超音波画像を三次元座標システムに登録するシステム
【課題】
【解決手段】 解剖学的構造の超音波画像データを第1の座標システム内で得て、グラフィカルデータ(例えば、興味のある部位)を第2の座標システム内で得る。第1の座標システムと第2の座標システム内の超音波トランスデューサの位置が決定され、第1及び第2の座標システム間の変換が、第1及び第2の座標システム内の超音波トランスデューサの位置に基づいて実行される。この変換を用いて、第1の座標システム内ですでに得ている超音波画像データを、グラフィカルデータと共に第2の座標システム内に登録して表示することができる。
【解決手段】 解剖学的構造の超音波画像データを第1の座標システム内で得て、グラフィカルデータ(例えば、興味のある部位)を第2の座標システム内で得る。第1の座標システムと第2の座標システム内の超音波トランスデューサの位置が決定され、第1及び第2の座標システム間の変換が、第1及び第2の座標システム内の超音波トランスデューサの位置に基づいて実行される。この変換を用いて、第1の座標システム内ですでに得ている超音波画像データを、グラフィカルデータと共に第2の座標システム内に登録して表示することができる。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
発明の属する技術分野
本発明は医療イメージングシステムに関するものであり、特に超音波画像を座標システムに登録するシステムに関する。
【0002】
発明の背景
診断および治療プランを立てる目的で、患者の身体の内部生体構造を見るために医療プロセスにおいて画像技術は一般に用いられている。ほとんどの内臓をリアルタイムで三次元超音波画像にレンダリングする技術がここ数年間存在しているが、心臓医学におけるリアルタイム三次元超音波では、リアルタイムで画像を獲得し表示して、鼓動する心臓や、その他の心臓の動きについてゆくためには、より高いフレームレートが必要である。最近まで、心臓の三次元表示画像は、二次元画像をシーケンシャルに獲得して、ワークステーションでこれらの画像をボリュームレンダリング用に入力するようにして、非リアルタイムベースで生成されていた。
【0003】
トランスデューサと処理技術の近年の発達により心臓と周辺の脈管構造のリアルタイムの三次元超音波画像化が商業的に入手可能となった。例えば、ワシントン州ボーセル市所在のPhilips Medical System社が販売しているSONOS7500イメージングシステムは、このような商業的に入手可能なシステムの一例であり、このシステムは画像を生成するのに外付デバイスを使用している。このシステムは、電気生理学的処理を行う間にカテーテルのナビゲーションと配置を補助するのに適切な解像度の心臓構造のリアルタイム三次元画像を提供している。例えば、Lang et al., “A Fantastic Journey: 3D Cardiac Ultrasound Goes Live,” Radiology Management, November/December 2002; 及び、“Phillips Prepares to Launch System Upgrade Capable of True Real-Time 3D Echo,” Diagnostic Imaging Scan, The Global Biweekly of Medical Imaging, Vol. 16, No. 18, September 11, 2002、を参照されたい。
【0004】
電気生理学的治療を行う間に、心臓のリズム障害を治療するためにアブレーションが行われる。これらの処理を行う間、外科医は、大静脈あるいは大動脈を介して治療を行う心臓の内部領域にカテーテルを操作して入れる。外科医はカテーテルに搭載したアブレーションエレメントを、アブレーションを行うターゲットである心臓組織近傍まで送り込み、アブレーションエレメントからエネルギィを与えてその組織を焼灼して、外傷を作る。心臓組織に異常な電気信号が生じる心臓の状態である不整脈の治療にこのような処理を用いることができる。
【0005】
SONOS7500などのリアルタイム三次元画像システムは、三次元カテーテルナビゲーションシステムをある程度不要にする。しかしながら、未だに三次元ナビゲーションシステムは、カテーテル位置と内部解剖学的構造を以前に記録しておいた信号と焼灼箇所に関係付けるのに非常に便利である。
【0006】
カリフォルニア州サンホセ市所在のBoston Scientific Corporation社が開発したRealtime Position ManagementTM (RPM)トラッキングシステムという商業的に入手可能な一のナビゲーションシステムでは、例えば心室など、コンピュータで生成した身体組織の三次元表示上に、カテーテルのグラフィック表示が表わされる。身体組織の三次元表示は、複数の超音波位置決めトランスデューサをカテーテルに配設し、その位置決めトランスデューサを用いてグローバル座標システム内でカテーテルの位置をトラッキングしながら、当該身体組織上の複数ポイントにカテーテルを移動させることによって、三次元座標システム内に当該身体組織の内側表面のジオメトリをマッピングすることで生成される。ついで、グラフィカルな解剖学的シェルは、トランスデューサの位置を得るに従い、それに一致させるように変形される。例えば、マッピング/アブレーションカテーテルなど、身体内に案内されるその他のカテーテルの位置は、それらカテーテルに超音波トランスデューサを配設し、この三次元座標システム内でカテーテルの位置をトラッキングすることによって決まる。
【0007】
心臓学的な治療の場合、三次元座標システム内で電気生理学マップを生成して登録するために、アブレーション/マッピングカテーテルによって検知した電気活動を、カテーテルの検知位置と関連付けるようにすることができる。こうして心臓不整脈などの異常な活動に関連する組織は、その電気生理学的マップ上に示すようにマッピング/アブレーションカテーテルのアブレーション電極を当該組織と接触する位置に案内して、電極を付勢してその組織に外傷をつけることによって治療できる。
【0008】
デューク大学の最近の研究は、SONOS7500画像システムで生成したような三次元超音波画像内にカテーテルを特定する能力を実証した。Merdes et al., “Locating a Catheter Transducer in a Three-Dimensional Ultrasound Imaging Field,” IEEE Transactions on Biomedical Engineering, Vol. 48, No. 12, December 2001, pages 1444-52、を参照されたい。この方法は、三次元画像の座標システム内で、追跡されるカテーテルによって搬送される超音波トランスデューサの位置を決定するステップを含んでいる。この方法の主な限界は、このシステムは三次元画像の座標システム内のトランスデューサの位置を報告するものであるので、イメージングデバイスの位置が変化すると座標システムが変化し、従って、事前に登録されていたマッピングデータと焼灼位置が失われてしまうとことである。このことは、例えば心臓内あるいは経食道イメージングプローブなど、画像処理を行う間にそのイメージングデバイスが患者の身体内を頻繁に移動する内部デバイスである場合は、非常に重大な問題である。
【0009】
発明の概要
本発明は、内部解剖学的構造を画像化するシステムに関する。内部解剖学的構造とは、患者の身体内部に見られる組織でもあり得る。例えば、内部解剖学的構造は、心臓のような内臓でもあり得る。内部解剖学的構造の超音波画像は獲得され、第1の座標システム内に配置される。この超音波イメージングデータは、心臓内イメージングプローブ、あるいは経食道イメージングプローブなどの、内部周辺デバイスを用いて内部的に、あるいは、外付周辺デバイスを用いて外部的に、いずれの方法でも得ることができる。
【0010】
少なくとも一の超音波トランスデューサの位置が、第1の座標システムと第2の座標システム内で決定される(例えば、一またはそれ以上のプロセッサを有する登録サブシステムを用いる)。必須ではないが、第2の座標システムが、内部解剖学的構造に対して固定されており(例えば第2の座標システムを内部解剖学的構造自体に設置するなどして)、内部解剖学的構造が移動した場合でも第2の座標システムを変えなくてもすむようにすることが好ましい。
【0011】
第1及び第2の座標システムは様々に構成することができる。例えば、第1の座標システムは、ローカル三次元座標システム、特に球座標システムであり、第2の座標システムがグローバル三次元座標システム、特に、デカルト座標システムであってもよい。その他のタイプの座標システムもまた考えることができる。第2の座標システムが球座標システムであり、第1の座標システムがデカルト座標システムであっても良い。あるいは第1及び第2の座標システムの両方がデカルト座標システムである、あるいは両方が球座標システムであっても良い。
【0012】
第1の座標システム内の超音波トランスデューサの位置は、様々な方法で決定することができる。例えば、超音波信号を、その超音波トランスデューサと、超音波画像データを獲得する位置に対して固定されている一またはそれ以上のその他の超音波トランスデューサとの間で生成することができる。この場合、第1の座標システム内の超音波トランスデューサの位置は、少なくとも部分的に、受信した超音波信号の一又はそれ以上の測定特性(例えば、振幅及び/又は、走行時間)に基づくものであっても良い。その他の超音波トランスデューサは二重機能を有し、超音波トランスデューサの配置に加え、超音波画像データの少なくとも一部を得るのに使用することができるのが好ましい。第2の座標システム内の超音波トランスデューサの位置も様々な方法で決定することができる。例えば、当該超音波トランスデューサと基準超音波トランスデューサ間で超音波信号を生成することができる。
【0013】
第1及び第2の座標システム間での変換は、第1及び第2の座標システム内の超音波トランスデューサの決定した位置に基づいて行われる。第1の座標システムを第2の座標システムに変換することができ、逆も同様である。前者の場合は、座標システム変換によって(例えば画像プロセッサによって)第2の座標システム内に超音波画像データを登録して、内部解剖学的構造の超音波画像として表示することができる。更に、(例えば、グラフィックプロセッサなどによって)対象となる解剖学的部位などのグラフィック情報を生成して、第2の座標システムに登録し、内部解剖学的構造の超音波画像と共に表示することができる。一方で、第2の座標システムが第1の座標システムに変換される場合は、第2の座標システム内にグラフィック情報を生成して、座標システム変換に基づいて第1の座標システム内に登録し、標準的な方法で第1の座標システム内に登録される画像データと共に表示することができる。
【0014】
二つの座標システムの変換は、例えばアブレーションサイトや電気生理学的サイトなどのもともと第1及び第2の座標システムにそれぞれ登録されている画像データとグラフィックデータを、画像データを得るイメージングデバイスが移動するかどうかと無関係に、互いに正しく表示させる。なぜなら、第2の座標システムは、イメージングデバイスに連結されていないからである。
【0015】
内部解剖学的構造をイメージングするある特定の実施においては、当該解剖学的構造と交差する複数の走査線に沿って複数の超音波ビームが伝送される。次いで、内部解剖学的構造で反射された超音波ビームの一部から超音波画像データが得られる。各超音波ビームの一またはそれ以上の特性(例えば振幅及び/又は走行時間)が超音波位置決めトランスデューサで測定される。位置決めトランスデューサの第1の座標システム内の位置は、測定した特性に基づいて決定される。これは、様々な方法のいずれによっても行うことができる。
【0016】
例えば、球座標システムでは、位置決めトランスデューサの半径方向の座標は、その走査線に対応する超音波ビームの振幅に基づいて、どの走査線が位置決めトランスデューサと交差するかをまず決定することによって決まる。一の実施例では、測定した最も大きい振幅を有する超音波ビームに対応する走査線が、交差走査線として選択されている。原点と位置決めトランスデューサ間の交差走査線の長さが、対応する超音波ビームの走行時間を測定することによって決まる。半径方向の座標は、この交差走査線の長さに等しい。位置決めトランスデューサの角座標、特にその方位角及び仰角座標は、交差走査線の角座標を位置決めトランスデューサに割り付けることによって決定する。代替的に、位置決めトランスデューサの方位角及び仰角座標は、超音波ビームの測定した振幅を、ルックアップマトリクス内のシミュレートした一意な受信プロファイルと比較して、最も大きな相関値を有する受信プロファイル内の関連する角座標を位置決めトランスデューサに割り付けることによって決まる。
【0017】
第1及び第2の座標システム内の位置決めトランスデューサのそれぞれの位置がわかると、第2の座標システム内の位置決めトランスデューサの位置が決まり、上述したように座標システムの変換が行われる。少なくとも3つの位置決めトランスデューサを用いて、三次元座標システム間の変換をできるようにすることが好ましい。
【0018】
本発明のその他の態様及び特徴は、添付図面を参照して以下の説明を考慮することによって明らかになる。
【0019】
実施例の詳細な説明
図1を参照すると、本発明によって構築された例示としての医療治療システム10が示されている。この治療システム10は、特に、心臓のイメージング、マッピング、および治療に適している。しかし、例えば、前立腺、脳、胆嚢、子宮、食道、その他の身体内の領域など、その他の内部解剖学的構造の治療にも使用できることは明らかである。治療システム10は、通常、(1)心臓内の組織をマッピングし焼灼するマッピング/アブレーションサブシステム12と;(2)心臓の画像データを生成するイメージングサブシステム14と;(3)三次元グラフィック環境内の画像及びマッピングデータを登録する登録サブシステム16と;(4)画像処理を行った身体組織を含む環境の三次元グラフィックデータを生成する三次元グラフィックプロセッサ18と;(5)登録された画像データと三次元グラフィックデータから合成画像を生成する合成画像生成器20と;(6)その合成画像を表示するディスプレイ22とを具える。図1に示すエレメントは事実上機能的なものであり、いかなる形においてもこれらの機能を実行する構造を限定するものではない。例えば、いくつかの機能ブロックは、一つのデバイスにまとめることができるし、一つの機能ブロックを複数のデバイスに分けることもできる。また、これらの機能は、ハードウエア、ソフトウエア、ファームウエアで実行することができる。
【0020】
I.マッピング/アブレーションサブシステム
マッピング/アブレーションサブシステム12は、例えば変行伝導経路などの、ターゲット組織部位を同定し治療するために用いられる。この目的のために、マッピング/アブレーションサブシステム12は、マッピング/アブレーションカテーテル24と、マッピングプロセッサ26、および無線周波(RF)発生器28を具える。図2に示すように、マッピング/アブレーションサブシステム24は、細長カテーテル部材52、カテーテル部材52の遠位端に設けた複数の電極54(この場合は、3つ)、細長部材52の近位端に設けたハンドル56を具える。カテーテル部材52上の3つの電極54はすべて、ターゲット部位を連続的に同定するために心筋組織内の電気信号を検出するように構成されている。カテーテル部材52の遠位先端の電極54は、アブレーション電極としても使用するように構成されており、ターゲット部位近傍に位置して動作する際にターゲット部位に焼灼エネルギィを提供する。ハンドル56は、マッピングプロセッサ26とRF発生器28を電気的に接続するための電気コネクタ(図示せず)を具えている。
【0021】
図1を参照すると、マッピングプロセッサ26は、電極54から得た電気信号から活性化回数と電圧分布を取り出すように構成されており、心臓内の不規則な電気信号を測定して、マップとしてグラフィック表示することができる。心臓内組織のマッピングは、公知の技術であり、説明を簡潔にするためにマッピングプロセッサ26については詳細に説明しない。電気生理学的マッピングに関する詳細は、米国特許第5,485,849号、第5,494,042号、第5,833,621号、第6,101,409号に記載されている。
【0022】
