説明

超音波診断装置

【課題】携帯性を維持しながら、使用環境が変化する場合であっても大開口送信時に超音波ビームを乱さず、アーチファクトの少ない高品位の画像を取得し得る超音波診断装置を提供する。
【解決手段】超音波を送波又は受波する振動子アレイ1aと、振動子アレイ1aとプローブケーブルCにより接続され、振動子アレイ1aを介して超音波を送波又は受波して超音波診断用の画像を生成し、生成された画像を表示する本体2と、を備え、本体2は、非対称性電極構造のキャパシタを有する第1の蓄電ユニット26を備える超音波診断装置100。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、病院内に限らず屋外でも超音波診断を可能とする携帯型の超音波診断装置の開発が進められている。携帯型の超音波診断装置によれば、例えば災害地の被災者や屋外競技の競技者を対象とした超音波診断を簡易に行うことができる。
ここで、携帯型の場合、使用環境が変化してもプローブ(具体的には、振動子アレイ)に高電圧の電力を安定して供給し得る電力供給機構が必要となる。
【0003】
特許文献1には、リチウムイオン電池やニッケルカドミウム電池により、振動子アレイ及び装置本体に電力を供給する携帯型超音波診断装置が開示されている。また、振動子アレイは超音波の送信時に比較的高電圧の電力を必要とするため、振動子アレイに電力を供給する電池と装置本体に電力を供給する電池とがそれぞれ別に設けられて構成される。
【0004】
また、特許文献2には、ゼンマイの復元力を利用して、単一の振動子を回転させるとともに制御部への電力供給を行い得る体腔内用の超音波カプセルが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−33350号公報
【特許文献2】特開2005−130949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載のように、リチウムイオン電池又はニッケルカドミウム電池により振動子アレイに電力を供給する構成の場合、振動子アレイを連続的に駆動する大開口送信時には超音波ビームの形状が乱れ、アーチファクトが発生する。これは、リチウムイオン電池等では振動子アレイに高電圧の電力を短時間内に連続して安定的に供給することができないことに起因する。
【0007】
また、特許文献2には、単一の振動子を用いた構成について開示されているだけであり、特許文献2に記載の技術を用いて複数の振動子からなる振動子アレイに高電圧の電力を短時間内に連続して安定的に供給することはできない。
【0008】
本発明の課題は、携帯性を維持しながら、使用環境が変化する場合であっても大開口送信時に超音波ビームを乱さず、アーチファクトの少ない高品位の画像を取得し得る超音波診断装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、超音波を送波又は受波する振動子アレイと、
前記振動子アレイとプローブケーブルにより接続され、前記振動子アレイを介して超音波を送波又は受波して超音波診断用の画像を生成し、生成された画像を表示する本体と、
を備え、
前記本体は、非対称性電極構造のキャパシタを有する第1の蓄電ユニットを備えた超音波診断装置が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、携帯性を維持しながら、使用環境が変化する場合であっても大開口送信時に超音波ビームを乱さず、アーチファクトの少ない高品位の画像を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】超音波診断装置の機能ブロック図である。
【図2】超音波診断用評価ファントムの構成を示す図である。
【図3】超音波ビーム断面プロファイルを示す図である。
【図4】超音波ビーム断面プロファイルを示す図である。
【図5】超音波ビーム断面プロファイルを示す図である。
【図6】超音波ビーム断面プロファイルを示す図である。
【図7】ファントム画像描出性に関する判断基準及び評価工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本実施形態における超音波診断装置について、図面を用いて詳細に説明する。なお、本実施形態は本発明の一例に過ぎず、本発明はこれに限定されるものではない。
【0013】
図1に、超音波診断装置100の機能ブロック図を示す。
超音波診断装置100は、プローブ1及び本体2により構成される。
【0014】
