説明

躯体内暖房システム

【課題】消費エネルギーを減少しつつ、暖かく、快適な環境を維持し得る躯体内暖房システムを提供すること。
【解決手段】躯体内暖房システム1は、作動モードとして、補正モードと、通常モード(非補正モード)とを有している。補正モードに設定されている場合は、制御装置6は、インターネット12を介して、気象情報から住宅が設置されている地域の1日の最低気温の予報の情報および天気の予報の情報を取得し、これら両方の情報に基づいて、暖房装置9の作動温度の設定値と、作動時間帯(作動時間)の設定値とのいずれか一方または両方を補正し、その補正された値で、暖房装置9の作動を制御し、暖房を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、躯体内暖房システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅(建築物)の暖房装置として、床下空間等の躯体内空間に放熱部を設けてなる蓄熱方式または設置方式の暖房装置が知られている。
【0003】
蓄熱方式の暖房装置は、例えば、床下空間に設置された蓄熱コンクリート層と、蓄熱コンクリート層に埋設された流路管とを有し、その流路管に温水を流すことにより、蓄熱コンクリート層に熱が蓄熱され、その蓄熱コンクリート層から熱が放熱されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。また、設置方式の暖房装置は、例えば、床下空間に設置された放熱器やヒータ等で構成されている。
【0004】
このような暖房装置では、暖房装置の電源スイッチを投入し、暖房装置を作動させてから、それが躯体内や屋内の温度に反映されるまでに長時間を要する。例えば、設置方式の暖房装置では、1〜3時間程度必要とし、蓄熱方式の暖房装置では、さらに長く、3〜12時間程度必要とする。
【0005】
このため、その暖房装置は、予め、住人(使用者)により、作動温度(供給温度)と、作動時間(運転時間)として作動時間帯(運転時間帯)とが、それぞれ入力され、その作動時間帯に、その作動温度で加熱を行うように構成されている。この場合、住人は、気温等を想定(予想)して、住宅内の温度が適切な温度となるように、作動温度および作動時間帯を入力する。
【0006】
しかしながら、前記暖房装置では、実際の気温が使用者の想定した気温よりも高い場合や低い場合は、住宅内の温度が適切な温度範囲を逸脱し、また、消費エネルギーが増大してしまう等の欠点がある。また、後から作動温度や作動時間帯の設定値を変更しても、前述したように、それが躯体内の温度に反映されるまでに長時間を要するので、対応することが困難である。
【0007】
例えば、気温が高い場合は、本来は、設定値よりも短い作動時間が適正な作動時間であるにもかかわらず、それよりも長い時間作動し、または、本来は、設定値よりも低い作動温度が適正な作動温度であるにもかかわらず、それよりも高い作動温度で加熱が行われるので、エネルギーが無駄になってしまうとともに、住人は、熱さ(不快感)を感じてしまうこともある。
【0008】
逆に、気温が低い場合は、本来は、設定値よりも長い作動時間が適正な作動時間であるにもかかわらず、それよりも短い時間作動し、または、本来は、設定値よりも高い作動温度が適正な作動温度であるにもかかわらず、それよりも低い作動温度で加熱が行われるので、十分な温度に暖めることができず、これにより、住人は、寒さを感じてしまう。
【0009】
【特許文献1】特開2003−42463号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、消費エネルギーを減少しつつ、暖かく、快適な環境を維持し得る躯体内暖房システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような目的は、下記(1)〜(13)の本発明により達成される。
(1) 建築物をその躯体内から暖める躯体内暖房システムであって、
前記躯体内に設けられた放熱部を有する暖房装置と、
通信回線を介して、気象情報から前記建築物が設置されている地域の1日の最低気温の予報の情報を取得する最低気温情報取得手段と、
前記暖房装置の作動温度および作動時間を入力する入力手段と、
前記暖房装置の作動温度および作動時間を前記入力手段により入力された値に設定する設定手段と、
前記最低気温情報取得手段により取得した前記最低気温の予報の情報に基づいて、前記設定手段により設定された前記暖房装置の作動温度および/または作動時間を補正する補正手段と、
前記暖房装置の作動を制御する暖房制御手段とを備え、
前記暖房制御手段は、前記設定手段により設定された値または前記補正手段により補正された値で前記暖房装置の作動を制御し、暖房を行なうよう構成されていることを特徴とする躯体内暖房システム。
【0012】
(2) 前記補正手段は、前記最低気温の予報が所定範囲内の値の場合は、前記補正を行わず、前記設定手段により設定された前記暖房装置の作動温度および作動時間を維持する上記(1)に記載の躯体内暖房システム。
【0013】
(3) 前記補正手段は、前記最低気温の予報が前記所定範囲の上限値より高い場合は、前記設定手段により設定された前記暖房装置の作動時間を、該作動時間よりも短い時間に補正し、前記最低気温の予報が前記所定範囲の下限値より低い場合は、前記設定手段により設定された前記暖房装置の作動時間を、該作動時間よりも長い時間に補正する上記(1)または(2)に記載の躯体内暖房システム。
【0014】
(4) 前記補正手段は、前記最低気温の予報が前記所定範囲の上限値より高い場合は、前記設定手段により設定された前記暖房装置の作動温度を、該作動温度よりも低い温度に補正し、前記最低気温の予報が前記所定範囲の下限値より低い場合は、前記設定手段により設定された前記暖房装置の作動温度を、該作動温度よりも高い温度に補正する上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の躯体内暖房システム。
【0015】