RF発生器28は、マッピングプロセッサ26によって同定した部位を焼灼するために、制御された態様でアブレーション電極(すなわち、最も遠位にある電極54)に焼灼エネルギィを送出するように構成されている。代替的に、例えば、マイクロ波発生器、超音波発生器、冷凍アブレーション発生器、レーザ、またはその他の光学発生器などRF発生器28以外のその他のタイプの焼灼エネルギィ源を用いることもできる。心臓内の組織の焼灼は公知の技術であり、説明を簡潔にするためにRF発生器28の詳細は説明しない。RF発生器に関するさらなる詳細は、米国特許第5,383,874号に記載されている。
【0023】
その他のタイプのマッピング/アブレーションカテーテルを治療システム10に使用することができる。例えば、各々が複数の専用マッピング電極を担持した弾力性のある複数のスプラインでできたバスケット構造を有するカテーテルを使用しても良い。このカテーテルを心室に配置して、弾力性のあるスプラインを心臓の心内膜面に合わせ、それによってマッピング電極をキャビティの心内膜面全体に沿って分布させ、効率のよいマッピングを行う。このカテーテルは、マッピング電極で同定された焼灼部位に接触させて送り込むことができる移動アブレーション電極を具えていてもよい。あるいは、専用のアブレーション電極の付いた別のアブレーションカテーテルを用いることもできる。
【0024】
II.イメージングサブシステム
イメージングサブシステム14は、通常、身体内部を表示する超音波信号を生成し検出する周辺イメージングデバイス30と、これらの信号を処理して画像データにする画像制御/処理回路32と、イメージングデバイス30を画像制御/処理回路32接続するケーブル34を具える。図に示す実施例では、周辺イメージングデバイス30は、内臓の画像を作るために患者の皮膚に配置するように構成された外付けデバイスである。例えば、心臓の画像を作るために患者の胸部に配置することができる。しかしながら、例えば心臓内イメージングカテーテルや、経食道イメージングプローブなどの、内部イメージングデバイスを使用して心臓をイメージングするようにしても良い。
【0025】
図3を参照すると、周辺イメージングデバイス30は超音波画像トランスデューサ62のトランスデューサアレイ60を搭載したイメージングヘッド58を具える。このトランスデューサ62は、走査線66に沿って遠距離音場の超音波ビーム64をピラミッド状容積68内へ送り込むことができる。図に示す実施例では、超音波トランスデューサアレイ60は、16×16のトランスデューサマトリックスに配置されており、これは4度にラインが分かれる256の走査線66(図には3本だけ記載されている)を送信する。この場合、走査したピラミッド状容積は、方位角と仰角において64の角度レンジをカバーする。したがって、超音波トランスデューサアレイ60は、方位角(θ)と仰角(φ)の角座標及びラジアル座標(r)によって規定される球座標システムに配置されている超音波画像データを得る。
【0026】
アレイ60内のトランスデューサ62の数は、解像度及び/又はイメージングヘッド58の角度レンジを上げるために増やすことができる。例えば、商業的に入手可能なSONOS7500イメージングシステムのトランスデューサアレイは、例えば、弁膜などの心臓の細かな構造の画像をリアルタイムで作るのに十分な解像度を提供する何千ものトランスデューサを具えている。
【0027】
図4を参照すると、画像制御/処理回路32は、ケーブル34内を延在する信号ワイヤ(図示せず)を介してトランスデューサアレイ60に接続されたフェーズドアレイ制御回路70を具える。従来の方法を用いて、フェーズドアレイ制御回路70は、規定された走査線66に沿って超音波ビーム64を送り込み、これらの走査線66が交差する組織からの超音波画像データを取得する。画像制御/処理回路32は更に、超音波画像データを処理するための、特に、詳細を後述するように、登録サブシステム16で計算した変換の入力に基づいてローカルイメージング座標システム(すなわち、球座標システム)からグローバル座標システムへ画像データを変換するためにフェーズドアレイ制御回路70に接続された超音波画像プロセッサ72を具える。画像制御/処理回路32は、結果として合成画像発生器20の出力用に変換した画像データを保存するためのメモリ74も具える。
【0028】
心臓の超音波画像を得るために、周辺イメージングデバイスのイメージングヘッド58を身体、特に胸部の皮膚表面に、超音波トランスデューサアレイ60を心臓の方向にむけて配置する。画像制御/処理回路32を操作して、規定のシーケンス、振幅および位相でアレイ60の各画像トランスデューサ62に電気パルスを送信して、走査線66に沿ってピラミッド状容積64を超音波ビームが走査するようにする。画像制御/処理回路32はまた、アレイ60からの往復電気パルス(画像データを表す)を受信して処理を行う。
【0029】
したがって、画像フレームを生成するために、フェーズドアレイ回路70は信号ワイヤを介して規定されたシーケンス、振幅、および位相でトランスデューサアレイ60に電気信号を送信する。トランスデューサアレイ60は、第1の走査線66に沿って心臓内に出射された超音波ビーム64として、この電気パルスを超音波エネルギィに変換する。超音波エネルギィの一部が心臓で反射して、トランスデューサアレイ60に戻ってくる。トランスデューサアレイ60は、反射して戻ってきた超音波エネルギィを、第1の走査線66が交差している心臓の部位を表す電気信号に変換し、この信号は信号ワイヤを介してフェーズドアレイ回路66に戻るように送信される。この電気信号はフェーズドアレイ回路70によって検出され、超音波画像プロセッサ72に出力され、このプロセッサがこれを超音波画像データポイントとして保管する。全フレーム、すなわち256のデータポイントについてのデータポイントを獲得して保存するために、残りの走査線66についてこのプロセスをシーケンシャルに繰り返す。
【0030】
標準的な送信技術を用いて、画像プロセッサ72は、球座標システム(r、θ、φ)からのイメージングデータをデカルト座標システム(x’、y’、z’)に変換し、これがメモリ74に保存される。画像プロセッサ72は、詳細を以下に示すように、登録サブシステム16から変換Tを得ると、メモリ74から画像データを呼び出し、この画像データをローカルデカルト座標システム(x’、y’、z’)から、登録サブシステム16によって設立したグローバルデカルト座標システム(x、y、z)に変換する。
【0031】
フェーズドアレイ回路70はタイミング信号を生成し、特に、各ビーム送信の開始時間を表す送信トリガ、画像サイクルの最後のビーム送信を表す最終送信トリガ、各画像サイクルの最終端をあらわすフレームトリガを生成する。特に、各画像サイクルの最終端に不動作期間が設けられ、この場合、最後のビーム送信の開始時間とその画像サイクルの最終時間は互いに同じにならない。これらのタイミング信号と不動作期間の使用については、詳細を後述する。
【0032】
III.登録サブシステム
図1を参照すると、登録サブシステム16は一般的に、(1)複数の超音波トランスデューサ、特に超音波位置決めトランスデューサ36と超音波基準トランスデューサ38と;(2)時間データの形による超音波トランスデューサ36と38の様々な組み合わせの間の距離を決めるように構成された超音波レンジ回路42と;(3)ピーク振幅と、トランスデューサアレイ60と位置決めトランスデューサ36との間で送信される画像信号の走行時間を決定するように構成した走査線処理回路44と;(4)超音波レンジ回路42によって提供される時間情報に基づいてグローバル座標システム内に位置決めトランスデューサ36を登録し、走査線処理回路44によって提供される振幅および走行時間データに基づいてローカルイメージング座標システム中に位置決めトランスデューサ36を登録するように構成された登録プロセッサ46と;(5)ローカル画像座標システムをグローバル座標システムに変換するように構成された座標システム変換器48と、を具える。
【0033】
A.レンジングトランスデューサ
図に示す実施例において、超音波基準トランスデューサ38は一対の基準カテーテル(図示せず)に搭載されている。例えば、基準トランスデューサ38の数は、各基準カテーテルに4つの基準トランスデューサ38を搭載し、総計8つにできる。基準カテーテルは、それによって基準トランスデューサ38を三次元空間内に配置し、また、基準トランスデューサ38と位置決めトランスデューサ36を通信可能にする身体内のどの場所に配置してもよい(既知の場所が好ましい)。例えば、座標システムの最初の二つの次元は基準カテーテルの一方を心臓の冠状静脈洞(CS)に配置し、そこに搭載された4つの基準トランスデューサ38を二次元面に配置することによって得、第三の次元はもう一方の基準カテーテルを心臓の右室(RV)心尖部に配置し、そこに搭載された4つの基準トランスデューサ38を当該二次元面から離して配置することによって得る。CS基準カテーテル上に配置した基準トランスデューサ38の内の3つのみが、座標システムの最初の二つの次元を提供するのに必要であり、RV基準カテーテルに配置した基準トランスデューサ38の内の一つだけが、第3の次元を提供するために必要とされる。残りの基準トランスデューサ38は余分であり、三角測量プロセスの精度を改善するために使用される。
【0034】
位置決めトランスデューサ36は、マッピング/アブレーションカテーテル24の遠位端に搭載されており(図2参照)、そのうちの一つは、先端電極32のすぐ近位にある遠位先端に搭載され、残りの二つは、その遠位端の近位側に搭載されている。位置決めトランスデューサ36は、心室内の電気生理学的情報のマッピングと、続いて行われる焼灼を容易にする。後に更に詳細に説明するように、マッピング/アブレーションカテーテル24が心室内で動くので、位置決めトランスデューサ36は心室の心内膜面の構造的マッピングをも容易にする。選択的に、あるいは代替的に、位置決めトランスデューサ36を別のマーキングカテーテル(図示せず)の遠位先端に搭載して、心臓を構造的にマッピングする専用手段を提供することができる。心臓内の超音波トランスデューサの使用の更なる詳細は、米国特許第6,490,474号および米国特許出願第09/128,304号に記載されている。
【0035】
B.レンジング回路
超音波レンジング回路42は、受信機として、すなわち超音波パルスを受信するために位置決めトランスデューサ36を調整し、トランシーバとして、すなわち、超音波パルスを送受信するために超音波基準トランスデューサ38を調整するように構成されている。認識されているように、超音波トランスデューサは、電気パルスで刺激することによって送信機として動作することができ、超音波パルスを振動させ送信させる。超音波トランスデューサは、超音波パルスの受信とそれに続くトランスデューサの振動によって生じる電気パルスを受信することによって受信機として動作する。
【0036】
超音波レンジング回路42は、各基準トランスデューサ38を調整して電気パルスを送信させ、残りの基準トランスデューサ38を調整してその電気パルスを受信させることによって基準トランスデューサ38間の距離を決定するように構成されている。超音波レンジング回路は、次に、各超音波信号の「飛行時間」(time-of-flight)を測定する。以下に更に詳細に説明するように、登録プロセッサ46は、この時間情報から距離を計算し、次いでグローバル座標システムを構築するためにその距離で三角測定を行うことができる。
【0037】
超音波レンジング回路42は、各基準トランスデューサ38が超音波パルスを送信するように調整し、位置決めトランスデューサ36がその超音波パルスを受信するように調整することで、基準トランスデューサ38と位置決めトランスデューサ36の間の距離を決定するようにも構成されている。超音波レンジ回路は、ついで、「飛行時間」、すなわち、走行時間を各超音波信号について測定する。以下により詳細に示すように、登録プロセッサ46は、この時間情報から距離を計算し、その距離は次いで三角測量され、設定したグローバル座標システム内での位置決めトランスデューサ36の位置(x、y、z)、したがって、位置決めトランスデューサ36近傍のあらゆる構造または組織の位置を決定することができる。
【0038】
したがって、一方の側の8個の送信トランスデューサ(8個の基準トランスデューサ38(TXVR1−8))と、他方の側の11個の受信トランスデューサ(マッピングカテーテルに配置された8個の基準トランスデューサ38(TXVR1−8)と3個の位置決めトランスデューサ36(RX1−3))によって規定された8×11の距離マトリックスが形成されているのが図5に見られる。このマトリックスは、各送信トランスデューサと各受信トランスデューサとの間で送信された超音波パルスの走行時間を含む。以下に詳細に説明するように、各トランスデューサ間の距離(d1−d80)は、これらの走行時間の値を用いて計算することができる。
【0039】
図6を参照して、レンジング回路42の構成部品について詳細に説明する。説明を簡単にする目的で、レンジング回路42の構成部品は、単一の受信トランスデューサRX(例えば、位置決めあるいは基準トランスデューサ36/38の一つ)と複数の送信トランスデューサTX1−8(例えば基準トランスデューサ38)間の距離を決定するというコンテキストで述べる。しかしながら、図6に示すレンジング回路42は、すべての位置決め及び基準トランスデューサ36と38の間の図5に提供されている距離を決定するように、容易に変更できる。
【0040】
レンジング回路42は、送信トランスデューサTX1−8に接続したパルス発生器76、受信トランスデューサRXに接続したスレッシュホールド検出器78、スレッシュホールド検出器78に接続した距離回路80、パルス発生器76に接続した制御及びタイミング回路82、制御及びタイミング回路82に接続した距離カウンタ84を具える。パルス発生器76は、電気パルスを超音波パルスに変換する送信トランスデューサTX1−8に送信する電気パルスを発生するように構成されている。制御及びタイミング回路82は、所望の周波数と間隔でパルスを発生するようにパルス発生器76を動作させる。図に示す実施例では、電気パルスは、1ミリ秒当たり1パルスのレートで送信されるシングルサイクル500KHzのパルスである。制御及びタイミング回路82はパルス発生器76と送信トランスデューサTX1−8間の多重化を制御して、送信トランスデューサTX1−8が電気パルスによってシーケンシャルに刺激されるようにもしている。したがって、制御及びタイミング回路82は、第1のトランスデューサTX1に超音波パルスを送信させ、次いで第2のトランスデューサTX2というように、最後の基準トランスデューサTX8が超音波パルスを送信するまで送信させる。次いで制御及びタイミング回路82は、送信トランスデューサTX1−8を再度繰り返す。
【0041】
送信トランスデューサTXからの各超音波パルスの送信と同時に、制御及びタイミング回路82は、距離カウンタ84をトリガしてゼロからカウントを開始するように構成されている。距離カウンタ84の走行カウント値は、超音波パルス送信からの測定時間を提供する。この距離カウンタ84は、次の超音波パルスの送信時にゼロにリセットされる。
【0042】
各超音波パルスが送信された後に、受信トランスデューサRXは、超音波パルスを受信して、その超音波パルスを電気パルスに変換する。スレッシュホールド検出器78は、例えば電圧レベルなどのスレッシュホールドレベル以上の電気パルスを検出するように構成されている。距離回路80は、例えば100μ秒といった、ある時間ウインド内で送信されたパルスを聞き取る。時間ウインドは、送信パルスが送信されると同時か、あるいは、その後間もなく開始することができる。各受信トランスデューサによる送信パルスの検出時間を決定するに当たって、距離回路80は、スレッシュホールド検出器78がその時間ウインド内で検出した第1の信号を受信パルスとして解釈する。スレッシュホールド検出器78から検出電気パルスを受信すると、距離回路80が距離カウンタ84から現在のカウントを読み取る。これは受信トランスデューサRXと現在の送信トランスデューサTX間の距離測定を、送信パルスの送信と受信パルスの検出間の経過時間という形で提供する。
【0043】
以下に詳細に述べるとおり、登録サブシステム16は位置決めトランスデューサ36を用いてトランスデューサアレイ60から超音波画像パルスを受信して、トランスデューサアレイ60と位置決めトランスデューサ36間の距離及び、その位置決めトランスデューサ36と交差する走査線66との距離とを決定する。この機能間の干渉を防止するために、登録サブシステム16は、トランスデューサアレイ60からの画像超音波信号の受信と、基準トランスデューサ38からの位置決め超音波パルスを時間で多重化する。
【0044】
