説明

超音波診断装置及びその制御プログラム

【課題】算出開始画素について生体組織の弾性をより正確に反映した物理量を算出することができる超音波診断装置を提供する。
【解決手段】同一音線上の時間的に異なる二つのエコー信号r(t),s(t)に相関ウィンドウW1,W2を設定し、これら相関ウィンドウW1,W2間で複素相関関数の演算を行なって生体組織の弾性に関する物理量を算出する物理量算出部は、一の音線上において最初に前記物理量の算出対象となる算出開始画素についての物理量の算出にあっては、所定の回数の物理量の算出を行ない、なおかつ二回目以降の物理量の算出では、一方のエコー信号について、直前の物理量の算出で得られた物理量に基づいて相関ウィンドウW2の設定開始位置sp及びウィンドウ幅WDを決定して相関ウィンドウW2の再設定を行なって物理量を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体組織の硬さ又は軟らかさを表す弾性画像を表示する超音波診断装置及びその制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
通常のBモード画像と、生体組織の硬さ又は軟らかさを表す弾性画像とを合成して表示させる超音波診断装置が、例えば特許文献1などに開示されている。この種の超音波診断装置において、弾性画像は次のようにして作成される。先ず、超音波プローブを体表面に押し当てて圧迫とその弛緩を繰り返すなどして生体組織を変形させながら超音波の送受信を行い、エコー信号を取得する。そして、得られたエコー信号に基づいて、生体組織の弾性に関する物理量を算出し、この物理量を色相情報に変換してカラーの弾性画像を作成する。ちなみに、生体組織の弾性に関する物理量としては、例えば生体組織の歪みなどを算出している。
【0003】
前記物理量の算出手法の一例についてもう少し説明すると、先ず同一音線上における時間的に異なる二つのエコー信号に、所定のデータ数分の幅を有する相関ウィンドウをそれぞれ設定し、この相関ウィンドウ間で複素相関関数の演算を行なって生体組織の各部における物理量を算出する。例えば特許文献2では、相関ウィンドウ間で複素相関関数の演算を行なうことによって、両エコー信号の波形のずれを算出し、この波形のずれを歪みとみなしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−118152号公報
【特許文献2】特開2008−126079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記相関ウィンドウは、一音線上に複数設定され、相関ウィンドウ毎に複素相関関数の演算が行なわれて、生体組織の各部における物理量が算出される。ちなみに、各相関ウィンドウについて算出された物理量に基づいて、弾性画像における一画素のデータが作成される。
【0006】
ここで、例えばBモード画像上に設定された関心領域(ROI:Region Of Interest)内に弾性画像が表示される場合、関心領域の上端側の画素から下端側の画素へ向かって歪みの算出が順次行なわれる。この場合、一方のエコー信号においては、前記関心領域の上端に相当する部分を設定開始位置として相関ウィンドウが設定される。また、前記一方のエコー信号の始点(受信開始点)から前記関心領域の上端に相当する部分までの時間をTとすると、他方のエコー信号における相関ウィンドウの設定開始位置は、前記他方のエコー信号の始点(受信開始点)から時間T経過した部分になっている。
【0007】
前記二つのエコー信号は、圧迫とその弛緩とを繰り返すなどして生体組織を変形させながら取得された信号であり、いずれか一方のエコー信号に対し、他方のエコー信号が圧縮又は伸長したような波形になっている。従って、上述のように前記二つのエコー信号における相関ウィンドウの設定開始位置が、各エコー信号の始点(受信開始点)から前記時間T経過した点になっていると、前記二つのエコー信号における生体組織の同じ部分に、前記相関ウィンドウを設定することができない。従って、一の音線上において、最初に物理量の算出対象となる画素については、生体組織の弾性を正確に反映した物理量を得ることができないおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するためになされた第1の観点の発明は、生体組織に対して超音波の送受信を行なう超音波プローブと、該超音波プローブによる超音波の送受信によって得られた同一音線上の時間的に異なる二つのエコー信号に相関ウィンドウを設定し、該相関ウィンドウ間で複素相関関数の演算を行なって生体組織の弾性に関する物理量を算出する物理量算出部と、該物理量算出部によって算出された前記物理量に基づいて弾性画像を作成する弾性画像作成部と、を備え、前記物理量算出部は、弾性画像作成領域において前記二つのエコー信号のそれぞれに複数の相関ウィンドウを設定して前記弾性画像における各画素の物理量の算出を行なうものであり、一の音線上において最初に前記物理量の算出対象となる算出開始画素についての物理量の算出にあっては、所定の回数の物理量の算出を行ない、なおかつ二回目以降の物理量の算出では、一方のエコー信号について、直前の物理量の算出で得られた物理量に基づいて相関ウィンドウの設定開始位置及びウィンドウ幅を決定して相関ウィンドウの再設定を行なって物理量を算出し、前記弾性画像作成部は、前記算出開始画素については、前記所定回数目の物理量算出で得られた物理量に基づいて弾性画像を作成することを特徴とする超音波診断装置である。
