超音波映像化方法及び超音波映像化装置
【課題】超音波振動子アレイ列全体の面積が大きく焦点距離が短い集束型超音波プローブ及び開口合成の設定を用いた探傷において内部欠陥の検出分解能を向上させる。
【解決手段】アレイ型超音波プローブから超音波を被検体に向けて送信し、被検体の内部欠陥からの反射波を受信し、プローブの各振動子で受信した信号に開口合成処理を行ない、各設定焦点において、開口合成波形に基づいて内部欠陥までの伝搬時間を測定し、測定した伝搬時間に対応する等伝搬時間面の位置に該当する欠陥候補の位置を抽出し、前記位置毎に、走査を行った間に抽出された回数を算出し、その回数を位置に対応させて表示する。
【解決手段】アレイ型超音波プローブから超音波を被検体に向けて送信し、被検体の内部欠陥からの反射波を受信し、プローブの各振動子で受信した信号に開口合成処理を行ない、各設定焦点において、開口合成波形に基づいて内部欠陥までの伝搬時間を測定し、測定した伝搬時間に対応する等伝搬時間面の位置に該当する欠陥候補の位置を抽出し、前記位置毎に、走査を行った間に抽出された回数を算出し、その回数を位置に対応させて表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波映像化方法及び超音波映像化装置に関し、特に非破壊検査法の一種である超音波探傷法を用いて金属、樹脂などからなる板、管、円柱などの各種の形状の被検体中に存在する内部欠陥の映像化に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から非破壊検査法の一種である超音波探傷法は鋼材などの内部欠陥探傷に広く用いられている。この内部欠陥探傷においては、より詳細な内部欠陥の情報を得るため、超音波映像の高分解能化が求められている。また、超音波探傷の高速化も求められている。超音波映像の高分解能化と超音波探傷の高速化を両立する方法としては、以下のような従来技術がある。
【0003】
(1)アレイ型超音波プローブを用いた開口合成法
高分解能な映像化を目的とした技術として開口合成法がある(例えば特許文献1及び特許文献2参照)。この開口合成法の原理を、図23に示される振動子アレイ120を被検体110の表面に接触させて欠陥映像化を行う場合を例に挙げて説明する。振動子アレイ120の各々の振動子から超音波を送信して欠陥エコーを検出し、超音波の送信からエコー受信までの時間から欠陥エコーの被検体110中でのビーム路程を測定する。個々の振動子120p(p=1,2,・・・)から送信され受信される超音波は空間的に拡がりをもっているので、振動子120pで検出したエコーのビーム路程がWp(p=1,2,・・・)であるとすると、半径Wpの中空の球Sp(p=1,2,・・・)のうち、振動子120pが送受信する超音波の指向角範囲のどこかに反射源が存在する。全ての振動子を用いてエコーを検出し、中空の球Spの交点を求めると、この交点が欠陥像となる。図23の例では、振動子アレイ120中A、B、C、D、Eが検出したエコーのビーム路程から欠陥像を合成する様子を示している。
【0004】
アレイ型超音波プローブを用いた開口合成法では、アレイ振動子の配置、形状に対応した一定の領域で欠陥像の合成が可能であり、超音波プローブの機械的な走査が不要であり、高速に超音波探傷を行うことができる。そして、ある深さ位置に焦点を設定して開口合成処理を行えば、集束ビームと同等の探傷が可能である。
【0005】
(2)集束ビームを用いた欠陥画像化処理方法の適用
また、集束ビームと組み合わせて欠陥画像化処理を行う方法がある(例えば特許文献3参照)。この方法は、図23に示されるように、被検体の再構成像を同じ大きさの微小要素に分け,各測定点Pi,jごとに計測したビーム路程Wi,jから欠陥エコー源となりうる微小要素PFk,l,mを選び出すことを特徴とする方法であり、この方法により集束ビームを用いた探傷において分解能を向上させることができる。ある位置に焦点を設定して前記(1)の開口合成を行うことにより得られた波形を、集束ビームを用いた探傷で得られた波形と同等とみなせば、アレイ型超音波プローブを用いた開口合成法と組み合わせることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−62191号公報
【特許文献2】特開2000−65808号公報
【特許文献3】特開2004−150875号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】(社)日本非破壊検査協会編集、「超音波探傷試験II」、 (社)日本非破壊検査協会(2000)、p.151〜152
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、前記(1)と(2)とを組み合わせた場合でも、高集束な線集束型リニアアレイ型超音波プローブを用いる場合などでは分解能が向上しないという問題点があった。以下にその理由を示す。
【0009】
前記(2)の方法では、超音波の送受信は超音波振動子の中心の一点でなされていると仮定し、超音波プローブから微小要素までの往復伝搬時間を、図26に示されるように、送受信点から微小要素までの唯一の経路上を超音波が伝搬するものとして算出している。しかし、実際には超音波の送受信は複数の超音波振動子のアレイ列で行われている。このため、特に開口合成処理に用いる超音波振動子のアレイ列の面積が大きく焦点距離が短い開口合成の設定を用いる場合には、一点での送受信という仮定から大きく外れるため、上記の特許文献3に記載されているような技術で内部欠陥映像化の分解能を上げることは困難であった。
【0010】
本発明は、このような実情に鑑みなされたものであり、開口合成処理に用いる超音波振動子アレイ列の面積が大きく焦点距離が短い開口合成の設定を用いた探傷において内部欠陥の映像化の分解能の向上を可能にした内部欠陥の超音波映像化方法及び内部欠陥の超音波映像化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る内部欠陥の超音波映像化方法は、
アレイ型超音波プローブと被検体との間に水を介在させ、前記アレイ型超音波プローブの受信信号に開口合成処理を行って形成される焦点を、前記被検体に対して相対的に走査しつつ、超音波を前記被検体に向けて送信し、前記被検体の内部欠陥からの反射波を受信する送受信工程と、
前記アレイ型超音波プローブの各振動子で受信された信号に開口合成処理を行う信号処理工程と、
前記開口合成波形に基づいて内部欠陥までの伝搬時間を測定する伝播時間測定工程と、
該測定した伝搬時間に対応する等伝搬時間面の位置に該当する欠陥候補の位置を抽出する欠陥位置抽出工程と、
前記位置毎に、前記走査を行った間に抽出された回数を算出して、該算出した回数を位置に対応させて表示を行う表示工程とを備えた内部欠陥の超音波映像方法であって、
前記等伝搬時間面は、
伝搬時間を開口合成波形に基づいて算出することとして、アレイ型超音波プローブの各振動子の受信信号に行われる開口合成処理の焦点と被検体内部の所定位置に設定された欠陥(以下、設定内部欠陥という)との相対位置に対する伝搬時間の変化量を求め、該伝搬時間の変化量から、伝搬時間が等しくなる位置を算出し、それらの位置を結ぶことによって形成されたものである。
【0012】
本発明に係る内部欠陥の超音波映像化装置は、
アレイ型超音波プローブと被検体との間に水を介在させ、前記アレイ型超音波プローブの受信信号に開口合成処理を行って形成される焦点を、前記被検体に対して相対的に走査しつつ、超音波を前記被検体に向けて送信し、前記被検体の内部欠陥からの反射波を受信する送受信工程と、
前記アレイ型超音波プローブの各振動子で受信された信号に開口合成処理を行う信号処理工程と、
得られた開口合成波形を設定された遅延時間により遅延させたのち加算して信号を生成する信号生成工程と、
該生成された信号の表示を行う表示工程と
を備えた内部欠陥の超音波映像方法であって、
前記遅延時間は、
伝搬時間を開口合成波形に基づいて算出することとして、アレイ型超音波プローブの各振動子の受信信号に行われる開口合成処理の焦点と設定内部欠陥との相対位置に対する伝搬時間の変化量を求め、該伝搬時間の変化量から設定される。
【0013】
本発明の係る内部欠陥の超音波映像化方法は、
前記伝搬時間の変化量は、前記各振動子を複数領域に分割し、該分割された各領域が受信する設定内部欠陥からの反射波の波形を求め、該波形を前記各振動子毎に合成して、各振動子の信号とすることにより算出される。
【0014】
本発明に係る内部欠陥の超音波映像化方法は、
前記各振動子の複数領域の分割の際に、
設定内部欠陥から複数の方向への超音波の伝搬経路を計算し、
その経路と超音波プローブとの交点を算出し、
得られた交点を用いて、超音波プローブ表面を得られた交点を代表点とする複数の面積に分割し、分割した超音波プローブの各面積と分割したそれぞれの面積に対応する設定内部欠陥との間の超音波の伝搬を、超音波の伝搬経路と超音波プローブとの交点算出時に辿った伝搬経路を経て伝搬するものとして計算する。
【0015】
本発明に係る内部欠陥の超音波映像化方法は、
前記各振動子の分割された各領域が受信する設定内部欠陥からの反射波の波形を求める際に、
設定内部欠陥から複数の方向への超音波の伝搬経路を計算し、
その経路と超音波プローブとの交点を算出し、
得られた交点と分割したそれぞれの面積に対応する設定内部欠陥との間の超音波の伝搬を、超音波の伝搬経路と超音波プローブとの交点算出時に辿った伝搬経路を経て伝搬するものとして計算し、
各振動子の分割された各領域と設定内部欠陥との間の超音波の伝搬波形を、各領域近傍の交点と設定内部欠陥との間を伝搬する超音波の伝搬波形から内挿又は外挿して計算する。
【0016】
本発明に係る内部欠陥の超音波映像化装置は、
アレイ型超音波プローブと被検体との間に水を介在させ、前記アレイ型超音波プローブの受信信号に開口合成処理を行って形成される焦点を、前記被検体に対して相対的に走査しつつ、超音波を前記被検体に向けて送信し、前記被検体の内部欠陥からの反射波を受信する送受信手段と、
前記アレイ型超音波プローブの各振動子で受信された信号に開口合成処理を行う信号処理手段と、
得られた開口合成波形に基づいて内部欠陥までの伝搬時間を測定する伝播時間測定手段と、
該測定した伝搬時間に対応する等伝搬時間面データを用いて欠陥候補の位置を抽出する欠陥位置抽出手段と、
前記位置毎に、前記走査を行った間に抽出された回数を算出して、表示用画像メモリの前記位置に対応するアドレスに、該算出した回数を書き込んで、画像表示を行う表示手段とを備えた内部欠陥の超音波映像装置であって、
前記等伝搬時間面データは、
伝搬時間を開口合成波形に基づいて算出することとして、アレイ型超音波プローブの各振動子の受信信号に行われる開口合成処理の焦点と設定内部欠陥との相対位置に対する伝搬時間の変化量を求め、該伝搬時間の変化量から、伝搬時間が等しくなる位置を算出し、それらの位置を結ぶことによって形成されたデータである。
【0017】
本発明に係る内部欠陥の超音波映像化装置は、
アレイ型超音波プローブと被検体との間に水を介在させ、前記アレイ型超音波プローブの受信信号に開口合成処理を行って形成される焦点を、前記被検体に対して相対的に走査しつつ、超音波を前記被検体に向けて送信し、前記被検体の内部欠陥からの反射波を受信する送受信手段と、
前記アレイ型超音波プローブの各振動子で受信された信号に開口合成処理を行う信号処理手段と、
得られた開口合成波形を設定された遅延時間データにより遅延させたのち加算して信号を生成する信号生成手段と、
該生成された信号データを画像メモリに出力して表示する表示手段と
を備えた内部欠陥の超音波映像方法であって、
前記遅延時間データは、
伝搬時間を開口合成波形に基づいて算出することとして、アレイ型超音波プローブの各振動子の受信信号に行われる開口合成処理の焦点と設定内部欠陥との相対位置に対する伝搬時間の変化量から求め、該伝搬時間の変化量から設定される。
【発明の効果】
【0018】