この結果、位置決めトランスデューサ36に個別の受信期間を提供するために、上述した不動作期間が画像サイクルの最後に置かれる。したがって、レンジング回路42はこの不動作期間中は送信トランスデューサTX1−8と受信トランスデューサRX間で超音波パルスを送受信するのみである。このレンジング回路42、特に、制御及びタイミング回路82は、サイクル中のイメージングビーム送信の最後、つまり、レンジング回路42がレンジングデータを取得することができる不動作期間の開始、を示す最終送信トリガを得るために、画像制御/処理回路32のフェーズドアレイ回路70に接続されている。図に示す実施例では、画像サイクルはイメージング機能用の45ミリ秒、およびレンジング機能用の8ミリ秒の53ミリ秒の期間を有する。
【0045】
C.走査線処理回路
図7を参照して、走査線処理回路44の構成部品について以下に詳述する。簡単にするために、走査線処理回路44の構成部品は、単一の位置決めトランスデューサ36のコンテキストで述べる。しかしながら、図7に示す走査線処理回路44は、残りの位置決めトランスデューサ36に対しても同じ機能を提供するように変換することができる。
【0046】
スキャン処理回路44は、(1)位置決めトランスデューサ36で受信した信号(および、特にイメージングビーム64からのエネルギィ)を得るための走査線入力86と;(2)超音波ビーム64が発生する各時間(イメージングサイクルに付き256回)を表示する画像制御/処理回路32からの送信トリガを得るための送信トリガ入力90と;(3)位置決めトランスデューサ36によって受信されたイメージングビーム信号のピーク振幅を出力するピーク信号出力92と;(4)位相アレイ60と位置決めトランスデューサ36間のイメージングビーム64の走行時間を出力する走行時間出力94を具える。
【0047】
走査線入力86において、走査線処理回路44は走査線信号(すなわち、各走査線に沿って送信されたイメージングビーム信号)を受信する受信器94と、イメージングビーム信号を増幅する増幅器96と、実質的にノイズフリー信号を出力するためのバンドパスフィルタ98(および、特に2.5MHzのバンドパスフィルタ)とを具える。処理回路44は、更にイメージングビーム信号成分の絶対値を出力する整流器100を具え、エネルギィの大部分を含むその信号の負の部分を後に検出できるようにする。処理回路44は、更に、イメージングビーム信号の大きさに相関した低周波数信号を出力するためのローパスフィルタ102と、これら低周波数信号のピークを検知し、その振幅がイメージングビーム64のピーク振幅に比例するアナログ信号を出力するためのピーク検出器104とを具える。特に、ローパスフィルタ102は、ピーク検出器104を簡単にし、より正確なものにする。これがなければ、高周波数信号で行うことになり難しいであろう。処理回路44は更に、ピーク検出器104からのアナログ信号を、位置決めトランスデューサ36が受信した各イメージングビーム64のピーク振幅を表す1から256のデジタル信号に変換するA/Dコンバータ106を具える。デジタル振幅データは以下に詳細を説明するように、オフライン処理を行うためにピーク信号出力94へ出力される。
【0048】
送信トリガ入力88において、走査線処理回路44は更に、カウンタ110を具える。このカウンタは、トリガ入力90での送信トリガの受信に応答して、ゼロからカウントを開始するようにリセットされる。つまり、カウンタ110はイメージングビーム64がトランスデューサアレイ60から送信されるたびにゼロからカウントする。したがって、カウンタ110の実行中のカウント値は、各イメージングビーム64の送信からの時間を測定する。このカウンタ110は、次のイメージングビーム64の送信時、すなわち、トリガ入力90が次の送信トリガを受信したときに、ゼロにリセットされる。
【0049】
処理回路44は、更にカウンタ110の出力に接続されたカウント値を受信するラッチ112を具える。ラッチ112は、走査線パルスのピークが受信されたときを表示する信号を受信するピーク検出器104にも接続されている。この信号を受信すると、ラッチ112は走行時間出力94にこのカウントを出力して、これによって、トランスデューサアレイ60と位置決めトランスデューサ36間の距離測定を、イメージングビーム64の送信と検出との間の経過時間という形で提供する。このカウントは、以下に詳細に説明するように、ピーク振幅出力92のイメージングビーム64の各ピーク振幅にマッチする。
【0050】
図8を参照して、代替の走査線処理回路120の実施例について述べる。走査線処理回路120は、位置決めトランスデューサ36と交差する走査線66と、それに対応する走行時間を決定し、これによって登録プロセッサ46内でこのタスクを遂行する必要がないようにする点において、上述の走査線処理回路44と異なる。
【0051】
このため、走査線処理回路120は、(1)位置決めトランスデューサ36によって受信される信号(および特に、イメージングビーム64からのエネルギィ)を得るための走査線入力122;(2)イメージングビーム64が発生する各時間(画像サイクルに付き256回)を表す、画像制御/処理回路32からの送信トリガを得るための送信トリガ入力124と;(3)現在のフレームまたは画像サイクルの末端を示す、画像制御/処理回路32からのフレームトリガを得るためのフレームトリガ入力126と;(4)各位置決めトランスデューサ36と交差する走査線66を表す信号を出力するための交差走査線出力128と;(5)交差走査線66に沿ってフェーズアレイ60と位置決めトランスデューサ36間で送信されたイメージングビーム64の走行時間を出力するための走行時間出力130を具える。
【0052】
走査線入力122では、走査線処理回路120が受信器132と、増幅器134と、バンドパスフィルタ136と、整流器138と、ローパスフィルタ140を具える。これらは、上述の同じ名称の構成部品について述べた機能を実行するように構成されている。標準ピーク検出器とA/Dコンバータの代わりに、処理回路120は最大ピーク検出器142を具えている。
【0053】
最大ピーク検出器142は、リセットされるまで、ローパスフィルタ140から受信した低周波信号の最大ピークを保存する、すなわち、現在のイメージングビーム64に相関する低周波信号のピーク振幅のみを、すでに保存されているピーク振幅より大きい場合に保存する。最大ピーク検出器142は、もし現在の信号のピーク振幅が、現在保存されている最大ピーク振幅より大きい場合に、信号(例えば、高)を出力する。フレームトリガ入力126は、最大ピーク検出器142のリセット端子に接続されており、トランスデューサアレイ60が全画像サイクルを完了した場合に「0」にリセットされる。
【0054】
処理回路120は、カウンタ144、つまり送信トリガ入力124に接続されたクロック入力を具える。したがって、カウンタ144は、イメージングビーム64が生成されるごとに「1」づつインクリメントする。フレームトリガ入力126は、カウンタ144のリセット端子に接続されており、トランスデューサアレイ60が1の画像サイクルを終了すると、カウンタが「0」にリセットされる。処理回路120は更に、カウンタ144から現在のカウントをラッチする第1のラッチ146を具える。最大ピーク検出器142の出力は、第1のラッチ146の制御入力に接続されており、現在受信しているイメージングビーム信号の振幅が、現在保存されている最大振幅より大きいときに(最大ピーク検出器142が論理的高を出力する)、現在のカウントを出力する。
【0055】
処理回路120は更に、第1のラッチ146から出力されるカウントでラッチを行う第1のラッチ146の出力に接続された第2のラッチ148を具える。
フレームトリガ入力126は、この第2のラッチ148の制御入力に接続されており、トランスデューサ60が全サイクルを完了すると第2のラッチ148が交差走査線出力128に最終カウントを出力する。このカウントは、各位置決めトランスデューサ36と交差する走査線を表す。例えば、カウント数が125であれば、その位置決めトランスデューサ36と交差する走査線66は125番目の走査線66である。
【0056】
走査線処理回路120は更に、別のカウンタ150を具える。このカウンタのリセット端子は、送信トリガ入力端子124に接続されており、イメージングビーム64がトランスデューサアレイ60によって送信を行うたびにリセットされてゼロからカウントを開始するようになっている。したがって、カウンタ150の実行中のカウント値は、イメージングビーム64の送信からの時間を測定することになる。処理回路120は更に、カウンタ150の出力に接続された第3のラッチ152を具えており、これによってカウント値を受信する。第3のラッチ152のコントロール端子も、最大ピーク検出器142の出力に接続されて、最大ピークが受信されたかどうかを表示する信号、すなわち、現在のピークの振幅がすでに保存されている最大ピークより大きければ高、さもなければ低という信号を受信する。したがって、最大ピーク検出器142から高信号を受信すると、第3のラッチ152がカウントを出力し、これによって、トランスデューサアレイ60と位置決めトランスデューサ36間の距離測定を、そのイメージングビーム64の送信と検出の間の経過時間という形で与える。したがって、第3のラッチ152は、受信した現在の最高振幅を有するイメージングビーム信号に対応するカウントのみを出力する。
【0057】
処理回路120は更に、第3のラッチ152から出力されたカウントをラッチするために第3のラッチ152の出力に接続された第4のラッチ154を具える。フレームトリガ入力126は、第4のラッチ154の制御入力に接続されており、第4のラッチ154はトランスデューサアレイ60が全画像サイクルを完了したら走行時間出力130に最終カウントを出力する。このカウントは、トランスデューサアレイ60と位置決めトランスデューサ36間の距離測定を、交差イメージングビーム64の送信と検出の間の経過時間という形で提供する。
【0058】
D.登録プロセッサ
図1を参照すると、登録プロセッサ46は、(1)グローバル座標システム内に位置決めトランスデューサ36を登録するように構成されたブローバル登録サブプロセッサ114と、(2)ローカル画像座標システム内に位置決めトランスデューサ36を登録するように構成されたローカル登録サブプロセッサ116とを具える。
【0059】
1. グローバル登録サブプロセッサ
その登録機能を実行するにおいて、グローバル登録サブプロセッサ114は、まず、図5に記載されている走行時間マトリックスと単純な距離の計算式に基づいて、位置決めトランスデューサ36と基準トランスデューサ38すべての間の距離を決定する。例えば、図9を参照すると、送信トランスデューサTXと4つの受信トランスデューサRX(1)−(4)が、各距離da−ddだけ互いに離れて示されている。送信トランスデューサTXと受信トランスデューサRX(1)−(4)間の距離da−ddを測定するには、式d=ντを用いる。ここで、νは送信トランスデューサTXから媒体を介して受信トランスデューサRX(1)−(4)へ送信される超音波パルスの速度、τは、その超音波パルスが送信トランスデューサTXと各受信トランスデューサRX間を移動するのにかかる時間である。距離の計算を簡単にするために、超音波パルスの速度は一定であると仮定することができる。このように仮定しても、超音波パルスの速度(1540m/sと考えられる)は、固相の身体組織や血液中ではほとんど変化しないので、通常、わずかなエラーが生じるだけである。
【0060】
距離がわかると、グローバル登録サブプロセッサ114は、各基準トランスデューサ38と残りの基準トランスデューサ38間の相対距離の計算を三角測量することによってグローバル座標システムを設定する。グローバル登録サブプロセッサ114は、各位置決めトランスデューサ36と基準トランスデューサ38間の相対距離計算を三角測量することによって、このグローバル座標システム内に位置決めトランスデューサ36の座標を決定する。好ましくは、登録プロセッサ46が位置決めトランスデューサ36の位置を連続的かつリアルタイムで決定する。図に示す実施例では、これらの位置が15回/秒で決定される。
【0061】
グローバル登録技術の更なる詳細は、米国特許第6,490,474号及び米国特許出願第09/128,304号に記載されている。
【0062】
2. ローカル登録サブプロセッサ
その登録機能を実行する際に、ローカル登録サブプロセッサ116は、まず、各基準トランスデューサ38に交差する各画像走査線を決定することによってローカル画像座標システム内に各位置決めトランスデューサ38の方位角(θ)と仰角(φ)の角座標を決定する。特に、画像制御/処理回路32からフレームトリガを受信した時、すなわち、画像サイクルの最後に、ローカル登録サブプロセッサ116が走査線計算回路44の出力90からピーク振幅カウント値を得て、最も大きいピーク振幅を決定する。その最も高い振幅値に対応する特定の走査線66は、その位置決めトランスデューサ36と交差する走査線66であるとみなされる。走査線処理回路120が用いられている代替のケースでは、この回路から得られたシングルカウント値がすでに交差する走査線66を表示していることになる。いずれの場合も、ローカル登録サブプロセッサ116は、その交差走査線66と対応する角座標が、ローカル画像座標システム内の各位置決めトランスデューサ36の角座標であるとみなす。
【0063】
例えば、図10は、走査線66とその方位角(θ)と仰角(φ)に対応する角座標を示す。トランスデューサアレイ60が左から右へ、また上から下へスキャンしているように走査線66に番号が付けられていると仮定し、また、45番目の走査線がその位置決めトランスデューサ36と交差すると仮定した場合、角座標は、方位角(θ)18度、仰角(φ)22度として算出される。
【0064】
ローカル登録サブプロセッサ116は、ローカル画像座標システム内の各位置決めトランスデューサ38のラジアル座標(r)も決定する。特に、ローカル登録サブプロセッサ116は、走査線処理回路44の出力92から走行時間を得て、最大ピークの振幅、すなわち交差走査線66に対応する走行時間を同定する。ローカル登録サブプロセッサ116は、この走行時間と距離方程式d=νtとから、トランスデューサアレイ60とその位置決めトランスデューサ36間の距離を計算する。この計算した距離は、トランスデューサアレイ60とその位置決めトランスデューサ36間の交差走査線66の長さを表し、したがって、これはローカル画像座標システム内のその位置決めトランスデューサ36のラジアル座標rである。
【0065】
上述したプロセスの解像度は、ビーム幅が、すなわち4×4度に制限されている。しかしながら、この解像度は、各々が256のイメージングビーム64の組み合わせによって生じる一意の受信プロファイルを分析する追加の方法を用いることで上げることができる。特に、全ての送信走査線66によって規定される超音波フィールドは、走査を行ったピラミッド状容積内の全ての空間的な位置において一意的な受信プロファイルを作る。これに基づいて、予想される受信プロファイルをルックアップマトリックスに保存することができ、続いて測定データと比較して、4度の走査線間隔を超える解像度に改善することができる。図に示す実施例では、予想される受信プロファイルを、超音波シュミレーションプログラムFIELD IIバージョン2.60を用いてシュミレートして、位置が固定のラジアル距離r、例えば70mm、において方位角と仰角が1度毎になるように特徴づける。トランスデューサアレイ60が広いビーム幅と固定焦点を有するため、一意的な受信プロファイルは、大幅に変化することなくラジアル距離rに対応する。したがって、256の各データポイントでできた4225の異なる受信サインが、対応する角座標と共にルックアップマトリックスに保存される。
【0066】
256本の走査線66のピーク振幅が走査線処理回路44から得られると、これをルックアップテーブル中の一意的な受信プロファイルと比較して1度の解像度内で各位置決めトランスデューサ36の角座標(θ、φ)を得る。特に、測定データおよび保存データについての相互相関が実行される。測定データに最も相関が高い値(すなわち、測定したピーク振幅)を有する一意的な受信プロファイルが、その位置決めトランスデューサ36の角座標を示す。以下の数式は、正規化した空間相互相関値を示す。
Psimφr,θsは、シュミレートした受信プロファイルからとったピーク−ピーク検出信号振幅である;φrとθsは、シュミレートした位置決めトランスデューサの角位置を示す;rとsは、4225箇所の一意的な位置に対応する:反転
は、(r、s)に対応する角位置における受信プロファイルの平均値である:Pmeasは、実際の位置決めトランスデューサからの検出した信号振幅である;φiとθjは一の画像フレーム中の256の各走査線に対応する角度である;反転
は、実際の位置決めトランスデューサの受信プロファイルの平均値である。相互相関値は、マトリックスρ(φr、θs)内に保存されており、ここで、φrとθsは、シミュレートした位置決めトランスデューサ位置の仰角と方位角の角位置である。マトリックスρ(φr、θs)内の最高相関値に対応する角位置は、1度以内の実際の位置決めトランスデューサ位置に最も近い位置を表示している。
