超音波診断装置
【課題】血管壁の厚さが正常であるか否かを容易に判断することができる超音波診断装置を提供する。
【解決手段】被検体に対して超音波を送信して得られたエコー信号の強度又はこのエコー信号に基づいて作成されたBモード画像の輝度情報に基づいて、血管壁の厚さを算出する壁厚算出部52と、この壁厚算出部52で得られた異なる算出箇所における算出値の比を算出する比算出部53と、を備えることを特徴とする。前記壁厚算出部52は、生体組織の弾性情報に基づいて血管壁の厚さを算出してもよい。
【解決手段】被検体に対して超音波を送信して得られたエコー信号の強度又はこのエコー信号に基づいて作成されたBモード画像の輝度情報に基づいて、血管壁の厚さを算出する壁厚算出部52と、この壁厚算出部52で得られた異なる算出箇所における算出値の比を算出する比算出部53と、を備えることを特徴とする。前記壁厚算出部52は、生体組織の弾性情報に基づいて血管壁の厚さを算出してもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管の状態を診断することができる超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
動脈硬化は、脳梗塞や心筋梗塞などの病気を引き起こすといわれている。動脈硬化が進行すると血管壁が厚くなるため、動脈硬化の診断の一手法として、超音波診断装置を用いて血管壁の厚さを測定することが行なわれている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−39277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、人によって身長や体重の違いがあることなどにより、血管壁の厚さは人によって異なっている。従って、血管壁の厚さを測るだけでは、その厚さが正常な状態の厚さであるか否かの判断が困難な場合もある。このようなことから、血管壁の厚さが正常であるか否かを容易に判断することができる超音波診断装置が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の課題を解決するためになされた第1の観点の発明は、被検体に対して超音波を送信して得られたエコー信号に基づいて、血管壁の厚さを算出する壁厚算出部と、該壁厚算出部で得られた異なる算出箇所における算出値の比を算出する比算出部と、を備えることを特徴とする超音波診断装置である。
【0006】
第2の観点の発明によれば、第1の観点の発明において、前記壁厚算出部は、前記エコー信号の強度又は該エコー信号に基づいて作成されたBモード画像の輝度情報に基づいて血管壁の厚さを算出することを特徴とする超音波診断装置である。
【0007】
第3の観点の発明は、第1の観点の発明において、前記壁厚算出部は、生体組織の弾性情報に基づいて血管壁の厚さを算出することを特徴とする超音波診断装置である。
【0008】
第4の観点の発明は、第1の観点の発明において、前記壁厚算出部は、前記エコー信号の強度又は該エコー信号に基づいて作成されたBモード画像の輝度情報に基づいて算出される血管壁の厚さと、生体組織の弾性情報に基づいて算出される血管壁の厚さとに基づいて、前記比算出部における比の算出に用いる血管壁の厚さを算出することを特徴とする超音波診断装置である。
【0009】
第5の観点の発明は、第3又は4の観点の発明において、前記壁厚算出部は、前記エコー信号の強度又は該エコー信号に基づいて作成されたBモード画像の輝度情報に基づいて血管壁の位置を特定して、前記弾性情報に基づく血管壁の厚さを算出することを特徴とする超音波診断装置である。
【0010】
第6の観点の発明は、第1〜5のいずれか一の観点の発明において、前記比の算出に用いる算出値は、被検体における異なる部位の算出値であることを特徴とする超音波診断装置である。
【0011】
第7の観点の発明は、第1〜5のいずれか一の観点の発明において、前記比の算出に用いる算出値は、被検体における同一の部位についての異なる算出箇所の算出値であることを特徴とする超音波診断装置である。
【0012】
第8の観点の発明は、第1〜7のいずれか一の観点の発明において、前記比算出部で算出された比を表示部に表示する表示設定部を備えることを特徴とする超音波診断装置である。
【0013】
第9の観点の発明は、被検体に対して超音波を送信して得られたエコー信号に基づいて作成された超音波画像を表示する表示部と、該表示部に表示された前記超音波画像において、血管壁を指定する入力を行なう操作部と、該操作部によって指定された血管壁の厚さを算出する壁厚算出部と、該壁厚算出部で得られた異なる算出箇所における算出値の比を算出する比算出部と、を備えることを特徴とする超音波診断装置である。
【発明の効果】
【0014】
上記観点の発明によれば、血管壁の厚さの比が算出される。ここで、人によって血管壁の厚さが異なっていても、それによって血管壁の比は影響を受けない。従って、血管壁の厚さの比を算出することにより、血管壁の厚さが正常であるか否かを容易に判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る超音波診断装置の第一実施形態の概略構成の一例を示すブロック図である。
【図2】図1に示す超音波診断装置における表示制御部の構成を示すブロック図である。
【図3】第一実施形態の超音波診断装置の作用を説明するためのフローチャートを示す図である。
【図4】表示部に表示されたボディマークの一例を示す図である。
【図5】表示部に表示された算出領域の一例を示す図である。
【図6】本発明に係る超音波診断装置の第二実施形態の概略構成の一例を示すブロック図である。
【図7】図6に示す超音波診断装置における表示制御部の構成を示すブロック図である。
【図8】物理量データの作成の説明図である。
【図9】図6に示す超音波診断装置における表示部の表示の一例を示す図である。
【図10】第二実施形態の超音波診断装置の作用を説明するためのフローチャートである。
【図11】第二実施形態において、表示部に表示された算出領域の一例を示す図である。
【図12】生体組織の弾性情報に基づく血管壁Wの厚さの算出を説明する図である。
【図13】第三実施形態において、表示部に表示された算出領域の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について説明する。
(第一実施形態)
先ず、第一実施形態について、図1〜図5に基づいて詳細に説明する。図1に示す超音波診断装置1は、超音波プローブ2、送受信部3、Bモードデータ作成部4、表示制御部5、表示部6、操作部7、制御部8及び記憶部9を備える。
【0017】
前記超音波プローブ2は、アレイ状に配置された超音波振動子(図示省略)を有して構成され、この超音波振動子によって被検体に対して超音波のスキャンを行なう。前記送受信部3は、前記制御部8からの制御信号によって前記超音波プローブ2を所定の送信条件で駆動させ、スキャン面を超音波ビームによって音線順次で走査させる。
【0018】
また、前記送受信部3は、前記超音波プローブ2で得られたエコー信号について、整相加算処理等の信号処理を行ない、信号処理後のエコーデータを前記Bモードデータ作成部4へ出力する。
【0019】
前記Bモードデータ作成部4は、前記送受信部3から出力されたエコーデータに対し、対数圧縮処理、包絡線検波処理等の所定の処理を行い、Bモードデータを作成する。
【0020】
前記表示制御部5は、図2に示すように、表示画像作成部51、壁厚算出部52、比算出部53、表示設定部54を有している。
【0021】
前記表示画像作成部51は、スキャンコンバータ(Scan Converter)を含んで構成され、前記Bモードデータ作成部4からのBモードデータを輝度情報からなるBモード画像データに走査変換する。そして、前記表示画像作成部51は、このBモード画像データに基づくBモード画像を前記表示部6に表示する。
