説明

超音波診断装置

【課題】超音波を利用した弾性画像診断において、弾性の違いを画像として効果的に、且つ、高いS/N比を持って、任意の時相においても安定して映像化できるようにする。
【解決手段】超音波による変位計測の基準となるRF信号フレームデータの組を選択するRF信号フレームデータ選択手段が、現RF信号フレームデータとこれに隣接するRF信号フレームデータの組や現RF信号フレームデータとこれから一定のフレーム間隔数だけ過去に遡ったRF信号フレームデータとの組のように、両者のフレーム間隔数を固定することなく、現RF信号フレームデータと過去のRF信号フレームデータとの間のフレーム間隔数を、任意に選択できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波を利用して被検体内の診断部位について断層像を得て表示する超音波診断装置に係り、特に時系列に並んだ1組のRF信号フレームデータからその画像上の各点の歪み及び弾性率を演算し、生体組織の硬さまたは柔らかさを定量的に示す弾性画像として表示することができる超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的な超音波診断装置は、被検体に超音波を送信及び受信する超音波送受信手段と、この超音波送受信手段からの反射エコー信号を用いて運動組織を含む被検体内の断層像データを所定周期で繰り返して得る断層走査手段と、この断層走査手段によって得た時系列断層像データを表示する画像表示手段とを有して構成されている。そして、被検体内部の生体組織の構造を例えばBモード像として表示している。
【0003】
これに対して、最近では、この超音波装置を用いて、診断部位の生体組織の弾性率を計測し、これを弾性率画像として表示することが行われるようになってきた。このような超音波装置として、特許文献1又は特許文献2に記載されたものなどがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5-317313号公報
【特許文献2】特開2000-60853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
最近では、被検体の体表面から加圧装置もしくは超音波探触子で人為的に外力を与えて、その状態で時系列的に変化する隣接する2フレーム(連続2フレーム)同士の超音波受信信号の相関演算を行い、各点における変位を求め、さらにその変位を空間微分することにより歪みを計測し、この歪みデータを画像化する手法が行われるようになってきた。また、外力による応力分布と歪みデータに基づいて生体組織のヤング率等に代表される弾性率データを画像化する手法も現実的になってきている。このような歪み及び弾性率データ(以下、弾性フレームデータ)を基にして作成された弾性画像によれば、生体組織の硬さや柔らかさを計測して表示することができる。
【0006】
しかし、このような従来の超音波診断装置による弾性フレームデータの画像化処理は、一連の加圧もしくは減圧操作の過程の間に取得された時系列的に隣接するRF信号フレームデータ間の相関演算を利用している関係上、これらの複数のRF信号フレームデータの組を構成するRF信号フレームデータの間の時間間隔において与えられた加圧量もしくは減圧量が、弾性画像データの描出に適した加圧量もしくは減圧量(一般に1%程度)に十分に達しなかった場合、弾性フレームデータによる弾性画像を適切に描出することが困難であるという問題があった。
【0007】
また、一連の加圧もしくは減圧操作の過程の間に、その加圧時もしくは減圧時の速度が時間的に一定であっても、対象となる被検体を垂直方向に均等に加圧できている時相ばかりであるとは限らない。対象を斜め方向に及び/又は不均等に加圧もしくは減圧してしまうことによって生じる時相、即ち、対象物内の応力分布の時間的変化が不連続になっている時相が生じ得る。このような時相においては、時間軸方向の1連の弾性フレームデータ(歪みデータ)の中に応力分布の時間的変化に不連続な飛びのある座標領域が生じるため、弾性画像としても、時間的に不連続な飛びのある領域をノイズとして含む映像となり画像診断を困難なものとしてしまうという問題があった。
【0008】
本発明の目的は、上述の点に鑑み、弾性画像診断において、弾性の違いを画像として効果的に、且つ、高いS/N比を持って、任意の時相においても安定して映像化することができる超音波診断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
これによって、過去と現在のRF信号フレームデータの間のフレーム間隔を十分に大きくすることができ、弾性フレームデータによる弾性画像を適切に描出することが可能となる。これは特に、超音波検査において、被検者の体格の物理的な制約により、一連の加圧もしくは減圧操作過程における加圧もしくは減圧の速度を十分に大きくできないような状況において非常に有用である。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、任意時刻において弾性画像を高分解能且つ安定的に描出することができ、また同時に、従来、医師の試みる触診の応答を視覚的に動画像で表現する手段を実現することにより、超音波診断の実時間性、簡便性を保持した、臨床上有用な超音波装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明による超音波診断装置の実施の形態を示すブロック図。
