説明

超音波感知粒子により搬送される物質の放出を制御する方法

本発明は、超音波感知粒子により搬送される物質の放出を制御する方法及び装置に関し、上記超音波感知粒子と相互作用するよう、及び上記物質の放出が生じるように選択される音響特性を持つ超音波パルスを上記超音波感知粒子に照射することにより、上記放出がもたらされる。上記超音波感知粒子が、超音波感知粒子のサブグループを有し、各個別のサブグループが上記超音波と独立に相互作用することをもたらす個別の音響特性を、同じサブグループに含まれる上記超音波感知粒子は持つ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波感知粒子により搬送される物質の放出を制御する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波は、治療目的でアクセス不可能な人体組織にリモートでエネルギーを与えるユニークな機会を提供する。従来では、斯かる手法は、治療的な介入を起動させるための2つの機構のいずれかを使用していた。超音波で堆積されるエネルギーは、熱ショックタンパク質の起動(C. Rome、 F. Couillaud、及びC.T.W. Moonenによる「Spatial and temporal control of expression of therapeutic genes using shock protein promoters.」、Methods、2005. 35(2): p. 188-198参照)又は他の感温性の治療法の起動のための熱を介して明らかにされることができる。更に、静脈又は動脈注射を介して投与される超音波感知粒子は、特定の製薬又は遺伝子物質を粒子へ又は粒子シェルへ取り込みことを介して使用されることができ、及び特別に設計された単一の超音波パルス(R. Bekeredjian、P.A. Grayburn 、及びR.V. Shohetによる「Use of ultrasound contrast agentsfor gene or drug delivery in cardiovascular medicine」、Journal of the American College of Cardiology、2005. 45(3): p. 329-335参照)の使用によるリモート起動を介して使用されることができる。
【0003】
典型的な超音波感知粒子は、安定したマイクロバブルから成る。これらのマイクロバブルは、通常直径5ミクロンより小さく、タンパク質、脂質及び/又はポリマーからなるシェルを備えて安定化され、ガス状の内部を持つ。これらのマイクロバブルは、典型的な診断イメージング周波数範囲に含まれる共振挙動を介して超音波場と相互作用する能力を備えている。共振挙動は、泡の運動が安定している共振レジームから、泡が広がり、激しくかつ過渡的に崩壊するレジームへと泡を駆動するために使用されることができる。いずれの場合でも、泡が遺伝子及び製薬物質を泡上に、泡内に、又は泡の近傍にさえ取り込むとき、超音波を用いて周囲の組織に物質を供給することが可能であることが観測される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これらの従来技術の方法は、マイクロバブルにより搬送される物質の放出レート及び放出された物質の空間位置を制御することが不可能であるという欠点に苦しむことになる。例えば、特定の組織に物質Aを供給し、その後物質Bを供給する必要がある場合がある。斯かる動作は、既存の技術では可能でない。更に、生体内又は細胞培養内において超音波媒介の遺伝子供給技術を使用するとき、従来では、特殊な命令セットの存在及び実行並びにこの命令セットの特殊な結果を視覚化することが常に可能というわけではなかった。
【0005】
本発明の目的は、放出される物質のタイプを選択することを可能にする方法及び装置を提供することである。有利なことに、放出のレート及び放出の空間位置が、制御される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの側面によれば、本発明は、超音波感知粒子により搬送される物質の放出を制御する方法に関する。上記超音波感知粒子と相互作用するよう、及び上記物質の放出が生じるように選択される音響特性を持つ超音波パルスを上記超音波感知粒子に照射することにより、上記放出がもたらされる。上記超音波感知粒子は、超音波感知粒子のサブグループを有し、各個別のサブグループが上記超音波パルスと独立に相互作用することをもたらす個別の音響特性を、同じサブグループに含まれる上記超音波感知粒子が持つ。
【0007】
上記超音波感知粒子が異なる音響特性を持つサブグループを有するので、上記超音波感知粒子を「プログラムされた態様」で、又は基本的なチューリング(Turing)マシンとして機能させることが可能である。従って、粒子のサブグループは、計算ステップを実施するため、特定の周波数、振幅及び他のパラメータでの超音波に関して動作されることができる「データインスタンス」に対応する。これは、同じサブグループに含まれる粒子が活性化されることができること、粒子により搬送される物質が超音波パルスの音響特性に基づき放出されることができること、その一方で、他のサブグループは活性化されないことを意味する。従って、超音波パルスの音響特性を変化させることにより、放出される物質のタイプが変化されることができる。従って、物質の供給を制御するのに、超音波が使用されることができる。計算機システムと同様、超音波は、「命令」をフェッチする、即ちデータ処理といった活性化をもたらす特定の音響特性を超音波に与えるメモリコントローラとして機能する。ここで、データは、生物学的/遺伝子物質である。
【0008】
ある実施形態において、超音波感知粒子の同じサブグループに含まれる超音波感知粒子は、同じタイプの物質を搬送する。
【0009】
