説明

超音波診断装置

【課題】ティッシュ・ハーモニック・イメージングを行なう超音波診断装置の分解能を維持しつつペネトレーションを向上する。
【解決手段】超音波探触子31を介して被検体に超音波信号を送信する送波部35から、同じ方向に時間間隔をおいて第1波形と第2波形とを含む超音波信号を複数回送信し、超音波探触子により受信された第1波形に対応する受波信号と第2波形に対応する受波信号とを受波部37、39、41により整相加算し、整相加算された受波信号に基づいて画像を生成する超音波診断装置において、第1波形と第2波形は同じ周波数で互いに時間反転または極性反転させた波形であり、受波部は、第1波形と第2波形にそれぞれ対応する受波信号をゲインの差をつけてそれぞれ増幅又は低減して整相加算する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波診断装置に係り、特に超音波が被検体内を伝播する際発生する高調波信号を画像化する超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置は、被検体内に超音波信号を送信し、そのエコー信号を含む受信信号に基づいて例えば断層画像等の診断に供する情報を得るものである。
【0003】
このような断層画像を表示する技術において、送信信号の基本波成分(周波数f)に対する高調波成分(例えば周波数2f,3f等)を画像化することによって、コントラストの良い画像が得られることが報告されている。このような撮像法は、ティッシュ・ハーモニック・イメージング(Tissue Harmonic Imaging)と呼ばれている。
【0004】
上述した高調波成分は、主に超音波が被検体内を伝播する際に生ずる非線型歪みに起因して発生する。すなわち、生体内に照射された超音波は、組織の非線型応答により組織伝播中に信号が歪み、高調波成分が増大する。この結果、そのエコー信号には例えば基本波fの2倍周波数の2fや、3倍周波数の3fの成分が含まれることとなる。
【0005】
ティッシュ・ハーモニック・イメージングにおいては、いかにして強い高調波成分のエコーを抽出できるかがポイントとなる。従来報告されているティッシュ・ハーモニック・イメージング方法の一例として、フィルタ法と呼ばれるものがある。これは、中心周波数が例えば2fの帯域通過フィルタを用いて受信信号から例えば2fの高調波成分を抽出するものである。また、他の一例として、パルスインバージョン法と呼ばれるものがある。これは、極性を相互に反転させた第1および第2の送信波形を時間間隔をおいて送信し、それぞれのエコー信号を整相加算して基本波成分を打ち消すことによって2次の高調波成分を強調するものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、超音波信号の高調波成分は、基本波成分と比べて周波数が高いから伝播時に減衰の影響を受けやすく、深部からのエコー信号の到達度、つまりペネトレーションがよくないという問題点があった。一方、基本波の中心周波数fを下げれば減衰の影響を受けにくくなるからペネトレーションは改善できるが、周知のように分解能が低下してしまう。
【0007】
上述した問題点に鑑み、本発明の課題は、分解能を維持しつつペネトレーションを向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、超音波探触子と、前記超音波探触子を介して被検体に超音波信号を送信する送波部と、前記超音波探触子により受信された受波信号を処理する受波部と、前記受波部で処理された前記受波信号に基づいて画像を生成する画像生成部とを備えてなり、前記送波部は、超音波信号を同じ方向に時間間隔をおいて複数回送信する機能を有し、該複数回送信される超音波信号には第1波形と第2波形とを含み、前記受波部は、前記第1波形に対応する受波信号と前記第2波形に対応する受波信号とを整相加算する機能を有してなる超音波診断装置において、前記第1波形と第2波形は同じ周波数で互いに時間反転または極性反転させた波形であり、前記受波部は、前記第1波形と前記第2波形にそれぞれ対応する受波信号をゲインの差をつけてそれぞれ増幅又は低減して整相加算する機能を有することを特徴とする。
【0009】
これによれば、従来のように同じ周波数fの波形を極性反転して送波しても、第1波形および第2波形にそれぞれ対応する受波信号をゲインの差をつけてそれぞれ増幅または低減することによって、整相加算後の受波信号の周波数スペクトラムを変化させ、fないし2fの周波数帯域における成分を強調することができる。その結果、fを下げなくても、つまり分解能を低下させなくても、ティッシュ・ハーモニック・イメージングにおけるペネトレーションを向上させることができる。
【0010】
また、第1波形と第2波形にそれぞれ対応する受波信号をゲインの差をつけてそれぞれ増幅又は低減して整相加算することに代えて、あるいは加えて、第1波形と第2波形の振幅を異ならせても、同様の効果を奏することができる。
【0011】
また、上記のいずれかの場合において、受波部は、第1波形および第2波形にそれぞれ対応する受波信号を設定されたゲイン比に従ってそれぞれ増幅または低減する機能を有するものとすることができる。この場合、ゲイン比は、受波フォーカスの深さに応じて可変設定する構成とすることができる。