【図2】図1のRF信号フレームデータ選択部の一実施例を示す図。
【図3】図1のRF信号フレームデータ選択部の別の実施例を示す図。
【図4】超音波探触子に圧力計測部(圧力センサ)を取りつけ、探触子のヘッドと被検体の間の圧力を計測する方法の一例を示す図。
【図5】図1の弾性データ処理部の動作の一実施例を示す図。
【図6】図1の弾性データ処理部の動作の別の実施例を示す図。
【図7】図6の弾性データ処理部において、弾性フレームデータの対数変換を行う前後の関係を示す図。
【図8】図6の弾性データ処理部において、複数の関数を組合せて弾性フレームデータを変換する一例を示す図。
【図9】図1の弾性データ処理部の動作のさらに別の実施例を示す図。
【図10】加圧・減圧速度の時間的な変化とRF信号の取得タイミングとの間の関係の一例を示す図。
【図11】弾性フレームデータの上限値及び下限値を固定して設定した時の弾性画像輝度分布の時間的変動を示す図。
【図12】図9の弾性データ処理部において、弾性フレームデータの上限値及び下限値を統計学的な共通の条件にて適宜的に設定した時の弾性画像輝度分布の時間的変動を示す図。
【図13】RF信号フレームデータ選択部と弾性データ処理部との連携した動作の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明による超音波診断装置の実施の形態を示すブロック図である。この超音波診断装置は、超音波を利用して被検体100の診断部位について断層像を得ると共に、生体組織の硬さ又は柔らかさを表す弾性画像を表示することのできるものである。この超音波診断装置は、図1に示すように、超音波探触子101と、送波回路102と、受信回路103と、整相加算回路104と、信号処理部105と、白黒スキャンコンバータ106と、画像表示器107と、RF信号フレームデータ選択部108と、変位計測部109と、圧力計測部110と、歪み及び弾性率演算部111と、弾性データ処理部112と、カラースキャンコンバータ113と、切替加算器114とを具備して構成されている。
【0013】
超音波探触子101、送波回路102、受信回路103、整相加算回路104及び信号処理部105によって、超音波送受信手段が構成される。この超音波送受信手段は、超音波探触子101を用いて超音波ビームを被検体の体内で一定方向に走査させることにより、一枚の断層像を得るものである。超音波探触子101は、多数の振動子を短冊状に配列して形成されたものであり、機械式または電子的にビーム走査を行って被検体に超音波を送信及び受信するもので、図示は省略したがその中には超音波の発生源であると共に反射エコーを受信する振動子が内蔵されている。各振動子は、一般に、入力されるパルス波、または連続波の送波信号を超音波に変換して発射する機能と、被検体の内部から反射する超音波を受けて電気信号の受波信号に変換して出力する機能を有して形成される。
【0014】
送波回路102は、超音波探触子101を駆動して超音波を発生させるための送波パルスを生成すると共に、内蔵された送波整相加算回路によって送信される超音波の収束点をある深さに設定するものである。受信回路103は、超音波探触子101で受信した反射エコー信号を所定のゲインで増幅するものである。増幅された各振動子の数に対応した数の受波信号がそれぞれ独立した受波信号として整相加算回路104に入力される。整相加算回路104は、受信回路103で増幅された受波信号を入力し、それらの位相を制御し、一点又は複数の収束点に対して超音波ビームを形成するものである。信号処理部105は、整相加算回路104からの受波信号を入力してゲイン補正、ログ圧縮、検波、輪郭強調、フィルタ処理等の各種信号処理を行うものである。
【0015】
白黒スキャンコンバータ106は、前述の超音波送受信手段の信号処理部105から出力される反射エコー信号を用いて運動組織を含む被検体100内のRF信号フレームデータを超音波周期で取得し、このRF信号フレームデータを切り替え加算器114を介して画像表示器107に表示するものである。従って、白黒スキャンコンバータ106は、テレビジョン方式の周期でRF信号フレームデータを順次読み出すための断層走査手段及びシステムの制御を行うための手段、例えば、信号処理部105からの反射エコー信号をディジタル信号に変換するA/D変換器と、このA/D変換器でディジタル化された断層像データを時系列に記憶する複数枚のフレームメモリと、これらの動作を制御するコントローラなどを含んで構成される。
【0016】
画像表示器107は、白黒スキャンコンバータ106によって得られた時系列の断層像データを表示するものであり、切替加算器114を介して白黒スキャンコンバータ106から出力される画像データをアナログ信号に変換するD/A変換器と、このD/A変換器からのアナログビデオ信号を入力して画像として表示するカラーテレビモニタとから構成される。
【0017】
この実施の形態においては、整相加算回路104の出力側から分岐してRF信号フレームデータ選択部108と変位計測部109とが設けられると共に、これと並列に圧力計測部110が設けられている。変位計測部109及び圧力計測部110の後段には、歪み及び弾性率演算部111と弾性データ処理部112とカラースキャンコンバータ113とが設けられ、このカラースキャンコンバータ113と白黒スキャンコンバータ116の出力側には切替加算器114が設けられている。
【0018】
