説明

超音波探傷システム及び超音波探傷方法

【課題】、液体または気体の媒体を介して超音波を被検体に伝搬させる超音波探傷方法または超音波探傷システムにおいて、超音波の入射位置を正確かつ確実に特定する。
【解決手段】水浸法による超音波探傷方法において、超音波送受信手段に光学的照射手段を搭載させ、光学的照射手段から被検体へ光学的マーカを照射し、撮像装置にて光学的マーカの照射位置を撮影して探傷を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波センサと被検体との間に液体や気体などの媒体を介在させて探傷を行う超音波探傷法を利用した超音波探傷システムおよび超音波探傷方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
構造物の健全性を評価するために、構造物の表面や内部の非破壊検査手法として、超音波探傷法が広く用いられている。被検体となる構造物表面に凹凸がある場合や、構造物の近傍が狭隘で超音波センサを直接接触することが不可能な場合などにおいては、超音波センサと被検体の間に、超音波の伝搬が可能な液体や気体などの媒体を充填し、その媒体を経由させて構造物を検査する超音波探傷が適用されている。例えば、媒体として液体である水を使う場合は水浸法、媒体として気体である空気を使う場合は空中超音波探傷法などと媒体によって異なる名称で呼ばれる。
【0003】
媒体を介して超音波探傷を実施する手法は、媒体中での超音波の多重反射波が探傷信号に影響しないように、所定の距離(例えば水浸法の場合数cm程度)だけ、被検体と超音波センサを離して探傷を行う。このため、超音波センサの位置と、媒体を伝搬した後に被検体に超音波が入射する点(超音波入射位置)との間には、空間的な隔たりが生じる。従って、より信頼性の高い探傷結果を得る場合には、超音波センサと被検体の位置関係のうち、特に、被検体における超音波入射位置を正確に把握することが必要である。
【0004】
例えば、従来の超音波探傷において、超音波の入射位置を特定する従来の方法として、特許文献1に示すように、ビデオカメラで試験対象物の画像を撮像し、カメラで超音波探触子の座標を計測しながら超音波の反射を検出し、超音波反射波から求めた探傷画像とカメラ画像を重ね合わせて表示する、撮像装置と組み合わせた超音波探傷装置が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、レーザあるいは超音波探触子に付けたLEDをカメラで撮像することで検査対象物の3次元形状を求めて3次元グラフィック画像を生成し、超音波探傷画面と3次元グラフィック画像を重ねて表示する超音波探傷検査方法及び装置が開示されている。
【0006】
しかしながら、上述した手法では、いずれも被検体に超音波センサを接触させる直接接触法の場合を想定しているため、超音波センサ位置を特定する方法及び装置の記載はあるが、超音波センサ位置と超音波入射位置が一致しない水浸法などの、媒体を介する超音波探傷法に対しては、入射位置を特定することができない。
【0007】
さらに、水浸法による超音波探傷においては、特許文献3に示すように、探傷面の形状に関する情報に基づき、探触子位置、超音波の入射方向および軌跡を表示するCAD装置と、三次元動作によって探触子を位置決めするスキャナと、探触子と探傷面との距離を計測する距離センサとを備えた超音波探傷システムが提供されている。この超音波探傷システムによれば、探傷面に凹凸、ひび等がある場合でも、最適な探触子位置を割り出しスキャナにより探触子位置を最適な位置に移動することを可能とする。
【0008】
特許文献3の技術では距離センサを使って形状を計測し、超音波入射位置や入射方向を解析して最適な探触子位置を割り出している。しかしながら、遠隔操作で検査を行う場合には、実際に超音波が目的の位置に入射しているかどうかを計測する手段が無いために、超音波が目的の位置に正しく入射しているかを確認することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−32434号公報
【特許文献2】特開平6−102258号公報
【特許文献3】特開2005−300363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、媒介を介して超音波を伝搬させる超音波探傷方法において、被検体への超音波の入射位置を正確に特定することができる新たな超音波探傷システム及び超音波探傷方法を提供する事にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、液体または気体の媒体を介して被検体に超音波を伝搬させる超音波探傷システムにおいて、超音波を送受信する超音波送受信手段と、探傷結果情報を表示する音響画像表示手段と、超音波送受信手段に搭載され、被検体に対して光学的マーカを照射する光学的照射手段と、被検体と光学的マーカの照射位置とを撮影する撮像手段と、撮像手段による画像を表示する光学画像表示手段とを備えたことで達成される。
【0012】
本手段によれば、超音波送受信手段に搭載された光学的照射手段から被検体に照射される光学的マーカを撮像手段で撮影することで、超音波の被検体に対する入射位置または受信される超音波の被検体上の発生位置を求めることができる。
【0013】
