説明

超音波探触子および超音波画像装置

【課題】生体接触部分の上昇の抑制。
【解決手段】ケース10は、操作者により把持される。圧電振動子21は、ケース10内に配置され、電極を有し、超音波を送受信する。背面材24は、圧電振動子21の下面側に配置され、圧電振動子21からの超音波を減衰させる。放熱部材40は、背面材24の側面に接合され、ケース10の下部側に延設され、背面材24の熱が流入される。フレキシブルプリントサーキット30は、電極に接続された配線を有し、圧電振動子21に対して電気信号を送受信する。ケーブル50は、ケース10の下部において保持され、フレキシブルプリントサーキット30に接続されている。ケーブル10は、放熱部材40の熱を放出するために放熱部材40に接続された複数のシールド線53を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、対象物に対し超音波を送受信して、対象物内部を画像化する超音波探触子および超音波画像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波探触子は、対象物内部の画像化等を目的として、前記対象物に向けて超音波を照射し、当該対象物内における音響インピーダンスの異なる界面からの反射波を受信する装置である。超音波探触子が使用される超音波画像装置としては、人体等の生体内部を検査する超音波画像診断装置が知られている。
【0003】
超音波探触子は、操作者に把持されるケース体を有し、その内部には超音波を送受信するための超音波トランスデューサが収納されている。
【0004】
図6は従来のトランスデューサの構成図である。
【0005】
図6に示すように、従来の超音波トランスデューサ100は、操作者の手元側から順に、背面材101、圧電振動子102、音響整合層103、及び音響レンズ104を具備しており、このうち圧電振動子102と音響整合層103は、超音波をスキャンする方向に対して複数の圧電素子105に分割されている。
【0006】
各圧電素子105は、音響整合層103側の面にGND用電極105a、背面材101側の面に信号用電極105bを備え、各信号用電極105bへの電気信号に遅延を与えることで、超音波のスキャンを実行している。
【0007】
すなわち、超音波のスキャンを実行するためには、各圧電素子105の信号用電極105bに対して僅かな遅延時間を与えた電気信号を別々に印加する必要がある。そのため、複数の信号用電極105bと接触する背面材101には、信号用電極105b間の絶縁性を確保することができる絶縁体が使用されている。
【0008】
ところで、圧電振動子102から発生される超音波は、生体側へ放射される以外に、音響レンズ104や背面材101の内部で熱に変換される。そのため、超音波探触子には安全性の確保が義務づけられており、超音波探触子の生体接触部分の温度が規制値以下となるよう送信電圧を低く抑制する必要が生じている。
【0009】
しかしながら、送信電圧を低く抑えると、生体深部におけるS/N比が劣化して、画像診断能力が低下するという問題がある。そこで近年、この問題を解決するために、圧電振動子からの熱を背面材経由でケースやケーブルに放熱する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2004−56504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、背面材の材料である絶縁体は、熱伝導率が0.2[W/mK]〜1[W/mK]程度であり、放熱効率があまり良くない。そのため、圧電振動子で発生した熱が背面材中を効率良く移送されず、超音波探触子の生体接触部分の温度が上昇するという問題がある。
【0012】
実施形態は、前記事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、生体接触部分の温度の上昇を抑制することができる超音波探触子および超音波画像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本実施形態に係る超音波探触子は、操作者により把持されるケースと、前記ケース内に配置され、電極を有し、超音波を送受信する圧電振動子と、前記圧電振動子の下面側に配置され、前記圧電振動子からの超音波を減衰させる背面材と、前記背面材の側面に接合され、前記ケースの下部側に延設され、前記背面材の熱が流入される放熱部材と、前記電極に接続された配線を有し、前記圧電振動子に対して電気信号を送受信するフレキシブルプリントサーキットと、前記ケースの下部において保持され、前記フレキシブルプリントサーキットに接続されたケーブルであって、前記放熱部材の熱を放出するために前記放熱部材に接続された複数のシールド線を有するケーブルと、を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る超音波診断装置の概略図。
