はコーン4の外面の下端部に形成されたネジと噛み合っている。
【0036】
超音波レベル計1Aは超音波レベル計1の替りに放射性廃棄物の固化処理装置のフードに取り付けられる。この固化処理装置は、前述の固化処理装置10において、モルタル注入配管内の水洗を実施する場合は、モルタル注入終了後の付着モルタルの残留を心配する必要がなく、バイブレータを必要としない。 超音波レベル計1を固化処理装置10に適用した場合には、バイブレータ15による振動が超音波レベル計1のヘッド部3に加わる際のヘッド部1への荷重を小さくするため、コーン4の質量を小さくする必要がある。しかしながら、超音波レベル計1において支持キャップ26を採用する場合には、外面にネジを切るためコーン4の肉厚を厚くする必要があり、コーン4の質量が増大し、振動が加わった際にヘッド部1にかかる荷重が大きくなってしまう。このようなコーン4の質量の増加及び振動による支持キャップの脱落により、超音波レベル計1では支持キャップ26を採用することができなかった。
【0037】
超音波レベル計1Aが適用される放射性廃棄物の固化処理装置は、ヘッド部1に振動が加わることがないので、コーン4の質量を大きくすることができる。したがって、コーン4の外面に形成したネジに支持キャップ26を噛み合わせることができる。コーン4内に挿入した吸音部材5は支持キャップ26によって支持される。バイブレータ15によって加えられる振動が超音波レベル計1Aに伝わらないので、振動により支持キャップ26がコーン4から脱落することもない。
【0038】
本実施例の超音波レベル計1Aは、着脱可能な支持キャップ26によって吸音部材5を支持することができるので、弾力性を有していない吸音部材5を用いることができる。弾力性を有しない吸音部材5の例としては、親水性である、連続気泡性を有する硬質ポリウレタンフォームがある。他の例としては、実施例1で述べた親水性である連続気泡性の材料(例えば、ポリウレタン、ポリオレフィン、発泡シリコン及び発泡ゴム等)のうち硬度の高い材料で構成された吸音部材がある。
【0039】
本実施例の超音波レベル計1Aは、実施例1と同様に吸音部材5を用いているので、モルタル19のドラム缶20への注入時において、ドラム缶20内でのモルタル19の液面22のレベルを精度良く計測することができる。また、超音波レベル計1Aを取り付けた放射性廃棄物の固化処理装置は、実施例1で述べた固化処理装置10で生じる効果と同じ効果を得ることができる。
【0040】
超音波レベル計1及び1Aは、放射性廃棄物の固化処理装置だけでなく、放射線管理区域内で固形分を含む液体の液面を測定する必要がある装置(使用済樹脂槽など)に対しても適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の好適な一実施例である実施例1の超音波レベル計の縦断面図である。
【図2】図1に示す超音波レベル計を適用した放射性廃棄物の固化処理装置の構成図である。
【図3】図1に示す超音波レベル計における吸音部材の取り付け時の状態を示す説明図である。
【図4】本発明の他の実施例である実施例2の超音波レベル計の縦断面図である。
【符号の説明】
【0042】
1,1A…超音波レベル計、2…圧電振動子、3…ヘッド部、4…コーン、5…吸音部材、6…突起部、8…超音波、10…放射性廃棄物の固化処理装置、11…混練機、12…モルタル注入装置、13…フード、14…モルタル注入管、15…バイブレータ、17…ポンプ、18…制御装置、19…モルタル、20…ドラム缶、21…放射性固体廃棄物、22…液面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッド部と、ヘッド部に取り付けられた筒状体と、前記筒状体の内側に着脱可能に装着された、親水性であって連続気泡性の吸音部材と、前記筒状体で囲まれた空間内に面して前記ヘッドに設けられた、超音波の送受信を行う振動子とを備えたことを特徴とする超音波レベル計。
【請求項2】
前記筒状体が前記吸音部材を支持する支持手段を備えている請求項1に記載の超音波レベル計。
【請求項3】
モルタルを混練する混練装置と、放射性廃棄物が充填された廃棄物収納容器の上方を覆うカバー部材、及び前記カバー部材に取り付けられ、前記混練装置で得られた前記モルタルを前記廃棄物収納容器内に注入する固化材注入管を有する固化材注入装置と、前記カバー部材に取り付けられた超音波レベル計とを備え、
前記超音波レベル計が、前記カバー部材に取り付けられるヘッド部と、ヘッド部に取り付けられた筒状体と、前記筒状体の内側に着脱可能に装着された、親水性であって連続気泡性の吸音部材と、前記筒状体で囲まれた空間内に面して前記ヘッドに設けられた、超音波の送受信を行う振動子とを有することを特徴とする放射性廃棄物の固化処理装置。
【請求項4】
前記筒状体が前記吸音部材を支持する支持手段を備えている請求項3に記載の放射性廃棄物の固化処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2009−109277(P2009−109277A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−280480(P2007−280480)
【出願日】平成19年10月29日(2007.10.29)
【出願人】(507250427)日立GEニュークリア・エナジー株式会社 (858)
【Fターム(参考)】