【0022】
前記壁厚算出部52は、Bモードデータ又はBモード画像データに基づいて、血管壁の厚さを算出する。詳細は後述する。前記壁厚算出部52は、本発明における壁厚算出部の実施の形態の一例である。
【0023】
前記比算出部53は、前記壁厚算出部52で得られた異なる算出箇所における算出値の比を算出する。本例では、前記比算出部53は、前記算出値の比として、比の値を算出する。詳細は後述する。前記比算出部53は、本発明における比算出部の実施の形態の一例である。
【0024】
前記表示設定部54は、前記比算出部53で算出された比の値を前記表示部6に表示する。また、前記表示設定部54は、前記壁厚算出部52で得られた算出値を前記表示部6に表示してもよい。前記表示設定部54は、本発明における表示設定部の実施の形態の一例である。
【0025】
前記表示部6は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)などで構成される。前記操作部7は、操作者が指示や情報を入力するためのキーボード及びポインティングデバイス(図示省略)などを含んで構成されている。
【0026】
前記制御部8は、CPU(Central Processing Unit)で構成され、HDD(Hard Disk Drive)などで構成される前記記憶部9に記憶された制御プログラムを読み出し、前記超音波診断装置1の各部における機能を実行させる。
【0027】
また、特に図示しないが、前記超音波診断装置1は、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などの半導体メモリ(Memory)を有している。
【0028】
さて、本例の超音波診断装置1の作用について図3のフローチャートに基づいて説明する。先ず、ステップS1では血管壁の厚さを算出する算出箇所及びスキャン順序を特定する。前記算出箇所としては、複数箇所選択される。また、前記算出箇所として、被検体における異なる複数の部位が選択されてもよいし、被検体における同一の部位について複数箇所の算出箇所が選択されてもよい。ここで、「部位」とは、例えば頚動脈、腹部大動脈、大腿動脈などを意味する。本例では、算出箇所として、後述するように被検体における異なる複数の部位(頚動脈、腹部大動脈、大腿動脈)が選択される。
【0029】
また、前記スキャン順序は複数の前記算出箇所についてスキャンを行なう順序である。このように算出箇所及びスキャン順序を特定することにより、後述の血管壁の厚さの算出値がどの算出箇所についてのものであるかが超音波診断装置1に認識される。これにより、後述のように、前記算出値がどの算出箇所の算出値であるかという算出箇所情報とともに記憶することが可能になっている。
【0030】
ステップS1における算出箇所及びスキャン順序の特定について具体的に説明する。操作者が前記操作部8において検査開始ボタン(図示省略)を押すと、例えば図4に示すようにボディマークBM1,BM2,BM3が前記表示部6に表示される。前記ボディマークBM1は、頚動脈をスキャンすることを意味するボディーマーク、前記ボディマークBM2は、腹部大動脈をスキャンすることを意味するボディーマーク、前記ボディマークBM3は、大腿動脈をスキャンすることを意味するボディーマークである。
【0031】
操作者は前記操作部7を用いて前記表示部6上の前記ボディーマークBM1〜BM3のいずれかを、スキャン順に選択する。前記制御部8は、前記操作部7からの入力によって特定された前記算出箇所とそのスキャン順序を前記記憶部9や前記半導体メモリに記憶する。
【0032】
ただし、算出箇所及びスキャン順序の特定の手法は、上記手法に限られるものではない。例えば、ボディーマークによって特定するのではなく、算出箇所とそのスキャン順序とが決められたメニューボタンを表示して選択するようにしてもよいし、操作者が前記操作部7において算出箇所とスキャン順序を入力するようにしてもよい。
【0033】
ちなみに、Bモード画像を取得したいものの、算出値の比を算出する必要がない部位がある場合もある。この場合には、Bモード画像を取得したい部位を特定するとともに、このBモード画像を取得したい部位の中から前記算出箇所を特定する。
【0034】
本例では、前記算出箇所として、頚動脈、腹部大動脈、大腿動脈が選択され、頚動脈、腹部大動脈、大腿動脈の順でスキャンを行なうものとし、これら三つ全ての部位について血管壁の厚さの算出を行なうものとする。図3のフローチャートはスキャンを行なう部位全てについて血管壁の厚さを算出する場合のフローチャートである。
【0035】
次に、ステップS2では、前記ステップS1において特定された部位について、前記超音波プローブ2によるスキャンを行なう。本例では、先ず最初に頚動脈のスキャンを行なう。そして、得られたエコー信号に基づいてBモードデータを作成して、Bモード画像を表示する。
【0036】
次に、ステップS3では、Bモード画像の輝度情報に基づいて、頚動脈の血管壁の厚さを公知の手法で自動的に算出する。具体的には、先ず図5に示すように、前記表示部6に表示されたBモード画像BGにおいて、操作者が前記操作部7を用いて算出領域MRを設定する。
【0037】
図5において、符合Blは血管であり、符合Wは血管壁である。血管壁Wは、内膜i、中膜m及び外膜oからなり、前記算出領域MRは血管壁Wが包含されるように設定される。
【0038】
前記算出領域MRが設定されると、前記壁厚算出部52が、算出領域MR内の血管壁Wの厚さをBモード画像データの輝度情報に基づいて公知の手法で算出する(例えば特開平11−318896号公報等)。
【0039】
ただし、血管壁Wの厚さは、エコー信号の強度に基づいて算出してもよい。すなわち、前記壁厚算出部52は、エコー信号の強度に応じたデータである前記Bモードデータ作成部4からのBモードデータに基づいて、血管壁Wの厚さを算出してもよい。
【0040】
また、血管壁Wの厚さは、上述のように血管壁Wを自動的に特定して算出する場合に限られるものではなく、操作者が血管壁Wを手動で特定して算出するようにしてもよい。すなわち、前記表示部6に表示されたBモード画像BGにおいて、操作者が血管壁Wと思われる場所を前記操作部7を用いてカーソル等によって指定し、この指定された部分の厚みを前記壁厚算出部52が算出するようにしてもよい。この場合、前記Bモード画像BGは、本発明における超音波画像の実施の形態の一例である。
【0041】
ここで、血管壁Wの厚さとしては、血管壁Wのうち内膜iと中膜mの厚さを算出するようになっていてもよいし、内膜iのみの厚さを算出するようになっていてもよい。
【0042】
前記壁厚算出部52によって算出された血管壁Wの厚さは、どの算出箇所の算出値であるかという算出箇所情報とともに、前記記憶部9や前記半導体メモリに記憶される。ここでは、頚動脈における血管壁Wの厚さについての算出値Aとして記憶される。
【0043】
次に、ステップS4では、比の算出タイミングであるか否かを前記比算出部53が判定する。前記比算出部53は、比の算出を行なう二つの算出値が存在する場合に、比の算出タイミングであると判定する。比の算出タイミングであると判定された場合(ステップS4においてYES)、ステップS5の処理へ移行する。一方、比の算出タイミングではないと判定された場合(ステップS4においてNO)、ステップS2の処理へ戻り、別の算出箇所についてスキャンを行ない、Bモード画像を表示する。
【0044】
ここでは、算出値として頚動脈の血管壁Wの厚さの算出値Aのみしか存在せず、比の算出を行なう二つの算出値が存在していない。従って、ステップS2の処理へ戻り、腹部大動脈についてのスキャンを行ない、そのBモード画像を表示する。そして、次にステップS3において腹部大動脈の血管壁Wの厚さを算出し、その算出値Bが記憶される。
【0045】
