説明

超音波洗浄装置

【課題】ローラーの凹部に入り込み固着したアルカリ性インキを洗浄する。
【解決手段】被洗浄物(ローラー)7凹部の底部に固着したアルカリ性インキを、超音波素子1から超音波素子1に接している振動板2より、ノズル室4内の液体に超音波振動を照射して、超音波洗浄液に生成し、ノズル室4内の超音波洗浄液中において、振動板2から被洗浄物7を、周波数に応じた、1波長の1/2の整数倍の間隔に一定保持する事により、凹部の底部に固着したアルカリ性インキを最大効果で洗浄する。超音波洗浄装置は被洗浄物7との位置を決める、位置決め装置を持つ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフレキソ印刷装置のアニロックスローラー及び印刷版の超音波洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキソ印刷装置は、アニロックスローラー(以下 ローラーと記す)と呼ばれる表面に細かな凹部(例 1辺約0.1ミリの四角穴)を有する円筒形の表面にアルカリ性インキを塗布し、この細かな凹部だけにアルカリ性インキを残し、そぎ落とした後、別な円筒形状部品に巻きつけられた印刷版に写し取ってから、その印刷版が段ボール等に押し付けられ、再び段ボール等に写し取られることによって印刷される。
従来、アルカリ性インキの色変え時等、洗浄する必要の有る時、アルカリ性インキが付着したローラーの洗浄には、強アルカリ性の洗剤を印刷装置の液溜め部に注入し、ローラーを液溜め部に浸漬して、ローラーに付着したアルカリ性インキを溶かし洗浄する溶剤洗浄方法と、作業者が手でブラシ等を持ちローラーの表面をブラシ等でこすりアルカリ性インキを溶かし、剥離して洗浄するブラシ洗浄方法とがある。
また、フレキソ印刷装置から取り外したローラーを、ローラー浸漬方式超音波洗浄装置を用いて洗浄する方法もある。(下記特許文献1参照)
【0003】
フレキソ印刷装置の印刷版も、上述したローラーと同様の方法によって洗浄されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】 特開平11−300299号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、溶剤洗浄方法とブラシ洗浄方法では、アルカリ性インキが付着したローラー等に設けられた凹部に入り込み固着した場合は、アルカリ性インキを洗浄しきれないと言う問題があった。
【0006】
また、ブラシ洗浄方法では、ブラシをローラー等へ押し当てる力が一定せず、尚且つ、ブラシの毛の太さがローラー等に設けられた凹部より直径が太く、凹部底面まで洗浄することが出来ないと言う問題もあった。
フレキソ印刷装置より、ローラーを脱着する超音波洗浄装置を用いたローラー浸漬方式超音波洗浄装置では、ローラーをフレキソ印刷装置本体から取り外す必要がある為、時間および工数が掛ると言う問題があった。
【0007】
本発明の目的は、ローラーをフレキソ印刷装置本体から取り外す必要が無く、洗浄する事が出来る超音波洗浄装置(20)を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の超音波洗浄装置(20)は、超音波照射手段を有し、この超音波照射手段によって液体に超音波振動を与え超音波洗浄液を生成し、超音波洗浄液中に周波数に応じた、1波長の1/2の整数倍の間隔に被洗浄物を保持する事で、超音波の最大効果を安定して被洗浄物であるローラーに与えることの出来る、間隔を決める位置決め装置を持ち洗浄後汚れた液体を回収できる事を特徴とする。
給水口(16)より注入された液体は 被洗浄物(ローラー)(7)とパッキン(8)とで密閉されたノズル室(4)を満たし 排水口(17)へ回収され 振動板(2)と被洗浄物(ローラー)(7)の間に位置する洗浄作用箇所(6)において、液体に空気が位置しない様、空気除去溝(5)を有する事も特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の装置は、被洗浄物(ローラー)をフレキソ印刷装置本体から取り外すこと無く洗浄することができる。その為、ローラーの洗浄に要する時間および工数を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施例による超音波洗浄装置(20)の構成を示す側断面図である。
【図2】図1に示した超音波洗浄装置(20)のAA’断面図である。
【発明実施する為の最良の形態】
