説明

超音波診断装置のトランスデューサおよびその製造方法

【課題】本発明の実施形態は、構造が簡単で製造が容易であり、超音波信号の損失および歪を防ぐことができる超音波診断装置のトランスデューサおよびその製造方法に関する。
【解決手段】電極パターンをバッキングブロックの内部に一体に形成することにより既存のフレキシブル基板を省略することができるため、バッキングブロックの構造が簡単になりトランスデューサの製作を容易に行うことができる。本方法により更にトランスデューサでの音響的損失と信号の歪を防ぐことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波診断装置のトランスデューサおよびその製造方法に関し、具体的には、構造が簡単で製造が容易であり、超音波信号の損失と歪を防ぐことができる超音波診断装置のトランスデューサおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、超音波診断装置は、人間が聞くことができない高い周波数の音波(2〜20MHz)、すなわち超音波信号を被検査体に発射し、そこから反射してくる超音波信号によって被検査体の内部組織を映像化する装置である。超音波は、互いに異なる2つの物質の境界で反射波を生じるため、このような映像化が可能となる。
【0003】
超音波診断装置は、プローブ(Probe)から被検査体の内部に超音波信号を送信した後、被検査体内の各組織から反射して戻ってくる応答信号(エコー信号)を再び同じプローブで受信する。このプローブで受信した応答信号を再構成することにより、被検査体の中にある組織を映像として生成する。この映像は、超音波診断装置のモニタに出力され、モニタの映像によって被検査体の内部組織を肉眼で確認することができる。このような理由により、医療分野では、患者の疾病状態を正確に診断するために、超音波診断装置が広く用いられている。
【0004】
一方、プローブの内部には、トランスデューサ(transducer)が備えられている。トランスデューサは、超音波信号を被検査体に伝達し、また逆に被検査体から反射してきた超音波信号を受信する。図1〜3には、従来技術に係るトランスデューサの多様な例が示されている。
【0005】
図1を参照して、従来技術に係るトランスデューサ10の一例は、バッキングブロック(backing block)12の前面に複数の圧電素子14が配列して配置されており、圧電素子14の前面に被検査体と接触する整合層(matching layer)16が配置されている。そして、フレキシブル基板(FPCB、Flexible PCB)18上にある複数の端子18aが、はんだ付け方式によって圧電素子14とそれぞれ連結している。しかしながら、ここに示すトランスデューサ10の場合には、別途の信号線19を用いて端子18aと圧電素子14を極めて狭い間隔ではんだ付けにより連結させるため、はんだ付け作業による作業性の低下によって製作の効率性と生産性が大きく低下する。
【0006】
次に図2を参照して、従来技術に係るトランスデューサ20の他の例では、図1のトランスデューサ10と同様に、バッキングブロック22と、圧電素子24と、整合層26とが配置されている。そして、フレキシブル基板28の端子28aと圧電素子24をそれぞれ連結するために、フレキシブル基板28が圧電素子24とバッキングブロック22の間に配置されている。しかしながら、このようなトランスデューサ20の場合には、音響伝達経路(acoustic path)上にフレキシブル基板28が配置されるため、圧電素子24と被検査体の間の音響インピーダンスマッチングが阻害され、音響的に問題が発生する。そればかりか、フレキシブル基板28が接着剤(bond)で付着される構造であるため、圧電素子24とバッキングブロック22間のギャップDを一定に確保することが極めて困難である。なぜならば、フレキシブル基板28に接合させる接着剤の厚さを一定にすることが極めて困難であるためである。
【0007】
更に図3に示す従来技術に係るトランスデューサ30の他の例では、図1のトランスデューサ10と同様、バッキングブロック32と、圧電素子34と、整合層36とが配置されている。そして、フレキシブル基板38の端子38aと圧電素子34をそれぞれ連結するために、フレキシブル基板38がバッキングブロック32の内部に端子38aが垂直になるように挿入された構造で配置されている。しかしながら、このような構造では、バッキングブロック32にフレキシブル基板38が垂直に挿入されているため、フレキシブル基板38をバッキングブロック32に挿入する工程が極めて複雑でかつ困難である。そればかりか、バッキングブロック32の内部にフレキシブル基板38が配置されるため、そこで音響的な反射が生じたり吸音に影響を与える可能性がある。
【0008】