ちなみに、一つの算出箇所について血管壁Wの厚さの算出を終了し、次の部位のスキャンを行なって血管壁Wの厚さの算出を行なう際には、次の部位についてスキャンを行なうことを示す入力を前記操作部9において行なう。これにより、どの部位についての算出値であるかが超音波診断装置1において認識される。
【0046】
そして、再びステップS4において、比の算出タイミングであるか否かの判定が行なわれる。ここでは、比の算出を行なう二つの算出値として、算出値A,Bが存在する。従って、ステップS5の処理へ移行し、このステップS5において、前記比算出部53が算出値A,Bの比の値R1=B/Aを算出する。算出された比の値R1は、前記表示設定部54が前記表示部6に表示する。また、前記表示設定部54は、前記比の値R1とともに、前記算出値A,Bを前記表示部6に表示してもよい。
【0047】
次に、ステップS6では、ステップS1で特定された全ての算出箇所について血管壁Wの厚さを算出したか否かを前記制御部8が判定する。そして、全ての算出箇所について算出したと判定された場合(ステップS6においてYES)、処理を終了する。一方、全ての算出箇所について算出されていないと判定された場合(ステップS6においてNO)、ステップS2の処理へ戻り、別の算出箇所についてのスキャンを行なう。
【0048】
ここでは、大腿動脈についての血管壁Wの厚さの算出が行なわれていない。従って、ステップS2の処理へ戻り、大腿動脈のスキャンを行ない、そのBモード画像を表示する。そして、次にステップS3において大腿動脈の血管壁Wの厚さを算出し、その算出値Cが記憶される。
【0049】
ステップS3において大腿動脈の血管壁Wの厚さの算出値Cが得られると、再びステップS4で比の算出タイミングであるか否かの判定が行なわれる。ここでは、比の算出を行なう二つの算出値として、算出値B,C及び算出値C,Aが存在する。従って、ステップS5の処理へ移行し、このステップS5において、前記比算出部53が、算出値B,Cの比の値R2=C/Bと、算出値A,Cの比の値R3=C/Aを算出する。算出された比の値R2,R3は、前記表示設定部54が前記比の値R1とともに前記表示部6に表示する。また、前記表示設定部54は、前記比の値R1〜R3とともに、前記算出値A〜Cを前記表示部6に表示してもよい。
【0050】
ステップS5において比の値R2,R3が算出されると、ステップS6では再び全ての算出箇所について血管壁Wの厚さを算出したか否かの判定を行なう。ここでは、ステップS1で特定された全ての算出箇所、すなわち頚動脈、腹部大動脈及び大腿動脈についての算出が終了している。従って、処理を終了する。
【0051】
本例の超音波診断装置1によれば、血管壁Wの厚さの比の値が算出され前記表示部6に表示される。従って、血管壁Wの厚さの比の値の正常値(動脈硬化などによって血管壁が厚くなっていない状態での値)を求めておき、この正常値を、実際の血管壁の厚さから算出されて前記表示部6に表示される比の値と比較することにより、異常であるか否かを診断することができる。具体的に説明すると、例えば、正常な頚動脈の血管壁の厚さA′と腹部大動脈の血管壁の厚さB′の比の値R1′=B′/A′は1.3であるとする。そして、頚動脈の算出値A(血管壁の厚さ)が1.3mmであり、腹部大動脈の算出値B(血管壁の厚さ)が1.3mmであったとすると、比の値R1は、
R1=B/A=1.3/1.3=1
である。従って、実際に血管壁の厚さを算出して得られた比の値R1は、正常値よりも小さくなっている。このように、前記比の値R1が正常値よりも小さくなっていると、腹部大動脈よりも細い頚動脈の血管壁の厚さが、腹部大動脈の厚さと等しい厚さになり、正常よりも厚くなっているおそれがあることが分かる。
【0052】
ここで、従来のように血管壁の厚さを算出することのみで診断を行なう場合、血管壁の厚さは人によって異なるので診断が困難な場合がある。本例では、二ヶ所の血管壁の厚さの比の値を算出するようになっているので、血管壁の厚さのみを算出する場合と比べて血管壁の厚さが正常であるか否かを容易に判断できる。
【0053】
さらに、本例では、複数の比の値を算出しているので、血管壁の厚さが正常であるか否かをより確実に判断することができる。
【0054】
(第二実施形態)
次に、第二実施形態について説明する。図6に示すように、本例の超音波診断装置20は、物理量データ作成部21を有している。また、前記表示制御部6は、図7に示すように表示画像作成部51を有さず、代わりにBモード画像データ作成部55、弾性画像データ作成部56、合成部57を有している。
【0055】
前記物理量データ作成部21は、前記送受信部3から出力されたエコー信号に基づいて、生体組織における各部の弾性に関する物理量データを作成する。もう少し詳しく説明すると、本例では、前記超音波プローブ2を体表面に当接させた状態で圧迫と弛緩を繰り返すことなどによって生体組織を変形させながら超音波の送受信を行なう。前記送受信部3は、同一音線上に少なくとも二回の走査を行なう。そして、前記物理量データ作成部21は、生体組織における各部の弾性に関する物理量として、前記超音波プローブ2による圧迫とその弛緩などによって生じた生体組織における各部の歪みStを算出することにより前記物理量データを作成する。前記物理量データ作成部21は、例えば図8に示すように時間的に異なる二つのフレーム(i),(ii)に属する同一音線上における二つのエコー信号に基づいて歪みStを算出し物理量データを作成する。歪みStの算出手法としては、例えば特開2008−126079号公報に開示されているように、時間的に異なる二つのフレームに属する同一音線上における二つのエコー信号の波形のずれを歪みとする手法などがある。
【0056】
前記表示制御部5には、前記Bモードデータ作成部4からのBモードデータ及び前記物理量データ作成部21からの弾性データが入力されるようになっている。前記Bモード画像データ作成部55及び前記弾性画像データ作成部56は、スキャンコンバータ(scan converter)を有している。そして、前記Bモード画像データ作成部55は、前記Bモードデータを、エコーの信号強度に応じた輝度情報を有するBモード画像データに変換する。また、前記弾性画像データ作成部56は、前記物理量データを歪みに応じた色相情報を有するカラー弾性画像データに変換する。
【0057】
ちなみに、前記Bモード画像データにおける輝度情報及び前記カラー弾性画像データにおける色相情報は所定の階調(例えば256階調)からなる。
【0058】
前記合成部57は、前記Bモード画像データ及び前記カラー弾性画像データを加算処理することによって合成し、前記表示部6に表示する超音波画像の画像データを作成する。この画像データは、図9に示すように白黒のBモード画像BGとカラーの弾性画像EGとが合成された二次元の合成画像Gとして前記表示部6に表示される。本例では、前記弾性画像EGは、関心領域R内に半透明で(背景のBモード画像が透けた状態で)表示される。
【0059】
さて、本例の超音波診断装置20の作用について図10のフローチャートに基づいて説明する。本例では、ステップS2′,S3′以外のステップS1,S4〜S6については、第一実施形態と同一の処理であり、ステップS2′,S3′について以下説明する。
【0060】
ステップS2′では、前記超音波プローブ2により、例えば被検体への圧迫とその弛緩を繰り返すなどして生体組織を変形させながら超音波のスキャンを行いエコー信号を取得する。そして、得られたエコー信号に基づいて、前記Bモードデータ作成部4がBモードデータを作成し、前記物理量データ作成部21が物理量データを作成する。そして、これらBモードデータ及び物理量データに基づいて、前記Bモード画像データ作成部55及び前記弾性画像データ作成部56がBモード画像データ及びカラー弾性画像データを作成し、これらを前記合成部57が合成する。合成部57は、合成によって得られた画像データに基づく合成画像Gを前記表示部6に表示する。