この実施の形態に係るRF信号フレームデータ選択部108の動作について、図2を用いて説明する。図2は、図1のRF信号フレームデータ選択部の一実施例を示す図である。RF信号フレームデータ選択部108は、変位計測の基準となる一つのRF信号フレームデータとして過去に遡るフレーム数(現フレームデータとのフレーム間隔数)を任意に選択するものである。すなわち、RF信号フレームデータ選択部108は、超音波診断装置のフレームレートで整相加算回路104から経時的に次々と出力されるRF信号フレームデータをフレームメモリ1081内に順次確保する。RF信号フレームデータ選択部108は、フレームメモリ1081内に現時点で確保されているものをRF信号フレームデータNとする。RF信号フレームデータ選択部108は、超音波診断装置の制御部200からの制御命令に従って時間的に過去のRF信号フレームデータN-1,N-2,N-3,・・・,N-Mの中から1つのRF信号フレームデータを選択し、それをRF信号フレームデータXとして、RF信号フレームデータ選択回路1082に一時的に格納する。RF信号フレームデータ選択部108は、フレームメモリ1081に格納されている最新のRF信号フレームデータNとRF信号フレームデータ選択回路1082に格納されているRF信号フレームデータXとを、並列的に変位計測部109に出力する。
【0019】
すなわち、RF信号フレームデータ選択部108は、まず、変位計測部109に送出する1組のRF信号フレームデータを構成する過去のRF信号フレームデータXとして、現在のRF信号フレームデータNに時間的に隣接するRF信号フレームデータN-1のみならず、過去のRF信号フレームデータXとしてMフレーム(M=1、2、3、・・・)を間引いたRF信号フレームデータN-Mを任意に選択することができるものである。なお、間引いたフレーム間隔数M(M=1、2、3、・・・)は、超音波診断装置のユーザーインターフェイスによって任意に設定・変更できるようになっている。
【0020】
図3は、図1のRF信号フレームデータ選択部の別の実施例を示す図である。図3のRF信号フレームデータ選択部108は、超音波診断装置の制御部200からの制御命令に従って、過去のある時相Pにおいて取得されたRF信号フレームデータPをフレームメモリ1081内に確保する。RF信号フレームデータ選択回路1082は、フレームメモリ1081内に確保されているRF信号フレームデータPを、アップデートすることなく、任意の時相における過去のRF信号フレームデータとして常に参照する。従って、変位計測部109には、現在確保されたRF信号フレームデータNとRF信号フレームデータPから構成される1組のRF信号フレームデータが取り込まれる。図3のような機能を採用するかどうか、また採用した場合にRF信号フレームデータPを取得するタイミングはどうするかなどの設定は、超音波診断装置のユーザーインターフェイスによって任意に切り替え・設定・変更できるようになっている。
【0021】
1組のRF信号フレームデータを構成する過去と現在のRF信号フレームデータN,Pの間隔を隣接フレームに限定した場合、一連の加圧もしくは減圧操作過程の間に取得された複数のRF信号フレームデータの組を構成するRF信号フレームデータの間の時間間隔において与えられた加圧量もしくは減圧量は、弾性画像データの描出に適した加圧量もしくは減圧量(一般に1%程度)に十分に達することができない場合がある。これに対して、図2及び図3に示すようにRF信号フレームデータ選択部を構成することによって、過去と現在のRF信号フレームデータの間のフレーム間隔を十分に大きくすることができ、弾性フレームデータによる弾性画像を適切に描出することが可能となる。これは特に、超音波検査において、被検者の体格の物理的な制約により、一連の加圧もしくは減圧操作過程における加圧もしくは減圧の速度を十分に大きくできないような状況において非常に有用である。
【0022】
変位計測部109は、RF信号フレームデータ選択部108によって選択された1組のRF信号フレームデータに基づいて1次元もしくは2次元相関処理を実行し、断層像上の各点の変位もしくは移動ベクトル(変位の方向と大きさ)を計測するものである。この移動ベクトルの検出法としては、例えば、特許文献1に記載されたようなブロック・マッチング法とグラジェント法とがある。ブロックマッチング法は、画像を例えばN×N画素からなるブロックに分け、現フレーム中の着目しているブロックに最も近似しているブロックを前フレームから探し、これを参照して予測符号化を行うものである。
【0023】
圧力計測部110は、被検体100の診断部位の体腔内圧力を計測又は推定するものである。この超音波診断装置は、探触子ヘッド1011に設けられた超音波探触子101を用いて制御部200の制御の下で超音波送受信を行いつつ、探触子ヘッド1011に設けられた加圧器115によって加圧もしくは減圧し、被検体100の診断部位の体腔内に応力分布を与える方法を採用している。この方法では、探触子ヘッド1011と被検体100との間にどの程度の圧力が印加されているかを計測するために、例えば、図4に示すように、棒状部材に架かる圧力を検出する圧力センサ1012を探触子ヘッド1011の側面に取り付け、探触子ヘッド1011と被検体100の間の圧力を任意の時相で測定し、測定された圧力値を歪み及び弾性率演算部111に送出するようになっている。なお、図4では、探触子ヘッド1011を加圧・減圧する加圧器115は省略してある。
【0024】
