説明

跳ね上げ式手摺

【課題】スプリングとダンパーの双方を組み込んだ跳ね上げ式手摺をコンパクトに構成する。
【解決手段】跳ね上げ式手摺1Aが、ベースフレーム4に固定される一対の軸固定具20、軸固定具20に転がり軸受10又は滑り軸受を介して回動自在に取り付けられた筒状の回転部本体3、回転部本体3に接合した手摺本体2、並びに回転部本体3内に設けられたスプリング40及び回転系ダンパー50を有し、一方の軸固定具20にスプリング40の一端が固定され、他方の軸固定具20に回転系ダンパー50の回転軸51が固定され、スプリング40の他端と回転系ダンパー50の本体ケース52が回転部本体3と共に回動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレ、浴室、洗面所などに設置される跳ね上げ式手摺に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、身体の不自由な高齢者、障害者などのために、トイレ、浴室、洗面所等に手摺が設けられている。手摺には、種々のタイプのものが知られているが、中でも手摺本体の一端を回動中心にして回動可能に取り付けることにより、手摺の使用時には手摺本体が床面に対して水平となるが、非使用時には床面に対して垂直に起立した状態に片付けることのできる垂直可動型手摺は、狭いスペースにも設置することができるという利点を有している。
【0003】
垂直可動型手摺では、手摺の使用時に、まず、手摺本体を起立状態から水平状態に倒すことが必要とされる。このとき手摺本体が急激に回動降下すると、手摺本体は一般に硬くて重たいステンレスパイプで形成されているため、怪我等の原因となる。そこで、手摺本体の急激な回動降下に制動をかけるため、ダンパーが使用される(特許文献1)。
【0004】
一方、垂直可動型手摺では、手摺を使用した後に、手摺本体が床面に対して垂直に起立するまで、手摺本体を回動上昇させることが必要になるが、これには相当の力が必要とされ、使用者の負担となる。これに対しては、手摺本体を持ち上げる方向に付勢するスプリングが使用され、かかるスプリングと上述のダンパーの双方を組み込んだ跳ね上げ式手摺が提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−209535号公報
【特許文献2】特開平10−245956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
手摺にスプリングとダンパーの双方を組み込んだ跳ね上げ式手摺によれば、手摺の使用時には、起立していた手摺本体をゆっくりと回動降下させて倒すことができ、また、手摺の使用後には、軽い力で回動上昇させ、手摺本体を壁に沿って起立させた状態に片付けることができる。
【0007】
しかしながら、スプリングとダンパーの双方を組み込んだ従来の跳ね上げ式手摺は、手摺本体の回動中心となる筒状の回転部本体内に、固定軸を貫通させ、その固定軸にスプリングとダンパーをそれぞれ取り付けるため、回転部本体周りをコンパクト化することができず、部品点数も多くなり、製造コストも高くなるという問題があった。
【0008】
これに対し、本発明は、スプリングとダンパーの双方を組み込んだ跳ね上げ式手摺のコンパクト化を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、手摺本体の回動中心となる筒状の回転部本体を、摩擦抵抗の少ない特定の軸受を用いて回動自在に支持することにより、回転部本体内に固定軸を貫通させることを不要とすると、跳ね上げ式手摺の回転部本体周りをコンパクト化することができ、また、回転部本体の回動が著しく滑らかになることを見出した。
【0010】
