身体通路の疾病を治療又は予防する組成物及び方法
本発明は、血管系及び非血管系の身体通路に関連した疾病の治療及び予防組成物及び方法を提供するものであって、その方法が、身体通路治療剤を身体通路に送達するステップを含み、その治療剤が、移植ステント又は他の構造物からポリママトリックスを介して局所に送達される方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2006年4月27日に出願され、この内容は、参照により本明細書に取り込まれている米国仮出願第60/745,834号「局所領域のドラッグデリバリによる身体通路の疾病を治療又は予防する組成物及び方法」についての利益を請求する。
【0002】
本発明は、一般的には、血管系又は非血管系身体通路の疾病の治療又は予防用組成物及び方法に関し、より具体的には、ポリマ又は金属を具える生分解性、一部生分解性、又は永久的なものである医療用装具インプラントにより身体通路にポリママトリックスを介して局所的に送達される治療剤を含む組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
人体には必須物質の流れる多くの通路がある。これらは、例えば、動脈及び静脈、食道、胃、小腸と大腸、胆管、尿管、膀胱、尿道、鼻腔、気管や他の気道、雄性と雌性の生殖器官を含む。外傷、種々の外科的処置、又は疾病は、体腔の圧迫、狭窄、衰弱及び/又は閉塞などをもたらし、その結果、重篤な合併症及び/又は死亡に至ることもある。
【0004】
例えば、多くのタイプの腫瘍(良性及び悪性の両方)は、身体腔の壁に障害をもたらすか、又は、体腔の閉塞をもたらし、それにより身体通路を通る物質の流れが遅くなったり又は妨害したりする。癌に侵された身体通路の閉塞は、それ自体が生命を脅かすだけでなく、患者のクオリティ・オブ・ライフを制限することにもなる。
【0005】
新生物による閉塞をもたらす腫瘍の一次治療は、外科的除去及び/又は化学療法、放射線治療又はレーザ治療である。身体通路を閉塞する腫瘍は、手術不可能なことが多く、一般には、従来の治療で対処し得ない。この問題への1つのアプローチは、腔内へのステントの挿入であった。手短に言えば、ステントは、腫瘍又は他の組織/物質によりブロックされた身体通路を物理的に開いて保持する身体通路の体腔に配設する装具である。一般的に配置されているステントの代表例は、ウオールステント(Wallstent)、ステッカステント(Stecker stent)、ギアンツルコステント(Gianturco stent)、及びパルマズステント(Palmaz stent)である(特許文献1〜6)。腫瘍がステントの隙間を通って、しばしば、体腔内へ増殖し得るので、金属ステントはしばしば長期間の使用により効果が無くなる。体腔内のステントは、敏感な内方成長又はステント表面上へ炎症性組織を誘導し得る。その結果、ステントが正しく挿入された身体通路が再閉鎖される。
【0006】
悪性新生物でないにもかかわらず、増殖が関与する他の疾病は、身体通路を同様に閉鎖し得る。例えば、良性前立腺過形成による尿道前立腺部の狭窄は、60歳を過ぎた全ての男性の60%に、80歳を超えた全ての男性に100%影響する重篤な問題である。5−αレダクターゼ阻害剤(例えば、フィナステライド)、又は、α−アドレナリン作働性ブロッカ(例えば、テラゾザン(terazozan))などの現在の薬理学的治療は、一般に、限られた数の患者にのみ有効である。
【0007】
さらに、実効可能な外科的処置[例えば、経尿道的前立腺切除(TURPs);直視下前立腺切除、又は尿路内泌尿器科的処置(例えば、レーザ前立腺切除、マイクロ波の使用、低体温法、凍結外科、又はステント)]は、出血、感染、失禁、インポテンツ、及び疾病の再発などの数多くの合併症が生じる。
【0008】
新生物又は増殖性疾患に加えて、血管系の疾病などの他の疾病は、身体通路の狭窄、弱体、及び/又は閉塞をもたらし得る。2004年の推計(米国心臓病学会の出典)によれば、約6200万人の米国人が1以上の心臓血管系の疾病を患っている。これらの疾患は、米国内で同年に95万人(全死因の40%)の生命を奪っている。
【0009】
バルーン血管形成術(ステントを用いて又は用いることなく)は、血管の疾病で最も広く用いられている治療の1つである;レーザ血管形成のような他の選択もまた、利用可能である。これが、血管系の重篤なほとんどの場合の治療選択であるが、バルーン血管形成術を受けている患者の約3分の1(出典、Heart and Stroke Foundationホームページ)が、最初の施術から6ヶ月以内に治療した動脈に再狭窄が生じており;しばしば、更なる措置が必要とされる程に十分に重症である。
【0010】
このような血管の疾病は、血管平滑筋細胞(VSMC)の遊走、及びVSMC増殖、細胞外マトリックスの蓄積による血管内膜の二次的な肥厚に、少なくともその一部は起因している。手短に言えば、血管内皮は、血液がスムーズに流れる非血栓性表面として働き、また血管壁を含む組織から血液成分を分離するバリアとして働く。内皮細胞は、またヘパリン硫酸、プロスタサイクリン、EDRF、並びに、血小板と白血球の粘着、VSMC収縮、VSMC遊走、及びVSMC増殖を阻害する他の要素を放出する。内皮細胞の喪失や障害(例えば、血管形成術、粥腫切除術(atherectomy)、ステントの挿入中に起こる)は、血小板粘着、血小板凝集、及び血栓形成をもたらす。活性化した血小板は、血管収縮(セロトニン及びトロンボキサン)をもたらす物質、及び/又はVSMC遊走、VSMC増殖(PDGF、上皮細胞成長因子、TGF−β、及び、へパリナーゼ)を促進する物質を放出し得る。動脈により放出される組織因子は、血栓形成を促進し、平滑筋細胞が遊走、増殖し得るフィブリンマトリックスとなる。
【0011】
この事象のカスケードは、血管平滑筋細胞の表現型を収縮型から分泌型へ形質転換へ導く。細胞融解やマトリックスの破壊をもたらす血管形成術は、順に、直接的に又はPDGFの生産を介して間接的に促進して、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)の局所放出をもたらす。順に、PDGFとbFGFに加えて、血小板放出EGFやインシュリン様増殖因子−1により、VSMC増殖も促進される。
【0012】
血管平滑筋細胞も、また、血管中膜又は内膜中への遊走するように誘導される。これは、細胞外マトリックスと血管壁の内部弾性層を通るVSMCの経路を分解するマトリックスメタロプロテアーゼの放出と活性化により可能となる。遊走と増殖の後、血管平滑筋細胞は、血管内膜の肥厚の大部分を占めるグリコスアミノグリカン、エラスチン及びコラーゲンを構成する細胞外マトリックスを堆積させる。再狭窄経過の重要な部分は、動脈の外形寸法を変化させる血管壁のリモデリングに起因し得る;(中膜に加えて)外膜内での増殖に対して二次的である。このような経過の最終結果は、十分に重篤な血管壁の狭窄の再発であり、繰り返し診療行為を必要とする。
【0013】
要約すれば、事実上、血管の内腔又は非血管の内腔を強制的も操作することは、内皮細胞又は上皮細胞の上皮に損傷を与えるか又は引きはがすことになる。したがって、血管性又は非血管性の疾病自身か、又は再狭窄に続いて起こる診療行為のための治療かという選択は、このような症状にとって長期的転帰に対する主要な問題であり続ける。
【0014】
新生物性の閉塞及び血管疾病に加えて、身体通路の閉塞を生じる数多くの急性及び慢性炎症性疾患がある。これらの例として、例えば、血管炎、胃腸管疾病(例えば、クローン病、潰瘍性大腸炎)及び呼吸器系疾患(例えば、喘息、慢性閉塞性肺疾患)を挙げることができる。
【0015】
これらの疾病の各々は、抗炎症剤又は免疫抑制剤などの医薬品で、様々な成功の度合いで治療することができる。しかしながら、現在の治療方法(regimen)では、しばしば、進行が遅い疾病では有効でないことがあり、全身的毒性や望まない副作用を生じる。外科的手法を、医薬での治療に変えて又はそれに追加して用いることもできる。しかしながら、このような外科的手法は、瘢痕形成に起因して局所的再発が生じる率が高く、ある条件下(例えば、バルーンカテーテルを用いて)で、良性の活発な過増殖が生じる。
【0016】
身体通路を閉塞する他の疾病には、感染症が挙げられる。手短に言えば、身体通路の閉塞を生じる多くの急性及び慢性感染過程があり、この過程には、前立腺炎、雄性生殖管の他の疾病、雌性生殖管の様々な疾病、膀胱炎、及び尿道炎(尿道の疾病)、慢性気管支炎、結核、及び他の抗酸性菌感染、及び他の呼吸器系の問題及びある種の心臓血管疾病が含まれる。
【0017】
このような疾病は、現在では、様々な種類の治療法及び/又は外科的手法により治療される。上述のように、しかしながら、このような治療法は、望ましくない副作用をもたらす全身的な毒性を伴う困難がある。さらに、上述したように外科的手法は、瘢痕の形成により局所的な再発をもたらし得るし、ある種の手法(例えば、商業的に入手できるステントの挿入)は、良性の反応性の過増殖が生じることがある。
【0018】
現在、気管と気管支に関する薬剤溶出ステント(DES)は、存在しない。気管と気管支様ステントを開発している、ボストンサイエンティフィック、クックインターナショナル&アルベオラス(as Boston Scientific, Cook International and Alveolus)のような器具会社がある。その他の介入手順は、レーザ、内視鏡的電気外科手術、小線源療法、光線力学療法、及び凍結療法を含む。このうち、レーザ及び気管支内の電気外科術(電気焼灼器)は、苦痛を緩和し、より頻繁に用いられている。しかしながら、これらは、高度に血管が発達している肺腫瘍の組織壊死を引き起こし、組織壊死によるひどい出血が生じ、罹患率、死亡率を増加させる。
小線源療法と凍結療法及び光線力学療法(PDT)は、即時に苦痛が緩和せず、気道開存性の回復しない。
【特許文献1】米国特許第5,102,417号、
【特許文献2】米国特許第5,195,984号
【特許文献3】米国特許第5,176,626号
【特許文献4】米国特許第5,147,370号
【特許文献5】米国特許第5,141,516号
【特許文献6】米国特許第4,776,337号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
殆どの部分についての上記の疾病の症状の既存の治療には、同じ制限がある。治療剤の使用は、これらの症状を逆転させ、症状の治療に介入手法が用いられるときはいつでも、その介入手法に対して身体が反応して患者にリスクがある。本発明は、一般に上述した症状や疾病の治療に適した組成物及び方法を提供する。これらの組成物と方法は、現存する手法に伴う問題に取り組み、しばしば、現存する手法と比較したとき重要な利点をもたらしており、さらに、他の関連する利点も提供している。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、ドラッグデリバリシステム及び身体通路の閉塞を治療及び予防する前記システムを用いる方法を提供する。本発明は、癌、良性腫瘍、過形成の治療と予防に有用である。
【0021】
一の態様において、本発明は、ドラッグデリバリシステムを提供しており、そのドラッグデリバリシステムは、支持体、第一ポリママトリクス、及び薬物を含む。好ましい態様では、第一ポリママトリックスは、生物学的な酵素活性をもつ組成物による分解に対して十分に感受性である第一材料を含む。別の態様では、第一ポリママトリックスは、生物学的な酵素活性をもつ組成物による分解に十分に抵抗性である第二材料を含む。代替えの第二態様では、第一ポリママトリックスは、1つの第一材料と1つの第二材料を含み、前記第一材料が、生物学的な酵素活性をもつ組成物により十分に感受性であり、第二材料が生物学的な酵素活性に分解に十分に抵抗性である。
【0022】
別の態様では、本発明は、本明細書に開示したドラッグデリバリシステムを提供するものであって、前記支持体が、ステント、バルーン、及び第二ポリママトリックスからなる群から選択されるドラッグデリバリシステムである。好ましい態様では、ステントは、管状構造、金属製自己展開式ステント、バルーン展開式金属製ステント、自己展開式ステント、及びステントグラフトからなる群から選択される。
【0023】
別の好ましい態様では、第二ポリママトリックスは、生物学的な酵素活性をもつ組成物による分解に十分に感受性である第一材料を含む。別の代替えの態様では、第二ポリママトリックスは、生物学的酵素活性をもつ組成物による分解に十分に抵抗性である第二材料を含む。更なる好ましい態様では、第二ポリママトリックスは、1つの第一材料と1つ第二材料を含むものであって、第一材料が生物学的酵素活性をもつ組成物に分解に十分に感受性であり、第二材料が、生物学的酵素活性をもつ組成物による分解に十分に抵抗性である。
【0024】
本発明は、本明細書で開示したドラッグデリバリシステムを提供するものであって、第一ポリママトリックスが、アクリル酸、メタクリル酸、ポリフォスファゼン類、ポリカーボネイト類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸、グリコール酸、ポリヒドロキシ洛酸、ポリオルトエステロール類、ポリ酸無水物類、ポリシロキサン類、ポリカプロラクトン、ポリサッカライド類、及び、ポリプロテイン類の部分エステル化ポリマ、並びに、アクリル酸、メタクリル酸、ポリフォスファゼン類、ポリカーボネイト類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸、グリコール酸、ポリヒドロキシ洛酸、ポリオルトエステロール類、ポリ酸無水物類、ポリシロキサン類、ポリカプロラクトン、ポリサッカライド類、ポリプロテイン類の完全エステル化ポリマ及びそれらの共重合体からなる群から選択される組成物を含む。一の好ましい態様では、第一ポリママトリックスが、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリアクリルアミド、及びポリエチレングリコールからなる群から選択される親水性ポリマのモノマとの共重合体を含む。
【0025】
代替えの態様では、ドラッグデリバリシステムが、第二ポリママトリックスを含み、当該第二ポリママトリックスが、アクリル酸、メタクリル酸、ポリフォスファゼン類、ポリカーボネイト、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸、グリコール酸、ポリヒドロキシ洛酸、ポリオルトエステロール類、ポリ酸無水物類、ポリシロキサン類、ポリカプロラクトン、ポリサッカライド類、及び、ポリプロテイン類の部分エステル化ポリマ、並びに、アクリル酸、メタクリル酸、ポリフォスファゼン類、ポリカーボネイト、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸、グリコール酸、ポリヒドロキシ洛酸、ポリオルトエステロール類、ポリ酸無水物類、ポリシロキサン類、ポリカプロラクトン、ポリサッカライド類、ポリプロテイン類の完全エステル化ポリマ、及びそれらの共重合体、からなる群から選択される組成物を含むドラッグデリバリシステムである。
【0026】
一の好ましい態様では、第二ポリママトリックスは、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリメタアクリルアミド、及び、ポリエチレングリコールから選択される親水性ポリマーのモノマとの共重合体を含む。
【0027】
本発明は、薬学的製剤をさらに含む本明細書で開示するドラッグデリバリシステムを提供する。好ましい態様では、薬学的製剤は、薬物及び適当な薬学的キャリアを含む。
【0028】
本発明は、本明細書に開示されたドラッグデリバリシステムを提供するものであって、その薬物が、ドセタキセル(docetaxel)、エトポシド(etoposide)、トロンテカン(trontecan)、パクリタキセル(paclitaxel)、テニポサイド(teniposide)、トポテカン(topotecan)、ビンブラスチン(vinblastine)、ビンクリスチン(vincristine)、ビンデシン(vindesine)、ブスルファン(busulfan)、イムプロスフラン(improsulfan)、ピポスルファン(piposulfan)、アジリジン(aziridines)、ベンゾデパ(benzodepa)、カルボコン(carboquone)、メツレデパ(meturedepa)、ウレデパ(uredepa)、アルトレタミン、トリエチレンメラミン(triethylenemelamine)、トリエチレンホスホルアミド(triethylenephosphoramide)、トリエチレンチオホスホルアミド(triethylenethiophosphoramide)、クロラムブシル(chlorambucil)、chloraphazine、シクロフォスファミド、エストラムスチン、イフォスファミド、メクロルエタミン(mechlorethamine)、メクロレタミンオキシド塩酸塩(mechlorethamine oxide hydrochloride)、メルファラン(melphalan)、ノブエンビキン(novembichin)、ペルホスファミド(perfosfamide)、フェネステリン(phenesterine)、プレドニムスチン(prednimustine)、トロホスファミド(trofosfamide)、ウラシルマスタード(uracil mustard)、カルムスチン、クロロゾトシン(chlorozotocin)、ホテムスチン(fotemustine)、ロムスチン、ニムスチン(nimustine)、ラニムスチン(ranimustine)、ダカルバジン、マンノムスチン(mannomustine)、ミトブロニトール(mitobronitol)、ミトラクトール(mitolactol)、ピポブロマン(pipobroman)、テモゾロミド(temozolomide)、アクラシノマイシンsa アクチノマイシン アントラマイシン(aclacinomycinsa actinomycin anthramycin)、アザセリン(azaserine)、ブレオマイシンs(bleomycins)、カクチノマイシン(cactinomycin)、カルビシン(carubicin)、カルジノフィリン(carzinophilin)、クロモマイシンs(chromomycins)、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン(6−diazo−5−oxo−L−norleucine)、ドキソルビシン、エピルビシン(epirubicin)、イダルビシン、メノガリル(menogaril)、マイトマイシン(mitomycins)、ミコフェノール酸(mycophenolic acid)、ノガラマイシン(nogalamycin)、オリボマイシン(olivomycins)、ペプロマイシン(peplomycin)、ピラルビシン(pirarubicin)、プリカマイシン、ポルフィロマイシン(porfiromycin)、プロマイシン(puromycin)、ストレプトニグリン(streptonigrin)、ストレプトゾシン、ツベルシジン(tubercidin)、ジノスタチン(zinostatin)、ゾルビシン(zorubicin)、デノプテリン(denopterin)、エダトレキサート(edatrexate)、メトトレキサート、ピリトレキシム(piritrexim)、プテロプテリン(pteropterin)、トムデックス(TOMUDEX)、トリメトレキセート、クラドリビン、フルダラビン(fludarabine)、6−メルカプトプリン、チアミプリン(thiamiprine)、チオグアニン、アンシタビン(ancitabine)、アザシチジン(azacitidine)、6−アザウリジン(6−azauridine)、カルモフール(carmofur)、シタラビン、ドキシフルリジン(doxifluridine)、エミテフル(emitefur)、enocitabune、フロクスリジン、フルオロウラシル、ゲムシタビン(gemcitabine)、テガフール(tegafur)、L−アスパラギナーゼ、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、インターロイキン−2、レンチナン(lentinan)、プロパゲルマニウム(propagermanium)、PSK、ロキニメクス(roquinimex)、sizofican、ウベニメックス(ubenimex)、カルボプラチン、シスプラチン(cisplatin)、miboplatin、オキサリプラチン(oxaliplatin)、aceglarone、アムサクリン(amsacrine)、ビサントレン、デホスファミド(defosfamide)、デメコルシン(demecolcine)、ジアジクオン(diaziquone)、eflomithine、エリプチニウムアセタート(elliptinium acetate)、エトグルシド(etoglucid)、フェンレチニド(fenretinide)、硝酸ガリウム、ヒドロキシウレア、ロニダミン(lonidamine)、ミルテホシン(miltefosine)、ミトグアゾン(mitoguazone)、マイトキサントロン、モピダモール(mopidamoi)、nitracine、pentostain、フェナメット(phenamet)、ポドフィリン酸2−エチル−ヒドラジド(podophyllinic acid 2−ethyl−hydrazide)、procabazine、ラゾキサン(razoxane)、ソブゾキサン(sobuzoxane)、スピロゲルマニウム(spirogermanium)、tenuzonic acid、トリアジクオン(triaziquone)、2,2’,2”トリクロロトリエチルアミン(2,2’,2”trichlorotriethylamine)、ウレタン(urethan)、カルステロン(calusterone)、ドロモスタノロン(dromostanolone)、エピチオスタノール(epitiostanol)、メピチオスタン(mepitiostane)、testolacone、アミノグルテチミド(aminoglutethimide)、ミトタン(mitotane)、トリロスタン(trilostane)、ビカルタミド(bicalutamide)、フルタミド(flυtamide)、ニルタミド(nilutamide)、ドロロキシフェン(droloxifene)、タモキシフェン、トレミフェン(toremifene)、アミノグルテチミド(aminoglutethimide)、アナストロゾール(anastrozole)、ファドロゾール(fadrozole)、ホルメスタン(formestane)、レトロゾール(letrozole)、ホスフェストロール(fosfestrol)、ヘキセストロール(hexestrol)、燐酸ポリエストラジオール(polyestradiol phosphate)、ブセレリン(buserelin)、ゴセレリン、ロイプロリド、トリプトレリン(triptorelin)、酢酸クロルマジノン(chlormadinone acetate)、メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、メレンゲストロール(melengestrol)、porfimer sodium、batimastar、ホリン酸(folinic acid)、サリチル酸塩、サルサレート、メサラミン、ジフルニサル、コリントリサリチル酸マグネシウム、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、フルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、メフェナム酸、ナブメトン、ナプロキセン、ピロキシカム、フェニルブタゾン、ケトプロフェン、S−ケトプロフェン、ケトロラク、トロメタミン、スリンダク、トルメチン、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、コルチゾン、デキサメタゾン、フルオシノロン、フルニソリド、プロピオン酸フルチカゾン、フッ素化コルチコイド、トリアムシノロン−ジアセテート、ヒドロコルチゾン、クロベタゾール(clobetasol)、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾン、フィナステライド、アデノコルチコステロイド、シクロスポリン、ラパマイシン(rapamycin)、エベロリムス(everolimus)、sutinin マレイン酸(sutinin maleate)、ゲフィチニブ(gefitinib)、エルロチニブ(erlotinib)、からなる群から選択される。
【0029】
1つの態様では、ステントは、ニッケル−チタニウム合金、クロメル、ステンレススチール、銅、金、白金、銀、及び、チタニウム、からなる群から選択される金属を含む。別の態様では、ステントは、伝導性エポキシ、伝導性ポリマ、硫酸バリウム、酸化チタン、シリコン、ポリウレタン、ポリエチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリカーボネイト、ポリプロピレン、スチレン、ポリアミド、ポリイミド、PEEK、PEBAX、ポリエステル、PVC、フルオロポリマ、及びそれらの共重合体からなる群から選択される材料を含む。
【0030】
本発明は、被験者の身体通路の閉塞を治療する方法を提供するものであって、その方法が、次の;(i)第一ポリママトリックスを提供するステップであって、その第一ポリママトリックスが薬物を含むものであり、第一ポリママトリックスが、前記身体通路に配置するのに適した状態にあり、第一ポリママトリックスが、第一ポリママトリックスからその薬物を溶出させる化合物を含む;(ii)前記閉塞に近接した身体通路に第一ポリママトリックスを導入するステップ;(iii)第一ポリママトリックスからその閉塞に隣接する近辺にその薬物を溶出することができ、それによりその薬物が、閉塞に対して生物活性をもたらすステップを具え、その結果前記方法が閉塞を治療する方法である。一の好ましい態様では、前記身体通路は、冠状動脈、頸動脈、大動脈、肺動脈、動脈、静脈、毛細血管、気管、気管支、気管支梢、胆管、輸卵管、尿道、結腸、膀胱、膵臓通路、鼻腔、男性生殖管、女性生殖管、小腸、大腸、硬膜静脈洞、及び、脳内洞からなる群から選択される。別の好ましい態様では、第一ポリママトリックスは、生分解性ポリマ、非生分解性ポリマ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。別の態様では、第一ポリママトリックスの相(phase)は、液体、固体、及び、それらの組み合わせからなる群から選択される。さらなる別の好ましい態様では、第一ポリママトリックスは、アクリル酸、メタクリル酸、ポリフォスファゼン類、ポリカーボネイト類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸、グリコール酸、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステロール類、ポリ酸無水物類、ポリシロキサン類、ポリカプロラクトン、ポリサッカライド類、及び、ポリプロテイン類の部分エステル化ポリマ、並びに、アクリル酸、メタクリル酸、ポリフォスファゼン類、ポリカーボネイト類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸、グリコール酸、ポリヒドロキシ洛酸、ポリオルトエステロール類、ポリ酸無水物類、ポリシロキサン類、ポリカプロラクトン、ポリサッカライド類、ポリプロテイン類の完全エステル化ポリマ、及びそれらの共重合体、からなる群から選択される組成物を含む。好ましい態様では、前記薬物は、次のものからなる群から選択される;即ち、ドセタキセル(docetaxel)、エトポシド(etoposide)、トロンテカン(trontecan)、パクリタキセル(paclitaxel)、テニポサイド(teniposide)、トポテカン(topotecan)、ビンブラスチン(vinblastine)、ビンクリスチン(vincristine)、ビンデシン(vindesine)、ブスルファン(busulfan)、イムプロスフラン(improsulfan)、ピポスルファン(piposulfan)、アジリジン(aziridines)、ベンゾデパ(benzodepa)、カルボコン(carboquone)、メツレデパ(meturedepa)、ウレデパ(uredepa)、アルトレタミン(altretamine)、トリエチレンメラミン(triethylenemelamine)、 トリエチレンホスホルアミド(triethylenephosphoramide)、トリエチレンチオホスホルアミド(triethylenethiophosphoramide)、クロラムブシル(chlorambucil)、クロラファジン(chloraphazine)、サイクロホスファミド(cyclophosphamide)、エストラムスチン(estramustine)、イフォスファミド(ifosfamide)、メクロルエタミン(mechlorethamine)、メクロルエタミンオキサイド塩酸塩(mechlorethamine oxide hydrochloride)、メルファラン(melphalan)、ノベビシン(novembichin)、ペルホスファミド(perfosfamide)、フェネステリン(phenesterine)、プレドニムスチン(prednimustine)、トロホスファミド(trofosfamide)、ウラシルマスタード(uracil mustard)、カルムスチン、クロロゾトシン(chlorozotocin)、ホテムスチン(fotemustine)、ロムスチン、ニムスチン(nimustine)、ラニムスチン(ranimustine)、ダカルバジン、マンノムスチン(mannomustine)、ミトブロニトール(mitobronitol)、ミトラクトール(mitolactol)、ピポブロマン(pipobroman)、テモゾロミド(temozolomide)、アクラシノマイシンsa アクチノマイシン アントラマイシン(aclacinomycinsa actinomycin anthramycin)、アザセリン(azaserine)、ブレオマイシンs(bleomycins)、カクチノマイシン(cactinomycin)、カルビシン(carubicin)、カルジノフィリン(carzinophilin)、クロモマイシンs(chromomycins)、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン(6−diazo−5−oxo−L−norleucine)、ドキソルビシン、エピルビシン(epirubicin)、イダルビシン、メノガリル(menogaril)、マイトマイシン(mitomycins)、ミコフェノール酸(mycophenolic acid)、ノガラマイシン(nogalamycin)、オリボマイシン(olivomycins)、ペプロマイシン(peplomycin)、ピラルビシン(pirarubicin)、プリカマイシン、ポルフィロマイシン(porfiromycin)、プロマイシン(puromycin)、ストレプトニグリン(streptonigrin)、ストレプトゾシン、ツベルシジン(tubercidin)、ジノスタチン(zinostatin)、ゾルビシン(zorubicin)、デノプテリン(denopterin)、エダトレキサート(edatrexate)、メトトレキサート、ピリトレキシム(piritrexim)、プテロプテリン(pteropterin)、トムデックス(TOMUDEX)、トリメトレキセート、クラドリビン、フルダラビン(fludarabine)、6−メルカプトプリン、チアミプリン(thiamiprine)、チオグアニン、アンシタビン(ancitabine)、アザシチジン(azacitidine)、6−アザウリジン(6−azauridine)、カルモフール(carmofur)、シタラビン、ドキシフルリジン(doxifluridine)、エミテフル(emitefur)、enocitabune、フロクスリジン、フルオロウラシル、ゲムシタビン(gemcitabine)、テガフール(tegafur)、L−アスパラギナーゼ、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、インターロイキン−2、レンチナン(lentinan)、プロパゲルマニウム(propagermanium)、PSK、ロキニメクス(roquinimex)、sizofican、ウベニメックス(ubenimex)、カルボプラチン、シスプラチン(cisplatin)、miboplatin、オキサリプラチン(oxaliplatin)、aceglarone、アムサクリン(amsacrine)、ビサントレン、デホスファミド(defosfamide)、デメコルシン(demecolcine)、ジアジクオン(diaziquone)、eflomithine、エリプチニウムアセタート(elliptinium acetate)、エトグルシド(etoglucid)、フェンレチニド(fenretinide)、硝酸ガリウム、ヒドロキシウレア、ロニダミン(lonidamine)、ミルテホシン(miltefosine)、ミトグアゾン(mitoguazone)、マイトキサントロン、モピダモール(mopidamoi)、nitracine、pentostain、フェナメット(phenamet)、ポドフィリン酸2−エチル−ヒドラジド(podophyllinic acid 2−ethyl−hydrazide)、procabazine、ラゾキサン(razoxane)、ソブゾキサン(sobuzoxane)、スピロゲルマニウム(spirogermanium)、tenuzonic acid、トリアジクオン(triaziquone)、2,2’,2”トリクロロトリエチルアミン(2,2’,2”trichlorotriethylamine)、ウレタン(urethan)、カルステロン(calusterone)、ドロモスタノロン(dromostanolone)、エピチオスタノール(epitiostanol)、メピチオスタン(mepitiostane)、テストラコン(testolacone)、アミノグルテチミド(aminoglutethimide)、ミトタン(mitotane)、トリロスタン(trilostane)、ビカルタミド(bicalutamide)、フルタミド(flutamide)、ニルタミド(nilutamide)、ドロロキシフェン(droloxifene)、タモキシフェン、トレミフェン(toremifene)、アミノグルテチミド(aminoglutethimide)、アナストロゾール(anastrozole)、ファドロゾール(fadrozole)、ホルメスタン(formestane)、レトロゾール(letrozole)、ホスフェストロール(fosfestrol)、ヘキセストロール(hexestrol)、燐酸ポリエストラジオール(polyestradiol phosphate)、ブセレリン(buserelin)、ゴセレリン、ロイプロリド、トリプトレリン(triptorelin)、酢酸クロルマジノン(chlormadinone acetate)、メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、メレンゲストロール(melengestrol)、porfimer sodium、batimastar、ホリン酸(folinic acid)、サリチル酸塩、サルサレイト(salsalate)、メサルラミン(mesalamine)、ジフルニサル、コリントリサリチル酸マグネシウム、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、フルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、メフェナム酸、ナブメトン、ナプロキセン、ピロキシカム、フェニルブタゾン、ケトプロフェン、S−ケトプロフェン、ケトロラク、トロメタミン、スリンダク、トルメチン、ベクロメタゾン(beclomethasone)、ベタメタゾン(betamethasone)、コルチゾン(cortisone)、デキサメタゾン(dexamethasone)、フルオシノロン(fluocinolone)、フルニソライド(flunisolide)、フルチカゾンプロピオネイト(fluticasone proprionate)、 フッ素化コルチコイド(fluorinated−corticoids)、トリアムシノロン2酢酸塩(triamcinolone−diacetate)、ハイドロコーチゾン(hydorcortisone)、クロベタゾール(clobetasol)、 プレドニゾロン(prednisolone)、メチルプレドニゾロン(methylprednisolone)、プレドニゾン(prednisone)、フィナステリド(finasteride)、 アデノコルチコステロイド(adenocorticosteroids)、サイクロスポリン(cyclosporin)、ラパマイシン(rapamycin)、エベロリムス(everolimus)、スチニンマレエイト(sutinin maleate)、ゲフィチニブ(gefitinib)、及び エルロチニブ(erlotinib)である。別の好ましい態様では、前記第一ポリママトリックスは、支持体と組み合わせて身体通路に導入される。より好ましい態様では、前記支持体は、ステント
、バルーン、及び第二ポリママトリックスからなる群から選択される。さらに、より好ましい態様では、ステントは、管状構造、金属製自己展開式ステント、バルーン展開式金属製ステント、自己展開式ステント、及びステントグラフトからなる群から選択される。別の好ましい態様では、前記ステントは、ニッケル−チタニウム合金、クロメル、ステンレススチール、銅、金、プラチナ、銀、及びチタニウムからなる群から選択された金属を具える。さらに、好ましい態様では、前記第二ポリママトリックスは、アクリル酸、メタクリル酸、ポリフォスファゼン類、ポリカーボネイト、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸、グリコール酸、ポリヒドロキシ洛酸、ポリオルトエステロール類、ポリ酸無水物類、ポリシロキサン類、ポリカプロラクトン、ポリサッカライド類、及び、ポリプロテイン類の部分エステル化ポリマ、並びに、アクリル酸、メタクリル酸、ポリフォスファゼン類、ポリカーボネイト、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸、グリコール酸、ポリヒドロキシ洛酸、ポリオルトエステロール類、ポリ酸無水物類、ポリシロキサン類、ポリカプロラクトン、ポリサッカライド類、ポリプロテイン類の完全エステル化ポリマ、及びそれらの共重合体、からなる群から選択される組成物を含む。最も好ましい態様では、前記閉塞は、腫瘍、血管平滑筋、内皮細胞、細胞外マトリックス、血小板凝集、血栓、フィブリンマトリックス、上皮組織、及び、神経組織からなる群から選択される。
【0031】
本発明は、本明細書で開示されている組成物の使用を提供するものであって、前記組成物が、支持体、第一ポリママトリックス、及び身体通路における閉塞の医療用装具の製造に用いる薬物を含む。
【0032】
本発明は、本明細書に開示されているドラッグデリバリシステムを提供するものであって、前記ドラッグデリバリシステムは、身体通路の閉塞の治療又は予防に用いられ、前記、支持体、第一ポリママトリックス、及び薬物を含む。
【0033】
本発明は、また、身体通路に関連する血管性又は非血管性疾病の閉塞の治療又は前記疾病の予防の方法を提供するものであって、前記方法は、チロシンキナーゼ阻害剤、抗新生物剤類、抗増殖剤類、抗炎症剤類、細胞保護剤、抗生物質類、化学療法剤類、抗ウイルス剤類、標的化合物類、副腎皮質ステロイド類、サイトカイン類、免疫毒素類、抗腫瘍性抗体類、抗血管新生剤、抗浮腫剤、放射線増感剤、及びそれらの組み合わせ、を含む薬剤群からの治療剤をインプラントした装具からポリママトリックスを通して、身体通路へ送達することを含む。
【0034】
1つの態様では、前記方法は、サリドマイド、そのアナログ、その誘導体、ネオマイシン、そのアナログ、その誘導体、パクリタキセル、そのアナログ、その誘導体、及び、それらの組み合わせを含む組成物を身体通路へ送達することを含む。
【0035】
別の態様では、1つの態様では、前記方法は、サリドマイド、そのアナログ、その誘導体、ネオマイシン、そのアナログ、その誘導体、パクリタキセル、そのアナログ、その誘導体、及び、それらの組み合わせかを含む組成物を局所にインプラントされた医療用装具を介して身体通路へ送達することを含む。
【0036】
さらに別の態様では、サリドマイド、そのアナログ、その誘導体、ナオマイシン、そのアナログ、その誘導体、パクリタキセル、そのアナログ、その誘導体、又は、それらの組み合わせが、前記インプラントされた医療用装具にポリマ被覆されているか、又は結合している。
【0037】
さらなる態様では、前記ポリマは、アクリル酸、メタクリル酸、ポリフォスファゼン類、ポリカーボネイト、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸、グリコール酸、ポリヒドロキシ酢酸、ポリオルトエステロール類、ポリ酸無水物類、ポリシロキサン類、ポリカプロラクトン、ポリサッカライド類、及び、ポリプロテイン類の、部分又は完全エステル化ポリマ又はこれらのポリマのモノマから調製された共重合体、からなる群から選択された疎水性ポリマである。
【0038】
別の態様では、前記疎水性ポリマは、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、及びポリエチレングリコールからなる群から選択される親水性ポリマのモノマと共に共重合体の形で提供される。
【0039】
好ましい態様では、ポリマは、オレフィンポリマ、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルクロライド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニルアセテート、ポリスチレン、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリウレタン、ポリ尿素、シリコンゴム、ポリアミド、ポリカーボネイト、ポリアルデヒド、天然ゴム、ポリエチル−エステル共重合体、スチレンブタジエン共重合体、及びそれらの組み合わせである。
【0040】
別の好ましい態様では、ポリマは、乳酸とグリコール酸の共重合体、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(乳酸)、ポリ(エチレン−酢酸ビニル)、ゼラチン、ヒアルロン酸、キトサン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、又はそれらの組合わせである。
【0041】
別の態様では、ポリマは、ポリエチレングリコールをベースとしたエーテル無水物共重合体(例えば、ポリエチレングリコール−セバシン酸など)のファミリーである。
【0042】
代替えの態様では、ポリマは、ポリ(カルボキシフェノキシアルカン−コ−アルカノイックアシッド)共重合体などの、表面が浸食されるポリ酸無水物の群である。この共重合体は、例えば、(例えば、1,6−ビス−(カルボキシフェニル)ヘキサン−コセバシン酸、ポリ[1,3−ビス(カルボキシフェノキシ)プロパン−コセバシン酸]又はこれらの誘導体又はこれらの組み合わせ)を挙げることができる。
【0043】
別の代替えの態様では、ポリマは、ポリ(ヒドロキシ酸)、ポリ酸無水物、ポリオルトエステロール、ポリホスファゼン、ポリホスフェイト、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシブチレイト、ポリエステル、ポリアミド、ポリサッカライド、及び、ポリプロテイン、である。
【0044】
別の態様では、前記サリドマイド、そのアナログ、その誘導体、ネオマイシン、そのアナログ、その誘導体、パクリタキセル、そのアナログ、その誘導体、又はそれらの組み合わせは、さらに他の治療剤を含む;他の治療剤の例としては、ドセタキセル(docetaxel)、エトポシド(etoposide)、トロンテカン(trontecan)、パクリタキセル(paclitaxel)、テニポサイド(teniposide)、トポテカン(topotecan)、ビンブラスチン(vinblastine)、ビンクリスチン(vincristine)、ビンデシン(vindesine)、ブスルファン(busulfan)、イムプロスフラン(improsulfan)、ピポスルファン(piposulfan)、アジリジン(aziridines)、ベンゾデパ(benzodepa)、カルボコン(carboquone)、メツレデパ(meturedepa)、ウレデパ(uredepa)、アルトレタミン、トリエチレンメラミン(triethylenemelamine)、トリエチレンホスホルアミド(triethylenephosphoramide)、トリエチレンチオホスホルアミド(triethylenethiophosphoramide)、クロラムブシル(chlorambucil)、chloraphazine、シクロフォスファミド、エストラムスチン、イフォスファミド、メクロルエタミン(mechlorethamine)、メクロレタミンオキシド塩酸塩(mechlorethamine oxide hydrochloride)、メルファラン(melphalan)、ノブエンビキン(novembichin)、ペルホスファミド(perfosfamide)、フェネステリン(phenesterine)、プレドニムスチン(prednimustine)、トロホスファミド(trofosfamide)、ウラシルマスタード(uracil mustard)、カルムスチン、クロロゾトシン(chlorozotocin)、ホテムスチン(fotemustine)、ロムスチン、ニムスチン(nimustine)、ラニムスチン(ranimustine)、ダカルバジン、マンノムスチン(mannomustine)、ミトブロニトール(mitobronitol)、ミトラクトール(mitolactol)、ピポブロマン(pipobroman)、テモゾロミド(temozolomide)、アクラシノマイシンsa アクチノマイシン アントラマイシン(aclacinomycinsa actinomycin anthramycin)、アザセリン(azaserine)、ブレオマイシンs(bleomycins)、カクチノマイシン(cactinomycin)、カルビシン(carubicin)、カルジノフィリン(carzinophilin)、クロモマイシンs(chromomycins)、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン(6−diazo−5−oxo−L−norleucine)、ドキソルビシン、エピルビシン(epirubicin)、イダルビシン、メノガリル(menogaril)、マイトマイシン(mitomycins)、ミコフェノール酸(mycophenolic acid)、ノガラマイシン(nogalamycin)、オリボマイシン(olivomycins)、ペプロマイシン(peplomycin)、ピラルビシン(pirarubicin)、プリカマイシン、ポルフィロマイシン(porfiromycin)、プロマイシン(puromycin)、ストレプトニグリン(streptonigrin)、ストレプトゾシン、ツベルシジン(tubercidin)、ジノスタチン(zinostatin)、ゾルビシン(zorubicin)、デノプテリン(denopterin)、エダトレキサート(edatrexate)、メトトレキサート、ピリトレキシム(piritrexim)、プテロプテリン(pteropterin)、トムデックス(TOMUDEX)、トリメトレキセート、クラドリビン、フルダラビン(fludarabine)、6−メルカプトプリン、チアミプリン(thiamiprine)、チオグアニン、アンシタビン(ancitabine)、アザシチジン(azacitidine)、6−アザウリジン(6−azauridine)、カルモフール(carmofur)、シタラビン、ドキシフルリジン(doxifluridine)、エミテフル(emitefur)、enocitabune、フロクスリジン、フルオロウラシル、ゲムシタビン(gemcitabine)、テガフール(tegafur)、L−アスパラギナーゼ、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、インターロイキン−2、レンチナン(lentinan)、プロパゲルマニウム(propagermanium)、PSK、ロキニメクス(roquinimex)、sizofican、ウベニメックス(ubenimex)、カルボプラチン、シスプラチン(cisplatin)、miboplatin、オキサリプラチン(oxaliplatin)、aceglarone、アムサクリン(amsacrine)、ビサントレン、デホスファミド(defosfamide)、デメコルシン(demecolcine)、ジアジクオン(diaziquone)、eflomithine、エリプチニウムアセタート(elliptinium acetate)、エトグルシド(etoglucid)、フェンレチニド(fenretinide)、硝酸ガリウム、ヒドロキシウレア、ロニダミン(lonidamine)、ミルテホシン(miltefosine)、ミトグアゾン(mitoguazone)、マイトキサントロン、モピダモール(mopidamoi)、nitracine、pentostain、フェナメット(phenamet)、ポドフィリン酸2−エチル−ヒドラジド(podophyllinic acid 2−ethyl−hydrazide)、procabazine、ラゾキサン(razoxane)、ソブゾキサン(sobuzoxane)、スピロゲルマニウム(spirogermanium)、tenuzonic acid、トリアジクオン(triaziquone)、2,2’,2”トリクロロトリエチルアミン(2,2’,2”trichlorotriethylamine)、ウレタン(urethan)、カルステロン(calusterone)、ドロモスタノロン(dromostanolone)、エピチオスタノール(epitiostanol)、メピチオスタン(mepitiostane)、testolacone、アミノグルテチミド(aminoglutethimide)、ミトタン(mitotane)、トリロスタン(trilostane)、ビカルタミド(bicalutamide)、フルタミド(flυtamide)、ニルタミド(nilutamide)、ドロロキシフェン(droloxifene)、タモキシフェン、トレミフェン(toremifene)、アミノグルテチミド(aminoglutethimide)、アナストロゾール(anastrozole)、ファドロゾール(fadrozole)、ホルメスタン(formestane)、レトロゾール(letrozole)、ホスフェストロール(fosfestrol)、ヘキセストロール(hexestrol)、燐酸ポリエストラジオール(polyestradiol phosphate)、ブセレリン(buserelin)、ゴセレリン、ロイプロリド、トリプトレリン(triptorelin)、酢酸クロルマジノン(chlormadinone acetate)、メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、メレンゲストロール(melengestrol)、ポルフィメールナトリウム(porfimer sodium)、バチマスタ(batimastar)、ホリン酸(folinic acid)、
非ステロイド剤(NSAIDS)サリチル酸塩類など(例えば、サルサレイト(salsalate)、メサルラミン(mesalamine)、ジフルニサル(diflunisal)、トリサリチル酸コリンマグネシウム(choline magnesium trisalicylate)、ジクロフェナック(diclofenac)、 ジフルニサル(diflunisal)、 エトドラック(etodolac)、フェノプロフェン(fenoprofen)、 フルルビプロフェン(flurbiprofen)、イブプロフェン(ibuprofen)、インドメタシン(indomethacin)、メフェナム酸(mefenamic acid)、ナブメトン(nabumetone)、ナプロキセン(naproxen)、ピロキシカム(piroxicam)、フェニルブタゾン(phenylbutazone)、ケトプロフェン(ketoprofen)、S−ケトプロフェン(S−ketoprofen)、ケトロラックトロメタン(ketorolac tromethamine)、スリンダク(sulindac)、トルメチン(tolmetin)、他の抗炎症性ステロイド剤、例えば、ベクロメタゾン(beclomethasone)、ベタメタゾン(betamethasone)、コルチゾン(cortisone)、デキサメタゾン(dexamethasone)、フルオシノロン(fluocinolone)、フルニソライド(flunisolide)、フルチカゾンプロピオネイト(fluticasone proprionate)、 フッ素化コルチコイド(fluorinated−corticoids)、トリアムシノロン2酢酸塩(triamcinolone−diacetate)、ハイドロコーチゾン(hydorcortisone)、クロベタゾール(clobetasol)、 プレドニゾロン(prednisolone)、メチルプレドニゾロン(methylprednisolone)、プレドニゾン(prednisone)、フィナステリド(finasteride)、 アデノコルチコステロイド(adenocorticosteroids)、サイクロスポリン(cyclosporin)、ラパマイシン(rapamycin)、エベロリムス(everolimus)、スチニンマレエイト(sutinin maleate)、ゲフィチニブ(gefitinib)、及びエルロチニブ(erlotinib)又はアナログ、又はそれらの誘導体などをあげることができる。これらの治療剤は、サリドマイド、又はネオマイシン、又はクロベタゾール、又は、クルクミンが存在しなくても用いることができる。
【0045】
別の態様では、前記サリドマイド、そのアナログ、その誘導体、ナオマイシン、そのアナログ、その誘導体、パクリタキセル、そのアナログ、その誘導体、又は、それらの組み合わせは、他のキャリア(例えば、細胞、プロテイン、生物学的材料など)をさらに含む。
【0046】
別の態様では、前記サリドマイド、そのアナログ、その誘導体、ネオマイシン、そのアナログ、その誘導体、パクリタキセル、そのアナログ、その誘導体、又はそれらの組み合わせは、、生体内分解性、又は、生体内吸収性、又は生分解性のステント 又は通路に適合している管状構造、金属製自己展開式のステント、バルーン展開式金属製ステント、高分子鞘のついた自己展開式ステント、及び、ステントグラフト、又は、ポリマチューブ、又はステントグラフトなどの医療用にインプラントされた装具を介して身体通路に局所的に送達される。
【0047】
別の代替の態様では、身体通路は、冠状動脈、頸動脈、大動脈、肺動脈、動脈、静脈、毛細血管、気管、気管支、気管支梢、食道、胆管、輸卵管、尿道、結腸、膀胱、膵臓通路、鼻腔、雄性生殖管、雌性生殖管、小腸、及び大腸である。
【0048】
別の態様では、血管性又は非血管性疾病は、狭窄症、再狭窄、動脈硬化症、炎症、血管新生、局所組織の分裂、癌、細菌感染、及びそれらの組み合わせである。
【0049】
本発明は、生分解性ポリマを含む組成物の提供において、前記生分解性ポリマが、ポリ(ヒドロキシ酸類)、ポリ酸無水物類、ポリオルトエステロール類、ポリホスファゼン類、ポリホスフェイト類、ポリカプロラクトン、ポリシドロキシブチレイト類、ポリエステル類、ポリアミド類、ポリサッカライド類、及びポリプロテイン類からなる群から選択されるいずれかのポリマの混合物である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
本発明を説明する前に、以下に用いる一定の用語の定義を示すことは、発明の理解の助けとなり得る。
【0051】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で用いられている、「1の」、「一の」、「その」、「前記」、「当該」、「該」は、他に明確にその内容を記載しない限り、複数を含む意味である。例えば、「ポリマ」に言及するときは、このポリマの複数をも含み、「薬物」への言及では、1以上の薬物、及びそれと等価のもの、及びその他を意味する。
【0052】
本明細書で用いる「身体通路」は、内腔をもち体内で物質の流れを可能にしている通路、チューブ、管、道(tracts)、管状構造(canals)、洞(sinuses)、導管(conduits)のあらゆるものを意味する。身体通路の代表例として、動脈と静脈、涙管、気管、気管支、鼻道(洞を含む)、及び他の気道、耳(エウスターキオ)管、外耳道、口腔、食道、胃、十二指腸、小腸、大腸、胆管、尿管、膀胱、尿道、輸卵管、子宮、膣及び雌性生殖器のその他の通路、精管と雄性生殖器官のその他の通路、脳と脊髄の脳室系(脳脊髄液)など挙げることができる。
【0053】
本明細書で用いている「治療剤」は、所与の疾病又は症状に対して、緩和し、治療し、治癒し、又は予防し得るそれらの薬剤を意味する。治療剤の代表例としては、より詳細には以下で述べるが、例えば、抗血管形成剤、抗増殖剤、抗炎症剤、及び抗生物質などを挙げることができる。
【0054】