また、超音波探傷システムにおいて、超音波送受信手段に撮像手段が搭載されていてもよい。本手段によれば、超音波送受信手段による音響画像と撮像手段による光学画像について、被検体の同じ領域を含む範囲を画像化することができ、入射位置または受信される超音波の被検体上の発生位置の特定が容易となる。
【0014】
また、超音波探傷システムにおいて、超音波送受信手段は、複数の光学的照射手段を有し、光学的照射手段から照射される光学的マーカが、超音波センサの超音波発射面から所定距離離れた位置で交わるように設定されていてもよい。本手段によれば、超音波センサと被検体の距離を求めることができ、より正確に入射位置または受信される超音波の被検体上の発生位置を求めることができる。
【0015】
また、超音波探傷システムにおいて、前記光学的マーカの交わる位置と、前記超音波送受信手段と前記被検体までの距離を一致させておいてもよい。
【0016】
また、超音波探傷システムにおいて、超音波送受信手段として、送信または受信のいずれかまたは両方の用途として、複数の振動子から発生する超音波の遅延時間を制御して探傷を行うアレイ探触子を用いてもよい。本手段によれば、アレイ探触子から送信または受信される超音波の方向を電子的に制御することが可能となるため、超音波送受信手段と被検体の位置合わせが容易となる。
【0017】
また、超音波探傷システムにおいて、撮像装置がレンズを有するカメラであり、レンズ倍率の画像を出力する手段を有していてもよい。本手段によれば、被検体及び光学的マーカの照射位置の光学画像において、撮影対象物までの距離を求めることができ、超音波の入射位置または受信される超音波の被検体上の発生位置をより正確に求めることができる。
【0018】
また、超音波探傷システムにおいて、音響画像と光学画像について、両画像を合成する手段を備えていてもよい。本手段によれば、超音波送受信手段による音響画像と、撮像手段による光学画像について、被検体の同じ領域を含む範囲を画像化し、さらに両画像を合成して表示することができ、入射位置または受信される超音波の被検体上の発生位置の特定が容易となる。
【0019】
さらに、本発明は、液体または気体の媒体を介して被検体に超音波を伝搬させる超音波探傷方法において、超音波を被検体に送信し、被検体表面または内部からの反射波を受信信号として受信し、受信信号による探傷結果を音響画像として表示し、超音波送受信手段に搭載された光学的照射手段から光学的マーカを被検体の表面に照射し、撮像手段により被検体及び光学的マーカを撮影し、光学画像として表示して探傷を行う超音波探傷方法によっても達成される。
【0020】
本方法によれば、超音波送受信手段に搭載された光学的照射手段から被検体に照射される光学的マーカを撮像手段で撮影することで、超音波の被検体に対する入射位置または受信される超音波の被検体上の発生位置を特定して、超音波探傷を行うことができる。
【0021】
また、超音波探傷方法において、撮像手段により被検体の表面検査を実施し、光学による検査と超音波による検査を、同時にまたは選択的に実施してもよい。本方法によれば、超音波送受信手段による音響画像と撮像手段による光学画像について、被検体の同じ領域を含む範囲を画像化し、さらに両画像を選択的にまたは合成画像として同時に表示することができ、表面検査により被検体の健全性を確認しながら、超音波の入射位置または受信される超音波の被検体上の発生位置を特定することができ、検査の信頼性向上をはかることができる。
【0022】
また、超音波探傷方法において、超音波送受信手段は、複数の光学的照射手段を有し、光学的照射手段の光軸を互いに傾斜させてマーカ形状が交差するように設置し、光学的マーカの形状を点とし、光学的マーカが1点に交わることにより超音波送受信手段と被検体との距離を特定してもよい。本方法によれば、超音波センサと被検体の距離を求めることができ、より正確に入射位置または受信される超音波の被検体上の発生位置を求めることができる。
【0023】
また、超音波探傷方法において、超音波送受信手段は複数の光学的照射手段を有し、光学的マーカの形状を線とし、光学的照射手段を光学的マーカが交差するように設置し、被検体に照射された光学的マーカの線の方向から、超音波送受信手段の被検体に対する設置角度を特定してもよい。本方法によれば、超音波センサと被検体の設置角度を求めることができ、より正確に入射位置または受信される超音波の被検体上の発生位置を求めることができる。
【0024】
また、超音波探傷方法において、超音波送受信手段に搭載した複数の光学的照射手段において、複数の照射パターンで光学的マーカを射影してもよい。本方法によれば、複数個存在する光学的マーカを同定しやすくなり、ヒューマンエラーが防止され、より正確に入射位置または受信される超音波の被検体上の発生位置を求めることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、光学的マーカを被検体に照射して、カメラ等の撮像装置で超音波を入射する被検体表面を撮影することにより、複雑形状の検査や遠隔操作による検査の場合等においても、実際の被検体上での超音波送受信手段による超音波の入射位置または受信される超音波の被検体上の発生位置を光学的マーカにより特定することができ、信頼性の高い超音波検査を提供できる。
【0026】