(5) 前記補正手段は、前記最低気温の予報が第1のしきい値より高い場合は、前記設定手段により設定された前記暖房装置の作動時間を0に補正し、これにより前記暖房装置は1日中作動しない上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の躯体内暖房システム。
【0016】
(6) 前記補正手段は、前記最低気温の予報が第2のしきい値より低い場合は、前記設定手段により設定された前記暖房装置の作動時間を24時間に補正し、これにより前記暖房装置は1日中作動する上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の躯体内暖房システム。
【0017】
(7) 前記暖房装置の作動前に、前記最低気温の予報の情報を取得し、前記補正を行うよう構成されている上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の躯体内暖房システム。
【0018】
(8) 通信回線を介して、気象情報から前記建築物が設置されている地域の天気の予報の情報を取得する天気情報取得手段を有し、
前記補正手段は、前記天気情報取得手段により取得した前記天気の予報の情報と、前記最低気温情報取得手段により取得した前記最低気温の予報の情報とに基づいて、前記設定手段により設定された前記暖房装置の作動温度および/または作動時間を補正するよう構成されている上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の躯体内暖房システム。
【0019】
(9) 前記補正手段は、前記天気の予報が曇りの場合に比べて晴れの場合の前記暖房装置の作動時間を短くし、前記天気の予報が曇りの場合に比べて雨の場合と雪の場合との前記暖房装置の作動時間をそれぞれ長くする上記(8)に記載の躯体内暖房システム。
【0020】
(10) 前記補正手段は、前記天気の予報が曇りの場合に比べて晴れの場合の前記暖房装置の作動温度を低くし、前記天気の予報が曇りの場合に比べて雨の場合と雪の場合との前記暖房装置の作動温度をそれぞれ高くする上記(8)に記載の躯体内暖房システム。
【0021】
(11) 前記天気情報取得手段は、前記建築物が設置されている地域の気温が前記最低気温に到達するときの前記天気の予報の情報を取得し、前記補正手段は、該天気の予報の情報を用いて前記補正を行う上記(8)ないし(10)のいずれかに記載の躯体内暖房システム。
【0022】
(12) 前記暖房装置の作動前に、前記天気の予報の情報および前記最低気温の予報の情報を取得し、前記補正を行うよう構成されている上記(8)ないし(11)のいずれかに記載の躯体内暖房システム。
【0023】
(13) 前記放熱部は、前記建築物の床下空間に設けられ、熱を蓄熱して放熱するコンクリートを有し、
前記暖房装置は、前記コンクリートを加熱する加熱手段を有し、
前記加熱手段により前記コンクリートが加熱され、前記コンクリートに蓄熱され、前記コンクリートから放熱されるよう構成されている上記(1)ないし(12)のいずれかに記載の躯体内暖房システム。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、設定手段により設定された暖房装置の作動温度や作動時間(例えば、作動時間帯)を、建築物が設置されている地域の1日の最低気温の予報の情報に基づいて補正する補正手段を有しているので、作動時から暖房の効果が十分に表れるまでのタイムラグが比較的大きい暖房装置を用いても、消費エネルギーを減少しつつ、暖かく、快適な環境を作り、それを維持することができる。
【0025】
すなわち、使用者は、例えば、最低気温等の気温を想定(予想)して、建築物内の温度が適切な温度となるように、暖房装置の作動温度および作動時間を入力するが、実際の最低気温が、使用者の想定した値からずれていたとしても、事前に、自動的に、最低気温の予報の情報を取得し、その情報に基づいて、暖房装置の作動温度や作動時間が補正されるので、建築物内を必要かつ十分な温度に暖めることができ、その快適な環境を維持することができ、また、必要以上のエネルギーが消費されてしまうのを防止することができる。
【0026】
また、暖房装置の作動温度や作動時間の設定値が自動的に補正されるので、使用者は、基本的には、その設定値を変更する操作を行う必要がなく、手間がかからないという利点を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の躯体内暖房システムを添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0028】
<第1実施形態>
図1は、本発明の躯体内暖房システムの第1実施形態が適用された建築物としての住宅の概略構造を示す断面図、図2は、図1に示す躯体内暖房システムのブロック図、図3は、図1に示す躯体内暖房システムの暖房装置のブロック図、図4は、図1に示す躯体内暖房システムの制御装置の制御動作の構成例を示す図(表)である。
【0029】
なお、説明の都合上、図1において、上側を「上」、下側を「下」、左側を「左」、右側を「右」として説明する。
【0030】
図1に示すように、住宅(建築物)10は、2階建てであり、室31、32および33、図示しない玄関、図示しない廊下等を画成する躯体20を有している。なお、室31〜33は、それぞれ、居間や寝室に限らず、この他、例えば、キッチン、浴室、トイレ等、種々の居住空間であってよい。
【0031】
躯体20は、屋根部(屋根)21と、外壁部22と、基台部24と、屋根部21、外壁部22および基台部24の内面に積層された断熱材23と、室31を画成する内壁部251、天井252および床253と、室32を画成する内壁部261、天井262および床263と、室33を画成する内壁部271、天井272および床273とを有している。また、躯体20の内部には、躯体内空間40が形成されている。
【0032】
この躯体内空間40は、小屋空間41、床下空間42、ふところ空間43、および内壁空間(内壁空洞)44、45、46で構成されている。すなわち、躯体内空間40は、小屋空間41、床下空間42、ふところ空間43、および内壁空間44、45、46が連通して形成される一続きの空間(連通空間)である。
【0033】
小屋空間41は、屋根の下方に形成される空間、すなわち、屋根部21と、室31の天井252の上部および室33の天井272の上部との間に形成される空間である。