従って、特定の物質の放出が、正確に制御されることができる。例えばサブグループAにおける物質を放出することにより、又は、最初サブグループAにおける物質を放出し、その後サブグループBにおける物質を放出するといった態様で行われる。
【0010】
ある実施形態において、超音波感知粒子のサブグループは、中に物質を含むマイクロバブルを有する。
【0011】
超音波場の特性の賢明な選択によりこのマイクロバブルが選択的に活性化されることができるので、斯かるマイクロバブルを使用することは有利である。
【0012】
別の実施形態では、超音波感知粒子のサブグループは、中に物質を含むシェル構造を持つマイクロバブルを有する。
【0013】
シェル構造は、例えば狭い周波数範囲にわたり共振する極めて狭いサイズ分布で作られることができる。従って、斯かるシェル構造を持つ斯かるマイクロバブルを使用することにより、例えば異なる共鳴周波数といった異なる音響特性を持つマイクロバブルの多くのサブグループを生成することが可能である。
【0014】
ある実施形態において、同じサブグループに含まれるシェル構造は同様な物理特性を持つ。この特性は、個別の音響活性化特性に関して特徴的である。
【0015】
従って、ある時間に特定のグループとだけ相互作用するよう、超音波パルスの特性が選択されることができる。
【0016】
ある実施形態において、この物理特性は、
− シェル厚、
− シェルサイズ、
− 上記シェルの直径、
− 上記シェルの幾何学的形状、
− 粒子の数密度、
− 泡におけるガスの過剰又は過小充填、
− 泡の数に対する治療的又は不活性物質の量、
− 上記シェルの化学組成、及び
− これらの組み合わせ、から選択される。
【0017】
ある実施形態において、超音波感知粒子のサブグループは、
− 中に上記タイプの物質を含むシェル構造を持つマイクロバブル、
− 中に上記タイプの物質を含むマイクロバブル、
− 中に上記タイプの物質を含む溶液におけるマイクロバブル、
− ナノ粒子、
− リポソーム、
− 熱ショックタンパク質、及び
− これらの組み合わせ、から選択される。
【0018】
ある実施形態において、超音波感知粒子により搬送される物質は、生物物質であり、
− 製薬物質、
− 多糖、
− 脂質、
− 脂肪酸、
− ステロイド、
− タンパク質、
− 酵素、
− デオキシリボ核酸(DNA)、
− リボ核酸(RNA)、
− 小干渉リボ核酸(siRNA)、
− 無機人工的構造物、
− ナノ粒子、
− ナノマシン、
− 粒子の既存のサブグループの組成又はジオメトリを変えるための化学物質、
− 生化学粒子、及び
− これらの組み合わせから選択される。
【0019】
ある実施形態において、同じサブグループに含まれる超音波感知粒子の個別の音響活性化特性は、共通の共鳴周波数又は共鳴周波数範囲である。
【0020】
ある実施形態において、音波の音響特性は、
− 上記サブグループの1つ又は複数の上記共鳴周波数に対応する周波数、
− 上記超音波パルスの圧力振幅、
− 上記超音波パルスの持続時間、
− 任意の波形、及び
− これらの組み合わせから選択される。
【0021】
ある実施形態において、上記物質の放出が、上記超音波感知粒子の上記サブグループの少なくとも1つから上記物質を放出することにより、標的組織又はセルの中又は近くで局所的に実行される。
【0022】
従って、例えば最初にサブグループaにより搬送される物質Aを、次にサブグループbにより搬送される物質Bを組織に放出することにより、物質、又は物質の事前に規定された組合せを組織に直接供給することが可能である。
【0023】
従って、物質の放出を引き起こすために超音波感知粒子を活性化する異なる可能性が存在する。例えば、超音波感知粒子がシェル構造を持つマイクロバブルである場合、マイクロバブルが狭い周波数範囲にわたり共振するよう、及び鋭い圧力閾値で破裂するのに影響を受けやすいよう、シェル構造は作られることができる。
【0024】
ある実施形態において、この方法は生体内又は細胞培養内で実行され、
− 少なくとも1つの空間供給ゾーンを示す少なくとも1つの命令を有するプログラムを受信するステップであって、各命令が、特定の比で放出されることになる少なくとも1つのタイプの物質を示す、ステップと、
− 上記超音波感知粒子の上記空間分布を撮像するステップであって、上記イメージングが、上記空間データに基づき、上記超音波感知粒子の上記空間分布を示すデータを生じさせる、ステップと、
− 上記少なくとも1つの供給ゾーンにおいて上記超音波感知粒子を超音波パルスで照射するステップであって、上記超音波パルスの上記特性が、上記少なくとも1つの供給ゾーンにおける上記物質の放出が上記少なくとも1つの受信命令に基づかれるよう制御される、ステップと、
− 上記受信命令が完了するまで、各後続の命令に対して上記撮像及び照射ステップを繰り返すステップとを有する。
【0025】
超音波感知粒子の空間分布をイメージングすることにより、意図された空間供給ゾーンにおける種々のサブグループの存在を検出することが可能である。例として、例えばセル又は組織といった特定の供給ゾーンでサブグループcにより搬送される物質Cが、特定の供給ゾーンに供給される予定であったが、イメージングによれば、サブグループcに属する超音波感知粒子が過剰に残されていることを示す場合、サブグループcの特定の量が放出されることがイメージングにより示されるまで、照射が継続されることになる。従って、物質の正確な供給を確実にする反復処理が提供される。種々のサブグループに含まれる超音波感知粒子が、「命令」のセットと考えられることができるので、例えば同じグループに含まれる超音波感知粒子が、同じ命令セットを搬送するので、この反復は、「命令」の実行をステップ毎に監視する方法と考えられることができる。
【0026】
ある実施形態において、この命令は、所与の供給ゾーンに供給される物質の量、所与の供給ゾーンに供給される物質の混合、又は残りの超音波感知粒子の音響特性を修正するために放出される物質に関する情報を更に含む。