また、超音波送受信手段の入射位置を含む被検体を撮像しながら探傷を実施することにより、超音波探傷結果から欠陥の疑いが生じた場合に、光学的マーカにより特定した超音波送受信手段の入射位置での被検体表面情報を含む探傷状況を確認でき、あるいは撮像による目視検査により欠陥の疑いが得られた場合にその位置での超音波探傷結果を確認することができるため、欠陥判定性および寸法測定精度を従来より向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の対象となる被検体の断面図である。
【図2】本発明の実施例1の超音波探傷システムの構成を示す模式図である。
【図3】本発明の実施例1の超音波センサの移動機構を示す模式図である。
【図4】本発明の実施例1の超音波送受信装置を示す構成図である。
【図5】本発明の実施例1の超音波センサを示す模式図である。
【図6】本発明の実施例1の超音波センサの応用例を示す模式図である。
【図7A】本発明の実施例1の超音波による音響画像作成方法を示す説明図である。
【図7B】本発明の実施例1の超音波による音響画像作成方法を示す斜視図である。
【図8】本発明の実施例1の超音波による音響画像作成を示す説明図である。
【図9】本発明の実施例1の音響画像を示す模式図である。
【図10】本発明の実施例1の光学画像を示す模式図である。
【図11】本発明の実施例2の超音波探傷システムの構成を示す模式図である。
【図12】本発明の実施例2の超音波センサを示す模式図である。
【図13】本発明の実施例2の超音波センサによる距離測定方法を示す模式図である。
【図14】本発明の実施例2の超音波センサの応用例を示す模式図である。
【図15】本発明の実施例2の超音波センサの他の応用例を示す模式図である。
【図16】本発明の実施例3の超音波探傷システムの構成を示す模式図である。
【図17】本発明の実施例3の超音波送受信装置を示す構成図である。
【図18】本発明の実施例3のアレイ探触子を示す模式図である。
【図19】本発明の実施例3の超音波による音響画像作成を示す説明図である。
【図20】本発明の実施例4の超音波探傷システムの構成を示す模式図である。
【図21】本発明の実施例4の水中カメラを示す模式図である。
【図22】本発明の実施例4の画像合成のフロー図である。
【図23】本発明の実施例4の画像合成の仮想面を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、本発明の対象となる、鋼板101に所定角度を持って管102を貫通させた被検体100の断面図である。管102の周囲が溶接されて溶接部103を形成しており、超音波を伝搬させる媒体として水が用いられ、水浸法による超音波探傷によって溶接部103の傷の有無を検査する。管102の周方向の角度によって溶接部103の形状が3次元的に変化し山側の溶接部103Aが最も狭隘であり、正確に超音波を目的の位置に入射させる事が難しい形状を有している。
【実施例1】
【0029】
〔探傷システムの基本構成〕
本発明の実施例1に用いる超音波探傷システムの構成を図2に示す。超音波送受信手段である超音波センサ104に、光学的マーカすなわち被検体表面の任意の位置を特定する特定の光学的パターンを照射する光学的照射手段として、レーザマーカ106が搭載されている。
【0030】
超音波センサ104は、被検体100の探傷面の上方に液体(例えば、水)を介して設置され、超音波送受信装置104Bから供給される駆動信号により、超音波送受信面105から超音波を発生し、これを被検体100に向けて伝搬させ、被検体100の表面または内部より現れる反射波を検出し、受信信号を超音波送受信装置104Bに入力する。
【0031】
レーザマーカ106は超音波センサ104の被検体100表面の超音波入射位置を照射する。なお、光学的照射手段としては、レーザマーカの他、可視光の電球やLED、液晶プロジェクタ等の光学的パターンを投影できる手段であればよい。
【0032】
また、光学的マーカの被検体への照射位置106Sと被検体100を、撮像手段として例えば水中カメラ108で撮像する。108Cはカメラの視野を表し、被検体100上の超音波が入射する領域、または、反射波が発生する領域を撮影する。
【0033】
超音波センサ104は超音波送受信装置104Bに接続され、音響画像表示手段104Aにおいて探傷結果情報として表示される。また、水中カメラ108の画像信号は、カメラコントローラ108Bに接続され、光学画像表示手段108Aにおいて撮影像として表示される。
【0034】
図3は、超音波探傷システムの超音波センサの移動方法を説明した模式図である。超音波センサ104を走査するためには、例えば、ロボット等に用いられる6軸以上の制御をするマニピュレータのような、超音波センサ104を中心に、X、Y、Zの各軸方向を回転軸として回転する、θx、θy、θzの3つの回転軸を備えたヘッド部301と、配管102に着座し、ヘッド部全体を移動させる、上下(Z軸)、径方向(R軸)、回転軸(φ軸)の3つの軸を備えた全体移動機構302により、超音波センサ104を移動することができる。
【0035】
実施例1の構成は、例えば、原子力発電所の制御棒駆動機構スタブチューブ、炉内計装管台ハウジング、シュラウドサポート、シュラウド等の炉内構造物溶接部の欠陥検出及び寸法測定に関する非破壊検査に適用される。なお、実施例1に記載の方法及び装置は、炉内構造物に特徴的な曲面の他、配管や平板形状の検査対象にも同様に適用することが可能である。
【0036】
図4に示す様に、送受信装置104Bは、計算機401Aと時間制御部401B、パルサー401C、レシーバ401D、データ収録部401Eを備え、パルサー401Cが駆動信号を超音波センサ104に供給し、超音波センサ104から入力される受信信号をレシーバ103Dが処理するようになっている。
