説明

超音波診断装置、超音波画像処理装置及び超音波画像処理プログラム

【課題】 ストレイン計測を行うためのゲージを三次元データ内において設定し、これを映像化することで、心臓を代表とする三次元的に複雑な動態を有する組織運動の様子を、十分に観察することができる超音波診断装置等を提供すること。
【解決手段】 組織の移動ベクトル情報を用いて、ゲージ端点によって定義される複数のストレインゲージを各時相において設定し、各時相における超音波画像に対応する三次元位置に各ストレインゲージが配置された三次元ストレインゲージ画像を生成し表示する。また、ボリュームデータ上にMPR像を設定し、その上にゲージ座標を投影して所定の形態で表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波画像を用いて組織の動態評価を行う場合に、例えば心臓の内外膜間で分割されたゲージを超音波画像に重畳させて表示することで、心筋の多層構造に起因する複雑な壁運動の直観的把握を支援するための超音波診断装置、超音波画像処理装置及び超音波画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
心筋等の生体組織に関して、その機能を客観的かつ定量的に評価することは、その組織の診断にとって非常に重要である。近年、主に心臓を例として様々な定量的評価法が試みられている。
【0003】
例えば、画像中の局所領域の追跡を行いながら、変位や歪みといった局所の壁運動情報を計算するスペックルトラッキングと呼ばれる技術が実用化されている(例えば、特許文献1参照)。また、このスペックルトラッキングを利用して、例えば歪み計測用の2点間のペアを結ぶ「ストレインゲージ」を表示するストレインゲージ表示法が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2、非特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−175041号公報
【特許文献2】特開2007−117611号公報
【非特許文献1】大阪市大論文: 小川他 Am J Cardiol 2006; 98: 1531-1538
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の手法は、内膜位置と外膜位置とを結ぶ2点間の線分の動きの様子を、あくまでも一つの平面上に限定してストレインゲージ表示するものである。従って、三次元的に複雑な動態を有する心壁運動を、十分に観察することができない場合がある。
【0005】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、ストレイン計測を行うためのゲージを三次元データ内において設定し、これを映像化することで、心臓を代表とする三次元的に複雑な動態を有する組織運動の様子を、十分に観察することができる超音波診断装置、超音波画像処理装置及び超音波画像処理プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するため、次のような手段を講じている。
【0007】
請求項1に記載の発明は、周期的に運動する被検体の組織を超音波で走査し、前記運動についての一周期以上の期間に亘るボリュームデータを収集するデータ収集手段と、所定時相の前記ボリュームデータに対して、前記被検体の組織の三次元的な関心領域を設定する関心領域設定手段と、前記所定時相以外の時相における前記関心領域の移動ベクトル情報を、パターンマッチングを用いた処理により生成する移動ベクトル情報生成手段と、前記被検体の組織上の線分であるストレインゲージの三次元的な位置を、前記関心領域の移動ベクトル情報を用いて少なくとも一つ設定するゲージ設定手段と、前記設定されたストレインゲージが三次元的に映像化された三次元ストレインゲージ画像を生成する画像生成手段と、前記三次元ストレインゲージ画像を所定の形態で表示する表示手段と、を具備することを特徴とする超音波診断装置である。
【0008】
請求項2に記載の発明は、周期的に運動する被検体の組織を超音波で走査し、前記運動についての一周期以上の期間に亘るボリュームデータを収集するデータ収集手段と、所定時相の前記ボリュームデータに対して、前記被検体の組織の三次元的な関心領域を設定する関心領域設定手段と、前記所定時相以外の時相における前記関心領域の移動ベクトル情報を、パターンマッチングを用いた処理により生成する移動ベクトル情報生成手段と、前記被検体の組織上の線分であるストレインゲージの三次元的な位置を、前記関心領域の移動ベクトル情報を用いて少なくとも一つ設定するゲージ設定手段と、前記各時相のボリュームデータに対して、少なくとも一つの任意断面を設定する断面設定手段と、前記ストレインゲージが前記少なくとも一つの任意断面に投影された三次元ストレインゲージ画像を生成する画像生成手段と、前記三次元ストレインゲージ画像を所定の形態で表示する表示手段と、を具備することを特徴とする超音波診断装置である。
【0009】
請求項3に記載の発明は、周期的に運動する被検体の組織を超音波で走査し、前記運動についての一周期以上の期間に亘るボリュームデータを収集するデータ収集手段と、前記各時相のボリュームデータに対して、少なくとも一つの任意断面を設定する断面設定手段と、所定時相の前記少なくとも一つの任意断面上に、前記被検体の組織の関心領域を設定する関心領域設定手段と、前記所定時相以外の時相における前記関心領域の移動ベクトル情報を、パターンマッチングを用いた処理により生成する移動ベクトル情報生成手段と、前記被検体の組織上の線分であるストレインゲージの三次元的な位置を、前記関心領域の移動ベクトル情報を用いて少なくとも一つ設定するゲージ設定手段と、前記ストレインゲージが前記少なくとも一つの任意断面上の対応する位置に設定された三次元ストレインゲージ画像を生成する画像生成手段と、前記三次元ストレインゲージ画像を所定の形態で表示する表示手段と、を具備することを特徴とする超音波診断装置である。
【0010】
請求項13に記載の発明は、周期的に運動する被検体の組織を超音波で走査し、前記運動についての一周期以上の期間に亘って収集されたボリュームデータを記憶する記憶手段と、所定時相の前記ボリュームデータに対して、前記被検体の組織の三次元的な関心領域を設定する関心領域設定手段と、前記所定時相以外の時相における前記関心領域の移動ベクトル情報を、パターンマッチングを用いた処理により生成する移動ベクトル情報生成手段と、前記被検体の組織上の線分であるストレインゲージの三次元的な位置を、前記関心領域の移動ベクトル情報を用いて少なくとも一つ設定するゲージ設定手段と、前記設定されたストレインゲージが三次元的に映像化された三次元ストレインゲージ画像を生成する画像生成手段と、前記三次元ストレインゲージ画像を所定の形態で表示する表示手段と、を具備することを特徴とする超音波画像処理装置である。
【0011】
請求項14に記載の発明は、周期的に運動する被検体の組織を超音波で走査し、前記運動についての一周期以上の期間に亘って収集されたボリュームデータを記憶する記憶手段と、所定時相の前記ボリュームデータに対して、前記被検体の組織の三次元的な関心領域を設定する関心領域設定手段と、前記所定時相以外の時相における前記関心領域の移動ベクトル情報を、パターンマッチングを用いた処理により生成する移動ベクトル情報生成手段と、前記被検体の組織上の線分であるストレインゲージの三次元的な位置を、前記関心領域の移動ベクトル情報を用いて少なくとも一つ設定するゲージ設定手段と、前記各時相のボリュームデータに対して、少なくとも一つの任意断面を設定する断面設定手段と、前記ストレインゲージが前記少なくとも一つの任意断面に投影された三次元ストレインゲージ画像を生成する画像生成手段と、前記三次元ストレインゲージ画像を所定の形態で表示する表示手段と、を具備することを特徴とする超音波画像処理装置である。
【0012】
