説明

路面凹凸検出装置及び路面凹凸検出方法

【課題】物体から放射される電磁波を利用して路面上にある凹凸を検出することのできる路面凹凸検出装置を提供する。
【解決手段】本発明の路面凹凸検出装置1は、物体から放射される電磁波を検知するアンテナ2と、電磁波の受信電力の変化が所定値以内となる領域を路面領域として検出し、路面領域の受信電力に基づいて基準レベルを設定する基準レベル設定部3と、電磁波の受信電力が基準レベルから所定値以上まで増加してから基準レベルまで減少する領域を増減領域として検出する増減領域検出部4と、受信電力の振幅に基づいて凹凸の高さを検出する凹凸高検出部5と、増減領域における水平方向の幅に基づいて凹凸の幅を検出する凹凸幅検出部6と、路面領域の間に増減領域が存在している場合に増減領域を路面上の凹凸として検出する凹凸検出部7とを備えていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体から放射される電磁波を受信して路面上にある凹凸を検出する路面凹凸検出装置及び路面凹凸検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、路面から放射される電磁波を計測することによって、路面の状態を検出する技術が開発されており、その一例として特許文献1が開示されている。特許文献1に開示された電波放射計式路面状況把握装置では、路面からの放射ビームと天空からの放射ビームとを計測し、路面放射温度と天空放射温度との差分を求めて路面状況を把握していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−177188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に開示された電波放射計式路面状況把握装置によって検出される路面状況は、路面の乾燥、湿潤、凍結という単なる路面の湿潤状況を検出するだけであり、路面上にある凹凸を検出することはできないという問題点があった。
【0005】
そこで、本発明は、上述した実情に鑑みて提案されたものであり、物体から放射される電磁波を利用して路面上にある凹凸を検出することのできる路面凹凸検出装置及び路面凹凸検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る路面凹凸検出装置は、物体から放射される電磁波を複数素子で検知するアンテナと、路面領域における受信電力に基づいて基準レベルを設定する基準レベル設定部と、アンテナで受信した電磁波の受信電力が基準レベルから所定値以上まで増加してから基準レベルまで減少する領域を増減領域として検出する増減領域検出部と、路面領域の間に増減領域が存在している場合に増減領域を路面上の凹凸として検出する凹凸検出部とを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る路面凹凸検出装置及び路面凹凸検出方法によれば、アンテナで受信した電磁波の受信電力が基準レベルから所定値以上まで増加してから基準レベルまで減少する領域を増減領域として検出し、この増減領域を路面上の凹凸として検出するので、物体から放射される電磁波を利用して路面上にある凹凸を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明を適用した第1実施形態に係る路面凹凸検出装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明を適用した第1実施形態に係る路面凹凸検出装置の変形例の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明を適用した第1実施形態に係る路面凹凸検出装置による凹凸検出処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】本発明を適用した第1実施形態に係る路面凹凸検出装置のアンテナで受信した受信電力を示す図である。
【図5】本発明を適用した第2実施形態に係る路面凹凸検出装置による路面上にあるわだちの検出方法を説明するための図である。
【図6】本発明を適用した第3実施形態に係る路面凹凸検出装置による路面上にあるランブルストリップの検出方法を説明するための図である。