【0012】
また、上記のいずれかの場合において、受波部は、整相加算した信号を処理する可変帯域フィルタを有し、受波フォーカスの深さに応じて可変帯域フィルタの通過周波数帯域を可変設定する構成とすることができる。これによれば、受波フォーカス深さ、すなわち被検体内の診断対象部位の深さの違いに起因する減衰の違いによる受波信号のスペクトラムの変化に適応し、好適な周波数帯域の成分を抽出することができる。さらに、受波部は、受波信号の受信タイミングに応じて通過周波数帯域を可変設定する構成とすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、分解能を維持しつつペネトレーションを向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を適用してなる超音波診断装置の基本例について説明する。図1は、本基本例の超音波診断装置の構成を示す図である。図1に示すように、超音波診断装置は、超音波探触子1と、超音波探触子1を介して図示しない被検体に超音波信号を送信する送波部3と、超音波探触子1を介して被検体からのエコー信号等を含む受波信号を受信し処理する受波部5と、受波部5によって処理された受波信号に基づいて診断画像を生成し表示する画像作成表示部7とを有して構成されている。画像作成表示部7は、図示しない検波、圧縮等を行なうビデオ処理部、ドプラ処理部および走査変換部を含んでなる。
【0015】
送波部3は、所望の振幅、周波数、開始位相をそれぞれ有する複数の波形を組み合わせた送波信号を生成する機能を有する任意波形発生器9と、任意波形発生器9が出力した波形を時間反転させる機能を有する時間軸制御器11と、パワーアンプを有してなり、時間軸制御器11の出力信号に応じて超音波探触子1に駆動信号を供給する送波器13とを有してなる。なお、時間軸制御器11は、任意波形発生器9の出力を入力信号としていわゆるファーストイン・ファーストアウト機能とファーストイン・ラストアウト機能とを有するものであり、シフトレジスタを有して構成されている。
【0016】
受波部5は、超音波探触子1から出力される受波信号が入力され、図示しない前置増幅器、タイム・ゲイン・コントロール(TGC)増幅器、A/D変換器を含んでなる受信器15と、受信器15から出力される超音波探触子1の各振動子に対応するチャンネルの受波信号を整相し、加算してRFライン信号として出力する整相加算器17と、整相加算部17から先に出力された受波信号を保持し、時間遅延させて後に出力された受波信号と位相まで考慮してRF加算して出力するライン加算器19と、ライン加算器19の出力信号から特定の周波数帯域を抽出する帯域通過ディジタルフィルタ演算機能を有する帯域フィルタ21とを有して構成されている。整相加算部17として、加算処理中の歪みを最小限とするため、いわゆるディジタルビームフォーマを用いる。また、上述した送波部3、受波部5および画像作成表示部7内の各要素の動作を統括して制御するシステム制御部23が設けられている。また、超音波探触子1は、図示しない被検体に対向して列状または面状に並べられた複数の振動子25を有して構成されている。
【0017】
次に、上述した超音波診断装置の動作について説明する。はじめに、任意波形発生器9は、システム制御部23からの指示に基づいて、送波信号の波形を生成し出力する。この任意波形発生器9の出力信号波形は、周波数を変えた波形を連続させて構成されている。この点、詳細につき後述する。任意発生器9の出力信号は時間軸制御器11に入力され、先ずファーストイン・ファーストアウト機能により時間反転させることなく第1波形として出力される。そして、時間軸制御器11は、第1波形から時間的に遅延させて、ファーストイン・ラストアウト機能によって、第1波形を時間反転した第2波形を出力する。送波器13は、これらの第1波形、第2波形に基づいて、周知の送波フォーカス処理を施して、超音波探触子1の各振動子25の駆動信号を生成し、出力する。送波器13から図示しない送受波分離回路を経て駆動信号を供給された振動子25はそれぞれ振動して超音波を発生し、それぞれの振動子25から出た超音波の波面が一致する方向に進む超音波ビームが図示しない被検体内に形成される。
【0018】
一方、このような超音波ビームとして被検体内を伝播する超音波信号は、被検体内の音響インピーダンスが異なる部位において反射し、この反射波は超音波探触子1に戻り、受波信号として受信される。受波信号は振動子25によって音波から電気的な信号に変換され、図示しない送受波分離回路を経て受信器15に入力される。受信部15において、各振動子25に対応する各チャンネルの受波信号は前置増幅器およびTCG増幅器による増幅を受け、A/D変換され、出力される。受信部15の出力信号は整相加算器17に入力され、受波信号の発生部位から各振動子25までの距離の違いに起因する受波信号の各チャンネル間のタイミングのずれを時間遅延処理によって逐次補正をする周知のダイナミックフォーカス処理を施された後に加算され、出力される。これらの受波に伴なう処理は、上述した第1波形、第2波形のそれぞれに対応した受波信号のそれぞれについて行なわれる。そして、これらの第1波形に対応する受波信号と、第2波形に対応する受波信号とは、ライン加算器19が第1波形に対応する受波信号を一時的に保持し、時間遅延させてから第2波形に対応する受波信号と加算することによって合成され、合成された受波信号として出力される。そして、帯域フィルタ21において、合成された受波信号の所定の周波数帯域成分が抽出され、画像作成表示部7は、この抽出された周波数帯域成分の信号に基づいて超音波診断画像を生成して表示する。すなわち、超音波診断装置は、以上の動作をビーム方向を走査しながら実施し、画像作成表示部7において、各走査線に対応するライン加算器の出力に検波、圧縮等のビデオ処理、ドプラ信号処理、走査変換を行ない周知のBモードまたはドプラモードの画像を生成する。なお、システム制御部23は、これらの一連の動作をコントロールするとともに、任意波形発生器9のデータも併せて発生する。