本発明においては、上記のように、前記アレイ型超音波プローブと被検体内部の所定位置に設定された欠陥(設定内部欠陥)との間を伝搬する超音波の伝搬時間を、前記アレイ型超音波プローブの各振動子の送受信面の全面を複数領域に分割し、該分割された各領域と設定内部欠陥との間を送受信される超音波の波形を求め、該波形を前記アレイ型超音波プローブの各振動子の全面について合成し、合成された各振動子の信号を開口合成した信号波形から算出するようにして、前記アレイ型超音波プローブが開口合成又は集束によって形成する焦点と設定内部欠陥との相対位置に対する伝搬時間の変化量を求め、その伝搬時間の変化量に基づいて等伝搬時間面又は遅延時間群のデータを求め、そして、そのデータを利用して欠陥画像を生成するようにしており、このため、超音波振動子アレイ列全体の面積が大きく焦点距離が短いプローブ及び開口合成の設定を用いた探傷において、信号処理により映像化の分解能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態1に係る超音波による内部欠陥の映像化装置の構成図である。
【図2】本発明の等伝搬時間面の説明図である。
【図3】超音波伝搬解析により超音波伝搬時間を得るための処理方法を示したフローチャートである。
【図4】欠陥位置での超音波波形を取得するための処理方法を示したフローチャートである。
【図5】アレイ型超音波プローブで受信し、開口合成処理を行って出力波形を取得するための処理方法を示したフローチャートである。
【図6】伝搬時間を得る方法の手順を示した説明図である。
【図7】等伝搬時間面を用意する際の処理方法を示したフローチャートである。
【図8】伝搬時間の変化量と等伝搬時間面との関係を示した説明図である。
【図9】等伝搬時間面のデータの例である。
【図10】欠陥像を合成する際の処理を示したフローチャートである。
【図11】水伝搬時間と被検査体伝搬時間の説明図である。
【図12】1つの等伝搬時間面を用いて異なる伝搬時間での等伝搬時間面を描く方法の説明図である。
【図13】映像化処理の説明図である。
【図14】本発明の実施例の効果を従来方法の結果とを対比して示した図である。
【図15】本発明の実施形態2において、伝搬時間変化量のプロファイルから遅延時間を構成して波形再合成を行う方法の説明図である。
【図16】本発明の実施形態3において超音波伝搬時間を得る方法のフローチャートである。
【図17】アレイプローブ上の点を得る方法の説明図である。
【図18】プローブ設定点から微小面積を得る方法の説明図である。
【図19】欠陥位置での超音波波形取得のフローチャートである。
【図20】アレイプローブで受信し、開口合成処理を行った出力波形所得のフローチャートである。
【図21】本発明の実施形態4において超音波伝搬時間を得る方法のフローチャートである。
【図22】プローブ設定点の伝搬時間、減衰から微小面積代表点の伝搬時間、減衰を得る方法のフローチャートである。
【図23】従来の開口合成方法の原理説明図である。
【図24】線集束型リニアアレイ型超音波プローブを示した図である。
【図25】従来技術(特許文献3)における欠陥像合成方法の説明図である。
【図26】従来技術における超音波プローブと微小要素の経路を示す説明図である。
【図27】伝搬経路決定方法の比較(従来例と実施の形態3)を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、アレイ型超音波プローブでは超音波の送受信が複数の振動子のアレイ列でなされている点に着目し、アレイ型超音波プローブが開口合成又は集束によって形成する焦点の位置と内部欠陥の位置によって、内部欠陥からの反射波の伝搬時間がどのように変わるかを予め解析しておいて、その解析結果を用いた信号処理を行うことにより、超音波振動子アレイ列全体の面積が大きく焦点距離が短いプローブ及び開口合成の設定を用いた探傷の分解能を向上させることが可能であるという知見に基づくものである。その具体例を実施形態1〜実施形態4としてそれぞれ説明する。
【0021】
実施形態1.
図1は本発明の実施形態1に係る超音波映像化装置の構成を示すブロック図である。
図1において、1は検査対象である被検体を示す。この例では被検体1は静止被検体であり、媒体は水を用いており、液浸法を用いて内部欠陥のイメージングを行う。10は超音波を送受信するアレイ型超音波プローブであり、送信回路11からの一定周期の電気パルスが駆動素子選択回路12を通り各振動子に送信される電気信号により超音波ビームを被検体1に向け送信するとともに、被検体1の表面及び内部からの反射波(エコー)を受信する。受信された信号は、受信回路13及びアレイ信号処理回路14により、開口合成処理が行われ、また、後の信号処理に都合のよい適正レベルに増幅される。アレイ型超音波プローブ10は、適当な走査手段によって被検体1上で2次元走査(x−y走査)又は1次元走査(y走査)され、その位置はx方向位置検出手段21及びy方向位置検出手段22によってそれぞれ検出され、出力波形データ部15に送られる。
【0022】
出力波形データ部15は、アレイ信号処理回路14、x方向位置検出手段21及びy方向位置検出手段22の出力に基づいてこのときのアレイ型超音波プローブ10が開口合成によって形成する焦点Pi,j(i:x方向の位置、j:y方向の位置)に対応した出力波形データを検出し、その出力は欠陥像合成処理部16に送られる。欠陥像合成処理部16は、送信時刻と欠陥エコー52の受信時刻の差、すなわち超音波の伝搬時間を計測する。計測された各伝搬時間は、各位置Pi,jと対応付けて記録される。また、等伝搬時間面データ部17は記憶装置であり、例えば超音波伝搬解析によって予め求めておいた等伝搬時間面のデータを保存しておくものとする。この等伝搬時間面とは、図2に示されるように、開口合成によって得られる、その点にある微小欠陥までの往復の伝搬時間が等しくなるような点を結んで作られた面である。この等伝搬時間面は、アレイ型超音波プローブ10の焦点に対する欠陥の深さによって変化するため、欠陥の深さ毎の複数の等伝搬時間面のデータを用意する。なお、上記の出力波形データ部15、欠陥像合成処理部16及び等伝搬時間面データ部17は、欠陥像再構成信号処理部20を構成している。
【0023】
本実施形態1では、欠陥像合成処理に先立ち超音波伝搬解析による等伝搬時間面の作成を行う。なお、本発明はこれに限るものではなく、等伝搬時間面の作成は欠陥像合成中に行ってもよい。
図2に示されるような等伝搬時間面の作成は、超音波伝搬解析による伝搬時間Wの算出により行うことができる。これを図3、図4、図5のフローチャート及び図6の説明図に基づいて説明する。
【0024】
図3は、超音波伝搬解析により超音波伝搬時間を得る方法全体のフローチャートであり、図4は、図3の処理S3(欠陥位置での超音波波形取得)の詳細を示すフローチャートであり、図5は、図3の処理S4(アレイプローブで受信し、開口合成処理を行った超音波波形取得)の詳細を示すフローチャートであり、図6は、伝搬時間を得る方法の手順を示した説明図である。ここで、図6ではリニアアレイプローブにおける2次元上の解析を示している。但し、本発明はこれに限るものではなく、アレイプローブの形状はリニアでなくてもよいし、解析は3次元上で行ってもよい。
【0025】
(S1)振動子から送信される超音波波形を設定する。
(S2)超音波プローブの各振動子から、予め設定された微小欠陥(本発明の設定内部欠陥に相当する)までの経路を求める。図6の上段では、2つの振動子についてその経路を示している。
【0026】
(S3)欠陥位置での超音波波形を取得する。
(S3)の詳細な処理としては、図4のフローチャートに示されるように次の処理を行う。
(S3−1)出力用超音波波形データの初期化。
(S3−2)計算する振動子12を決定。
(S3−3)計算している振動子による微小欠陥位置での超音波波形を計算する。このとき振動子によって送信のタイミングが違う場合は、図6のように振動子に対応した時間に送信されるよう設定する。また、経路上を伝搬するときの伝搬時間と減衰を考慮する。(図6参照)
(S3−4)得られた超音波波形を出力用超音波波形データに足し合わせる。
(S3−5)送信に使用している全ての振動子に対して計算を行うまで、(S3−2)から(S3−4)までを繰り返す。
(S3−6)出力用超音波波形データを欠陥位置での超音波波形として出力。
このような図4の処理の後、図3の処理(S4)に移行する。
【0027】
(S4)アレイプローブで受信し、開口合成処理を行った出力波形を取得する。
(S4)の詳細としては、図5のフローチャートに示されるように次の処理を行う。
(S4−1)欠陥位置での超音波波形を微小欠陥位置から出射。
(S4−2)受信に使用する全振動子の受信波形データを初期化。
(S4−3)計算する振動子を決定。
(S4−4)計算している振動子で受信される超音波波形を計算(図6参照)。
(S4−5)受信に用いる全ての振動子に対して計算を行うまで、(S4−3)から(S4−4)までを繰り返す。
(S4−6)集束ビーム処理後の出力波形データを初期化。
(S4−7)全振動子の受信波形データに、実際の集束ビーム処理に即した遅延処理を行う(図6参照)。
(S4−8)遅延処理を行った全振動子の受信波形データをそれぞれ出力波形データに足し合わせる(図6参照)。
このような図5の処理の後、図3の処理(S5)に移行する。
【0028】
(S5)上記の(S4)で得られた出力波形から到達時刻を読み取る。このとき、時刻を読み取る方法は、閾値を設定して立ち上がり時刻を取得する、閾値を設定して立下り時刻を取得する、波形がピーク値となる時刻を取得するなどがあり、対応に応じて適切な方法を使用する。
(S6)プローブからの出射時刻と到達時刻との差から伝搬時間を求める。このとき、時刻を読み取る方法は、閾値を設定して立ち上がり時刻を取得する、同様に閾値を取得して立ち下り時刻を取得する、波形がピーク値となる時刻を取得するなどがあり、この中から適切な方法を選ぶ。
【0029】
次に、前記の方法を用いて等伝搬時間面のデータを準備する方法を説明する。
図7はその方法を示したフローチャートである。この手順を以下に示す。
(S21)水距離(図6の上段参照)を設定する。
(S22)被検体距離(図6の上段参照)を設定する。
(S23)開口合成焦点深さ(例えば、被検体内での深さ位置、図6の上段参照)を設定する。
(S24)被検体と開口合成焦点とのずれ(深さ方向に直交する面内)を設定する。
(S25)開口合成処理した波形から伝搬時間を計算する(図3、図4及び図5のフローチャート参照)。
(S26)欠陥信号を受信し得る範囲で開口合成焦点との深さ方向に直交する面内のずれを変化させ、等伝搬時間面を作成するのに十分なデータが得られるまで、上記の処理(S24)(S25)の操作を繰り返す。
(S27)上記の処理(S24)(S25)(S26)で得られた被検体と開口合成焦点との深さ方向に直交する面内のずれに対する伝搬時間の変化量の関係から、超音波の伝搬速度を用いて伝搬時間が等しくなる位置を求めて、それらの位置を結んで、等伝搬時間面のデータを作成する。等伝搬時間面のデータは、図8に示されるように、結果として伝搬時間の増減を打ち消すように微小欠陥の深さを調整することにより得られることになる。このとき、本実施形態1においては、伝搬時間及び等伝搬時間面は開口合成焦点軸とのずれが0のときの値との差として求めている。
(S28)必要となり得る(例えば、測定対象において想定し得る)全ての水距離、被検体距離及び開口合成焦点深さに対応する等伝搬時間面が揃うまで上記の(S21)から(S27)までの操作を繰り返す。
【0030】
上記の方法により、必要となり得る全ての水距離、被検体距離及び開口合成焦点深さにおける等伝搬時間面が準備できる。但し本発明における等伝搬時間面の作成方法は前記の方法に限るものではなく、実測定によるデータや超音波伝搬シミュレーションを利用しても良い。また、伝搬時間の計算方法は図3、図4、図5及び図6で示された方法に限るものではない。
また、各振動子の面積が、被検体に対して十分に大きい場合には、さらに振動子を複数の微小領域に分割し、各微小領域の信号を各振動子単位で加算することで処理すれば良い。
また、アレイ列方向と直交方向(図7の紙面奥行方向)に面積が大きい場合にも、その直交方向に微小領域に分割して、行えば良い。(例えば図24のようなプローブで、Y方向に対して複数に分割する。)
また、振動子が1次元方向にのみ配列された例で説明したが、2次元に配列されたアレイ型プローブでも、2次元に処理を行えば適用可能である。
【0031】
図9は、上記のようにして求められる等伝搬時間面のデータの例であり、これは図1の等伝搬時間面データ部17に格納されて、欠陥像合成処理部16において欠陥像を合成する際に用いられる。
【0032】
次に、図1の超音波映像化装置の動作を説明する。
図10は、図1の超音波映像化装置において欠陥像を合成する際の処理を示したフローチャートである。
