超音波組織スキャニング用圧縮性表面
超音波による組織サンプルをスキャニングする装置及び方法が記載され、該装置は、超音波トランスデューサ及び組織サンプルを圧縮するぴんと張った繊維シートを有しており、該超音波トランスデューサは該ぴんと張った繊維シートと接触し且つそれを介して組織サンプルを超音波的にスキャニングする。好適には、該ぴんと張った繊維シートは音響的接触媒質に関して実質的に多孔性である。別の実施例においては、超音波トランスデューサ及び通気性メンブレンが提供され、該通気性メンブレンは組織表面と接触する第一表面と該第一表面と反対側の第二表面とを有しており、該超音波トランスデューサは該第二表面と接触し且つ組織体積を超音波的にスキャニングするために該第二表面にわたって並進運動される。音響的接触媒質が該組織表面、該第一表面、該第二表面のうちの1つに付与され、該通気性メンブレンは、音響的結合剤に関して実質的に多孔性であるようにボイドパターンが設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この仮特許明細書は医学的イメージングに関するものである。より詳細には、この仮特許明細書は超音波組織スキャニングの容易化に関するものである。
【背景技術】
【0002】
体積的超音波スキャニングは、通常、組織サンプルに対して超音波トランスデューサの動き、及び該組織サンプルの少なくとも1つの音響的特性を表わすデータボリュームを形成するために結果的に得られる超音波エコーの処理を関与させる。ここにおいては幾つかの例を人間の乳房超音波の特定の文脈において提示するが、本教示は任意の外部的にアクセス可能な人間又は動物の体部分(例えば、腹部、脚部、足、腕、首等)の超音波スキャニングを容易化するために広く適用可能であることを理解すべきである。更に、ここでは幾つかの例が機械化したスキャニング(即ち、超音波トランスデューサがロボットアーム又はその他の自動化又は半自動化したメカニズムにより移動される)の特定の文脈において提示されるが、本教示の1つ又はそれ以上の側面はハンドヘルド型スキャニングの文脈において有益的に適用することが可能であることを理解すべきである。
【0003】
乳房の体積的超音波スキャニングは、例えば、引用によりここに取込む2003年1月9日に公表された本出願人に譲渡されている米国特許2003/007598A1において記載されているように乳癌スクリーニング用の相補的なモダリティとして提案されている。引用によりここに取込む2004年4月15日に公表された本出願人に譲渡されているWO2004/030523A2は、フルフィールド乳房超音波(FFBU)スキャニング装置を記載しており、それは頭尾(CC)面、内外斜位(MLO)面等の面に沿って乳房を圧縮させ、且つ乳房を超音波的にスキャンする。少なくとも部分的に適合性があり、実質的にぴんと張ったメンブレン即ちフィルムシートの片側が乳房を圧縮させる。トランスデューサ並進メカニズムは、乳房をスキャンするために超音波トランスデューサを並進させている間に超音波トランスデューサを該フィルムシートの反対側と接触状態に維持する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
概略胸の方向即ち「真正面」方向等をその他の方向に乳房を圧縮させるその他のFFBUスキャニング装置は以下の本願出願人に譲渡されている出願のうちの1つ又はそれ以上において記載されており、その各々を引用によりここに取込むものであり、それらは、2004年4月26日に出願された米国出願番号60/565,598、2004年6月4日に出願された米国出願番号60/677,078、2004年11月17日に出願された米国出願番号60/629,007、2005年11月10日に、公表されたWO2005/104729A2、及び2005年12月22日に公表されたWO2005/120357A1である。画像品質を更に改善する態様で組織体積(これに制限されるものでないが、例えば乳房)の超音波スキャニングを容易化させることが望ましい。本開示に鑑み当業者にとって容易に明らかであるようにその他の問題点が発生する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1実施例においては、組織サンプルを超音波的にスキャニングする装置及び関連方法が提供され、該装置は、超音波トランスデューサ及び該組織サンプルを圧縮するぴんと張られた繊維シートを有しており、該超音波トランスデューサは該ぴんと張られた繊維シートと接触し且つそれを介して該組織サンプルを超音波的にスキャニングする。好適には、該ぴんと張られた繊維シートは音響的接触媒質に関して実質的に多孔性である。
【0006】
別の実施例においては、組織表面を有している組織体積を超音波的にスキャニングする装置及び関連方法が提供され、それは超音波トランスデューサと通気性メンブレンとを有している。該通気性メンブレンは、該組織表面と接触する第一表面及び該第一表面と反対側の第二表面を有している。該超音波トランスデューサは該第二表面と接触し且つ該組織体積を超音波的にスキャニングするために該第二表面にわたって並進される。該組織表面、該第一表面、及び該第二表面のうちの1つに対して音響的接触媒質が付与され、該通気性メンブレンは該音響的結合剤に関して実質的に多孔性である。該通気性メンブレンはこの多孔性を与えるボイドパターンを有している。
【0007】
該実施例のうちの1つ又はそれ以上に従って使用されるように、接触媒質−多孔性物質シート、即ち接触媒質−多孔性繊維シート即ち通気性メンブレン、は圧縮表面において音響的接触媒質内に形成される場合がある気泡の散逸を促進させ、そのことは向上された画像品質を促進させ、且つ、更には、提供される物質のテクスチャにより該組織表面の局所的安定性を促進させる。本開示に鑑み当業者にとって明らかなようにその他の利点がもたらされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
1実施例においては、ぴんと張った繊維シートが組織サンプルを圧縮させてほぼ平面状の形状とさせ、超音波トランスデューサが圧縮されている組織サンプルの体積的スキャニングを行うためにぴんと張られている繊維シートを介して該組織サンプルをスキャニングしている間にほぼ平面状の経路に沿って並進移動される。この実施例の場合には、該ぴんと張った繊維シートは組織サンプルの外側に向かう力に起因して僅かな程度の外側への膨らみを有する場合がある。このような実施例の場合には、超音波トランスデューサは精密に平面状の経路に沿って駆動させることが可能であり、それによりぴんと張られた繊維シート及び組織サンプルをその上を通過する場合に少量だけ局所的に変形させる。代替的には、超音波トランスデューサはぴんと張られた繊維シートを介して組織サンプルをスキャニングしている間に適合的な態様で外側の膨らみに沿って追従するように制御させることが可能である。
【0009】
別の実施例においては、該ぴんと張られた繊維シートが該組織サンプルを圧縮し所望の三次元的な形状の表面とさせ、該超音波トランスデューサが該ぴんと張られた繊維シートを介して該組織サンプルをスキャニングしている間に該三次元的な形状とされた表面に沿って追従するように並進移動される。好適には、該ぴんと張った繊維シートは、該超音波トランスデューサと該組織サンプルとの間の音響的結合を容易化させる音響的接触媒質で湿潤されている。好適には、該ぴんと張った繊維シートは、超音波トランスデューサと組織サンプルとの間の音響的結合を容易化させる音響的接触媒質で湿潤されている。好適には、該ぴんと張った繊維シートは、超音波トランスデューサと組織サンプルとの間の音響経路における気泡の存在を阻止するために該音響的接触媒質に関して実質的に多孔性である。該ぴんと張った繊維シートは、(i)該ぴんと張った繊維シートを音響的接触媒質で前もって含湿させる、(ii)組織サンプルを圧縮する前に、結合剤を該ぴんと張った繊維シートの繊維に面する面に対して、又は組織表面に対して付与し、(iii)組織サンプルを圧縮する前に、結合剤を該ぴんと張った繊維シートのトランスデューサに面した面に付与し、及び(iv)組織サンプルを圧縮した後で且つスキャニングの前に、該ぴんと張った繊維シートのトランスデューサに面した面へ結合剤を付与する、のうちの少なくとも1つにより音響的接触媒質でウエット即ち湿潤させることが可能である。
【0010】
1実施例においては、該ぴんと張った繊維シートは乳房をほぼ真正面の方向に圧縮させる。別の実施例においては、該ぴんと張った繊維シートは標準のX線マンモグラム面(例えば、CC、MLO、LAT等)に沿って乳房を圧縮させる。該ぴんと張った繊維シートは、好適には、約2−20lbs即ちポンドの間の圧縮力で乳房を圧縮させる。より好適には、該ぴんと張った繊維シートは、約4−12lbsの圧縮力で乳房を圧縮させる。更により好適には、該ぴんと張った繊維シートは、約6−10lbsの圧縮力で乳房を圧縮させる。
【0011】
ここにおいて使用されるように、繊維とは、通常、自然の又は合成の繊維を編むこと、織ること、又はフェルト化すること、自然の又は合成の繊維をインターロックした配置に組み立てること、熱可塑性繊維を融合させること、又は自然の又は合成の繊維を接着用媒体で結合させることにより形成することが可能であるような相互接続されたパーツからなる物質構造のことを意味しており、且つ、更に、動物のメンブレン又は繊維状の特性(本来的に又は処理によるかのいずれか)を有するその他の自然に発生する物質等、及び繊維状ウエビングを発生する化学処理により発生される物質等のそれにより形成されるもののような同様のテクスチャ又は品質を有する物質のことを意味している。
【0012】
1実施例においては、該ぴんと張った繊維シートは実質的に非弾力性である。好適には、該ぴんと張った繊維シートはそれを介して圧縮されている組織サンプルを観察することを可能とするために透き通っている。このぴんと張った繊維シートに対して1つの特に適した物質は、約40ミクロンの繊維直径及び約500ミクロンの繊維間隔を有しているポリエステルオーガンザ物質である。然しながら、該ぴんと張った繊維シートは、本教示の範囲から逸脱することなしに、実質的に非弾力性であり且つ超音波接触物質に対してほぼ多孔性である多様なその他の繊維のうちのいずれかを有することが可能である。例としては、これらに制限されるものではないが、ポリエステルシフォン繊維及び実質的に非弾力性繊維のストレートな織りを有する布繊維を包含している。織りが特に詰まっている場合(例えば、男性の礼装用ワイシャツにおいて使用される布又は多くのベッドシートにおいて使用される布)には、その布に穴あけをするか又はその他の態様で超音波接触媒質がそれを介して浸漬するか又は染み出すことを可能とする不規則性を導入することにより多孔性を達成することが可能である。
【0013】
図1は1実施例に基づくフルフィールド乳房超音波(FFBU)スキャニング装置102の斜視図を示しており、それは超音波プロセッサを収容することが可能なフレーム104、可動サポートアーム106、ボール及びソケットコネクタ112を介してサポートアーム106へ接続されている圧縮/スキャニング組立体108、及びジョイント114においてサポートアーム106へ接続されているモニタ110を有している。好適には、サポートアーム106は、圧縮/スキャニング組立体108が(i)空中において中和的に浮遊しているか、又は(ii)容易なユーザの操作を可能としながら乳房圧縮のために軽い正味の下方向の重量(例えば、2−3ポンド)を有しているかのいずれかであるように構成され且つ適合されている。
【0014】