歪み及び弾性率演算部111は、変位計測部109及び圧力計測部110からそれぞれ出力される移動量(変位)及び圧力に基づいて断層像上の各点の歪み及び弾性率を演算して、歪みもしくは弾性率の数値データ(弾性フレームデータ)を生成し、それを弾性データ処理部112に出力するものである。歪み及び弾性率演算部111が行う歪みの演算についは、例えば、圧力のデータを必要とせず、その変位を空間微分することによって計算上求めるものとする。また、弾性率の内の一つであるヤング率の演算については、圧力の変化を移動量の変化で除することによって計算上求めるものとする。
【0025】
図5は、図1の弾性データ処理部の動作の一実施例を示す図である。弾性データ処理部112は、歪み及び弾性率演算部111から経時的に次々と入力される弾性フレームデータXをフレームメモリ1121内に順次確保する。弾性データ処理部112は、フレームメモリ1121内に現時点で確保された弾性フレームデータを弾性フレームデータNとする。従って、フレームメモリ1121内には、弾性フレームデータがN,N-1,N-2,・・・,N-Mの順番で経時的に記憶されている。加算平均処理回路1122は、超音波診断装置の制御部200からの制御命令に従って、フレームメモリ1121に確保されている弾性フレームデータの中から現時点に最も近いものから順番にMフレーム分の弾性フレームデータを選択する。加算平均処理回路1122は、フレームメモリ1121の中から選択された現在の弾性フレームデータN及び過去のMフレーム分の弾性フレームデータN-1,N-2,・・・,N-Mとに基づいて、同座標データ点同士の加算平均処理を行う。この加算平均処理によって得られた弾性フレームデータを現在の弾性フレームデータYとしてカラースキャンコンバータ113に送出する。なお、弾性フレームデータの加算平均処理において選択される過去の弾性フレームデータのフレーム数Mと、弾性フレームデータの加算平均処理機能の採否は、超音波診断装置のユーザーインターフェイスにおいて任意に設定・変更できるようになっている。
【0026】
上述の動作を式で表すと以下のようになる。

ここで、指標i,jは、各フレームデータの座標を表す。
一連の加圧もしくは減圧操作の過程の間に、加圧もしくは減圧の速度が時間的に一定であっても、対象を垂直方向に均等に加圧できている時相ばかりあるとは限らず、斜め方向に不均等に加圧もしくは減圧してしまう時相が生じ、対象物内の応力分布の時間的変化を不連続にしてしまう時相が生じ得る。演算された弾性フレームデータをそのままカラースキャンコンバータ113に送出した場合、このような時相においては、時間軸方向の1連の弾性フレームデータ(歪みデータ)の中に応力分布の時間的変化に不連続な飛びのある座標領域が生じるため、弾性画像としても、時間的に不連続な飛びのある領域をノイズとして含む映像となり画像診断を困難なものとすることがある。この実施の形態による弾性データ処理部における加算平均処理回路1122は、時間軸方向の弾性フレームデータの間での加算平均処理を行うことにより、時間的に不連続な飛びのある領域を連続的になるように緩和することができ、これによってノイズを低減することができる。
【0027】
図6は、図1の弾性データ処理部の動作の別の実施例を示す図である。この実施例の弾性データ処理部112は、入力される弾性フレームデータに対して対数変換を行うものである。弾性データ処理部112は、歪み及び弾性率演算部111から経時的に次々と出力される弾性フレームデータXをフレームメモリ1123内に確保し、圧縮処理回路1124によって、超音波診断装置の制御部200からの制御命令の指示を反映した弾性フレームデータと弾性画像データとの間の対応関係により、データの対数変換を行い、変換後の弾性フレームデータを弾性フレームデータYとして、カラースキャンコンバータ113に送出するものである。図6の弾性データ処理部112が行う対数処理は、入力される弾性フレームデータを(弾性フレームデータX)i,j、出力される弾性フレームデータを(弾性フレームデータY)i,jで表すと、以下の式によって表される。

ここで、指標i,jは、各フレームデータの座標を表し、また、上記A,B,Cはそれぞれある定数を示す。特に、上式における定数A、B、Cの値の組合せと圧縮処理機能の採否は、超音波診断装置のユーザーインターフェイスにおいて任意に設定・変更できるようになっている。
【0028】
特に弾性画像による画像診断においては、癌組織の疑いのある硬化部を明確に検出することに大きな意義があり、硬い領域を際立たせて描出できることが重要である。生体組織の性状として、例えば乳腺領域においては、脂肪組織と癌組織の硬さの違いが数十倍にもなるという報告がある(T.A.Krouskopet al,Ultrasonic Imaging,1998)。しかし、現存の超音波診断装置による色相情報変換手段もしくは白黒輝度情報変換手段における弾性フレームデータの弾性画像化は、弾性フレームデータの各値と弾性画像データの各値が線形の関係を有しているため、これらの組織の硬さの違いを同一の弾性画像に描出した場合、弾性フレームデータのどの領域を画像化する範囲として選択しても、柔らかい領域と硬い領域の2領域の間の硬さの空間的な変化過程を線形の関係でしか描出できず、硬い領域を際立たせて、硬化部の輪郭として把握することは困難である。すなわち、極端に柔らかい領域と極端に硬い領域の2領域だけが浮き出されて描出され、それは2値化されたような画像になり、柔らかい領域から固い領域への大きな硬さの変化過程を色相情報もしくは白黒輝度情報として適切に表現することが困難であった。従って、弾性画像診断として、硬化した癌組織の大きさの判定が困難になる場合があったが、上述の実施の形態にように弾性データ処理部112に圧縮処理回路1124を用いることによって、図7に示すように、入力された弾性フレームデータにおいて、小さい値を有した領域(硬い部分の領域)の座標空間的な値の変化過程は敏感な弾性フレームデータとなり、大きい値を有した領域(柔らかい部分の領域)の座標空間的な値の変化過程は鈍感な弾性フレームデータとなり、弾性データ処理部112から出力される弾性フレームデータに基づいて弾性画像データを生成した場合、硬い領域を際立たせて、硬化部の輪郭を把握することが容易になる。