(S31)アレイ型超音波プローブ10、駆動素子選択回路及びアレイ信号処理回路を操作して開口合成によって形成する焦点を走査しながら探傷を行い、出力波形データ部15は、駆動素子選択回路12、受信回路13、アレイ信号処理回路14、x方向位置検出手段21及びy方向位置検出手段22の出力に基づいて、各位置Pi,jに対応した出力波形データを検出する。
(S32)アレイ信号処理回路14又は欠陥像合成処理部16は、出力波形データの中で欠陥エコーの最も大きいPi,jでの反射波形から、図11に示されるように、水伝搬時間と被検体伝搬時間を検出し、それらの伝搬時間から水距離・被検体距離を取得する。
(S33)欠陥像合成処理部16は、等伝搬時間面データ部17に格納されて用意してある等伝搬時間面のデータ(図9参照)のなかで水距離・被検体距離と開口合成焦点深さの設定値が上記の(S32)で得られた水距離・被検体距離、開口合成焦点深さと近いものを選択する。本実施形態1においては、図12に示されるように、ここで選んだ1つの等伝搬時間面形状のみを用いて以後の処理を行う。なお、図12においては、1つの等伝搬時間面を用いて異なる伝搬時間での等伝搬時間面を描く方法を示したものであり、伝搬時間T2の等伝搬時間面に対して、伝搬時間が異なっている場合(T1、T3)においても、伝搬時間T2の等伝搬時間面と同じ形状の等伝搬時間面を利用することができる(この場合には、1個の等伝搬時間面のデータがあれば足りることになる)。
【0033】
(S34)欠陥像合成処理部16は、上記の(S33)で選択した等伝搬時間面のデータを用いて映像化処理を行う。本実施形態1における映像化処理方法を図13に示す。ここで、図13においては簡単のため2次元で記述しているが、本実施形態1においては3次元的に処理を行っている。但し、本発明はこれに限定されるものではなく2次元で処理を行ってもよい。本実施形態1における映像化処理方法の手順を以下に示す。
(a)各焦点位置Pi,jのなかで欠陥エコーが検出できている焦点位置Pi,jについて、図11のように伝搬時間を検出する。伝搬時間の検出は、図1におけるアレイ信号処理回路14で行っても欠陥像合成処理部16で行ってもよく、本実施形態においてはアレイ信号処理回路14で行っている。
(b)被検体1中で欠陥が存在し得る領域を微小体積要素にわけ、それぞれの微小体積要素に3次元のアドレスPfk,l,m(k:x方向の位置,l:y方向の位置,m:Z方向の位置)をつける。
(c)各位置Pi,jでの伝搬時間から、欠陥がプローブ中心軸上にあったと仮定したときの欠陥位置を算出し、その欠陥位置に対応するPfk,l,mを図13のように等伝搬時間面の中心として設定する。
(d)上記の(c)で設定された等伝搬時間面の中心から等伝搬時間面(図12参照)を形成し、その等伝搬時間面の一部が存在するような各微小領域Pfk,l,mに対し、Pfk,l,mに設けたカウンタCk,l,mにカウント1を加算する。
(e)上記の(c)、(d)の操作を、欠陥エコーが検出できている全ての位置Pi,jについて行う。
【0034】
(S35)上記の(S34)で得られたデータを映像化する。本実施形態1における映像化の方法は以下に示すとおりである。
(a)全(k,l)に対し、それぞれ(k,l)を固定したときのCk,l,mの最大値Cmax(k,l)を求める。
(b)Cmax(k,l)が閾値以上になる各(k,l)に対し、別の閾値を決めてカウンタCk,l,mをmの小さい側からチェックしていったときに初めて閾値以上となるmをm(k,l)とする。
(c)上記の(b)で得られたm(k,l)を用い、各(k,l,m(k,l))に対応する各微小領域の隣り合う中心同士を線で結んでポリゴンを構成する。
(d)上記の(c)で得られたポリゴンを3次元表示する。
なお、映像化方法は前記のような3次元ポリゴン表示方法に限るものではなく、その他の3次元表示方法や2次元表示方法であってもよい。
【0035】
ここで、周波数50MHz、アレイピッチ100μm、開口合成に用いるチャンネル数32、線集束ビームの水中焦点距離15mmの超音波線集束型アレイプローブ(図17に示すようなアレイ配列方向と直交方向に振動子面が曲率をもっており、その方向に集束する。)を用い、鋼片サンプルに直径300μmの人工穴を空けて、その穴を図14(a)のように探傷し、前記欠陥像合成方法で映像化した例を図14(b)に示す。なお、図14(b)は各振動子をさらに微小領域に分割して作成した等伝搬時間面を用いている。図14(c)は上記の特許文献3記載の方法で映像化処理を行い、前記欠陥像合成法(S35)の方法で3次元表示した図である。図14(c)では人工穴の映像がz方向に平らになっているのに対して、図14(b)では人工穴の曲面が再現されていて、形状の分解能が向上していることがわかる。
【0036】
実施形態2.
本実施形態2は、図1の欠陥像合成処理部16を上記の演算処理とは異なった処理をするようにした例である。本実施形態2の欠陥像合成処理部16は、上記の等伝搬時間面データに代えて、遅延時間データを用いる。このため、等伝搬時間面データ部17に代えて、遅延時間データが格納される記憶装置(図示せず)が設けられる。この遅延時間データ(遅延時間群)は、伝搬時間の変化量データ(図8の変換を行う前のデータ)から求めるものであり、図15の概念図に示されるように、伝播時間の変化量が長いほど遅延時間を小さく、変化量が短いほど遅延時間を大きくしたデータである。等伝搬時間面データと同様にして、水距離・被検体距離・開口合成焦点深さの各値に対応して求められて記憶装置に記憶されている。
【0037】
欠陥像合成処理部16は、図10に示されるフローチャートのうち、等伝搬時間面選択の処理(S33)とデータ映像化処理(S34)の具体的内容が異なるが、それ以外の処理は同じである。
等伝搬時間面選択の処理(S33)は、遅延時間データの選択処理になる。具体的には、アレイ型超音波プローブで測定した受信波形の水距離・欠陥深さに対応する、遅延時間データ(遅延時間群)を選択する処理を行う。
データ映像化処理(S34)は、その遅延時間データ選択処理で選択した遅延時間データを用いて、図15のように波形再合成処理を行う。
【0038】
具体的には、焦点走査した多数点のうち、隣接した所定数の焦点位置(図15の例では10点)を選択し、その10点で測定した反射波形データに対し、選択した遅延時間データ(遅延時間群)に対応して、各プローブ位置に波形を遅延処理をする。図15に示されるように、外側の焦点の信号には遅延時間を小さくし、内側の焦点には遅延時間を大きくしている。これによって、所定数の焦点位置のうち、その中心に位置する焦点の上下に欠陥があれば、欠陥波形が揃うことにより、欠陥信号が強調されて、欠陥の存在を検知できる。一方、中心に位置する焦点の上下に欠陥が無ければ、例えば、外側の焦点の直上又は直下に欠陥があれば、各焦点で受信した欠陥の信号は、遅延しても位相が揃わないので、相殺され、強調されずに、欠陥信号を検出できない。つまり、中心に位置する焦点の直上又は直下には欠陥が無い、ということになる。
【0039】
このような処理を多数点測定したデータに対して、選択範囲を移動させながら順に所定数のデータを選択して、繰り返すことにより開口合成波形を得る。そして、遅延時間データ(遅延時間群)を選択する際には、複数の深さに対応した遅延時間データ(遅延時間群)をそれぞれ選択して、上記の演算処理を繰り返す。そして、得られた波形を適当な方法(Aスコープ、Bスコープ、Cスコープ、三次元表示)で表示する。
【0040】
実施形態3.
実施形態3は、実施形態1とは超音波伝搬解析の部分が異なった処理をするようにした例である。
実施形態3における超音波伝搬解析は以下のとおりである。
図16は、実施形態3における伝搬解析方法を示すフローチャートである。
(S’1)例えば図17に示されるように、予め設定された微小欠陥から複数の方向に仮想的にビームを出射し、そのビームを延長した先にあるアレイプローブ送受信面との交点を求め、この交点をアレイプローブ送受信面上に設定した点(以下プローブ設定点と記載)とする。この仮想的なビームの延長の際、音響インピーダンスが異なる媒質間の境界(被検体と水の境界など)では超音波の屈折が起きるが、それに応じて仮想的なビームも屈折させる。図17には点1及び点2の2点しか図示されていないが、実際はアレイプローブ送受信面を微小面積に切り分けるため、密にプローブ設定点が得られるようにする。好ましくは、アレイプローブの1つの振動子に少なくとも2つ以上のプローブ設定点を設定できる程度の密度にする。このときプローブ設定点と微小欠陥との間の経路は辿ってきた仮想的なビームの経路に等しくなる。
【0041】
(S’2)例えば図18に示されるように、隣り合うプローブ設定点との中点を用いて微小面積を設定する。
(S’3)上記の実施形態1の(S1)の処理と同様な処理をする。
(S’4)例えば図19に示されるように、送信に用いる全振動子上の全ての微小面積それぞれから出射された超音波波形を計算して足し合わせる。このときの経路としては上記(S’1)の処理で求めたものを用いる。ここで、図19に示される(S’4)の処理の詳細は次のとおりである。
【0042】
(S4’−1)出力用超音波波形データの初期化。
(S4’−2)計算する微小面積(送信に用いる振動子上)の決定。
(S4’−3)計算している微小面積による微小欠陥位置での超音波波形を計算。
(S4’−4)得られた超音波波形を出力用超音波波形データに足し合わせる。
(S4’−5)送信に用いられる全ての振動子上の微小面積に対して計算を行うまで、上記(S’4−2)〜(S’4−4)の処理を繰り返す。
(S4’−6)出力用超音波波形データを欠陥位置での超音波波形として出力。
以上のようにして(S’4)の処理が終了して図16の(S’5)に移行する。
【0043】
(S’5)例えば図20に示されるように、まず、微小欠陥から出射してアレイプローブに向かう超音波について、受信に用いる全振動子上の全ての微小面積それぞれが受信する超音波波形を取得する。次に、個々の振動子毎に超音波波形を足し合わせる。最後に、各振動子に対して集束ビーム処理に対応した遅延処理を行った後に全振動子の超音波波形を足し合わせて最終的な出力波形を得る。ここで、図20に示される(S’5)の処理の詳細は次のとおりである。
【0044】
(S5’−1)欠陥位置での超音波波形を微小欠陥位置から出射。
(S5’−2)受信に使用する全振動子の受信波形データの初期化。
(S5’−3)計算する振動子を決定。
(S5’−4)計算している1つの振動子中の1つの微小面積で受信される超音波波形を計算。
(S5’−5)得られた超音波波形を、計算している振動子の受信波形データに足し合わせる。
(S5’−6)計算している1つの振動子上の全ての微小面積に対して上記(S5’−4)及び(S5’−5)の処理を繰り返す。
(S5’−7)受信に使用する全ての振動子に対して上記(S5’−4)〜(S5’−6)の処理を繰り返す。
(S’5−8)集束ビーム処理後の出力波形データを初期化。
(S’5−9)全振動子の受信波形データに実際の集束ビーム処理に即した遅延処理を行う。
(S’5−10)遅延処理を行った全振動子の受信波形データをそれぞれ出力波形データに足し合わせる。
以上のようにして(S’5)の処理が終了して図16の(S’6)に移行する。
【0045】
(S’6)上記の実施形態1の(S5)の処理と同じ処理をする。
(S’7)上記の実施形態1の(S6)の処理と同じ処理をする。
【0046】
以上のように、実施形態3の特徴は、(S’4)及び(S’5)において用いる微小欠陥とプローブ上微小面積間の経路として、図17で示された方法で求めた経路(経路の始点と進む方向を最初に決めて経路の終点を後から求める方法)を用いることにある。すなわち、実施形態3においては、各振動子の複数領域の分割の際に、設定内部欠陥から複数の方向への超音波の伝搬経路を計算し、その経路と超音波プローブとの交点を算出し、その得られた交点を用いて、超音波プローブ表面を得られた交点を代表点とする複数の面積に分割し、分割した超音波プローブの各面積と分割したそれぞれの面積に対応する設定内部欠陥との間の超音波の伝搬を、超音波の伝搬経路と超音波プローブとの交点算出時に辿った伝搬経路を経て伝搬するものとして計算するようにしている。このため、実施形態3においては、図27に示す従来例のように経路の始点と終点を最初に決めて途中経路を後から求める方法に比べて効率的な計算が可能である。
【0047】
実施形態4.