【0061】
ステップS3′では、図11に示すように、前記表示部6に表示された合成画像Gにおける弾性画像EG内に、操作者が前記操作部7を用いて算出領域MRを設定する。算出領域MRが設定されると、前記壁厚算出部52は、第一実施形態と同様にしてBモード画像データの輝度情報又はエコー信号の強度(Bモードデータ)に基づいて血管壁Wの厚さを算出する。
【0062】
また、前記壁厚算出部52は、生体組織の弾性情報に基づいて血管壁Wの厚さを算出する。具体的に図12に基づいて説明する。ここでは、血管壁Wのうち内膜iの厚さを算出する場合について説明する。図12では、前記表示部6に表示された画像のうち、内膜iの部分のみが拡大されて示されている。
【0063】
図12において、破線ibはBモード画像に表れた内膜であり、またドット(dot)ieは弾性画像に表れた内膜である。この内膜ieは、弾性画像において帯状に同じ色相で表示された部分である。
【0064】
ここで、Bモード画像では、血管壁が正確に表示されない場合がある。図12においても、Bモード画像に表れた内膜ibと弾性画像に表れた内膜ieは、異なる厚みになっている。従って、本例では、より正確な厚みを得るために、生体組織の弾性情報を用いて血管壁の厚さを算出する。
【0065】
生体組織の弾性情報に基づいて血管壁の厚さを算出するにあたっては、先ず内膜の位置を特定する。本例では、内膜の位置情報として、Bモード画像データの輝度情報又はエコー信号の強度(Bモードデータ)に基づいて内膜ibの厚さを算出することにより特定される内膜ibの位置情報を用いる。前記壁厚算出部52は、内膜ibの位置に表示されている弾性画像に基づいて内膜ieの厚さを算出する。より詳細には、前記壁厚算出部52は、内膜ibの位置において、弾性画像データにあって帯状に同じ色相になっている部分の幅を算出し、内膜ieの厚さとする。
【0066】
内膜ieの厚さが得られると、前記壁厚算出部52は、内膜ibの厚さと内膜ieの厚さの中間の厚さを算出する。すなわち、内膜ibの厚さをtb、内膜ieの厚さをteとすると、前記壁厚算出部52は、下記(式1)の演算を行なう。
t=(tb+te)/2 ・・・(式1)
そして、上記(式1)の演算で得られたtを前記算出箇所における内膜の厚さとして記憶し、これを前記比算出部53における比の値の算出に用いる。
【0067】
ただし、上述のように、内膜ibの厚さtbと内膜ieの厚さteの中間の厚さを、比の値の算出に用いる場合に限られるものではない。
【0068】
また、生体組織の弾性情報に基づいて算出された前記内膜ieの厚さteをそのまま記憶して比の値の算出に用いてもよい。
【0069】
さらに、Bモード画像の輝度情報又はエコー信号の強度に基づいて特定される内膜ibの位置情報を用いることなく、操作者が前記操作部7を用いてカーソル等によって弾性画像EG上で血管壁を指定し、指定された血管壁の厚さを前記壁厚算出部52が算出するようにしてもよい。この場合、前記弾性画像EGは本発明における超音波画像の実施の形態の一例である。
【0070】
なお、上述の説明では、生体組織の弾性情報として弾性画像データに基づいて内膜ieの厚さを算出しているが、弾性画像データの代わりに物理量データを用いてもよい。すなわち、前記内膜ibの位置において物理量データにあって同じ歪みStになっている部分の幅を算出し、内膜ieの厚さとしてもよい。
【0071】
(第三実施形態)
次に、第三実施形態について説明する。この変形例では、被検体における同一の部位に算出領域MRを複数設定して比の値を算出する。例えば、頚動脈における複数箇所に算出領域MRを設定して比の値を算出する。
【0072】
図13に基づいて詳しく説明する。この図13において、前記表示部6には、頚動脈についてのBモード画像BGが表示され、このBモード画像BGにおいて、算出領域MR1,MR2,MR3が設定されている。これら算出領域MR1〜MR3について血管壁の厚さを算出し、MR1についての算出値A1、MR2についての算出値A2、MR3についての算出値A3を得る。ここでは、算出値A1〜A3は、第一実施形態のように、Bモード画像データの輝度情報又はエコー信号の強度(Bモードデータ)に基づいて算出された血管壁の厚さである。そして、算出値A1,A2の比の値R4=A2/A1、算出値A2,A3の比の値R5=A3/A2、算出値A1,A3の比の値R6=A3/A1を求める。
【0073】
なお、比の値の算出に用いる算出値A1〜A3は、第二実施形態のように、Bモード画像データの輝度情報又はエコー信号の強度(Bモードデータ)に基づいて算出された血管壁の厚さと、生体組織の弾性情報に基づいて算出された血管壁の厚さとから算出される血管壁の厚さであってもよい。さらに、比の値の算出に用いる算出値A1〜A3は、弾性画像において操作者が血管壁を指定して算出された血管壁の厚さであってもよい。
【0074】
以上、本発明を前記各実施形態によって説明したが、本発明はその主旨を変更しない範囲で種々変更実施可能なことはもちろんである。
【符号の説明】
【0075】
1,20 超音波診断装置
6 表示部
7 操作部
52 壁厚算出部
53 比算出部
54 表示設定部
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管の状態を診断することができる超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
動脈硬化は、脳梗塞や心筋梗塞などの病気を引き起こすといわれている。動脈硬化が進行すると血管壁が厚くなるため、動脈硬化の診断の一手法として、超音波診断装置を用いて血管壁の厚さを測定することが行なわれている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−39277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、人によって身長や体重の違いがあることなどにより、血管壁の厚さは人によって異なっている。従って、血管壁の厚さを測るだけでは、その厚さが正常な状態の厚さであるか否かの判断が困難な場合もある。このようなことから、血管壁の厚さが正常であるか否かを容易に判断することができる超音波診断装置が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の課題を解決するためになされた第1の観点の発明は、被検体に対して超音波を送信して得られたエコー信号に基づいて、血管壁の厚さを算出する壁厚算出部と、該壁厚算出部で得られた異なる算出箇所における算出値の比を算出する比算出部と、を備えることを特徴とする超音波診断装置である。
【0006】
第2の観点の発明によれば、第1の観点の発明において、前記壁厚算出部は、前記エコー信号の強度又は該エコー信号に基づいて作成されたBモード画像の輝度情報に基づいて血管壁の厚さを算出することを特徴とする超音波診断装置である。
【0007】
第3の観点の発明は、第1の観点の発明において、前記壁厚算出部は、生体組織の弾性情報に基づいて血管壁の厚さを算出することを特徴とする超音波診断装置である。
【0008】
第4の観点の発明は、第1の観点の発明において、前記壁厚算出部は、前記エコー信号の強度又は該エコー信号に基づいて作成されたBモード画像の輝度情報に基づいて算出される血管壁の厚さと、生体組織の弾性情報に基づいて算出される血管壁の厚さとに基づいて、前記比算出部における比の算出に用いる血管壁の厚さを算出することを特徴とする超音波診断装置である。
【0009】
第5の観点の発明は、第3又は4の観点の発明において、前記壁厚算出部は、前記エコー信号の強度又は該エコー信号に基づいて作成されたBモード画像の輝度情報に基づいて血管壁の位置を特定して、前記弾性情報に基づく血管壁の厚さを算出することを特徴とする超音波診断装置である。
【0010】