【0019】
次に、本基本例の超音波診断装置の特徴に係る第1波形、第2波形の波形および、送波信号および受波信号の周波数スペクトラムについて説明する。先ず、本基本例の特徴を理解しやすくするため、既存のパルスインバージョン法における第1波形、第2波形の波形および送波信号および受波信号の周波数スペクトラムについて図2にシミュレーション結果を図示し、説明する。図2(1)は、時間を横軸にとり、送波信号の音圧を縦軸にとって第1波形および第2波形を示したグラフである。ここで、第1波形を実線で示し、第2波形を破線で示す。図2(1)に示すとおり、第1波形および第2波形はともに同じ周波数f(=2MHz)である正弦波2周期の連続に、生体中の波形に類似させるためにハニング重みを掛けたものである。そして、第1波形と第2波形とは、その極性を反転した関係となっている。すなわち、第1波形は信号の開始時において音圧が立ち下がる極性となっており、第2波形は立ち上がる極性となっている。
【0020】
図2(2)は、送波信号と、第1波形および第2波形にそれぞれ対応する受波信号を整相加算した受波信号との周波数スペクトラムを示すグラフである。このグラフは横軸にf=2.0MHzに対する比周波数(f/f)をとり、縦軸に信号強度(dB)をとったものである。図2(2)において、送波信号のスペクトラムを破線で示し、合成された受波信号のスペクトラムを実線で示している。
【0021】
図2(2)に示すように、送波信号のスペクトラムは、周波数を0から向上させると信号強度が向上し、周波数fにおいて第1の極大となるピークを有する。そして、さらに周波数が上がると信号強度が低減され、周波数2fにおいては、第1のピークに対して−40dB以下まで低減される。そして、周波数2fからさらに周波数を向上させると信号強度は再び向上に転じ、周波数2.3f近傍において第2のピークをとり、その後は再び低減する。この第2のピークの信号強度は、第1のピークに対して約−32dBとなっている。
【0022】
一方、合成された受波信号のスペクトラムは、信号強度が極大となるピークを0.6f近傍、2f近傍および4f近傍に有し、信号強度が極小となる谷を1.2f近傍および3.3f近傍に有する。ピークのうち信号強度が最大となるのは2f近傍のピークであって、この信号強度に対する0.6f近傍および4f近傍のピークの信号強度はともに約−14dBである。一方、信号強度が極小となる谷における信号強度は、2fのピークにおける信号強度に対して1.2f近傍において約−28dB、3.3f近傍において約−21dBである。
【0023】
次に、本基本例の超音波診断装置における周波数が推移する第1波形および第2波形の波形と、送波信号および受波信号の周波数スペクトラムの一例について図3にシミュレーション結果を図示し、説明する。図3(1)は、時間を横軸にとり、送波信号の音圧を縦軸にとって第1波形および第2波形を示したグラフである。ここで、第1波形を実線で示し、第2波形を破線で示す。図3(1)に示すように、第1波形は、周波数f(=1.8MHz)の1サイクル目と、周波数f(=2.2MHz)の2サイクル目とを連続させて構成され、信号開始時に音圧が立ち下がる極性となっている。一方、第2波形は、周波数fの1サイクル目と、周波数fの2サイクル目とを連続させて構成され、信号開始時に音圧が立ち下がる極性となっている。また、これらの第1波形および第2波形にはいずれも図2(1)に示す波形と同様のハニング重みが掛けられている。換言すれば、第2波形は、第1波形を時間反転させたものといえる。
【0024】
図3(2)は、送波信号と、第1波形および第2波形にそれぞれ対応する受波信号を整相加算してなる受波信号との周波数スペクトラムを示すグラフである。このグラフは、図2(2)と同様に横軸にf=2.0MHzに対する比周波数(f/f0)をとり、縦軸に信号強度(dB)をとったものである。図3(2)において、送波信号のスペクトラムを破線で示し、整相加算された受波信号のスペクトラムを実線で示している。
【0025】
図3(2)に示すように、送波信号のスペクトラムは、周波数を0から向上させると信号強度が向上し、周波数fにおいて極大となるピークを有する。そして、さらに周波数を向上すると、信号強度が低下する。周波数2f附近において、信号強度の低下率は小さくなり、低下率がほぼ0となった後、再び信号強度は低下率を大きくしつつ低減する。ちなみに周波数2f近傍における信号強度は、周波数fのピークに対し約−23dBである。
【0026】
