説明

車上局、ファイルサーバ、情報配信表示システム及び情報収集方法

【課題】正常運行時以外にも個々の列車の状況に応じて適切な情報を乗客に提供する情報配信表示システム、車上局、ファイルサーバ及び情報収集方法を得る。
【解決手段】列車に搭載された車上局10は、外部から異常発生が通知されると、制御部15が取得した車両状態情報と、データベース16に格納されたダイヤ情報等を用いて、解析部12が異常に応じた表示情報を決定する。情報表示部11がその決定に応じた表示情報をデータベース16又は地上側のファイルサーバから取得して表示することにより、乗客に異常に応じた情報提供を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、地上側のファイルサーバから情報を配信して、列車上の車上局で表示する情報配信表示システム及び情報収集方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、運行中の列車に乗車している乗客に対して列車の案内情報及び広告コンテンツ等を提供するために、列車内に映像を表示できるスクリーンが備えられている場合がある。例えば特許文献1には、列車内に備えられた情報表示器に列車案内情報及び広告コンテンツ等のデータを表示する車内案内情報表示装置が開示されている。この装置は、ダイヤと時刻経過に基づいて、予め設定されたタイミングで列車案内情報等を情報表示器に表示するので、列車の実際の位置及び走行状態に基づいて適切なコンテンツを表示させることができなかった。
【0003】
この問題に対して、例えば特許文献2には、列車の位置及び走行状態を実測して、状況に応じた情報を列車内の情報表示器に表示する情報配信システムが開示されている。このシステムは、情報表示器に表示する情報を予め作成してデータベースに格納しておき、列車の位置等に応じた情報を規則に従ってデータベースから選択して表示する。
【0004】
また、従来の情報配信表示システムでは、走行中の列車への情報配信に使用する広域無線通信網は伝送帯域が小さいため、大容量の映像コンテンツ等を配信する場合には駅又は車両基地に停車している間にスポット的な通信網を使用していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−287242号公報
【特許文献2】特開2008−268389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の情報配信表示システムは以上のように構成されているので、正常運行時は、列車上の情報表示器が予め作成された情報を予め決められた規則及び順番で表示することができるが、ダイヤが乱れたり事故が発生したりして異常が発生した場合には、その異常を想定した情報及び規則等がないので対処できない。また、大容量のコンテンツは駅又は車両基地でしか配信できないため、走行中に異常が発生しても列車が情報を取得できない。このため、正常運行時以外には路線及び列車位置等の個々の列車の状況に応じた情報を乗客に提供できないという課題があった。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、正常運行時以外にも個々の列車の状況に応じて適切な情報を乗客に提供する車上局、ファイルサーバ、情報配信表示システム及び情報収集方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る車上局は、ファイルサーバから配信される情報を、広域無線通信網を介して受信する送受信部と、情報を格納しておくデータベースと、列車の走行に影響する路線の運行状況に異常が発生した場合に、列車の状態を示す車両状態情報と列車の路線及びダイヤの情報とを用いて、データベースに格納された情報から当該異常に応じた情報を選択する解析部と、解析部が選択した情報を列車の乗客に向けて表示する情報表示部とを備えるものである。
【0009】
この発明に係るファイルサーバは、列車に搭載されて乗客に向けて情報を提供する車上局に対して、広域無線通信網を介して情報を配信すると共に、車上局から情報の送信要求を受けると当該送信要求に応じた情報を送信するものである。
【0010】
この発明に係る情報配信表示システムは、上記車上局と上記ファイルサーバとを備えるものである。
【0011】
この発明に係る情報収集方法は、ファイルサーバから配信される情報を、広域無線通信網を介して受信する情報受信ステップと、情報をデータベースに格納しておく情報格納ステップと、列車の走行に影響する路線の運行状況に異常が発生した場合に、列車の状態を示す車両状態情報と列車の路線及びダイヤの情報とを用いて、データベースに格納された情報から当該異常に応じた情報を選択する解析ステップと、解析ステップにおいて異常に応じた情報がデータベースに格納されていない場合に、ファイルサーバに対して異常に応じた情報の送信要求を行う送信要求ステップとを備えるものである。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、列車の走行に影響する路線の運行状況に異常が発生した場合に、列車の状態を示す車両状態情報と列車の路線及びダイヤの情報とを用いて、データベースに格納された情報から当該異常に応じた情報を選択するようにしたので、正常運行時以外にも個々の列車の状況に応じて適切な情報を乗客に提供することのできる車上局、ファイルサーバ、情報配信表示システム及び情報収集方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の実施の形態1に係る情報配信表示システムの構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1の車上局1の構成を示すブロック図である。
【図3】実施の形態1の車上局1の動作を示すフローチャートである。
【図4】実施の形態1の車上局1の各部間の動作を示すシーケンス図である。
【図5】実施の形態1に係る情報配信表示システムの具体例を説明するための路線図である。
【図6】実施の形態1の車上局1の状況解析動作を示すフローチャートである。
【図7】この発明の実施の形態2に係る情報配信表示システムの車上局1の動作を示すフローチャートである。
【図8】実施の形態2に係る情報配信表示システムの各装置間の動作を示すシーケンス図である。
【図9】実施の形態2に係る情報配信表示システムの具体例を説明するための路線図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施の形態1.