【0037】
ここで、計算機401Aは、時間制御部401B、パルサー401C、レシーバ401D、それにデータ収録部401Eを制御して、必要な動作が得られるようにする。401Fは記憶部である。
【0038】
まず、時間制御部401Bは、パルサー401Cから出力される駆動信号のタイミングを制御すると共に、レシーバ401Dによる受信信号の入力タイミングを制御する。これにより、レシーバ401Cからの受信信号を、送信信号に同期して、データ収録部401Eに逐次保存する。データ収録部401Eは、レシーバ401Dから供給される受信信号を処理し、表示部104Aに供給する働きをするが、ここで、表示部104Aの動作については、後で詳述する。
〔超音波センサ〕
次に、超音波センサ104の詳細について説明する。図5は超音波センサ104の最も基本的な構成を模式図で示したものである。超音波発生素子は、圧電セラミックや圧電ポリマー等の圧電変換素子で構成され、超音波発生素子の保護及び多重反射による音響整合を整えるための前面板502を備えており、超音波送受信面105として超音波センサ104の外部の媒体(水など)に接している。図6の超音波センサ104は、超音波発振素子601を有する。
【0039】
超音波センサ104は、光学的マーカを照射するための照射手段として、たとえば、可視光のレーザマーカ106を搭載している。レーザマーカは、図5に示すように超音波センサ104の中央部に位置してもよい。または図6の応用例に示すように、超音波センサ104の側面に位置してもよい。
【0040】
なお、図5のように、超音波センサ104の中央部にレーザマーカ106が位置する場合には、超音波発生素子は送信用超音波発生素子501Aと受信用超音波発生素子501Bのように、2つに分割されてもよい。また、図6のように超音波センサ104の側面にレーザマーカ106を設けた場合には、超音波の伝搬方向を表す音軸602と、光学的マーカの伝搬方向を表す光軸603が被検体100上のマーカの照射位置106Sで交差するように、レーザマーカ106を斜めに傾斜させて取り付けてもよい。
〔超音波探傷方法〕
次に、図7A、7Bを用いて、本発明の実施形態による探傷方法及び探傷結果の表示方法について説明する。ここでは、被検体表面で超音波の振動モードの変換により発生する表面波(レイリー波)により、被検体表面欠陥を検査する場合について説明する。
【0041】
図7Aにおいて、超音波センサ104から、液体705中に斜め方向に超音波(斜角超音波701)を発信する。斜角超音波701は、被験体100と液体705の境界面704上の入射位置701Bに到達し、レイリー波702に振動モードが変換される。このとき境界面704への斜角超音波701の入射角度701Aは、式(1)で与えられる横波臨界角θCRで与えられる。例えば、液体が水、被験体が鋼材の場合、水の縦波音速が1480m/s、被験体の横波損速が3200m/sなので、θCRは約27.5°となる。
実際には、探触子から発生する超音波は空間的に広がりがあるため、入射角度は30°前後になっていれば、十分な強度で被検体中にレイリー波が発生する。
【0042】
【数1】

【0043】
境界704でレイリー波に変換された超音波は、被験体表面を伝搬し、表面または表面近傍に存在する反射源である欠陥100Aが存在すると、欠陥で反射し進行方向を変えて、再び被験体表面をレイリー波703として伝搬する。表面を伝搬するレイリー波は、レイリー波として伝搬すると同時に、エネルギーの一部が、液体及び被験体中へ超音波として漏洩するように伝搬する。この漏洩した超音波が、再び超音波センサ104で受信される。
【0044】
図7Bは図7Aを三次元的に示した斜視図であり、図における断面700が図7Aに相当する。
【0045】
図8において、入射位置701Bでの受信波形は、Aスコープ信号805として、横軸に時間、縦軸に振幅として収録される。欠陥100Aの位置を求めるには、超音波の送信点803を位置の基準とした場合の、入射位置701Bと鋼材表面の伝搬距離804を求めればよい。
【0046】
なお、ここでは超音波センサ104の超音波の送信点803は既知であるものとして取り扱う。実際の検査においては、例えば、図2に示すような、超音波センサ104を検査対象部位まで移動するための多軸マニピュレータ等の移動機構により、移動機構の原点を基準とした超音波センサ104の位置を特定することができる。
【0047】
しかしながら、本発明の目的にもあるように、実際の検査対象は、溶接部や機械加工の仕上げ具合によっては、実際の寸法(アズビルド寸法)と図面指示の寸法(ノミナル寸法)とが完全に一致しない場合がある。この場合には、被検体100の入射位置701Bと送信点803の位置関係を、図面指示のノミナル寸法から正確に把握することが難しい。
【0048】
本発明では、後述する方法により、被検体に照射された光学的マーカの位置として入射位置701B(Xin, Yin, Zin)を特定することができる。
【0049】
送信点803で受信される信号805のうち、液体中の往復伝搬時間Tinは、式(2)より求めることができる。
【0050】
【数2】

【0051】
ここで、距離Dは、超音波センサ104と被検体100の距離806(ここでは、液体中を超音波が伝搬する距離である。式2から、受信波形から得られるTinが既知となり、水距離D=Tin×Cwとして求めることができる。
