説明

足用マッサージ機

【課題】被施療者の脚の挿入方向を変えることができ、挿入方向に応じたマッサージを施すことのできる足用マッサージ機を提供する。
【解決手段】第1凹部70と、該第1凹部から上向きに連続する第2凹部74とを有し、両凹部にマッサージ手段80,83,85を具備したリクライニング可動部50と、該リクライニング可動部を両凹部が上向きに開口した状態で回動可能に支持するベース部20と、マッサージ手段を制御する制御手段90とを具えた足用マッサージ機であって、リクライニング可動部は、第1凹部に足先を挿入し、第2凹部にふくらはぎを挿入した第1挿入方向と、第1凹部にふくらはぎを挿入し、第2凹部に足先を挿入した第2挿入方向で使用可能であり、脚の挿入方向を検知する方向検知手段100が配備され、制御手段は、方向検知手段により検知された脚の挿入方向に基づいて、マッサージ手段の動作を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被施療者の足先及びふくらはぎをマッサージする足用マッサージ機に関するものであり、より具体的には、被施療者の脚の挿入方向を検知し、挿入方向に応じたマッサージを施すことのできる足用マッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
被施療者の足先及びふくらはぎをマッサージする足用マッサージ機が知られている。
例えば、特許文献1に記載の足用マッサージ機は、被施療者の足先を挿入する足先用ユニットと、被施療者のふくらはぎを挿入するふくらはぎ用ユニットを具える。足先用ユニット及びふくらはぎ用ユニットには、夫々エアバッグ等、被施療者にマッサージを施すマッサージ手段が配備されている。
特許文献1の足用マッサージ機は、床面に載置される足先用ユニットに対して、ふくらはぎ用ユニットを前後に傾動可能に連結しており、足先を足先用ユニットに載せた状態で、ふくらはぎを後方に倒すと、ふくらはぎの角度に応じて、ふくらはぎ用ユニットが後方に傾くようにしている。
上記構成とすることで、被施療者が寝転んだ状態でも、マッサージを受けることができる。
【0003】
【特許文献1】特開2005−245803号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記足用マッサージユニットは、ふくらはぎ用ユニットを、足先用ユニットに対して傾動させる構成であるため、例えば、被施療者が椅子等に腰掛けた状態でマッサージを受ける際に、足先用ユニットが椅子等に近い位置にあると、ふくらはぎ用ユニットを後方に倒そうとすると、椅子等に当たるため、倒すことはできなかった。
また、足先用ユニットが傾動する構成ではないため、ふくらはぎ用ユニットを後方に傾けたときに、ふくらはぎと足先の角度が、自然なリラックスした状態から変化して、ふくらはぎに対して足先が伸びた状態となり、ふくらはぎや足先の筋、筋肉が突っ張ったり緊張して、血流が悪くなることがあり、十分なマッサージ効果を得ることができなくなる可能性があった。
さらに、上記足用マッサージ機は、足先用ユニットに足先、ふくらはぎ用ユニットにふくらはぎを挿入するのみで、足先用ユニットにふくらはぎ、ふくらはぎ用ユニットに足先を挿入してマッサージすることはできない。このため、足用マッサージ機の使用のバリエーションが低く、また、受けることのできるマッサージの種類も限られたものとなっていた。
【0005】
本発明の目的は、被施療者の足先及びふくらはぎをマッサージすることができ、且つ、被施療者の脚の挿入方向を変えることができ、挿入方向に応じたマッサージを施すことのできる足用マッサージ機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明の足用マッサージ機は、
前後方向に略平行に延びる左右一対の第1凹部と、該第1凹部の後端から上向きに連続して延びる第2凹部と、を有し、第1凹部及び第2凹部にマッサージ手段を具備したリクライニング可動部と、
該リクライニング可動部を、第1凹部及び第2凹部が上向きに開口した状態で、第1凹部が床面に対して略平行な状態から略垂直な状態まで回動可能に支持するベース部と、
マッサージ手段の動作を制御する制御手段と、
