説明

超音波診断装置及びプログラム

【課題】心臓の壁運動の検査の効率化を図る。
【解決手段】超音波診断装置1の記憶部20には、心筋の輪郭の形態を表す輪郭画像データ(個別輪郭データ21、標準輪郭データ23)が予め記憶されている。心臓の動画像データが得られると、超音波診断装置1は、輪郭画像データに基づく輪郭画像と、得られた動画像データに基づく心臓画像とを重ねて表示部81に表示する。更に、超音波診断装置1の画像解析部11は、輪郭画像データに基づいて動画像データを解析することにより心筋の輪郭に相当する輪郭領域を追跡し、その追跡結果に基づいて壁運動のパラメータを求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、超音波診断装置及びこれを制御するプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置は、被検体に向けて超音波を送信し、体内組織の音響インピーダンスの差異により生じる反射波を受信し、この受信結果に基づいて被検体内を画像化する装置である。
【0003】
超音波診断装置は、超音波振動子を搭載した超音波プローブを体表に接触させるだけの簡単な操作でリアルタイムに画像を取得できることから、各種臓器の形態診断や機能評価などに広く用いられている。
【0004】
特に近年では、心臓病が増加傾向にあることに伴い、心臓の運動機能評価への適用が注目を集めている。心臓の運動機能は、心筋の内膜や外膜の運動状態を解析することにより把握される。現在では、心臓の動画像における内膜や外膜の動きを自動的に追跡して壁運動を計測することも可能になっている(たとえば特許文献1を参照)。
【0005】
このような自動追跡処理においては、動画像の各フレームにおける内膜や外膜(心筋の輪郭)に相当する画像領域を抽出する必要がある。この抽出処理は、たとえば、オペレータにより輪郭上に手入力された複数の点を通過する近似曲線(スプライン曲線等)を求める方法がある。また、心臓の超音波画像に対し、予め用意された辞書データ(輪郭のテンプレート画像)を用いたパターンマッチングを実行することにより輪郭を抽出する方法もある(たとえば特許文献2を参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2007−14542号公報
【特許文献2】特開2002−140690号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の超音波診断装置については、次のような問題点が指摘される。まず、従来の超音波診断装置では、心筋の輪郭を抽出するための初期位置(輪郭上の点)を手入力していたため、検査効率の低下が懸念される。
【0008】
また、超音波画像の画質が悪いなどの問題によりパターンマッチングや自動追跡を適切に行えない場合には、画像の収集作業を再度行わなければならないために検査効率が低下する。このように検査効率が低下すると、検者のみならず被検者に掛かる負担も大きくなってしまう。
【0009】
この発明は、このような問題を解決するためになされたもので、その目的は、心臓の壁運動の検査の効率化を図ることが可能な超音波診断装置及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、被検体の心臓に向けて超音波を送信し、前記心臓からの反射波を受信し、前記反射波の受信結果に基づいて前記心臓の動画像データを生成する生成手段と、心筋の輪郭の形態を表す輪郭画像データを予め記憶する記憶手段と、表示手段と、前記輪郭画像データに基づく輪郭画像と前記動画像データに基づく心臓画像とを重ねて前記表示手段に表示させる制御手段と、前記輪郭画像データに基づいて前記動画像データを解析して心筋の輪郭に相当する輪郭領域を追跡する解析手段と、を備えることを特徴とする超音波診断装置である。
【0011】
また、請求項11に記載の発明は、被検体の心臓に向けて超音波を送信し、前記心臓からの反射波を受信し、前記反射波の受信結果に基づいて前記心臓の動画像データを生成する超音波診断装置を制御するプログラムであって、前記超音波診断装置に予め記憶された心筋の輪郭の形態を表す輪郭画像データに基づく輪郭画像と、前記動画像データに基づく心臓画像とを重ねて表示手段に表示させる制御手段として機能させ、前記輪郭画像データに基づいて前記動画像データを解析して心筋の輪郭に相当する輪郭領域を追跡する解析手段として機能させる、ことを特徴とするプログラムである。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、心筋の輪郭の形態を表す輪郭画像と心臓画像とを重ねて表示し、輪郭画像データに基づいて心臓の動画像データを解析して心筋の輪郭に相当する輪郭領域を追跡することができる。よって、事前に用意された輪郭画像データに基づいて輪郭抽出を行うことが可能となり、心臓の壁運動の検査の効率化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
この発明に係る超音波診断装置及びプログラムの実施の形態の一例について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
[構成]
この発明に係る超音波診断装置の実施形態について説明する。この実施形態に係る超音波診断装置の構成例を図1に示す。
【0015】
超音波診断装置1は、超音波プローブ2、送受信部3、信号処理部4、画像記憶部5、画像生成部6、表示制御部7、ユーザインターフェイス(UI)8、制御部9、画像処理部10を備えている。また、超音波診断装置1には、心電計30が接続されている。