【0034】
また、床下空間42は、基台部24と、室32の床263の下部および室33の床273の下部との間に形成される空間である。
【0035】
また、ふところ空間43は、隣接する上下の階の間(本実施形態では、1階と2階の間)に形成される空間、すなわち、室31の床253の下部と室32の天井262の上部との間に形成される空間である。
【0036】
また、内壁空間(内壁空洞)44は、外壁部(側壁)22と、内壁部251、261との間に上下方向に沿って形成される空間、また、内壁空間45は、内壁部251、261と、内壁部271との間に上下方向に沿って形成される空間、また、内壁空間46は、外壁部22と、内壁部271との間に上下方向に沿って形成される空間である。
【0037】
また、住宅10には、住宅10の外部と躯体20内(躯体内空間40)とを連通する少なくとも1つの連通口(連通部)を有し、その連通口を開閉し、躯体20内を換気する換気状態と躯体20内を換気しない非換気状態とに切り換わる換気手段として、第1の換気部51と、2つの第2の換気部52、53とが設けられている。
【0038】
第1の換気部51は、屋根部21の右側の頂上部(中央部)に形成され、住宅10の外部と小屋空間41とを連通する第1の連通口(第1の連通部)511と、第1の連通口511を開閉する図示しない第1のシャッタ(第1の開閉部)と、第1のシャッタを駆動する図示しない第1の駆動機構とで構成されている。この第1の換気部51は、第1の駆動機構により第1のシャッタを駆動し、第1の連通口511を開閉して、躯体20内を換気するようになっている。
【0039】
また、一方の第2の換気部52は、左側の外壁部22の下部に形成され、住宅10の外部と床下空間42とを連通する第2の連通口(第2の連通部)521と、第2の連通口521を開閉する図示しない第2のシャッタ(第2の開閉部)と、第2のシャッタを駆動する図示しない第2の駆動機構とで構成されている。この第2の換気部52は、第2の駆動機構により第2のシャッタを駆動し、第2の連通口521を開閉して、躯体20内を換気するようになっている。
【0040】
また、他方の第2の換気部53は、右側の外壁部22の下部に形成され、住宅10の外部と床下空間42とを連通する第2の連通口(第2の連通部)531と、第2の連通口531を開閉する図示しない第2のシャッタ(第2の開閉部)と、第2のシャッタを駆動する図示しない第2の駆動機構とで構成されている。この第2の換気部53は、第2の駆動機構により第2のシャッタを駆動し、第2の連通口531を開閉して、躯体20内を換気するようになっている。
【0041】
これら第1の連通口511および第2の連通口521、531の開閉は、それぞれ、いかなるように行うようになっていてもよいが、その具体例としては、例えば、夏においては、原則として、第1の連通口511および第2の連通口521、531をそれぞれ開いた状態とし、冬においては、原則として、第1の連通口511および第2の連通口521、531をそれぞれ閉じた状態とする。
【0042】
なお、各換気部51〜53には、それぞれ、例えば、ファン等の送気装置が設けられていてもよい。
【0043】
この住宅10には、住宅10を躯体20内から暖める躯体内暖房システム1が設けられている。図1〜図3に示すように、躯体内暖房システム1は、暖房装置9を有している。
【0044】
暖房装置9は、本実施形態では、蓄熱方式でかつ貯湯方式の装置であり、住宅10の床下空間42に設けられ、熱を蓄熱して放熱する蓄熱・放熱部であるコンクリート(放熱部)91と、コンクリート91内に埋設され、熱媒体として温水(湯)が流れる管体92と、図示しない供給部から供給された水(熱媒体)や温水を加熱する加熱部93と、温水を送液する送液部94と、住宅の外部に設置され、温水を貯留する貯留部95とを有している。管体92の一端側(上流側)は、コンクリート91から外部に延出し、貯留部95の流出口に接続され、また、他端側(下流側)は、コンクリート91から外部に延出し、貯留部95の流入口に接続されている。
【0045】
管体92の構成材料としては、その内部(内腔)を流れる温水に対して耐熱性を有するものであれば特に限定されず、例えば、各種樹脂材料、各種金属材料等を用いることができる。
【0046】
また、加熱部93としては、例えば、ガスボイラー、灯油ボイラー等のボイラー、電熱ヒータ等のヒータ、電気温水器、太陽熱温水器等の温水器、ヒートポンプ等が挙げられる。
【0047】
また、加熱部93のエネルギーとして電力(電気エネルギー)を用いる場合は、深夜電力(例えば、23時〜6時、または23時〜7時)を使用するのが好ましい。この場合、暖房装置9は、貯留部95を有しているので、深夜電力を使用して、事前に、その貯留部95に、十分な量の温水を貯留することができる。
【0048】
また、加熱部93のエネルギーとして電力を用いる場合、その電力を、例えば、屋根部21等に設置されたソーラーパネル(太陽電池)と、ソーラーパネルを介して得られた電力を蓄積(充電)する2次電池(充電部)とを有するソーラーシステムや、風力発電装置と、風力発電装置により得られた電力を蓄積する2次電池とを有する風力発電システムや、燃料電池等を用いて供給することもできる。ソーラーシステムを用いる場合、暖房装置9は、貯留部95を有しているので、太陽が出ているときに、その貯留部95に、十分な量の温水を貯留することができる。同様に、風力発電システムを用いる場合、暖房装置9は、貯留部95を有しているので、風が吹いているときに、その貯留部95に、十分な量の温水を貯留することができる。
【0049】
また、貯留部95は、断熱構造を有しており、貯留されている温水の温度を維持し得るように構成されている。
【0050】
供給部から供給された水は、加熱部93で、所定の温度になるように加熱され、一旦、貯留部95に貯留される。貯留部95に貯留された温水は、送液部94の作動により、管体92内を流れ、その際、コンクリート91が加熱され、これにより、コンクリート91に熱が蓄熱される。そして、コンクリート91に十分に熱が蓄熱され、そのコンクリート91から熱が放熱されると、床下空間42、すなわち躯体内空間40を介して、各室31〜33等の住宅10内が暖められる。