【0009】
第2の観点の発明によれば、第1の観点の発明において、前記物理量算出部は、前記二つのエコー信号に設定された相関ウィンドウ内のエコーデータについて複素相関関数の虚数部の算出を行なうことを特徴とする超音波診断装置である。
【0010】
第3の観点の発明は、第1又は2の観点の発明において、前記物理量算出部は、一の音線上において以前に設定された相関ウィンドウの設定開始位置からの事前遅延を前記直前の物理量算出で得られた物理量を用いて算出して、前記一方のエコー信号における前記相関ウィンドウの設定開始位置を決定することを特徴とする超音波診断装置である。
【0011】
第4の観点の発明は、第3の観点の発明において、前記以前に設定された相関ウィンドウは、一の音線上において最初に設定された初期相関ウィンドウであることを特徴とする超音波診断装置である。
【0012】
第5の観点の発明は、第3又は4の観点の発明において、前記事前遅延は、直前の物理量の算出で得られた物理量が大きくなるほど大きくなることを特徴とする超音波診断装置である。
【0013】
第6の観点の発明は、第1〜5のいずれか一の観点の発明において、前記再設定される相関ウィンドウのウィンドウ幅は、直前の物理量の算出で得られた物理量が大きくなるほど小さくなることを特徴とする超音波診断装置である。
【0014】
第7の観点の発明は、第1〜6のいずれか一の観点の発明において、複素相関関数の演算対象となる各相関ウィンドウ内のエコー信号におけるエコーデータの数が等しくない場合は、数が少ない方の相関ウィンドウ内におけるエコーデータを、他のエコーデータに基づいて補間して、複素相関関数の演算を行なうことを特徴とする超音波診断装置である。
【0015】
第8の観点の発明は、コンピュータに、生体組織に対して超音波の送受信を行なう超音波プローブによる超音波の送受信によって得られた同一音線上の時間的に異なる二つのエコー信号に相関ウィンドウを設定し、該相関ウィンドウ間で複素相関関数の演算を行なって生体組織の弾性に関する物理量を算出する物理量算出機能と、該物理量算出部によって算出された前記物理量に基づいて弾性画像を作成する弾性画像作成機能と、を実行させ、前記物理量算出機能は、弾性画像作成領域において前記二つのエコー信号のそれぞれに複数の相関ウィンドウを設定して前記弾性画像における各画素の物理量の算出を行なうものであり、一の音線上において最初に前記物理量の算出対象となる算出開始画素についての物理量の算出にあっては、所定の回数の物理量の算出を行ない、なおかつ二回目以降の物理量の算出では、一方のエコー信号について直前の物理量の算出で得られた物理量に基づいて、相関ウィンドウの設定開始位置及びウィンドウ幅を決定して相関ウィンドウの再設定を行なって物理量を算出し、前記弾性画像作成機能は、前記算出開始画素については、前記所定回数目の物理量算出で得られた物理量に基づいて弾性画像を作成することを特徴とする超音波診断装置の制御プログラムである。
【発明の効果】
【0016】
上記観点の発明によれば、一の音線上において最初に前記物理量の算出対象となる算出開始画素についての物理量の算出にあっては、所定の回数の物理量の算出を行ない、なおかつ二回目以降の物理量の算出では、一方のエコー信号について、直前の物理量の算出で得られた物理量に基づいて相関ウィンドウの設定開始位置及びウィンドウ幅を決定して相関ウィンドウの再設定を行なって物理量の算出を行なうので、前記算出開始画素について生体組織の弾性をより正確に反映した物理量を算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る超音波診断装置の実施形態の概略構成の一例を示すブロック図である。
【図2】物理量データの作成の説明図である。
【図3】物理量の算出を説明するための図である。
【図4】図1に示す超音波診断装置における表示制御部の構成を示すブロック図である。
【図5】図1に示す超音波診断装置における表示部の表示の一例を示す図である。
【図6】一の音線上における歪みの算出についてのフローチャートを示す図である。
【図7】関心領域において、最上位に位置する画素とそれ以外の画素とを説明するための図である。
【図8】関心領域の最上位に位置する画素についての最初の相関ウィンドウの設定を説明するための図である。
【図9】複素相関関数の演算の概念を説明するための図である。
【図10】関心領域の最上位に位置する画素についての相関ウィンドウの再設定を説明するための図である。
【図11】再設定された相関ウィンドウ内のエコーデータの補間を説明するための図である。