【図7】本発明を適用した第4実施形態に係る路面凹凸検出装置による路面上にあるドッツボッツの検出方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を適用した第1〜第4実施形態について図面を参照して説明する。
【0010】
[第1実施形態]
[路面凹凸検出装置の構成]
図1は本実施形態に係る路面凹凸検出装置の構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係る路面凹凸検出装置1は、水平方向及び消失点方向に走査されて物体から放射される電磁波を検知するアンテナ2と、アンテナ2で受信した電磁波の受信電力の変化が所定値以内となる領域を路面領域として検出し、この路面領域の受信電力に基づいて基準レベルを設定する基準レベル設定部3と、アンテナ2で受信した電磁波の受信電力が基準レベルから所定値以上まで増加してから基準レベルまで減少する領域を増減領域として検出する増減領域検出部4と、増減領域における受信電力の振幅に基づいて路面上の凹凸の高さを検出する凹凸高検出部5と、増減領域における水平方向の幅に基づいて路面上の凹凸の幅を検出する凹凸幅検出部6と、路面領域の間に増減領域が存在している場合に、この増減領域を路面上の凹凸として検出する凹凸検出部7と、路面上の凹凸を検出するための処理に必要となる情報を格納している記憶部8とを備えている。
【0011】
ここで、本実施形態に係る路面凹凸検出装置1は車両に搭載することが可能であり、車両の進行方向にアンテナ2を向けて車両の進行方向にある凹凸、すなわち路面上のわだちや障害物を検出するための装置である。路面上にある凹凸から放射される電磁波をアンテナ2で受信すると、電磁波の受信電力は所定値以上まで一度増加してから基準レベルまで減少するような変化を示す。そこで、本実施形態に係る路面凹凸検出装置1は、そのような領域を増減領域として検出し、この増減領域が路面領域の間にある場合に増減領域を路面上の凹凸として認識するものである。
【0012】
アンテナ2は複数のアンテナをアレイ化したアレイアンテナとメカスキャン機構とレンズとからなり、例えば1列×20行の素子数を備えたアレイアンテナと、±30度範囲で方位角方向に高速走査可能なメカスキャン機構、受信角度分解能1度を満たす構成からなる。アンテナ2で受信する電磁波の波長は、検出対象とする路面上の凹凸の高さの10分の1以下に設定されており、例えば5cmの高さの凹凸を検出対象とする場合には、アンテナ2で受信する電磁波の波長は5mm以下、すなわち60GHz以上の周波数の電磁波を検出するように設定されている。このように検出対象とする凹凸の高さに応じて、アンテナ2の受信電磁波の波長を設定しておくことにより、より高精度に凹凸を検出することが可能となる。さらに、図2に示すようにアンテナ2を複数設置して異なる周波数の電磁波を受信できるようにしてもよい。これにより高さの異なる凹凸を精度良く検出することが可能となる。ただし、アンテナ2の数は2つである必要はなく、3つ以上でもよい。尚、アレイアンテナを複数列設けて2次元画像を同時に取得するようにして、メカスキャン機構を省く構成としてもよい。
【0013】
基準レベル設定部3は、基準となる路面領域の受信電力レベル(基準レベル)を設定するためのものであって、路面領域を検出してその平均値を算出し、受信電力を基準レベルと設定する。路面領域の検出にあたっては、路面のように平坦な物体から放射される電磁波の受信電力は一定の範囲内で変化が収まる特徴を有することを利用し、所定値以内(例えば5%)で路面領域と検出し、その平均値を求めて基準レベルを設定する。本方法以外において路面領域を検出し、その領域の受信電力の平均値や中央値等の統計値を基準レベルと定めてもよい。
【0014】
増減領域検出部4は、アンテナ2で受信した電磁波の受信電力の変化を監視し、受信電力が基準レベルから所定値(例えば5%)以上まで一度増加してから基準レベルまで減少する領域を増減領域として検出する。
【0015】
凹凸高検出部5は、増減領域における受信電力の最大値と基準レベルとの差を求めて受信電力の差を検出し、この受信電力の差に基づいて路面上にある凹凸の高さを算出して求めている。
【0016】
凹凸幅検出部6は、水平方向における増減領域の幅を検出し、この増減領域の幅に基づいて路面上にある凹凸の幅を算出して求めている。
【0017】