圧縮/スキャニング組立体108は、乳房を圧縮するためのぴんと張った繊維シート118を有しており、該ぴんと張った繊維シート118は、乳房をスキャンするためにトランスデューサがその上部表面にわたって掃引される間、乳房と接触する底部表面を有している。オプションとして、サポートアーム106は圧縮/スキャニング組立体108に対し位置及び配向検知を可能とするためにポテンシオメータ(不図示)を有することが可能であり、又はその他のタイプの位置及び配向検知(例えば、ジャイロスコープ、磁気的、光学的、無線周波数(RF))を使用することが可能である。フレーム104内には、超音波トランスデューサを駆動し且つ関連する位置及び配向情報と関連してスキャンからの体積的乳房超音波データを発生するための完全に機能的な超音波エンジンを設けることが可能である。該体積的スキャンデータは、当該技術において知られている多様なデータ転送方法のうちのいずれかを使用して更なる処理のために別のコンピュータシステムへ転送することが可能である。超音波エンジンと同一のコンピュータ上で実現することが可能な汎用コンピュータも一般的なユーザインターフェース及びシステム制御のために設けられている。該汎用コンピュータは、独立型のスタンドアローン装置とすることが可能であり、又はネットワークを介して接続されている遠隔ステーションにより遠隔的制御され、形態特定され、及び/又はモニタされることが可能である。
【0015】
図2は、ぴんと張った繊維シート118を含む圧縮/スキャニング組立体108を超音波乳房スキャニングのためにどのようにして使用することが可能であるかの1例を例示している。圧縮/スキャニング組立体108内に収容されている超音波トランスデューサ202は例示したように乳房にわたって掃引される。好適には、ぴんと張った繊維シート118は音響的接触媒質で湿潤されており、超音波トランスデューサと組織サンプルとの間の音響的結合を容易化させている。好適には、ぴんと張った繊維シート118は該音響的接触媒質に関して実質的に多孔性であり、超音波トランスデューサと組織サンプルとの間の音響経路内において気泡の存在を妨げている。
【0016】
1実施例においては、該繊維シートは音響的接触媒質で予め含湿されている。別の実施例においては、該繊維シートは音響的接触媒質で予め含湿されているものではない。予め含湿されていない(即ち、ドライな)繊維シートを使用することは、予め含湿させた繊維シートを使用する場合と比較して、乳房位置決め期間中にそれを介して乳房を技術者が見ることを容易とさせるという点において有益的である。シフォン又はオーガンザ繊維が使用される実施例の場合には、音響的接触媒質を直接的に乳房へ付与し、次いで該繊維シートを接触媒質でコーティングした乳房とぴんと張った圧縮可能な接触状態とさせることは特に良好な画像品質を発生することが判明している。
【0017】
1実施例においては、該繊維シートはFFBUスキャナの永久的又は半永久的なコンポーネントであり、且つ各患者の後に殺菌される。別の実施例においては、該繊維シートは使い捨て可能又はリサイクル可能であり、各患者の後に置換される。1例として、該繊維シートは長いロールに巻き込むことが可能であり、それを圧縮性部材のフレームに取付け、且つそのロールは、各患者が該繊維シートの新しい部分を使用するように患者と患者の間で段階的に前進させることが可能である。該繊維シートを緊張させ、解放させ、且つ再緊張させるために必要により組立体を設けることが可能である。
【0018】
本教示に従って音響的接触媒質液体に対して実質的に多孔性であるぴんと張った繊維シートを使用することにより幾つかの利点が実現される。第一に、ぴんと張った繊維シートは、そうでない場合には、メンブレン表面における音響的接触媒質内において形成する場合がある気泡の散逸を促進させる。音響的接触媒質に対して多孔性でない物質を使用する場合と比較して、超音波トランスデューサと組織表面との間に存在する気泡がより少ないことにより画像品質が増加される。第二に、該ぴんと張った繊維シートの表面テクスチャは組織表面の局所的安定性を促進させ、皮膚が該テクスチャにより少なくとも部分的に「把持」される。その際に、乳房が圧縮表面に沿ってスリップしたり又は摺動することが禁止される。このことは、患者及び乳房の位置決めをより容易なものとさせ、且つ変換器が並進移動されている間に乳房がスリップすることの蓋然性を減少させる。第三に、ぴんと張った繊維シートを使用して達成される乳房の平坦化即ち圧縮は、上述した米国特許2003/007598A1及びWO2004/030523A2において記載されているように完全なる体積的イメージング及び/又は標準化した体積的イメージングを与える。スキャンした乳房体積は、所望により、圧縮面に対してほぼ平行なスラブ状のサブ体積の厚いスライス画像からなるアレイを観察することにより容易に視覚化させることが可能である。その他の利点は、本開示に鑑み当業者にとって明かなようにもたらされる。例えば、ぴんと張った繊維シートが透き通っている(即ち、薄く、微細で且つ比較的透明)場合の実施例においては、それを介しての乳房のより容易な観察が与えられ、そのことはスキャニングプロセスの進行及び/又は品質のモニタリング及び患者の位置決めを更に容易化させる。
【0019】
図3は1実施例に基づくぴんと張った繊維シート302を例示しており、ぴんと張った繊維シート302はフレーム304に取り付けられている。この実施例においては、その繊維物質は、フレーム304に緊張状態で装着させて引っ張った状態に設けられている。このことは、繊維物質を弛めた状態で設け、乳房が圧縮される場合にぴんと張った状態となる後述する少なくとも1つのその他の実施例と対比することが可能である。
【0020】
図4は1実施例に従って乳房402を圧縮するぴんと張った繊維シート302を例示している。概略平坦状であるが、ぴんと張った繊維シート302はそれに対しての乳房402の上方向の力に起因してある程度の外側への膨らみ即ち弓型に曲げた状態を示している。超音波トランスデューサ404は、ぴんと張った繊維シート302の上をそれと接触して掃引させることにより乳房402をスキャンする状態とされている。
【0021】
図5Aは、1実施例に基づくぴんと張った繊維シート302及び超音波トランスデューサ404を例示しており、その場合に、超音波トランスデューサ404は、ぴんと張った繊維シート302の外側への膨らみにも拘わらずスキャニングプロセス期間中に厳格に平坦状経路502上に維持される。この実施例においては、局所的な変形503があり、それは、通常小さく超音波トランスデューサ404の現在の位置の回りである。図5Bは別の実施例に基づくぴんと張った繊維シート302及び超音波トランスデューサ404を例示しておりその場合には、超音波トランスデューサ404は、ぴんと張った繊維シート302を介して乳房402をスキャニングしながら、適合的な態様で外側の膨らみに沿って追従504するように機械的に制御される。
【0022】
図6Aは1実施例に基づく超音波スキャニング装置において使用するために設けられるような繊維シート602を例示しており、その場合に、該繊維シートは概略緩んだ(ぴんと張っていない)状態に設けられる。フレーム要素604が繊維シート602の各側部上に設けられている。その他の実施例においては、フレーム要素604は新たな繊維を供給し且つ受納するローラー要素により、又は多様なその他のフレーミング形態によって置換させることが可能である。更にその他の実施例においては、フレーム要素604は図3のフレーム304に類似した単一のフレームを形成することが可能である。図6A−6Bの実施例に基づく各場合において、該繊維シートは初期的には緩んだ/だらりとした/ぴんとしていない状態にあり、次いで該フレーム要素が乳房402に対して操作されて繊維シート602が図6Bに例示したように乳房402を圧縮するぴんと張った状態とされる。
【0023】
図6Bの例においては、ぴんと張った繊維シート602は組織サンプルを円筒の長手方向に延在するセクターに類似した形状に圧縮している。より一般的には、乳房は所望の三次元的形状をした表面(例えば、球体、楕円体等)を有するように圧縮させることが可能である。図6Bに例示したように、超音波トランスデューサ604はぴんと張った繊維シートを介して組織サンプルをスキャニングしながら、三次元的な形状をした表面に沿って適合的に追従すべく並進移動させることが可能である。その他の実施例の場合におけるように、図6A−6Bの実施例は、組織サンプルが乳房である場合のシナリオに制限されるものではない。例えば、図6A−6Bに類似した実施例は、腕、脚部、首、腹部、又はその他の体部分の圧縮性超音波イメージングのために適したもの及び/又は適用可能なものとすることが可能である。
【0024】
図7は1実施例に基づくぴんと張った繊維シート702を例示しており、その場合に、組織表面に対してのぴんと張った繊維シート702の位置決めを容易化させるために1つ又はそれ以上の可視的マーキング704が設けられている。図7の実施例においては、乳房の乳首がどこに配置されるべきかを示すために可視的な境界が使用される。その他の実施例においては、スキャン中心、スキャン限界、好適な配向、明白な病変に対する好適な位置等のその他の有用な情報を示すため、及び/又はインストラクション的な注釈、矢印、テキスト等を与えるために可視的な境界を使用することが可能である。
【0025】
図8及び9A−9Dは、本教示に基づくぴんと張った繊維シートを超音波乳房スキャニングを容易化するために使用することが可能な多数の異なる形態のうちの幾つかを例示している。図8はFFBUスキャナ802を例示しており、それは、CC及びMLO画像等のマンモグラムのような観察面に沿って乳房が圧縮されている間に超音波スキャンを得るために特に適合されており、圧縮/スキャニング組立体804及びCC、MLO、LAT配向の間で集合的に回転させることが可能な圧縮体806を有している。圧縮/スキャニング組立体804は、上述したものと同様であり且つ同様の利点を発生するぴんと張った繊維シート808を有している。図8の特定のオリエンテーション即ち配向においては、ぴんと張った繊維シート808を介して上方向にスキャニングすることによりCC圧縮画像が得られる。図9A−9Dは前方によりかかり易いスキャニング装置902(図9A−9B)、横たわり易いスキャニング装置902′(図9C)及び直立スキャニング装置902″(図9D)の一部としてぴんと張った繊維シート904をどのようにして有益的に使用することが可能であるかを例示している。
【0026】
本発明の多数の変更及び修正は疑いもなく前述した説明を読んだ後に当業者にとって明らかなものとなるものであるが、例示として示し且つ説明した特定の実施例は制限的なものと考えられるべきことを何等意図としたものでないことを理解すべきである。例として、多様な異なるフレーム組立体のいずれをも繊維シートを位置決めし、緊張させ且つその他の態様で操作するために使用することが可能であり、そのことは、該繊維シートが永久的に使用されるものであるか異なる患者に対して再使用されるものであるか又は各患者に対して使い捨て可能なものであるかに拘わるものではなく、本教示の範囲から逸脱するものではない。
【0027】
更なる例として、該繊維シートが織られた物質であるある代替的実施例の場合には、その織物は、オプションとして、ぴんと張られた状態の量が指向的に依存性のものであるように異なる方向に織り込まれた異なる物質を有することが可能である(例えば、非弾力性のポリエステル繊維が1つの方向であり且つ部分的に弾力性の繊維が別の方向である)。従って、実施例の詳細についての参照はその範囲を制限することを意図したものではない。
【0028】