実施形態4は、実施形態1及び実施形態3とは超音波伝搬解析の部分が異なった処理をするようにした例である。
実施形態4における超音波伝搬解析は以下のとおりである。
図21は、実施形態4における伝搬解析方法を示すフローチャートである。
図21と図16の処理の違いは、(S’2)ではプローブ設定点を用いてアレイプローブを微小面積に切り分けいるが、(S''2)ではプローブ設定点は用いず、例えば等分割のメッシュ上に切り分けるなどの方法で微小面積に切り分ける点にある。
【0048】
(S''1)実施形態3の(S’1)の処理と同様である。
(S''2)上記のように、例えば等分割のメッシュ上に切り分けるなどの方法で微小面積に切り分ける。
(S'’3)実施形態3の(S’3)の処理と同様である。
(S''4)、(S''5)それぞれ実施形態3の(S’4)、(S’5)と同様に図19及び図20に従って計算を行うが、アレイプローブ上微小面積から微小欠陥及び微小欠陥からアレイプローブへの超音波伝搬、即ち伝搬時間及び/又は減衰を計算する方法が異なる。
【0049】
図22は実施形態4における伝搬時間及び減衰の計算方法の説明図である。
図22において、
【0050】
【数1】
【0051】
(S''1)で得られているプローブ設定点であり、この点と微小欠陥との経路は既知であるため、伝搬時間及び/又は減衰も計算できる。これらの点の伝搬時間及び/又は減衰から、例えば図22に示すような方法で微小面積上の代表点における伝搬時間及び/又は減衰を内挿又は外挿によって求める。
図22の例の場合には、伝搬時間及び/又は減衰を座標の1次式で近似しているため、使用するプローブ設定点は微小面積上の代表点から近いものが好ましい。
上記のようにして求めた伝搬時間及び/又は減衰を用いてアレイプローブ上微小面積から微小欠陥及び微小欠陥からアレイプローブへの超音波伝搬を計算する以外は、上記の実施形態3と同様である。
【0052】
(S''6)、(S''7)それぞれ実施形態3の(S’6)、(S’7)と同様である。
上記に記載のない部分については、上記の実施形態1と同様な方法で行う。
【0053】
以上のように、実施形態4では、(S''4)及び(S''5)においてまずプローブ上設定点と微小欠陥の間の経路を用いて超音波伝搬を計算し、微小面積と微小欠陥の間の超音波伝搬は内挿又は外挿によって求めるようにしている。すなわち、実施形態4においては、各振動子の分割された各領域が受信する設定内部欠陥からの反射波の波形を求める際に、設定内部欠陥から複数の方向への超音波の伝搬経路を計算し、その経路と超音波プローブとの交点を算出し、得られた交点と分割したそれぞれの面積に対応する設定内部欠陥との間の超音波の伝搬を、超音波の伝搬経路と超音波プローブとの交点算出時に辿った伝搬経路を経て伝搬するものとして計算し、各振動子の分割された各領域と設定内部欠陥との間の超音波の伝搬波形を、各領域近傍の交点と設定内部欠陥との間を伝搬する超音波の伝搬波形から内挿又は外挿して計算するようにしたので、上記の実施形態3と同様に効率的な計算が可能である。
【符号の説明】
【0054】
10 アレイ型超音波プローブ、11 送信回路、12 駆動素子選択回路、13 受信回路、14 アレイ信号処理回路、15 出力波形データ部、16 欠陥像合成処理部、17 等伝搬時間面データ部、20 欠陥像再構成信号処理部、21 x方向位置検出手段、22 y方向位置検出手段。
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波映像化方法及び超音波映像化装置に関し、特に非破壊検査法の一種である超音波探傷法を用いて金属、樹脂などからなる板、管、円柱などの各種の形状の被検体中に存在する内部欠陥の映像化に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から非破壊検査法の一種である超音波探傷法は鋼材などの内部欠陥探傷に広く用いられている。この内部欠陥探傷においては、より詳細な内部欠陥の情報を得るため、超音波映像の高分解能化が求められている。また、超音波探傷の高速化も求められている。超音波映像の高分解能化と超音波探傷の高速化を両立する方法としては、以下のような従来技術がある。
【0003】
(1)アレイ型超音波プローブを用いた開口合成法
高分解能な映像化を目的とした技術として開口合成法がある(例えば特許文献1及び特許文献2参照)。この開口合成法の原理を、図23に示される振動子アレイ120を被検体110の表面に接触させて欠陥映像化を行う場合を例に挙げて説明する。振動子アレイ120の各々の振動子から超音波を送信して欠陥エコーを検出し、超音波の送信からエコー受信までの時間から欠陥エコーの被検体110中でのビーム路程を測定する。個々の振動子120p(p=1,2,・・・)から送信され受信される超音波は空間的に拡がりをもっているので、振動子120pで検出したエコーのビーム路程がWp(p=1,2,・・・)であるとすると、半径Wpの中空の球Sp(p=1,2,・・・)のうち、振動子120pが送受信する超音波の指向角範囲のどこかに反射源が存在する。全ての振動子を用いてエコーを検出し、中空の球Spの交点を求めると、この交点が欠陥像となる。図23の例では、振動子アレイ120中A、B、C、D、Eが検出したエコーのビーム路程から欠陥像を合成する様子を示している。
【0004】
アレイ型超音波プローブを用いた開口合成法では、アレイ振動子の配置、形状に対応した一定の領域で欠陥像の合成が可能であり、超音波プローブの機械的な走査が不要であり、高速に超音波探傷を行うことができる。そして、ある深さ位置に焦点を設定して開口合成処理を行えば、集束ビームと同等の探傷が可能である。
【0005】
(2)集束ビームを用いた欠陥画像化処理方法の適用
また、集束ビームと組み合わせて欠陥画像化処理を行う方法がある(例えば特許文献3参照)。この方法は、図23に示されるように、被検体の再構成像を同じ大きさの微小要素に分け,各測定点Pi,jごとに計測したビーム路程Wi,jから欠陥エコー源となりうる微小要素PFk,l,mを選び出すことを特徴とする方法であり、この方法により集束ビームを用いた探傷において分解能を向上させることができる。ある位置に焦点を設定して前記(1)の開口合成を行うことにより得られた波形を、集束ビームを用いた探傷で得られた波形と同等とみなせば、アレイ型超音波プローブを用いた開口合成法と組み合わせることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−62191号公報
【特許文献2】特開2000−65808号公報
【特許文献3】特開2004−150875号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】(社)日本非破壊検査協会編集、「超音波探傷試験II」、 (社)日本非破壊検査協会(2000)、p.151〜152
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、前記(1)と(2)とを組み合わせた場合でも、高集束な線集束型リニアアレイ型超音波プローブを用いる場合などでは分解能が向上しないという問題点があった。以下にその理由を示す。
【0009】
前記(2)の方法では、超音波の送受信は超音波振動子の中心の一点でなされていると仮定し、超音波プローブから微小要素までの往復伝搬時間を、図26に示されるように、送受信点から微小要素までの唯一の経路上を超音波が伝搬するものとして算出している。しかし、実際には超音波の送受信は複数の超音波振動子のアレイ列で行われている。このため、特に開口合成処理に用いる超音波振動子のアレイ列の面積が大きく焦点距離が短い開口合成の設定を用いる場合には、一点での送受信という仮定から大きく外れるため、上記の特許文献3に記載されているような技術で内部欠陥映像化の分解能を上げることは困難であった。
【0010】
本発明は、このような実情に鑑みなされたものであり、開口合成処理に用いる超音波振動子アレイ列の面積が大きく焦点距離が短い開口合成の設定を用いた探傷において内部欠陥の映像化の分解能の向上を可能にした内部欠陥の超音波映像化方法及び内部欠陥の超音波映像化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る内部欠陥の超音波映像化方法は、
アレイ型超音波プローブと被検体との間に水を介在させ、前記アレイ型超音波プローブの受信信号に開口合成処理を行って形成される焦点を、前記被検体に対して相対的に走査しつつ、超音波を前記被検体に向けて送信し、前記被検体の内部欠陥からの反射波を受信する送受信工程と、
前記アレイ型超音波プローブの各振動子で受信された信号に開口合成処理を行う信号処理工程と、
前記開口合成波形に基づいて内部欠陥までの伝搬時間を測定する伝播時間測定工程と、
該測定した伝搬時間に対応する等伝搬時間面の位置に該当する欠陥候補の位置を抽出する欠陥位置抽出工程と、
前記位置毎に、前記走査を行った間に抽出された回数を算出して、該算出した回数を位置に対応させて表示を行う表示工程とを備えた内部欠陥の超音波映像方法であって、
前記等伝搬時間面は、