【0051】
また、コンクリート91を加熱した後の温度の低下した温水は、加熱部93で、所定の温度になるように加熱され、貯留部95に貯留され、再び、コンクリート91の加熱に用いられる。
【0052】
また、暖房装置9が停止した後も、コンクリート91に十分に熱が蓄熱されているので、所定期間は、そのコンクリート91から熱が放熱され、各室31〜33等の住宅10内が暖められる。
【0053】
なお、前記管体92、加熱部93、送液部94、貯留部95および温水により、コンクリート91を加熱する加熱手段が構成される。この加熱手段としては、具体的には、例えば、エコキュート等を用いることができる。
【0054】
また、図2に示すように、躯体内暖房システム1は、通信回線としてインターネット(インターネット回線)12に接続され、そのインターネット12を介して、気象情報から住宅10が設置されている地域の1日の最低気温の予報の情報および住宅10が設置されている地域の天気(晴れ、曇り、雨、雪や、降水確率等)の予報の情報等の各種の情報を取得する制御装置(制御手段)6と、各種の情報を表示(報知)する表示部(報知手段)71と、入力等の各操作を行う操作部(入力手段)72とを有している。
【0055】
制御装置6は、例えば、マイクロコンピュータやパーソナルコンピュータ等で構成され、CPU61、メモリ(記憶手段)62および図示しない通信部(通信手段)等を有している。メモリ62には、例えば、後述する補正に用いられ、実験的に求められたテーブルや演算式等の検量線等、各種の情報、データ、プログラム等が記憶(記録)されている。また、メモリ62における書き込み(記憶)、書き換え、消去、読み出し等の制御は、CPU61によりなされる。
【0056】
この制御装置6は、例えば、各換気部51〜53、加熱部93、送液部94および表示部71等、躯体内暖房システム1全体の作動(駆動)を制御する。なお、制御装置6により、最低気温情報取得手段と、天気情報取得手段と、設定手段と、補正手段と、暖房制御手段との主機能が、それぞれ達成(構成)される。
【0057】
また、制御装置6には、インターネット12および操作部72からの信号(情報)が、それぞれ、随時入力される。
【0058】
操作部72から制御装置6には、例えば、暖房装置9の作動温度(供給温度)と、作動時間(運転時間)として作動時間帯(運転時間帯)とを、それぞれ入力し得るようになっており、制御装置6は、操作部72から作動温度が入力されると、その温度(値)を作動温度の設定値としてメモリ62に記憶し、また、操作部72から作動時間帯が入力されると、その時間帯(値)を作動時間帯の設定値としてメモリ62に記憶する。すなわち、制御装置6は、暖房装置9の作動温度および作動時間帯をそれぞれ操作部72により入力された値に設定する。なお、前記メモリ62に記憶された作動温度の設定値および作動時間帯の設定値は、それぞれ、再び、操作部72から作動温度および作動時間帯が入力されると、更新されるが、それまでは、後述する補正の有無にかかわらず、保持されている。
【0059】
ここで、前記暖房装置9の作動温度は、本実施形態では、加熱部93の加熱温度、すなわち、加熱部93によって加熱された温水の温度である。
【0060】
また、制御装置6は、インターネット12を介して、気象情報から住宅10が設置されている地域の1日の最低気温の予報の情報および住宅10が設置されている地域の天気の予報の情報等の各種の情報を取り込み、その情報をメモリ62に記憶する。
【0061】
表示部71としては、例えば、液晶パネルを備えた液晶表示装置、ELパネルを備えたEL表示装置、CRT等、電子画像を表示する各種ディスプレイ等を用いることができる。
【0062】
なお、表示部71と操作部72とは、別々に設けられていてもよく、また、例えば、タッチパネル等を用いることで、そのタッチパネルが表示部71と操作部72とを兼ねるようになっていてもよい。
【0063】
さて、この躯体内暖房システム1は、制御装置6の制御により、暖房装置9の作動を制御し、住宅10を躯体20内から暖める(暖房を行う)よう構成されている。
【0064】
また、躯体内暖房システム1は、作動モードとして、暖房装置9の作動温度(供給温度)と、作動時間帯(作動時間)とのいずれか一方または両方(本実施形態では、作動時間帯のみ)を補正する補正モードと、前記補正を行わない通常モード(非補正モード)とを有している。居住者(使用者)は、操作部72を操作して、補正モードと、通常モードとのいずれか一方を選択することができ、制御装置6は、その入力信号に応じて、対応するモードに設定する。
【0065】
通常モードに設定されている場合は、制御装置6は、設定された暖房装置9の作動温度および作動時間のいずれの補正も行わず、その設定値で、暖房装置9の作動を制御し、前述のように暖房を行なう。
【0066】
一方、補正モードに設定されている場合は、制御装置6は、インターネット12を介して、気象情報から住宅10が設置されている地域の1日の最低気温の予報の情報および天気の予報の情報を取得し、これら両方の情報に基づいて、設定された暖房装置9の作動温度と、作動時間帯(作動時間)とのいずれか一方または両方(本実施形態では、作動時間帯のみ)を補正し、その補正された値で、暖房装置9の作動を制御し、前述のように暖房を行なう。この場合、暖房装置9の作動前に、前記最低気温の予報の情報および前記天気の予報の情報を取得し、前記補正を行うのが好ましい。
【0067】
なお、以下の説明では、設定された暖房装置9の作動温度を、「作動温度の設定値」とも言い、設定された暖房装置9の作動時間帯(作動時間)を、「作動時間帯(作動時間)の設定値」とも言う。また、インターネット12を介して気象情報から取得した住宅10が設置されている地域の1日の最低気温の予報の情報を、「最低気温の予報」とも言い、インターネット12を介して気象情報から取得した住宅10が設置されている地域の天気の予報の情報を、「天気の予報」とも言う。
【0068】
ここで、本実施形態では、前記制御装置6が取得する天気の予報は、住宅10が設置されている地域の気温が前記最低気温に到達するときの天気の予報とするが、これに限定されないことは、言うまでもない。