請求項15に記載の発明は、周期的に運動する被検体の組織を超音波で走査し、前記運動についての一周期以上の期間に亘って収集されたボリュームデータを記憶する記憶手段と、前記各時相のボリュームデータに対して、少なくとも一つの任意断面を設定する断面設定手段と、所定時相の前記少なくとも一つの任意断面上に、前記被検体の組織の関心領域を設定する関心領域設定手段と、前記所定時相以外の時相における前記関心領域の移動ベクトル情報を、パターンマッチングを用いた処理により生成する移動ベクトル情報生成手段と、前記被検体の組織上の線分であるストレインゲージの三次元的な位置を、前記関心領域の移動ベクトル情報を用いて少なくとも一つ設定するゲージ設定手段と、前記ストレインゲージが前記少なくとも一つの任意断面上の対応する位置に設定された三次元ストレインゲージ画像を生成する画像生成手段と、前記三次元ストレインゲージ画像を所定の形態で表示する表示手段と、を具備することを特徴とする超音波画像処理装置である。
【0013】
請求項16に記載の発明は、コンピュータに、一周期以上の期間に亘って収集された被検体の組織に関する複数のボリュームデータのうち、所定時相の前記ボリュームデータに対して、前記被検体の組織の三次元的な関心領域を設定させる関心領域設定機能と、前記所定時相以外の時相における前記関心領域の移動ベクトル情報を、パターンマッチングを用いた処理により生成させる移動ベクトル情報生成機能と、前記被検体の組織上の線分であるストレインゲージの三次元的な位置を、前記関心領域の移動ベクトル情報を用いて少なくとも一つ設定させるゲージ設定機能と、前記設定されたストレインゲージが三次元的に映像化された三次元ストレインゲージ画像を生成させる画像生成機能と、前記三次元ストレインゲージ画像を所定の形態で表示させる表示機能と、を実現させることを特徴とする超音波画像処理プログラムである。
【0014】
請求項17に記載の発明は、コンピュータに、一周期以上の期間に亘って収集された被検体の組織に関する複数のボリュームデータのうち、所定時相の前記ボリュームデータに対して、前記被検体の組織の三次元的な関心領域を設定させる関心領域設定機能と、前記所定時相以外の時相における前記関心領域の移動ベクトル情報を、パターンマッチングを用いた処理により生成させる移動ベクトル情報生成機能と、前記被検体の組織上の線分であるストレインゲージの三次元的な位置を、前記関心領域の移動ベクトル情報を用いて少なくとも一つ設定させるゲージ設定機能と、前記各時相のボリュームデータに対して、少なくとも一つの任意断面を設定させる断面設定機能と、前記ストレインゲージが前記少なくとも一つの任意断面に投影された三次元ストレインゲージ画像を生成させる画像生成機能と、前記三次元ストレインゲージ画像を所定の形態で表示させる表示機能と、を実現させることを特徴とする超音波画像処理プログラムである。
【0015】
請求項18に記載の発明は、コンピュータに、一周期以上の期間に亘って収集された被検体の組織に関する各時相のボリュームデータに対して、少なくとも一つの任意断面を設定させる断面設定機能と、所定時相の前記少なくとも一つの任意断面上に、前記被検体の組織の関心領域を設定させる関心領域設定機能と、前記所定時相以外の時相における前記関心領域の移動ベクトル情報を、パターンマッチングを用いた処理により生成させる移動ベクトル情報生成機能と、前記被検体の組織上の線分であるストレインゲージの三次元的な位置を、前記関心領域の移動ベクトル情報を用いて少なくとも一つ設定させるゲージ設定機能と、前記ストレインゲージが前記少なくとも一つの任意断面上の対応する位置に設定された三次元ストレインゲージ画像を生成させる画像生成機能と、前記三次元ストレインゲージ画像を所定の形態で表示させる表示機能と、を実現させることを特徴とする超音波画像処理プログラムである。
【発明の効果】
【0016】
以上本発明によれば、ストレイン計測を行うためのゲージを三次元データ内において設定し、これを映像化することで、心臓を代表とする三次元的に複雑な動態を有する組織運動の様子を、十分に観察することができる超音波診断装置、超音波画像処理装置及び超音波画像処理プログラムを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に従って説明する。以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0018】
なお、これから述べる各実施形態においては、本発明の技術的思想を超音波診断装置に適用する場合を例として説明する。しかしながら、これに拘泥されることなく、本発明の技術的思想は、ワークステーション、パーソナルコンピュータ等を用いた超音波画像処理装置についても適用可能である。
【0019】
また、各実施形態に係る各構成要素によって実現される機能、特に後述する移動ベクトル処理ユニット19、画像生成ユニット21、追跡処理ユニット33、運動情報演算ユニット37、ゲージ設定ユニット38(図1参照)によって実現される機能については、当該各構成要素と同様の処理を実行するソフトウェアプログラムをワークステーション等のコンピュータ、コンピュータ機能を有する超音波診断装置等にインストールし、これらをメモリ上で展開することによっても実現することができる。このとき、コンピュータに当該手法を実行させることのできるプログラムは、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD−ROM、DVDなど)、半導体メモリなどの記録媒体に格納して頒布することも可能である。
【0020】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の構成図である。本超音波診断装置10は、超音波プローブ11、送信ユニット13、受信ユニット15、Bモード処理ユニット17、移動ベクトル処理ユニット19、画像生成ユニット21、表示ユニット23、制御ユニット(CPU)31、ボリュームデータ生成ユニット35、運動情報生成ユニット37、ゲージ設定ユニット38、記憶ユニット39、操作ユニット41、ネットワーク送受信ユニット43を具備している。なお、本発明の技術的思想を超音波画像処理装置に適用する場合には、例えば図1の点線内がその構成要素となる。
【0021】
超音波プローブ11は、送信ユニット12からの駆動信号に基づき超音波を発生し、被検体からの反射波を電気信号に変換する複数の圧電振動子、当該圧電振動子に設けられる整合層、当該圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材等を有している。当該超音波プローブ11から被検体に超音波が送信されると、生体組織の非線形性により、超音波の伝播に伴って種々のハーモニック成分が発生する。送信超音波を構成する基本波とハーモニック成分は、体内組織の音響インピーダンスの境界、微小散乱等により後方散乱され、反射波(エコー)として超音波プローブ11に受信される。
【0022】
送信ユニット13は、図示しない遅延回路およびパルサ回路等を有している。パルサ回路では、所定のレート周波数fr Hz(周期;1/fr秒)で、送信超音波を形成するためのレートパルスが繰り返し発生される。また、遅延回路では、チャンネル毎に超音波をビーム状に集束し且つ送信指向性を決定するのに必要な遅延時間が、各レートパルスに与えられる。送信ユニット12は、このレートパルスに基づくタイミングで、所定のスキャンラインに向けて超音波ビームが形成されるように振動子毎に駆動パルスを印加する。
【0023】
受信ユニット15は、図示していないアンプ回路、A/D変換器、加算器等を有している。アンプ回路では、プローブ11を介して取り込まれたエコー信号をチャンネル毎に増幅する。A/D変換器では、増幅されたエコー信号に対し受信指向性を決定するのに必要な遅延時間を与え、その後加算器において加算処理を行う。この加算により、所定のスキャンラインに対応した超音波エコー信号を生成する。
【0024】
Bモード処理ユニット17は、受信ユニット15から受け取った超音波エコー信号に対して包絡線検波処理を施すことにより、超音波エコーの振幅強度に対応したBモード信号を生成する。
【0025】
移動ベクトル処理ユニット19は、時相の異なる二つのフレーム間でパターンマッチング処理を用いて組織位置を検出・追跡し、この移動位置に基づいて各組織の移動量(又は速度)を求める。具体的には、一方のフレーム上の関心領域について、最も類似性の高い他方のフレーム上の対応領域を求める。この関心領域と対応領域との間の距離を求めることで、組織の移動量を求めることができる。また、この移動量をフレーム間の時間差で除することにより、組織の移動速度を求めることができる。この処理をフレーム上の各位置でフレームバイフレームにて行うことにより、各組織の変位(移動ベクトル)又は組織の変位に関する時空間分布データを取得することができる。