一方、整相加算された受波信号のスペクトラムは、信号強度が極大となるピークを0.4f近傍、1.6f近傍および2.8f近傍に有し、信号強度が極小となる谷を0.7f近傍、2.2f近傍および3.7f近傍に有する。極大となるピークのうち信号強度が最大となるのは1.6f近傍のピークであって、この信号強度に対する0.4f近傍および2.8f近傍のピークの信号強度はそれぞれ約−12dBおよび−2dBである。一方、信号強度が極小となる谷における信号強度は、0.7f近傍において約−14dB、2.2f近傍において約−17dB、3.7f近傍において約−35dBである。
【0027】
図3(2)を図2(2)と比較すると明らかなように、既存のパルスインバージョン法においては、第1波形と第2波形とにそれぞれ対応する受波信号を合成すると、2f近傍の周波数成分が最も強調されるのに対し、fとfとをずらすことによって、信号強度のピークが1.6f近傍となり、周波数スペクトラムが低く偏移していることがわかる。
【0028】
そして、本基本例の超音波診断装置においては、送波フォーカスの設定深さに応じて、周波数fとfとの差Δf(=|f−f|)を可変設定していることを特徴とする。具体的には、送波フォーカス深さが深くなるにつれて、第1波形および第2波形にそれぞれ対応する受波信号を合成した信号の周波数スペクトラムが低く偏移するようにΔfを可変設定している。なお、このとき周波数fとfの平均周波数はfのまま一定である。また、送波フォーカス深さが浅いときには、Δfを0として既存のパルスインバージョン法による送受信を行なうようにしている。そして、送波フォーカス深さが深くなるにつれてΔfを変化させ、上述した周波数スペクトルのピークが、2fから例えばfまで、好ましくは2fから例えば1.5fまで偏移するように送波信号を生成する。例えば、送波フォーカス深さを変えた複数の超音波ビームの受波信号をつなぎ合わせて1本のビームラインに係る受波信号を完成させる周知の送信多段フォーカスを行なう場合においては、各段のフォーカス深さに応じてΔfを可変するようにする。例えば、3段のフォーカスを行なう場合、フォーカス深さが浅い準に周波数スペクトラムのピークが例えば2f、1.8f、1.6fとなるように各段のΔfを設定するようにする。このような送波フォーカス深さに応じたΔfの設定は、シミュレーションまたは超音波ファントムを用いた実験によって行なうことができる。
【0029】
また、本基本例の超音波診断装置においては、上述した周波数スペクトラムの偏移に応じて帯域フィルタ21の通過周波数帯域を可変することを特徴とする。具体的には、整相加算後の受波信号のスペクトラムの偏移に適応するため、送波フォーカス深さが深くなるにつれて通過周波数帯域を低く偏移させる。
【0030】
また、この帯域フィルタ21の通過周波数帯域は、送波信号が変わらない場合でも、受波フォーカスの深さに応じて可変される。すなわち、図4は、被検体の浅い部位、つまり超音波探触子から近い部位からの受波信号の受信スペクトラムと、被検体の深い部位、つまり超音波探触子から遠い部位からの受波信号の受信スペクトラムを示す模式図である。なお、図4においては、説明の簡単のため、高調波成分として2fのみを表示している。なお、送波信号は通常数サイクルのパルス波であるから図4に示すようにスペクトラムは、f、2fを中心にそれぞれある程度の帯域を有する。図4に示すように、深い位置からの受波信号のスペクトラムは、超音波が生体内を伝播する際の非線型歪みに起因して高調波成分が多くなるが、高調波成分のスペクトラム分布に着目すると、周波数が高い成分ほど伝播時の減衰による影響が大きいため、周波数スペクトラムは低く偏移し、中心周波数も低下する。そこで、これに対処するため、帯域フィルタ21の通過周波数帯域は、受波フォーカスのダイナミックフォーカスに連動して、受波フォーカスのフォーカス深さが深くなるにつれて低く偏移するように設定される。具体的には、帯域フィルタ21としてディジタルFIRフィルタを用いる場合、その係数を受波フォーカス深さに連動して可変にするとよい。
【0031】
以上のように、本基本例によれば、周波数が増加するように推移する第1波形と周波数が低減するよう推移する第2波形とにそれぞれ対応する受波信号を整相加算することによって、fないし2fにおける周波数成分を強調しているから、2fを強調する既存のパルスインバージョン法よりも減衰の影響を受けにくく、フォーカス深さの深い部分でペネトレーションを向上することができ、また浅い部分では、2f成分で画像化するので、分解能も維持できる効果がある。
【0032】
また、第1波形と第2波形の周波数が推移する変化率を送波フォーカス深さに応じて可変設定しているので、浅いフォーカス深さにおいては比較的高い周波数成分を強調してコントラスト重視の設定とし、深いフォーカス深さにおいては比較的低い周波数成分を強調してペネトレーション重視の設定とすることができ、送波フォーカスの設定深さに適応して良好な画像を生成することができる。
【0033】
さらに、整相加算後の受波信号に対して周波数帯域通過フィルタ演算を行ない、この通過周波数帯域を送波フォーカス深さに応じて可変しているので、送波信号の周波数が推移する変化率に応じて強調される周波数帯域を抽出することができる。
【0034】
また、この通過周波数帯域は受波フォーカス深さに応じても可変設定されるので、受波信号の伝播距離の違いによる減衰の違いに起因する受波信号のスペクトラム変化に適応した周波数帯域を抽出することができる。