【0052】
なお、被検体100の表面で反射する超音波伝搬経路としては、経路801及び802で往復するルートと、経路808及び809で往復するルートの2種類が存在するが、経路808及び809のルートの場合、被検体表面にほぼ垂直に超音波が入射するため、被検体表面での反射率が大きいため、受信信号としては、反射経路808及び809のルートによる信号が大きく、かつ時間的に早く受信される。したがって、式(2)は、伝搬経路808及び809を想定した式となっている。
【0053】
被検体100上の入射位置701Bを座標の基準とした場合に、距離Dが既知であることから、送信点803のXYZ座標(X0, Y0, Z0)を特定することができる。
【0054】
具体的には、後述するように、レーザマーカの照射位置を撮像した光学画像から、反射源100A近傍から超音波が送受信されていることが確認できる。また、レイリー波による信号805が確認できるように、超音波センサ104を図2に示す移動機構で位置合わせを行うことで、受信信号が欠陥に起因することが確認できるとともに、被検体と超音波の伝搬方向の角度802が、レイリー波発生角度θCRと等しいとして扱えることが確認できる。
【0055】
以上により、被検体と超音波伝搬方向の距離Dと角度θ802が特定できるので、送信点803のXYZ座標(X0, Y0, Z0)を計算することができる。入射位置701Bの座標(Xin, Yin, Zin)が既知の場合、被験体表面に対する入射角θ701Aと水距離D806から、(X0, Y0, Z0)は式(3)で与えられる。
【0056】
【数3】

【0057】
従って、伝搬時間Tのうち、液体中の往復伝搬時間Tin及び、被験体表面の往復伝搬時間Tsは式(4)で与えられる。
【0058】
【数4】

【0059】
被験体表面の伝搬時間Tsが求められるので、欠陥のXYZ位置座標(Xd, Yd, Zd)は式(5)で計算できる。
【0060】
【数5】

【0061】
式(4)において、X座標は伝搬時間Tの関数となっている。伝搬時間Tにおける振幅805Aは振幅A(T)を持つため、X座標Xdに対して、振幅A(T)の強さに対応した濃淡またはカラーの画素値を与え、Y方向に超音波センサ104を移動させることで、XY2次元の音響画像を得ることができる。
〔探傷結果表示方法〕
2次元画像化範囲を図示すると、図7Bの領域706のようになり、斜角超音波が入射してレイリー波に変換する領域となる。また、画像化領域内のあるピクセル706Aに、例えば、画素値としてA(T)に対応した濃淡やカラーの値(例えば、振幅が大きいと黒、0に近いと白など)が設定される。欠陥100Aの近傍を実施例1の超音波探傷装置で探傷すると、例えば、図9の901にしめすような画像を得ることができ、欠陥100Aの形状と同様の欠陥像902を得ることができ、被験体表面の欠陥の位置、寸法、性状を評価することができる。
【0062】
ここで、レーザマーカの照射位置を撮像した光学画像について説明する。図10は、撮像手段である水中カメラ108で撮像した被検体100の光学画像の例である。被検体100の溶接部103を、超音波センサ104から送信した超音波で探傷を行うと同時に、超音波センサ104から可視レーザ光線107が照射され、超音波の入射位置が照射位置106Sとして可視化される。そして、可視レーザ光線107の照射位置106Sを水中カメラ108で撮影することで、光学画像表示装置108Aに光学画像を表示して超音波の入射位置を確認できる。
【0063】
なお、光学画像1001では、超音波の入射位置を示す照射位置106Sの他、被検体表面に欠陥100Aなどの反射源がある場合には、欠陥の光学撮影像1002を表示することができる。
【0064】
実施例1では、超音波送受信手段として圧電変換素子を利用した、送受信が一体化した超音波センサの例を用いて説明したが、超音波送信手段と超音波受信手段を別々の超音波センサに分けてもよい。
【0065】
また、超音波送信手段として、電磁力を被検体表層部に与える電磁超音波を用いた送信方法や、レーザビームを被検体表面に照射し被検体表層部の物理的衝撃により超音波を発生させるレーザ超音波を用いた送信方法を用いてもよい。この場合、超音波の送信位置に加えて、受信される超音波の発生位置を特定する必要があるが、実施例1に記載のレーザマーカを受信超音波の伝搬方向に向けることで、同様に超音波発生位置を特定することが可能である。
【0066】
以上、実施例1によれば、レーザマーカを搭載した超音波センサを用いて探傷を行い、レーザマーカの照射位置を水中カメラで撮像し、超音波による音響画像と、水中カメラによる光学画像をそれぞれ表示することにより、入射位置を確認することができる。また、超音波の入射位置を確認することで、被検体と超音波センサの位置関係(角度、距離)を特定することが容易となり、超音波による音響画像により、被験体表面の欠陥の位置、寸法、性状を評価することができ、より信頼性の高い検査結果を提供することができる。
【実施例2】
【0067】
本発明の実施例2に用いる超音波探傷システムの構成を図11に示す。実施例2では、超音波センサ104に複数の光学的照射手段が搭載されている。
【0068】
光学的照射手段として、実施例1と同様にレーザマーカを例に説明する。図12〜図14に、実施例2におけるレーザマーカ106A及び106Bの拡大図を示す。図12は光学的マーカの形状が点状の場合を示し、図13にその詳細な配置を示す。図14は光学的マーカの形状がライン状の場合の投影パターンの模式図である。