【0026】
画像生成ユニット21は、Bモード信号の所定断層に係る次元分布を表したBモード超音波像を生成する。また、画像生成ユニット21は、Bモード超音波像、組織の運動情報に関する画像、Bモード超音波像と組織の運動情報に関する画像との重畳画像等を生成する。ここで、組織の運動情報とは、組織の歪み、歪み率、移動距離、速度その他の組織の運動に関して取得可能な物理情報である。以下、このような組織の運動情報を含む画像の総称を「運動情報画像」と呼ぶ。
【0027】
表示部23は、画像生成ユニット21からのビデオ信号に基づいて、生体内の形態学的情報や運動情報等を画像として所定の形態で表示する。また、表示部23は、複数の画像を表示する場合に、画像間の位置の対応付けを支援するためのマーカを表示する。
【0028】
制御ユニット(CPU)31は、情報処理装置(計算機)としての機能を持ち、本超音波診断装置本体の動作を静的又は動的に制御する。特に、制御ユニット31は、記憶ユニット39に記憶された専用プログラムを図示していないメモリに展開することで、後述する任意断面追跡機能を実現する。
【0029】
ボリュームデータ生成ユニット35は、Bモード処理ユニット17から受け取ったフレーム毎のBモードデータ、移動ベクトル処理ユニット19から受け取った時相毎の組織変位の空間分布データ等を用いて空間的な補間処理を実行し、周期的に運動する診断対象に関するボリュームデータを、当該周期的運動に関する各時相について生成する。なお、本実施形態においては、ボリュームデータ生成ユニット35は、画像生成ユニット21より前段のデータ(いわゆる生データ)を用いてボリュームデータを生成するものとする。しかしながら、これに拘泥されず、当該ボリュームデータ生成ユニット35において画像生成ユニット21より後段のデータ(いわゆる画像データ)を用いてボリュームデータを生成するようにしてもよい。
【0030】
運動情報演算ユニット37は、移動ベクトル処理ユニット19によって取得された時相毎の組織の各座標を用いて、種々の運動情報(例えば、移動量、移動率、歪み、歪み率、相対的回転勾配、内外膜間の回転成分の差等)を演算する。
【0031】
ゲージ設定ユニット38は、移動ベクトル処理ユニット19の出力した移動ベクトル情報を用いて、後述するストレインゲージ設定等の処理を実行する。
【0032】
記憶ユニット39は、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD−ROM、DVDなど)、半導体メモリなどの記録媒体、及びこれらの媒体に記録された情報を読み出す装置である。この記憶ユニット37には、送受信条件、所定のスキャンシーケンス、各時相に対応する生データや超音波画像データ(例えば、組織ドプラモード、Bモード等によって撮影された組織画像データ)、ボリュームデータ生成ユニット35において生成された時相毎のボリュームデータ、取得される各種運動情報、移動ベクトル演算機能を実現するための専用プログラム、三次元ストレインゲージ画像生成、表示を実行するための制御プログラム、診断情報(患者ID、医師の所見等)、診断プロトコル、ボディマーク生成プログラム等を記憶する。
【0033】
操作ユニット41は、装置本体に接続され、オペレータからの各種指示、関心領域(ROI)の設定指示、種々の画質条件設定指示、任意断面追跡処理における規準時相の指定、当該規準時相における任意断面の設定等を装置本体に取り込むためのマウスやトラックボール、モード切替スイッチ、キーボード等を有している。
【0034】
送受信ユニット43は、ネットワークを介して他の装置と情報の送受信を行う装置である。本超音波診断装置1において得られた超音波画像等のデータや解析結果等は、送受信ユニット43よって、ネットワークを介して他の装置に転送可能である。
【0035】
(三次元ストレインゲージ画像の生成・表示機能)
次に、本超音波診断装置1が具備する三次元ストレインゲージ画像の生成・表示機能について説明する。この機能は、心筋の局所的な歪み(ストレイン)を視覚的に示すための線分(ゲージ)を生成し、これを超音波画像上の対応する位置に三次元的に表示するものである。
【0036】
なお、本実施形態では、説明を具体的にするため、診断対象が心臓である場合の運動情報生成機能を例とする。しかしながら、本運動情報生成機能の適用対象は、心臓に限定されず、実質的に周期的運動を行うものであれば、どの様な部位であってもよい。
【0037】
図2は、本三次元ストレインゲージ画像の生成・表示機能に従う処理(三次元ストレインゲージ画像の生成・表示処理)の流れを示したフローチャートである。以下、同図に従って説明する。
【0038】
[ステップS1:データ収集]
まず、ある患者に関する心臓の所望の観察部位について、所定の時刻を基準とし、少なくとも一心拍分以上の期間に亘る時系列の三次元画像データ(ボリュームデータ)(以下、「時系列のボリュームデータ群」と呼ぶ。)を収集する(ステップS1)。なお、ボリュームデータの収集方法には、特に拘泥されない。例えば、一次元アレイブローブ、二次元アレイプローブ、四次元メカプローブのいずれを用いてボリュームスキャンを行ってもよく、また、ECGと同期させて収集した小領域に関するサブボリュームデータを、対応付けたトリガに基づいてつなぎ合わせることで所望の範囲に関するボリュームデータを生成すると共に、時間情報に従ってサブボリュームを逐次更新する三次元トリガスキャンを用いるようにしてもよい。
【0039】
[ステップS2:移動ベクトル情報の演算処理]
次に、各時相における組織の移動ベクトル情報が生成される(ステップS2)。すなわち、移動ベクトル処理ユニット19は、収集された時系列のボリュームデータ群を構成する1心拍以上の各時相に対応するボリュームデータのうち、所定の時相におけるボリュームデータにおいてユーザからの指示等に基づいて心筋部位についての関心領域を抽出し、抽出した関心領域を三次元的なパターンマッチング処理により時間的に追跡(スペックルトラッキング処理:ST処理)することで、時空間的な移動ベクトル情報を演算する。また、この移動ベクトルをボリュームデータのボリューム間の時間差で除することにより、組織の移動速度を求めることができる。
【0040】
[ステップS3:三次元ストレインゲージ画像の生成]
次に、三次元ストレインゲージ画像の生成処理が実行される(ステップS3)。
【0041】
図3は、ストレインゲージ画像の生成において実行される処理の流れを示したフローチャートである。同図に示すように、まず、ゲージ設定ユニット36は、基準とする時相(例えば、規準時相としての収縮末期時相)に対応する超音波画像に対して、所定数(例えば数十程度)のストレインゲージを設定する(ステップS3a)。
【0042】
すなわち、ゲージ設定ユニット36は、例えば二つのBモード画像(心尖四腔像:4C、心尖二腔像:2C)と三つのCモード像(心尖部A(Apical)中間部:M(Mid)、心基部:B(Basal))の5つのMPR像を表示し、収縮末期時相における各MPR像上において内外膜位置に初期輪郭を設定し、当該初期輪郭上に等間隔(或いは内膜重心を中心として等角度)に、予め設定された数だけのゲージ端点の一方を設定する。また、ゲージ設定ユニット36は、初期輪郭上の各ゲージ端点の一方における内膜面に対する法線が外膜と交差する位置をゲージ端点の他方として設定し、法線に沿ってゲージ端点同士を線分(ストレインゲージ)で結ぶことで、複数のストレインゲージを設定する。
【0043】
次に、ゲージ設定ユニット36は、基準時相において設定された各ストレインゲージと移動ベクトル情報とを用いて、他の時相のボリュームデータに対して各ストレインゲージを設定する(ステップS3b)。すなわち、ゲージ設定ユニット36は、基準時相において設定された各ストレインゲージを構成するゲージ端点を、移動ベクトル情報を用いて追跡することで、各時相のボリュームデータ上に対応する各ストレインゲージを設定する。
【0044】
次に、画像生成ユニット21は、各ストレインゲージが超音波画像の対応する位置に配置された各時相毎のストレインゲージ画像をレンダリング処理等により生成する(ステップS3c)。