又、上述したぴんと張った繊維シートに基づくシステムに対する代替例として又はそれと関連して使用するために設けられているものは、組織表面を有する組織体積を超音波的にスキャニングする装置及び関連方向であって、それは超音波トランスデューサと通気性メンブレンとを有している。該通気性メンブレンは組織表面と接触する第一表面及び該第一表面と反対側の第二表面を有している。超音波トランスデューサは該第二表面と接触し且つ組織体積を超音波的にスキャニングするために該第二表面にわたって並進移動される。音響的接触媒質が該組織表面、該第一表面、該第二表面のうちの1つへ付与され、該通気性メンブレンは音響的結合剤に関して実質的にポーラス即ち多孔性であり、超音波スキャン期間中における超音波トランスデューサと組織表面との間の音響経路内における気泡の存在を妨げる。該通気性メンブレンはこの多孔性を与えるボイドパターンを有している。好適には、該ボイドパターンは、該通気性メンブレンが組織の位置決め及びトランスデューサの並進期間中の動きに対して組織表面を局所的に安定化させるような形態とされている。
【0029】
1実施例においては、該ボイドパターンは空間的に一様である。別の実施例においては、該ボイドパターンは空間的に変化し且つ組織表面に対して該通気性メンブレンの位置決めを容易化させるための1つ又はそれ以上の可視的なマーキングを画定する。好適には、該ボイド(及びボイドピッチ)の寸法は適用される音響信号の波長と等しいか又はそれより大きい。1例として、7MHzの超音波周波数の場合には、ボイドの寸法は約0.5mm以上とすべきである。
【0030】
1実施例においては、該通気性メンブレンは、(a)一様なフィルムシートを形成する、且つ(b)スタンピング、穴あけ、又はその他のボイドパターンを確立するためにデザインされたその他のプロセスのうちの1つによって該一様なフィルムシート内にボイドパターンを確立すること、によって形成される。例は、レーザー穴あけ、高温ニードルを使用した穴あけ、打ち抜き、コールドスタンピング、及びホットスタンピングを包含している。
【0031】
1実施例においては、該通気性メンブレンは実質的にぴんと張っており且つ組織表面を平坦化した状態へ圧縮させ、超音波トランスデューサが単一面内において機械的に並進運動される。別の実施例においては、該通気性メンブレンが柔軟性があり且つ組織表面の上又はその周りに実質的に適合する形態とされており、該超音波トランスデューサは組織表面の上又は周りをそのように適合する場合にその輪郭に追従する態様で第二表面にわたり並進運動される。非制限的な例として、組織体積が人間の乳房である場合には、該通気性メンブレンは乳房の輪郭周りにブラジャーのような態様で適合することが可能である。
【0032】
再度図1及び図2を参照すると、要素118は、代替的に、実質的にぴんと張った状態において少なくとも部分的に適合性のある通気性メンブレンを有することが可能であり、該通気性メンブレンは、トランスデューサが乳房をスキャンするためにその上表面にわたり掃引される間に乳房と接触する底部表面を有している。再度図8及び図9A−9Dを参照すると、要素808及び904は、代替的に、実質的にぴんと張った状態における少なくとも部分的に適合性のある通気性メンブレンを有することが可能であり、該通気性メンブレンは、トランスデューサが乳房をスキャンするためにその上部表面にわたって掃引される間に乳房と接触する底部表面を有している。
【0033】
本教示に従って通気性メンブレンを使用することにより幾つかの利点が実現される。第一に、該通気性メンブレンは、そうでなければメンブレン表面における音響的接触媒質内に形成する場合のある気泡の散逸を促進させる。非通気性メンブレンを使用する場合と比較して、超音波トランスデューサと組織表面との間に存在する気泡がより少ないということにより画像品質が増加される。第二に、非通気性メンブレンを使用する場合と比較して、超音波トランスデューサと組織表面との間に存在するメンブレン物質がより少ないという事実により減衰が減少され且つ反射が減少される。第三に、通気性メンブレン内におけるボイドパターンの存在は、組織表面の局所的安定性を促進させ、というのは皮膚がボイドにより形成されるテクスチャにより「把持」されるからである。それにより、乳房は圧縮表面に沿ってスリップ又は摺動することが禁止される。このことは患者及び乳房の位置決めをより容易なものとさせ、且つトランスデューサが並進移動される間に乳房がスリップする場合のある蓋然性を減少させる。本開示に鑑み当業者にとって明らかなようにその他の利点がもたらされる。
【0034】
通気性メンブレンに対して使用することが可能な物質の例は、これらに制限されるものではないが、ポリプロプレン、ポリエステル(これに制限するわけではないがマイラー(Mylar)を含む)、ポリエチレン、PTFE、PET、紙、Kevlar、金属、及びエポキシ繊維複合物質を含む。1実施例においては、該通気性メンブレンはFFBUスキャナの永久的又は半永久的コンポーネントであり、且つ各患者の後にクリーニングされる。別の実施例においては、該通気性メンブレンは使い捨て可能又はリサイクル可能であり、且つ各患者の後に置換される。例として、該通気性メンブレンがマイラーフィルムシート又は同様の柔軟性があり且つ薄い物質を有している場合には、該通気性メンブレン物質は圧縮部材のフレームに取り付けられる長いロールに巻き付けることが可能であり、且つそのロールは、各患者が通気性メンブレン物質の新しい部分を使用するように患者と患者との間で段階的に前進させることが可能である。該通気性メンブレン物質を緊張させ、解放させ、且つ再緊張させるために必要に応じ組立体を設けることが可能である。
【0035】
図10は1実施例に基づく通気性メンブレン1002を例示しており、該通気性メンブレン1002はフレーム1004へ取り付けられている。該通気性メンブレン1002はボイドによって占有されるフィルムシートの表面積が少なくとも25%である1mm未満の厚さのフィルムシートを有することが可能である。別の実施例においては、表面積の少なくとも80%がボイドにより占有される。1実施例においては、ボイドは約0.1mm−25mmの間の一様な直径を有する円形状であり且つ該直径の約1.1−10.0倍の間の一様なピッチを有している。該ボイドは規則的な格子パターンに配置させることが可能であり(例えば、単位セルが三角形、正方形、矩形、五角形、六角形等)、又は、代替的には、多様なランダム化した配置のうちのいずれかとすることが可能である。そのランダム性はボイド寸法、ボイド形状及び/又はボイドパターンによるものとすることが可能であり且つ通気性メンブレンにおける短期又は長期の横方向順番付けに起因してある音響周波数において発生される場合のある人工的効果を減少させることに役立つ場合がある。より一般的には、広範なる多様性の異なるボイド形状、パターン、及び寸法が本教示の範囲内である。
【0036】
図11は1実施例に基づく通気性メンブレン1102を例示しており、該通気性メンブレン1102はフレーム1104に取り付けられている。更に図12を参照すると、通気性メンブレン1102は第一単繊維パターン1252と第二単繊維パターン1254との垂直融合により形成される網を有している。好適には、該網の表面積の少なくとも25%がボイドにより占有されている。別の実施例においては、表面積の少なくとも80%がボイドにより占有されている。更に別の実施例においては、該単繊維の厚さは約0.04mmであり、一方そのピッチは約0.5mmであり、その区域の90%を超える透過性を与えている(即ち、物質ではなくボイドにより占有されている)。
【0037】
図13は1実施例に基づく通気性メンブレン1302を例示しており、その場合にボイドパターンは空間的に変化しており且つ組織表面に対して通気性メンブレンの位置決めを容易とするための1つ又はそれ以上の可視的マーキングを画定している。図13の実施例において見られるものは乳房の乳首が配置されるべき場所を示すために使用することが可能な異なる寸法及び/又は異なる位置決めされたボイドにより画定された中央区域1304である。
【0038】
図14A及び14Bは1実施例に基づく通気性メンブレンを例示しており、その場合に、ボイドパターンは空間的に変化しており且つ組織表面に対して通気性メンブレンの位置決めを容易化させるための1つ又はそれ以上の可視的なマーキングを画定している。図14A及び14Bの実施例において見られるものは、スキャン区域の中心を可視的に描写するための単繊維要素の間隔における変化である。この可視的な境界は、乳房の乳首が配置されるべき位置、及び/又は明白な病変が配置されるべき位置を示すために使用することが可能である。より一般的には、図13,14A及び14Bに基づくボイドパターンにおける変化による可視的な境界は多様な目的のいずれかに対し多様な形状、フォーム及び位置のうちのいずれかをとることが可能である。従って、例えば、図14Bはスキャン区域のエッジを画定するための短繊維要素間隔における付加的な変化を例示している。
【0039】
その他の実施例において、該通気性メンブレンはスキャン中心、スキャンボーダー、好適な配向、明白な病変に対する好適な位置等の特別の位置を指定するため、及び/又はインストラクションとしての注釈、矢印、テキスト等を与えるために変化する色を有することが可能である(例えば、図10におけるフィルムシート上に印刷するか、又は図11において異なる色の単繊維要素を使用する)。更にその他の実施例においては、このような位置決め参照、注釈等を与えるためにボイドパターン変更例及び印刷/色づけの組合わせを使用することが可能である。
【0040】
1実施例においては、該通気性メンブレンは、音響的接触媒質で予め含湿させることが可能である。別の実施例においては、該通気性メンブレンは音響的接触媒質で予め含湿されるものではない。予め含湿されていない(即ちドライな)通気性メンブレンを使用することは、予め含湿された通気性メンブレンを使用する場合と比較して乳房位置決め期間中にそれを介して乳房を技術者が見ることを容易にするという点で有益的である。音響的接触媒質を直接的に乳房に適用し、次いで通気性メンブレンを接触媒質でコーティングした乳房と接触させることは、特に良好な画像品質を発生することが判明している。一般的には、非通気性メンブレンの使用の場合に必要とされる量と比較してより多くの音響的接触媒質が必要とされる。
【0041】
本発明の多数の変更例及び修正例は前述した説明を読んだ後に当業者にとって明かなものであることは疑いのないものであるが、例示として説明し且つ示した特定の実施例は制限的なものであることを何等意図したものでないことを理解すべきである。例として、多様な異なるフレーム組立体のいずれかを、本教示の範囲を逸脱することなしに、通気性メンブレンが永久的に使用され且つ異なる患者に対して再使用されるものであるか各患者に対して使い捨て可能なものであるかに拘わらずに、通気性メンブレンを位置決めし、緊張させ且つその他の態様で取扱うために使用することが可能であることを理解すべきである。
【0042】
更なる例として、上述した実施例の1つ又はそれ以上は比較的大きな量の圧縮力が通気性メンブレンにより付与されることについて記載しているが(例えば、乳房をX線マンモグラムのような態様で平坦化させるため)、その他の実施例においては、その圧縮力は非常に軽いものとすることが可能である。例えば、代替的実施例においては、該通気性メンブレンはブラジャーのような態様で患者により装着されるべき形態とし且つ形成され、且つ超音波トランスデューサは該ブラジャーのような装置の内側に維持されて乳房の輪郭に追従する感応性ロボットアームにより移動される。このような場合においては、該通気性メンブレンにより与えられる圧縮力は非常に軽いものとすることが可能であり、幾つかの場所においてはゼロにさえ近付くものであり、これらの位置において皮膚と接触を維持するのに充分なものであるに過ぎない。1つの代替的実施例においては、該通気性メンブレンは米国特許第5,626,554号において説明されている多孔性ゲルブラダー物質に類似した物質を有することが可能である。
【0043】