上述のように、従来のトランスデューサ10、20、30は、圧電素子14、24、34にフレキシブル基板18、28、38の端子18a、28a、38aを連結する方法に応じて多様な問題点を有している。したがって、このような問題点を解決したトランスデューサの必要性が切に求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、音響的な損失および歪を生じることなく、圧電素子に端子を連結することができる超音波診断装置のトランスデューサおよびその製造方法を提供することにある。
【0010】
また、本発明の目的は、構造が簡単で製作が容易な超音波診断装置のトランスデューサとその製造方法を提供することにある。
【0011】
また、本発明の目的は、バッキングブロックの内部に端子の役割を果たす電極パターンを形成することにより、フレキシブル基板を省略することのできる超音波診断装置のトランスデューサおよびその製造方法を提供することにある。
【0012】
さらに、本発明の目的は、トランスデューサの製作時に、複雑な工程を除去してトランスデューサの生産性を高めることができる超音波診断装置のトランスデューサおよびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の実施形態は、被検査体に超音波信号を送受信する複数の圧電素子と、前記圧電素子が前面に配列され、前記圧電素子と接続する導電性素材の電極パターンが内部に形成されたバッキングブロックと、を備える超音波診断装置のトランスデューサを提供する。
【0014】
本実施形態によれば、バッキングブロックの内部に前記圧電素子と接続する前記電極パターンが直接形成されるため、超音波診断装置のトランスデューサは、従来とは異なりフレキシブル基板を省略することができる。したがって、本発明のプローブは、フレキシブル基板による音響的な損失を防ぐことができるだけでなく、フレキシブル基板を設置するための複雑な工程を省略することもできる。
【0015】
前記電極パターンは、前記バッキングブロックの内部に帯状または棒状のうちの少なくとも1つの形状で、かつ長く伸びた形状で形成することができる。
【0016】
前記電極パターンの一端は、前記バッキングブロックの前面に配置され、前記圧電素子と接続する第1接続部を形成する。前記電極パターンの他端は、前記バッキングブロックの前面以外の面に配置され、前記制御部と接続する第2接続部を形成する。前記電極パターンの第2接続部は、超音波診断装置の送受信部と接続され、送信部で発生した送信信号を前記圧電素子に伝達すると共に、前記圧電素子が受信した超音波信号を受信部に伝達する働きをする。
【0017】
前記第1接続部は、前記バッキングブロックの前面に少なくとも1つの列を形成するように配置される。このとき、前記第1接続部は、前記圧電素子間の干渉を回避することができる十分な間隔で互いに離隔するように配置される。
【0018】
本実施形態の他の側面によれば、少なくとも1つの第1結合部を備えた第1バッキングブロックを形成するステップと、少なくとも1つの前記第1結合部に結合される第2結合部が備えられた少なくとも1つの第2バッキングブロックを形成するステップと、少なくとも1つの前記第1結合部または少なくとも1つの前記第2結合部に導電性素材で複数の電極パターンを一定の間隔で離隔するように形成するステップと、少なくとも1つの前記第1結合部と少なくとも1つの前記第2結合部を結合させてバッキングブロックを完成するステップと、前記バッキングブロックの前面に圧電素子を配置し、前記バッキングブロックの前面に形成された前記電極パターンの第1接続部に前記圧電素子をそれぞれ接続するステップと、前記バッキングブロックの前面以外の面に形成された前記電極パターンの第2接続部を超音波診断装置の送受信部に接続するステップと、を含むトランスデューサの製造方法を提供する。
【0019】
前記電極パターンを形成するステップには、少なくとも1つの前記第1結合部または少なくとも1つの前記第2結合部に導電性素材をコーティングする過程と、そこでコーティングされた前記導電性素材のうちの一部を化学的エッチングまたはダイシングマシンで除去して前記電極パターンを形成する過程とを含む。
【0020】
また他の実施例として、前記電極パターンを形成するステップは、少なくとも1つの前記第1結合部または少なくとも1つの前記第2結合部に前記電極パターンと同じ形状の穴が形成されたマスクを付着する過程と、前記マスクの穴を介して露出した部位に導電性素材をコーティングして前記電極パターンを形成する過程とを含むステップからなる。
【0021】
前記バッキングブロックを完成するステップおよび前記圧電素子を接続するステップの間には、前記電極パターンの個数に応じて前記バッキングブロックを切断するステップがさらに含まれる。したがって、前記バッキングブロックは、できるだけ多くの電極パターンを有するように形成され、前記バッキングブロックを切断するステップにおいて、前記トランスデューサの設計条件および状況に適した大きさに切断される。
【0022】