【図12】次の画素についての歪みを算出する際の相関ウィンドウの設定を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図1〜図12に基づいて説明する。図1に示す超音波診断装置1は、超音波プローブ2、送受信部3、Bモードデータ作成部4、物理量データ作成部5、表示制御部6、表示部7、制御部8及び操作部9を備える。
【0019】
前記超音波プローブ2は、生体組織に対して超音波を送信しそのエコーを受信する。この超音波プローブ2における超音波の送受信面を体表面に当接させた状態で、例えば圧迫と弛緩を繰り返しながら超音波の送受信を行なって取得されたエコー信号に基づいて、後述のように弾性画像が作成される。
【0020】
前記送受信部3は、前記超音波プローブ2を所定の走査条件で駆動させて音線毎の超音波の走査を行なう。また、送受信部3は、前記超音波プローブ2で受信したエコーについて、整相加算処理等の信号処理を行なう。前記送受信部3で信号処理されたエコー信号は、前記Bモードデータ作成部4及び前記物理量データ作成部5に出力される。
【0021】
ちなみに、前記送受信部3は、Bモード画像を作成するためのBモード画像用走査と、弾性画像を作成するための弾性画像用走査とを別に行なう。弾性画像用走査としては、被検体における弾性画像を作成する領域(弾性画像作成領域)において、同一音線上に少なくとも二回の走査を行なう。
【0022】
前記Bモードデータ作成部4は、前記送受信部3から出力されたエコー信号に対し、対数圧縮処理、包絡線検波処理等のBモード処理を行い、Bモードデータを作成する。
【0023】
前記物理量データ作成部5は、前記送受信部3から出力されたエコー信号に基づいて、生体組織における各部の弾性に関する物理量データを作成する(物理量算出機能)。もう少し詳しく説明すると、この弾性データ作成部5は、生体組織における各部の弾性に関する物理量として、前記超音波プローブ2による圧迫とその弛緩などによって生じた生体組織における各部の歪みStを算出することにより前記物理量データを作成する。前記物理量データ作成部5は、図2に示すように時間的に異なる二つのフレーム(i),(ii)に属する同一音線上における二つのエコー信号に基づいて歪みStを算出し物理量データを作成する。前記物理量データ作成部5は、本発明における物理量算出部の実施の形態の一例である。
【0024】
具体的には、前記物理量データ作成部5は、図3に示すようにフレーム(i)に属するエコー信号に相関ウィンドウW1を設定し、フレーム(ii)に属するエコー信号に相関ウィンドウW2を設定する。そして、前記物理量データ作成部5は、前記相関ウィンドウW1,W2間で複素相関関数の虚数部の演算を行なって歪みStを算出する。複素相関関数の虚数部の演算については後述する。
【0025】
図3において、前記フレーム(i),(ii)は、複数本の音線上において取得されたエコー信号からなる。図3では、前記フレーム(i)における複数本の音線の一部として、五本の音線L1a,L1b,L1c,L1d,L1eが示され、また前記フレーム(ii)において前記音線L1a〜L1eに対応する音線として、音線L2a,L2b,L2c,L2d,L2eが示されている。すなわち、前記音線L1a及び前記音線L2a、前記音線L1b及び前記音線L2b、前記音線L1c及び前記音線L2c、前記音線L1d及び前記音線L2d、前記音線L1e及び前記音線L2eは、異なる二つのフレームに属する同一音線に該当する。また、図3においてR(i),R(ii)は、後述するように弾性画像が表示される関心領域Rに対応する領域を示している。
【0026】
例えば、前記音線L1c上のエコー信号に、前記相関ウィンドウW1として相関ウィンドウW1cが設定され、前記音線L2c上のエコー信号に、前記相関ウィンドウW2として相関ウィンドウW2cが設定されたとする。前記弾性データ作成部5は、前記相関ウィンドウW1c,W2c間で相関演算を行ない、歪みStを算出する。前記弾性データ作成部5は、前記音線L1c,L2c上において、前記領域R(i),R(ii)の上端100から下端101まで相関ウィンドウW1c,W2cを順次設定し、歪みStを算出する。また、前記物理量データ作成部5は、前記領域R(i),R(ii)内の他の音線についても同様にして歪みStを算出する。これにより、歪みStのデータからなる一フレーム分の物理量データが得られる。さらに詳細な説明については後述する。
【0027】
前記表示制御部6には、前記Bモードデータ作成部4からのBモードデータ及び前記弾性データ作成部5からの弾性データが入力されるようになっている。前記表示制御部6は、図4に示すように、Bモード画像データ作成部61、弾性画像データ作成部62及び合成部63を有している。
【0028】
前記Bモード画像データ作成部61及び前記弾性画像データ作成部62は、スキャンコンバータ(scan converter)を有している。そして、前記Bモード画像データ作成部61は、前記Bモードデータを、エコーの信号強度に応じた輝度情報を有するBモード画像データに変換する。また、前記弾性画像データ作成部62は、前記物理量データを歪みに応じた色相情報を有するカラー弾性画像データに変換する(弾性画像作成機能)。前記弾性画像データ作成部62は、本発明における弾性画像作成部の実施の形態の一例である。