図15A−15Bは1実施例に基づく体積的スキャニングプローブ1500の平面図及び側部断面図をそれぞれ示しており、その場合に、柔軟性のある接触媒質多孔性物質シート1502、即ち柔軟性のある接触媒質多孔性繊維シート又は柔軟性のある通気性メンブレンが、角度的に回転するトランスデューサヘッド1508と組織表面1530との間の圧縮表面として使用されている。トランスデューサヘッド1508は、組織表面の法線に対して約−45度と+45度との間で交互に円筒状ローラー1504を角度にわたり掃引する態様でモータ/アクチュエータ1510により駆動される円筒状ローラー1504の周辺部に装着されており、該交互運動は0.25Hz−4Hzの範囲内の周波数におけるものである。回転可能な部材1506a及び1506bは、シート1502を実質的にぴんと張られた状態に維持する。オプションとして、回転可能な部材1506a及び1506bは、実質的な量のシート物質1502を格納するローラーとすることが可能であり、且つスキャン期間中にシート物質を段階的に新しいものとさせ、及び/又は衛生目的のために患者毎にシート物質を新しいものとさせることが可能である。
【0044】
有益的なことであるが、体積的スキャニングプローブ1500は、トランスデューサヘッド1508近くの組織における瞬間的な又はほぼ瞬間的な体積的画像を与えることが可能である。製造は物質シート1502により容易化されており、それは組織をローラー1504/トランスデューサヘッド1508の下側において局所的に安定に維持しながら、音響的湿潤剤を使用して良好な音響的結合を与える。1実施例の場合には、体積的スキャニングプローブ1500が組織表面にわたり横方向に並進運動をされる場合に、回転可能な部材1506a及び1506bは付加的なアクチュエータ(不図示)により回転されて、組織表面に対してシート物質1502の摺動が存在しないように丁度正しい量のシート物質1502を供給する。このことは、体積的スキャニングプローブ1500が組織表面にわたって横方向に並進運動されるのと同じ速度で該物質シートが繰り出される(mm/秒)ようにさせることにより達成される。
【0045】
本発明の多数の変形例及び修正例は前述した説明を読んだ後に当業者にとって明かなものとなることは疑いのないところであるが、例示として示し且つ説明した特定の実施例は制限的なものであることを意図したものではないことを理解すべきである。従って、該実施例の詳細についての参照はそれらの範囲を制限することを意図したものではない。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】1実施例に基づくフルフィールド乳房超音波(FFBU)スキャニング装置の斜視図。
【図2】1実施例に基づく図1のFFBUを使用する超音波乳房スキャニングの斜視図。
【図3】1実施例に基づくぴんと張った繊維シートを示した概略図。
【図4】図3のぴんと張った繊維シートを使用した超音波乳房スキャニングの概略図。
【図5】(A)及び(B)は図3のぴんと張った繊維シートを使用した超音波乳房スキャニングの各概略図。
【図6】(A)は概略緩んだ(ぴんと張られていない)状態にある繊維シートを示した概略図、(B)は1実施例に基づいてそれを介して下側に存在する組織がスキャンされる間にぴんと張られた状態にある(A)の繊維シートを示した概略図。
【図7】1実施例に基づく1つ又はそれ以上の可視的マーキングを有するぴんと張られた繊維シートの概略図。
【図8】本教示に基づくぴんと張られた繊維シートを超音波乳房スキャニングを容易化するために使用することが可能な装置形態を示した概略図。
【図9A】本教示に基づくぴんと張られた繊維シートを超音波乳房スキャニングを容易化するために使用することが可能な装置形態を示した概略図。
【図9B】本教示に基づくぴんと張られた繊維シートを超音波乳房スキャニングを容易化するために使用することが可能な装置形態を示した概略図。
【図9C】本教示に基づくぴんと張られた繊維シートを超音波乳房スキャニングを容易化するために使用することが可能な装置形態を示した概略図。
【図9D】本教示に基づくぴんと張られた繊維シートを超音波乳房スキャニングを容易化するために使用することが可能な装置形態を示した概略図。
【図10】1実施例に基づく通気性メンブレンを示した概略図。
【図11】1実施例に基づく通気性メンブレンを示した概略図。
【図12】1実施例に基づく通気性メンブレンを示した概略図。
【図13】1実施例に基づく通気性メンブレンを示した概略図。
【図14】(A)及び(B)は1実施例に基づく通気性メンブレンを示した各概略図。
【図15】(A)及び(B)は1実施例に基づく体積的スキャニングプローブを示した夫々平面図及び側部断面図。
【技術分野】
【0001】
この仮特許明細書は医学的イメージングに関するものである。より詳細には、この仮特許明細書は超音波組織スキャニングの容易化に関するものである。
【背景技術】
【0002】
体積的超音波スキャニングは、通常、組織サンプルに対して超音波トランスデューサの動き、及び該組織サンプルの少なくとも1つの音響的特性を表わすデータボリュームを形成するために結果的に得られる超音波エコーの処理を関与させる。ここにおいては幾つかの例を人間の乳房超音波の特定の文脈において提示するが、本教示は任意の外部的にアクセス可能な人間又は動物の体部分(例えば、腹部、脚部、足、腕、首等)の超音波スキャニングを容易化するために広く適用可能であることを理解すべきである。更に、ここでは幾つかの例が機械化したスキャニング(即ち、超音波トランスデューサがロボットアーム又はその他の自動化又は半自動化したメカニズムにより移動される)の特定の文脈において提示されるが、本教示の1つ又はそれ以上の側面はハンドヘルド型スキャニングの文脈において有益的に適用することが可能であることを理解すべきである。
【0003】
乳房の体積的超音波スキャニングは、例えば、引用によりここに取込む2003年1月9日に公表された本出願人に譲渡されている米国特許2003/007598A1において記載されているように乳癌スクリーニング用の相補的なモダリティとして提案されている。引用によりここに取込む2004年4月15日に公表された本出願人に譲渡されているWO2004/030523A2は、フルフィールド乳房超音波(FFBU)スキャニング装置を記載しており、それは頭尾(CC)面、内外斜位(MLO)面等の面に沿って乳房を圧縮させ、且つ乳房を超音波的にスキャンする。少なくとも部分的に適合性があり、実質的にぴんと張ったメンブレン即ちフィルムシートの片側が乳房を圧縮させる。トランスデューサ並進メカニズムは、乳房をスキャンするために超音波トランスデューサを並進させている間に超音波トランスデューサを該フィルムシートの反対側と接触状態に維持する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
概略胸の方向即ち「真正面」方向等をその他の方向に乳房を圧縮させるその他のFFBUスキャニング装置は以下の本願出願人に譲渡されている出願のうちの1つ又はそれ以上において記載されており、その各々を引用によりここに取込むものであり、それらは、2004年4月26日に出願された米国出願番号60/565,598、2004年6月4日に出願された米国出願番号60/677,078、2004年11月17日に出願された米国出願番号60/629,007、2005年11月10日に、公表されたWO2005/104729A2、及び2005年12月22日に公表されたWO2005/120357A1である。画像品質を更に改善する態様で組織体積(これに制限されるものでないが、例えば乳房)の超音波スキャニングを容易化させることが望ましい。本開示に鑑み当業者にとって容易に明らかであるようにその他の問題点が発生する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1実施例においては、組織サンプルを超音波的にスキャニングする装置及び関連方法が提供され、該装置は、超音波トランスデューサ及び該組織サンプルを圧縮するぴんと張られた繊維シートを有しており、該超音波トランスデューサは該ぴんと張られた繊維シートと接触し且つそれを介して該組織サンプルを超音波的にスキャニングする。好適には、該ぴんと張られた繊維シートは音響的接触媒質に関して実質的に多孔性である。
【0006】
別の実施例においては、組織表面を有している組織体積を超音波的にスキャニングする装置及び関連方法が提供され、それは超音波トランスデューサと通気性メンブレンとを有している。該通気性メンブレンは、該組織表面と接触する第一表面及び該第一表面と反対側の第二表面を有している。該超音波トランスデューサは該第二表面と接触し且つ該組織体積を超音波的にスキャニングするために該第二表面にわたって並進される。該組織表面、該第一表面、及び該第二表面のうちの1つに対して音響的接触媒質が付与され、該通気性メンブレンは該音響的結合剤に関して実質的に多孔性である。該通気性メンブレンはこの多孔性を与えるボイドパターンを有している。
【0007】
該実施例のうちの1つ又はそれ以上に従って使用されるように、接触媒質−多孔性物質シート、即ち接触媒質−多孔性繊維シート即ち通気性メンブレン、は圧縮表面において音響的接触媒質内に形成される場合がある気泡の散逸を促進させ、そのことは向上された画像品質を促進させ、且つ、更には、提供される物質のテクスチャにより該組織表面の局所的安定性を促進させる。本開示に鑑み当業者にとって明らかなようにその他の利点がもたらされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
1実施例においては、ぴんと張った繊維シートが組織サンプルを圧縮させてほぼ平面状の形状とさせ、超音波トランスデューサが圧縮されている組織サンプルの体積的スキャニングを行うためにぴんと張られている繊維シートを介して該組織サンプルをスキャニングしている間にほぼ平面状の経路に沿って並進移動される。この実施例の場合には、該ぴんと張った繊維シートは組織サンプルの外側に向かう力に起因して僅かな程度の外側への膨らみを有する場合がある。このような実施例の場合には、超音波トランスデューサは精密に平面状の経路に沿って駆動させることが可能であり、それによりぴんと張られた繊維シート及び組織サンプルをその上を通過する場合に少量だけ局所的に変形させる。代替的には、超音波トランスデューサはぴんと張られた繊維シートを介して組織サンプルをスキャニングしている間に適合的な態様で外側の膨らみに沿って追従するように制御させることが可能である。
【0009】
別の実施例においては、該ぴんと張られた繊維シートが該組織サンプルを圧縮し所望の三次元的な形状の表面とさせ、該超音波トランスデューサが該ぴんと張られた繊維シートを介して該組織サンプルをスキャニングしている間に該三次元的な形状とされた表面に沿って追従するように並進移動される。好適には、該ぴんと張った繊維シートは、該超音波トランスデューサと該組織サンプルとの間の音響的結合を容易化させる音響的接触媒質で湿潤されている。好適には、該ぴんと張った繊維シートは、超音波トランスデューサと組織サンプルとの間の音響的結合を容易化させる音響的接触媒質で湿潤されている。好適には、該ぴんと張った繊維シートは、超音波トランスデューサと組織サンプルとの間の音響経路における気泡の存在を阻止するために該音響的接触媒質に関して実質的に多孔性である。該ぴんと張った繊維シートは、(i)該ぴんと張った繊維シートを音響的接触媒質で前もって含湿させる、(ii)組織サンプルを圧縮する前に、結合剤を該ぴんと張った繊維シートの繊維に面する面に対して、又は組織表面に対して付与し、(iii)組織サンプルを圧縮する前に、結合剤を該ぴんと張った繊維シートのトランスデューサに面した面に付与し、及び(iv)組織サンプルを圧縮した後で且つスキャニングの前に、該ぴんと張った繊維シートのトランスデューサに面した面へ結合剤を付与する、のうちの少なくとも1つにより音響的接触媒質でウエット即ち湿潤させることが可能である。