【0027】
従って、この命令は例えば、グループcに含まれる超音波感知粒子の半分だけが、所与の供給ゾーンに供給されることになる、ということを有することができる。更に、この命令は、同じ供給ゾーンにおける別のタイプの物質をその後放出することを含むことができる。
【0028】
この命令は、例えばA=bといったプログラミング言語における「代入」ステートメントに等しいものとして解釈されることができる。本発明によれば、粒子は浮いているものとすることができ、この粒子により搬送される物質はまだ放出されない。斯かる簡単な命令が出されると、超音波パルスは物質の放出を誘導する。従って、この物質は、組織/環境に吸収されると考えられることができる(代入ステートメントと同様、組織は新規な値を「得る」)。
【0029】
この命令は、「条件的な」意味を持つ場合がある。即ち、評価的な命令、即ち「if」状態が存在し、この条件が真の場合にのみ、例えばA粒子を活性化するための超音波パルスが実行され、そうでない場合、読み出しに基づき、システムは、B粒子を活性化させるためのB命令を実行する。
【0030】
この命令は、「ループ」の意味を持つこともできる。ループは、読み出し/イメージングに基づき、条件が真である間、あるコマンドが実行されることになるか、代入、条件、又は他のループ命令といった命令のセットが実行されることになることを表す。
【0031】
別の側面によれば、超音波感知粒子により搬送される物質の放出を制御する装置であって、
− 制御信号を放出するよう構成される制御ユニットと、
− 上記制御ユニットからの上記制御信号に基づき、上記超音波感知粒子と相互作用するよう、及び上記物質の放出が生じるように選択される音響特性を持つ超音波パルスを上記超音波感知粒子に照射するため、制御ユニットに結合されるよう構成される超音波トランスデューサとを有し、
上記超音波感知粒子が、超音波感知粒子のサブグループを有し、上記サブグループはそれぞれ、個別の音響特性を持ち、上記超音波トランスデューサが、上記サブグループの上記音響特性を持つ超音波パルスを上記超音波感知粒子に照射するよう構成される。
【0032】
こうして、物質の放出が、制御された態様又は「プログラムされた」態様で実行されることを可能にする装置が提供される。
【0033】
ある実施形態において、この装置は、少なくとも1つの空間供給ゾーンと上記少なくとも1つの空間供給ゾーンで放出されることになる物質のタイプとを示す命令を受信する入力手段を更に有する。
【0034】
従って、例えば簡単な命令、条件及びループ命令とすることができる命令が手動命令である場合、装置のオペレータは、物質が放出されることになる所望の位置、及び異なる空間位置で放出される物質の量又は組合せを手動で入力することができる。この命令がソフトウェアコードを介して特定される場合、物質の放出を制御する非常に高度な態様が提供される。ここで、特定の位置での種々の物質の量及び/又は混合に対してだけでなく、完全な制御が空間位置にわたり提供される。事前規定された文法で指示を与えることにより、プログラム構造が正当な(legal)「プログラム」に結合されることができる事前特定された態様が意図される。
【0035】
ある実施形態において、この装置は:
上記超音波感知粒子の上記空間分布を撮像するため上記制御ユニットに結合されるイメージング手段であって、上記撮像が、上記超音波感知粒子の上記空間分布を示すデータを生じさせる、イメージング手段を更に有し、上記空間データに基づき、上記制御ユニットが、上記少なくとも1つの空間供給ゾーンの近くで局所化される上記超音波感知粒子を上記超音波パルスで照射するよう上記超音波トランスデューサに指示し、上記超音波パルスの上記音響特性が、上記少なくとも1つの空間供給ゾーンでの上記物質の放出が上記受信命令に基づかれるよう制御される。
【0036】
従って、同じ音響特性を持つ超音波感知粒子が、特定の音響特性の同じ超音波パルスに対して同時に相互作用する要約命令ユニットと考えられることができる。
【0037】
更に別の側面によれば、本発明は超音波感知粒子搬送物質のサブグループを有する超音波感知粒子に関する。同じサブグループに含まれる上記超音波感知粒子が、個別の音響特性を持つ。
【0038】
ある実施形態において、上記超音波感知粒子の上記直径が、100nm未満であり、好ましくは50nm未満であり、好ましくは25nm未満であり、好ましくは10nm未満であり、好ましくは5nm未満である。
【0039】
しかしながら、特定の用途に関して、より大きな直径を持つ粒子を使用することが好ましい場合がある。
【0040】
ある実施形態において、上記同じグループに含まれる上記粒子が、同じタイプの物質を搬送する。
【0041】
更に別の側面によれば、本発明は、セル又は組織に物質を供給するための超音波感知粒子の使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】超音波感知粒子により搬送される物質の放出を制御する本発明による装置を示す図である。
【図2】ユーザにより受信される命令が超音波感知粒子により搬送される物質を組織又はセルに供給することを含むシナリオを示す図である。
【図3】ユーザにより受信される命令が超音波感知粒子により搬送される物質を組織又はセルに供給することを含むシナリオを示す図である。
【図4】ユーザにより受信される命令が超音波感知粒子により搬送される物質を組織又はセルに供給することを含むシナリオを示す図である。
【図5a】走査型電子顕微鏡写真において検出され、粒子寸法測定器で測定される単分散マイクロバブルを示す図である。
【図5b】走査型電子顕微鏡写真において検出され、粒子寸法測定器で測定される単分散マイクロバブルを示す図である。
【図6】超音波圧力振幅の関数として、破壊されるマイクロバブルの数を示す図である。
【図7】3つの異なるサブ集団のためのペイロードを「破壊する」及び供給するために必要な力を示す図である。