【0029】
ちなみに、前記Bモード画像データにおける輝度情報及び前記カラー弾性画像データにおける色相情報は所定の階調(例えば256階調)からなる。
【0030】
なお、Bモード画像データに変換される前のBモードデータ及びカラー弾性画像データに変換される前の物理量データを、ローデータ(Raw Data)と云う。
【0031】
前記合成部63は、前記Bモード画像データ及び前記カラー弾性画像データを加算処理することによって合成し、前記表示部7に表示する二次元の超音波画像の画像データを作成する。この画像データは、図5に示すように白黒のBモード画像BGとカラーの弾性画像EGとが合成された二次元の超音波画像Gとして前記表示部7に表示される。本例では、前記弾性画像EGは、関心領域R内に半透明で(背景のBモード画像が透けた状態で)表示される。前記表示部7は、本発明における表示部の実施の形態の一例である。また、前記関心領域Rは、生体組織の弾性画像が作成される領域(弾性画像作成領域)である。
【0032】
前記制御部8は、CPU(Central Processing Unit)で構成され、図示しない記憶部に記憶された制御プログラムを読み出し、前記超音波診断装置1の各部における機能を実行させる。また、前記操作部9は、操作者が指示や情報を入力するためのキーボード及びポインティングデバイス(図示省略)などを含んで構成されている。
【0033】
さて、本例の超音波診断装置1の作用について説明する。先ず、前記送受信部3は、前記超音波プローブ2から被検体の生体組織へ超音波を送信させ、そのエコー信号を取得する。このとき、前記超音波プローブ2により、例えば被検体への圧迫とその弛緩を繰り返すなどして生体組織を変形させながら超音波の送受信を行う。
【0034】
エコー信号が取得されると、前記Bモードデータ作成部4がBモードデータを作成し、前記物理量データ作成部5が物理量データを作成する。そして、これらBモードデータ及び物理量データに基づいて、前記Bモード画像データ作成部61及び前記弾性画像データ作成部62がBモード画像データ及びカラー弾性画像データを作成し、これらを前記合成部63が合成して得られた画像データに基づく超音波画像Gが前記表示部7に表示される。
【0035】
前記物理量データの作成について詳しく説明する。前記物理量データ作成部5は、関心領域R内の各音線上のエコー信号に相関ウィンドウを設定して歪みStを算出し、物理量データを作成する。一の音線上における歪みStの算出について、図6のフローチャートに基づいて説明する。
【0036】
この図6のフローチャートにおいて、ステップS1〜S4は、一の音線上において、最初に歪みStの算出対象となる算出開始画素paについての処理であり、ステップS5〜S7は、前記算出開始画素pa以外の画素pbについての処理である。
【0037】
本例では、前記算出開始画素paは、前記関心領域Rにおいて、最上位に位置する画素である。図7において、斜線で示した画素が前記算出開始画素paであり、それ以外の画素が前記画素pbである。一の音線上において、先ず最初に前記算出開始画素paについて歪みStの算出を行ない、次いで前記画素pbについて前記関心領域Rの下端101側へ向かって順次歪みの算出を行なう。以下、ステップS1〜S7の処理について具体的に説明する。
【0038】
先ず、ステップS1では、図8に示すように、同一音線上におけるエコー信号r(t),s(t)に相関ウィンドウW1,W2を設定する。前記相関ウィンドウW1,W2は、前記エコー信号r(t),s(t)において、所定の設定開始位置spから所定の時間幅に相当するウィンドウ幅WDで設定される。前記設定開始位置spは、エコー信号r(t),s(t)において、相関ウィンドウW1,W2の両端のうち、時相が早い側(前記超音波プローブ2側)の位置とする。
【0039】
ちなみに、図8においては、前記エコー信号r(t),s(t)の一部のみが図示されている。また、エコー信号r(t),s(t)において、図8の下方へ向かうほど、生体組織の深部からのエコー信号になる(図10においても同様)。
【0040】
前記エコー信号r(t)における前記設定開始位置spは、前記エコー信号r(t)において前記関心領域Rの上端100に相当する位置である。また、前記エコー信号r(t)において、このエコー信号r(t)の始点(受信開始点、図示省略)から前記関心領域Rの上端100に相当する部分までの時間をTとすると、前記エコー信号s(t)における前記設定開始位置spは、このエコー信号s(t)の始点(受信開始点、図示省略)から時間T経過した部分である。従って、前記エコー信号r(t)における設定開始位置spと前記エコー信号s(t)における設定開始位置spは、前記超音波プローブ2の送受信面(生体組織の表面)からの深さが等しい位置に相当する部分である。ただし、前記エコー信号r(t),s(t)は、生体組織が伸縮している状態で取得されたものであるため、これらエコー信号r(t),s(t)における前記設定開始位置spは生体組織の異なる部分にあたる。