【0010】
1実施例においては、該ぴんと張った繊維シートは乳房をほぼ真正面の方向に圧縮させる。別の実施例においては、該ぴんと張った繊維シートは標準のX線マンモグラム面(例えば、CC、MLO、LAT等)に沿って乳房を圧縮させる。該ぴんと張った繊維シートは、好適には、約2−20lbs即ちポンドの間の圧縮力で乳房を圧縮させる。より好適には、該ぴんと張った繊維シートは、約4−12lbsの圧縮力で乳房を圧縮させる。更により好適には、該ぴんと張った繊維シートは、約6−10lbsの圧縮力で乳房を圧縮させる。
【0011】
ここにおいて使用されるように、繊維とは、通常、自然の又は合成の繊維を編むこと、織ること、又はフェルト化すること、自然の又は合成の繊維をインターロックした配置に組み立てること、熱可塑性繊維を融合させること、又は自然の又は合成の繊維を接着用媒体で結合させることにより形成することが可能であるような相互接続されたパーツからなる物質構造のことを意味しており、且つ、更に、動物のメンブレン又は繊維状の特性(本来的に又は処理によるかのいずれか)を有するその他の自然に発生する物質等、及び繊維状ウエビングを発生する化学処理により発生される物質等のそれにより形成されるもののような同様のテクスチャ又は品質を有する物質のことを意味している。
【0012】
1実施例においては、該ぴんと張った繊維シートは実質的に非弾力性である。好適には、該ぴんと張った繊維シートはそれを介して圧縮されている組織サンプルを観察することを可能とするために透き通っている。このぴんと張った繊維シートに対して1つの特に適した物質は、約40ミクロンの繊維直径及び約500ミクロンの繊維間隔を有しているポリエステルオーガンザ物質である。然しながら、該ぴんと張った繊維シートは、本教示の範囲から逸脱することなしに、実質的に非弾力性であり且つ超音波接触物質に対してほぼ多孔性である多様なその他の繊維のうちのいずれかを有することが可能である。例としては、これらに制限されるものではないが、ポリエステルシフォン繊維及び実質的に非弾力性繊維のストレートな織りを有する布繊維を包含している。織りが特に詰まっている場合(例えば、男性の礼装用ワイシャツにおいて使用される布又は多くのベッドシートにおいて使用される布)には、その布に穴あけをするか又はその他の態様で超音波接触媒質がそれを介して浸漬するか又は染み出すことを可能とする不規則性を導入することにより多孔性を達成することが可能である。
【0013】
図1は1実施例に基づくフルフィールド乳房超音波(FFBU)スキャニング装置102の斜視図を示しており、それは超音波プロセッサを収容することが可能なフレーム104、可動サポートアーム106、ボール及びソケットコネクタ112を介してサポートアーム106へ接続されている圧縮/スキャニング組立体108、及びジョイント114においてサポートアーム106へ接続されているモニタ110を有している。好適には、サポートアーム106は、圧縮/スキャニング組立体108が(i)空中において中和的に浮遊しているか、又は(ii)容易なユーザの操作を可能としながら乳房圧縮のために軽い正味の下方向の重量(例えば、2−3ポンド)を有しているかのいずれかであるように構成され且つ適合されている。
【0014】
圧縮/スキャニング組立体108は、乳房を圧縮するためのぴんと張った繊維シート118を有しており、該ぴんと張った繊維シート118は、乳房をスキャンするためにトランスデューサがその上部表面にわたって掃引される間、乳房と接触する底部表面を有している。オプションとして、サポートアーム106は圧縮/スキャニング組立体108に対し位置及び配向検知を可能とするためにポテンシオメータ(不図示)を有することが可能であり、又はその他のタイプの位置及び配向検知(例えば、ジャイロスコープ、磁気的、光学的、無線周波数(RF))を使用することが可能である。フレーム104内には、超音波トランスデューサを駆動し且つ関連する位置及び配向情報と関連してスキャンからの体積的乳房超音波データを発生するための完全に機能的な超音波エンジンを設けることが可能である。該体積的スキャンデータは、当該技術において知られている多様なデータ転送方法のうちのいずれかを使用して更なる処理のために別のコンピュータシステムへ転送することが可能である。超音波エンジンと同一のコンピュータ上で実現することが可能な汎用コンピュータも一般的なユーザインターフェース及びシステム制御のために設けられている。該汎用コンピュータは、独立型のスタンドアローン装置とすることが可能であり、又はネットワークを介して接続されている遠隔ステーションにより遠隔的制御され、形態特定され、及び/又はモニタされることが可能である。
【0015】
図2は、ぴんと張った繊維シート118を含む圧縮/スキャニング組立体108を超音波乳房スキャニングのためにどのようにして使用することが可能であるかの1例を例示している。圧縮/スキャニング組立体108内に収容されている超音波トランスデューサ202は例示したように乳房にわたって掃引される。好適には、ぴんと張った繊維シート118は音響的接触媒質で湿潤されており、超音波トランスデューサと組織サンプルとの間の音響的結合を容易化させている。好適には、ぴんと張った繊維シート118は該音響的接触媒質に関して実質的に多孔性であり、超音波トランスデューサと組織サンプルとの間の音響経路内において気泡の存在を妨げている。
【0016】
1実施例においては、該繊維シートは音響的接触媒質で予め含湿されている。別の実施例においては、該繊維シートは音響的接触媒質で予め含湿されているものではない。予め含湿されていない(即ち、ドライな)繊維シートを使用することは、予め含湿させた繊維シートを使用する場合と比較して、乳房位置決め期間中にそれを介して乳房を技術者が見ることを容易とさせるという点において有益的である。シフォン又はオーガンザ繊維が使用される実施例の場合には、音響的接触媒質を直接的に乳房へ付与し、次いで該繊維シートを接触媒質でコーティングした乳房とぴんと張った圧縮可能な接触状態とさせることは特に良好な画像品質を発生することが判明している。
【0017】
1実施例においては、該繊維シートはFFBUスキャナの永久的又は半永久的なコンポーネントであり、且つ各患者の後に殺菌される。別の実施例においては、該繊維シートは使い捨て可能又はリサイクル可能であり、各患者の後に置換される。1例として、該繊維シートは長いロールに巻き込むことが可能であり、それを圧縮性部材のフレームに取付け、且つそのロールは、各患者が該繊維シートの新しい部分を使用するように患者と患者の間で段階的に前進させることが可能である。該繊維シートを緊張させ、解放させ、且つ再緊張させるために必要により組立体を設けることが可能である。
【0018】
本教示に従って音響的接触媒質液体に対して実質的に多孔性であるぴんと張った繊維シートを使用することにより幾つかの利点が実現される。第一に、ぴんと張った繊維シートは、そうでない場合には、メンブレン表面における音響的接触媒質内において形成する場合がある気泡の散逸を促進させる。音響的接触媒質に対して多孔性でない物質を使用する場合と比較して、超音波トランスデューサと組織表面との間に存在する気泡がより少ないことにより画像品質が増加される。第二に、該ぴんと張った繊維シートの表面テクスチャは組織表面の局所的安定性を促進させ、皮膚が該テクスチャにより少なくとも部分的に「把持」される。その際に、乳房が圧縮表面に沿ってスリップしたり又は摺動することが禁止される。このことは、患者及び乳房の位置決めをより容易なものとさせ、且つ変換器が並進移動されている間に乳房がスリップすることの蓋然性を減少させる。第三に、ぴんと張った繊維シートを使用して達成される乳房の平坦化即ち圧縮は、上述した米国特許2003/007598A1及びWO2004/030523A2において記載されているように完全なる体積的イメージング及び/又は標準化した体積的イメージングを与える。スキャンした乳房体積は、所望により、圧縮面に対してほぼ平行なスラブ状のサブ体積の厚いスライス画像からなるアレイを観察することにより容易に視覚化させることが可能である。その他の利点は、本開示に鑑み当業者にとって明かなようにもたらされる。例えば、ぴんと張った繊維シートが透き通っている(即ち、薄く、微細で且つ比較的透明)場合の実施例においては、それを介しての乳房のより容易な観察が与えられ、そのことはスキャニングプロセスの進行及び/又は品質のモニタリング及び患者の位置決めを更に容易化させる。
【0019】
図3は1実施例に基づくぴんと張った繊維シート302を例示しており、ぴんと張った繊維シート302はフレーム304に取り付けられている。この実施例においては、その繊維物質は、フレーム304に緊張状態で装着させて引っ張った状態に設けられている。このことは、繊維物質を弛めた状態で設け、乳房が圧縮される場合にぴんと張った状態となる後述する少なくとも1つのその他の実施例と対比することが可能である。
【0020】
図4は1実施例に従って乳房402を圧縮するぴんと張った繊維シート302を例示している。概略平坦状であるが、ぴんと張った繊維シート302はそれに対しての乳房402の上方向の力に起因してある程度の外側への膨らみ即ち弓型に曲げた状態を示している。超音波トランスデューサ404は、ぴんと張った繊維シート302の上をそれと接触して掃引させることにより乳房402をスキャンする状態とされている。
【0021】
図5Aは、1実施例に基づくぴんと張った繊維シート302及び超音波トランスデューサ404を例示しており、その場合に、超音波トランスデューサ404は、ぴんと張った繊維シート302の外側への膨らみにも拘わらずスキャニングプロセス期間中に厳格に平坦状経路502上に維持される。この実施例においては、局所的な変形503があり、それは、通常小さく超音波トランスデューサ404の現在の位置の回りである。図5Bは別の実施例に基づくぴんと張った繊維シート302及び超音波トランスデューサ404を例示しておりその場合には、超音波トランスデューサ404は、ぴんと張った繊維シート302を介して乳房402をスキャニングしながら、適合的な態様で外側の膨らみに沿って追従504するように機械的に制御される。
【0022】
図6Aは1実施例に基づく超音波スキャニング装置において使用するために設けられるような繊維シート602を例示しており、その場合に、該繊維シートは概略緩んだ(ぴんと張っていない)状態に設けられる。フレーム要素604が繊維シート602の各側部上に設けられている。その他の実施例においては、フレーム要素604は新たな繊維を供給し且つ受納するローラー要素により、又は多様なその他のフレーミング形態によって置換させることが可能である。更にその他の実施例においては、フレーム要素604は図3のフレーム304に類似した単一のフレームを形成することが可能である。図6A−6Bの実施例に基づく各場合において、該繊維シートは初期的には緩んだ/だらりとした/ぴんとしていない状態にあり、次いで該フレーム要素が乳房402に対して操作されて繊維シート602が図6Bに例示したように乳房402を圧縮するぴんと張った状態とされる。
【0023】
図6Bの例においては、ぴんと張った繊維シート602は組織サンプルを円筒の長手方向に延在するセクターに類似した形状に圧縮している。より一般的には、乳房は所望の三次元的形状をした表面(例えば、球体、楕円体等)を有するように圧縮させることが可能である。図6Bに例示したように、超音波トランスデューサ604はぴんと張った繊維シートを介して組織サンプルをスキャニングしながら、三次元的な形状をした表面に沿って適合的に追従すべく並進移動させることが可能である。その他の実施例の場合におけるように、図6A−6Bの実施例は、組織サンプルが乳房である場合のシナリオに制限されるものではない。例えば、図6A−6Bに類似した実施例は、腕、脚部、首、腹部、又はその他の体部分の圧縮性超音波イメージングのために適したもの及び/又は適用可能なものとすることが可能である。