を具えた足用マッサージ機において、
リクライニング可動部は、第1凹部に被施療者の足先を挿入し、第2凹部に被施療者のふくらはぎを挿入した第1挿入方向と、第1凹部に被施療者のふくらはぎを挿入し、第2凹部に被施療者の足先を挿入した第2挿入方向で使用可能であり、被施療者の脚の挿入方向を検知する方向検知手段が配備され、
該方向検知手段は、制御手段に電気的に接続され、制御手段は、方向検知手段により検知された被施療者の脚の挿入方向に基づいて、マッサージ手段の動作を制御するようにした。
【発明の効果】
【0007】
第1凹部と第2凹部を有するリクライニング可動部が、ベース部に対して揺動する構成としたことにより、第1凹部と第2凹部の角度が一定のまま、一体に揺動させることができるから、リクライニング可動部を倒したときに、ふくらはぎに対して足先が伸びてしまうことがない。従って、リクライニング可動部を倒しても、ふくらはぎや足先の筋、筋肉が突っ張ることはなく、筋、筋肉が弛緩し、リラックスした状態を維持できる。
従って、血管が圧迫されたり、血流が阻害されることはなく、マッサージ効果を高い状態で受けることができる。
【0008】
また、第1凹部に足先、第2凹部にふくらはぎを挿入してマッサージを受けたり、第1凹部にふくらはぎ、第2凹部に足先を挿入してマッサージを受けることができる。このとき、脚の挿入方向を方向検知手段によって検知して、マッサージ手段の動作を変えることができるから、バリエーションに富んだ効果の高いマッサージを受けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の足用マッサージ機(10)について、図面に沿って説明する。
図1は、本発明の足用マッサージ機(10)を斜め前方から見た斜視図、図2は、斜め後方から見た斜視図、図3は、底面側から見た斜視図である。また、図4は、図1の線X−Xに沿う断面図、図5は、ベース部(20)からリクライニング可動部(50)を取り外した状態を示す斜視図、図6は、リクライニング可動部(50)を下方から見た斜視図である。さらに、図7は、図1の線Y−Yに沿う断面図であって、リクライニング可動部(50)が起立した状態を示しており、図8は、リクライニング可動部(50)が後傾した状態を示す断面図、図9は、図1の線Z−Zに沿う断面図であって、リクライニング可動部(50)が起立した状態を示しており、図10は、リクライニング可動部(50)が後傾した状態を示す断面図である。なお、図7乃至図10は、レール部(30)(60)の形状をわかりやすく示すものであり、内部構造等を省略又は簡略化して示している。
【0010】
図に示すように、足用マッサージ機(10)は、床面に載置されるベース部(20)と、該ベース部(20)に揺動可能に支持されるリクライニング可動部(50)から構成される。リクライニング可動部(50)には、後述するように、被施療者の足先又はふくらはぎを収容する第1凹部(70)と、被施療者の足先又はふくらはぎを収容する第2凹部(74)が形成されており、第1凹部(70)及び第2凹部(74)の側面及び/又は底面には、マッサージ手段が複数配備される。マッサージ手段として、後述するように、エアバッグ(80)(81)(82)(83)及び指圧子(85)(図9、図11参照)を例示できる。
【0011】
ベース部(20)は、内部中空の樹脂製ケーシング(21)から形成される。ベース部(20)の内部には、リクライニング可動部(50)にマッサージ手段として配備されるエアバッグ(80)(81)(82)(83)に圧縮空気を送給するエアポンプ(12)、制御基板や電源ユニット(図示せず)が収容される。
【0012】
ベース部(20)の左右上部には、図4及び図5に示すように、前後方向に伸びる左右一対のレール部(以下「第1レール部(30)(30)」という)が形成されている。第1レール部(30)(30)は、夫々下向きに湾曲した断面矩形形状であり、上面中央には、長手方向に沿って幅狭のスリット(31)が形成されている。第1レール部(30)(30)には、後述するリクライニング可動部のローラ部(以下「第2ローラ部(64)(64)」という)が転動可能に嵌まる。