図1に示す本実施の形態1に係る情報配信表示システムは、地上側装置から列車側装置にダイヤ情報、広告コンテンツ及びその他の乗客向けの情報を配信し、列車内の映像表示装置がこれらの情報を乗客に提供するものであり、列車側装置として列車に設置される車上局10を備え、地上側装置として地上に設置されるファイルサーバ30及び情報送信機器群40を備える。情報送信機器群40には、例えばフライト情報送信機器41、ダイヤ情報送信機器42及び広告情報送信機器43が含まれる。
【0015】
先立って説明したように、従来の情報配信表示システムでは地上側装置と列車側装置が広域無線通信網を介して接続するが、伝送帯域が小さく、列車走行中に大容量データを伝送できなかった。そこで、本実施の形態1に係る情報配信表示システムでは、広域エリアをカバーし、かつ、広帯域の無線通信網として例えばWiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)網20を使用して、列車走行中にも大容量データを伝送できるようにする。
【0016】
情報送信機器群40は、列車に配信する情報を作成してファイルサーバ30へ出力する。フライト情報送信機器41は、空港にアクセスする列車に対して配信される情報、例えば飛行機の発着便情報及び遅延・欠航情報を生成する。ダイヤ情報送信機器42は、列車のダイヤ情報及び各路線の乗り換え情報を作成する。広告情報送信機器43は、列車内で乗客に提供される広告コンテンツの映像(以下、広告情報)を作成する。
【0017】
ファイルサーバ30は、情報送信機器群40で作成された各種情報を集約して保存し、保存している情報をWiMAX網20を使用して車上局10へ適宜配信する。
【0018】
図2は、図1に示す車上局10の構成を示すブロック図である。この車上局10は、情報表示部11、解析部12、アンテナ13、送受信部14、制御部15、及びデータベース16から構成される。
【0019】
情報表示部11は、ファイルサーバ30から配信された情報(映像及び文字情報)を画面表示する。解析部12は、制御部15から受け付けた車両状態情報等を解析して、情報表示部11に次に表示する表示情報を決定する。送受信部14は、アンテナ13を制御して、WiMAX網20を経由してファイルサーバ30と送受信を行い、表示情報を受信する。受信した表示情報はデータベース16が保持する。
【0020】
制御部15は、情報表示部11、解析部12、送受信部14及びデータベース16の動作及び情報の入出力を制御する。また、制御部15は、列車の現在位置、運行速度及び他の列車待ちといった走行状態、日付、時刻、及びそのほか列車に関わる車両状態情報を取得して解析部12へ出力する。なお、列車の現在位置の情報は、列車に設置されたGPS(Global Positioning System)から取得する。また、制御部15は解析部12による状況解析処理用に、運行方向、運行の形態(各駅停車か急行か等)、路線、各路線の乗り換えといったダイヤ及び路線の情報をデータベース16から取得して解析部12へ出力する。なお、ダイヤ及び路線の情報は、送受信部14がファイルサーバ30から取得して、データベース16に格納されているものとする。さらに、制御部15には、緊急時に関わる事故情報、障害情報といった運行状況情報が、地上側の中央制御センター(不図示)等から通知される。
【0021】
次に、図3のフローチャート及び図4のシーケンス図を用いて、車上局10の動作を説明する。なお、ファイルサーバ30から配信された表示情報が送受信部14によって受信され(情報受信ステップ)、データベース16に格納されているものとする(情報格納ステップ)。
この状態で車上局10が動作を開始すると、ステップST1において、制御部15は車両状態情報、ダイヤ及び路線の情報、並びに運行状況情報を取得して、現在の車両の状況を確認して正常運行状態か否かを判定する。正常運行状態と判定した場合(ステップST1“YES”)、制御部15は通常のダイヤ情報及び広告情報等をデータベース16から取得して情報表示部11に出力し、情報表示部11がこれらの情報を表示する(ステップST5)。なお、正常運行状態の場合には、車上局10は従来のシステムと同様に予め設定した規則に従って広告情報、乗り換え情報、飛行機の発着便情報等を選択して表示すればよいので、詳細な説明は省略する。
【0022】