【0016】
超音波プローブ2には、所定のパターンで配列された複数の超音波振動子が設けられている。複数の超音波振動子は、たとえば2次元的に配列されている(2次元アレイプローブ)。このような超音波プローブ2は、体内の3次元領域をスキャンするボリュームスキャンや、複数の断面を繰り返しスキャンするマルチプレーンスキャンなどを行うことができる。また、後述の1次元アレイプローブによる超音波スキャンについても実行可能である。
【0017】
なお、超音波プローブ2は、複数の超音波振動子が所定方向(走査方向)に1列に配列された1次元アレイプローブであってもよい。このような超音波プローブ2は、セクタスキャン、ラインスキャン、コンベックススキャンなど、各種の超音波スキャンを行うことができる。なお、心臓の画像を取得する際には、セクタスキャンが採用されることが多い。
【0018】
また、1次元アレイプローブを適用する場合、走査方向に直交する方向(揺動方向)に複数の超音波振動子を揺動させる機構を備えていてもよい。このような構成により、ボリュームスキャンなどを実行することが可能になる。
【0019】
超音波プローブ2は、被検体の体表にあてがわれた状態で使用され、被検体に向けて超音波ビームをスキャンしながら送信する。更に、超音波プローブ2は、超音波ビームの体内からの反射波をエコー信号として受信する。
【0020】
送受信部3は、図示しない送信部と受信部とを備え、超音波プローブ2に電気信号を供給して超音波を発生させるとともに、超音波プローブ2が受信したエコー信号を受信する。
【0021】
送信部は、制御部9の制御の下、超音波プローブ2に電気信号を供給して所定の焦点にビームフォーム(送信ビームフォーム)した超音波を送信させる。
【0022】
送信部の構成例を説明する。送信部は、図示しないクロック発生回路、送信遅延回路、及びパルサ回路を備えている。クロック発生回路は、超音波信号の送信タイミングや送信周波数を決めるクロック信号を発生する。送信遅延回路は、超音波の送信時に遅延を掛けて送信フォーカスを実施する。パルサ回路は、各超音波振動子に対応した個別経路(チャンネル)の数分のパルサを内蔵し、遅延が掛けられた送信タイミングで駆動パルスを発生し、超音波プローブ2の各超音波振動子に供給する。
【0023】
受信部は、超音波プローブ2が受信したエコー信号を受信し、そのエコー信号に対して遅延処理を行うことで、アナログの受信信号を整相された(受信ビームフォームされた)デジタルの受信データに変換する。つまり、受信部は、対象とする反射体から各超音波振動子までの距離に応じてそれぞれ時間的に異なって受信されたエコー信号を、その位相(時間)を揃えて加算し、焦点の合った1本の受信データ(1走査線上の画像用信号)を生成する。
【0024】
受信部の構成例を説明する。受信部は、図示しないプリアンプ回路、A/D変換回路、及び受信遅延・加算回路を備えている。プリアンプ回路は、超音波プローブ2の各超音波振動子から出力されるエコー信号を受信チャンネルごとに増幅する。A/D変換回路は、増幅されたエコー信号をA/D変換する。受信遅延・加算回路は、A/D変換後のエコー信号に対して受信指向性を決定するのに必要な遅延時間を与え、加算する。この加算処理により、受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調される。
【0025】
送受信部3は、制御部9の制御の下、超音波プローブ2に対して所定の時間間隔で電気信号を供給する。超音波プローブ2は、当該時間間隔で超音波ビームを発信し、その反射波を当該時間間隔で受信する。それにより、超音波診断装置1は、当該時間間隔をフレーム間隔とする動画像データを生成する。
【0026】
信号処理部4は、Bモード処理部やCFM処理部やドプラ処理部など、超音波画像の描画態様に応じた処理部を備えている。送受信部3から出力されたデータは、いずれかの処理部にて所定の処理が施される。
【0027】
Bモード処理部は、エコーの振幅情報の映像化を行い、エコー信号からBモード超音波ラスタデータを生成する。より具体的に説明すると、Bモード処理部は、送受信部3から送られる信号に対してバンドパスフィルタ処理を行い、その後、出力信号の包絡線を検波し、検波されたデータに対して対数変換による圧縮処理を施す。
【0028】
CFM(Color Flow Mapping)処理部は、血流情報の映像化を行い、カラー超音波ラスタデータを生成する。血流情報には、速度、分散、パワーなどの情報がある。これらの情報はたとえば2値化情報として得られる。より具体的には、CFM処理部は、位相検波回路、MTI(Moving Target Indication)フィルタ、自己相関器、及び流速・分散演算器を備えている。CFM処理部は、組織信号と血流信号とを分離するためのハイパスフィルタ処理(MTIフィルタ処理)を行い、自己相関処理により血流の移動速度、分散、パワー等の血流情報を多点について求める。その他、CFM処理部は、組織信号を低減及び削減するための非線形処理を実行する場合もある。
【0029】
ドプラ(Doppler)処理部は、送受信部3から出力される受信信号を直交検波することによりドプラ偏移周波数成分を取り出す。更に、ドプラ処理部は、ドプラ偏移周波数成分に対してFFT処理を施して、血流速度を表すドプラ周波数分布を生成する。
【0030】
信号処理部4は、信号処理後の超音波ラスタデータを画像記憶部5に出力する。画像記憶部5は、信号処理部4から超音波ラスタデータを受けて、この超音波ラスタデータを記憶する。
【0031】