【図2】同形態に係る超音波探触子の構成図。
【図3】同実施形態に係るトランスデューサの斜視図。
【図4】同実施形態に係るケーブルの断面図。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る超音波探触子の構成図。
【図6】従来の超音波トランスデューサの構成図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0016】
図1〜図4を用いて本発明の第1の実施形態について説明する。
【0017】
図1は本発明の第1の実施形態に係る超音波診断装置の概略図である。
【0018】
図1に示すように、本実施形態に係る超音波診断装置(超音波画像装置)は、超音波探触子1と超音波診断装置本体2とから構成され、超音波を利用して人体(対象物)の内部状態を画像化するものである。
【0019】
図2は同実施形態に係る超音波探触子1の構成図である。
【0020】
図2に示すように、超音波探触子1は、操作者により把持されるケース10と、ケース10内に配置され、人体に対して超音波を送受信するトランスデューサ20と、ケース10内に配置され、トランスデューサ20に対して電気信号を送受信するフレキシブルプリントサーキット(以下、「FPC」とする。)30と、ケース10内に配置され、トランスデューサ20の熱を放出させる放熱板(放熱部材)40と、ケース10の基端部に繋がれ、FPC30と超音波診断装置本体2とを接続するケーブル50とを具備している。
【0021】
次に、前記各構成要件について詳細に説明する。なお、以下の説明では、ケース10の先端側を上側、ケース10の基端側を下側とする。
【0022】
[ケース10]
ケース10は、その上端部に開口部11、下端部に挿通孔12を備えている。開口部11からはトランスデューサ20(実際には音響レンズ26)が僅かに突出し、挿通孔12にはケーブル50を保持するためのブッシュ60が嵌め込まれている。
【0023】
[トランスデューサ20]
図3は同実施形態に係るトランスデューサ20の斜視図である。
【0024】
図3に示すように、トランスデューサ20は、圧電振動子21、音響整合層22、ポリイミドフィルム(絶縁部材)23、第1の背面材(背面材)24、第2の背面材(減衰部材)25、及び音響レンズ26を具備している。
【0025】
圧電振動子21は、電気信号を受信して超音波に変換するとともに、超音波を受信して電気信号に変換するものである。この圧電振動子21は、多数の圧電素子211により構成されている。
【0026】
これら圧電素子211は短冊状をしており、ケース10の軸心線と略直角な方向に対して所定間隔で配列されている。圧電素子211の素材としては、2成分系あるいは3成分系の圧電セラミックス等が用いられる。以降、圧電素子211の配列方向をアレイ方向とし、アレイ方向および上下方向と略直角な方向をレンズ方向とする。
【0027】
圧電振動子21の隙間、すなわち圧電素子211と圧電素子211との隙間には、圧電振動子21の機械的強度を確保するための樹脂材(図示しない)が充填されている。樹脂材の素材としては、エポキシ樹脂等が用いられる。
【0028】
各圧電素子211は、上端面にGND用電極(電極)211a、下端面に信号用電極(電極)211bを備え、これら電極211a、211b間に電気信号を印加することで、圧電素子211の軸心線の方向、すなわち上下方向に対して超音波を発生できるようになっている。
【0029】
圧電振動子21のレンズ方向の一側面には、各圧電素子211のGND用電極211aを電気的に共通化するための共通化電極212がアレイ方向の全域に亘って接合されている。前述したFPC30のGND配線31は、この共通化電極212を介して各GND用電極211aに接続され、FPC30の信号配線32は、それぞれ各信号用電極211bに接続されている。
【0030】
音響整合層22は、圧電振動子21と人体との間の音響インピーダンスを整合させるものである。この音響整合層22は、圧電振動子21の上側に配置され、多数の音響整合素子221により構成されている。
【0031】
これら音響整合素子221は短冊状をしており、アレイ方向及びレンズ方向に対して、前記各圧電素子211と等しいピッチ間隔で配列されている。音響整合素子221の上下方向に対する厚さは、圧電振動子21から送信される超音波の波長λの4分の1に設定されている。
【0032】
音響整合層22の隙間、すなわち音響整合素子221と音響整合素子221との隙間には、音響整合層22の機械的強度を確保するための樹脂材(図示しない)が充填されている。樹脂材の素材としては、エポキシ樹脂等が用いられる。
【0033】