前記バッキングブロックを完成するステップおよび前記圧電素子を接続するステップの間には更に、前記で完成した複数のバッキングブロックを接着するステップが含まれる。すなわち、一列に並んで電極パターンが形成された複数のバッキングブロックを相互に積層する構造で接着すれば、前記電極パターンが複数の列で形成された一つのバッキングブロックを簡単に形成することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の実施形態に係る超音波診断装置のトランスデューサおよびその製造方法によれば、圧電素子と送受信部を連結する電極パターンがバッキングブロックの内部に形成されるため、既存のトランスデューサに用いられていたフレキシブル基板を省略することができる。したがって、トランスデューサを簡単な構造で形成することができ、トランスデューサを容易に製造することができる。
【0024】
また、本発明の実施形態に係る超音波診断装置のトランスデューサおよびその製造方法によれば、フレキシブル基板を省略しているので、フレキシブル基板による音響的な損失と歪を防ぐことができる。それに加えて、フレキシブル基板をバッキングブロックに設置するための複雑な工程が省略されるため、トランスデューサを容易に製作することができ、トランスデューサの生産性を向上させることができる。
【0025】
さらに、本発明の実施形態に係る超音波診断装置のトランスデューサおよびその製造方法によれば、トランスデューサの設計環境や状況に応じてバッキングブロックの内部に電極パターンを多様な形状で容易に形成することができるため、多様な種類のプローブに容易に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】従来技術に係るトランスデューサの主要部を示す概略図の一例である。
【図2】従来技術に係るトランスデューサの主要部を示す概略図の他の一例である。
【図3】従来技術に係るトランスデューサの主要部を示す概略図の他の一例である。
【図4】本発明の一実施形態に係る超音波診断装置用トランスデューサの主要部を示す概略図である。
【図5】図4に示すトランスデューサの主要部の正面図である。
【図6】図5に示すI−I線に沿って切断されたバッキングブロックの断面を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る超音波診断装置のトランスデューサを製造する方法を示すフローチャートである。
【図8】図7の製造方法のうち、バッキングブロックの製造工程を示す図である。
【図9】本発明の他の実施形態に係る超音波診断装置のトランスデューサを製造する方法を示すフローチャートである。
【図10】図9の製造方法で製造されたバッキングブロックを示す図である。
【図11】本発明のさらに他の実施形態に係る超音波診断装置のトランスデューサに用いられるバッキングブロックを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る実施形態について、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。しかしながら、本発明は、以下に説明する実施形態のみに限定される必要はない。図中、同じ参照符号は同じ部材を示す。
【0028】
図4は、本発明の一実施形態に係る超音波診断装置に使用されるトランスデューサの主要部の概略図を、図5は、図4に示すトランスデューサの主要部の正面図を示す。また、図6は、図5に示すI−I線に沿って切断したバッキングブロックの断面を示す。
【0029】
図4を参照して、本発明の一実施形態に係る超音波診断装置のトランスデューサ100は、圧電素子110と、整合層120と、バッキングブロック130とを備える。
【0030】
圧電素子110は、被検査体に超音波信号を送信すると共に、被検査体から反射して戻ってくる超音波信号を受信して電気信号に変換する信号変換デバイスである。圧電素子110は複数の配列素子で構成され、それらの素子は、バッキングブロック130の前面に一定の間隔で離隔するように配列して配置される。以下、本実施形態では、バッキングブロック130の前面に圧電素子110が左右方向に一列に配列されているものとして説明するが、これに限定される必要はなく、他の多様な形状で配列することができる。
【0031】
整合層120は、圧電素子110の前面に配置されて被検査体に接触する部材である。この整合層120は、圧電素子110と被検査体間での超音波信号の伝達を効率良く行う働きをする。
【0032】
図4〜6を参照して、バッキングブロック130は、圧電素子110を支持する部材であると同時に、圧電素子110の自由振動を抑える防振材としての役目も有している。このバッキングブロック130は、通常、金属粉やエポキシの粉を添加したゴム材を含む材料で構成され、バッキングブロックに伝達された超音波を吸収する働きをする。バッキングブロック130の前面は、プローブの設計条件および状況に応じて平面または曲面で形成することができる。
【0033】