【0045】
[ステップS4:ストレインゲージ画像の表示]
次に、表示ユニット23は、三次元ストレインゲージ画像を所定の形態で表示する(ステップS4)。
【0046】
図4は、表示ユニット23に表示される三次元ストレインゲージ画像の一例を示した図である。同図に示す三次元ストレインゲージ画像50は、心筋の関心領域内に設定された多数のストレインゲージの中から、規準時相のBモード像2面(4C、2C)とCモード像3面(A、M、B)の5つのMPR像において設定されたストレインゲージについて、観察し易いようにまばらに表示するものとしている。
【0047】
三次元ストレインゲージ画像50を時系列に従って連続的に表示した場合、三次元ストレインゲージ画像50の各ストレインゲージは、規準時相においては5つのMPR像(すなわち、4C面、2C面、A面、M面、B面)の各面内に存在する一方、その後の時相においては、この5つのMPR像の面内から任意にはみ出すことになる。従って、図4の例では、規準時相の5つのMPR像の位置を示しつつ各時相の三次元ストレインゲージ画像50を表示することで、各時相の三次元ストレインゲージ画像50上の各ストレインゲージと規準時相の5つのMPR像上の各ストレインゲージとの対応関係を把握容易とし、解剖学的なオリエンテーションを実現している。
【0048】
なお、図4の例に拘泥することなく、例えば心筋の三次元空間内における多数のストレインゲージを高密度で表示しても構わない。ただし、解剖学的なオリエンテーションの把握のし易さや、各ストレインゲージの表示同志が干渉して見えにくくなる副作用を考慮すると、図4の例は好適であると言える。
【0049】
また、三次元的ストレインゲージを選択的に表示することも可能である。例えば、図5に示す様に、規準時相で4C面と2C面に設定されたストレインゲージのみが抽出された三次元ストレインゲージ画像51を生成し、これを規準時相の4C面画像及び2C面画像と共に表示するようにしてもよい。なお、図6に規準時相の4C面画像に設定されたストレインゲージのみが抽出された三次元ストレインゲージ画像52を、図7に規準時相の2C面画像に設定されたストレインゲージのみが抽出された三次元ストレインゲージ画像53を、図8に規準時相のA面画像、M面画像、B面画像のそれぞれに設定されたストレインゲージが抽出された三次元ストレインゲージ画像54を、図9に規準時相のB面画像に設定されたストレインゲージが抽出された三次元ストレインゲージ画像55を、図10に規準時相のA面画像に設定されたストレインゲージが抽出された三次元ストレインゲージ画像56を、図11に規準時相のM面画像に設定されたストレインゲージが抽出された三次元ストレインゲージ画像57を、それぞれ対応する規準時相のMPR画像と共に示した。
【0050】
以上述べた構成によれば、以下の効果を得ることができる。
【0051】
本超音波診断装置では、組織の移動ベクトル情報を用いて、ゲージ端点によって定義される複数のストレインゲージを各時相において設定し、各時相における超音波画像に対応する三次元位置に各ストレインゲージが配置された三次元ストレインゲージ画像を生成し表示する。観察者は、表示された三次元ストレインゲージ画像を観察することにより、内外膜間の距離の変化(壁厚変化)だけでなく、内外膜間における回転や変位の程度の違いについても直感的に把握することができる。特に、三次元的なストレインゲージの三次元的な挙動を観察することにより、三次元的な構造を有する心臓の壁運動の様子を、より実態に近い形で表現することができ、従来例では発見し得なかった動態を把握することができる。
【0052】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態に係る超音波診断装置は、スペックルトラッキング処理の対象を心臓の内外膜間のストレインゲージとして、三次元ストレインゲージ画像の生成・表示するものである。
【0053】
図12は、第2の実施形態に係る三次元ストレインゲージ画像の生成・表示処理の流れを示したフローチャートである。以下、各ステップにおける処理の内容について説明する。
【0054】
[ステップS11:データ収集]
まず、ステップS1と同様に、時系列のボリュームデータ群を収集する(ステップS11)。
【0055】
[ステップS12:任意断面及びストレインゲージの設定]
次に、規準時相のボリュームデータに対して、複数の任意断面を設定し、各断面上の心臓の内外膜間にストレインゲージを設定する(ステップS12)。すなわち、期間Tの規準時相t0(例えば、拡張末期時相又は収縮末期時相)において、例えばB面、M面、A面の三断面が設定され、各断面に対応するMPR像上に存在する内外膜間に、ストレインゲージが設定される。
【0056】
なお、この規準時相のボリュームデータに対する任意断面の設定は、装置によって自動的に実行してもよいし、操作者の操作ユニット41からの入力に従ってマニュアル的に実行してもよい。また、ストレインゲージの設定手法は、例えばステップS3aの手法を利用することができる。
【0057】
[ステップS13:移動ベクトル情報の演算処理]
次に、移動ベクトル処理ユニット19は、規準時相t0において設定された各断面及びストレインゲージをスペックルトラッキング処理によって追跡して時相毎の移動ベクトル情報を演算すると共に、ステップS12において断面及びストレインゲージが設定されなかった残りの時相(すなわち、期間T内の規準時相t0以外の各時相)のボリュームデータにおいて対応する各断面を設定する(ステップS31)。
【0058】
なお、任意断面追跡の具体的な手法について、以下実施例に従って説明する。
【0059】
[実施例1]
本実施例に係る追跡法は、各断面に存在する組織の各位置における移動ベクトルを法線方向に射影して平均することで移動成分Vを求め、これを用いて各時相における任意断面及びストレインゲージを追跡するものである。
【0060】
図13は、ステップS13における移動ベクトル情報の演算処理の流れを示したフローチャートである。同図に示すように、まず、規準時相のボリュームデータに対して設定されたB面、M面、A面のそれぞれにおける各心筋(すなわち、各面に含まれる組織の各位置)の移動ベクトルの法線方向成分V(法線方向の射影成分)のみを平均し、規準時相t0における移動成分V=Vz,meant(t0)を算出する(ステップS13a)。
【0061】
次に、規準時相において設定されたB面、M面、A面のそれぞれをその法線方向に沿って移動成分V=Vz,meant(t0)だけ平行移動させ、移動後のB面、M面、A面のそれぞれに含まれる心臓領域を、時相t1における任意断面として設定し、さらに対応するストレインゲージを設定する(ステップS13b)。
【0062】
次に、時相t1におけるB面、M面、A面のそれぞれにおける各心筋の移動ベクトルの法線方向成分のみを平均し、時相ti(ただし、iは2≦i≦nを示す整数)における移動成分V=Vz,meant(ti)を算出する(ステップS13c)。
【0063】
次に、時相tiにおいてB面、M面、A面のそれぞれをその法線方向に沿って移動成分V=Vz,meant(ti)だけ平行移動させ、時相tiにおけるB面、M面、A面及び対応するストレインゲージを設定する(ステップS13d)。
【0064】
以下、時系列に上記ステップ13c、13dの処理を時相tnまで逐次繰り返すことで、各時相におけるB面、M面、A面及びストレインゲージを追跡することができる。
【0065】
以上述べた本実施例1の手法によって追跡されるB面、M面、A面及びストレインゲージは、各面上の各位置(各心筋)の法線方向成分のみを平均して算出した移動成分Vを用いてその移動後の位置を検出している。従って、本実施例に係る手法では、各時相におけるB面、M面、A面は、それぞれ規準時相において設定したB面、M面、A面と平行なものとなる。
【0066】
[実施例2]
本実施例に係る追跡法は、設定された任意断面内に存在する組織の各位置における移動ベクトルを(法線方向に射影せずに)平均することで移動成分Vを求め、これを用いて各時相における任意断面及びストレインゲージを追跡するものである。
【0067】