伝搬時間を開口合成波形に基づいて算出することとして、アレイ型超音波プローブの各振動子の受信信号に行われる開口合成処理の焦点と被検体内部の所定位置に設定された欠陥(以下、設定内部欠陥という)との相対位置に対する伝搬時間の変化量を求め、該伝搬時間の変化量から、伝搬時間が等しくなる位置を算出し、それらの位置を結ぶことによって形成されたものである。
【0012】
本発明に係る内部欠陥の超音波映像化装置は、
アレイ型超音波プローブと被検体との間に水を介在させ、前記アレイ型超音波プローブの受信信号に開口合成処理を行って形成される焦点を、前記被検体に対して相対的に走査しつつ、超音波を前記被検体に向けて送信し、前記被検体の内部欠陥からの反射波を受信する送受信工程と、
前記アレイ型超音波プローブの各振動子で受信された信号に開口合成処理を行う信号処理工程と、
得られた開口合成波形を設定された遅延時間により遅延させたのち加算して信号を生成する信号生成工程と、
該生成された信号の表示を行う表示工程と
を備えた内部欠陥の超音波映像方法であって、
前記遅延時間は、
伝搬時間を開口合成波形に基づいて算出することとして、アレイ型超音波プローブの各振動子の受信信号に行われる開口合成処理の焦点と設定内部欠陥との相対位置に対する伝搬時間の変化量を求め、該伝搬時間の変化量から設定される。
【0013】
本発明の係る内部欠陥の超音波映像化方法は、
前記伝搬時間の変化量は、前記各振動子を複数領域に分割し、該分割された各領域が受信する設定内部欠陥からの反射波の波形を求め、該波形を前記各振動子毎に合成して、各振動子の信号とすることにより算出される。
【0014】
本発明に係る内部欠陥の超音波映像化方法は、
前記各振動子の複数領域の分割の際に、
設定内部欠陥から複数の方向への超音波の伝搬経路を計算し、
その経路と超音波プローブとの交点を算出し、
得られた交点を用いて、超音波プローブ表面を得られた交点を代表点とする複数の面積に分割し、分割した超音波プローブの各面積と分割したそれぞれの面積に対応する設定内部欠陥との間の超音波の伝搬を、超音波の伝搬経路と超音波プローブとの交点算出時に辿った伝搬経路を経て伝搬するものとして計算する。
【0015】
本発明に係る内部欠陥の超音波映像化方法は、
前記各振動子の分割された各領域が受信する設定内部欠陥からの反射波の波形を求める際に、
設定内部欠陥から複数の方向への超音波の伝搬経路を計算し、
その経路と超音波プローブとの交点を算出し、
得られた交点と分割したそれぞれの面積に対応する設定内部欠陥との間の超音波の伝搬を、超音波の伝搬経路と超音波プローブとの交点算出時に辿った伝搬経路を経て伝搬するものとして計算し、
各振動子の分割された各領域と設定内部欠陥との間の超音波の伝搬波形を、各領域近傍の交点と設定内部欠陥との間を伝搬する超音波の伝搬波形から内挿又は外挿して計算する。
【0016】
本発明に係る内部欠陥の超音波映像化装置は、
アレイ型超音波プローブと被検体との間に水を介在させ、前記アレイ型超音波プローブの受信信号に開口合成処理を行って形成される焦点を、前記被検体に対して相対的に走査しつつ、超音波を前記被検体に向けて送信し、前記被検体の内部欠陥からの反射波を受信する送受信手段と、
前記アレイ型超音波プローブの各振動子で受信された信号に開口合成処理を行う信号処理手段と、
得られた開口合成波形に基づいて内部欠陥までの伝搬時間を測定する伝播時間測定手段と、
該測定した伝搬時間に対応する等伝搬時間面データを用いて欠陥候補の位置を抽出する欠陥位置抽出手段と、
前記位置毎に、前記走査を行った間に抽出された回数を算出して、表示用画像メモリの前記位置に対応するアドレスに、該算出した回数を書き込んで、画像表示を行う表示手段とを備えた内部欠陥の超音波映像装置であって、
前記等伝搬時間面データは、
伝搬時間を開口合成波形に基づいて算出することとして、アレイ型超音波プローブの各振動子の受信信号に行われる開口合成処理の焦点と設定内部欠陥との相対位置に対する伝搬時間の変化量を求め、該伝搬時間の変化量から、伝搬時間が等しくなる位置を算出し、それらの位置を結ぶことによって形成されたデータである。
【0017】
本発明に係る内部欠陥の超音波映像化装置は、
アレイ型超音波プローブと被検体との間に水を介在させ、前記アレイ型超音波プローブの受信信号に開口合成処理を行って形成される焦点を、前記被検体に対して相対的に走査しつつ、超音波を前記被検体に向けて送信し、前記被検体の内部欠陥からの反射波を受信する送受信手段と、
前記アレイ型超音波プローブの各振動子で受信された信号に開口合成処理を行う信号処理手段と、
得られた開口合成波形を設定された遅延時間データにより遅延させたのち加算して信号を生成する信号生成手段と、
該生成された信号データを画像メモリに出力して表示する表示手段と
を備えた内部欠陥の超音波映像方法であって、
前記遅延時間データは、
伝搬時間を開口合成波形に基づいて算出することとして、アレイ型超音波プローブの各振動子の受信信号に行われる開口合成処理の焦点と設定内部欠陥との相対位置に対する伝搬時間の変化量から求め、該伝搬時間の変化量から設定される。
【発明の効果】
【0018】
本発明においては、上記のように、前記アレイ型超音波プローブと被検体内部の所定位置に設定された欠陥(設定内部欠陥)との間を伝搬する超音波の伝搬時間を、前記アレイ型超音波プローブの各振動子の送受信面の全面を複数領域に分割し、該分割された各領域と設定内部欠陥との間を送受信される超音波の波形を求め、該波形を前記アレイ型超音波プローブの各振動子の全面について合成し、合成された各振動子の信号を開口合成した信号波形から算出するようにして、前記アレイ型超音波プローブが開口合成又は集束によって形成する焦点と設定内部欠陥との相対位置に対する伝搬時間の変化量を求め、その伝搬時間の変化量に基づいて等伝搬時間面又は遅延時間群のデータを求め、そして、そのデータを利用して欠陥画像を生成するようにしており、このため、超音波振動子アレイ列全体の面積が大きく焦点距離が短いプローブ及び開口合成の設定を用いた探傷において、信号処理により映像化の分解能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態1に係る超音波による内部欠陥の映像化装置の構成図である。
【図2】本発明の等伝搬時間面の説明図である。
【図3】超音波伝搬解析により超音波伝搬時間を得るための処理方法を示したフローチャートである。
【図4】欠陥位置での超音波波形を取得するための処理方法を示したフローチャートである。
【図5】アレイ型超音波プローブで受信し、開口合成処理を行って出力波形を取得するための処理方法を示したフローチャートである。
【図6】伝搬時間を得る方法の手順を示した説明図である。
【図7】等伝搬時間面を用意する際の処理方法を示したフローチャートである。
【図8】伝搬時間の変化量と等伝搬時間面との関係を示した説明図である。
【図9】等伝搬時間面のデータの例である。
【図10】欠陥像を合成する際の処理を示したフローチャートである。
【図11】水伝搬時間と被検査体伝搬時間の説明図である。
【図12】1つの等伝搬時間面を用いて異なる伝搬時間での等伝搬時間面を描く方法の説明図である。
【図13】映像化処理の説明図である。
【図14】本発明の実施例の効果を従来方法の結果とを対比して示した図である。
【図15】本発明の実施形態2において、伝搬時間変化量のプロファイルから遅延時間を構成して波形再合成を行う方法の説明図である。
【図16】本発明の実施形態3において超音波伝搬時間を得る方法のフローチャートである。
【図17】アレイプローブ上の点を得る方法の説明図である。
【図18】プローブ設定点から微小面積を得る方法の説明図である。
【図19】欠陥位置での超音波波形取得のフローチャートである。
【図20】アレイプローブで受信し、開口合成処理を行った出力波形所得のフローチャートである。
【図21】本発明の実施形態4において超音波伝搬時間を得る方法のフローチャートである。
【図22】プローブ設定点の伝搬時間、減衰から微小面積代表点の伝搬時間、減衰を得る方法のフローチャートである。
【図23】従来の開口合成方法の原理説明図である。
【図24】線集束型リニアアレイ型超音波プローブを示した図である。
【図25】従来技術(特許文献3)における欠陥像合成方法の説明図である。
【図26】従来技術における超音波プローブと微小要素の経路を示す説明図である。
【図27】伝搬経路決定方法の比較(従来例と実施の形態3)を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、アレイ型超音波プローブでは超音波の送受信が複数の振動子のアレイ列でなされている点に着目し、アレイ型超音波プローブが開口合成又は集束によって形成する焦点の位置と内部欠陥の位置によって、内部欠陥からの反射波の伝搬時間がどのように変わるかを予め解析しておいて、その解析結果を用いた信号処理を行うことにより、超音波振動子アレイ列全体の面積が大きく焦点距離が短いプローブ及び開口合成の設定を用いた探傷の分解能を向上させることが可能であるという知見に基づくものである。その具体例を実施形態1〜実施形態4としてそれぞれ説明する。
【0021】
実施形態1.