【0029】
図6の弾性データ処理部112の圧縮処理回路1124が行うデータ変換処理として、対数変換を例に説明したが、上述に示した目的を達成する特性をもった別の変換関数を用いて圧縮処理を行ってもよい。例えば、A,Bを定数として、Y=A×(1-Exp(-B×X))等を用いても良い。また、数種類の変換関数を準備し、超音波診断装置のユーザーインターフェイスで任意に設定・変更できるようにしても良い。さらに、例えば、図8に示すような、複数の曲線で1つの変換関数を構成するようにしてもよい。図8の関数において、交点Aを上下左右の任意に設定・変更できるようにしても良い。
【0030】
図9は、図1の弾性データ処理部の動作のさらに別の実施例を示す図である。図9の弾性データ処理部112は、入力される弾性フレームデータに対して統計処理を行うものである。すなわち、図9の弾性データ処理部112は、歪み及び弾性率演算部111から経時的に次々と出力される弾性フレームデータXを弾性データ処理部112のフレームメモリ1123内に確保する。弾性データ処理部112の統計処理回路1125は、超音波診断装置の制御部200からの制御命令(統計処理領域情報1126)の指示を反映した弾性フレームデータの座標領域において、弾性フレームデータの統計処理を行い、その結果である統計的特徴量を基準にして、弾性画像データを生成する際に画像データ化する範囲として選択される弾性フレームデータの上限値及び下限値を決定し、それを弾性フレームデータY及び上限値及び下限値をカラースキャンコンバータ113に送出するようにしたものである。
【0031】
図9の統計処理回路1125における統計的特徴量として、例えば、平均値、分散値を求めてもよく、入力される弾性フレームデータを(弾性フレームデータX)i,jと表すと、平均値及び分散値は以下の式によって表される。

ただし、上式におけるΣは、超音波診断装置の制御部200からの制御命令である統計処理領域情報1126を反映した弾性フレームデータの座標領域におけるデータ要素の和を表す。
【0032】
なお、弾性画像データを生成する際に画像データ化する範囲として選択する弾性フレームデータの上限値及び下限値として、
(上限値)=(平均値)+(定数D)×(分散値)
{もしくは(上限値)=(定数D’)×(平均値)}
(下限値)=(平均値)-(定数E)×(分散値)
{もしくは(下限値)=(定数E’)×(平均値)}
とし、求められた上限値及び下限値をカラースキャンコンバータ113に送出してもよい。また、超音波診断装置のユーザーインターフェイスにおいて定数D又はD’及びE又はE’を任意に設定・変更できるようにしてもよい。さらに、上限値及び下限値の内、一方のみを上式で設定し、他方は弾性フレームデータの統計的特徴を反映しない固定値に設定してもよい。例えば、下限値を歪み量0%に固定、上限値を平均値+2×分散値のように設定してもよい。
【0033】
図10は、加圧・減圧速度の時間的な変化とRF信号の取得タイミングとの間の関係の一例を示す図である。図10から明かなように、一連の加圧もしくは減圧操作過程の間に、加圧もしくは減圧速度Vが変動した場合、RF信号フレームデータS1とRF信号フレームデータS2との組で算出された弾性フレームデータをE1とし、RF信号フレームデータS2とRF信号フレームデータS3との組で算出された弾性フレームデータをE2、RF信号フレームデータS3とRF信号フレームデータS4との組で算出された弾性フレームデータをE3、RF信号フレームデータS4とRF信号フレームデータS5との組で算出された弾性フレームデータをE4とし、それぞれの弾性フレームデータE1〜E4の同一座標領域の統計分布(ヒストグラム)を、縦軸をデータ要素の個数、横軸を歪み量として同一スケールで模式的に描くと、図11に示したようになる。
【0034】
図11に示すように、時系列的に取得された一連の弾性フレームデータの中の同一領域の弾性フレームデータE1〜E4は経時的に変動している。すなわち、一連の加圧もしくは減圧操作過程の間に、加圧もしくは減圧速度が変動した場合、時系列的に取得された一連の弾性フレームデータの中の同一領域の弾性フレームデータは経時的に変動することを意味する。従来の超音波診断装置による色相情報変換手段もしくは白黒輝度情報変換手段における弾性フレームデータの弾性画像化は、弾性フレームデータの各値と弾性画像データの各値が一対一に固定されて対応している。例えば、図11に示すような弾性フレームデータE2で最適化した場合の上限値及び下限値を用いて、任意の時相における弾性フレームデータE1〜E4の上限値及び下限値を固定して弾性画像データを生成している。この場合、弾性フレームデータE3の時相においては、比較的大きな歪みが算出された領域が過大飽和した弾性画像データEP3となり、逆に、弾性フレームデータE1の時相においては、比較的小さい歪みが算出された領域が過小飽和した弾性画像データEP1となり、弾性フレームデータE2を取得した時相におけるような、階調性が最適化された弾性画像データEP2を、任意の時相において生成できるとは限らない。