【0069】
また、前記天気の予報は、降水確率の予報で代替することもできる。この場合、例えば、降水確率の予報が10%未満の場合は、「晴れ」、降水確率の予報が10〜50%の場合が、「曇り」、降水確率の予報が50%超の場合が、「雨」または「雪」とする。
【0070】
以下、補正モードについて、説明する。
まず、本実施形態では、前提として、住人(使用者)は、住宅10が設置されている地域の1日の最低気温を「AMIN〜AMAX」と想定(予想)し、この情報は、操作部72から制御装置6に入力され、メモリ62に記憶されているものとする。
【0071】
補正モードにおいては、最低気温の予報が所定範囲内(この所定範囲は、前記AMIN〜AMAXとする)の値の場合は、住人の想定通りであり、原則として、補正を行わず、暖房装置9の作動温度の設定値および作動時間帯(作動時間)の設定値を維持する。
【0072】
また、最低気温の予報が所定範囲の上限値(AMAX)より高い場合は、暖房装置9の作動時間の設定値を、その設定値よりも短い時間に補正し、最低気温の予報が所定範囲の下限値(AMIN)より低い場合は、暖房装置9の作動時間の設定値を、その設定値よりも長い時間に補正する。これにより、消費エネルギーを減少しつつ、暖かく、快適な環境が作られる。
【0073】
また、最低気温の予報が第1のしきい値より高い場合は、暖房装置9の作動時間の設定値を0に補正し、暖房装置9を1日中(24時間)作動させない。前記第1のしきい値は、暖房が必要な場合と不要な場合との境界の温度であり、予め、実験的に求められ、メモリ62に記憶されている。これにより、消費エネルギーを減少しつつ、暖かく、快適な環境が作られる。
【0074】
また、最低気温の予報が第2のしきい値より低い場合は、暖房装置9の作動時間の設定値を24時間に補正し、暖房装置9を1日中(24時間)作動させる。前記第2のしきい値は、予め、実験的に求められ、メモリ62に記憶されている。
【0075】
また、天気の予報が曇りの場合に比べて晴れの場合の暖房装置9の作動時間を短くし、天気の予報が曇りの場合に比べて雨の場合と雪の場合との暖房装置9の作動時間をそれぞれ長くする。これは、晴れの場合は、曇りの場合に比べて、暖かく感じ、雨および雪の場合は、それぞれ、曇りの場合に比べて、寒く感じるので、その精神的な要因を考慮したものである。これにより、より快適な環境を作ることができる。
【0076】
以下、図4に基づいて、具体的な構成例を説明する。
この構成例は、躯体内暖房システム1の作動モードが補正モードに設定されている場合で、住人は、最低気温を3〜6℃(AMIN=3℃、AMAX=6℃)、天気を曇りと想定(予想)し、住宅10の各室31〜33内の温度を20〜22℃に予定して、暖房装置9の作動時間帯を5時〜9時、16時〜21時(9時間)に設定し、暖房装置9の作動温度(管体92に流す温水の温度)を70℃に設定する場合のものである。
【0077】
まず、住人は、躯体内暖房システム1の操作部72を操作し、想定した条件として、最低気温を「3〜6℃」、天気を「曇り」と入力し、さらに、暖房装置9の設定値として、作動時間帯を「5時〜9時、16時〜21時(9時間)」、作動温度を「70℃」と入力する。これにより、前記各データは、それぞれ、制御装置6のメモリ62に記憶され、暖房装置9の作動温度は、「70℃」に設定され、作動時間帯は、「5時〜9時、16時〜21時(9時間)」に設定される。
【0078】
制御装置6は、まず、インターネット12を介して、気象情報から住宅10が設置されている地域の1日の最低気温の予報の情報および天気の予報の情報を取得し、その情報をメモリ62に記憶する。
【0079】
そして、図4に示すように、最低気温の予報が、想定した値である「3〜6℃」の範囲(所定範囲)内の値で、天気の予報が、想定した天気である「曇り」であれば、補正を行わず、暖房装置9の作動温度の設定値「70℃」および作動時間帯の設定値「5時〜9時、16時〜21時(9時間)」を維持する。
【0080】
また、最低気温の予報が、「3〜6℃」で、天気の予報が、「晴れ」であれば、暖房装置9の作動時間帯の設定値を「7時間」に補正する。なお、どの時間帯を削減するかは、特に限定されず、ここでは、その説明は、省略する(下記の説明でも同様)。また、暖房装置9の作動温度の設定値「70℃」は、そのまま維持する(下記の説明でも同様であるが、この記載は、省略する)。
【0081】
また、最低気温の予報が、「3〜6℃」で、天気の予報が、「雨」または「雪」であれば、暖房装置9の作動時間帯の設定値を「11時間」に補正する。なお、どの時間帯を増加するかは、特に限定されず、ここでは、その説明は、省略する(下記の説明でも同様)。
【0082】
また、最低気温の予報が、「6℃超、9℃以下」で、天気の予報が、「曇り」であれば、作動時間帯の設定値を「7時間」に補正し、「晴れ」であれば、作動時間帯の設定値を「6時間」に補正し、「雨」または「雪」であれば、「9時間」に補正する。なお、前記「雨」または「雪」の場合は、最低気温の予報に基づく補正と、天気の予報に基づく補正とが相殺されて、実質的には、補正されない。
【0083】
また、最低気温の予報が、「9℃超、12℃以下」で、天気の予報が、「曇り」であれば、作動時間帯の設定値を「4時間」に補正し、「晴れ」であれば、作動時間帯の設定値を「3時間」に補正し、「雨」または「雪」であれば、「6時間」に補正する。
【0084】
また、最低気温の予報が、「12℃(第1のしきい値)超」の場合は、天気の予報にかかわらず、作動時間帯の設定値を「0時間」に補正し、暖房装置9を1日中(24時間)作動させない。
【0085】
また、最低気温の予報が、「0℃以上、3℃未満」で、天気の予報が、「曇り」であれば、作動時間帯の設定値を「11時間」に補正し、「晴れ」であれば、作動時間帯の設定値を「9時間」に補正し、「雨」または「雪」であれば、「13時間」に補正する。なお、前記「晴れ」の場合は、最低気温の予報に基づく補正と、天気の予報に基づく補正とが相殺されて、実質的には、補正されない。
【0086】
また、最低気温の予報が、「−3℃以上、0℃未満」で、天気の予報が、「曇り」であれば、作動時間帯の設定値を「15時間」に補正し、「晴れ」であれば、作動時間帯の設定値を「13時間」に補正し、「雨」または「雪」であれば、「18時間」に補正する。