【0067】
解像度の更なる改良として、方位角と仰角における5つの最高相関値を介した二つの一次元スプラインを用いて、位置決めトランスデューサ36の位置を正確なものにすることができる。
【0068】
E.座標システム変換
図1を参照すると、座標システム変換器48は、ローカル座標システムをグローバル座標システムに変換する。この変換機能を実行するに当たって、座標システム変換器48は、グローバル座標システム内の位置決めトランスデューサ36のデカルト座標(x、y、z)に基づいた変換を、グローバル登録サブプロセッサ114による計算として計算し、ローカル画像座標システム内の位置決めトランスデューサ36の球座標(r、θ、φ)を、ローカル登録サブプロセッサ116による計算として計算する。このことは、従来の変換技術を用いて行うことができる。例えば座標システム変換器48は、最初に位置決めトランスデューサ36のローカル球座標(r、θ、φ)をローカルデカルト座標(x’、y’、z’)内に変換することができる。ついで、(P1、P2、P3)をグローバル座標システム中の位置決めトランスデューサ36の位置とし、(P1’、P2’、P3’)をローカル座標システム内の位置決めトランスデューサ36の位置として、プロクラステス変換を用い、ローカル座標システム(x’、y’、z’)をグローバル座標システム(x、y、z)に変換する変換Tを計算することができる。上述したとおり、画像制御/処理回路32は、この変換Tを用いて、ローカルデカルト座標システム(x’、y’、z’)内に保存されている画像データをグローバル座標システム(x、y、z)内に登録する。
【0069】
画像データをグローバル座標システムに登録するためには、当初3つの位置決めトランスデューサ36のみがトランスデューサアレイ60で照射されることが必要とされる。変換の計算とグローバル座標システムへの画像データの最初の登録の後にトランスデューサアレイ60の角度のみが動く場合、すなわち、トランスデューサアレイ60の中央の位置座標が動かない場合は、画像データをグローバル座標システムに正しく登録するためには、二つの位置決めトランスデューサ36のみを、トランスデューサアレイ60が照射することが必要となる。トランスデューサアレイ60の中央が、二つの座標システム間の第3の共通ポイントを形成し、従って、上述したとおりローカル座標システムがグローバル座標システムに変換され得る。
【0070】
IV.三次元レンダリングプロセッサ
三次元グラフィカルプロセッサ18は、内部解剖学的構造のグローバル表示を、グローバル座標システム中に心室のコンピュータ生成表示(すなわち、再構築)の形で生成するように構成されている。三次元グラフィカルプロセッサ18は、マッピング/アブレーションカテーテル24が内部解剖学的構造のキャビティ内部を移動しているときに、グローバル座標システム内の位置決めトランスデューサ36の位置を得ることによって、これを行い、取得した位置に解剖学的シェルを変形する。三次元グラフィカルプロセッサ18は、カテーテル24の遠位端に位置する位置決めトランスデューサ36の計算した位置座標と、位置トランスデューサ間の既知の位置関係に基づいて内部解剖学的構造のグラフィカル表示内にマッピング/アブレーションカテーテル24のグラフィカル表示を構築するようにも構成されている。
【0071】
三次元グラフィカルプロセッサ18は、マッピング/アブレーションサブシステム12から得た電気活動情報に基づいて、電気活動マップを内部解剖学的構造のグラフィカル表示に重畳するようにも構成されている。この電気活動マップは、続けて焼灼治療を行うために、興味対象である部位、すなわち、電気生理学的記録部位および焼灼部位を示す。このグラフィカル再構築技術の更なる詳細は、米国特許第6,490,474号および米国特許出願第09/128,304号に記載されている。
【0072】
身体組織をグラフィカルに再構築することに代えて、あるいはこれに加えて身体組織の三次元画像を生成する多くの画像技術のいずれかを用いても良い。たとえば、磁気共鳴画像(MRI)画像装置、コンピュータ断層撮影(CT)画像装置を用いて、内部解剖学的構造の三次元画像を生成することができる。これを行うために、画像装置を横方向及び/又は回転方向に移動させて、複数の身体組織の断面画像あるいはセクタ画像を、身体組織の異なる位置で得ることも可能である。次に複数の断面画像を集めて(例えば、つなぎ合わせて)内部解剖学的構造の三次元画像を再構築することも可能であろう。例えば、画像装置に超音波位置決めトランスデューサを搭載するなどして、画像装置をトラッキングする、従ってその画像装置で取得した断面画像あるいはセクタ画像をトラッキングすることにより、内部解剖学的構造の三次元画像をグローバル座標システム内に登録することも可能であろう。代替的に、身体組織内の解剖学的ランドマークの位置を、例えば、マッピング/アブレーションカテーテル24を用いて、グローバル座標システム内で決定することもできる。ついで、内部解剖学的構造の三次元画像は、内部解剖学的構造の三次元画像内の解剖学的ランドマークの位置を、グローバル座標システム内の解剖学的ランドマークの決められた位置と関連づけることによって、グローバル座標システムと共に登録することができる。
【0073】
V.合成画像生成器
合成画像生成器20は、画像制御/処理回路32から得た登録画像データを三次元グラフィカルプロセッサ18から得た三次元グラフィカル情報に重畳し、内部解剖学的構造の合成画像としてディスプレイ22に合成画像を表示するように構成されている。これは、よく知られたグラフィカル技術を用いて行うことができる。
【0074】
VI.医学的治療システムの代替の実施例
図11を参照すると、本発明によって構築されたその他の例示的な医学的治療システム210が示されている。治療システム210は、画像データの座標ではなく、三次元グラフィカル情報の座標が変換され、グローバル座標システムではなくローカル座標システム内に合成データが表示される点以外は、上述した治療システム10と同じである。
【0075】
このため、治療システム210は、周辺イメージングヘッド30によって得られた画像データをローカル球座標システムからローカルデカルト座標システムへ単に変換する画像制御/処理回路232を具えており、この画像データを合成画像生成器20に出力する点を除いて、上述した画像サブシステム214と同じである。画像データは実際にローカル座標システム内に表示されるので、画像サブシステム214は、画像データをグローバルデカルト座標システムに変換しない。むしろ、治療システム210は、三次元グラフィカルプロセッサ218を具えており、これは、上述した三次元グラフィカルプロセッサ18のように、グラフィカル情報を生成するが、更に、グローバルデカルト座標システムからのこの情報をローカルデカルト座標へ変換する。
【0076】
治療システム210は、登録サブシステム216を具えている。これは、むしろ逆に、グローバル座標システムをローカル座標システムに変換する座標システム変換器248を具えること以外は、上述の登録サブシステム16と同じである。その変換機能を実行するにおいて、座標システム変換器248は、上述の座標システム変換器48と同様に、グローバル座標システム内の位置決めトランスデューサ36のデカルト座標(x、y、z)に基づいた変換を、グローバル登録サブプロセッサ114による計算として計算し、ローカル画像座標システム内の位置決めトランスデューサ36の球座標(r、θ、φ)を、ローカル登録サブプロセッサ116による計算として計算する。しかしながら、プロクラステス変換を用いる場合は、座標システム変換器248は、位置決めトランスデューサ36のローカル球座標(r、θ、φ)をローカルデカルト座標(x、y、z)に変換することによってグローバル座標システムをローカル座標システムに変換する変換Tを計算し、(P1、P2、P3)をローカル座標システムの位置決めトランスデューサ36の位置とし、(P1’、P2’、P3’)をグローバル座標システム内の位置決めトランスデューサ36の位置とする。三次元グラフィカルプロセッサ218は、次にこの変換Tを用いて、グローバルデカルト座標システム(x’、y’、z’)に保存されているグラフィカル情報を、ローカル座標システム(x、y、z)に変換する。
【0077】
合成画像発生器20は、画像制御/処理回路232から得た画像データを三次元レンダリングプロセッサ218から得た三次元グラフィカル情報と重畳し、内部解剖学的構造の合成画像として、ディスプレイ22に合成画像データを表示する。
【図面の簡単な説明】
【0078】
図面は、本発明の実施例の構成及び実用性を記載したものであり、同じエレメントには共通の番号が付されている。
【図1】図1は、本発明によって構成した医療治療システムの一実施例の機能ブロック図である。
【図2】図2は、図1に示す医療治療システムで用いられているマッピング/アブレーションカテーテルの平面図である。
【図3】図3は、図1に示す画像サブシステムで用いることができる周辺イメージングヘッドの斜視図である。
【図4】図4は、図1に示す画像制御/処理回路の一実装の機能ブロック図である。
【図5】図5は、図1に示す位置決めトランスデューサと基準トランスデューサ間の距離を計算することによって作った距離マトリックスを示すテーブルである。
【図6】図6は、図1に示す超音波レンジ回路の一実装の機能ブロック図である。
【図7】図7は、図1に示す走査線決定回路の一実装の機能ブロック図である。
【図8】図8は、図1に示す走査線決定回路の代替の実装の機能ブロック図である。
【図9】図9は、複数の超音波受信トランスデューサと一の超音波送信トランスデューサ間の位置的な配置に関する機能ブロック図である。
【図10】図10は、図1に示す画像サブシステムで用いる走査線の端面図である。
【背景技術】
【0001】
発明の属する技術分野
本発明は医療イメージングシステムに関するものであり、特に超音波画像を座標システムに登録するシステムに関する。
【0002】
発明の背景
診断および治療プランを立てる目的で、患者の身体の内部生体構造を見るために医療プロセスにおいて画像技術は一般に用いられている。ほとんどの内臓をリアルタイムで三次元超音波画像にレンダリングする技術がここ数年間存在しているが、心臓医学におけるリアルタイム三次元超音波では、リアルタイムで画像を獲得し表示して、鼓動する心臓や、その他の心臓の動きについてゆくためには、より高いフレームレートが必要である。最近まで、心臓の三次元表示画像は、二次元画像をシーケンシャルに獲得して、ワークステーションでこれらの画像をボリュームレンダリング用に入力するようにして、非リアルタイムベースで生成されていた。
【0003】
トランスデューサと処理技術の近年の発達により心臓と周辺の脈管構造のリアルタイムの三次元超音波画像化が商業的に入手可能となった。例えば、ワシントン州ボーセル市所在のPhilips Medical System社が販売しているSONOS7500イメージングシステムは、このような商業的に入手可能なシステムの一例であり、このシステムは画像を生成するのに外付デバイスを使用している。このシステムは、電気生理学的処理を行う間にカテーテルのナビゲーションと配置を補助するのに適切な解像度の心臓構造のリアルタイム三次元画像を提供している。例えば、Lang et al., “A Fantastic Journey: 3D Cardiac Ultrasound Goes Live,” Radiology Management, November/December 2002; 及び、“Phillips Prepares to Launch System Upgrade Capable of True Real-Time 3D Echo,” Diagnostic Imaging Scan, The Global Biweekly of Medical Imaging, Vol. 16, No. 18, September 11, 2002、を参照されたい。
【0004】
電気生理学的治療を行う間に、心臓のリズム障害を治療するためにアブレーションが行われる。これらの処理を行う間、外科医は、大静脈あるいは大動脈を介して治療を行う心臓の内部領域にカテーテルを操作して入れる。外科医はカテーテルに搭載したアブレーションエレメントを、アブレーションを行うターゲットである心臓組織近傍まで送り込み、アブレーションエレメントからエネルギィを与えてその組織を焼灼して、外傷を作る。心臓組織に異常な電気信号が生じる心臓の状態である不整脈の治療にこのような処理を用いることができる。
【0005】
SONOS7500などのリアルタイム三次元画像システムは、三次元カテーテルナビゲーションシステムをある程度不要にする。しかしながら、未だに三次元ナビゲーションシステムは、カテーテル位置と内部解剖学的構造を以前に記録しておいた信号と焼灼箇所に関係付けるのに非常に便利である。
【0006】
カリフォルニア州サンホセ市所在のBoston Scientific Corporation社が開発したRealtime Position ManagementTM (RPM)トラッキングシステムという商業的に入手可能な一のナビゲーションシステムでは、例えば心室など、コンピュータで生成した身体組織の三次元表示上に、カテーテルのグラフィック表示が表わされる。身体組織の三次元表示は、複数の超音波位置決めトランスデューサをカテーテルに配設し、その位置決めトランスデューサを用いてグローバル座標システム内でカテーテルの位置をトラッキングしながら、当該身体組織上の複数ポイントにカテーテルを移動させることによって、三次元座標システム内に当該身体組織の内側表面のジオメトリをマッピングすることで生成される。ついで、グラフィカルな解剖学的シェルは、トランスデューサの位置を得るに従い、それに一致させるように変形される。例えば、マッピング/アブレーションカテーテルなど、身体内に案内されるその他のカテーテルの位置は、それらカテーテルに超音波トランスデューサを配設し、この三次元座標システム内でカテーテルの位置をトラッキングすることによって決まる。
【0007】
心臓学的な治療の場合、三次元座標システム内で電気生理学マップを生成して登録するために、アブレーション/マッピングカテーテルによって検知した電気活動を、カテーテルの検知位置と関連付けるようにすることができる。こうして心臓不整脈などの異常な活動に関連する組織は、その電気生理学的マップ上に示すようにマッピング/アブレーションカテーテルのアブレーション電極を当該組織と接触する位置に案内して、電極を付勢してその組織に外傷をつけることによって治療できる。
【0008】
デューク大学の最近の研究は、SONOS7500画像システムで生成したような三次元超音波画像内にカテーテルを特定する能力を実証した。Merdes et al., “Locating a Catheter Transducer in a Three-Dimensional Ultrasound Imaging Field,” IEEE Transactions on Biomedical Engineering, Vol. 48, No. 12, December 2001, pages 1444-52、を参照されたい。この方法は、三次元画像の座標システム内で、追跡されるカテーテルによって搬送される超音波トランスデューサの位置を決定するステップを含んでいる。この方法の主な限界は、このシステムは三次元画像の座標システム内のトランスデューサの位置を報告するものであるので、イメージングデバイスの位置が変化すると座標システムが変化し、従って、事前に登録されていたマッピングデータと焼灼位置が失われてしまうとことである。このことは、例えば心臓内あるいは経食道イメージングプローブなど、画像処理を行う間にそのイメージングデバイスが患者の身体内を頻繁に移動する内部デバイスである場合は、非常に重大な問題である。
【0009】
発明の概要
本発明は、内部解剖学的構造を画像化するシステムに関する。内部解剖学的構造とは、患者の身体内部に見られる組織でもあり得る。例えば、内部解剖学的構造は、心臓のような内臓でもあり得る。内部解剖学的構造の超音波画像は獲得され、第1の座標システム内に配置される。この超音波イメージングデータは、心臓内イメージングプローブ、あるいは経食道イメージングプローブなどの、内部周辺デバイスを用いて内部的に、あるいは、外付周辺デバイスを用いて外部的に、いずれの方法でも得ることができる。
【0010】