【0041】
前記算出開始画素paについては、後述するように相関ウィンドウW2を複数回設定して複数回の歪み算出が行なわれる。ステップS1における設定開始位置spを初期設定開始位置fspというものとし、ステップS1で設定される相関ウィンドウW2を、初期相関ウィンドウW2fと云うものとする。
【0042】
ここで、図8におけるエコー信号r(t),s(t)は、説明の便宜上アナログ信号で表されているが、実際の処理はデジタルデータで行なわれるものとする。前記相関ウィンドウW1のウィンドウ幅WDと前記初期相関ウィンドウW2fのウィンドウ幅WDは等しくなっており、前記相関ウィンドウW1におけるエコー信号r(t)のデータ数と、前記初期相関ウィンドウW2fにおけるエコー信号s(t)のデータ数は等しくなっている。
【0043】
次に、ステップS2では、歪みStの算出を行なう。具体的には、エコー信号r(t),s(t)における相関ウィンドウW1,W2内のエコーデータの複素相関関数の虚数部を演算する(具体的な算出式は、特許文献2参照)。ここで、複素相関関数の虚数部は両エコー信号r(t),s(t)の波形のずれ量(シフト量)を表し、これを歪みStとしている。
【0044】
ここで、複素相関関数の演算の概念について図9に基づいて説明する。相関ウィンドウW1,W2内におけるデータ数をn個とすると、複素相関関数は、以下の(式1)を意味する。
r(1)・s(1)+r(2)・s(2)+r(3)・s(3)
+・・・+r(n−1)・s(n−1)+r(n)・s(n) ・・・(式1)
すなわち、エコー信号r(t),s(t)の複素相関関数は、相関ウィンドウW1,W2内において、エコー信号r(t)におけるデータr(n)と、エコー信号s(t)におけるデータs(n)の共役複素数s(n)との積M=r(n)・s(n)の和Adを意味する。ちなみに、「*」は、共役複素数を意味し、またnはn番目のデータであることを意味する。
【0045】
エコー信号r(t),s(t)のデータは、複素数で表される。すなわち、エコー信号r(t)におけるデータはr(n)=a+bi、エコー信号s(t)におけるデータはs(n)=c+diとなる。データs(n)の共役複素数s(n)は、s(n)=c−diであるので、(式1)は、以下の(式2)となる。
(a+bi)(c−di)+(a+bi)(c−di)
+(a+bi)(c−di)+・・・
+(an−1+bn−1i)(cn−1−dn−1i)
+(a+bi)(c−di) ・・・(式2)
従って、前記物理量データ作成部5は、上記(式2)の虚数部分の演算を行なう。
【0046】
ここで、前記相関ウィンドウW1及び前記初期相関ウィンドウW2fを設定して得られる歪みStの正確性について、前記相関ウィンドウW1及び前記初期相関ウィンドウW2fの設定位置との関係で述べる。本例では、エコー信号s(t)は、前記エコー信号r(t)が取得された時点よりも、生体組織が圧縮した状態で取得されたエコー信号である。従って、図8に示すように、エコー信号r(t)の波形は、エコー信号s(t)の波形が圧縮されたような波形になっている。
【0047】
エコー信号s(t)において破線で示した部分Aが、エコー信号r(t)において相関ウィンドウW1が設定された部分に対応する部分である。言い換えれば、エコー信号r(t)において相関ウィンドウW1が設定された部分と、エコー信号s(t)における破線で示した部分Aは、生体組織の同じ部分からの信号である。従って、この部分Aに相関ウィンドウW2を設定して複素相関関数の虚数部を演算すると、生体組織の弾性を正確に反映した歪みStを得ることができる。
【0048】
ちなみに、複素相関関数の実数部は、相関係数Cというものとし、相関ウィンドウW1,W2内において、エコー信号r(t),s(t)がどの程度よく一致しているかの尺度であり、両信号の間のずれ量だけではなく信号波形も含まれる。ここでは相関係数Cは、0≦C≦1であるものとし、1に近いほどエコー信号r(t),s(t)の一致度が高く、生体組織の弾性を正確に反映した歪みStを算出することができる。従って、前記エコー信号s(t)において破線で示した部分Aに相関ウィンドウW2を設定した場合における複素相関関数の相関係数は1になり、生体組織の弾性を正確に反映した歪みStが算出される。
【0049】
上述のように、前記エコー信号r(t),s(t)は同じ波形ではなく、前記エコー信号s(t)が前記エコー信号r(t)よりも圧縮されたような波形である。従って、前記相関ウィンドウW1の設定開始位置sp及び前記初期相関ウィンドウW2fの初期設定開始位置fspが、エコー信号r(t),s(t)の始点(受信開始点)から同じ時間T経過した点になっていると、前記エコー信号r(t),s(t)の生体組織における同じ部分に、前記相関ウィンドウW1及び前記初期相関ウィンドウW2fを設定することができない。従って、複素相関関数の相関係数Cとして1に近い値を得ることができず、生体組織の弾性を正確に反映した歪みStを得ることが困難である。歪みStとしては、前記相関ウィンドウW1及び前記初期相関ウィンドウW2fにおけるエコー信号r(t),s(t)の波形のずれ量が大きいことから、実際の弾性よりも大きな歪みが算出される。そこで、後述するように、前記エコー信号s(t)への前記相関ウィンドウW2の再設定を行なって歪みStの算出を行なうようになっている。