【0087】
また、最低気温の予報が、「−6℃以上、−3℃未満」で、天気の予報が、「曇り」であれば、作動時間帯の設定値を「18時間」に補正し、「晴れ」であれば、作動時間帯の設定値を「16時間」に補正し、「雨」または「雪」であれば、「21時間」に補正する。
【0088】
また、最低気温の予報が、「−6℃以上、−3℃未満」で、天気の予報が、「曇り」であれば、作動時間帯の設定値を「18時間」に補正し、「晴れ」であれば、作動時間帯の設定値を「16時間」に補正し、「雨」または「雪」であれば、「21時間」に補正する。
【0089】
また、最低気温の予報が、「−10℃以上、−6℃未満」で、天気の予報が、「曇り」であれば、作動時間帯の設定値を「20時間」に補正し、「晴れ」であれば、作動時間帯の設定値を「18時間」に補正し、「雨」または「雪」であれば、「22時間」に補正する。
【0090】
また、最低気温の予報が、「−10℃(第2のしきい値)未満」の場合は、天気の予報にかかわらず、作動時間帯の設定値を24時間に補正し、暖房装置9を1日中(24時間)作動させる。
【0091】
以上説明したように、この躯体内暖房システム1によれば、事前に、自動的に、暖房装置9の作動時間帯(作動時間)の設定値が補正されるので、作動時から暖房の効果が十分に表れるまでのタイムラグが比較的大きい暖房装置9を用いても、住宅10内を必要かつ十分な温度に暖めることができ、その快適な環境を維持することができ、また、必要以上のエネルギーが消費されてしまうのを防止することができる。
【0092】
また、暖房装置9の作動時間の設定値が自動的に補正されるので、住人は、基本的には、暖房装置9の作動温度や作動時間の設定値を変更する操作を行う必要がなく、手間がかからないという利点を有する。
【0093】
また、最低気温の予報が12℃(第1のしきい値)より高い場合は、暖房装置9は1日中作動しないので、電源スイッチをオンにしておいてもエネルギーの損失はなく、このため、電源スイッチをオンにしておけば、例えば、季節の変わり目や本来は暖かい時期(例えば、5月や6月、10月等)に、急に寒くなったときは、暖房装置9が作動し、これにより、暖かく、快適な環境を得ることができる。
【0094】
ここで、本実施形態では、制御装置6が、インターネット12を介して住宅10が設置されている地域の1日の最低気温および天気の予報の情報を取得し、これら両方の情報に基づいて、暖房装置9の作動時間帯(作動時間)の設定値を補正するように構成されているが、本発明では、これに限らず、制御装置6が、インターネット12を介して住宅10が設置されている地域の1日の最低気温の予告の情報および天気の予報の情報を取得し、これら両方の情報に基づいて、暖房装置9の作動温度の設定値を補正するように構成されていてもよく、また、暖房装置9の作動温度の設定値および作動時間帯(作動時間)の設定値を補正するように構成されていてもよい。
【0095】
天気の予報に基づいて暖房装置9の作動温度の設定値を補正する場合の具体例としては、例えば、天気の予報が曇りの場合に比べて晴れの場合の暖房装置9の作動温度を低くし、天気の予報が曇りの場合に比べて雨の場合と雪の場合との暖房装置9の作動温度をそれぞれ高くするように構成する。これは、晴れの場合は、曇りの場合に比べて、暖かく感じ、雨および雪の場合は、それぞれ、曇りの場合に比べて、寒く感じるので、その精神的な要因を考慮したものである。
【0096】
また、制御装置6が、インターネット12を介して住宅10が設置されている地域の1日の最低気温の予告の情報を取得し、この情報に基づいて、暖房装置9の作動時間帯(作動時間)の設定値を補正するように構成されていてもよく、また、暖房装置9の作動温度の設定値を補正するように構成されていてもよく、また、暖房装置9の作動温度の設定値および作動時間帯(作動時間)の設定値を補正するように構成されていてもよい。この場合は、天気の予報を考慮しないので、最低気温の予報が所定範囲内の値の場合は、補正は行われず、暖房装置9の作動温度の設定値および作動時間帯(作動時間)の設定値が維持される。
【0097】
また、本発明では、制御装置6がインターネット12を介して取得する情報としては、前記住宅10が設置されている地域の1日の最低気温の予告の情報および天気の予報の情報に限らず、この他、例えば、住宅10が設置されている地域の所定時間(例えば、1時間)毎の気温、1日の最高気温、風速(例えば、強風、弱風、無風や、数値等)等の予報の情報が挙げられる。そして、本発明では、さらに、これらのうちのいずれか1つまたは複数の情報を含め、それらの情報に基づいて、暖房装置9の作動時間帯(作動時間)の設定値を補正するように構成されていてもよく、また、暖房装置9の作動温度の設定値を補正するように構成されていてもよく、また、暖房装置9の作動温度の設定値および作動時間帯(作動時間)の設定値を補正するように構成されていてもよい。
【0098】
また、本発明において用いる通信回線としては、インターネットに限らず、例えば、他の方式のオープンネットワーク(公開された通信網)や専用ネットワーク等の各種のネットワーク、ケーブルテレビ、双方向テレビ等が挙げられる。
【0099】
<第2実施形態>
図5は、本発明の躯体内暖房システムの第2実施形態における制御装置の制御動作の構成例を示す図(表)である。
【0100】
以下、本発明の躯体内暖房システムの第2実施形態について説明するが、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0101】
第2実施形態の躯体内暖房システム1では、制御装置6は、補正モードにおいて、最低気温の予報が所定範囲(AMAX〜AMIN)の上限値(AMAX)より高い場合は、暖房装置9の作動温度の設定値を、その設定値よりも低い温度に補正し、最低気温の予報が所定範囲の下限値(AMIN)より低い場合は、暖房装置9の作動温度の設定値を、その設定値よりも高い温度に補正するよう構成されている。これにより、消費エネルギーを減少しつつ、暖かく、快適な環境が作られる。
【0102】
以下、図5に基づいて、具体的な構成例を説明する。