また、超音波プローブ2と送受信部3によりボリュームスキャンが行なわれた場合、信号処理部4は、このボリュームスキャンにより得られるエコー信号に基づいてボリュームデータを生成する。この処理は、たとえば、複数の断面におけるBモード画像(断層像)を生成し、これら断層像のスタックデータを生成し、このスタックデータに補間処理等を施してボクセルを生成することにより行う。画像記憶部5は、信号処理部4からボリュームデータを受けて、このボリュームデータを記憶する。
【0032】
また、画像記憶部5はフレームメモリを含んでいてもよい。フレームメモリは、たとえば、動画像を観察しているときにオペレータがフリーズさせたフレームを一時的に記憶するために用いられる。
【0033】
画像生成部6は、画像記憶部5に記憶されている超音波ラスタデータに基づいて画像データを生成する。画像生成部6は、DSC(Digital Scan Converter:デジタルスキャンコンバータ)を備えている。DSCは、走査線信号列で表される信号処理後の超音波ラスタデータを、直交座標で表される画像データに変換する(スキャンコンバージョン処理)。前述のBモード処理部にて信号処理が施された場合、画像生成部6は、Bモード超音波ラスタデータにスキャンコンバージョン処理を施して、被検体の組織形状を表すBモード画像データを生成する。
【0034】
また、ボリュームスキャンが行なわれている場合、画像生成部6は、画像記憶部5からからボリュームデータを読み込み、このボリュームデータに対してボリュームレンダリングを施すことにより、被検体の組織形状を立体的に表現する3次元画像データを生成する。また、画像生成部6は、ボリュームデータに対してMPR処理(Multi Plannar Reconstruction)を施すことにより、任意断面における画像データ(MPR画像データ)を生成する。
【0035】
画像生成部6は、上記のようにして生成された超音波画像データを表示制御部7に出力する。また、画像生成部6は、これら超音波画像データを画像記憶部5に出力する。画像記憶部5は、これら超音波画像データを記憶する。
【0036】
前述のように、超音波診断装置1には心電計30が接続されている。心電計30は、被検体の心電波形(ECG(electrocardiogram)信号)を取得して制御部9に入力する。制御部9は、ECG信号を受け付け、各超音波ラスタデータに各超音波ラスタデータが取得されたタイミングで受け付けた心時相を対応付けて画像記憶部5に記憶させる。たとえば、制御部9は、ECG信号からR波を検出し、R波が検出された心時相に取得された超音波ラスタデータに、R波を示す心時相を対応付けて画像記憶部5に記憶させる。
【0037】
超音波診断装置1は、被検体の心臓を超音波で走査することで、たとえば、左心室を含む心臓の超音波画像データ(Bモード画像データ、ボリュームデータ等)を心時相ごとに取得する。すなわち、超音波診断装置1は、心臓の動画像データを取得する。たとえば、1心周期以上に亘って被検体の心臓を超音波で走査することで、1心周期以上に亘って複数の心臓の動画像データを取得する。また、制御部9は、各心時相の超音波画像データに対してその取得タイミングにて受け付けた心時相を対応付けて画像記憶部5に記憶させる。これにより、動画像を構成する複数の超音波画像データのそれぞれに対し、その超音波画像データが取得された心時相が対応付けられて画像記憶部5に記憶される。なお、心電波形(ECG信号)の代わりに、被検体の心音波形を取得して、各超音波画像データに心時相を対応付けるように構成することも可能である。
【0038】
表示制御部7は、画像生成部6から超音波画像データを受けて、心臓のBモード画像、MPR画像、3次元画像等の超音波画像を表示部81に表示させる。たとえば、オペレータが操作部82を用いて任意の心時相を指定すると、画像生成部6は、指定された心時相に対応付けられた超音波画像データに基づいて表示用の超音波画像を生成し、表示制御部7は、その心時相の超音波画像を表示部81に表示させる。
【0039】
なお、超音波プローブ2、送受信部3、信号処理部4、画像記憶部5及び画像生成部6は、超音波画像データを生成するための動作を行うものであり、この発明の「生成手段」の一例を構成している。また、表示部81は「表示手段」の一例を構成している。
【0040】
また、操作部82は、この発明の「入力手段」の一例を構成するものであり、被検体識別情報や特性情報等の各種情報を入力するために用いられる。なお、被検体識別情報は、被検体を識別するための情報であり、その具体例としては、当該医療機関で発行する患者ID、保険証番号、患者氏名などがある。また、特性情報は、被検体の特性を表す情報であり、その具体例としては、年齢、性別、身長、体重等の身体的特徴に関する情報や、症例(傷病名)、病状(傷病の程度)等の傷病に関する情報などがある。なお、特性情報は、これらに限定されるものではなく、被検体の特性を表す任意の情報であってよい。
【0041】
なお、入力手段は、上記のように手作業で情報を入力するものには限定されない。たとえば、所定の情報を電子カルテデータから自動的に選択して入力するように構成された入力手段を用いることも可能である。電子カルテデータは、超音波診断装置1や外部装置(サーバ等)や記録メディアなどに保持されている。自動的な入力手段は、これらに記憶された電子カルテデータから所定の情報を取得するものである。超音波診断装置1に記憶された情報を取得する場合、入力手段は制御部9を含んで構成される。外部装置に記憶された情報を取得する場合、入力手段は、LANカード等の通信インターフェイスと制御部9とを含んで構成される。記録メディアから情報を取得する場合、入力手段は、ドライブ装置と制御部9とを含んで構成される。