【0050】
次に、ステップS3では、ステップS2の歪み算出がX回目であるか否かを判定する。Xは、予め設定される自然数である。そして、このステップS3において、X回目でないと判定されれば(ステップS3においてNO)、ステップS4へ移行する。そして、このX回目に得られた歪みを、前記算出開始画素paの物理量データとして用い、弾性画像を作成する。一方で、ステップS3において、X回目であると判定されれば(ステップS3においてYES)、ステップS5へ移行する。
【0051】
ステップS4では、ステップS2で算出された歪みSt(直前の歪み算出で得られた歪みSt)に基づいて、エコー信号s(t)への相関ウィンドウW2の再設定を行なう。ただし、再設定を行なうのは、相関ウィンドウW2のみであり、相関ウィンドウW1については再設定を行なわない。エコー信号s(t)は、本発明における一方のエコー信号の実施の形態の一例である。
【0052】
相関ウィンドウW2の再設定にあたっては、設定開始位置sp及びウィンドウ幅WDを算出する。具体的には、設定開始位置spは、前記ステップS2で算出された歪みSt(直前の歪み算出で得られた歪みSt)に基づいて、図10に示すように、前記初期設定開始位置fspからの時間に相当する事前遅延Dmを以下の(式3)によって算出することにより得られる。
=Dm−1+St/(1−St) ・・・(式3)
添え字mは、m回目の歪み算出であることを意味し、Dm−1は、(m−1)回目の歪み算出、すなわち直前の歪み算出の際に用いた事前遅延である。ちなみに、2回目の歪み算出である場合、Dm−1は零となる。また、歪みSt=0である場合、D=Dm−1になり、直前の事前遅延と同じ事前遅延を用いる。
【0053】
ここで、歪みStは、正又は負のいずれの値もとりうるものとする。歪みStが負(St<0)である場合、前記超音波プローブ2による圧迫などによって生体組織が縮んだ状態であり、一方で歪みStが正(St>0)である場合、前記超音波プローブ2による圧迫が弛緩されて生体組織が伸びた状態である。ちなみに、図8及び図10では生体組織が縮んだ場合のエコー信号が示されている。St<0及びSt>0のいずれの場合においても、歪みStの絶対値が大きいほど、生体組織が大きく歪んでいる状態である。事前遅延Dは、ステップS2において算出された歪みStが大きくなるほど大きくなり、一方でステップS2において算出された歪みStが小さくなるほど小さくなる(ただし、|St|<1)。
【0054】
また、相関ウィンドウW2のウィンドウ幅をWD2とすると、このウィンドウ幅WD2は、前記ステップS2で算出された歪みStに基づいて、以下の(式4)を用いて算出される。
WD2={1.0/(1−St)}×WD1 ・・・(式4)
WD1は、相関ウィンドウW1のウィンドウ幅である。
【0055】
上記(式4)から、St<0である場合、ステップS2で算出された歪みStが大きくなるほどウィンドウ幅WD2は小さくなり、一方でステップS2で算出された歪みStが小さくなるほどウィンドウ幅WD2は大きくなる。また、St>0である場合、ステップS2で算出された歪みStが大きくなるほどウィンドウ幅WD2は大きくなり、一方でステップS2で算出された歪みStが小さくなるほどウィンドウ幅WD2は小さくなる
【0056】
ステップS4において、前記相関ウィンドウW2の再設定がされると、再びステップS2へ戻り、再設定された相関ウィンドウW2と前記相関ウィンドウW1との間で複素相関関数の虚数部を演算し、歪みStを求める。
【0057】
ここで、例えば図11に示すように、再設定された前記相関ウィンドウW2内におけるエコー信号s(t)のエコーデータの数が、前記相関ウィンドウW1内におけるエコー信号r(t)のエコーデータの数よりも少ない場合がある。図11では、相関ウィンドウW1内におけるエコーデータの数はn個であるのに対し、相関ウィンドウW2内におけるエコーデータの数は(n−4)個になっている。この場合、エコー信号s(t)におけるエコーデータに基づいて、4個のエコーデータを補間した後に、複素相関関数の虚数部の演算を行なう。このように、相関ウィンドウW1,W2内におけるエコーデータの数が等しくない場合は、数が少ない方の相関ウィンドウ内におけるエコーデータを、他のデータから補間して、複素相関関数の演算を行なう。
【0058】