プローブ1は、アレイ状に配置された複数の振動子(以下、「振動子アレイ」と記載する)1aを備えて構成され、プローブケーブルCにより本体2に接続される。
【0015】
振動子アレイ1aは、例えばPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)セラミックス等の圧電材料により構成される。
振動子アレイ1aは、送波タイミング回路21aからの駆動信号に基づいて被写体に超音波を送波する。また、振動子アレイ1aは、送波した超音波が被写体で反射して戻ってきたエコー波を受波する。振動子アレイ1aは、受波したエコー波を電気信号に変換し、変換した電気信号(エコー信号)を送受信部21に出力する。
【0016】
本体2は、送受信部21、送波タイミング回路21a、診断情報生成部22、表示部23、制御部24、昇圧回路25、第1の蓄電ユニット26、第2の蓄電ユニット27を備えて構成される。
【0017】
送受信部21は、振動子アレイ1aを介して、超音波を送波又はエコー波を受波する。また、送受信部21は、送波タイミング回路21aを備えて構成される。
【0018】
送波タイミング回路21aは、制御部24からの制御信号を入力し、入力した制御信号に基づいて、適切なタイミングにて振動子アレイ1aに駆動信号を出力する。駆動信号は、2値又は3値の矩形波であることが望ましい。
また、送波タイミング回路21aは、振動子アレイ1aのうち、開口サイズに応じて必要な振動子に駆動信号を出力する。
送受信部21は、振動子アレイ1aからのエコー信号を入力し、入力したエコー信号を診断情報生成部22に出力する。
【0019】
診断情報生成部22は、送受信部21からのエコー信号を入力し、入力したエコー信号に基づいて診断情報を生成する。診断情報としては、例えばBモード画像、カラードップラ画像、ドップラスペクトラム画像等がある。Bモード画像は、被写体の内部状態を表す。また、カラードップラ画像は、被写体の血流等の速度分布像を表す。また、ドップラスペクトラム画像は、ドップラ信号のスペクトラムを表す。
診断情報生成部22は、生成した診断情報を表示部23に出力する。
【0020】
表示部23は、LCD又は有機ELディスプレイ等を備えて構成される。表示部23は、診断情報生成部22からの診断情報を入力し、入力した診断情報を画面上に表示する。
【0021】
制御部24は、CPU、RAM及びROM等を備えて構成される。CPUは、ROMに記憶されている各種プログラムをRAMに展開し、RAMに展開した各種プログラムとの協働により超音波診断装置100の動作を統括的に制御する。
【0022】
昇圧回路25は、第1の蓄電ユニット26から供給される電圧値を昇圧する回路である。昇圧回路25は、制御部24からの制御信号に基づいて、昇圧のON/OFFを行う。
【0023】
第1の蓄電ユニット26は、非対称性電極構造のキャパシタにより構成され、超音波診断装置100の各部に電力を供給する。「非対称性電極構造のキャパシタ」とは、例えばリチウムイオンキャパシタである。
なお、図1において、電力の供給線は図示簡略のため省略している。
【0024】
第2の蓄電ユニット27は、対称性電極構造のキャパシタ又は化学二次電池により構成され、第1の蓄電ユニット26の充電を行う。「対称性電極構造のキャパシタ」とは、例えば電気二重層キャパシタである。また、「化学二次電池」とは、例えばリチウムイオン電池である。
【0025】
なお、上記説明した構成では、非対称性電極構造のキャパシタにはリチウムイオンキャパシタを用いたがこれに限らず、正極を二酸化鉛、負極を多孔質カーボンとする非対称性電極構造のキャパシタ等を用いるとしてもよい。
また、第1の蓄電ユニット26は超音波診断装置100の各部に電力を供給するとしたがこれに限らず、第1の蓄電ユニット26は振動子アレイ1aに電力を供給し、第2の蓄電ユニット27は本体2の各部に電力を供給する構成としてもよい。
また、上記構成の他、本体20は操作部、記憶部、印刷部等(図示省略)を備えて構成されるとしてもよい。
【0026】
〔実験〕
表1に、実験条件及び実験結果を示す。
【表1】

【0027】
実施例1は、本実施形態に係る構成のうち、第2の蓄電ユニット27を備えない構成である。すなわち、第1の蓄電ユニット26のみで超音波診断装置100の各部に電力を供給する構成である。第1の蓄電ユニット26は、リチウムイオンキャパシタにより構成される。
【0028】
実施例2は、本実施形態に係る構成のうち、第1の蓄電ユニット26にリチウムイオンキャパシタを用い、第2の蓄電ユニット27にリチウムイオン電池を用いた構成である。第1の蓄電ユニット26は、振動子アレイ1a及び超音波診断装置100の各部に電力を供給し、第2の蓄電ユニット27は第1の蓄電ユニット26を充電する。
