説明

足浴器

【課題】 入浴者が座った姿勢をとらなくても足部の入浴を行うことができ、マッサージ効果や洗浄効果が高い足浴器を提供することを課題とする。
【解決手段】 足浴器1は、脚部Aを水平にして足部Bを投入するたらい状の貯湯槽21を備えた貯湯部2と、該貯湯部2の上方に配設したシャワー噴出部3と、該貯湯槽21と該シャワー噴出部3と投入された足部Bとを覆うカバー部4とを備えていることを特徴とする。シャワー噴出部3には、複数のノズル33、34が設けられており、当該ノズルから湯を噴出することにより、足部Bのマッサージと洗浄を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足浴器に関し、さらに詳しくは、病人や身障者や老人等の足部の入浴を行うための足浴器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の足浴器は、たらい型や足型の貯湯部を備え、その貯湯部に湯を貯めるタイプのものが多く、入浴者は椅子等に腰掛けて足を貯湯部に入れて足部の入浴を行っていた。また、従来の足浴器には、以上のような貯湯部に湯を貯めておくタイプのほかに、湯をミスト(霧状)にして足に噴射するタイプのものもあるが、この場合も入浴者は椅子等に腰掛けて足部の入浴を行っていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
病人や障害者においては、発熱等で健康状態がすぐれず全身入浴が不可能な場合に足部だけでも入浴できるように足浴器を使用したいという希望がある。しかしながら、従来の足浴器では入浴者が椅子などに座った姿勢をとる必要があるが、病人や障害者はそのような姿勢をとることができない場合がある。このような場合、従来の足浴器を使用することができないという問題点があった。
【0004】
また、従来の足浴器は、足のマッサージ効果が小さく、汚れやすい足指間の洗浄作用が期待できないという問題点があった。
【0005】
本発明は上記課題に鑑み、入浴者が座った姿勢をとらなくても足部の入浴を行うことができ、またマッサージ効果や洗浄効果が高い足浴器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る足浴器は、入浴者の脚部を水平にして足部を投入するたらい状の貯湯槽を備えた貯湯部と、該貯湯部の上方に配設したシャワー噴出部と、該貯湯槽と該シャワー噴出部と投入された足部とを覆うカバー部とを備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、入浴者は寝た状態(横臥した状態)で足浴を行うことができる。このため、病人や障害者においては、発熱等で健康状態がすぐれず全身入浴が不可能な場合においても座った姿勢をとることなく足浴器を使用することができる。また、シャワー噴出部が貯湯部の上方に配設されているため、シャワー噴出部から噴出された湯により足指間の汚れを効率的に洗浄することが可能である。
【0008】
また、本発明に係る足浴器は、前記貯湯部がその縁部に脚部を支持するためのレスト部を備えることが好ましい。このような構成によれば、脚部を支持するためのレスト部が貯湯部の縁部に設けられているため、脚部を安定して支持できるほか、入浴者の脚部への負担を減少することができる。また、入浴者の脚部を安定して支持できると、貯湯部自体の安定性を確保することができるため、貯湯部の望ましくない移動により湯がこぼれるという事態を回避することができる。
【0009】
さらに、本発明に係る足浴器は、前記シャワー噴出部が、シャワー噴出圧力が互いに異なる複数種のノズルを備えていることが好ましい。このようなシャワー噴出圧力が互いに異なる複数のノズルを備えたシャワー噴出部を備えることにより、マッサージ効果を高めることが可能となる。
【0010】
さらに、本発明に係る足浴器は、前記カバー部が、スタンドとシート状のカバー部材から構成され、該スタンドは前記シャワー噴出部と前記カバー部材とを支持し、該カバー部材の下縁は、前記貯湯部の貯湯槽内に位置するようにすることが好ましい。このような構成によれば、スタンドがシャワー噴出部とカバー部材の両者を支持することができるため、足浴器の部品点数を減少することができ、また足浴器の設置容易性を向上させることができる。また、カバー部材の下縁が貯湯槽内に位置するため、カバー部内に飛散した水滴を効率的に貯湯槽内へ落下することができる。
【0011】