【0042】
制御部9は、超音波診断装置1の各部を制御する。また、制御部9は、画像記憶部5に記憶されているデータや、画像処理部10の記憶部20に記憶されているデータを読み出す処理を行う。制御部9は、表示制御部7とともに、この発明の「制御手段」の一例を構成している。
【0043】
制御部9には、データ検索部91が設けられている。データ検索部91は、操作部82により入力された被検体識別情報や特性情報に応じたデータを記憶部20から検索する。この検索処理については後述する。
【0044】
画像処理部10は、画像記憶部5に記憶されているデータを受けて、このデータに対して各種の画像処理を施す。画像処理部10には、画像解析部11と記憶部20が設けられている。
【0045】
記憶部20には、この発明の「輪郭画像データ」の例として、個別輪郭データ21と標準輪郭データ23が予め記憶される。輪郭画像データは、心筋の輪郭の形態を表す画像データであり、心筋の内膜及び/又は外膜の(少なくとも一部の)形態を表すものである。ここで、形態には、形状やサイズなど、心筋の輪郭を表現する任意のファクタが含まれていてもよい。
【0046】
個別輪郭データ21は、実際に取得された心臓の画像データから心筋の輪郭に相当する画像領域を抽出することにより得られる。なお、個別輪郭データ21は、抽出された画像領域の形態をそのまま表現するものであってもよいし、抽出された画像領域に対して所定の画像処理(たとえばスムージング処理)を施して形態を簡略化したものなどであってもよい。
【0047】
個別輪郭データ21は、たとえば輪郭データ生成部15によって生成される。輪郭データ生成部15は、たとえばModified−Simpson法やACT(Automated−Contour−Tracking)法などの公知の手法を用いて輪郭に相当する画像領域を抽出することにより個別輪郭データ21を生成する(特許文献1を参照)。
【0048】
このとき、輪郭データ生成部15は、画像の計測深度を表す情報(計測深度情報)に基づいて画像のサイズや、フレーム内における画像位置を決定する。計測深度情報は、一般的な超音波診断装置と同様に、心臓の画像データを取得するための収集条件として得られる。計測深度情報は、超音波プローブ2の超音波送受信面から最深計測位置までの距離を表す。なお、他の収集条件を個別輪郭データ21に関連付けるようにしてもよい。
【0049】
なお、個別輪郭データ21は、超音波診断装置1以外の超音波診断装置により得られた画像データを基に生成されたものであってもよいし、超音波診断装置以外の医用画像診断装置(たとえばX線CT装置、MRI装置、X線診断装置等)により得られた画像データを基に生成されたものであってもよい。また、個別輪郭データ21は、超音波診断装置1以外の装置により生成されたものであってもよい。また、表示された心臓画像中に医師等が手入力した輪郭に基づいて個別輪郭データ21を生成することも可能である。
【0050】
個別輪郭データ21は、その被検体の患者ID22(被検体識別情報)に関連付けられて記憶される。この実施形態では、複数の被検体のそれぞれの個別輪郭データ21が患者ID22に関連付けられて記憶される。また、個別輪郭データ21には、上記収集条件も関連付けられている。
【0051】
標準輪郭データ23は、心筋の輪郭の標準的な形態を表す画像データである。この実施形態では、被検体の複数の特性(年齢、性別、身長、体重、症例、病状等)のそれぞれの標準輪郭データ23が特性情報24に関連付けられて記憶される。なお、症例としては、たとえば、肥大型心筋症、拡張型心筋症など、心筋の形態に所見が現れる任意の症例を採用できる。また、標準輪郭データ23についても、個別輪郭データ21と同様の収集条件(計測深度情報等)を関連付けることができる。
【0052】
標準輪郭データ23は、たとえば、多数の心臓の画像データから抽出された輪郭のサンプルを統計的に処理する(平均値や中間値や標準偏差等の統計量を演算する)ことにより作成される。このとき、上記の各特性についてサンプルを集めて処理することにより、各特性の標準輪郭データ23がそれぞれ作成される。また、各特性に係る心筋の輪郭について知られている各種情報に基づいて標準輪郭データ23を生成するようにしてもよい。
【0053】
画像解析部11は、被検体の心臓の画像データを解析し、特に心臓の壁運動に関する情報を求める。画像解析部11は、この発明の「解析手段」の一例に相当する。
【0054】
画像解析部11には、輪郭抽出部12、輪郭画像変形部13、輪郭追跡部14及び輪郭データ生成部15が設けられている。なお、輪郭データ生成部15については、個別輪郭データ21の説明において前述した。
【0055】
輪郭抽出部12は、心臓の画像データを解析し、この画像データ中の輪郭領域を抽出する。輪郭領域とは、心臓の輪郭に相当する画像領域である。輪郭抽出部12は、この発明の「抽出手段」の一例を構成している。なお、この抽出処理は、心臓の画像データ中における輪郭領域の位置を特定するものであってもよいし、特定された輪郭領域を取り出して、この輪郭領域のみからなる新たな画像データを生成するものであってもよい。
【0056】
輪郭抽出部12が実行する処理の具体例を説明する。輪郭抽出部12は、たとえば輪郭データ生成部15と同様の公知の手法を用いることにより、心臓の画像データ中の輪郭領域を抽出する。
【0057】