第6の観点の発明は、第1〜5のいずれか一の観点の発明において、前記比の算出に用いる算出値は、被検体における異なる部位の算出値であることを特徴とする超音波診断装置である。
【0011】
第7の観点の発明は、第1〜5のいずれか一の観点の発明において、前記比の算出に用いる算出値は、被検体における同一の部位についての異なる算出箇所の算出値であることを特徴とする超音波診断装置である。
【0012】
第8の観点の発明は、第1〜7のいずれか一の観点の発明において、前記比算出部で算出された比を表示部に表示する表示設定部を備えることを特徴とする超音波診断装置である。
【0013】
第9の観点の発明は、被検体に対して超音波を送信して得られたエコー信号に基づいて作成された超音波画像を表示する表示部と、該表示部に表示された前記超音波画像において、血管壁を指定する入力を行なう操作部と、該操作部によって指定された血管壁の厚さを算出する壁厚算出部と、該壁厚算出部で得られた異なる算出箇所における算出値の比を算出する比算出部と、を備えることを特徴とする超音波診断装置である。
【発明の効果】
【0014】
上記観点の発明によれば、血管壁の厚さの比が算出される。ここで、人によって血管壁の厚さが異なっていても、それによって血管壁の比は影響を受けない。従って、血管壁の厚さの比を算出することにより、血管壁の厚さが正常であるか否かを容易に判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る超音波診断装置の第一実施形態の概略構成の一例を示すブロック図である。
【図2】図1に示す超音波診断装置における表示制御部の構成を示すブロック図である。
【図3】第一実施形態の超音波診断装置の作用を説明するためのフローチャートを示す図である。
【図4】表示部に表示されたボディマークの一例を示す図である。
【図5】表示部に表示された算出領域の一例を示す図である。
【図6】本発明に係る超音波診断装置の第二実施形態の概略構成の一例を示すブロック図である。
【図7】図6に示す超音波診断装置における表示制御部の構成を示すブロック図である。
【図8】物理量データの作成の説明図である。
【図9】図6に示す超音波診断装置における表示部の表示の一例を示す図である。
【図10】第二実施形態の超音波診断装置の作用を説明するためのフローチャートである。
【図11】第二実施形態において、表示部に表示された算出領域の一例を示す図である。
【図12】生体組織の弾性情報に基づく血管壁Wの厚さの算出を説明する図である。
【図13】第三実施形態において、表示部に表示された算出領域の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について説明する。
(第一実施形態)
先ず、第一実施形態について、図1〜図5に基づいて詳細に説明する。図1に示す超音波診断装置1は、超音波プローブ2、送受信部3、Bモードデータ作成部4、表示制御部5、表示部6、操作部7、制御部8及び記憶部9を備える。
【0017】
前記超音波プローブ2は、アレイ状に配置された超音波振動子(図示省略)を有して構成され、この超音波振動子によって被検体に対して超音波のスキャンを行なう。前記送受信部3は、前記制御部8からの制御信号によって前記超音波プローブ2を所定の送信条件で駆動させ、スキャン面を超音波ビームによって音線順次で走査させる。
【0018】
また、前記送受信部3は、前記超音波プローブ2で得られたエコー信号について、整相加算処理等の信号処理を行ない、信号処理後のエコーデータを前記Bモードデータ作成部4へ出力する。
【0019】
前記Bモードデータ作成部4は、前記送受信部3から出力されたエコーデータに対し、対数圧縮処理、包絡線検波処理等の所定の処理を行い、Bモードデータを作成する。
【0020】
前記表示制御部5は、図2に示すように、表示画像作成部51、壁厚算出部52、比算出部53、表示設定部54を有している。
【0021】
前記表示画像作成部51は、スキャンコンバータ(Scan Converter)を含んで構成され、前記Bモードデータ作成部4からのBモードデータを輝度情報からなるBモード画像データに走査変換する。そして、前記表示画像作成部51は、このBモード画像データに基づくBモード画像を前記表示部6に表示する。
【0022】
前記壁厚算出部52は、Bモードデータ又はBモード画像データに基づいて、血管壁の厚さを算出する。詳細は後述する。前記壁厚算出部52は、本発明における壁厚算出部の実施の形態の一例である。
【0023】
前記比算出部53は、前記壁厚算出部52で得られた異なる算出箇所における算出値の比を算出する。本例では、前記比算出部53は、前記算出値の比として、比の値を算出する。詳細は後述する。前記比算出部53は、本発明における比算出部の実施の形態の一例である。
【0024】
前記表示設定部54は、前記比算出部53で算出された比の値を前記表示部6に表示する。また、前記表示設定部54は、前記壁厚算出部52で得られた算出値を前記表示部6に表示してもよい。前記表示設定部54は、本発明における表示設定部の実施の形態の一例である。
【0025】
前記表示部6は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)などで構成される。前記操作部7は、操作者が指示や情報を入力するためのキーボード及びポインティングデバイス(図示省略)などを含んで構成されている。
【0026】
前記制御部8は、CPU(Central Processing Unit)で構成され、HDD(Hard Disk Drive)などで構成される前記記憶部9に記憶された制御プログラムを読み出し、前記超音波診断装置1の各部における機能を実行させる。
【0027】
また、特に図示しないが、前記超音波診断装置1は、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などの半導体メモリ(Memory)を有している。
【0028】
さて、本例の超音波診断装置1の作用について図3のフローチャートに基づいて説明する。先ず、ステップS1では血管壁の厚さを算出する算出箇所及びスキャン順序を特定する。前記算出箇所としては、複数箇所選択される。また、前記算出箇所として、被検体における異なる複数の部位が選択されてもよいし、被検体における同一の部位について複数箇所の算出箇所が選択されてもよい。ここで、「部位」とは、例えば頚動脈、腹部大動脈、大腿動脈などを意味する。本例では、算出箇所として、後述するように被検体における異なる複数の部位(頚動脈、腹部大動脈、大腿動脈)が選択される。
【0029】
また、前記スキャン順序は複数の前記算出箇所についてスキャンを行なう順序である。このように算出箇所及びスキャン順序を特定することにより、後述の血管壁の厚さの算出値がどの算出箇所についてのものであるかが超音波診断装置1に認識される。これにより、後述のように、前記算出値がどの算出箇所の算出値であるかという算出箇所情報とともに記憶することが可能になっている。
【0030】
ステップS1における算出箇所及びスキャン順序の特定について具体的に説明する。操作者が前記操作部8において検査開始ボタン(図示省略)を押すと、例えば図4に示すようにボディマークBM1,BM2,BM3が前記表示部6に表示される。前記ボディマークBM1は、頚動脈をスキャンすることを意味するボディーマーク、前記ボディマークBM2は、腹部大動脈をスキャンすることを意味するボディーマーク、前記ボディマークBM3は、大腿動脈をスキャンすることを意味するボディーマークである。
【0031】
操作者は前記操作部7を用いて前記表示部6上の前記ボディーマークBM1〜BM3のいずれかを、スキャン順に選択する。前記制御部8は、前記操作部7からの入力によって特定された前記算出箇所とそのスキャン順序を前記記憶部9や前記半導体メモリに記憶する。
【0032】