図5に示すように、この構成例では、最低気温の予報が、想定した値である「3〜6℃」の範囲(所定範囲)内の値で、天気の予報が、想定した天気である「曇り」であれば、補正を行わず、暖房装置9の作動温度の設定値「70℃」および作動時間帯の設定値「5時〜9時、16時〜21時(9時間)」を維持する。
【0103】
また、最低気温の予報が、「3〜6℃」で、天気の予報が、「晴れ」であれば、暖房装置9の作動時間帯の設定値を「7時間」に補正する。なお、どの時間帯を削減するかは、特に限定されず、ここでは、その説明は、省略する(下記の説明でも同様)。また、暖房装置9の作動温度の設定値「70℃」は、そのまま維持する。
【0104】
また、最低気温の予報が、「3〜6℃」で、天気の予報が、「雨」または「雪」であれば、暖房装置9の作動時間帯の設定値を「11時間」に補正する。なお、どの時間帯を増加するかは、特に限定されず、ここでは、その説明は、省略する(下記の説明でも同様)。また、暖房装置9の作動温度の設定値「70℃」は、そのまま維持する。
【0105】
また、最低気温の予報が、「6℃超、9℃以下」の場合は、作動温度の設定値を「60℃」に補正し、天気の予報が、「曇り」であれば、作動時間帯の設定値「9時間」をそのまま維持し、「晴れ」であれば、作動時間帯の設定値を「7時間」に補正し、「雨」または「雪」であれば、作動時間帯の設定値を「11時間」に補正する。
【0106】
また、最低気温の予報が、「9℃超、12℃以下」の場合は、作動温度の設定値を「50℃」に補正し、天気の予報が、「曇り」であれば、作動時間帯の設定値「9時間」をそのまま維持し、「晴れ」であれば、作動時間帯の設定値を「7時間」に補正し、「雨」または「雪」であれば、作動時間帯の設定値を「11時間」に補正する。
【0107】
また、最低気温の予報が、「12℃(第1のしきい値)超」の場合は、天気の予報にかかわらず、作動時間帯の設定値を「0時間」に補正し、暖房装置9を1日中(24時間)作動させない。
【0108】
また、最低気温の予報が、「0℃以上、3℃未満」の場合は、作動温度の設定値を「80℃」に補正し、天気の予報が、「曇り」であれば、作動時間帯の設定値「9時間」をそのまま維持し、「晴れ」であれば、作動時間帯の設定値を「7時間」に補正し、「雨」または「雪」であれば、作動時間帯の設定値を「11時間」に補正する。
【0109】
また、最低気温の予報が、「−3℃以上、0℃未満」の場合は、作動温度の設定値を「80℃」に補正し、天気の予報が、「曇り」であれば、作動時間帯の設定値を「12時間」に補正し、「晴れ」であれば、作動時間帯の設定値を「10時間」に補正し、「雨」または「雪」であれば、作動時間帯の設定値を「14時間」に補正する。
【0110】
また、最低気温の予報が、「−6℃以上、−3℃未満」の場合は、作動温度の設定値を「80℃」に補正し、天気の予報が、「曇り」であれば、作動時間帯の設定値を「15時間」に補正し、「晴れ」であれば、作動時間帯の設定値を「14時間」に補正し、「雨」または「雪」であれば、作動時間帯の設定値を「18時間」に補正する。
【0111】
また、最低気温の予報が、「−10℃以上、−6℃未満」の場合は、作動温度の設定値を「80℃」に補正し、天気の予報が、「曇り」であれば、作動時間帯の設定値を「18時間」に補正し、「晴れ」であれば、作動時間帯の設定値を「16時間」に補正し、「雨」または「雪」であれば、作動時間帯の設定値を「20時間」に補正する。
【0112】
また、最低気温の予報が、「−10℃(第2のしきい値)未満」の場合は、天気の予報にかかわらず、作動温度の設定値を「80℃」に補正し、作動時間帯の設定値を24時間に補正し、暖房装置9を1日中(24時間)作動させる。
【0113】
この躯体内暖房システム1によれば、事前に、自動的に、暖房装置9の作動温度の設定値および作動時間帯(作動時間)が補正されるので、前述した第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0114】
以上、本発明の躯体内暖房システムを、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。
【0115】
また、本発明は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【0116】
また、前記実施形態における住宅(建築物)は、躯体内空間が連通している形態の住宅であるが、本発明では、これに限らず、例えば、床下空間が独立しているものでもよく、また、床下空間の全体に、例えば、コンクリートが充填されており、床下空間がなく、そのコンクリート(土間)が床として機能するものや、そのコンクリートの表面に床が設けられているものでもよい。
【0117】
また、本発明の躯体内暖房システムが適用される住宅(建築物)は、2階建てに限らず、例えば、1階建て、または、3階建て以上であってもよい。また、例えば、地下室が設けられていてもよい。
【0118】
また、本発明の躯体内暖房システムが設置される建築物としては、住宅に限定されず、例えば、駅やビル等の公共の施設等が挙げられる。
【0119】
また、本発明では、暖房装置(暖房)の方式は、躯体内に放熱部を有するものであれば、特に限定されず、蓄熱方式の装置の場合、例えば、貯留部のないものであってもよく、また、温水が流れてコンクリートを加熱するものではなく、コンクリートに、例えば、放熱器、ヒータ等が埋設されており、それにより、直接コンクリートを加熱するものであってもよい。また、暖房装置は、蓄熱方式の装置に限らず、この他、例えば、床下空間、ふところ空間等の躯体内空間に、例えば、放熱器、ヒータ等を設置してなる設置方式(速暖方式)の装置や、蓄熱方式と設置方式とを組み合わせたもの等であってもよい。蓄熱方式と設置方式とを組み合わせる場合は、例えば、蓄熱方式の装置を主暖房として用い、設置方式の装置を補助暖房として用いるのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】本発明の躯体内暖房システムの第1実施形態が適用された建築物としての住宅の概略構造を示す断面図である。
【図2】図1に示す躯体内暖房システムのブロック図である。
【図3】図1に示す躯体内暖房システムの暖房装置のブロック図である。