凹凸検出部7は、検出した増減領域の中で路面領域の間に存在している増減領域を路面上の凹凸として検出する。アンテナ2を水平方向に走査すると、多くの増減領域が検出されるが、それらの増減領域の中で路面領域内にある増減領域を路面上の凹凸として検出する。また、凹凸検出部7は、ハンドルの回転角度やアクセル開度、ブレーキ量などの車両情報を取得して凹凸の高さや幅、位置等を補正する。
【0018】
記憶部8は、凹凸検出処理に必要となる情報を格納しており、例えばアンテナ2で検出する電磁波の周波数やアンテナ2の画角、視野、解像度、取付けパラメータなどを格納している。
【0019】
[凹凸検出処理の手順]
次に、本実施形態に係る路面凹凸検出装置1による凹凸検出処理の手順を図3のフローチャートを参照して説明する。
【0020】
図3に示すように、ステップS101において、アンテナ2を水平方向に走査して物体から放射される電磁波を受信する。ここで、受信した電磁波の受信電力の一例を図4に示す。図4(a)は凹凸がない場合の受信電力を示す図であり、図4(b)は凹凸がある場合の受信電力を示す図である。
【0021】
図4に示すように、凹凸がない場合には受信した電磁波の受信電力は一定の範囲内となるが、凹凸がある場合には受信電力は大きく増加した後に再び減少している。
【0022】
次に、ステップS102において、基準となる路面領域の受信電力レベル(以下、基準レベル)を、基準レベル設定部3において決定する。路面領域を、例えば図4に示すような受信電力の変化が所定値以内(5%)となるような受信電力を満たす領域として設定する。そして、この路面領域内の受信電力の平均値を基準レベルとして設定する。本方法以外で路面領域を特定し、その領域内での受信電力の平均値ないしは最大最小値の中間値等の統計手法や、各画素に対する補正を用いて、基準レベルを設定してもよい。
【0023】
次に、ステップS103において、増減領域検出部4は、受信電力が基準レベルから所定値以上、例えば5%以上の値まで増加してから基準レベルまで減少する領域を増減領域として検出する。例えば、図4(b)では3つの増減領域31〜33が検出される。
【0024】
次に、ステップS104において、凹凸高検出部5は、増減領域における受信電力の最大値と基準レベルとの差を求めて受信電力の差を検出する。例えば、図4(b)では増減領域31における受信電力の最大値Maxと基準レベルとの差を求めて受信電力の差を検出する。そして、凹凸高検出部5は、検出した受信電力の振幅に基づいて路面上にある凹凸の高さを検出するが、受信電力の振幅は凹凸の高さや深さに応じて変化するので、受信電力の差と電磁波の波長から凹凸の高さや深さを求めることができる。
【0025】
次に、ステップS105において、凹凸幅検出部6は増減領域における水平方向の幅から路面上にある凹凸の幅を求める。例えば、図4に示す増減領域31における水平方向の幅wの画素数をカウントし、このカウント値から凹凸の幅を算出して求める。アンテナ2を水平方向に走査する走査範囲は予め決められているので、走査範囲の移動量と全画素数を予め記憶部8に記憶しておくことによって、走査範囲の全画素数に対する幅wの画素数の比率から凹凸の幅を算出して求めることができる。
【0026】
次に、ステップS106において、凹凸検出部7は、検出された増減領域が路面領域の間にある場合には、その増減領域を路面上の凹凸と認識して検出する。例えば、アンテナ2を水平方向に走査した場合に、路面上にはない道路外の障害物や建造物が増減領域として検出される場合がある。そこで、そのような道路外の物を検出しないために、凹凸検出部7は路面領域内にある増減領域のみを路面上の凹凸として検出している。
【0027】
こうして路面上の凹凸が検出されると、凹凸検出部7は、凹凸高検出部5で検出された凹凸の高さや凹凸幅検出部6で検出された凹凸の幅とともに出力して、本実施形態に係る路面凹凸検出装置1による凹凸検出処理は終了する。
【0028】
[第1実施形態の効果]
以上詳細に説明したように、本実施形態に係る路面凹凸検出装置1によれば、アンテナ2で受信した電磁波の受信電力が基準レベルから所定値以上まで増加してから基準レベルまで減少する領域を増減領域として検出し、この増減領域を路面上の凹凸として検出するので、物体から放射される電磁波を利用して路面上にある凹凸を検出することができる。また、特許文献1に開示された従来の方法では、路面の観測出力と天空の観測出力との差分を求めて路面状況を把握していたので、天空の観測出力が天候(快晴、曇り、雨天など)や周囲の環境(日陰、建物など)によって変化すると、正確に路面状況を把握することは困難であった。しかし、本実施形態に係る路面凹凸検出装置1によれば、路面領域の受信電力に基づいて基準レベルを設定するので、天候や周囲の環境による影響を受けることなく、どのような条件でも正確に路面上の凹凸を検出することができる。