ただし、算出箇所及びスキャン順序の特定の手法は、上記手法に限られるものではない。例えば、ボディーマークによって特定するのではなく、算出箇所とそのスキャン順序とが決められたメニューボタンを表示して選択するようにしてもよいし、操作者が前記操作部7において算出箇所とスキャン順序を入力するようにしてもよい。
【0033】
ちなみに、Bモード画像を取得したいものの、算出値の比を算出する必要がない部位がある場合もある。この場合には、Bモード画像を取得したい部位を特定するとともに、このBモード画像を取得したい部位の中から前記算出箇所を特定する。
【0034】
本例では、前記算出箇所として、頚動脈、腹部大動脈、大腿動脈が選択され、頚動脈、腹部大動脈、大腿動脈の順でスキャンを行なうものとし、これら三つ全ての部位について血管壁の厚さの算出を行なうものとする。図3のフローチャートはスキャンを行なう部位全てについて血管壁の厚さを算出する場合のフローチャートである。
【0035】
次に、ステップS2では、前記ステップS1において特定された部位について、前記超音波プローブ2によるスキャンを行なう。本例では、先ず最初に頚動脈のスキャンを行なう。そして、得られたエコー信号に基づいてBモードデータを作成して、Bモード画像を表示する。
【0036】
次に、ステップS3では、Bモード画像の輝度情報に基づいて、頚動脈の血管壁の厚さを公知の手法で自動的に算出する。具体的には、先ず図5に示すように、前記表示部6に表示されたBモード画像BGにおいて、操作者が前記操作部7を用いて算出領域MRを設定する。
【0037】
図5において、符合Blは血管であり、符合Wは血管壁である。血管壁Wは、内膜i、中膜m及び外膜oからなり、前記算出領域MRは血管壁Wが包含されるように設定される。
【0038】
前記算出領域MRが設定されると、前記壁厚算出部52が、算出領域MR内の血管壁Wの厚さをBモード画像データの輝度情報に基づいて公知の手法で算出する(例えば特開平11−318896号公報等)。
【0039】
ただし、血管壁Wの厚さは、エコー信号の強度に基づいて算出してもよい。すなわち、前記壁厚算出部52は、エコー信号の強度に応じたデータである前記Bモードデータ作成部4からのBモードデータに基づいて、血管壁Wの厚さを算出してもよい。
【0040】
また、血管壁Wの厚さは、上述のように血管壁Wを自動的に特定して算出する場合に限られるものではなく、操作者が血管壁Wを手動で特定して算出するようにしてもよい。すなわち、前記表示部6に表示されたBモード画像BGにおいて、操作者が血管壁Wと思われる場所を前記操作部7を用いてカーソル等によって指定し、この指定された部分の厚みを前記壁厚算出部52が算出するようにしてもよい。この場合、前記Bモード画像BGは、本発明における超音波画像の実施の形態の一例である。
【0041】
ここで、血管壁Wの厚さとしては、血管壁Wのうち内膜iと中膜mの厚さを算出するようになっていてもよいし、内膜iのみの厚さを算出するようになっていてもよい。
【0042】
前記壁厚算出部52によって算出された血管壁Wの厚さは、どの算出箇所の算出値であるかという算出箇所情報とともに、前記記憶部9や前記半導体メモリに記憶される。ここでは、頚動脈における血管壁Wの厚さについての算出値Aとして記憶される。
【0043】
次に、ステップS4では、比の算出タイミングであるか否かを前記比算出部53が判定する。前記比算出部53は、比の算出を行なう二つの算出値が存在する場合に、比の算出タイミングであると判定する。比の算出タイミングであると判定された場合(ステップS4においてYES)、ステップS5の処理へ移行する。一方、比の算出タイミングではないと判定された場合(ステップS4においてNO)、ステップS2の処理へ戻り、別の算出箇所についてスキャンを行ない、Bモード画像を表示する。
【0044】
ここでは、算出値として頚動脈の血管壁Wの厚さの算出値Aのみしか存在せず、比の算出を行なう二つの算出値が存在していない。従って、ステップS2の処理へ戻り、腹部大動脈についてのスキャンを行ない、そのBモード画像を表示する。そして、次にステップS3において腹部大動脈の血管壁Wの厚さを算出し、その算出値Bが記憶される。
【0045】
ちなみに、一つの算出箇所について血管壁Wの厚さの算出を終了し、次の部位のスキャンを行なって血管壁Wの厚さの算出を行なう際には、次の部位についてスキャンを行なうことを示す入力を前記操作部9において行なう。これにより、どの部位についての算出値であるかが超音波診断装置1において認識される。
【0046】
そして、再びステップS4において、比の算出タイミングであるか否かの判定が行なわれる。ここでは、比の算出を行なう二つの算出値として、算出値A,Bが存在する。従って、ステップS5の処理へ移行し、このステップS5において、前記比算出部53が算出値A,Bの比の値R1=B/Aを算出する。算出された比の値R1は、前記表示設定部54が前記表示部6に表示する。また、前記表示設定部54は、前記比の値R1とともに、前記算出値A,Bを前記表示部6に表示してもよい。
【0047】
次に、ステップS6では、ステップS1で特定された全ての算出箇所について血管壁Wの厚さを算出したか否かを前記制御部8が判定する。そして、全ての算出箇所について算出したと判定された場合(ステップS6においてYES)、処理を終了する。一方、全ての算出箇所について算出されていないと判定された場合(ステップS6においてNO)、ステップS2の処理へ戻り、別の算出箇所についてのスキャンを行なう。
【0048】
ここでは、大腿動脈についての血管壁Wの厚さの算出が行なわれていない。従って、ステップS2の処理へ戻り、大腿動脈のスキャンを行ない、そのBモード画像を表示する。そして、次にステップS3において大腿動脈の血管壁Wの厚さを算出し、その算出値Cが記憶される。
【0049】
ステップS3において大腿動脈の血管壁Wの厚さの算出値Cが得られると、再びステップS4で比の算出タイミングであるか否かの判定が行なわれる。ここでは、比の算出を行なう二つの算出値として、算出値B,C及び算出値C,Aが存在する。従って、ステップS5の処理へ移行し、このステップS5において、前記比算出部53が、算出値B,Cの比の値R2=C/Bと、算出値A,Cの比の値R3=C/Aを算出する。算出された比の値R2,R3は、前記表示設定部54が前記比の値R1とともに前記表示部6に表示する。また、前記表示設定部54は、前記比の値R1〜R3とともに、前記算出値A〜Cを前記表示部6に表示してもよい。
【0050】
ステップS5において比の値R2,R3が算出されると、ステップS6では再び全ての算出箇所について血管壁Wの厚さを算出したか否かの判定を行なう。ここでは、ステップS1で特定された全ての算出箇所、すなわち頚動脈、腹部大動脈及び大腿動脈についての算出が終了している。従って、処理を終了する。
【0051】
本例の超音波診断装置1によれば、血管壁Wの厚さの比の値が算出され前記表示部6に表示される。従って、血管壁Wの厚さの比の値の正常値(動脈硬化などによって血管壁が厚くなっていない状態での値)を求めておき、この正常値を、実際の血管壁の厚さから算出されて前記表示部6に表示される比の値と比較することにより、異常であるか否かを診断することができる。具体的に説明すると、例えば、正常な頚動脈の血管壁の厚さA′と腹部大動脈の血管壁の厚さB′の比の値R1′=B′/A′は1.3であるとする。そして、頚動脈の算出値A(血管壁の厚さ)が1.3mmであり、腹部大動脈の算出値B(血管壁の厚さ)が1.3mmであったとすると、比の値R1は、
R1=B/A=1.3/1.3=1
である。従って、実際に血管壁の厚さを算出して得られた比の値R1は、正常値よりも小さくなっている。このように、前記比の値R1が正常値よりも小さくなっていると、腹部大動脈よりも細い頚動脈の血管壁の厚さが、腹部大動脈の厚さと等しい厚さになり、正常よりも厚くなっているおそれがあることが分かる。
【0052】