【0035】
また、例えばペネトレーションが問題となりにくい比較的浅い部位を診断する場合には、2fよりも高い周波数の成分を抽出して画像生成を行なうようにしてもよい。例えば、図3(2)を見ると、2.8f近傍にもピークがあることがわかるが、例えばこのような周波数が2fよりも大きいピーク近傍の信号強度を帯域通過フィルタによって抽出し、画像生成を行なってもよい。これによれば、浅い部位を診断する際の画像コントラストが良好となる。
【0036】
また、このような浅い部位を診断する場合には、送波信号の中心周波数を高くするようにしてもよい。例えば、図3の例においては、中心周波数f=2.0MHzとし、第1波形と第2波形をf=1.8MHz、f=2.2MHzとしているが、これを例えば中心周波数f=2.1MHz、f=2.0MHz、f=2.2MHzとしてもよい。これによれば、ペネトレーションが問題となりにくい比較的浅い深度においてコントラストの良好な画像を得ることができる。
【0037】
なお、上述した基本例においては、時間軸制御器によって第1波形を時間反転させることによって第2波形を得ているが、任意波形発生器が直接第2波形を発生可能な場合には、時間軸制御器は不要である。
【0038】
また、上述した基本例においては、第1波形と第2波形はそれぞれ2サイクルの波形を連続させてなるが、3サイクル以上の波形を連続する構成としてもよい。例えば、第1波形がf=1.8MHz、f=2.0MHz、f=2.2MHzの波形をそれぞれ1サイクルずつ連続させたものであり、第2波形が第1波形を時間反転させたものであってもよい。このように、第1波形が中心周波数f1,f2,・・fn,・・fN(N≧2)の1サイクル波形の連続であって、かつf1<f2<・・<fn<・・<fNであり、第2波形が第1波形の時間軸反転関係にある場合、N=4以上であっても本発明の趣旨は損なわれないが、波数が増加すると両送波の差は相対的に軽減されるから、本発明はN<6程度の範囲でとりわけ有効であると考えられる。
【0039】
また、上述した基本例においては、第1波形と第2波形とはそれぞれ1サイクル毎に周波数を異ならせた正弦波の組合せによって構成しているが、例えば2サイクル以上毎に周波数を異ならせるようにしてもよい。また、例えば1/2サイクル、1/4サイクル毎のように細かく周波数を異ならせたり、さらに、周波数が連続的に推移するいわゆるチャープ波形を用いる構成としてもよい。
【0040】
次に、本発明を適用してなる超音波診断装置の他の基本例について説明する。第1の基本例と同じ部分については説明を省略し、相違点についてのみ説明する。本基本例の超音波診断装置は、第1波形および第2波形の振幅がともに推移することを特徴とする。すなわち、本基本例においては、第1波形と第2波形のそれぞれの最初のサイクルの波形の振幅が、これに続く波形の振幅よりも大きく設定されていることを特徴とする。
【0041】
本基本例の超音波診断装置における周波数及び振幅が推移する第1波形および第2波形の波形と、送波信号および受波信号の周波数スペクトラムの一例について図5にシミュレーション結果を図示し、説明する。図5(1)は、時間を横軸にとり、送波信号の音圧を縦軸にとって第1波形および第2波形を示したグラフである。ここで、第1波形を実線で示し、第2波形を破線で示す。図5(1)に示すように、第1波形は、周波数f(=1.8MHz)の1サイクル目と、周波数f(=2.2MHz)の2サイクル目とを連続させて構成され、信号開始時に音圧が立ち下がる極性となっている。一方、第2波形は、周波数fの1サイクル目と、周波数fの2サイクル目とを連続させて構成され、信号開始時に音圧が立ち上がる極性となっている。そして、第1波形、第2波形ともに、1サイクル目の振幅A1よりも2サイクル目の振幅A2が小さく設定され、例えば図5(1)の場合には、A2=0.9A1に設定されている。
【0042】
図5(2)は、送波信号と、第1波形および第2波形にそれぞれ対応する受波信号を整相加算してなる受波信号との周波数スペクトラムを示すグラフである。図2(2)と同様に横軸にf=2.0MHzに対する比周波数(f/f)をとり、横軸に信号強度(dB)をとったものである。図5(2)において、送波信号のスペクトラムを破線で示し、整相加算された受波信号のスペクトラムを実線にて示している。
【0043】
図5(2)に示すように、送波信号のスペクトラムは図3(2)に示す送波信号スペクトラムと類似しているが、周波数2f近傍における信号強度はf近傍における信号強度に対して約―25dBとなっている。
【0044】
一方、整相加算された受波信号のスペクトラムは、信号強度が極大となるピークを0.4f近傍、1.6f近傍および2.8f近傍に有し、信号強度が極小となる谷を0.7f近傍、2.2f近傍および3.8f近傍に有する。極大となるピークのうち信号強度が最大となるのは1.6f近傍のピークであって、この信号強度に対する0.4f近傍および2.8f近傍のピークの信号強度はそれぞれ約−13dBおよび約−2dBである。一方、信号強度が極小となる谷における信号強度は、0.7f近傍において約−17dB、2.2f近傍において約−10dB、3.8f近傍においては−40dB以下となっている。
【0045】