即ち、本発明は、ベースフレームに固定される一対の軸固定具、軸固定具に転がり軸受又は滑り軸受を介して回動自在に取り付けられた筒状の回転部本体、回転部本体に接合した手摺本体、並びに回転部本体内に設けられたスプリング及び回転系ダンパーを有し、スプリングの一端が一方の軸固定具に固定されると共に、回転系ダンパーの回転軸又は本体ケースが他方の軸固定具に固定され、スプリングの他端と回転系ダンパーの本体ケース又は回転軸が回転部本体と共に回動するように取り付けられた跳ね上げ式手摺を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の跳ね上げ式手摺によれば、手摺本体の回動中心となる回転部本体を、転がり軸受又は滑り軸受により回動自在に支持するので、回転部本体内に固定軸を貫通させることが不要となり、そこにスプリングと回転系ダンパーを組み込むことができる。そのため、回転部本体周りをコンパクトに構成することができ、跳ね上げ式手摺の設置に要する壁面積を小型化することができる、また、回転部本体の回動が滑らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、実施例の跳ね上げ式手摺の斜視図である。
【図2A】図2Aは、図1の跳ね上げ式手摺の回転部本体周りの透視図である。
【図2B】図2Bは、図1の跳ね上げ式手摺の回転部本体周りの断面図である。
【図3】図3は、図1の跳ね上げ式手摺の回転部本体周りの分解斜視図である。
【図4】図4は、異なる実施例の跳ね上げ式手摺の斜視図である。
【図5A】図5Aは、図4の跳ね上げ式手摺の回転部本体周りの透視図である。
【図5B】図5Bは、図4の跳ね上げ式手摺の回転部本体周りの断面図である。
【図6】図6は、さらに異なる実施例の跳ね上げ式手摺の斜視図である。
【図7】図7は、図6の跳ね上げ式手摺の回転ストッパー付近の断面図である。
【図8】図8は、図6の跳ね上げ式手摺の回転部本体周りの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ本発明を詳細に説明する。なお、各図中、同一符号は、同一又は同等の構成要素を表している。
【0014】
図1は、本発明の一実施例の跳ね上げ式手摺1Aの斜視図である。この跳ね上げ式手摺1Aは、U字型に湾曲したパイプからなる手摺本体2と、手摺本体2の一端に接合した回転部本体3と、回転部本体3を、トイレ、浴室、洗面所などの壁面に取り付けるベースフレーム4を有している。手摺本体2は図中矢印で示したように回転部本体3を回動中心として回動する。
【0015】
回転部本体3は、手摺本体2の回動面に垂直な方向に伸びた直管の筒状体、より具体的には、手摺本体2と同様のパイプから形成され、手摺本体2に溶接などにより接合される。図2Aは、この跳ね上げ式手摺1Aの回転部本体3周りの透視図、図2Bは、その断面図であり、図3はその分解斜視図である。これらの図に示すように、回転部本体3は、その両端部が、ベースフレーム4に固定された一対の軸固定具20a、20bに、転がり軸受10を介して回動自在に取り付けられている。
【0016】
軸固定具20a、20bは、ベースフレーム4の左右一対の取付プレート4a、4bにそれぞれボルトで固定される端部固定部材21と、端部固定部材21にボルトで固定される第1の内部固定部材22、第2の内部固定部材23(23a、23b)からなり、第1の内部固定部材22と第2の内部固定部材23との間に、転がり軸受10の内輪11が挟持固定される。ここで、転がり軸受10としては、深溝玉軸受等の玉軸受等を好ましく使用することができる。なお、本発明では、転がり軸受10に代えて、無給油ブッシュ等の滑り軸受を使用してもよい。
【0017】
なお、取付プレート4a、4bの端部固定部材21の取付部分には、化粧カバー24が取り付けられる。
【0018】
一対の第2の内部固定部材の一方23aには、コイル状のスプリング40の一端40aを挿入し、固定できるように小孔23pが形成されており、また、他方の第2の内部固定部材23bの端面には、ロータリーダンパー等の回転系ダンパー50の回転軸51を嵌入