上述したように、本発明は、治療剤を含む組成物を身体通路に腔内に送達するステップを含む、身体通路に関連する疾病を治療又は予防する方法を提供するものであり、より好ましい態様では、治療剤とポリマキャリアを含む組成物が、耐久性又は生体分解性のチューブ又はステントグラフトによって送達される。
【0055】
手短に述べると、本発明は、血管系又は非血管系身体通路における疾病を治療又は予防する方法を提供するものであり、生体浸食性ステント、ステント、ステントグラフト、重合性チューブなどの医療用にインプラントした装具を介して治療剤を身体通路に送達するステップを含む方法である。関連した側面では、身体通路関連する疾病を治療又は予防する方法は、医療用移植装具を経て身体通路の腔内へ治療剤を局所的に送達するステップを含む治療化合物を疾病の存在する部位に局所的に送達することにより、全身性の望ましくない副作用を避けることができ、全投与量を減少させることができる。
【0056】
抗血管形成剤、抗増殖剤、抗炎症剤、抗生物質、及びそれらの組み合わせなどを含めて、様々な治療剤を本発明の範囲内で用いることができる。
【0057】
本発明のある態様では、治療剤は、さらに、(重合性の、又は、非重合性の)キャリアを含むことができる、例えば、ポリ(エチレン−ビニル酢酸)(架橋度が、約10%、20%、30、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%)、乳酸とグリコール酸の共重合体、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(乳酸)、ポリ(乳酸)とポリ(カプロラクトン)の共重合体、ゼラチン、ヒアルロン酸、コラーゲンマトリックス、シリコン、及びアルブミンである。
【0058】
本治療剤は、例えば、血管の疾病、新生物性の閉塞、炎症性疾患、及び感染症を含めて、幅広い疾病を治療又は予防するために用いられる。治療の代表的な身体通路として、例えば、動脈、食道、胃、十二指腸、小腸、大腸、胆管、尿管、膀胱、尿道、涙管、気管、気管支、細気管支、鼻気道、耳管、外耳道、子宮、輸卵管などを挙げることができる。
【0059】
本発明の具体的な好ましい1態様では、治療剤は、耐久性のある、又は生体浸食性のステント、ポリマチューブ、又はステントグラフトなどの医療用インプラント装具を介して身体通路へ腔内送達される。
【0060】
本発明のこれらの及び他の形態は、以下の詳細な説明及び添付図面を参照することにより明らかになるであろう。さらに、様々な参考文献が以下に示してあるが、それらには、より詳細な方法、装具、組成物が詳細に記載されており、これらは参照により全内容が取り込まれている。
【0061】
以下に詳細に述べているように、身体通路に関連する疾病の治療又は予防のために様々な治療剤を、キャリア(例えば、ポリマ性)を伴って又は伴わのに、身体通路に送達することができる。このような形態の各々を以下により詳細に述べる。
【0062】
治療剤
上述したように、本発明は、様々な治療剤を用いた方法と組成物を提供している。本発明の1つの形態では、治療剤が、抗血管新生因子である。手短に言えば、本発明の範囲内では、抗血管新生因子は、血管の成長を阻害するあらゆるタンパク質、ペプチド、化学物質又は他の分子を含むと理解すべきである。例えば、ヒヨコ絨毛尿膜(「CAM」)試験を含めて、様々な方法を所与の因子の抗血管新生活性測定に容易に用いることができる。
【0063】
上記のCAM試験に加えて、例えば、この目的のために開発されたマウスモデルを挙げることができる(Robertson等、1991、Cancer Res.51:1339−1344)、様々な他の試験を抗血管新生因子の評価を測定するために用いることができる。
【0064】
様々な抗血管新生因子を、本発明との関連で容易に用いることができる。代表的な例には、抗浸潤因子、レチノイン酸とその誘導体、スラミン、メタロプロテインナーゼ−1組織阻害剤、メタロプロテインナーゼ−2組織阻害剤、プラスミノーゲン活性化阻害剤−2、マイクロチュブル機能を混乱させる化合物類、及び軽質d族の遷移金属の様々な形態が含まれる。これらの及び他の抗血管新生因子は、より詳細に以下で説明する。
【0065】
手短に言えば、抗浸潤因子、又は、軟骨の抽出物から調製された「AIF」は、新生血管の成長を阻害する役割をもつ成分を含んでいる。これらの成分は、7つの低分子量蛋白質(5万Da以下;50kDa)(Kuettner及びPauli、「Inhibition of neovascularization by a cartilage factor」 Development of the Vascular System、 Pitman Books(CIBA Foundation Symposium 100)、pp.163−173、1983)のファミリを含み、様々なプロテアーゼに対して阻害作用をもつ様々な蛋白質を含んでいる(Eisentein等、Am.J.Pathol.81:337−346、1975; Langer等、Science193:70−72、1976;and Horton等、Science 199:1342−1345、1978)。本発明の範囲内で適切に用いるAIFは、公知の技術により容易に調製することができる(例えば、Eisentein等、同上; Kuettner及びPauli、同上;及びLanger等、同上)。軟骨由来阻害剤(CDI)等のAIFの精製成分 (Moses等、Science 248:1408−1410、1990)は、本発明との関連で、容易に調製し用いることができる。
【0066】
レチノイン酸は、細胞外構成要素の代謝に影響して、血管新生の阻害をもたらす。プロリンアナログ、血管新生抑制作用のあるステロイド、又はヘパリンは、トランスレチノイン酸の抗血管新生効果を相乗的に増大させるために用いることができる。レチノイン酸及び本発明で用いたその誘導体は、例えば、シグマ化学(Sigma Chemical Co.(Simga−Aldrich、St.Louis、MO;Cat.No.R2625)などの商業的な入手先から容易に得ることができる。
【0067】
スラミンは、殺トリパノゾーマ剤として、通常用いられているポリスルホン化されたナフチル尿素化合物である。手短に言えば、血小板由来成長因子(PDGF)、上皮細胞成長因子(EGF)、形質転換増殖因子β(TGF−β)、インシュリン様成長因子(IGF-1)、及びβ線維芽細胞成長因子(βFGF)などの様々な成長因子の特異的な細胞表面結合を阻害する。スラミンは、公知の技術により調製することができ、様々な商業的な入手先(例えば、Mobay Chemical Co.、New York、(参照:Gagliardi等、Cancer Res.52:5073−5075、1992; and Coffey、Jr.、等、J.Cell Physiol.132:143−148、1987))から容易に得ることができる。
【0068】
組織メタロプロテアーゼ阻害物質(TIMP−1)は、MMPアーゼを分泌する内皮細胞により同様に分泌される。TIMP−1は、グリコシル化されており、分子量28.7kDaである。TIMP−1は、活性化したメタロプロテイナーゼに結合することにより、血管新生を調節し、それにより細胞外マトリックスへの血管の浸潤を抑制している。組織メタロプロテイナーゼ2(TIMP−2)の阻害は、血管新生を阻害するために用いられる。手短に言えば、TIMP−2は、活性型及び潜在型であるプロ酵素型ともに、メタロプロテイナーゼに結合する21kDaのグリコシルされていないプロテインである。TIMP−1とTIMP−2の両者は、シネルゲン社(Synergen、Boulder、Colo.)などの商業的な入手先から得ることができる。
【0069】
プラスミノーゲン活性化阻害物質(PAI−1)は、血小板中に存在する50kDaのグリコプロテインであり、内皮細胞及び筋肉細胞により合成される。PAI−1は、組織プラスミノーゲ活性化因子(tPA)とウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子(uPA)を内皮細胞の基底外側部で阻害し、追加的に、線維素溶解過程を調節する。プラスミノーゲン活性化阻害因子−2(PAI−2)は、一般には妊娠及び腫瘍の存在などの特定の環境下でのみ血中に見いだされる。手短に言えば、PAI−2は、単核球及びマクロファージにより分泌される56kDaのタンパク質である。線維素溶解活性を調節し、特にウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子と組織プラスミノーゲン活性化因子を阻害し、それにより線維素溶解を防止すると考えられる。
【0070】
本発明の治療剤は、マイクロチュブル機能を混乱させる化合物も含んでいる。このような化合物の代表的な例には、エストラムスチン(シグマ−アルドリッチ社、Sigma−Aldrich、St.Louis MO;Wang及びStearns Cancer Res.48:6262−6271、1988)、エポチロン、クラシン−A、コルヒシン(colchicine)、メソトレキセート、及びパクリタキセル、ビンブラスチン、ビンクリスチン、D20、及び、4−tert−ブチル−[3−(2−クロロエチル)ウレイド]ベンゼン(t−BCEU)が含まれる。
【0071】
本発明の1つの好ましい態様は、治療剤が、サリドマイドであり、この化合物は、血管新生を阻害する。サリドマイドの薬学的組成物には、サリドマイドの前駆体、代謝物、誘導体、及び/又はアナログを含む。
【0072】
本発明の1つの好ましい態様では、治療剤は、ネオマイシンであり、これは、血管新生を阻害し、かつ、抗菌性をもつ化合物である。ネオマイシンアナログが、(a)ネオマイシンA、ネオマイシンB、又はネオマイシンC;(b)ネオマイシンA、ネオマイシンB、又はネオマイシンCを含む複合体;(c)ネオマイシンA、ネオマイシンB、又はネオマイシンCの構造と実質的に同類の構造をもつアミノグリコシド;(d)ネオマイシンA、ネオマイシンB、又はネオマイシンCの化学的又は生物学的な分解産物;(e)ネオマイシンA、ネオマイシンB、又はネオマイシンCの誘導体;(f)自然に生じるネオマイシンA、ネオマイシンB、又はネオマイシンCの前駆体、であるネオマイシンの薬学的組成物。
【0073】
本発明の中で用いることのできる他の治療剤は、抗菌剤、抗微生物剤、抗ウイルス剤、及び、抗かび剤を含む広い範囲の様々な抗生物質を含む。このような薬剤の代表例には、アミノグリコシド(例えば、ストレプトマイシン、アミカシン、ゲンタマイシン、ネチルマイシン、トブラマイシン)のような全身(投与)性の抗生物質;第1、第2、および第3世代のセファロスポリン(例えば、セファロチン、セファゾリン、セファピリン、セファラジン、セファレキシン、セファドロキシル、セファクロル、セファマンドール、セフロキシム、セフロキシムアクセチル、セフォニシド、セフォラニド、セフォキシチン、セフォタキシム、セフォテタン、セフチゾキシム、セフォペラゾン、セフタジジム、セフトリアキソン、モキサラクタム、他の半合成セファロスポリン(例えば、セフィキシムおよびセフポドキシムプロキセチル);ペニシリン(例えば、ペニシリンG(ベンザチンおよびプロカイン塩)、クロキサシリン、ジクロキサシリン、メチシリン、ナフシリン、オキサシリン、ペニシリンV、アンピシリン、アモキシシリン、バカンピシリン、サイクラシリン、カルベニシリン、チカルシリン、メズロシリン、ピペラシリン、アズロシリン、アムジノシリン、およびクラブラン酸と組み合わせたペニシリン);キノロン(例えば、シノキサシン、シプロフロキサシン、ナリジクス酸、ノルフロキサシン、ピペミジン酸、ペルロキサシン、フレロキサシン、エノキサシン、オフロキサシン、トスフロキサシン、ロメフルオキサシン、キノロンの立体異性体);スルホンアミド(例えば、スルファシチン、スルファメチゾール、スルファメトキサゾール、スルフイソキサゾール、スルファサラジン、およびトリメトプリムにスルファメトキサゾールと組合わせ);テトラサイクリン(例えば、ドキシサイクリン、デメクロサイクリン、メタサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、テトラサイクリン);マクロライド(例えば、エリスロマイシン、他の半合成マクロライド(例えば、アジスロマイシンおよびクラリスロマイシン);モノバクタム(新規の合成クラス)(例えば、アズトレオナム、ロラカルベフ);ならびに多岐にわたる薬剤(例えば、アクチノマイシンD、ドキソルビシン、マイトマイシンC、ノボビオシン、プリカマイシン、リファムピン、ブレオマイシン、クロラムフェニコール、クリンダマイシン、オレアンドマイシン、カナマイシン、リンコマイシン、ネオマイシン、パロモマイシン、スペクチノマイシン、トロレアンドマイシン、アンホテリシンB、コリスチン、ナイスタチン、ポリミキシンB、グリセオフルビン、アズトレオナム、シクロセリン、クリンダマイシン、コリスチメサート、イミペネム−シラスタチン、メセナミン、メトロニダゾール、ニトロフラントイン、リファブタン、スペクチノマイシン、トリメソプリム、バシトラシン、バンコマイシン、他のβ−ラクタム抗生物質)が含まれる。
【0074】
本発明の中で使用できる更なる治療剤には、例えば、バシトラシン、亜鉛、ムピロシン、クリニダマイシン等の局所用抗生物質;セクロピオニン、マンガイニン等の抗病原体ポリペプチド;およびスルファジメトキシン、スルフィソキサゾール、スルフィソミジン、塩酸エタンブトール、イソニアジド、パラアミノサリチル酸カルシウム等の抗結核剤を挙げることができる。
【0075】
本発明で使用することができる他の治療剤としては、例えば、ヨウ素、プロビドンヨウ素、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、オキシデール、過マンガン酸カリウム、エタノール、イソプロパノール、ホルマリン、クレゾール、ジマゾール、シッカニン、フェニルヨードウンデシノエート、ヘキサクロロフェン、レゾルシン、塩化ベンゼトニン、ラウリル硫酸ナトリウム、塩化水銀、マーキュロクロム、スルファジアジン銀、ならびに他の無機および有機銀塩ならびに亜鉛塩、1価および2価カチオンの塩、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸アルキルポリアミノエチルグリシン、塩化ベンザルコニウム、ニトロフラゾン、ナイスタチン、アセスルファミン、クロトリマゾール、スルファメチオゾール、スルファセタミド、ジオラミン、トルナフテート、ピロールニトリン、ウンデシレン酸、ミクロアゾール、バリオチン、ハロプロギン、及び、ジマゾール、(メクロサイクリン、トリコマイシン、及びペンタマイシン)、ペニシリンのような抗生物質を挙げることができる。抗真菌剤としては、フルシトシン、フルコナゾール、グリセオフルビン、ケトコナゾール、及び、ミコナゾールが挙をあげることができる。抗ウイルス剤及び抗AIDS剤としては、アシクロビル、アマンタジン、ジダノシン(以前はddI)、グリセオフルビン、フルシトシン、フォスカメット、ガンシクロビル、イドクスウリジン、ミコナゾール、クロトリマゾール、ピリメタミン、リバビリン、リマンタジン、スタブジン(以前はd4T)、トリフルリジン、トリスルファピリミジン、バラシクロビル、ビダラビン、ザルシタビン(以前はddC)、及びジドブジン(以前はAZT)を挙げることができる。AIDSに対する補助的療法剤(例えば、エリスロポエチン;フルコナゾール(抗真菌);インターフェロンα−2a及び−2b(カポシ肉腫);アトバキュオン、ペンタミジン、及びトリメトレキセート(抗原生動物);酢酸メゲストラオール(食欲増強剤);リファブチン(抗マイコバクテリア)を挙げることができる。抗原生動物剤の代表的な例として、ペンタミジンイセチオネート、キニン、クロロキン、およびメフロキンを挙げることができる。
【0076】
本発明の中で使用することができる他の治療剤としては、抗増殖剤、抗新生物剤、または化学療法剤を挙げることができる。このような薬剤の代表的な例として、アンドロゲン阻害剤、抗エストロゲン、及び、ホルモン類(例えば、フルタミド、ロイプロリド、タモキシフェン、エストラジオール、エストラムスチン、メゲストロール、ジエチルスチベステロール、テストラクトン、ゴセレリン、メドロキシプロゲステロン等);細胞毒性剤(例えば、アルトレタミン、ブレオマイシン、ブスルファン、カーボプラチン、カルムスチン(BiCNU)、シスプラチン、クラドリビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エストラムスチン、エトポサイド、ロムスチン、サイクロホスファミド、シタラビン、ハイドロキシウレア、イダルビシン、インターフェロンα−2a及び−2b、イホスファミド、マイトキサントロン、マイトマイシン、パクリタキセル、ストレプトゾシン、テニポシド、チオテパ、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン等);代謝拮抗剤及び抗有糸分裂剤(例えば、フロックウリジン、5−フルオロウラシル、フルアラビン、インターフェロンα−2aおよび−2b、ロイコボリン、メルカプトプリン、メソトレキセート、マイトタン、プリカマイシン、チオグアニン、コルヒシン、アントラサイクリン及び他の抗生物質、葉酸拮抗剤および他の代謝拮抗剤、ビンカアルカロイド、ニトロソウレア、DNAアルキル化剤、プリン拮抗剤およびそのアナログ、ピリミジン拮抗剤及びそのアナログ、アルキルスルホネート等);酵素類(例えば、アスパラギナーゼ、ペグアスパルガーゼ等); 放射性薬剤(例えば、Cu−64、Ga−67、Ga−68、Zr−89、Ru−97、Tc−99m、Rh−105、Pd−109、In−111、I−123、I−125、I−131、Re−186、Re−188、Au−198、Au−199、Pb−203、At−211、Pb−212、及び、Bi−212等);毒素類(例えば、リシン、アブリン、ジフテリア毒素、コレラ毒素、ゲロニン、ヨウシュヤマゴボウ−抗ウイルスプロテイン、トリチン、赤痢菌毒素およびシュドモナス外毒素A等);治療補助剤[例えば、グラニセトロン及びオダンセトロン(抗悪心剤、抗嘔吐剤)]、デキスラゾキサン(心筋症)、硝酸ガリウム(高カルシウム血症)、GCSF及びGMSCF(化学療法およびBMT)、IL−1α、IL−2、IL−3、IL−4、レバミゾール、ピロカルピン(放射線治療設定における唾液生成)、ストロンチウム89(骨腫瘍)等]を挙げることができる。
【0077】
本発明で利用することができるさらなる治療剤としては、心血管系薬剤;抗高圧剤;アドレナリン遮断剤および刺激剤(例えば、ドキサゾシン、グアナドレル、グアネチジン、フェオキシベンザミン、プラゾシンとポリチアザイドの組み合わせ、テラゾシン、メチルドーパ、クロニジン、グアナベンズ、グアンファシン);α−/β−アドレナリン遮断剤(例えば、ラベタロール);アンギオテンシン転換酵素(ACE)阻害剤(例えば、ベナゼプリル、カトプリル、エナラプリル、エナラプリラト、フォシノプリル、リシノプリル、モエキシプリル、キナプリル、ラミプリル、及びカルシウムチャンネルブロッカーや利尿剤との組み合せ);ACE受容体拮抗剤(例えば、ロサルタン);βブロッカー(例えば、アセブトロール、アテノロール、ベタキソロール、ビソプロロール、カルテオロール、エスモロール、フィモロール、ピンドロール、プロプラノロール、ペンバトロール、メトプロロール、ナドロール、ソタロール);カルシウムチャンネルブロッカー(例えば、アミロライド、アムロジピン、ベプリジル、ジルチアゼム、イスラジピン、ニフェジピン、ベラパミル、フェロジピン、ニカルジピン、ニモジピン);抗不整脈剤、グループI〜IV(例えば、ブレチリウム、ジソピラミド、エンカイニド、フレカイニド、リドカイン、メキシレチン、モリシジン、プロパフェノン、プロカインアミド、キニジン、トカイニド、エスモロール、プロプラノーロール、アセブトロール、アミオダロン、ソタロール、ベラパミル、ジルチアゼム、ピンドロール、塩酸ブプラノロール、トリクロルメチアザイド、フロセミド、塩酸プラゾジン、酒石酸メトプロロール、塩酸カルテオロール、塩酸オクスプレノロール、及び、塩酸プロプラノロール);及び、多岐にわたる抗不整脈剤及び強心剤(例えば、アデノシン、ジゴキシン;メチルジゴキシン、カフェイン、塩酸ドーパミン、塩酸ドブタミン、塩酸オクトパミン、ジプロフィリン、ユビデカレノン、ジギタリス)などを挙げることができる。
【0078】
本発明で用いることのできる他の治療剤として、利尿剤(例えば、アセタゾルアミド、アミロリド、トリアムテレンにヒドロクロロチアジドの併用、スピロノラクトンにヒドロクロロチアジドの併用、トルラミド、フロセミド、エタクリン酸塩、ブメタニド、トリアムテレン、メチルクロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、メトダゾン(metdazone)、クロルタリドン、ヒドロフルメチアジド、メトラゾン、メチクロチアジド、ポリチアジド、キニタゾン、トリクロルメチアジド、ベンロフルメチアジド、ベンズチアジド);低血圧利尿剤(例えば、メフルシド、ペンフルチジド、ブメタミド、ヒドロチアジド、ベントロフルメチアジド、レセルピン);強心剤(例えば、ジゴキシン、ジギトキシン、ドブタミン、アムリノン、ミルリノン);血管拡張剤(例えば、パパベリン、イソソルビドモノ−およびジニトレート、ニトログリセリン、ジゾキシド、ヒドララジン、ミノキシジル、ニトロプルシド、プラゾシン、テラゾシン、1,2,3−プロパントリオールモノニトレート、1,2,3−プロパントリオールニトレートおよびそれらのエステル誘導体、ペンタエリスリトールテトラニトレート、ヘプロニケート、モルシドミン、ニコモール、シムフィブレート、塩酸ジルチアゼム、シンナリジン、ジピリダモール、トラピジル、塩酸トリメタジジン、カルボクロメン、乳酸プレニルアミン、ジラゼプジハイドロクロライド);昇圧剤(例えば、メタラミノール、イソプロテレノール、フェニレフリン、メタキサミン);抗凝固剤および血栓溶解剤(例えば、組織プラスミノーゲンアクチベーター(TPA)、ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、プロウロキナーゼ、ウロキナーゼ、ヘパリン、ワーファリン);カルモジュリン拮抗剤(例えば、H7);ナトリウム/カルシウム交換輸送体阻害剤(例えば、アミロライド);ならびにリアノジン受容体阻害剤(例えば、リアノジン);イノシトール−3−リン酸の阻害剤(例えば、ヘパリン)を挙げることができる。
【0079】
本発明で使用できる他の治療剤としては、抗炎症剤を含む。このような薬剤の代表例としては、非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDS)、その例としてサリチル酸塩(例えば、サルサレート、メサラミン、ジフルニサル、コリンマグネシウムトリサリチル酸塩)、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、フルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、メフェナム酸、ナブメトン、ナプロキセン、ピロキシカム、フェニルブタゾン、ケトプロフェン、S−ケトプロフェン、ケトロラク、トロメタミン、スリンダク、トルメチン)が挙げられる。他の抗炎症薬物として、例えば、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、コルチゾン、デキサメタゾン、フルオシノロン、フルニソリド、フルチカゾンプロピオン酸塩、フッ素化コルチコイド、トリアムシノロン−2酢酸塩、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、及び、プレドニゾン等のステロイド剤を挙げることができる。免疫抑制剤(例えば、アデノコルチコステロイド、シクロスポリン);及び、抗ヒスタミン剤、及び、充血除去剤(例えば、アステミゾール(ヒスタミンH1−受容体拮抗剤)、アザチジン、ブロムフェニラミン、クレマスチン、クロルフェニラミン、クロモリン、シプロヘプタジン、ジフェニルイミダゾール、塩酸ジフェンヒドラミン、ヒドロキシジン、グリチルレチン酸、塩酸ホモクロロサイクリジン、ケトチフェン、ロラタジン、ナファゾリン、フェニンダミン、フェニラミン、プロメタジン、テルフェナジン、トリメプラジン、トリペレナミン、トラニラスト、及び、充血除去剤フェニルプロパノールアミンおよびプソイドエフェドリン)。
【0080】
本発明で利用することができる治療剤として、中枢神経系薬剤をあげることができる。このような薬剤の代表的な例として、抗うつ剤(例えば、プロザック(Prozac)、パキシリン(Paxil)、ルボキサン(Luvox)、マンネックス(Mannex)、およびエフェクソール(Effexor);CNS刺激剤(例えば、ペモリン、メタンフェタミン、デキストロアンフェタミン);睡眠剤(例えば、ペントバルビタール、エスタゾラム、エトクロリノール、フルラゼパム、プロポフォール、セコバルビタール、テマゼパム、トリアゾラム、キアゼパム、酒石酸ゾルピデム);抗躁病剤(例えば、リチウム);鎮静剤及び抗痙攣性バルビツール剤(例えば、ペントバルビトール、フェノバルビタール、セコバルビタール、メフォバルビタール、ブタバルビタールプリミドン、アモバルビタール);非バルビツール鎮静剤(例えば、ジフェヒドラミン、ドキシルアミン、ミダゾラム、ジアゼパム、プロメタジン、ロラゼパム、テマゼパム);及び、他の多岐にわたる睡眠剤及び鎮静剤(例えば、メタカロン、グルテチミド、フルラゼパム、ブロモバレリル尿素、フルラゼパム、塩酸塩、ハロキサゾラム、トリアゾラム、フェノバルビタール、抱水クロラール、ニメタゼパム、エスタゾラム)を挙げることができる。
【0081】
本発明で利用することができる他の治療剤としては、これに限定されるものではないが、アルツハイマ治療剤であるタクリン(可逆性コリンエステラーゼ阻害剤);パーキンソン病治療剤(これに限定されるものではないが、例えば、アマンタジン、ブロモクリプチンメシレート、ビペリデン、ベンズトロピンメシレート、カルビドーパ−レボドーパ、ジフェニルヒドラミン、ヒヨスシアミン、レボドーパ、ペルゴリドメシレート、プロシクリジン、セレギリンHCl、トリヘキシフェニジルHCl);及び他の多岐にわたるCNS剤(例えば、フルフェナジン、フルタゾラム、フェノバルビタール、メチルフェノバルビタール、チオリダジン、ジアゼパム、ベンズブロマロン、塩酸クロカプラミン、クロチアゼパム、クロルプロマジン、ハロペリドール、炭酸リチウム)を挙げることできる。
【0082】
本発明で使用することができるさらなる治療剤としては、抗片頭痛剤(例えば、抗片頭痛剤(例えば、エルゴタミン、メチルセルジド、プロプラノロール、ジヒドロエルゴタミン、セルトロリン(Sertroline)、およびイミトレックス(Immitrex);後脳塞栓症剤(例えば、塩酸ニカルジピン、マレイン酸シネパジド、ペントキシフィリン、酒石酸イフェンプロジル);局所麻酔剤(例えば、リドカイン、ベンゾカイン、エチルアミノベンゾエート、塩酸プロカイン、ジブカイン、プロカイン);抗潰瘍/抗逆流剤(例えば、Losec(オメパラゾール)、アセグルタミドアルミニウム、塩酸セトラキセート、塩酸ピレンゼピン、シメチジン、ファモチジン、メトクロプラミド、ラニチジン、L−グルタミン、ゲファルネート、およびこれらの化合物の任意の立体異性体、ならびにこれらの化合物の薬学的に受容可能な塩(例えば、適切に選択された、単一でまたは1を超える化合物を組み合わせて使用される化合物));プロテアーゼインヒビター(例えば、セリンプロテアーゼ、メタロエンドプロテアーゼおよびアスパルチルプロテアーゼ(例えば、HIVプロテアーゼ、レニン、およびカセプシン)ならびにチオールプロテアーゼインヒビター(例えば、ベンジルオキシカルボニル−leu−ノルロイシナル(カルペプチン)およびアセチル−leu−leu−ノルロイシナル);ホスホジエステラーゼ インヒビター(例えば、イソブチルメチルキサンチン);フェノチアジン類;増殖因子受容体拮抗剤(例えば、血小板由来増殖因子(PDGF)、上皮増殖因子、インターロイキン、トランスフォーミング増殖因子αおよびβ、ならびに酸性または塩基性線維芽細胞増殖因子);アンチセンスオリゴヌクレオチド(例えば、DPGFまたは他の増殖因子をコードするmRNAの部分に相補的な配列);ならびにプロテインキナーゼ阻害剤(例えば、チロシンキナーゼ、プロテインキナーゼA、プロテインキナーゼC、プロテインキナーゼL、ミオシン軽鎖キナーゼ、Ca2+/カルモジュリンキナーゼII、カゼインキナーゼII、RNA活性化プロテインキナーゼ、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ、増殖関連キナーゼ、サイクリン依存プロテインキナーゼ、5’−AMP活性化プロテインキナーゼ)等の阻害剤)などを挙げることができる。
【0083】
本発明で利用することができる他の治療剤としては、抗組織損傷剤を挙げることができる。このような薬剤の代表的な例として、スーパーオキシドジスムターゼ;免疫調節剤(例えば、リンホカイン、モノカイン、インターフェロンα、β、τ−1b、α−n3、α−2b、α−2b);増殖調節因子(例えば、IL−2、腫瘍壊死因子、上皮細胞増殖因子、ソマトレム、フィブロネクチン、GM−CSF、CSF、血小板由来増殖因子、ソマトトロピン、rG−CSF、IGF−1)を挙げることができる。
【0084】
本発明で使用することができる他の治療剤としては、モノクローナルおよびポリクローナル抗体(例えば、以下に対して活性な抗体:毒(液)、毒素、腫瘍壊死因子、細菌);ホルモン(例えば、エストロゲン、プロゲスチン、テストステロン、ヒト成長ホルモン、エピネフリン、レバルテレノール、チロキシン、チログロブリン、オキシトシン、バソプレッシン、ACTH、ソマトロピン、チロトロピン、インシュリン、パラサイリン、カルシトニン);ビタミン(例えば、ビタミンA、B類複合体、ビタミンC、D、E、F、G、J、K、N、P、PP、T、Uならびにそれらの亜種);アミノ酸(例えば、アルギニン、ヒスチジン、プロリン、リジン、メチオニン、アラニン、フェニルアラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、スレオニン、トリプトファン、グリシン、イソロイシン、ロイシン、バリン);プロスタグランジン(例えば、E1、E2、F2α、I2);酵素(例えば、ペプシン、パンクレアチン、レニン、パパイン、トリプシン、パンクレリパーゼ、キモパパイン、ブロメライン、キモトリプシン、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、組織プラスミノーゲンアクチベーター、フィブリノリシン、デオキシリボヌクレアーゼ、スチライン、コラゲナーゼ、アスパラギナーゼ、ヘパリナーゼ);緩衝液と塩(例えば、NaCl、カチオン(Na+、K+、Ca++、Mg++、Zn++、NH4+)含有トリエタノールアミン、アニオン(リン酸、硫酸、塩化物、クエン酸、アスコルビン酸、酢酸、ホウ酸、炭酸イオン));防腐剤(例えば、塩化ベンザルアルコニウム、亜硫酸NaまたはK、チオ硫酸NaまたはK、パラベン);抗痛風剤(例えば、アロプリノール、コヒシン(cochicine)、プロベニシド、スルフィンピラゾン);抗うつ剤(例えば、アミトリプチリン、アモキサピン、デシプラミン、ドキセピン、イミプラミン、ノルトリプチリン、プロトリプチリン、トリミプラミン);避妊薬(例えば、ノエチンドロン及び(例えば、エチニルエストラジオールまたはメスタラノールとの)組み合わせ);及び、抗悪心剤/抗嘔吐剤(例えば、ジメンヒドリネート、ヒドロキシジン、メクリジン、メトクロプラミド、プロクロルペラジン、プロメタジン、スコポラミン、チエチルペラジン、トリエトベンザミド)を挙げることができる。
【0085】
本発明で同様に利用することができる他の治療剤としては、抗喘息剤、抗精神薬、気管支拡張薬、金化合物、血糖降下剤、抗高脂血症剤、麻酔薬、ワクチン、骨代謝に作用する薬剤、抗下痢止剤、排卵誘発剤、筋肉弛緩剤、食欲抑制剤、ホルモン(例えば、甲状腺ホルモン、エストロゲン、プロゲステロン、コルチゾンおよび/または成長ホルモン)、他の生物学的に活性な分子(例えば、インシュリン)、ならびにTH1サイトカイン(例えば、インターロイキン(IL)−2、IL−12、及びIL−15、インターフェロン−γ)、又は、TH2(例えば、インターロイキン−4および−10)サイトカインを挙げることができる。
【0086】
上記の治療剤は例示目的のために提供されているが、本発明はそれに限定されないと理解されるべきである。例えば、薬剤は上記に特に言及しているが、本発明は、このような薬剤のアナログ、誘導体、および複合体を含むと理解されるべきである。例えば、パクリタキセルは、パクリタキセルの一般的な化学的に利用可能な形態だけでなく、アナログ(例えば、上記のタキソテール)及びパクリタキセル複合体(例えば、パクリタキセル−PEG、パクリタキセル−デキストラン、またはパクリタキセル−キシロース)を指すと理解するべきである。さらに、当業者には明らかであるように、上記に示された薬剤は1つのクラスの文脈で言及され得るが、列挙された薬剤の多くは、実際には多様な生物学的活性を有する。さらに、1又はそれ以上の治療剤は、一度に(すなわち、組み合わせて)利用してもよいし、又は連続的に送達してもよい。
【0087】
ポリマ性キャリア
上述のように、本発明の治療剤組成物は、さらに、ポリマ性キャリアも含むことができる。種々のポリマ性キャリアを用いて、例えば、生分解性および非生分解性の組成物の両方を含む、上記の1つ以上の治療剤を含める。および/または送達することができる。生分解性組成物の代表的な例として、アルブミン、コラーゲン、ゼラチン、デンプン、セルロース(メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロール、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートサクシネート、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、カゼイン、デキストラン、多糖、フィブリノーゲン、ポリ(D,Lラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ヒドロキシ酪酸)、ポリ(アルキル炭酸エステル)、およびポリ(オルトエステル)、ポリエステル、ポリ(ヒドロキシ吉草酸)、ポリジオキサノン、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(リンゴ酸)、ポリ(タルトロン酸)、ポリ酸無水物、ポリホスファゼン、ポリ(アミノ酸およびそれらの共重合体)を挙げることができる(一般的に、Illum、L.Davids、S.S.(編)「制御薬物送達におけるポリマ」Wright、Bristol、 1987;Arshady、 J.Controlled Release 17:1−22、 1991;Pitt、Int.J.Phar.59:173−196、 1990;Hollandら、 J.Controlled Release 4:155−0180、 1986を参照されたい)。非生分解性ポリマの代表的な例として、EVA共重合体、シリコーンゴム、アクリル性ポリマ(ポリアクリル酸、ポリメチルアクリル酸、ポリメチルメタクリレート、ポリアルキルシノアクリレート)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド(ナイロン6,6)、ポリウラタン、ポリ(エステルウラタン)、ポリ(エーテルウラタン)、ポリ(エステル−ウレア)、ポリエーテル(ポリ(エチレン酸化物)、ポリ(プロピレン酸化物)、プルロニック、ポリ(テトラメチレングリコール))、シリコーンゴム、及びビニルポリマ[ポリビニルピロリドン、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルアセテートフタレート)]を挙げることができる。ポリマは、アニオン性(例えば、アルギン酸塩、カラゲナン、カルボキシメチルセルロース、およびポリ(アクリル酸))、であるか又は、カチオン性(例えば、キトサン、ポリ−l−リジン、ポリエチレンイミン、およびポリ(アリルアミン))のいずれかであり、それらが開発され得る(一般的に、Dunnら、J.Applied Polymer Sci.50:353−365、1993;Cascone等、J.Materials Sci.:Materials in Medicine 5:770−774、1994;Shiraishi等、Biol.Pharm.Bull.16(11):1164−1168、 1993;Thacharodi及びRao、Int’l J.Pharm.120:115−118、 1995;Miyazaki等、Int’l J.Pharm.118:257−263、1995を参照のこと)。特に好ましいポリマキャリアとして、ポリ(ポリエチレン−ビニルアセテート)(40%架橋)、ポリ(D,L−乳酸)オリゴマ及びポリマ、ポリ(L−乳酸)オリゴマ及びポリマ、ポリ(グリコール酸)、乳酸およびグリコール酸の共重合体、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(バレロラクトン)、ポリ酸無水物、ポリ(カプロラクトン)又はポリ(乳酸)のポリエチレングリコールとの共重合体、ならびにそのブレンドを挙げることができる。
【0088】
ポリマ性キャリアは、所望の放出特徴および/または特定の所望の特性によって、種々の形態で形成され得る。例えば、ポリマ性キャリアは、特定の誘発事象(例えば、pH)に遭遇した際に治療剤を放出するように形成することができる(例えば、Hellerら「化学的に自己調節された薬物送達系」Polymers in Medicine III、 Elsevier Science Publishers B.V.、Amsterdam、 1988、 175−188頁;Kang等、J.Applied Polymer Sci.48:343−354、1993;Dong等、J.Controlled Release 19:171−178、1992;Dong及びHoffman、J.Controlled Release 15:141−152、 1991;Kim等、J.Controlled Release 28:143−152、1994;Cornejo−Bravo等、 J.Controlled Release 33:223−229、1995;Wu及びLee、Pharm.Res.10(10):1544−1547、1993;Serres等、Pharm.Res.13(2):196−201、1996;Peppas「pHおよび温度感受性送達系の基礎」Gurnyら(編)、Pulsatile Drug Delivery、 Wissenschaftliche Verlagsgesellschaft mbH、 Stuttgart、 1993、 41−45頁;Doelker、「セルロース誘導体」、1993、 Peppas及びLanger(編)、 Biopolymers 1、 Springer−Verlag、 Berlinを参照のこと)。pH感受性ポリマの代表的な例として、ポリ(アクリル酸)およびその誘導体(例えば、ホモポリマ(例えば、ポリ(アミノカルボン酸);ポリ(アクリル酸);ポリ(メチルアクリル酸))、このようなホモポリマの共重合体、ならびにポリ(アクリル酸)および上記のもののようなアクリルモノマーの共重合体が挙げられる。他のpH感受性ポリマとして、多糖(例えば、セルロースアセテートフタレート;フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース;ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート;セルロースアセテートトリメリレート;およびキトサン)を挙げることができる。さらに他のpH感受性ポリマとして、pH感受性ポリマおよび水溶性ポリマの任意の混合物を挙げることができる。
【0089】
同様に、温度感受性のポリマ性キャリアを形成し得る(例えば、Chenら「膣薬物送達のための生体接着性ポリアクリル酸骨格へ接合した温度感受性プルロニックの新規のヒドロゲル」Proceed.Intern.Symp.Control.Rel.Bioact.Mater.22:167−168、 Controlled Release Society、 Inc.、1995;Okano、 「時間的な制御薬物送達のための刺激応答性ヒドロゲルの分子設計」Proceed.Intern.Symp.Control.Rel.Bioact.Mater.22:111−112、 Controlled Release Society、 Inc.、1995;Johnstonら、 Pharm.Res.9(3):425−433、 1992;Tung、 Int’l J.Pharm.107:85−90、 1994;Harsh及びGehrke、 J.Controlled Release 17:175−186、 1991;Baeら、 Pharm.Res.8(4):531−537、 1991;Dinarvand及びD’Emanuele、 J.Controlled Release 36:221−227、 1995;Yu及びGrainger、「新規の熱感受性両親媒性ゲル:ポリN−イソプロピルアクリルアミド−co−アクリル酸ナトリウム−co−n−N−アルキルアクリルアミドネットワーク合成及び物理化学的特徴」Dept.of Chemical&Bioligal Sci.、Oregon Graduate Institute of Science&Technology、 Beaverton、 OR、 820−821頁;Zhou及びSmid、「結合スターポリマーの物理的ヒドロゲル」Polymer Research Institute、 Dept.of Chemistry、 College of Environmental Science and Forestry、 State Univ.of New York, Syracuse, NY, 822−823頁;Hoffman等、「刺激応答性ヒドロゲルにおける孔サイズおよび水「構造」の特徴付け」Center for Bioengineering、Univ.of Washington, Seattle, WA, 828頁;YuおよびGrainger、「架橋N−イソプロピルアクリルアミドネットワークにおける熱感受性膨張反応:カチオン性、アニオン性、および両親媒性ヒドロゲル」Dept.of Chemical&Bioligical Sci.、Oregon Graduate Institute of Science&Technology、 Beaverton、 OR、 829−830頁;Kimら、 Pharm.Res.9(3):283−290、 1992;Baeら、 Pharm.Res.8(5):624−628、 1992;Kono等、 J.Controlled Release 30:69−75、 1994;Yoshida等、 J.Controlled Release 32:97−102、 1994;Okano等、 J.Controlled Release 36:125−133、 1995;ChunおよびKim、J.Controlled Release38:39−47、1996;D’EmanueleおよびDinarvand、Int’l J.Pharm.118:237−242、 1995;Katonoら、J.Controlled Release 16:215−228、 1991;Hoffman、「生物学的に活性な種を含む熱可逆性ヒドロゲル」Migliaresiら(編)、PolymPolymers in Medicine III、 Elsevier Science Publishers B.V.、 Amsterdam、 1988、161−167頁;Hoffman、「治療薬及び診断薬における熱可逆性ポリマ及びヒドロゲルの適用」Third International Symposium on Resent Advances in Drug Delivery Systems、Salt Lake City、UT、1987年2月24〜27日、 297−305頁;Gutowskaら、 J.Controlled Release 22:95−104、1992;Palasis及びGehrke、J.Controlled Release 18:1−12、 1992;Paavola等、Pharm.Res.12(12):1997−2002、1995を参照されたい)。
【0090】
サーモゲル化ポリマー及びそれらのゲル化温度(LCST(℃))の代表的な例として、ホモポリマ(例えば、ポリ(N−メチル−N−n−ポリアクリルアミド)、19.8;ポリ(N−n−プロピルアクリルアミド)、21.5;ポリ(N−メチル−N−イソプロピルアクリルアミド)、22.3;ポリ(N−n−プロピルメタクリルアミド)、28.0;ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、30.9;ポリ(N、n−ジエチルアクリルアミド)、32.0;ポリ(N−イソプロピルメタクリルアミド)、44.0;ポリ(N−シクロプロピルアクリルアミド)、45.5;ポリ(N−エチルメチルアクリルアミド)、50.0;ポリ(N−メチル−N−エチルアクリルアミド)、56.0;ポリ(N−シクロプロピルメタクリルアミド)、59.0;ポリ(N−エチルアクリルアミド)、72.0を挙げることができる。さらに、サーモゲル化ポリマは、上記のモノマ間で共重合体を調製することによるか、またはこのようなホモポリマを、アクリルモノマ(例えば、メチルアクリル酸)等の他の水溶性ポリマ[例えば、アクリルモノマ(例えば、アクリル酸およびその誘導体(例えば、メチルアクリル酸)、アクリレートおよびその誘導体(例えば、ブチルメタクリレート、アクリルアミド、およびN−n−ブチルアクリルアミド))]とを組み合わせることにより調製することができる。
【0091】
サーモゲル化ポリマの他の代表的な例として、セルロースエーテル誘導体(ヒドロキシプロピルセルロース、41℃;メチルセルロース、55℃;ヒドロキシプロピルメチルセルロース、66℃;およびエチルヒドロキシエチルセルロース、ならびにプルロニック(例えば、F−127、10〜15℃;L−122、19℃;L−92、26℃;L−81、20℃;およびL−61、24℃)を挙げることができる。
【0092】
ポリマは、多数の相をとることができる(例えば、限定されるものではないが、液体相、ゲル相、固相、又はこれらの組合わせ)。本発明の治療組成物は、多数の相をとることができる(例えば、これらの限定されるものではないが、液相、ゲル相、固相、又は、それらの組み合わせ)。治療組成物は、使用目的に応じた適切な態様であることが好ましい。本発明のある形態では、治療組成物は生体適合性であり、数日から数ヶ月の期間にわたって1つ以上の治療剤を放出する。例えば、7日〜10日の期間にわたって治療剤(例えば、サリドマイド、又はネオマイシン)を10%、20%、または25%(w/v)以上を放出する「急速放出」または「破裂(burst)」治療組成物(例えば、サリドマイド又はネオマイシン)が提供される。このような「急速放出」組成物は、特定の実施態様では、化学療法レベル(適用可能な場合)の所望の薬剤を放出し得るべきである。他の実施態様では、7日〜10日の期間にわたって治療剤の1%(w/v)未満を放出する、「低放出」治療組成物を提供する。さらに、本発明の治療組成物は、好ましくは、数ヶ月間安定であり、そして無菌条件下で調製され、維持され得るべきである。
【0093】
製剤と医療用装具のコーティング方法
ポリマ性キャリアへの治療剤の取り込み、及び、医療用装具(例えば、ステント、ポリマチューブ)へのコーティング又は結合については、以下に述べる実施例により詳細に記載している。治療剤は、重合性キャリアへ、例えば、約1:99、2:98、5:95、10:90、15:85、20:80、25:75、30:70、33:67、35:65、40:60、45:55、50:50、及びそれらの逆のどのような比率(w/w)でも、組み込むことができる。
【0094】
ステントの構造
例えば、本明細書に開示されている、ステント、チューブ、カテーテル、チャンネル、繊維、基盤(platforms)、鞘(sheath)、輪(ring)、コイル、針又はその同等物である本発明の構造及び支持体構成要素は、例えば、シリコン、ポリウレタン、ポリエチレン、アクリロニトリル、ブタジエンスチレン(ABS)、ポリカーボネイト、ポリプロピレン、スチレン、ポリアミド(ナイロン)、ポリイミド、PEEK、PEBAX、ポリエステル、PVC、フッ化ポリマ(テフロン(登録商標))、及びそれらの共重合体などのポリマを含む様々な材料から構成することができる。金属製、(例えば、ステンレススチール、ニッケル−チタニウム合金(例えば、ニチノール(NITINOL)及びクロム)、ポリマ性編組(polymeric braids)、又はコイルなどの補強構成要素を、構造に用いることができる。支持体は、限定されるものではないが、ステントグラフト、自己展開式ステント、気管と気管支ステント(両側柄ステントを含む)、胆管ステント、一時的に取り外し可能なステント、及び/又はステントグラフト(例えば、Peterson等、2000、J.Vase. Interv.Radiol.11:919−929)、例えば、Miyayama等、等によって開示された被覆したギアンツルコZステント(Gianturco Z Stent)(1997、J.Vase.Interv.Radiol.8:641−648);例えば、Roissi等により開示されたポリウレタン被覆ウオールステント(Wallstent)(1997、Cardiovasc.Intervent.Radiol.20:441−447);例えば、図11に開示したシリコンステント及び薬物溶出ステントである。薬物溶出ステントは、生分解性であるか、又は、非生分解性であり、又は、それらの複合材料ででもあり得る。薬物溶出ステントは、ステントグラフトであり得る。金属及び他の伝導性材料を、ステント長に沿って電流を伝えるために使用することができる。これらの導体素子は、ステンレススチール、銅、金、プラチナ、銀、チタニウム、ニチノール(NITINOL)、伝導性エポキシ、及び伝導性ポマを材料として造られている。その要素は、構造に含まれ、X線画像によりステントをより見易くしている。これらの要素には、タンタルム、白金、イリジウム、金、ステンレススチール、銀、ニッケル−チタニウム合金、及びポリマ配合剤(例えば、硫酸バリウム、及び酸化チタニウム等である。)を挙げることができる。
【0095】
本発明に使用することができる代表的なステントは、限定されるものではないが、例えば、ノバテックドーモン(NOVATECH DUMON)(Boston Medical Products、Westborough、MA)等の気管及び気管支ステント、例えば、ウオールステント(WALLSTENT)(Meditech、Natick、MA)メソテルム(MESOTHERM)(CR.Bard、Inc、Billerica、MA)、ジルバステント(ZILVER STENT)(Cook、Bloomington、IN)、スマートステント(SMARTSTENT)(Cordis、Miami、FL)
、及び柔軟ステント(例えば、ウルトラフレックス ニチノルステント(ULTRAFLEX NITINOLstent)(Boston Scientific、Minneapolis、MN)などの胆管ステントを挙げることができる。
【0096】
医療用装具及びステント用のコーティング組成物
下塗り層用の組成物の実施形態は、全ての成分を組み合わせた後に、ブレンドするという、従来の方法により調製する。より具体的には、1つの実施形態によれば、予め定められた量のポリマ又はプレポリマを予め定められた量の、溶媒又は溶媒の組み合わせに添加する。混合物は、周囲圧力で無水雰囲気下で調製することができる。必要ならば、フリーラジカル又はUV開始剤を、組成物中に添加してプレポリマの硬化又は架橋を開始させることができる。加熱及び攪拌、及び/又は混合を、ポリマを溶媒中へ溶解するために用いることができる。
【0097】
生体適合性ポリマを下塗材料に用いることができる。生体適合性下塗材の例としては、ポリ(ヒドロキシバレレイト)、ポリ(L-乳酸)、ポリ(カプトラクトン)、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(ヒドロキシブチレイト)、ポリ(ヒドロキシブチレイト−co−バレレイト)、ポリジオキサノン、ポリオルトエステル類、ポリ酸無水物類、ポリ(グリコール酸)、ポリ(D、L−乳酸)、ポリ(グリコール酸−co−トリメチレンカルボネイト)、ポリホスホエステル類、ポリホスホエステルウレタン類、ポリ(アミノ酸類)、シアノアクリレイト類、ポリ(トリメチレンカルボネイト類)、ポリ(イミノカルボネイト)、共重合(エーテル−エステル類)、(例えば、PEO/PLA)、ポリアルキレンオキサレイト類、ポリホスファゼン類、及び、生体分子類(例えば、フィブリン、フィブリノーゲン、セルロース、澱粉、コラーゲン、及びヒアルロン酸など)などを挙げることができる。同様に、ポリウレタン、シリコン、及びポリエステルを使用することができる。溶解できて、ステント上で硬化又は重合できるものであれば、ポリオレフィン、ポリイソブチレン、及びエチレン−αオレフィン共重合体;アクリルポリマ及び共重合体類(例えば、ポリビニルクロライド);ポリビニルエーテル類(例えば、ポリビニルメチルエーテル);ポリビニリデンハライド(例えば、ポリビニリデンフルオライド、及び、ポリビニリデンクロライド);ポリアクリロニトリル;ポリビニルケトン;ポリビニルアロマティックス(例えば、ポリスチレン);ポリビニルエステル類(例えば、ポリビニル酢酸);ビニルモノマと相互に及びオレフィンとの共重合体(例えば、エチレン−メチルメタクリレイト共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ABS樹脂、及び、エチレン−ビニル酢酸共重合体);ポリアミド類(例えば、ナイロン66及びポリカプロラクタム);アルキド樹脂;ポリカルボネイト類;ポリオキシメチレン類;ポリイミド類;ポリエーテル類;エポキシ樹脂類、レーヨン;レーヨン−トリアセテイト;セルロース、セルロースアセテイト、セルロースブチレイト;セルロースアセテイトブチレイト;セロファン;硝酸セルロース;セルロースプロピオン酸塩;セルロースエーテル類;及びカルボキシメチルセルロース等の他のポリマも使用することができる。
【0098】
溶媒又は湿潤した流動体は、相互にポリマと相溶性であり、溶液中で希望する濃度で溶液にそのポリマを入れ込むことができる。有用な溶媒は、例えば、ステントの金属製表面などの装具表面との相互作用を最大にすべく、ポリマ鎖を拡張できる。溶媒及び湿潤流体の例としては、限定されるものではないが、ジメチルスルフォキシド(DMSO)、クロロホルム、水(緩衝生理食塩水)、キシレン、アセトン、エタノール、1−プロパノール、テトラヒドロフラン、1−ブタノン、ジメチルアセタミド、シクロヘキサノン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、プロピレングリコール、モノメチルエーテル、イソプロパノール、N-メチルピロリジオン、トルエン、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、1−ブタノール、n−ブチルアセテイト、ジメチルアセタミド(DMAC)、及びそれらの混合物、とそれらの組み合わせを挙げることができる。溶媒又は湿潤流体は、溶媒とポリマはポリマと相溶性であり、ポリマーを沈殿させるべきではない。
【0099】
装具へ組成物を適用する方法
医療用装具又はステントを本発明の組成物でコーティングする代表的な方法が、図12に例示されている。下塗り層を形成するために、装具又は人工器官の表面は清潔であるべきであり、製造中に入り込む汚染物質が取り除かれているべきである。しかしながら、人工器官の表面は、処理されたコーティングを維持するための特別な表面処理を必要とするものではない。ステントの金属表面は、例えば、当業者に周知のアルゴンプラスマ処理により、清浄することができる。組成物の塗布は、例えば、人工器官の上に組成物をスプレイすることによるか、又は、人工器官を組成物中に浸すといった、従来の方法により行うことができる。拭き取り、遠心分離する、吹きつけ、又は、拭き取り用布で拭うなどの操作を行って、均一なコーティングを得ることができる。手短に言えば、「拭き取り」は、ステント表面から過剰のコーティングを取り除くことを意味し、「遠心分離」は、回転軸付近のステントの急速な回転を意味し、「吹きつけ」は、蓄積したコーティングに特定の圧力で空気をかけることを意味する。過剰なコーティングを、装具の表面から吸い取るようにしてもよい。湿潤流体の添加は、組成物を確実に塗布し、人工器官のコーティングを均一にする。
【0100】
エチレンビニルアルコール共重合体、ポリカプロラクトン、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(ヒドロキシブチレイト)等の熱可塑性ポリマを使用し、付着された下塗組成物は選択したポリマのほぼガラス転移温度以上、ほぼ溶融温度以下の温度範囲で、熱処理に付される。この温度範囲で組成物を処理すると、ステントの金属表面へのコーティングが強く粘着又は結合するという予期しない結果が生じた。装具に、適当な期間、熱処理を行い、装具の表面上に下塗り層を形成して、溶媒又は溶媒と湿潤流体の混合物が蒸発させる。溶媒と湿潤流体は全て原則的に、組成物から除去されるが、痕跡や残留が残って、ポリマとブレンドされることがある。
【0101】
治療剤又は活性成分層を形成する組成物