【0035】
このように従来の超音波診断装置によるカラースキャンコンバータにおける弾性フレームデータの弾性画像化は、加圧もしくは減圧速度が変動した場合、それに応じて時系列的に取得された一連の弾性画像データの中の同一領域の白黒輝度もしくは色相が変動した映像となり画像診断を困難なものにしていた。すなわち、すべての時相において、その固定された対応関係が弾性画像のコントラストを最適化しているとは限らなかった。この実施の形態による弾性データ処理部における統計処理回路においては、図10に示したような一連の加圧もしくは減圧操作過程の間に、加圧もしくは減圧速度Vが変動した場合、任意の時相において、弾性フレームデータの統計処理を施し、その統計的特徴量を基準にした上限値及び下限値を設定するようにした。例えば、図12に示すような、(平均値)±(定数D)×(分散値)を任意の時相の弾性フレームデータに対して算出する。ここで、定数Dは任意の時相において共通の値とする。
【0036】
このようにして求められた任意の時相における弾性フレームデータの統計学的に共通な上限値及び下限値をカラースキャンコンバータに送出し、その上限値及び下限値の範囲で弾性画像データを生成することにより、図12に示したような、任意の時相において弾性フレームデータ要素を効率良く階調化した弾性画像データを生成することができる。この実施の形態に係る弾性データ処理部における統計処理回路によれば、加圧もしくは減圧速度が変動した場合でも、時系列的に取得された一連の弾性画像データの中の同一領域の白黒輝度もしくは色相の変動を抑制し、時間的に安定した映像を提供することができるようになり、画像診断を容易なものとすることができる。すなわち、弾性画像データ内の過大飽和した画素数の比率と過小飽和した画素数の比率とを任意の時相において一定の分布曲線に規格化することができ、白黒輝度若しくは色相の変動を抑制した映像を得ることができるようになる。
【0037】
上述の実施の形態では、RF信号フレームデータ選択部の動作の一つとして、1組のRF信号フレームデータを選択し、その1組のRF信号フレームデータの間のフレーム間隔数を可変とする場合について説明し、また、弾性データ処理部における動作の一例として、弾性データ処理部に備えられた統計処理回路において、弾性フレームデータの統計処理を行う場合について説明した。次は、RF信号フレームデータ選択部と弾性データ処理部とが連携して動作する場合について説明する。
【0038】
図13は、RF信号フレームデータ選択部と弾性データ処理部との連携した動作の一例を示す図である。まず、RF信号フレームデータ選択部108において、今回の弾性フレームデータを生成する際に採択される1組のRF信号フレームデータの間のフレーム間隔数の情報(今回フレーム間隔数情報131)を、弾性データ処理部112のフレーム間隔最適化回路1127に送出する。さらに、弾性データ処理部112の統計処理回路1125によって、今回の弾性フレームデータの統計処理を行い、その結果の統計的特徴量の情報をフレーム間隔最適化回路1127に送出する。フレーム間隔最適化回路1127は、RF信号フレームデータ選択回路1082から出力された今回フレーム間隔数情報131と、統計処理回路1125から出力された今回の弾性フレームデータの統計的特徴量の情報とに基づいて、次回の弾性フレームデータを生成する際に採択される1組のRF信号フレームデータの間のフレーム間隔数として最適なフレーム間隔数を演算し、その最適なフレーム間隔数の情報を、RF信号フレームデータ選択回路1082に次回フレーム間隔数情報132としてフィードバックする。RF信号フレームデータ選択回路1082は、フレーム間隔最適化回路1127から出力された最適なフレーム間隔数(次回フレーム間隔数情報132)に基づいて、次回の弾性フレームデータを生成する際に採択される1組のRF信号フレームデータの間のフレーム間隔数を設定する。
【0039】
フレーム間隔最適化回路1127の動作の一例を以下に説明する。今回の弾性フレームデータを生成する1組のRF信号フレームデータのフレーム間隔数(今回のフレーム間隔数)と、今回の弾性フレームデータの統計処理結果として、歪み量の平均値がフレーム間隔最適化回路1127に入力され、定数Aを0.5〜2.5の範囲とした場合に求めれる最適なフレーム間隔数は、次式によって求められる。

このようにして求められた最適なフレーム間隔数に最も近い自然数が次回の弾性フレームデータを生成する1組のRF信号フレームデータのフレーム間隔数の情報(次回フレーム間隔数情報132)として、RF信号フレーム選択回路1082に送出される。例えば、定数Aとして「1」を設定した場合、次回の弾性フレームデータにおける歪み量として約1%近くのものが得られるものと予測されるフレーム間隔数がRF信号フレーム選択部に送出されることになる。
【0040】