一方、ステップST1で現在位置が運行ダイヤから外れている、停車する予定のない場所で停車している、事故情報等が通知されている等、正常運行状態でないと判定した場合(ステップST1“NO”)、制御部15は解析部12に指示して車両状態情報とダイヤ及び路線の情報とを解析させ、情報表示部11に表示する表示情報を決定させる(ステップST2、解析ステップ)。解析部12は、その解析結果を制御部15へ出力する。なお、解析部12の状況解析処理の詳細は後述する。
【0023】
続いて制御部15は、データベース16に対して解析結果に該当する表示情報を要求し、データベース16は、格納している情報を検索して、該当する表示情報を検索結果として制御部15へ出力する(ステップST3)。
【0024】
続いて制御部15は、情報表示部11に対して検索結果である表示情報を出力し、情報表示部11が画面表示する(ステップST4)。
【0025】
次に、図5の路線図と図6のフローチャートを用いて、解析部12の状況解析処理を説明する。
図5に示す路線図において、路線Xは環状線であり、外回りと内回りの2路線がある。この路線Xには駅A,B,Cが存在し、駅Aと駅Cは路線Yにも接続する。今、列車アが路線X外回りの駅A,B間を駅Aの方向に向かって走行し、他方の列車イが路線X内回りの駅A,B間を駅Bの方向に向かって走行している。また、この路線Xで事故が発生し、事故情報が列車ア,イに搭載された車上局10にそれぞれ通知されている。
このとき、列車ア,イの各車上局10が、代替輸送を行うことのできる路線Yのダイヤ情報を表示すれば、乗客にとって有用だと考えられる。さらに、列車毎に最寄りの駅のダイヤ情報のみを表示すれば乗客にとって分かり易い案内表示となる。
【0026】
図6は、図5に示す上記状況の場合に車上局10の解析部12が行う状況解析処理を示すフローチャートである。ここでは、列車アに搭載された車上局10の解析部12の状況解析処理と、列車イに搭載された車上局10の解析部12の状況解析処理とを別々に説明する。
【0027】
先ず、列車アを説明する。
列車アに搭載された車上局10の解析部12は先ず、表示情報の種別を、ダイヤ情報送信機器42が生成した路線Yへの乗り継ぎ駅のダイヤ情報に決定する(ステップST21)。この種別決定にしては、予め解析部12に「事故が発生した場合には代替輸送の路線のダイヤ情報を選択する」という規則が設定されているものとする。
続いて解析部12は、最寄りの乗り継ぎ駅を決定する(ステップST22)。この例では、現在位置と路線の情報から、現在の列車アと距離が一番近い最寄り駅として駅Aを選ぶ。続いて解析部12は、運行方向の情報から、選択した駅Aが列車アの進行方向に存在するか判定する(ステップST23)。この例では存在するので(ステップST23“YES”)、続いて解析部12は各路線の乗り換え情報から、選択した駅Aが路線Xから路線Yに乗り換え可能か判定する(ステップST24)。この例では乗り換え可能なので(ステップST24“YES”)、情報表示部11に表示するダイヤ情報は駅Aのものと決定される。最後に解析部12は決定した駅Aまでの距離、並びに運行速度及び他の列車待ちといった走行状態から駅Aへの到着時刻を予測し、駅Aのダイヤ情報から乗り継ぎ可能な便の候補を決定して、乗り継ぎ駅及び乗り継ぎ候補の便の情報を解析結果として制御部15へ出力する(ステップST26)。
【0028】
続いて、列車イを説明する。
列車イに搭載された車上局10の解析部12は先ず、表示情報の種別を、ダイヤ情報送信機器42が生成した路線Yへの乗り継ぎ駅のダイヤ情報に決定する(ステップST21)。続いて解析部12は、最寄りの乗り継ぎ駅決定する(ステップST22)。この例では、解析部12は、現在の列車イと距離が一番近い最寄り駅として駅Aを選ぶが(ステップST22)、列車イの進行方向に存在しないので(ステップST23“NO”)、選択した駅Aを最寄り駅候補から除外して(ステップST25)、再びステップST22に戻る。解析部12は続いて、現在の列車イと距離が一番近い最寄り駅(駅Aを除く)として駅Bを選択するが(ステップST22)、駅Bは進行方向に存在しても、路線Yに乗り換えできないので最寄り駅候補から除外する(ステップST23“YES”、ステップST24“NO”、ステップST25)。解析部12は続いて駅Cを選択して(ステップST22)、駅Cが進行方向に存在し、かつ、路線Yに乗り換えできることを確認し(ステップST23“YES”、ステップST24“YES”)、乗り継ぎ可能な便の候補を決定して、解析結果を制御部15へ出力する(ステップST26)。
【0029】