活性成分の含有又は貯留層の組成物の実施形態は、全ての組成物を組み合わせて、次にブレンドするという従来の方法により調製する。より具体的には、予め決められた量のポリマ性化合物を、予め定められた量の互いに相溶性の溶媒又は溶媒の組み合わせに加える。このポリマ性化合物は、周囲圧力下、無水雰囲気下で添加できる。必要ならば、例えば、約60℃で水浴中12時間など、穏やかな加熱と攪拌及び/又は混合を行って、溶媒にポリマを溶解させることができる。選択したポリマは、生体適合性であり、装具をインプラントしたとき血管壁への刺激が最少であるポリマでなければならない。そのポリマは、生体内で安定であるか又は生体吸収性ポリマのいずれかでもよい。使用することができる生体吸収性ポリマの例としては、ポリ(ヒドロキシ吉草酸)、ポリ(L乳酸)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(ヒドロキ酪酸)、ポリ(ヒドロキシ酪酸−co−吉草酸)、ポリジオキサノン、ポリオルトエステロール類、ポリ酸無水物類、ポリ(グリコール酸)、ポリ(D、L−乳酸)、ポリ(グリコール酸−co−トリメチレンカルボネイト)、ポリホスホエステル類、ポリホスホエステルウレタン類、ポリ(アミノ酸類)、シアノアクリレイト類、ポリ(トリメチレンカルボネイト)、ポリ(イミノカルボネイト)、コポリ(エーテル−エステル類)(例えば、PEO/PLA)、ポリアルキレンオキサレイト類、ポリホスファゼン類、及び生体分子類(例えば、フィブリン、フィブリノーゲン、セルロース、澱粉、コラーゲン、及び、ヒアルロン酸等)、等をあげることができる。同様に、例えば、ポリウレタン類、シリコン類、及びポリエステル類など長期的な組織反応性の低い生体安定性のポリマを用いることができるが、溶解できて、ステント上で硬化又は重合できるのであれば、例えば、ポリオレフィン、ポリイソブチレンとエチレン−αオレフィン共重合体;アクリル酸ポリマと共重合体、ハロゲン化ビニルポリマと共重合体(例えば、ポリ塩化ビニル等);ポリビニルエーテル(例えば、ポリビニルメチルエーテル);ハロゲン化ポリビニリデン(例えば、フッ化ポリビニリデン及び塩化ポリビニリデン等);ポリアクリロニトリル;ポリビニルケトン類;ポリビニルアロマティックス類(例えば、ポリスチレン等);ポリビニルエステル類(例えば、ポリビニル酢酸等);ビニルモノマと相互及びオレフィンとの共重合体(例えば、エチレンメチルメタクリレイト共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ABS樹脂、及びエチレン−ビニル酢酸共重合体等);ポリアミド類(例えば、ナイロン66及びポリカプロラクタム等);アルキド樹脂類;ポリカルボネイト類;ポリオキシメチレン類;ポリイミド類;ポリエーテル類、エポキシ樹脂類;レーヨン;レーヨン−トリアセテイト;セルロース、セルロースアセテイト、セルロースブチレイト;セルロースアセテイトブチレイト;セロファン;硝酸セルロース;セルロースプロピオネイト;セルロースエーテル類;及びカルボキシメチルセルロース等のその他のポリマを用いることもできる。
【0102】
貯留層用のポリマーの選択は、下塗層用に選択したポリマと同じポリマであってもよく、異なったものとすることもできる。同一のポリマを使用すると、例えば、2種類の異なるポリマ層の使用に伴う粘着や結合の欠如などのあらゆる境界面不適合を有意に減少又は排除できる。実際に、下塗り層と貯留槽に同一ポリマ材料を用いることで、単一層のコーティングが形成できる。
【0103】
溶媒は、ポリマを所望の濃度で溶液中に入れることができるものでなければならない。溶媒の例としては、これらに限定されるものではないが、DMSO、クロロホルム、アセトン、水(緩衝生理液)、キシレン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、テトラヒドロフラン、1−ブタノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセタミド、シクロヘキサノン、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。例えば、29モル%のエチレンビニルアルコール共重合体等の低いエチレン含量を用いる場合、適切な溶媒の選択は、水に混合したイソプロピルアルコールである。
【0104】
十分な量の活性成分をポリマと溶媒をブレンドした組成物中に分散させる。活性成分又は治療剤は、混合組成物中の「真溶液」中に存在すべきである。好ましい活性成分としては、ネオマイシン、サリドマイド、及びそれらの誘導体又はアナログ等を挙げることができる。望ましい治療効果をもたらすのに要する活性成分の濃度は、活性成分が毒性効果を示す濃度よりも少なく、治療効果のない濃度よりも高くなくてはならない。
【0105】
例として、ポリマは、組成物の全重量の約0.1%〜35%を含み、溶媒は、組成物の全重量の約59.9%〜約99.8%を含み、活性成分は、組成物の全重量中約0.1%〜約99.9%を含む。
【0106】
放出率減少膜を形成する組成物
放出率減少膜又は拡散障害層の組成物の実施態様は、全ての成分を組み合わせる従来の方法で調製する。粒子を用いる実施態様では、粒子の凝集や綿状塊を回避するために分散技術を用いるべきである。
【0107】
具体的には、貯留層用の組成物の実施態様は、放出率減少膜又は障害膜を形成する貯留層の選択した領域に適用することができる。障害層は、放出率を低減させる、又は活性成分が貯留槽から放出する時間を遅らせることができる。ある態様では、ポリエチレングリコール又はポリエチレンオキサイドをブレンドに添加することで最大血中相溶性を得ることができる。エチルビニルアルコールは、機能的に大変適したポリマの選択である。共重合体は、活性成分の放出に対して良好な抑制能に貢献している。有用なことに、障害層用のポリマの選択は、貯留槽用のポリマの選択と同様であり得る。同じポリマを使用することは、いくつかの実施態様で述べたように、2つの異なるポリマ層の使用した場合に生じる接着の欠如等の界面不適合を有意に減少又は排除する。事実、必要ならば、障害層と貯留槽に同じポリマ材料を使うことで、単一層コーティングが形成される。言い換えれば、同一のポリマ材料の使用によって、層がその内容物で変化する継ぎ目のない多層コーティングができる。したがって、明確な界面の境界が有意に減少又は排除される。
【0108】
活性成分の例としては、腸管内放出により胃内放出が好ましい医薬、又は活性成分の放出抑制が、全身作用にとって望ましい医薬などを挙げることができる。例えば、胃内に送達される薬剤は、天然、又は合成プロスタグランジン、プロスタグランジンアナログ、及びプロスタサイクリン類(例えば、ミソプロストール、エニソプロスト、エンプロスチル、イロプロスト、及びアルバプロスチル等)、消化性潰瘍、胃液分泌抑制剤、抗菌剤、(胃)運動促進剤、細胞保護剤及びそれらの同等物等を含むことが好ましい。抗微生物剤の例としていは、ヘリコバクター ピロリ等の胃内細菌の根絶のために使われているテトラサイクリン、メトロニタゾール、及びエリスロマイシンを挙げることができる。
【0109】
製剤は、単独で、又は少なくとも1以上の多剤(限定されるものではないが、生理食塩水、デキストロース、及び水等、滅菌された生体適合性のある薬学的許容されるキャリアに投与される安定化物質などと併用して投与することができる。製剤は、患者に単独で、又は、その他剤、薬物又はホルモン類と併用して投与することができる。
【0110】
活性成分に加えて、これらの薬学的な製剤は、薬学的に使用することができる製剤中に活性化合物への処理を促進する賦形剤や補助剤を含む薬学的に許容できる適切なキャリアを含んでいてもよい。製剤及び投与の技術に関する更なる詳細は、レミントンファーマシューティカル サイエンス(Remington’s Pharmaceutical Science)(Maack Publishing Co.、 Easton、 PA)の最新版で知ることができる。
【0111】
経口用の薬学的製剤を、活性化合物を固体の賦形剤と混合し、その結果得られる顆粒(場合により、粉砕した後)の混合物を処理し、錠剤又は糖衣錠コアが得られる。必要な場合は、適当な助剤を添加することができる。適当な賦形剤としては、炭水化物又はタンパク質充填剤[例えば、糖(例えば、乳糖、蔗糖、マンニトール、及び、ソルビトールなど);澱粉(トウモロコシ、小麦、米、ポテト、又は他の植物に由来する);セルロース(例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、又はカルボキシメチルセルロース等);ゴム(例えば、アラビアゴム、トラガントゴム等);及びタンパク質(例えば、ゼラチン及びコラーゲン等)等]を挙げることができる。所望の場合は、架橋したポリビニルピロリドン、寒天、及びアルギニン酸、又はその塩(例えば、アルギン酸ナトリウムなど)の崩壊剤又は溶解剤を添加することができる。
【0112】
糖衣錠のコアは、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、及び/又は、二酸化チタニウム、ラッカー溶液、及び適当な有機溶媒又は容易倍混合物などの適当なコーティングと併せて用いることができる。
【0113】
非経口投与に適した薬学的製剤は、水溶液、好ましくは、ハンクス液、リンゲル液、緩衝生理食塩水等の生理的に適合した緩衝液中で、調製することができる。水性の注射用懸濁液は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、又はデキストラン等の懸濁液の粘度を上昇する物質を含んでもよい。さらに、活性化合物の懸濁液は、適当な油性注射懸濁液として調製することができる。適当な脂溶性溶媒又はヴィークルとしては、例えば、胡麻油、又は合成脂肪酸エステル(例えば、オレイン酸エチルエステル、トリグリセライドなど)の脂肪油又はリポソームを挙げることができる。脂質でないポリカチオン性ポリマを送達のために用いることができる。懸濁液は、適当な安定剤、又は化合物の溶解度を上げるための物質を任意に含んでいてもよく、これによって高度に濃縮された容液の調製が可能となる。
【0114】
本発明の薬学的製剤は、例えば、従来からの、混合、溶解、顆粒化、糖衣錠化、粉状化、乳化、カプセル化、又は凍結乾燥処理等の当業者に周知の手法で製造することができる。
【0115】
薬学的製剤は、塩として提供することができ、それらは、限定されるものではないが、塩酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、及びコハク酸などを含む多くの酸により形成することができる。塩は、対応する遊離塩基体よりも水又はプロトン性溶媒により溶け易い傾向にある。その他の場合では、好ましい製剤は、1mM〜50mMのヒスチジン、0.1%〜2%の蔗糖、及び2%〜7%のマンニトール、pH4.5〜5.5の範囲のいずれか又は全てを含む凍結乾燥粉末にすることができる:それは使用前に緩衝液と併せる。
【0116】
本発明の使用に適した薬学的製剤は、意図した目的を達成できる有効量の活性成分が含まれている製剤を含む。有効量の決定は、当業者にとって十分に可能な範囲である。いずれの化合物についても、治療上の有効量は、当初は細胞培養試験、例えば、腫瘍細胞の評価試験によるか、又は動物モデル(例えば、マウス、ラット、ウサギ、犬、又はブタなど)により推定することができる。動物モデルを用いて、ヒト投与のための有効量及び投与経路を決めることができる。
【0117】
治療上の有効量は、症状又は状態を改善する活性成分の量を意味する。治療上の有効性と毒性は、細胞培養又は実験動物を用いて(ED50値(個体数の50%に治療上効果のある量)又はLD50値(個体数の50%の致死量)の統計値を計算するといった標準的な薬学的手法で決定できる。治療効果に対する毒性の用量比が、治療指数であり、LD50/ED50比で表される。治療指数が大きい薬学的製剤が好ましい。細胞培養や動物実験から得たデータは、ヒト使用のための用量範囲を定めるために使われる。このような製剤に含まれる用量は、好ましくは、毒性を殆ど又は全く含まないでED50を含む体循環している濃度範囲内である。用量は、使用した投与型、患者の感受性、投与経路に依存してこの範囲内で変動する。
【0118】
正確な用量は、被験者が必要としている処置を考慮して実施者により決定される。用量と投与は、十分なレベルの活性部分をもたらすように、又は望んでいる効果を維持するように調整する。考慮に入れることのできる要因としては、疾病状態の重篤度、被験者の一般的な健康状態、年齢、性別、体重、投与の時間と頻度、薬剤の併用、反応感受性、及び治療に対する応答などが挙げられる。長時間作用型の薬学的製剤は、特定の製剤の半減期や排泄率に依存して、3〜4日毎、毎週、又は、二週間毎に投与することができる。
【0119】
通常の投与量は、投与経路に依存して約0.1μg〜100、000μgまで、最大総投与量約1gの範囲で変動し得る。特定の投与量や送達方法に関する指示は、文献で提供されており、通常、当該分野の実施者が利用できる。
【0120】
いくつかの態様では、製剤は、薬物重量で少なくとも1%を含む。例えば、製剤は、薬物重量で、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも5%、少なくとも7%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも17%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、例えば、薬物重量で、1〜20%、5〜30%、10〜30%、10〜50%、20〜30%、又は20〜50%を含むことができる。他の態様では、製剤は、1%以下の薬物を含むことができる。
【0121】
支持体
上記の組成物との共働して用いられる支持体、装具又は人工器官は、活性成分の放出に用いられる適切なあらゆる装具であり、その例として、生体浸食性ステント、ポリマチューブ、自己拡張型ステント、バルーン拡張型ステント、及びステントグラフト、及びグラフトを挙げることができる。代替えとして、上記の組成物は、同様の性状をもつポリマで、前もって成形され、身体通路に用いるために形成されたポリマとの共働で用いることができる。別の態様では、上記組成物は、異なった性状をもつ別のポリマで、前もって成形され、身体通路に用いるために形成されたポリマとの関連で用いることができる。
【0122】
ステントは、選択的にマーカ(標識)を含むことができる。このマーカは、手術中又は手術後において、身体通路中のステントの位置決め及び/又は監視する補助としての用途をもつ。マーカは、X線不透過性染料、X線不透過性材料、磁石、音波発生材料、ラジオアイソトープ、又は、その同等物といったイオン源などのX線不透過性組成物を含むことができる
【0123】
装具に対して組成物の適用方法
下塗層をつくるために、装具又は人工器官の表面は、清潔にして、製造中に入り得る汚れが除去された状態にするべきである。しかしながら、人工器官の表面を施されたコーティングを維持するために特別な表面処理をする必要はない。ステントの金属表面は、例えば、当業者に周知であるアルゴンプラスマ処理により清潔にすることができる。組成物の塗布は、人工器官上に組成物をスプレイによる、組成物中に人工器官を浸すなど通常のどのような方法によっても可能である。拭き取り、遠心分離する、吹きつけ、又は、拭き取り用の布で拭うなどの操作を行って、均一なコーティングを得ることができる。手短に言えば、「拭き取り」は、ステント表面から過剰のコーティングを取り除くことを意味し、「遠心分離」は、回転軸付近のステントの急速な回転を意味し、「吹き付け」は、付着したコーティングに特定の圧力をもって空気をかけることを意味する。過剰なコーティングは、装具の表面から吸い取ることができる。湿潤流体の添加は、組成物の一貫した適用になり、人工器官の表面に均一な沈着を、またもたらす。
【0124】
熱可塑性ポリマ(例えば、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリカプロラクトン、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(ヒドロキシブチレイト)等)の使用によって、蓄積された下塗り組成物が選択したポリマのほぼガラス転移温度(Tg)以上、ほぼ溶融温度(Tm)以下の温度範囲で、熱処理されるべきである。この温度範囲で組成物を用いた措置において、ステントの金属表面へのコーティングの強い粘着又は結合という予期しない結果を見いだした。装置は、適当な期間で、熱処理されるべきであり、それにより装具の表面上に下塗り層の形成ができ、溶媒又は溶媒と湿潤流体の組合せた物の蒸発ができるであろう。溶媒と湿潤流体の全ては原則的に、組成物から除去されるが、痕跡や残留が残って、ポリマとブレンドされることがある。
【0125】
以下でより詳細に説明したように、本発明の治療剤を、本明細書に記載したキャリアの1つに任意に取り込んで、治療用組成物を形成するために様々な疾病を治療又は予防するために調製、使用される。
【0126】
疾病の治療又は予防
上述のように、本発明は、身体通路の閉塞を伴う幅広い様々な疾病(例えば、血管系疾病、新生物性閉塞、炎症性疾病及び感染症など)の治療又は予防する方法を提供する。
【0127】
1つの実施形態では、本発明は、身体通路の閉塞を治療又は予防するために用いられるものであって、この身体通路は、冠状動脈、頸動脈、大動脈、肺動脈、動脈、静脈、毛細血管、気管、気管支梢、食道、胆管、輸卵管、尿道、結腸、膀胱、膵臓通路、鼻腔、男性生殖管、女性生殖管、小腸、大腸、硬膜静脈洞、及び、脳内洞である。
【0128】
本発明は、例えば、悪性気管支閉塞の治療又は予防に用いられる。図14は、本発明を用いて治療され得る気管支閉塞の異なるタイプの例を図示している。本発明は、内因性、外因性、及び/又は、混合型気管支の腫瘍による肺癌での気道閉塞を治療する多モデル型補助医療用装具である。限定されるものではないが、物理的、化学的生物学的、及び、分子機構を、例えば、レーザ又は電気外科手術などと共働させた、複数の処理を用いて、本発明は、組織過形成又は腫瘍成長をもたらすコーティング無しのステントを用いた単一の気管支内の臨床上の介入手法に比べて、より優れた結果をもたらすことができる。
【0129】
例えば、本発明の1実施形態では、本明細書に記載したような様々な治療組成物を、血管系の閉塞をもたらす血管系疾病の治療に用いることができる。このような疾病の代表例としては、冠状動脈、大動脈、腸骨動脈、頚動脈、一般的な大腿動脈、表在性大腿骨動脈、膝窩動脈、および移植片吻合部位を含むが、それらに限定されない、全ての血管(動脈、静脈、または、グラフト周辺のアテローム性動脈硬化症;血管痙縮(例えば、冠状動脈血管痙縮およびレイノー病);再狭窄(バルーン血管形成、バイパス手術、ステント挿入、および移植片挿入のような以前の介入の部位での管の閉塞);炎症および自己免疫状態(例えば、一過性動脈炎、血管炎)を挙げることができる。
【0130】
手短に言えば、アテローム性動脈硬化症のような血管疾患において、白血球、特に単球およびTリンパ球は、内皮細胞に、特に動脈分岐の位置で接着する。内皮への接着後、白血球は、走化性刺激に応答して内皮細胞の裏打ちを横切って移動し、平滑筋細胞に沿って動脈壁の血管内壁に蓄積される。アテローム性動脈硬化症発達のこの初期の病変は、「脂肪線条痕(fatty streak)」として公知である。脂肪条痕内の単球はマクロファージに分化し;そしてマクロファージおよび平滑筋細胞は、脂質およびリポタンパク質を次第に吸収して、泡沫細胞になる。
【0131】
マクロファージが蓄積すると、覆っている内皮は機械的に破壊され、そして酸化脂質、酸素由来フリーラジカルおよびマクロファージにより放出されるプロテアーゼにより化学的に変性する。泡沫細胞は、血管壁の微小潰瘍化を引き起こす内皮表面を通して侵食する。血流成分への潜在的な血栓形成性内皮下組織(例えば、コラーゲンおよび他のタンパク質)の暴露は、破壊された内皮領域へ血小板の接着をもたらす。血小板接着および他の事象は、同化作用および、血小板由来増殖因子(PDGF)、血小板活性化因子(PAF)、およびインターロイキン1および6(IL−1、IL−6)を含む増殖因子のこの環境(mileau)への放出を誘発する。このパラクリン因子は、血管平滑筋細胞(VSMC)の移動および増殖を刺激すると考えられる。
【0132】
正常な(非疾患)血管壁において、血管平滑筋細胞は、収縮表現型および低い指数の有糸分裂活性を有する。しかしながら、血小板、マクロファージ、および内皮細胞により放出されたサイトカインおよび増殖因子の影響下で、VSMCは、成熟収縮細胞から未成熟分泌細胞への表現型変化を受ける。形質転換したVSMCは、血管壁の中膜で増殖し、血管内膜に移動し、血管内膜で増殖し、そして多量の細胞外マトリックスを生成し続ける。これは、発達している血管病変を繊維状プラークに変換する。分泌性VSMCにより合成された細胞外マトリックスは、コラーゲン、エラスチン、糖タンパク質、およびグリコススアミノグリカンを含み、コラーゲンはアテローム性動脈硬化症プラークの主要な細胞外マトリックス成分を含む。エラスチンおよびグリコスアミノグリカンはリポタンパク質に結合し、そしてまた病変増殖に寄与する。繊維状プラークは、平滑筋細胞およびその上にあるマクロファージ、T細胞、ならびに細胞外物質を含む種々の厚さの密な結合組織の繊維状キャップからなる。
【0133】
PDGF、IL−1、およびIL−6に加えて、形質転換増殖因子β(TGF−β、繊維芽細胞増殖因子(FGF)、トロンボスポンジン、セロトニン、トロンボキサンA2、ノルエピネフリン、およびアンギオテンシンIIを含む、他の有糸分裂促進性因子は、血管壁に浸潤する細胞により生成される。これは、より多くの細胞の補充、さらなる細胞外マトリックスの合成、およびさらなる脂質の蓄積をもたらす。これは、血管管腔を有意に侵入するまで、アテローム性動脈硬化症病変を次第に大きくする。最初は、血管を通る閉塞した血流が、大きくなる流れが必要とされる場合にのみ、アテローム性動脈硬化症プラークから抹消組織の虚血を引き起こし、この病変がさらに動脈をブロックした後に、静止して虚血が生じる。
【0134】
拡大しているアテローム性動脈硬化症プラークにおけるマクロファージは、細胞傷害および隣接組織の壊死を引き起こす酸化脂質、フリーラジカル、エラスターゼ、およびコラゲナーゼを放出する。この病変は壊死コアを発展させ、そして複合プラークになる。複合プラークは、塞栓;局所的出血(これは、二次並びに、病変の急速な拡大による管腔閉塞をもたらすプラークに供給する血管の血管破裂となる。);または潰瘍化および亀裂形成(これは、血栓形成性壊死コアを、血流に接して局所的血栓または末梢の塞栓を引き起こすのを止めさせ得る不安定な病変である。上記のいずれの後遺症も生じない場合でも、接着血栓は組織化されて、プラークに取り込まれ、それによりその増殖を促進する。さらに、フィブリノーゲンおよびトロンビンの局所的濃度が増大すると、中膜および血管内膜内の血管平滑筋細胞の増殖は刺激される;このプロセスも、最終的に、血管のさらなる狭窄を導く。
【0135】
正常動脈の血管内膜および中膜には、動脈の管腔からまたは外膜中の血管の血管から酸素が送り込まれ、栄養分が供給される。アテローム性動脈硬化症プラークの発現により、外膜の血管の栄養血管から生じる微細血管は、厚くなった血管内膜および中膜に伸長する。この血管ネットワークは、プラークが悪化するとより拡張性となり、プラークの退化によって小さくなる。
【0136】
これらの微細血管からの出血は、動脈の切開、潰瘍化、または血栓に関連してプラークの急激な拡大および破裂を促進し得る。これらの微小血管からの血漿タンパク質の漏出が炎症性浸出物をこの領域内へ誘引することがあり、これらの炎症性細胞がアテローム性動脈硬化症プラークの急速な成長および関連する合併症(局所的浮腫および炎症による)に寄与し得ることもまた考えられる。
【0137】
上記のような疾患などの血管性疾患を処置するために、様々な治療剤(キャリアを伴うかまたは伴わない)を、医療用移植装具を介して身体通路へ送達することができる。これに関する特に好ましい治療剤として、抗血管新生因子、血小板接着/凝集阻害剤(例えば、アスピリン、ジピリダモール、トロンボキサン合成阻害剤、より強力なトロンボキサンA2よりむしろトロンボキサンAEの生成をもたらす魚油、フィブリノーゲンおよびプロスタサイクリンに結合する血小板IIb/IIIa受容体に対する抗体)、血管拡張剤(例えば、ベラパミルなどのカルシウム流入阻害剤、および、一酸化窒素供与体 ニトログリセリン、ニトロプルシド、およびモルシドミン)、ならびに抗血栓剤およびトロンビン拮抗剤(例えば、ヘパリン(低分子量ヘパリン、ワーファリン アンドゥジン(andudin))を挙げることができる。利用できる他の治療剤として、抗炎症剤(例えば、グルコルチコイド、デキサメタゾン、およびメチルプレドニゾロン)、増殖因子阻害剤(例えば、PDGF拮抗剤(例えば、トラピジル;チロシンキナーゼおよびチロシンホスファターゼプロモーターの阻害剤を含む受容体阻害剤(例えば、FGF、VEGF、PDGF、およびTNFに対する阻害剤);ソマトスタチンアナログ(例えば、アンギオペプチンを含む);アンジオテンシン転換酵素阻害剤;及び、5HT2セロトニン作動性受容体拮抗剤(例えば、ケタンセリン))を挙げることができる。さらに別の治療剤として、抗増殖剤(例えば、コルヒシン、ヘパリン、β放射体(例えばP−32)またはγ放射体(例えばIr−192)、カルシウム流入ブロッカー(例えば、ベラパミル、ジルチアゼム、およびニフェジピン、コレステロール低下HMB Co−Aレダクターゼインヒビター(例えば、ロバスタチン)、微小管機能を破壊する化合物(例えば、パクリタキセルおよび上記の一酸化窒素供与体)、ならびに再内皮化の促進剤(例えば、bFGFおよび血管内皮細胞増殖因子)を挙げることができる。
【0138】
本発明の他の実施形態では、本明細書に記載される治療剤または組成物を、新生物閉塞を治療するために用いることができる。手短に言えば、本明細書で使用される場合、「新生物閉塞」は、管の位置または存在する悪性腫瘍の組織学的類型にかかわらず、身体の管の任意の新生物(良性または悪性)閉塞を含むと理解されるべきである。代表的な例として、胃腸疾患(例えば、口−咽頭癌(腺癌)、食道癌(偏平上皮細胞、腺癌、リンパ腫、黒色腫)、胃癌(腺癌、形成性胃組織炎、リンパ腫、平滑筋肉腫)、小腸腫瘍(腺腫、平滑筋腫、脂肪腫、腺癌、リンパ腫、カルチノイド腫瘍)、結腸癌(腺癌)、および肛門直腸癌);胆汁管疾患(例えば、膵臓癌(管腺癌、島細胞腫瘍、嚢胞腺癌)のような胆管閉塞をもたらす新生物、胆管癌、および肝細胞癌);肺疾患(例えば、肺および/または気管/気管支通路の癌腫(小細胞肺ガン、非小細胞肺癌);雌性生殖疾患(例えば、輸卵管の悪性腫瘍、子宮癌、子宮頸癌、膣癌);雄性生殖疾患(例えば、精巣癌、精巣上体癌、精管癌、前立腺癌、良性前立腺肥大);ならびに尿路疾患(例えば、腎臓細胞癌腫、腎盤の腫瘍、尿収集系の腫瘍(例えば、移行上皮癌、膀胱癌、および良性狭窄または悪性腫瘍による尿道閉塞)が挙をあげることができる。
【0139】
例として、良性前立腺肥大(BPH)は、長期のアンドロゲン刺激に応答して生じる、前立腺、特に尿道周囲の腺の中央部の肥大である。これは、80%を超える50歳以上の男性が罹患する。この肥大は、前立腺を通って走る尿道部分の圧迫をもたらし、膀胱流出管閉塞をもたらす(すなわち、尿が流れるためには、異常に高い膀胱圧を必要とする。)。1980年に、367、000の前立腺の経尿道の切除が、BPHの処置として合衆国で行われた。他の処置として、投薬、経尿道の括約筋切除、経尿道のレーザ又はマイクロ波、経尿道の温熱療法、経尿道の超音波、経直腸のマイクロ波、経直腸の温熱療法、経直腸の超音波および外科的除去を挙げることができる。すべては、失禁および狭窄形成をもたらす括約筋機序の妨害を含む不利益がある。
【0140】
上記の疾患のような新生物疾患を治療するために、広範様々な治療剤(キャリアを伴うかまたは伴わない)は、身体通路へ送達される。これに関連する特に好ましい治療剤として、上記の抗血管新生剤、抗増殖剤、または抗新生物剤を挙げることができ、これは、パクリタキセルおよびその誘導体またはアナログ、又は、ネオマイシン、及びその誘導体、そのアナログなどを含む。
【0141】
本発明の他の実施形態では、身体通路の閉塞に影響するか、または引き起こす炎症性疾患を予防または治療するための方法が提供される。炎症性疾患として、様々な体管の閉塞をもたらす、急性および慢性両方の炎症を挙げることができる。代表的な例として、血管炎[例えば、巨細胞動脈炎(一過性動脈炎、タカヤス動脈炎)、結節性多発動脈炎、アレルギー性血管炎および肉芽腫症 (チャーグ−ストラウス病)、多発血管炎重複症候群、過敏症血管炎(ヘーノッホ−シェーンライン紫斑病)、血清の疾患、薬物誘導血管炎、感染性血管炎、新生物血管炎、結合組織疾患に関連した血管炎、補体系の先天的不全に関連した血管炎、ヴェーゲナー肉芽腫症、川崎病、中枢神経系の血管炎、バーガー病、および全身性硬化症];胃腸管疾患(例えば、膵臓炎、クローン病、潰瘍性結腸炎、潰瘍性直腸炎、原発性硬化性胆管炎、特発性を含む任意の原因の良性狭窄(例えば、胆汁管、食道、十二指腸、小腸、結腸の狭窄);呼吸管疾患(例えば、喘息、過敏性肺炎、石綿症、珪肺症、及び、塵肺の他の形態、慢性気管支炎、および慢性閉塞性気道疾患);鼻涙管疾患(例えば、特発性を含む全ての原因の狭窄);ならびに耳(エウスタキオ)管疾患(例えば、特発性を含む全ての原因の狭窄)が挙げることができる。
【0142】
上記疾患などの炎症性疾患を治療するために、様々な治療剤(キャリアを伴うまたは伴わない)が、身体通路へ、または医療用装具を介して平滑筋細胞へ送達される。これに関連する特に好ましい治療剤として、上記の非ステロイド剤(「NSAIDS」)およびステロイド剤、ならびに上記の抗血管新生因子を挙げることができる。利用できる他の薬剤として、例えば、様々な抗血管新生因子(例えば、サリドマイド、及びネオマイシン)を挙げることができる。
【0143】
本発明のさらに他の形態では、身体通路の閉塞に関連するか、または閉塞の原因となる感染性疾患を治療または予防する方法を提供する。手短に言えば、感染性疾患としては、身体通路の閉塞(例えば、雄性生殖管の閉塞(例えば、尿道炎、精巣上体炎、前立腺炎に起因する狭窄);雌性生殖管の閉塞(例えば、膣炎、子宮頸炎、骨盤炎症疾患(例えば、結核、淋菌、クラミジア、エンテロコッカス、および梅毒);尿管閉塞(例えば、膀胱炎、尿道炎);呼吸管閉塞(例えば、慢性気管支炎、結核、他のマイコバクテリア感染(MAIなど)、嫌気性感染、真菌感染、寄生動物感染)、及び心臓血管閉塞(例えば、糸状菌動脈瘤および感染性心内膜炎を含む))を生じ得る、いくつかの急性および慢性感染性プロセスを挙げることができる。
【0144】
上記の疾患などの感染性疾患を治療するために、様々な治療剤(キャリアを伴うまたは伴わない)を、身体通路へ送達し、又は、医療用移植装具を介して平滑筋細胞へ送達できる。これに関連する特に好ましい治療剤として、ネオマイシン、及び上記の広範で様々な抗生物質を挙げることができる。
【0145】
試験用薬物の選択
パクリタキセル(PTX)は、局所薬物送達に必要な基準の多くを満足する薬物溶出気管気管支ステントに含まれる活性成分である。PTXは、幅広い抗癌スペクトルを示し、肺癌患者に治療可能性を示し、肺毒性が最少である。肺癌に局所的に投与したときの、PTXの治療活性を支持する前臨床成績がある(例えば、Creel等、(2000) Circulation Res.86:879−884;Kuh等(1999)J.Pharmacol.Exp.Ther.290:871−880;Aphios web site: world wide web at <aphios.com>、folder ”pipeline”、及びdocument ”dermos.html”; Jackson等(2000;Cancer Res.60:4146−4151;Sousa等(2003)Circulation 107:2274;Herdeg等(2000)J.Am.Coll.Cardiol.35:1969−1976; Gautam(2003)Curr.Cancer Drug Targets 3:287−296、を参照)。
【0146】
サリドマイド(THM)は、複数の作用機作をもっている。それは、強力な免疫調節作用、抗血管新生作用、抗炎症剤である(Meierhofer等(2001)Biodrugs 15:681−703;Puckmann等、(2000)Drugs、60:273−292;Moreira等、(1993)J.Exp.Med.、177:1675−1680;Calabrese等(2000)Am.J.Med.、108:487−495;Mujagic等(2002)Croat.Med.J.、43:274−285、を参照されたい。)。サリドマイド、細胞毒性がなく、またパクリタキセルとは異なる作用機作をもつ。
【0147】
免疫調節剤: サリドマイドは、免疫機能、サイトカイン分泌、血管新生、及び細胞接着、及び細胞増殖に関しスペクトルの広い免疫調節剤である(以下を参照されたい:Meierhofer等(2001)Biodrugs 15:681−703;Puckmann等(2000)Drugs、60:273−292;Moreira等(1993)J.Exp.Med.177:1675−1680;Calabrese等(2000)Am.J.Med.108:487−495;Mujagic等(2002)Croat.Med.J.43:274−285)。免疫調節と抗血管新生特性は、サリドマイドの抗腫瘍活性にとって重要であると考えられ、これらの順に、細胞性サイトカインの分泌に薬物の多作用を通して仲介される。サリドマイドの最も意義のある効果は、TNFαの生成と放出に関することであり、それは、内皮細胞のインテグリンの上方調節において新生血管形成に重要な過程に関与するサイトカインである。
【0148】
抗血管新生活性: サリドマイドは、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)及び
塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)誘導血管新生において強い抗血管新生活性を有する。このような効果は、多くの腫瘍を含む血管の新しい形成に関与する疾病の治療に特に重要である。
【0149】
有望な臨床試験
サリドマイドは、肝癌及び肺癌での臨床治験で有望であることを示した(下記を参照されたい:例えば、Dmato等(1994)Proc.Natl.Acad Sci.91:4082−4085;Kong等(2001)Proc.Am.Soc.CHn.Oncol.20:133b;Part等(2000)Proc.Am.Soc.Clin.Oncol.14:266a;Schwartz等(2002)Proc.Am. Soc.Clin.Oncol.21:10b;Hsu等(2003)Oncology65:242−249;Wang等(2004)World J.Gastroenterol.10:649−653;Mise等(1996)Hepatofogy 23:455−464;Hsu 等(1997)Anticancer Res.17:2803−2809;及び、Poon等(2002).J.Clin.Oncol.20:1775−1785)。予備的報告では、応答率4%〜10%、疾病抑制率8%〜57%であるが、サリドマイドに関連する全身毒性を伴うことを示唆している。
【0150】
薬物動態上の利点: サリドマイドの局所領域の送達は、薬物動態上の利点を提供し、サリドマイドの全身的な副作用を最少にしつつ、長い滞留時間と高濃度を提供することにより、治療効果を強める(例えば、Collins(1984)J.Clin.Oncol.2:498−504)。
【0151】
サリドマイドの物理化学的プロフィール: サリドマイド(C13H10N2O4)は、不タールイミドグルタールイミド、系統名の1つは、2−(2、6−ジオキソ−3−ピペリジニル)−lH−イソインドール−l、3(2H)−ジオン)である。通常入手できるサリドマイドは、ラセミである。光学異性体は、インビボで相互に転換する。
【0152】
PTXとTHMの併用: 相補的な作用機作を伴う多剤治療の優越性は、癌治療の標準的な治療であり、治療域を増大することがわかっている。PTXとTHMの(または、他のいずれかの1組の薬物)二本立て薬物製剤の局所適用におけるインビトロ及びインビボ性能を開発し、評価することができる。
【0153】
自己展開式の金属ステントのプロフィール: 自己展開式金属ステント(SEMS)は、気管−気管支の閉塞した管腔内を治療するために用いられる。ボストンサイエンティフィック社(Boston Scientific)のウルトラフレックス(ULTRAFLEX)ステントは、SEMS気管−気管支ステントの最近の業界標準である。被覆していないウルトラフレックスを薬物溶出気管−気管支ステントの支持体として用いることができる。ウルトラフレックスは、閉塞した体腔の治療に有効性を示しているが、全てのSEMと同様に、原発腫瘍の内方成長と肉芽形成という問題をもっている。
【0154】
生分解性ポリマのプロフィール:表面浸食性のポリ酸無水物は、約20年間有用な薬物送達キャリアとして研究されてきた。本発明で用いることのできる2つのポリ酸無水物を、図13に開示している:セバシン酸(SA)の共重合体(図13a)及び1、6−ビス−(p−カルボキシフェノキシ)ヘキサン(CPH)(図13b)である。水不溶性であるこの群は、当業者に公知の条件下で体内に吸収され得る水可溶性モノマに分解する。共重合体の比率を調節することにより、分解率を2、3日〜2、3ヶ月まで調節及び/又は調整することができる。表面浸食性ポリ酸無水物に加えて、ポリ酸無水物の独自の両親媒性の群を送達ヴィークルとして用いたポリCPH:SA共重合体を送達ヴィークルとして評価に用いることができる。
【0155】
ポリ酸無水物は、約20年間有望な薬物送達キャリアとして研究されてきた(Narasimhan及びKipper(2004)Chem.Engineer.29:169−218;Determan等(2004)J.of Control.Release 100:97−109;Tamada及びLanger(1992)J.Biomater. Sci.Polym.(編).3:315−353;Ron、等(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.90:4176−4180;Tabata等、(1993)Pharm.Res.10:487−496)。カルボキシフェノキシアルカン−コ−アルカノイックアシッド、ポリセバシン酸(SA)、及び1、6−ビス−(p−カルボキシフノキシ)ヘキサン(CPH)(参照、図13a、図13b)などのポリ酸無水物が、水可溶性モノマに分解する水不溶性モノマの群(酸無水結合を横断する骨格鎖の切断による)である。
【0156】
ナラシムハン(Narasimhan)は、オリゴマ性エチレングリコール−含有酸無水物モノマをベースとした両親媒性酸無水物の新規な群を考案した(例えば、新規薬物キャリアとして有望な、1、8−ビス(p−カルボキシフェノキシ)−3、6―ジオキサオクタン)(CPTEG)(Torres等(2006)J.Biomed.Mater.Res.76:102−110);Vogel及びMallapragada(2005)J.Control ReI.26:721−728)。これらの材料は、ポリマ中の1、6−ビス(p−カルボキシフェノキシ)ヘキサン)(CPH)よりもより速く分解するように設計することができる。CPTEG−含有ポリ酸無水物は、2、3週間から2、3ヶ月以上にかけて分解するポリ酸無水物SAやCPHに比べて、2、3日乃至2、3週間乃至2、3ヶ月にかけて分解する。このようなポリ酸無水物は、ポリ(カルボキシフェノキシアルカン)及びポリ(CPTEG)をベースとする共重合体である(図13)。両親媒性ポリ酸無水物、ポリ(カルボキシフェノキシアルカン−co−CPTEG)は、水可溶性モノマ1、6−ビス−(カルボキシフェノキシ)ヘキサン及びオリゴマのエチレングリコールに分解する。CPHモノマは、前臨床試験で生体適合性のあることがわかっている((Sampath及びBrem、1998、Cancer Control Journal Vol.3、Number 5 Supplemental; Leong等(1986)J.Biomed.Res.20:51−64;Harris(1992):Poly(ethylene glycol)Chemistry:Biotechnical and Biomed.Applications、Plenum Press、New York NY、pp1−13;及びDomb及びLanger(1987)J.Polym.Sci.、Polym.Chem.(編)25:3373−3386)及び「オリゴマ性エチレングリコールは生体適合性であり、低毒性であることは公知である。(Harris(1992)前記に同じ)。
【0157】
薬理学
薬学的組成物は、活性成分が、所望の意図する目的を達成する有効量を含んでいる物質である。有効量を決めることは、当業者に十分可能な範囲である。
【0158】
どのような化合物でも、治療上の有効量は、細胞培養試験か又は動物モデルのいずれかで当初に予測可能である。動物モデルは、望ましい投与量域と投与経路を達成するためにも用いられる。このような情報は、ヒトにおける有用な投与量と投与経路を決定するためにも用いられる。薬学的に受け入れ可能なとは、薬物学的及び/又は毒性学的観点から患者に受け入れることができ、また、組成物、製剤、安定性、患者への受け入れと生体適合性の物理学的/化学的観点から製造している製薬化学者にとって受け入れることができることを意味する。
【0159】
治療上有効量とは、症候又は症状を改善するタンパク質又は阻害剤の量を意味する。このような薬剤の治療有効性と毒性は、細胞培養又は実験動物の標準的な薬学的手法により決定することができる。例えば、ED50(個体数の50%治療上の有効量)及びLD50(個体数の50%致死量)である。毒性と治療効果の用量比が、治療指数であり、LD50/ED50比で表される。治療指数が大きい薬学的製剤が好ましい。細胞培養や動物実験から得たデータは、ヒト使用の用量範囲を定めるために使われる。
【0160】
モデルシステム
動物モデルは、そのモデルがヒトに類似した表現型応答を示し、接触状況がヒトの接触状況に相当するモデルをバイオアッセイとして用いることができる。ほ乳動物が最も一般的なモデルであり、低価格であり、入手し易く、寿命、生殖能、及び豊富な参考文献といった理由から、多くの病原体、癌、薬物、毒性等の研究は、齧歯類(例えば、ラット又はマウス等)で行われる。同系交配及び非同系交配齧歯類の系統が、関心のある遺伝子の低発現又は過剰発現の生理的影響を調べる研究や、疾病の診断及び治療方法の開発のために便利なモデルを提供している。特定の遺伝子、例えば、ミルク中に分泌される等を過剰発現する同系交配ほ乳動物は、その遺伝子により発現したタンパク質の便利な供給源として役立ち得る。
【0161】
毒性
毒性学は、生物系に対する薬剤の影響を研究することである。毒性研究の大多数は、ラット又はマウスで行われる。ラット又はマウスにおける生理、行動、恒常作用、死亡率の定性的、定量的な変化の観察は、薬剤の毒性特性を発現したり、薬剤接触後のヒト健康に及ぼす有用な影響を評価するために用いられる。
【0162】
急性毒性試験は、薬剤の症候又は致死率を決定するための被験体への薬剤の単回投与に基づいている。生殖サイクルが短く統計的な要求を満たすための必要な生物数の生産が可能であるため、マウスとラットはこのような試験で最も高い頻度で用いられる。3つの試験が行われる:(1)最初の用量範囲を見いだす試験、(2)有効投与量の範囲を狭める試験、及び(3)用量反応曲線を確定する試験である。
【0163】
亜慢性毒性試験は、薬剤の反復投与に基づくものである。ラット及び犬が、異なる科における種からのデータを提供するためにこれらの試験で一般に用いられる。発癌性を除き、3〜4ヶ月間の高用量での薬剤の連日投与が成熟動物で多くの毒性型を明らかにするという相当の証拠がある。
【0164】
慢性毒性試験は、1年又は以上の期間であり、薬剤が毒性又は発癌性持たないことを示すために用いられる。試験をラットで行われたときは、最少3試験群と1対照群を用い、試験中間隔をあけて動物を観察し、モニタする。
【0165】
構成材の組み合わせ
支持体、ポリママトリックス、薬物、及び/又は薬学的製剤などの本発明の構成材は、様々な方法で組み合わせることができる。図1乃至10は、構成材をどのように組み合わされて使用するかを例示している。図1、3、5、7及び9は、シリンダ状又は管状構造の一部を形成する構成材を例示している。対応する図2、4、6、8及び10は、組み合わせて、例えば、平面基本上で層にした構成材を例示する。図5及び6は、支持体とポリママトリックスの様々な比率の混合物である材料を例示する。
【0166】
本発明は、以下に記載する実施例を参照することにより容易に理解できる。しかし、実施例は、本発明のある実施形態、及び、実施態様の例示を目的として単に含めたものであり、本発明は、これらに限定されるものではない、
【0167】
実施例
実施例I 生分解性ポリ酸無水物の合成と特徴
モノマ、SA、CPH及びCTEGをベースにした酸無水物共重合体の合成に溶融重縮合法を用いた。プレポリマは、ジカルボン酸を無水酢酸と還流することにより調製し、再結晶により精製した。その他のジカルボン酸モノマ、CPH、及びCPTEGは、前述の方法(Narasimhan、B.、及びM.J.Kipper 2004)同上;Torres等(2006)同上;及びVogel及びMallapragada(2005)同上)により合成した。EG含有二塩基酸は、ハロゲン化トリ−EG単位をp−ヒドロキシ安息香酸で末端を官能基化することにより合成できるであろう (Narasimhan、B.、及びM.J.Kipper.2004.同上;Determan等(2004)同上)。共重合体組成物は、分解時間が2、3日〜2、3ヶ月の期間に変動するように選択する。化学構造、熱及び機械特性、及びポリマの分解率が特徴付けられる。
【0168】
予備製剤のスクリーニング検査: ポリマ比率に対する最適薬物を、製剤シュミレション及びコーティング処理の異なる条件下で、ポリマと薬物の有機溶媒中での物理的及び化学的溶解性、安定性と適合性に基づいて確認する。
【0169】
製剤化の試験及びコーティング処理開発:
ステントを支持体として用いる場合、PTX、THM及びPTX−THM装填量は、0.05〜50mg/ステント又はそれ以上の範囲である。抑制薬物放出率は、24〜48時間で1%〜25%の放出であり、ポリマ分解の範囲は、0.5〜3ヶ月で100%である。
【0170】
実施例II 生分解性ポリマの合成と特徴
SA、CPH、及びCPTEGベースの酸無水物共重合体を、混合したアセチル化プレポリマから真空下(0.3torr以下)、180℃で溶融重縮合により合成した(Narasimhan、B.、及びM.J.Kipper.2004)同上;Torres等(2006)同上;及びVogel及びMallapragada、2005、同上)。プレポリマは、ジカルボン酸を無水酢酸で還流することにより調製し、再結晶により精製した。SAは、シグマアルドリッヒ社(Sigma Aldrich)(St.Louis、MO)から購入する。その他のジカルボン酸モノマ、CPH及びCPTEGは、前述の方法により合成する[1、(Torres等、2006、同上;及びVogel及びMallapragada、2005、同上)]。ホモポリマに加えて、SA、CPH及びCPTEGの共重合体を合成した。ポリマは、化学構造と純度を検証するために1H核磁気共鳴(1H NMR)及びIR分光測定により、分子量を決定するためにゲル浸透クロマトグラフィにより、熱的特性を決定するために示差走査熱量測定(DSC)により、力学的特性を決定するために動的機械分析により特性化した。
【0171】
予備製剤スクリーニング: エタノール、アセトン、ジクロロメタン、アセトニトリル、ジメチルスルフォキシド及びジメチルアセタミド中で、ポリマ溶液中(0〜50%w/v)のPTXとTHMの溶解度を測定した。薬物とポリマの両者が溶解している場合のポリマ比率に対する薬物の最高比率と最低比率をまとめた溶液安定性を、()、5℃、25℃/75%湿度、及び40℃/60%湿度で2週間測定した。
【0172】
実施例III 分析方法の開発
サリドマイドの定量(生物学的分析的及び分析的)
(サリドマイド(THM)成分/ステントのサンプル調製
ステント上のポリママトリックスからのTHMの抽出を、メタノール及びアセトニトリルを用いた比較抽出分析後に最適化した。抽出効率が高い溶媒を引き続き行った定量試験に選択する。
【0173】
THM製剤力価測定用の高速液体クロマトグラフィ
ラット血漿中のサリドマイド測定用の高速液体クロマトグラフィ(HPLC)技術を改良してステント上に被覆されたサリドマイドを定量した(Yang等、2005、J.Pharm.Biomed.Anal.、39:299−304)。このクロマトグラフ法は、逆相ハイパーシルC18カラムとアセトニトリル−10mM酢酸アンモニウム緩衝液(pH5.50、28:72、v/v)からなる移動相でを、流速0.8ml/分で、使用する。サリドマイドを、220んmの紫外線吸収によりモニタした。
【0174】
生体マトリックス中のTHM定量用高速液体クロマトグラフィ
ラット血漿中のサリドマイド測定用の高速液体クロマトグラフ(HPLC)法を改良してマウス肺組織及び血漿中のサリドマイドを定量した。投与後の異なる時点でのTHMレベルを、評価検討の一部としての試験的な組織分布研究として測定し、薬物動態学と薬動力学の相関を検討した。クロマトグラフ法は、逆相ハイパシルC18カラムとアセトニトリル−10mM酢酸アンモニウム緩衝液(pH5.50)(28:72、v/v)からなる移動相で、流速0.8ml/分を用いている。
【0175】
PTX及びTHM−PTXの分析手法
ステントのPTX内容物のサンプル調製: ステント上のポリママトリックスからのPTX抽出をメタノールとアセトニトリルを用いて比較抽出をした後に最適化した。抽出効率が最大の溶媒を選択して、下記に述べる定量を行った。
【0176】
PTX定量用のHPLC法
以下の逆相HPLC法を当初の方法(Alltech,Philadelphia、PA)から改良して、ステント中PTXを定量し、インビトロ放出プロフィールを得た。この方法を用いたPTXのリテンションタイムは、8分である。
【0177】
カラム(53 mm x 7 mm; ROCKET (Alltech No. 81174))は、ALTIMA Ph,3 μm (Alltech)を具え、移動相は、A(水)、B(メタノール:アセトニトリル;15:85);勾配は、8分間で32%Bから50%B;実行時間は流速2.5ml/分で15分である。溶出液の吸収率は、227nmでモニタした。
【0178】
さらに、THMとPTXの同時測定法を開発した。その方法は、両方の方法論の鍵となる特性を合わせたものである。最初に、以下の2方法を用いた試料測定により定量する。
【0179】
インビトロでのPTX、THM、又はPTX−THMの放出プロフィール
この検討は、容易に入手できる溶解メディウム中で品質管理を行う目的で、PTX、THM又はPTX−THMの遅延放出、中程度放出、速放出を識別し、放出プロフィールの変化を識別する。これは、ブタ気道モデルにインプラントした薬物溶出ステントからの各薬物の24時間、7日、及び30日でのインビボ放出率に関連付けることができる。
【0180】
ステントを、溶解メディウム25mlを含む溶解浴中に入れる。そのメディウムは、リン酸緩衝生理食塩水中0.1〜1.0%ポリソルベート80(界面活性剤)を含む。界面活性剤の濃度は、ある実験方法を展開後に決定される。溶解メディウムは、25℃で毎分10回転で攪拌する。溶解浴からメディウムの一部を、0.6時間、24時間及び48時間でサンプリングする。サンプルを、HPLCを用いて測定し、ステント上のPTX放出率プロフィールを得る。
【0181】
薬物のエクスビボ放出プロフィール
保存したブタ中心気道を用いて、37℃/75%相対湿度のインキュベータ中で、0、2、6、24時間にインプラントしたPTX、THM及びPTX−THMステントの組織分布を検討した。ステント上の残留薬物量と組織分布を求めた。組織ホモジナイズ、アセトニトリルでのタンパク質沈殿、HPLC又はLC−MS法を用いた定量を含む標準的なサンプル抽出手法を用いた。この検討の目的は、インビボ組織分布試験から得たデータと関連づけること、及びインビボ放出法との共働して製剤を最適化する迅速スクリーニング法として用いることである。
【0182】
インビトロポリマ生分解率
ポリ(SA)、ポリ(CPH)、ポリ(CPTEC)、ポリ(CPH:SA)、ポリ(CPTEG:CPH)及び共重合体(CPH:SAの20:80、50:50及びCPH:CPTEGの20:80を含む組成物)の100mgの錠剤が、カーバプレス(Wabash、IN)で2分間、600psi、そのポリマの融点のすぐ上の温度で圧縮して溶融する。過去の経験では、このようなポリマの分解時間の範囲は、1週間以内〜6ヶ月以内の範囲で変動することを示している。次に、錠剤を、37℃で100rpmで作動しているインキユーベータ中の25mlのリン酸緩衝液(0.1M、pH7.4)の中に入れる。緩衝液は毎日入れ替える。異なる時間間隔で錠剤2個を、緩衝液から取り出して、さらなる分析に付す。錠剤の質量損失を、重量分析により測定し、一方、分子量損失を、GPCによりモニタする。錠剤表面形態も、走査型電子顕微鏡で、またモニタする。
【0183】
コーティングの完全性
ステントのコーティングの完全性が、顕微鏡を用いて評価し、走査型電子顕微鏡を用いて確認して、ひび割れや、他の物理的ふぞろいを検出する。
【0184】
製剤化及びコーティング処理の開発
図12は、製剤化試験の間に続けて行われる例示的な一般的成形とコーティング処理を示す。ウルトラフレックス(Ultaflex)ステントと同じ寸法のレーザカットしたニチノールステントを準備し、製剤試験中に被覆した。製剤寸法を確認して、ボストンサイエンティフィック社からのウルトラフレックス空ステントを代表的なFDA承認自己展開式気管−気管支ステント基盤(platform)として用いた。
【0185】
予備コーティングステントの調製
空金属ステントをアセトン、メタノール、イソプロパノール等の有機溶媒で連続的に清掃して、最後に蒸留水で清掃する。これらは、次いで200℃のオーブンで1時間、乾燥させて、残留溶媒を除去する。
【0186】
ポリマ薬物製剤の調製
予備製剤スクリーニング検査から得られた結果は、これらの製剤の調製と保存の指針になる。薬物又は併用薬物の濃縮溶液は、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセタミド、又はエタノールで調製した。一部を、アセトン、アセトニトリル、又は、ジクロロメタンなどの適当な有機溶媒中のポリマ溶液(1〜25%w/v)に加え、0.1〜10%w/vの範囲の薬物濃度を得る。
【0187】
ステントプラットフォーム上へのポリマ薬物(単数又は複数)製剤のコーティング
ポリマ状パクリタキセル製剤を浸漬コーティング処理又はスプレイコーティング処理のいずれかの方法でコーティングした。再現性、使用の容易性、効率及び薬物荷重などで処理の選択を決めた。研究室用のスプレイ塗装機と乾燥機を用いてステントプラットフォームに薬剤−ポリマ製剤を被覆し、乾燥させた。
【0188】
ステントは、粘着ポリマ層又は上塗ポリマのいずれかで予備コーティング又は後コーティングする。薬物放出プロフィールの設計上変動するパラメータは、薬物の相違、ポリマの比率、加熱、乾燥温度及び比率、湿度調整、上塗層、及び薬物が有る又は無い層状コーティングである。
【0189】
分析試験と3種の試作製剤の選択
製剤及びコーティング試験からの薬物溶出ステントサンプルを、コーティングの完全性、薬物内容物及び薬物のインビトロとエクスビボでの放出プロフィールについて試験をした。薬物の低用量、中用量、高用量を一括して含む3種の試作製剤及び放出率を前臨床の有効性試験用に選択した。一括した製剤は、0.05〜50mg/ステント又はそれ以上の範囲での薬物荷重、24〜48時間で放出される1%〜25%の範囲の放出率を目標にする。次いで高用量の薬物又は併用薬物をもつ製剤を確認する。
【0190】
実施例IV 同所性ヒト肺癌H460−GFPモデルでの組成物の抗腫瘍性の有効性
動物: 20匹のNCrnu/nu雄マウス、5〜6週齢を評価試験に用いる。外科手術による同所移植(SOI)直後の死亡マウス用の補充するために適当数の追加マウスををプロトコールに加えた。試験する腫瘍は、ヒト肺癌細胞株H460−GFPである。実験動物を混ぜ合わせた各々のケージは、各ケージ毎に最多5匹となるように群に対して独特の方法で明確にマーキングする。各マウスは、その独自のマーキングを示す耳標識をもつ。全ての群は、無作為抽出で分ける。処置は、細胞株移植3日後に始める。試験薬剤は、前述した組成物から選択し、ヴィークルで予備製剤化する。試験薬剤は、ポリマと薬物を含んでいる。動物を麻酔し、気管を露出する。20μl以下の試験薬剤(試験)又はヴィークル(対照)を27G針シリンジを用いて気管に注入する。手順は表1に要約する。
【0191】
動物は、GFP撮影を1週間に2度行ってモニタして、原発腫瘍と腫瘍GFPを捕らえたときに始まり、検査する。体重は週1回測定する。試験終了時点は、SOI後約4週間、又は対照群中の3匹が死亡したときのいづれかが、最初に生じたきたときであり、治療期間中であることは関係しない。動物は、死亡又は死亡の症候を毎日検査する。病的な動物、特に、死が切迫している場合は、思いやりをもって、犠牲死させ、冷凍する。試験中に死亡した全ての動物は、原発腫瘍及び転移を剖検で解剖時に開GFP画像(open GFP imaging)で検査する。原発腫瘍は、剖検時に切除して秤量する。統計的分析(スチュデントt―検定;ANOVA)を全ての動物データに行う。
【0192】
薬物動態プロフィール