第1レール部(30)(30)は、湾曲形状であればよく、図7及び図8に示すように、前方が円弧状であり、後方に近づくにつれて、直線状となる形状を例示できる。このような形状とすることで、リクライニング可動部(50)の揺動の際に、リクライニング可動部(50)が固定支点(仮想支点)を中心とする揺動運動ではなく、揺動中心が前方にスライドしつつ傾動して、被施療者の足に負担のない動きを実現できる。
なお、第1レール部(30)を円弧状としてもよい。
【0013】
ベース部(20)の後端には、図5及び図9に示すように、上向きに左右一対のブラケット(32)(32)が突設されており、該ブラケット(32)(32)の上端には、後述するリクライニング可動部(50)のレール部(以下「第2レール部(60)(60)」という)に嵌まるローラ部(以下「第1ローラ部(34)(34)」という)が回動自在に軸支されている。第1ローラ部(34)(34)は、夫々ゴム又は樹脂材料から形成することができる。
【0014】
ベース部(20)の下面は、図3及び図4に示すように、2条の凹部(22)(22)が形成されており、各凹部(22)(22)には、車輪(40)(40)が軸支され、足用マッサージ機(10)を床面に沿って前後に移動可能となっている。
【0015】
リクライニング可動部(50)は、内部中空の樹脂製ケーシング(51)から形成される。ケーシング(51)は、下側が前方に向けて突出し、後端側が上向きに突出している。ケーシング(51)には、図1及び図4等に示すように、被施療者の足先又はふくらはぎを挿入する左右一対の第1凹部(70)(70)と、各第1凹部(70)(70)の後端から連続し、被施療者の足先又はふくらはぎを挿入する第2凹部(74)(74)が凹設されている。第1凹部(70)(70)間及び第2凹部(74)(74)間には、中央壁(78)が立設されている。第1凹部(70)(70)及び第2凹部(74)(74)には、後述するとおり、被施療者にマッサージを施すマッサージ手段が配備される。
【0016】
リクライニング可動部(50)の後端左右には、図5、図6及び図9等に示すように、前記ベース部(20)の第1ローラ部(34)(34)が嵌まる第2レール部(60)(60)が形成されている。第2レール部(60)は、後方に向けて膨らむ方向に湾曲した断面矩形形状であり、後面側に長手方向に沿う幅狭のスリット(61)が形成されている。
第2レール部(60)(60)は、湾曲形状であればよく、図示の実施例では、円弧状としている。円弧状とする場合、円弧角度は、約90〜120°とすることが望ましい。また、前記ベース部(20)の第1レール部(30)(30)と同じ湾曲形状としてもよいし、曲率や長さ、円弧角度等を変えて形成してもよい。
【0017】
また、リクライニング可動部(50)の前後方向における中央の左右には、前記ベース部(20)の第1レール部(30)に嵌まる第2ローラ部(64)(64)が回動自在に軸支されている。第2ローラ部(64)(64)は、夫々ゴム又は樹脂材料から形成することができる。
【0018】
第1凹部(70)(70)及び第2凹部(74)(74)の側面、底面には、マッサージ手段が配備される。本実施例では、マッサージ手段として、図9に示すように、第1凹部(70)(70)の底面に、指圧子(85)(85)、第1凹部(70)(70)の側面及び第2凹部(74)(74)の側面、底面にエアバッグ(80)(81)(82)を配置している。なお、マッサージ手段であるエアバッグ(80)(81)(82)は、図9にのみ示している。
【0019】
指圧子(85)は、図9、図11に示すように、第1凹部(70)の底面に前後方向に長く開設された長孔(72)から出没可能且つ長孔(72)に沿って前後に移動可能に配備される。具体的には、図11乃至図19に示すように、指圧子(85)は、下端がケース(86)に収容されたエアバッグ(83)に連結されており、左右の第1凹部(70)(70)の指圧子(85)(85)に対応する左右のケース(86)に収容され、マッサージユニット(86a)を構成する。左右のマッサージユニット(86a)は、接続プレート(87)で連結され、マッサージユニット(86a)が、第1凹部(70)に沿って前後に往復移動可能となるように、駆動機構に接続される。
