説明

超音波診断装置のフットレスト

【課題】検査中における検査者の疲労を抑制することができる超音波診断装置のフットレストを提供する。
【解決手段】本体11に固定されたブラケット17に回転自在に取り付けられる第1フレーム21と、第1フレーム21の回転軸と略直交方向に第1フレーム21に螺入される長ねじ34と、長ねじ34が回転自在に取り付けられる第2フレーム31と、第1フレーム21の本体11に対する回転角度を調整する第1調整機構と、長ねじ34を回転させて第2フレーム31の高さを調整する第2調整機構と、第2フレーム31の長ねじ34周りの回転角度を調整する第3調整機構と、を有し、足載せ面51のチルト角、高さ、左右方向の首振り角度を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波診断装置のフットレストの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
椅子に長時間着座する場合に、脚部にかかる疲労を低減するために、車両、航空機用として、足載せ面の高さや角度を調整することができるフットレストが設けられている。例えば、特許文献1には、水平に設けられた軸の周りに足載せ面を回転させることによって足載せ面の角度を調整する方法が提案されている。また、特許文献2には、着座している席の前席の下面に設けられた水平軸の周りに回転し、使用する場合には足載せ面の高さと角度を調整することができ、使用しない場合には前席の下面に格納することができるフットレストが提案されている。
【0003】
【特許文献1】特開2002−223892号公報
【特許文献2】実開平5−15853号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、超音波診断装置を用いて検査者が患者の診断を行う際に、検査者は超音波診断装置の前の椅子に着座し、片手で超音波プローブを操作しながらもう一方の手で操作卓のスイッチを操作して検査を行う。患者はベッドの上に寝ている場合が多いので、超音波診断装置の操作卓、モニタなどは検査者がベッド上の患者の診察を容易に行えるような高さとなっている。このため、検査の状態によっては、検査者の足が床から浮いてしまい、検査者が超音波プローブの操作がやりにくくなる場合があるので、超音波診断装置には検査者が足を置くためのフットレストが設けられているものもある。しかし、従来の超音波診断装置のフットレストには高さ角度などの調整機能がほとんどなく、超音波検査の際に検査者が体の位置に合わせてフットレストの位置を調整することができないものが多かった。このため、長時間の検査においては検査者の疲労やストレスが問題となる場合があった。
【0005】
本発明は、検査中における検査者の疲労を抑制することができる超音波診断装置のフットレストを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の超音診断装置のフットレストは、本体に固定されたブラケットに回転自在に取り付けられる第1フレームと、第1フレームの回転軸と略直交方向に第1のフレームに螺入される長ねじと、長ねじが回転自在に取り付けられる第2フレームと、本体と第1フレームとの間に設けられ、第1フレームの本体に対する回転角度を調整する第1調整機構と、長ねじに取り付けられ、長ねじを回転させて長ねじの長手方向に第2フレームの第1フレームに対する位置を調整する第2調整機構と、第1フレームと第2フレームとの間に取り付けられ、第2フレームの第1フレームに対する長ねじ周りの回転角度を調整する第3調整機構と、を有することを特徴とする。
【0007】
本発明の超音波診断装置のフットレストにおいて、第1調整機構は、一端が自在継手を介して本体に取り付けられ、他端が第1フレームに螺入された第1ねじ棒と、第1ねじ棒に取り付けられ、第1ねじ棒を回転させる第1回転板と、を備え、第2調整機構は、長ねじに取り付けられ、長ねじを回転させる第2回転板であり、第3調整機構は、長ねじの長手方向にスライド自在に第2フレームに取り付けられるスライダと、一端が自在継手を介して第1フレームに取り付けられ、他端がスライダに螺入された第2ねじ棒と、第2ねじ棒に取り付けられ、第2ねじ棒を回転させる第3回転板と、を備えること、としても好適である。