薬剤(単数又は複数)の接触を有効性試験の一部として血漿中、肺組織中で評価した。血漿中又は肺組織中の接触濃度を投与後異なる時間で測定する。
【0193】
次いで、本発明に用いる抗腫瘍を有する試験薬剤を選択した。
【0194】
実施例V 薬物動態の検討
ステントインプラン後の薬剤の組織分布に関連する基本的な批評家の質問/提言に対処するために幾つかの実験を行った。同じ実験が、前臨床研究のために道を開き、薬物溶出気管ステントの評価の基礎を予見するであろう。サリドマイド(THM)とポリマのスクリーニング製剤をこの試験に用い、ラットを前臨床モデルに選んだ。実験は以下のセクションで説明する。要約は、下記の表2に表に示す。
【0195】
THM−ポリマ製剤12mg/kg量(100μl量3回)のラット気管内送達後、高レベルのTHMが肺組織で、低レベルのTHMが血漿中で見つかった。データは、肺組織と血管系への良好な分布/拡散を示した。
【0196】
実験動物ラットに8mg/kg用量(200μl用量容積)のTHM−ポリマ製剤をインサイチュウ(0.5時間)での点滴送達後、高レベルのTHMが気管と肺組織内でみられた。
1)気管−気管支及び肺組織におけるTHX濃度
【0197】
試験的な薬物動態(PK)試験を行って、THX−ポリマ製剤の気管−気管支内投与後の、気管−気管支及び肺組織レベルを測定した。
【0198】
方法: 10mg/mlTHX−ポリマ製剤を、4mg/Kgの用量で、100μl容量を4匹のラットに3回30分間隔で送達した(麻酔をしたラット)。投与中は動物に麻酔をしていた。2匹のラットは、第2回の投与後に死亡した。第3回投与20分後及び40分後に、採血し、気管−気管支肺を採取した。サンプルは、LC−MS分析用処理まで凍結した。抽出方法とLC−MS方法は、別の実験として記載する。サンプル抽出は、アラバスク社(AraVasc Inc.)で行い、処理したサンプルは、LC−MS測定のためにアルタ分析研究所(Alta Analytical Laboratory)(El Dorado Hills、CA)へ送った。血漿と肺組織のみをLC−MSで分析した。
【0199】
結果:
20分及び40分時点でのTHXレベルは、肺組織100mg当たり、各々、21.80μg及び、16.81μgであった。20分及び40分時点でのTHXレベルは、各々、血漿1ml当たり0.19及び0.44μgであった。
【0200】
2)インサイチュウ気管内点滴
インサイチュウ気管内点滴の試験的な検討を行って、THX−ポリマ製剤のインサイチュウ気管内点滴した後に、気管及び肺組織レベルを測定した。
【0201】
方法: 2匹のラット(直後に終焉)に、THX−ポリマ製剤を気管内に30分以上かけて点滴を行った。投与量は、8mg/kgで容量は200μlであった。点滴後これらを、加温した暖かい加熱パッドで2時間包んだ。2時間後に、(吸収した薬物を除くために)組織とスパーテルで気管−気管支管腔を拭った後に気管−気管支及び肺組織を採取した。サンプルは、LC−MSによる処理と分析まで−80℃で凍結保存した。サンプル抽出は、アラバスク社(AraVasc Inc.)で行われた。処理したサンプルは、アルタ分析研究所(Alta Analytical Laboratory)で分析された。
【0202】
2匹のラットでのTHXレベルは、肺組織100mgあたり、各々、0.58及び0.75μgであった。2匹のラットのTHXレベルは、気管組織100mgあたり211.21及び290.36μgであった。
3)ラットでの気管ステントインプラント
【0203】
方法: 口径13ゲージプラスチック製栄養補給チューブは、声門を通して通過させられる最大直径である。ラットは、イソフルラン5%を用いて麻酔し、上門歯を介してスラントボード(傾斜板)に固定した。13ゲージプラスチック製栄養補給チューブを2cmの長さに予め切断した。光ファイバー光線により強い光腺を首にあてて通すことにより口から声門を見た。探り針として18ゲージチューブを用いて、ステントを気管内へ通した。チューブを滑り落ちないように維持するために、気管は、鈍的切開により曝し、4−0絹縫合で周囲を縫合した。首の切開は、2つの止め金で閉じた。別のラットは、縫合糸で結ぶことなく同様の操作をした。そのような操作後は、両方のラットともに、呼吸が困難であったが、翌朝は良好な呼吸をしていた。縫合したラットは、2日後に死亡したが、縫合しないラットは3週間以上生存した。ステントは、首尾良くインプラントでき、ラットモデルでは3週間以上維持した。
【0204】
LC−MS生物分析法の開発
方法: LCM法の予備的スクリーニングを、組織内及び血漿内のTHXを定量するために開発した。定量法は、259.0のプロトン化分子イオンと259の186.4イオンでのプロダクトイオンで陽イオンモードMRMスキャンを用いた。方法の条件とパラメータは下記の表に挙げている。装置はSCIEX PE3000であった。方法は表3に要約した。
【0205】
組織及び血漿の抽出: 組織を、すり潰し(ガラス−ガラスホモジナイザ)、70:30のアセトアニリド中0.1%ギ酸及び水中0.1%ギ酸の70:30]で組織対溶媒が1:3の比率で抽出した。血漿は、同じ溶媒を用いて血漿対溶媒1:2の比率で抽出した。抽出した上清をLCMS分析の処理にかけた。
【0206】
結果: スクリーニングLC−MS法を濃度領域50〜30、000ng/mlで、THXの定量用に開発した。
【0207】
実施例IV 前臨床製剤
方法: THXをジメチルスルホキシド(1%)に溶解させ; エタノール中に溶解した、共溶媒−溶解剤、ポリエチレングリコール300(PEG−300)(20%v/v)、ポリソルベート−80(2.5%)、ホスホリピッド(5%)、ポリ酸無水物CPH:SA(20:80)ポリマ(10%)を混合し、均一に攪拌した。その製剤は、PBSを共う「Qsed」(容量で調製)であった。粘りがあるが、注射可能である懸濁液製剤10mg/mlTHX強度が得て、POCのPK試験に用いた。
【0208】
本発明を製造及び使用する他の例示的なモードは、本出願が優先権を請求している米国仮出願、US60/745、834に開示されており、その全内容は、参照により本明細書に取り込まれている。
【0209】
本発明の具体的な態様が、記載されているが、本発明の広い見地から逸脱することなく、当業者ならば、その変更と改変を行うことができることは自明であり、したがって、添付した特許請求の範囲は、その変更と改変の全てが本発明の精神と範囲内で含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0210】
図面中の番号の参照:
1. 支持体
2. 第一ポリママトリックス
3. 薬物
4. 第二ポリママトリックス
5. 金属又は合金
6. 薬学的製剤
7. 固定用ヒレ
8. マーカ
9. 裏張り
10.排出口
11.ステントの管腔
【0211】
【図1】図1は、本発明の例示的な1態様であり、棒状又はシリンダ状システムを図示し、支持体1、第一ポリママトリックス2、及び薬物3を示す。この図面及び以下の図面では、ポリママトリックス、及び/又は支持体、及び薬物は、代表的で、均一な組成物とすることができる。
【図2】図2は、本発明の例示的な1態様であり、膜状又は層状システムを図示し、支持体1、第一ポリママトリックス2、及び薬物3を示す。
【図3】図3は、本発明の例示的な1態様であり、棒状、又はシリンダ状システムを図示し、第一ポリママトリックス2、薬物3、及び第二ポリママトリックス4を示す。
【図4】図4は、本発明の例示的な1態様であり、膜状、層状システムを図示し、第一ポリママトリックス2、薬物3、及び第二ポリママトリックス4を示す。
【図5】図5は、本発明の例示的な1態様であり、棒状、又はシリンダ状システムを図示し、第一ポリママトリックス2、薬物3、及び第二ポリママトリックス4を示す。第一ポリママトリックスと第二ポリママトリックスは均質であり、交互のバンド材で表されている。
【図6】図6は、本発明の例示的な1態様であり、膜状又は層状のシステムを図示し、第一ポリママトリックス2、薬物3、及び第二ポリママトリックス4を示す。
【図7】図7は、本発明の例示的な1態様であり、棒状又はシリンダ状システムを図示し、第一ポリママトリックス2、薬物3、及び金属又は合金5を示す。
【図8】図8は、本発明の例示的な1態様であり、膜状又は層状システムを図示し、第一ポリママトリックス2、薬物3、及び金属又は合金5を示す。
【図9】図9は、本発明の典型的な1態様である、棒状、シリンダ状システムを図示し、支持体1、第一ポリママトリックス2、第二ポリママトリックス4、金属又は合金5、及び薬学的製剤6を示す。この図又は他のあらゆる図において、ポリママトリックス及び/又は、支持体及び薬学的製剤は、代替え的に、均質な組成物であり得る。
【図10】図10は、本発明の典型的な1態様である、膜状又は層状システムを図示し、支持体1、第一ポリママトリックス2、第二ポリママトリックス4、金属又は合金5、及び薬学的製剤6を示す。
【図11】図11は、本発明の例示的なステントを斜め上からの表したものであって、このステントは、生体内分解性のステント、生体内非分解性のステント、又は、ステントグラフトである。このステントは、固定ピン7をもち、その上に選択的にマーカ8、金属又は合金5、排水用開口部10をもつ選択的な内張9を具える。ステント金属又は合金は、ポリママトリックス又はマトリックス及び薬物及び/又は薬学的製剤が覆っている。
【図12】図12は、薬物溶出ステント製品を開発し製造する例示的で一般的形成工程を表す。BMSを用いた工程は工程Aであり、ポリマ薬物を用いる工程は、工程Bである。用いたステントは、金属、又は合金、生分解性ポリマ、又はハイブリッドステントである。生分解性ステントは、薬物−ポリマ成形体を望ましい形状に押し出すことにより直接的に製造することができ(プロセスB)、この分野の当業者に公知の方法と技術を用いて製造することができる。
【図13】図13は、本発明で用いた生分解性ポリ酸無水物の繰り返し単位を図示し;a)ポリ(SA)、b)ポリ(CPH)、及びc)ポリ(CPTEG)である。この図において、「m」及び「n」は、各モノマの繰り返し単位数を表す。
【図14】図14は、腫瘍気管閉塞の主要3タイプ、及び様々な気管支鏡技術を図示している。符号の説明:+++=極めて優れた臨床結果が期待される;++=顕著な臨床結果が期待できる;+=良好な臨床結果が期待できる;0=乏しい臨床結果が期待される;EBES=気管支内の電気外科手術;PDT=光力学療法。
【技術分野】
【0001】
本出願は、2006年4月27日に出願され、この内容は、参照により本明細書に取り込まれている米国仮出願第60/745,834号「局所領域のドラッグデリバリによる身体通路の疾病を治療又は予防する組成物及び方法」についての利益を請求する。
【0002】
本発明は、一般的には、血管系又は非血管系身体通路の疾病の治療又は予防用組成物及び方法に関し、より具体的には、ポリマ又は金属を具える生分解性、一部生分解性、又は永久的なものである医療用装具インプラントにより身体通路にポリママトリックスを介して局所的に送達される治療剤を含む組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
人体には必須物質の流れる多くの通路がある。これらは、例えば、動脈及び静脈、食道、胃、小腸と大腸、胆管、尿管、膀胱、尿道、鼻腔、気管や他の気道、雄性と雌性の生殖器官を含む。外傷、種々の外科的処置、又は疾病は、体腔の圧迫、狭窄、衰弱及び/又は閉塞などをもたらし、その結果、重篤な合併症及び/又は死亡に至ることもある。
【0004】
例えば、多くのタイプの腫瘍(良性及び悪性の両方)は、身体腔の壁に障害をもたらすか、又は、体腔の閉塞をもたらし、それにより身体通路を通る物質の流れが遅くなったり又は妨害したりする。癌に侵された身体通路の閉塞は、それ自体が生命を脅かすだけでなく、患者のクオリティ・オブ・ライフを制限することにもなる。
【0005】
新生物による閉塞をもたらす腫瘍の一次治療は、外科的除去及び/又は化学療法、放射線治療又はレーザ治療である。身体通路を閉塞する腫瘍は、手術不可能なことが多く、一般には、従来の治療で対処し得ない。この問題への1つのアプローチは、腔内へのステントの挿入であった。手短に言えば、ステントは、腫瘍又は他の組織/物質によりブロックされた身体通路を物理的に開いて保持する身体通路の体腔に配設する装具である。一般的に配置されているステントの代表例は、ウオールステント(Wallstent)、ステッカステント(Stecker stent)、ギアンツルコステント(Gianturco stent)、及びパルマズステント(Palmaz stent)である(特許文献1〜6)。腫瘍がステントの隙間を通って、しばしば、体腔内へ増殖し得るので、金属ステントはしばしば長期間の使用により効果が無くなる。体腔内のステントは、敏感な内方成長又はステント表面上へ炎症性組織を誘導し得る。その結果、ステントが正しく挿入された身体通路が再閉鎖される。
【0006】
悪性新生物でないにもかかわらず、増殖が関与する他の疾病は、身体通路を同様に閉鎖し得る。例えば、良性前立腺過形成による尿道前立腺部の狭窄は、60歳を過ぎた全ての男性の60%に、80歳を超えた全ての男性に100%影響する重篤な問題である。5−αレダクターゼ阻害剤(例えば、フィナステライド)、又は、α−アドレナリン作働性ブロッカ(例えば、テラゾザン(terazozan))などの現在の薬理学的治療は、一般に、限られた数の患者にのみ有効である。
【0007】
さらに、実効可能な外科的処置[例えば、経尿道的前立腺切除(TURPs);直視下前立腺切除、又は尿路内泌尿器科的処置(例えば、レーザ前立腺切除、マイクロ波の使用、低体温法、凍結外科、又はステント)]は、出血、感染、失禁、インポテンツ、及び疾病の再発などの数多くの合併症が生じる。
【0008】
新生物又は増殖性疾患に加えて、血管系の疾病などの他の疾病は、身体通路の狭窄、弱体、及び/又は閉塞をもたらし得る。2004年の推計(米国心臓病学会の出典)によれば、約6200万人の米国人が1以上の心臓血管系の疾病を患っている。これらの疾患は、米国内で同年に95万人(全死因の40%)の生命を奪っている。
【0009】
バルーン血管形成術(ステントを用いて又は用いることなく)は、血管の疾病で最も広く用いられている治療の1つである;レーザ血管形成のような他の選択もまた、利用可能である。これが、血管系の重篤なほとんどの場合の治療選択であるが、バルーン血管形成術を受けている患者の約3分の1(出典、Heart and Stroke Foundationホームページ)が、最初の施術から6ヶ月以内に治療した動脈に再狭窄が生じており;しばしば、更なる措置が必要とされる程に十分に重症である。
【0010】
このような血管の疾病は、血管平滑筋細胞(VSMC)の遊走、及びVSMC増殖、細胞外マトリックスの蓄積による血管内膜の二次的な肥厚に、少なくともその一部は起因している。手短に言えば、血管内皮は、血液がスムーズに流れる非血栓性表面として働き、また血管壁を含む組織から血液成分を分離するバリアとして働く。内皮細胞は、またヘパリン硫酸、プロスタサイクリン、EDRF、並びに、血小板と白血球の粘着、VSMC収縮、VSMC遊走、及びVSMC増殖を阻害する他の要素を放出する。内皮細胞の喪失や障害(例えば、血管形成術、粥腫切除術(atherectomy)、ステントの挿入中に起こる)は、血小板粘着、血小板凝集、及び血栓形成をもたらす。活性化した血小板は、血管収縮(セロトニン及びトロンボキサン)をもたらす物質、及び/又はVSMC遊走、VSMC増殖(PDGF、上皮細胞成長因子、TGF−β、及び、へパリナーゼ)を促進する物質を放出し得る。動脈により放出される組織因子は、血栓形成を促進し、平滑筋細胞が遊走、増殖し得るフィブリンマトリックスとなる。
【0011】
この事象のカスケードは、血管平滑筋細胞の表現型を収縮型から分泌型へ形質転換へ導く。細胞融解やマトリックスの破壊をもたらす血管形成術は、順に、直接的に又はPDGFの生産を介して間接的に促進して、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)の局所放出をもたらす。順に、PDGFとbFGFに加えて、血小板放出EGFやインシュリン様増殖因子−1により、VSMC増殖も促進される。
【0012】
血管平滑筋細胞も、また、血管中膜又は内膜中への遊走するように誘導される。これは、細胞外マトリックスと血管壁の内部弾性層を通るVSMCの経路を分解するマトリックスメタロプロテアーゼの放出と活性化により可能となる。遊走と増殖の後、血管平滑筋細胞は、血管内膜の肥厚の大部分を占めるグリコスアミノグリカン、エラスチン及びコラーゲンを構成する細胞外マトリックスを堆積させる。再狭窄経過の重要な部分は、動脈の外形寸法を変化させる血管壁のリモデリングに起因し得る;(中膜に加えて)外膜内での増殖に対して二次的である。このような経過の最終結果は、十分に重篤な血管壁の狭窄の再発であり、繰り返し診療行為を必要とする。
【0013】
要約すれば、事実上、血管の内腔又は非血管の内腔を強制的も操作することは、内皮細胞又は上皮細胞の上皮に損傷を与えるか又は引きはがすことになる。したがって、血管性又は非血管性の疾病自身か、又は再狭窄に続いて起こる診療行為のための治療かという選択は、このような症状にとって長期的転帰に対する主要な問題であり続ける。
【0014】
新生物性の閉塞及び血管疾病に加えて、身体通路の閉塞を生じる数多くの急性及び慢性炎症性疾患がある。これらの例として、例えば、血管炎、胃腸管疾病(例えば、クローン病、潰瘍性大腸炎)及び呼吸器系疾患(例えば、喘息、慢性閉塞性肺疾患)を挙げることができる。
【0015】
これらの疾病の各々は、抗炎症剤又は免疫抑制剤などの医薬品で、様々な成功の度合いで治療することができる。しかしながら、現在の治療方法(regimen)では、しばしば、進行が遅い疾病では有効でないことがあり、全身的毒性や望まない副作用を生じる。外科的手法を、医薬での治療に変えて又はそれに追加して用いることもできる。しかしながら、このような外科的手法は、瘢痕形成に起因して局所的再発が生じる率が高く、ある条件下(例えば、バルーンカテーテルを用いて)で、良性の活発な過増殖が生じる。
【0016】
身体通路を閉塞する他の疾病には、感染症が挙げられる。手短に言えば、身体通路の閉塞を生じる多くの急性及び慢性感染過程があり、この過程には、前立腺炎、雄性生殖管の他の疾病、雌性生殖管の様々な疾病、膀胱炎、及び尿道炎(尿道の疾病)、慢性気管支炎、結核、及び他の抗酸性菌感染、及び他の呼吸器系の問題及びある種の心臓血管疾病が含まれる。
【0017】
このような疾病は、現在では、様々な種類の治療法及び/又は外科的手法により治療される。上述のように、しかしながら、このような治療法は、望ましくない副作用をもたらす全身的な毒性を伴う困難がある。さらに、上述したように外科的手法は、瘢痕の形成により局所的な再発をもたらし得るし、ある種の手法(例えば、商業的に入手できるステントの挿入)は、良性の反応性の過増殖が生じることがある。
【0018】
現在、気管と気管支に関する薬剤溶出ステント(DES)は、存在しない。気管と気管支様ステントを開発している、ボストンサイエンティフィック、クックインターナショナル&アルベオラス(as Boston Scientific, Cook International and Alveolus)のような器具会社がある。その他の介入手順は、レーザ、内視鏡的電気外科手術、小線源療法、光線力学療法、及び凍結療法を含む。このうち、レーザ及び気管支内の電気外科術(電気焼灼器)は、苦痛を緩和し、より頻繁に用いられている。しかしながら、これらは、高度に血管が発達している肺腫瘍の組織壊死を引き起こし、組織壊死によるひどい出血が生じ、罹患率、死亡率を増加させる。
小線源療法と凍結療法及び光線力学療法(PDT)は、即時に苦痛が緩和せず、気道開存性の回復しない。
【特許文献1】米国特許第5,102,417号、
【特許文献2】米国特許第5,195,984号
【特許文献3】米国特許第5,176,626号
【特許文献4】米国特許第5,147,370号
【特許文献5】米国特許第5,141,516号
【特許文献6】米国特許第4,776,337号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
殆どの部分についての上記の疾病の症状の既存の治療には、同じ制限がある。治療剤の使用は、これらの症状を逆転させ、症状の治療に介入手法が用いられるときはいつでも、その介入手法に対して身体が反応して患者にリスクがある。本発明は、一般に上述した症状や疾病の治療に適した組成物及び方法を提供する。これらの組成物と方法は、現存する手法に伴う問題に取り組み、しばしば、現存する手法と比較したとき重要な利点をもたらしており、さらに、他の関連する利点も提供している。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、ドラッグデリバリシステム及び身体通路の閉塞を治療及び予防する前記システムを用いる方法を提供する。本発明は、癌、良性腫瘍、過形成の治療と予防に有用である。
【0021】
一の態様において、本発明は、ドラッグデリバリシステムを提供しており、そのドラッグデリバリシステムは、支持体、第一ポリママトリクス、及び薬物を含む。好ましい態様では、第一ポリママトリックスは、生物学的な酵素活性をもつ組成物による分解に対して十分に感受性である第一材料を含む。別の態様では、第一ポリママトリックスは、生物学的な酵素活性をもつ組成物による分解に十分に抵抗性である第二材料を含む。代替えの第二態様では、第一ポリママトリックスは、1つの第一材料と1つの第二材料を含み、前記第一材料が、生物学的な酵素活性をもつ組成物により十分に感受性であり、第二材料が生物学的な酵素活性に分解に十分に抵抗性である。
【0022】
別の態様では、本発明は、本明細書に開示したドラッグデリバリシステムを提供するものであって、前記支持体が、ステント、バルーン、及び第二ポリママトリックスからなる群から選択されるドラッグデリバリシステムである。好ましい態様では、ステントは、管状構造、金属製自己展開式ステント、バルーン展開式金属製ステント、自己展開式ステント、及びステントグラフトからなる群から選択される。
【0023】
別の好ましい態様では、第二ポリママトリックスは、生物学的な酵素活性をもつ組成物による分解に十分に感受性である第一材料を含む。別の代替えの態様では、第二ポリママトリックスは、生物学的酵素活性をもつ組成物による分解に十分に抵抗性である第二材料を含む。更なる好ましい態様では、第二ポリママトリックスは、1つの第一材料と1つ第二材料を含むものであって、第一材料が生物学的酵素活性をもつ組成物に分解に十分に感受性であり、第二材料が、生物学的酵素活性をもつ組成物による分解に十分に抵抗性である。
【0024】
本発明は、本明細書で開示したドラッグデリバリシステムを提供するものであって、第一ポリママトリックスが、アクリル酸、メタクリル酸、ポリフォスファゼン類、ポリカーボネイト類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸、グリコール酸、ポリヒドロキシ洛酸、ポリオルトエステロール類、ポリ酸無水物類、ポリシロキサン類、ポリカプロラクトン、ポリサッカライド類、及び、ポリプロテイン類の部分エステル化ポリマ、並びに、アクリル酸、メタクリル酸、ポリフォスファゼン類、ポリカーボネイト類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸、グリコール酸、ポリヒドロキシ洛酸、ポリオルトエステロール類、ポリ酸無水物類、ポリシロキサン類、ポリカプロラクトン、ポリサッカライド類、ポリプロテイン類の完全エステル化ポリマ及びそれらの共重合体からなる群から選択される組成物を含む。一の好ましい態様では、第一ポリママトリックスが、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリアクリルアミド、及びポリエチレングリコールからなる群から選択される親水性ポリマのモノマとの共重合体を含む。
【0025】
代替えの態様では、ドラッグデリバリシステムが、第二ポリママトリックスを含み、当該第二ポリママトリックスが、アクリル酸、メタクリル酸、ポリフォスファゼン類、ポリカーボネイト、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸、グリコール酸、ポリヒドロキシ洛酸、ポリオルトエステロール類、ポリ酸無水物類、ポリシロキサン類、ポリカプロラクトン、ポリサッカライド類、及び、ポリプロテイン類の部分エステル化ポリマ、並びに、アクリル酸、メタクリル酸、ポリフォスファゼン類、ポリカーボネイト、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸、グリコール酸、ポリヒドロキシ洛酸、ポリオルトエステロール類、ポリ酸無水物類、ポリシロキサン類、ポリカプロラクトン、ポリサッカライド類、ポリプロテイン類の完全エステル化ポリマ、及びそれらの共重合体、からなる群から選択される組成物を含むドラッグデリバリシステムである。
【0026】
一の好ましい態様では、第二ポリママトリックスは、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリメタアクリルアミド、及び、ポリエチレングリコールから選択される親水性ポリマーのモノマとの共重合体を含む。
【0027】
本発明は、薬学的製剤をさらに含む本明細書で開示するドラッグデリバリシステムを提供する。好ましい態様では、薬学的製剤は、薬物及び適当な薬学的キャリアを含む。
【0028】
本発明は、本明細書に開示されたドラッグデリバリシステムを提供するものであって、その薬物が、ドセタキセル(docetaxel)、エトポシド(etoposide)、トロンテカン(trontecan)、パクリタキセル(paclitaxel)、テニポサイド(teniposide)、トポテカン(topotecan)、ビンブラスチン(vinblastine)、ビンクリスチン(vincristine)、ビンデシン(vindesine)、ブスルファン(busulfan)、イムプロスフラン(improsulfan)、ピポスルファン(piposulfan)、アジリジン(aziridines)、ベンゾデパ(benzodepa)、カルボコン(carboquone)、メツレデパ(meturedepa)、ウレデパ(uredepa)、アルトレタミン、トリエチレンメラミン(triethylenemelamine)、トリエチレンホスホルアミド(triethylenephosphoramide)、トリエチレンチオホスホルアミド(triethylenethiophosphoramide)、クロラムブシル(chlorambucil)、chloraphazine、シクロフォスファミド、エストラムスチン、イフォスファミド、メクロルエタミン(mechlorethamine)、メクロレタミンオキシド塩酸塩(mechlorethamine oxide hydrochloride)、メルファラン(melphalan)、ノブエンビキン(novembichin)、ペルホスファミド(perfosfamide)、フェネステリン(phenesterine)、プレドニムスチン(prednimustine)、トロホスファミド(trofosfamide)、ウラシルマスタード(uracil mustard)、カルムスチン、クロロゾトシン(chlorozotocin)、ホテムスチン(fotemustine)、ロムスチン、ニムスチン(nimustine)、ラニムスチン(ranimustine)、ダカルバジン、マンノムスチン(mannomustine)、ミトブロニトール(mitobronitol)、ミトラクトール(mitolactol)、ピポブロマン(pipobroman)、テモゾロミド(temozolomide)、アクラシノマイシンsa アクチノマイシン アントラマイシン(aclacinomycinsa actinomycin anthramycin)、アザセリン(azaserine)、ブレオマイシンs(bleomycins)、カクチノマイシン(cactinomycin)、カルビシン(carubicin)、カルジノフィリン(carzinophilin)、クロモマイシンs(chromomycins)、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン(6−diazo−5−oxo−L−norleucine)、ドキソルビシン、エピルビシン(epirubicin)、イダルビシン、メノガリル(menogaril)、マイトマイシン(mitomycins)、ミコフェノール酸(mycophenolic acid)、ノガラマイシン(nogalamycin)、オリボマイシン(olivomycins)、ペプロマイシン(peplomycin)、ピラルビシン(pirarubicin)、プリカマイシン、ポルフィロマイシン(porfiromycin)、プロマイシン(puromycin)、ストレプトニグリン(streptonigrin)、ストレプトゾシン、ツベルシジン(tubercidin)、ジノスタチン(zinostatin)、ゾルビシン(zorubicin)、デノプテリン(denopterin)、エダトレキサート(edatrexate)、メトトレキサート、ピリトレキシム(piritrexim)、プテロプテリン(pteropterin)、トムデックス(TOMUDEX)、トリメトレキセート、クラドリビン、フルダラビン(fludarabine)、6−メルカプトプリン、チアミプリン(thiamiprine)、チオグアニン、アンシタビン(ancitabine)、アザシチジン(azacitidine)、6−アザウリジン(6−azauridine)、カルモフール(carmofur)、シタラビン、ドキシフルリジン(doxifluridine)、エミテフル(emitefur)、enocitabune、フロクスリジン、フルオロウラシル、ゲムシタビン(gemcitabine)、テガフール(tegafur)、L−アスパラギナーゼ、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、インターロイキン−2、レンチナン(lentinan)、プロパゲルマニウム(propagermanium)、PSK、ロキニメクス(roquinimex)、sizofican、ウベニメックス(ubenimex)、カルボプラチン、シスプラチン(cisplatin)、miboplatin、オキサリプラチン(oxaliplatin)、aceglarone、アムサクリン(amsacrine)、ビサントレン、デホスファミド(defosfamide)、デメコルシン(demecolcine)、ジアジクオン(diaziquone)、eflomithine、エリプチニウムアセタート(elliptinium acetate)、エトグルシド(etoglucid)、フェンレチニド(fenretinide)、硝酸ガリウム、ヒドロキシウレア、ロニダミン(lonidamine)、ミルテホシン(miltefosine)、ミトグアゾン(mitoguazone)、マイトキサントロン、モピダモール(mopidamoi)、nitracine、pentostain、フェナメット(phenamet)、ポドフィリン酸2−エチル−ヒドラジド(podophyllinic acid 2−ethyl−hydrazide)、procabazine、ラゾキサン(razoxane)、ソブゾキサン(sobuzoxane)、スピロゲルマニウム(spirogermanium)、tenuzonic acid、トリアジクオン(triaziquone)、2,2’,2”トリクロロトリエチルアミン(2,2’,2”trichlorotriethylamine)、ウレタン(urethan)、カルステロン(calusterone)、ドロモスタノロン(dromostanolone)、エピチオスタノール(epitiostanol)、メピチオスタン(mepitiostane)、testolacone、アミノグルテチミド(aminoglutethimide)、ミトタン(mitotane)、トリロスタン(trilostane)、ビカルタミド(bicalutamide)、フルタミド(flυtamide)、ニルタミド(nilutamide)、ドロロキシフェン(droloxifene)、タモキシフェン、トレミフェン(toremifene)、アミノグルテチミド(aminoglutethimide)、アナストロゾール(anastrozole)、ファドロゾール(fadrozole)、ホルメスタン(formestane)、レトロゾール(letrozole)、ホスフェストロール(fosfestrol)、ヘキセストロール(hexestrol)、燐酸ポリエストラジオール(polyestradiol phosphate)、ブセレリン(buserelin)、ゴセレリン、ロイプロリド、トリプトレリン(triptorelin)、酢酸クロルマジノン(chlormadinone acetate)、メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、メレンゲストロール(melengestrol)、porfimer sodium、batimastar、ホリン酸(folinic acid)、サリチル酸塩、サルサレート、メサラミン、ジフルニサル、コリントリサリチル酸マグネシウム、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、フルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、メフェナム酸、ナブメトン、ナプロキセン、ピロキシカム、フェニルブタゾン、ケトプロフェン、S−ケトプロフェン、ケトロラク、トロメタミン、スリンダク、トルメチン、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、コルチゾン、デキサメタゾン、フルオシノロン、フルニソリド、プロピオン酸フルチカゾン、フッ素化コルチコイド、トリアムシノロン−ジアセテート、ヒドロコルチゾン、クロベタゾール(clobetasol)、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾン、フィナステライド、アデノコルチコステロイド、シクロスポリン、ラパマイシン(rapamycin)、エベロリムス(everolimus)、sutinin マレイン酸(sutinin maleate)、ゲフィチニブ(gefitinib)、エルロチニブ(erlotinib)、からなる群から選択される。
【0029】
1つの態様では、ステントは、ニッケル−チタニウム合金、クロメル、ステンレススチール、銅、金、白金、銀、及び、チタニウム、からなる群から選択される金属を含む。別の態様では、ステントは、伝導性エポキシ、伝導性ポリマ、硫酸バリウム、酸化チタン、シリコン、ポリウレタン、ポリエチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリカーボネイト、ポリプロピレン、スチレン、ポリアミド、ポリイミド、PEEK、PEBAX、ポリエステル、PVC、フルオロポリマ、及びそれらの共重合体からなる群から選択される材料を含む。
【0030】
本発明は、被験者の身体通路の閉塞を治療する方法を提供するものであって、その方法が、次の;(i)第一ポリママトリックスを提供するステップであって、その第一ポリママトリックスが薬物を含むものであり、第一ポリママトリックスが、前記身体通路に配置するのに適した状態にあり、第一ポリママトリックスが、第一ポリママトリックスからその薬物を溶出させる化合物を含む;(ii)前記閉塞に近接した身体通路に第一ポリママトリックスを導入するステップ;(iii)第一ポリママトリックスからその閉塞に隣接する近辺にその薬物を溶出することができ、それによりその薬物が、閉塞に対して生物活性をもたらすステップを具え、その結果前記方法が閉塞を治療する方法である。一の好ましい態様では、前記身体通路は、冠状動脈、頸動脈、大動脈、肺動脈、動脈、静脈、毛細血管、気管、気管支、気管支梢、胆管、輸卵管、尿道、結腸、膀胱、膵臓通路、鼻腔、男性生殖管、女性生殖管、小腸、大腸、硬膜静脈洞、及び、脳内洞からなる群から選択される。別の好ましい態様では、第一ポリママトリックスは、生分解性ポリマ、非生分解性ポリマ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。別の態様では、第一ポリママトリックスの相(phase)は、液体、固体、及び、それらの組み合わせからなる群から選択される。さらなる別の好ましい態様では、第一ポリママトリックスは、アクリル酸、メタクリル酸、ポリフォスファゼン類、ポリカーボネイト類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸、グリコール酸、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステロール類、ポリ酸無水物類、ポリシロキサン類、ポリカプロラクトン、ポリサッカライド類、及び、ポリプロテイン類の部分エステル化ポリマ、並びに、アクリル酸、メタクリル酸、ポリフォスファゼン類、ポリカーボネイト類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸、グリコール酸、ポリヒドロキシ洛酸、ポリオルトエステロール類、ポリ酸無水物類、ポリシロキサン類、ポリカプロラクトン、ポリサッカライド類、ポリプロテイン類の完全エステル化ポリマ、及びそれらの共重合体、からなる群から選択される組成物を含む。好ましい態様では、前記薬物は、次のものからなる群から選択される;即ち、ドセタキセル(docetaxel)、エトポシド(etoposide)、トロンテカン(trontecan)、パクリタキセル(paclitaxel)、テニポサイド(teniposide)、トポテカン(topotecan)、ビンブラスチン(vinblastine)、ビンクリスチン(vincristine)、ビンデシン(vindesine)、ブスルファン(busulfan)、イムプロスフラン(improsulfan)、ピポスルファン(piposulfan)、アジリジン(aziridines)、ベンゾデパ(benzodepa)、カルボコン(carboquone)、メツレデパ(meturedepa)、ウレデパ(uredepa)、アルトレタミン(altretamine)、トリエチレンメラミン(triethylenemelamine)、 トリエチレンホスホルアミド(triethylenephosphoramide)、トリエチレンチオホスホルアミド(triethylenethiophosphoramide)、クロラムブシル(chlorambucil)、クロラファジン(chloraphazine)、サイクロホスファミド(cyclophosphamide)、エストラムスチン(estramustine)、イフォスファミド(ifosfamide)、メクロルエタミン(mechlorethamine)、メクロルエタミンオキサイド塩酸塩(mechlorethamine oxide hydrochloride)、メルファラン(melphalan)、ノベビシン(novembichin)、ペルホスファミド(perfosfamide)、フェネステリン(phenesterine)、プレドニムスチン(prednimustine)、トロホスファミド(trofosfamide)、ウラシルマスタード(uracil mustard)、カルムスチン、クロロゾトシン(chlorozotocin)、ホテムスチン(fotemustine)、ロムスチン、ニムスチン(nimustine)、ラニムスチン(ranimustine)、ダカルバジン、マンノムスチン(mannomustine)、ミトブロニトール(mitobronitol)、ミトラクトール(mitolactol)、ピポブロマン(pipobroman)、テモゾロミド(temozolomide)、アクラシノマイシンsa アクチノマイシン アントラマイシン(aclacinomycinsa actinomycin anthramycin)、アザセリン(azaserine)、ブレオマイシンs(bleomycins)、カクチノマイシン(cactinomycin)、カルビシン(carubicin)、カルジノフィリン(carzinophilin)、クロモマイシンs(chromomycins)、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン(6−diazo−5−oxo−L−norleucine)、ドキソルビシン、エピルビシン(epirubicin)、イダルビシン、メノガリル(menogaril)、マイトマイシン(mitomycins)、ミコフェノール酸(mycophenolic acid)、ノガラマイシン(nogalamycin)、オリボマイシン(olivomycins)、ペプロマイシン(peplomycin)、ピラルビシン(pirarubicin)、プリカマイシン、ポルフィロマイシン(porfiromycin)、プロマイシン(puromycin)、ストレプトニグリン(streptonigrin)、ストレプトゾシン、ツベルシジン(tubercidin)、ジノスタチン(zinostatin)、ゾルビシン(zorubicin)、デノプテリン(denopterin)、エダトレキサート(edatrexate)、メトトレキサート、ピリトレキシム(piritrexim)、プテロプテリン(pteropterin)、トムデックス(TOMUDEX)、トリメトレキセート、クラドリビン、フルダラビン(fludarabine)、6−メルカプトプリン、チアミプリン(thiamiprine)、チオグアニン、アンシタビン(ancitabine)、アザシチジン(azacitidine)、6−アザウリジン(6−azauridine)、カルモフール(carmofur)、シタラビン、ドキシフルリジン(doxifluridine)、エミテフル(emitefur)、enocitabune、フロクスリジン、フルオロウラシル、ゲムシタビン(gemcitabine)、テガフール(tegafur)、L−アスパラギナーゼ、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、インターロイキン−2、レンチナン(lentinan)、プロパゲルマニウム(propagermanium)、PSK、ロキニメクス(roquinimex)、sizofican、ウベニメックス(ubenimex)、カルボプラチン、シスプラチン(cisplatin)、miboplatin、オキサリプラチン(oxaliplatin)、aceglarone、アムサクリン(amsacrine)、ビサントレン、デホスファミド(defosfamide)、デメコルシン(demecolcine)、ジアジクオン(diaziquone)、eflomithine、エリプチニウムアセタート(elliptinium acetate)、エトグルシド(etoglucid)、フェンレチニド(fenretinide)、硝酸ガリウム、ヒドロキシウレア、ロニダミン(lonidamine)、ミルテホシン(miltefosine)、ミトグアゾン(mitoguazone)、マイトキサントロン、モピダモール(mopidamoi)、nitracine、pentostain、フェナメット(phenamet)、ポドフィリン酸2−エチル−ヒドラジド(podophyllinic acid 2−ethyl−hydrazide)、procabazine、ラゾキサン(razoxane)、ソブゾキサン(sobuzoxane)、スピロゲルマニウム(spirogermanium)、tenuzonic acid、トリアジクオン(triaziquone)、2,2’,2”トリクロロトリエチルアミン(2,2’,2”trichlorotriethylamine)、ウレタン(urethan)、カルステロン(calusterone)、ドロモスタノロン(dromostanolone)、エピチオスタノール(epitiostanol)、メピチオスタン(mepitiostane)、テストラコン(testolacone)、アミノグルテチミド(aminoglutethimide)、ミトタン(mitotane)、トリロスタン(trilostane)、ビカルタミド(bicalutamide)、フルタミド(flutamide)、ニルタミド(nilutamide)、ドロロキシフェン(droloxifene)、タモキシフェン、トレミフェン(toremifene)、アミノグルテチミド(aminoglutethimide)、アナストロゾール(anastrozole)、ファドロゾール(fadrozole)、ホルメスタン(formestane)、レトロゾール(letrozole)、ホスフェストロール(fosfestrol)、ヘキセストロール(hexestrol)、燐酸ポリエストラジオール(polyestradiol phosphate)、ブセレリン(buserelin)、ゴセレリン、ロイプロリド、トリプトレリン(triptorelin)、酢酸クロルマジノン(chlormadinone acetate)、メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、メレンゲストロール(melengestrol)、porfimer sodium、batimastar、ホリン酸(folinic acid)、サリチル酸塩、サルサレイト(salsalate)、メサルラミン(mesalamine)、ジフルニサル、コリントリサリチル酸マグネシウム、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、フルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、メフェナム酸、ナブメトン、ナプロキセン、ピロキシカム、フェニルブタゾン、ケトプロフェン、S−ケトプロフェン、ケトロラク、トロメタミン、スリンダク、トルメチン、ベクロメタゾン(beclomethasone)、ベタメタゾン(betamethasone)、コルチゾン(cortisone)、デキサメタゾン(dexamethasone)、フルオシノロン(fluocinolone)、フルニソライド(flunisolide)、フルチカゾンプロピオネイト(fluticasone proprionate)、 フッ素化コルチコイド(fluorinated−corticoids)、トリアムシノロン2酢酸塩(triamcinolone−diacetate)、ハイドロコーチゾン(hydorcortisone)、クロベタゾール(clobetasol)、 プレドニゾロン(prednisolone)、メチルプレドニゾロン(methylprednisolone)、プレドニゾン(prednisone)、フィナステリド(finasteride)、 アデノコルチコステロイド(adenocorticosteroids)、サイクロスポリン(cyclosporin)、ラパマイシン(rapamycin)、エベロリムス(everolimus)、スチニンマレエイト(sutinin maleate)、ゲフィチニブ(gefitinib)、及び エルロチニブ(erlotinib)である。別の好ましい態様では、前記第一ポリママトリックスは、支持体と組み合わせて身体通路に導入される。より好ましい態様では、前記支持体は、ステント
、バルーン、及び第二ポリママトリックスからなる群から選択される。さらに、より好ましい態様では、ステントは、管状構造、金属製自己展開式ステント、バルーン展開式金属製ステント、自己展開式ステント、及びステントグラフトからなる群から選択される。別の好ましい態様では、前記ステントは、ニッケル−チタニウム合金、クロメル、ステンレススチール、銅、金、プラチナ、銀、及びチタニウムからなる群から選択された金属を具える。さらに、好ましい態様では、前記第二ポリママトリックスは、アクリル酸、メタクリル酸、ポリフォスファゼン類、ポリカーボネイト、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸、グリコール酸、ポリヒドロキシ洛酸、ポリオルトエステロール類、ポリ酸無水物類、ポリシロキサン類、ポリカプロラクトン、ポリサッカライド類、及び、ポリプロテイン類の部分エステル化ポリマ、並びに、アクリル酸、メタクリル酸、ポリフォスファゼン類、ポリカーボネイト、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸、グリコール酸、ポリヒドロキシ洛酸、ポリオルトエステロール類、ポリ酸無水物類、ポリシロキサン類、ポリカプロラクトン、ポリサッカライド類、ポリプロテイン類の完全エステル化ポリマ、及びそれらの共重合体、からなる群から選択される組成物を含む。最も好ましい態様では、前記閉塞は、腫瘍、血管平滑筋、内皮細胞、細胞外マトリックス、血小板凝集、血栓、フィブリンマトリックス、上皮組織、及び、神経組織からなる群から選択される。
【0031】
本発明は、本明細書で開示されている組成物の使用を提供するものであって、前記組成物が、支持体、第一ポリママトリックス、及び身体通路における閉塞の医療用装具の製造に用いる薬物を含む。
【0032】
本発明は、本明細書に開示されているドラッグデリバリシステムを提供するものであって、前記ドラッグデリバリシステムは、身体通路の閉塞の治療又は予防に用いられ、前記、支持体、第一ポリママトリックス、及び薬物を含む。
【0033】
本発明は、また、身体通路に関連する血管性又は非血管性疾病の閉塞の治療又は前記疾病の予防の方法を提供するものであって、前記方法は、チロシンキナーゼ阻害剤、抗新生物剤類、抗増殖剤類、抗炎症剤類、細胞保護剤、抗生物質類、化学療法剤類、抗ウイルス剤類、標的化合物類、副腎皮質ステロイド類、サイトカイン類、免疫毒素類、抗腫瘍性抗体類、抗血管新生剤、抗浮腫剤、放射線増感剤、及びそれらの組み合わせ、を含む薬剤群からの治療剤をインプラントした装具からポリママトリックスを通して、身体通路へ送達することを含む。
【0034】
1つの態様では、前記方法は、サリドマイド、そのアナログ、その誘導体、ネオマイシン、そのアナログ、その誘導体、パクリタキセル、そのアナログ、その誘導体、及び、それらの組み合わせを含む組成物を身体通路へ送達することを含む。
【0035】
別の態様では、1つの態様では、前記方法は、サリドマイド、そのアナログ、その誘導体、ネオマイシン、そのアナログ、その誘導体、パクリタキセル、そのアナログ、その誘導体、及び、それらの組み合わせかを含む組成物を局所にインプラントされた医療用装具を介して身体通路へ送達することを含む。
【0036】
さらに別の態様では、サリドマイド、そのアナログ、その誘導体、ナオマイシン、そのアナログ、その誘導体、パクリタキセル、そのアナログ、その誘導体、又は、それらの組み合わせが、前記インプラントされた医療用装具にポリマ被覆されているか、又は結合している。
【0037】
さらなる態様では、前記ポリマは、アクリル酸、メタクリル酸、ポリフォスファゼン類、ポリカーボネイト、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸、グリコール酸、ポリヒドロキシ酢酸、ポリオルトエステロール類、ポリ酸無水物類、ポリシロキサン類、ポリカプロラクトン、ポリサッカライド類、及び、ポリプロテイン類の、部分又は完全エステル化ポリマ又はこれらのポリマのモノマから調製された共重合体、からなる群から選択された疎水性ポリマである。
【0038】
別の態様では、前記疎水性ポリマは、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、及びポリエチレングリコールからなる群から選択される親水性ポリマのモノマと共に共重合体の形で提供される。
【0039】
好ましい態様では、ポリマは、オレフィンポリマ、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルクロライド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニルアセテート、ポリスチレン、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリウレタン、ポリ尿素、シリコンゴム、ポリアミド、ポリカーボネイト、ポリアルデヒド、天然ゴム、ポリエチル−エステル共重合体、スチレンブタジエン共重合体、及びそれらの組み合わせである。
【0040】
別の好ましい態様では、ポリマは、乳酸とグリコール酸の共重合体、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(乳酸)、ポリ(エチレン−酢酸ビニル)、ゼラチン、ヒアルロン酸、キトサン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、又はそれらの組合わせである。
【0041】
別の態様では、ポリマは、ポリエチレングリコールをベースとしたエーテル無水物共重合体(例えば、ポリエチレングリコール−セバシン酸など)のファミリーである。
【0042】
代替えの態様では、ポリマは、ポリ(カルボキシフェノキシアルカン−コ−アルカノイックアシッド)共重合体などの、表面が浸食されるポリ酸無水物の群である。この共重合体は、例えば、(例えば、1,6−ビス−(カルボキシフェニル)ヘキサン−コセバシン酸、ポリ[1,3−ビス(カルボキシフェノキシ)プロパン−コセバシン酸]又はこれらの誘導体又はこれらの組み合わせ)を挙げることができる。
【0043】
別の代替えの態様では、ポリマは、ポリ(ヒドロキシ酸)、ポリ酸無水物、ポリオルトエステロール、ポリホスファゼン、ポリホスフェイト、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシブチレイト、ポリエステル、ポリアミド、ポリサッカライド、及び、ポリプロテイン、である。
【0044】