固定できる六角筒状の凹部23qが形成されている。なお、スプリング40の一端40aを挿入する第2の内部固定部材23aと、回転系ダンパー50の回転軸51を嵌入固定する第2の内部固定部材23bとは、必ずしも同一形状にする必要はなく、スプリング40の一端40aを挿入する第2の内部固定部材23aには、回転系ダンパー50の回転軸51を嵌入する凹部23qの形成は不要であるが、これらを同一形状にすると、部材の共通化が図れるので好ましい。
【0019】
一方、回転部本体3には、転がり軸受10の外輪を挟持するためのC型留具31の環状凸部31pを嵌め込む環状溝30が、スプリング40取付側の端部に二筋形成され、回転系ダンパー50取付側の端部に一筋形成されている。C型留具31の環状凸部31pの外径は回転部本体3の内径よりも大きいが、図3に示すように、C型留具31がC字型に形成されていることにより、撓ませて縮径させることができ、これによりC型留具31を回転部本体3に挿入して、その環状凸部31pを回転部本体3の環状溝30に嵌め込むことが可能となる。
【0020】
また、回転部本体3の中央部内面には、有底筒状のダンパー固定部品32の周面が溶接により固定されている。このダンパー固定部品32は、回転系ダンパー50の角柱形状の本体ケース52を嵌入固定できるように、筒状部32pが角筒状に形成されている。また、この筒状部32pと反対側の底面には、スプリング40の他端40bを挿入固定する小孔32qが形成されている。
【0021】
さらに、回転系ダンパー50の回転軸51側の回転部本体3の内面には、円筒状留具33が接着されている。円筒状留具33の内径は、回転系ダンパー50の本体ケース52の外径よりも大きく、円筒状留具33を通して回転系ダンパー50を回転部本体3の内部に挿入し、装着することが可能となっている。また、この円筒状留具33とC型留具31とで転がり軸受10の外輪12が挟持固定されるようになっている。
【0022】
回転系ダンパー50としては、手摺本体2の回動降下に対しては制動するが、スプリング40の付勢により手摺本体2を回動上昇させるときには制動がかからないようにオイルを使用した一方向性のロータリーダンパーを使用することが好ましい。
【0023】
この跳ね上げ式手摺1Aの組み立て方法の一例としては、まず、回転部本体3内にダンパー固定部品32と円筒状留具33を溶接により固定する。また、第1の内部固定部材22と第2の内部固定部材23a、23bとで転がり軸受10の内輪11を挟持してボルトで固定することにより第1、第2の内部固定部材と転がり軸受の接合体を一対作っておく。次に、ダンパー固定部品32の小孔32qにスプリング40の一端40bを挿入して固定する。そして、スプリング40の他端近傍の二筋の環状溝30のうち、内側の環状溝30にC型留具31を嵌め入れ、前述の接合体の第2の内部固定部材23aの小孔23pにスプリング40の他端40aが挿入されるようにして、その接合体を回転部本体3内に挿入する。次に、その接合体の転がり軸受10の外輪12を、先に嵌め入れたC型留具31に合わせ、さらに残りの環状溝30にC型留具31を嵌め込むことにより、転がり軸受10の外輪12を回転部本体3に固定する。そして、この接合体の第1の内部固定部材22に、端部固定部材21をボルトで固定する。
【0024】
一方、回転系ダンパー50の本体ケース52を、ダンパー固定部品32の筒状部32pに嵌め入れて固定し、次いで回転系ダンパー50の回転軸51側に、先に製造した接合体の残りを挿入し、その第2の内部固定部材23bの凹部23qを回転系ダンパー50の回転軸51に嵌め込み、第2の内部固定部材23bと回転系ダンパー50の回転軸51とを固定する。この回転軸51側の環状溝30にC型留具31を嵌め込み、この接合体の転がり軸受10の外輪12と回転部本体3とを固定する。そして、この接合体の第1の内部固定部材22にも端部固定部材21をボルトで固定する。
【0025】