このようなバッキングブロック130の内部には、配列された複数の圧電素子110にそれぞれ接続する複数の電極パターン132が一体で形成される。この電極パターン132は、導電性材料で形成される。電極パターン132は、バッキングブロック130の内部に帯状または棒状のうちの少なくとも1つの形状で長い形で形成することができる。以下、本実施形態では、電極パターン132は帯状に形成されたものとして説明する。
【0034】
この電極パターン132の一端は、圧電素子110とそれぞれ接続する第1接続部132aを形成する。そして、この第1接続部132aは、バッキングブロック130の前面に一列に互いに離隔した形状で配置される。このとき、第1接続部132aの離隔間隔は、圧電素子110間の干渉を防ぐために十分な距離に設定することが望ましい。
【0035】
電極パターン132の他端は、後述する送受信部と接続する第2接続部132bを形成する。この第2接続部132bは、バッキングブロック130の後面に配置され、バッキングブロック130の後面に一列で互いに離隔した形状で配置される。
【0036】
この電極パターン132は、送信部の送信信号を圧電素子110に伝達すると共に、圧電素子110が受信した超音波信号を受信部に伝達する。この第2接続部132bと送受信部を連結する方法としては、バッキングブロック130の後面にPCB基板を直接付着させる方法、異方性導電体(一例として、SHIN-ETSU社のGB matrixのようなコネクタ)を用いる方法、異方性導電フィルム(ACF film)を用いる方法などがある。
【0037】
上述のように構成された本発明の一実施形態に係るトランスデューサ100の製造方法を以下に記載する。図7は、本発明の一実施形態に係る超音波診断装置のトランスデューサを製造する方法を示すフローチャートであり、図8は、図7の製造方法のうち、バッキングブロックの製造工程を示す図である。
【0038】
本発明の一実施形態に係るトランスデューサ100の製造方法は、第1バッキングブロックを形成するステップ1と、第2バッキングブロックを形成するステップ2と、電極パターンを形成するステップ3と、バッキングブロックを完成するステップ4と、バッキングブロックを切断するステップ5と、圧電素子を接続するステップ6と、電極パターンを送受信部に接続するステップ7と、を含む。
【0039】
第1バッキングブロックを形成するステップ1では、第1バッキングブロック134を適切な大きさで形成する。第1バッキングブロック134の一側面には、後述する第2バッキングブロック136の第2結合部136aと結合する第1結合部134aを形成する。以下、本実施形態では、第1バッキングブロック134は図4に示すような左右方向に長く形成されたものとして説明するが、必ずしもこれに限定される必要はなく、トランスデューサ100の設計条件および状況に応じて多様な形状で形成することができる(図8(a)参照)。
【0040】
第2バッキングブロックを形成するステップ2では、第1バッキングブロック134と同一または類似の形状で第2バッキングブロック136を形成する。第2バッキングブロック136の一側面には、第1結合部134aと結合する第2結合部136aを形成する。第2バッキングブロック136は、第1バッキングブロック134と同様に、左右方向に長く形成されたものとして説明する(図8(a)参照)。
【0041】
電極パターンを形成するステップ3では、第1結合部134aまたは第2結合部136aのうちのいずれか1つに導電性素材で複数の電極パターン132を一定の間隔で離隔するように形成する。以下では、第1結合部134aに電極パターン132を形成するものとして説明する(図8(b)参照)。
【0042】
電極パターン132を成形する方法は、第1結合部134aの全体に導電性素材をコーティングした後、コーティングされた導電性素材のうちの一部を化学的エッチングまたはダイシングマシンで除去して電極パターン132を形成することができる。または、上述とは異なり、電極パターン132を成形する他の方法は、第1結合部134aに電極パターン132と同じ形状の穴が形成されたマスクを付着した後、マスクの穴を介して露出した第1結合部134aの一部に導電性素材をコーティングして電極パターン132を形成することもできる。勿論、上述した方法以外にも多様な方法によって電極パターン132を形成することが可能である。
【0043】
バッキングブロックを完成するステップ4では、第1バッキングブロック134の第1結合部134aに第2バッキングブロック136の第2結合部136aを結合してバッキングブロック130を完成する。第1バッキングブロック134と第2バッキングブロック136は、接着剤(ボンド)を用いて接合させることができるが、この他にも電極パターン132を傷つけることなしに接合させる多様な方法を採用することができる(図8(c)参照)。
【0044】
バッキングブロックを切断するステップ5では、必要とする電極パターン132の個数に応じてバッキングブロック130を切断する。すなわち、バッキングブロック130は、できるだけ多くの電極パターン132を有するように形成し、後でトランスデューサ100の設計条件および状況に合わせてバッキングブロック130を適切な大きさに切断しても良い(図8(d)参照)。