少なくとも一の超音波トランスデューサの位置が、第1の座標システムと第2の座標システム内で決定される(例えば、一またはそれ以上のプロセッサを有する登録サブシステムを用いる)。必須ではないが、第2の座標システムが、内部解剖学的構造に対して固定されており(例えば第2の座標システムを内部解剖学的構造自体に設置するなどして)、内部解剖学的構造が移動した場合でも第2の座標システムを変えなくてもすむようにすることが好ましい。
【0011】
第1及び第2の座標システムは様々に構成することができる。例えば、第1の座標システムは、ローカル三次元座標システム、特に球座標システムであり、第2の座標システムがグローバル三次元座標システム、特に、デカルト座標システムであってもよい。その他のタイプの座標システムもまた考えることができる。第2の座標システムが球座標システムであり、第1の座標システムがデカルト座標システムであっても良い。あるいは第1及び第2の座標システムの両方がデカルト座標システムである、あるいは両方が球座標システムであっても良い。
【0012】
第1の座標システム内の超音波トランスデューサの位置は、様々な方法で決定することができる。例えば、超音波信号を、その超音波トランスデューサと、超音波画像データを獲得する位置に対して固定されている一またはそれ以上のその他の超音波トランスデューサとの間で生成することができる。この場合、第1の座標システム内の超音波トランスデューサの位置は、少なくとも部分的に、受信した超音波信号の一又はそれ以上の測定特性(例えば、振幅及び/又は、走行時間)に基づくものであっても良い。その他の超音波トランスデューサは二重機能を有し、超音波トランスデューサの配置に加え、超音波画像データの少なくとも一部を得るのに使用することができるのが好ましい。第2の座標システム内の超音波トランスデューサの位置も様々な方法で決定することができる。例えば、当該超音波トランスデューサと基準超音波トランスデューサ間で超音波信号を生成することができる。
【0013】
第1及び第2の座標システム間での変換は、第1及び第2の座標システム内の超音波トランスデューサの決定した位置に基づいて行われる。第1の座標システムを第2の座標システムに変換することができ、逆も同様である。前者の場合は、座標システム変換によって(例えば画像プロセッサによって)第2の座標システム内に超音波画像データを登録して、内部解剖学的構造の超音波画像として表示することができる。更に、(例えば、グラフィックプロセッサなどによって)対象となる解剖学的部位などのグラフィック情報を生成して、第2の座標システムに登録し、内部解剖学的構造の超音波画像と共に表示することができる。一方で、第2の座標システムが第1の座標システムに変換される場合は、第2の座標システム内にグラフィック情報を生成して、座標システム変換に基づいて第1の座標システム内に登録し、標準的な方法で第1の座標システム内に登録される画像データと共に表示することができる。
【0014】
二つの座標システムの変換は、例えばアブレーションサイトや電気生理学的サイトなどのもともと第1及び第2の座標システムにそれぞれ登録されている画像データとグラフィックデータを、画像データを得るイメージングデバイスが移動するかどうかと無関係に、互いに正しく表示させる。なぜなら、第2の座標システムは、イメージングデバイスに連結されていないからである。
【0015】
内部解剖学的構造をイメージングするある特定の実施においては、当該解剖学的構造と交差する複数の走査線に沿って複数の超音波ビームが伝送される。次いで、内部解剖学的構造で反射された超音波ビームの一部から超音波画像データが得られる。各超音波ビームの一またはそれ以上の特性(例えば振幅及び/又は走行時間)が超音波位置決めトランスデューサで測定される。位置決めトランスデューサの第1の座標システム内の位置は、測定した特性に基づいて決定される。これは、様々な方法のいずれによっても行うことができる。
【0016】
例えば、球座標システムでは、位置決めトランスデューサの半径方向の座標は、その走査線に対応する超音波ビームの振幅に基づいて、どの走査線が位置決めトランスデューサと交差するかをまず決定することによって決まる。一の実施例では、測定した最も大きい振幅を有する超音波ビームに対応する走査線が、交差走査線として選択されている。原点と位置決めトランスデューサ間の交差走査線の長さが、対応する超音波ビームの走行時間を測定することによって決まる。半径方向の座標は、この交差走査線の長さに等しい。位置決めトランスデューサの角座標、特にその方位角及び仰角座標は、交差走査線の角座標を位置決めトランスデューサに割り付けることによって決定する。代替的に、位置決めトランスデューサの方位角及び仰角座標は、超音波ビームの測定した振幅を、ルックアップマトリクス内のシミュレートした一意な受信プロファイルと比較して、最も大きな相関値を有する受信プロファイル内の関連する角座標を位置決めトランスデューサに割り付けることによって決まる。
【0017】
第1及び第2の座標システム内の位置決めトランスデューサのそれぞれの位置がわかると、第2の座標システム内の位置決めトランスデューサの位置が決まり、上述したように座標システムの変換が行われる。少なくとも3つの位置決めトランスデューサを用いて、三次元座標システム間の変換をできるようにすることが好ましい。
【0018】
本発明のその他の態様及び特徴は、添付図面を参照して以下の説明を考慮することによって明らかになる。
【0019】
実施例の詳細な説明
図1を参照すると、本発明によって構築された例示としての医療治療システム10が示されている。この治療システム10は、特に、心臓のイメージング、マッピング、および治療に適している。しかし、例えば、前立腺、脳、胆嚢、子宮、食道、その他の身体内の領域など、その他の内部解剖学的構造の治療にも使用できることは明らかである。治療システム10は、通常、(1)心臓内の組織をマッピングし焼灼するマッピング/アブレーションサブシステム12と;(2)心臓の画像データを生成するイメージングサブシステム14と;(3)三次元グラフィック環境内の画像及びマッピングデータを登録する登録サブシステム16と;(4)画像処理を行った身体組織を含む環境の三次元グラフィックデータを生成する三次元グラフィックプロセッサ18と;(5)登録された画像データと三次元グラフィックデータから合成画像を生成する合成画像生成器20と;(6)その合成画像を表示するディスプレイ22とを具える。図1に示すエレメントは事実上機能的なものであり、いかなる形においてもこれらの機能を実行する構造を限定するものではない。例えば、いくつかの機能ブロックは、一つのデバイスにまとめることができるし、一つの機能ブロックを複数のデバイスに分けることもできる。また、これらの機能は、ハードウエア、ソフトウエア、ファームウエアで実行することができる。
【0020】
I.マッピング/アブレーションサブシステム
マッピング/アブレーションサブシステム12は、例えば変行伝導経路などの、ターゲット組織部位を同定し治療するために用いられる。この目的のために、マッピング/アブレーションサブシステム12は、マッピング/アブレーションカテーテル24と、マッピングプロセッサ26、および無線周波(RF)発生器28を具える。図2に示すように、マッピング/アブレーションサブシステム24は、細長カテーテル部材52、カテーテル部材52の遠位端に設けた複数の電極54(この場合は、3つ)、細長部材52の近位端に設けたハンドル56を具える。カテーテル部材52上の3つの電極54はすべて、ターゲット部位を連続的に同定するために心筋組織内の電気信号を検出するように構成されている。カテーテル部材52の遠位先端の電極54は、アブレーション電極としても使用するように構成されており、ターゲット部位近傍に位置して動作する際にターゲット部位に焼灼エネルギィを提供する。ハンドル56は、マッピングプロセッサ26とRF発生器28を電気的に接続するための電気コネクタ(図示せず)を具えている。
【0021】
図1を参照すると、マッピングプロセッサ26は、電極54から得た電気信号から活性化回数と電圧分布を取り出すように構成されており、心臓内の不規則な電気信号を測定して、マップとしてグラフィック表示することができる。心臓内組織のマッピングは、公知の技術であり、説明を簡潔にするためにマッピングプロセッサ26については詳細に説明しない。電気生理学的マッピングに関する詳細は、米国特許第5,485,849号、第5,494,042号、第5,833,621号、第6,101,409号に記載されている。
【0022】
RF発生器28は、マッピングプロセッサ26によって同定した部位を焼灼するために、制御された態様でアブレーション電極(すなわち、最も遠位にある電極54)に焼灼エネルギィを送出するように構成されている。代替的に、例えば、マイクロ波発生器、超音波発生器、冷凍アブレーション発生器、レーザ、またはその他の光学発生器などRF発生器28以外のその他のタイプの焼灼エネルギィ源を用いることもできる。心臓内の組織の焼灼は公知の技術であり、説明を簡潔にするためにRF発生器28の詳細は説明しない。RF発生器に関するさらなる詳細は、米国特許第5,383,874号に記載されている。
【0023】
その他のタイプのマッピング/アブレーションカテーテルを治療システム10に使用することができる。例えば、各々が複数の専用マッピング電極を担持した弾力性のある複数のスプラインでできたバスケット構造を有するカテーテルを使用しても良い。このカテーテルを心室に配置して、弾力性のあるスプラインを心臓の心内膜面に合わせ、それによってマッピング電極をキャビティの心内膜面全体に沿って分布させ、効率のよいマッピングを行う。このカテーテルは、マッピング電極で同定された焼灼部位に接触させて送り込むことができる移動アブレーション電極を具えていてもよい。あるいは、専用のアブレーション電極の付いた別のアブレーションカテーテルを用いることもできる。
【0024】
II.イメージングサブシステム
イメージングサブシステム14は、通常、身体内部を表示する超音波信号を生成し検出する周辺イメージングデバイス30と、これらの信号を処理して画像データにする画像制御/処理回路32と、イメージングデバイス30を画像制御/処理回路32接続するケーブル34を具える。図に示す実施例では、周辺イメージングデバイス30は、内臓の画像を作るために患者の皮膚に配置するように構成された外付けデバイスである。例えば、心臓の画像を作るために患者の胸部に配置することができる。しかしながら、例えば心臓内イメージングカテーテルや、経食道イメージングプローブなどの、内部イメージングデバイスを使用して心臓をイメージングするようにしても良い。
【0025】
図3を参照すると、周辺イメージングデバイス30は超音波画像トランスデューサ62のトランスデューサアレイ60を搭載したイメージングヘッド58を具える。このトランスデューサ62は、走査線66に沿って遠距離音場の超音波ビーム64をピラミッド状容積68内へ送り込むことができる。図に示す実施例では、超音波トランスデューサアレイ60は、16×16のトランスデューサマトリックスに配置されており、これは4度にラインが分かれる256の走査線66(図には3本だけ記載されている)を送信する。この場合、走査したピラミッド状容積は、方位角と仰角において64の角度レンジをカバーする。したがって、超音波トランスデューサアレイ60は、方位角(θ)と仰角(φ)の角座標及びラジアル座標(r)によって規定される球座標システムに配置されている超音波画像データを得る。
【0026】
アレイ60内のトランスデューサ62の数は、解像度及び/又はイメージングヘッド58の角度レンジを上げるために増やすことができる。例えば、商業的に入手可能なSONOS7500イメージングシステムのトランスデューサアレイは、例えば、弁膜などの心臓の細かな構造の画像をリアルタイムで作るのに十分な解像度を提供する何千ものトランスデューサを具えている。
【0027】
図4を参照すると、画像制御/処理回路32は、ケーブル34内を延在する信号ワイヤ(図示せず)を介してトランスデューサアレイ60に接続されたフェーズドアレイ制御回路70を具える。従来の方法を用いて、フェーズドアレイ制御回路70は、規定された走査線66に沿って超音波ビーム64を送り込み、これらの走査線66が交差する組織からの超音波画像データを取得する。画像制御/処理回路32は更に、超音波画像データを処理するための、特に、詳細を後述するように、登録サブシステム16で計算した変換の入力に基づいてローカルイメージング座標システム(すなわち、球座標システム)からグローバル座標システムへ画像データを変換するためにフェーズドアレイ制御回路70に接続された超音波画像プロセッサ72を具える。画像制御/処理回路32は、結果として合成画像発生器20の出力用に変換した画像データを保存するためのメモリ74も具える。
【0028】
心臓の超音波画像を得るために、周辺イメージングデバイスのイメージングヘッド58を身体、特に胸部の皮膚表面に、超音波トランスデューサアレイ60を心臓の方向にむけて配置する。画像制御/処理回路32を操作して、規定のシーケンス、振幅および位相でアレイ60の各画像トランスデューサ62に電気パルスを送信して、走査線66に沿ってピラミッド状容積64を超音波ビームが走査するようにする。画像制御/処理回路32はまた、アレイ60からの往復電気パルス(画像データを表す)を受信して処理を行う。
【0029】
したがって、画像フレームを生成するために、フェーズドアレイ回路70は信号ワイヤを介して規定されたシーケンス、振幅、および位相でトランスデューサアレイ60に電気信号を送信する。トランスデューサアレイ60は、第1の走査線66に沿って心臓内に出射された超音波ビーム64として、この電気パルスを超音波エネルギィに変換する。超音波エネルギィの一部が心臓で反射して、トランスデューサアレイ60に戻ってくる。トランスデューサアレイ60は、反射して戻ってきた超音波エネルギィを、第1の走査線66が交差している心臓の部位を表す電気信号に変換し、この信号は信号ワイヤを介してフェーズドアレイ回路66に戻るように送信される。この電気信号はフェーズドアレイ回路70によって検出され、超音波画像プロセッサ72に出力され、このプロセッサがこれを超音波画像データポイントとして保管する。全フレーム、すなわち256のデータポイントについてのデータポイントを獲得して保存するために、残りの走査線66についてこのプロセスをシーケンシャルに繰り返す。
【0030】
標準的な送信技術を用いて、画像プロセッサ72は、球座標システム(r、θ、φ)からのイメージングデータをデカルト座標システム(x’、y’、z’)に変換し、これがメモリ74に保存される。画像プロセッサ72は、詳細を以下に示すように、登録サブシステム16から変換Tを得ると、メモリ74から画像データを呼び出し、この画像データをローカルデカルト座標システム(x’、y’、z’)から、登録サブシステム16によって設立したグローバルデカルト座標システム(x、y、z)に変換する。
【0031】
フェーズドアレイ回路70はタイミング信号を生成し、特に、各ビーム送信の開始時間を表す送信トリガ、画像サイクルの最後のビーム送信を表す最終送信トリガ、各画像サイクルの最終端をあらわすフレームトリガを生成する。特に、各画像サイクルの最終端に不動作期間が設けられ、この場合、最後のビーム送信の開始時間とその画像サイクルの最終時間は互いに同じにならない。これらのタイミング信号と不動作期間の使用については、詳細を後述する。
【0032】
III.登録サブシステム
図1を参照すると、登録サブシステム16は一般的に、(1)複数の超音波トランスデューサ、特に超音波位置決めトランスデューサ36と超音波基準トランスデューサ38と;(2)時間データの形による超音波トランスデューサ36と38の様々な組み合わせの間の距離を決めるように構成された超音波レンジ回路42と;(3)ピーク振幅と、トランスデューサアレイ60と位置決めトランスデューサ36との間で送信される画像信号の走行時間を決定するように構成した走査線処理回路44と;(4)超音波レンジ回路42によって提供される時間情報に基づいてグローバル座標システム内に位置決めトランスデューサ36を登録し、走査線処理回路44によって提供される振幅および走行時間データに基づいてローカルイメージング座標システム中に位置決めトランスデューサ36を登録するように構成された登録プロセッサ46と;(5)ローカル画像座標システムをグローバル座標システムに変換するように構成された座標システム変換器48と、を具える。
【0033】
A.レンジングトランスデューサ