【図4】図1に示す躯体内暖房システムの制御装置の制御動の構成例を示す図(表)である。
【図5】本発明の躯体内暖房システムの第2実施形態における制御装置の制御動作の構成例を示す図(表)である。
【符号の説明】
【0121】
1 躯体内暖房システム
10 住宅
20 躯体
21 屋根部
22 外壁部
23 断熱材
24 基台部
251、261、271 内壁部
252、262、272 天井
253、263、273 床
31、32、33 室
40 躯体内空間
41 小屋空間
42 床下空間
43 ふところ空間
44、45、46 内壁空間
51 第1の換気部
511 第1の連通口
52、53 第2の換気部
521、531 第2の連通口
6 制御装置
61 CPU
62 メモリ
71 表示部
72 操作部
9 暖房装置
91 コンクリート
92 管体
93 加熱部
94 送液部
95 貯留部
12 インターネット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物をその躯体内から暖める躯体内暖房システムであって、
前記躯体内に設けられた放熱部を有する暖房装置と、
通信回線を介して、気象情報から前記建築物が設置されている地域の1日の最低気温の予報の情報を取得する最低気温情報取得手段と、
前記暖房装置の作動温度および作動時間を入力する入力手段と、
前記暖房装置の作動温度および作動時間を前記入力手段により入力された値に設定する設定手段と、
前記最低気温情報取得手段により取得した前記最低気温の予報の情報に基づいて、前記設定手段により設定された前記暖房装置の作動温度および/または作動時間を補正する補正手段と、
前記暖房装置の作動を制御する暖房制御手段とを備え、
前記暖房制御手段は、前記設定手段により設定された値または前記補正手段により補正された値で前記暖房装置の作動を制御し、暖房を行なうよう構成されていることを特徴とする躯体内暖房システム。
【請求項2】
前記補正手段は、前記最低気温の予報が所定範囲内の値の場合は、前記補正を行わず、前記設定手段により設定された前記暖房装置の作動温度および作動時間を維持する請求項1に記載の躯体内暖房システム。
【請求項3】
前記補正手段は、前記最低気温の予報が前記所定範囲の上限値より高い場合は、前記設定手段により設定された前記暖房装置の作動時間を、該作動時間よりも短い時間に補正し、前記最低気温の予報が前記所定範囲の下限値より低い場合は、前記設定手段により設定された前記暖房装置の作動時間を、該作動時間よりも長い時間に補正する請求項1または2に記載の躯体内暖房システム。
【請求項4】
前記補正手段は、前記最低気温の予報が前記所定範囲の上限値より高い場合は、前記設定手段により設定された前記暖房装置の作動温度を、該作動温度よりも低い温度に補正し、前記最低気温の予報が前記所定範囲の下限値より低い場合は、前記設定手段により設定された前記暖房装置の作動温度を、該作動温度よりも高い温度に補正する請求項1ないし3のいずれかに記載の躯体内暖房システム。
【請求項5】
前記補正手段は、前記最低気温の予報が第1のしきい値より高い場合は、前記設定手段により設定された前記暖房装置の作動時間を0に補正し、これにより前記暖房装置は1日中作動しない請求項1ないし4のいずれかに記載の躯体内暖房システム。
【請求項6】
前記補正手段は、前記最低気温の予報が第2のしきい値より低い場合は、前記設定手段により設定された前記暖房装置の作動時間を24時間に補正し、これにより前記暖房装置は1日中作動する請求項1ないし5のいずれかに記載の躯体内暖房システム。
【請求項7】
前記暖房装置の作動前に、前記最低気温の予報の情報を取得し、前記補正を行うよう構成されている請求項1ないし6のいずれかに記載の躯体内暖房システム。
【請求項8】
通信回線を介して、気象情報から前記建築物が設置されている地域の天気の予報の情報を取得する天気情報取得手段を有し、
前記補正手段は、前記天気情報取得手段により取得した前記天気の予報の情報と、前記最低気温情報取得手段により取得した前記最低気温の予報の情報とに基づいて、前記設定手段により設定された前記暖房装置の作動温度および/または作動時間を補正するよう構成されている請求項1ないし7のいずれかに記載の躯体内暖房システム。
【請求項9】
前記補正手段は、前記天気の予報が曇りの場合に比べて晴れの場合の前記暖房装置の作動時間を短くし、前記天気の予報が曇りの場合に比べて雨の場合と雪の場合との前記暖房装置の作動時間をそれぞれ長くする請求項8に記載の躯体内暖房システム。
【請求項10】
前記補正手段は、前記天気の予報が曇りの場合に比べて晴れの場合の前記暖房装置の作動温度を低くし、前記天気の予報が曇りの場合に比べて雨の場合と雪の場合との前記暖房装置の作動温度をそれぞれ高くする請求項8に記載の躯体内暖房システム。
【請求項11】
前記天気情報取得手段は、前記建築物が設置されている地域の気温が前記最低気温に到達するときの前記天気の予報の情報を取得し、前記補正手段は、該天気の予報の情報を用いて前記補正を行う請求項8ないし10のいずれかに記載の躯体内暖房システム。
【請求項12】
前記暖房装置の作動前に、前記天気の予報の情報および前記最低気温の予報の情報を取得し、前記補正を行うよう構成されている請求項8ないし11のいずれかに記載の躯体内暖房システム。
【請求項13】
前記放熱部は、前記建築物の床下空間に設けられ、熱を蓄熱して放熱するコンクリートを有し、
前記暖房装置は、前記コンクリートを加熱する加熱手段を有し、
前記加熱手段により前記コンクリートが加熱され、前記コンクリートに蓄熱され、前記コンクリートから放熱されるよう構成されている請求項1ないし12のいずれかに記載の躯体内暖房システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2009−8310(P2009−8310A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−168974(P2007−168974)
【出願日】平成19年6月27日(2007.6.27)
【出願人】(000102326)エアサイクル産業株式会社 (18)
【Fターム(参考)】