【0029】
また、本実施形態に係る路面凹凸検出装置1によれば、アンテナで受信した電磁波の受信電力の変化が所定値以内となる領域を路面領域として検出するので、正確に基準レベルを設定することができ、より正確に路面上の凹凸を検出することができる。
【0030】
さらに、本実施形態に係る路面凹凸検出装置1によれば、水平方向における増減領域の幅を検出し、この増減領域の幅に基づいて路面上にある凹凸の幅を検出するので、物体から放射される電磁波を利用して路面上にある凹凸の幅を計測することができる。
【0031】
また、本実施形態に係る路面凹凸検出装置1によれば、増減領域における受信電力の最大値と基準レベルとの差を求めて受信電力の差を検出し、この受信電力の差に基づいて路面上の凹凸の高さを検出するので、物体から放射される電磁波を利用して路面上にある凹凸の高さを計測することができる。
【0032】
さらに、本実施形態に係る路面凹凸検出装置1によれば、アンテナ2で受信する電磁波の波長が、検出対象とする路面上の凹凸の高さの10分の1以下に設定されているので、路面上にある凹凸を精度良く確実に検出することができる。
【0033】
また、本実施形態に係る路面凹凸検出装置21によれば、アンテナ2を複数設置してそれぞれ異なる周波数の電磁波を受信するようにしたので、高さの異なる凹凸を精度良く検出することが可能となる。
【0034】
[第2実施形態]
次に、本発明を適用した第2実施形態について図面を参照して説明する。尚、上述した第1実施形態と同一の部分については詳細な説明を省略する。
【0035】
本実施形態に係る路面凹凸検出装置は、路面上にある凹凸の中からわだちを検出することを特徴としている。
【0036】
まず、アンテナ2を水平方向に走査して、図5に示すような凹凸の検出結果を得る。図5に示す検出結果では、路面上の凹凸を示す点41が消失点方向に連続して形成された凹凸列42、43が検出されている。
【0037】
ここで、凹凸検出部7は、図5に示すように凹凸列を2列検出すると、凹凸列を構成する各凹凸の幅を取得する。各凹凸の幅は凹凸幅検出部6ですでに検出されているので、新たに計測することなく取得することができる。さらに、凹凸検出部7は、2つの凹凸列42、43の間の距離を計測する。凹凸列42、43間の距離の計測方法は凹凸幅検出部6で凹凸の幅を検出した方法と同様にして計測することができる。
【0038】
次に、凹凸検出部7は、計測した凹凸列42、43間の距離が車両のタイヤ間の距離に近い値(例えば1〜2m程度)となるか否かを判定し、さらに路面上にある各凹凸41の幅がタイヤ幅に近い値(例えば50cm以下)となるか否かを判定する。そして、凹凸列42、43間の距離が車両のタイヤ間の距離に近い値となり、尚且つ路面上にある各凹凸41の幅がタイヤ幅に近い値となった場合には、凹凸列42、43をわだちとして検出する。尚、車両のタイヤ間の距離とタイヤ幅については予め記憶部8に格納されているので、記憶部8から各値を読み出して比較することによって容易にわだちを検出することができる。
【0039】
[第2実施形態の効果]
以上詳細に説明したように、本実施形態に係る路面凹凸検出装置によれば、路面上の凹凸が消失点方向に連続した凹凸列を2列検出し、この凹凸列間の距離が車両のタイヤ間の距離に近い値となり、路面上の凹凸の幅がタイヤ幅に近い値となった場合に凹凸列をわだちとして検出するので、物体から放射される電磁波を利用して路面上にあるわだちを検出することができる。
【0040】
[第3実施形態]
次に、本発明を適用した第3実施形態について図面を参照して説明する。尚、上述した第1及び第2実施形態と同一の部分については詳細な説明を省略する。
【0041】
本実施形態に係る路面凹凸検出装置は、路面上にある凹凸の中からランブルストリップを検出することを特徴としている。
【0042】
まず、アンテナ2を水平方向に走査して、図6に示すような凹凸の検出結果を得る。図6に示す検出結果では、路面上の凹凸を示す点51が3個程度水平方向に連続して形成された凹凸集合52〜54が検出されている。