図1は本発明の実施形態1に係る超音波映像化装置の構成を示すブロック図である。
図1において、1は検査対象である被検体を示す。この例では被検体1は静止被検体であり、媒体は水を用いており、液浸法を用いて内部欠陥のイメージングを行う。10は超音波を送受信するアレイ型超音波プローブであり、送信回路11からの一定周期の電気パルスが駆動素子選択回路12を通り各振動子に送信される電気信号により超音波ビームを被検体1に向け送信するとともに、被検体1の表面及び内部からの反射波(エコー)を受信する。受信された信号は、受信回路13及びアレイ信号処理回路14により、開口合成処理が行われ、また、後の信号処理に都合のよい適正レベルに増幅される。アレイ型超音波プローブ10は、適当な走査手段によって被検体1上で2次元走査(x−y走査)又は1次元走査(y走査)され、その位置はx方向位置検出手段21及びy方向位置検出手段22によってそれぞれ検出され、出力波形データ部15に送られる。
【0022】
出力波形データ部15は、アレイ信号処理回路14、x方向位置検出手段21及びy方向位置検出手段22の出力に基づいてこのときのアレイ型超音波プローブ10が開口合成によって形成する焦点Pi,j(i:x方向の位置、j:y方向の位置)に対応した出力波形データを検出し、その出力は欠陥像合成処理部16に送られる。欠陥像合成処理部16は、送信時刻と欠陥エコー52の受信時刻の差、すなわち超音波の伝搬時間を計測する。計測された各伝搬時間は、各位置Pi,jと対応付けて記録される。また、等伝搬時間面データ部17は記憶装置であり、例えば超音波伝搬解析によって予め求めておいた等伝搬時間面のデータを保存しておくものとする。この等伝搬時間面とは、図2に示されるように、開口合成によって得られる、その点にある微小欠陥までの往復の伝搬時間が等しくなるような点を結んで作られた面である。この等伝搬時間面は、アレイ型超音波プローブ10の焦点に対する欠陥の深さによって変化するため、欠陥の深さ毎の複数の等伝搬時間面のデータを用意する。なお、上記の出力波形データ部15、欠陥像合成処理部16及び等伝搬時間面データ部17は、欠陥像再構成信号処理部20を構成している。
【0023】
本実施形態1では、欠陥像合成処理に先立ち超音波伝搬解析による等伝搬時間面の作成を行う。なお、本発明はこれに限るものではなく、等伝搬時間面の作成は欠陥像合成中に行ってもよい。
図2に示されるような等伝搬時間面の作成は、超音波伝搬解析による伝搬時間Wの算出により行うことができる。これを図3、図4、図5のフローチャート及び図6の説明図に基づいて説明する。
【0024】
図3は、超音波伝搬解析により超音波伝搬時間を得る方法全体のフローチャートであり、図4は、図3の処理S3(欠陥位置での超音波波形取得)の詳細を示すフローチャートであり、図5は、図3の処理S4(アレイプローブで受信し、開口合成処理を行った超音波波形取得)の詳細を示すフローチャートであり、図6は、伝搬時間を得る方法の手順を示した説明図である。ここで、図6ではリニアアレイプローブにおける2次元上の解析を示している。但し、本発明はこれに限るものではなく、アレイプローブの形状はリニアでなくてもよいし、解析は3次元上で行ってもよい。
【0025】
(S1)振動子から送信される超音波波形を設定する。
(S2)超音波プローブの各振動子から、予め設定された微小欠陥(本発明の設定内部欠陥に相当する)までの経路を求める。図6の上段では、2つの振動子についてその経路を示している。
【0026】
(S3)欠陥位置での超音波波形を取得する。
(S3)の詳細な処理としては、図4のフローチャートに示されるように次の処理を行う。
(S3−1)出力用超音波波形データの初期化。
(S3−2)計算する振動子12を決定。
(S3−3)計算している振動子による微小欠陥位置での超音波波形を計算する。このとき振動子によって送信のタイミングが違う場合は、図6のように振動子に対応した時間に送信されるよう設定する。また、経路上を伝搬するときの伝搬時間と減衰を考慮する。(図6参照)
(S3−4)得られた超音波波形を出力用超音波波形データに足し合わせる。
(S3−5)送信に使用している全ての振動子に対して計算を行うまで、(S3−2)から(S3−4)までを繰り返す。
(S3−6)出力用超音波波形データを欠陥位置での超音波波形として出力。
このような図4の処理の後、図3の処理(S4)に移行する。
【0027】
(S4)アレイプローブで受信し、開口合成処理を行った出力波形を取得する。
(S4)の詳細としては、図5のフローチャートに示されるように次の処理を行う。
(S4−1)欠陥位置での超音波波形を微小欠陥位置から出射。
(S4−2)受信に使用する全振動子の受信波形データを初期化。
(S4−3)計算する振動子を決定。
(S4−4)計算している振動子で受信される超音波波形を計算(図6参照)。
(S4−5)受信に用いる全ての振動子に対して計算を行うまで、(S4−3)から(S4−4)までを繰り返す。
(S4−6)集束ビーム処理後の出力波形データを初期化。
(S4−7)全振動子の受信波形データに、実際の集束ビーム処理に即した遅延処理を行う(図6参照)。
(S4−8)遅延処理を行った全振動子の受信波形データをそれぞれ出力波形データに足し合わせる(図6参照)。
このような図5の処理の後、図3の処理(S5)に移行する。
【0028】
(S5)上記の(S4)で得られた出力波形から到達時刻を読み取る。このとき、時刻を読み取る方法は、閾値を設定して立ち上がり時刻を取得する、閾値を設定して立下り時刻を取得する、波形がピーク値となる時刻を取得するなどがあり、対応に応じて適切な方法を使用する。
(S6)プローブからの出射時刻と到達時刻との差から伝搬時間を求める。このとき、時刻を読み取る方法は、閾値を設定して立ち上がり時刻を取得する、同様に閾値を取得して立ち下り時刻を取得する、波形がピーク値となる時刻を取得するなどがあり、この中から適切な方法を選ぶ。
【0029】
次に、前記の方法を用いて等伝搬時間面のデータを準備する方法を説明する。
図7はその方法を示したフローチャートである。この手順を以下に示す。
(S21)水距離(図6の上段参照)を設定する。
(S22)被検体距離(図6の上段参照)を設定する。
(S23)開口合成焦点深さ(例えば、被検体内での深さ位置、図6の上段参照)を設定する。
(S24)被検体と開口合成焦点とのずれ(深さ方向に直交する面内)を設定する。
(S25)開口合成処理した波形から伝搬時間を計算する(図3、図4及び図5のフローチャート参照)。
(S26)欠陥信号を受信し得る範囲で開口合成焦点との深さ方向に直交する面内のずれを変化させ、等伝搬時間面を作成するのに十分なデータが得られるまで、上記の処理(S24)(S25)の操作を繰り返す。
(S27)上記の処理(S24)(S25)(S26)で得られた被検体と開口合成焦点との深さ方向に直交する面内のずれに対する伝搬時間の変化量の関係から、超音波の伝搬速度を用いて伝搬時間が等しくなる位置を求めて、それらの位置を結んで、等伝搬時間面のデータを作成する。等伝搬時間面のデータは、図8に示されるように、結果として伝搬時間の増減を打ち消すように微小欠陥の深さを調整することにより得られることになる。このとき、本実施形態1においては、伝搬時間及び等伝搬時間面は開口合成焦点軸とのずれが0のときの値との差として求めている。
(S28)必要となり得る(例えば、測定対象において想定し得る)全ての水距離、被検体距離及び開口合成焦点深さに対応する等伝搬時間面が揃うまで上記の(S21)から(S27)までの操作を繰り返す。
【0030】
上記の方法により、必要となり得る全ての水距離、被検体距離及び開口合成焦点深さにおける等伝搬時間面が準備できる。但し本発明における等伝搬時間面の作成方法は前記の方法に限るものではなく、実測定によるデータや超音波伝搬シミュレーションを利用しても良い。また、伝搬時間の計算方法は図3、図4、図5及び図6で示された方法に限るものではない。
また、各振動子の面積が、被検体に対して十分に大きい場合には、さらに振動子を複数の微小領域に分割し、各微小領域の信号を各振動子単位で加算することで処理すれば良い。
また、アレイ列方向と直交方向(図7の紙面奥行方向)に面積が大きい場合にも、その直交方向に微小領域に分割して、行えば良い。(例えば図24のようなプローブで、Y方向に対して複数に分割する。)
また、振動子が1次元方向にのみ配列された例で説明したが、2次元に配列されたアレイ型プローブでも、2次元に処理を行えば適用可能である。
【0031】
図9は、上記のようにして求められる等伝搬時間面のデータの例であり、これは図1の等伝搬時間面データ部17に格納されて、欠陥像合成処理部16において欠陥像を合成する際に用いられる。
【0032】
次に、図1の超音波映像化装置の動作を説明する。
図10は、図1の超音波映像化装置において欠陥像を合成する際の処理を示したフローチャートである。
(S31)アレイ型超音波プローブ10、駆動素子選択回路及びアレイ信号処理回路を操作して開口合成によって形成する焦点を走査しながら探傷を行い、出力波形データ部15は、駆動素子選択回路12、受信回路13、アレイ信号処理回路14、x方向位置検出手段21及びy方向位置検出手段22の出力に基づいて、各位置Pi,jに対応した出力波形データを検出する。
(S32)アレイ信号処理回路14又は欠陥像合成処理部16は、出力波形データの中で欠陥エコーの最も大きいPi,jでの反射波形から、図11に示されるように、水伝搬時間と被検体伝搬時間を検出し、それらの伝搬時間から水距離・被検体距離を取得する。
(S33)欠陥像合成処理部16は、等伝搬時間面データ部17に格納されて用意してある等伝搬時間面のデータ(図9参照)のなかで水距離・被検体距離と開口合成焦点深さの設定値が上記の(S32)で得られた水距離・被検体距離、開口合成焦点深さと近いものを選択する。本実施形態1においては、図12に示されるように、ここで選んだ1つの等伝搬時間面形状のみを用いて以後の処理を行う。なお、図12においては、1つの等伝搬時間面を用いて異なる伝搬時間での等伝搬時間面を描く方法を示したものであり、伝搬時間T2の等伝搬時間面に対して、伝搬時間が異なっている場合(T1、T3)においても、伝搬時間T2の等伝搬時間面と同じ形状の等伝搬時間面を利用することができる(この場合には、1個の等伝搬時間面のデータがあれば足りることになる)。
【0033】
(S34)欠陥像合成処理部16は、上記の(S33)で選択した等伝搬時間面のデータを用いて映像化処理を行う。本実施形態1における映像化処理方法を図13に示す。ここで、図13においては簡単のため2次元で記述しているが、本実施形態1においては3次元的に処理を行っている。但し、本発明はこれに限定されるものではなく2次元で処理を行ってもよい。本実施形態1における映像化処理方法の手順を以下に示す。
(a)各焦点位置Pi,jのなかで欠陥エコーが検出できている焦点位置Pi,jについて、図11のように伝搬時間を検出する。伝搬時間の検出は、図1におけるアレイ信号処理回路14で行っても欠陥像合成処理部16で行ってもよく、本実施形態においてはアレイ信号処理回路14で行っている。
(b)被検体1中で欠陥が存在し得る領域を微小体積要素にわけ、それぞれの微小体積要素に3次元のアドレスPfk,l,m(k:x方向の位置,l:y方向の位置,m:Z方向の位置)をつける。
(c)各位置Pi,jでの伝搬時間から、欠陥がプローブ中心軸上にあったと仮定したときの欠陥位置を算出し、その欠陥位置に対応するPfk,l,mを図13のように等伝搬時間面の中心として設定する。
(d)上記の(c)で設定された等伝搬時間面の中心から等伝搬時間面(図12参照)を形成し、その等伝搬時間面の一部が存在するような各微小領域Pfk,l,mに対し、Pfk,l,mに設けたカウンタCk,l,mにカウント1を加算する。
(e)上記の(c)、(d)の操作を、欠陥エコーが検出できている全ての位置Pi,jについて行う。
【0034】
(S35)上記の(S34)で得られたデータを映像化する。本実施形態1における映像化の方法は以下に示すとおりである。
(a)全(k,l)に対し、それぞれ(k,l)を固定したときのCk,l,mの最大値Cmax(k,l)を求める。
(b)Cmax(k,l)が閾値以上になる各(k,l)に対し、別の閾値を決めてカウンタCk,l,mをmの小さい側からチェックしていったときに初めて閾値以上となるmをm(k,l)とする。
(c)上記の(b)で得られたm(k,l)を用い、各(k,l,m(k,l))に対応する各微小領域の隣り合う中心同士を線で結んでポリゴンを構成する。
(d)上記の(c)で得られたポリゴンを3次元表示する。
なお、映像化方法は前記のような3次元ポリゴン表示方法に限るものではなく、その他の3次元表示方法や2次元表示方法であってもよい。
【0035】
ここで、周波数50MHz、アレイピッチ100μm、開口合成に用いるチャンネル数32、線集束ビームの水中焦点距離15mmの超音波線集束型アレイプローブ(図17に示すようなアレイ配列方向と直交方向に振動子面が曲率をもっており、その方向に集束する。)を用い、鋼片サンプルに直径300μmの人工穴を空けて、その穴を図14(a)のように探傷し、前記欠陥像合成方法で映像化した例を図14(b)に示す。なお、図14(b)は各振動子をさらに微小領域に分割して作成した等伝搬時間面を用いている。図14(c)は上記の特許文献3記載の方法で映像化処理を行い、前記欠陥像合成法(S35)の方法で3次元表示した図である。図14(c)では人工穴の映像がz方向に平らになっているのに対して、図14(b)では人工穴の曲面が再現されていて、形状の分解能が向上していることがわかる。
【0036】
実施形態2.