このようにして、路線Xに事故が発生した場合に、列車アの情報表示部11には最寄りの乗り継ぎ駅Aの乗り継ぎ便の情報が表示でき、一方、列車イの情報表示部11には最寄りの乗り継ぎ駅Cの乗り継ぎ便の情報が表示できる。
【0030】
以上より、実施の形態1によれば、情報配信表示システムの車上局10を、ファイルサーバ30から配信される表示情報をWiMAX網20を介して受信する送受信部14と、表示情報を格納しておくデータベース16と、列車の走行に影響する路線の運行状況に異常が発生した場合に、列車の状態を示す車両状態情報と運行を示すダイヤ情報とを用いて、データベース16に格納された表示情報から異常に応じた情報を選択して解析結果として出力する解析部12と、解析部12が選択した解析結果に応じた表示情報を、列車の乗客に向けて表示する情報表示部11とを備えるように構成した。このため、従来から用いられていた列車の現在位置及び走行状態の情報に加えて、路線、ダイヤ及びその他の車両状態の情報を併せて判断することにより、正常運行状態以外の場合にも個々の列車の状況に合わせた有用な情報を乗客に提供することができる。
【0031】
実施の形態2.
本実施の形態2に係る情報配信表示システムは、図面上では上記実施の形態1の図1に示す情報配信表示システムと同様の構成であり、また、車上局も図2に示す車上局10と同様の構成であるため、図1及び図2を援用して説明する。
本実施の形態2に係る情報配信表示システムの車上局10は、解析部12の解析結果に一致する表示情報がデータベース16から検索できなかった場合に、制御部15がファイルサーバ30に表示情報の送信を要求する機能を追加した構成とする。
【0032】
図7のフローチャート及び図8のシーケンス図を用いて、車上局10の動作を説明する。なお、図8は、正常運行状態でなく、かつ、解析部12の解析結果に一致する表示情報がデータベース16から検索できなかった場合のシーケンス図である。また、図7及び図8に示すステップST1〜ST5は、図3及び図4に示すステップST1〜ST5と同じであるため説明を省略する。
ステップST3において、データベース16が解析結果に該当する表示情報を検索し、該当する表示情報を検索結果として制御部15へ出力する(ステップST11“YES”)。
【0033】
一方、表示情報が発見できなかった場合、データベース16は該当情報がない旨を示す情報を検索結果として制御部15へ出力する(ステップST11“NO”)。続いて制御部15は、送受信部14に指示し、送受信部14が解析結果に該当する表示情報を送信させるための情報送信要求をファイルサーバ30に送信する(ステップST12、送信要求ステップ)。さらに、送受信部14は、ファイルサーバ30から送信された情報を受信して、これを受信情報として制御部15へ通知する(ステップST13)。
【0034】
続いて制御部15は、受信情報をデータベース16に保存させると共に(ステップST14)、この受信情報を情報表示部11に出力して、情報表示部11に画面表示させる(ステップST15)。
【0035】
次に、図7のフローチャート、図8のシーケンス図、及び図9の路線図を用いて、本実施の形態2の車上局10の動作を説明する。
図9に示す路線図において、鉄道会社Xの路線上を列車アが駅Aに向かって走行している。駅Aは鉄道会社Xと鉄道会社Yとの乗り換え駅になっており、駅Bは鉄道会社Xと鉄道会社Zとの乗り換え駅になっている。また、鉄道会社Yの路線で事故が発生し、鉄道会社Zにて代替輸送を開始したとする。また、この事故情報は列車アの車上局10に通知されている。
このとき、列車アの車上局10が、代替輸送を行う鉄道会社Zの路線の駅Bのダイヤ情報を表示すれば、乗客にとって有用だと考えられる。しかし、平常時の列車アは鉄道会社Xの路線のダイヤ情報を表示し他鉄道会社Y,Zのダイヤ情報は表示していないため、データベース16には該当する表示情報が格納されていない。
【0036】
この場合、列車アに搭載された車上局10の解析部12は先ず、表示情報の種別を、予め設定された規則に従って鉄道会社Zへの乗り換え駅のダイヤ情報に決定し、上記実施の形態1で図6を用いて説明した状況解析処理と同様の処理により最寄りの乗り換え駅を駅Bに決定する(ステップST2)。
続いて、データベース16が駅Bの鉄道会社Zの路線のダイヤ情報を検索するが(ステップST3)、上述のとおりデータベース16には他鉄道会社Zの路線のダイヤ情報がない(ステップST11“NO”)。そのため、制御部15は送受信部14に指示して、ファイルサーバ30から鉄道会社Zのダイヤ情報の送信を要求させ(ステップST12)、送受信部14がファイルサーバ30に情報送信を要求して該当する情報を受信すると(ステップST13)、制御部15がその受信情報をデータベース16へ保存させると共に情報表示部11へ出力して表示させる(ステップST14、ステップST15)。