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、検査中における検査者の疲労を抑制することができる超音波診断装置のフットレストを提供することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1に示すように、超音波診断装置10は、内部に電子回路や電源機器などが設けられた本体11と、本体11の上面に設けられたベース12と、ベース12に回転自在に取り付けられた操作卓13と、ベース12の上に設けられ、複数のアームが回転またはスライド可能に連接されたモニタ支持機構14と、モニタ支持機構14に取り付けられ、診断画像を表示するモニタ15とを備えている。本体11の底面には、床上で容易に移動することができるように、4つのキャスタ16が取り付けられている。図1の矢印で示す上方向が超音波診断装置10の上方向で図中の矢印で示す下方向が超音波診断装置10の下方向となる。
【0010】
本体11の操作卓13の側の側面の下部にはフットレスト20が取り付けられている。図2に示すように、フットレスト20は本体の下部の左右にそれぞれ左足用と右足用の2つが独立して取り付けられている。各フットレスト20にはカバー50の足載せ面51のチルト角度を調整する第1回転板27と、足載せ面51の高さを調整する第2回転板35と、足載せ面51の左右方向の首振り角度を調整する第3回転板43の3つの回転板を備え、チルト角度、高さ、首振り角度をそれぞれ独立して調整することができるよう構成さされている。なお、図2に矢印で示すように、一方のフットレストから他方のフットレストに向かう方向が超音波診断装置10の左右方向である。
【0011】
図3から図5を参照しながらフットレスト20の構造を詳細に説明する。なお、図5はフットレスト20の内部構造を模式的に表した斜視図である。図3に示すように、フットレスト20は、第1フレーム21と、第1フレーム21に取り付けられた上リブ23と下リブ24とにねじ込まれた長ねじ34と、長ねじ34が回転自在に取り付けられている第2フレーム31と、第2フレーム31の受けフランジ39に取り付けられた樹脂製のカバー50を備えている。
【0012】
第1フレーム21は溝型の金属製フレームであり、その上側と下側には上リブ23と下リブ24とが取り付けられている。また、各側面のフランジは下リブ24よりも下方に向かって延びて取り付け部29を構成している。取り付け部29は、本体11に固定されたブラケット17に取り付けピン22によって水平方向の中心軸周りに回転自在となるように取り付けられている。上リブ23と下リブ24には、同軸にねじ孔が設けられており、そのねじ孔に長ねじ34がねじ込まれている。ねじ孔にねじ込まれた長ねじ34の長手方向軸は取り付け用のピン22の中心軸と略直交するよう構成されている。
【0013】
本体11と第1フレーム21との間には第1フレーム21の本体11に対するピン22の回りの回転角度を調整し、足載せ面51のチルト角を調整する第1調整機構が設けられている。第1調整機構は本体11に取り付けられた基部25と、基部25の内部に設けられた球面状の凹部に嵌まり込む球体状の頭部26によって構成される自在継手30とを備え、頭部26には第1フレーム21の本体11側の面から第1フレーム21にねじ込まれるねじ棒28が接続されている。また、第1フレーム21と本体11の間のねじ棒28には第1回転板27が取り付けられている。ねじ棒28の取り付けられた頭部26は、基部25に対していずれの方向にも自在に回転することができる。また、ねじ棒28の中心軸とピン22の中心軸とは上下方向に所定の間隔をあけて配置されている。
【0014】
第2フレーム31も第1フレーム21と同様の溝型の金属製フレームであり、その上側と下側には上リブ32と下リブ33とが取り付けられている。上リブ32と下リブ33には同軸上に貫通孔が設けられており、この貫通孔に長ねじ34の上端部と下端部とが回転自在となるように支持されている。また、長ねじ34は上リブ32及び下リブ33に長ねじ34の長手方向である上下方向に支持されており、第2フレーム31に加わる荷重は長ねじ34を介して第1フレーム21からブラケット17、本体11へと伝達される。長ねじ34には第2調整機構を構成する第2回転板35が設けられている。第2フレーム31には本体11から離れる方向に延びる受けフランジ39が設けられており、受けフランジ39の上面には樹脂製のカバー50が取り付けられている。カバー50の上面には検査者の足60が載せられる足載せ面51が設けられている。
【0015】
第2フレーム31の第1フレーム21側の面には、スライダ37を長ねじ34の長手方向である上下方向に自在にスライドさせることができるようその面内に保持するガイドレール36が設けられている。本実施形態では、ガイドレール36は2本のL字形の長手部材を組み合わせ、L型部材のフランジと第2フレーム31の面とでスライダ37を挟み込むように構成されている。