【図8】本発明による方法のある実施形態のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明の側面はそれぞれ、他の側面のいずれかと結合されることができる。本発明のこれら及び他の態様が、以下に説明される実施形態より明らとなり、これらの実施形態を参照して説明されることになる。
【0044】
本発明の実施形態が、例示に過ぎないものを用いて、以下の図面を参照して、説明されることになる。
【0045】
図1は、超音波感知粒子116〜118により搬送される物質の放出を制御する、本発明による装置101を示し、この装置は、制御ユニット102と、制御ユニット102に結合される超音波トランスデューサ103とを有する。制御ユニット102からの制御信号に基づき、超音波トランスデューサ103は、超音波感知粒子と相互作用するよう選択される音響特性を持つ超音波パルス108を超音波感知粒子110〜112に照射する。こうして、物質の放出がもたらされる。超音波感知粒子は、超音波感知粒子のサブグループ110〜112に分割される。サブグループ110〜112はそれぞれ、それらの個別の音響特性を持つ。図示されるように、サブグループの数はここでは3である。同じサブグループに含まれる超音波感知粒子が、文字「A」、「B」及び「C」でマークされる。
【0046】
本発明による物質は、例えばシリコンベースのナノマシンといった無機物質、又は製薬物質、タンパク質、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、小干渉リボ核酸(siRNA)及びその他から選択される有機物質若しくは生物物質とすることができる。マイクロバブル又は粒状供給薬剤に含まれる物質は、例えばタンパク質の製造又は特定のタンパク質又は代謝経路の抑制といった機能を実行するセルに対する「命令」とみなされることができる。従って、それぞれ自身の起動状態を持つ、マイクロバブルの異なるセット上に複数の「命令」を組み込むことにより、空間及び時間制御を備える超音波を用いて「実行される」ことができる複雑な命令セットからなる「プログラム」を設計することが可能である。
【0047】
本装置は、細胞培養内、生体外、生体内、又は例えば医療若しくは非医療処置用の細胞培養内で適用されることができる。
【0048】
制御ユニット102からの制御信号に基づき、超音波トランスデューサ103は、超音波感知粒子(USP)116〜118の特定のグループ110〜112と相互作用するよう選択される特定の音響特性の音波を放出する。この相互作用により、この特定のグループに含まれる超音波感知粒子が活性化されることがもたらされ、この活性化が、この特定のグループに含まれる超音波感知粒子116〜118により搬送される物質の放出を生じさせる。例えば、超音波パルス108の音響特性は、パルス108の周波数とすることができ、異なるグループの特性は、異なる共鳴周波数とすることができる。こうして、制御ユニット102からの制御信号は、例えばグループBといった特定のグループの共鳴周波数に対応する周波数へと超音波トランスデューサ103の周波数をチューニングするためのものとすることができる。共鳴周波数を特性として使用する代わりに、この特性は、超音波パルスの持続時間(デューティーサイクル)又は圧力振幅とすることもできる。
【0049】
従って、本書で上述される処理は、超音波音響特性及び超音波感知粒子が計算命令とみなされることができるバイオ計算科学として考えられることができる。この場合、ソフトウェア及び生化学粒子(BCP)物質は「データ」とみなされることができる。BCP物質を起動させる及び従って放出するための超音波パルスの供給により、超音波感知粒子を用いることは、イネーブリングハードウェア(the enabling hardware)である。従って、バイオ計算科学は、超音波パルスの供給を用いて異なる超音波感知粒子を活性化することから成る。
【0050】
例を開始する。
【0051】
インプット
命令:超音波感知粒子と相互作用する音響特性を持つ超音波パルスの結合された効果としてエンコードされる。その音響特性は、周波数(F)、デューティーサイクル(D)、圧力振幅(P)、波形(W)、位置(L)、USP粒子である。「命令」は、4倍数(quadruple)であり、I=(F、D、P、W、L、USP)である。
データ:生化学ペイロード、BCPである。所与の生体粒子に対して、負荷を搬送することができる又はBCPの近接にあることができるUSPの範囲が存在する。
【0052】
アウトプット
アウトプット:全超音波バイオ計算システムの一部であるイメージング装置を用いて、出力の読み出しが実行される。読み出しは、光学イメージングモダリティだけでなく超音波イメージングモダリティを使用して行われることができる。1つの可能性は、リポータ構造物の一部として活性化される蛍光タグ分子を持つことである。
【0053】
この方法は、光励起可能な生物発光(蛍光性)タンパク質のコード配列に、注目する転写物の規制領域(regulatory region)を結合する人工的遺伝子構造物を作成する。この人工的遺伝子構造物は、規制領域が蛍光性タンパク質のためのDNAシーケンス符号化に融和される転写物の発現を「報告する」又は転写物の発現に関する代理として機能する。特定の遺伝子の転写物の量が間接的に推定されることができる。なぜなら、タンパク質製品の量は、転写物の量を示すと理解されるからである。より多くの転写物があれば、より蛍光を生じさせるより多くのタンパク質がある。光の適切な波長を伴う励起後の蛍光強度を測定することにより、我々は、この条件下でセルに含まれる自然の遺伝子がどのようにふるまうかを反映する(イメージング意味において)読み出し可能なデータを持つ。
【0054】
プログラム構造
開始ステートメント
これは、プログラミング命令セットにおける第1の命令の実行である。多くの場合、特定の開始命令は必要とされない。