次に、スプリング40側と回転系ダンパー50側の双方の端部固定部材21をベースフレーム4の取付プレート4a、4bにボルトで固定する。このとき、手摺本体2が倒れた状態で、スプリング40の付勢を得られるように、手摺本体2が、跳ね上げ式手摺1Aを取り付ける壁面に沿って起立した状態で、端部固定部材21を取付プレート4a、4bに固定する。そして、その外側に化粧カバー24を取り付ける。こうして組み立てられた跳ね上げ式手摺1Aは、回転部本体3内に、スプリング40と回転系ダンパー50がコンパクトに取り付けられたものとなる。
【0026】
また、この跳ね上げ式手摺1Aによれば、使用時に、手摺本体2が起立している状態から、その手摺本体2を回動降下させるときには、回転系ダンパー50の回転軸51が軸固定具20bにより取付プレート4bに固定された状態で、本体ケース52が回転部本体3と共に回転するので、回転系ダンパー50の制動により、手摺本体2はゆっくりと回動降下する。そして、U字型の手摺本体2の2つの端部のうち、回転部本体3と接合していない方の端部がベースフレーム4に突き当たった状態で、回動降下が停止し、手摺本体2が水平になる。ここで、スプリング40も、取付プレート4a側の一端は軸固定具20aにより取付プレート4aに固定されているが、他端はダンパー固定部品32の小孔32qに固定されていることにより回転部本体3と共に回転するので、手摺本体2の回動降下によりスプリング40は捩れ、後に手摺本体2を回動上昇させるときの応力が蓄積する。
【0027】
次に、水平状態にある手摺本体2を壁面に沿って起立させるには、手摺本体2を押し上げる。このとき、手摺本体2は、回動上昇する方向にスプリング40で付勢されているので、軽い力で容易に手摺本体2を跳ね上げ、壁面に沿って起立させることができる。なお、このとき、回転系ダンパー50として一方向性のものを使用することにより、跳ね上げ時には回転系ダンパー50の制動が働かないようにすることができる。
【0028】
また、この跳ね上げ式手摺1Aによれば、手摺本体2の回動降下、回動上昇のいずれにおいても、転がり軸受10により回転部本体3が滑らかに回動する。
【0029】
本発明は、種々の態様をとることができる。例えば、図4に示す跳ね上げ式手摺1Bのように、手摺本体2が不用意に回動することを防止する回転ストッパー60を設けることができる。図5Aは、この跳ね上げ式手摺1Bの回転部本体3周りの透視図であり、図5Bはその断面図である。
【0030】
この跳ね上げ式手摺1Bは、概略、回転部本体3内にスプリング40と回転系ダンパー50を有し、スプリング40の一端40bが軸固定具20aに固定され、他端40aが回転部本体3に固定され、回転系ダンパー50の回転軸51が、もう一方の軸固定具20bに固定され、回転系ダンパー50の本体ケース52がダンパー固定部品32により回転部本体3に固定されている点では、前述の跳ね上げ式手摺1Aと共通するが、スプリング40取付側の軸固定具20aが回転部本体3の中央部近傍にまで延設され、そこにストッパー固定部材25が固定されている。ストッパー固定部材25の外周には、所定間隔でストッパー嵌入穴26が開口しており、回転ストッパー60の長手方向の延長上の回転部本体3にストッパー貫通穴27が開口している。また、この跳ね上げ式手摺1Bでは、スプリング40の一端40bが回転部本体3の中央部よりで軸固定具20aに固定され、スプリング40の他端40aが回転部本体3の端部で固定されているため、軸固定具20aに対して回転部本体3を回動自在に取り付ける転がり軸受10が、スプリング40よりも回転部本体3の中央部よりに設けられている。なお、転がり軸受10を取り付けるにあたり、転がり軸受10の外輪12と回転部本体3との嵌合具合、及び転がり軸受10の内輪11と軸固定具20aとの嵌合具合を適切なものとすることにより、C型留具31等の取付具は省略されている。
【0031】