なお、本実施形態では、音響整合素子221を1つの素材で構成しているが、材質の異なる2つの素材を用いて、音響インピーダンスが圧電素子211から人体に向かって段階的に変化するように構成してもよい。
【0034】
ポリイミドフィルム23は、圧電素子211相互の絶縁を確保するものである。このポリイミドフィルム23は、圧電振動子21と第1の背面材24との間に介装されており、圧電振動子21や音響整合層22の隙間に対応する部分に溝部231を備えている。
【0035】
なお、ポリイミドフィルム23の熱伝導率は0.2[W/mK]程度であり、またポリイミドフィルム23の音響インピーダンスは、3[Mrayl]〜4[Mrayl]程度である。
【0036】
ポリイミドフィルム23の厚さは、超音波の波長λの10分の1以下、すなわちλ/10以下に設定されている。例えば、音速が2200[m/s]、超音波の周波数が5[MHz]である場合、ポリイミドフィルム23の厚さは44[μm]以下となる。
【0037】
第1の背面材24は、圧電振動子21で発生した超音波のうち下側、すなわち操作者の手元側に伝播してくる超音波を減衰して熱に変換するものである。この第1の背面材24は、ポリイミドフィルム23の下側に配置されている。
【0038】
第1の背面材24の素材としては、高い熱伝導率と導電性を有する、等方性黒鉛、金属、又はカーボンのフィラーあるいはファイバーを含む樹脂混合物等が用いられる。また、第1の背面材24の音響インピーダンスとしては、超音波の収斂が良好な2[Mrayl]〜7[Mrayl]の範囲が好ましい。
【0039】
そこで、本実施形態では、第1の背面材24の素材として、熱伝導率が90[W/mK]、音響インピーダンスが5[Mrayl]である等方性黒鉛を用いている。これにより、トランスデューサ20の熱が第1の背面材24中を効率良く移送されるようになっている。
【0040】
第2の背面材25は、圧電振動子21で発生した超音波のうち、第1の背面材24で減衰し切れなかった超音波を減衰して熱に変換するものである。この第2の背面材25は、第1の背面材24の下側に配置されている。
【0041】
第2の背面材25の素材としては、酸化物フィラーを含む樹脂混合物が用いられる。また、第2の背面材25の音響インピーダンスとしては、第1の背面材24と第2の背面材25の接合面における超音波の反射を防止するために、等方性黒鉛の音響インピーダンスと略等しい5[Mrayl]に設定されている。
【0042】
音響レンズ26は、音響の屈折を利用して超音波ビームを収束させ、超音波の分解能を向上させるものである。この音響レンズ26は、音響整合層22の上側に全ての音響整合素子221を覆うように配置されている。
【0043】
音響レンズ26の素材としては、シリコーンゴム等が用いられる。また、音響レンズ26の音響インピーダンスとしては、人体と音響レンズ26の接触面における超音波の反射を防止するために、人体の音響インピーダンスに近い値に設定されている。
【0044】
[FPC30]
FPC30は、トランスデューサ20のレンズ方向の一側に配置されており、主にGND配線31と信号配線32とによる平面2層構造となっている。これらGND配線31と信号配線32は、FPC30の中途部で分離されており、各々の先端部にて共通化電極212と信号用電極211bに夫々接続されている。
【0045】
[放熱板40]
放熱板40は、第1の背面材24のレンズ方向の両側面に対して螺子(図示しない)等により接合されている。この放熱板40は、第1の背面材24の上下方向の中途部からケース10の下部側に延設されており、ケース10の下端部に最も接近したところで、ケーブル50の端面から突出したのシールド線(後述する)53に接続されている(図2参照)。放熱板40の素材としては、熱伝導率が200[W/mK]程度の銅が用いられる。
【0046】
[ケーブル50]
図4は同実施形態に係るケーブル50の断面図である。
【0047】
図4に示すように、ケーブル50は、前記ブッシュ60によりケース10の下端部に保持されており、主に複数の信号線51と、信号線51の周囲を覆う樹脂材52と、樹脂材52の外周部に環状に配設された多数のシールド線53と、シールド線53の外側を覆う外皮54とから構成されている。
【0048】
シールド線53は、信号線51を外部のノイズから保護するためのものである。このシールド線53は、ケーブル50のケース10側の端面から突出し、放熱板40の下側部に接続されている。シールド線53の素材としては、銅やアルミ等の導電性の高い金属が用いられる。
【0049】
次に、前記構成の超音波探触子1の製造工程について簡単に説明する。
【0050】
まず圧電振動ブロックと音響整合ブロックを用意する。なお、圧電振動ブロックは、ブロック状に形成された圧電材料にメッキまたはスパッタリングで電極を形成し、その後、圧電材料に分極処理を施したものである。