【0043】
ここで、凹凸検出部7は、図6に示すように凹凸集合を複数検出すると、複数の凹凸集合52〜54間の距離を計測する。凹凸集合52〜54間の距離の計測方法は凹凸幅検出部6で凹凸の幅を検出した方法と同様に、まず凹凸集合間の画素数を消失点方向にカウントして走査範囲の全画素数に対する比率から凹凸集合間の距離を計測する。
【0044】
そして、凹凸検出部7は、凹凸集合52〜54間の距離が消失点方向に所定の間隔(10〜20cm程度)であるか否かを判定し、凹凸集合52〜54が消失点方向に所定の間隔で連続している場合には凹凸集合をランブルストリップとして検出する。さらに、凹凸集合間の距離に加えて、凹凸高検出部5で検出された各凹凸の高さを取得し、各凹凸の高さが10cm程度となるか否かを判定するようにしてもよい。そして、凹凸集合間の距離に加えて各凹凸の高さが10cm程度となった場合にランブルストリップとして認識するようにすれば、誤認識を防止してより確実にランブルストリップを検出することができる。尚、所定の間隔と凹凸の高さについては予め記憶部8に格納されているので、記憶部8から各値を読み出して比較することによって容易にランブルストリップを検出することができる。
【0045】
[第3実施形態の効果]
以上詳細に説明したように、本実施形態に係る路面凹凸検出装置によれば、路面上の凹凸が水平方向に所定の数だけ連続した凹凸集合を検出し、この凹凸集合が消失点方向に所定の間隔で連続している場合に凹凸集合をランブルストリップとして検出するので、物体から放射される電磁波を利用して路面上にあるランブルストリップを検出することができる。
【0046】
[第4実施形態]
次に、本発明を適用した第4実施形態について図面を参照して説明する。尚、上述した第1〜第3実施形態と同一の部分については詳細な説明を省略する。
【0047】
本実施形態に係る路面凹凸検出装置は、路面上にある凹凸の中からドッツボッツを検出することを特徴としている。ドッツボッツ(Dottsbots)とは、欧米の道路上に白線などの代わりに設置されている金属製の突起で直径20cm程度の円板状をしたものである。
【0048】
まず、アンテナ2を水平方向に走査して、図7に示すような凹凸の検出結果を得る。図7に示す検出結果では、路面上の凹凸を示す点61が消失点方向に連続して形成された凹凸列62が検出されている。
【0049】
ここで、凹凸検出部7は、図7に示すように凹凸列62を検出すると、凹凸高検出部5で検出された各凹凸の高さを取得するとともに、凹凸幅検出部6で検出された各凹凸の幅を取得する。
【0050】
そして、凹凸検出部7は、路面上にある複数の凹凸の幅及び高さが予め設定されたドッツボッツの幅(約20cm)及び高さ(約10cm)に近い値となるか否かを判定し、複数の凹凸の幅及び高さがドッツボッツの幅及び高さに近い値となった場合には凹凸列62をドッツボッツとして検出する。尚、ドッツボッツの幅及び高さについては予め記憶部8に格納されているので、記憶部8から各値を読み出して比較することによって容易にドッツボッツを検出することができる。
【0051】
[第4実施形態の効果]
以上詳細に説明したように、本発明を適用した第4実施形態に係る路面凹凸検出装置によれば、路面上の凹凸が消失点方向に連続した凹凸列を検出し、この凹凸列を構成する各凹凸の幅及び高さが予め設定されたドッツボッツの幅及び高さに近い値となった場合に凹凸列をドッツボッツとして検出するので、物体から放射される電磁波を利用して路面上にあるドッツボッツを検出することができる。
【0052】
なお、上述の実施形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外の形態であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計などに応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0053】
1、21 路面凹凸検出装置
2 アンテナ
3 基準レベル設定部
4 増減領域検出部
5 凹凸高検出部
6 凹凸幅検出部
7 凹凸検出部
8 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体から放射される電磁波を複数素子で検知するアンテナと、