なお、この実施形態では、後述のように心臓画像と輪郭画像(輪郭画像データに基づく画像)との重ね合わせを行うので、この輪郭画像データを利用して輪郭領域を抽出することが可能である。たとえば、心臓画像の全体を解析する代わりに、輪郭画像の近傍領域を解析することにより輪郭領域を抽出することが可能である。その具体例として、輪郭画像上の各点の近傍領域(当該点から所定画素数以内の領域)を設定し、この近傍領域内の画素値を解析して境界を特定し、この境界を輪郭領域として採用することができる。また、心臓画像と輪郭画像との重ね合わせ画像を観察し、視認される輪郭領域と輪郭画像との位置合わせを手動で行った後に、輪郭抽出部12による処理を実行することができる。このように輪郭画像を利用することにより、輪郭領域の抽出に掛かる時間の短縮を図ることができる。
【0058】
輪郭画像変形部13は、輪郭抽出部12により抽出された輪郭領域に合わせるように輪郭画像を変形する。輪郭画像変形部13は、この発明の「変形手段」の一例に相当する。なお、変形には、形状の変更に加えて、拡大/縮小、平行移動、回転移動等の変換処理が含まれていてもよい。
【0059】
輪郭画像変形部13が実行する処理についてより具体的に説明する。輪郭画像変形部13には、心臓の画像データから抽出された輪郭領域と、輪郭画像データとが入力される。一般に、超音波プローブ2のあてがい方や、画像の時相や、病状などの各種条件の違いにより、輪郭領域の形状と輪郭画像の形状とは一致しない。輪郭画像変形部13は、輪郭領域の形状と輪郭画像の形状とを比較し、輪郭画像の形状を輪郭領域の形状に合わせるように変形する。この処理には、たとえば画像相関等の公知の画像マッチングを用いることが可能である。
【0060】
なお、輪郭画像変形部13による輪郭画像の変形処理が施された後に、オペレータが手作業で更なる変形を加えられるようにしてもよい。
【0061】
輪郭追跡部14には、輪郭画像変形部13による変形が施された輪郭画像データが入力される。輪郭追跡部14は、この輪郭画像データに基づいて心臓の動画像データを解析し、心筋の輪郭に相当する心臓画像中の輪郭領域を追跡する。
【0062】
心臓の動画像データは、所定の時間間隔で時系列に沿って配列された複数のフレーム(静止画像)により構成される。輪郭追跡部14は、各フレーム中の輪郭領域を順次に抽出することにより、当該心臓画像中の輪郭領域を追跡する。この処理は、たとえば、輪郭画像データに基づく輪郭画像を各フレームに重ね合わせ(画像データとしての重ね合わせで十分であり、重畳表示まで行う必要はない)、輪郭抽出部12と同様に輪郭画像の位置の近傍を解析することにより実行される。また、この処理においては、たとえばModified−Simpson法やACT法などの公知の手法を適用することが可能である。
【0063】
画像解析部11は、心筋の輪郭(内膜や外膜)の追跡結果に基づいて、壁運動を反映するパラメータを求める。このパラメータとしては、心臓壁の変位、変位速度、捻れ運動、捻れ運動の速度、伸縮(ショートニング)、伸縮の速度、心臓壁の運動のストレイン、ストレインレート、相対回転勾配などがある。これらのパラメータは、従来と同様の手法で求めることができる(たとえば特開2007−319190号公報を参照)。
【0064】
[動作]
超音波診断装置1の動作について説明する。図2に示すフローチャートは、超音波診断装置1の動作の一例を表している。また、図3〜図6は、このフローチャートに示す動作を説明するための図である。
【0065】
まず、患者登録を行う。患者登録は、当該被検体の患者IDや特性情報を入力することにより行う(S1)。
【0066】
データ検索部91は、入力された患者IDに関連付けられた個別輪郭データ21を記憶部20から検索する(S2)。
【0067】
検索された場合、つまり当該被検体の個別輪郭データ21が有る場合(S2:Yes)、データ検索部91は、当該個別輪郭データ21を記憶部20から読み出して画像処理部10に送る(S3)。
【0068】
一方、当該被検体の個別輪郭データ21が検索されなかった場合(S2:No)、データ検索部91は、入力された特性情報に関連付けられた標準輪郭データ23を読み出して画像処理部11に送る(S4)。
【0069】
画像解析部11は、この輪郭画像データ(個別輪郭データ21又は標準輪郭データ23)の収集条件(計測深度情報等)と、今回の検査における収集条件とに基づいて、輪郭画像を生成する(S5)。この輪郭画像は、たとえば、透明又は半透明の背景画像中の所定位置(上記収集条件の比較により決定される位置)に心筋の輪郭を描画した画像である。なお、今回の検査の収集条件は、この段階までに入力されているものとする(たとえばステップ1で入力される)。
【0070】
輪郭画像の具体例を図3に示す。図3には、2次元アレイプローブを使用する場合など、心臓の3次元画像やマルチプレーン画像(ここではバイプレーン画像)を収集する場合における輪郭画像H1、H2が示されている。輪郭画像H1、H2は、たとえば、互いに直交する断面における心筋の輪郭を表している。輪郭画像H1は、たとえば心尖四腔断層における心筋の輪郭を表し、輪郭画像H2は、たとえば心尖二腔断層における心筋の輪郭を表す。
【0071】
符号R1、R2は、収集条件に基づいて設定される超音波ビームの走査領域、つまり画像の収集領域を表している。なお、走査領域R1、R2は、実際に画像として形成されている必要はなく、輪郭画像H1、H2中における位置が設定されていれば十分である。走査領域R1、R2は、以下のステップ7の重畳表示において、心臓画像と輪郭画像H1、H2との位置合わせなどに用いられる。
【0072】
画像L1、L2は、それぞれ、心筋の内膜を表す画像(内膜画像)である。また、画像M1、M2は、それぞれ、心筋の外膜を表す画像(外膜画像)である。