【0011】
以下、本発明の超音波洗浄装置(20)の実施形態について図面を参照して説明する。
本発明の一実施形態による超音波洗浄装置(20)は、フレキソ印刷機に使用されている被洗浄物(ローラー)(7)を洗浄するためのものであり、図1に示すように、超音波素子(1)と、振動板(2)と、振動板パッキン(3)と、パッキン(8)と、2個の位置決めコロの芯(9)と、2個の位置決めコロ(10)と、ノズル(11)と、保持取手(12)と、超音波素子格納ボックス(13)と、給水用ホース(14)と、排水用ホース(15)と給水口(16)と、排水口(17)とを具備する。
【0012】
超音波素子(1)は、被洗浄物(ローラー)(7)に液体を介して当てて洗浄するための超音波を発生するためのものである。
【0013】
超音波素子格納ボックス(13)は、内部に円筒状の超音波素子(1)を収容するためのものである。超音波素子格納ボックス(13)の前面は開口面となっている。また、超音波素子(1)の前面には、振動板(2)が取り付けられている。
ノズル(11)は、円筒穴状をしており、一方の端面が超音波素子格納ボックス(13)の前面に取り付けられている。
超音波素子(1)の前面から照射される超音波は、振動板(2)からノズル(11)内の液体を介して被洗浄物(ローラー)(7)に照射される。
【0014】
ノズル(11)は、円筒穴状をしており、一方の開口面が振動板(2)の前面に取り付けられている。ノズル(11)内には、液体が流動的に収容されている。
ノズル(11)の下面には、液体をノズル(11)内に注入するための円筒状の給水口(16)が一体的に取り付けられている。
超音波素子格納ボックス(13)の前面とノズル(11)との間には、振動板(2)と振動板パッキン(3)がありノズル(11)内に注入された液体が超音波素子格納ボックス(13)内に入り込まないようにすうための板状の振動板パッキン(3)と、振動板(2)が取り付けられている。
振動板パッキン(3)の中央部には、振動板(2)と液体を接するための貫通孔が形成されている。
【0015】
2個の位置決めコロ(10)は、超音波を最大効果で被洗浄物(ローラー)(7)に照射するために、ノズル(11)の前面(超音波の照射面)と被洗浄物(ローラー)(7)との間隔(18)となるように位置決めするためのものである。
そのために、2個の位置決めコロ(10)は、ノズル(11)に取り付けられている。
【0016】
以上の説明では、フレキソ印刷装置に使用されている被洗浄物(ローラー)(7)を洗浄するためのものとして本発明の一実施形態による超音波洗浄装置(20)について説明したが、フレキソ印刷装置以外の印刷機に備えられている円筒形状部品や印刷版を洗浄するためにも使用することができる。
【0017】
印刷版の洗浄にはノズル(11)が被洗浄物と接している円弧上形状を直線にする事により平面状の印刷版を洗浄する事が出来る。
【0018】
位置決めコロ(10)の形状は球態、円筒、円柱、ワイヤー、駆動ネジ形態にする事が出来る。
【符号の説明】
【0019】
1 超音波素子
2 振動板
3 振動板パッキン
4 ノズル室
5 空気除去溝
6 洗浄作用箇所
7 被洗浄物(アニロックスロール)
8 パッキン
9 位置決め装置コロの芯
10 位置決め装置コロ
11 ノズル
12 保持用取手
13 超音波素子格納ボックス
14 給水用ホース
15 排水用ホース
16 給水口
17 排水口
18 間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波照射手段を有し、この超音波照射手段によって液体に超音波振動を与え超音波洗浄液を生成する、超音波洗浄液中に周波数に応じた、1波長の1/2の整数倍の距離に被洗浄物を保持する為の位置決め装置を持った、超音波洗浄装置。
【請求項2】
給水口より注入された液体がノズル室に入り、振動板と被洗浄物の間に位置する洗浄作用箇所のノズル室において、ノズルに空気除去溝とパッキンを有し、液体に空気が位置しないことを有する、超音波洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−183369(P2011−183369A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−70900(P2010−70900)
【出願日】平成22年3月7日(2010.3.7)
【出願人】(500025617)有限会社 キヨシ・ネットワーク (1)
【Fターム(参考)】