すなわち、図13において、まず、規準時相のボリュームデータに対して設定されたB面、M面、A面のそれぞれにおける各心筋(すなわち、各面に含まれる組織上の各位置)の移動ベクトルを平均し、規準時相t0における移動成分V=Vmeant(t0)を算出する(ステップS13a)。
【0068】
次に、規準時相において設定されたB面、M面、A面のそれぞれを移動成分V=Vmeant(t0)だけ平行移動させ、時相t1におけるB面、M面、A面を設定し、さらに対応するストレインゲージを設定する(ステップS13b)。
【0069】
次に、時相t1におけるB面、M面、A面のそれぞれにおける各心筋の移動ベクトルを平均し、時相ti(ただし、iは2≦i≦nを示す整数)における移動成分V=Vmeant(ti)を算出する(ステップS13c)。
【0070】
次に、時相tiにおいてB面、M面、A面のそれぞれをその法線方向に沿って移動成分V=Vmeant(ti)だけ平行移動させ、時相tiにおけるB面、M面、A面及びストレインゲージを設定する(ステップS13d)。
【0071】
以下、時系列に上記ステップ33、34の処理を時相tnまで逐次繰り返すことで、各時相における任意断面及びストレインゲージを追跡することができる。
【0072】
以上述べた本実施例2の手法によって追跡されるB面、M面、A面及びストレインゲージをは、各面上の各位置(各心筋)の移動ベクトルを平均して算出した移動成分Vを用いてその移動後の位置を検出している。従って、本実施例に係る手法では、各時相におけるB面、M面、A面は、それぞれ規準時相において設定したB面、M面、A面と常に平行であるとは限らない。
【0073】
[実施例3]
本実施例に係る追跡法は、設定された任意断面内に存在する組織の各位置をその位置毎の移動ベクトルを用いて次時相における任意断面上の各位置を検出し、これを時系列に逐次繰り返すことで、各時相における任意断面及びストレインゲージを追跡するものである。
【0074】
すなわち、図13において、まず、規準時相t0のボリュームデータに対して設定されたB面、M面、A面のそれぞれにおける各位置pj(x,y,z)(ただし、jは1≦j≦mを満たす整数。mは各面上に存在する心筋組織の位置の数)に関する移動ベクトルV=V(j,t0)を算出する(ステップS13a)。
【0075】
次に、規準時相でのB面、M面、A面の各面上の各位置をその移動ベクトルV=V(j,t0)だけ移動させた位置を検出し、これらによって構成される各面を次の時相t1におけるB面、M面、A面を設定し、さらにストレインゲージを設定する(ステップS13b)。
【0076】
次に、時相t1におけるB面、M面、A面の各面上の各位置をその移動ベクトルV=V(j,t1)を算出する(ステップS13c)。
【0077】
次に、時相t1においてB面、M面、A面におけるB面、M面、A面の各面上の各位置を位置毎の移動ベクトルV=V(j,t1)だけ移動させた位置を検出し、これらによって構成される各面を次の時相ti(ただし、iは2≦i≦nを示す整数)におけるB面、M面、A面及びストレインゲージを設定する(ステップS13d)。
【0078】
以下、時系列に上記ステップ13c、13dの処理を時相tnまで逐次繰り返すことで、各時相における任意断面を追跡することができる。
【0079】
本実施例3の手法によって追跡されるB面、M面、A面及びストレインゲージは、各面上の各位置(各心筋)の移動ベクトルを用いて次時相においてB面、M面、A面の各面を構成する各位置を検出し、これを時系列に逐次繰り返すことで、各時相における任意断面を追跡するものである。従って、本実施例に係る手法では、各時相におけるB面、M面、A面は、それぞれ規準時相以後の各時相において三次元座標系における任意曲面になる。
【0080】
なお、実施例3、実施例2、実施例1の順番で、より局所的な追跡位置に対応した精度の高い運動情報の配置が可能となる。
【0081】
[ステップS14:三次元ストレインゲージ画像の生成]
次に、画像生成ユニット21は、各時相における任意断面に属するストレインゲージを投影面に投影し、三次元ストレインゲージ画像を生成する(ステップS14)。各々の追跡方法におけるストレインゲージの投影の仕方としては、上記実施例1又は実施例2に係る追跡方法を用いた場合には、追跡された任意断面(いずれの方法も平面)と投影面とを等しくしておくのが好適である。
【0082】
一方、実施例3に係る手法の場合には、追跡された任意断面は必ずしも平面にならない。従って、追跡された任意断面内の心筋の微少な各局所位置(追跡処理において追跡した各位置pj(x,y,z))に関する回帰平面を求め、この回帰平面を投影面として三次元ストレインゲージ画像を再構成するのが好適である。或いは、回帰平面上の各位置でのデータそのものを用いて、当該回帰平面に関する三次元ストレインゲージ画像を生成するようにしてもよい。
【0083】
[ステップS15:画像表示]
次に、表示ユニット23は、三次元ストレインゲージ画像を所定の形態で表示する(ステップS15)。
【0084】
図14は、表示ユニット23に表示される三次元ストレインゲージ画像の一例を示した図である。同図においては、心尖四腔像(4C像)と心尖二腔像(2C像)、及びB面画像、M面画像、A面画像の5つのMPR像を設定して、各MPR像上にストレインゲージを表示している。
【0085】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態に係る超音波診断装置は、スペックルトラッキング処理の対象を心臓の内外膜間のストレインゲージとして、三次元ストレインゲージ画像の生成・表示する他の例である。
【0086】
図15は、第3の実施形態に係る三次元ストレインゲージ画像の生成・表示処理の流れを示したフローチャートである。以下、各ステップにおける処理の内容について説明する。
【0087】
[ステップS21:データ収集]
まず、ステップS1と同様に、時系列のボリュームデータ群を収集する(ステップS21)。
【0088】
[ステップS22:任意断面の設定]
次に、期間Tの規準時相t0(例えば、拡張末期時相又は収縮末期時相)のボリュームデータに対して、所望する任意断面(MPR像:単数でも複数でも可)が設定される(ステップS22)。この規準時相のボリュームデータに対する任意断面の設定は、装置によって自動的に実行してもよいし、操作者の操作ユニット41からの入力に従ってマニュアル的に実行してもよい。
【0089】
[ステップS33:移動ベクトル情報の演算処理]
次に、移動ベクトル処理ユニット19は、規準時相t0において設定されたMPR像内でスペックルトラッキング処理(二次元ST処理)を実行し、組織に対応する各点の各時相における移動ベクトル情報を演算する(ステップS33)。
【0090】
[ステップS34:三次元ストレインゲージ画像の生成]
次に、画像生成ユニット21は、二次元ST処理によって得られた時相毎の移動ベクトル情報を用いて、三次元ストレインゲージ画像を生成する(ステップS34)。すなわち、画像生成ユニット21は、例えばステップS3aの手法により規準時相においてストレインゲージを設定し、時相毎の移動ベクトル情報を用いてストレインゲージの端点を追跡する。これにより、各時相の各MPR像上にストレインゲージが設定され、三次元ストレインゲージ画像が生成される。
【0091】
[ステップS35:画像表示]
次に、表示ユニット23は、三次元ストレインゲージ画像を所定の形態で表示する(ステップS35)。本実施形態に係る手法によって得られる三次元ストレインゲージ画像は、例えばステップS32において設定するMPR像をBモード像2面(心尖四腔像:4C、心尖二腔像:2C)とCモード像3面(A面、M面、B面)の5とした場合には、図14の例に似たものとなる。また、この5つのMPR像による三次元ストレインゲージ画像表示は、本実施形態に係る手法の好適な例である。
【0092】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。本実施形態に係る超音波診断装置は、第1〜第3のいずれかの実施形態に係る手法において、ストレインゲージにゲージ中点(ゲージ端点を結ぶ線分上に存在する点)が設定された三次元ストレインゲージ画像を生成し表示するものである。なお、このゲージ中点は、S3b、ステップS14、ステップS24等において、例えば規準時相でストレインゲージの端点と共にゲージの中間点として設定され、移動ベクトル情報を用いた追跡処理により、各時相において追跡される。