【0073】
オペレータは、被検体の体表面に超音波プローブ2を当接させるとともに操作部82を操作して心臓画像の収集を開始する(S6)。なお、被検体の体表面には事前に超音波ゼリーが塗布されている。
【0074】
超音波診断装置1は、所定の時間間隔で超音波ビームを送受信することにより、心臓の動画像データを生成する。制御部9と表示制御部7は、所定のフレームレートの心臓の動画像を表示部81に表示させるとともに、ステップ5で生成された輪郭画像を当該動画像に重ねて表示させる(S7)。この処理は、たとえば、心臓の動画像を表示するレイヤ上に輪郭画像のレイヤを重ねて表示させることにより行う。
【0075】
オペレータは、輪郭画像を位置の目安として超音波プローブ2のあてがい方や収集条件などを調節しつつ、心臓の動画像データを収集することができる。オペレータは、操作部82を操作して収集を終了する。収集された動画像データは、制御部9の制御により画像記憶部5に保存される(S8)。
【0076】
オペレータは、収集された動画像データを構成するフレームのうちから、所定のフレームを選択する。ここでは、たとえば、心電図のR波に対応する拡張末期のフレームを選択することができる。なお、この選択処理を自動的に行うことも可能である。制御部9は、選択されたフレームと輪郭画像とを重ねて表示部81に表示させる(S9)。
【0077】
このときの表示態様の例を図4に示す。なお、ここでは、図3の2つの断面の一方(輪郭画像H1側)のみを図示する。図4は、心臓の動画像データの所定のフレームG1と輪郭画像H1との重ね合わせ表示の例を示している。フレームG1には、走査領域R1内を超音波ビームで走査して得られた心臓の断層像(たとえば心尖四腔断層像)P1が描画されている。
【0078】
続いて、フレームG1中の輪郭領域に対して輪郭画像H1をフィッティング(fitting)する(S10)。この処理は、たとえば次のようにして行う。まず、輪郭抽出部12は、前述の要領でフレームG1を解析することにより、断層像P1の輪郭領域を抽出する。それにより、フレームG1において心筋の内膜及び外膜に相当する画像領域がそれぞれ抽出される。次に、輪郭画像変形部13は、抽出された内膜の画像領域に合わせて内膜画像L1を変形するとともに、抽出された外膜の画像領域に合わせて外膜画像M1を変形する。
【0079】
輪郭画像が変形された状態を図5に示す。図5には、それぞれ自動的にフィッティングされた内膜画像L1′と外膜画像M1′が示されている。オペレータは、必要に応じて、自動フィッティングの結果を手作業で修正することができる。この修正処理は従来と同様にして行うことができる。この修正結果を図6に示す。図6には、それぞれ手作業で修正された内膜画像L1″と外膜画像M1″が示されている。
【0080】
輪郭追跡部14は、フィッティング処理後の輪郭画像データに基づいて心臓の動画像データを解析し、心筋の輪郭に相当する心臓画像中の輪郭領域を追跡する(S11)。
【0081】
画像解析部11は、輪郭画像の追跡結果に基づいて、心臓の壁運動のパラメータを求める(S12)。得られたパラメータは、たとえば記憶部20に保存されるとともに、オペレータの要求に応じて適宜に表示される。
【0082】
また、ステップ10のフィッティング処理が施された輪郭画像データは、当該被検体の患者IDに関連付けられて記憶部20に記憶される。このとき、検査日時情報を関連付けることも可能である。また、フィッティング処理前の輪郭画像データを処理後の輪郭画像データに更新するようにしてもよい。以上で、超音波診断装置1の動作の説明を終了する。
【0083】
[作用・効果]
超音波診断装置1の作用及び効果について説明する。
【0084】
超音波診断装置1は、心筋の輪郭の形態を表す輪郭画像データを予め記憶している。心臓の動画像データを従来と同様にして生成すると、超音波診断装置1は、輪郭画像データに基づく輪郭画像と、この動画像データに基づく心臓画像とを重ねて表示する。ここで重畳表示される画像は、動画像でもよいし、静止画像(一フレーム)でもよい。超音波診断装置1は、輪郭画像データに基づいて動画像データを解析することにより心筋の輪郭に相当する輪郭領域を追跡する。
【0085】
このような超音波診断装置1によれば、従来のように心筋の輪郭を抽出するための初期位置を手入力する代わりに、事前に用意された輪郭画像データに基づいて輪郭抽出を行うことができるので、検査効率の向上を図ることができる。
【0086】
特に、当該被検者の個別輪郭データ21や、当該被検者の特性に応じた標準輪郭データ23を選択的に用いることができるので、検査効率の向上を図ることが可能になっている。
【0087】
また、超音波診断装置1によれば、現に生成されている動画像データに基づく心臓画像と輪郭画像とを重ねて表示することができるので、画像の収集作業を的確に行うことが可能である。それにより、画像の収集作業を再度行うリスクを低減させることができ、検査効率の低下を回避することが可能になる。
【0088】
[変形例]
以上に説明した内容は、この発明を好適に実施するための一例に過ぎない。すなわち、この発明の要旨の範囲内における任意の変形を適宜に施すことが可能である。
【0089】
たとえば、上記の実施形態では、被検体の特性に応じた標準輪郭データ23を自動的に選択するようになっているが、オペレータが手作業で標準輪郭データ23を選択するように構成することも可能である。
【0090】