【0024】
図7は1実施例に基づくぴんと張った繊維シート702を例示しており、その場合に、組織表面に対してのぴんと張った繊維シート702の位置決めを容易化させるために1つ又はそれ以上の可視的マーキング704が設けられている。図7の実施例においては、乳房の乳首がどこに配置されるべきかを示すために可視的な境界が使用される。その他の実施例においては、スキャン中心、スキャン限界、好適な配向、明白な病変に対する好適な位置等のその他の有用な情報を示すため、及び/又はインストラクション的な注釈、矢印、テキスト等を与えるために可視的な境界を使用することが可能である。
【0025】
図8及び9A−9Dは、本教示に基づくぴんと張った繊維シートを超音波乳房スキャニングを容易化するために使用することが可能な多数の異なる形態のうちの幾つかを例示している。図8はFFBUスキャナ802を例示しており、それは、CC及びMLO画像等のマンモグラムのような観察面に沿って乳房が圧縮されている間に超音波スキャンを得るために特に適合されており、圧縮/スキャニング組立体804及びCC、MLO、LAT配向の間で集合的に回転させることが可能な圧縮体806を有している。圧縮/スキャニング組立体804は、上述したものと同様であり且つ同様の利点を発生するぴんと張った繊維シート808を有している。図8の特定のオリエンテーション即ち配向においては、ぴんと張った繊維シート808を介して上方向にスキャニングすることによりCC圧縮画像が得られる。図9A−9Dは前方によりかかり易いスキャニング装置902(図9A−9B)、横たわり易いスキャニング装置902′(図9C)及び直立スキャニング装置902″(図9D)の一部としてぴんと張った繊維シート904をどのようにして有益的に使用することが可能であるかを例示している。
【0026】
本発明の多数の変更及び修正は疑いもなく前述した説明を読んだ後に当業者にとって明らかなものとなるものであるが、例示として示し且つ説明した特定の実施例は制限的なものと考えられるべきことを何等意図としたものでないことを理解すべきである。例として、多様な異なるフレーム組立体のいずれをも繊維シートを位置決めし、緊張させ且つその他の態様で操作するために使用することが可能であり、そのことは、該繊維シートが永久的に使用されるものであるか異なる患者に対して再使用されるものであるか又は各患者に対して使い捨て可能なものであるかに拘わるものではなく、本教示の範囲から逸脱するものではない。
【0027】
更なる例として、該繊維シートが織られた物質であるある代替的実施例の場合には、その織物は、オプションとして、ぴんと張られた状態の量が指向的に依存性のものであるように異なる方向に織り込まれた異なる物質を有することが可能である(例えば、非弾力性のポリエステル繊維が1つの方向であり且つ部分的に弾力性の繊維が別の方向である)。従って、実施例の詳細についての参照はその範囲を制限することを意図したものではない。
【0028】
又、上述したぴんと張った繊維シートに基づくシステムに対する代替例として又はそれと関連して使用するために設けられているものは、組織表面を有する組織体積を超音波的にスキャニングする装置及び関連方向であって、それは超音波トランスデューサと通気性メンブレンとを有している。該通気性メンブレンは組織表面と接触する第一表面及び該第一表面と反対側の第二表面を有している。超音波トランスデューサは該第二表面と接触し且つ組織体積を超音波的にスキャニングするために該第二表面にわたって並進移動される。音響的接触媒質が該組織表面、該第一表面、該第二表面のうちの1つへ付与され、該通気性メンブレンは音響的結合剤に関して実質的にポーラス即ち多孔性であり、超音波スキャン期間中における超音波トランスデューサと組織表面との間の音響経路内における気泡の存在を妨げる。該通気性メンブレンはこの多孔性を与えるボイドパターンを有している。好適には、該ボイドパターンは、該通気性メンブレンが組織の位置決め及びトランスデューサの並進期間中の動きに対して組織表面を局所的に安定化させるような形態とされている。
【0029】
1実施例においては、該ボイドパターンは空間的に一様である。別の実施例においては、該ボイドパターンは空間的に変化し且つ組織表面に対して該通気性メンブレンの位置決めを容易化させるための1つ又はそれ以上の可視的なマーキングを画定する。好適には、該ボイド(及びボイドピッチ)の寸法は適用される音響信号の波長と等しいか又はそれより大きい。1例として、7MHzの超音波周波数の場合には、ボイドの寸法は約0.5mm以上とすべきである。
【0030】
1実施例においては、該通気性メンブレンは、(a)一様なフィルムシートを形成する、且つ(b)スタンピング、穴あけ、又はその他のボイドパターンを確立するためにデザインされたその他のプロセスのうちの1つによって該一様なフィルムシート内にボイドパターンを確立すること、によって形成される。例は、レーザー穴あけ、高温ニードルを使用した穴あけ、打ち抜き、コールドスタンピング、及びホットスタンピングを包含している。
【0031】
1実施例においては、該通気性メンブレンは実質的にぴんと張っており且つ組織表面を平坦化した状態へ圧縮させ、超音波トランスデューサが単一面内において機械的に並進運動される。別の実施例においては、該通気性メンブレンが柔軟性があり且つ組織表面の上又はその周りに実質的に適合する形態とされており、該超音波トランスデューサは組織表面の上又は周りをそのように適合する場合にその輪郭に追従する態様で第二表面にわたり並進運動される。非制限的な例として、組織体積が人間の乳房である場合には、該通気性メンブレンは乳房の輪郭周りにブラジャーのような態様で適合することが可能である。
【0032】
再度図1及び図2を参照すると、要素118は、代替的に、実質的にぴんと張った状態において少なくとも部分的に適合性のある通気性メンブレンを有することが可能であり、該通気性メンブレンは、トランスデューサが乳房をスキャンするためにその上表面にわたり掃引される間に乳房と接触する底部表面を有している。再度図8及び図9A−9Dを参照すると、要素808及び904は、代替的に、実質的にぴんと張った状態における少なくとも部分的に適合性のある通気性メンブレンを有することが可能であり、該通気性メンブレンは、トランスデューサが乳房をスキャンするためにその上部表面にわたって掃引される間に乳房と接触する底部表面を有している。
【0033】
本教示に従って通気性メンブレンを使用することにより幾つかの利点が実現される。第一に、該通気性メンブレンは、そうでなければメンブレン表面における音響的接触媒質内に形成する場合のある気泡の散逸を促進させる。非通気性メンブレンを使用する場合と比較して、超音波トランスデューサと組織表面との間に存在する気泡がより少ないということにより画像品質が増加される。第二に、非通気性メンブレンを使用する場合と比較して、超音波トランスデューサと組織表面との間に存在するメンブレン物質がより少ないという事実により減衰が減少され且つ反射が減少される。第三に、通気性メンブレン内におけるボイドパターンの存在は、組織表面の局所的安定性を促進させ、というのは皮膚がボイドにより形成されるテクスチャにより「把持」されるからである。それにより、乳房は圧縮表面に沿ってスリップ又は摺動することが禁止される。このことは患者及び乳房の位置決めをより容易なものとさせ、且つトランスデューサが並進移動される間に乳房がスリップする場合のある蓋然性を減少させる。本開示に鑑み当業者にとって明らかなようにその他の利点がもたらされる。
【0034】
通気性メンブレンに対して使用することが可能な物質の例は、これらに制限されるものではないが、ポリプロプレン、ポリエステル(これに制限するわけではないがマイラー(Mylar)を含む)、ポリエチレン、PTFE、PET、紙、Kevlar、金属、及びエポキシ繊維複合物質を含む。1実施例においては、該通気性メンブレンはFFBUスキャナの永久的又は半永久的コンポーネントであり、且つ各患者の後にクリーニングされる。別の実施例においては、該通気性メンブレンは使い捨て可能又はリサイクル可能であり、且つ各患者の後に置換される。例として、該通気性メンブレンがマイラーフィルムシート又は同様の柔軟性があり且つ薄い物質を有している場合には、該通気性メンブレン物質は圧縮部材のフレームに取り付けられる長いロールに巻き付けることが可能であり、且つそのロールは、各患者が通気性メンブレン物質の新しい部分を使用するように患者と患者との間で段階的に前進させることが可能である。該通気性メンブレン物質を緊張させ、解放させ、且つ再緊張させるために必要に応じ組立体を設けることが可能である。
【0035】
図10は1実施例に基づく通気性メンブレン1002を例示しており、該通気性メンブレン1002はフレーム1004へ取り付けられている。該通気性メンブレン1002はボイドによって占有されるフィルムシートの表面積が少なくとも25%である1mm未満の厚さのフィルムシートを有することが可能である。別の実施例においては、表面積の少なくとも80%がボイドにより占有される。1実施例においては、ボイドは約0.1mm−25mmの間の一様な直径を有する円形状であり且つ該直径の約1.1−10.0倍の間の一様なピッチを有している。該ボイドは規則的な格子パターンに配置させることが可能であり(例えば、単位セルが三角形、正方形、矩形、五角形、六角形等)、又は、代替的には、多様なランダム化した配置のうちのいずれかとすることが可能である。そのランダム性はボイド寸法、ボイド形状及び/又はボイドパターンによるものとすることが可能であり且つ通気性メンブレンにおける短期又は長期の横方向順番付けに起因してある音響周波数において発生される場合のある人工的効果を減少させることに役立つ場合がある。より一般的には、広範なる多様性の異なるボイド形状、パターン、及び寸法が本教示の範囲内である。
【0036】
図11は1実施例に基づく通気性メンブレン1102を例示しており、該通気性メンブレン1102はフレーム1104に取り付けられている。更に図12を参照すると、通気性メンブレン1102は第一単繊維パターン1252と第二単繊維パターン1254との垂直融合により形成される網を有している。好適には、該網の表面積の少なくとも25%がボイドにより占有されている。別の実施例においては、表面積の少なくとも80%がボイドにより占有されている。更に別の実施例においては、該単繊維の厚さは約0.04mmであり、一方そのピッチは約0.5mmであり、その区域の90%を超える透過性を与えている(即ち、物質ではなくボイドにより占有されている)。
【0037】
図13は1実施例に基づく通気性メンブレン1302を例示しており、その場合にボイドパターンは空間的に変化しており且つ組織表面に対して通気性メンブレンの位置決めを容易とするための1つ又はそれ以上の可視的マーキングを画定している。図13の実施例において見られるものは乳房の乳首が配置されるべき場所を示すために使用することが可能な異なる寸法及び/又は異なる位置決めされたボイドにより画定された中央区域1304である。
【0038】
図14A及び14Bは1実施例に基づく通気性メンブレンを例示しており、その場合に、ボイドパターンは空間的に変化しており且つ組織表面に対して通気性メンブレンの位置決めを容易化させるための1つ又はそれ以上の可視的なマーキングを画定している。図14A及び14Bの実施例において見られるものは、スキャン区域の中心を可視的に描写するための単繊維要素の間隔における変化である。この可視的な境界は、乳房の乳首が配置されるべき位置、及び/又は明白な病変が配置されるべき位置を示すために使用することが可能である。より一般的には、図13,14A及び14Bに基づくボイドパターンにおける変化による可視的な境界は多様な目的のいずれかに対し多様な形状、フォーム及び位置のうちのいずれかをとることが可能である。従って、例えば、図14Bはスキャン区域のエッジを画定するための短繊維要素間隔における付加的な変化を例示している。