ここで、従来のように血管壁の厚さを算出することのみで診断を行なう場合、血管壁の厚さは人によって異なるので診断が困難な場合がある。本例では、二ヶ所の血管壁の厚さの比の値を算出するようになっているので、血管壁の厚さのみを算出する場合と比べて血管壁の厚さが正常であるか否かを容易に判断できる。
【0053】
さらに、本例では、複数の比の値を算出しているので、血管壁の厚さが正常であるか否かをより確実に判断することができる。
【0054】
(第二実施形態)
次に、第二実施形態について説明する。図6に示すように、本例の超音波診断装置20は、物理量データ作成部21を有している。また、前記表示制御部6は、図7に示すように表示画像作成部51を有さず、代わりにBモード画像データ作成部55、弾性画像データ作成部56、合成部57を有している。
【0055】
前記物理量データ作成部21は、前記送受信部3から出力されたエコー信号に基づいて、生体組織における各部の弾性に関する物理量データを作成する。もう少し詳しく説明すると、本例では、前記超音波プローブ2を体表面に当接させた状態で圧迫と弛緩を繰り返すことなどによって生体組織を変形させながら超音波の送受信を行なう。前記送受信部3は、同一音線上に少なくとも二回の走査を行なう。そして、前記物理量データ作成部21は、生体組織における各部の弾性に関する物理量として、前記超音波プローブ2による圧迫とその弛緩などによって生じた生体組織における各部の歪みStを算出することにより前記物理量データを作成する。前記物理量データ作成部21は、例えば図8に示すように時間的に異なる二つのフレーム(i),(ii)に属する同一音線上における二つのエコー信号に基づいて歪みStを算出し物理量データを作成する。歪みStの算出手法としては、例えば特開2008−126079号公報に開示されているように、時間的に異なる二つのフレームに属する同一音線上における二つのエコー信号の波形のずれを歪みとする手法などがある。
【0056】
前記表示制御部5には、前記Bモードデータ作成部4からのBモードデータ及び前記物理量データ作成部21からの弾性データが入力されるようになっている。前記Bモード画像データ作成部55及び前記弾性画像データ作成部56は、スキャンコンバータ(scan converter)を有している。そして、前記Bモード画像データ作成部55は、前記Bモードデータを、エコーの信号強度に応じた輝度情報を有するBモード画像データに変換する。また、前記弾性画像データ作成部56は、前記物理量データを歪みに応じた色相情報を有するカラー弾性画像データに変換する。
【0057】
ちなみに、前記Bモード画像データにおける輝度情報及び前記カラー弾性画像データにおける色相情報は所定の階調(例えば256階調)からなる。
【0058】
前記合成部57は、前記Bモード画像データ及び前記カラー弾性画像データを加算処理することによって合成し、前記表示部6に表示する超音波画像の画像データを作成する。この画像データは、図9に示すように白黒のBモード画像BGとカラーの弾性画像EGとが合成された二次元の合成画像Gとして前記表示部6に表示される。本例では、前記弾性画像EGは、関心領域R内に半透明で(背景のBモード画像が透けた状態で)表示される。
【0059】
さて、本例の超音波診断装置20の作用について図10のフローチャートに基づいて説明する。本例では、ステップS2′,S3′以外のステップS1,S4〜S6については、第一実施形態と同一の処理であり、ステップS2′,S3′について以下説明する。
【0060】
ステップS2′では、前記超音波プローブ2により、例えば被検体への圧迫とその弛緩を繰り返すなどして生体組織を変形させながら超音波のスキャンを行いエコー信号を取得する。そして、得られたエコー信号に基づいて、前記Bモードデータ作成部4がBモードデータを作成し、前記物理量データ作成部21が物理量データを作成する。そして、これらBモードデータ及び物理量データに基づいて、前記Bモード画像データ作成部55及び前記弾性画像データ作成部56がBモード画像データ及びカラー弾性画像データを作成し、これらを前記合成部57が合成する。合成部57は、合成によって得られた画像データに基づく合成画像Gを前記表示部6に表示する。
【0061】
ステップS3′では、図11に示すように、前記表示部6に表示された合成画像Gにおける弾性画像EG内に、操作者が前記操作部7を用いて算出領域MRを設定する。算出領域MRが設定されると、前記壁厚算出部52は、第一実施形態と同様にしてBモード画像データの輝度情報又はエコー信号の強度(Bモードデータ)に基づいて血管壁Wの厚さを算出する。
【0062】
また、前記壁厚算出部52は、生体組織の弾性情報に基づいて血管壁Wの厚さを算出する。具体的に図12に基づいて説明する。ここでは、血管壁Wのうち内膜iの厚さを算出する場合について説明する。図12では、前記表示部6に表示された画像のうち、内膜iの部分のみが拡大されて示されている。
【0063】
図12において、破線ibはBモード画像に表れた内膜であり、またドット(dot)ieは弾性画像に表れた内膜である。この内膜ieは、弾性画像において帯状に同じ色相で表示された部分である。
【0064】
ここで、Bモード画像では、血管壁が正確に表示されない場合がある。図12においても、Bモード画像に表れた内膜ibと弾性画像に表れた内膜ieは、異なる厚みになっている。従って、本例では、より正確な厚みを得るために、生体組織の弾性情報を用いて血管壁の厚さを算出する。
【0065】
生体組織の弾性情報に基づいて血管壁の厚さを算出するにあたっては、先ず内膜の位置を特定する。本例では、内膜の位置情報として、Bモード画像データの輝度情報又はエコー信号の強度(Bモードデータ)に基づいて内膜ibの厚さを算出することにより特定される内膜ibの位置情報を用いる。前記壁厚算出部52は、内膜ibの位置に表示されている弾性画像に基づいて内膜ieの厚さを算出する。より詳細には、前記壁厚算出部52は、内膜ibの位置において、弾性画像データにあって帯状に同じ色相になっている部分の幅を算出し、内膜ieの厚さとする。
【0066】
内膜ieの厚さが得られると、前記壁厚算出部52は、内膜ibの厚さと内膜ieの厚さの中間の厚さを算出する。すなわち、内膜ibの厚さをtb、内膜ieの厚さをteとすると、前記壁厚算出部52は、下記(式1)の演算を行なう。
t=(tb+te)/2 ・・・(式1)
そして、上記(式1)の演算で得られたtを前記算出箇所における内膜の厚さとして記憶し、これを前記比算出部53における比の値の算出に用いる。
【0067】
ただし、上述のように、内膜ibの厚さtbと内膜ieの厚さteの中間の厚さを、比の値の算出に用いる場合に限られるものではない。
【0068】
また、生体組織の弾性情報に基づいて算出された前記内膜ieの厚さteをそのまま記憶して比の値の算出に用いてもよい。
【0069】
さらに、Bモード画像の輝度情報又はエコー信号の強度に基づいて特定される内膜ibの位置情報を用いることなく、操作者が前記操作部7を用いてカーソル等によって弾性画像EG上で血管壁を指定し、指定された血管壁の厚さを前記壁厚算出部52が算出するようにしてもよい。この場合、前記弾性画像EGは本発明における超音波画像の実施の形態の一例である。
【0070】
なお、上述の説明では、生体組織の弾性情報として弾性画像データに基づいて内膜ieの厚さを算出しているが、弾性画像データの代わりに物理量データを用いてもよい。すなわち、前記内膜ibの位置において物理量データにあって同じ歪みStになっている部分の幅を算出し、内膜ieの厚さとしてもよい。
【0071】
(第三実施形態)
次に、第三実施形態について説明する。この変形例では、被検体における同一の部位に算出領域MRを複数設定して比の値を算出する。例えば、頚動脈における複数箇所に算出領域MRを設定して比の値を算出する。
【0072】