【0029】
比較例1は、第1の蓄電ユニット26及び第2の蓄電ユニット27に代えて、リチウムイオン電池を用いた構成である。その他の構成は実施例1、2の構成と同様である。
【0030】
比較例2は、第1の蓄電ユニット26及び第2の蓄電ユニット27に代えて、電気二重層キャパシタを用いた構成である。その他の構成は実施例1、2の構成と同様である。
【0031】
なお、本実験では、実施例1、2及び比較例1、2の何れの構成においても振動子アレイ1aの一音線の送信に用いる駆動振動子数は0.2mmピッチの振動子50個、アジマス方向の幾何焦点位置はいずれも35mm、駆動波の周波数は8MHz、送信の繰り返し周期は3kHz、とした。
【0032】
以上のような実施例及び比較例の構成により、超音波診断装置評価用のファントムに超音波を送波して、ファントム画像描出性評価を行った。
【0033】
図2に、ファントムの簡略図を示す。
ファントムPは、各深度に配置された複数のターゲットを備えて構成される。なお、ファントムPには、Gammex社製のファントム(404GS−LE)を用いた。
本実験では、深度35mmに水平配置された5連のターゲットT11〜T15、及び深度60mmに配置された3連無エコーターゲットT21〜T23に対して超音波ビームの送受信を行った。なお、5連のターゲットT11〜T15は、水平上において2mm、1mm、0.5mm、0.25mmの間隔を空けて配置されており、3連無エコーターゲットは各々、4mm、2mm、1mm径の円形無エコー領域があるターゲットとなっている。
【0034】
図3〜図6に、実施例1、2及び比較例1、2の超音波ビーム断面プロファイルを示す。
図3〜図6は、深度35mmの位置に音波が収束するよう各素子に時間遅延をかけて超音波ビームを送波した場合の35mm位置における超音波ビーム断面プロファイルである。
縦軸は音響強度(dB)、横軸はターゲットT1の位置を中心としたファントムP内の距離(mm)を示す。超音波ビーム断面プロファイルは、ターゲットT1の位置を頂点としたメインローブを形成し、メインローブの両サイドにサイドローブを形成する。
【0035】
図3は、実施例1の構成の超音波診断装置100により得られた超音波ビーム断面プロファイルである。
(1)は、−10℃の使用環境にてリチウムイオンキャパシタを満充電(100%)して実施例1の構成の超音波診断装置100を使用したときに得られた超音波ビーム断面プロファイルである。
(2)は、20℃の使用環境にてリチウムイオンキャパシタを満充電(100%)して実施例1の構成の超音波診断装置100を使用したときに得られた超音波ビーム断面プロファイルである。
(3)は、20℃の使用環境にてリチウムイオンキャパシタを充電(30%)して実施例1の構成の超音波診断装置100を使用したときに得られた超音波ビーム断面プロファイルである。
(4)は、45℃の使用環境にてリチウムイオンキャパシタを満充電(100%)して実施例1の構成の超音波診断装置100を使用したときに得られた超音波ビーム断面プロファイルである。
【0036】
図3によれば、使用環境が何れの場合であっても、メインローブの音響強度が極端に低くなることはなく半値幅は小さい。また、サイドローブの音響強度は低いことが確認できる。
メインローブの音響強度が高く半値幅が小さいほど分解能が良好であり、ターゲットT1を画像で把握し易い。また、サイドローブの音響強度が低いほど偽像が画像化されない。このことから、実施例1の構成は、高品位の画像取得に適しているといえる。
【0037】
図4は、実施例2の構成の超音波診断装置100により得られた超音波ビーム断面プロファイルである。
(1)は、−10℃の使用環境にてリチウムイオンキャパシタ及びリチウムイオン電池の複合体を満充電(100%)して実施例2の構成の超音波診断装置を使用したときに得られた超音波ビーム断面プロファイルである。
(2)は、20℃の使用環境にてリチウムイオンキャパシタ及びリチウムイオン電池の複合体を満充電(100%)して実施例2の構成の超音波診断装置を使用したときに得られた超音波ビーム断面プロファイルである。
(3)は、20℃の使用環境にてリチウムイオンキャパシタ及びリチウムイオン電池の複合体を充電(30%)して実施例2の構成の超音波診断装置を使用したときに得られた超音波ビーム断面プロファイルである。
(4)は、45℃の使用環境にてリチウムイオンキャパシタ及びリチウムイオン電池の複合体を満充電(100%)して実施例2の構成の超音波診断装置を使用したときに得られた超音波ビーム断面プロファイルである。