【0039】
その他の実施例において、該通気性メンブレンはスキャン中心、スキャンボーダー、好適な配向、明白な病変に対する好適な位置等の特別の位置を指定するため、及び/又はインストラクションとしての注釈、矢印、テキスト等を与えるために変化する色を有することが可能である(例えば、図10におけるフィルムシート上に印刷するか、又は図11において異なる色の単繊維要素を使用する)。更にその他の実施例においては、このような位置決め参照、注釈等を与えるためにボイドパターン変更例及び印刷/色づけの組合わせを使用することが可能である。
【0040】
1実施例においては、該通気性メンブレンは、音響的接触媒質で予め含湿させることが可能である。別の実施例においては、該通気性メンブレンは音響的接触媒質で予め含湿されるものではない。予め含湿されていない(即ちドライな)通気性メンブレンを使用することは、予め含湿された通気性メンブレンを使用する場合と比較して乳房位置決め期間中にそれを介して乳房を技術者が見ることを容易にするという点で有益的である。音響的接触媒質を直接的に乳房に適用し、次いで通気性メンブレンを接触媒質でコーティングした乳房と接触させることは、特に良好な画像品質を発生することが判明している。一般的には、非通気性メンブレンの使用の場合に必要とされる量と比較してより多くの音響的接触媒質が必要とされる。
【0041】
本発明の多数の変更例及び修正例は前述した説明を読んだ後に当業者にとって明かなものであることは疑いのないものであるが、例示として説明し且つ示した特定の実施例は制限的なものであることを何等意図したものでないことを理解すべきである。例として、多様な異なるフレーム組立体のいずれかを、本教示の範囲を逸脱することなしに、通気性メンブレンが永久的に使用され且つ異なる患者に対して再使用されるものであるか各患者に対して使い捨て可能なものであるかに拘わらずに、通気性メンブレンを位置決めし、緊張させ且つその他の態様で取扱うために使用することが可能であることを理解すべきである。
【0042】
更なる例として、上述した実施例の1つ又はそれ以上は比較的大きな量の圧縮力が通気性メンブレンにより付与されることについて記載しているが(例えば、乳房をX線マンモグラムのような態様で平坦化させるため)、その他の実施例においては、その圧縮力は非常に軽いものとすることが可能である。例えば、代替的実施例においては、該通気性メンブレンはブラジャーのような態様で患者により装着されるべき形態とし且つ形成され、且つ超音波トランスデューサは該ブラジャーのような装置の内側に維持されて乳房の輪郭に追従する感応性ロボットアームにより移動される。このような場合においては、該通気性メンブレンにより与えられる圧縮力は非常に軽いものとすることが可能であり、幾つかの場所においてはゼロにさえ近付くものであり、これらの位置において皮膚と接触を維持するのに充分なものであるに過ぎない。1つの代替的実施例においては、該通気性メンブレンは米国特許第5,626,554号において説明されている多孔性ゲルブラダー物質に類似した物質を有することが可能である。
【0043】
図15A−15Bは1実施例に基づく体積的スキャニングプローブ1500の平面図及び側部断面図をそれぞれ示しており、その場合に、柔軟性のある接触媒質多孔性物質シート1502、即ち柔軟性のある接触媒質多孔性繊維シート又は柔軟性のある通気性メンブレンが、角度的に回転するトランスデューサヘッド1508と組織表面1530との間の圧縮表面として使用されている。トランスデューサヘッド1508は、組織表面の法線に対して約−45度と+45度との間で交互に円筒状ローラー1504を角度にわたり掃引する態様でモータ/アクチュエータ1510により駆動される円筒状ローラー1504の周辺部に装着されており、該交互運動は0.25Hz−4Hzの範囲内の周波数におけるものである。回転可能な部材1506a及び1506bは、シート1502を実質的にぴんと張られた状態に維持する。オプションとして、回転可能な部材1506a及び1506bは、実質的な量のシート物質1502を格納するローラーとすることが可能であり、且つスキャン期間中にシート物質を段階的に新しいものとさせ、及び/又は衛生目的のために患者毎にシート物質を新しいものとさせることが可能である。
【0044】
有益的なことであるが、体積的スキャニングプローブ1500は、トランスデューサヘッド1508近くの組織における瞬間的な又はほぼ瞬間的な体積的画像を与えることが可能である。製造は物質シート1502により容易化されており、それは組織をローラー1504/トランスデューサヘッド1508の下側において局所的に安定に維持しながら、音響的湿潤剤を使用して良好な音響的結合を与える。1実施例の場合には、体積的スキャニングプローブ1500が組織表面にわたり横方向に並進運動をされる場合に、回転可能な部材1506a及び1506bは付加的なアクチュエータ(不図示)により回転されて、組織表面に対してシート物質1502の摺動が存在しないように丁度正しい量のシート物質1502を供給する。このことは、体積的スキャニングプローブ1500が組織表面にわたって横方向に並進運動されるのと同じ速度で該物質シートが繰り出される(mm/秒)ようにさせることにより達成される。
【0045】
本発明の多数の変形例及び修正例は前述した説明を読んだ後に当業者にとって明かなものとなることは疑いのないところであるが、例示として示し且つ説明した特定の実施例は制限的なものであることを意図したものではないことを理解すべきである。従って、該実施例の詳細についての参照はそれらの範囲を制限することを意図したものではない。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】1実施例に基づくフルフィールド乳房超音波(FFBU)スキャニング装置の斜視図。
【図2】1実施例に基づく図1のFFBUを使用する超音波乳房スキャニングの斜視図。
【図3】1実施例に基づくぴんと張った繊維シートを示した概略図。
【図4】図3のぴんと張った繊維シートを使用した超音波乳房スキャニングの概略図。
【図5】(A)及び(B)は図3のぴんと張った繊維シートを使用した超音波乳房スキャニングの各概略図。
【図6】(A)は概略緩んだ(ぴんと張られていない)状態にある繊維シートを示した概略図、(B)は1実施例に基づいてそれを介して下側に存在する組織がスキャンされる間にぴんと張られた状態にある(A)の繊維シートを示した概略図。
【図7】1実施例に基づく1つ又はそれ以上の可視的マーキングを有するぴんと張られた繊維シートの概略図。
【図8】本教示に基づくぴんと張られた繊維シートを超音波乳房スキャニングを容易化するために使用することが可能な装置形態を示した概略図。
【図9A】本教示に基づくぴんと張られた繊維シートを超音波乳房スキャニングを容易化するために使用することが可能な装置形態を示した概略図。
【図9B】本教示に基づくぴんと張られた繊維シートを超音波乳房スキャニングを容易化するために使用することが可能な装置形態を示した概略図。
【図9C】本教示に基づくぴんと張られた繊維シートを超音波乳房スキャニングを容易化するために使用することが可能な装置形態を示した概略図。
【図9D】本教示に基づくぴんと張られた繊維シートを超音波乳房スキャニングを容易化するために使用することが可能な装置形態を示した概略図。
【図10】1実施例に基づく通気性メンブレンを示した概略図。
【図11】1実施例に基づく通気性メンブレンを示した概略図。
【図12】1実施例に基づく通気性メンブレンを示した概略図。
【図13】1実施例に基づく通気性メンブレンを示した概略図。
【図14】(A)及び(B)は1実施例に基づく通気性メンブレンを示した各概略図。
【図15】(A)及び(B)は1実施例に基づく体積的スキャニングプローブを示した夫々平面図及び側部断面図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織サンプルを超音波的にスキャニングする装置において、
超音波トランスデューサ、
該組織サンプルを圧縮するぴんと張った繊維シート、
を有しており、前記超音波トランスデューサが前記ぴんと張った繊維シートと接触し且つそれを介して該組織サンプルを超音波的にスキャニングする、装置。
【請求項2】
請求項1において、前記ぴんと張った繊維シートが概略平坦状の形状を有するように該組織サンプルを圧縮し、前記超音波トランスデューサが該圧縮された組織サンプルの容積的スキャニングのために前記ぴんと張った繊維シートを介して該組織サンプルをスキャニングしながらほぼ平坦状の経路に沿って並進される装置。
【請求項3】
請求項2において、前記超音波トランスデューサが前記ぴんと張った繊維シートを介して該組織サンプルをスキャニングしながら前記ほぼ平坦な形状に沿って追従するために並進される装置。
【請求項4】
請求項1において、所望の三次元的な形状をした表面を有するように該組織サンプルを圧縮し、前記超音波トランスデューサが、前記ぴんと張った繊維シートを介して該組織サンプルをスキャニングしながら前記三次的な形状をした表面に沿って追従するために並進される装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のうちのうちのいずれかにおいて、前記ぴんと張った繊維シートが音響的接触媒質で湿潤されており前記超音波トランスデューサと該組織サンプルとの間の音響的結合を容易とさせており、前記ぴんと張った繊維シートは該音響的接触媒質に関して実質的に多孔性であり且つ前記超音波トランスデューサと前記組織サンプルとの間における気泡の存在を妨げる装置。
【請求項6】
請求項1乃至4のうちのいずれかにおいて、(i)前記ぴんと張った繊維シートを前記音響的接触媒質で予め含浸させる、(ii)該組織サンプルを圧縮する前に、該ぴんと張った繊維シートの組織に面する表面又は該組織サンプルへ結合剤を適用する、(iii)該組織サンプルを圧縮する前に、該ぴんと張った繊維シートのトランスデューサに面した面へ結合剤を適用する、及び(iv)該組織サンプルを圧縮した後で且つ前記スキャニングの前に該ぴんと張った繊維シートのトランスデューサに面した面へ結合剤を付与する、のうちの1つ又はそれ以上により前記ぴんと張った繊維シートを該音響的接触媒質で湿潤させる装置。
【請求項7】
請求項1乃至4のうちのいずれかにおいて、該組織サンプルが乳房であり、且つ該ぴんと張った繊維シートが、(i)ほぼ真正面方向において、又は(ii)標準のX線マンモグラム面に沿って、乳房を圧縮させる装置。
【請求項8】
請求項1乃至4のうちのいずれかにおいて、前記ぴんと張った繊維シートが実質的に非弾性的物質を有している装置。
【請求項9】
請求項1乃至4のうちのいずれかにおいて、該組織サンプルが乳房であり、且つ前記ぴんと張った繊維シートが該組織サンプルを2−20ポンドだけ該組織サンプルを圧縮させる装置。
【請求項10】
請求項9において、前記ぴんと張った繊維シートが該組織サンプルを4−12ポンドだけ圧縮させる装置。
【請求項11】
請求項10において、前記ぴんと張った繊維シートが該組織サンプルを6−10ポンドだけ圧縮させる装置。
【請求項12】
請求項11において、前記実質的に非弾性的物質がそれを介して該圧縮された組織サンプルを観察することを可能とするために透き通っている装置。
【請求項13】
請求項12において、前記透き通っており実質的に非弾性的物質が、約40ミクロンの繊維直径及び約500ミクロンの繊維間間隔を有しているポリエステルオーガンザ物質を有している装置。
【請求項14】
組織表面を有している組織容積を超音波的にスキャニングする装置において、
超音波トランスデューサ、