図に示す実施例において、超音波基準トランスデューサ38は一対の基準カテーテル(図示せず)に搭載されている。例えば、基準トランスデューサ38の数は、各基準カテーテルに4つの基準トランスデューサ38を搭載し、総計8つにできる。基準カテーテルは、それによって基準トランスデューサ38を三次元空間内に配置し、また、基準トランスデューサ38と位置決めトランスデューサ36を通信可能にする身体内のどの場所に配置してもよい(既知の場所が好ましい)。例えば、座標システムの最初の二つの次元は基準カテーテルの一方を心臓の冠状静脈洞(CS)に配置し、そこに搭載された4つの基準トランスデューサ38を二次元面に配置することによって得、第三の次元はもう一方の基準カテーテルを心臓の右室(RV)心尖部に配置し、そこに搭載された4つの基準トランスデューサ38を当該二次元面から離して配置することによって得る。CS基準カテーテル上に配置した基準トランスデューサ38の内の3つのみが、座標システムの最初の二つの次元を提供するのに必要であり、RV基準カテーテルに配置した基準トランスデューサ38の内の一つだけが、第3の次元を提供するために必要とされる。残りの基準トランスデューサ38は余分であり、三角測量プロセスの精度を改善するために使用される。
【0034】
位置決めトランスデューサ36は、マッピング/アブレーションカテーテル24の遠位端に搭載されており(図2参照)、そのうちの一つは、先端電極32のすぐ近位にある遠位先端に搭載され、残りの二つは、その遠位端の近位側に搭載されている。位置決めトランスデューサ36は、心室内の電気生理学的情報のマッピングと、続いて行われる焼灼を容易にする。後に更に詳細に説明するように、マッピング/アブレーションカテーテル24が心室内で動くので、位置決めトランスデューサ36は心室の心内膜面の構造的マッピングをも容易にする。選択的に、あるいは代替的に、位置決めトランスデューサ36を別のマーキングカテーテル(図示せず)の遠位先端に搭載して、心臓を構造的にマッピングする専用手段を提供することができる。心臓内の超音波トランスデューサの使用の更なる詳細は、米国特許第6,490,474号および米国特許出願第09/128,304号に記載されている。
【0035】
B.レンジング回路
超音波レンジング回路42は、受信機として、すなわち超音波パルスを受信するために位置決めトランスデューサ36を調整し、トランシーバとして、すなわち、超音波パルスを送受信するために超音波基準トランスデューサ38を調整するように構成されている。認識されているように、超音波トランスデューサは、電気パルスで刺激することによって送信機として動作することができ、超音波パルスを振動させ送信させる。超音波トランスデューサは、超音波パルスの受信とそれに続くトランスデューサの振動によって生じる電気パルスを受信することによって受信機として動作する。
【0036】
超音波レンジング回路42は、各基準トランスデューサ38を調整して電気パルスを送信させ、残りの基準トランスデューサ38を調整してその電気パルスを受信させることによって基準トランスデューサ38間の距離を決定するように構成されている。超音波レンジング回路は、次に、各超音波信号の「飛行時間」(time-of-flight)を測定する。以下に更に詳細に説明するように、登録プロセッサ46は、この時間情報から距離を計算し、次いでグローバル座標システムを構築するためにその距離で三角測定を行うことができる。
【0037】
超音波レンジング回路42は、各基準トランスデューサ38が超音波パルスを送信するように調整し、位置決めトランスデューサ36がその超音波パルスを受信するように調整することで、基準トランスデューサ38と位置決めトランスデューサ36の間の距離を決定するようにも構成されている。超音波レンジ回路は、ついで、「飛行時間」、すなわち、走行時間を各超音波信号について測定する。以下により詳細に示すように、登録プロセッサ46は、この時間情報から距離を計算し、その距離は次いで三角測量され、設定したグローバル座標システム内での位置決めトランスデューサ36の位置(x、y、z)、したがって、位置決めトランスデューサ36近傍のあらゆる構造または組織の位置を決定することができる。
【0038】
したがって、一方の側の8個の送信トランスデューサ(8個の基準トランスデューサ38(TXVR1−8))と、他方の側の11個の受信トランスデューサ(マッピングカテーテルに配置された8個の基準トランスデューサ38(TXVR1−8)と3個の位置決めトランスデューサ36(RX1−3))によって規定された8×11の距離マトリックスが形成されているのが図5に見られる。このマトリックスは、各送信トランスデューサと各受信トランスデューサとの間で送信された超音波パルスの走行時間を含む。以下に詳細に説明するように、各トランスデューサ間の距離(d1−d80)は、これらの走行時間の値を用いて計算することができる。
【0039】
図6を参照して、レンジング回路42の構成部品について詳細に説明する。説明を簡単にする目的で、レンジング回路42の構成部品は、単一の受信トランスデューサRX(例えば、位置決めあるいは基準トランスデューサ36/38の一つ)と複数の送信トランスデューサTX1−8(例えば基準トランスデューサ38)間の距離を決定するというコンテキストで述べる。しかしながら、図6に示すレンジング回路42は、すべての位置決め及び基準トランスデューサ36と38の間の図5に提供されている距離を決定するように、容易に変更できる。
【0040】
レンジング回路42は、送信トランスデューサTX1−8に接続したパルス発生器76、受信トランスデューサRXに接続したスレッシュホールド検出器78、スレッシュホールド検出器78に接続した距離回路80、パルス発生器76に接続した制御及びタイミング回路82、制御及びタイミング回路82に接続した距離カウンタ84を具える。パルス発生器76は、電気パルスを超音波パルスに変換する送信トランスデューサTX1−8に送信する電気パルスを発生するように構成されている。制御及びタイミング回路82は、所望の周波数と間隔でパルスを発生するようにパルス発生器76を動作させる。図に示す実施例では、電気パルスは、1ミリ秒当たり1パルスのレートで送信されるシングルサイクル500KHzのパルスである。制御及びタイミング回路82はパルス発生器76と送信トランスデューサTX1−8間の多重化を制御して、送信トランスデューサTX1−8が電気パルスによってシーケンシャルに刺激されるようにもしている。したがって、制御及びタイミング回路82は、第1のトランスデューサTX1に超音波パルスを送信させ、次いで第2のトランスデューサTX2というように、最後の基準トランスデューサTX8が超音波パルスを送信するまで送信させる。次いで制御及びタイミング回路82は、送信トランスデューサTX1−8を再度繰り返す。
【0041】
送信トランスデューサTXからの各超音波パルスの送信と同時に、制御及びタイミング回路82は、距離カウンタ84をトリガしてゼロからカウントを開始するように構成されている。距離カウンタ84の走行カウント値は、超音波パルス送信からの測定時間を提供する。この距離カウンタ84は、次の超音波パルスの送信時にゼロにリセットされる。
【0042】
各超音波パルスが送信された後に、受信トランスデューサRXは、超音波パルスを受信して、その超音波パルスを電気パルスに変換する。スレッシュホールド検出器78は、例えば電圧レベルなどのスレッシュホールドレベル以上の電気パルスを検出するように構成されている。距離回路80は、例えば100μ秒といった、ある時間ウインド内で送信されたパルスを聞き取る。時間ウインドは、送信パルスが送信されると同時か、あるいは、その後間もなく開始することができる。各受信トランスデューサによる送信パルスの検出時間を決定するに当たって、距離回路80は、スレッシュホールド検出器78がその時間ウインド内で検出した第1の信号を受信パルスとして解釈する。スレッシュホールド検出器78から検出電気パルスを受信すると、距離回路80が距離カウンタ84から現在のカウントを読み取る。これは受信トランスデューサRXと現在の送信トランスデューサTX間の距離測定を、送信パルスの送信と受信パルスの検出間の経過時間という形で提供する。
【0043】
以下に詳細に述べるとおり、登録サブシステム16は位置決めトランスデューサ36を用いてトランスデューサアレイ60から超音波画像パルスを受信して、トランスデューサアレイ60と位置決めトランスデューサ36間の距離及び、その位置決めトランスデューサ36と交差する走査線66との距離とを決定する。この機能間の干渉を防止するために、登録サブシステム16は、トランスデューサアレイ60からの画像超音波信号の受信と、基準トランスデューサ38からの位置決め超音波パルスを時間で多重化する。
【0044】
この結果、位置決めトランスデューサ36に個別の受信期間を提供するために、上述した不動作期間が画像サイクルの最後に置かれる。したがって、レンジング回路42はこの不動作期間中は送信トランスデューサTX1−8と受信トランスデューサRX間で超音波パルスを送受信するのみである。このレンジング回路42、特に、制御及びタイミング回路82は、サイクル中のイメージングビーム送信の最後、つまり、レンジング回路42がレンジングデータを取得することができる不動作期間の開始、を示す最終送信トリガを得るために、画像制御/処理回路32のフェーズドアレイ回路70に接続されている。図に示す実施例では、画像サイクルはイメージング機能用の45ミリ秒、およびレンジング機能用の8ミリ秒の53ミリ秒の期間を有する。
【0045】
C.走査線処理回路
図7を参照して、走査線処理回路44の構成部品について以下に詳述する。簡単にするために、走査線処理回路44の構成部品は、単一の位置決めトランスデューサ36のコンテキストで述べる。しかしながら、図7に示す走査線処理回路44は、残りの位置決めトランスデューサ36に対しても同じ機能を提供するように変換することができる。
【0046】
スキャン処理回路44は、(1)位置決めトランスデューサ36で受信した信号(および、特にイメージングビーム64からのエネルギィ)を得るための走査線入力86と;(2)超音波ビーム64が発生する各時間(イメージングサイクルに付き256回)を表示する画像制御/処理回路32からの送信トリガを得るための送信トリガ入力90と;(3)位置決めトランスデューサ36によって受信されたイメージングビーム信号のピーク振幅を出力するピーク信号出力92と;(4)位相アレイ60と位置決めトランスデューサ36間のイメージングビーム64の走行時間を出力する走行時間出力94を具える。
【0047】
走査線入力86において、走査線処理回路44は走査線信号(すなわち、各走査線に沿って送信されたイメージングビーム信号)を受信する受信器94と、イメージングビーム信号を増幅する増幅器96と、実質的にノイズフリー信号を出力するためのバンドパスフィルタ98(および、特に2.5MHzのバンドパスフィルタ)とを具える。処理回路44は、更にイメージングビーム信号成分の絶対値を出力する整流器100を具え、エネルギィの大部分を含むその信号の負の部分を後に検出できるようにする。処理回路44は、更に、イメージングビーム信号の大きさに相関した低周波数信号を出力するためのローパスフィルタ102と、これら低周波数信号のピークを検知し、その振幅がイメージングビーム64のピーク振幅に比例するアナログ信号を出力するためのピーク検出器104とを具える。特に、ローパスフィルタ102は、ピーク検出器104を簡単にし、より正確なものにする。これがなければ、高周波数信号で行うことになり難しいであろう。処理回路44は更に、ピーク検出器104からのアナログ信号を、位置決めトランスデューサ36が受信した各イメージングビーム64のピーク振幅を表す1から256のデジタル信号に変換するA/Dコンバータ106を具える。デジタル振幅データは以下に詳細を説明するように、オフライン処理を行うためにピーク信号出力94へ出力される。
【0048】
送信トリガ入力88において、走査線処理回路44は更に、カウンタ110を具える。このカウンタは、トリガ入力90での送信トリガの受信に応答して、ゼロからカウントを開始するようにリセットされる。つまり、カウンタ110はイメージングビーム64がトランスデューサアレイ60から送信されるたびにゼロからカウントする。したがって、カウンタ110の実行中のカウント値は、各イメージングビーム64の送信からの時間を測定する。このカウンタ110は、次のイメージングビーム64の送信時、すなわち、トリガ入力90が次の送信トリガを受信したときに、ゼロにリセットされる。
【0049】
処理回路44は、更にカウンタ110の出力に接続されたカウント値を受信するラッチ112を具える。ラッチ112は、走査線パルスのピークが受信されたときを表示する信号を受信するピーク検出器104にも接続されている。この信号を受信すると、ラッチ112は走行時間出力94にこのカウントを出力して、これによって、トランスデューサアレイ60と位置決めトランスデューサ36間の距離測定を、イメージングビーム64の送信と検出との間の経過時間という形で提供する。このカウントは、以下に詳細に説明するように、ピーク振幅出力92のイメージングビーム64の各ピーク振幅にマッチする。
【0050】
図8を参照して、代替の走査線処理回路120の実施例について述べる。走査線処理回路120は、位置決めトランスデューサ36と交差する走査線66と、それに対応する走行時間を決定し、これによって登録プロセッサ46内でこのタスクを遂行する必要がないようにする点において、上述の走査線処理回路44と異なる。
【0051】
このため、走査線処理回路120は、(1)位置決めトランスデューサ36によって受信される信号(および特に、イメージングビーム64からのエネルギィ)を得るための走査線入力122;(2)イメージングビーム64が発生する各時間(画像サイクルに付き256回)を表す、画像制御/処理回路32からの送信トリガを得るための送信トリガ入力124と;(3)現在のフレームまたは画像サイクルの末端を示す、画像制御/処理回路32からのフレームトリガを得るためのフレームトリガ入力126と;(4)各位置決めトランスデューサ36と交差する走査線66を表す信号を出力するための交差走査線出力128と;(5)交差走査線66に沿ってフェーズアレイ60と位置決めトランスデューサ36間で送信されたイメージングビーム64の走行時間を出力するための走行時間出力130を具える。
【0052】
走査線入力122では、走査線処理回路120が受信器132と、増幅器134と、バンドパスフィルタ136と、整流器138と、ローパスフィルタ140を具える。これらは、上述の同じ名称の構成部品について述べた機能を実行するように構成されている。標準ピーク検出器とA/Dコンバータの代わりに、処理回路120は最大ピーク検出器142を具えている。
【0053】
最大ピーク検出器142は、リセットされるまで、ローパスフィルタ140から受信した低周波信号の最大ピークを保存する、すなわち、現在のイメージングビーム64に相関する低周波信号のピーク振幅のみを、すでに保存されているピーク振幅より大きい場合に保存する。最大ピーク検出器142は、もし現在の信号のピーク振幅が、現在保存されている最大ピーク振幅より大きい場合に、信号(例えば、高)を出力する。フレームトリガ入力126は、最大ピーク検出器142のリセット端子に接続されており、トランスデューサアレイ60が全画像サイクルを完了した場合に「0」にリセットされる。
【0054】
処理回路120は、カウンタ144、つまり送信トリガ入力124に接続されたクロック入力を具える。したがって、カウンタ144は、イメージングビーム64が生成されるごとに「1」づつインクリメントする。フレームトリガ入力126は、カウンタ144のリセット端子に接続されており、トランスデューサアレイ60が1の画像サイクルを終了すると、カウンタが「0」にリセットされる。処理回路120は更に、カウンタ144から現在のカウントをラッチする第1のラッチ146を具える。最大ピーク検出器142の出力は、第1のラッチ146の制御入力に接続されており、現在受信しているイメージングビーム信号の振幅が、現在保存されている最大振幅より大きいときに(最大ピーク検出器142が論理的高を出力する)、現在のカウントを出力する。
【0055】
処理回路120は更に、第1のラッチ146から出力されるカウントでラッチを行う第1のラッチ146の出力に接続された第2のラッチ148を具える。
フレームトリガ入力126は、この第2のラッチ148の制御入力に接続されており、トランスデューサ60が全サイクルを完了すると第2のラッチ148が交差走査線出力128に最終カウントを出力する。このカウントは、各位置決めトランスデューサ36と交差する走査線を表す。例えば、カウント数が125であれば、その位置決めトランスデューサ36と交差する走査線66は125番目の走査線66である。
【0056】