さらに、本発明に係る足浴器は、前記カバー部が、カバー部材に複数の縦方向の切り込みを設けることにより形成された脚部投入口を有することが好ましい。これにより、足浴器への脚部の投入を容易にするとともに、外部への湯の飛散を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しつつ本発明に係る実施形態の足浴器について詳細に説明する。
図1は、本実施形態の足浴器1の使用状態を示す斜視図である。足浴器1は、脚部Aを水平にして足部Bを投入するたらい状の貯湯槽21を備えた貯湯部2と、該貯湯部2の上方に配設したシャワー噴出部3と、該貯湯槽21とシャワー噴出部3と投入された足部Bとを覆うカバー部4とを備えている。
【0013】
貯湯部2は、FRPやプラスチックなどから形成されており、その中央に略四角形のたらい状の貯湯槽21が設けられている。この貯湯槽21の周囲は、略コの字状に縁部22が設けられており、湯が外部に漏出することを防止している。貯湯槽21の縁部22が設けられていない部分は、図3に示すように、縁部22より高さが低くかつ幅広に形成されており、当該部分が脚部を支持するためのレスト部23となっている。なお、レスト部23上にはビニール製のエアマット(図示せず)を載置することも可能であり、このエアマットにより入浴者の脚部Aを柔らかく支持することができる。また、貯湯部2には、外部と貯湯槽21とを貫通する排水口24が設けられている。この排水口24に排水ホース12が接続されるようになっている。
【0014】
シャワー噴出部3は、図3に示すように、支持板31、給湯管32、8個のノズル33、34及び給湯口35とから構成されている。支持板31に支持されている給湯管32には、計8個のノズル33、34が4個づつ2列に配置されている。ノズル33と34は、それぞれ互いにシャワーの噴出量(噴出圧力)が異なるノズルであり、マッサージ効果を高めることができるようになっている。このノズルの個数は一例であり、適宜変更してもよい。また、シャワー噴出圧力が互いに異なる3種以上のノズルを設けてもよい。さらに、このノズルの配置は、入浴者の足部に心地よいマッサージ効果が得られるように適宜その配列や位置を変更して配置することが望ましい。なお、給湯管32の開口端には給湯口35が設けられており、図1および図2に示すように、給湯ホース10が接続されるようになっている。
【0015】
カバー部4は、図2に示す籠状のスタンド41と、図1に示すシート状のカバー部材43とから構成されている。スタンド41は複数のステンレス製のパイプ42をそれぞれ湾曲して形成したものであり、それらの上端はシャワー噴出部3の支持板31に固定されている。また、それらの下端は、貯湯部2の貯湯槽21の底板部分に載置されている。このため、スタンド41はシャワー噴出部3を貯湯部2の上方に支持することができる。なお、スタンド41のパイプ42の上端は、支持板31に回動可能にピボット止めしてもよく、そのようにすることによりスタンド41を折りたたみ可能にすることができる。
【0016】
カバー部材43は、塩化ビニールなどの合成樹脂製のシート状部材であり、下端が開口した袋状となっている。このカバー部材43の下縁44は、貯湯部2の貯湯槽21内に位置し、カバー部4内に飛散した水滴を効率的に貯湯槽21内へ落下させることができる。また、このカバー部材43の側方には脚部投入口45が設けられている。この脚部投入口45は、カバー部材に複数の縦方向の切り込みを入れることにより形成されている。この切り込みは、図1に示すように、入浴者の脚部Aを貯湯部2の貯湯槽21内への投入を可能とするとともに、当該部分から外部への湯の飛散を防止している。なお、この脚部投入口45の部分は、カバー部材43を二重にすることが好ましく、それにより外部への湯の飛散をより効果的に防止することができる。
【0017】
次に、本実施形態の足浴器1の作用を説明する。
足浴器1を設置するには、最初に入浴者の脚部Aの下方に脚部Aを持ち上げながら貯湯部2を設置する。次に、シャワー噴出部3を支持しているスタンド41を貯湯槽21内へ載置する。さらに、カバー部材43をシャワー噴出部3とスタンド41の上から被せるように配置する。
【0018】
足浴器1の設置が完了した後に、移動式入浴装置搭載車両(図示せず)に搭載されている給湯器(図示せず)へ連結されている給湯ホース10をシャワー噴出部3の給湯口35に接続するとともに、移動式入浴装置搭載車両に搭載されている可搬式排水ポンプ(図示せず)へ、排水ホース12を介して貯湯部2の排水口24を接続する。
【0019】
上記移動式入浴装置搭載車両から圧送される湯は、シャワー噴出部3の各ノズル33、34から噴出され、これら異なる複数のシャワー噴出圧力により入浴者の足部をマッサージしながらこれを暖め血行を促進するとともに、効率的に足部の汚れを洗浄する。洗浄後の排水は貯湯槽21に集められ、排水口24を通じて上記移動式入浴装置搭載車両の排水槽に回収される。