【0069】
図13に示すように、レーザマーカ106A及びレーザマーカ106Bから照射された光線が超音波センサ2104の超音波発射面105から所定の照射位置106Sで交わるように、レーザマーカ106A及び106Bの光軸603A及び603Bが傾斜するように超音波センサ104に搭載されている。なお、交差点である照射位置106Sは、超音波伝搬方向の中心音軸602上に位置するように設定する。
【0070】
図13に示すように、超音波センサ2104と被検体の距離が所定の距離(1401B)である場合、レーザマーカの交差した位置が1点となる。この位置から近づいた場合(1401A)でも、遠ざかった場合(1401C)でも、レーザマーカの交差位置が2点に離れる。
【0071】
この状況を撮像手段である水中カメラ108で監視することで、光学画像手段108Aに表示される画像により、被検体100に照射されるレーザマーカの照射位置106Sが、1点に一致する場合と、2点に離れた場合の確認を行うことができる。
【0072】
照射位置106Sが1点の場合は、超音波の入射位置及び距離を特定することができる。また、レーザマーカの照射位置106Sが2点となる場合には、超音波センサ104と被検体100が所定の距離離れていないことがわかるので、光線107の交点の位置を、水浸法における超音波センサと被検体との所定の水距離(例えば30mm)と一致させるように予め設定しておくことにより、探傷動作中の水浸法の水距離の状態を監視することができる。レーザマーカの照射位置が1点に交わるように超音波センサ104を図3に示す移動手段により走査することで、水距離を所定の値に設定することができる。このように、点状のレーザマーカを2個以上搭載する場合には、レーザマーカの光学画像から被検体100と超音波センサ104の距離を特定することができる。
【0073】
さらに、レーザマーカを超音波センサ104の対向する側面に搭載した場合、照射位置が2点の場合に、2つの照射位置を結ぶ直線の方向と、超音波センサ104のうち、レーザマーカを設置した側面を結ぶ方向1402が一致することから、超音波センサ104の向き(姿勢)を特定できる。
【0074】
また、図14に示すように、線状の形状をもつレーザマーカを使用し、超音波センサ2104Aの横側面とセンサの上側面に互いに交差するように搭載する。この構成では、レーザマーカ106Aから照射されるライン状光線1501Aによるライン1502Aと、レーザマーカ106Bから照射されるライン状光線1501Bによるライン1502Bとの交点により、超音波の入射位置である照射位置106Sを特定することができる。また、ライン1502A及び1502Bの方向により、被検体100と超音波センサ104の距離に依らず、超音波センサ104の向きを特定することができる。
【0075】
なお、ライン形状のレーザマーカを用いる場合は、被検体100と超音波センサ104の距離については、実施例1で記載したように超音波の伝搬時間から求めることができる。
【0076】
また、図15に示すように、ライン形状のレーザマーカ光線の照射パターンを互いに異なるように設定することで、センサの向きを特定する際に、投影されたライン1602A及び1602Bが、レーザマーカ106A、106Bのどちらに由来するものかを特定しやくなり、ヒューマンエラーの防止の効果を得ることができる。照射パターンとして、例えば赤色レーザと緑色レーザを使う、あるいは、常時点灯するレーザと点滅するレーザを使うなど、色による特徴、点灯時間による特徴等で異なる照射パターンを作ることが可能である。
【0077】
以上、実施例2によれば、2個以上のレーザマーカを搭載した超音波センサを用いて探傷を行い、レーザマーカの照射位置を水中カメラで撮像し、超音波による音響画像と水中カメラによる光学画像をそれぞれ表示することにより、超音波の入射位置を確認することができる。また、レーザマーカの形状を点状とすることで、被検体に対する超音波センサの距離及び向きを特定することが可能となる。また、レーザマーカの光線形状をライン状とすることで、被検体に対する超音波センサの向きを特定することができる。
【0078】
実施例2は以上のように超音波の入射位置を確認することで、被検体と超音波センサの位置関係(角度、距離)を正確に特定することが容易となり、超音波による音響画像によって、被験体表面の欠陥の位置、寸法、性状を評価することができ、より信頼性の高い検査結果を提供することができる。
【実施例3】
【0079】
本発明の実施例3に用いる超音波探傷システムの構成を図16に示す。実施例3では、超音波センサとして、複数の振動子から構成されたアレイ探触子3104を用いる。
【0080】
アレイ探触子を用いる場合の超音波送受信装置104Bの動作について図17により説明する。超音波送受信装置104Bは、計算機403Aと時間制御部403B、パルサー403C、レシーバ403D、データ収録部403Eを備え、パルサー403Cが駆動信号をアレイ探触子3104に供給し、これによりアレイ探触子3104から入力される受信信号をレシーバ403Dが処理するようになっている。
【0081】
ここで、計算機403Aは、遅延時間制御部403B、パルサー403C、レシーバ403D、それにデータ収録部403Eを制御して、必要な動作が得られるようにする。実施例3では、アレイ探触子3104が浸漬されている媒体である液体(水)の縦波音速に基づくディレイパターンと、順次入射位置を切り替えていくために使用する送受信素子群のパターンを、記憶部403Fに記憶する。