本実施形態2は、図1の欠陥像合成処理部16を上記の演算処理とは異なった処理をするようにした例である。本実施形態2の欠陥像合成処理部16は、上記の等伝搬時間面データに代えて、遅延時間データを用いる。このため、等伝搬時間面データ部17に代えて、遅延時間データが格納される記憶装置(図示せず)が設けられる。この遅延時間データ(遅延時間群)は、伝搬時間の変化量データ(図8の変換を行う前のデータ)から求めるものであり、図15の概念図に示されるように、伝播時間の変化量が長いほど遅延時間を小さく、変化量が短いほど遅延時間を大きくしたデータである。等伝搬時間面データと同様にして、水距離・被検体距離・開口合成焦点深さの各値に対応して求められて記憶装置に記憶されている。
【0037】
欠陥像合成処理部16は、図10に示されるフローチャートのうち、等伝搬時間面選択の処理(S33)とデータ映像化処理(S34)の具体的内容が異なるが、それ以外の処理は同じである。
等伝搬時間面選択の処理(S33)は、遅延時間データの選択処理になる。具体的には、アレイ型超音波プローブで測定した受信波形の水距離・欠陥深さに対応する、遅延時間データ(遅延時間群)を選択する処理を行う。
データ映像化処理(S34)は、その遅延時間データ選択処理で選択した遅延時間データを用いて、図15のように波形再合成処理を行う。
【0038】
具体的には、焦点走査した多数点のうち、隣接した所定数の焦点位置(図15の例では10点)を選択し、その10点で測定した反射波形データに対し、選択した遅延時間データ(遅延時間群)に対応して、各プローブ位置に波形を遅延処理をする。図15に示されるように、外側の焦点の信号には遅延時間を小さくし、内側の焦点には遅延時間を大きくしている。これによって、所定数の焦点位置のうち、その中心に位置する焦点の上下に欠陥があれば、欠陥波形が揃うことにより、欠陥信号が強調されて、欠陥の存在を検知できる。一方、中心に位置する焦点の上下に欠陥が無ければ、例えば、外側の焦点の直上又は直下に欠陥があれば、各焦点で受信した欠陥の信号は、遅延しても位相が揃わないので、相殺され、強調されずに、欠陥信号を検出できない。つまり、中心に位置する焦点の直上又は直下には欠陥が無い、ということになる。
【0039】
このような処理を多数点測定したデータに対して、選択範囲を移動させながら順に所定数のデータを選択して、繰り返すことにより開口合成波形を得る。そして、遅延時間データ(遅延時間群)を選択する際には、複数の深さに対応した遅延時間データ(遅延時間群)をそれぞれ選択して、上記の演算処理を繰り返す。そして、得られた波形を適当な方法(Aスコープ、Bスコープ、Cスコープ、三次元表示)で表示する。
【0040】
実施形態3.
実施形態3は、実施形態1とは超音波伝搬解析の部分が異なった処理をするようにした例である。
実施形態3における超音波伝搬解析は以下のとおりである。
図16は、実施形態3における伝搬解析方法を示すフローチャートである。
(S’1)例えば図17に示されるように、予め設定された微小欠陥から複数の方向に仮想的にビームを出射し、そのビームを延長した先にあるアレイプローブ送受信面との交点を求め、この交点をアレイプローブ送受信面上に設定した点(以下プローブ設定点と記載)とする。この仮想的なビームの延長の際、音響インピーダンスが異なる媒質間の境界(被検体と水の境界など)では超音波の屈折が起きるが、それに応じて仮想的なビームも屈折させる。図17には点1及び点2の2点しか図示されていないが、実際はアレイプローブ送受信面を微小面積に切り分けるため、密にプローブ設定点が得られるようにする。好ましくは、アレイプローブの1つの振動子に少なくとも2つ以上のプローブ設定点を設定できる程度の密度にする。このときプローブ設定点と微小欠陥との間の経路は辿ってきた仮想的なビームの経路に等しくなる。
【0041】
(S’2)例えば図18に示されるように、隣り合うプローブ設定点との中点を用いて微小面積を設定する。
(S’3)上記の実施形態1の(S1)の処理と同様な処理をする。
(S’4)例えば図19に示されるように、送信に用いる全振動子上の全ての微小面積それぞれから出射された超音波波形を計算して足し合わせる。このときの経路としては上記(S’1)の処理で求めたものを用いる。ここで、図19に示される(S’4)の処理の詳細は次のとおりである。
【0042】
(S4’−1)出力用超音波波形データの初期化。
(S4’−2)計算する微小面積(送信に用いる振動子上)の決定。
(S4’−3)計算している微小面積による微小欠陥位置での超音波波形を計算。
(S4’−4)得られた超音波波形を出力用超音波波形データに足し合わせる。
(S4’−5)送信に用いられる全ての振動子上の微小面積に対して計算を行うまで、上記(S’4−2)〜(S’4−4)の処理を繰り返す。
(S4’−6)出力用超音波波形データを欠陥位置での超音波波形として出力。
以上のようにして(S’4)の処理が終了して図16の(S’5)に移行する。
【0043】
(S’5)例えば図20に示されるように、まず、微小欠陥から出射してアレイプローブに向かう超音波について、受信に用いる全振動子上の全ての微小面積それぞれが受信する超音波波形を取得する。次に、個々の振動子毎に超音波波形を足し合わせる。最後に、各振動子に対して集束ビーム処理に対応した遅延処理を行った後に全振動子の超音波波形を足し合わせて最終的な出力波形を得る。ここで、図20に示される(S’5)の処理の詳細は次のとおりである。
【0044】
(S5’−1)欠陥位置での超音波波形を微小欠陥位置から出射。
(S5’−2)受信に使用する全振動子の受信波形データの初期化。
(S5’−3)計算する振動子を決定。
(S5’−4)計算している1つの振動子中の1つの微小面積で受信される超音波波形を計算。
(S5’−5)得られた超音波波形を、計算している振動子の受信波形データに足し合わせる。
(S5’−6)計算している1つの振動子上の全ての微小面積に対して上記(S5’−4)及び(S5’−5)の処理を繰り返す。
(S5’−7)受信に使用する全ての振動子に対して上記(S5’−4)〜(S5’−6)の処理を繰り返す。
(S’5−8)集束ビーム処理後の出力波形データを初期化。
(S’5−9)全振動子の受信波形データに実際の集束ビーム処理に即した遅延処理を行う。
(S’5−10)遅延処理を行った全振動子の受信波形データをそれぞれ出力波形データに足し合わせる。
以上のようにして(S’5)の処理が終了して図16の(S’6)に移行する。
【0045】
(S’6)上記の実施形態1の(S5)の処理と同じ処理をする。
(S’7)上記の実施形態1の(S6)の処理と同じ処理をする。
【0046】
以上のように、実施形態3の特徴は、(S’4)及び(S’5)において用いる微小欠陥とプローブ上微小面積間の経路として、図17で示された方法で求めた経路(経路の始点と進む方向を最初に決めて経路の終点を後から求める方法)を用いることにある。すなわち、実施形態3においては、各振動子の複数領域の分割の際に、設定内部欠陥から複数の方向への超音波の伝搬経路を計算し、その経路と超音波プローブとの交点を算出し、その得られた交点を用いて、超音波プローブ表面を得られた交点を代表点とする複数の面積に分割し、分割した超音波プローブの各面積と分割したそれぞれの面積に対応する設定内部欠陥との間の超音波の伝搬を、超音波の伝搬経路と超音波プローブとの交点算出時に辿った伝搬経路を経て伝搬するものとして計算するようにしている。このため、実施形態3においては、図27に示す従来例のように経路の始点と終点を最初に決めて途中経路を後から求める方法に比べて効率的な計算が可能である。
【0047】
実施形態4.
実施形態4は、実施形態1及び実施形態3とは超音波伝搬解析の部分が異なった処理をするようにした例である。
実施形態4における超音波伝搬解析は以下のとおりである。
図21は、実施形態4における伝搬解析方法を示すフローチャートである。
図21と図16の処理の違いは、(S’2)ではプローブ設定点を用いてアレイプローブを微小面積に切り分けいるが、(S''2)ではプローブ設定点は用いず、例えば等分割のメッシュ上に切り分けるなどの方法で微小面積に切り分ける点にある。
【0048】
(S''1)実施形態3の(S’1)の処理と同様である。
(S''2)上記のように、例えば等分割のメッシュ上に切り分けるなどの方法で微小面積に切り分ける。
(S'’3)実施形態3の(S’3)の処理と同様である。
(S''4)、(S''5)それぞれ実施形態3の(S’4)、(S’5)と同様に図19及び図20に従って計算を行うが、アレイプローブ上微小面積から微小欠陥及び微小欠陥からアレイプローブへの超音波伝搬、即ち伝搬時間及び/又は減衰を計算する方法が異なる。
【0049】
図22は実施形態4における伝搬時間及び減衰の計算方法の説明図である。
図22において、
【0050】
【数1】
【0051】
(S''1)で得られているプローブ設定点であり、この点と微小欠陥との経路は既知であるため、伝搬時間及び/又は減衰も計算できる。これらの点の伝搬時間及び/又は減衰から、例えば図22に示すような方法で微小面積上の代表点における伝搬時間及び/又は減衰を内挿又は外挿によって求める。
図22の例の場合には、伝搬時間及び/又は減衰を座標の1次式で近似しているため、使用するプローブ設定点は微小面積上の代表点から近いものが好ましい。
上記のようにして求めた伝搬時間及び/又は減衰を用いてアレイプローブ上微小面積から微小欠陥及び微小欠陥からアレイプローブへの超音波伝搬を計算する以外は、上記の実施形態3と同様である。
【0052】
(S''6)、(S''7)それぞれ実施形態3の(S’6)、(S’7)と同様である。
上記に記載のない部分については、上記の実施形態1と同様な方法で行う。
【0053】
以上のように、実施形態4では、(S''4)及び(S''5)においてまずプローブ上設定点と微小欠陥の間の経路を用いて超音波伝搬を計算し、微小面積と微小欠陥の間の超音波伝搬は内挿又は外挿によって求めるようにしている。すなわち、実施形態4においては、各振動子の分割された各領域が受信する設定内部欠陥からの反射波の波形を求める際に、設定内部欠陥から複数の方向への超音波の伝搬経路を計算し、その経路と超音波プローブとの交点を算出し、得られた交点と分割したそれぞれの面積に対応する設定内部欠陥との間の超音波の伝搬を、超音波の伝搬経路と超音波プローブとの交点算出時に辿った伝搬経路を経て伝搬するものとして計算し、各振動子の分割された各領域と設定内部欠陥との間の超音波の伝搬波形を、各領域近傍の交点と設定内部欠陥との間を伝搬する超音波の伝搬波形から内挿又は外挿して計算するようにしたので、上記の実施形態3と同様に効率的な計算が可能である。
【符号の説明】
【0054】
10 アレイ型超音波プローブ、11 送信回路、12 駆動素子選択回路、13 受信回路、14 アレイ信号処理回路、15 出力波形データ部、16 欠陥像合成処理部、17 等伝搬時間面データ部、20 欠陥像再構成信号処理部、21 x方向位置検出手段、22 y方向位置検出手段。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アレイ型超音波プローブと被検体との間に水を介在させ、前記アレイ型超音波プローブの受信信号に開口合成処理を行って形成される焦点を、前記被検体に対して相対的に走査しつつ、超音波を前記被検体に向けて送信し、前記被検体の内部欠陥からの反射波を受信する送受信工程と、
前記アレイ型超音波プローブの各振動子で受信された信号に開口合成処理を行う信号処理工程と、
前記開口合成波形に基づいて内部欠陥までの伝搬時間を測定する伝播時間測定工程と、
該測定した伝搬時間に対応する等伝搬時間面の位置に該当する欠陥候補の位置を抽出する欠陥位置抽出工程と、
前記位置毎に、前記走査を行った間に抽出された回数を算出して、該算出した回数を位置に対応させて表示を行う表示工程とを備えた内部欠陥の超音波映像方法であって、
前記等伝搬時間面は、