路面領域における受信電力に基づいて基準レベルを設定する基準レベル設定手段と、
前記アンテナで受信した電磁波の受信電力が前記基準レベルから所定値以上まで増加してから前記基準レベルまで減少する領域を増減領域として検出する増減領域検出手段と、
前記路面領域の間に前記増減領域が存在している場合に前記増減領域を路面上の凹凸として検出する凹凸検出手段と
を備えていることを特徴とする路面凹凸検出装置。
【請求項2】
前記基準レベル設定手段は、前記アンテナで受信した電磁波の受信電力の変化が所定値以内となる領域を前記路面領域として検出することを特徴とする請求項1に記載の路面凹凸検出装置。
【請求項3】
前記水平方向における前記増減領域の幅を検出し、前記増減領域の幅に基づいて前記路面上の凹凸の幅を検出する凹凸幅検出手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の路面凹凸検出装置。
【請求項4】
前記増減領域における受信電力の最大値と前記基準レベルとの差を求めて受信電力の差を検出し、前記受信電力の差に基づいて前記路面上の凹凸の高さを検出する凹凸高検出手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の路面凹凸検出装置。
【請求項5】
前記凹凸検出手段は、前記路面上の凹凸が前記水平方向に所定の数だけ連続した凹凸集合を検出し、前記凹凸集合が前記消失点方向に所定の間隔で連続している場合には、前記凹凸集合をランブルストリップとして検出することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の路面凹凸検出装置。
【請求項6】
前記凹凸検出手段は、前記路面上の凹凸が前記消失点方向に連続した凹凸列を2列検出し、前記凹凸列間の距離が車両のタイヤ間の距離に近い値となり、前記路面上の凹凸の幅がタイヤ幅に近い値となった場合には、前記凹凸列をわだちとして検出することを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の路面凹凸検出装置。
【請求項7】
前記凹凸検出手段は、前記路面上の凹凸が前記消失点方向に連続した凹凸列を検出し、前記凹凸列を構成する凹凸の幅及び高さが予め設定されているドッツボッツの幅及び高さに近い値となった場合には、前記凹凸列をドッツボッツとして検出することを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の路面凹凸検出装置。
【請求項8】
前記アンテナは、受信する電磁波の波長が、検出対象とする路面上の凹凸の高さの10分の1以下に設定されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の路面凹凸検出装置。
【請求項9】
前記アンテナを複数設置し、前記複数のアンテナはそれぞれ異なる周波数の電磁波を受信することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の路面凹凸検出装置。
【請求項10】
物体から放射される電磁波を複数素子のアンテナで受信して路面上の凹凸を検出する路面凹凸検出方法であって、
路面領域における受信電力に基づいて基準レベルを設定する基準レベル設定ステップと、
前記アンテナで受信した電磁波の受信電力が前記基準レベルから所定値以上まで増加してから前記基準レベルまで減少する領域を増減領域として検出する増減領域検出ステップと、
前記路面領域の間に前記増減領域が存在している場合に前記増減領域を路面上の凹凸として検出する凹凸検出ステップと
を含むことを特徴とする路面凹凸検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−11454(P2013−11454A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−142879(P2011−142879)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、ナノテク・先端部材実用化研究開発/ナノ構造テラヘルツデバイスによる透過型物体計測技術の研究開発委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】