駆動機構は、モータ(89)を主体として構成される。接続プレート(87)に設けられたネジ筒(図示せず)は、第1凹部(70)の底面に沿って平行に軸支されたネジ軸(88)に接続されており、ネジ軸(88)は、減速機構(89a)を介してモータ(89)(図9参照)に接続されている。ネジ軸(88)が回転すると、接続プレート(87)が前後移動し、指圧子(85)が長孔(72)に沿って移動する。図9、図11及び図13では、指圧子(85)が最も前方と後方へ移動した様子を示す。
【0020】
左右の第1凹部(70)(70)及び第2凹部(74)(74)に配置されたエアバッグ(80)(81)(82)及び指圧子(85)を出没させるエアバッグ(83)は、夫々配管に接続され、リクライニング可動部(50)のケーシング(51)内に侵入している。各配管には、電磁弁(図示せず)が接続されている。電磁弁から伸びる配管は、ベース部(20)に伸びて、エアポンプ(12)に接続される。なお、電磁弁よりも上流側の配管は、1又は数本にまとめて、エアポンプ(12)に接続させることが望ましい。これにより、リクライニング可動部(50)とベース部(20)とを繋ぐ配管の数を減らすことができる。
【0021】
第1凹部(70)(70)及び/又は第2凹部(74)(74)の底面には、被施療者の脚の挿入方向を検知する方向検知手段(100)が配備される。方向検知手段(100)は、例えば、図9乃至図13に示すように、圧力センサを例示できる。圧力センサは、被施療者の足裏の当たる位置に設けられ、足裏が当接したことを検知して、後述する制御手段(90)に送信する。圧力センサは、図9及び図10に示すように、第1凹部(70)に足裏が当たるように脚を挿入したときに、足裏が当接したことを検知するが、脚の挿入方向が変わったときには、図12及び図13に示すように、被施療者の脚、即ち、ふくらはぎや足首が当たらない位置に設ける。脚の挿入方向検知の詳細は後述する。
【0022】
方向検知手段(100)は、圧力センサに限定されず、例えば、足裏が当接したときにオン又はオフになるバネ付勢等による接触型スイッチでも構わない。また、マッサージ手段の負荷の変化をモニタリング又はサンプリングすることで、脚の挿入方向を検知するようにしてもよい。
【0023】
本発明の足用マッサージ機(10)のすべての制御は、制御手段(90)により行なわれる。制御手段(90)には、図14に示すように、マッサージ手段、本実施例ではエアバッグ(80)(81)(82)(83)を膨張させるエアポンプ(12)及び電磁弁(13)、指圧子(85)及びエアバッグ(83)が搭載されたマッサージユニット(86a)の位置を調整するモータ(89)、方向検知手段(100)である圧力センサ、操作部(91)、種々のプログラム、マッサージコース(後述)を記憶したRAM(96)、フラッシュメモリ(97)等が接続される。
操作部(91)には、各種操作スイッチの他、後述する図18に示すように、脚の挿入方向を判定した後に選択可能なマッサージコースを表示するタッチパネル式の表示部(92)を具える。
【0024】
被施療者は、図9及び図10に示すように、第1凹部(70)に被施療者の脚Lの足先が当たるように挿入したり(以下「第1挿入方向」という)、図12及び図13に示すように、第2凹部(74)に被施療者の脚Lの足先が当たるように挿入して(以下「第2挿入方向」という)、マッサージを受けることができる。
【0025】
第1挿入方向の実施例として、以下を例示できる。
図9は、被施療者が、例えば、椅子に腰掛けた状態で、第1凹部(70)に足先が当たるように挿入した例であり、ふくらはぎは、第2凹部(74)に当接している。
また、図10は、被施療者が、例えば寝転んだ状態で、リクライニング可動部(50)を後方に回動させて、第1凹部(70)に足先、第2凹部(74)にふくらはぎが当たるように脚Lを挿入した例である。
【0026】
第2挿入方向の実施例として、以下を例示できる。
図12は、被施療者が、例えば、椅子に腰掛けた状態で、リクライニング可動部(50)を後方に回転させ、第2凹部(74)に足先、第1凹部(70)にふくらはぎが当接するように脚Lを挿入した例である。
図13は、被施療者が寝転んだ状態で、第2凹部(74)に足先、第1凹部(70)にふくらはぎが当接するように脚Lを挿入した例である。