【0082】
そこで、まず、遅延時間制御部403Bは、パルサー403Cから出力される駆動信号のタイミングを制御すると共に、レシーバ403Dによる受信信号の入力タイミングを制御する。さらに、送信、受信に使用する素子群のパターンを順次切り替えることで、フェーズドアレイ方式によるアレイ探触子3104の動作が得られるようにし、順次送信位置を切り替えることが可能となる。そして、データ収録部403Eは、レシーバ403Dから供給される受信信号を処理し、表示部104Aに供給する働きをする。
【0083】
図18にアレイ探触子の基本的な構成を示す。アレイ探触子3104は、基本的には複数個の超音波発生素子1701で構成される。なお、上述の記憶部403F使用する送受信素子は、例えば、アレイ探触子3104を構成する超音波発生素子1701に1番からN番まで(Nとして、例えば128)通し番号を与えて、最初は1番から32番、第2ステップは2番から33番、第3ステップは3番から34番などとして切り替えることで、順次超音波が発信する点を移動させることができ、これにより超音波が鋼材に入射する入射位置(入射点)を移動することができる。
【0084】
超音波による音響画像の構成方法は、実施例1と同じである。ただし、図19に示すように、X方向にアレイ探触子3104を移動させ、Y方向に超音波センサ104をY方向に、アレイ探触子の素子の切り替えによる電子走査により超音波の入射位置を移動させることで、XY2次元の音響画像を得ることができる。
【0085】
以上、実施例3によれば、超音波センサとしてアレイ探触子を用いることで、超音波の入射位置を確認することができる。さらに、超音波探傷による被検体の断面図の結果を瞬時に画像化できるため、音響画像と光学画像を迅速に比較することができ、超音波の入射位置の特定が容易になるとともに、超音波センサを走査する移動機構による機械走査の負担が軽減される効果が得られる。
【実施例4】
【0086】
本発明の実施例4に用いる超音波探傷システムの構成を図20に示す。超音波送受信手段である超音波センサ4104に、光学的マーカを照射する光学的照射手段としてレーザマーカ106が搭載されている。なお、光学的照射手段としては、レーザマーカの他、可視光の電球やLED、液晶プロジェクタ等、光学的なパターンを投影できる手段であればよい。
【0087】
また、光学的マーカの被検体への照射位置106Sと被検体100を、撮像手段として例えば水中カメラ108で撮像する。108Cはカメラの視野を表し、被検体100上の超音波が入射する領域、または、反射波が発生する領域を撮影する。
【0088】
ここで、水中カメラ108は、超音波センサ104に搭載され、レンズ108Dを備え、レンズの倍率による画像を出力する出力手段を備えているものとする。超音波センサ104は、超音波送受信装置104Bに接続され、音響画像表示手段104Aにおいて探傷結果情報として表示される。また、水中カメラ108の画像信号は、カメラコントローラ108Bに接続され、光学画像表示手段108Aにおいて、撮影像として表示される。
【0089】
音響画像と光学画像は、両者を見比べることを目的に、一方の画像を選択して表示することができる。また、音響画像と光学画像を画像合成手段1901にて画像を合成し、音響画像表示手段または光学画像表示手段に合成画像を表示することができる。
【0090】
水中カメラ108の断面図を図21に示す。可変倍率をもつカメラには、例えば、レンズ2001及びレンズ2002のように複数のレンズが内蔵されており、レンズ2001の位置を移動させることで倍率を変更することができる。したがって、水中カメラ108は、レンズの倍率によって拡大縮小された画像を出力する出力手段として、レンズ2001を前後方向2003に駆動する機構を備えている。図21のように、倍率の異なる画像を出力することで、複数の視野による2次元で記録される光学画像内のデータから、撮像物の3次元座標に変換することができる。
【0091】
一方、実施例1及び3に記載したように、超音波センサからXYZの3次元データで表される音響画像を得ることができる。
【0092】
したがって、実施例4により超音波の入射位置を特定することで、音響画像と光学画像の位置を重ねて表示することができる。
【0093】
図22に処理の流れを示す。最初に、複数視野によるカメラからの光学画像(2次元)を撮像する(S2101)。
【0094】
次に、2次元のカメラ画像を3次元データ化する(S2102)。
【0095】
さらに、3次元データとして生成される音響画像に対して、図22に示すように、超音波センサと被検体の距離の測定結果に基づき、3次元内に仮想的な音響画像表示面を設定する(S2103)。
【0096】
その後、超音波による音響画像を手順1から手順2への座標変換の逆変換により光学画像の2次元面に変換する(S2104)。
【0097】
最後に、図23に示すように、2次元化した音響画像を、2次元画像として得られる光学画像を重ねて表示する。
【0098】
以上、実施例4によれば、超音波の入射位置を特定できる効果が得られる。さらに、超音波センサの入射位置を含む被検体を撮像しながら探傷を実施することにより、超音波探傷結果から欠陥の疑いがある場合に、その位置での被検体表面情報を含む探傷状況を確認できる。あるいは、撮像による目視検査により欠陥の疑いが得られた場合に、その位置での超音波探傷結果を確認することができるため、欠陥判定性および寸法測定精度を向上することができる。