別の態様では、前記サリドマイド、そのアナログ、その誘導体、ネオマイシン、そのアナログ、その誘導体、パクリタキセル、そのアナログ、その誘導体、又はそれらの組み合わせは、さらに他の治療剤を含む;他の治療剤の例としては、ドセタキセル(docetaxel)、エトポシド(etoposide)、トロンテカン(trontecan)、パクリタキセル(paclitaxel)、テニポサイド(teniposide)、トポテカン(topotecan)、ビンブラスチン(vinblastine)、ビンクリスチン(vincristine)、ビンデシン(vindesine)、ブスルファン(busulfan)、イムプロスフラン(improsulfan)、ピポスルファン(piposulfan)、アジリジン(aziridines)、ベンゾデパ(benzodepa)、カルボコン(carboquone)、メツレデパ(meturedepa)、ウレデパ(uredepa)、アルトレタミン、トリエチレンメラミン(triethylenemelamine)、トリエチレンホスホルアミド(triethylenephosphoramide)、トリエチレンチオホスホルアミド(triethylenethiophosphoramide)、クロラムブシル(chlorambucil)、chloraphazine、シクロフォスファミド、エストラムスチン、イフォスファミド、メクロルエタミン(mechlorethamine)、メクロレタミンオキシド塩酸塩(mechlorethamine oxide hydrochloride)、メルファラン(melphalan)、ノブエンビキン(novembichin)、ペルホスファミド(perfosfamide)、フェネステリン(phenesterine)、プレドニムスチン(prednimustine)、トロホスファミド(trofosfamide)、ウラシルマスタード(uracil mustard)、カルムスチン、クロロゾトシン(chlorozotocin)、ホテムスチン(fotemustine)、ロムスチン、ニムスチン(nimustine)、ラニムスチン(ranimustine)、ダカルバジン、マンノムスチン(mannomustine)、ミトブロニトール(mitobronitol)、ミトラクトール(mitolactol)、ピポブロマン(pipobroman)、テモゾロミド(temozolomide)、アクラシノマイシンsa アクチノマイシン アントラマイシン(aclacinomycinsa actinomycin anthramycin)、アザセリン(azaserine)、ブレオマイシンs(bleomycins)、カクチノマイシン(cactinomycin)、カルビシン(carubicin)、カルジノフィリン(carzinophilin)、クロモマイシンs(chromomycins)、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン(6−diazo−5−oxo−L−norleucine)、ドキソルビシン、エピルビシン(epirubicin)、イダルビシン、メノガリル(menogaril)、マイトマイシン(mitomycins)、ミコフェノール酸(mycophenolic acid)、ノガラマイシン(nogalamycin)、オリボマイシン(olivomycins)、ペプロマイシン(peplomycin)、ピラルビシン(pirarubicin)、プリカマイシン、ポルフィロマイシン(porfiromycin)、プロマイシン(puromycin)、ストレプトニグリン(streptonigrin)、ストレプトゾシン、ツベルシジン(tubercidin)、ジノスタチン(zinostatin)、ゾルビシン(zorubicin)、デノプテリン(denopterin)、エダトレキサート(edatrexate)、メトトレキサート、ピリトレキシム(piritrexim)、プテロプテリン(pteropterin)、トムデックス(TOMUDEX)、トリメトレキセート、クラドリビン、フルダラビン(fludarabine)、6−メルカプトプリン、チアミプリン(thiamiprine)、チオグアニン、アンシタビン(ancitabine)、アザシチジン(azacitidine)、6−アザウリジン(6−azauridine)、カルモフール(carmofur)、シタラビン、ドキシフルリジン(doxifluridine)、エミテフル(emitefur)、enocitabune、フロクスリジン、フルオロウラシル、ゲムシタビン(gemcitabine)、テガフール(tegafur)、L−アスパラギナーゼ、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、インターロイキン−2、レンチナン(lentinan)、プロパゲルマニウム(propagermanium)、PSK、ロキニメクス(roquinimex)、sizofican、ウベニメックス(ubenimex)、カルボプラチン、シスプラチン(cisplatin)、miboplatin、オキサリプラチン(oxaliplatin)、aceglarone、アムサクリン(amsacrine)、ビサントレン、デホスファミド(defosfamide)、デメコルシン(demecolcine)、ジアジクオン(diaziquone)、eflomithine、エリプチニウムアセタート(elliptinium acetate)、エトグルシド(etoglucid)、フェンレチニド(fenretinide)、硝酸ガリウム、ヒドロキシウレア、ロニダミン(lonidamine)、ミルテホシン(miltefosine)、ミトグアゾン(mitoguazone)、マイトキサントロン、モピダモール(mopidamoi)、nitracine、pentostain、フェナメット(phenamet)、ポドフィリン酸2−エチル−ヒドラジド(podophyllinic acid 2−ethyl−hydrazide)、procabazine、ラゾキサン(razoxane)、ソブゾキサン(sobuzoxane)、スピロゲルマニウム(spirogermanium)、tenuzonic acid、トリアジクオン(triaziquone)、2,2’,2”トリクロロトリエチルアミン(2,2’,2”trichlorotriethylamine)、ウレタン(urethan)、カルステロン(calusterone)、ドロモスタノロン(dromostanolone)、エピチオスタノール(epitiostanol)、メピチオスタン(mepitiostane)、testolacone、アミノグルテチミド(aminoglutethimide)、ミトタン(mitotane)、トリロスタン(trilostane)、ビカルタミド(bicalutamide)、フルタミド(flυtamide)、ニルタミド(nilutamide)、ドロロキシフェン(droloxifene)、タモキシフェン、トレミフェン(toremifene)、アミノグルテチミド(aminoglutethimide)、アナストロゾール(anastrozole)、ファドロゾール(fadrozole)、ホルメスタン(formestane)、レトロゾール(letrozole)、ホスフェストロール(fosfestrol)、ヘキセストロール(hexestrol)、燐酸ポリエストラジオール(polyestradiol phosphate)、ブセレリン(buserelin)、ゴセレリン、ロイプロリド、トリプトレリン(triptorelin)、酢酸クロルマジノン(chlormadinone acetate)、メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、メレンゲストロール(melengestrol)、ポルフィメールナトリウム(porfimer sodium)、バチマスタ(batimastar)、ホリン酸(folinic acid)、
非ステロイド剤(NSAIDS)サリチル酸塩類など(例えば、サルサレイト(salsalate)、メサルラミン(mesalamine)、ジフルニサル(diflunisal)、トリサリチル酸コリンマグネシウム(choline magnesium trisalicylate)、ジクロフェナック(diclofenac)、 ジフルニサル(diflunisal)、 エトドラック(etodolac)、フェノプロフェン(fenoprofen)、 フルルビプロフェン(flurbiprofen)、イブプロフェン(ibuprofen)、インドメタシン(indomethacin)、メフェナム酸(mefenamic acid)、ナブメトン(nabumetone)、ナプロキセン(naproxen)、ピロキシカム(piroxicam)、フェニルブタゾン(phenylbutazone)、ケトプロフェン(ketoprofen)、S−ケトプロフェン(S−ketoprofen)、ケトロラックトロメタン(ketorolac tromethamine)、スリンダク(sulindac)、トルメチン(tolmetin)、他の抗炎症性ステロイド剤、例えば、ベクロメタゾン(beclomethasone)、ベタメタゾン(betamethasone)、コルチゾン(cortisone)、デキサメタゾン(dexamethasone)、フルオシノロン(fluocinolone)、フルニソライド(flunisolide)、フルチカゾンプロピオネイト(fluticasone proprionate)、 フッ素化コルチコイド(fluorinated−corticoids)、トリアムシノロン2酢酸塩(triamcinolone−diacetate)、ハイドロコーチゾン(hydorcortisone)、クロベタゾール(clobetasol)、 プレドニゾロン(prednisolone)、メチルプレドニゾロン(methylprednisolone)、プレドニゾン(prednisone)、フィナステリド(finasteride)、 アデノコルチコステロイド(adenocorticosteroids)、サイクロスポリン(cyclosporin)、ラパマイシン(rapamycin)、エベロリムス(everolimus)、スチニンマレエイト(sutinin maleate)、ゲフィチニブ(gefitinib)、及びエルロチニブ(erlotinib)又はアナログ、又はそれらの誘導体などをあげることができる。これらの治療剤は、サリドマイド、又はネオマイシン、又はクロベタゾール、又は、クルクミンが存在しなくても用いることができる。
【0045】
別の態様では、前記サリドマイド、そのアナログ、その誘導体、ナオマイシン、そのアナログ、その誘導体、パクリタキセル、そのアナログ、その誘導体、又は、それらの組み合わせは、他のキャリア(例えば、細胞、プロテイン、生物学的材料など)をさらに含む。
【0046】
別の態様では、前記サリドマイド、そのアナログ、その誘導体、ネオマイシン、そのアナログ、その誘導体、パクリタキセル、そのアナログ、その誘導体、又はそれらの組み合わせは、、生体内分解性、又は、生体内吸収性、又は生分解性のステント 又は通路に適合している管状構造、金属製自己展開式のステント、バルーン展開式金属製ステント、高分子鞘のついた自己展開式ステント、及び、ステントグラフト、又は、ポリマチューブ、又はステントグラフトなどの医療用にインプラントされた装具を介して身体通路に局所的に送達される。
【0047】
別の代替の態様では、身体通路は、冠状動脈、頸動脈、大動脈、肺動脈、動脈、静脈、毛細血管、気管、気管支、気管支梢、食道、胆管、輸卵管、尿道、結腸、膀胱、膵臓通路、鼻腔、雄性生殖管、雌性生殖管、小腸、及び大腸である。
【0048】
別の態様では、血管性又は非血管性疾病は、狭窄症、再狭窄、動脈硬化症、炎症、血管新生、局所組織の分裂、癌、細菌感染、及びそれらの組み合わせである。
【0049】
本発明は、生分解性ポリマを含む組成物の提供において、前記生分解性ポリマが、ポリ(ヒドロキシ酸類)、ポリ酸無水物類、ポリオルトエステロール類、ポリホスファゼン類、ポリホスフェイト類、ポリカプロラクトン、ポリシドロキシブチレイト類、ポリエステル類、ポリアミド類、ポリサッカライド類、及びポリプロテイン類からなる群から選択されるいずれかのポリマの混合物である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
本発明を説明する前に、以下に用いる一定の用語の定義を示すことは、発明の理解の助けとなり得る。
【0051】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で用いられている、「1の」、「一の」、「その」、「前記」、「当該」、「該」は、他に明確にその内容を記載しない限り、複数を含む意味である。例えば、「ポリマ」に言及するときは、このポリマの複数をも含み、「薬物」への言及では、1以上の薬物、及びそれと等価のもの、及びその他を意味する。
【0052】
本明細書で用いる「身体通路」は、内腔をもち体内で物質の流れを可能にしている通路、チューブ、管、道(tracts)、管状構造(canals)、洞(sinuses)、導管(conduits)のあらゆるものを意味する。身体通路の代表例として、動脈と静脈、涙管、気管、気管支、鼻道(洞を含む)、及び他の気道、耳(エウスターキオ)管、外耳道、口腔、食道、胃、十二指腸、小腸、大腸、胆管、尿管、膀胱、尿道、輸卵管、子宮、膣及び雌性生殖器のその他の通路、精管と雄性生殖器官のその他の通路、脳と脊髄の脳室系(脳脊髄液)など挙げることができる。
【0053】
本明細書で用いている「治療剤」は、所与の疾病又は症状に対して、緩和し、治療し、治癒し、又は予防し得るそれらの薬剤を意味する。治療剤の代表例としては、より詳細には以下で述べるが、例えば、抗血管形成剤、抗増殖剤、抗炎症剤、及び抗生物質などを挙げることができる。
【0054】
上述したように、本発明は、治療剤を含む組成物を身体通路に腔内に送達するステップを含む、身体通路に関連する疾病を治療又は予防する方法を提供するものであり、より好ましい態様では、治療剤とポリマキャリアを含む組成物が、耐久性又は生体分解性のチューブ又はステントグラフトによって送達される。
【0055】
手短に述べると、本発明は、血管系又は非血管系身体通路における疾病を治療又は予防する方法を提供するものであり、生体浸食性ステント、ステント、ステントグラフト、重合性チューブなどの医療用にインプラントした装具を介して治療剤を身体通路に送達するステップを含む方法である。関連した側面では、身体通路関連する疾病を治療又は予防する方法は、医療用移植装具を経て身体通路の腔内へ治療剤を局所的に送達するステップを含む治療化合物を疾病の存在する部位に局所的に送達することにより、全身性の望ましくない副作用を避けることができ、全投与量を減少させることができる。
【0056】
抗血管形成剤、抗増殖剤、抗炎症剤、抗生物質、及びそれらの組み合わせなどを含めて、様々な治療剤を本発明の範囲内で用いることができる。
【0057】
本発明のある態様では、治療剤は、さらに、(重合性の、又は、非重合性の)キャリアを含むことができる、例えば、ポリ(エチレン−ビニル酢酸)(架橋度が、約10%、20%、30、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%)、乳酸とグリコール酸の共重合体、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(乳酸)、ポリ(乳酸)とポリ(カプロラクトン)の共重合体、ゼラチン、ヒアルロン酸、コラーゲンマトリックス、シリコン、及びアルブミンである。
【0058】
本治療剤は、例えば、血管の疾病、新生物性の閉塞、炎症性疾患、及び感染症を含めて、幅広い疾病を治療又は予防するために用いられる。治療の代表的な身体通路として、例えば、動脈、食道、胃、十二指腸、小腸、大腸、胆管、尿管、膀胱、尿道、涙管、気管、気管支、細気管支、鼻気道、耳管、外耳道、子宮、輸卵管などを挙げることができる。
【0059】
本発明の具体的な好ましい1態様では、治療剤は、耐久性のある、又は生体浸食性のステント、ポリマチューブ、又はステントグラフトなどの医療用インプラント装具を介して身体通路へ腔内送達される。
【0060】
本発明のこれらの及び他の形態は、以下の詳細な説明及び添付図面を参照することにより明らかになるであろう。さらに、様々な参考文献が以下に示してあるが、それらには、より詳細な方法、装具、組成物が詳細に記載されており、これらは参照により全内容が取り込まれている。
【0061】
以下に詳細に述べているように、身体通路に関連する疾病の治療又は予防のために様々な治療剤を、キャリア(例えば、ポリマ性)を伴って又は伴わのに、身体通路に送達することができる。このような形態の各々を以下により詳細に述べる。
【0062】
治療剤
上述したように、本発明は、様々な治療剤を用いた方法と組成物を提供している。本発明の1つの形態では、治療剤が、抗血管新生因子である。手短に言えば、本発明の範囲内では、抗血管新生因子は、血管の成長を阻害するあらゆるタンパク質、ペプチド、化学物質又は他の分子を含むと理解すべきである。例えば、ヒヨコ絨毛尿膜(「CAM」)試験を含めて、様々な方法を所与の因子の抗血管新生活性測定に容易に用いることができる。
【0063】
上記のCAM試験に加えて、例えば、この目的のために開発されたマウスモデルを挙げることができる(Robertson等、1991、Cancer Res.51:1339−1344)、様々な他の試験を抗血管新生因子の評価を測定するために用いることができる。
【0064】
様々な抗血管新生因子を、本発明との関連で容易に用いることができる。代表的な例には、抗浸潤因子、レチノイン酸とその誘導体、スラミン、メタロプロテインナーゼ−1組織阻害剤、メタロプロテインナーゼ−2組織阻害剤、プラスミノーゲン活性化阻害剤−2、マイクロチュブル機能を混乱させる化合物類、及び軽質d族の遷移金属の様々な形態が含まれる。これらの及び他の抗血管新生因子は、より詳細に以下で説明する。
【0065】
手短に言えば、抗浸潤因子、又は、軟骨の抽出物から調製された「AIF」は、新生血管の成長を阻害する役割をもつ成分を含んでいる。これらの成分は、7つの低分子量蛋白質(5万Da以下;50kDa)(Kuettner及びPauli、「Inhibition of neovascularization by a cartilage factor」 Development of the Vascular System、 Pitman Books(CIBA Foundation Symposium 100)、pp.163−173、1983)のファミリを含み、様々なプロテアーゼに対して阻害作用をもつ様々な蛋白質を含んでいる(Eisentein等、Am.J.Pathol.81:337−346、1975; Langer等、Science193:70−72、1976;and Horton等、Science 199:1342−1345、1978)。本発明の範囲内で適切に用いるAIFは、公知の技術により容易に調製することができる(例えば、Eisentein等、同上; Kuettner及びPauli、同上;及びLanger等、同上)。軟骨由来阻害剤(CDI)等のAIFの精製成分 (Moses等、Science 248:1408−1410、1990)は、本発明との関連で、容易に調製し用いることができる。
【0066】
レチノイン酸は、細胞外構成要素の代謝に影響して、血管新生の阻害をもたらす。プロリンアナログ、血管新生抑制作用のあるステロイド、又はヘパリンは、トランスレチノイン酸の抗血管新生効果を相乗的に増大させるために用いることができる。レチノイン酸及び本発明で用いたその誘導体は、例えば、シグマ化学(Sigma Chemical Co.(Simga−Aldrich、St.Louis、MO;Cat.No.R2625)などの商業的な入手先から容易に得ることができる。
【0067】
スラミンは、殺トリパノゾーマ剤として、通常用いられているポリスルホン化されたナフチル尿素化合物である。手短に言えば、血小板由来成長因子(PDGF)、上皮細胞成長因子(EGF)、形質転換増殖因子β(TGF−β)、インシュリン様成長因子(IGF-1)、及びβ線維芽細胞成長因子(βFGF)などの様々な成長因子の特異的な細胞表面結合を阻害する。スラミンは、公知の技術により調製することができ、様々な商業的な入手先(例えば、Mobay Chemical Co.、New York、(参照:Gagliardi等、Cancer Res.52:5073−5075、1992; and Coffey、Jr.、等、J.Cell Physiol.132:143−148、1987))から容易に得ることができる。
【0068】
組織メタロプロテアーゼ阻害物質(TIMP−1)は、MMPアーゼを分泌する内皮細胞により同様に分泌される。TIMP−1は、グリコシル化されており、分子量28.7kDaである。TIMP−1は、活性化したメタロプロテイナーゼに結合することにより、血管新生を調節し、それにより細胞外マトリックスへの血管の浸潤を抑制している。組織メタロプロテイナーゼ2(TIMP−2)の阻害は、血管新生を阻害するために用いられる。手短に言えば、TIMP−2は、活性型及び潜在型であるプロ酵素型ともに、メタロプロテイナーゼに結合する21kDaのグリコシルされていないプロテインである。TIMP−1とTIMP−2の両者は、シネルゲン社(Synergen、Boulder、Colo.)などの商業的な入手先から得ることができる。
【0069】
プラスミノーゲン活性化阻害物質(PAI−1)は、血小板中に存在する50kDaのグリコプロテインであり、内皮細胞及び筋肉細胞により合成される。PAI−1は、組織プラスミノーゲ活性化因子(tPA)とウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子(uPA)を内皮細胞の基底外側部で阻害し、追加的に、線維素溶解過程を調節する。プラスミノーゲン活性化阻害因子−2(PAI−2)は、一般には妊娠及び腫瘍の存在などの特定の環境下でのみ血中に見いだされる。手短に言えば、PAI−2は、単核球及びマクロファージにより分泌される56kDaのタンパク質である。線維素溶解活性を調節し、特にウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子と組織プラスミノーゲン活性化因子を阻害し、それにより線維素溶解を防止すると考えられる。
【0070】
本発明の治療剤は、マイクロチュブル機能を混乱させる化合物も含んでいる。このような化合物の代表的な例には、エストラムスチン(シグマ−アルドリッチ社、Sigma−Aldrich、St.Louis MO;Wang及びStearns Cancer Res.48:6262−6271、1988)、エポチロン、クラシン−A、コルヒシン(colchicine)、メソトレキセート、及びパクリタキセル、ビンブラスチン、ビンクリスチン、D20、及び、4−tert−ブチル−[3−(2−クロロエチル)ウレイド]ベンゼン(t−BCEU)が含まれる。
【0071】
本発明の1つの好ましい態様は、治療剤が、サリドマイドであり、この化合物は、血管新生を阻害する。サリドマイドの薬学的組成物には、サリドマイドの前駆体、代謝物、誘導体、及び/又はアナログを含む。
【0072】
本発明の1つの好ましい態様では、治療剤は、ネオマイシンであり、これは、血管新生を阻害し、かつ、抗菌性をもつ化合物である。ネオマイシンアナログが、(a)ネオマイシンA、ネオマイシンB、又はネオマイシンC;(b)ネオマイシンA、ネオマイシンB、又はネオマイシンCを含む複合体;(c)ネオマイシンA、ネオマイシンB、又はネオマイシンCの構造と実質的に同類の構造をもつアミノグリコシド;(d)ネオマイシンA、ネオマイシンB、又はネオマイシンCの化学的又は生物学的な分解産物;(e)ネオマイシンA、ネオマイシンB、又はネオマイシンCの誘導体;(f)自然に生じるネオマイシンA、ネオマイシンB、又はネオマイシンCの前駆体、であるネオマイシンの薬学的組成物。
【0073】
本発明の中で用いることのできる他の治療剤は、抗菌剤、抗微生物剤、抗ウイルス剤、及び、抗かび剤を含む広い範囲の様々な抗生物質を含む。このような薬剤の代表例には、アミノグリコシド(例えば、ストレプトマイシン、アミカシン、ゲンタマイシン、ネチルマイシン、トブラマイシン)のような全身(投与)性の抗生物質;第1、第2、および第3世代のセファロスポリン(例えば、セファロチン、セファゾリン、セファピリン、セファラジン、セファレキシン、セファドロキシル、セファクロル、セファマンドール、セフロキシム、セフロキシムアクセチル、セフォニシド、セフォラニド、セフォキシチン、セフォタキシム、セフォテタン、セフチゾキシム、セフォペラゾン、セフタジジム、セフトリアキソン、モキサラクタム、他の半合成セファロスポリン(例えば、セフィキシムおよびセフポドキシムプロキセチル);ペニシリン(例えば、ペニシリンG(ベンザチンおよびプロカイン塩)、クロキサシリン、ジクロキサシリン、メチシリン、ナフシリン、オキサシリン、ペニシリンV、アンピシリン、アモキシシリン、バカンピシリン、サイクラシリン、カルベニシリン、チカルシリン、メズロシリン、ピペラシリン、アズロシリン、アムジノシリン、およびクラブラン酸と組み合わせたペニシリン);キノロン(例えば、シノキサシン、シプロフロキサシン、ナリジクス酸、ノルフロキサシン、ピペミジン酸、ペルロキサシン、フレロキサシン、エノキサシン、オフロキサシン、トスフロキサシン、ロメフルオキサシン、キノロンの立体異性体);スルホンアミド(例えば、スルファシチン、スルファメチゾール、スルファメトキサゾール、スルフイソキサゾール、スルファサラジン、およびトリメトプリムにスルファメトキサゾールと組合わせ);テトラサイクリン(例えば、ドキシサイクリン、デメクロサイクリン、メタサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、テトラサイクリン);マクロライド(例えば、エリスロマイシン、他の半合成マクロライド(例えば、アジスロマイシンおよびクラリスロマイシン);モノバクタム(新規の合成クラス)(例えば、アズトレオナム、ロラカルベフ);ならびに多岐にわたる薬剤(例えば、アクチノマイシンD、ドキソルビシン、マイトマイシンC、ノボビオシン、プリカマイシン、リファムピン、ブレオマイシン、クロラムフェニコール、クリンダマイシン、オレアンドマイシン、カナマイシン、リンコマイシン、ネオマイシン、パロモマイシン、スペクチノマイシン、トロレアンドマイシン、アンホテリシンB、コリスチン、ナイスタチン、ポリミキシンB、グリセオフルビン、アズトレオナム、シクロセリン、クリンダマイシン、コリスチメサート、イミペネム−シラスタチン、メセナミン、メトロニダゾール、ニトロフラントイン、リファブタン、スペクチノマイシン、トリメソプリム、バシトラシン、バンコマイシン、他のβ−ラクタム抗生物質)が含まれる。
【0074】
本発明の中で使用できる更なる治療剤には、例えば、バシトラシン、亜鉛、ムピロシン、クリニダマイシン等の局所用抗生物質;セクロピオニン、マンガイニン等の抗病原体ポリペプチド;およびスルファジメトキシン、スルフィソキサゾール、スルフィソミジン、塩酸エタンブトール、イソニアジド、パラアミノサリチル酸カルシウム等の抗結核剤を挙げることができる。
【0075】
本発明で使用することができる他の治療剤としては、例えば、ヨウ素、プロビドンヨウ素、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、オキシデール、過マンガン酸カリウム、エタノール、イソプロパノール、ホルマリン、クレゾール、ジマゾール、シッカニン、フェニルヨードウンデシノエート、ヘキサクロロフェン、レゾルシン、塩化ベンゼトニン、ラウリル硫酸ナトリウム、塩化水銀、マーキュロクロム、スルファジアジン銀、ならびに他の無機および有機銀塩ならびに亜鉛塩、1価および2価カチオンの塩、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸アルキルポリアミノエチルグリシン、塩化ベンザルコニウム、ニトロフラゾン、ナイスタチン、アセスルファミン、クロトリマゾール、スルファメチオゾール、スルファセタミド、ジオラミン、トルナフテート、ピロールニトリン、ウンデシレン酸、ミクロアゾール、バリオチン、ハロプロギン、及び、ジマゾール、(メクロサイクリン、トリコマイシン、及びペンタマイシン)、ペニシリンのような抗生物質を挙げることができる。抗真菌剤としては、フルシトシン、フルコナゾール、グリセオフルビン、ケトコナゾール、及び、ミコナゾールが挙をあげることができる。抗ウイルス剤及び抗AIDS剤としては、アシクロビル、アマンタジン、ジダノシン(以前はddI)、グリセオフルビン、フルシトシン、フォスカメット、ガンシクロビル、イドクスウリジン、ミコナゾール、クロトリマゾール、ピリメタミン、リバビリン、リマンタジン、スタブジン(以前はd4T)、トリフルリジン、トリスルファピリミジン、バラシクロビル、ビダラビン、ザルシタビン(以前はddC)、及びジドブジン(以前はAZT)を挙げることができる。AIDSに対する補助的療法剤(例えば、エリスロポエチン;フルコナゾール(抗真菌);インターフェロンα−2a及び−2b(カポシ肉腫);アトバキュオン、ペンタミジン、及びトリメトレキセート(抗原生動物);酢酸メゲストラオール(食欲増強剤);リファブチン(抗マイコバクテリア)を挙げることができる。抗原生動物剤の代表的な例として、ペンタミジンイセチオネート、キニン、クロロキン、およびメフロキンを挙げることができる。
【0076】
本発明の中で使用することができる他の治療剤としては、抗増殖剤、抗新生物剤、または化学療法剤を挙げることができる。このような薬剤の代表的な例として、アンドロゲン阻害剤、抗エストロゲン、及び、ホルモン類(例えば、フルタミド、ロイプロリド、タモキシフェン、エストラジオール、エストラムスチン、メゲストロール、ジエチルスチベステロール、テストラクトン、ゴセレリン、メドロキシプロゲステロン等);細胞毒性剤(例えば、アルトレタミン、ブレオマイシン、ブスルファン、カーボプラチン、カルムスチン(BiCNU)、シスプラチン、クラドリビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エストラムスチン、エトポサイド、ロムスチン、サイクロホスファミド、シタラビン、ハイドロキシウレア、イダルビシン、インターフェロンα−2a及び−2b、イホスファミド、マイトキサントロン、マイトマイシン、パクリタキセル、ストレプトゾシン、テニポシド、チオテパ、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン等);代謝拮抗剤及び抗有糸分裂剤(例えば、フロックウリジン、5−フルオロウラシル、フルアラビン、インターフェロンα−2aおよび−2b、ロイコボリン、メルカプトプリン、メソトレキセート、マイトタン、プリカマイシン、チオグアニン、コルヒシン、アントラサイクリン及び他の抗生物質、葉酸拮抗剤および他の代謝拮抗剤、ビンカアルカロイド、ニトロソウレア、DNAアルキル化剤、プリン拮抗剤およびそのアナログ、ピリミジン拮抗剤及びそのアナログ、アルキルスルホネート等);酵素類(例えば、アスパラギナーゼ、ペグアスパルガーゼ等); 放射性薬剤(例えば、Cu−64、Ga−67、Ga−68、Zr−89、Ru−97、Tc−99m、Rh−105、Pd−109、In−111、I−123、I−125、I−131、Re−186、Re−188、Au−198、Au−199、Pb−203、At−211、Pb−212、及び、Bi−212等);毒素類(例えば、リシン、アブリン、ジフテリア毒素、コレラ毒素、ゲロニン、ヨウシュヤマゴボウ−抗ウイルスプロテイン、トリチン、赤痢菌毒素およびシュドモナス外毒素A等);治療補助剤[例えば、グラニセトロン及びオダンセトロン(抗悪心剤、抗嘔吐剤)]、デキスラゾキサン(心筋症)、硝酸ガリウム(高カルシウム血症)、GCSF及びGMSCF(化学療法およびBMT)、IL−1α、IL−2、IL−3、IL−4、レバミゾール、ピロカルピン(放射線治療設定における唾液生成)、ストロンチウム89(骨腫瘍)等]を挙げることができる。
【0077】
本発明で利用することができるさらなる治療剤としては、心血管系薬剤;抗高圧剤;アドレナリン遮断剤および刺激剤(例えば、ドキサゾシン、グアナドレル、グアネチジン、フェオキシベンザミン、プラゾシンとポリチアザイドの組み合わせ、テラゾシン、メチルドーパ、クロニジン、グアナベンズ、グアンファシン);α−/β−アドレナリン遮断剤(例えば、ラベタロール);アンギオテンシン転換酵素(ACE)阻害剤(例えば、ベナゼプリル、カトプリル、エナラプリル、エナラプリラト、フォシノプリル、リシノプリル、モエキシプリル、キナプリル、ラミプリル、及びカルシウムチャンネルブロッカーや利尿剤との組み合せ);ACE受容体拮抗剤(例えば、ロサルタン);βブロッカー(例えば、アセブトロール、アテノロール、ベタキソロール、ビソプロロール、カルテオロール、エスモロール、フィモロール、ピンドロール、プロプラノロール、ペンバトロール、メトプロロール、ナドロール、ソタロール);カルシウムチャンネルブロッカー(例えば、アミロライド、アムロジピン、ベプリジル、ジルチアゼム、イスラジピン、ニフェジピン、ベラパミル、フェロジピン、ニカルジピン、ニモジピン);抗不整脈剤、グループI〜IV(例えば、ブレチリウム、ジソピラミド、エンカイニド、フレカイニド、リドカイン、メキシレチン、モリシジン、プロパフェノン、プロカインアミド、キニジン、トカイニド、エスモロール、プロプラノーロール、アセブトロール、アミオダロン、ソタロール、ベラパミル、ジルチアゼム、ピンドロール、塩酸ブプラノロール、トリクロルメチアザイド、フロセミド、塩酸プラゾジン、酒石酸メトプロロール、塩酸カルテオロール、塩酸オクスプレノロール、及び、塩酸プロプラノロール);及び、多岐にわたる抗不整脈剤及び強心剤(例えば、アデノシン、ジゴキシン;メチルジゴキシン、カフェイン、塩酸ドーパミン、塩酸ドブタミン、塩酸オクトパミン、ジプロフィリン、ユビデカレノン、ジギタリス)などを挙げることができる。
【0078】
本発明で用いることのできる他の治療剤として、利尿剤(例えば、アセタゾルアミド、アミロリド、トリアムテレンにヒドロクロロチアジドの併用、スピロノラクトンにヒドロクロロチアジドの併用、トルラミド、フロセミド、エタクリン酸塩、ブメタニド、トリアムテレン、メチルクロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、メトダゾン(metdazone)、クロルタリドン、ヒドロフルメチアジド、メトラゾン、メチクロチアジド、ポリチアジド、キニタゾン、トリクロルメチアジド、ベンロフルメチアジド、ベンズチアジド);低血圧利尿剤(例えば、メフルシド、ペンフルチジド、ブメタミド、ヒドロチアジド、ベントロフルメチアジド、レセルピン);強心剤(例えば、ジゴキシン、ジギトキシン、ドブタミン、アムリノン、ミルリノン);血管拡張剤(例えば、パパベリン、イソソルビドモノ−およびジニトレート、ニトログリセリン、ジゾキシド、ヒドララジン、ミノキシジル、ニトロプルシド、プラゾシン、テラゾシン、1,2,3−プロパントリオールモノニトレート、1,2,3−プロパントリオールニトレートおよびそれらのエステル誘導体、ペンタエリスリトールテトラニトレート、ヘプロニケート、モルシドミン、ニコモール、シムフィブレート、塩酸ジルチアゼム、シンナリジン、ジピリダモール、トラピジル、塩酸トリメタジジン、カルボクロメン、乳酸プレニルアミン、ジラゼプジハイドロクロライド);昇圧剤(例えば、メタラミノール、イソプロテレノール、フェニレフリン、メタキサミン);抗凝固剤および血栓溶解剤(例えば、組織プラスミノーゲンアクチベーター(TPA)、ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、プロウロキナーゼ、ウロキナーゼ、ヘパリン、ワーファリン);カルモジュリン拮抗剤(例えば、H7);ナトリウム/カルシウム交換輸送体阻害剤(例えば、アミロライド);ならびにリアノジン受容体阻害剤(例えば、リアノジン);イノシトール−3−リン酸の阻害剤(例えば、ヘパリン)を挙げることができる。
【0079】
本発明で使用できる他の治療剤としては、抗炎症剤を含む。このような薬剤の代表例としては、非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDS)、その例としてサリチル酸塩(例えば、サルサレート、メサラミン、ジフルニサル、コリンマグネシウムトリサリチル酸塩)、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、フルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、メフェナム酸、ナブメトン、ナプロキセン、ピロキシカム、フェニルブタゾン、ケトプロフェン、S−ケトプロフェン、ケトロラク、トロメタミン、スリンダク、トルメチン)が挙げられる。他の抗炎症薬物として、例えば、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、コルチゾン、デキサメタゾン、フルオシノロン、フルニソリド、フルチカゾンプロピオン酸塩、フッ素化コルチコイド、トリアムシノロン−2酢酸塩、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、及び、プレドニゾン等のステロイド剤を挙げることができる。免疫抑制剤(例えば、アデノコルチコステロイド、シクロスポリン);及び、抗ヒスタミン剤、及び、充血除去剤(例えば、アステミゾール(ヒスタミンH1−受容体拮抗剤)、アザチジン、ブロムフェニラミン、クレマスチン、クロルフェニラミン、クロモリン、シプロヘプタジン、ジフェニルイミダゾール、塩酸ジフェンヒドラミン、ヒドロキシジン、グリチルレチン酸、塩酸ホモクロロサイクリジン、ケトチフェン、ロラタジン、ナファゾリン、フェニンダミン、フェニラミン、プロメタジン、テルフェナジン、トリメプラジン、トリペレナミン、トラニラスト、及び、充血除去剤フェニルプロパノールアミンおよびプソイドエフェドリン)。
【0080】
本発明で利用することができる治療剤として、中枢神経系薬剤をあげることができる。このような薬剤の代表的な例として、抗うつ剤(例えば、プロザック(Prozac)、パキシリン(Paxil)、ルボキサン(Luvox)、マンネックス(Mannex)、およびエフェクソール(Effexor);CNS刺激剤(例えば、ペモリン、メタンフェタミン、デキストロアンフェタミン);睡眠剤(例えば、ペントバルビタール、エスタゾラム、エトクロリノール、フルラゼパム、プロポフォール、セコバルビタール、テマゼパム、トリアゾラム、キアゼパム、酒石酸ゾルピデム);抗躁病剤(例えば、リチウム);鎮静剤及び抗痙攣性バルビツール剤(例えば、ペントバルビトール、フェノバルビタール、セコバルビタール、メフォバルビタール、ブタバルビタールプリミドン、アモバルビタール);非バルビツール鎮静剤(例えば、ジフェヒドラミン、ドキシルアミン、ミダゾラム、ジアゼパム、プロメタジン、ロラゼパム、テマゼパム);及び、他の多岐にわたる睡眠剤及び鎮静剤(例えば、メタカロン、グルテチミド、フルラゼパム、ブロモバレリル尿素、フルラゼパム、塩酸塩、ハロキサゾラム、トリアゾラム、フェノバルビタール、抱水クロラール、ニメタゼパム、エスタゾラム)を挙げることができる。
【0081】
本発明で利用することができる他の治療剤としては、これに限定されるものではないが、アルツハイマ治療剤であるタクリン(可逆性コリンエステラーゼ阻害剤);パーキンソン病治療剤(これに限定されるものではないが、例えば、アマンタジン、ブロモクリプチンメシレート、ビペリデン、ベンズトロピンメシレート、カルビドーパ−レボドーパ、ジフェニルヒドラミン、ヒヨスシアミン、レボドーパ、ペルゴリドメシレート、プロシクリジン、セレギリンHCl、トリヘキシフェニジルHCl);及び他の多岐にわたるCNS剤(例えば、フルフェナジン、フルタゾラム、フェノバルビタール、メチルフェノバルビタール、チオリダジン、ジアゼパム、ベンズブロマロン、塩酸クロカプラミン、クロチアゼパム、クロルプロマジン、ハロペリドール、炭酸リチウム)を挙げることできる。
【0082】
本発明で使用することができるさらなる治療剤としては、抗片頭痛剤(例えば、抗片頭痛剤(例えば、エルゴタミン、メチルセルジド、プロプラノロール、ジヒドロエルゴタミン、セルトロリン(Sertroline)、およびイミトレックス(Immitrex);後脳塞栓症剤(例えば、塩酸ニカルジピン、マレイン酸シネパジド、ペントキシフィリン、酒石酸イフェンプロジル);局所麻酔剤(例えば、リドカイン、ベンゾカイン、エチルアミノベンゾエート、塩酸プロカイン、ジブカイン、プロカイン);抗潰瘍/抗逆流剤(例えば、Losec(オメパラゾール)、アセグルタミドアルミニウム、塩酸セトラキセート、塩酸ピレンゼピン、シメチジン、ファモチジン、メトクロプラミド、ラニチジン、L−グルタミン、ゲファルネート、およびこれらの化合物の任意の立体異性体、ならびにこれらの化合物の薬学的に受容可能な塩(例えば、適切に選択された、単一でまたは1を超える化合物を組み合わせて使用される化合物));プロテアーゼインヒビター(例えば、セリンプロテアーゼ、メタロエンドプロテアーゼおよびアスパルチルプロテアーゼ(例えば、HIVプロテアーゼ、レニン、およびカセプシン)ならびにチオールプロテアーゼインヒビター(例えば、ベンジルオキシカルボニル−leu−ノルロイシナル(カルペプチン)およびアセチル−leu−leu−ノルロイシナル);ホスホジエステラーゼ インヒビター(例えば、イソブチルメチルキサンチン);フェノチアジン類;増殖因子受容体拮抗剤(例えば、血小板由来増殖因子(PDGF)、上皮増殖因子、インターロイキン、トランスフォーミング増殖因子αおよびβ、ならびに酸性または塩基性線維芽細胞増殖因子);アンチセンスオリゴヌクレオチド(例えば、DPGFまたは他の増殖因子をコードするmRNAの部分に相補的な配列);ならびにプロテインキナーゼ阻害剤(例えば、チロシンキナーゼ、プロテインキナーゼA、プロテインキナーゼC、プロテインキナーゼL、ミオシン軽鎖キナーゼ、Ca2+/カルモジュリンキナーゼII、カゼインキナーゼII、RNA活性化プロテインキナーゼ、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ、増殖関連キナーゼ、サイクリン依存プロテインキナーゼ、5’−AMP活性化プロテインキナーゼ)等の阻害剤)などを挙げることができる。
【0083】
本発明で利用することができる他の治療剤としては、抗組織損傷剤を挙げることができる。このような薬剤の代表的な例として、スーパーオキシドジスムターゼ;免疫調節剤(例えば、リンホカイン、モノカイン、インターフェロンα、β、τ−1b、α−n3、α−2b、α−2b);増殖調節因子(例えば、IL−2、腫瘍壊死因子、上皮細胞増殖因子、ソマトレム、フィブロネクチン、GM−CSF、CSF、血小板由来増殖因子、ソマトトロピン、rG−CSF、IGF−1)を挙げることができる。
【0084】
本発明で使用することができる他の治療剤としては、モノクローナルおよびポリクローナル抗体(例えば、以下に対して活性な抗体:毒(液)、毒素、腫瘍壊死因子、細菌);ホルモン(例えば、エストロゲン、プロゲスチン、テストステロン、ヒト成長ホルモン、エピネフリン、レバルテレノール、チロキシン、チログロブリン、オキシトシン、バソプレッシン、ACTH、ソマトロピン、チロトロピン、インシュリン、パラサイリン、カルシトニン);ビタミン(例えば、ビタミンA、B類複合体、ビタミンC、D、E、F、G、J、K、N、P、PP、T、Uならびにそれらの亜種);アミノ酸(例えば、アルギニン、ヒスチジン、プロリン、リジン、メチオニン、アラニン、フェニルアラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、スレオニン、トリプトファン、グリシン、イソロイシン、ロイシン、バリン);プロスタグランジン(例えば、E1、E2、F2α、I2);酵素(例えば、ペプシン、パンクレアチン、レニン、パパイン、トリプシン、パンクレリパーゼ、キモパパイン、ブロメライン、キモトリプシン、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、組織プラスミノーゲンアクチベーター、フィブリノリシン、デオキシリボヌクレアーゼ、スチライン、コラゲナーゼ、アスパラギナーゼ、ヘパリナーゼ);緩衝液と塩(例えば、NaCl、カチオン(Na+、K+、Ca++、Mg++、Zn++、NH4+)含有トリエタノールアミン、アニオン(リン酸、硫酸、塩化物、クエン酸、アスコルビン酸、酢酸、ホウ酸、炭酸イオン));防腐剤(例えば、塩化ベンザルアルコニウム、亜硫酸NaまたはK、チオ硫酸NaまたはK、パラベン);抗痛風剤(例えば、アロプリノール、コヒシン(cochicine)、プロベニシド、スルフィンピラゾン);抗うつ剤(例えば、アミトリプチリン、アモキサピン、デシプラミン、ドキセピン、イミプラミン、ノルトリプチリン、プロトリプチリン、トリミプラミン);避妊薬(例えば、ノエチンドロン及び(例えば、エチニルエストラジオールまたはメスタラノールとの)組み合わせ);及び、抗悪心剤/抗嘔吐剤(例えば、ジメンヒドリネート、ヒドロキシジン、メクリジン、メトクロプラミド、プロクロルペラジン、プロメタジン、スコポラミン、チエチルペラジン、トリエトベンザミド)を挙げることができる。
【0085】
本発明で同様に利用することができる他の治療剤としては、抗喘息剤、抗精神薬、気管支拡張薬、金化合物、血糖降下剤、抗高脂血症剤、麻酔薬、ワクチン、骨代謝に作用する薬剤、抗下痢止剤、排卵誘発剤、筋肉弛緩剤、食欲抑制剤、ホルモン(例えば、甲状腺ホルモン、エストロゲン、プロゲステロン、コルチゾンおよび/または成長ホルモン)、他の生物学的に活性な分子(例えば、インシュリン)、ならびにTH1サイトカイン(例えば、インターロイキン(IL)−2、IL−12、及びIL−15、インターフェロン−γ)、又は、TH2(例えば、インターロイキン−4および−10)サイトカインを挙げることができる。
【0086】
上記の治療剤は例示目的のために提供されているが、本発明はそれに限定されないと理解されるべきである。例えば、薬剤は上記に特に言及しているが、本発明は、このような薬剤のアナログ、誘導体、および複合体を含むと理解されるべきである。例えば、パクリタキセルは、パクリタキセルの一般的な化学的に利用可能な形態だけでなく、アナログ(例えば、上記のタキソテール)及びパクリタキセル複合体(例えば、パクリタキセル−PEG、パクリタキセル−デキストラン、またはパクリタキセル−キシロース)を指すと理解するべきである。さらに、当業者には明らかであるように、上記に示された薬剤は1つのクラスの文脈で言及され得るが、列挙された薬剤の多くは、実際には多様な生物学的活性を有する。さらに、1又はそれ以上の治療剤は、一度に(すなわち、組み合わせて)利用してもよいし、又は連続的に送達してもよい。
【0087】
ポリマ性キャリア
上述のように、本発明の治療剤組成物は、さらに、ポリマ性キャリアも含むことができる。種々のポリマ性キャリアを用いて、例えば、生分解性および非生分解性の組成物の両方を含む、上記の1つ以上の治療剤を含める。および/または送達することができる。生分解性組成物の代表的な例として、アルブミン、コラーゲン、ゼラチン、デンプン、セルロース(メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロール、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートサクシネート、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、カゼイン、デキストラン、多糖、フィブリノーゲン、ポリ(D,Lラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ヒドロキシ酪酸)、ポリ(アルキル炭酸エステル)、およびポリ(オルトエステル)、ポリエステル、ポリ(ヒドロキシ吉草酸)、ポリジオキサノン、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(リンゴ酸)、ポリ(タルトロン酸)、ポリ酸無水物、ポリホスファゼン、ポリ(アミノ酸およびそれらの共重合体)を挙げることができる(一般的に、Illum、L.Davids、S.S.(編)「制御薬物送達におけるポリマ」Wright、Bristol、 1987;Arshady、 J.Controlled Release 17:1−22、 1991;Pitt、Int.J.Phar.59:173−196、 1990;Hollandら、 J.Controlled Release 4:155−0180、 1986を参照されたい)。非生分解性ポリマの代表的な例として、EVA共重合体、シリコーンゴム、アクリル性ポリマ(ポリアクリル酸、ポリメチルアクリル酸、ポリメチルメタクリレート、ポリアルキルシノアクリレート)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド(ナイロン6,6)、ポリウラタン、ポリ(エステルウラタン)、ポリ(エーテルウラタン)、ポリ(エステル−ウレア)、ポリエーテル(ポリ(エチレン酸化物)、ポリ(プロピレン酸化物)、プルロニック、ポリ(テトラメチレングリコール))、シリコーンゴム、及びビニルポリマ[ポリビニルピロリドン、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルアセテートフタレート)]を挙げることができる。ポリマは、アニオン性(例えば、アルギン酸塩、カラゲナン、カルボキシメチルセルロース、およびポリ(アクリル酸))、であるか又は、カチオン性(例えば、キトサン、ポリ−l−リジン、ポリエチレンイミン、およびポリ(アリルアミン))のいずれかであり、それらが開発され得る(一般的に、Dunnら、J.Applied Polymer Sci.50:353−365、1993;Cascone等、J.Materials Sci.:Materials in Medicine 5:770−774、1994;Shiraishi等、Biol.Pharm.Bull.16(11):1164−1168、 1993;Thacharodi及びRao、Int’l J.Pharm.120:115−118、 1995;Miyazaki等、Int’l J.Pharm.118:257−263、1995を参照のこと)。特に好ましいポリマキャリアとして、ポリ(ポリエチレン−ビニルアセテート)(40%架橋)、ポリ(D,L−乳酸)オリゴマ及びポリマ、ポリ(L−乳酸)オリゴマ及びポリマ、ポリ(グリコール酸)、乳酸およびグリコール酸の共重合体、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(バレロラクトン)、ポリ酸無水物、ポリ(カプロラクトン)又はポリ(乳酸)のポリエチレングリコールとの共重合体、ならびにそのブレンドを挙げることができる。
【0088】
ポリマ性キャリアは、所望の放出特徴および/または特定の所望の特性によって、種々の形態で形成され得る。例えば、ポリマ性キャリアは、特定の誘発事象(例えば、pH)に遭遇した際に治療剤を放出するように形成することができる(例えば、Hellerら「化学的に自己調節された薬物送達系」Polymers in Medicine III、 Elsevier Science Publishers B.V.、Amsterdam、 1988、 175−188頁;Kang等、J.Applied Polymer Sci.48:343−354、1993;Dong等、J.Controlled Release 19:171−178、1992;Dong及びHoffman、J.Controlled Release 15:141−152、 1991;Kim等、J.Controlled Release 28:143−152、1994;Cornejo−Bravo等、 J.Controlled Release 33:223−229、1995;Wu及びLee、Pharm.Res.10(10):1544−1547、1993;Serres等、Pharm.Res.13(2):196−201、1996;Peppas「pHおよび温度感受性送達系の基礎」Gurnyら(編)、Pulsatile Drug Delivery、 Wissenschaftliche Verlagsgesellschaft mbH、 Stuttgart、 1993、 41−45頁;Doelker、「セルロース誘導体」、1993、 Peppas及びLanger(編)、 Biopolymers 1、 Springer−Verlag、 Berlinを参照のこと)。pH感受性ポリマの代表的な例として、ポリ(アクリル酸)およびその誘導体(例えば、ホモポリマ(例えば、ポリ(アミノカルボン酸);ポリ(アクリル酸);ポリ(メチルアクリル酸))、このようなホモポリマの共重合体、ならびにポリ(アクリル酸)および上記のもののようなアクリルモノマーの共重合体が挙げられる。他のpH感受性ポリマとして、多糖(例えば、セルロースアセテートフタレート;フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース;ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート;セルロースアセテートトリメリレート;およびキトサン)を挙げることができる。さらに他のpH感受性ポリマとして、pH感受性ポリマおよび水溶性ポリマの任意の混合物を挙げることができる。
【0089】
同様に、温度感受性のポリマ性キャリアを形成し得る(例えば、Chenら「膣薬物送達のための生体接着性ポリアクリル酸骨格へ接合した温度感受性プルロニックの新規のヒドロゲル」Proceed.Intern.Symp.Control.Rel.Bioact.Mater.22:167−168、 Controlled Release Society、 Inc.、1995;Okano、 「時間的な制御薬物送達のための刺激応答性ヒドロゲルの分子設計」Proceed.Intern.Symp.Control.Rel.Bioact.Mater.22:111−112、 Controlled Release Society、 Inc.、1995;Johnstonら、 Pharm.Res.9(3):425−433、 1992;Tung、 Int’l J.Pharm.107:85−90、 1994;Harsh及びGehrke、 J.Controlled Release 17:175−186、 1991;Baeら、 Pharm.Res.8(4):531−537、 1991;Dinarvand及びD’Emanuele、 J.Controlled Release 36:221−227、 1995;Yu及びGrainger、「新規の熱感受性両親媒性ゲル:ポリN−イソプロピルアクリルアミド−co−アクリル酸ナトリウム−co−n−N−アルキルアクリルアミドネットワーク合成及び物理化学的特徴」Dept.of Chemical&Bioligal Sci.、Oregon Graduate Institute of Science&Technology、 Beaverton、 OR、 820−821頁;Zhou及びSmid、「結合スターポリマーの物理的ヒドロゲル」Polymer Research Institute、 Dept.of Chemistry、 College of Environmental Science and Forestry、 State Univ.of New York, Syracuse, NY, 822−823頁;Hoffman等、「刺激応答性ヒドロゲルにおける孔サイズおよび水「構造」の特徴付け」Center for Bioengineering、Univ.of Washington, Seattle, WA, 828頁;YuおよびGrainger、「架橋N−イソプロピルアクリルアミドネットワークにおける熱感受性膨張反応:カチオン性、アニオン性、および両親媒性ヒドロゲル」Dept.of Chemical&Bioligical Sci.、Oregon Graduate Institute of Science&Technology、 Beaverton、 OR、 829−830頁;Kimら、 Pharm.Res.9(3):283−290、 1992;Baeら、 Pharm.Res.8(5):624−628、 1992;Kono等、 J.Controlled Release 30:69−75、 1994;Yoshida等、 J.Controlled Release 32:97−102、 1994;Okano等、 J.Controlled Release 36:125−133、 1995;ChunおよびKim、J.Controlled Release38:39−47、1996;D’EmanueleおよびDinarvand、Int’l J.Pharm.118:237−242、 1995;Katonoら、J.Controlled Release 16:215−228、 1991;Hoffman、「生物学的に活性な種を含む熱可逆性ヒドロゲル」Migliaresiら(編)、PolymPolymers in Medicine III、 Elsevier Science Publishers B.V.、 Amsterdam、 1988、161−167頁;Hoffman、「治療薬及び診断薬における熱可逆性ポリマ及びヒドロゲルの適用」Third International Symposium on Resent Advances in Drug Delivery Systems、Salt Lake City、UT、1987年2月24〜27日、 297−305頁;Gutowskaら、 J.Controlled Release 22:95−104、1992;Palasis及びGehrke、J.Controlled Release 18:1−12、 1992;Paavola等、Pharm.Res.12(12):1997−2002、1995を参照されたい)。
【0090】
サーモゲル化ポリマー及びそれらのゲル化温度(LCST(℃))の代表的な例として、ホモポリマ(例えば、ポリ(N−メチル−N−n−ポリアクリルアミド)、19.8;ポリ(N−n−プロピルアクリルアミド)、21.5;ポリ(N−メチル−N−イソプロピルアクリルアミド)、22.3;ポリ(N−n−プロピルメタクリルアミド)、28.0;ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、30.9;ポリ(N、n−ジエチルアクリルアミド)、32.0;ポリ(N−イソプロピルメタクリルアミド)、44.0;ポリ(N−シクロプロピルアクリルアミド)、45.5;ポリ(N−エチルメチルアクリルアミド)、50.0;ポリ(N−メチル−N−エチルアクリルアミド)、56.0;ポリ(N−シクロプロピルメタクリルアミド)、59.0;ポリ(N−エチルアクリルアミド)、72.0を挙げることができる。さらに、サーモゲル化ポリマは、上記のモノマ間で共重合体を調製することによるか、またはこのようなホモポリマを、アクリルモノマ(例えば、メチルアクリル酸)等の他の水溶性ポリマ[例えば、アクリルモノマ(例えば、アクリル酸およびその誘導体(例えば、メチルアクリル酸)、アクリレートおよびその誘導体(例えば、ブチルメタクリレート、アクリルアミド、およびN−n−ブチルアクリルアミド))]とを組み合わせることにより調製することができる。
【0091】
サーモゲル化ポリマの他の代表的な例として、セルロースエーテル誘導体(ヒドロキシプロピルセルロース、41℃;メチルセルロース、55℃;ヒドロキシプロピルメチルセルロース、66℃;およびエチルヒドロキシエチルセルロース、ならびにプルロニック(例えば、F−127、10〜15℃;L−122、19℃;L−92、26℃;L−81、20℃;およびL−61、24℃)を挙げることができる。
【0092】
ポリマは、多数の相をとることができる(例えば、限定されるものではないが、液体相、ゲル相、固相、又はこれらの組合わせ)。本発明の治療組成物は、多数の相をとることができる(例えば、これらの限定されるものではないが、液相、ゲル相、固相、又は、それらの組み合わせ)。治療組成物は、使用目的に応じた適切な態様であることが好ましい。本発明のある形態では、治療組成物は生体適合性であり、数日から数ヶ月の期間にわたって1つ以上の治療剤を放出する。例えば、7日〜10日の期間にわたって治療剤(例えば、サリドマイド、又はネオマイシン)を10%、20%、または25%(w/v)以上を放出する「急速放出」または「破裂(burst)」治療組成物(例えば、サリドマイド又はネオマイシン)が提供される。このような「急速放出」組成物は、特定の実施態様では、化学療法レベル(適用可能な場合)の所望の薬剤を放出し得るべきである。他の実施態様では、7日〜10日の期間にわたって治療剤の1%(w/v)未満を放出する、「低放出」治療組成物を提供する。さらに、本発明の治療組成物は、好ましくは、数ヶ月間安定であり、そして無菌条件下で調製され、維持され得るべきである。
【0093】
製剤と医療用装具のコーティング方法
ポリマ性キャリアへの治療剤の取り込み、及び、医療用装具(例えば、ステント、ポリマチューブ)へのコーティング又は結合については、以下に述べる実施例により詳細に記載している。治療剤は、重合性キャリアへ、例えば、約1:99、2:98、5:95、10:90、15:85、20:80、25:75、30:70、33:67、35:65、40:60、45:55、50:50、及びそれらの逆のどのような比率(w/w)でも、組み込むことができる。