弾性画像による画像診断における硬い領域と柔らかい領域のコントラスト分解能は、1組のRF信号フレームデータを取得する間の時間間隔において、物理的に与えられた加圧量もしくは減圧量に大きく依存し、一般には、結果として0.5%〜2.5%程度の歪み量を与えられる加圧量もしくは減圧量の範囲において、最もコントラスト分解能の高い弾性像が得られると言われている。図13に示す実施の形態のように、RF信号フレームデータ選択部108と弾性データ処理部112のフレーム間隔最適化回路1127とを連携して構成した場合、弾性像として歪み量の最適な範囲を大きく逸脱するような、瞬時的に大きく、もしくは、小さく、加圧もしくは減圧された過程においても、1組のRF信号フレームデータの間のフレーム間隔数を最適化することにより瞬時に対応し、コントラスト分解能の高い弾性像を時間的に安定して描出することができる。
【0041】
カラースキャンコンバータ113は、弾性データ処理部112から出力される弾性フレームデータと、超音波診断装置の制御部200から出力される命令又は弾性データ処理部112から出力される弾性フレームデータの中の階調化選択範囲とする上限値及び下限値とを入力し、その弾性フレームデータから弾性画像データとして赤、緑、青などの色相情報を付与する色相情報変換手段を備えている。この色相情報変換手段は、例えば、弾性データ処理部112から出力される弾性フレームデータにおいて、歪みが大きく計測された領域を、弾性画像データ内で赤色コードに変換し、逆に歪みが小さく計測された領域を、弾性画像データ内で青色コードに変換するように動作する。また、カラースキャンコンバータ113は、上述の白黒スキャンコンバータ106で構成してもよい。この場合には、歪みが大きく計測された領域は、弾性画像データ内で輝度を明るくし、逆に歪みが小さく計測された領域は、弾性画像データ内で輝度を暗くすればよい。また、RF信号フレームデータ選択部108と、図5,図6,図9又は図13に示すようなそれぞれ異なる働きをする弾性データ処理部を複数組合せることによって構成された弾性データ処理部と、カラースキャンコンバータ113とを用いて、弾性画像データを生成するようにしてもよい。
【0042】
さらに、切替加算器114は、白黒スキャンコンバータ106からの白黒の断層像データとカラースキャンコンバータ113からのカラーの弾性画像データとを入力し、両画像を加算又は切り替える手段となるもので、白黒の断層像データだけ又はカラーの弾性画像データだけを出力したり、あるいは両画像データを加算合成して出力したりするように切り替えるようになっている。また、例えば、特許文献2に記載してあるように、2画面表示において白黒断層像とカラーもしくは白黒スキャンコンバータによる白黒弾性画像を同時に表示しても良い。切替加算器114から出力された画像データは画像表示器107に出力されるようになっている。
【0043】
次に図1のように構成された超音波診断装置の動作について説明する。まず、被検体100の体表面に接触された超音波探触子101に送波回路102により高電圧電気パルスを印加して超音波を打出し、診断部位からの反射エコー信号を超音波探触子101で受信する。この受波信号は、受信回路103へ入力して前置増幅された後、整相加算回路104へ入力する。そして、この整相加算回路104により位相が揃えられた受波信号は、次の信号処理部105で圧縮・検波などの信号処理を受けた後、白黒スキャンコンバータ106へ入力する。この白黒スキャンコンバータ106では、受波信号がA/D変換されると共に、時系列的に連続する複数の断層像データとして内部の複数枚のフレームメモリに記憶される。
【0044】
次にRF信号フレームデータ選択部108に記憶されたRF信号フレームデータの内、時系列的に連続する複数枚のRF信号フレームデータが選択され、変位計測部109へ出力され、1次元又は2次元の変位分布が求められる。この変位分布の算出は、前述の移動ベクトルの検出法として、例えばブロック・マッチング法によって行うが、特にこの方法によらなくても良いのは言うまでもなく、一般的に用いられる、2画像データの同一領域における自己相関を計算して変位を算出しても良い。
【0045】
一方、圧力計測部110には、圧力センサ1012によって体表面に加えられた圧力が計測され、その計測信号が保持される。変位計測部109及び圧力計測部110から出力された変位ΔL及び圧力ΔPのそれぞれの計測信号は、歪み及び弾性率演算部111に入力され、歪みはΔLを空間微分(ΔL/ΔX)することによって計算される。特に弾性率の内、ヤング率Ymは次式によって計算される。
【0046】
Ym=(ΔP)/(ΔL/L)
このようにして求められた弾性率Ymにより、各点の弾性率が求められ、2次元の弾性画像データが連続的に得られる。
【0047】
このようにして求められた弾性フレームデータは、カラースキャンコンバータ113もしくは白黒スキャンコンバータ106に入力され、色相情報もしくは白黒輝度情報に変換される。その後、切替加算器114を介して、白黒の断層像とカラーの弾性画像が加算合成され、又は、白黒の断層像と白黒の弾性画像を加算せずに画像表示器107に送り込み、1つの表示画面中に白黒断層像とカラーの弾性画像を重畳して表示する。または、白黒断層像と白黒弾性画像を2画面を同一画面上に同時に表示しても良い。また、白黒断層像は、特に一般のB像のみに限ったものではなく、受信信号の高調波成分を選択して画像化するティシューハーモニック断層像を用いても良い。また、同様に白黒断層像の代わりに、ティシュードプラ像を表示しても良く、その他、2画面に表示する画像を様々な組合せにより選択されても良い。
【0048】