走査線処理回路120は更に、別のカウンタ150を具える。このカウンタのリセット端子は、送信トリガ入力端子124に接続されており、イメージングビーム64がトランスデューサアレイ60によって送信を行うたびにリセットされてゼロからカウントを開始するようになっている。したがって、カウンタ150の実行中のカウント値は、イメージングビーム64の送信からの時間を測定することになる。処理回路120は更に、カウンタ150の出力に接続された第3のラッチ152を具えており、これによってカウント値を受信する。第3のラッチ152のコントロール端子も、最大ピーク検出器142の出力に接続されて、最大ピークが受信されたかどうかを表示する信号、すなわち、現在のピークの振幅がすでに保存されている最大ピークより大きければ高、さもなければ低という信号を受信する。したがって、最大ピーク検出器142から高信号を受信すると、第3のラッチ152がカウントを出力し、これによって、トランスデューサアレイ60と位置決めトランスデューサ36間の距離測定を、そのイメージングビーム64の送信と検出の間の経過時間という形で与える。したがって、第3のラッチ152は、受信した現在の最高振幅を有するイメージングビーム信号に対応するカウントのみを出力する。
【0057】
処理回路120は更に、第3のラッチ152から出力されたカウントをラッチするために第3のラッチ152の出力に接続された第4のラッチ154を具える。フレームトリガ入力126は、第4のラッチ154の制御入力に接続されており、第4のラッチ154はトランスデューサアレイ60が全画像サイクルを完了したら走行時間出力130に最終カウントを出力する。このカウントは、トランスデューサアレイ60と位置決めトランスデューサ36間の距離測定を、交差イメージングビーム64の送信と検出の間の経過時間という形で提供する。
【0058】
D.登録プロセッサ
図1を参照すると、登録プロセッサ46は、(1)グローバル座標システム内に位置決めトランスデューサ36を登録するように構成されたブローバル登録サブプロセッサ114と、(2)ローカル画像座標システム内に位置決めトランスデューサ36を登録するように構成されたローカル登録サブプロセッサ116とを具える。
【0059】
1. グローバル登録サブプロセッサ
その登録機能を実行するにおいて、グローバル登録サブプロセッサ114は、まず、図5に記載されている走行時間マトリックスと単純な距離の計算式に基づいて、位置決めトランスデューサ36と基準トランスデューサ38すべての間の距離を決定する。例えば、図9を参照すると、送信トランスデューサTXと4つの受信トランスデューサRX(1)−(4)が、各距離da−ddだけ互いに離れて示されている。送信トランスデューサTXと受信トランスデューサRX(1)−(4)間の距離da−ddを測定するには、式d=ντを用いる。ここで、νは送信トランスデューサTXから媒体を介して受信トランスデューサRX(1)−(4)へ送信される超音波パルスの速度、τは、その超音波パルスが送信トランスデューサTXと各受信トランスデューサRX間を移動するのにかかる時間である。距離の計算を簡単にするために、超音波パルスの速度は一定であると仮定することができる。このように仮定しても、超音波パルスの速度(1540m/sと考えられる)は、固相の身体組織や血液中ではほとんど変化しないので、通常、わずかなエラーが生じるだけである。
【0060】
距離がわかると、グローバル登録サブプロセッサ114は、各基準トランスデューサ38と残りの基準トランスデューサ38間の相対距離の計算を三角測量することによってグローバル座標システムを設定する。グローバル登録サブプロセッサ114は、各位置決めトランスデューサ36と基準トランスデューサ38間の相対距離計算を三角測量することによって、このグローバル座標システム内に位置決めトランスデューサ36の座標を決定する。好ましくは、登録プロセッサ46が位置決めトランスデューサ36の位置を連続的かつリアルタイムで決定する。図に示す実施例では、これらの位置が15回/秒で決定される。
【0061】
グローバル登録技術の更なる詳細は、米国特許第6,490,474号及び米国特許出願第09/128,304号に記載されている。
【0062】
2. ローカル登録サブプロセッサ
その登録機能を実行する際に、ローカル登録サブプロセッサ116は、まず、各基準トランスデューサ38に交差する各画像走査線を決定することによってローカル画像座標システム内に各位置決めトランスデューサ38の方位角(θ)と仰角(φ)の角座標を決定する。特に、画像制御/処理回路32からフレームトリガを受信した時、すなわち、画像サイクルの最後に、ローカル登録サブプロセッサ116が走査線計算回路44の出力90からピーク振幅カウント値を得て、最も大きいピーク振幅を決定する。その最も高い振幅値に対応する特定の走査線66は、その位置決めトランスデューサ36と交差する走査線66であるとみなされる。走査線処理回路120が用いられている代替のケースでは、この回路から得られたシングルカウント値がすでに交差する走査線66を表示していることになる。いずれの場合も、ローカル登録サブプロセッサ116は、その交差走査線66と対応する角座標が、ローカル画像座標システム内の各位置決めトランスデューサ36の角座標であるとみなす。
【0063】
例えば、図10は、走査線66とその方位角(θ)と仰角(φ)に対応する角座標を示す。トランスデューサアレイ60が左から右へ、また上から下へスキャンしているように走査線66に番号が付けられていると仮定し、また、45番目の走査線がその位置決めトランスデューサ36と交差すると仮定した場合、角座標は、方位角(θ)18度、仰角(φ)22度として算出される。
【0064】
ローカル登録サブプロセッサ116は、ローカル画像座標システム内の各位置決めトランスデューサ38のラジアル座標(r)も決定する。特に、ローカル登録サブプロセッサ116は、走査線処理回路44の出力92から走行時間を得て、最大ピークの振幅、すなわち交差走査線66に対応する走行時間を同定する。ローカル登録サブプロセッサ116は、この走行時間と距離方程式d=νtとから、トランスデューサアレイ60とその位置決めトランスデューサ36間の距離を計算する。この計算した距離は、トランスデューサアレイ60とその位置決めトランスデューサ36間の交差走査線66の長さを表し、したがって、これはローカル画像座標システム内のその位置決めトランスデューサ36のラジアル座標rである。
【0065】
上述したプロセスの解像度は、ビーム幅が、すなわち4×4度に制限されている。しかしながら、この解像度は、各々が256のイメージングビーム64の組み合わせによって生じる一意の受信プロファイルを分析する追加の方法を用いることで上げることができる。特に、全ての送信走査線66によって規定される超音波フィールドは、走査を行ったピラミッド状容積内の全ての空間的な位置において一意的な受信プロファイルを作る。これに基づいて、予想される受信プロファイルをルックアップマトリックスに保存することができ、続いて測定データと比較して、4度の走査線間隔を超える解像度に改善することができる。図に示す実施例では、予想される受信プロファイルを、超音波シュミレーションプログラムFIELD IIバージョン2.60を用いてシュミレートして、位置が固定のラジアル距離r、例えば70mm、において方位角と仰角が1度毎になるように特徴づける。トランスデューサアレイ60が広いビーム幅と固定焦点を有するため、一意的な受信プロファイルは、大幅に変化することなくラジアル距離rに対応する。したがって、256の各データポイントでできた4225の異なる受信サインが、対応する角座標と共にルックアップマトリックスに保存される。
【0066】
256本の走査線66のピーク振幅が走査線処理回路44から得られると、これをルックアップテーブル中の一意的な受信プロファイルと比較して1度の解像度内で各位置決めトランスデューサ36の角座標(θ、φ)を得る。特に、測定データおよび保存データについての相互相関が実行される。測定データに最も相関が高い値(すなわち、測定したピーク振幅)を有する一意的な受信プロファイルが、その位置決めトランスデューサ36の角座標を示す。以下の数式は、正規化した空間相互相関値を示す。
Psimφr,θsは、シュミレートした受信プロファイルからとったピーク−ピーク検出信号振幅である;φrとθsは、シュミレートした位置決めトランスデューサの角位置を示す;rとsは、4225箇所の一意的な位置に対応する:反転
は、(r、s)に対応する角位置における受信プロファイルの平均値である:Pmeasは、実際の位置決めトランスデューサからの検出した信号振幅である;φiとθjは一の画像フレーム中の256の各走査線に対応する角度である;反転
は、実際の位置決めトランスデューサの受信プロファイルの平均値である。相互相関値は、マトリックスρ(φr、θs)内に保存されており、ここで、φrとθsは、シミュレートした位置決めトランスデューサ位置の仰角と方位角の角位置である。マトリックスρ(φr、θs)内の最高相関値に対応する角位置は、1度以内の実際の位置決めトランスデューサ位置に最も近い位置を表示している。
【0067】
解像度の更なる改良として、方位角と仰角における5つの最高相関値を介した二つの一次元スプラインを用いて、位置決めトランスデューサ36の位置を正確なものにすることができる。
【0068】
E.座標システム変換
図1を参照すると、座標システム変換器48は、ローカル座標システムをグローバル座標システムに変換する。この変換機能を実行するに当たって、座標システム変換器48は、グローバル座標システム内の位置決めトランスデューサ36のデカルト座標(x、y、z)に基づいた変換を、グローバル登録サブプロセッサ114による計算として計算し、ローカル画像座標システム内の位置決めトランスデューサ36の球座標(r、θ、φ)を、ローカル登録サブプロセッサ116による計算として計算する。このことは、従来の変換技術を用いて行うことができる。例えば座標システム変換器48は、最初に位置決めトランスデューサ36のローカル球座標(r、θ、φ)をローカルデカルト座標(x’、y’、z’)内に変換することができる。ついで、(P1、P2、P3)をグローバル座標システム中の位置決めトランスデューサ36の位置とし、(P1’、P2’、P3’)をローカル座標システム内の位置決めトランスデューサ36の位置として、プロクラステス変換を用い、ローカル座標システム(x’、y’、z’)をグローバル座標システム(x、y、z)に変換する変換Tを計算することができる。上述したとおり、画像制御/処理回路32は、この変換Tを用いて、ローカルデカルト座標システム(x’、y’、z’)内に保存されている画像データをグローバル座標システム(x、y、z)内に登録する。
【0069】
画像データをグローバル座標システムに登録するためには、当初3つの位置決めトランスデューサ36のみがトランスデューサアレイ60で照射されることが必要とされる。変換の計算とグローバル座標システムへの画像データの最初の登録の後にトランスデューサアレイ60の角度のみが動く場合、すなわち、トランスデューサアレイ60の中央の位置座標が動かない場合は、画像データをグローバル座標システムに正しく登録するためには、二つの位置決めトランスデューサ36のみを、トランスデューサアレイ60が照射することが必要となる。トランスデューサアレイ60の中央が、二つの座標システム間の第3の共通ポイントを形成し、従って、上述したとおりローカル座標システムがグローバル座標システムに変換され得る。
【0070】
IV.三次元レンダリングプロセッサ
三次元グラフィカルプロセッサ18は、内部解剖学的構造のグローバル表示を、グローバル座標システム中に心室のコンピュータ生成表示(すなわち、再構築)の形で生成するように構成されている。三次元グラフィカルプロセッサ18は、マッピング/アブレーションカテーテル24が内部解剖学的構造のキャビティ内部を移動しているときに、グローバル座標システム内の位置決めトランスデューサ36の位置を得ることによって、これを行い、取得した位置に解剖学的シェルを変形する。三次元グラフィカルプロセッサ18は、カテーテル24の遠位端に位置する位置決めトランスデューサ36の計算した位置座標と、位置トランスデューサ間の既知の位置関係に基づいて内部解剖学的構造のグラフィカル表示内にマッピング/アブレーションカテーテル24のグラフィカル表示を構築するようにも構成されている。
【0071】
三次元グラフィカルプロセッサ18は、マッピング/アブレーションサブシステム12から得た電気活動情報に基づいて、電気活動マップを内部解剖学的構造のグラフィカル表示に重畳するようにも構成されている。この電気活動マップは、続けて焼灼治療を行うために、興味対象である部位、すなわち、電気生理学的記録部位および焼灼部位を示す。このグラフィカル再構築技術の更なる詳細は、米国特許第6,490,474号および米国特許出願第09/128,304号に記載されている。
【0072】
身体組織をグラフィカルに再構築することに代えて、あるいはこれに加えて身体組織の三次元画像を生成する多くの画像技術のいずれかを用いても良い。たとえば、磁気共鳴画像(MRI)画像装置、コンピュータ断層撮影(CT)画像装置を用いて、内部解剖学的構造の三次元画像を生成することができる。これを行うために、画像装置を横方向及び/又は回転方向に移動させて、複数の身体組織の断面画像あるいはセクタ画像を、身体組織の異なる位置で得ることも可能である。次に複数の断面画像を集めて(例えば、つなぎ合わせて)内部解剖学的構造の三次元画像を再構築することも可能であろう。例えば、画像装置に超音波位置決めトランスデューサを搭載するなどして、画像装置をトラッキングする、従ってその画像装置で取得した断面画像あるいはセクタ画像をトラッキングすることにより、内部解剖学的構造の三次元画像をグローバル座標システム内に登録することも可能であろう。代替的に、身体組織内の解剖学的ランドマークの位置を、例えば、マッピング/アブレーションカテーテル24を用いて、グローバル座標システム内で決定することもできる。ついで、内部解剖学的構造の三次元画像は、内部解剖学的構造の三次元画像内の解剖学的ランドマークの位置を、グローバル座標システム内の解剖学的ランドマークの決められた位置と関連づけることによって、グローバル座標システムと共に登録することができる。
【0073】
V.合成画像生成器
合成画像生成器20は、画像制御/処理回路32から得た登録画像データを三次元グラフィカルプロセッサ18から得た三次元グラフィカル情報に重畳し、内部解剖学的構造の合成画像としてディスプレイ22に合成画像を表示するように構成されている。これは、よく知られたグラフィカル技術を用いて行うことができる。
【0074】
VI.医学的治療システムの代替の実施例
図11を参照すると、本発明によって構築されたその他の例示的な医学的治療システム210が示されている。治療システム210は、画像データの座標ではなく、三次元グラフィカル情報の座標が変換され、グローバル座標システムではなくローカル座標システム内に合成データが表示される点以外は、上述した治療システム10と同じである。
【0075】
このため、治療システム210は、周辺イメージングヘッド30によって得られた画像データをローカル球座標システムからローカルデカルト座標システムへ単に変換する画像制御/処理回路232を具えており、この画像データを合成画像生成器20に出力する点を除いて、上述した画像サブシステム214と同じである。画像データは実際にローカル座標システム内に表示されるので、画像サブシステム214は、画像データをグローバルデカルト座標システムに変換しない。むしろ、治療システム210は、三次元グラフィカルプロセッサ218を具えており、これは、上述した三次元グラフィカルプロセッサ18のように、グラフィカル情報を生成するが、更に、グローバルデカルト座標システムからのこの情報をローカルデカルト座標へ変換する。
【0076】
治療システム210は、登録サブシステム216を具えている。これは、むしろ逆に、グローバル座標システムをローカル座標システムに変換する座標システム変換器248を具えること以外は、上述の登録サブシステム16と同じである。その変換機能を実行するにおいて、座標システム変換器248は、上述の座標システム変換器48と同様に、グローバル座標システム内の位置決めトランスデューサ36のデカルト座標(x、y、z)に基づいた変換を、グローバル登録サブプロセッサ114による計算として計算し、ローカル画像座標システム内の位置決めトランスデューサ36の球座標(r、θ、φ)を、ローカル登録サブプロセッサ116による計算として計算する。しかしながら、プロクラステス変換を用いる場合は、座標システム変換器248は、位置決めトランスデューサ36のローカル球座標(r、θ、φ)をローカルデカルト座標(x、y、z)に変換することによってグローバル座標システムをローカル座標システムに変換する変換Tを計算し、(P1、P2、P3)をローカル座標システムの位置決めトランスデューサ36の位置とし、(P1’、P2’、P3’)をグローバル座標システム内の位置決めトランスデューサ36の位置とする。三次元グラフィカルプロセッサ218は、次にこの変換Tを用いて、グローバルデカルト座標システム(x’、y’、z’)に保存されているグラフィカル情報を、ローカル座標システム(x、y、z)に変換する。