図5(2)と図2(2)とを比較すると明らかなように、本実施形態のように周波数fとfとをずらし、振幅A1とA2とをずらすことによって、信号強度のピークが1.6f近傍となり、周波数スペクトラムが低く偏移していることがわかる。
【0046】
そして、本基本例の超音波診断装置においては、送波フォーカスの設定深さに応じて、周波数fとfとの差Δfを可変設定し、さらに振幅A1およびA2の比A2/A1を可変設定している。具体的には、第1の実施形態と同様に、送波フォーカス深さが深くなるにつれて、第1波形および第2波形にそれぞれ対応する受波信号を合成した信号の周波数スペクトラムが低く偏移するようにΔfおよびA2/A1を可変設定している。
【0047】
以上のように、本基本例によれば、上述した第1の基本例と同様の効果に加え、第1波形と第2波形の振幅をともに推移させることによって、整相加算された受波信号のスペクトラム偏移をより強調することができる。
【0048】
次に、本発明を適用してなる超音波診断装置の実施形態について説明する。これも第1の基本例と同じ部分については説明を省略し、相違点についてのみ説明する。
図6は、本実施形態の超音波診断装置の構成を示す図である。図6に示すように、超音波診断装置は、図示しない複数の超音波振動子または超音波トランスデューサのアレーを有する超音波探触子または超音波プローブ31と、超音波プローブ31を介して図示しない被検体に送信される送波信号を制御するパルス反転制御部33と、パルス反転制御部33からの指示に応じて送波信号を生成し、超音波プローブ31を駆動する送波整相回路35とを有する。送波整相回路35は、図示しない送波タイミング発生回路、送波ビームフォーマ回路および送波ドライバを有し、超音波プローブ31に高圧送波信号を供給するものである。このとき、送波ビームフォーマ回路は、送波タイミング発生回路により発生された送波タイミング信号に基づき、所定の方位の超音波ビームを形成するビームフォーミング信号を生成する。ビームフォーミング信号は、方位に対応した時間差が付与された複数の駆動信号からなる。
【0049】
また、超音波プローブを介して被検体から受信された受波信号を、複数の超音波トランスデューサの各チャンネルにわたって整相加算する受信整相回路37と、受信整相回路37の出力信号を可変設定されるゲインに応じて増幅または低減する可変ゲイン回路39と、可変ゲイン回路39の出力信号を一時的に記憶し、時間間隔をおいて可変ゲイン回路39が出力した信号と整相加算する2ビーム加算部41とが設けられている。そして、2ビーム加算器41の出力信号に対してディジタル帯域通過フィルタ演算を行なう可変帯域フィルタ43が設けられ、この可変帯域フィルタ43の出力信号に基づいて、検波、対数圧縮、エンハンス処理を含む周知のBモード画像処理を行なうBモード処理部45と、DSC回路47と、DSC回路47が出力するビデオ信号を画像表示するモニタ49が設けられている。また、可変ゲイン回路39と可変帯域フィルタ43とを制御する制御部51が設けられ、制御部51には入力手段を有する操作卓53がつながれている。なお、可変ゲイン回路39は、パルス反転制御部33および制御部51からの指示に基づいて、時間間隔をおいて受信された複数の受波信号に対して異なったゲインにより周知のタイム・ゲイン・コントロールを行なう機能を有する。また、可変帯域フィルタ43は、制御部51が発する時間制御信号により、通過周波数帯域の中心周波数と帯域幅とが受信深さに応じて可変する受波ダイナミックフィルタ機能を有する。
【0050】
次に、上述した超音波診断装置の動作について説明する。本実施形態の超音波診断装置においては、第1波形及び第2波形は図2(1)に示したものと同じ波形、すなわち、周波数fの波形を2つ連続させ、第1波形と第2波形とが時間反転または極性反転の関係となる既存のパルスインバージョン法と同じ波形を用いる。そして、可変ゲイン回路39において、第1波形に対応する受波信号と、第2波形に対応する受波信号とに、受波信号の受信タイミング、つまり検出部位の深さに応じて異なったゲイン(振幅利得)によってタイム・ゲイン・コントロールを行なってから、2ビーム加算部41において整相加算し1本のRF信号とすることを特徴とする。
【0051】
図7ないし9は、本実施形態における送波信号と、合成された受波信号の周波数スペクトラムのシミュレーション結果を示すグラフであって、それぞれ第1波形と第2波形に対応する受波信号に対するゲインの比が、それぞれ1:1,1.2:0.8,1.35:0.65であるものを示すグラフである。各図とも、図2(2)と同様に、横軸にf=2MHzに対する比周波数(f/f)をとり、縦軸に信号強度(dB)をとっている。また、送波信号のスペクトラムを破線で示し、整相加算後の受波信号のスペクトラムを実線で示している。なお、ここで送波信号のスペクトラムは、いうまでもなく図2(2)に示したものと同様になる。
【0052】
次に、各図における整相加算後の受波信号のスペクトラムについて説明する。図7は、第1波形および第2波形にそれぞれ対応する受波信号に対するゲインの比(以下、「ゲイン比」と称する。)が1:1であるときのものである。図7に示すように、受波信号のスペクトラムは、信号強度が極大となるピークを0.6f近傍、1.9f近傍および3.7f近傍に有する。一方、信号強度が極小となる谷を1.1f近傍および2.9f近傍に有する。信号強度が最大となるのは1.9f近傍のピークにおいてであり、このときの信号強度に対する各ピークおよび谷における信号強度は、0.6f近傍において約−9dB、1.1f近傍において約−25dB、2.9f近傍において約−17dB、3.7f近傍において約−6dBである。