【0094】
ステントの構造
例えば、本明細書に開示されている、ステント、チューブ、カテーテル、チャンネル、繊維、基盤(platforms)、鞘(sheath)、輪(ring)、コイル、針又はその同等物である本発明の構造及び支持体構成要素は、例えば、シリコン、ポリウレタン、ポリエチレン、アクリロニトリル、ブタジエンスチレン(ABS)、ポリカーボネイト、ポリプロピレン、スチレン、ポリアミド(ナイロン)、ポリイミド、PEEK、PEBAX、ポリエステル、PVC、フッ化ポリマ(テフロン(登録商標))、及びそれらの共重合体などのポリマを含む様々な材料から構成することができる。金属製、(例えば、ステンレススチール、ニッケル−チタニウム合金(例えば、ニチノール(NITINOL)及びクロム)、ポリマ性編組(polymeric braids)、又はコイルなどの補強構成要素を、構造に用いることができる。支持体は、限定されるものではないが、ステントグラフト、自己展開式ステント、気管と気管支ステント(両側柄ステントを含む)、胆管ステント、一時的に取り外し可能なステント、及び/又はステントグラフト(例えば、Peterson等、2000、J.Vase. Interv.Radiol.11:919−929)、例えば、Miyayama等、等によって開示された被覆したギアンツルコZステント(Gianturco Z Stent)(1997、J.Vase.Interv.Radiol.8:641−648);例えば、Roissi等により開示されたポリウレタン被覆ウオールステント(Wallstent)(1997、Cardiovasc.Intervent.Radiol.20:441−447);例えば、図11に開示したシリコンステント及び薬物溶出ステントである。薬物溶出ステントは、生分解性であるか、又は、非生分解性であり、又は、それらの複合材料ででもあり得る。薬物溶出ステントは、ステントグラフトであり得る。金属及び他の伝導性材料を、ステント長に沿って電流を伝えるために使用することができる。これらの導体素子は、ステンレススチール、銅、金、プラチナ、銀、チタニウム、ニチノール(NITINOL)、伝導性エポキシ、及び伝導性ポマを材料として造られている。その要素は、構造に含まれ、X線画像によりステントをより見易くしている。これらの要素には、タンタルム、白金、イリジウム、金、ステンレススチール、銀、ニッケル−チタニウム合金、及びポリマ配合剤(例えば、硫酸バリウム、及び酸化チタニウム等である。)を挙げることができる。
【0095】
本発明に使用することができる代表的なステントは、限定されるものではないが、例えば、ノバテックドーモン(NOVATECH DUMON)(Boston Medical Products、Westborough、MA)等の気管及び気管支ステント、例えば、ウオールステント(WALLSTENT)(Meditech、Natick、MA)メソテルム(MESOTHERM)(CR.Bard、Inc、Billerica、MA)、ジルバステント(ZILVER STENT)(Cook、Bloomington、IN)、スマートステント(SMARTSTENT)(Cordis、Miami、FL)
、及び柔軟ステント(例えば、ウルトラフレックス ニチノルステント(ULTRAFLEX NITINOLstent)(Boston Scientific、Minneapolis、MN)などの胆管ステントを挙げることができる。
【0096】
医療用装具及びステント用のコーティング組成物
下塗り層用の組成物の実施形態は、全ての成分を組み合わせた後に、ブレンドするという、従来の方法により調製する。より具体的には、1つの実施形態によれば、予め定められた量のポリマ又はプレポリマを予め定められた量の、溶媒又は溶媒の組み合わせに添加する。混合物は、周囲圧力で無水雰囲気下で調製することができる。必要ならば、フリーラジカル又はUV開始剤を、組成物中に添加してプレポリマの硬化又は架橋を開始させることができる。加熱及び攪拌、及び/又は混合を、ポリマを溶媒中へ溶解するために用いることができる。
【0097】
生体適合性ポリマを下塗材料に用いることができる。生体適合性下塗材の例としては、ポリ(ヒドロキシバレレイト)、ポリ(L-乳酸)、ポリ(カプトラクトン)、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(ヒドロキシブチレイト)、ポリ(ヒドロキシブチレイト−co−バレレイト)、ポリジオキサノン、ポリオルトエステル類、ポリ酸無水物類、ポリ(グリコール酸)、ポリ(D、L−乳酸)、ポリ(グリコール酸−co−トリメチレンカルボネイト)、ポリホスホエステル類、ポリホスホエステルウレタン類、ポリ(アミノ酸類)、シアノアクリレイト類、ポリ(トリメチレンカルボネイト類)、ポリ(イミノカルボネイト)、共重合(エーテル−エステル類)、(例えば、PEO/PLA)、ポリアルキレンオキサレイト類、ポリホスファゼン類、及び、生体分子類(例えば、フィブリン、フィブリノーゲン、セルロース、澱粉、コラーゲン、及びヒアルロン酸など)などを挙げることができる。同様に、ポリウレタン、シリコン、及びポリエステルを使用することができる。溶解できて、ステント上で硬化又は重合できるものであれば、ポリオレフィン、ポリイソブチレン、及びエチレン−αオレフィン共重合体;アクリルポリマ及び共重合体類(例えば、ポリビニルクロライド);ポリビニルエーテル類(例えば、ポリビニルメチルエーテル);ポリビニリデンハライド(例えば、ポリビニリデンフルオライド、及び、ポリビニリデンクロライド);ポリアクリロニトリル;ポリビニルケトン;ポリビニルアロマティックス(例えば、ポリスチレン);ポリビニルエステル類(例えば、ポリビニル酢酸);ビニルモノマと相互に及びオレフィンとの共重合体(例えば、エチレン−メチルメタクリレイト共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ABS樹脂、及び、エチレン−ビニル酢酸共重合体);ポリアミド類(例えば、ナイロン66及びポリカプロラクタム);アルキド樹脂;ポリカルボネイト類;ポリオキシメチレン類;ポリイミド類;ポリエーテル類;エポキシ樹脂類、レーヨン;レーヨン−トリアセテイト;セルロース、セルロースアセテイト、セルロースブチレイト;セルロースアセテイトブチレイト;セロファン;硝酸セルロース;セルロースプロピオン酸塩;セルロースエーテル類;及びカルボキシメチルセルロース等の他のポリマも使用することができる。
【0098】
溶媒又は湿潤した流動体は、相互にポリマと相溶性であり、溶液中で希望する濃度で溶液にそのポリマを入れ込むことができる。有用な溶媒は、例えば、ステントの金属製表面などの装具表面との相互作用を最大にすべく、ポリマ鎖を拡張できる。溶媒及び湿潤流体の例としては、限定されるものではないが、ジメチルスルフォキシド(DMSO)、クロロホルム、水(緩衝生理食塩水)、キシレン、アセトン、エタノール、1−プロパノール、テトラヒドロフラン、1−ブタノン、ジメチルアセタミド、シクロヘキサノン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、プロピレングリコール、モノメチルエーテル、イソプロパノール、N-メチルピロリジオン、トルエン、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、1−ブタノール、n−ブチルアセテイト、ジメチルアセタミド(DMAC)、及びそれらの混合物、とそれらの組み合わせを挙げることができる。溶媒又は湿潤流体は、溶媒とポリマはポリマと相溶性であり、ポリマーを沈殿させるべきではない。
【0099】
装具へ組成物を適用する方法
医療用装具又はステントを本発明の組成物でコーティングする代表的な方法が、図12に例示されている。下塗り層を形成するために、装具又は人工器官の表面は清潔であるべきであり、製造中に入り込む汚染物質が取り除かれているべきである。しかしながら、人工器官の表面は、処理されたコーティングを維持するための特別な表面処理を必要とするものではない。ステントの金属表面は、例えば、当業者に周知のアルゴンプラスマ処理により、清浄することができる。組成物の塗布は、例えば、人工器官の上に組成物をスプレイすることによるか、又は、人工器官を組成物中に浸すといった、従来の方法により行うことができる。拭き取り、遠心分離する、吹きつけ、又は、拭き取り用布で拭うなどの操作を行って、均一なコーティングを得ることができる。手短に言えば、「拭き取り」は、ステント表面から過剰のコーティングを取り除くことを意味し、「遠心分離」は、回転軸付近のステントの急速な回転を意味し、「吹きつけ」は、蓄積したコーティングに特定の圧力で空気をかけることを意味する。過剰なコーティングを、装具の表面から吸い取るようにしてもよい。湿潤流体の添加は、組成物を確実に塗布し、人工器官のコーティングを均一にする。
【0100】
エチレンビニルアルコール共重合体、ポリカプロラクトン、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(ヒドロキシブチレイト)等の熱可塑性ポリマを使用し、付着された下塗組成物は選択したポリマのほぼガラス転移温度以上、ほぼ溶融温度以下の温度範囲で、熱処理に付される。この温度範囲で組成物を処理すると、ステントの金属表面へのコーティングが強く粘着又は結合するという予期しない結果が生じた。装具に、適当な期間、熱処理を行い、装具の表面上に下塗り層を形成して、溶媒又は溶媒と湿潤流体の混合物が蒸発させる。溶媒と湿潤流体は全て原則的に、組成物から除去されるが、痕跡や残留が残って、ポリマとブレンドされることがある。
【0101】
治療剤又は活性成分層を形成する組成物
活性成分の含有又は貯留層の組成物の実施形態は、全ての組成物を組み合わせて、次にブレンドするという従来の方法により調製する。より具体的には、予め決められた量のポリマ性化合物を、予め定められた量の互いに相溶性の溶媒又は溶媒の組み合わせに加える。このポリマ性化合物は、周囲圧力下、無水雰囲気下で添加できる。必要ならば、例えば、約60℃で水浴中12時間など、穏やかな加熱と攪拌及び/又は混合を行って、溶媒にポリマを溶解させることができる。選択したポリマは、生体適合性であり、装具をインプラントしたとき血管壁への刺激が最少であるポリマでなければならない。そのポリマは、生体内で安定であるか又は生体吸収性ポリマのいずれかでもよい。使用することができる生体吸収性ポリマの例としては、ポリ(ヒドロキシ吉草酸)、ポリ(L乳酸)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(ヒドロキ酪酸)、ポリ(ヒドロキシ酪酸−co−吉草酸)、ポリジオキサノン、ポリオルトエステロール類、ポリ酸無水物類、ポリ(グリコール酸)、ポリ(D、L−乳酸)、ポリ(グリコール酸−co−トリメチレンカルボネイト)、ポリホスホエステル類、ポリホスホエステルウレタン類、ポリ(アミノ酸類)、シアノアクリレイト類、ポリ(トリメチレンカルボネイト)、ポリ(イミノカルボネイト)、コポリ(エーテル−エステル類)(例えば、PEO/PLA)、ポリアルキレンオキサレイト類、ポリホスファゼン類、及び生体分子類(例えば、フィブリン、フィブリノーゲン、セルロース、澱粉、コラーゲン、及び、ヒアルロン酸等)、等をあげることができる。同様に、例えば、ポリウレタン類、シリコン類、及びポリエステル類など長期的な組織反応性の低い生体安定性のポリマを用いることができるが、溶解できて、ステント上で硬化又は重合できるのであれば、例えば、ポリオレフィン、ポリイソブチレンとエチレン−αオレフィン共重合体;アクリル酸ポリマと共重合体、ハロゲン化ビニルポリマと共重合体(例えば、ポリ塩化ビニル等);ポリビニルエーテル(例えば、ポリビニルメチルエーテル);ハロゲン化ポリビニリデン(例えば、フッ化ポリビニリデン及び塩化ポリビニリデン等);ポリアクリロニトリル;ポリビニルケトン類;ポリビニルアロマティックス類(例えば、ポリスチレン等);ポリビニルエステル類(例えば、ポリビニル酢酸等);ビニルモノマと相互及びオレフィンとの共重合体(例えば、エチレンメチルメタクリレイト共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ABS樹脂、及びエチレン−ビニル酢酸共重合体等);ポリアミド類(例えば、ナイロン66及びポリカプロラクタム等);アルキド樹脂類;ポリカルボネイト類;ポリオキシメチレン類;ポリイミド類;ポリエーテル類、エポキシ樹脂類;レーヨン;レーヨン−トリアセテイト;セルロース、セルロースアセテイト、セルロースブチレイト;セルロースアセテイトブチレイト;セロファン;硝酸セルロース;セルロースプロピオネイト;セルロースエーテル類;及びカルボキシメチルセルロース等のその他のポリマを用いることもできる。
【0102】
貯留層用のポリマーの選択は、下塗層用に選択したポリマと同じポリマであってもよく、異なったものとすることもできる。同一のポリマを使用すると、例えば、2種類の異なるポリマ層の使用に伴う粘着や結合の欠如などのあらゆる境界面不適合を有意に減少又は排除できる。実際に、下塗り層と貯留槽に同一ポリマ材料を用いることで、単一層のコーティングが形成できる。
【0103】
溶媒は、ポリマを所望の濃度で溶液中に入れることができるものでなければならない。溶媒の例としては、これらに限定されるものではないが、DMSO、クロロホルム、アセトン、水(緩衝生理液)、キシレン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、テトラヒドロフラン、1−ブタノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセタミド、シクロヘキサノン、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。例えば、29モル%のエチレンビニルアルコール共重合体等の低いエチレン含量を用いる場合、適切な溶媒の選択は、水に混合したイソプロピルアルコールである。
【0104】
十分な量の活性成分をポリマと溶媒をブレンドした組成物中に分散させる。活性成分又は治療剤は、混合組成物中の「真溶液」中に存在すべきである。好ましい活性成分としては、ネオマイシン、サリドマイド、及びそれらの誘導体又はアナログ等を挙げることができる。望ましい治療効果をもたらすのに要する活性成分の濃度は、活性成分が毒性効果を示す濃度よりも少なく、治療効果のない濃度よりも高くなくてはならない。
【0105】
例として、ポリマは、組成物の全重量の約0.1%〜35%を含み、溶媒は、組成物の全重量の約59.9%〜約99.8%を含み、活性成分は、組成物の全重量中約0.1%〜約99.9%を含む。
【0106】
放出率減少膜を形成する組成物
放出率減少膜又は拡散障害層の組成物の実施態様は、全ての成分を組み合わせる従来の方法で調製する。粒子を用いる実施態様では、粒子の凝集や綿状塊を回避するために分散技術を用いるべきである。
【0107】
具体的には、貯留層用の組成物の実施態様は、放出率減少膜又は障害膜を形成する貯留層の選択した領域に適用することができる。障害層は、放出率を低減させる、又は活性成分が貯留槽から放出する時間を遅らせることができる。ある態様では、ポリエチレングリコール又はポリエチレンオキサイドをブレンドに添加することで最大血中相溶性を得ることができる。エチルビニルアルコールは、機能的に大変適したポリマの選択である。共重合体は、活性成分の放出に対して良好な抑制能に貢献している。有用なことに、障害層用のポリマの選択は、貯留槽用のポリマの選択と同様であり得る。同じポリマを使用することは、いくつかの実施態様で述べたように、2つの異なるポリマ層の使用した場合に生じる接着の欠如等の界面不適合を有意に減少又は排除する。事実、必要ならば、障害層と貯留槽に同じポリマ材料を使うことで、単一層コーティングが形成される。言い換えれば、同一のポリマ材料の使用によって、層がその内容物で変化する継ぎ目のない多層コーティングができる。したがって、明確な界面の境界が有意に減少又は排除される。
【0108】
活性成分の例としては、腸管内放出により胃内放出が好ましい医薬、又は活性成分の放出抑制が、全身作用にとって望ましい医薬などを挙げることができる。例えば、胃内に送達される薬剤は、天然、又は合成プロスタグランジン、プロスタグランジンアナログ、及びプロスタサイクリン類(例えば、ミソプロストール、エニソプロスト、エンプロスチル、イロプロスト、及びアルバプロスチル等)、消化性潰瘍、胃液分泌抑制剤、抗菌剤、(胃)運動促進剤、細胞保護剤及びそれらの同等物等を含むことが好ましい。抗微生物剤の例としていは、ヘリコバクター ピロリ等の胃内細菌の根絶のために使われているテトラサイクリン、メトロニタゾール、及びエリスロマイシンを挙げることができる。
【0109】
製剤は、単独で、又は少なくとも1以上の多剤(限定されるものではないが、生理食塩水、デキストロース、及び水等、滅菌された生体適合性のある薬学的許容されるキャリアに投与される安定化物質などと併用して投与することができる。製剤は、患者に単独で、又は、その他剤、薬物又はホルモン類と併用して投与することができる。
【0110】
活性成分に加えて、これらの薬学的な製剤は、薬学的に使用することができる製剤中に活性化合物への処理を促進する賦形剤や補助剤を含む薬学的に許容できる適切なキャリアを含んでいてもよい。製剤及び投与の技術に関する更なる詳細は、レミントンファーマシューティカル サイエンス(Remington’s Pharmaceutical Science)(Maack Publishing Co.、 Easton、 PA)の最新版で知ることができる。
【0111】
経口用の薬学的製剤を、活性化合物を固体の賦形剤と混合し、その結果得られる顆粒(場合により、粉砕した後)の混合物を処理し、錠剤又は糖衣錠コアが得られる。必要な場合は、適当な助剤を添加することができる。適当な賦形剤としては、炭水化物又はタンパク質充填剤[例えば、糖(例えば、乳糖、蔗糖、マンニトール、及び、ソルビトールなど);澱粉(トウモロコシ、小麦、米、ポテト、又は他の植物に由来する);セルロース(例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、又はカルボキシメチルセルロース等);ゴム(例えば、アラビアゴム、トラガントゴム等);及びタンパク質(例えば、ゼラチン及びコラーゲン等)等]を挙げることができる。所望の場合は、架橋したポリビニルピロリドン、寒天、及びアルギニン酸、又はその塩(例えば、アルギン酸ナトリウムなど)の崩壊剤又は溶解剤を添加することができる。
【0112】
糖衣錠のコアは、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、及び/又は、二酸化チタニウム、ラッカー溶液、及び適当な有機溶媒又は容易倍混合物などの適当なコーティングと併せて用いることができる。
【0113】
非経口投与に適した薬学的製剤は、水溶液、好ましくは、ハンクス液、リンゲル液、緩衝生理食塩水等の生理的に適合した緩衝液中で、調製することができる。水性の注射用懸濁液は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、又はデキストラン等の懸濁液の粘度を上昇する物質を含んでもよい。さらに、活性化合物の懸濁液は、適当な油性注射懸濁液として調製することができる。適当な脂溶性溶媒又はヴィークルとしては、例えば、胡麻油、又は合成脂肪酸エステル(例えば、オレイン酸エチルエステル、トリグリセライドなど)の脂肪油又はリポソームを挙げることができる。脂質でないポリカチオン性ポリマを送達のために用いることができる。懸濁液は、適当な安定剤、又は化合物の溶解度を上げるための物質を任意に含んでいてもよく、これによって高度に濃縮された容液の調製が可能となる。
【0114】
本発明の薬学的製剤は、例えば、従来からの、混合、溶解、顆粒化、糖衣錠化、粉状化、乳化、カプセル化、又は凍結乾燥処理等の当業者に周知の手法で製造することができる。
【0115】
薬学的製剤は、塩として提供することができ、それらは、限定されるものではないが、塩酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、及びコハク酸などを含む多くの酸により形成することができる。塩は、対応する遊離塩基体よりも水又はプロトン性溶媒により溶け易い傾向にある。その他の場合では、好ましい製剤は、1mM〜50mMのヒスチジン、0.1%〜2%の蔗糖、及び2%〜7%のマンニトール、pH4.5〜5.5の範囲のいずれか又は全てを含む凍結乾燥粉末にすることができる:それは使用前に緩衝液と併せる。
【0116】
本発明の使用に適した薬学的製剤は、意図した目的を達成できる有効量の活性成分が含まれている製剤を含む。有効量の決定は、当業者にとって十分に可能な範囲である。いずれの化合物についても、治療上の有効量は、当初は細胞培養試験、例えば、腫瘍細胞の評価試験によるか、又は動物モデル(例えば、マウス、ラット、ウサギ、犬、又はブタなど)により推定することができる。動物モデルを用いて、ヒト投与のための有効量及び投与経路を決めることができる。
【0117】
治療上の有効量は、症状又は状態を改善する活性成分の量を意味する。治療上の有効性と毒性は、細胞培養又は実験動物を用いて(ED50値(個体数の50%に治療上効果のある量)又はLD50値(個体数の50%の致死量)の統計値を計算するといった標準的な薬学的手法で決定できる。治療効果に対する毒性の用量比が、治療指数であり、LD50/ED50比で表される。治療指数が大きい薬学的製剤が好ましい。細胞培養や動物実験から得たデータは、ヒト使用のための用量範囲を定めるために使われる。このような製剤に含まれる用量は、好ましくは、毒性を殆ど又は全く含まないでED50を含む体循環している濃度範囲内である。用量は、使用した投与型、患者の感受性、投与経路に依存してこの範囲内で変動する。
【0118】
正確な用量は、被験者が必要としている処置を考慮して実施者により決定される。用量と投与は、十分なレベルの活性部分をもたらすように、又は望んでいる効果を維持するように調整する。考慮に入れることのできる要因としては、疾病状態の重篤度、被験者の一般的な健康状態、年齢、性別、体重、投与の時間と頻度、薬剤の併用、反応感受性、及び治療に対する応答などが挙げられる。長時間作用型の薬学的製剤は、特定の製剤の半減期や排泄率に依存して、3〜4日毎、毎週、又は、二週間毎に投与することができる。
【0119】
通常の投与量は、投与経路に依存して約0.1μg〜100、000μgまで、最大総投与量約1gの範囲で変動し得る。特定の投与量や送達方法に関する指示は、文献で提供されており、通常、当該分野の実施者が利用できる。
【0120】
いくつかの態様では、製剤は、薬物重量で少なくとも1%を含む。例えば、製剤は、薬物重量で、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも5%、少なくとも7%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも17%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、例えば、薬物重量で、1〜20%、5〜30%、10〜30%、10〜50%、20〜30%、又は20〜50%を含むことができる。他の態様では、製剤は、1%以下の薬物を含むことができる。
【0121】
支持体
上記の組成物との共働して用いられる支持体、装具又は人工器官は、活性成分の放出に用いられる適切なあらゆる装具であり、その例として、生体浸食性ステント、ポリマチューブ、自己拡張型ステント、バルーン拡張型ステント、及びステントグラフト、及びグラフトを挙げることができる。代替えとして、上記の組成物は、同様の性状をもつポリマで、前もって成形され、身体通路に用いるために形成されたポリマとの共働で用いることができる。別の態様では、上記組成物は、異なった性状をもつ別のポリマで、前もって成形され、身体通路に用いるために形成されたポリマとの関連で用いることができる。
【0122】
ステントは、選択的にマーカ(標識)を含むことができる。このマーカは、手術中又は手術後において、身体通路中のステントの位置決め及び/又は監視する補助としての用途をもつ。マーカは、X線不透過性染料、X線不透過性材料、磁石、音波発生材料、ラジオアイソトープ、又は、その同等物といったイオン源などのX線不透過性組成物を含むことができる
【0123】
装具に対して組成物の適用方法
下塗層をつくるために、装具又は人工器官の表面は、清潔にして、製造中に入り得る汚れが除去された状態にするべきである。しかしながら、人工器官の表面を施されたコーティングを維持するために特別な表面処理をする必要はない。ステントの金属表面は、例えば、当業者に周知であるアルゴンプラスマ処理により清潔にすることができる。組成物の塗布は、人工器官上に組成物をスプレイによる、組成物中に人工器官を浸すなど通常のどのような方法によっても可能である。拭き取り、遠心分離する、吹きつけ、又は、拭き取り用の布で拭うなどの操作を行って、均一なコーティングを得ることができる。手短に言えば、「拭き取り」は、ステント表面から過剰のコーティングを取り除くことを意味し、「遠心分離」は、回転軸付近のステントの急速な回転を意味し、「吹き付け」は、付着したコーティングに特定の圧力をもって空気をかけることを意味する。過剰なコーティングは、装具の表面から吸い取ることができる。湿潤流体の添加は、組成物の一貫した適用になり、人工器官の表面に均一な沈着を、またもたらす。
【0124】
熱可塑性ポリマ(例えば、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリカプロラクトン、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(ヒドロキシブチレイト)等)の使用によって、蓄積された下塗り組成物が選択したポリマのほぼガラス転移温度(Tg)以上、ほぼ溶融温度(Tm)以下の温度範囲で、熱処理されるべきである。この温度範囲で組成物を用いた措置において、ステントの金属表面へのコーティングの強い粘着又は結合という予期しない結果を見いだした。装置は、適当な期間で、熱処理されるべきであり、それにより装具の表面上に下塗り層の形成ができ、溶媒又は溶媒と湿潤流体の組合せた物の蒸発ができるであろう。溶媒と湿潤流体の全ては原則的に、組成物から除去されるが、痕跡や残留が残って、ポリマとブレンドされることがある。
【0125】
以下でより詳細に説明したように、本発明の治療剤を、本明細書に記載したキャリアの1つに任意に取り込んで、治療用組成物を形成するために様々な疾病を治療又は予防するために調製、使用される。
【0126】
疾病の治療又は予防
上述のように、本発明は、身体通路の閉塞を伴う幅広い様々な疾病(例えば、血管系疾病、新生物性閉塞、炎症性疾病及び感染症など)の治療又は予防する方法を提供する。
【0127】
1つの実施形態では、本発明は、身体通路の閉塞を治療又は予防するために用いられるものであって、この身体通路は、冠状動脈、頸動脈、大動脈、肺動脈、動脈、静脈、毛細血管、気管、気管支梢、食道、胆管、輸卵管、尿道、結腸、膀胱、膵臓通路、鼻腔、男性生殖管、女性生殖管、小腸、大腸、硬膜静脈洞、及び、脳内洞である。
【0128】
本発明は、例えば、悪性気管支閉塞の治療又は予防に用いられる。図14は、本発明を用いて治療され得る気管支閉塞の異なるタイプの例を図示している。本発明は、内因性、外因性、及び/又は、混合型気管支の腫瘍による肺癌での気道閉塞を治療する多モデル型補助医療用装具である。限定されるものではないが、物理的、化学的生物学的、及び、分子機構を、例えば、レーザ又は電気外科手術などと共働させた、複数の処理を用いて、本発明は、組織過形成又は腫瘍成長をもたらすコーティング無しのステントを用いた単一の気管支内の臨床上の介入手法に比べて、より優れた結果をもたらすことができる。
【0129】
例えば、本発明の1実施形態では、本明細書に記載したような様々な治療組成物を、血管系の閉塞をもたらす血管系疾病の治療に用いることができる。このような疾病の代表例としては、冠状動脈、大動脈、腸骨動脈、頚動脈、一般的な大腿動脈、表在性大腿骨動脈、膝窩動脈、および移植片吻合部位を含むが、それらに限定されない、全ての血管(動脈、静脈、または、グラフト周辺のアテローム性動脈硬化症;血管痙縮(例えば、冠状動脈血管痙縮およびレイノー病);再狭窄(バルーン血管形成、バイパス手術、ステント挿入、および移植片挿入のような以前の介入の部位での管の閉塞);炎症および自己免疫状態(例えば、一過性動脈炎、血管炎)を挙げることができる。
【0130】
手短に言えば、アテローム性動脈硬化症のような血管疾患において、白血球、特に単球およびTリンパ球は、内皮細胞に、特に動脈分岐の位置で接着する。内皮への接着後、白血球は、走化性刺激に応答して内皮細胞の裏打ちを横切って移動し、平滑筋細胞に沿って動脈壁の血管内壁に蓄積される。アテローム性動脈硬化症発達のこの初期の病変は、「脂肪線条痕(fatty streak)」として公知である。脂肪条痕内の単球はマクロファージに分化し;そしてマクロファージおよび平滑筋細胞は、脂質およびリポタンパク質を次第に吸収して、泡沫細胞になる。
【0131】
マクロファージが蓄積すると、覆っている内皮は機械的に破壊され、そして酸化脂質、酸素由来フリーラジカルおよびマクロファージにより放出されるプロテアーゼにより化学的に変性する。泡沫細胞は、血管壁の微小潰瘍化を引き起こす内皮表面を通して侵食する。血流成分への潜在的な血栓形成性内皮下組織(例えば、コラーゲンおよび他のタンパク質)の暴露は、破壊された内皮領域へ血小板の接着をもたらす。血小板接着および他の事象は、同化作用および、血小板由来増殖因子(PDGF)、血小板活性化因子(PAF)、およびインターロイキン1および6(IL−1、IL−6)を含む増殖因子のこの環境(mileau)への放出を誘発する。このパラクリン因子は、血管平滑筋細胞(VSMC)の移動および増殖を刺激すると考えられる。
【0132】
正常な(非疾患)血管壁において、血管平滑筋細胞は、収縮表現型および低い指数の有糸分裂活性を有する。しかしながら、血小板、マクロファージ、および内皮細胞により放出されたサイトカインおよび増殖因子の影響下で、VSMCは、成熟収縮細胞から未成熟分泌細胞への表現型変化を受ける。形質転換したVSMCは、血管壁の中膜で増殖し、血管内膜に移動し、血管内膜で増殖し、そして多量の細胞外マトリックスを生成し続ける。これは、発達している血管病変を繊維状プラークに変換する。分泌性VSMCにより合成された細胞外マトリックスは、コラーゲン、エラスチン、糖タンパク質、およびグリコススアミノグリカンを含み、コラーゲンはアテローム性動脈硬化症プラークの主要な細胞外マトリックス成分を含む。エラスチンおよびグリコスアミノグリカンはリポタンパク質に結合し、そしてまた病変増殖に寄与する。繊維状プラークは、平滑筋細胞およびその上にあるマクロファージ、T細胞、ならびに細胞外物質を含む種々の厚さの密な結合組織の繊維状キャップからなる。
【0133】
PDGF、IL−1、およびIL−6に加えて、形質転換増殖因子β(TGF−β、繊維芽細胞増殖因子(FGF)、トロンボスポンジン、セロトニン、トロンボキサンA2、ノルエピネフリン、およびアンギオテンシンIIを含む、他の有糸分裂促進性因子は、血管壁に浸潤する細胞により生成される。これは、より多くの細胞の補充、さらなる細胞外マトリックスの合成、およびさらなる脂質の蓄積をもたらす。これは、血管管腔を有意に侵入するまで、アテローム性動脈硬化症病変を次第に大きくする。最初は、血管を通る閉塞した血流が、大きくなる流れが必要とされる場合にのみ、アテローム性動脈硬化症プラークから抹消組織の虚血を引き起こし、この病変がさらに動脈をブロックした後に、静止して虚血が生じる。
【0134】
拡大しているアテローム性動脈硬化症プラークにおけるマクロファージは、細胞傷害および隣接組織の壊死を引き起こす酸化脂質、フリーラジカル、エラスターゼ、およびコラゲナーゼを放出する。この病変は壊死コアを発展させ、そして複合プラークになる。複合プラークは、塞栓;局所的出血(これは、二次並びに、病変の急速な拡大による管腔閉塞をもたらすプラークに供給する血管の血管破裂となる。);または潰瘍化および亀裂形成(これは、血栓形成性壊死コアを、血流に接して局所的血栓または末梢の塞栓を引き起こすのを止めさせ得る不安定な病変である。上記のいずれの後遺症も生じない場合でも、接着血栓は組織化されて、プラークに取り込まれ、それによりその増殖を促進する。さらに、フィブリノーゲンおよびトロンビンの局所的濃度が増大すると、中膜および血管内膜内の血管平滑筋細胞の増殖は刺激される;このプロセスも、最終的に、血管のさらなる狭窄を導く。
【0135】
正常動脈の血管内膜および中膜には、動脈の管腔からまたは外膜中の血管の血管から酸素が送り込まれ、栄養分が供給される。アテローム性動脈硬化症プラークの発現により、外膜の血管の栄養血管から生じる微細血管は、厚くなった血管内膜および中膜に伸長する。この血管ネットワークは、プラークが悪化するとより拡張性となり、プラークの退化によって小さくなる。
【0136】
これらの微細血管からの出血は、動脈の切開、潰瘍化、または血栓に関連してプラークの急激な拡大および破裂を促進し得る。これらの微小血管からの血漿タンパク質の漏出が炎症性浸出物をこの領域内へ誘引することがあり、これらの炎症性細胞がアテローム性動脈硬化症プラークの急速な成長および関連する合併症(局所的浮腫および炎症による)に寄与し得ることもまた考えられる。
【0137】
上記のような疾患などの血管性疾患を処置するために、様々な治療剤(キャリアを伴うかまたは伴わない)を、医療用移植装具を介して身体通路へ送達することができる。これに関する特に好ましい治療剤として、抗血管新生因子、血小板接着/凝集阻害剤(例えば、アスピリン、ジピリダモール、トロンボキサン合成阻害剤、より強力なトロンボキサンA2よりむしろトロンボキサンAEの生成をもたらす魚油、フィブリノーゲンおよびプロスタサイクリンに結合する血小板IIb/IIIa受容体に対する抗体)、血管拡張剤(例えば、ベラパミルなどのカルシウム流入阻害剤、および、一酸化窒素供与体 ニトログリセリン、ニトロプルシド、およびモルシドミン)、ならびに抗血栓剤およびトロンビン拮抗剤(例えば、ヘパリン(低分子量ヘパリン、ワーファリン アンドゥジン(andudin))を挙げることができる。利用できる他の治療剤として、抗炎症剤(例えば、グルコルチコイド、デキサメタゾン、およびメチルプレドニゾロン)、増殖因子阻害剤(例えば、PDGF拮抗剤(例えば、トラピジル;チロシンキナーゼおよびチロシンホスファターゼプロモーターの阻害剤を含む受容体阻害剤(例えば、FGF、VEGF、PDGF、およびTNFに対する阻害剤);ソマトスタチンアナログ(例えば、アンギオペプチンを含む);アンジオテンシン転換酵素阻害剤;及び、5HT2セロトニン作動性受容体拮抗剤(例えば、ケタンセリン))を挙げることができる。さらに別の治療剤として、抗増殖剤(例えば、コルヒシン、ヘパリン、β放射体(例えばP−32)またはγ放射体(例えばIr−192)、カルシウム流入ブロッカー(例えば、ベラパミル、ジルチアゼム、およびニフェジピン、コレステロール低下HMB Co−Aレダクターゼインヒビター(例えば、ロバスタチン)、微小管機能を破壊する化合物(例えば、パクリタキセルおよび上記の一酸化窒素供与体)、ならびに再内皮化の促進剤(例えば、bFGFおよび血管内皮細胞増殖因子)を挙げることができる。
【0138】
本発明の他の実施形態では、本明細書に記載される治療剤または組成物を、新生物閉塞を治療するために用いることができる。手短に言えば、本明細書で使用される場合、「新生物閉塞」は、管の位置または存在する悪性腫瘍の組織学的類型にかかわらず、身体の管の任意の新生物(良性または悪性)閉塞を含むと理解されるべきである。代表的な例として、胃腸疾患(例えば、口−咽頭癌(腺癌)、食道癌(偏平上皮細胞、腺癌、リンパ腫、黒色腫)、胃癌(腺癌、形成性胃組織炎、リンパ腫、平滑筋肉腫)、小腸腫瘍(腺腫、平滑筋腫、脂肪腫、腺癌、リンパ腫、カルチノイド腫瘍)、結腸癌(腺癌)、および肛門直腸癌);胆汁管疾患(例えば、膵臓癌(管腺癌、島細胞腫瘍、嚢胞腺癌)のような胆管閉塞をもたらす新生物、胆管癌、および肝細胞癌);肺疾患(例えば、肺および/または気管/気管支通路の癌腫(小細胞肺ガン、非小細胞肺癌);雌性生殖疾患(例えば、輸卵管の悪性腫瘍、子宮癌、子宮頸癌、膣癌);雄性生殖疾患(例えば、精巣癌、精巣上体癌、精管癌、前立腺癌、良性前立腺肥大);ならびに尿路疾患(例えば、腎臓細胞癌腫、腎盤の腫瘍、尿収集系の腫瘍(例えば、移行上皮癌、膀胱癌、および良性狭窄または悪性腫瘍による尿道閉塞)が挙をあげることができる。
【0139】
例として、良性前立腺肥大(BPH)は、長期のアンドロゲン刺激に応答して生じる、前立腺、特に尿道周囲の腺の中央部の肥大である。これは、80%を超える50歳以上の男性が罹患する。この肥大は、前立腺を通って走る尿道部分の圧迫をもたらし、膀胱流出管閉塞をもたらす(すなわち、尿が流れるためには、異常に高い膀胱圧を必要とする。)。1980年に、367、000の前立腺の経尿道の切除が、BPHの処置として合衆国で行われた。他の処置として、投薬、経尿道の括約筋切除、経尿道のレーザ又はマイクロ波、経尿道の温熱療法、経尿道の超音波、経直腸のマイクロ波、経直腸の温熱療法、経直腸の超音波および外科的除去を挙げることができる。すべては、失禁および狭窄形成をもたらす括約筋機序の妨害を含む不利益がある。
【0140】
上記の疾患のような新生物疾患を治療するために、広範様々な治療剤(キャリアを伴うかまたは伴わない)は、身体通路へ送達される。これに関連する特に好ましい治療剤として、上記の抗血管新生剤、抗増殖剤、または抗新生物剤を挙げることができ、これは、パクリタキセルおよびその誘導体またはアナログ、又は、ネオマイシン、及びその誘導体、そのアナログなどを含む。
【0141】
本発明の他の実施形態では、身体通路の閉塞に影響するか、または引き起こす炎症性疾患を予防または治療するための方法が提供される。炎症性疾患として、様々な体管の閉塞をもたらす、急性および慢性両方の炎症を挙げることができる。代表的な例として、血管炎[例えば、巨細胞動脈炎(一過性動脈炎、タカヤス動脈炎)、結節性多発動脈炎、アレルギー性血管炎および肉芽腫症 (チャーグ−ストラウス病)、多発血管炎重複症候群、過敏症血管炎(ヘーノッホ−シェーンライン紫斑病)、血清の疾患、薬物誘導血管炎、感染性血管炎、新生物血管炎、結合組織疾患に関連した血管炎、補体系の先天的不全に関連した血管炎、ヴェーゲナー肉芽腫症、川崎病、中枢神経系の血管炎、バーガー病、および全身性硬化症];胃腸管疾患(例えば、膵臓炎、クローン病、潰瘍性結腸炎、潰瘍性直腸炎、原発性硬化性胆管炎、特発性を含む任意の原因の良性狭窄(例えば、胆汁管、食道、十二指腸、小腸、結腸の狭窄);呼吸管疾患(例えば、喘息、過敏性肺炎、石綿症、珪肺症、及び、塵肺の他の形態、慢性気管支炎、および慢性閉塞性気道疾患);鼻涙管疾患(例えば、特発性を含む全ての原因の狭窄);ならびに耳(エウスタキオ)管疾患(例えば、特発性を含む全ての原因の狭窄)が挙げることができる。
【0142】
上記疾患などの炎症性疾患を治療するために、様々な治療剤(キャリアを伴うまたは伴わない)が、身体通路へ、または医療用装具を介して平滑筋細胞へ送達される。これに関連する特に好ましい治療剤として、上記の非ステロイド剤(「NSAIDS」)およびステロイド剤、ならびに上記の抗血管新生因子を挙げることができる。利用できる他の薬剤として、例えば、様々な抗血管新生因子(例えば、サリドマイド、及びネオマイシン)を挙げることができる。
【0143】
本発明のさらに他の形態では、身体通路の閉塞に関連するか、または閉塞の原因となる感染性疾患を治療または予防する方法を提供する。手短に言えば、感染性疾患としては、身体通路の閉塞(例えば、雄性生殖管の閉塞(例えば、尿道炎、精巣上体炎、前立腺炎に起因する狭窄);雌性生殖管の閉塞(例えば、膣炎、子宮頸炎、骨盤炎症疾患(例えば、結核、淋菌、クラミジア、エンテロコッカス、および梅毒);尿管閉塞(例えば、膀胱炎、尿道炎);呼吸管閉塞(例えば、慢性気管支炎、結核、他のマイコバクテリア感染(MAIなど)、嫌気性感染、真菌感染、寄生動物感染)、及び心臓血管閉塞(例えば、糸状菌動脈瘤および感染性心内膜炎を含む))を生じ得る、いくつかの急性および慢性感染性プロセスを挙げることができる。
【0144】
上記の疾患などの感染性疾患を治療するために、様々な治療剤(キャリアを伴うまたは伴わない)を、身体通路へ送達し、又は、医療用移植装具を介して平滑筋細胞へ送達できる。これに関連する特に好ましい治療剤として、ネオマイシン、及び上記の広範で様々な抗生物質を挙げることができる。
【0145】
試験用薬物の選択
パクリタキセル(PTX)は、局所薬物送達に必要な基準の多くを満足する薬物溶出気管気管支ステントに含まれる活性成分である。PTXは、幅広い抗癌スペクトルを示し、肺癌患者に治療可能性を示し、肺毒性が最少である。肺癌に局所的に投与したときの、PTXの治療活性を支持する前臨床成績がある(例えば、Creel等、(2000) Circulation Res.86:879−884;Kuh等(1999)J.Pharmacol.Exp.Ther.290:871−880;Aphios web site: world wide web at <aphios.com>、folder ”pipeline”、及びdocument ”dermos.html”; Jackson等(2000;Cancer Res.60:4146−4151;Sousa等(2003)Circulation 107:2274;Herdeg等(2000)J.Am.Coll.Cardiol.35:1969−1976; Gautam(2003)Curr.Cancer Drug Targets 3:287−296、を参照)。
【0146】
サリドマイド(THM)は、複数の作用機作をもっている。それは、強力な免疫調節作用、抗血管新生作用、抗炎症剤である(Meierhofer等(2001)Biodrugs 15:681−703;Puckmann等、(2000)Drugs、60:273−292;Moreira等、(1993)J.Exp.Med.、177:1675−1680;Calabrese等(2000)Am.J.Med.、108:487−495;Mujagic等(2002)Croat.Med.J.、43:274−285、を参照されたい。)。サリドマイド、細胞毒性がなく、またパクリタキセルとは異なる作用機作をもつ。
【0147】
免疫調節剤: サリドマイドは、免疫機能、サイトカイン分泌、血管新生、及び細胞接着、及び細胞増殖に関しスペクトルの広い免疫調節剤である(以下を参照されたい:Meierhofer等(2001)Biodrugs 15:681−703;Puckmann等(2000)Drugs、60:273−292;Moreira等(1993)J.Exp.Med.177:1675−1680;Calabrese等(2000)Am.J.Med.108:487−495;Mujagic等(2002)Croat.Med.J.43:274−285)。免疫調節と抗血管新生特性は、サリドマイドの抗腫瘍活性にとって重要であると考えられ、これらの順に、細胞性サイトカインの分泌に薬物の多作用を通して仲介される。サリドマイドの最も意義のある効果は、TNFαの生成と放出に関することであり、それは、内皮細胞のインテグリンの上方調節において新生血管形成に重要な過程に関与するサイトカインである。
【0148】
抗血管新生活性: サリドマイドは、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)及び
塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)誘導血管新生において強い抗血管新生活性を有する。このような効果は、多くの腫瘍を含む血管の新しい形成に関与する疾病の治療に特に重要である。
【0149】
有望な臨床試験
サリドマイドは、肝癌及び肺癌での臨床治験で有望であることを示した(下記を参照されたい:例えば、Dmato等(1994)Proc.Natl.Acad Sci.91:4082−4085;Kong等(2001)Proc.Am.Soc.CHn.Oncol.20:133b;Part等(2000)Proc.Am.Soc.Clin.Oncol.14:266a;Schwartz等(2002)Proc.Am. Soc.Clin.Oncol.21:10b;Hsu等(2003)Oncology65:242−249;Wang等(2004)World J.Gastroenterol.10:649−653;Mise等(1996)Hepatofogy 23:455−464;Hsu 等(1997)Anticancer Res.17:2803−2809;及び、Poon等(2002).J.Clin.Oncol.20:1775−1785)。予備的報告では、応答率4%〜10%、疾病抑制率8%〜57%であるが、サリドマイドに関連する全身毒性を伴うことを示唆している。
【0150】
薬物動態上の利点: サリドマイドの局所領域の送達は、薬物動態上の利点を提供し、サリドマイドの全身的な副作用を最少にしつつ、長い滞留時間と高濃度を提供することにより、治療効果を強める(例えば、Collins(1984)J.Clin.Oncol.2:498−504)。
【0151】
サリドマイドの物理化学的プロフィール: サリドマイド(C13H10N2O4)は、不タールイミドグルタールイミド、系統名の1つは、2−(2、6−ジオキソ−3−ピペリジニル)−lH−イソインドール−l、3(2H)−ジオン)である。通常入手できるサリドマイドは、ラセミである。光学異性体は、インビボで相互に転換する。
【0152】
PTXとTHMの併用: 相補的な作用機作を伴う多剤治療の優越性は、癌治療の標準的な治療であり、治療域を増大することがわかっている。PTXとTHMの(または、他のいずれかの1組の薬物)二本立て薬物製剤の局所適用におけるインビトロ及びインビボ性能を開発し、評価することができる。
【0153】
自己展開式の金属ステントのプロフィール: 自己展開式金属ステント(SEMS)は、気管−気管支の閉塞した管腔内を治療するために用いられる。ボストンサイエンティフィック社(Boston Scientific)のウルトラフレックス(ULTRAFLEX)ステントは、SEMS気管−気管支ステントの最近の業界標準である。被覆していないウルトラフレックスを薬物溶出気管−気管支ステントの支持体として用いることができる。ウルトラフレックスは、閉塞した体腔の治療に有効性を示しているが、全てのSEMと同様に、原発腫瘍の内方成長と肉芽形成という問題をもっている。
【0154】
生分解性ポリマのプロフィール:表面浸食性のポリ酸無水物は、約20年間有用な薬物送達キャリアとして研究されてきた。本発明で用いることのできる2つのポリ酸無水物を、図13に開示している:セバシン酸(SA)の共重合体(図13a)及び1、6−ビス−(p−カルボキシフェノキシ)ヘキサン(CPH)(図13b)である。水不溶性であるこの群は、当業者に公知の条件下で体内に吸収され得る水可溶性モノマに分解する。共重合体の比率を調節することにより、分解率を2、3日〜2、3ヶ月まで調節及び/又は調整することができる。表面浸食性ポリ酸無水物に加えて、ポリ酸無水物の独自の両親媒性の群を送達ヴィークルとして用いたポリCPH:SA共重合体を送達ヴィークルとして評価に用いることができる。
【0155】
ポリ酸無水物は、約20年間有望な薬物送達キャリアとして研究されてきた(Narasimhan及びKipper(2004)Chem.Engineer.29:169−218;Determan等(2004)J.of Control.Release 100:97−109;Tamada及びLanger(1992)J.Biomater. Sci.Polym.(編).3:315−353;Ron、等(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.90:4176−4180;Tabata等、(1993)Pharm.Res.10:487−496)。カルボキシフェノキシアルカン−コ−アルカノイックアシッド、ポリセバシン酸(SA)、及び1、6−ビス−(p−カルボキシフノキシ)ヘキサン(CPH)(参照、図13a、図13b)などのポリ酸無水物が、水可溶性モノマに分解する水不溶性モノマの群(酸無水結合を横断する骨格鎖の切断による)である。
【0156】
ナラシムハン(Narasimhan)は、オリゴマ性エチレングリコール−含有酸無水物モノマをベースとした両親媒性酸無水物の新規な群を考案した(例えば、新規薬物キャリアとして有望な、1、8−ビス(p−カルボキシフェノキシ)−3、6―ジオキサオクタン)(CPTEG)(Torres等(2006)J.Biomed.Mater.Res.76:102−110);Vogel及びMallapragada(2005)J.Control ReI.26:721−728)。これらの材料は、ポリマ中の1、6−ビス(p−カルボキシフェノキシ)ヘキサン)(CPH)よりもより速く分解するように設計することができる。CPTEG−含有ポリ酸無水物は、2、3週間から2、3ヶ月以上にかけて分解するポリ酸無水物SAやCPHに比べて、2、3日乃至2、3週間乃至2、3ヶ月にかけて分解する。このようなポリ酸無水物は、ポリ(カルボキシフェノキシアルカン)及びポリ(CPTEG)をベースとする共重合体である(図13)。両親媒性ポリ酸無水物、ポリ(カルボキシフェノキシアルカン−co−CPTEG)は、水可溶性モノマ1、6−ビス−(カルボキシフェノキシ)ヘキサン及びオリゴマのエチレングリコールに分解する。CPHモノマは、前臨床試験で生体適合性のあることがわかっている((Sampath及びBrem、1998、Cancer Control Journal Vol.3、Number 5 Supplemental; Leong等(1986)J.Biomed.Res.20:51−64;Harris(1992):Poly(ethylene glycol)Chemistry:Biotechnical and Biomed.Applications、Plenum Press、New York NY、pp1−13;及びDomb及びLanger(1987)J.Polym.Sci.、Polym.Chem.(編)25:3373−3386)及び「オリゴマ性エチレングリコールは生体適合性であり、低毒性であることは公知である。(Harris(1992)前記に同じ)。
【0157】
薬理学
薬学的組成物は、活性成分が、所望の意図する目的を達成する有効量を含んでいる物質である。有効量を決めることは、当業者に十分可能な範囲である。
【0158】
どのような化合物でも、治療上の有効量は、細胞培養試験か又は動物モデルのいずれかで当初に予測可能である。動物モデルは、望ましい投与量域と投与経路を達成するためにも用いられる。このような情報は、ヒトにおける有用な投与量と投与経路を決定するためにも用いられる。薬学的に受け入れ可能なとは、薬物学的及び/又は毒性学的観点から患者に受け入れることができ、また、組成物、製剤、安定性、患者への受け入れと生体適合性の物理学的/化学的観点から製造している製薬化学者にとって受け入れることができることを意味する。
【0159】
治療上有効量とは、症候又は症状を改善するタンパク質又は阻害剤の量を意味する。このような薬剤の治療有効性と毒性は、細胞培養又は実験動物の標準的な薬学的手法により決定することができる。例えば、ED50(個体数の50%治療上の有効量)及びLD50(個体数の50%致死量)である。毒性と治療効果の用量比が、治療指数であり、LD50/ED50比で表される。治療指数が大きい薬学的製剤が好ましい。細胞培養や動物実験から得たデータは、ヒト使用の用量範囲を定めるために使われる。
【0160】
モデルシステム
動物モデルは、そのモデルがヒトに類似した表現型応答を示し、接触状況がヒトの接触状況に相当するモデルをバイオアッセイとして用いることができる。ほ乳動物が最も一般的なモデルであり、低価格であり、入手し易く、寿命、生殖能、及び豊富な参考文献といった理由から、多くの病原体、癌、薬物、毒性等の研究は、齧歯類(例えば、ラット又はマウス等)で行われる。同系交配及び非同系交配齧歯類の系統が、関心のある遺伝子の低発現又は過剰発現の生理的影響を調べる研究や、疾病の診断及び治療方法の開発のために便利なモデルを提供している。特定の遺伝子、例えば、ミルク中に分泌される等を過剰発現する同系交配ほ乳動物は、その遺伝子により発現したタンパク質の便利な供給源として役立ち得る。
【0161】
毒性
毒性学は、生物系に対する薬剤の影響を研究することである。毒性研究の大多数は、ラット又はマウスで行われる。ラット又はマウスにおける生理、行動、恒常作用、死亡率の定性的、定量的な変化の観察は、薬剤の毒性特性を発現したり、薬剤接触後のヒト健康に及ぼす有用な影響を評価するために用いられる。
【0162】
急性毒性試験は、薬剤の症候又は致死率を決定するための被験体への薬剤の単回投与に基づいている。生殖サイクルが短く統計的な要求を満たすための必要な生物数の生産が可能であるため、マウスとラットはこのような試験で最も高い頻度で用いられる。3つの試験が行われる:(1)最初の用量範囲を見いだす試験、(2)有効投与量の範囲を狭める試験、及び(3)用量反応曲線を確定する試験である。
【0163】
亜慢性毒性試験は、薬剤の反復投与に基づくものである。ラット及び犬が、異なる科における種からのデータを提供するためにこれらの試験で一般に用いられる。発癌性を除き、3〜4ヶ月間の高用量での薬剤の連日投与が成熟動物で多くの毒性型を明らかにするという相当の証拠がある。
【0164】
慢性毒性試験は、1年又は以上の期間であり、薬剤が毒性又は発癌性持たないことを示すために用いられる。試験をラットで行われたときは、最少3試験群と1対照群を用い、試験中間隔をあけて動物を観察し、モニタする。
【0165】
構成材の組み合わせ
支持体、ポリママトリックス、薬物、及び/又は薬学的製剤などの本発明の構成材は、様々な方法で組み合わせることができる。図1乃至10は、構成材をどのように組み合わされて使用するかを例示している。図1、3、5、7及び9は、シリンダ状又は管状構造の一部を形成する構成材を例示している。対応する図2、4、6、8及び10は、組み合わせて、例えば、平面基本上で層にした構成材を例示する。図5及び6は、支持体とポリママトリックスの様々な比率の混合物である材料を例示する。
【0166】
本発明は、以下に記載する実施例を参照することにより容易に理解できる。しかし、実施例は、本発明のある実施形態、及び、実施態様の例示を目的として単に含めたものであり、本発明は、これらに限定されるものではない、
【0167】
実施例
実施例I 生分解性ポリ酸無水物の合成と特徴
モノマ、SA、CPH及びCTEGをベースにした酸無水物共重合体の合成に溶融重縮合法を用いた。プレポリマは、ジカルボン酸を無水酢酸と還流することにより調製し、再結晶により精製した。その他のジカルボン酸モノマ、CPH、及びCPTEGは、前述の方法(Narasimhan、B.、及びM.J.Kipper 2004)同上;Torres等(2006)同上;及びVogel及びMallapragada(2005)同上)により合成した。EG含有二塩基酸は、ハロゲン化トリ−EG単位をp−ヒドロキシ安息香酸で末端を官能基化することにより合成できるであろう (Narasimhan、B.、及びM.J.Kipper.2004.同上;Determan等(2004)同上)。共重合体組成物は、分解時間が2、3日〜2、3ヶ月の期間に変動するように選択する。化学構造、熱及び機械特性、及びポリマの分解率が特徴付けられる。
【0168】
予備製剤のスクリーニング検査: ポリマ比率に対する最適薬物を、製剤シュミレション及びコーティング処理の異なる条件下で、ポリマと薬物の有機溶媒中での物理的及び化学的溶解性、安定性と適合性に基づいて確認する。
【0169】
製剤化の試験及びコーティング処理開発:
ステントを支持体として用いる場合、PTX、THM及びPTX−THM装填量は、0.05〜50mg/ステント又はそれ以上の範囲である。抑制薬物放出率は、24〜48時間で1%〜25%の放出であり、ポリマ分解の範囲は、0.5〜3ヶ月で100%である。
【0170】
実施例II 生分解性ポリマの合成と特徴
SA、CPH、及びCPTEGベースの酸無水物共重合体を、混合したアセチル化プレポリマから真空下(0.3torr以下)、180℃で溶融重縮合により合成した(Narasimhan、B.、及びM.J.Kipper.2004)同上;Torres等(2006)同上;及びVogel及びMallapragada、2005、同上)。プレポリマは、ジカルボン酸を無水酢酸で還流することにより調製し、再結晶により精製した。SAは、シグマアルドリッヒ社(Sigma Aldrich)(St.Louis、MO)から購入する。その他のジカルボン酸モノマ、CPH及びCPTEGは、前述の方法により合成する[1、(Torres等、2006、同上;及びVogel及びMallapragada、2005、同上)]。ホモポリマに加えて、SA、CPH及びCPTEGの共重合体を合成した。ポリマは、化学構造と純度を検証するために1H核磁気共鳴(1H NMR)及びIR分光測定により、分子量を決定するためにゲル浸透クロマトグラフィにより、熱的特性を決定するために示差走査熱量測定(DSC)により、力学的特性を決定するために動的機械分析により特性化した。
【0171】
予備製剤スクリーニング: エタノール、アセトン、ジクロロメタン、アセトニトリル、ジメチルスルフォキシド及びジメチルアセタミド中で、ポリマ溶液中(0〜50%w/v)のPTXとTHMの溶解度を測定した。薬物とポリマの両者が溶解している場合のポリマ比率に対する薬物の最高比率と最低比率をまとめた溶液安定性を、()、5℃、25℃/75%湿度、及び40℃/60%湿度で2週間測定した。