上述のように、前記算出開始画素paについては、最初はエコー信号r(t),s(t)における相関ウィンドウW1,W2の一致度は低く(相関係数は小さい)、実際よりも大きな歪みStが算出される。従って、相関ウィンドウW2の再設定時には、最初は事前遅延Dが大きく、またウィンドウ幅WDが小さくなるような設定が行なわれ、相関ウィンドウW2は、図8において破線で示した部分Aに近づくように再設定される。そして、ステップS2〜S4のループを繰り返して相関ウィンドウW2を再設定していくうちに、相関ウィンドウW2は前記部分Aに近づいてエコー信号r(t),s(t)における相関ウィンドウW1,W2の一致度が高くなり(相関係数は大きくなり)、算出される歪みStは生体組織の弾性をより正確に反映した歪みになっていく。
【0059】
従って、ステップS3における判定基準となる数値Xは、相関ウィンドウW1,W2の一致度ができるだけ高くなり、複素相関関数の演算においてできるだけ1に近い相関係数が得られるような値に設定される。
【0060】
前記算出開始画素paの物理量データとしては、ステップS2においてX回目に得られた歪みを用い、弾性画像の作成を行なう。これにより、前記算出開始画素paについて生体組織の弾性を正確に反映した弾性画像を得ることができる。
【0061】
ステップS3において、歪みの算出がX回目であると判定され、ステップS5の処理へ移行すると、相関ウィンドウW1,W2の設定を行なう。このステップS5で設定される相関ウィンドウW1,W2について後述のように複素相関関数の虚数部を演算することにより、画素pbについて歪みStが算出される。
【0062】
ステップS5における相関ウィンドウW1,W2の設定について、図12に基づいて説明する。先ず、エコー信号r(t)への相関ウィンドウW1の設定について説明する。図12において、相関ウィンドウW1′は、直前の演算、すなわち算出開始画素paについて行なわれた演算で設定された相関ウィンドウである。前記相関ウィンドウW1は、前記相関ウィンドウW1′から一定量移動させて設定される。具体的には、前記相関ウィンドウW1は、前記相関ウィンドウW1′の終端を設定開始位置spとして設定される。相関ウィンドウW1′と相関ウィンドウW1のウィンドウ幅WDは等しく、相関ウィンドウW1内のエコーデータ数はnである。
【0063】
次に、エコー信号s(t)への相関ウィンドウW2の設定について説明する。図12において、相関ウィンドウW2′は、直前の演算、すなわち画素paについて最後に行なわれた演算で設定された相関ウィンドウである。前記相関ウィンドウW2は、前記相関ウィンドウW1とは異なり、直前の演算、すなわち前記相関ウィンドウW1′,W2′についての複素相関関数の虚数部の演算で得られた歪みStを用いて設定開始位置sp及びウィンドウ幅WDを算出して設定される。具体的には、前記相関ウィンドウW1′,W2′についての複素相関関数の虚数部の演算で得られた歪みStを用いて、(式3)に基づいて前記初期設定開始位置fspからの事前遅延Dmを算出して設定開始位置spを設定し、また(式4)に基づいてウィンドウ幅WD2を算出する。ちなみに、画素paについて最後に行なわれた演算で得られた歪みStはより正確な値であるので(相関係数は1又は1に近い値)、ステップS5において得られる事前遅延Dも、相関係数が1に近くなる位置又は1になる位置に相関ウィンドウW2が設定されるような値になる。
【0064】
次に、ステップS6では、ステップS5で設定された相関ウィンドウW1,W2内のエコーデータについて複素相関関数の虚数部の演算を行ない、画素pbについての歪みStを算出する。
【0065】
次に、ステップS7では、歪みStの算出を次に行なう画素pbが関心領域R内の画素であるか否かを判定する。歪みの算出を次に行なう画素pbが関心領域R内の画素であれば(ステップs7においてYES)、歪みStの算出を行なうべき画素であり、ステップS5の処理へ戻って次の相関ウィンドウW1,W2の設定を行なった後、ステップS6で歪みStの算出を行なう。一方、歪みStの算出を次に行なう画素pbが関心領域R内の画素ではない場合には(ステップS7においてNO)、歪みStの算出を行なうべき画素ではなく、処理を終了する。これにより、一の音線上における関心領域Rの下端101までの歪みStの算出が終了する。
【0066】
以上説明したステップS1〜S7の処理を前記関心領域R内の各音線について行なって歪みStの算出を行ない、この関心領域R内における物理量データの作成を行なう。
【0067】
以上、本発明を前記各実施形態によって説明したが、本発明はその主旨を変更しない範囲で種々変更実施可能なことはもちろんである。例えば、本発明において、最初に物理量の算出対象となる算出開始画素は、前記関心領域Rの上端の画素に限られるものではない。例えば、一の音線上において、前記関心領域Rの上端100側から下端101側へ向かって相関ウィンドウW1,W2の設定を順次行なって物理量の算出を行ない、途中で算出を中断して改めて物理量の算出を行なう場合において、中断後に最初に物理量の算出対象となる画素も本発明における算出開始画素に含まれるものとする。
【0068】
また、前記物理量データ作成部5は、生体組織の弾性に関する物理量として、歪みの代わりに生体組織の変形による変位や弾性率などを算出してもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 超音波診断装置