【0053】
図8は、ゲイン比が1.2:0.8であるときのものである。図8に示すように、受波信号のスペクトラムは、信号強度が極大となるピークを0.6f近傍、1.9f近傍および3.7f近傍に有する。一方、信号強度が極小となる谷をf近傍および2.9f近傍に有する。信号強度が最大となるのは1.9f近傍のピークにおいてであり、このときの信号強度に対する各ピークおよび谷における信号強度は、0.6f近傍において約−8dB、f近傍において約−15dB、2.9f近傍において約−13dB、3.7f近傍において約−5dBである。
【0054】
図9は、ゲイン比が1.2:0.8であるときのものである。図9に示すように、受波信号のスペクトラムは、信号強度が極大となるピークを0.6f近傍、1.9f近傍および3.7f近傍に有する。一方、信号強度が極小となる谷を0.9f近傍および2.9f近傍に有する。信号強度が最大となるのは1.9f近傍のピークにおいてであり、このときの信号強度に対する各ピークおよび谷における信号強度は、0.6f近傍において約−8dB、0.9f近傍において約−9dB、2.9f近傍において約−10dB、3.7f近傍において約−5dBである。
【0055】
図7ないし図9を比較すると明らかなように、ゲイン比を変化させることによって整相加算した受波信号のスペクトラムは変化し、例えばfから2fの周波数帯域における成分に着目すると、図7よりも図8、図8よりも図9のほうが強調されていることがわかる。例えば、1.5fにおける信号強度に着目すると、1.9fのピークに対する信号強度は、図7では約−7dB、図8では約−5dB、図9では約−3dBとなっている。
【0056】
そして、本実施形態においては、受波フォーカスの設定深さに応じて、ゲイン比を可変設定している。具体的には、受波フォーカス深さが深くなるにつれてゲイン比が大きくなるように設定している。このようなゲイン比の変更は、周知の受波ダイナミックフォーカスと連動し、受波タイミングに応じて連続的に行なわれる。すなわち、第1波形と第2波形とにそれぞれ対応する受波信号に対して、受信タイミングとゲインとの相関曲線が異なったタイム・ゲイン・コントロールを行なうようにしている。
【0057】
また、可変帯域フィルタ43は、受波フォーカスの設定深さに応じて通過周波数帯域を可変設定するようにしている。具体的には、受波フォーカス深さが浅い領域においては、通過周波数帯域を広く設定し、かつその中心周波数を低く設定することにより2次高調波成分を広帯域で通過させるようにしている。そして、受波フォーカス深さが深くなり、基本波成分が強調されてくるにつれて可変帯域フィルタの通過周波数帯域を狭く設定し、かつその中心周波数および下限周波数を高く設定することにより、基本波成分の低減を図るようにしている。
【0058】
以上のように、本実施形態によれば、第1波形と第2波形が相互に極性を反転されてなる構成とし、第1波形および第2波形にそれぞれ対応する受波信号をゲインの差をつけてそれぞれ増幅または低減することによって、整相加算後の受波信号の周波数スペクトラムを変化させ、fないし2fの周波数帯域における成分を強調することができるから、fを下げなくても、分解能を低下させなくても、ペネトレーションを向上することができる。
【0059】
また、ゲインの差および可変帯域フィルタの通過周波数帯域を受波フォーカス深さに応じて可変設定しているから、比較的浅い部位においてはゲイン差を小さくするか、あるいは0とし、また可変帯域フィルタの通過周波数帯域を広く設定することによって基本波成分を打ち消された広帯域な2次の高調波成分を強調することができる。一方、比較的深い部位においてはゲイン差を大きくし、また通過周波数帯域を狭くし、かつその中心周波数を低くすることによってペネトレーションを向上することができる。
【0060】
なお、上述した実施形態では、第1波形に対応する受波信号に対するゲインと、第2波形に対応する受波信号に対するゲインとをともに可変させているが、一方を固定して他方のみ可変させる構成としてもよい。例えば、第1波形に対応するゲインを1に固定し、第2波形に対応するゲインのみ可変してもよい。例えば、ゲインの比を、1:1,1:0.6,1:0.3のように段階状に可変設定するようにしてもよい。また、受波信号に対するゲインを異ならせることに加え、あるいは代えて、第1波形と第2波形の送波時の振幅を異ならせるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明を適用してなる超音波診断装置の第1の基本例の構成を示す図である。
【図2】既存のパルスインバージョン法による送波信号波形と、送波信号および受波信号のスペクトラムとのシミュレーション結果を示すグラフである。
【図3】図1の超音波診断装置における送波信号波形と、送波信号および受波信号のスペクトラムとのシミュレーション結果を示すグラフである。
【図4】受波信号の発生深さによる受信スペクトラムの変化を示す模式図である。
【図5】本発明を適用してなる超音波診断装置の第2の基本例の送波信号波形と、送波信号および受波信号のスペクトラムとのシミュレーション結果を示すグラフである。