【0038】
図4によれば、使用環境が何れの場合であっても、メインローブの音響強度は高く半値幅は小さい。また、サイドローブの音響強度は低いことが確認できる。このことから、実施例2の構成も、実施例1と同様、高品位の画像取得に適しているといえる。
【0039】
図5は、比較例1の構成の超音波診断装置により得られた超音波ビーム断面プロファイルである。
(1)は、−10℃の使用環境にてリチウムイオン電池を満充電(100%)して比較例1の構成の超音波診断装置を使用したときに得られた超音波ビーム断面プロファイルである。
(2)は、20℃の使用環境にてリチウムイオン電池を満充電(100%)して比較例1の構成の超音波診断装置を使用したときに得られた超音波ビーム断面プロファイルである。
(3)は、20℃の使用環境にてリチウムイオン電池を充電(30%)して比較例1の構成の超音波診断装置を使用したときに得られた超音波ビーム断面プロファイルである。
(4)は、45℃の使用環境にてリチウムイオン電池を満充電(100%)して比較例1の構成の超音波診断装置を使用したときに得られた超音波ビーム断面プロファイルである。
【0040】
図5によれば、使用環境が何れの場合であっても、メインローブの音響強度は極端に小さくなることはないが、サイドローブの音響強度が大きいことが確認できる。このことから、比較例1の構成は、高品位の画像取得に適さないといえる。
【0041】
図6は、比較例2の構成の超音波診断装置により得られた超音波ビーム断面プロファイルである。
(1)は、−10℃の使用環境にて電気二重層キャパシタを満充電(100%)して比較例2の構成の超音波診断装置を使用したときに得られた超音波ビーム断面プロファイルである。
(2)は、20℃の使用環境にて電気二重層キャパシタを満充電(100%)して比較例2の構成の超音波診断装置を使用したときに得られた超音波ビーム断面プロファイルである。
(3)は、20℃の使用環境にて電気二重層キャパシタを充電(30%)して比較例2の構成の超音波診断装置を使用したときに得られた超音波ビーム断面プロファイルである。
(4)は、45℃の使用環境にて電気二重層キャパシタを満充電(100%)して比較例2の構成の超音波診断装置を使用したときに得られた超音波ビーム断面プロファイルである。
【0042】
図6によれば、使用環境が変化した場合、メインローブの音響強度が極端に小さくなり半値幅が大きくなる場合がある。特に、(3)の場合に顕著であることが確認できる。また、使用環境が何れの場合であっても、サイドローブの音響強度が大きいことが確認できる。このことから、比較例2の構成は、高品位の画像取得に適さないといえる。
【0043】
図7に、表1に示したファントム画像描出性に関する判断基準及び評価工程を示す。
ファントム画像描出性については、方位分解能のスコア及びアーチファクトのスコアを加算した総合スコアにより評価した。
【0044】
方位分解能のスコアについては、ファントムP内の深度35mmに水平配置された5連のターゲットT11〜T15(図2参照)に向けて超音波ビームを送波し、得られた画像において分離描出されたターゲット数により判断した。
例えば、得られた画像において分離して描出されたターゲット数が5点の場合、分解能は良好と判断でき、スコアを3とした。一方、得られた画像において分離して描出されたターゲット数が2点以下の場合、分解能は悪く、スコアを0とした。
【0045】
アーチファクトのスコアについては、ファントムP内の深度60mmに配置された3連無エコーターゲットT21〜T23(図2参照)に向けて超音波ビームを送波し、得られた画像により判断した。具体的には、無エコーターゲット周辺のバックグラウンド部の平均画像輝度を80(8bit)としたとき、周辺散乱体による偽像により、本来輝度が低いはずの無エコー部分に相当する位置の輝度が上昇してしまう程度により判断した。径1mm、2mm、4mmの何れのターゲット内においても輝度20(8bit)以下の面積比が70%以上であるときにスコア3、1mmターゲットのみ輝度20以下の面積比が70%未満である場合にスコア2、1mmおよび2mmターゲットで輝度20以下の面積比が70%未満である場合にスコア1、何れのターゲットにおいても輝度20以下の面積比が70%未満の場合をスコア0とした。
【0046】
ファントム画像描出性については、方位分解能のスコア及びアーチファクトのスコアを加算して、5点以上の場合を〇、4点の場合を〇△、3点の場合を△、2点の場合を△×、1点以下の場合を×と評価した。
【0047】