【0077】
合成画像発生器20は、画像制御/処理回路232から得た画像データを三次元レンダリングプロセッサ218から得た三次元グラフィカル情報と重畳し、内部解剖学的構造の合成画像として、ディスプレイ22に合成画像データを表示する。
【図面の簡単な説明】
【0078】
図面は、本発明の実施例の構成及び実用性を記載したものであり、同じエレメントには共通の番号が付されている。
【図1】図1は、本発明によって構成した医療治療システムの一実施例の機能ブロック図である。
【図2】図2は、図1に示す医療治療システムで用いられているマッピング/アブレーションカテーテルの平面図である。
【図3】図3は、図1に示す画像サブシステムで用いることができる周辺イメージングヘッドの斜視図である。
【図4】図4は、図1に示す画像制御/処理回路の一実装の機能ブロック図である。
【図5】図5は、図1に示す位置決めトランスデューサと基準トランスデューサ間の距離を計算することによって作った距離マトリックスを示すテーブルである。
【図6】図6は、図1に示す超音波レンジ回路の一実装の機能ブロック図である。
【図7】図7は、図1に示す走査線決定回路の一実装の機能ブロック図である。
【図8】図8は、図1に示す走査線決定回路の代替の実装の機能ブロック図である。
【図9】図9は、複数の超音波受信トランスデューサと一の超音波送信トランスデューサ間の位置的な配置に関する機能ブロック図である。
【図10】図10は、図1に示す画像サブシステムで用いる走査線の端面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療画像システムにおいて:
内部解剖学的構造の超音波画像を得るように構成された周辺イメージングデバイスを有する画像サブシステムであって、前記超音波画像データが第1の座標システムに配置されているサブシステムと;
少なくとも一の超音波トランスデューサと、前記第1の座標システム内の少なくとも一の超音波トランスデューサの位置を決定するように構成された少なくとも一のプロセッサを具え、前記少なくとも一の超音波トランスデューサの第2の座標システム中の位置を決定し、前記第1及び第2の座標システム内の前記少なくとも一の超音波トランスデューサの決定した位置に基づいて前記第1及び第2の座標システム間の変換を実行する登録サブシステムと;
を具えることを特徴とする医療画像システム。
【請求項2】
請求項1に記載の医療画像システムにおいて、前記第1及び第2の座標システムの一方あるいは双方が三次元座標システムであることを特徴とする医療画像システム。
【請求項3】
請求項1に記載の医療画像システムにおいて、前記第1及び第2の座標システムの双方が、三次元座標システムであることを特徴とする医療画像システム。
【請求項4】
請求項1に記載の医療画像システムにおいて、前記第1及び第2の座標システムが、それぞれ、ローカル座標システムとグローバル座標システムであることを特徴とする医療画像システム。
【請求項5】
請求項1に記載の医療画像システムにおいて、前記第1の座標システムが球座標システムであり、前記第2の座標システムがデカルト座標システムであることを特徴とする医療画像システム。
【請求項6】
請求項1に記載の医療画像システムにおいて、前記第2の座標システムが解剖学的構造に対して固定されていることを特徴とする医療画像システム。
【請求項7】
請求項1に記載の医療画像システムにおいて、前記少なくとも一のプロセッサが、前記第1の座標システムを前記第2の座標システムに変換するように構成されていることを特徴とする医療画像システム。
【請求項8】
請求項7に記載の医療画像システムにおいて、前記画像サブシステムが更に、前記座標システムトランスフォーメーションに基づいて、前記第2の座標システム中の超音波画像データを登録するように構成されている画像プロセッサを具えることを特徴とする医療画像システム。
【請求項9】
請求項8に記載の医療画像システムがさらに、前記解剖学的構造の超音波画像として、前記登録された超音波画像データを表示するディスプレイを具えることを特徴とする医療画像システム。
【請求項10】
請求項9に記載の医療画像システムが更に、前記第2の座標システム内にグラフィカル情報を生成して登録するように構成されているグラフィカルプロセッサを具え、前記ディスプレイが前記超音波画像と共に前記グラフィカル情報を表示するためのものであることを特徴とする医療画像システム。
【請求項11】
請求項1に記載の医療画像システムにおいて、前記少なくとも一のプロセッサが、前記第2の座標システムを前記第1の座標システムに変換するように構成されていることを特徴とする医療画像システム。
【請求項12】
請求項11に記載の医療画像システムがさらに、前記第2の座標システム内にグラフィカル情報を生成して登録するように構成されているグラフィカルプロセッサを具えることを特徴とする医療画像システム。
【請求項13】
請求項11に記載の医療画像システムがさらに、前記解剖学的構造の超音波画像として前記超音波画像データを表示し、前記超音波画像を伴う前記登録されたグラフィカル情報を表示するためのディスプレイを具えることを特徴とする医療画像システム。
【請求項14】
請求項1に記載の医療画像システムにおいて、前記周辺イメージングデバイスが外付けデバイスであることを特徴とする医療画像システム。
【請求項15】
請求項1に記載の医療画像システムにおいて、前記周辺イメージングデバイスが内蔵デバイスであることを特徴とする医療画像システム。
【請求項16】
請求項1に記載の医療画像システムにおいて、前記周辺イメージングデバイスが、心臓内画像プローブと、経食道画像プローブでなる内部画像プローブから選択されることを特徴とする医療画像システム。
【請求項17】
請求項1に記載の医療画像システムにおいて、前記少なくとも一の超音波トランスデューサが3つまたはそれ以上の超音波トランスデューサを具えることを特徴とする医療画像システム。
【請求項18】
請求項1に記載の医療画像システムにおいて、前記登録サブシステムが、別の少なくとも一の超音波トランスデューサによって送信された超音波信号を受信する少なくとも一の超音波トランスデューサを調整するように構成されている処理回路を具え、前記別の少なくとも一の超音波トランスデューサが前記周辺イメージングデバイスに対して固定されており、前記処理サブシステムが、前記超音波信号送信に基づいて前記第1の座標システム内で前記少なくとも一の超音波トランスデューサの位置を決定するように構成されていることを特徴とする医療画像システム。
【請求項19】
請求項18に記載の医療画像システムが更に、前記別の少なくとも一の超音波トランスデューサが前記少なくとも一の超音波信号を送信するように調整するよう構成されている画像コントローラを具え、前記周辺デバイスが、前記別の少なくとも一の超音波トランスデューサを具えながら前記少なくとも一の超音波信号を用いて前記超音波画像データを得るように構成されていることを特徴とする医療画像システム。
【請求項20】
請求項18に記載の医療画像システムにおいて、前記処理回路が、前記少なくとも一の受信した超音波信号の一またはそれ以上の特性を測定するように構成されており、前記処理サブシステムが、前記第1の座標システム内の前記少なくとも一の超音波トランスデューサの位置を、少なくとも部分的に前記一またはそれ以上の測定した超音波信号特性に基づいて決定するように構成されていることを特徴とする医療画像システム。
【請求項21】
請求項18に記載の医療画像システムにおいて、前記別の一またはそれ以上の超音波トランスデューサが複数の超音波トランスデューサを具えることを特徴とする医療画像システム。
【請求項22】
請求項1に記載の医療画像システムにおいて、前記登録サブシステムが、複数の基準超音波トランスデューサによって送信された超音波信号を得るために前記少なくとも一またはそれ以上の超音波トランスデューサを調整するように構成されたレンジング回路を具え、前記処理サブシステムが、前記超音波信号の送信に基づいて前記第2の座標システム内で前記少なくとも一の超音波トランスデューサの位置を決定するように構成されていることを特徴とする医療画像システム。
【請求項1】
医療画像システムにおいて:
内部解剖学的構造の超音波画像を得るように構成された周辺イメージングデバイスを有する画像サブシステムであって、前記超音波画像データが第1の座標システムに配置されているサブシステムと;
少なくとも一の超音波トランスデューサと、前記第1の座標システム内の少なくとも一の超音波トランスデューサの位置を決定するように構成された少なくとも一のプロセッサを具え、前記少なくとも一の超音波トランスデューサの第2の座標システム中の位置を決定し、前記第1及び第2の座標システム内の前記少なくとも一の超音波トランスデューサの決定した位置に基づいて前記第1及び第2の座標システム間の変換を実行する登録サブシステムと;
を具えることを特徴とする医療画像システム。
【請求項2】
請求項1に記載の医療画像システムにおいて、前記第1及び第2の座標システムの一方あるいは双方が三次元座標システムであることを特徴とする医療画像システム。
【請求項3】
請求項1に記載の医療画像システムにおいて、前記第1及び第2の座標システムの双方が、三次元座標システムであることを特徴とする医療画像システム。
【請求項4】
請求項1に記載の医療画像システムにおいて、前記第1及び第2の座標システムが、それぞれ、ローカル座標システムとグローバル座標システムであることを特徴とする医療画像システム。
【請求項5】
請求項1に記載の医療画像システムにおいて、前記第1の座標システムが球座標システムであり、前記第2の座標システムがデカルト座標システムであることを特徴とする医療画像システム。
【請求項6】
請求項1に記載の医療画像システムにおいて、前記第2の座標システムが解剖学的構造に対して固定されていることを特徴とする医療画像システム。
【請求項7】
請求項1に記載の医療画像システムにおいて、前記少なくとも一のプロセッサが、前記第1の座標システムを前記第2の座標システムに変換するように構成されていることを特徴とする医療画像システム。
【請求項8】
請求項7に記載の医療画像システムにおいて、前記画像サブシステムが更に、前記座標システムトランスフォーメーションに基づいて、前記第2の座標システム中の超音波画像データを登録するように構成されている画像プロセッサを具えることを特徴とする医療画像システム。
【請求項9】
請求項8に記載の医療画像システムがさらに、前記解剖学的構造の超音波画像として、前記登録された超音波画像データを表示するディスプレイを具えることを特徴とする医療画像システム。
【請求項10】
請求項9に記載の医療画像システムが更に、前記第2の座標システム内にグラフィカル情報を生成して登録するように構成されているグラフィカルプロセッサを具え、前記ディスプレイが前記超音波画像と共に前記グラフィカル情報を表示するためのものであることを特徴とする医療画像システム。
【請求項11】
請求項1に記載の医療画像システムにおいて、前記少なくとも一のプロセッサが、前記第2の座標システムを前記第1の座標システムに変換するように構成されていることを特徴とする医療画像システム。
【請求項12】
請求項11に記載の医療画像システムがさらに、前記第2の座標システム内にグラフィカル情報を生成して登録するように構成されているグラフィカルプロセッサを具えることを特徴とする医療画像システム。
【請求項13】
請求項11に記載の医療画像システムがさらに、前記解剖学的構造の超音波画像として前記超音波画像データを表示し、前記超音波画像を伴う前記登録されたグラフィカル情報を表示するためのディスプレイを具えることを特徴とする医療画像システム。
【請求項14】
請求項1に記載の医療画像システムにおいて、前記周辺イメージングデバイスが外付けデバイスであることを特徴とする医療画像システム。
【請求項15】
請求項1に記載の医療画像システムにおいて、前記周辺イメージングデバイスが内蔵デバイスであることを特徴とする医療画像システム。
【請求項16】
請求項1に記載の医療画像システムにおいて、前記周辺イメージングデバイスが、心臓内画像プローブと、経食道画像プローブでなる内部画像プローブから選択されることを特徴とする医療画像システム。
【請求項17】
請求項1に記載の医療画像システムにおいて、前記少なくとも一の超音波トランスデューサが3つまたはそれ以上の超音波トランスデューサを具えることを特徴とする医療画像システム。
【請求項18】
請求項1に記載の医療画像システムにおいて、前記登録サブシステムが、別の少なくとも一の超音波トランスデューサによって送信された超音波信号を受信する少なくとも一の超音波トランスデューサを調整するように構成されている処理回路を具え、前記別の少なくとも一の超音波トランスデューサが前記周辺イメージングデバイスに対して固定されており、前記処理サブシステムが、前記超音波信号送信に基づいて前記第1の座標システム内で前記少なくとも一の超音波トランスデューサの位置を決定するように構成されていることを特徴とする医療画像システム。
【請求項19】
請求項18に記載の医療画像システムが更に、前記別の少なくとも一の超音波トランスデューサが前記少なくとも一の超音波信号を送信するように調整するよう構成されている画像コントローラを具え、前記周辺デバイスが、前記別の少なくとも一の超音波トランスデューサを具えながら前記少なくとも一の超音波信号を用いて前記超音波画像データを得るように構成されていることを特徴とする医療画像システム。
【請求項20】
請求項18に記載の医療画像システムにおいて、前記処理回路が、前記少なくとも一の受信した超音波信号の一またはそれ以上の特性を測定するように構成されており、前記処理サブシステムが、前記第1の座標システム内の前記少なくとも一の超音波トランスデューサの位置を、少なくとも部分的に前記一またはそれ以上の測定した超音波信号特性に基づいて決定するように構成されていることを特徴とする医療画像システム。
【請求項21】
請求項18に記載の医療画像システムにおいて、前記別の一またはそれ以上の超音波トランスデューサが複数の超音波トランスデューサを具えることを特徴とする医療画像システム。
【請求項22】
請求項1に記載の医療画像システムにおいて、前記登録サブシステムが、複数の基準超音波トランスデューサによって送信された超音波信号を得るために前記少なくとも一またはそれ以上の超音波トランスデューサを調整するように構成されたレンジング回路を具え、前記処理サブシステムが、前記超音波信号の送信に基づいて前記第2の座標システム内で前記少なくとも一の超音波トランスデューサの位置を決定するように構成されていることを特徴とする医療画像システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2007−502189(P2007−502189A)
【公表日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−532389(P2006−532389)
【出願日】平成16年4月9日(2004.4.9)
【国際出願番号】PCT/US2004/010896
【国際公開番号】WO2004/105616
【国際公開日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(500013418)ボストン サイエンティフィック リミテッド (48)
【氏名又は名称原語表記】Boston Scientific Limited
【住所又は居所原語表記】P.O.Box 1317 Seaston House,Hastings Christ Church, Barbados
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年4月9日(2004.4.9)
【国際出願番号】PCT/US2004/010896
【国際公開番号】WO2004/105616
【国際公開日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(500013418)ボストン サイエンティフィック リミテッド (48)
【氏名又は名称原語表記】Boston Scientific Limited
【住所又は居所原語表記】P.O.Box 1317 Seaston House,Hastings Christ Church, Barbados
【Fターム(参考)】
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