なお、図9、図10、図12及び図13では、リクライニング可動部(50)が最も起立した状態又は傾倒した状態の何れかを示しているが、これらの中間の状態で脚Lを挿入してマッサージを受けることができることは勿論である。
【0027】
方向検知手段(100)は、被施療者の脚Lの挿入方向が、第1挿入方向であるか第2挿入方向であるかを検知して、制御手段(90)に送信する。
【0028】
以下、本発明の足用マッサージ機(10)によるマッサージについて説明する。
<実施例1>
以下では、足用マッサージ機(10)に被施療者が脚Lを挿入したときに、脚Lの挿入方向を検知する方法について説明する。
図9、図10、図12及び図13に示すように、足用マッサージ機(10)の第1凹部(70)及び/又は第2凹部(74)には、脚Lの挿入方向を検知する方向検知手段(100)が配備されている。図では、第1凹部(70)と第2凹部(74)の両方に方向検知手段(100)を取り付けている。
方向検知手段(100)として圧力センサを用いる場合、上記したように、脚Lの挿入方向によって、被施療者の足裏の圧力を受ける位置であって、且つ、ふくらはぎや足首からの圧力を受けない位置に配備する。
これにより、フローチャート図15に示すように、第1凹部(70)側の圧力センサが圧力を検知し、第2凹部(74)側の圧力センサが圧力を殆んど検知しない場合には(ステップ1)、図9及び図10に示すように、脚Lの挿入方向が第1挿入方向であることが検知される(ステップ2)。
逆に、第1凹部(70)側の圧力センサは圧力を殆んど検知しないが、第2凹部(74)側の圧力センサが圧力を検知した場合には(ステップ3)、図12及び図13に示すように、脚Lの挿入方向が第2挿入方向であることが検知される(ステップ4)。
【0029】
上記により、被施療者が足用マッサージ機(10)に挿入した脚Lの方向を検知することができ、後述する実施例2のように、脚Lの挿入方向に応じたマッサージコースを実行することができる。
【0030】
なお、被施療者の足裏とふくらはぎでは硬さが異なる。従って、フローチャート図16に示すように、指圧子(85)を所定量だけ突出させた状態で、第1凹部(70)の長手方向に沿って移動させ(ステップ1)、エアバッグ(83)の空気圧を検知することで、エアバッグ(83)の圧力データをサンプリングし(ステップ2及びステップ3)、予め取得しておいたデータと照合することで、脚Lの挿入方向を検知することもできる(ステップ4)。
【0031】
<実施例2>
本実施例は、被施療者の脚Lの挿入方向によって、施されるマッサージのコースを変えるようにした実施例である。
マッサージコースは、RAM(96)に記憶しておくことができる。RAM(96)には、一般的なマッサージコース以外に、以下のフローチャート図17に示すマッサージコースが記憶されている。
マッサージコース1は、方向検知手段(100)が脚Lの挿入方向を第1挿入方向と判断した場合のマッサージコースであり、第1凹部(70)に配備されたマッサージユニット(86a)の指圧子(85)による足裏のマッサージを重点的に行なうマッサージを例示できる。マッサージコース1は、指圧子(85)の突出量を特に土踏まずの部分で大きく採り、土踏まずの部分でマッサージユニット(86a)を重点的に往復移動させるマッサージとすることが望ましい。
マッサージコース2は、方向検知手段(100)が脚Lの挿入方向を第2挿入方向と判断した場合のマッサージコースであり、第1凹部(70)に配備されたマッサージユニット(86a)の指圧子によるふくらはぎのマッサージを重点的に行なうマッサージを例示できる。マッサージコース2では、ふくらはぎに強すぎない刺激を与えるために、指圧子(85)の突出量を小さくして、ふくらはぎの広い範囲にマッサージを施すことができるように、マッサージユニット(86a)を移動させるマッサージとすることが望ましい。
【0032】
マッサージを開始すると、まず、方向検知手段(100)により、脚Lの挿入方向を検知する(ステップ1)。挿入方向の検知は、上記実施例1の要領で行なうことができる。
検知された挿入方向が第1挿入方向であればマッサージコース1(ステップ2)、挿入方向が第2挿入方向であればマッサージコース2(ステップ3)をRAM(96)から読み出す。
挿入方向決定後、選択されたマッサージコースに応じて、マッサージ手段、具体的にはエアバッグ(80)(81)(82)(83)及び駆動機構を制御し、被施療者の脚Lにマッサージを施す(ステップ4)。
被施療者の操作やタイマー等により、マッサージの停止命令が送信されると、マッサージコースを終了する(ステップ5)。
【0033】
上記によれば、脚Lの挿入方向に応じた効果的なマッサージを受けることができる。従って、例えば、指圧子(85)の突出量が大きすぎたり、小さすぎたりすることにより、痛みや不快感、物足りなさを感じることもない。
【0034】
<実施例3>
上記実施例1によって、被施療者の脚Lの挿入方向が検知された場合、実施例2では、自動的にマッサージコースを選択したが、図18に示すように、操作部(91)の表示部(92)に、選択可能なマッサージコースを表示し、被施療者が所望するマッサージコースを選べるようにすることができる。
図18は、タッチパネル式の表示部(92)であり、表示部(92)には、方向検知手段(100)によって検知された脚Lの挿入方向によって、表示される図柄、選択可能なマッサージコースを変えている。具体的には、図18及びフローチャート図19に示すように、脚Lの挿入方向が判定されると(ステップ1)、挿入方向に応じた表示画面が、表示部(92)に表示される(ステップ2及びステップ3)。
図18中、上側に示した表示部(92)は、第1挿入方向判定時(ステップ2)の表示の一例であり、挿入方向が目視で認識できるように簡単な図柄が表示されており、挿入方向に応じたマッサージコースが選択できるようになっている。マッサージコースとして、第1挿入方向の際に最適な強めのマッサージを施すコリ改善コース、緩やかなマッサージを施すやすらぎコース、土踏まずに重点を置いた土踏まずコースを例示できる。被施療者は、凝り度合いに応じて、所望のマッサージコースボタンを操作すればよい(ステップ4)。
同様に、図18中、下側に示した表示部(92)は、第2挿入方向判定時(ステップ3)の表示の一例であり、脚Lの挿入方向に応じた最適なマッサージコース(例えば「ふくらはぎさすり」コース)が選択可能となっており、凝り度合いに応じて、所望のマッサージコースボタンを操作すればよい(ステップ4)。
本発明によれば、被施療者は、足用マッサージ機(10)に脚Lを挿入するだけで、選択可能なマッサージコースが選択できるため、所望に応じた最適なマッサージを受けることができる。また、挿入方向に応じて、表示画面が切り替わり、一つのマッサージコースボタンで異なるコースを選択でき、コースボタンを増やす必要はなく操作性が向上する。
被施療者の操作やタイマー等により、マッサージの停止命令が送信されると、マッサージコースを終了する(ステップ5)。
【0035】
<実施例4>
本実施例は、上記実施例1において、脚Lの挿入方向が第1挿入方向であると判定された場合のマッサージコースのバリエーションとして、指圧子(85)によるマッサージの軌跡を、直線的な一軸方向の動作ではなく、任意の移動軌跡となるように指圧マッサージを施すことができるマッサージコースを設定するものである。図20に示すように、第1凹部(70)の左右の側壁に配備されたエアバッグ(80)(80)の膨張、収縮度合いを変化させることで、指圧子(85)の足裏に対する相対的な軌跡を変化させる。
具体的には、図中左側のエアバッグAと右側のエアバッグBを同時に膨張、収縮するように制御することで、指圧子(85)の軌跡は、図20の(ア)とすることができ、足裏の中央をマッサージすることができる。また、図中左側のエアバッグAのみを膨張させると、足裏は、エアバッグB側に移動するから、指圧子(85)の相対的な軌跡は、図20の(イ)とすることができ、足裏の親指側をマッサージすることができる。さらに、図中右側のエアバッグBのみを膨張させると、足裏は、エアバッグA側に移動するから、指圧子(85)の相対的な軌跡は、図20の(ウ)とすることができ、足裏の小指側をマッサージすることができる。
【0036】
上記に合わせて、指圧子(85)が搭載されたマッサージユニット(86a)を往復移動させる駆動機構のモータ(89)の回転速度を変えることで、直線的な移動マッサージだけでなく、任意の移動軌跡での移動マッサージを行なうことができる。
【0037】
フローチャート図21を用いて説明すると、上記指圧子(85)の軌跡を選択するステップ1の後、選択されたコースに応じて、エアバッグA及びBの圧力を変更し(ステップ2)、エアバッグA及びBの膨張、収縮速度が設定されると、指圧子(85)を移動させるモータ(89)の回転速度を変更して(ステップ3)、マッサージを開始する(ステップ4)。これにより、所望の軌跡、速度で指圧子(85)を移動させることができる。
被施療者の操作やタイマー等により、マッサージの停止命令が送信されると、マッサージコースを終了する(ステップ5)。
【0038】
なお、被施療者の足サイズに無関係に、一定した軌跡の移動指圧マッサージを行なうこともできる。即ち、足のサイズの違いにより、エアバッグ(80)を同じ速度で膨張させたときに、指圧子(85)の移動速度が同じであれば、指圧子(85)の軌跡を一定とすることができない。従って、フローチャート図22に示すように、被施療者の足サイズを、指圧子(85)の突出量や、種々のセンサ等の足サイズ検知手段により検知し(ステップ1)、指圧子(85)を移動させるモータ(89)の回転速度を、足サイズが大きい場合には、足サイズが小さい場合に比べて速くした状態で(ステップ2)、マッサージを開始するようにしている(ステップ3)。これにより、足のサイズに関係なく、足裏に対して同じ軌跡のマッサージを施すことができる。
被施療者の操作やタイマー等により、マッサージの停止命令が送信されると、マッサージコースを終了する(ステップ4)。
【0039】
上記した足用マッサージ機(10)は、足専用のマッサージ機として単体で用いることができるし、被施療者の腰掛ける座部と、該座部の後端に配備され被施療者の背中の当たる背凭れ部と、座部の前端に配備され被施療者のふくらはぎ及び足先をマッサージする脚部と、を具えた椅子型マッサージ機の脚部に搭載することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、第1凹部及び第2凹部が形成されたリクライニング可動部を、ベース部に対して揺動させることができ、且つ、脚の挿入方向に応じて異なるマッサージを施すことのできる足用マッサージ機のとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の足用マッサージ機を斜め前方から見た斜視図である。
【図2】足用マッサージ機を斜め後方から見た斜視図である。
【図3】足用マッサージ機を底面側から見た斜視図である。
【図4】図1の線X−Xに沿う断面図である。
【図5】ベース部からリクライニング可動部を取り外した状態を示す斜視図である。
【図6】リクライニング可動部を下方から見た斜視図である。
【図7】図1の線Y−Yに沿う断面図であって、リクライニング可動部が起立した状態を示している。
【図8】図1の線Y−Yに沿う断面図であって、リクライニング可動部が後傾した状態を示している。
【図9】図1の線Z−Zに沿う断面図であって、起立した状態のリクライニング可動部に、脚を第1挿入方向で挿入した状態を示している。
【図10】図1の線Z−Zに沿う断面図であって、後傾した状態のリクライニング可動部に、脚を第1挿入方向で挿入した状態を示している。
【図11】図1の線Z−Zに沿う断面図であって、マッサージユニットの内部機構を断面して示す図である。
【図12】図1の線Z−Zに沿う断面図であって、後傾した状態のリクライニング可動部に、脚を第2挿入方向で挿入した状態を示している。
【図13】図1の線Z−Zに沿う断面図であって、起立した状態のリクライニング可動部に、脚を第2挿入方向で挿入した状態を示している。
【図14】制御手段のブロック図である。
【図15】脚の挿入方向を判定するフローチャート図である。
【図16】脚の挿入方向を判定する異なる実施例を示すフローチャート図である。
【図17】脚の挿入方向に応じて異なるマッサージを施すフローチャート図である。
【図18】表示部の説明図である。
【図19】脚の挿入方向に応じて、表示部の表示画面を変えてマッサージを施すフローチャート図である。