伝搬時間を開口合成波形に基づいて算出することとして、アレイ型超音波プローブの各振動子の受信信号に行われる開口合成処理の焦点と被検体内部の所定位置に設定された欠陥(以下、設定内部欠陥という)との相対位置に対する伝搬時間の変化量を求め、該伝搬時間の変化量から、伝搬時間が等しくなる位置を算出し、それらの位置を結ぶことによって形成されたものであることを特徴とする内部欠陥の超音波映像化方法。
【請求項2】
アレイ型超音波プローブと被検体との間に水を介在させ、前記アレイ型超音波プローブの受信信号に開口合成処理を行って形成される焦点を、前記被検体に対して相対的に走査しつつ、超音波を前記被検体に向けて送信し、前記被検体の内部欠陥からの反射波を受信する送受信工程と、
前記アレイ型超音波プローブの各振動子で受信された信号に開口合成処理を行う信号処理工程と、
得られた開口合成波形を設定された遅延時間により遅延させたのち加算して信号を生成する信号生成工程と、
該生成された信号の表示を行う表示工程と
を備えた内部欠陥の超音波映像方法であって、
前記遅延時間は、
伝搬時間を開口合成波形に基づいて算出することとして、アレイ型超音波プローブの各振動子の受信信号に行われる開口合成処理の焦点と設定内部欠陥との相対位置に対する伝搬時間の変化量を求め、該伝搬時間の変化量から設定されることを特徴とする内部欠陥の超音波映像化方法。
【請求項3】
前記伝搬時間の変化量は、前記各振動子を複数領域に分割し、該分割された各領域が受信する設定内部欠陥からの反射波の波形を求め、該波形を前記各振動子毎に合成して、各振動子の信号とすることにより算出されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の内部欠陥の超音波映像化方法。
【請求項4】
前記各振動子の複数領域の分割の際に、
設定内部欠陥から複数の方向への超音波の伝搬経路を計算し、
その経路と超音波プローブとの交点を算出し、
得られた交点を用いて、超音波プローブ表面を得られた交点を代表点とする複数の面積に分割し、分割した超音波プローブの各面積と分割したそれぞれの面積に対応する設定内部欠陥との間の超音波の伝搬を、超音波の伝搬経路と超音波プローブとの交点算出時に辿った伝搬経路を経て伝搬するものとして計算することを特徴とする請求項3に記載の内部欠陥の超音波映像化方法。
【請求項5】
前記各振動子の分割された各領域が受信する設定内部欠陥からの反射波の波形を求める際に、
設定内部欠陥から複数の方向への超音波の伝搬経路を計算し、
その経路と超音波プローブとの交点を算出し、
得られた交点と分割したそれぞれの面積に対応する設定内部欠陥との間の超音波の伝搬を、超音波の伝搬経路と超音波プローブとの交点算出時に辿った伝搬経路を経て伝搬するものとして計算し、
各振動子の分割された各領域と設定内部欠陥との間の超音波の伝搬波形を、各領域近傍の交点と設定内部欠陥との間を伝搬する超音波の伝搬波形から内挿または外挿して計算することを特徴とする請求項3に記載の内部欠陥の超音波映像化方法。
【請求項6】
アレイ型超音波プローブと被検体との間に水を介在させ、前記アレイ型超音波プローブの受信信号に開口合成処理を行って形成される焦点を、前記被検体に対して相対的に走査しつつ、超音波を前記被検体に向けて送信し、前記被検体の内部欠陥からの反射波を受信する送受信手段と、
前記アレイ型超音波プローブの各振動子で受信された信号に開口合成処理を行う信号処理手段と、
得られた開口合成波形に基づいて内部欠陥までの伝搬時間を測定する伝播時間測定手段と、
該測定した伝搬時間に対応する等伝搬時間面データを用いて欠陥候補の位置を抽出する欠陥位置抽出手段と、
前記位置毎に、前記走査を行った間に抽出された回数を算出して、表示用画像メモリの前記位置に対応するアドレスに、該算出した回数を書き込んで、画像表示を行う表示手段とを備えた内部欠陥の超音波映像装置であって、
前記等伝搬時間面データは、
伝搬時間を開口合成波形に基づいて算出することとして、アレイ型超音波プローブの各振動子の受信信号に行われる開口合成処理の焦点と設定内部欠陥との相対位置に対する伝搬時間の変化量を求め、該伝搬時間の変化量から、伝搬時間が等しくなる位置を算出し、それらの位置を結ぶことによって形成されたデータであることを特徴とする内部欠陥の超音波映像化装置。
【請求項7】
アレイ型超音波プローブと被検体との間に水を介在させ、前記アレイ型超音波プローブの受信信号に開口合成処理を行って形成される焦点を、前記被検体に対して相対的に走査しつつ、超音波を前記被検体に向けて送信し、前記被検体の内部欠陥からの反射波を受信する送受信手段と、
前記アレイ型超音波プローブの各振動子で受信された信号に開口合成処理を行う信号処理手段と、
得られた開口合成波形を設定された遅延時間データにより遅延させたのち加算して信号を生成する信号生成手段と、
該生成された信号データを画像メモリに出力して表示する表示手段と
を備えた内部欠陥の超音波映像方法であって、
前記遅延時間データは、
伝搬時間を開口合成波形に基づいて算出することとして、アレイ型超音波プローブの各振動子の受信信号に行われる開口合成処理の焦点と設定内部欠陥との相対位置に対する伝搬時間の変化量から求め、該伝搬時間の変化量から設定されることを特徴とする内部欠陥の超音波映像化装置。
【請求項1】
アレイ型超音波プローブと被検体との間に水を介在させ、前記アレイ型超音波プローブの受信信号に開口合成処理を行って形成される焦点を、前記被検体に対して相対的に走査しつつ、超音波を前記被検体に向けて送信し、前記被検体の内部欠陥からの反射波を受信する送受信工程と、
前記アレイ型超音波プローブの各振動子で受信された信号に開口合成処理を行う信号処理工程と、
前記開口合成波形に基づいて内部欠陥までの伝搬時間を測定する伝播時間測定工程と、
該測定した伝搬時間に対応する等伝搬時間面の位置に該当する欠陥候補の位置を抽出する欠陥位置抽出工程と、
前記位置毎に、前記走査を行った間に抽出された回数を算出して、該算出した回数を位置に対応させて表示を行う表示工程とを備えた内部欠陥の超音波映像方法であって、
前記等伝搬時間面は、
伝搬時間を開口合成波形に基づいて算出することとして、アレイ型超音波プローブの各振動子の受信信号に行われる開口合成処理の焦点と被検体内部の所定位置に設定された欠陥(以下、設定内部欠陥という)との相対位置に対する伝搬時間の変化量を求め、該伝搬時間の変化量から、伝搬時間が等しくなる位置を算出し、それらの位置を結ぶことによって形成されたものであることを特徴とする内部欠陥の超音波映像化方法。
【請求項2】
アレイ型超音波プローブと被検体との間に水を介在させ、前記アレイ型超音波プローブの受信信号に開口合成処理を行って形成される焦点を、前記被検体に対して相対的に走査しつつ、超音波を前記被検体に向けて送信し、前記被検体の内部欠陥からの反射波を受信する送受信工程と、
前記アレイ型超音波プローブの各振動子で受信された信号に開口合成処理を行う信号処理工程と、
得られた開口合成波形を設定された遅延時間により遅延させたのち加算して信号を生成する信号生成工程と、
該生成された信号の表示を行う表示工程と
を備えた内部欠陥の超音波映像方法であって、
前記遅延時間は、
伝搬時間を開口合成波形に基づいて算出することとして、アレイ型超音波プローブの各振動子の受信信号に行われる開口合成処理の焦点と設定内部欠陥との相対位置に対する伝搬時間の変化量を求め、該伝搬時間の変化量から設定されることを特徴とする内部欠陥の超音波映像化方法。
【請求項3】
前記伝搬時間の変化量は、前記各振動子を複数領域に分割し、該分割された各領域が受信する設定内部欠陥からの反射波の波形を求め、該波形を前記各振動子毎に合成して、各振動子の信号とすることにより算出されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の内部欠陥の超音波映像化方法。
【請求項4】
前記各振動子の複数領域の分割の際に、
設定内部欠陥から複数の方向への超音波の伝搬経路を計算し、
その経路と超音波プローブとの交点を算出し、
得られた交点を用いて、超音波プローブ表面を得られた交点を代表点とする複数の面積に分割し、分割した超音波プローブの各面積と分割したそれぞれの面積に対応する設定内部欠陥との間の超音波の伝搬を、超音波の伝搬経路と超音波プローブとの交点算出時に辿った伝搬経路を経て伝搬するものとして計算することを特徴とする請求項3に記載の内部欠陥の超音波映像化方法。
【請求項5】
前記各振動子の分割された各領域が受信する設定内部欠陥からの反射波の波形を求める際に、
設定内部欠陥から複数の方向への超音波の伝搬経路を計算し、
その経路と超音波プローブとの交点を算出し、
得られた交点と分割したそれぞれの面積に対応する設定内部欠陥との間の超音波の伝搬を、超音波の伝搬経路と超音波プローブとの交点算出時に辿った伝搬経路を経て伝搬するものとして計算し、
各振動子の分割された各領域と設定内部欠陥との間の超音波の伝搬波形を、各領域近傍の交点と設定内部欠陥との間を伝搬する超音波の伝搬波形から内挿または外挿して計算することを特徴とする請求項3に記載の内部欠陥の超音波映像化方法。
【請求項6】
アレイ型超音波プローブと被検体との間に水を介在させ、前記アレイ型超音波プローブの受信信号に開口合成処理を行って形成される焦点を、前記被検体に対して相対的に走査しつつ、超音波を前記被検体に向けて送信し、前記被検体の内部欠陥からの反射波を受信する送受信手段と、
前記アレイ型超音波プローブの各振動子で受信された信号に開口合成処理を行う信号処理手段と、
得られた開口合成波形に基づいて内部欠陥までの伝搬時間を測定する伝播時間測定手段と、
該測定した伝搬時間に対応する等伝搬時間面データを用いて欠陥候補の位置を抽出する欠陥位置抽出手段と、
前記位置毎に、前記走査を行った間に抽出された回数を算出して、表示用画像メモリの前記位置に対応するアドレスに、該算出した回数を書き込んで、画像表示を行う表示手段とを備えた内部欠陥の超音波映像装置であって、
前記等伝搬時間面データは、
伝搬時間を開口合成波形に基づいて算出することとして、アレイ型超音波プローブの各振動子の受信信号に行われる開口合成処理の焦点と設定内部欠陥との相対位置に対する伝搬時間の変化量を求め、該伝搬時間の変化量から、伝搬時間が等しくなる位置を算出し、それらの位置を結ぶことによって形成されたデータであることを特徴とする内部欠陥の超音波映像化装置。
【請求項7】
アレイ型超音波プローブと被検体との間に水を介在させ、前記アレイ型超音波プローブの受信信号に開口合成処理を行って形成される焦点を、前記被検体に対して相対的に走査しつつ、超音波を前記被検体に向けて送信し、前記被検体の内部欠陥からの反射波を受信する送受信手段と、
前記アレイ型超音波プローブの各振動子で受信された信号に開口合成処理を行う信号処理手段と、
得られた開口合成波形を設定された遅延時間データにより遅延させたのち加算して信号を生成する信号生成手段と、
該生成された信号データを画像メモリに出力して表示する表示手段と
を備えた内部欠陥の超音波映像方法であって、
前記遅延時間データは、
伝搬時間を開口合成波形に基づいて算出することとして、アレイ型超音波プローブの各振動子の受信信号に行われる開口合成処理の焦点と設定内部欠陥との相対位置に対する伝搬時間の変化量から求め、該伝搬時間の変化量から設定されることを特徴とする内部欠陥の超音波映像化装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2010−71983(P2010−71983A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−189358(P2009−189358)
【出願日】平成21年8月18日(2009.8.18)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月18日(2009.8.18)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】
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