【0093】
図16は、ゲージ中点が設定されたストレインゲージを含む三次元ストレインゲージ画像の一例(短軸像)を示した図である。同図に示すように、ストレインゲージが「く」の字の如く変形して観察され得ることが特徴的である。これは、ゲージ中点を有するストレインゲージにより、心筋の多層構造に起因する複雑な壁運動の直感的把握が3次元的に可能となることを示唆するものに他ならない。具体的には、内膜の斜走筋と中膜の輪状筋と外膜の縦走筋と言われる心臓の3層構造に対応して、各層にて内膜と中膜と外膜とが心臓の伸縮運動に伴い複雑な動態を示す結果が表現されていることが考えられる。この現象は、例えばゲージ中点を有さないストレインゲージを用いた三次元ストレインゲージ画像では把握不能であり、本実施形態に係る三次元ストレインゲージ画像によって初めて提供される情報であることは言うまでもない。
【0094】
また、虚血性心疾患の場合には心筋の内膜側が先(鋭敏)に障害されることが知られている。従って、負荷エコーにより局所的な心筋虚血を誘発した場合に、ゲージ中間点が設定されたストレインゲージを含む三次元ストレインゲージ画像を用いて負荷の前後を比較観察することは、非常に有益であると言える。この様な観察によれば、例えば内膜側が負荷後に障害を起こして負荷前から運動状態に変化を来した場合に、その3次元的な様子が本発明によるストレインゲージ表示の「く」の字の折れ具合の変化として、鋭敏かつ直感的に把握できることが期待される。また、負荷前後でなく、薬物等の治療前後による壁運動の変化の経過観察に関しても、同等の効果を期待することができる。
【0095】
図17は、ゲージ中点が設定されたストレインゲージを含む三次元ストレインゲージ画像の他の例(心尖像)を示した図である。同図に示すように、心尖像の場合、内外膜間の回転成分と言うよりは、長軸方向へのショートニング運動に伴う内外膜各層間の移動距離(変位)の差がストレインゲージ表示によって直感的に表現されることになる。従って、例えば内膜側と外膜側のどちらが壁厚増大に貢献しているかが容易に把握されるといった効果が期待される。
【0096】
なお、本実施形態では、臨床上の目的から、心筋の内膜、中膜、外膜のそれぞれの動きを観察することを目的として、ゲージ端点の一方を内膜上に、ゲージ端点の他方を外膜上に、ゲージ中点をゲージ端点間の中間点に設定するものとした。しかしながら、これに拘泥されず、心筋の局所的な変形を視覚的に示すために有効であれば、ゲージ端点、ゲージ中点の位置に制限はない。また、本実施形態では、心筋の内膜、中膜、外膜のそれぞれの動きを観察することを目的として、ゲージ中点をゲージ端点間の中に一つ設定した。しかしながら、この例に拘泥されず、ゲージ中点は、ゲージ端点間であれば、所望の位置に所望の数だけ設定することができる。この様に、少なくとも一つの中点を設定することで、複数の線分から構成されるストレインゲージを定義することができる。
【0097】
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。本実施形態に係る超音波診断装置は、三次元スペックルトラッキング処理の結果を用いて、心臓内膜と外膜の回転差や変位成分に関する定量化情報、或いは中膜に対する内膜と外膜の回転差や変位成分に関する定量化情報(以下、共に「回転差情報」と呼ぶ。)を計算し、単独で、或いは三次元ストレインゲージ画像と共に所定の形態にて表示するものである。
【0098】
図18は、回転差情報生成処理の流れを示したフローチャートである。この回転差情報生成処理は、運動情報演算ユニット37により、例えば三次元ストレインゲージ画像の生成の前後において、又は並列的に実行される。
【0099】
まず、回転差情報生成ユニット37は、各時相での超音波画像に対して、収縮中心を設定すると共に、心筋部位に関する解剖学的セグメント毎に回転差情報の演算を行う(ステップS41)。収縮中心の設定は、例えば内膜の重心位置を採用する。また、解剖学的セグメントの割り付け(セグメンテーション)は、例えば、データ収集時に予め規定された断面を表示書式として割り付けておき、その表示書式に合わせてユーザがプローブ位置を調整することで、実行することができる。このセグメンテーションにより、心筋は、例えば、Sept/Ant/Lat/Post/Infの各解剖学的領域に区分される。
【0100】
次に、回転差情報生成ユニット37は、拡張末期時相での内膜重心位置に対して、例えば内外膜の各位置が反時計回りに回転する方向を正、時計回りを負として[degree]単位で、各時相につき心筋の各領域における回転情報を次の式(1)に従って計算する(ステップS42)。
【0101】
δRot(i,o)=Rot(i)-Rot(o) (式1)
なお、δRot(i,o)は、内膜に対する外膜の相対的な回転の差分値を、Rot(i)は各領域での内膜の回転角を、Rot(o)は各領域での外膜の回転角をそれぞれ意味する。
【0102】
次に、回転差情報生成ユニット37は、心筋の領域毎の回転情報を、時相毎にプロットすることで、例えば図19に示すような回転差情報を生成する(ステップS43)。生成された回転差情報は、例えばステップS4、ステップS15、ステップS25等において表示される。図19において、“ES”は収縮末期時相を示し、“global”は心筋全体での平均値を示している。生成された回転差情報は、例えばステップS4、ステップS15、ステップS25等において表示される。
【0103】
上記例では、内膜及び外膜のみの情報から回転差情報を計算する式(1)を用いた例を示した。しかしながら、この例に拘泥されず、例えば中膜の運動をも考慮した次の式(2)に従って回転差情報を計算するようにしてもよい。
【0104】
すなわち、拡張末期時相での内膜重心位置に対して、内膜と外膜および中膜の各位置が反時計回りに回転する方向を正、時計回りを負として[degree]単位として、内膜と中膜間の回転差に対する中膜と外膜間の相対的な回転差である回転情報RG(m) を、各時相で心筋の各領域につき次の式(2)に従って計算する(ステップS42)。
【0105】
RG(m) = δRot(i,m)−δRot(m,o)
= Rot(i)-Rot(m) - (Rot(m)-Rot(o))
= Rot(i)-2*Rot(m)+Rot(o) (式2)
なお、Rot(i)は各領域での内膜の回転角、Rot(o)は各領域での外膜の回転角、Rot(m)は各領域での中膜の回転角である。
【0106】
この場合、回転差情報生成ユニット37は、心筋の領域毎の回転情報を、時相毎にプロットすることで、例えば図20に示すような内外回転差情報を生成する(ステップS43)。図20においても同様に、“ES”は収縮末期時相を示し、“global”は心筋全体での平均値を示している。生成された回転差情報は、例えばステップS4、ステップS15、ステップS25等において表示される。
【0107】
このようにすれば、心筋の各領域における内外膜間の回転差や、中膜に対する内膜側と外膜側の回転差が定量的に表現され、グラフで表示すればその時間変化を解析することも可能となる。また、得られた回転差分パラメータをカラーコードに変換し、位置を対応付けてMPR像上に重畳表示すれば、新たな壁運動情報を提示するパラメトリックイメージングが可能となる。パラメトリックイメージングとしては、この他にも回転差分パラメータをカラーコードに変換し、内膜面上の位置へマッピングして、レンダリング処理により3次元的に表示しても良い。さらに、時系列での本実施形態よる演算パラメータの変化について、特に差分を含む処理を用いることで得られる変化の結果のグラフ表示や、前記変化の結果をパラメトリックイメージングで表示することにより、時間的な壁運動変化の程度の把握を支援することは、好適な応用例と言える。
【0108】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。具体的な変形例としては、例えば次のようなものがある。
【0109】