【0020】
なお、本実施形態は、介護業務において足浴器1が使用される場合を説明しており、足浴器1への給湯及びその排水を行う装置によって本願発明の技術的範囲が限定されるものではない。たとえば、家庭で個人的に使用する場合であれば、湯沸し器へ給湯ホース10を繋ぐとともに、排水ホース12を介して浴室などに排水すればよい。
【0021】
本発明に係る足浴器によれば、入浴者は寝た状態(横臥した状態)で足浴を実行することができる。このため、病人や障害者においては、発熱等のために全身入浴が不可能な場合においても座った姿勢をとることなく足浴器を使用することができる。これは、実際の介護業務において、入浴者の健康状態に応じて全身入浴と足部の入浴とを選択することができ、入浴者の健康管理をよりいっそう充実させることを可能とするものである。
【0022】
また、シャワー噴出部が貯湯部の上方に配設されているため、入浴者が仰向けに横臥した状態では、シャワー噴出部から噴出された湯により足指間の汚れを効率的に洗浄することが可能である。
【0023】
さらに、本発明に係る足浴器は、脚部を支持するためのレスト部が貯湯部の縁部に設けられているため、脚部を安定して支持できるほか、入浴者の当該脚部への負担を減少することができる。また、このように入浴者の脚部を安定して支持できると、貯湯部自体の安定性を確保することができるため、貯湯部の望ましくない移動により湯がこぼれるという事態を回避することができる。
【0024】
さらに、本発明に係る足浴器は、シャワー噴出圧力が互いに異なる複数のノズルを備えたシャワー噴出部を備えることにより、マッサージ効果を高めることが可能となる。
【0025】
さらに、本発明に係る足浴器は、スタンドがシャワー噴出部とカバー部材の両者を支持することができるため、足浴器の部品点数を減少することができ、また、足浴器の設置容易性を向上することができる。また、カバー部材の下縁が貯湯槽内に位置するため、カバー部内に飛散した水滴を効率的に貯湯槽内へ落下することができる。
【0026】
さらに、本発明に係る足浴器は、カバー部が脚部投入口を有しており、脚部の貯湯槽への投入を可能にするとともに、外部への湯の飛散を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る実施形態の足浴器1の斜視図である。
【図2】図1に示す足浴器1の斜視図であり、カバー部材43を取外した状態が示されている。
【図3】図1に示す足浴器1の側面図である。
【符号の説明】
【0028】
1 足浴器
10 給湯ホース
12 排水ホース
2 貯湯部
21 貯湯槽
22 縁部
23 レスト部
24 排水口
3 シャワー噴出部
31 支持板
32 給湯管
33、34 ノズル
35 給湯口
4 カバー部
41 スタンド
42 パイプ
43 カバー部材
44 カバー部材下縁
45 脚部投入口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入浴者の脚部を水平にして足部を投入するたらい状の貯湯槽を備えた貯湯部と、該貯湯部の上方に配設したシャワー噴出部と、該貯湯槽と前記シャワー噴出部と投入された足部とを覆うカバー部と、を備えていることを特徴とする足浴器。
【請求項2】
前記貯湯部は、その縁部に脚部を支持するためのレスト部が設けられている請求項1記載の足浴器。
【請求項3】
前記シャワー噴出部は、複数のノズルを備え、シャワー噴出圧力が互いに異なる複数種のノズルを備えている請求項1記載の足浴器。
【請求項4】
前記カバー部は、スタンドとシート状のカバー部材から構成されており、該スタンドは前記シャワー噴出部と前記カバー部材とを支持し、該カバー部材の下縁は、前記貯湯部の貯湯槽内に位置する請求項1記載の足浴器。
【請求項5】
前記カバー部は、脚部投入口を有しており、該脚部投入口は、前記カバー部材に複数の縦方向の切り込みを設けることにより形成されている請求項4記載の足浴器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−305200(P2006−305200A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−133583(P2005−133583)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(000134121)株式会社デベロ (8)
【Fターム(参考)】