図13に基づいて詳しく説明する。この図13において、前記表示部6には、頚動脈についてのBモード画像BGが表示され、このBモード画像BGにおいて、算出領域MR1,MR2,MR3が設定されている。これら算出領域MR1〜MR3について血管壁の厚さを算出し、MR1についての算出値A1、MR2についての算出値A2、MR3についての算出値A3を得る。ここでは、算出値A1〜A3は、第一実施形態のように、Bモード画像データの輝度情報又はエコー信号の強度(Bモードデータ)に基づいて算出された血管壁の厚さである。そして、算出値A1,A2の比の値R4=A2/A1、算出値A2,A3の比の値R5=A3/A2、算出値A1,A3の比の値R6=A3/A1を求める。
【0073】
なお、比の値の算出に用いる算出値A1〜A3は、第二実施形態のように、Bモード画像データの輝度情報又はエコー信号の強度(Bモードデータ)に基づいて算出された血管壁の厚さと、生体組織の弾性情報に基づいて算出された血管壁の厚さとから算出される血管壁の厚さであってもよい。さらに、比の値の算出に用いる算出値A1〜A3は、弾性画像において操作者が血管壁を指定して算出された血管壁の厚さであってもよい。
【0074】
以上、本発明を前記各実施形態によって説明したが、本発明はその主旨を変更しない範囲で種々変更実施可能なことはもちろんである。
【符号の説明】
【0075】
1,20 超音波診断装置
6 表示部
7 操作部
52 壁厚算出部
53 比算出部
54 表示設定部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に対して超音波を送信して得られたエコー信号に基づいて、血管壁の厚さを算出する壁厚算出部と、
該壁厚算出部で得られた異なる算出箇所における算出値の比を算出する比算出部と、
を備えることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記壁厚算出部は、前記エコー信号の強度又は該エコー信号に基づいて作成されたBモード画像の輝度情報に基づいて血管壁の厚さを算出することを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記壁厚算出部は、生体組織の弾性情報に基づいて血管壁の厚さを算出することを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記壁厚算出部は、前記エコー信号の強度又は該エコー信号に基づいて作成されたBモード画像の輝度情報に基づいて算出される血管壁の厚さと、生体組織の弾性情報に基づいて算出される血管壁の厚さとに基づいて、前記比算出部における比の算出に用いる血管壁の厚さを算出することを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記壁厚算出部は、前記エコー信号の強度又は該エコー信号に基づいて作成されたBモード画像の輝度情報に基づいて血管壁の位置を特定して、前記弾性情報に基づく血管壁の厚さを算出することを特徴とする請求項3又は4に記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記比の算出に用いる算出値は、被検体における異なる部位の算出値であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記比の算出に用いる算出値は、被検体における同一の部位についての異なる算出箇所の算出値であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記比算出部で算出された比を表示部に表示する表示設定部を備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項9】
被検体に対して超音波を送信して得られたエコー信号に基づいて作成された超音波画像を表示する表示部と、
該表示部に表示された前記超音波画像において、血管壁を指定する入力を行なう操作部と、
該操作部によって指定された血管壁の厚さを算出する壁厚算出部と、
該壁厚算出部で得られた異なる算出箇所における算出値の比を算出する比算出部と、
を備えることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項1】
被検体に対して超音波を送信して得られたエコー信号に基づいて、血管壁の厚さを算出する壁厚算出部と、
該壁厚算出部で得られた異なる算出箇所における算出値の比を算出する比算出部と、
を備えることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記壁厚算出部は、前記エコー信号の強度又は該エコー信号に基づいて作成されたBモード画像の輝度情報に基づいて血管壁の厚さを算出することを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記壁厚算出部は、生体組織の弾性情報に基づいて血管壁の厚さを算出することを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記壁厚算出部は、前記エコー信号の強度又は該エコー信号に基づいて作成されたBモード画像の輝度情報に基づいて算出される血管壁の厚さと、生体組織の弾性情報に基づいて算出される血管壁の厚さとに基づいて、前記比算出部における比の算出に用いる血管壁の厚さを算出することを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記壁厚算出部は、前記エコー信号の強度又は該エコー信号に基づいて作成されたBモード画像の輝度情報に基づいて血管壁の位置を特定して、前記弾性情報に基づく血管壁の厚さを算出することを特徴とする請求項3又は4に記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記比の算出に用いる算出値は、被検体における異なる部位の算出値であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記比の算出に用いる算出値は、被検体における同一の部位についての異なる算出箇所の算出値であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記比算出部で算出された比を表示部に表示する表示設定部を備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項9】
被検体に対して超音波を送信して得られたエコー信号に基づいて作成された超音波画像を表示する表示部と、
該表示部に表示された前記超音波画像において、血管壁を指定する入力を行なう操作部と、
該操作部によって指定された血管壁の厚さを算出する壁厚算出部と、
該壁厚算出部で得られた異なる算出箇所における算出値の比を算出する比算出部と、
を備えることを特徴とする超音波診断装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−218086(P2011−218086A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−93177(P2010−93177)
【出願日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【出願人】(300019238)ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー (1,125)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【出願人】(300019238)ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー (1,125)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]