一方、手摺本体2の内部には、ストッパー貫通穴27を通してストッパー嵌入穴26に着脱自在に嵌入する棒状の回転ストッパー60が設けられている。回転ストッパー60の回転部本体3側の端部にはスプリング61が装着されている。このスプリング61は、その一端61aが、回転ストッパー60の先端部のフランジ62に当接し、他端61bがワッシャ63を介して手摺本体2内に固定されたスプリング取付具64に支持されている。このスプリング61は、常時、回転ストッパー60をストッパー嵌入穴26に押しつける方向(矢印X方向)に付勢し、回転ストッパー60の先端部をストッパー嵌入穴26に嵌入させることで、回転部本体3の回動を規制する。
【0032】
回転ストッパー60の回転部本体3と反対側の端部には、回転ストッパー60のストッパー嵌入穴26への挿脱を操作する操作部として、レバー65が設けられている。したがって、跳ね上げ式手摺1Bの使用者が随時レバー65を握って回転部本体3と反対方向(矢印Y方向)に引き寄せることにより、フランジ62でスプリング61が押されて縮む。また、回転ストッパー60がストッパー嵌入穴26から抜け、回動自在となる。よって、スプリング40の付勢により手摺本体2を軽い力で跳ね上げ、また、回転系バンパー50の制動により手摺本体2をゆっくりと回動降下させることができる。
【0033】
そして、使用者がレバー65を離すことにより、スプリング61の付勢により回転ストッパー60がストッパー嵌入穴26に嵌入し、再度回転ストッパー60の回動が規制される。
【0034】
こうしてこの跳ね上げ式手摺1Bによれば、手摺の非使用時に不用意に手摺本体2が回動降下することを防止することができる。
【0035】
なお、この跳ね上げ式手摺1Bにおいて、ストッパー固定部材25におけるストッパー嵌入穴26の形成間隔の調整により、手摺本体2が壁に沿って起立している状態(90°)と水平に倒れている状態(0°)との間で、所望の角度で手摺本体2の回動を停止させることが可能となる。
【0036】
図6に示す跳ね上げ式手摺1Cも、手摺が不用意に回動することを防止する回転ストッパー60を有する。図7は、この跳ね上げ式手摺1Cの回転ストッパー60付近の断面図であり、図8は回転部本体周りの断面図である。
【0037】
この跳ね上げ式手摺1Cでは、回転部本体3の両端部が転がり軸受10により回動自在に軸固定部20a、20bに取り付けられている。回転部本体3内にはスプリング40と回転系ダンパー50が設けられ、スプリング40の一端40aが軸固定具20aに固定され、他端40bが円筒状留具34により回転部本体3に固定されている。軸固定具20aは、回転部本体3内の中央部近傍付近にまで延設され、そこにストッパー固定部材25が固定されている。ストッパー固定部材25の外周には、複数のストッパー嵌入穴26が開口しており、回転ストッパー60の長手方向の延長上の回転部本体3にストッパー貫通穴27が開口している。また、このストッパー固定部材25に、回転系ダンパー50の回転軸51が固定されている。回転系ダンパー50の本体ケース52は、ダンパー固定部品32により回転部本体3に固定されている。
【0038】
また、手摺本体2が回動上昇により壁面側に倒れることなく、床面に対して垂直に起立するように、ベースフレーム4の上部には突き当て部材70が設けられている。
【0039】
U字型に湾曲した手摺本体2の一対の基部同士を接続する接続パイプ5には、回転ストッパー60のストッパー嵌入穴26への挿脱を操作する操作部として操作ボタン66が設けられている。接続パイプ5に操作部を設けることにより、介助する者と介助される者の双方にとって、手摺本体2が跳ね上げられている状態においても、回動降下した状態においても、操作部に容易に手が届き、挿脱操作が行いやすくなるので好ましい。本実施例において、操作ボタン66は軸67を回動中心とし、その一端が回転ストッパー60と回動可能に接続し、他端が押圧部となっている。
【0040】