(1)本実施形態に係る各機能は、当該処理を実行するプログラムをワークステーション等のコンピュータにインストールし、これらをメモリ上で展開することによっても実現することができる。このとき、コンピュータに当該手法を実行させることのできるプログラムは、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD−ROM、DVDなど)、半導体メモリなどの記録媒体に格納して頒布することも可能である。
【0110】
(2)各実施形態において述べた三次元ストレインゲージ画像の表示形態は、あくまでも一例であり、本発明の技術的思想をこれらに限定する主旨ではない。その表示形態は、種々変形可能であり、例えば、収集された時刻の異なる三次元ストレインゲージ画像を、同時に表示することもできる。このような表示形態は、術後の経過観察等の、診断部位の時間的変化を観察において特に実益がある。
【0111】
また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0112】
以上本発明によれば、ストレイン計測を行うためのゲージを三次元データ内において設定し、これを映像化することで、心臓を代表とする三次元的に複雑な動態を有する組織運動の様子を、十分に観察することができる超音波診断装置、超音波画像処理装置及び超音波画像処理プログラムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の構成図である。
【図2】図2は、第1の実施形態に係る三次元ストレインゲージ画像の生成・表示処理の流れを示したフローチャートである。
【図3】図3は、ストレインゲージ画像の生成において実行される処理の流れを示したフローチャートである。
【図4】図4は、表示ユニット23に表示される三次元ストレインゲージ画像の一例を示した図である。
【図5】図5は、規準時相で4C面と2C面に設定されたストレインゲージのみが抽出された三次元ストレインゲージ画像51を規準時相のMPR画像と共に示した図である。
【図6】図6は、規準時相の4C面画像に設定されたストレインゲージのみが抽出された三次元ストレインゲージ画像52を規準時相のMPR画像と共に示した図である。
【図7】図7は、規準時相の2C面画像に設定されたストレインゲージのみが抽出された三次元ストレインゲージ画像53を規準時相のMPR画像と共に示した図である。
【図8】図8は、規準時相のA面画像、M面画像、B面画像のそれぞれに設定されたストレインゲージが抽出された三次元ストレインゲージ画像54を規準時相のMPR画像と共に示した図である。
【図9】図9は、規準時相のB面画像に設定されたストレインゲージが抽出された三次元ストレインゲージ画像55を規準時相のMPR画像と共に示した図である。
【図10】図10は、規準時相のA面画像に設定されたストレインゲージが抽出された三次元ストレインゲージ画像56を規準時相のMPR画像と共に示した図である。
【図11】図11は、規準時相のM面画像に設定されたストレインゲージが抽出された三次元ストレインゲージ画像57を規準時相のMPR画像と共に示した図である。
【図12】図12は、第2の実施形態に係る三次元ストレインゲージ画像の生成・表示処理の流れを示したフローチャートである。
【図13】図13は、ステップS13における移動ベクトル情報の演算処理の流れを示したフローチャートである。
【図14】図14は、表示ユニット23に表示される三次元ストレインゲージ画像の一例を示した図である。
【図15】図15は、第3の実施形態に係る三次元ストレインゲージ画像の生成・表示処理の流れを示したフローチャートである。
【図16】図16は、ゲージ中間点が設定されたストレインゲージを含む三次元ストレインゲージ画像の一例(短軸像)を示した図である。
【図17】図17は、ゲージ中間点が設定されたストレインゲージを含む三次元ストレインゲージ画像の他の例(心尖像)を示した図である。
【図18】図18は、回転差情報生成処理の流れを示したフローチャートである。
【図19】図19は、回転差情報一例を示した図である。
【図20】図20は、回転差情報一例を示した図である。
【符号の説明】
【0114】
1…超音波診断装置、11…超音波プローブ、13…送信ユニット、15…受信ユニット、17…Bモード処理ユニット、19…移動ベクトル処理ユニット、21…画像生成ユニット、23…表示ユニット、31…制御ユニット(CPU)、36…ゲージ設定ユニット、37…回転差情報生成ユニット、39…記憶ユニット、41…操作ユニット、43…ネットワーク送受信ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周期的に運動する被検体の組織を超音波で走査し、前記運動についての一周期以上の期間に亘るボリュームデータを収集するデータ収集手段と、
所定時相の前記ボリュームデータに対して、前記被検体の組織の三次元的な関心領域を設定する関心領域設定手段と、
前記所定時相以外の時相における前記関心領域の移動ベクトル情報を、パターンマッチングを用いた処理により生成する移動ベクトル情報生成手段と、
前記被検体の組織上の線分であるストレインゲージの三次元的な位置を、前記関心領域の移動ベクトル情報を用いて少なくとも一つ設定するゲージ設定手段と、
前記設定されたストレインゲージが三次元的に映像化された三次元ストレインゲージ画像を生成する画像生成手段と、
前記三次元ストレインゲージ画像を所定の形態で表示する表示手段と、
を具備することを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
周期的に運動する被検体の組織を超音波で走査し、前記運動についての一周期以上の期間に亘るボリュームデータを収集するデータ収集手段と、
所定時相の前記ボリュームデータに対して、前記被検体の組織の三次元的な関心領域を設定する関心領域設定手段と、
前記所定時相以外の時相における前記関心領域の移動ベクトル情報を、パターンマッチングを用いた処理により生成する移動ベクトル情報生成手段と、
前記被検体の組織上の線分であるストレインゲージの三次元的な位置を、前記関心領域の移動ベクトル情報を用いて少なくとも一つ設定するゲージ設定手段と、
前記各時相のボリュームデータに対して、少なくとも一つの任意断面を設定する断面設定手段と、
前記ストレインゲージが前記少なくとも一つの任意断面に投影された三次元ストレインゲージ画像を生成する画像生成手段と、
前記三次元ストレインゲージ画像を所定の形態で表示する表示手段と、
を具備することを特徴とする超音波診断装置。
【請求項3】
周期的に運動する被検体の組織を超音波で走査し、前記運動についての一周期以上の期間に亘るボリュームデータを収集するデータ収集手段と、
前記各時相のボリュームデータに対して、少なくとも一つの任意断面を設定する断面設定手段と、
所定時相の前記少なくとも一つの任意断面上に、前記被検体の組織の関心領域を設定する関心領域設定手段と、
前記所定時相以外の時相における前記関心領域の移動ベクトル情報を、パターンマッチングを用いた処理により生成する移動ベクトル情報生成手段と、
前記被検体の組織上の線分であるストレインゲージの三次元的な位置を、前記関心領域の移動ベクトル情報を用いて少なくとも一つ設定するゲージ設定手段と、
前記ストレインゲージが前記少なくとも一つの任意断面上の対応する位置に設定された三次元ストレインゲージ画像を生成する画像生成手段と、
前記三次元ストレインゲージ画像を所定の形態で表示する表示手段と、
を具備することを特徴とする超音波診断装置。
【請求項4】
前記少なくとも一つの任意断面について、MPR像を含む組織部位の動きに追随させるようにMPR像を動的に設定する手段を更に具備することを特徴とする請求項2又は3記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記ゲージ設定手段は、二つの端点と当該端点間に存在する一つ以上の中間点とを結ぶ複数の線分として前記ストレインゲージを設定することを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記被検体の組織は心臓であって、
前記ゲージ設定手段は、前記ストレインゲージを心臓組織の壁厚方向に沿って内膜及び外膜の位置に対応させて設定すること、
を特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記被検体の組織は心臓であって、