【0172】
実施例III 分析方法の開発
サリドマイドの定量(生物学的分析的及び分析的)
(サリドマイド(THM)成分/ステントのサンプル調製
ステント上のポリママトリックスからのTHMの抽出を、メタノール及びアセトニトリルを用いた比較抽出分析後に最適化した。抽出効率が高い溶媒を引き続き行った定量試験に選択する。
【0173】
THM製剤力価測定用の高速液体クロマトグラフィ
ラット血漿中のサリドマイド測定用の高速液体クロマトグラフィ(HPLC)技術を改良してステント上に被覆されたサリドマイドを定量した(Yang等、2005、J.Pharm.Biomed.Anal.、39:299−304)。このクロマトグラフ法は、逆相ハイパーシルC18カラムとアセトニトリル−10mM酢酸アンモニウム緩衝液(pH5.50、28:72、v/v)からなる移動相でを、流速0.8ml/分で、使用する。サリドマイドを、220んmの紫外線吸収によりモニタした。
【0174】
生体マトリックス中のTHM定量用高速液体クロマトグラフィ
ラット血漿中のサリドマイド測定用の高速液体クロマトグラフ(HPLC)法を改良してマウス肺組織及び血漿中のサリドマイドを定量した。投与後の異なる時点でのTHMレベルを、評価検討の一部としての試験的な組織分布研究として測定し、薬物動態学と薬動力学の相関を検討した。クロマトグラフ法は、逆相ハイパシルC18カラムとアセトニトリル−10mM酢酸アンモニウム緩衝液(pH5.50)(28:72、v/v)からなる移動相で、流速0.8ml/分を用いている。
【0175】
PTX及びTHM−PTXの分析手法
ステントのPTX内容物のサンプル調製: ステント上のポリママトリックスからのPTX抽出をメタノールとアセトニトリルを用いて比較抽出をした後に最適化した。抽出効率が最大の溶媒を選択して、下記に述べる定量を行った。
【0176】
PTX定量用のHPLC法
以下の逆相HPLC法を当初の方法(Alltech,Philadelphia、PA)から改良して、ステント中PTXを定量し、インビトロ放出プロフィールを得た。この方法を用いたPTXのリテンションタイムは、8分である。
【0177】
カラム(53 mm x 7 mm; ROCKET (Alltech No. 81174))は、ALTIMA Ph,3 μm (Alltech)を具え、移動相は、A(水)、B(メタノール:アセトニトリル;15:85);勾配は、8分間で32%Bから50%B;実行時間は流速2.5ml/分で15分である。溶出液の吸収率は、227nmでモニタした。
【0178】
さらに、THMとPTXの同時測定法を開発した。その方法は、両方の方法論の鍵となる特性を合わせたものである。最初に、以下の2方法を用いた試料測定により定量する。
【0179】
インビトロでのPTX、THM、又はPTX−THMの放出プロフィール
この検討は、容易に入手できる溶解メディウム中で品質管理を行う目的で、PTX、THM又はPTX−THMの遅延放出、中程度放出、速放出を識別し、放出プロフィールの変化を識別する。これは、ブタ気道モデルにインプラントした薬物溶出ステントからの各薬物の24時間、7日、及び30日でのインビボ放出率に関連付けることができる。
【0180】
ステントを、溶解メディウム25mlを含む溶解浴中に入れる。そのメディウムは、リン酸緩衝生理食塩水中0.1〜1.0%ポリソルベート80(界面活性剤)を含む。界面活性剤の濃度は、ある実験方法を展開後に決定される。溶解メディウムは、25℃で毎分10回転で攪拌する。溶解浴からメディウムの一部を、0.6時間、24時間及び48時間でサンプリングする。サンプルを、HPLCを用いて測定し、ステント上のPTX放出率プロフィールを得る。
【0181】
薬物のエクスビボ放出プロフィール
保存したブタ中心気道を用いて、37℃/75%相対湿度のインキュベータ中で、0、2、6、24時間にインプラントしたPTX、THM及びPTX−THMステントの組織分布を検討した。ステント上の残留薬物量と組織分布を求めた。組織ホモジナイズ、アセトニトリルでのタンパク質沈殿、HPLC又はLC−MS法を用いた定量を含む標準的なサンプル抽出手法を用いた。この検討の目的は、インビボ組織分布試験から得たデータと関連づけること、及びインビボ放出法との共働して製剤を最適化する迅速スクリーニング法として用いることである。
【0182】
インビトロポリマ生分解率
ポリ(SA)、ポリ(CPH)、ポリ(CPTEC)、ポリ(CPH:SA)、ポリ(CPTEG:CPH)及び共重合体(CPH:SAの20:80、50:50及びCPH:CPTEGの20:80を含む組成物)の100mgの錠剤が、カーバプレス(Wabash、IN)で2分間、600psi、そのポリマの融点のすぐ上の温度で圧縮して溶融する。過去の経験では、このようなポリマの分解時間の範囲は、1週間以内〜6ヶ月以内の範囲で変動することを示している。次に、錠剤を、37℃で100rpmで作動しているインキユーベータ中の25mlのリン酸緩衝液(0.1M、pH7.4)の中に入れる。緩衝液は毎日入れ替える。異なる時間間隔で錠剤2個を、緩衝液から取り出して、さらなる分析に付す。錠剤の質量損失を、重量分析により測定し、一方、分子量損失を、GPCによりモニタする。錠剤表面形態も、走査型電子顕微鏡で、またモニタする。
【0183】
コーティングの完全性
ステントのコーティングの完全性が、顕微鏡を用いて評価し、走査型電子顕微鏡を用いて確認して、ひび割れや、他の物理的ふぞろいを検出する。
【0184】
製剤化及びコーティング処理の開発
図12は、製剤化試験の間に続けて行われる例示的な一般的成形とコーティング処理を示す。ウルトラフレックス(Ultaflex)ステントと同じ寸法のレーザカットしたニチノールステントを準備し、製剤試験中に被覆した。製剤寸法を確認して、ボストンサイエンティフィック社からのウルトラフレックス空ステントを代表的なFDA承認自己展開式気管−気管支ステント基盤(platform)として用いた。
【0185】
予備コーティングステントの調製
空金属ステントをアセトン、メタノール、イソプロパノール等の有機溶媒で連続的に清掃して、最後に蒸留水で清掃する。これらは、次いで200℃のオーブンで1時間、乾燥させて、残留溶媒を除去する。
【0186】
ポリマ薬物製剤の調製
予備製剤スクリーニング検査から得られた結果は、これらの製剤の調製と保存の指針になる。薬物又は併用薬物の濃縮溶液は、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセタミド、又はエタノールで調製した。一部を、アセトン、アセトニトリル、又は、ジクロロメタンなどの適当な有機溶媒中のポリマ溶液(1〜25%w/v)に加え、0.1〜10%w/vの範囲の薬物濃度を得る。
【0187】
ステントプラットフォーム上へのポリマ薬物(単数又は複数)製剤のコーティング
ポリマ状パクリタキセル製剤を浸漬コーティング処理又はスプレイコーティング処理のいずれかの方法でコーティングした。再現性、使用の容易性、効率及び薬物荷重などで処理の選択を決めた。研究室用のスプレイ塗装機と乾燥機を用いてステントプラットフォームに薬剤−ポリマ製剤を被覆し、乾燥させた。
【0188】
ステントは、粘着ポリマ層又は上塗ポリマのいずれかで予備コーティング又は後コーティングする。薬物放出プロフィールの設計上変動するパラメータは、薬物の相違、ポリマの比率、加熱、乾燥温度及び比率、湿度調整、上塗層、及び薬物が有る又は無い層状コーティングである。
【0189】
分析試験と3種の試作製剤の選択
製剤及びコーティング試験からの薬物溶出ステントサンプルを、コーティングの完全性、薬物内容物及び薬物のインビトロとエクスビボでの放出プロフィールについて試験をした。薬物の低用量、中用量、高用量を一括して含む3種の試作製剤及び放出率を前臨床の有効性試験用に選択した。一括した製剤は、0.05〜50mg/ステント又はそれ以上の範囲での薬物荷重、24〜48時間で放出される1%〜25%の範囲の放出率を目標にする。次いで高用量の薬物又は併用薬物をもつ製剤を確認する。
【0190】
実施例IV 同所性ヒト肺癌H460−GFPモデルでの組成物の抗腫瘍性の有効性
動物: 20匹のNCrnu/nu雄マウス、5〜6週齢を評価試験に用いる。外科手術による同所移植(SOI)直後の死亡マウス用の補充するために適当数の追加マウスををプロトコールに加えた。試験する腫瘍は、ヒト肺癌細胞株H460−GFPである。実験動物を混ぜ合わせた各々のケージは、各ケージ毎に最多5匹となるように群に対して独特の方法で明確にマーキングする。各マウスは、その独自のマーキングを示す耳標識をもつ。全ての群は、無作為抽出で分ける。処置は、細胞株移植3日後に始める。試験薬剤は、前述した組成物から選択し、ヴィークルで予備製剤化する。試験薬剤は、ポリマと薬物を含んでいる。動物を麻酔し、気管を露出する。20μl以下の試験薬剤(試験)又はヴィークル(対照)を27G針シリンジを用いて気管に注入する。手順は表1に要約する。
【0191】
動物は、GFP撮影を1週間に2度行ってモニタして、原発腫瘍と腫瘍GFPを捕らえたときに始まり、検査する。体重は週1回測定する。試験終了時点は、SOI後約4週間、又は対照群中の3匹が死亡したときのいづれかが、最初に生じたきたときであり、治療期間中であることは関係しない。動物は、死亡又は死亡の症候を毎日検査する。病的な動物、特に、死が切迫している場合は、思いやりをもって、犠牲死させ、冷凍する。試験中に死亡した全ての動物は、原発腫瘍及び転移を剖検で解剖時に開GFP画像(open GFP imaging)で検査する。原発腫瘍は、剖検時に切除して秤量する。統計的分析(スチュデントt―検定;ANOVA)を全ての動物データに行う。
【0192】
薬物動態プロフィール
薬剤(単数又は複数)の接触を有効性試験の一部として血漿中、肺組織中で評価した。血漿中又は肺組織中の接触濃度を投与後異なる時間で測定する。
【0193】
次いで、本発明に用いる抗腫瘍を有する試験薬剤を選択した。
【0194】
実施例V 薬物動態の検討
ステントインプラン後の薬剤の組織分布に関連する基本的な批評家の質問/提言に対処するために幾つかの実験を行った。同じ実験が、前臨床研究のために道を開き、薬物溶出気管ステントの評価の基礎を予見するであろう。サリドマイド(THM)とポリマのスクリーニング製剤をこの試験に用い、ラットを前臨床モデルに選んだ。実験は以下のセクションで説明する。要約は、下記の表2に表に示す。
【0195】
THM−ポリマ製剤12mg/kg量(100μl量3回)のラット気管内送達後、高レベルのTHMが肺組織で、低レベルのTHMが血漿中で見つかった。データは、肺組織と血管系への良好な分布/拡散を示した。
【0196】
実験動物ラットに8mg/kg用量(200μl用量容積)のTHM−ポリマ製剤をインサイチュウ(0.5時間)での点滴送達後、高レベルのTHMが気管と肺組織内でみられた。
1)気管−気管支及び肺組織におけるTHX濃度
【0197】
試験的な薬物動態(PK)試験を行って、THX−ポリマ製剤の気管−気管支内投与後の、気管−気管支及び肺組織レベルを測定した。
【0198】
方法: 10mg/mlTHX−ポリマ製剤を、4mg/Kgの用量で、100μl容量を4匹のラットに3回30分間隔で送達した(麻酔をしたラット)。投与中は動物に麻酔をしていた。2匹のラットは、第2回の投与後に死亡した。第3回投与20分後及び40分後に、採血し、気管−気管支肺を採取した。サンプルは、LC−MS分析用処理まで凍結した。抽出方法とLC−MS方法は、別の実験として記載する。サンプル抽出は、アラバスク社(AraVasc Inc.)で行い、処理したサンプルは、LC−MS測定のためにアルタ分析研究所(Alta Analytical Laboratory)(El Dorado Hills、CA)へ送った。血漿と肺組織のみをLC−MSで分析した。
【0199】
結果:
20分及び40分時点でのTHXレベルは、肺組織100mg当たり、各々、21.80μg及び、16.81μgであった。20分及び40分時点でのTHXレベルは、各々、血漿1ml当たり0.19及び0.44μgであった。
【0200】
2)インサイチュウ気管内点滴
インサイチュウ気管内点滴の試験的な検討を行って、THX−ポリマ製剤のインサイチュウ気管内点滴した後に、気管及び肺組織レベルを測定した。
【0201】
方法: 2匹のラット(直後に終焉)に、THX−ポリマ製剤を気管内に30分以上かけて点滴を行った。投与量は、8mg/kgで容量は200μlであった。点滴後これらを、加温した暖かい加熱パッドで2時間包んだ。2時間後に、(吸収した薬物を除くために)組織とスパーテルで気管−気管支管腔を拭った後に気管−気管支及び肺組織を採取した。サンプルは、LC−MSによる処理と分析まで−80℃で凍結保存した。サンプル抽出は、アラバスク社(AraVasc Inc.)で行われた。処理したサンプルは、アルタ分析研究所(Alta Analytical Laboratory)で分析された。
【0202】
2匹のラットでのTHXレベルは、肺組織100mgあたり、各々、0.58及び0.75μgであった。2匹のラットのTHXレベルは、気管組織100mgあたり211.21及び290.36μgであった。
3)ラットでの気管ステントインプラント
【0203】
方法: 口径13ゲージプラスチック製栄養補給チューブは、声門を通して通過させられる最大直径である。ラットは、イソフルラン5%を用いて麻酔し、上門歯を介してスラントボード(傾斜板)に固定した。13ゲージプラスチック製栄養補給チューブを2cmの長さに予め切断した。光ファイバー光線により強い光腺を首にあてて通すことにより口から声門を見た。探り針として18ゲージチューブを用いて、ステントを気管内へ通した。チューブを滑り落ちないように維持するために、気管は、鈍的切開により曝し、4−0絹縫合で周囲を縫合した。首の切開は、2つの止め金で閉じた。別のラットは、縫合糸で結ぶことなく同様の操作をした。そのような操作後は、両方のラットともに、呼吸が困難であったが、翌朝は良好な呼吸をしていた。縫合したラットは、2日後に死亡したが、縫合しないラットは3週間以上生存した。ステントは、首尾良くインプラントでき、ラットモデルでは3週間以上維持した。
【0204】
LC−MS生物分析法の開発
方法: LCM法の予備的スクリーニングを、組織内及び血漿内のTHXを定量するために開発した。定量法は、259.0のプロトン化分子イオンと259の186.4イオンでのプロダクトイオンで陽イオンモードMRMスキャンを用いた。方法の条件とパラメータは下記の表に挙げている。装置はSCIEX PE3000であった。方法は表3に要約した。
【0205】
組織及び血漿の抽出: 組織を、すり潰し(ガラス−ガラスホモジナイザ)、70:30のアセトアニリド中0.1%ギ酸及び水中0.1%ギ酸の70:30]で組織対溶媒が1:3の比率で抽出した。血漿は、同じ溶媒を用いて血漿対溶媒1:2の比率で抽出した。抽出した上清をLCMS分析の処理にかけた。
【0206】
結果: スクリーニングLC−MS法を濃度領域50〜30、000ng/mlで、THXの定量用に開発した。
【0207】
実施例IV 前臨床製剤
方法: THXをジメチルスルホキシド(1%)に溶解させ; エタノール中に溶解した、共溶媒−溶解剤、ポリエチレングリコール300(PEG−300)(20%v/v)、ポリソルベート−80(2.5%)、ホスホリピッド(5%)、ポリ酸無水物CPH:SA(20:80)ポリマ(10%)を混合し、均一に攪拌した。その製剤は、PBSを共う「Qsed」(容量で調製)であった。粘りがあるが、注射可能である懸濁液製剤10mg/mlTHX強度が得て、POCのPK試験に用いた。
【0208】
本発明を製造及び使用する他の例示的なモードは、本出願が優先権を請求している米国仮出願、US60/745、834に開示されており、その全内容は、参照により本明細書に取り込まれている。
【0209】
本発明の具体的な態様が、記載されているが、本発明の広い見地から逸脱することなく、当業者ならば、その変更と改変を行うことができることは自明であり、したがって、添付した特許請求の範囲は、その変更と改変の全てが本発明の精神と範囲内で含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0210】
図面中の番号の参照:
1. 支持体
2. 第一ポリママトリックス
3. 薬物
4. 第二ポリママトリックス
5. 金属又は合金
6. 薬学的製剤
7. 固定用ヒレ
8. マーカ
9. 裏張り
10.排出口
11.ステントの管腔
【0211】
【図1】図1は、本発明の例示的な1態様であり、棒状又はシリンダ状システムを図示し、支持体1、第一ポリママトリックス2、及び薬物3を示す。この図面及び以下の図面では、ポリママトリックス、及び/又は支持体、及び薬物は、代表的で、均一な組成物とすることができる。
【図2】図2は、本発明の例示的な1態様であり、膜状又は層状システムを図示し、支持体1、第一ポリママトリックス2、及び薬物3を示す。
【図3】図3は、本発明の例示的な1態様であり、棒状、又はシリンダ状システムを図示し、第一ポリママトリックス2、薬物3、及び第二ポリママトリックス4を示す。
【図4】図4は、本発明の例示的な1態様であり、膜状、層状システムを図示し、第一ポリママトリックス2、薬物3、及び第二ポリママトリックス4を示す。
【図5】図5は、本発明の例示的な1態様であり、棒状、又はシリンダ状システムを図示し、第一ポリママトリックス2、薬物3、及び第二ポリママトリックス4を示す。第一ポリママトリックスと第二ポリママトリックスは均質であり、交互のバンド材で表されている。
【図6】図6は、本発明の例示的な1態様であり、膜状又は層状のシステムを図示し、第一ポリママトリックス2、薬物3、及び第二ポリママトリックス4を示す。
【図7】図7は、本発明の例示的な1態様であり、棒状又はシリンダ状システムを図示し、第一ポリママトリックス2、薬物3、及び金属又は合金5を示す。
【図8】図8は、本発明の例示的な1態様であり、膜状又は層状システムを図示し、第一ポリママトリックス2、薬物3、及び金属又は合金5を示す。
【図9】図9は、本発明の典型的な1態様である、棒状、シリンダ状システムを図示し、支持体1、第一ポリママトリックス2、第二ポリママトリックス4、金属又は合金5、及び薬学的製剤6を示す。この図又は他のあらゆる図において、ポリママトリックス及び/又は、支持体及び薬学的製剤は、代替え的に、均質な組成物であり得る。
【図10】図10は、本発明の典型的な1態様である、膜状又は層状システムを図示し、支持体1、第一ポリママトリックス2、第二ポリママトリックス4、金属又は合金5、及び薬学的製剤6を示す。
【図11】図11は、本発明の例示的なステントを斜め上からの表したものであって、このステントは、生体内分解性のステント、生体内非分解性のステント、又は、ステントグラフトである。このステントは、固定ピン7をもち、その上に選択的にマーカ8、金属又は合金5、排水用開口部10をもつ選択的な内張9を具える。ステント金属又は合金は、ポリママトリックス又はマトリックス及び薬物及び/又は薬学的製剤が覆っている。
【図12】図12は、薬物溶出ステント製品を開発し製造する例示的で一般的形成工程を表す。BMSを用いた工程は工程Aであり、ポリマ薬物を用いる工程は、工程Bである。用いたステントは、金属、又は合金、生分解性ポリマ、又はハイブリッドステントである。生分解性ステントは、薬物−ポリマ成形体を望ましい形状に押し出すことにより直接的に製造することができ(プロセスB)、この分野の当業者に公知の方法と技術を用いて製造することができる。
【図13】図13は、本発明で用いた生分解性ポリ酸無水物の繰り返し単位を図示し;a)ポリ(SA)、b)ポリ(CPH)、及びc)ポリ(CPTEG)である。この図において、「m」及び「n」は、各モノマの繰り返し単位数を表す。
【図14】図14は、腫瘍気管閉塞の主要3タイプ、及び様々な気管支鏡技術を図示している。符号の説明:+++=極めて優れた臨床結果が期待される;++=顕著な臨床結果が期待できる;+=良好な臨床結果が期待できる;0=乏しい臨床結果が期待される;EBES=気管支内の電気外科手術;PDT=光力学療法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドラッグデリバリシステムであって、支持体、第一ポリママトリックス、及び、薬物を含むドラッグデリバリシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のドラッグデリバリシステムであって、前記第一ポリママトリックスが、生物学的な酵素活性をもつ組成物により分解に十分に感受性である第一材料を含む、ドラッグデリバリシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のドラッグデリバリシステムであって、前記第一ポリママトリックスが、生物学的な酵素活性をもつ組成物により分解に十分に抵抗性である第二材料を含む、ドラッグデリバリシステム。
【請求項4】
請求項1に記載のドラッグデリバリシステムであって、前記第一ポリママトリックスが、1つの第一材料と1つの第二材料を含み、前記第一材料が生物学的な酵素活性をもつ組成物により分解に十分に感受性であり、前記第二材料が生物学的酵素活性をもつ組成物による分解に十分に抵抗性である、ドラッグデリバリシステム。
【請求項5】
請求項1に記載のドラッグデリバリシステムであって、前記支持体が、ステント、バルーン、及び第二ポリママトリックスからなる群から選択される、ドラッグデリバリシステム。
【請求項6】
請求項5に記載のドラッグデリバリシステムであって、前記ステントが、管状構造、金属製自己展開式ステント、バルーン展開式金属製ステント、自己展開式ステント、及び、ステントグラフトからなる群から選択される、ドラッグデリバリシステム。
【請求項7】
請求項5に記載のドラッグデリバリシステムであって、前記第二ポリママトリックスが、生物学的な酵素活性をもつ組成物により分解に十分に感受性である第一材料を含む、ドラッグデリバリシステム。
【請求項8】
請求項5に記載のドラッグデリバリシステムであって、前記第二ポリママトリックスが、生物学的酵素活性をもつ組成物による分解に十分に抵抗性である第二材料を含む、ドラッグデリバリシステム。
【請求項9】
請求項5に記載のドラッグデリバリシステムであって、前記第二ポリママトリックスが、1つの第一材料と1つの第二材料を含み、前記第一材料が生物学的酵素活性をもつ組成物による分解に十分に感受性であり、前記第二材料が生物学的酵素活性をもつ組成物による分解に十分に抵抗性である、ドラッグデリバリシステム。
【請求項10】
請求項1に記載のドラッグデリバリシステムであって、前記第一ポリママトリックスが、アクリル酸、メタクリル酸、ポリフォスファゼン類、ポリカーボネイト類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸、グリコール酸、ポリヒドロキシ洛酸、ポリオルトエステロール類、ポリ酸無水物類、ポリシロキサン類、ポリカプロラクトン、ポリサッカライド類、及び、ポリプロテイン類の部分エステル化ポリマ、並びに、アクリル酸、メタクリル酸、ポリフォスファゼン類、ポリカーボネイト類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸、グリコール酸、ポリヒドロキシ酢酸、ポリオルトエステロール類、ポリ酸無水物類、ポリシロキサン類、ポリカプロラクトン、ポリサッカライド類、ポリプロテイン類の完全エステル化ポリマ、及びそれらの共重合体からなる群から選択される組成物を含む、ドラッグデリバリシステム。
【請求項11】
請求項1に記載のドラッグデリバリシステムであって、前記第一ポリママトリックスが、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリメタアクリルアミド、及び、ポリエチレングリコールからなる群から選択される親水性ポリマのモノマとの共重合体を含む、ドラックデリバリーシステム。
【請求項12】
請求項5に記載のドラッグデリバリシステムであって、前記第二ポリママトリックスが、アクリル酸、メタクリル酸、ポリフォスファゼン類、ポリカーボネイト類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸、グリコール酸、ポリヒドロキシ洛酸、ポリオルトエステロール類、ポリ酸無水物類、ポリシロキサン類、ポリカプロラクトン、ポリサッカライド類、及び、ポリプロテイン類の部分エステル化ポリマ、並びに、アクリル酸、メタクリル酸、ポリフォスファゼン類、ポリカーボネイト類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸、グリコール酸、ポリヒドロキシ洛酸、ポリオルトエステロール類、ポリ酸無水物類、ポリシロキサン類、ポリカプロラクトン、ポリサッカライド類、ポリプロテイン蛋類の完全エステル化ポリマ、及びそれらの共重合体からなる群から選択される組成物を含む、ドラッグデリバリシステム。
【請求項13】
請求項5に記載のドラッグデリバリシステムであって、第二ポリママトリックスが、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリメタアクリルアミド、及びポリエチレングリコールからなる群から選択される親水性ポリマのモノマとの共重合体を含む、ドラックデリバリーシステム。
【請求項14】
請求項1に記載のドラッグデリバリシステムが、更に、薬学的製剤を含む、ドラッグデリバリシステム。
【請求項15】
請求項14に記載のドラッグデリバリシステムであって、前記薬学的製剤が、薬物及び適切な薬学的キャリアを含む、ドラックデリバリシステム。
【請求項16】
請求項1に記載のドラッグデリバリシステムであって、前記薬剤が、ドセタキセル、エトポシド、トロンテカン、パクリタキセル、テニポサイド、トポテカン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ブスルファン、イムプロスルファン、ピポスルファン、アジリジン、ベンゾデパ、カルボコン、メツレデパ、ウレデパ、アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミド、クロラムブシル、シクロフォスファミド、エストラムスチン、イフォスファミド、メクロルエタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノブエンビキン、ペルホスファミド、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード、カルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン、ダカルバジン、マンノムスチン、ミトブロニトール、ミトラクトール、ピポブロマン、テモゾロミド、アクラシノマイシンサ アクチノマイシン アントラマイシン(aclacinomycinsa actinomycin anthramycin)、アザセリン、ブレオマイシン類、カクチノマイシン、カルビシン、カルジノフィリン、クロモマイシン類、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、メノガリル、マイトマイシン類、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン類、ペプロマイシン、ピラルビシン、プリカマイシン、ポルフィロマイシン、プロマイシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ジノスタチン、ゾルビシン、デノプテリン、エダトレキサート、メトトレキサート、ピリトレキシム、プテロプテリン、トムデックス(TOMUDEX)、トリメトレキセート、クラドリビン、フルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン、アンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ドキシフルリジン、エミテフル、エノシタビン、フロクスリジン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、テガフール、L−アスパラギナーゼ、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、インターロイキン−2、レンチナン、プロパゲルマニウム、PSK、ロキニメクス、シゾフィカン(sizofican)、ウベニメックス、カルボプラチン、シスプラチン、ミボプラチン(miboplatin)、オキサリプラチン、アセグラロン(aceglarone)、アムサクリン、ビサントレン、デホスファミド、デメコルシン、ジアジクオン、エフロミチン(eflomithine)、エリプチニウムアセタート、エトグルシド、フェンレチニド、硝酸ガリウム、ヒドロキシウレア、ロニダミン、ミルテホシン、ミトグアゾン、マイトキサントロン、モピダモール、ナイトラシン(nitracine)、ペントスタイン、フェナメット、ポドフィリン酸2−エチル−ヒドラジド、プロカルバジン(procabazine)、ラゾキサン、ソブゾキサン、スピロゲルマニウム、テヌゾン酸(tenuzonic acid)、トリアジクオン、2,2’,2”トリクロロトリエチルアミン、ウレタン、カルステロン、ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラコン(testolacone)、アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン、ビカルタミド、フルタミド、ニルタミド、ドロロキシフェン、タモキシフェン、トレミフェン、アミノグルテチミド、アナストロゾール、ファドロゾール、ホルメスタン、レトロゾール、ホスフェストロール、ヘキセストロール、燐酸ポリエストラジオール、ブセレリン(buserelin)、ゴセレリン、ロイプロリド、トリプトレリン、酢酸クロルマジノン、メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、メレンゲストロール、ポルフィマナトリウム(porfimer sodium)、 バチマスタ(batimastar)、ホリン酸、サリチル酸塩、サルサレート、メサラミン、ジフルニサル、コリントリサリチル酸マグネシウム、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、フルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、メフェナム酸、ナブメトン、ナプロキセン、ピロキシカム、フェニルブタゾン、ケトプロフェン、S−ケトプロフェン、ケトロラク、トロメタミン、スリンダク、トルメチン、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、コルチゾン、デキサメタゾン、フルオシノロン、フルニソリド、プロピオン酸フルチカゾン、フッ素化コルチコイド、トリアムシノロン−ジアセテート、ヒドロコルチゾン、クロベタゾール、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾン、フィナステライド、アデノコルチコステロイド、シクロスポリン、ラパマイシン、エベロリムス、スチニンマレイン酸塩(sutinin maleate)、ゲフィチニブ、エルロチニブ、からなる群から選択されるドラッグデリバリシステム。
【請求項17】
請求項16に記載のドラッグデリバリシステムであって、前記薬剤が、パクリタキセル、サリドマイド、ネオマイシン、及び、クロベスタール(clobetasol)からなる群から選択されるドラッグデリバリーシステム。
【請求項18】
請求項5に記載のドラッグデリバリシステムであって、前記ステントが、ニッケル−チタニウム合金、クロメル、ステンレルスチール、銅、金、白金、銀、及び、チタニウムからなる群から選択される金属を含むドラッグデリバリシステム。
【請求項19】
請求項5に記載のドラッグデリバリシステムであって、前記ステントが、伝導性エポキシ、伝導性ポリマ、硫酸バリウム、酸化チタン、シリコン、ポリウレタン、ポリエチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン、ポリカーボネイト、ポリプロピレン、スチレン、ポリアミド、ポリイミド、PEEK、PEBAX、ポリエステル、PVC、フルオロポリマ、及び、それらの共重合体からなる群から選択される材料を含むドラックデリバリシステム。
【請求項20】
被験者における身体通路の閉塞を治療する方法であって、その方法が、次のステップ:(i)第一ポリママトリックスが薬物を含み、当該第一ポリママトリックスが、身体通路中に置くのに適した相にあり、前記第一ポリママトリックスが、前記第一ポリママトリックスから前記薬物を溶出することができる化合物を含む第一ポリママトリックスを提供するステップ;(ii)前記閉塞に近接した身体通路に前記第一ポリママトリックスを導入するステップ;(iii)前記第一ポリママトリックスから前記閉塞の近傍に前記薬物を溶出させて、それにより前記薬物が、閉塞の上に生物活性をもたらすステップを具え、その結果前記方法が閉塞を治療する方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法であって、前記身体通路が、冠状動脈、頸動脈、大動脈、肺動脈、静脈、毛細血管、気管、気管支梢、食道、胆管、輸卵管、尿道、結腸、膀胱、膵臓通路、鼻腔、雄性生殖管、雌性生殖管、小腸、大腸、硬膜静脈洞、及び、脳内洞からなる群から選択される方法。
【請求項22】
請求項20に記載の方法であって、前記第一ポリママトリックスが、生分解性ポリマ、非生分解性ポリマ、及び、それらの組み合わせからなる群から選択されるポリマを含む方法。
【請求項23】
請求項20に記載の方法であって、前記第一ポリママトリックスの前記相が、液体、ゲル、固体、及び、それらの組み合わせからなる群から選択される方法。
【請求項24】
請求項20に記載の方法であって、前記第一ポリママトリックスが、アクリル酸、メタクリル酸、ポリフォスファゼン類、ポリカーボネイト類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸、グリコール酸、ポリヒドロキシ洛酸、ポリオルトエステロール類、ポリ酸無水物類、ポリシロキサン類、ポリカプロラクトン、ポリサッカライド類、及び、ポリプロテイン類の部分エステル化ポリマ、並びに、アクリル酸、メタクリル酸、ポリフォスファゼン類、ポリカーボネイト類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸、グリコール酸、ポリヒドロキシ洛酸、ポリオルトエステロール類、ポリ酸無水物類、ポリシロキサン類、ポリカプロラクトン、ポリサッカライド類、ポリプロテイン類の完全エステル化ポリマ、及びそれらの共重合体からなる群から選択されるポリマを含む方法。
【請求項25】
請求項20に記載の方法であって、前記薬剤が、ドセタキセル、エトポシド、トロンテカン、パクリタキセル、テニポサイド、トポテカン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ブスルファン、イムプロスルファン、ピポスルファン、アジリジン、ベンゾデパ、カルボコン、メツレデパ、ウレデパ、アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミド、クロラムブシル、シクロフォスファミド、エストラムスチン、イフォスファミド、メクロルエタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノブエンビキン、ペルホスファミド、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード、カルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン、ダカルバジン、マンノムスチン、ミトブロニトール、ミトラクトール、ピポブロマン、テモゾロミド、アクラシノマイシンサ アクチノマイシン アントラマイシン(aclacinomycinsa actinomycin anthramycin)、アザセリン、ブレオマイシン類、カクチノマイシン、カルビシン、カルジノフィリン、クロモマイシン類、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、メノガリル、マイトマイシン類、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン類、ペプロマイシン、ピラルビシン、プリカマイシン、ポルフィロマイシン、プロマイシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ジノスタチン、ゾルビシン、デノプテリン、エダトレキサート、メトトレキサート、ピリトレキシム、プテロプテリン、トムデックス(TOMUDEX)、トリメトレキセート、クラドリビン、フルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン、アンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ドキシフルリジン、エミテフル、エノシタビン、フロクスリジン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、テガフール、L−アスパラギナーゼ、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、インターロイキン−2、レンチナン、プロパゲルマニウム、PSK、ロキニメクス、シゾフィカン(sizofican)、ウベニメックス、カルボプラチン、シスプラチン、ミボプラチン(miboplatin)、オキサリプラチン、アセグラロン(aceglarone)、アムサクリン、ビサントレン、デホスファミド、デメコルシン、ジアジクオン、エフロミチン(eflomithine)、エリプチニウムアセタート、エトグルシド、フェンレチニド、硝酸ガリウム、ヒドロキシウレア、ロニダミン、ミルテホシン、ミトグアゾン、マイトキサントロン、モピダモール、ナイトラシン(nitracine)、ペントスタイン、フェナメット、ポドフィリン酸2−エチル−ヒドラジド、プロカルバジン(procabazine)、ラゾキサン、ソブゾキサン、スピロゲルマニウム、テヌゾン酸(tenuzonic acid)、トリアジクオン、2,2’,2”トリクロロトリエチルアミン、ウレタン、カルステロン、ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラコン(testolacone)、アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン、ビカルタミド、フルタミド、ニルタミド、ドロロキシフェン、タモキシフェン、トレミフェン、アミノグルテチミド、アナストロゾール、ファドロゾール、ホルメスタン、レトロゾール、ホスフェストロール、ヘキセストロール、燐酸ポリエストラジオール、ブセレリン(buserelin)、ゴセレリン、ロイプロリド、トリプトレリン、酢酸クロルマジノン、メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、メレンゲストロール、ポルフィマナトリウム(porfimer sodium)、バチマスタ(batimastar)、ホリン酸、サリチル酸塩、サルサレート、メサラミン、ジフルニサル、コリントリサリチル酸マグネシウム、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、フルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、メフェナム酸、ナブメトン、ナプロキセン、ピロキシカム、フェニルブタゾン、ケトプロフェン、S−ケトプロフェン、ケトロラク、トロメタミン、スリンダク、トルメチン、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、コルチゾン、デキサメタゾン、フルオシノロン、フルニソリド、プロピオン酸フルチカゾン、フッ素化コルチコイド、トリアムシノロン−ジアセテート、ヒドロコルチゾン、クロベタゾール、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾン、フィナステライド、アデノコルチコステロイド、シクロスポリン、ラパマイシン、エベロリムス、スチニンマレイン酸塩(sutinin maleate)、ゲフィチニブ、エルロチニブ、からなる群から選択される方法。
【請求項26】
前記薬物が、パクリタキセル、サリドマイド、ネオマイシン、及び、クロベスタール(clobetasol)からなる群から選択される請求項25に記載の方法。
【請求項27】
請求項20に記載の方法であって、前記第一ポリママトリックスが、支持体と組み合わせて、前記身体通路中に導入される方法。
【請求項28】
請求項27に記載の方法であって、前記支持体が、ステント、バルーン、及び第二ポリママトリックスからなる群から選択される方法。
【請求項29】
請求項28に記載の方法であって、前記ステントが、管状構造、金属製自己展開式のステント、バルーン展開式金属製ステント、自己展開式ステント、及びステントグラフトからなる群から選択される方法。
【請求項30】
請求項28に記載のドラッグデリバリシステムであって、前記ステントが、ニッケル−チタニウム合金、クロメル、ステンレススチール、銅、金、白金、銀、及びチタニウム、から選択される金属を含むドラッグデリバリーシステム。
【請求項31】
請求項28に記載の方法であって、第二ポリママトリックスが、アクリル酸、メタクリル酸、ポリフォスファゼン類、ポリカーボネイト類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸、グリコール酸、ポリヒドロキシ洛酸、ポリオルトエステロール類、ポリ酸無水物類、ポリシロキサン類、ポリカプロラクトン、ポリサッカライド類、及び、ポリプロテイン類の部分エステル化ポリマ、並びに、アクリル酸、メタクリル酸、ポリフォスファゼン類、ポリカーボネイト類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸、グリコール酸、ポリヒドロキシ洛酸、ポリオルトエステロール類、ポリ酸無水物類、ポリシロキサン類、ポリカプロラクトン、ポリサッカライド類、ポリプロテイン類の完全エステル化ポリマ、それらの共重合体からなる群から選択されるポリマを含む方法。
【請求項32】
請求項20に記載の方法であって、前記閉塞が、腫瘍、血管平滑筋、内皮細胞、細胞外マトリックス、血小板凝集、血栓、フィブリンマトリックス、上皮組織、及び、神経組織からなる群から選択される方法。
【請求項33】
身体通路における閉塞の医療用装具の製造のための、支持体、第一ポリママトリックス、薬物を含む組成物の使用。
【請求項34】
請求項33に記載の使用であって、前記第一ポリマーマトリックスが、生物学的酵素活性をもつ組成物による分解に十分に抵抗性である第一材料を含む使用。
【請求項35】
請求項33に記載の使用であって、前記第一ポリママトリックスが、生物学的な酵素活性を含む組成物による分解に十分に抵抗性である第二材料を含む使用。
【請求項36】
請求項33に記載の使用であって、前記第一ポリママトリックスが、第一材料と第二材料を含み、前記第一材料が生物学的活性を有する組成物により分解に十分に感受性であり、前記第二材料が生物学的活性を有する組成物による分解に十分に抵抗性である使用。
【請求項37】
請求項33に記載の使用であって、前記支持体が、ステント、バルーン、及び、第二ポリママトリックスからなる群から選択される使用。
【請求項38】
請求項37に記載の使用であって、前記ステントが、管状構造、金属製の自己展開式ステント、バルーン展開式金属製ステント、自己展開式ステント、及びステントグラフトからなる群から選択される使用。
【請求項39】
請求項37に記載の使用であって、前記第二ポリママトリックスが、生物学的活性をもつ組成物による分解に十分に感受性である第一材料を含む使用。
【請求項40】
請求項37に記載の使用であって、前記第二ポリママトリックスが、生物学的な酵素活性を含む組成物による分解に十分に抵抗性である使用。
【請求項41】
請求項37に記載の使用であって、前記第二ポリママトリックスが1つの第一材料と1つの第二材料を含み、第一材料が生物学的酵素活性をもつ組成物による分解に十分に感受性であり、第二材料が生物学的酵素活性をもつ組成物による分解に十分に抵抗性である使用。
【請求項42】
請求項33に記載の使用であって、前記第一ポリママトリックスが、アクリル酸、メタクリル酸、ポリホスファゼン類、ポリカーボネイト類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸、グリコール酸、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステロール類、ポリ酸無水物類、ポリシロキサン類、ポリカプロラクトン、ポリサッカライド類、ポリプロテイン類の部分エステル化ポリマ、並びに、アクリル酸、メタクリル酸、ポリカーボネイト類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸、グリコール酸、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステロール類、ポリ酸無水物類、ポリシロキサン類、ポリカプロラクトン、ポリサッカライド類、ポリプロテイン類の完全エステル化ポリマ、及びそれらの共重合体、からなる群から選択される組成物を含む使用。
【請求項43】
請求項33に記載の使用であって、前記第一ポリママトリックスが、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシエチルメタクリレイト、ポリアクリルアミド、ポリメタアクリルアミド、及びポリエチレングリコールからなる群から選択される親水性ポリマのモノマとの共重合体を含むものである使用。
【請求項44】
請求項37に記載の使用であって、前記第二ポリママトリックスが、アクリル酸、メタクリル酸、ポリホスファゼン類、ポリカーボネイト類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸、グリコール酸、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステロール類、ポリ酸無水物類、ポリシロキサン類、ポリカプロラクトン、ポリサッカライド類、ポリプロテイン類の部分エステル化ポリマ、並びに、アクリル酸、メタクリル酸、ポリカーボネイト類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸、グリコール酸、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステロール類、ポリ酸無水物類、ポリシロキサン類、ポリカプロラクトン、ポリサッカライド類、ポリプロテイン類の完全エステル化ポリマ、及び、それらの共重合体からなる群から選択される組成物を含む使用。
【請求項45】
請求項37に記載の使用であって、前記第二ポリママトリックスが、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシエチルメタクリレイト、ポリアクリルアミド、ポリメタアクリルアミド、及びポリエチレングリコールから成る群から選択される親水性ポリマのモノマとの共重合体を含むものである使用。
【請求項46】
請求項33に記載の使用であって、薬学的製剤をさらに含む使用。
【請求項47】
請求項46に記載の使用であって、前記薬学的製剤が、薬物及び適切な薬学的キャリアを含む使用。
【請求項48】
請求項33に記載の使用であって、前記薬物が、ドセタキセル、エトポシド、トロンテカン、パクリタキセル、テニポサイド、トポテカン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ブスルファン、イムプロスルファン、ピポスルファン、アジリジン、ベンゾデパ、カルボコン、メツレデパ、ウレデパ、アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミド、クロラムブシル、シクロフォスファミド、エストラムスチン、イフォスファミド、メクロルエタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノブエンビキン、ペルホスファミド、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード、カルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン、ダカルバジン、マンノムスチン、ミトブロニトール、ミトラクトール、ピポブロマン、テモゾロミド、アクラシノマイシンサ アクチノマイシン アントラマイシン(aclacinomycinsa actinomycin anthramycin)、アザセリン、ブレオマイシン類、カクチノマイシン、カルビシン、カルジノフィリン、クロモマイシン類、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、メノガリル、マイトマイシン類、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン類、ペプロマイシン、ピラルビシン、プリカマイシン、ポルフィロマイシン、プロマイシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ジノスタチン、ゾルビシン、デノプテリン、エダトレキサート、メトトレキサート、ピリトレキシム、プテロプテリン、トムデックス(TOMUDEX)、トリメトレキセート、クラドリビン、フルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン、アンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ドキシフルリジン、エミテフル、エノシタビン、フロクスリジン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、テガフール、L−アスパラギナーゼ、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、インターロイキン−2、レンチナン、プロパゲルマニウム、PSK、ロキニメクス、シゾフィカン(sizofican)、ウベニメックス、カルボプラチン、シスプラチン、ミボプラチン(miboplatin)、オキサリプラチン、アセグラロン(aceglarone)、アムサクリン、ビサントレン、デホスファミド、デメコルシン、ジアジクオン、エフロミチン(eflomithine)、エリプチニウムアセタート、エトグルシド、フェンレチニド、硝酸ガリウム、ヒドロキシウレア、ロニダミン、ミルテホシン、ミトグアゾン、マイトキサントロン、モピダモール、ナイトラシン(nitracine)、ペントスタイン、フェナメット、ポドフィリン酸2−エチル−ヒドラジド、プロカルバジン(procabazine)、ラゾキサン、ソブゾキサン、スピロゲルマニウム、テヌゾン酸(tenuzonic acid)、トリアジクオン、2,2’,2”トリクロロトリエチルアミン、ウレタン、カルステロン、ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラコン(testolacone)、アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン、ビカルタミド、フルタミド、ニルタミド、ドロロキシフェン、タモキシフェン、トレミフェン、アミノグルテチミド、アナストロゾール、ファドロゾール、ホルメスタン、レトロゾール、ホスフェストロール、ヘキセストロール、燐酸ポリエストラジオール、ブセレリン(buserelin)、ゴセレリン、ロイプロリド、トリプトレリン、酢酸クロルマジノン、メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、メレンゲストロール、ポルフィマナトリウム(porfimer sodium)、 バチマスタ(batimastar)、ホリン酸、サリチル酸塩、サルサレート、メサラミン、ジフルニサル、コリントリサリチル酸マグネシウム、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、フルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、メフェナム酸、ナブメトン、ナプロキセン、ピロキシカム、フェニルブタゾン、ケトプロフェン、S−ケトプロフェン、ケトロラク、トロメタミン、スリンダク、トルメチン、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、コルチゾン、デキサメタゾン、フルオシノロン、フルニソリド、プロピオン酸フルチカゾン、フッ素化コルチコイド、トリアムシノロン−ジアセテート、ヒドロコルチゾン、クロベタゾール、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾン、フィナステライド、アデノコルチコステロイド、シクロスポリン、ラパマイシン、エベロリムス、スチニンマレイン酸塩(sutinin maleate)、ゲフィチニブ、エルロチニブ、からなる群から選択される使用。
【請求項49】
請求項48に記載の使用であって、前記薬物が、パクリタキセル、サリドマイド、ネオマイシン、及びクロベタゾールからなる群から選択される使用。
【請求項50】
請求項37に記載の使用であって、前記ステントが、ニッケル−チタニウム合金、クロメル、ステンレススチール、銅、金、白金、銀及びチタニウムからなる群から選択される使用。
【請求項51】
請求項37に記載の使用であって、前記ステントが、伝導性エポキシ、伝導性ポリマ、硫酸バリウム、酸化チタン、シリコン、ポリウレタン、ポリエチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン、ポリカーボネイト、ポリプロピレン、スチレン、ポリアミド、ポリイミド、PEEK、PEBAX、ポリエステル、PVC、フルオロポリマ、及びそれらの共重合体から成る群から選択される材料を含む使用。
【請求項52】
身体通路中の閉塞の治療又は予防に使用にするドラッグデリバリシステムにおいて、前記ドラッグデリバリシステムが、支持体、第一ポリママトリックス、及び薬物を具えるドラッグデリバリシステム。
【請求項53】
請求項52に記載のドラッグデリバリシステムであって、前記第一ポリママトリックスが、生物学的酵素活性をもつ組成物により分解に十分に感受性である第一材料を含むドラッグデリバリシステム。
【請求項54】
請求項52に記載のドラッグデリバリシステムであって、前記第一ポリママトリックスが、生物学的酵素活性をもつ組成物による分解に十分に抵抗性である第二材料を含むドラッグデリバリシステム。
【請求項55】
請求項52に記載のドラッグデリバリシステムであって、前記第一ポリママトリックスが、1つの第一材料と1つの第二材料を含み、前記第一材料が生物学的酵素活性をもつ組成物による分解に十分に感受性であり、前記第二材料が生物学的酵素活性をもつ組成物による分解に十分に抵抗性であるドラッグデリバリシステム。
【請求項56】
請求項52に記載のドラッグデリバリシステムであって、前記支持体が、ステント、バルーン、及び第二ポリママトリックスから選択されるドラッグデリバリシステム。
【請求項57】
請求項56に記載のドラッグデリバリシステムであって、前記ステントが、管状構造、金属製の自己展開式ステント、バルーン展開式金属製ステント、自己展開式ステント、及びステントグラフトからなる群から選択されるドラッグデリバリシステム。
【請求項58】
請求項56に記載のドラッグデリバリシステムであって、前記第二ポリママトリックスが、生物学的酵素活性をもつ組成物による分解に十分に感受性である第一材料を含むドラッグデリバリシステム。
【請求項59】
請求項56に記載のドラッグデリバリシステムであって、前記第二ポリママトリックスが、生物学的酵素活性をもつ組成物による分解に十分に抵抗性である第二材料を含むドラッグデリバリシステム。
【請求項60】
請求項56に記載のドラッグデリバリシステムであって、前記第二ポリママトリックスが、1つの第一材料と1つの第二材料を含むドラッグデリバリシステムであり、前記第一材料が、生物学的酵素活性をもつ組成物に分解に十分に感受性であり、前記第二材料が生物学的酵素活性をもつ組成物による分解に十分に抵抗性であるドラッグデリバリシステム。
【請求項61】
請求項52に記載のドラッグデリバリシステムであって、前記第一ポリママトリックスが、アクリル酸、メタクリル酸、ポリホスファゼン類、ポリカーボネイト類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸、グリコール酸、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステロール類、ポリ酸無水物類、ポリシロキサン類、ポリカプロラクトン、ポリサッカライド類、ポリプロテイン類の部分エステル化ポリマ、並びに、アクリル酸、メタクリル酸、ポリカーボネイト類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸、グリコール酸、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステロール類、ポリ酸無水物類、ポリシロキサン類、ポリカプロラクトン、ポリサッカライド類、ポリ蛋白質類の完全エステル化ポリマ、及び、それらの共重合体、からなる群から選択される組成物を含むドラッグデリバリシステム。