回転ストッパー60は、該回転ストッパー60に取り付けられたフランジ62と、スプリング取付具64との間に配されたスプリング61により、常時、回転部本体3側(矢印X方向)に付勢されており、操作ボタン66が押圧されない状態では、図7に示すように、回転ストッパー60の先端部が、ストッパー固定部材25のストッパー嵌入孔26に嵌入し、回転部本体3の回動を規制する。操作ボタン66が矢印P方向に押し込まれると、図7に破線で示すように回転ストッパー60は回転部本体3と反対側(矢印Y方向)に移動し、図8に示すように回転ストッパー60がストッパー嵌入孔26から抜け、回転部本体3が回動自在となる。
【0041】
したがって、跳ね上げ式手摺1Cの使用者は、使用開始時に手摺本体2が床面に対して垂直に起立している状態では、操作ボタン66を押し込むことにより手摺本体2を回動可能とし、回動降下させる。また、使用後に手摺本体2を跳ね上げるときも再度操作ボタン66を押し込むことにより手摺本体2を回動可能とし、回動上昇させる。回動降下時には回転系ダンパー50の制動により手摺本体2はゆっくりと降下し、回動上昇時にはスプリング40の付勢により手摺本体2を軽い力で跳ね上げることができるのは、前述の跳ね上げ式手摺1A、1Bと同様である。
【符号の説明】
【0042】
1A、1B、1C 跳ね上げ式手摺
2 手摺本体
3 回転部本体
4 ベースフレーム
4a、4b 取付プレート
5 接続パイプ
10 転がり軸受
11 内輪
12 外輪
20a、20b 軸固定具
21 端部固定部材
22 第1の内部固定部材
23a、23b 第2の内部固定部材
23p 小孔
23q 凹部
24 化粧カバー
25 ストッパー固定部材
26 ストッパー嵌入穴
27 ストッパー貫通穴
30 回転部本体の環状溝
31 C型留具
31p 環状凸部
32 ダンパー固定部品
32p 筒状部
32q 小孔
33 円筒状留具
34 円筒状留具
40 スプリング
40a、40b スプリングの一端、他端
50 回転系ダンパー
51 回転軸
52 本体ケース
60 回転ストッパー
61 スプリング
61a、61b スプリングの一端、他端
62 フランジ
63 ワッシャ
64 スプリング取付具
65 レバー
66 操作ボタン
67 軸
70 突き当て部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースフレームに固定される一対の軸固定具、軸固定具に転がり軸受又は滑り軸受を介して回動自在に取り付けられた筒状の回転部本体、回転部本体に接合した手摺本体、並びに回転部本体内に設けられたスプリング及び回転系ダンパーを有し、スプリングの一端が一方の軸固定具に固定されると共に、回転系ダンパーの回転軸又は本体ケースが他方の軸固定具に固定され、スプリングの他端と回転系ダンパーの本体ケース又は回転軸が回転部本体と共に回動するように取り付けられた跳ね上げ式手摺。
【請求項2】
軸固定具が回転部本体の中央部側にストッパー固定部材を有し、該ストッパー固定部材に回転軸本体外側から挿脱自在に嵌入する回転ストッパーを有する請求項1記載の跳ね上げ式手摺。
【請求項3】
ストッパー固定部材への回転ストッパーの挿脱を操作する操作部が、手摺り本体又はU字型に湾曲した手摺本体同士を接続する接続パイプに設けられている請求項2記載の跳ね上げ式手摺。
【請求項4】
操作部が、接続パイプに設けられた操作ボタンからなり、該ボタンの押し込みにより回転ストッパーがストッパー固定部材から外れ、押し込みの解除により回転ストッパーがストッパー固定部材に嵌入する請求項3記載の跳ね上げ式手摺。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−190670(P2011−190670A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−171812(P2010−171812)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(510044187)株式会社東亜工業 (1)
【Fターム(参考)】