ファントム画像描出性は、表1で示したとおりである。すなわち、実施例1、2の構成の場合、使用環境が何れの場合であっても、評価は〇又は〇△であった。
一方、比較例1、2の構成の場合、評価は△又は△×であった。
【0048】
以上のように、本実施形態によれば、非対称性電極構造のキャパシタを有する第1の蓄電ユニット26により、振動子アレイ1aに電力を供給することができる。第1の蓄電ユニット26によれば、使用環境が変化しても、高電圧の電力を短時間内に連続して安定的に供給することができるため、大開口送信時に超音波ビームを乱さず、アーチファクトの少ない高品位の画像を取得することができる。
【0049】
また、昇圧回路25によって、第1の蓄電ユニット26の蓄電残容量が低下した場合であっても駆動電圧を一定に保つことができ、長時間高電圧の電力を安定して供給することができる。
【0050】
また、第1の蓄電ユニット26及び化学二次電池を有する第2の蓄電ユニット27を備えた構成にして、第1の蓄電ユニット26は振動子アレイ1aに電力を供給し、第2の蓄電ユニット27は本体2の各部に電力を供給する構成としてもよい。第1の蓄電ユニット26は、本体2に電力を供給する必要がないため、振動子アレイ1aに長時間高電圧の電力を安定して供給することができる。
【0051】
また、第1の蓄電ユニット26及び化学二次電池を有する第2の蓄電ユニット27を備えた構成にして、第1の蓄電ユニット26の蓄電残容量が低下した場合、第2の蓄電ユニット27が第1の蓄電ユニット26を充電する構成としてもよい。第1の蓄電ユニット26は、蓄電残容量が低下した場合であっても逐次充電されるため、振動子アレイ1aに長時間高電圧の電力を安定して供給することができる。
【0052】
また、送波タイミング回路21aは、制御部24からの制御信号に基づいて、振動子アレイ1aに出力する駆動信号を2値又は3値の矩形波に切り替えることができる。2値又は3値に切り替えて駆動信号を出力することにより、高品位の画像を取得することができる。
【0053】
また、第1の蓄電ユニット26の「非対称性電極構造のキャパシタ」は、例えばリチウムイオンキャパシタとすることができる。なお、リチウムイオンキャパシタ以外にも、例えば正極を二酸化鉛、負極を多孔質カーボンとする非対称性電極構造のキャパシタを用いることで、本実施形態に係る超音波診断装置100と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0054】
100 超音波診断装置
1 プローブ
1a 振動子アレイ
2 本体
21 送受信部
21a 送波タイミング回路
22 診断情報生成部
23 表示部
24 制御部
25 昇圧回路
26 第1の蓄電ユニット
27 第2の蓄電ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波を送波又は受波する振動子アレイと、
前記振動子アレイとプローブケーブルにより接続され、前記振動子アレイを介して超音波を送波又は受波して超音波診断用の画像を生成し、生成された画像を表示する本体と、
を備え、
前記本体は、非対称性電極構造のキャパシタを有する第1の蓄電ユニットを備えた超音波診断装置。
【請求項2】
前記本体は、昇圧回路を備え、
前記昇圧回路は、前記第1の蓄電ユニットから供給される駆動電圧を昇圧する請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記本体は、化学二次電池を有する第2の蓄電ユニットを備え、
前記第1の蓄電ユニットは、前記振動子アレイに電力を供給し、
前記第2の蓄電ユニットは、前記本体に電力を供給する請求項1又は2に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記本体は、化学二次電池を有する第2の蓄電ユニットを備え、
前記第2の蓄電ユニットは、前記第1の蓄電ユニットに電力を供給し、該第1の蓄電ユニットを充電する請求項1〜3の何れか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記本体は、送波タイミング回路を備え、
前記送波タイミング回路から前記振動子アレイに出力される駆動信号は、2値又は3値の矩形波である請求項1〜4の何れか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記非対称性電極構造のキャパシタは、リチウムイオンキャパシタである請求項1〜5の何れか一項に記載の超音波診断装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate