距離測定装置
【課題】偏向素子へレーザ光を導くための光学部品を測定範囲内に配置した場合でも死角を形成することなく、広角な範囲を測定可能な距離測定装置を提供する。
【解決手段】レーザ光を用いて測定対象との距離を測定する距離測定装置であって、
レーザ光を出力するレーザ出力部1と、第1の方向に偏光したレーザ光を第1の方向と異なる第2の方向に偏光するとともに測定対象へ向けて偏向する偏向部3と、測定対象の測定範囲内に配置され、第1の方向に偏光したレーザ光を反射して偏向部3へ導き、且つ第2の方向に偏光したレーザ光を透過可能な第1の反射型偏光板2と、第1の反射型偏光板2を保持し、且つ第2の方向に偏光したレーザ光を透過する透明保持体6とを備える。
【解決手段】レーザ光を用いて測定対象との距離を測定する距離測定装置であって、
レーザ光を出力するレーザ出力部1と、第1の方向に偏光したレーザ光を第1の方向と異なる第2の方向に偏光するとともに測定対象へ向けて偏向する偏向部3と、測定対象の測定範囲内に配置され、第1の方向に偏光したレーザ光を反射して偏向部3へ導き、且つ第2の方向に偏光したレーザ光を透過可能な第1の反射型偏光板2と、第1の反射型偏光板2を保持し、且つ第2の方向に偏光したレーザ光を透過する透明保持体6とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、距離測定装置(レーザレーダ)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、環境認識や障害物検出等を用途として、レーザ光を用いて測定対象との距離を測定する距離測定装置が利用されている。
【0003】
距離測定装置の一つとして、1素子2軸の偏向素子によりレーザ光を2次元方向に偏向(走査)することにより3次元形状を測定するものが知られている。このような距離測定装置において、レーザ光を出力するレーザ出力部自体、又はレーザ光を偏向素子へ導くための反射ミラー等の光学部品は、レーザ光を偏向したときにその裏側が死角とならないように測定範囲外に設置されていた(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−298520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、測定範囲が広くなると、レーザ出力部自体、又はレーザ光を偏向素子へ導くための光学部品は、偏向ミラーから測定中心部へ出射するレーザ光の光軸から大きく外して設置することとなる。そのため、レーザ出力部又光学部品から偏向素子へのレーザ光の入射角の偏りが大きくなり、十分な測定範囲を走査することは困難であった。
【0006】
上記問題点を鑑み、本発明の目的は、偏向素子へレーザ光を導くための光学部品を測定範囲内に配置した場合でも死角を形成することなく、広角な範囲を測定可能な距離測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、レーザ光を用いて測定対象との距離を測定する距離測定装置であって、レーザ光を出力するレーザ出力部(1)と、第1の方向に偏光したレーザ光を第1の方向と異なる第2の方向に偏光するとともに測定対象へ向けて偏向する偏向部(3)と、測定対象の測定範囲内に配置され、第1の方向に偏光したレーザ光を反射して偏向部(3)へ導き、且つ第2の方向に偏光したレーザ光を透過可能な第1の反射型偏光板(2)と、第1の反射型偏光板(2)を保持し、且つ第2の方向に偏光したレーザ光を透過する透明保持体(6)とを備える距離測定装置が提供される。
【0008】
本発明の一態様において、測定対象で反射したレーザ光を反射するハーフミラー(4)と、ハーフミラー(4)により反射したレーザ光を受光する受光部(5)とを更に備えていても良い。
【0009】
本発明の一態様において、偏向部(3)は、第1の反射型偏光板(2)で反射されたレーザ光を測定対象へ向けて偏向する偏向ミラー(32)と、偏向ミラー(32)の第1の反射型偏光板(2)と対向する表面に接着された1/4波長板(31)とを備えていても良い。
【0010】
本発明の一態様において、偏向部(3)は、第1の反射型偏光板(2)で反射されたレーザ光を測定対象へ向けて偏向する偏向ミラー(32)と、偏向ミラー(32)の第1の反射型偏光板(2)と対向する表面に接着され、レーザ光の偏光面を45度回転させるファラデー偏光子とを備えていても良い。
【0011】
本発明の一態様において、偏向部(3)は、第1及び第2の方向と異なる第3の方向に偏光したレーザ光を反射して測定対象へ向けて偏向する第2の反射型偏光板(34)と、第1の反射型偏光板(2)及び第2の反射型偏光板(34)の対向するいずれかの表面に接着され、レーザ光の偏光面を45度回転させるファラデー偏光子(33)とを備えていても良い。更に、第2の反射型偏光板(34)が、レーザ出力部(1)とファラデー偏光子(33)との間に配置され、第1〜第3の方向と異なる第4の方向に偏光したレーザ光を透過しても良い。
【0012】
本発明の一態様において、第1の反射型偏光板(2)が、透明保持体(6)の一部に貼り付けられ、偏向部(3)により偏向されたレーザ光の偏向方向によってレーザ光の一部又は全てが第1の反射型偏光板(2)に入射することなく透明保持体(6)を透過しても良い。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、偏向素子へレーザ光を導くための光学部品を測定範囲内に配置した場合でも死角を形成することなく、広角な範囲を測定可能な距離測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る距離測定装置の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る距離測定方法(測定中心部の測定時)の一例を説明するための概略図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る距離測定方法(測定中心部以外の測定時)の一例を説明するための概略図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る距離測定方法(測定中心部以外の測定時)の一例を説明するための他の概略図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係るレーザ光の振れ角解析の解析結果を示す画像である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る距離測定装置の一例を示す概略図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る距離測定方法(測定中心部の測定時)の一例を説明するための偏光状態を表す概念図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る距離測定方法(測定中心部の測定時)の一例を説明するための概略図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る距離測定方法(測定中心部以外の測定時)の一例を説明するための概略図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係る距離測定方法(測定中心部以外の測定時)の一例を説明するための他の概略図である。
【図11】本発明のその他の実施の形態に係る距離測定装置の一例を示す概略図である。
【図12】比較例に係る距離測定装置を示す概略図である。
【図13】比較例に係る距離測定装置を示す概略図である。
【図14】比較例に係るレーザ光の振れ角解析の解析結果を示す画像である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、図面を参照して、本発明の第1及び第2の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0016】
また、以下に示す第1及び第2の実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0017】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係る距離測定装置は、レーザ光を用いて測定対象との距離を測定する距離測定装置であって、図1に示すように、レーザ光を出力するレーザ出力部1と、第1の方向に偏光したレーザ光を第1の方向と異なる第2の方向に偏光するとともに測定対象へ向けて偏向する偏向部3と、測定対象の測定範囲内に配置され、第1の方向に偏光したレーザ光を反射して偏向部3へ導き、且つ第2の方向に偏光したレーザ光を透過可能な第1の反射型偏光板2と、第1の反射型偏光板2を保持し、且つ第2の方向に偏光したレーザ光を透過する透明保持体6とを備える。
【0018】
レーザ出力部1は、測定範囲外に配置されている。レーザ出力部1は、例えば光線の進行方向に対して水平方向(90度)に偏光したレーザ光を出力する。レーザ出力部1としては、例えば半導体レーザ等が使用可能である。
【0019】
図1に示した反射型偏光板2は、例えば測定中心部へ偏向するときのレーザ光の光軸上に配置されている。反射型偏光板2は、第1の方向に偏光したレーザ光(例えばs偏光)を反射し、第2の方向に偏光したレーザ光(例えばp偏光)を透過する。
【0020】
偏向部3は、反射型偏光板2で反射されたレーザ光を測定対象へ向けて偏向する偏向ミラー32と、偏向ミラー32の反射型偏光板2と対向する表面に接着された1/4波長板31とを備える。
【0021】
偏向ミラー32は、レーザ光を2次元方向に偏向(走査)する。偏向ミラー32としては、例えばMEMSミラー等が使用可能であり、磁石、モータ又は共振等により回転駆動することが可能である。
【0022】
透明保持体6の材料としては、ガラス等が使用可能である。透明保持体6は第1の反射型偏光板2を保持可能であれば良く、透明保持体6の形状は特に限定されない。第1の反射型偏光板2が、透明保持体6の一部に貼り付けられている。偏向部3により偏向されたレーザ光の偏向方向によって、レーザ光の一部又は全てが第1の反射型偏光板2に入射することなく透明保持体6を透過する。
【0023】
本発明の第1の実施の形態に係る距離測定装置は、測定対象で反射したレーザ光を反射するハーフミラー4と、ハーフミラー4により反射した光を受光する受光部5とを更に備える。
【0024】
ハーフミラー4は、レーザ出力部1と反射型偏光板2との間に配置されている。ハーフミラー4は、レーザ出力部1から出力されたレーザ光を透過する。
【0025】
受光部5は、測定範囲外に配置されている。レーザ光を出力してから受光するまでの時間又はレーザ光の位相差等から、測定対象までの距離を測定可能である。
【0026】
次に、本発明の第1の実施の形態に係る距離測定装置を用いた距離測定方法の一例を、図1〜図3を用いて説明する。
【0027】
(イ)図1に示したレーザ出力部1は、光線の進行方向に対して水平方向(90度)に偏光したレーザ光(実線矢印で図示)を出力する。出力されたレーザ光は、ハーフミラー4を透過した後、反射型偏光板2にs偏光として入射するため、反射型偏光板2で反射する。
【0028】
(ロ)反射型偏光板2で反射したレーザ光は、1/4波長板31に入射し、円偏光となる。更に、偏向ミラー32で反射したときに逆回りの円偏光となり、1/4波長板31に入射する。1/4波長板31により、レーザ光(点線矢印で図示)は最初に1/4波長板31に入射する前の直線偏光光に対して90度回転した直線偏光光となる。
【0029】
(ハ)偏向ミラー32で反射したレーザ光は、図1に示すように測定中心部を測定する時、反射型偏光板2にp偏光として入射するため、反射型偏光板2を透過し、透明保持体6を透過して射出される。
【0030】
(ニ)その後、測定対象で反射したレーザ光は、図2に示すように射出時と逆向きに透明保持体6を透過し、反射型偏光板2を透過し、1/4波長板31を介して偏向ミラー32で反射し、反射型偏光板2で反射し、ハーフミラー4で反射して受光部5により受光される。
【0031】
(ホ)一方、測定中心部以外を測定する時は、図3に示すように偏向ミラー32が回転駆動する。偏向ミラー32により偏向されたレーザ光は反射型偏光板2に入射せずに透明保持体6を透過し、測定対象へ向けて射出される。なお、測定中心部以外を測定する場合であっても、測定中心部近傍を測定する場合には、偏向ミラー32により偏向されたレーザ光は反射型偏光板2を透過するのは勿論である。
【0032】
(ヘ)その後、測定対象で反射したレーザ光は、図4に示すように射出時と逆向きに、透明保持体6を透過し、1/4波長板31を介して偏向ミラー32で反射し、反射型偏光板2で反射し、ハーフミラー4で反射して受光部5により受光される。
【0033】
本発明の第1の実施の形態に係る距離測定装置によれば、偏向ミラー32へレーザ光を導くための反射型偏光板2を測定範囲内(偏向ミラー32の偏向範囲内)に配置した場合でも、反射型偏光板2の裏側も死角なく広角な範囲を測定可能となる。
【0034】
ここで、比較例に係る距離測定装置を説明する。比較例に係る距離測定装置は、図12に示すように、レーザ出力部101により出力されたレーザ光を偏向ミラー102が偏向する構成である。この場合、レーザ出力部101の裏側が死角となるため、レーザ出力部101は測定範囲外に配置される。測定範囲を広くとろうとした場合、図13に示すようにレーザ出力部101は、偏向ミラー102から測定中心部へ出射するレーザ光の光軸から大きく外れる。そのため、偏向ミラー32への入射角の偏りが大きくなる。
【0035】
図13に示すように測定中心部へ偏向するときの偏向ミラー102への入射角が45度の場合を比較例として振れ角解析を行った。その解析結果を図14に示す。同心円が10度毎の間隔を示し、黒色の点が測定点を示す。図14において、上部と下部で走査範囲が異なり、十分な測定範囲を走査できていないことが分かる。これに対して本発明の第1の実施の形態に係る距離測定装置の振れ角解析の解析結果を図5に示す。図5において、広角の周辺部まで十分に測定できていることが分かる。
【0036】
なお、図1に示した1/4波長板31の代わりに、レーザ光の偏光面を回転させるファラデー偏光子を備えていても良い。ファラデー偏光子としては、例えばガーネット単結晶膜等が使用可能である。この場合、反射型偏光板2により反射されたレーザ光はファラデー偏光子により例えば45度回転し、偏向ミラー32で反射する。このレーザ光は再びファラデー偏光子に入射し45度回転するため、結果として90度回転したレーザ光が射出される。よって、図1に示した1/4波長板31を有する場合と同等の効果を奏することができる。
【0037】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係る距離測定装置は、レーザ光を用いて測定対象との距離を測定する距離測定装置であって、図6に示すように、レーザ光を出力するレーザ出力部1と、第1の方向に偏光したレーザ光を第1の方向と異なる第2の方向に偏光するとともに測定対象へ向けて偏向する偏向部3と、測定対象の測定範囲内に配置され、第1の方向に偏光したレーザ光を反射して偏向部3へ導き、且つ第2の方向に偏光したレーザ光を透過可能な第1の反射型偏光板2と、第1の反射型偏光板2を保持し、且つ第2の方向に偏光したレーザ光を透過する透明保持体7とを備える。
【0038】
第1の反射型偏光板2は、第1の方向(例えば45度)に偏光するレーザ光を反射し、且つ第2の方向(例えば135度)に偏光するレーザ光を透過する。
【0039】
偏向部3は、第2の反射型偏光板34と、第1の反射型偏光板2の第2の反射型偏光板34と対向する表面に接着され、レーザ光の偏光面を45度回転させるファラデー偏光子33とを備える。
【0040】
第2の反射型偏光板34は、レーザ出力部1とファラデー偏光子33との間に配置されている。第2の反射型偏光板34は、モータや共振等により回転駆動することが可能である。第2の反射型偏光板34は、第3の方向(例えば90度)に偏光したレーザ光を反射して、測定対象へ向けて2次元方向に偏向する。更に、第2の反射型偏光板34は、第4の方向(例えば0度)に偏光したレーザ光を透過する。
【0041】
ファラデー偏光子33としては、例えばガーネット単結晶膜等が使用可能である。ファラデー偏光子33は、第2の反射型偏光板34を透過した第4の方向(例えば0度)に偏光したレーザ光の偏光面を第1の方向(例えば45度)に回転させる。更に、ファラデー偏光子33は、第1の反射型偏光板2で反射した第1の方向(例えば45度)に偏光したレーザ光の偏光面を第3の方向(例えば90度)に回転させる。更に、第2の反射型偏光板34で反射した第3の方向(例えば90度)に偏光したレーザ光の偏光面を第2の方向(例えば135度)に回転させる。
【0042】
本発明の第2の実施の形態に係る距離測定装置の他の構成は、本発明の第1の実施の形態と実質的に同様であるので、重複した説明を省略する。
【0043】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る距離測定装置を用いた距離測定方法の一例を、図6〜図9を用いて説明する。
【0044】
(イ)図6及び図7に示すように、レーザ出力部1が、光線の進行方向に対して垂直方向(0度)に偏光したレーザ光を出力する。レーザ出力部1から出力されたレーザ光は、ハーフミラー4を透過した後、第2の反射型偏光板34を透過し、ファラデー偏光子33で45度回転する。
【0045】
(ロ)45度回転したレーザ光は、第1の反射型偏光板2で反射して再びファラデー偏光子33で45度回転する。この結果、最初の偏光状態に対して90度回転する。
【0046】
(ハ)90度回転したレーザ光は第2の反射型偏光板34に反射され、測定対象に向けて偏向される。
【0047】
(ニ)図6及び図7に示すように、測定中心部を測定する時には、第2の反射型偏光板34で反射したレーザ光はファラデー偏光子33に入射して45度回転する。この結果、最初の偏光状態に対して135度回転する。そして、レーザ光は第1の反射型偏光板2に反射時から90度回転して入射することとなり、第1の反射型偏光板2を透過し、透明保持体7を透過して測定対象へ向けて射出する。
【0048】
(ホ)その後、測定対象で反射したレーザ光は、図8に示すように射出時と逆向きに、透明保持体7を透過し、第1の反射型偏光板2を透過し、ファラデー偏光子33を介して第2の反射型偏光板34で反射し、ファラデー偏光子33を介して第1の反射型偏光板2で反射し、第2の反射型偏光板34を透過し、ハーフミラー4で反射して受光部5により受光される。
【0049】
(ヘ)一方、測定中心部以外を測定するときは、図9に示すように第2の反射型偏光板34が回転駆動し、測定対象へ向けてレーザ光を偏向する。偏向されたレーザ光はファラデー偏光子33及び第1の反射型偏光板2に入射せず、透明保持体7を透過し、測定対象に向けて射出される。なお、測定中心部以外を測定する場合であっても、測定中心部近傍を測定する場合には、偏向されたレーザ光はファラデー偏光子33及び第1の反射型偏光板2を透過するのは勿論である。
【0050】
(ト)その後、測定対象で反射したレーザ光は、図10に示すように射出時と逆向きに、透明保持体7を透過し、第2の反射型偏光板34で反射し、ファラデー偏光子33を介して第1の反射型偏光板2で反射し、第2の反射型偏光板34を透過し、ハーフミラー4で反射して受光部5により受光される。
【0051】
本発明の第2の実施の形態に係る距離測定装置によれば、第2の反射型偏光板34へレーザ光を導くための第1の反射型偏光板2を測定範囲内(第2の反射型偏光板34の偏向範囲内)に配置した場合でも、第1の反射型偏光板2の裏側も死角なく広角な範囲を測定可能となる。
【0052】
更に、レーザ出力部1が、第2の反射型偏光板34により測定中心部へ偏向するときのレーザ光の光軸上に配置することができる。この結果、第1の反射型偏光板2は、測定中心部へ偏向するときのレーザ光射出角を0度とすることができ、測定中心部へ射出したレーザ光の光軸から傾けて取り付けなければならない場合に比べて、カバーガラス等への設置が容易となる。
【0053】
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明は第1及び第2の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0054】
例えば、本発明の第1及び第2の実施の形態において、レーザ出力部1から出力されるレーザ光の偏光方向(振動方向)や、(第1の)反射型偏光板2、第2の反射型偏光板34が透過及び反射するレーザ光の偏光方向(振動方向)、ファラデー偏光子33が偏向面を回転させる度合いは特に限定されず、各部品の相対関係に応じて適宜選択可能である。
【0055】
また、本発明の第1及び第2の実施の形態において、(第1の)反射型偏光板2は測定中心部を測定するときの光軸上に配置する場合を説明したが、必ずしも中心部を測定するときの光軸上に配置しなくても良く、測定範囲内に配置されていれば良い。
【0056】
また、本発明の第1及び第2の実施の形態において、測定対象により反射されたレーザ光を受光するための部品としてハーフミラー4及び受光部5を説明したが、測定対象により反射されたレーザ光を受光するための部品は特に限定されず、適宜使用可能である。
【0057】
また、本発明の第2の実施の形態において、レーザ出力部1からレーザ光を第2の反射型偏光板34に入射させる場合を説明したが、レーザ出力部1の配置位置を変更する等して、第2の反射型偏光板34を透過させずに直接ファラデー偏光子33に入射させても良い。
【0058】
また、本発明の第2の実施の形態において、ファラデー偏光子33は、第1の反射型偏光板2と接着されている場合を説明したが、図11に示すように、ファラデー偏光子33は、第2の反射型偏光板34に接着されていても良い。
【0059】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0060】
1…レーザ出力部
2…(第1の)反射型偏光板
3…偏向部
4…ハーフミラー
5…受光部
6,7…透明保持体
31…1/4波長板
32…偏向ミラー
33…ファラデー偏光子
34…第2の反射型偏光板
【技術分野】
【0001】
本発明は、距離測定装置(レーザレーダ)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、環境認識や障害物検出等を用途として、レーザ光を用いて測定対象との距離を測定する距離測定装置が利用されている。
【0003】
距離測定装置の一つとして、1素子2軸の偏向素子によりレーザ光を2次元方向に偏向(走査)することにより3次元形状を測定するものが知られている。このような距離測定装置において、レーザ光を出力するレーザ出力部自体、又はレーザ光を偏向素子へ導くための反射ミラー等の光学部品は、レーザ光を偏向したときにその裏側が死角とならないように測定範囲外に設置されていた(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−298520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、測定範囲が広くなると、レーザ出力部自体、又はレーザ光を偏向素子へ導くための光学部品は、偏向ミラーから測定中心部へ出射するレーザ光の光軸から大きく外して設置することとなる。そのため、レーザ出力部又光学部品から偏向素子へのレーザ光の入射角の偏りが大きくなり、十分な測定範囲を走査することは困難であった。
【0006】
上記問題点を鑑み、本発明の目的は、偏向素子へレーザ光を導くための光学部品を測定範囲内に配置した場合でも死角を形成することなく、広角な範囲を測定可能な距離測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、レーザ光を用いて測定対象との距離を測定する距離測定装置であって、レーザ光を出力するレーザ出力部(1)と、第1の方向に偏光したレーザ光を第1の方向と異なる第2の方向に偏光するとともに測定対象へ向けて偏向する偏向部(3)と、測定対象の測定範囲内に配置され、第1の方向に偏光したレーザ光を反射して偏向部(3)へ導き、且つ第2の方向に偏光したレーザ光を透過可能な第1の反射型偏光板(2)と、第1の反射型偏光板(2)を保持し、且つ第2の方向に偏光したレーザ光を透過する透明保持体(6)とを備える距離測定装置が提供される。
【0008】
本発明の一態様において、測定対象で反射したレーザ光を反射するハーフミラー(4)と、ハーフミラー(4)により反射したレーザ光を受光する受光部(5)とを更に備えていても良い。
【0009】
本発明の一態様において、偏向部(3)は、第1の反射型偏光板(2)で反射されたレーザ光を測定対象へ向けて偏向する偏向ミラー(32)と、偏向ミラー(32)の第1の反射型偏光板(2)と対向する表面に接着された1/4波長板(31)とを備えていても良い。
【0010】
本発明の一態様において、偏向部(3)は、第1の反射型偏光板(2)で反射されたレーザ光を測定対象へ向けて偏向する偏向ミラー(32)と、偏向ミラー(32)の第1の反射型偏光板(2)と対向する表面に接着され、レーザ光の偏光面を45度回転させるファラデー偏光子とを備えていても良い。
【0011】
本発明の一態様において、偏向部(3)は、第1及び第2の方向と異なる第3の方向に偏光したレーザ光を反射して測定対象へ向けて偏向する第2の反射型偏光板(34)と、第1の反射型偏光板(2)及び第2の反射型偏光板(34)の対向するいずれかの表面に接着され、レーザ光の偏光面を45度回転させるファラデー偏光子(33)とを備えていても良い。更に、第2の反射型偏光板(34)が、レーザ出力部(1)とファラデー偏光子(33)との間に配置され、第1〜第3の方向と異なる第4の方向に偏光したレーザ光を透過しても良い。
【0012】
本発明の一態様において、第1の反射型偏光板(2)が、透明保持体(6)の一部に貼り付けられ、偏向部(3)により偏向されたレーザ光の偏向方向によってレーザ光の一部又は全てが第1の反射型偏光板(2)に入射することなく透明保持体(6)を透過しても良い。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、偏向素子へレーザ光を導くための光学部品を測定範囲内に配置した場合でも死角を形成することなく、広角な範囲を測定可能な距離測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る距離測定装置の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る距離測定方法(測定中心部の測定時)の一例を説明するための概略図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る距離測定方法(測定中心部以外の測定時)の一例を説明するための概略図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る距離測定方法(測定中心部以外の測定時)の一例を説明するための他の概略図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係るレーザ光の振れ角解析の解析結果を示す画像である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る距離測定装置の一例を示す概略図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る距離測定方法(測定中心部の測定時)の一例を説明するための偏光状態を表す概念図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る距離測定方法(測定中心部の測定時)の一例を説明するための概略図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る距離測定方法(測定中心部以外の測定時)の一例を説明するための概略図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係る距離測定方法(測定中心部以外の測定時)の一例を説明するための他の概略図である。
【図11】本発明のその他の実施の形態に係る距離測定装置の一例を示す概略図である。
【図12】比較例に係る距離測定装置を示す概略図である。
【図13】比較例に係る距離測定装置を示す概略図である。
【図14】比較例に係るレーザ光の振れ角解析の解析結果を示す画像である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、図面を参照して、本発明の第1及び第2の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0016】
また、以下に示す第1及び第2の実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0017】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係る距離測定装置は、レーザ光を用いて測定対象との距離を測定する距離測定装置であって、図1に示すように、レーザ光を出力するレーザ出力部1と、第1の方向に偏光したレーザ光を第1の方向と異なる第2の方向に偏光するとともに測定対象へ向けて偏向する偏向部3と、測定対象の測定範囲内に配置され、第1の方向に偏光したレーザ光を反射して偏向部3へ導き、且つ第2の方向に偏光したレーザ光を透過可能な第1の反射型偏光板2と、第1の反射型偏光板2を保持し、且つ第2の方向に偏光したレーザ光を透過する透明保持体6とを備える。
【0018】
レーザ出力部1は、測定範囲外に配置されている。レーザ出力部1は、例えば光線の進行方向に対して水平方向(90度)に偏光したレーザ光を出力する。レーザ出力部1としては、例えば半導体レーザ等が使用可能である。
【0019】
図1に示した反射型偏光板2は、例えば測定中心部へ偏向するときのレーザ光の光軸上に配置されている。反射型偏光板2は、第1の方向に偏光したレーザ光(例えばs偏光)を反射し、第2の方向に偏光したレーザ光(例えばp偏光)を透過する。
【0020】
偏向部3は、反射型偏光板2で反射されたレーザ光を測定対象へ向けて偏向する偏向ミラー32と、偏向ミラー32の反射型偏光板2と対向する表面に接着された1/4波長板31とを備える。
【0021】
偏向ミラー32は、レーザ光を2次元方向に偏向(走査)する。偏向ミラー32としては、例えばMEMSミラー等が使用可能であり、磁石、モータ又は共振等により回転駆動することが可能である。
【0022】
透明保持体6の材料としては、ガラス等が使用可能である。透明保持体6は第1の反射型偏光板2を保持可能であれば良く、透明保持体6の形状は特に限定されない。第1の反射型偏光板2が、透明保持体6の一部に貼り付けられている。偏向部3により偏向されたレーザ光の偏向方向によって、レーザ光の一部又は全てが第1の反射型偏光板2に入射することなく透明保持体6を透過する。
【0023】
本発明の第1の実施の形態に係る距離測定装置は、測定対象で反射したレーザ光を反射するハーフミラー4と、ハーフミラー4により反射した光を受光する受光部5とを更に備える。
【0024】
ハーフミラー4は、レーザ出力部1と反射型偏光板2との間に配置されている。ハーフミラー4は、レーザ出力部1から出力されたレーザ光を透過する。
【0025】
受光部5は、測定範囲外に配置されている。レーザ光を出力してから受光するまでの時間又はレーザ光の位相差等から、測定対象までの距離を測定可能である。
【0026】
次に、本発明の第1の実施の形態に係る距離測定装置を用いた距離測定方法の一例を、図1〜図3を用いて説明する。
【0027】
(イ)図1に示したレーザ出力部1は、光線の進行方向に対して水平方向(90度)に偏光したレーザ光(実線矢印で図示)を出力する。出力されたレーザ光は、ハーフミラー4を透過した後、反射型偏光板2にs偏光として入射するため、反射型偏光板2で反射する。
【0028】
(ロ)反射型偏光板2で反射したレーザ光は、1/4波長板31に入射し、円偏光となる。更に、偏向ミラー32で反射したときに逆回りの円偏光となり、1/4波長板31に入射する。1/4波長板31により、レーザ光(点線矢印で図示)は最初に1/4波長板31に入射する前の直線偏光光に対して90度回転した直線偏光光となる。
【0029】
(ハ)偏向ミラー32で反射したレーザ光は、図1に示すように測定中心部を測定する時、反射型偏光板2にp偏光として入射するため、反射型偏光板2を透過し、透明保持体6を透過して射出される。
【0030】
(ニ)その後、測定対象で反射したレーザ光は、図2に示すように射出時と逆向きに透明保持体6を透過し、反射型偏光板2を透過し、1/4波長板31を介して偏向ミラー32で反射し、反射型偏光板2で反射し、ハーフミラー4で反射して受光部5により受光される。
【0031】
(ホ)一方、測定中心部以外を測定する時は、図3に示すように偏向ミラー32が回転駆動する。偏向ミラー32により偏向されたレーザ光は反射型偏光板2に入射せずに透明保持体6を透過し、測定対象へ向けて射出される。なお、測定中心部以外を測定する場合であっても、測定中心部近傍を測定する場合には、偏向ミラー32により偏向されたレーザ光は反射型偏光板2を透過するのは勿論である。
【0032】
(ヘ)その後、測定対象で反射したレーザ光は、図4に示すように射出時と逆向きに、透明保持体6を透過し、1/4波長板31を介して偏向ミラー32で反射し、反射型偏光板2で反射し、ハーフミラー4で反射して受光部5により受光される。
【0033】
本発明の第1の実施の形態に係る距離測定装置によれば、偏向ミラー32へレーザ光を導くための反射型偏光板2を測定範囲内(偏向ミラー32の偏向範囲内)に配置した場合でも、反射型偏光板2の裏側も死角なく広角な範囲を測定可能となる。
【0034】
ここで、比較例に係る距離測定装置を説明する。比較例に係る距離測定装置は、図12に示すように、レーザ出力部101により出力されたレーザ光を偏向ミラー102が偏向する構成である。この場合、レーザ出力部101の裏側が死角となるため、レーザ出力部101は測定範囲外に配置される。測定範囲を広くとろうとした場合、図13に示すようにレーザ出力部101は、偏向ミラー102から測定中心部へ出射するレーザ光の光軸から大きく外れる。そのため、偏向ミラー32への入射角の偏りが大きくなる。
【0035】
図13に示すように測定中心部へ偏向するときの偏向ミラー102への入射角が45度の場合を比較例として振れ角解析を行った。その解析結果を図14に示す。同心円が10度毎の間隔を示し、黒色の点が測定点を示す。図14において、上部と下部で走査範囲が異なり、十分な測定範囲を走査できていないことが分かる。これに対して本発明の第1の実施の形態に係る距離測定装置の振れ角解析の解析結果を図5に示す。図5において、広角の周辺部まで十分に測定できていることが分かる。
【0036】
なお、図1に示した1/4波長板31の代わりに、レーザ光の偏光面を回転させるファラデー偏光子を備えていても良い。ファラデー偏光子としては、例えばガーネット単結晶膜等が使用可能である。この場合、反射型偏光板2により反射されたレーザ光はファラデー偏光子により例えば45度回転し、偏向ミラー32で反射する。このレーザ光は再びファラデー偏光子に入射し45度回転するため、結果として90度回転したレーザ光が射出される。よって、図1に示した1/4波長板31を有する場合と同等の効果を奏することができる。
【0037】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係る距離測定装置は、レーザ光を用いて測定対象との距離を測定する距離測定装置であって、図6に示すように、レーザ光を出力するレーザ出力部1と、第1の方向に偏光したレーザ光を第1の方向と異なる第2の方向に偏光するとともに測定対象へ向けて偏向する偏向部3と、測定対象の測定範囲内に配置され、第1の方向に偏光したレーザ光を反射して偏向部3へ導き、且つ第2の方向に偏光したレーザ光を透過可能な第1の反射型偏光板2と、第1の反射型偏光板2を保持し、且つ第2の方向に偏光したレーザ光を透過する透明保持体7とを備える。
【0038】
第1の反射型偏光板2は、第1の方向(例えば45度)に偏光するレーザ光を反射し、且つ第2の方向(例えば135度)に偏光するレーザ光を透過する。
【0039】
偏向部3は、第2の反射型偏光板34と、第1の反射型偏光板2の第2の反射型偏光板34と対向する表面に接着され、レーザ光の偏光面を45度回転させるファラデー偏光子33とを備える。
【0040】
第2の反射型偏光板34は、レーザ出力部1とファラデー偏光子33との間に配置されている。第2の反射型偏光板34は、モータや共振等により回転駆動することが可能である。第2の反射型偏光板34は、第3の方向(例えば90度)に偏光したレーザ光を反射して、測定対象へ向けて2次元方向に偏向する。更に、第2の反射型偏光板34は、第4の方向(例えば0度)に偏光したレーザ光を透過する。
【0041】
ファラデー偏光子33としては、例えばガーネット単結晶膜等が使用可能である。ファラデー偏光子33は、第2の反射型偏光板34を透過した第4の方向(例えば0度)に偏光したレーザ光の偏光面を第1の方向(例えば45度)に回転させる。更に、ファラデー偏光子33は、第1の反射型偏光板2で反射した第1の方向(例えば45度)に偏光したレーザ光の偏光面を第3の方向(例えば90度)に回転させる。更に、第2の反射型偏光板34で反射した第3の方向(例えば90度)に偏光したレーザ光の偏光面を第2の方向(例えば135度)に回転させる。
【0042】
本発明の第2の実施の形態に係る距離測定装置の他の構成は、本発明の第1の実施の形態と実質的に同様であるので、重複した説明を省略する。
【0043】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る距離測定装置を用いた距離測定方法の一例を、図6〜図9を用いて説明する。
【0044】
(イ)図6及び図7に示すように、レーザ出力部1が、光線の進行方向に対して垂直方向(0度)に偏光したレーザ光を出力する。レーザ出力部1から出力されたレーザ光は、ハーフミラー4を透過した後、第2の反射型偏光板34を透過し、ファラデー偏光子33で45度回転する。
【0045】
(ロ)45度回転したレーザ光は、第1の反射型偏光板2で反射して再びファラデー偏光子33で45度回転する。この結果、最初の偏光状態に対して90度回転する。
【0046】
(ハ)90度回転したレーザ光は第2の反射型偏光板34に反射され、測定対象に向けて偏向される。
【0047】
(ニ)図6及び図7に示すように、測定中心部を測定する時には、第2の反射型偏光板34で反射したレーザ光はファラデー偏光子33に入射して45度回転する。この結果、最初の偏光状態に対して135度回転する。そして、レーザ光は第1の反射型偏光板2に反射時から90度回転して入射することとなり、第1の反射型偏光板2を透過し、透明保持体7を透過して測定対象へ向けて射出する。
【0048】
(ホ)その後、測定対象で反射したレーザ光は、図8に示すように射出時と逆向きに、透明保持体7を透過し、第1の反射型偏光板2を透過し、ファラデー偏光子33を介して第2の反射型偏光板34で反射し、ファラデー偏光子33を介して第1の反射型偏光板2で反射し、第2の反射型偏光板34を透過し、ハーフミラー4で反射して受光部5により受光される。
【0049】
(ヘ)一方、測定中心部以外を測定するときは、図9に示すように第2の反射型偏光板34が回転駆動し、測定対象へ向けてレーザ光を偏向する。偏向されたレーザ光はファラデー偏光子33及び第1の反射型偏光板2に入射せず、透明保持体7を透過し、測定対象に向けて射出される。なお、測定中心部以外を測定する場合であっても、測定中心部近傍を測定する場合には、偏向されたレーザ光はファラデー偏光子33及び第1の反射型偏光板2を透過するのは勿論である。
【0050】
(ト)その後、測定対象で反射したレーザ光は、図10に示すように射出時と逆向きに、透明保持体7を透過し、第2の反射型偏光板34で反射し、ファラデー偏光子33を介して第1の反射型偏光板2で反射し、第2の反射型偏光板34を透過し、ハーフミラー4で反射して受光部5により受光される。
【0051】
本発明の第2の実施の形態に係る距離測定装置によれば、第2の反射型偏光板34へレーザ光を導くための第1の反射型偏光板2を測定範囲内(第2の反射型偏光板34の偏向範囲内)に配置した場合でも、第1の反射型偏光板2の裏側も死角なく広角な範囲を測定可能となる。
【0052】
更に、レーザ出力部1が、第2の反射型偏光板34により測定中心部へ偏向するときのレーザ光の光軸上に配置することができる。この結果、第1の反射型偏光板2は、測定中心部へ偏向するときのレーザ光射出角を0度とすることができ、測定中心部へ射出したレーザ光の光軸から傾けて取り付けなければならない場合に比べて、カバーガラス等への設置が容易となる。
【0053】
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明は第1及び第2の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0054】
例えば、本発明の第1及び第2の実施の形態において、レーザ出力部1から出力されるレーザ光の偏光方向(振動方向)や、(第1の)反射型偏光板2、第2の反射型偏光板34が透過及び反射するレーザ光の偏光方向(振動方向)、ファラデー偏光子33が偏向面を回転させる度合いは特に限定されず、各部品の相対関係に応じて適宜選択可能である。
【0055】
また、本発明の第1及び第2の実施の形態において、(第1の)反射型偏光板2は測定中心部を測定するときの光軸上に配置する場合を説明したが、必ずしも中心部を測定するときの光軸上に配置しなくても良く、測定範囲内に配置されていれば良い。
【0056】
また、本発明の第1及び第2の実施の形態において、測定対象により反射されたレーザ光を受光するための部品としてハーフミラー4及び受光部5を説明したが、測定対象により反射されたレーザ光を受光するための部品は特に限定されず、適宜使用可能である。
【0057】
また、本発明の第2の実施の形態において、レーザ出力部1からレーザ光を第2の反射型偏光板34に入射させる場合を説明したが、レーザ出力部1の配置位置を変更する等して、第2の反射型偏光板34を透過させずに直接ファラデー偏光子33に入射させても良い。
【0058】
また、本発明の第2の実施の形態において、ファラデー偏光子33は、第1の反射型偏光板2と接着されている場合を説明したが、図11に示すように、ファラデー偏光子33は、第2の反射型偏光板34に接着されていても良い。
【0059】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0060】
1…レーザ出力部
2…(第1の)反射型偏光板
3…偏向部
4…ハーフミラー
5…受光部
6,7…透明保持体
31…1/4波長板
32…偏向ミラー
33…ファラデー偏光子
34…第2の反射型偏光板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を用いて測定対象との距離を測定する距離測定装置であって、
前記レーザ光を出力するレーザ出力部と、
第1の方向に偏光した前記レーザ光を前記第1の方向と異なる第2の方向に偏光するとともに前記測定対象へ向けて偏向する偏向部と、
前記測定対象の測定範囲内に配置され、前記第1の方向に偏光したレーザ光を反射して前記偏向部へ導き、且つ前記第2の方向に偏光したレーザ光を透過可能な第1の反射型偏光板と、
前記第1の反射型偏光板を保持し、且つ前記第2の方向に偏光したレーザ光を透過する透明保持体と
を備えることを特徴とする距離測定装置。
【請求項2】
前記測定対象で反射したレーザ光を反射するハーフミラーと、
前記ハーフミラーにより反射したレーザ光を受光する受光部と
を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の距離測定装置。
【請求項3】
前記偏向部は、
前記第1の反射型偏光板で反射されたレーザ光を前記測定対象へ向けて偏向する偏向ミラーと、
前記偏向ミラーの第1の反射型偏光板と対向する表面に接着された1/4波長板と
を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の距離測定装置。
【請求項4】
前記偏向部は、
前記第1の反射型偏光板で反射されたレーザ光を前記測定対象へ向けて偏向する偏向ミラーと、
前記偏向ミラーの前記第1の反射型偏光板と対向する表面に接着され、前記レーザ光の偏光面を45度回転させるファラデー偏光子と
を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の距離測定装置。
【請求項5】
前記偏向部は、
前記第1及び第2の方向と異なる第3の方向に偏光した前記レーザ光を前記測定対象へ向けて偏向する第2の反射型偏光板と、
前記第1の反射型偏光板及び第2の反射型偏光板の対向するいずれかの表面に接着され、前記レーザ光の偏光面を45度回転させるファラデー偏光子と
を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の距離測定装置。
【請求項6】
前記第2の反射型偏光板が、前記レーザ出力部と前記ファラデー偏光子との間に配置され、前記第1〜第3の方向と異なる第4の方向に偏光したレーザ光を透過することを特徴とする請求項5に記載の距離測定装置。
【請求項7】
前記第1の反射型偏光板が、前記透明保持体の一部に貼り付けられ、前記偏向部により偏向されたレーザ光の偏向方向によってレーザ光の一部又は全てが前記第1の反射型偏光板に入射することなく前記透明保持体を透過することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の距離測定装置。
【請求項1】
レーザ光を用いて測定対象との距離を測定する距離測定装置であって、
前記レーザ光を出力するレーザ出力部と、
第1の方向に偏光した前記レーザ光を前記第1の方向と異なる第2の方向に偏光するとともに前記測定対象へ向けて偏向する偏向部と、
前記測定対象の測定範囲内に配置され、前記第1の方向に偏光したレーザ光を反射して前記偏向部へ導き、且つ前記第2の方向に偏光したレーザ光を透過可能な第1の反射型偏光板と、
前記第1の反射型偏光板を保持し、且つ前記第2の方向に偏光したレーザ光を透過する透明保持体と
を備えることを特徴とする距離測定装置。
【請求項2】
前記測定対象で反射したレーザ光を反射するハーフミラーと、
前記ハーフミラーにより反射したレーザ光を受光する受光部と
を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の距離測定装置。
【請求項3】
前記偏向部は、
前記第1の反射型偏光板で反射されたレーザ光を前記測定対象へ向けて偏向する偏向ミラーと、
前記偏向ミラーの第1の反射型偏光板と対向する表面に接着された1/4波長板と
を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の距離測定装置。
【請求項4】
前記偏向部は、
前記第1の反射型偏光板で反射されたレーザ光を前記測定対象へ向けて偏向する偏向ミラーと、
前記偏向ミラーの前記第1の反射型偏光板と対向する表面に接着され、前記レーザ光の偏光面を45度回転させるファラデー偏光子と
を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の距離測定装置。
【請求項5】
前記偏向部は、
前記第1及び第2の方向と異なる第3の方向に偏光した前記レーザ光を前記測定対象へ向けて偏向する第2の反射型偏光板と、
前記第1の反射型偏光板及び第2の反射型偏光板の対向するいずれかの表面に接着され、前記レーザ光の偏光面を45度回転させるファラデー偏光子と
を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の距離測定装置。
【請求項6】
前記第2の反射型偏光板が、前記レーザ出力部と前記ファラデー偏光子との間に配置され、前記第1〜第3の方向と異なる第4の方向に偏光したレーザ光を透過することを特徴とする請求項5に記載の距離測定装置。
【請求項7】
前記第1の反射型偏光板が、前記透明保持体の一部に貼り付けられ、前記偏向部により偏向されたレーザ光の偏向方向によってレーザ光の一部又は全てが前記第1の反射型偏光板に入射することなく前記透明保持体を透過することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の距離測定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−202758(P2012−202758A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−66146(P2011−66146)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【Fターム(参考)】
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