【0016】
第1フレーム21と第2フレーム31のスライダ37との間には、第2フレーム31の長ねじ34周りの回転角度を調整する第3調整機構が取り付けられている。第3調整機構は、第1フレーム21に取り付けられた基部41と、基部41の内部に設けられた球面状の凹部に嵌まり込む球体状の頭部42によって構成される自在継手49を備え、頭部42にはスライダ37に設けられたねじ孔にねじ込まれるねじ棒44が接続されている。また、スライダ37と基部41の間のねじ棒44には第3回転板43が取り付けられている。ねじ棒44の取り付けられた頭部42は、基部41に対していずれの方向にも自在に回転することができる。また、ねじ棒44の中心軸と長ねじ34の中心軸とは水平方向に所定の間隔をあけて配置されている。
【0017】
以上のように構成された超音波診断装置10のフットレスト20の角度と高さの調整について説明する。図6に示すように、第1回転板27をフットレスト20側から見て時計周りに回転させると、第1回転板27は自在継手30の頭部26に接続されているねじ棒28を回転させる。ねじ棒28が回転すると、ねじ棒28は第1フレーム21に設けられたねじ孔を本体11から離れる方向に移動させる。一方、第1フレーム21は取り付け部29で本体11のブラケット17にピン22によってピン22の中心軸の周りに回転自在に取り付けられているので、第1フレーム21は、ピン22の周りで上部が本体11から離れる方向に回転する。第1フレーム21がピン22の周りに回転し、第1フレーム21が本体11の側面に対して傾いてくると、ねじ棒28は自在継手30によって本体11に対して同等の角度だけ回転する。そして、第1回転板27を回転させることによって垂直面内で足載せ面51のチルト角度を好みの角度に調整することができる。第1回転板27をフットレスト20の側から見て反時計周りに回転させると、上記と逆に第1フレーム21が本体11の側に向かって回転し、初期位置まで角度を戻すことができる。
【0018】
図7及び図5に示すように、長ねじ34に取り付けられた第2回転板35を上方向から見て時計周りに回転させると、長ねじ34は第1フレーム21に向かってねじ込まれていく。これによって、長ねじ34が回転自在に取り付けられている第2フレーム31は第1フレーム21に向かって移動する。一方、第1フレーム21はブラケット17によって本体11に取り付けられ、上下方向には移動しないことから、第2フレーム31は本体11に対して下方向に向かって移動し、フットレスト20の足載せ面51は本体11に対して下方向に移動することとなる。スライダ37の上下方向位置は第1フレーム21に対して変化しないので、第2フレーム31が第1フレーム21に向かって移動すると、スライダ37はガイドレール36にガイドされて第2フレーム31の上方に移動する。上記と逆に、第2回転板35を上方向から見て反時計回りに回転させると、第2フレーム31は第1フレーム21と離れる方向に移動し、フットレスト20の足載せ面51の高さが上昇する。このように、第2回転板35を回転させることによってフットレスト20の足載せ面51の高さを自在に調整することができる。
【0019】
図4及び図5に示す第3回転板43をフットレスト20側から見て時計周りに回転させると、第3回転板43は自在継手49の頭部42に接続されているねじ棒44を回転させる。ねじ棒44が回転すると、ねじ棒44はスライダ37に設けられたねじ孔を第1フレーム21から離れる方向に移動させる。第2フレーム31に取り付けられたスライダ37は第1フレーム21に対する進退方向には移動しないようガイドレール36によってガイドされていることから、スライダ37が第1フレーム21から離れる方向に移動するとスライダ37につれて第2フレーム31のスライダ37が取り付けられている部分も第1フレーム21から離れる方向に移動する。第2フレーム31のスライダ37が取り付けられている部分が第1フレーム21から離れる方向に移動すると、第2フレーム31はスライダ37の取り付けられている部分が第1フレーム21から離れる方向に長ねじ34の周りに回転する。第1フレーム21は本体11に対して左右方向に回転しないので、第2フレーム31が長ねじ34の周りに回転すると、第2フレーム31は本体11に対して左右方向に回転することとなる。
【0020】