このようにして、鉄道会社Yの路線に事故が発生した場合に、列車アの情報表示部11には代替輸送を開始した鉄道会社Zへの最寄りの乗り換え駅Bのダイヤ情報が表示できる。
【0037】
以上より、実施の形態2によれば、車上局10とファイルサーバ30とをWiMAX網20で接続して、車上局10の送受信部14が、解析部12の解析結果に該当する異常に応じた表示情報がデータベース16に格納されていない場合に、ファイルサーバ30に対して異常に応じた情報の送信要求を行うように構成し、ファイルサーバ30が、車上局10から送信要求を受けると当該送信要求に応じた表示情報を車上局10へ配信するように構成した。このため、列車の走行中に異常が発生してもWiMAX網20を利用して、車上局10がデータベース16にない表示情報をファイルサーバ30から受信できるので、より個々の車両の状況に即した情報を乗客に提供することができる。
【符号の説明】
【0038】
10 車上局、11 情報表示部、12 解析部、13 アンテナ、14 送受信部、15 制御部、16 データベース、20 WiMAX網、30 ファイルサーバ、40 情報送信機器群、41 フライト情報送信機器、42 ダイヤ情報送信機器、43 広告情報送信機器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
広域無線通信網を介してファイルサーバから配信される情報を乗客に向けて提供する、列車に搭載された車上局において、
前記ファイルサーバから配信される前記情報を、前記広域無線通信網を介して受信する送受信部と、
前記情報を格納しておくデータベースと、
前記列車の走行に影響する路線の運行状況に異常が発生した場合に、前記列車の状態を示す車両状態情報と前記列車の路線及びダイヤの情報とを用いて、前記データベースに格納された前記情報から当該異常に応じた情報を選択する解析部と、
前記解析部が選択した情報を前記列車の乗客に向けて表示する情報表示部とを備えることを特徴とする車上局。
【請求項2】
送受信部は、異常に応じた情報がデータベースに格納されていない場合に、ファイルサーバに対して前記異常に応じた情報の送信要求を行うことを特徴とする請求項1記載の車上局。
【請求項3】
広域無線通信網はWiMAX網であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の車上局。
【請求項4】
列車に搭載されて乗客に向けて情報を提供する車上局に対して、広域無線通信網を介して前記情報を配信すると共に、前記車上局から情報の送信要求を受けると当該送信要求に応じた情報を配信するファイルサーバ。
【請求項5】
広域無線通信網はWiMAX網であることを特徴とする請求項4記載のファイルサーバ。
【請求項6】
請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の車上局と、
請求項4または請求項5記載のファイルサーバとを備える情報配信表示システム。
【請求項7】
広域無線通信網を介してファイルサーバから配信される情報を乗客に向けて提供する、列車に搭載された車上局の情報収集方法において、
前記ファイルサーバから配信される前記情報を、前記広域無線通信網を介して受信する情報受信ステップと、
前記情報をデータベースに格納しておく情報格納ステップと、
前記列車の走行に影響する路線の運行状況に異常が発生した場合に、前記列車の状態を示す車両状態情報と前記列車の路線及びダイヤの情報とを用いて、前記データベースに格納された前記情報から当該異常に応じた情報を選択する解析ステップと、
前記解析ステップにおいて前記異常に応じた情報がデータベースに格納されていない場合に、前記ファイルサーバに対して前記異常に応じた情報の送信要求を行う送信要求ステップとを備えることを特徴とする情報収集方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−93468(P2011−93468A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−250586(P2009−250586)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】