1つの可能性は、特定の初期化ステートメントを持つことである。このことの目標は、システムが動作可能なことを確かめる(F、D、P、W、L、USP)の実行を介して、粒子のBCPタイプの第1のセットの放出を促進することである。
【0055】
代入ステートメント
BCPの放出及び起動を生じさせる特定の(F、D、P、W、L、USP)での超音波パルスの単一の放出は、式「A=value」の基本的な「代入ステートメント」と等価である。この場合、Fは特定の周波数を表し、Dはデューティーサイクルを表し、Pは振幅圧を表し、Wは特定の波形を表し、Lは超音波が供給されることになる場所を表し、及びUSPは超音波感知粒子−特定の分子種−を表す。
【0056】
条件ステートメント
条件ステートメントは、

という一般的なフォームを持つ。
【0057】
ここで、条件ステートメントAは、報告分子が活性化され、読み出しのために利用可能である生物反応を誘発するBCPの放出とすることができる。
【0058】
条件ステートメントAは、注目する遺伝子(例えばErbB2)の発現に関するアッセイを行うための報告遺伝子から成ることができる。生検を行い、蛍光性in situハイブリッド形成を実行し、及び胸部の超音波イメージング診断検査を別々に行う代わりに、ErbB2陽性患者の生体内での診断を得たいことがある。
【0059】
遺伝子融合を作成するために注目する遺伝子に直接取り付けられる構造物が使用される。即ち、GFP+ErbB2である。融合される遺伝子は、同じプロモータの下にあることになり、一緒に転写される。生成物は、単一のポリペプチド鎖である。両方のタンパク質が適切に変質され、活性立体配座に適切に折り重なるタンパク質を形成することが好ましい。両方のタンパク質が活性であること、及びそれらが融合タンパク質の一部である場合であっても、それらの基板とドッキングするであろうことも仮定される。本願の場合、DNA構造物を構築するとき、GFP及びErbB2の間の柔軟なポリペプチドリンカー領域に関する符号化を提供するDNAのセグメントが挿入される。この態様において、リポータ(GFP)及び遺伝子産物(ErbB2)は、最小の態様で相互作用するだろう。
【0060】
条件ステートメントAが実行され、GFPリポータ構造の結果を読み出すとき、ErbB2が過剰かどうかが分かるであろう。ErbB2からの成長促進信号が、構成的に送信されることが知られている。これは、セルの浸潤、生存及び脈管形成を促進させる。YESの場合、ステートメントBが実行される。B−BCP種に関するペイロードが放出される。ペイロードは、ErbB2の発現に対して反対に作用する薬とすることができる。即ち、商品名Herceptinでも知られるTrastuzumabである(良く知られた胸部制癌剤)。これは、HER2/neu(erbB2)レセプタ上で機能するヒト化モノクローナル抗体である。YESでない場合、ステートメントCの起動を介して、ジェネリック医薬品が放出される。herceptinが放出されるべきか又は別の薬が放出されるべきかを知ることが重要である。なぜなら、それが非常に高価な薬であり、この薬が効く(respond)のは患者の約30%だけだからである。
【0061】
ループ構造
Whileループ:このステートメントは、

の形式をとる。
【0062】
この種のステートメントは、命令(ステートメントD)の読出しが真と評価されるまで、複数の超音波パルスがEステートメントを実行するものとして与えられることができる。
【0063】
1つ例は、診断分子が存在する(即ち、Dが真と評価される)まで、特定の薬の供給を投与することに対応するある種の命令をEにおいて実行するものである。
【0064】
停止構造
処理を進めても意図された結果を生成しないことを特定の読出しが示す場合、任意のタイプの計算を停止させ、プログラム全体の実行を中止させることになる命令を持つことが重要である。この命令は、ユビキタス態様で機能する生化学粒子と組み合わせて、特定の(F、D、P、W、L、USP)で実行されることができる。
【0065】
以上が例である。
【0066】
ある実施形態において、装置101は、インプット手段104及びイメージング手段105を更に有する。インプット手段104は、例えば所望の空間供給ゾーン及び所望の空間供給ゾーン120で放出される物質のタイプに関する命令をユーザ113から受信する手段を有することができる。これは、例えばキーボード命令を介して、又はマウス命令を介して、又は音声認識システム等を介して行われることができる。入力手段104は、制御ユニット102が種々の空間ゾーンで物質を放出することを実行するよう指示するソフトウェアコードを格納するか、上記指示に関するプリプログラムされた命令114を例えばCDディスクから受信するディスクドライブ、ハードディスク等を有することもできる。これらの命令は、例えば所与の空間位置に供給される物質の量、所与の位置に与えられる異なる物質の混合等を含むことができる。
【0067】
その後、これらの命令コードは、制御ユニット102に対する制御コマンドとして実現される。イメージング手段105が、超音波感知粒子の空間分布を検出するために使用される。この場合、検出はより低い機械指数(低圧)の超音波の使用に基づかれることができる。これらの空間データは、確信制御(convincing control)を提供するため、即ち、超音波感知粒子116〜118が上記所与の位置120に位置するかを知るため、制御ユニット102に関する入力データとして使用されるだろう。従って、ユーザからの命令により、グループBにより搬送される物質B(超音波感知粒子B)がゾーンXで放出され、続いてグループAにより搬送される物質A(超音波感知粒子A)が放出されることになる場合、これらの2つのグループの超音波感知粒子が、ユニークな信号109を用いてゾーンX120に配置されるかどうかを、イメージング手段105は最初に検出するだろう。答がYESであれば、超音波トランスデューサ103は、例えば、グループBの共鳴周波数に対応する(又は狭い周波数間隔に含まれる)周波数を持つ超音波パルスを用いて、ゾーンX120の近くに配置される超音波感知粒子を照射する。そして、例えば全ての物質Aが放出された後、制御ユニット102は、グループAの共鳴周波数に対応する周波数へとその周波数をチューニングするよう超音波トランスデューサ103に指示する。明らかに、これは、異なるサブグループに含まれる超音波感知粒子が、事前に規定された特性を伴い構築されることを必要とする。その結果、例えばグループAに含まれる超音波感知粒子が、「特性A」(例えば、好ましくは狭い所与の周波数範囲に含まれる共鳴周波数)を持ち、グループBに含まれる超音波感知粒子が「特性B」を持つ等となる。