なお、上述の弾性画像の形成については、生体組織の歪み若しくはヤング率Ymを求めてから弾性画像データを生成する場合について説明したが、この発明では、これに限定されることなく、例えば、スティフネスパラメータβ、圧弾性係数Ep、増分弾性係数Eincなどの他のパラメータを用いて弾性率を演算しても良い。(特許文献1を参照のこと)。
【0049】
また、図1に示した実施の形態では、被検体の体表面に超音波探触子を接触させる場合について説明したが、本発明はこれに限らず、経食道探触子又は血管内探触子を用いた場合でも同様に適用できる。この実施の形態によれば、超音波診断装置の高い信頼性と安定性を実現することができる。
【符号の説明】
【0050】
100 被検体、101 超音波探触子、1011 探触子ヘッド、1012 圧力センサ、102 送波回路、103 受信回路、104 整相加算回路、105 信号処理部、106 白黒スキャンコンバータ、107 画像表示器、108 RF信号フレームデータ選択部、1081 フレームメモリ、1082 RF信号フレーム選択回路、109 変位計測部、110 圧力計測部、111 歪み及び弾性率演算部、112 弾性データ処理部、1121 フレームメモリ、1122 加算平均処理回路、1123 フレームメモリ、1124 圧縮処理回路、1125 統計処理回路、1126 統計処理領域情報、1127 フレーム間隔最適化回路、113 カラースキャンコンバータ、114 切替加算器、115 加圧器、131 今回フレーム間隔数情報、132 次回フレーム間隔数情報、200 超音波装置制御部、14 変位・歪み変換回路、15 織歪み分布データ、16 超音波断層画像探触子位置メモリ、17 歪み弾性画像探触子位置メモリ、18 画像処理部、19 位置合わせ回路、20 重ね合わせ画像データ、28 xyzステージ、29 xyzステージ制御部、30 閾値設定・判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に超音波を発生させる振動子を含む超音波探触子と、
超音波を送受信する超音波送受信手段と、
受信した超音波に基づいてRF信号フレームデータを生成する整相加算手段と、
複数の前記RF信号フレームデータを時系列的に記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶されている最新の前記RF信号フレームデータと過去の前記RF信号フレームデータをフレーム間隔を可変可能にして選択するRF信号フレームデータ選択手段と、
前記RF信号フレームデータ選択手段によって選択された一組のRF信号フレームデータに基づいて歪み又は弾性率を表す弾性フレームデータを生成し、弾性画像を生成する弾性データ処理手段と、
前記弾性画像を表示する画像表示手段と、
を有することを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記RF信号フレームデータ選択手段は、変位計測対象となるRF信号フレームデータの組として、最新のRF信号フレームデータと、これより任意のフレーム数だけ過去に遡った所定フレーム間隔数だけ離れたRF信号フレームデータとを選択することができ、前記フレーム間隔数をユーザーインターフェイスによって任意に設定・変更できるようにしたことを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記RF信号フレームデータ選択手段は、変位計測対象となるRF信号フレームデータの組として、最新のRF信号フレームデータと、任意の固定時刻のRF信号フレームデータとを選択することができ、前記固定時刻をユーザーインターフェイスによって任意に設定・切り替えられるようにしたことを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記弾性データ処理手段は、最新の弾性フレームデータと数フレーム分過去の弾性フレームデータとの間で、同座標データ点同士の加算平均処理を行い、その加算平均処理後の弾性フレームデータを現時点の弾性フレームデータとして出力する加算平均処理手段を有することを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記弾性データ処理手段は、生成された弾性フレームデータを対数変換など圧縮方式に従って圧縮処理を行うものであって、前記圧縮方式とその採否をユーザーインターフェイスによって任意に設定・変更できるようにしたことを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項6】
取得された時系列のRF信号フレームデータに基づいて断層フレームデータを生成する信号処理手段と、この信号処理手段によって生成された時系列の断層フレームデータを断層像に変換する断層像変換手段とを備え、前記断層像及び弾性画像の少なくとも一方を表示することを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−148593(P2009−148593A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−47467(P2009−47467)
【出願日】平成21年3月2日(2009.3.2)
【分割の表示】特願2003−6932(P2003−6932)の分割
【原出願日】平成15年1月15日(2003.1.15)
【出願人】(000153498)株式会社日立メディコ (1,613)
【Fターム(参考)】