【0045】
勿論始めに、第1バッキングブロック134と第2バッキングブロック136を必要な大きさに形成して第1バッキングブロック134と第2バッキングブロック136を接合させ、適切な大きさのバッキングブロック130を直接に生成することも可能である。しかしながら、第1バッキングブロック134と第2バッキングブロック136を十分に大きく形成した後、接合した第1バッキングブロック134と第2バッキングブロック136を適切な大きさに切断して複数のバッキングブロック130を生成する方法の方が、生産性の面でより効果的である。
【0046】
圧電素子を接続するステップ6では、バッキングブロック130の前面に形成された複数の電極パターン132の第1接続部132aに圧電素子110をそれぞれ接続するように、バッキングブロック130の前面に圧電素子110を配置する。
【0047】
送受信部と接続するステップ7では、バッキングブロック130の後面に形成された電極パターン132の第2接続部132bに送受信部をそれぞれ接続する。
【0048】
図9は、本発明の他の実施形態に係る超音波診断装置のトランスデューサを製造する方法を示すフローチャートであり、図10は、図9の製造方法で製造されたバッキングブロックを示す図である。図9および図10において、図4〜8に示す参照符号と同一または類似する参照符号は、同じ部材を表す。以下、図4〜8に示すトランスデューサ100と相違する点を中心に記載する。
【0049】
図9および図10を参照して、本発明の他の実施形態に係る超音波診断装置のトランスデューサが図4〜7に示すトランスデューサ100と相違する点は、第1接続部232a、234a、236aが複数の列でバッキングブロック230の前面に配置されている点である。
【0050】
すなわち、電極パターン232、234、236がバッキングブロック230の内部に所定の間隔で複数一列にかつ互いに平行に配置されている。したがって、バッキングブロック230の前面には、第1接続部232a、234a、236aが複数列で互いに離隔するように配置されており、バッキングブロック230の後面には、第2接続部232b、234b、236bが複数列で互いに離隔するように配置されている。
【0051】
このようなバッキングブロック230は、図9に示すように、バッキングブロックを完成するステップ4で、完成した複数のバッキングブロック230を接着して製造することができる。したがって、図9に示すバッキングブロック230の製造方法は、図7の製造方法と比較し、複数のバッキングブロックを接着するステップ8がさらに追加されているという点に特徴がある。
【0052】
図11は、本発明のさらに他の実施形態に係る超音波診断装置のトランスデューサに用いられるバッキングブロックを示す図である。図11において、図4〜8に示す参照符号と同一または類似する参照符号は、同じ部材を表す。以下、図4〜8に示すトランスデューサ100と相違する点を中心に記載する。
【0053】
図11を参照すれば、本発明のさらに他の実施形態に係る超音波診断装置のトランスデューサが図4〜8に示すトランスデューサ100と相違する点は、バッキングブロック330の内部に電極パターン332、334が傾くように複数形成されている点である。
【0054】
すなわち、電極パターン332、334の第1接続部332a、334aはバッキングブロック330の前面に配置され、電極パターン332、334の第2接続部332b、334bはバッキングブロック330の側面に配置される。したがってこの構成方法は、バッキングブロック330の後方に別の構成部材が存在するプローブの製造に適している。
【0055】
このようなバッキングブロック330は、第1バッキングブロック330aに少なくとも1つの第1結合部330bを傾くように形成し、少なくとも1つの第1結合部330bに電極パターン332、334をそれぞれ形成する。以下、本実施形態では、第1バッキングブロック330aに2つの第1結合部330bが形成されたものとして説明する。そして、2つの第1結合部330bにそれぞれ結合する2つの第2バッキングブロック330cを形成し、2つの第2バッキングブロック330cを第1バッキングブロック330aの第1結合部330bにそれぞれ結合させる。
【0056】
しかしながら、第1バッキングブロックに3つ以上の第1結合部を形成することもでき、第1結合部と結合する3つ以上の第2結合部を形成することもできる。これだけでなく、第1結合部は互いに異なる傾斜角度で形成することができ、第2結合部は第1結合部と対応するように互いに異なる傾斜角度で形成することができる。
【0057】