【0068】
ある実施形態において、イメージング手段105は、命令が従われたかどうか連続的に監視する。上述の例を参照すると、イメージング手段105は、(供給ゾーンXで全ての粒子Bが分解されることになるという命令が記載されたと仮定するとき)、グループBに含まれる全ての超音波感知粒子が分解されたかどうかを監視するだろう。グループBに含まれる全ての超音波感知粒子が分解されたとイメージング手段(lm_M)105からのデータが示して初めて、制御ユニットは、グループAの共鳴周波数に対応する周波数へとその周波数をチューニングするよう超音波トランスデューサ103に指示する。
【0069】
図2〜4は、例えば組織又はセル120に物質を供給する命令を含む上記シナリオを示す。図2は、3つのグループが組織/セル120の近くに配置される場合を示し、図3は、グループBにより搬送される物質が組織に供給される場合を示し、図4は、その後グループAにより搬送される物質が組織に供給される場合を示す。
【0070】
超音波感知粒子は、単分散マイクロバブルとすることができる。斯かる粒子を使用することの利点は、それらが極めて狭いサイズ分布で作られることができる点にある(Shi WT、Bohmer M、de Winter S、Steenbakkers J、Emmer M、van Wamel A、de Jong N、Hall CS.による、「Ultrasonic characterization of novel monodispersed contrast agents.」、Proceedings of 2006 IEEE Ultrasonics Symposium pp 301-304 (Session 2D-5参照))。
【0071】
図5a及び図5bは、走査型電子顕微鏡写真(図5a)において検出され、粒子寸法測定器(図5b)を用いて測定される単分散マイクロバブルを示す。ここで、x軸は粒径を示す。マイクロバブルの2つの異なる準備が示される。即ち、Shi WT らによる参考文献に記載される方法論を用いて準備されるplgaマイクロバブルと、フリーズドライされ(凍結乾燥され)、溶液で戻された同様な集団のマイクロバブルとである。従って、図5aにおける粒径又は粒子は、約12〜13μmである。この単分散度は、マイクロバブルの集団が狭い周波数範囲にわたり共振することをもたらす。従って、異なるサイズを持つ異なるグループを生成することにより、異なる特性を持つ、即ち、この特定の場合異なる共鳴周波数を持つ上記サブグループを規定することが可能である。第2の利点は、マイクロバブルのシェル厚にわたる慎重な制御である。サイズ分布を慎重に制御し、シェル物質を特定の量にすることにより、非常にきびしい許容範囲へとシェル厚及び構造を制御することが可能である(Shi WTらを参照)。その後、シェル厚は、マイクロバブルの全体の集団が安定から破壊(即ち、物質の放出)へと急激に移行する場合の外部加圧力の閾値を制御する。
【0072】
図6は、超音波圧力振幅の関数として、破壊されるマイクロバブルの数を示す(x軸は、パルスの機械指数であり、y軸は、イベントカウントである)。ここで示されるように、マイクロバブルは特定の圧力で急激な移行を示す。
【0073】
図7は、マイクロバブルの3つの異なるサブ集団(1つは円でマークされ、1つは三角形でマークされ、1つは正方形でマークされる)に関するペイロードを「破壊する」及び供給するのに必要な力を、周囲のシェルの厚みの関数として示す。シェル厚の慎重な選択により、ペイロードを供給するのに別々の超音波圧力場が選択されることができる点に留意されたい。従って、その後、例えば組織といった特定の供給ゾーンに、任意の関連薬又は遺伝物質を供給するために、マイクロバブルの破壊が使用されることができる。従って、超音波は、例えば任意に加えられる治療法の指定された空間的及び時間的供給を制御するため、マイクロバブルのサブグループに時間変化する圧力場を与えるのに使用されることができる。
【0074】
図8は、本発明による方法の一実施形態のフローチャートを示す。
【0075】
本実施形態において、ステップ(S1)801〜(S2)803は、超音波感知粒子のサブグループを準備するものとして考えられることができる。この場合、ステップ(S1)801は、超音波感知粒子の上記サブグループを提供することに関し、ここでは好ましくは同じサブグループに含まれる粒子が、共通の音響特性を共有する。ステップ(S2)(803)は、同じサブグループに含まれる粒子が同じタイプの物質を搬送するよう、超音波感知粒子に物質を好ましい態様で「取り付ける」又は「組み込む」ことに関する。ある実施形態において、超音波感知粒子はシェル構造を持つマイクロバブルである。ここで、マイクロバブルの物理特性は、シェル厚、シェルサイズ、シェルの直径、シェルの幾何学的形状、粒子の数密度及びそれらの組み合わせから選択される。超音波感知粒子は、ナノ粒子、リポソーム、熱ショックタンパク質等から選択されることもできる。超音波感知粒子により搬送される物質は、製薬物質、タンパク質、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、小干渉リボ核酸(siRNA)及びそれらの組み合わせから選択される生物物質とすることができる。他の材料は、例えばナノ粒子、ナノ構造体、又は自律若しくはガイドされたナノマシンといった人工的構造物を含むことができる。