【請求項62】
請求項52に記載のドラッグデリバリシステムであって、前記第一ポリママトリックスが、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシエチルメタクリレイト、ポリアクリルアミド、ポリメタアクリルアミド、及びポリエチレングリコールから成る群から選択される親水性ポリマのモノマとの共重合体を含むドラッグデリバリーシステム。
【請求項63】
請求項56に記載のドラッグデリバリシステムであって、前記第二ポリママトリックスが、アクリル酸、メタクリル酸、ポリホスファゼン類、ポリカーボネイト類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸、グリコール酸、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステロール類、ポリ酸無水物類、ポリシロキサン類、ポリカプロラクトン、ポリサッカライド類、及びポリプロテイン類の部分エステル化ポリマ、並びに、アクリル酸、メタクリル酸、ポリカーボネイト類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸、グリコール酸、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステロール類、ポリ酸無水物類、ポリシロキサン類、ポリカプロラクトン、ポリサッカライド類、ポリ蛋白質類の完全エステル化ポリマ、及び、それらの共重合体、からなる群から選択される組成物を含むドラッグデリバリシステム。
【請求項64】
請求項56に記載のドラッグデリバリシステムであって、前記第二ポリママトリックスが、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシエチルメタクリレイト、ポリアクリルアミド、ポリメタアクリルアミド、及びポリエチレングリコールから成る群から選択される親水性ポリマのモノマとの共重合体を含むドラッグデリバリシステム。
【請求項65】
請求項52に記載のドラッグデリバリシステムであって、さらに、薬学的製剤を含むドラッグデリバリシステム。
【請求項66】
請求項65に記載のドラッグデリバリシステムであって、前記薬学的製剤が、前記薬物、及び適切な薬学的キャリアを含むドラッグデリバリシステム。
【請求項67】
請求項52に記載のドラッグデリバリシステムであって、前記薬物が、ドセタキセル、エトポシド、トロンテカン、パクリタキセル、テニポサイド、トポテカン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ブスルファン、イムプロスルファン、ピポスルファン、アジリジン、ベンゾデパ、カルボコン、メツレデパ、ウレデパ、アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミド、クロラムブシル、シクロフォスファミド、エストラムスチン、イフォスファミド、メクロルエタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノブエンビキン、ペルホスファミド、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード、カルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン、ダカルバジン、マンノムスチン、ミトブロニトール、ミトラクトール、ピポブロマン、テモゾロミド、アクラシノマイシンサ アクチノマイシン アントラマイシン(aclacinomycinsa actinomycin anthramycin)、アザセリン、ブレオマイシン類、カクチノマイシン、カルビシン、カルジノフィリン、クロモマイシン類、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、メノガリル、マイトマイシン類、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン類、ペプロマイシン、ピラルビシン、プリカマイシン、ポルフィロマイシン、プロマイシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ジノスタチン、ゾルビシン、デノプテリン、エダトレキサート、メトトレキサート、ピリトレキシム、プテロプテリン、トムデックス(TOMUDEX)、トリメトレキセート、クラドリビン、フルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン、アンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ドキシフルリジン、エミテフル、エノシタビン、フロクスリジン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、テガフール、L−アスパラギナーゼ、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、インターロイキン−2、レンチナン、プロパゲルマニウム、PSK、ロキニメクス、シゾフィカン(sizofican)、ウベニメックス、カルボプラチン、シスプラチン、ミボプラチン(miboplatin)、オキサリプラチン、アセグラロン(aceglarone)、アムサクリン、ビサントレン、デホスファミド、デメコルシン、ジアジクオン、エフロミチン(eflomithine)、エリプチニウムアセタート、エトグルシド、フェンレチニド、硝酸ガリウム、ヒドロキシウレア、ロニダミン、ミルテホシン、ミトグアゾン、マイトキサントロン、モピダモール、ナイトラシン(nitracine)、ペントスタイン、フェナメット、ポドフィリン酸2−エチル−ヒドラジド、プロカルバジン(procabazine)、ラゾキサン、ソブゾキサン、スピロゲルマニウム、テヌゾン酸(tenuzonic acid)、トリアジクオン、2,2’,2”トリクロロトリエチルアミン、ウレタン、カルステロン、ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラコン(testolacone)、アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン、ビカルタミド、フルタミド、ニルタミド、ドロロキシフェン、タモキシフェン、トレミフェン、アミノグルテチミド、アナストロゾール、ファドロゾール、ホルメスタン、レトロゾール、ホスフェストロール、ヘキセストロール、燐酸ポリエストラジオール、ブセレリン(buserelin)、ゴセレリン、ロイプロリド、トリプトレリン、酢酸クロルマジノン、メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、メレンゲストロール、ポルフィマナトリウム(porfimer sodium)、 バチマスタ(batimastar)、ホリン酸、サリチル酸塩、サルサレート、メサラミン、ジフルニサル、コリントリサリチル酸マグネシウム、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、フルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、メフェナム酸、ナブメトン、ナプロキセン、ピロキシカム、フェニルブタゾン、ケトプロフェン、S−ケトプロフェン、ケトロラク、トロメタミン、スリンダク、トルメチン、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、コルチゾン、デキサメタゾン、フルオシノロン、フルニソリド、プロピオン酸フルチカゾン、フッ素化コルチコイド、トリアムシノロン−ジアセテート、ヒドロコルチゾン、クロベタゾール、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾン、フィナステライド、アデノコルチコステロイド、シクロスポリン、ラパマイシン、エベロリムス、スチニンマレイン酸塩(sutinin maleate)、ゲフィチニブ、エルロチニブ、からなる群から選択されるドラッグデリバリシステム。
【請求項68】
請求項67に記載のドラッグデリバリシステムであって、前記薬物が、パクリタキセル、サリドマイド、ネオマイシン、及びクロベタゾールからなる群から選択されるドラッグデリバリシステム。
【請求項69】
請求項56に記載のドラッグデリバリシステムであって、前記ステントが、ニッケル−チタニウム合金、クロメル、ステンレススチール、銅、金、白金、銀、及びチタニウムからなる群から選択される金属を含むドラッグデリバリシステム。
【請求項70】
請求項56に記載のドラッグデリバリシステムであって、前記ステントが、伝導性エポキシ、伝導性ポリマ類、硫酸バリウム、酸化チタン、シリコン、ポリウレタン、ポリエチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン、ポリカーボネイト、ポリプロピレン、スチレン、ポリアミド、ポリイミド、PEEK、PEBAX、ポリエステル、PVC、フルオロポリマ、及びそれらの共重合体から成る群から選択される材料を含むドラッグデリバリシステム。
【請求項1】
ドラッグデリバリシステムであって、支持体、第一ポリママトリックス、及び、薬物を含むドラッグデリバリシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のドラッグデリバリシステムであって、前記第一ポリママトリックスが、生物学的な酵素活性をもつ組成物により分解に十分に感受性である第一材料を含む、ドラッグデリバリシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のドラッグデリバリシステムであって、前記第一ポリママトリックスが、生物学的な酵素活性をもつ組成物により分解に十分に抵抗性である第二材料を含む、ドラッグデリバリシステム。
【請求項4】
請求項1に記載のドラッグデリバリシステムであって、前記第一ポリママトリックスが、1つの第一材料と1つの第二材料を含み、前記第一材料が生物学的な酵素活性をもつ組成物により分解に十分に感受性であり、前記第二材料が生物学的酵素活性をもつ組成物による分解に十分に抵抗性である、ドラッグデリバリシステム。
【請求項5】
請求項1に記載のドラッグデリバリシステムであって、前記支持体が、ステント、バルーン、及び第二ポリママトリックスからなる群から選択される、ドラッグデリバリシステム。
【請求項6】
請求項5に記載のドラッグデリバリシステムであって、前記ステントが、管状構造、金属製自己展開式ステント、バルーン展開式金属製ステント、自己展開式ステント、及び、ステントグラフトからなる群から選択される、ドラッグデリバリシステム。
【請求項7】
請求項5に記載のドラッグデリバリシステムであって、前記第二ポリママトリックスが、生物学的な酵素活性をもつ組成物により分解に十分に感受性である第一材料を含む、ドラッグデリバリシステム。
【請求項8】
請求項5に記載のドラッグデリバリシステムであって、前記第二ポリママトリックスが、生物学的酵素活性をもつ組成物による分解に十分に抵抗性である第二材料を含む、ドラッグデリバリシステム。
【請求項9】
請求項5に記載のドラッグデリバリシステムであって、前記第二ポリママトリックスが、1つの第一材料と1つの第二材料を含み、前記第一材料が生物学的酵素活性をもつ組成物による分解に十分に感受性であり、前記第二材料が生物学的酵素活性をもつ組成物による分解に十分に抵抗性である、ドラッグデリバリシステム。
【請求項10】
請求項1に記載のドラッグデリバリシステムであって、前記第一ポリママトリックスが、アクリル酸、メタクリル酸、ポリフォスファゼン類、ポリカーボネイト類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸、グリコール酸、ポリヒドロキシ洛酸、ポリオルトエステロール類、ポリ酸無水物類、ポリシロキサン類、ポリカプロラクトン、ポリサッカライド類、及び、ポリプロテイン類の部分エステル化ポリマ、並びに、アクリル酸、メタクリル酸、ポリフォスファゼン類、ポリカーボネイト類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸、グリコール酸、ポリヒドロキシ酢酸、ポリオルトエステロール類、ポリ酸無水物類、ポリシロキサン類、ポリカプロラクトン、ポリサッカライド類、ポリプロテイン類の完全エステル化ポリマ、及びそれらの共重合体からなる群から選択される組成物を含む、ドラッグデリバリシステム。
【請求項11】
請求項1に記載のドラッグデリバリシステムであって、前記第一ポリママトリックスが、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリメタアクリルアミド、及び、ポリエチレングリコールからなる群から選択される親水性ポリマのモノマとの共重合体を含む、ドラックデリバリーシステム。
【請求項12】
請求項5に記載のドラッグデリバリシステムであって、前記第二ポリママトリックスが、アクリル酸、メタクリル酸、ポリフォスファゼン類、ポリカーボネイト類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸、グリコール酸、ポリヒドロキシ洛酸、ポリオルトエステロール類、ポリ酸無水物類、ポリシロキサン類、ポリカプロラクトン、ポリサッカライド類、及び、ポリプロテイン類の部分エステル化ポリマ、並びに、アクリル酸、メタクリル酸、ポリフォスファゼン類、ポリカーボネイト類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸、グリコール酸、ポリヒドロキシ洛酸、ポリオルトエステロール類、ポリ酸無水物類、ポリシロキサン類、ポリカプロラクトン、ポリサッカライド類、ポリプロテイン蛋類の完全エステル化ポリマ、及びそれらの共重合体からなる群から選択される組成物を含む、ドラッグデリバリシステム。
【請求項13】
請求項5に記載のドラッグデリバリシステムであって、第二ポリママトリックスが、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリメタアクリルアミド、及びポリエチレングリコールからなる群から選択される親水性ポリマのモノマとの共重合体を含む、ドラックデリバリーシステム。
【請求項14】
請求項1に記載のドラッグデリバリシステムが、更に、薬学的製剤を含む、ドラッグデリバリシステム。
【請求項15】
請求項14に記載のドラッグデリバリシステムであって、前記薬学的製剤が、薬物及び適切な薬学的キャリアを含む、ドラックデリバリシステム。
【請求項16】
請求項1に記載のドラッグデリバリシステムであって、前記薬剤が、ドセタキセル、エトポシド、トロンテカン、パクリタキセル、テニポサイド、トポテカン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ブスルファン、イムプロスルファン、ピポスルファン、アジリジン、ベンゾデパ、カルボコン、メツレデパ、ウレデパ、アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミド、クロラムブシル、シクロフォスファミド、エストラムスチン、イフォスファミド、メクロルエタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノブエンビキン、ペルホスファミド、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード、カルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン、ダカルバジン、マンノムスチン、ミトブロニトール、ミトラクトール、ピポブロマン、テモゾロミド、アクラシノマイシンサ アクチノマイシン アントラマイシン(aclacinomycinsa actinomycin anthramycin)、アザセリン、ブレオマイシン類、カクチノマイシン、カルビシン、カルジノフィリン、クロモマイシン類、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、メノガリル、マイトマイシン類、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン類、ペプロマイシン、ピラルビシン、プリカマイシン、ポルフィロマイシン、プロマイシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ジノスタチン、ゾルビシン、デノプテリン、エダトレキサート、メトトレキサート、ピリトレキシム、プテロプテリン、トムデックス(TOMUDEX)、トリメトレキセート、クラドリビン、フルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン、アンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ドキシフルリジン、エミテフル、エノシタビン、フロクスリジン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、テガフール、L−アスパラギナーゼ、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、インターロイキン−2、レンチナン、プロパゲルマニウム、PSK、ロキニメクス、シゾフィカン(sizofican)、ウベニメックス、カルボプラチン、シスプラチン、ミボプラチン(miboplatin)、オキサリプラチン、アセグラロン(aceglarone)、アムサクリン、ビサントレン、デホスファミド、デメコルシン、ジアジクオン、エフロミチン(eflomithine)、エリプチニウムアセタート、エトグルシド、フェンレチニド、硝酸ガリウム、ヒドロキシウレア、ロニダミン、ミルテホシン、ミトグアゾン、マイトキサントロン、モピダモール、ナイトラシン(nitracine)、ペントスタイン、フェナメット、ポドフィリン酸2−エチル−ヒドラジド、プロカルバジン(procabazine)、ラゾキサン、ソブゾキサン、スピロゲルマニウム、テヌゾン酸(tenuzonic acid)、トリアジクオン、2,2’,2”トリクロロトリエチルアミン、ウレタン、カルステロン、ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラコン(testolacone)、アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン、ビカルタミド、フルタミド、ニルタミド、ドロロキシフェン、タモキシフェン、トレミフェン、アミノグルテチミド、アナストロゾール、ファドロゾール、ホルメスタン、レトロゾール、ホスフェストロール、ヘキセストロール、燐酸ポリエストラジオール、ブセレリン(buserelin)、ゴセレリン、ロイプロリド、トリプトレリン、酢酸クロルマジノン、メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、メレンゲストロール、ポルフィマナトリウム(porfimer sodium)、 バチマスタ(batimastar)、ホリン酸、サリチル酸塩、サルサレート、メサラミン、ジフルニサル、コリントリサリチル酸マグネシウム、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、フルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、メフェナム酸、ナブメトン、ナプロキセン、ピロキシカム、フェニルブタゾン、ケトプロフェン、S−ケトプロフェン、ケトロラク、トロメタミン、スリンダク、トルメチン、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、コルチゾン、デキサメタゾン、フルオシノロン、フルニソリド、プロピオン酸フルチカゾン、フッ素化コルチコイド、トリアムシノロン−ジアセテート、ヒドロコルチゾン、クロベタゾール、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾン、フィナステライド、アデノコルチコステロイド、シクロスポリン、ラパマイシン、エベロリムス、スチニンマレイン酸塩(sutinin maleate)、ゲフィチニブ、エルロチニブ、からなる群から選択されるドラッグデリバリシステム。
【請求項17】
請求項16に記載のドラッグデリバリシステムであって、前記薬剤が、パクリタキセル、サリドマイド、ネオマイシン、及び、クロベスタール(clobetasol)からなる群から選択されるドラッグデリバリーシステム。
【請求項18】
請求項5に記載のドラッグデリバリシステムであって、前記ステントが、ニッケル−チタニウム合金、クロメル、ステンレルスチール、銅、金、白金、銀、及び、チタニウムからなる群から選択される金属を含むドラッグデリバリシステム。
【請求項19】
請求項5に記載のドラッグデリバリシステムであって、前記ステントが、伝導性エポキシ、伝導性ポリマ、硫酸バリウム、酸化チタン、シリコン、ポリウレタン、ポリエチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン、ポリカーボネイト、ポリプロピレン、スチレン、ポリアミド、ポリイミド、PEEK、PEBAX、ポリエステル、PVC、フルオロポリマ、及び、それらの共重合体からなる群から選択される材料を含むドラックデリバリシステム。
【請求項20】
被験者における身体通路の閉塞を治療する方法であって、その方法が、次のステップ:(i)第一ポリママトリックスが薬物を含み、当該第一ポリママトリックスが、身体通路中に置くのに適した相にあり、前記第一ポリママトリックスが、前記第一ポリママトリックスから前記薬物を溶出することができる化合物を含む第一ポリママトリックスを提供するステップ;(ii)前記閉塞に近接した身体通路に前記第一ポリママトリックスを導入するステップ;(iii)前記第一ポリママトリックスから前記閉塞の近傍に前記薬物を溶出させて、それにより前記薬物が、閉塞の上に生物活性をもたらすステップを具え、その結果前記方法が閉塞を治療する方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法であって、前記身体通路が、冠状動脈、頸動脈、大動脈、肺動脈、静脈、毛細血管、気管、気管支梢、食道、胆管、輸卵管、尿道、結腸、膀胱、膵臓通路、鼻腔、雄性生殖管、雌性生殖管、小腸、大腸、硬膜静脈洞、及び、脳内洞からなる群から選択される方法。
【請求項22】
請求項20に記載の方法であって、前記第一ポリママトリックスが、生分解性ポリマ、非生分解性ポリマ、及び、それらの組み合わせからなる群から選択されるポリマを含む方法。
【請求項23】
請求項20に記載の方法であって、前記第一ポリママトリックスの前記相が、液体、ゲル、固体、及び、それらの組み合わせからなる群から選択される方法。
【請求項24】
請求項20に記載の方法であって、前記第一ポリママトリックスが、アクリル酸、メタクリル酸、ポリフォスファゼン類、ポリカーボネイト類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸、グリコール酸、ポリヒドロキシ洛酸、ポリオルトエステロール類、ポリ酸無水物類、ポリシロキサン類、ポリカプロラクトン、ポリサッカライド類、及び、ポリプロテイン類の部分エステル化ポリマ、並びに、アクリル酸、メタクリル酸、ポリフォスファゼン類、ポリカーボネイト類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸、グリコール酸、ポリヒドロキシ洛酸、ポリオルトエステロール類、ポリ酸無水物類、ポリシロキサン類、ポリカプロラクトン、ポリサッカライド類、ポリプロテイン類の完全エステル化ポリマ、及びそれらの共重合体からなる群から選択されるポリマを含む方法。
【請求項25】
請求項20に記載の方法であって、前記薬剤が、ドセタキセル、エトポシド、トロンテカン、パクリタキセル、テニポサイド、トポテカン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ブスルファン、イムプロスルファン、ピポスルファン、アジリジン、ベンゾデパ、カルボコン、メツレデパ、ウレデパ、アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミド、クロラムブシル、シクロフォスファミド、エストラムスチン、イフォスファミド、メクロルエタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノブエンビキン、ペルホスファミド、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード、カルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン、ダカルバジン、マンノムスチン、ミトブロニトール、ミトラクトール、ピポブロマン、テモゾロミド、アクラシノマイシンサ アクチノマイシン アントラマイシン(aclacinomycinsa actinomycin anthramycin)、アザセリン、ブレオマイシン類、カクチノマイシン、カルビシン、カルジノフィリン、クロモマイシン類、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、メノガリル、マイトマイシン類、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン類、ペプロマイシン、ピラルビシン、プリカマイシン、ポルフィロマイシン、プロマイシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ジノスタチン、ゾルビシン、デノプテリン、エダトレキサート、メトトレキサート、ピリトレキシム、プテロプテリン、トムデックス(TOMUDEX)、トリメトレキセート、クラドリビン、フルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン、アンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ドキシフルリジン、エミテフル、エノシタビン、フロクスリジン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、テガフール、L−アスパラギナーゼ、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、インターロイキン−2、レンチナン、プロパゲルマニウム、PSK、ロキニメクス、シゾフィカン(sizofican)、ウベニメックス、カルボプラチン、シスプラチン、ミボプラチン(miboplatin)、オキサリプラチン、アセグラロン(aceglarone)、アムサクリン、ビサントレン、デホスファミド、デメコルシン、ジアジクオン、エフロミチン(eflomithine)、エリプチニウムアセタート、エトグルシド、フェンレチニド、硝酸ガリウム、ヒドロキシウレア、ロニダミン、ミルテホシン、ミトグアゾン、マイトキサントロン、モピダモール、ナイトラシン(nitracine)、ペントスタイン、フェナメット、ポドフィリン酸2−エチル−ヒドラジド、プロカルバジン(procabazine)、ラゾキサン、ソブゾキサン、スピロゲルマニウム、テヌゾン酸(tenuzonic acid)、トリアジクオン、2,2’,2”トリクロロトリエチルアミン、ウレタン、カルステロン、ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラコン(testolacone)、アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン、ビカルタミド、フルタミド、ニルタミド、ドロロキシフェン、タモキシフェン、トレミフェン、アミノグルテチミド、アナストロゾール、ファドロゾール、ホルメスタン、レトロゾール、ホスフェストロール、ヘキセストロール、燐酸ポリエストラジオール、ブセレリン(buserelin)、ゴセレリン、ロイプロリド、トリプトレリン、酢酸クロルマジノン、メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、メレンゲストロール、ポルフィマナトリウム(porfimer sodium)、バチマスタ(batimastar)、ホリン酸、サリチル酸塩、サルサレート、メサラミン、ジフルニサル、コリントリサリチル酸マグネシウム、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、フルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、メフェナム酸、ナブメトン、ナプロキセン、ピロキシカム、フェニルブタゾン、ケトプロフェン、S−ケトプロフェン、ケトロラク、トロメタミン、スリンダク、トルメチン、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、コルチゾン、デキサメタゾン、フルオシノロン、フルニソリド、プロピオン酸フルチカゾン、フッ素化コルチコイド、トリアムシノロン−ジアセテート、ヒドロコルチゾン、クロベタゾール、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾン、フィナステライド、アデノコルチコステロイド、シクロスポリン、ラパマイシン、エベロリムス、スチニンマレイン酸塩(sutinin maleate)、ゲフィチニブ、エルロチニブ、からなる群から選択される方法。
【請求項26】
前記薬物が、パクリタキセル、サリドマイド、ネオマイシン、及び、クロベスタール(clobetasol)からなる群から選択される請求項25に記載の方法。
【請求項27】
請求項20に記載の方法であって、前記第一ポリママトリックスが、支持体と組み合わせて、前記身体通路中に導入される方法。
【請求項28】
請求項27に記載の方法であって、前記支持体が、ステント、バルーン、及び第二ポリママトリックスからなる群から選択される方法。
【請求項29】
請求項28に記載の方法であって、前記ステントが、管状構造、金属製自己展開式のステント、バルーン展開式金属製ステント、自己展開式ステント、及びステントグラフトからなる群から選択される方法。
【請求項30】
請求項28に記載のドラッグデリバリシステムであって、前記ステントが、ニッケル−チタニウム合金、クロメル、ステンレススチール、銅、金、白金、銀、及びチタニウム、から選択される金属を含むドラッグデリバリーシステム。
【請求項31】
請求項28に記載の方法であって、第二ポリママトリックスが、アクリル酸、メタクリル酸、ポリフォスファゼン類、ポリカーボネイト類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸、グリコール酸、ポリヒドロキシ洛酸、ポリオルトエステロール類、ポリ酸無水物類、ポリシロキサン類、ポリカプロラクトン、ポリサッカライド類、及び、ポリプロテイン類の部分エステル化ポリマ、並びに、アクリル酸、メタクリル酸、ポリフォスファゼン類、ポリカーボネイト類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸、グリコール酸、ポリヒドロキシ洛酸、ポリオルトエステロール類、ポリ酸無水物類、ポリシロキサン類、ポリカプロラクトン、ポリサッカライド類、ポリプロテイン類の完全エステル化ポリマ、それらの共重合体からなる群から選択されるポリマを含む方法。
【請求項32】
請求項20に記載の方法であって、前記閉塞が、腫瘍、血管平滑筋、内皮細胞、細胞外マトリックス、血小板凝集、血栓、フィブリンマトリックス、上皮組織、及び、神経組織からなる群から選択される方法。
【請求項33】
身体通路における閉塞の医療用装具の製造のための、支持体、第一ポリママトリックス、薬物を含む組成物の使用。
【請求項34】
請求項33に記載の使用であって、前記第一ポリマーマトリックスが、生物学的酵素活性をもつ組成物による分解に十分に抵抗性である第一材料を含む使用。
【請求項35】
請求項33に記載の使用であって、前記第一ポリママトリックスが、生物学的な酵素活性を含む組成物による分解に十分に抵抗性である第二材料を含む使用。
【請求項36】
請求項33に記載の使用であって、前記第一ポリママトリックスが、第一材料と第二材料を含み、前記第一材料が生物学的活性を有する組成物により分解に十分に感受性であり、前記第二材料が生物学的活性を有する組成物による分解に十分に抵抗性である使用。
【請求項37】
請求項33に記載の使用であって、前記支持体が、ステント、バルーン、及び、第二ポリママトリックスからなる群から選択される使用。
【請求項38】
請求項37に記載の使用であって、前記ステントが、管状構造、金属製の自己展開式ステント、バルーン展開式金属製ステント、自己展開式ステント、及びステントグラフトからなる群から選択される使用。
【請求項39】
請求項37に記載の使用であって、前記第二ポリママトリックスが、生物学的活性をもつ組成物による分解に十分に感受性である第一材料を含む使用。
【請求項40】
請求項37に記載の使用であって、前記第二ポリママトリックスが、生物学的な酵素活性を含む組成物による分解に十分に抵抗性である使用。
【請求項41】
請求項37に記載の使用であって、前記第二ポリママトリックスが1つの第一材料と1つの第二材料を含み、第一材料が生物学的酵素活性をもつ組成物による分解に十分に感受性であり、第二材料が生物学的酵素活性をもつ組成物による分解に十分に抵抗性である使用。
【請求項42】
請求項33に記載の使用であって、前記第一ポリママトリックスが、アクリル酸、メタクリル酸、ポリホスファゼン類、ポリカーボネイト類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸、グリコール酸、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステロール類、ポリ酸無水物類、ポリシロキサン類、ポリカプロラクトン、ポリサッカライド類、ポリプロテイン類の部分エステル化ポリマ、並びに、アクリル酸、メタクリル酸、ポリカーボネイト類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸、グリコール酸、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステロール類、ポリ酸無水物類、ポリシロキサン類、ポリカプロラクトン、ポリサッカライド類、ポリプロテイン類の完全エステル化ポリマ、及びそれらの共重合体、からなる群から選択される組成物を含む使用。
【請求項43】
請求項33に記載の使用であって、前記第一ポリママトリックスが、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシエチルメタクリレイト、ポリアクリルアミド、ポリメタアクリルアミド、及びポリエチレングリコールからなる群から選択される親水性ポリマのモノマとの共重合体を含むものである使用。
【請求項44】
請求項37に記載の使用であって、前記第二ポリママトリックスが、アクリル酸、メタクリル酸、ポリホスファゼン類、ポリカーボネイト類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸、グリコール酸、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステロール類、ポリ酸無水物類、ポリシロキサン類、ポリカプロラクトン、ポリサッカライド類、ポリプロテイン類の部分エステル化ポリマ、並びに、アクリル酸、メタクリル酸、ポリカーボネイト類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸、グリコール酸、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステロール類、ポリ酸無水物類、ポリシロキサン類、ポリカプロラクトン、ポリサッカライド類、ポリプロテイン類の完全エステル化ポリマ、及び、それらの共重合体からなる群から選択される組成物を含む使用。
【請求項45】
請求項37に記載の使用であって、前記第二ポリママトリックスが、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシエチルメタクリレイト、ポリアクリルアミド、ポリメタアクリルアミド、及びポリエチレングリコールから成る群から選択される親水性ポリマのモノマとの共重合体を含むものである使用。
【請求項46】
請求項33に記載の使用であって、薬学的製剤をさらに含む使用。
【請求項47】
請求項46に記載の使用であって、前記薬学的製剤が、薬物及び適切な薬学的キャリアを含む使用。
【請求項48】
請求項33に記載の使用であって、前記薬物が、ドセタキセル、エトポシド、トロンテカン、パクリタキセル、テニポサイド、トポテカン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ブスルファン、イムプロスルファン、ピポスルファン、アジリジン、ベンゾデパ、カルボコン、メツレデパ、ウレデパ、アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミド、クロラムブシル、シクロフォスファミド、エストラムスチン、イフォスファミド、メクロルエタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノブエンビキン、ペルホスファミド、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード、カルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン、ダカルバジン、マンノムスチン、ミトブロニトール、ミトラクトール、ピポブロマン、テモゾロミド、アクラシノマイシンサ アクチノマイシン アントラマイシン(aclacinomycinsa actinomycin anthramycin)、アザセリン、ブレオマイシン類、カクチノマイシン、カルビシン、カルジノフィリン、クロモマイシン類、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、メノガリル、マイトマイシン類、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン類、ペプロマイシン、ピラルビシン、プリカマイシン、ポルフィロマイシン、プロマイシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ジノスタチン、ゾルビシン、デノプテリン、エダトレキサート、メトトレキサート、ピリトレキシム、プテロプテリン、トムデックス(TOMUDEX)、トリメトレキセート、クラドリビン、フルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン、アンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ドキシフルリジン、エミテフル、エノシタビン、フロクスリジン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、テガフール、L−アスパラギナーゼ、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、インターロイキン−2、レンチナン、プロパゲルマニウム、PSK、ロキニメクス、シゾフィカン(sizofican)、ウベニメックス、カルボプラチン、シスプラチン、ミボプラチン(miboplatin)、オキサリプラチン、アセグラロン(aceglarone)、アムサクリン、ビサントレン、デホスファミド、デメコルシン、ジアジクオン、エフロミチン(eflomithine)、エリプチニウムアセタート、エトグルシド、フェンレチニド、硝酸ガリウム、ヒドロキシウレア、ロニダミン、ミルテホシン、ミトグアゾン、マイトキサントロン、モピダモール、ナイトラシン(nitracine)、ペントスタイン、フェナメット、ポドフィリン酸2−エチル−ヒドラジド、プロカルバジン(procabazine)、ラゾキサン、ソブゾキサン、スピロゲルマニウム、テヌゾン酸(tenuzonic acid)、トリアジクオン、2,2’,2”トリクロロトリエチルアミン、ウレタン、カルステロン、ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラコン(testolacone)、アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン、ビカルタミド、フルタミド、ニルタミド、ドロロキシフェン、タモキシフェン、トレミフェン、アミノグルテチミド、アナストロゾール、ファドロゾール、ホルメスタン、レトロゾール、ホスフェストロール、ヘキセストロール、燐酸ポリエストラジオール、ブセレリン(buserelin)、ゴセレリン、ロイプロリド、トリプトレリン、酢酸クロルマジノン、メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、メレンゲストロール、ポルフィマナトリウム(porfimer sodium)、 バチマスタ(batimastar)、ホリン酸、サリチル酸塩、サルサレート、メサラミン、ジフルニサル、コリントリサリチル酸マグネシウム、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、フルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、メフェナム酸、ナブメトン、ナプロキセン、ピロキシカム、フェニルブタゾン、ケトプロフェン、S−ケトプロフェン、ケトロラク、トロメタミン、スリンダク、トルメチン、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、コルチゾン、デキサメタゾン、フルオシノロン、フルニソリド、プロピオン酸フルチカゾン、フッ素化コルチコイド、トリアムシノロン−ジアセテート、ヒドロコルチゾン、クロベタゾール、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾン、フィナステライド、アデノコルチコステロイド、シクロスポリン、ラパマイシン、エベロリムス、スチニンマレイン酸塩(sutinin maleate)、ゲフィチニブ、エルロチニブ、からなる群から選択される使用。
【請求項49】
請求項48に記載の使用であって、前記薬物が、パクリタキセル、サリドマイド、ネオマイシン、及びクロベタゾールからなる群から選択される使用。
【請求項50】
請求項37に記載の使用であって、前記ステントが、ニッケル−チタニウム合金、クロメル、ステンレススチール、銅、金、白金、銀及びチタニウムからなる群から選択される使用。
【請求項51】
請求項37に記載の使用であって、前記ステントが、伝導性エポキシ、伝導性ポリマ、硫酸バリウム、酸化チタン、シリコン、ポリウレタン、ポリエチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン、ポリカーボネイト、ポリプロピレン、スチレン、ポリアミド、ポリイミド、PEEK、PEBAX、ポリエステル、PVC、フルオロポリマ、及びそれらの共重合体から成る群から選択される材料を含む使用。
【請求項52】
身体通路中の閉塞の治療又は予防に使用にするドラッグデリバリシステムにおいて、前記ドラッグデリバリシステムが、支持体、第一ポリママトリックス、及び薬物を具えるドラッグデリバリシステム。
【請求項53】
請求項52に記載のドラッグデリバリシステムであって、前記第一ポリママトリックスが、生物学的酵素活性をもつ組成物により分解に十分に感受性である第一材料を含むドラッグデリバリシステム。
【請求項54】
請求項52に記載のドラッグデリバリシステムであって、前記第一ポリママトリックスが、生物学的酵素活性をもつ組成物による分解に十分に抵抗性である第二材料を含むドラッグデリバリシステム。
【請求項55】
請求項52に記載のドラッグデリバリシステムであって、前記第一ポリママトリックスが、1つの第一材料と1つの第二材料を含み、前記第一材料が生物学的酵素活性をもつ組成物による分解に十分に感受性であり、前記第二材料が生物学的酵素活性をもつ組成物による分解に十分に抵抗性であるドラッグデリバリシステム。
【請求項56】
請求項52に記載のドラッグデリバリシステムであって、前記支持体が、ステント、バルーン、及び第二ポリママトリックスから選択されるドラッグデリバリシステム。
【請求項57】
請求項56に記載のドラッグデリバリシステムであって、前記ステントが、管状構造、金属製の自己展開式ステント、バルーン展開式金属製ステント、自己展開式ステント、及びステントグラフトからなる群から選択されるドラッグデリバリシステム。
【請求項58】
請求項56に記載のドラッグデリバリシステムであって、前記第二ポリママトリックスが、生物学的酵素活性をもつ組成物による分解に十分に感受性である第一材料を含むドラッグデリバリシステム。
【請求項59】
請求項56に記載のドラッグデリバリシステムであって、前記第二ポリママトリックスが、生物学的酵素活性をもつ組成物による分解に十分に抵抗性である第二材料を含むドラッグデリバリシステム。
【請求項60】
請求項56に記載のドラッグデリバリシステムであって、前記第二ポリママトリックスが、1つの第一材料と1つの第二材料を含むドラッグデリバリシステムであり、前記第一材料が、生物学的酵素活性をもつ組成物に分解に十分に感受性であり、前記第二材料が生物学的酵素活性をもつ組成物による分解に十分に抵抗性であるドラッグデリバリシステム。
【請求項61】
請求項52に記載のドラッグデリバリシステムであって、前記第一ポリママトリックスが、アクリル酸、メタクリル酸、ポリホスファゼン類、ポリカーボネイト類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸、グリコール酸、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステロール類、ポリ酸無水物類、ポリシロキサン類、ポリカプロラクトン、ポリサッカライド類、ポリプロテイン類の部分エステル化ポリマ、並びに、アクリル酸、メタクリル酸、ポリカーボネイト類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸、グリコール酸、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステロール類、ポリ酸無水物類、ポリシロキサン類、ポリカプロラクトン、ポリサッカライド類、ポリ蛋白質類の完全エステル化ポリマ、及び、それらの共重合体、からなる群から選択される組成物を含むドラッグデリバリシステム。
【請求項62】
請求項52に記載のドラッグデリバリシステムであって、前記第一ポリママトリックスが、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシエチルメタクリレイト、ポリアクリルアミド、ポリメタアクリルアミド、及びポリエチレングリコールから成る群から選択される親水性ポリマのモノマとの共重合体を含むドラッグデリバリーシステム。
【請求項63】
請求項56に記載のドラッグデリバリシステムであって、前記第二ポリママトリックスが、アクリル酸、メタクリル酸、ポリホスファゼン類、ポリカーボネイト類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸、グリコール酸、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステロール類、ポリ酸無水物類、ポリシロキサン類、ポリカプロラクトン、ポリサッカライド類、及びポリプロテイン類の部分エステル化ポリマ、並びに、アクリル酸、メタクリル酸、ポリカーボネイト類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸、グリコール酸、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステロール類、ポリ酸無水物類、ポリシロキサン類、ポリカプロラクトン、ポリサッカライド類、ポリ蛋白質類の完全エステル化ポリマ、及び、それらの共重合体、からなる群から選択される組成物を含むドラッグデリバリシステム。
【請求項64】
請求項56に記載のドラッグデリバリシステムであって、前記第二ポリママトリックスが、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシエチルメタクリレイト、ポリアクリルアミド、ポリメタアクリルアミド、及びポリエチレングリコールから成る群から選択される親水性ポリマのモノマとの共重合体を含むドラッグデリバリシステム。
【請求項65】
請求項52に記載のドラッグデリバリシステムであって、さらに、薬学的製剤を含むドラッグデリバリシステム。
【請求項66】
請求項65に記載のドラッグデリバリシステムであって、前記薬学的製剤が、前記薬物、及び適切な薬学的キャリアを含むドラッグデリバリシステム。
【請求項67】
請求項52に記載のドラッグデリバリシステムであって、前記薬物が、ドセタキセル、エトポシド、トロンテカン、パクリタキセル、テニポサイド、トポテカン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ブスルファン、イムプロスルファン、ピポスルファン、アジリジン、ベンゾデパ、カルボコン、メツレデパ、ウレデパ、アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミド、クロラムブシル、シクロフォスファミド、エストラムスチン、イフォスファミド、メクロルエタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノブエンビキン、ペルホスファミド、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード、カルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン、ダカルバジン、マンノムスチン、ミトブロニトール、ミトラクトール、ピポブロマン、テモゾロミド、アクラシノマイシンサ アクチノマイシン アントラマイシン(aclacinomycinsa actinomycin anthramycin)、アザセリン、ブレオマイシン類、カクチノマイシン、カルビシン、カルジノフィリン、クロモマイシン類、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、メノガリル、マイトマイシン類、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン類、ペプロマイシン、ピラルビシン、プリカマイシン、ポルフィロマイシン、プロマイシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ジノスタチン、ゾルビシン、デノプテリン、エダトレキサート、メトトレキサート、ピリトレキシム、プテロプテリン、トムデックス(TOMUDEX)、トリメトレキセート、クラドリビン、フルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン、アンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ドキシフルリジン、エミテフル、エノシタビン、フロクスリジン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、テガフール、L−アスパラギナーゼ、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、インターロイキン−2、レンチナン、プロパゲルマニウム、PSK、ロキニメクス、シゾフィカン(sizofican)、ウベニメックス、カルボプラチン、シスプラチン、ミボプラチン(miboplatin)、オキサリプラチン、アセグラロン(aceglarone)、アムサクリン、ビサントレン、デホスファミド、デメコルシン、ジアジクオン、エフロミチン(eflomithine)、エリプチニウムアセタート、エトグルシド、フェンレチニド、硝酸ガリウム、ヒドロキシウレア、ロニダミン、ミルテホシン、ミトグアゾン、マイトキサントロン、モピダモール、ナイトラシン(nitracine)、ペントスタイン、フェナメット、ポドフィリン酸2−エチル−ヒドラジド、プロカルバジン(procabazine)、ラゾキサン、ソブゾキサン、スピロゲルマニウム、テヌゾン酸(tenuzonic acid)、トリアジクオン、2,2’,2”トリクロロトリエチルアミン、ウレタン、カルステロン、ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラコン(testolacone)、アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン、ビカルタミド、フルタミド、ニルタミド、ドロロキシフェン、タモキシフェン、トレミフェン、アミノグルテチミド、アナストロゾール、ファドロゾール、ホルメスタン、レトロゾール、ホスフェストロール、ヘキセストロール、燐酸ポリエストラジオール、ブセレリン(buserelin)、ゴセレリン、ロイプロリド、トリプトレリン、酢酸クロルマジノン、メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、メレンゲストロール、ポルフィマナトリウム(porfimer sodium)、 バチマスタ(batimastar)、ホリン酸、サリチル酸塩、サルサレート、メサラミン、ジフルニサル、コリントリサリチル酸マグネシウム、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、フルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、メフェナム酸、ナブメトン、ナプロキセン、ピロキシカム、フェニルブタゾン、ケトプロフェン、S−ケトプロフェン、ケトロラク、トロメタミン、スリンダク、トルメチン、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、コルチゾン、デキサメタゾン、フルオシノロン、フルニソリド、プロピオン酸フルチカゾン、フッ素化コルチコイド、トリアムシノロン−ジアセテート、ヒドロコルチゾン、クロベタゾール、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾン、フィナステライド、アデノコルチコステロイド、シクロスポリン、ラパマイシン、エベロリムス、スチニンマレイン酸塩(sutinin maleate)、ゲフィチニブ、エルロチニブ、からなる群から選択されるドラッグデリバリシステム。
【請求項68】
請求項67に記載のドラッグデリバリシステムであって、前記薬物が、パクリタキセル、サリドマイド、ネオマイシン、及びクロベタゾールからなる群から選択されるドラッグデリバリシステム。
【請求項69】
請求項56に記載のドラッグデリバリシステムであって、前記ステントが、ニッケル−チタニウム合金、クロメル、ステンレススチール、銅、金、白金、銀、及びチタニウムからなる群から選択される金属を含むドラッグデリバリシステム。
【請求項70】
請求項56に記載のドラッグデリバリシステムであって、前記ステントが、伝導性エポキシ、伝導性ポリマ類、硫酸バリウム、酸化チタン、シリコン、ポリウレタン、ポリエチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン、ポリカーボネイト、ポリプロピレン、スチレン、ポリアミド、ポリイミド、PEEK、PEBAX、ポリエステル、PVC、フルオロポリマ、及びそれらの共重合体から成る群から選択される材料を含むドラッグデリバリシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2010−500050(P2010−500050A)
【公表日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−507856(P2009−507856)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【国際出願番号】PCT/US2007/010574
【国際公開番号】WO2007/127488
【国際公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(508320295)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【国際出願番号】PCT/US2007/010574
【国際公開番号】WO2007/127488
【国際公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(508320295)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]