上述したように、本発明の好ましい実施形態を図を参照して説明したが、該当の技術分野において熟練した当業者にとっては、特許請求の範囲に記載された本発明の思想および領域から逸脱しない範囲内で、本発明を多様に修正、変更することができる。すなわち、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲に基づいて定められるべきである。
【符号の説明】
【0058】
100:トランスデューサ
110:圧電素子
120:整合層
130、230、330:バッキングブロック
132:電極パターン
132a:第1接続部
132b:第2接続部
134:第1バッキンブロック
134a:第1結合部
136:第2バッキンブロック
136a:第2結合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査体に超音波信号を送受信する複数の圧電素子と、
前記圧電素子が前面に配列され、前記圧電素子と接続する導電性素材の電極パターンが内部に形成されたバッキングブロックと、
を備える超音波診断装置のトランスデューサ。
【請求項2】
前記電極パターンは、前記バッキングブロックの内部に帯状または棒状のうちの少なくとも1つの形状で長く形成された請求項1に記載の超音波診断装置のトランスデューサ。
【請求項3】
前記電極パターンの一端は、前記バッキングブロックの前記前面に配置されて前記圧電素子と接続する第1接続部を形成し、前記電極パターンの他端は、前記バッキングブロックの前記前面以外の面に配置されて送受信部と接続する第2接続部を形成する請求項1または2に記載の超音波診断装置のトランスデューサ。
【請求項4】
前記第1接続部は、前記バッキングブロックの前記前面に少なくとも1つの列を形成するように配置された請求項3に記載の超音波診断装置のトランスデューサ。
【請求項5】
前記第1接続部は、前記圧電素子の干渉を防ぐことができる間隔で互いに離隔するように配置された請求項4に記載の超音波診断装置のトランスデューサ。
【請求項6】
少なくとも1つの第1結合部を備えた第1バッキングブロックを形成するステップと、
少なくとも1つの前記第1結合部に結合する第2結合部を備えた少なくとも1つの第2バッキングブロックを形成するステップと、
少なくとも1つの前記第1結合部または少なくとも1つの前記第2結合部に導電性素材で複数の電極パターンを一定の間隔で離隔するように形成するステップと、
少なくとも1つの前記第1結合部と少なくとも1つの前記第2結合部を結合してバッキングブロックを完成するステップと、
前記バッキングブロックの前面に圧電素子を配置し、前記バッキングブロックの前記前面に形成された前記電極パターンの第1接続部に前記圧電素子をそれぞれ接続するステップと、
前記バッキングブロックの前記前面以外の面に形成された前記電極パターンの第2接続部に送受信部をそれぞれ接続するステップと、
を含むトランスデューサの製造方法。
【請求項7】
前記電極パターンを形成するステップは、
少なくとも1つの前記第1結合部または少なくとも1つの前記第2結合部に導電性素材をコーティングする過程と、
コーティングされた前記導電性素材のうちの一部を化学的エッチングまたはダイシングマシンで除去して前記電極パターンを形成する過程と、
を含む請求項6に記載のトランスデューサの製造方法。
【請求項8】
前記電極パターンを形成するステップは、
少なくとも1つの前記第1結合部または少なくとも1つの前記第2結合部に前記電極パターンと同じ形状の穴が形成されたマスクを付着する過程と、
前記マスクの穴を介して露出した部位に導電性素材をコーティングして前記電極パターンを形成する過程と、
を含む請求項6に記載のトランスデューサの製造方法。
【請求項9】
前記バッキングブロックを完成するステップおよび前記圧電素子を接続するステップの間には、前記電極パターンの個数に合わせて前記バッキングブロックを切断するステップをさらに含む請求項6〜8のうちのいずれか一項に記載のトランスデューサの製造方法。
【請求項10】
前記バッキングブロックを完成するステップおよび前記圧電素子を接続するステップの間には、前記バッキングブロックを完成するステップで完成した複数のバッキングブロックを接着するステップをさらに含む請求項6〜8のうちのいずれか一項に記載のトランスデューサの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−5233(P2011−5233A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−63063(P2010−63063)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(597096909)株式会社 メディソン (269)
【氏名又は名称原語表記】MEDISON CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】114 Yangdukwon−ri,Nam−myun,Hongchun−gun,Kangwon−do 250−870,Republic of Korea
【Fターム(参考)】