【0076】
ある実施形態において、同じサブグループに含まれる超音波感知粒子の個別の音響起動特性は、共通の共鳴周波数又は共鳴周波数範囲である。従って、特定の周波数又は制限された周波数範囲での超音波感知粒子の音響起動特性は、予め特定される「プログラム」に基づき与えられることができる命令コードに対応する。このプログラミングパラダイムの文法及びセマンティックをカプセル化する規定された文法が存在する。プログラミング言語において、文法は、うまく形成されるプログラムを作成するようシンボルが結合されることができる態様を参照する。文法は、適切な命令を形成する種々の発現の構造的説明を提供する。この特定の場合において、文法は、超音波感知粒子の事前に規定された特性及び超音波パルスの特性を介して命令の適切な形成を参照するだろう。セマンティックは、プログラムを実行するときのコンピュータの挙動を記載する。この挙動はプログラムの入出力間の関係により記載されることができ、我々は、テキストで更に例を提供するだろう。
【0077】
ステップ(S3)805において、超音波感知粒子は一緒に与えられるか、又はこの方法が生体内で使用される場合には、例えば静脈若しくは動脈注射を介して後続の投与の際に与えられる。
【0078】
ステップ(S4)807において、少なくとも1つの空間供給ゾーン及びこの少なくとも1つの空間供給ゾーンで放出される物質のタイプを示す命令がユーザから受信される。
【0079】
ステップ(S5)809において、超音波感知粒子の空間分布が撮像される。超音波感知粒子が空間供給ゾーンの近くで局所化されることをイメージングデータが示すとき、受信された命令(S6)811に基づき、超音波感知粒子が放射されることになる。
【0080】
反復813が、実行され、命令が完了したかどうかを調べるためにイメージングが利用される。イメージング装置は、光音響イメージングの場合のように、光学読み出しからだけでなく超音波から画像を受信することができる。例えば、物質Bが所与の供給ゾーンの標的組織に供給され、その後物質Aが供給されることになるとユーザコマンドが記述する場合(図2〜4を参照)、物質Bを有する何らかの超音波感知粒子がまだ残されているかどうかをイメージングが示すだろう。まだ何か残されている場合、ステップ(S6)811が繰り返される。それ以外の場合、第1のセットの命令は完了(S7)815しており、受信された命令の後続のセットが実行される。例えば、標的ゾーンに物質Aが供給される(図4参照)。
【0081】
本発明の明白な及び完全な理解を提供するため、開示された実施形態のある特定の詳細が、限定目的ではなく説明目定で記載される。しかしながら、本発明の範囲から大幅に逸脱することなしに、本願明細書に記載される詳細に正確に従うものではない他の実施形態において、本発明が実行されることが出来る点を当業者であれば理解されたい。更に、本書において、簡潔さ及び明快さのために、よく知られた装置、回路及び方法論の詳細な説明は、不必要な詳細及び混乱の可能性を回避するべく省略されている。
【0082】
参照符号が請求項に含まれる。しかしながら、参照符号の包含は、明快さのためだけにあり、請求項の範囲を限定するものとして解釈されるべきでない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波感知粒子により搬送される物質の放出を制御する方法において、前記放出が、前記超音波感知粒子と相互作用するよう、及び前記物質の放出が生じるように選択される音響特性を持つ超音波パルスを前記超音波感知粒子に照射することによりもたらされ、前記超音波感知粒子は、超音波感知粒子のサブグループを有し、同じサブグループに含まれる前記超音波感知粒子が、各個別のサブグループが前記超音波パルスと独立に相互作用することをもたらす個別の音響特性を持つ、方法。
【請求項2】
前記超音波感知粒子の同じサブグループに含まれる前記超音波感知粒子が、同じタイプの物質を搬送する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記超音波感知粒子のサブグループが、前記タイプの物質を含むマイクロバブルを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記超音波感知粒子のサブグループが、前記タイプの物質を含むシェル構造を持つマイクロバブルを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記同じサブグループに含まれる前記シェル構造が、同様な物理特性を持ち、前記特性は、前記個別の音響特性に関して特徴的である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記物理特性が、
− シェル厚、
− シェルサイズ、
− シェルの直径、
− シェルの幾何学的形状、
− 泡におけるガスの過剰又は過小充填、
− 泡の数に対する治療的又は不活性物質の量、
− シェルの化学組成、
− 粒子の数密度、及び
− これらの組み合わせから選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記超音波感知粒子のサブグループが、
− 前記タイプの物質を含むシェル構造を持つマイクロバブル、
− 前記タイプの物質を含むマイクロバブル、
− 前記タイプの物質を含む溶液におけるマイクロバブル、
− ナノ粒子、
− リポソーム、
− 熱ショックタンパク質、及び
− これらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記超音波感知粒子により搬送される物質が、生物物質であり、