【図20】指圧子の軌跡を示す説明図である。
【図21】指圧子の軌跡を変えるフローチャート図である。
【図22】足サイズに無関係に指圧子の軌跡を一定とするフローチャート図である。
【符号の説明】
【0042】
(10) 足用マッサージ機
(20) ベース部
(50) リクライニング可動部
(70) 第1凹部
(74) 第2凹部
(100) 方向検知手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に略平行に延びる左右一対の第1凹部と、該第1凹部の後端から上向きに連続して延びる第2凹部と、を有し、第1凹部及び第2凹部にマッサージ手段を具備したリクライニング可動部と、
該リクライニング可動部を、第1凹部及び第2凹部が上向きに開口した状態で、第1凹部が床面に対して略平行な状態から略垂直な状態まで回動可能に支持するベース部と、
マッサージ手段の動作を制御する制御手段と、
を具えた足用マッサージ機において、
リクライニング可動部は、第1凹部に被施療者の足先を挿入し、第2凹部に被施療者のふくらはぎを挿入した第1挿入方向と、第1凹部に被施療者のふくらはぎを挿入し、第2凹部に被施療者の足先を挿入した第2挿入方向で使用可能であり、被施療者の脚の挿入方向を検知する方向検知手段が配備され、
該方向検知手段は、制御手段に電気的に接続され、制御手段は、方向検知手段により検知された被施療者の脚の挿入方向に基づいて、マッサージ手段の動作を制御する足用マッサージ機。
【請求項2】
方向検知手段は、マッサージ手段の動作時の負荷を検知する手段である請求項1に記載の足用マッサージ機。
【請求項3】
マッサージ手段は、エアバッグであって、方向検知手段は、エアバッグの圧力変化を検知することで脚の挿入方向を検知する請求項2に記載の足用マッサージ機。
【請求項4】
方向検知手段は、第1凹部及び/又は第2凹部の底面に配置された圧力センサである請求項1に記載の足用マッサージ機。
【請求項5】
方向検知手段は、第1凹部及び/又は第2凹部の底面に配置された接触型スイッチである請求項1に記載の足用マッサージ機。
【請求項6】
マッサージ手段を操作する操作部を具え、該操作部には、被施療者の脚の挿入方向を表示する表示部を有し、制御手段は、方向検知手段により検知された被施療者の脚の挿入方向を表示部に表示するようにした請求項1乃至請求項5の何れかに記載の足用マッサージ機。
【請求項7】
表示部は、脚の挿入方向に応じたマッサージコースを表示する請求項6に記載の足用マッサージ機。
【請求項8】
被施療者の脚を挿入する凹部と、
凹部の底面に配備され被施療者の脚を押圧する指圧子と、
該指圧子を凹部の底面に沿って長手方向に往復移動させる駆動機構と、
凹部の左右両側壁に配備されたエアバッグと、
エアバッグの膨張及び収縮と、駆動機構を制御する制御手段と、
を具えた足用マッサージ機において、
制御手段は、エアバッグの膨張速度に応じて、駆動機構による指圧子の移動速度を変化させるよう制御することを特徴とする足用マッサージ機。
【請求項9】
凹部には、被施療者の足先が挿入され、被施療者の足の大きさを検知する足サイズ検知手段を有し、
該足サイズ検知手段は、制御手段に電気的に接続され、制御手段は、足サイズ検知手段により検知された足の大きさに基づいて、エアバッグの膨張速度及び/又は指圧子の移動速度を変化させる請求項8に記載の足用マッサージ機。
【請求項10】
被施療者の腰掛ける座部と、該座部の後端に配備され被施療者の背中の当たる背凭れ部と、座部の前端に配備され被施療者のふくらはぎ及び足先をマッサージする脚部と、を具えた椅子型マッサージ機において、
脚部は、請求項1乃至請求項9の何れかに記載の足用マッサージ機であることを特徴とする椅子型マッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2008−86366(P2008−86366A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−267380(P2006−267380)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】