【図6】本発明を適用してなる超音波診断装置の実施形態の構成を示す図である。
【図7】本発明を適用してなる超音波診断装置の実施形態の送波信号および受波信号のスペクトラムのシミュレーション結果を示すグラフである。
【図8】本発明を適用してなる超音波診断装置の実施形態の送波信号および受波信号のスペクトラムのシミュレーション結果を示すグラフである。
【図9】本発明を適用してなる超音波診断装置の実施形態の送波信号および受波信号のスペクトラムのシミュレーション結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0062】
1 超音波探触子
3 送波部
5 受波部
7 画像作成表示部
9 任意波形発生器
11 時間軸制御器
13 送波器
15 受信器
17 整相加算器
19 ライン加算器
21 帯域フィルタ
23 システム制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波探触子と、前記超音波探触子を介して被検体に超音波信号を送信する送波部と、前記超音波探触子により受信された受波信号を処理する受波部と、前記受波部で処理された前記受波信号に基づいて画像を生成する画像生成部とを備えてなり、前記送波部は、超音波信号を同じ方向に時間間隔をおいて複数回送信する機能を有し、該複数回送信される超音波信号には第1波形と第2波形とを含み、前記受波部は、前記第1波形に対応する受波信号と前記第2波形に対応する受波信号とを整相加算する機能を有してなる超音波診断装置において、
前記第1波形と第2波形は同じ周波数で互いに時間反転または極性反転させた波形であり、前記受波部は、前記第1波形と前記第2波形にそれぞれ対応する受波信号をゲインの差をつけてそれぞれ増幅又は低減して整相加算する機能を有することを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
超音波探触子と、前記超音波探触子を介して被検体に超音波信号を送信する送波部と、前記超音波探触子により受信された受波信号を処理する受波部と、前記受波部で処理された前記受波信号に基づいて画像を生成する画像生成部とを備えてなり、前記送波部は、超音波信号を同じ方向に時間間隔をおいて複数回送信する機能を有し、該複数回送信される超音波信号には第1波形と第2波形とを含み、前記受波部は、前記第1波形に対応する受波信号と前記第2波形に対応する受波信号とを整相加算する機能を有してなる超音波診断装置において、
前記第1波形と第2波形は同じ周波数で互いに時間反転または極性反転させた波形で、かつ、前記第1波形と第2波形の振幅が異なることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項3】
超音波探触子と、前記超音波探触子を介して被検体に超音波信号を送信する送波部と、前記超音波探触子により受信された受波信号を処理する受波部と、前記受波部で処理された前記受波信号に基づいて画像を生成する画像生成部とを備えてなり、前記送波部は、超音波信号を同じ方向に時間間隔をおいて複数回送信する機能を有し、該複数回送信される超音波信号には第1波形と第2波形とを含み、前記受波部は、前記第1波形に対応する受波信号と前記第2波形に対応する受波信号とを整相加算する機能を有してなる超音波診断装置において、
前記第1波形と第2波形は同じ周波数で互いに時間反転または極性反転させた波形で、かつ、前記第1波形と第2波形の振幅が異なり、前記受波部は、前記第1波形に対応する受波信号と前記第2波形に対応する受波信号とを整相加算する機能を有してなることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の超音波診断装置において、前記受波部は、前記第1波形および前記第2波形にそれぞれ対応する受波信号を設定されたゲイン比に従ってそれぞれ増幅または低減する機能を有することを特徴とする超音波診断装置。
【請求項5】
請求項4に記載の超音波診断装置において、前記ゲイン比は、受波フォーカスの深さに応じて可変設定されていることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の超音波診断装置において、前記受波部は、前記整相加算した信号を処理する可変帯域フィルタを有し、受波フォーカスの深さに応じて前記可変帯域フィルタの通過周波数帯域を可変設定することを特徴とする超音波診断装置。
【請求項7】
請求項6に記載の超音波診断装置において、前記受波部は、前記受波信号の受信タイミングに応じて前記通過周波数帯域を可変設定することを特徴とする超音波診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−173503(P2008−173503A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−98901(P2008−98901)
【出願日】平成20年4月7日(2008.4.7)
【分割の表示】特願2002−126075(P2002−126075)の分割
【原出願日】平成14年4月26日(2002.4.26)
【出願人】(000153498)株式会社日立メディコ (1,613)
【Fターム(参考)】