該組織表面と接触する第一表面と該第一表面と反対側の第二表面とを有している通気性メンブレン、
を有しており、
該超音波トランスデューサが該組織体積を超音波的にスキャニングするために該第二表面と接触し且つそれにわたって並進される、装置。
【請求項15】
請求項14において、音響的結合剤が前記組織表面、前記第一表面、及び前記第二表面のうちの1つを付与され、該通気性メンブレンが超音波スキャン期間中に前記超音波トランスデューサと前記組織表面との間の音響経路内における気泡の存在を妨げるために前記音響的結合剤に関して実質的に多孔性である装置。
【請求項16】
請求項15において、前記通気性メンブレンが前記音響的結合剤に関して前記多孔性を与えるボイドパターンを有しており、前記ボイドパターンが、前記トランスデューサ並進期間中に前記通気性メンブレンが前記組織表面を動きに対して局所的に安定化させるような形態である装置。
【請求項17】
請求項16において、前記ボイドパターンが空間的に一様である装置。
【請求項18】
請求項16において、前記ボイドパターンが空間的に変化しており且つ該組織表面に対して前記通気性メンブレンの位置決めを容易化させるために1つ又はそれ以上の可視的マーキングを画定している装置。
【請求項19】
請求項16において、前記ボイドパターンがボイドを有しており、前記通気性メンブレンが1mmの厚さより薄いフィルムシートを有しており、且つ該フィルムシートの表面積の少なくとも25%が前記ボイドにより占有されている装置。
【請求項20】
請求項19において、前記表面積の少なくとも80%が前記ボイドにより占有されている装置。
【請求項21】
請求項19において、前記通気性メンブレンが、(a)一様なフィルムシートを形成し、且つ(b)スタンピング、穴開け、又は前記ボイドパターンを確立するためにデザインされたその他のプロセスのうちの1つにより前記一様なフィルムシート内にボイドパターンを確立する、ことにより形成される装置。
【請求項22】
請求項19において、前記ボイドパターンがボイドを有しており、前記ボイドが約0.1mm−25mmの間の一様な直径を有する円形状であり、且つ前記ボイドが前記直径の約1.1−10.0倍の間の一様なピッチを有している装置。
【請求項23】
請求項16において、前記ボイドパターンがボイドを有しており、前記通気性メンブレンが物質の2つ又はそれ以上の単繊維パターンの垂直融合により形成された網を有しており、且つ前記網の表面積の少なくとも25%が前記ボイドにより占有されている装置。
【請求項24】
請求項23において、前記表面積の少なくとも80%が前記ボイドにより占有されている装置。
【請求項25】
請求項14−24のうちのいずれかにおいて、
前記通気性メンブレンが実質的にぴんと張られており且つ該組織表面を平坦化された状態へ圧縮し、該超音波トランスデューサが単一面内において前記第二表面にわたって機械的に並進される装置。
【請求項26】
請求項14乃至24のうちのいずれかにおいて、前記通気性メンブレンが柔軟性があり且つ該組織表面の上又はその周りに実質的に適合する形態とされており、該超音波トランスデューサが該組織表面の上又は周りにそのように適合している場合にその輪郭に追従する態様で前記第二表面にわたり並進される装置。
【請求項1】
組織サンプルを超音波的にスキャニングする装置において、
超音波トランスデューサ、
該組織サンプルを圧縮するぴんと張った繊維シート、
を有しており、前記超音波トランスデューサが前記ぴんと張った繊維シートと接触し且つそれを介して該組織サンプルを超音波的にスキャニングする、装置。
【請求項2】
請求項1において、前記ぴんと張った繊維シートが概略平坦状の形状を有するように該組織サンプルを圧縮し、前記超音波トランスデューサが該圧縮された組織サンプルの容積的スキャニングのために前記ぴんと張った繊維シートを介して該組織サンプルをスキャニングしながらほぼ平坦状の経路に沿って並進される装置。
【請求項3】
請求項2において、前記超音波トランスデューサが前記ぴんと張った繊維シートを介して該組織サンプルをスキャニングしながら前記ほぼ平坦な形状に沿って追従するために並進される装置。
【請求項4】
請求項1において、所望の三次元的な形状をした表面を有するように該組織サンプルを圧縮し、前記超音波トランスデューサが、前記ぴんと張った繊維シートを介して該組織サンプルをスキャニングしながら前記三次的な形状をした表面に沿って追従するために並進される装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のうちのうちのいずれかにおいて、前記ぴんと張った繊維シートが音響的接触媒質で湿潤されており前記超音波トランスデューサと該組織サンプルとの間の音響的結合を容易とさせており、前記ぴんと張った繊維シートは該音響的接触媒質に関して実質的に多孔性であり且つ前記超音波トランスデューサと前記組織サンプルとの間における気泡の存在を妨げる装置。
【請求項6】
請求項1乃至4のうちのいずれかにおいて、(i)前記ぴんと張った繊維シートを前記音響的接触媒質で予め含浸させる、(ii)該組織サンプルを圧縮する前に、該ぴんと張った繊維シートの組織に面する表面又は該組織サンプルへ結合剤を適用する、(iii)該組織サンプルを圧縮する前に、該ぴんと張った繊維シートのトランスデューサに面した面へ結合剤を適用する、及び(iv)該組織サンプルを圧縮した後で且つ前記スキャニングの前に該ぴんと張った繊維シートのトランスデューサに面した面へ結合剤を付与する、のうちの1つ又はそれ以上により前記ぴんと張った繊維シートを該音響的接触媒質で湿潤させる装置。
【請求項7】
請求項1乃至4のうちのいずれかにおいて、該組織サンプルが乳房であり、且つ該ぴんと張った繊維シートが、(i)ほぼ真正面方向において、又は(ii)標準のX線マンモグラム面に沿って、乳房を圧縮させる装置。
【請求項8】
請求項1乃至4のうちのいずれかにおいて、前記ぴんと張った繊維シートが実質的に非弾性的物質を有している装置。
【請求項9】
請求項1乃至4のうちのいずれかにおいて、該組織サンプルが乳房であり、且つ前記ぴんと張った繊維シートが該組織サンプルを2−20ポンドだけ該組織サンプルを圧縮させる装置。
【請求項10】
請求項9において、前記ぴんと張った繊維シートが該組織サンプルを4−12ポンドだけ圧縮させる装置。
【請求項11】
請求項10において、前記ぴんと張った繊維シートが該組織サンプルを6−10ポンドだけ圧縮させる装置。
【請求項12】
請求項11において、前記実質的に非弾性的物質がそれを介して該圧縮された組織サンプルを観察することを可能とするために透き通っている装置。
【請求項13】
請求項12において、前記透き通っており実質的に非弾性的物質が、約40ミクロンの繊維直径及び約500ミクロンの繊維間間隔を有しているポリエステルオーガンザ物質を有している装置。
【請求項14】
組織表面を有している組織容積を超音波的にスキャニングする装置において、
超音波トランスデューサ、
該組織表面と接触する第一表面と該第一表面と反対側の第二表面とを有している通気性メンブレン、
を有しており、
該超音波トランスデューサが該組織体積を超音波的にスキャニングするために該第二表面と接触し且つそれにわたって並進される、装置。
【請求項15】
請求項14において、音響的結合剤が前記組織表面、前記第一表面、及び前記第二表面のうちの1つを付与され、該通気性メンブレンが超音波スキャン期間中に前記超音波トランスデューサと前記組織表面との間の音響経路内における気泡の存在を妨げるために前記音響的結合剤に関して実質的に多孔性である装置。
【請求項16】
請求項15において、前記通気性メンブレンが前記音響的結合剤に関して前記多孔性を与えるボイドパターンを有しており、前記ボイドパターンが、前記トランスデューサ並進期間中に前記通気性メンブレンが前記組織表面を動きに対して局所的に安定化させるような形態である装置。
【請求項17】
請求項16において、前記ボイドパターンが空間的に一様である装置。
【請求項18】
請求項16において、前記ボイドパターンが空間的に変化しており且つ該組織表面に対して前記通気性メンブレンの位置決めを容易化させるために1つ又はそれ以上の可視的マーキングを画定している装置。
【請求項19】
請求項16において、前記ボイドパターンがボイドを有しており、前記通気性メンブレンが1mmの厚さより薄いフィルムシートを有しており、且つ該フィルムシートの表面積の少なくとも25%が前記ボイドにより占有されている装置。
【請求項20】
請求項19において、前記表面積の少なくとも80%が前記ボイドにより占有されている装置。
【請求項21】
請求項19において、前記通気性メンブレンが、(a)一様なフィルムシートを形成し、且つ(b)スタンピング、穴開け、又は前記ボイドパターンを確立するためにデザインされたその他のプロセスのうちの1つにより前記一様なフィルムシート内にボイドパターンを確立する、ことにより形成される装置。
【請求項22】
請求項19において、前記ボイドパターンがボイドを有しており、前記ボイドが約0.1mm−25mmの間の一様な直径を有する円形状であり、且つ前記ボイドが前記直径の約1.1−10.0倍の間の一様なピッチを有している装置。
【請求項23】
請求項16において、前記ボイドパターンがボイドを有しており、前記通気性メンブレンが物質の2つ又はそれ以上の単繊維パターンの垂直融合により形成された網を有しており、且つ前記網の表面積の少なくとも25%が前記ボイドにより占有されている装置。
【請求項24】
請求項23において、前記表面積の少なくとも80%が前記ボイドにより占有されている装置。
【請求項25】
請求項14−24のうちのいずれかにおいて、
前記通気性メンブレンが実質的にぴんと張られており且つ該組織表面を平坦化された状態へ圧縮し、該超音波トランスデューサが単一面内において前記第二表面にわたって機械的に並進される装置。
【請求項26】
請求項14乃至24のうちのいずれかにおいて、前記通気性メンブレンが柔軟性があり且つ該組織表面の上又はその周りに実質的に適合する形態とされており、該超音波トランスデューサが該組織表面の上又は周りにそのように適合している場合にその輪郭に追従する態様で前記第二表面にわたり並進される装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2009−502347(P2009−502347A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−524145(P2008−524145)
【出願日】平成18年7月25日(2006.7.25)
【国際出願番号】PCT/US2006/029179
【国際公開番号】WO2007/014292
【国際公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(506360804)ユー−システムズ, インコーポレイテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】U−Systems, Inc.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月25日(2006.7.25)
【国際出願番号】PCT/US2006/029179
【国際公開番号】WO2007/014292
【国際公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(506360804)ユー−システムズ, インコーポレイテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】U−Systems, Inc.
【Fターム(参考)】
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