【0051】
圧電振動ブロックと音響整合ブロックを用意したら、圧電振動子ブロックの一方の電極に音響整合ブロックを接合し、これら圧電振動ブロックと音響整合ブロックを所望の厚さ・寸法に加工する。
【0052】
次に、圧電振動子ブロックの電極のうち、音響整合ブロックが接合された電極に対してFPC30の信号配線32を接続する。この状態では、FPC30の信号配線は1枚の薄膜状である。そして、圧電振動子ブロックを挟んで音響整合ブロックの反対側にポリイミドフィルム23、第1の背面材24、及び第2の背面材25を順に接合し、音響整合ブロック側からポリイミドフィルム23の中途部に至るまでダイシング加工を行う。
【0053】
これにより、圧電振動子ブロックは複数の圧電素子211に分割されて圧電振動子21となり、音響整合ブロックは複数の音響整合素子221に分割されて音響整合層22となる。また、ポリイミドフィルム23には複数の溝部231が形成される。さらに、FPC30の信号配線32は、圧電振動子21の圧電素子211ごとに分割される。
【0054】
次に、圧電振動子21のレンズ方向の一側面に共通化電極212を接合し、この共通化電極212を介して各GND用電極211aとFPC30のGND配線31とを接続する。
【0055】
そして、圧電振動子21及び音響整合層22の隙間に樹脂材を充填した後、音響整合層22を挟んで圧電振動子21の反対側に音響レンズ6を接合する。以上で、前記構成のトランスデューサ20が完成する。
【0056】
次に、このトランスデューサ20をケース10内に収納し、第1の背面材24のアレイ方向の両側面に放熱板40を接合する。そして、FPC30とケーブル50を接続するとともに、放熱板40とケーブル50のシールド線53を接続する。以上で、本実施形態に係る超音波探触子1が完成する。
【0057】
次に、前記構成の超音波探触子による作用について説明する。
【0058】
本実施形態では、圧電振動子21の下側に第1の背面材24を配置し、その素材として熱伝導率の高い等方性黒鉛を用いている。そのため、トランスデューサ20の熱が第1の背面材24で滞ることなく放熱板40に流入し、ケーブル50のシールド線53から迅速に放熱されるから、人体と接触する音響レンズ26の温度上昇を抑制することができる。
【0059】
その結果、超音波診断時に使用する送信電圧を高く設定することが可能となるから、生体深部の画像化を行う場合であっても、S/N比の良い高品質の超音波画像を取得することができる。
【0060】
また、圧電振動子21と第1の背面材24の間にポリイミドフィルム23を介装している。そのため、圧電素子211相互の絶縁が確保され、各圧電素子211に対して別々の電気信号を印加することができる。
【0061】
しかも、ポリイミドフィルム23の厚さを超音波の波長λの1/10以下としている。そのため、送受信される超音波に対する音響的な影響が無視できる位に小さくできるから、本実施形態のように圧電振動子21と第1の背面材24との間にポリイミドフィルム23を介装しても、超音波画像の品質を低下させることがない。
【0062】
また、本実施形態では、第1の背面材24の下側に、第1の背面材24よりも高い減衰効果を有する第2の背面材25を配置している。そのため、第1の背面材24の素材が減衰効果の小さな素材であっても、圧電振動子21からの超音波を第2の背面材25で十分に減衰することができる。逆に言えば、本実施形態のように、第1の背面材24の下側に第2の背面材25を配置することで、第1の背面材24の素材選択の幅を広げることが可能となる。
【0063】
また、本実施形態では、第2の背面材25の音響インピーダンスを第1の背面材24の音響インピーダンスと等しい5[Mrayl]としている。そのため、第1の背面材24と第2の背面材25の接合面における超音波の反射を防止することができる。
【0064】
なお、本実施の形態では、ポリイミドフィルム23の厚さをλ/10以下としているが、音響整合層22の厚さ以下、すなわちλ/4以下であれば、トランスデューサ20の熱が音響レンズ26側よりも背面材24、25側に伝わり易くなるから、超音波探触子1の人体と接触する部分の温度上昇を防止するという、本発明の目的を達成することが可能である。
【0065】
また、本実施形態では、超音波を減衰するために、圧電振動子21の下側に2つの背面材、すなわち第1の背面材24と第2の背面材25を配置しているが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0066】
すなわち、第1の背面材24の素材として、熱伝導率が500[W/mK]のカーボンファイバを含む樹脂混合物を用いれば、減衰係数が5[dB/MHz・mm]程度まで上昇するから、第1の背面材24だけで十分に超音波の減衰を行うことができる。