【符号の説明】
【0099】
100…被検体
104、2104、2104A、4104…超音波センサ
104A…音響画像表示手段
104B…超音波送受信装置
106、106A、106B…レーザマーカ、
106S…照射位置
107、107A、107B、1501A、1501B…レーザマーカの光線
108…水中カメラ
108A…光学画像表示手段
108B…カメラコントローラ
108D、2001、2002…レンズ
1901…画像合成手段
3104…アレイ探触子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体または気体の媒体を介して被検体に超音波を伝搬させる超音波探傷法に用いる超音波探傷システムにおいて、
超音波を送受信する超音波送受信手段と、探傷結果情報を表示する音響画像表示手段と、
前記超音波送受信手段に搭載され、前記被検体に対して光学的マーカを照射する光学的照射手段と、前記被検体と前記光学的マーカの照射位置とを撮影する撮像手段と、前記撮像手段による画像を表示する光学画像表示手段とを備えたことを特徴とする超音波探傷システム。
【請求項2】
請求項1に記載された超音波探傷システムにおいて、前記撮像手段が前記超音波送受信手段に搭載されていることを特徴とする超音波探傷システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載された超音波探傷システムにおいて、前記超音波送受信手段に搭載された前記光学的照射手段は複数からなり、該光学的照射手段から照射される複数の光学的マーカが、前記超音波センサの超音波発射面から所定距離離れた位置で交わることを特徴とする超音波探傷システム。
【請求項4】
請求項3に記載された超音波探傷システムにおいて、前記複数の光学的マーカの交わる位置と、前記超音波送受信手段と前記被検体までの距離を一致させることを特徴とする超音波探傷システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載された超音波探傷システムにおいて、前記複数の超音波送受信手段に、複数の振動子から発生する超音波の遅延時間を制御して探傷を行うアレイ探触子を設けたことを特徴とする超音波探傷システム。
【請求項6】
請求項5に記載された超音波探傷システムにおいて、前記複数の超音波送受信手段の送信素子または受信素子の少なくとも一方に前記アレイ探触子を設けたことを特徴とする超音波探傷システム。
【請求項7】
請求項1に記載された超音波探傷システムにおいて、前記撮像装置がレンズを有するカメラであり、前記レンズの倍率により拡大縮小された画像を出力する出力手段を有することを特徴とする超音波探傷システム。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載された超音波探傷システムにおいて、前記音響画像と前記光学画像を合成する画像合成手段を備えることを特徴とする超音波探傷システム。
【請求項9】
液体または気体の媒体を介して被検体に超音波を伝搬させる超音波探傷方法において、
超音波を被検体に送信し、被検体表面または内部からの反射波を受信信号として受信し該受信信号による探傷結果を音響画像として表示し、さらに光学的マーカを前記被検体の表面に照射して撮像手段により前記被検体及び前記光学的マーカを撮影し光学画像として表示して、超音波探傷を行うことを特徴とする超音波探傷方法。
【請求項10】
請求項9に記載の超音波探傷方法において、前記撮像手段により被検体表面の光学的検査を実施し、該光学的検査を前記超音波探傷と同時または選択的に実施することを特徴とする超音波探傷方法。
【請求項11】
請求項9または10に記載された超音波探傷方法において、前記超音波送受信手段は複数の光学的照射手段を有し、該光学的照射手段の光軸を互いに傾斜させて光学的マーカが交差するように設置し、前記光学的マーカの被検体表面における形状を点とし、前記複数の光学的マーカを1点に交わる様に構成し、前記光学的マーカを測定することにより前記超音波送受信手段と被検体との距離を特定することを特徴とする超音波探傷方法。
【請求項12】
請求項9または10に記載された超音波探傷方法において、前記超音波送受信手段は複数の光学的照射手段を有し、前記光学的マーカの被検体表面における形状を線とし、前記光学的照射手段を前記光学的マーカが交差するように設置し、前記被検体に照射された前記光学的マーカの線の方向から、前記超音波送受信手段の前記被検体に対する設置角度を特定することを特徴とする超音波探傷方法。
【請求項13】
請求項12に記載された超音波探傷方法において、前記超音波送受信手段に搭載した2個以上の光学的照射手段において、前記光学的マーカは複数の照射パターンを有することを特徴とする超音波探傷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−137464(P2012−137464A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−291697(P2010−291697)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(507250427)日立GEニュークリア・エナジー株式会社 (858)
【Fターム(参考)】