− 製薬物質、
− 多糖、
− 脂質、
− 脂肪酸、
− ステロイド、
− タンパク質、
− 酵素、
− デオキシリボ核酸、
− リボ核酸、
− 小干渉リボ核酸、
− 無機人工的構造物、
− ナノ粒子、
− ナノマシン、
− 粒子の既存のサブグループの組成又はジオメトリを変えるための化学物質、
− 生化学粒子、及び
− これらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記同じサブグループに含まれる前記超音波感知粒子の前記個別の音響特性が、共通の共鳴周波数又は共鳴周波数範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記超音波パルスの前記音響特性が、
− 前記サブグループの1つ又は複数の前記共鳴周波数に対応する周波数、
− 前記超音波パルスの圧力振幅、
− 前記超音波パルスの持続時間、
− 任意の波形、及び
− これらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記物質の放出が、前記超音波感知粒子の前記サブグループの少なくとも1つから前記物質を放出することにより、標的組織若しくはセルの中又は近くで局所的に実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記方法が、生体内又は細胞培養内で実行され、
a.少なくとも1つの空間供給ゾーンを示す少なくとも1つの命令を受信するステップであって、各命令が、特定の比で放出されることになる少なくとも1つのタイプの物質を示す、ステップと、
b.前記超音波感知粒子の前記空間分布を撮像するステップであって、前記イメージングが、前記空間データに基づき、前記超音波感知粒子の前記空間分布を示すデータを生じさせる、ステップと、
c.前記少なくとも1つの供給ゾーンにおいて前記超音波感知粒子を超音波パルスで照射するステップであって、前記超音波パルスの前記特性が、前記少なくとも1つの供給ゾーンにおける前記物質の放出が前記少なくとも1つの受信命令に基づかれるよう制御される、ステップと、
d.前記受信命令が完了するまで、各後続の命令に対してステップb〜cを繰り返すステップとを更に有する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記命令が、所与の供給ゾーンに供給される物質の量、所与の供給ゾーンに供給される物質の混合、又は残りの超音波感知粒子の前記音響特性を修正するために放出される前記物質に関する情報を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
超音波感知粒子により搬送される物質の放出を制御する装置であって、
− 制御信号を放出するよう構成される制御ユニットと、
− 前記制御ユニットからの前記制御信号に基づき、前記超音波感知粒子と相互作用するよう、及び前記物質の放出が生じるように選択される音響特性を持つ超音波パルスを前記超音波感知粒子に照射し、制御ユニットに結合されるよう構成される超音波トランスデューサとを有し、
前記超音波感知粒子が、超音波感知粒子のサブグループを有し、前記サブグループはそれぞれ、個別の音響特性を持ち、前記超音波トランスデューサが、前記サブグループの前記音響特性を持つ超音波パルスで前記超音波感知粒子を照射するよう構成される、装置。
【請求項15】
少なくとも1つの空間供給ゾーン及び前記少なくとも1つの空間供給ゾーンで放出されることになる物質のタイプを示す命令を受信する入力手段を更に有する、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記超音波感知粒子の前記空間分布を撮像するため前記制御ユニットに結合されるよう構成されるイメージング手段であって、前記撮像が、前記超音波感知粒子の前記空間分布を示すデータを生じさせる、イメージング手段を更に有し、
前記空間データに基づき、前記制御ユニットが、前記少なくとも1つの空間供給ゾーンの近くで局所化される前記超音波感知粒子を前記超音波パルスで照射するよう前記超音波トランスデューサに指示し、前記超音波パルスの前記音響特性は、前記少なくとも1つの空間供給ゾーンでの前記物質の放出が前記受信命令に基づかれるよう制御される、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
超音波感知粒子搬送物質のサブグループを有する超音波感知粒子であって、
同じサブグループに含まれる前記超音波感知粒子が、個別の音響特性を持つ、超音波感知粒子。
【請求項18】
前記超音波感知粒子の前記直径が、100nm未満であり、好ましくは50nm未満であり、好ましくは25nm未満であり、好ましくは10nm未満であり、好ましくは5nm未満である、請求項17に記載の超音波感知粒子。
【請求項19】
前記同じグループに含まれる前記粒子が、同じタイプの物質を搬送する、請求項17に記載の超音波感知粒子。
【請求項20】
セル又は組織に物質を供給するための請求項17に記載の超音波感知粒子の使用。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5a】
image rotate

【図5b】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公表番号】特表2010−520871(P2010−520871A)
【公表日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−552311(P2009−552311)
【出願日】平成20年3月3日(2008.3.3)
【国際出願番号】PCT/IB2008/050763
【国際公開番号】WO2008/110958
【国際公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】