【0067】
なお、カーボンファイバを含む第1の背面材24の音響インピーダンスは、4[Mrayl]程度であり、熱伝導率は10[W/mK]程度である。
【0068】
次に、図5を用いて本発明の第2の実施形態について説明する。なお、ここでは第1の実施形態と同じ構成、作用については、その説明を省略する。
【0069】
図5は本発明の第2の実施形態に係る超音波探触子1Aの構成図である。
【0070】
図5に示すように、本実施形態は、本発明の技術を二次元アレイ型の超音波探触子1Aに適用した例である。二次元アレイ型の超音波探触子1Aは、ケース10内の基端側にトランスデューサ20を駆動するための駆動回路70を備えている。
【0071】
このため、二次元アレイ型の超音波探触子1Aを使用すると、この駆動回路70から熱が発生し、超音波探触子1Aが加熱されることがある。しかしながら、本実施形態のように、圧電振動子21の下側にポリイミドフィルム23を介して第1の背面材24を配置し、この放熱板40を介してケーブル50のシールド線53から熱を排出すれば、圧電素子211間の絶縁を確保したまま、駆動回路70に起因するトランスデューサ20の加熱も抑制することが可能となる。
【0072】
その結果、超音波診断時に使用できる送信電圧を高く設定することができるから、生体深部を画像化する場合であっても、S/N比の良い高品質の超音波画像を取得することができる。
【0073】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0074】
1…超音波探触子、1A…超音波探触子、21…圧電振動子、22…音響整合層、23…ポリイミドフィルム(絶縁部材)、24…第1の背面材(背面材)、25…第2の背面材(減衰部材)、40…放熱板(放熱部材)、211a…GND用電極(電極)、211b…信号用電極(電極)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作者により把持されるケースと、
前記ケース内に配置され、電極を有し、超音波を送受信する圧電振動子と、
前記圧電振動子の下面側に配置され、前記圧電振動子からの超音波を減衰させる背面材と、
前記背面材の側面に接合され、前記ケースの下部側に延設され、前記背面材の熱が流入される放熱部材と、
前記電極に接続された配線を有し、前記圧電振動子に対して電気信号を送受信するフレキシブルプリントサーキットと、
前記ケースの下部において保持され、前記フレキシブルプリントサーキットに接続されたケーブルであって、前記放熱部材の熱を放出するために前記放熱部材に接続された複数のシールド線を有するケーブルと、
を具備する超音波探触子。
【請求項2】
前記複数のシールド線と前記放熱部材とは、前記ケースの下部において接続されている、請求項1記載の超音波探触子。
【請求項3】
前記ケーブルは、複数の信号線と前記複数の信号線の周囲を覆う樹脂と前記樹脂の外周部に環状に配設された前記複数のシールド線とを有する、請求項1記載の超音波探触子。
【請求項4】
前記複数のシールド線の素材は、銅またはアルミが用いられる、請求項1記載の超音波探触子。
【請求項5】
前記背面材は、導電性を有し、
前記背面材と前記圧電振動子との間に介装された絶縁部材、をさらに備える、
請求項1記載の超音波探触子。
【請求項6】
超音波探触子を具備する超音波画像装置において、
前記超音波探触子は、
操作者により把持されるケースと、
前記ケース内に配置され、電極を有し、超音波を送受信する圧電振動子と、
前記圧電振動子の下面側に配置され、前記圧電振動子からの超音波を減衰させる背面材と、
前記背面材の側面に接合され、前記ケースの下部側に延設され、前記背面材の熱が流入される放熱部材と、
前記電極に接続された配線を有し、前記圧電振動子に対して電気信号を送受信するフレキシブルプリントサーキットと、
前記ケースの下部において保持され、前記フレキシブルプリントサーキットに接続されたケーブルであって、前記放熱部材の熱を放出するために前記放熱部材に接続された複数のシールド線を有するケーブルと、
を有することを特徴とする超音波画像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−229976(P2011−229976A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172735(P2011−172735)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【分割の表示】特願2005−347174(P2005−347174)の分割
【原出願日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】