そのために、たとえば、図7に示す輪郭画像選択画面100を表示部81に表示させる。輪郭画像選択画面100には、各種特性に対応する輪郭画像の選択肢が呈示される。この変形例では、各種症例に対応する選択肢が呈示される。より具体的には、この輪郭画像選択画面100には、閉塞性肥大型心筋症に対応する輪郭画像110、非閉塞性肥大型心筋症に対応する輪郭画像120、及び、拡張型心筋症に対応する輪郭画像130が呈示されている。
【0091】
記憶部20には、各輪郭画像110〜130の画像データ(標準輪郭データ23)が、特性情報24(症例)に関連付けられて予め記憶されている。
【0092】
オペレータは、当該被検体の超音波画像の所見や、過去の診断記録などに基づいて、輪郭画像110〜130のうちのいずれかを選択指定する。この指定操作は、対応するソフトウェアキー210、220、230をクリックすることにより行うことができる。
【0093】
この変形例に係る超音波診断装置は、選択指定された輪郭画像に対応する標準輪郭データ23を記憶部20から読み出し、上記実施形態と同様に利用する。
【0094】
この変形例によれば、オペレータは所望の輪郭画像を容易に選択して使用することができる。
【0095】
上記の実施形態では、静止画像からなる輪郭画像を心臓の動画像とともに表示させているが(図2のステップ7)、動画像からなる輪郭画像を心臓の動画像とともに表示させることも可能である。具体例として、過去に取得された心臓の動画像データから輪郭画像の動画像データを事前に作成し、これを新たな心臓の動画像とともに表示させることができる。なお、輪郭画像の動画像データは、心電図との同期情報に関連付けて記憶することが望ましい。また、心臓の動画像データを収集しながら、所定間隔で(たとえば各フレーム毎、又は数フレーム毎に)輪郭画像をリアルタイムで作成して表示するようにしてもよい。
【0096】
このような輪郭画像の動画像データを用いることにより、輪郭の追跡処理に掛かる時間の短縮や、画像収集処理の的確性の向上などを図ることができる。なお、動画像からなる輪郭画像を画像収集処理において表示させるときには、現に収集されている心臓画像の視認性を向上させるために、輪郭画像を薄く表示させることが望ましい。
【0097】
また、拡張末期の輪郭画像と収縮末期の輪郭画像のみを表示させておくことも可能である。それにより、オペレータは、心臓の運動範囲の目安を把握することができる。
【0098】
[プログラム]
この発明に係るプログラムの実施形態について説明する。この実施形態に係るプログラムは超音波診断装置を制御する。制御対象となる超音波診断装置は、被検体の心臓に向けて超音波を送信し、心臓からの反射波を受信し、この反射波の受信結果に基づいて心臓の動画像データを生成するものである。また、超音波診断装置には、心筋の輪郭の形態を表す輪郭画像データに基づく輪郭画像が予め記憶されている。
【0099】
この実施形態に係るプログラムは、このような超音波診断装置を制御手段及び解析手段として機能させる。制御手段は、輪郭画像データに基づく輪郭画像と、心臓の動画像データに基づく心臓画像とを重ねて表示手段に表示させる。前述の超音波診断装置1においては、制御部9と表示制御部7が制御手段に相当している。解析手段は、輪郭画像データに基づいて動画像データを解析して心筋の輪郭に相当する輪郭領域を追跡する。超音波診断装置1においては、画像解析部11が解析手段に相当している。
【0100】
このようなプログラムによれば、上記実施形態と同様に、心臓の壁運動の検査の効率化を図ることができる。なお、上記実施形態にて説明した任意の動作を超音波診断装置に実行させるように当該プログラムを構成することが可能である。
【0101】
また、この発明に係るプログラムを、コンピュータによって読み取り可能な任意の記録媒体に記録させることができる。この記録媒体としては、たとえば、光ディスク、光磁気ディスク(CD−ROM/DVD−RAM/DVD−ROM/MO等)、磁気記憶媒体(ハードディスク/フロッピー(登録商標)ディスク/ZIP等)などを用いることが可能である。また、半導体メモリなどにプログラムを記憶させることも可能である。更に、インターネットやLAN等のネットワークを通じてプログラムを送受信することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】この発明に係る超音波診断装置の実施の形態の全体構成の一例を表す概略ブロック図である。
【図2】この発明に係る超音波診断装置の実施の形態の動作の一例を表すフローチャートである。
【図3】この発明に係る超音波診断装置の実施の形態が実行する処理の一例を説明するための概略図である。
【図4】この発明に係る超音波診断装置の実施の形態が実行する処理の一例を説明するための概略図である。
【図5】この発明に係る超音波診断装置の実施の形態が実行する処理の一例を説明するための概略図である。
【図6】この発明に係る超音波診断装置の実施の形態が実行する処理の一例を説明するための概略図である。
【図7】この発明に係る超音波診断装置の実施の形態の変形例を説明するための概略図である。
【符号の説明】
【0103】
1 超音波診断装置
2 超音波プローブ
7 表示制御部
9 制御部
10 画像処理部
11 画像解析部
12 輪郭抽出部
13 輪郭画像変形部
14 輪郭追跡部
15 輪郭データ生成部
20 記憶部
21 個別輪郭データ
22 患者ID
23 標準輪郭データ
24 特性情報
81 表示部
82 操作部
91 データ検索部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の心臓に向けて超音波を送信し、前記心臓からの反射波を受信し、前記反射波の受信結果に基づいて前記心臓の動画像データを生成する生成手段と、