前記所定時相を含む複数の時相のボリュームデータ上に心臓の短軸位置と、短軸位置を規準とした収縮中心と、を設定する設定手段と、
前記収縮中心を規準とする内膜位置及び外膜位置の基準時相からの回転角を計算する計算手段と、
前記内膜位置の回転角と前記外膜位置の回転角との差を示す第1の回転差情報を生成する回転差情報生成手段と、
をさらに具備し、
前記表示手段は、前記第1の回転差情報を所定の形態で表示すること、
を特徴とする請求項1乃至6のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記計算手段は、前記内膜位置と前記外膜位置との間に存在する中膜位置の基準時相からの回転角を計算し、
前記回転差情報生成手段は、前記内膜位置の回転角と前記中膜位置の回転角との差を示す第2の回転差情報と、前記外膜位置の回転角と前記中膜位置の回転角との差を示す第3の回転差情報と、を生成し、
前記表示手段は、前記第2の回転差情報及び前記第3の回転差情報を所定の形態で表示すること、
を特徴とする請求項7記載の超音波診断装置。
【請求項9】
前記画像生成手段は、前記第1の回転差情報、前記第2の回転差情報、前記第3の回転差情報の少なくともいずれかが色彩情報に変換され、対応する位置にマッピングされた前記三次元ストレインゲージ画像を生成することを特徴とする請求項7又は8記載の超音波診断装置。
【請求項10】
前記回転差情報生成手段は、前記心臓の心筋部位に関する解剖学的セグメント毎に前記回転差情報を生成し、
前記表示手段は、前記解剖学的セグメント毎の前記回転差情報を、時間変化曲線として表示すること、
を特徴とする請求項7又は8記載の超音波診断装置。
【請求項11】
前記回転差情報生成手段は、異なる前記回転差情報同士を差分することで、前記回転差情報の時間的変化に関する情報を生成し、
前記表示手段は、前記回転差情報の時間的変化に関する情報を所定の形態で表示すること、
を特徴とする請求項7又は8記載の超音波診断装置。
【請求項12】
前記表示手段は、異なる時刻に収集されたボリュームデータに対応する複数の前記三次元ストレインゲージ画像を同時に表示することを特徴とする請求項1乃至11のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項13】
周期的に運動する被検体の組織を超音波で走査し、前記運動についての一周期以上の期間に亘って収集されたボリュームデータを記憶する記憶手段と、
所定時相の前記ボリュームデータに対して、前記被検体の組織の三次元的な関心領域を設定する関心領域設定手段と、
前記所定時相以外の時相における前記関心領域の移動ベクトル情報を、パターンマッチングを用いた処理により生成する移動ベクトル情報生成手段と、
前記被検体の組織上の線分であるストレインゲージの三次元的な位置を、前記関心領域の移動ベクトル情報を用いて少なくとも一つ設定するゲージ設定手段と、
前記設定されたストレインゲージが三次元的に映像化された三次元ストレインゲージ画像を生成する画像生成手段と、
前記三次元ストレインゲージ画像を所定の形態で表示する表示手段と、
を具備することを特徴とする超音波画像処理装置。
【請求項14】
周期的に運動する被検体の組織を超音波で走査し、前記運動についての一周期以上の期間に亘って収集されたボリュームデータを記憶する記憶手段と、
所定時相の前記ボリュームデータに対して、前記被検体の組織の三次元的な関心領域を設定する関心領域設定手段と、
前記所定時相以外の時相における前記関心領域の移動ベクトル情報を、パターンマッチングを用いた処理により生成する移動ベクトル情報生成手段と、
前記被検体の組織上の線分であるストレインゲージの三次元的な位置を、前記関心領域の移動ベクトル情報を用いて少なくとも一つ設定するゲージ設定手段と、
前記各時相のボリュームデータに対して、少なくとも一つの任意断面を設定する断面設定手段と、
前記ストレインゲージが前記少なくとも一つの任意断面に投影された三次元ストレインゲージ画像を生成する画像生成手段と、
前記三次元ストレインゲージ画像を所定の形態で表示する表示手段と、
を具備することを特徴とする超音波画像処理装置。
【請求項15】
周期的に運動する被検体の組織を超音波で走査し、前記運動についての一周期以上の期間に亘って収集されたボリュームデータを記憶する記憶手段と、
前記各時相のボリュームデータに対して、少なくとも一つの任意断面を設定する断面設定手段と、
所定時相の前記少なくとも一つの任意断面上に、前記被検体の組織の関心領域を設定する関心領域設定手段と、
前記所定時相以外の時相における前記関心領域の移動ベクトル情報を、パターンマッチングを用いた処理により生成する移動ベクトル情報生成手段と、
前記被検体の組織上の線分であるストレインゲージの三次元的な位置を、前記関心領域の移動ベクトル情報を用いて少なくとも一つ設定するゲージ設定手段と、
前記ストレインゲージが前記少なくとも一つの任意断面上の対応する位置に設定された三次元ストレインゲージ画像を生成する画像生成手段と、
前記三次元ストレインゲージ画像を所定の形態で表示する表示手段と、
を具備することを特徴とする超音波画像処理装置。
【請求項16】
コンピュータに、
一周期以上の期間に亘って収集された被検体の組織に関する複数のボリュームデータのうち、所定時相の前記ボリュームデータに対して、前記被検体の組織の三次元的な関心領域を設定させる関心領域設定機能と、
前記所定時相以外の時相における前記関心領域の移動ベクトル情報を、パターンマッチングを用いた処理により生成させる移動ベクトル情報生成機能と、
前記被検体の組織上の線分であるストレインゲージの三次元的な位置を、前記関心領域の移動ベクトル情報を用いて少なくとも一つ設定させるゲージ設定機能と、
前記設定されたストレインゲージが三次元的に映像化された三次元ストレインゲージ画像を生成させる画像生成機能と、
前記三次元ストレインゲージ画像を所定の形態で表示させる表示機能と、
を実現させることを特徴とする超音波画像処理プログラム。
【請求項17】
コンピュータに、
一周期以上の期間に亘って収集された被検体の組織に関する複数のボリュームデータのうち、所定時相の前記ボリュームデータに対して、前記被検体の組織の三次元的な関心領域を設定させる関心領域設定機能と、
前記所定時相以外の時相における前記関心領域の移動ベクトル情報を、パターンマッチングを用いた処理により生成させる移動ベクトル情報生成機能と、
前記被検体の組織上の線分であるストレインゲージの三次元的な位置を、前記関心領域の移動ベクトル情報を用いて少なくとも一つ設定させるゲージ設定機能と、
前記各時相のボリュームデータに対して、少なくとも一つの任意断面を設定させる断面設定機能と、
前記ストレインゲージが前記少なくとも一つの任意断面に投影された三次元ストレインゲージ画像を生成させる画像生成機能と、
前記三次元ストレインゲージ画像を所定の形態で表示させる表示機能と、
を実現させることを特徴とする超音波画像処理プログラム。
【請求項18】
コンピュータに、
一周期以上の期間に亘って収集された被検体の組織に関する各時相のボリュームデータに対して、少なくとも一つの任意断面を設定させる断面設定機能と、
所定時相の前記少なくとも一つの任意断面上に、前記被検体の組織の関心領域を設定させる関心領域設定機能と、
前記所定時相以外の時相における前記関心領域の移動ベクトル情報を、パターンマッチングを用いた処理により生成させる移動ベクトル情報生成機能と、
前記被検体の組織上の線分であるストレインゲージの三次元的な位置を、前記関心領域の移動ベクトル情報を用いて少なくとも一つ設定させるゲージ設定機能と、
前記ストレインゲージが前記少なくとも一つの任意断面上の対応する位置に設定された三次元ストレインゲージ画像を生成させる画像生成機能と、
前記三次元ストレインゲージ画像を所定の形態で表示させる表示機能と、
を実現させることを特徴とする超音波画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2010−199(P2010−199A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−160744(P2008−160744)
【出願日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】