第2フレーム31が長ねじ34の周りに回転し、第2フレーム31が本体11の左右方向に回転してくると、ねじ棒44は自在継手49によって第1フレーム21に対して同等の角度だけ左右方向に回転する。そして、第3回転板43を回転させることによって足載せ面51の左右方向の首振り角度を好みの角度に調整することができる。そして、第3回転板43をフットレスト20の側から見て反時計周りに回転させると、上記と逆に第2フレーム31のスライダ37が取り付けられた部分が長ねじ34の周りに本体11の側に向かって回転し、初期位置まで角度を戻すことができる。
【0021】
以上説明したように、本実施形態の超音波診断装置10の左右のフットレスト20は、それぞれ独立して、足載せ面51のチルト角度、高さ、首振り角度を調整することができるので、超音波検査の際に検査者が体の位置に合わせてフットレスト20の位置を調整することができ、検査中における検査者の疲労を抑制することができるという効果を奏する。また、本実施形態のフットレスト20では、長ねじ34は第2フレーム31を本体11に対して上下方向に移動させる機能と共に、第2フレーム31を上下方向に延びる軸の周りに回転させる回転中心軸としての機能を備えている。このため、簡便な構成で、左右方向の首振り角度の調整と、上下方向に高さの調整とを行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態における超音波診断装置のフットレストを示す側面図である。
【図2】本発明の実施形態における超音波診断装置のフットレストを示す斜視図である。
【図3】本発明の実施形態における超音波診断装置のフットレストの縦断面図である。
【図4】本発明の実施形態における超音波診断装置のフットレストの平面の断面図である。
【図5】本発明の実施形態における超音波診断装置のフットレストの調整機構を模式的に示す斜視図である。
【図6】本発明の実施形態における超音波診断装置のフットレストのチルト角度の調整状態を示す説明図である。
【図7】本発明の実施形態における超音波診断装置のフットレストの高さの調整状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0023】
10 超音波診断装置、11 本体、12 ベース、13 操作卓、14 モニタ支持機構、15 モニタ、16 キャスタ、17 ブラケット、20 フットレスト、21 第1フレーム、22 ピン、23,32 上リブ、24,33 下リブ、25,41 基部、26,42 頭部、27 第1回転板、28,44 ねじ棒、29 取り付け部、30,49 自在継手、31 第2フレーム、34 長ねじ、35 第2回転板、36 ガイドレール、37 スライダ、39 受けフランジ、43 第3回転板、50 カバー、51 足載せ面、60 足。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体に固定されたブラケットに回転自在に取り付けられる第1フレームと、
第1フレームの回転軸と略直交方向に第1のフレームに螺入される長ねじと、
長ねじが回転自在に取り付けられる第2フレームと、
本体と第1フレームとの間に設けられ、第1フレームの本体に対する回転角度を調整する第1調整機構と、
長ねじに取り付けられ、長ねじを回転させて長ねじの長手方向に第2フレームの第1フレームに対する位置を調整する第2調整機構と、
第1フレームと第2フレームとの間に取り付けられ、第2フレームの第1フレームに対する長ねじ周りの回転角度を調整する第3調整機構と、
を有することを特徴とする超音波診断装置のフットレスト。
【請求項2】
請求項1に記載の超音波診断装置のフットレストであって、
第1調整機構は、一端が自在継手を介して本体に取り付けられ、他端が第1フレームに螺入された第1ねじ棒と、第1ねじ棒に取り付けられ、第1ねじ棒を回転させる第1回転板と、を備え、
第2調整機構は、長ねじに取り付けられ、長ねじを回転させる第2回転板であり、
第3調整機構は、長ねじの長手方向にスライド自在に第2フレームに取り付けられるスライダと、一端が自在継手を介して第1フレームに取り付けられ、他端がスライダに螺入された第2ねじ棒と、第2ねじ棒に取り付けられ、第2ねじ棒を回転させる第3回転板と、を備えること、
を特徴とする超音波診断装置のフットレスト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−254739(P2009−254739A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−110117(P2008−110117)
【出願日】平成20年4月21日(2008.4.21)
【出願人】(390029791)アロカ株式会社 (899)
【Fターム(参考)】