心筋の輪郭の形態を表す輪郭画像データを予め記憶する記憶手段と、
表示手段と、
前記輪郭画像データに基づく輪郭画像と前記動画像データに基づく心臓画像とを重ねて前記表示手段に表示させる制御手段と、
前記輪郭画像データに基づいて前記動画像データを解析して心筋の輪郭に相当する輪郭領域を追跡する解析手段と、
を備えることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記生成手段により現に生成されている動画像データに基づく心臓画像と前記輪郭画像とを重ねて表示させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記解析手段は、
前記動画像データのうちの一フレームの画像データを解析して該画像データ中の輪郭領域を抽出する抽出手段と、
前記抽出された輪郭領域に合わせるように前記輪郭画像を変形する変形手段と、
を含み、
前記変形後の輪郭画像データに基づいて他フレーム中の輪郭領域を抽出することにより前記輪郭領域を追跡する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記記憶手段は、前記輪郭画像データとして、前記被検体の心筋の輪郭を表す画像データを予め記憶する、
ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
被検体識別情報を入力する入力手段を更に備え、
前記記憶手段は、複数の被検体のそれぞれの前記輪郭画像データを被検体識別情報に関連付けて予め記憶し、
前記制御手段は、前記入力された被検体識別情報に関連付けられた輪郭画像データを前記記憶手段から読み出して当該輪郭画像と前記心臓画像とを重ねて表示させ、
前記解析手段は、前記入力された被検体識別情報に関連付けられた輪郭画像データに基づいて前記輪郭領域を追跡する、
ことを特徴とする請求項4に記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記生成手段は、被検体の心臓に向けて送信された超音波の反射波の受信結果に基づいて、該心臓の画像データと該画像データの計測深度情報とを生成し、
前記解析手段は、該生成された画像データを解析して心筋の輪郭に相当する画像領域を抽出し、該画像領域と前記計測深度情報とに基づいて該被検体についての前記輪郭画像データを作成する作成手段を含む、
ことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記記憶手段は、前記輪郭画像データとして、心筋の輪郭の標準的な形態を表す画像データを予め記憶する、
ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項8】
被検体の特性を表す特性情報を入力する入力手段を更に備え、
前記記憶手段は、被検体の複数の特性のそれぞれの前記輪郭画像データを特性情報に関連付けて予め記憶し、
前記制御手段は、前記入力された特性情報に関連付けられた輪郭画像データを前記記憶手段から読み出して当該輪郭画像と前記心臓画像とを重ねて表示させ、
前記解析手段は、前記入力された特性情報に関連付けられた輪郭画像データに基づいて前記輪郭領域を追跡する、
ことを特徴とする請求項7に記載の超音波診断装置。
【請求項9】
被検体識別情報と被検体の特性を表す特性情報とを入力する入力手段を更に備え、
前記記憶手段は、前記輪郭画像データとして、複数の被検体のそれぞれの心筋の輪郭を表す画像データを被検体識別情報に関連付けて予め記憶するとともに、被検体の複数の特性のそれぞれにおける心筋の標準的な形態を表す画像データを特性情報に関連付けて予め記憶し、
前記制御手段は、前記入力された被検体識別情報に関連付けられた輪郭画像データを前記記憶手段から検索し、検索された場合には当該検索された輪郭画像データを読み出し、検索されなかった場合には前記入力された特性情報に関連付けられた輪郭画像データを読み出し、前記記憶手段から読み出された輪郭画像データに基づく輪郭画像と前記心臓画像とを重ねて表示させ、
前記解析手段は、当該読み出された輪郭画像データに基づいて前記輪郭領域を追跡する、
ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項10】
前記被検体の特性は、年齢、性別、身長、体重、症例及び病状のうちの少なくとも1つを含む、
ことを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の超音波診断装置。
【請求項11】
被検体の心臓に向けて超音波を送信し、前記心臓からの反射波を受信し、前記反射波の受信結果に基づいて前記心臓の動画像データを生成する超音波診断装置を制御するプログラムであって、
前記超音波診断装置に予め記憶された心筋の輪郭の形態を表す輪郭画像データに基づく輪郭画像と、前記動画像データに基づく心臓画像とを重ねて表示手段に表示させる制御手段として機能させ、
前記輪郭画像データに基づいて前記動画像データを解析して心筋の輪郭に相当する輪郭領域を追跡する解析手段として機能させる、
ことを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−172186(P2009−172186A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−14646(P2008−14646)
【出願日】平成20年1月25日(2008.1.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】