2 超音波プローブ
5 物理量データ作成部(物理量算出部)
62 弾性画像データ作成部(弾性画像作成部)
W1,W2 相関ウィンドウ
EG 弾性画像
R 関心領域(弾性画像作成領域)
pa 算出開始画素
sp 設定開始位置
WD ウィンドウ幅
事前遅延


【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体組織に対して超音波の送受信を行なう超音波プローブと、
該超音波プローブによる超音波の送受信によって得られた同一音線上の時間的に異なる二つのエコー信号に相関ウィンドウを設定し、該相関ウィンドウ間で複素相関関数の演算を行なって生体組織の弾性に関する物理量を算出する物理量算出部と、
該物理量算出部によって算出された前記物理量に基づいて弾性画像を作成する弾性画像作成部と、を備え、
前記物理量算出部は、弾性画像作成領域において前記二つのエコー信号のそれぞれに複数の相関ウィンドウを設定して前記弾性画像における各画素の物理量の算出を行なうものであり、一の音線上において最初に前記物理量の算出対象となる算出開始画素についての物理量の算出にあっては、所定の回数の物理量の算出を行ない、なおかつ二回目以降の物理量の算出では、一方のエコー信号について、直前の物理量の算出で得られた物理量に基づいて相関ウィンドウの設定開始位置及びウィンドウ幅を決定して相関ウィンドウの再設定を行なって物理量を算出し、
前記弾性画像作成部は、前記算出開始画素については、前記所定回数目の物理量算出で得られた物理量に基づいて弾性画像を作成する
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記物理量算出部は、前記二つのエコー信号に設定された相関ウィンドウ内のエコーデータについて複素相関関数の虚数部の算出を行なうことを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記物理量算出部は、一の音線上において以前に設定された相関ウィンドウの設定開始位置からの事前遅延を前記直前の物理量算出で得られた物理量を用いて算出して、前記一方のエコー信号における前記相関ウィンドウの設定開始位置を決定することを特徴とする請求項1又は2に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記以前に設定された相関ウィンドウは、一の音線上において最初に設定された初期相関ウィンドウであることを特徴とする請求項3に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記事前遅延は、直前の物理量の算出で得られた物理量が大きくなるほど大きくなることを特徴とする請求項3又は4に記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記再設定される相関ウィンドウのウィンドウ幅は、直前の物理量の算出で得られた物理量が大きくなるほど小さくなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項7】
複素相関関数の演算対象となる各相関ウィンドウ内のエコー信号におけるエコーデータの数が等しくない場合は、数が少ない方の相関ウィンドウ内におけるエコーデータを、他のエコーデータに基づいて補間して、複素相関関数の演算を行なうことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項8】
コンピュータに、
生体組織に対して超音波の送受信を行なう超音波プローブによる超音波の送受信によって得られた同一音線上の時間的に異なる二つのエコー信号に相関ウィンドウを設定し、該相関ウィンドウ間で複素相関関数の演算を行なって生体組織の弾性に関する物理量を算出する物理量算出機能と、
該物理量算出部によって算出された前記物理量に基づいて弾性画像を作成する弾性画像作成機能と、を実行させ、
前記物理量算出機能は、弾性画像作成領域において前記二つのエコー信号のそれぞれに複数の相関ウィンドウを設定して前記弾性画像における各画素の物理量の算出を行なうものであり、一の音線上において最初に前記物理量の算出対象となる算出開始画素についての物理量の算出にあっては、所定の回数の物理量の算出を行ない、なおかつ二回目以降の物理量の算出では、一方のエコー信号について直前の物理量の算出で得られた物理量に基づいて、相関ウィンドウの設定開始位置及びウィンドウ幅を決定して相関ウィンドウの再設定を行なって物理量を算出し、
前記弾性画像作成機能は、前記算出開始画素については、前記所定回数目の物理量算出で得られた物理量に基づいて弾性画像を作成する
ことを特徴とする超音波診断装置の制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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